JP2002096201A - 切り込み方向振動切削による脆性材料の延性モード切削加工方法及び切削加工装置 - Google Patents

切り込み方向振動切削による脆性材料の延性モード切削加工方法及び切削加工装置

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JP2002096201A
JP2002096201A JP2000283271A JP2000283271A JP2002096201A JP 2002096201 A JP2002096201 A JP 2002096201A JP 2000283271 A JP2000283271 A JP 2000283271A JP 2000283271 A JP2000283271 A JP 2000283271A JP 2002096201 A JP2002096201 A JP 2002096201A
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cutting
tool
brittle material
ductile mode
vibration
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JP2000283271A
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Ichiro Ogura
一朗 小倉
Yuichi Okazaki
祐一 岡崎
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工具逃げ面と加工対象の振動による断
続的衝突を回避し、加工雰囲気を特別変更しなくとも安
定に脆性材料加工対象を延性モードで切削可能とする 【解決手段】 切り込みを入れる際に切削工具の微小
振動周波数f、微小振動振幅Aおよび切削速度vより得
られる無次元数fA/vを工具逃げ角β、プランジカット角
度θより得られる臨界条件(β+θ)/360以下に設定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスやシリコン
の様な脆性材料が、切込み量に応じて表面が弾性回復か
ら塑性変形、延性モード、脆性モードへと推移する現象
に関して、工具逃げ面が衝突しないように設定した切込
み方向微小振動切削により、それまで弾性回復から塑性
変形までの切削が行われない切込み量を延性モード領域
として加工し、全体として安定な延性モード切削加工を
可能とするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスのような脆性材料は容易にクラッ
クが進展するため、機械加工を行うことは困難とされて
いる。しかし切り込み量をサブミクロンオーダにする
と、クラックの進展しない延性モード加工となることが
知られている。
【0003】脆性材料に対する切込み量と得られる加工
結果については、図1に示すような挙動が存在するとい
われている。工具が材料表面に接触したあたりは、切込
み量を押し戻す弾性回復の領域があり、加工現象は進展
しない。そしてそれ以上の切込み量になると、材料表面
の物質が塑性的に流れる塑性変形の領域となる。さらに
切込みが進むと切りくずの流出の存在する延性モード切
削、表面にき裂が進展する脆性モード切削となる。
【0004】図2に脆性材料に対する切込みと得られた
切削痕深さの関係を示す。加工試料はSiC、雰囲気はド
ライとし、すくい角0°のダイヤモンドバイトで切削し
たものである。この図では、横軸を切込み深さ、縦軸を
得られた切削痕深さとし、延性モード、脆性モードの別
に示している。切込み深さ2μmにいたるまで、切削は始
まらず、塑性変形の領域になっている。また、切削が始
まる領域に達しても、同一の切込み深さに対し、得られ
る切削痕深さにはかなりのばらつきがある上、延性モー
ドと脆性モードがはっきり分離して発生していない。
【0005】これに対し、加工雰囲気や切削速度、すく
い角等の各種切削条件を変更すると、延性モードを単独
でえることが可能となる。そのため、現在にいたるまで
延性モードを安定に得るための加工条件を最適化するた
めの試みが多数行われている。
【0006】一方で金属材料に対する切削加工におい
て、切削抵抗の低減、加工精度向上のため、楕円振動切
削や切削方向への振動切削が提案されている。この手法
を脆性材料の切削加工に適用した例もあるが、これは延
性モードによる加工を目指したものではなく、切り込み
量の大きないわゆる粗加工を行うためのものである。
【0007】ところで振動切削の振動方向には、図3に
示されるような主分力方向、背分力方向、送り分力方向
が存在するが、従来提案されてきた振動切削のほとんど
は、切削方向即ち主分力方向への振動か、送り分力方向
への振動、あるいは主分力と配分力方向の振動を組み合
わせた楕円軌跡振動によるものである。
【0008】これに対し、配分力方向である切込み方向
の振動は、工具逃げ面が加工対象表面を断続的に圧縮す
るために、仕上げ面性状の低下や工具先端の破損を引き
起こしやすいという欠点があり、ドリル加工以外ではあ
まり好ましい切削方法ではないとされていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】脆性材料を延性モード
で切削加工し、形状を創成する技術は、未だ完全に確立
されていない。複雑形状を有する光学部品を創成するた
めには、切削加工がもっとも適しており、その実用化が
望まれている。従来の切削方法で最適な加工条件を探る
とともに、延性モードを安定に得られるような新しい手
法を確立することが重要である。
【0010】本発明はこのような課題に応えるもので、
脆性材料の延性モード切削を安定に行う新しい切削方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、微小切込み機構を有する切削工具を、微小
に切込み方向に振動させながら脆性材料加工対象を振動
切削する切削加工方法であって、切り込みを入れる際に
切削工具の微小振動周波数f、微小振動振幅Aおよび切
削速度vより得られる無次元数fA/vを工具逃げ角β、プ
ランジカット角度ψより得られる臨界条件(β−ψ)/3
60以下に設定することにより、工具逃げ面と加工対象
の振動による断続的衝突を回避し、加工雰囲気を特別変
更しなくとも安定に脆性材料加工対象を延性モードで切
削可能とすることを特徴とする切削加工方法を提供す
る。
【0012】さらに、本発明は上記課題を解決するため
に、微小切込み機構を有する切削工具を、微小に切込み
方向に振動させながら脆性材料加工対象を振動切削する
切削加工装置であって、切り込みを入れる際に切削工具
の微小振動周波数f、微小振動振幅Aおよび切削速度v
より得られる無次元数fA/vを工具逃げ角β、プランジカ
ット角度ψより得られる臨界条件(β−ψ)/360以下
に設定することにより、工具逃げ面と加工対象の振動に
よる断続的衝突を回避し、加工雰囲気を特別変更しなく
とも安定に脆性材料加工対象を延性モードで切削可能で
あることを特徴とする切削加工装置を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に係る切り込み方向振動切
削による脆性材料の延性モード切削加工及び切削加工装
置の実施の形態を実施例に基づいて図面を参照して説明
する。
【0014】本発明の実施例を図4に示す。旋盤主軸4
に取り付けられた脆性材料試料3を工具サーボ1の先端
に取り付けたバイト2で切削加工する。工具サーボ1の
指令信号はパーソナルコンピュータ5によって与えられ
る。このときファンクションジェネレータ6によってバ
イト先端がサブミクロンオーダで振動するような周期的
振動を出力する。
【0015】加算器7によって指令信号と周期的振動信
号を加算し、この信号をフィードバック回路へ加える。
これにより、工具サーボは図5に示すような挙動を示
す。これは、工具と材料の相対変位が増すにつれて切込
みが増大するいわゆるプランジカットに微小振動を加え
たものである。
【0016】先に述べたようにこのような、切込み方向
への振動切削は工具の逃げ面が試料に対して断続的に接
触し、仕上げ面性状の低下や工具の破損を招くため、切
削加工にはあまり好ましい方法ではないとされてきた。
しかしこの手法はその他の工具振動方法に比べ、微小切
込み機構に十分な周波数応答特性さえあれば、付加的な
振動機構は不要であり、装置全体をコンパクトにできる
というメリットを持つ。
【0017】本発明では、従来切込み方向の振動によっ
て逃げ面が接触するとされていた問題を次に説明する条
件付けによって回避する。
【0018】図6に示すように、工具にげ角βの刃先が
次式で示されるように振動振幅A、振動周波fで微小振
動をしながら材料に切込みを行っている次の数式1の状
態を考える。
【0019】
【数1】
【0020】材料と工具の相対速度をvとすると、工具
が1周期をおえる時間、Tf=1/fの時間に生じる相対変位
はL=vTfとなるため、工具軌跡は次の数式2で与えられ
る。
【0021】
【数2】
【0022】これより工具の試料に対する切込み角度
は、次の数式3に示すように、g(x)の一回微分で表され
る。
【0023】
【数3】
【0024】よって、切込み角度の最大値は、次の数式
4で表される。
【0025】
【数4】
【0026】これは、単位がradであるため、deg表記に
すると次の数式5のようになる。
【0027】
【数5】
【0028】工具が微小振動しながらψdegのプランジ
カット角度で材料に対して切り込む場合の様子を図7に
示す。次の数式6の関係が成り立つ場合、工具逃げ面は
試料に接触せずに切込みが進むことになる。
【0029】
【数6】
【0030】よって次の数式7が成立する。
【0031】
【数7】
【0032】ここで、fA/vは無次元量となる。図5で
は、ファンクションジェネレータから周波数f=3kHz、振
幅A=0.1μmで振幅を加えている。旋盤回転周期1.5Hzで
あり、切込み半径を10mmとしているため、切削速度v=3
π×10-2m/s、プランジカット角は主軸90°回転で4μm
切込みを設定したため、0.84degとなる。また、工具す
くい角β=5degであるので、次の数式8が成立し、逃げ
面は材料表面に接触しない。
【0033】
【数8】
【0034】加工対象の表面に工具が接触し数10nm程度
の切込み量になるまで、加工対象の表面は塑性流れや弾
性回復などの延性モード切削以前の挙動を示すと考えら
れている。本発明では、この微小切込みの領域における
サブミクロンオーダの工具振動によって、これら塑性流
れや弾性回復の状態を延性モード切削とし、延性領域を
広げることが可能である。
【0035】上記本発明の実施例に係る切削方法で実験
を行った場合の切削混深さと加工モードの関係を図8に
示す。図2に示した従来の切削方法に対して、本発明に
よって切込み量が微小な領域における延性モードの領域
が広がり、安定な切削加工が行われていることが確認で
きる。
【0036】以上、本発明に係る切り込み方向振動切削
による脆性材料の延性モード切削方法を実施例に基づい
て説明したが、本発明はこのような実施例に限定される
ことなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内で
いろいろな実施例があることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】以上の構成から成る本発明によれば、脆
性材料の安定な延性モード切削が可能となる。一般に、
切り込み量がきわめて小さい場合、加工対象と工具の剛
性の関係や加工対象の弾性回復によって、切削加工がほ
とんど確認されない領域が存在するが、本発明の特徴と
する微小振動によって、これを切削加工可能な領域にす
ることができる。従って、加工対象に対する切削工具の
厳密な切り込み量を把握できず、延性モード加工が得に
くい場合でも、切削加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】工具の切込みに伴う脆性材料の加工状態の推移
を概念的に示した図である。
【図2】通常の切り込み切削を行った結果を示した図で
ある。
【図3】切削加工時における3種類の振動方向を示した
図である。
【図4】本発明の実施例の概念図である。
【図5】本発明による切込み方向振動切削の状態を示し
た図である。
【図6】工具の逃げ角βなる刃先の振動状態及び切削速
度の関係を概念的に表した図である。
【図7】工具振動に伴う最大の切込み角度θ、プランジ
カット角度ψ、逃げ角β間で逃げ角が衝突しない臨界状
態を示した図である。
【図8】加工対象SiCに対して本発明による加工を行っ
た結果を示した図である。
【符号の説明】
1 工具サーボ 2 バイト 3 加工用脆性材料 4 旋盤主軸 5 パーソナルコンピュータ 6 ファンクションジェネレータ 7 加算器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微小切込み機構を有する切削工具
    を、微小に切込み方向に振動させながら脆性材料加工対
    象を振動切削する切削加工方法であって、 切り込みを入れる際に切削工具の微小振動周波数f、微
    小振動振幅Aおよび切削速度vより得られる無次元数fA/
    vを工具逃げ角β、プランジカット角度ψより得られる
    臨界条件(β−ψ)/360以下に設定することにより、
    工具逃げ面と加工対象の振動による断続的衝突を回避
    し、加工雰囲気を特別変更しなくとも安定に脆性材料加
    工対象を延性モードで切削可能とすることを特徴とする
    切削加工方法。
  2. 【請求項2】 微小切込み機構を有する切削工具
    を、微小に切込み方向に振動させながら脆性材料加工対
    象を振動切削する切削加工装置であって、 切り込みを入れる際に切削工具の微小振動周波数f、微
    小振動振幅Aおよび切削速度vより得られる無次元数fA/
    vを工具逃げ角β、プランジカット角度ψより得られる
    臨界条件(β−ψ)/360以下に設定することにより、
    工具逃げ面と加工対象の振動による断続的衝突を回避
    し、加工雰囲気を特別変更しなくとも安定に脆性材料加
    工対象を延性モードで切削可能であることを特徴とする
    切削加工装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005254516A (ja) * 2004-03-09 2005-09-22 Sumitomo Electric Hardmetal Corp 脆性材料の切削方法
WO2014125569A1 (ja) * 2013-02-12 2014-08-21 三菱電機株式会社 数値制御装置

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