JP2002089428A - 水力発電システム - Google Patents

水力発電システム

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JP2002089428A
JP2002089428A JP2000274594A JP2000274594A JP2002089428A JP 2002089428 A JP2002089428 A JP 2002089428A JP 2000274594 A JP2000274594 A JP 2000274594A JP 2000274594 A JP2000274594 A JP 2000274594A JP 2002089428 A JP2002089428 A JP 2002089428A
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JP
Japan
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water
power generation
suction pipe
generation system
flexible pipe
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JP2000274594A
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English (en)
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Yoshiharu Ohashi
義春 大橋
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AKASHI KENKYUSHO KK
AZ IND DESIGN KK
AZ INDUSTRIAL DESIGN KK
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AKASHI KENKYUSHO KK
AZ IND DESIGN KK
AZ INDUSTRIAL DESIGN KK
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/20Hydro energy

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 身近に存在する水の位置エネルギーを利用し
て発電を行うことができる水力発電システムを提供する
こと。 【解決手段】 開閉バルブ4および5をそれぞれ閉状態
にした後に、導水バルブ9を開状態にし、ポンプ6を動
作させて、フレキシブルパイプ1内を水で満たす。フレ
キシブルパイプ1内が水で満たされた後に、導水バルブ
9を閉状態にし、ポンプ6の動作を停止する。次に、開
閉バルブ4を開状態にし、その後に開閉バルブ5を開状
態にする。これにより、サイホンの作用が生じ、フレキ
シブルパイプ1内で取水口から排水口に向かう水流が生
じる。この水流が変換装置2によって回転運動に変換さ
れ、変換装置2によって得られた回転運動に基づいて、
発電機3により発電が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、身近に存在する河川や貯水池等の水が有して
いる位置エネルギーを利用して発電を行う水力発電シス
テムに関する。
【0001】
【従来の技術】電気エネルギーは、現代の文明社会にと
って重要なインフラストラクチャーの1つであり、その
消費量は、年々増加する傾向にある。これまでは、電気
エネルギーを得る手段として、火力発電、原子力発電、
水力発電などが主に利用されてきた。
【0002】現時点で最も依存度が高いのは、エネルギ
ー源として石油、石炭などの化石燃料を用いる火力発電
である。しかし、化石燃料は有限の資源であり、将来的
に枯渇すると予測されることから、長期的な展望は望め
ない。また、これら化石燃料をエネルギー源とした場合
には、二酸化炭素の排出による地球温暖化の増進など、
環境への悪影響も問題となる。
【0003】原子力発電は、二酸化炭素等を排出しない
理想的なエネルギー生産方式と考えられていたが、ひと
たび事故が発生した場合には重大な被害をもたらすとい
う危険性がある。これまでにも、原子力発電施設におけ
る重大事故が幾度か発生し、その度に環境や人命に関し
て重大な被害をもたらしてきたことから、大衆の原子力
発電に対するアレルギーは根強い。
【0004】また、水力発電は、エネルギー源としての
水流を得るために大量の水を貯蔵する必要があり、この
ために大規模なダムの建設を必要とする。しかし、ダム
建設に伴う環境への悪影響や、ダム底に沈んでしまうこ
ととなる地域の住民に対する補償問題など、ダムの建設
には大きな難関がある。また、国土の狭い日本のような
国では、新規にダムを建設することのできる余地がほと
んどない。
【0005】このように、従来の火力発電、原子力発
電、水力発電は、それぞれに各種の問題を抱えており、
現状以上の発展があまり望めない状況であることから、
これらに代わるものとして、近年、太陽光発電や風力発
電などが注目されている。太陽光発電や風力発電は、太
陽光や風力といった、いわゆるクリーンエネルギーをエ
ネルギー源として用いていることから地球環境に悪影響
を及ぼしにくいという利点があり、その発展が期待され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た太陽光発電や風力発電などの発電方式は、従来からの
火力発電や原子力発電などに変わって安定に電力供給を
行うためには、解決しなければならない基本的な問題が
大きい。
【0007】例えば、太陽光発電は、原理的に夜間は発
電を行うことができず、また昼間であっても天候に左右
され、悪天候時には発電を行うことができないため、発
電施設の稼働率を考えると大きなハンディがあり、電力
供給の安定性も低い。また、エネルギー源の確保にコス
トがかからない利点があるものの、太陽光発電に用いる
太陽電池自体が高価であり、結局、発電コストが高いと
いう問題もある。さらに、年々進む大気汚染の影響から
大気中での太陽光の透過率も低下する傾向にあり、この
ため、太陽光を電力に変換する際の変換効率も低下する
ことが懸念される。
【0008】また、風力発電は、風がどこでも吹くこと
から身近なエネルギー源と考えられがちだが、効率良く
発電を行うためには大型の風車が必要であることから、
災害等によって風力発電の施設が倒壊した場合などを考
えると、市街地に発電施設を建設することは安全性の面
から困難である。また、風車の回転により発生する風切
り音が大きく騒音となってしまうため、この点からも風
力発電の発電施設を市街地に建設するのは難しい。ま
た、効率良く安定した発電を行うためには、常時強い風
が吹く場所に発電施設を建設する必要があるが、商業ベ
ースで採算の取れる発電を行うことを考えると、この要
求を満たして安定に電力を供給し得る地域は極めて少な
い。
【0009】ところで、水力発電について注目してみる
と、上述したように大規模なダムを建設して、そこから
の水流を利用するという非常に特殊な方法であると考え
がちである。しかし、我々の身の回りにおいても、河
川、小川、農業用水路など水の流れや、これらの水を貯
めた貯水池などが存在しており、それらの水は位置エネ
ルギーを有している。水は空気よりも遙かに密度の高い
流体であるから、風力などと比較してそのエネルギー源
としての利用価値が大きいという特徴がある。したがっ
て、適当な落差をもつ導水路を用意すれば、身近に存在
する水の位置エネルギーを利用した発電を行うことが可
能であると考えられる。しかしながら、身近に存在する
水の位置エネルギーを積極的に利用した水力発電は、こ
れまでに行われていなかった。
【0010】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的は、身近に存在する水の位置エ
ネルギーを利用して発電を行うことができる水力発電シ
ステムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明の水力発電システムは、吸い上げ管によ
って高所の水を低所に導き、このとき生じる水の流れを
変換装置によって回転運動に変換し、この回転運動を利
用して発電機により発電を行っている。吸い上げ管を用
いることで、いわゆるサイホンの作用を生じさせて高所
から低所へと水を導くことができるので、身近に存在す
る貯水池等の水が有する位置エネルギーを利用して、小
規模な施設で発電を行うことができる。
【0012】また、上述した吸い上げ管を形状が変形自
在なパイプ部材によって形成することが望ましい。これ
により、水の存在する場所およびその周囲の状況に臨機
応変に対応して、取水口や排水口の位置等、吸い上げ管
の設置状態を調整して発電を行うことができる。
【0013】また、上述した変換装置は、反動水車を含
んで構成することが望ましい。身近に存在する水を利用
する場合には、吸い上げ管の取水口の水位と排水口の水
位の差、すなわち落差をそれほど大きくとれない場合が
多いと考えられるが、このような場合には、反動水車を
採用することにより、水流を効率よく回転運動に変換し
て発電を行うことができる。
【0014】また、上述した変換装置は、衝動水車を含
んで構成するようにしてもよい。水の落差を大きくとれ
る場合には、衝動水車を採用することにより、水流を効
率よく回転運動に変換して発電を行うことができる。ま
た、衝動水車を含んで構成される変換装置を用いる場合
に、上述した吸い上げ管の先端に、横断面積を減少させ
ることにより形成された噴射部材を取り付けておいて、
この噴射部材から噴射された水流によって衝動水車を回
転させることが望ましい。このような噴射部材を用いる
ことにより、水流の速度を増加させることができるの
で、より多く衝動水車を回転させることができ、発電効
率を向上させることができる。
【0015】また、吸い上げ管の両端に設けられた開閉
バルブと、吸い上げ管の内部に水を満たすポンプとを備
え、ポンプを動作させて吸い上げ管の内部を水で満たし
た後に開閉バルブを開状態にすることが望ましい。ポン
プを用いて吸い上げ管の内部を水で満たした後に開閉バ
ルブを開状態とすることで、サイホンの作用を容易に生
じさることができる。したがって、高所から低所へと向
かう水の流れを容易に得ることができる。
【0016】また、吸い上げ管の上部近傍に設けられた
空気抜き機構を備えることが望ましい。これにより、吸
い上げ管の内部を水で満たす際に、元々吸い上げ管の内
部に存在していた空気を確実に外部へ排出することがで
きる。また、吸い上げ管の上部近傍に設けられた水位検
出センサを備えることが望ましい。これにより、吸い上
げ管の内部が十分に水で満たされたか否かを容易かつ確
実に判断することができる。
【0017】また、水位検出センサは、吸い上げ管の内
部に導入された水に浮くフロート部材を有しており、こ
のフロート部材により、吸い上げ管の上部であって空気
抜き機構に連通する開口部を、吸い上げ管の内部が水で
満たされたときに閉塞することが望ましい。水に浮くフ
ロート部材を用いることにより、簡単な構成で吸い上げ
管の内部の水位を検出することができる。また、フロー
ト部材を用いて空気抜き機構に連通する開口部を閉塞す
るにより、吸い上げ管の内部が水で満たされた後に空気
抜き機構を通して空気が進入するすることを防ぐことが
できる。特に、水位を検出するためのフロート部材を流
用して開口部を閉塞しているので、構造を簡略化するこ
とができるという利点がある。
【0018】また、水位検出センサによって吸い上げ管
の内部が水で満たされていることを検出したときにポン
プの動作を停止させるポンプ駆動装置を備えることが望
ましい。これにより、吸い上げ管の内部が水で満たされ
たタイミングで自動的にポンプの動作が停止するので、
ポンプの動作を手動で停止させる場合に比べて操作性を
向上させることができる。また、吸い上げ管の内部が水
で満たされている状態でポンプが動作し続けることがな
くなるので、ポンプの故障や吸い上げ管等の破損を防ぐ
ことができる。
【0019】また、電力を供給することにより上述した
発電機を電動機として動作させる発電機駆動装置をさら
に備えておいて、発電機によって反動水車を回転させる
ことにより、吸い上げ管の内部に負圧を発生させ、吸い
上げ管の内部に水を導入するようにしてもよい。この場
合には、ポンプや開閉バルブなどが不要となり、水力発
電システム全体の構成を簡略化することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した一実施形
態の水力発電システムについて、図面を参照しながら説
明する。 〔第1の実施形態〕図1は、第1の実施形態の水力発電
システムの構成を示す図である。同図に示す水力発電シ
ステムは、フレキシブルパイプ1、変換装置2、発電機
3、開閉バルブ4、5、ポンプ6、ホース7、ポンプ駆
動装置8、導水バルブ9、水位検出センサ10、空気抜
き機構12を含んで構成されている。
【0021】フレキシブルパイプ1は、その形状を自在
に変形可能なパイプ部材であり、例えば、図1に示すよ
うに略S字状に形成されている。このフレキシブルパイ
プ1が吸い上げ管に対応しており、フレキシブルパイプ
1の一方の口(以下、「取水口」と称する)を貯水池9
0に浸水させて、他方の口(以下、「排水口」と称す
る)を取水口よりも低い位置に配置し、フレキシブルパ
イプ1内に水を満たすことにより、いわゆるサイホンの
作用(以下、「サイホン作用」と呼ぶ)を生じさせて、
高所(取水口)から低所(排水口)へと水を導くことが
できる。なお、サイホン作用を生じさせる際の動作手順
の詳細については後述する。
【0022】変換装置2は、フレキシブルパイプ1の排
水口近傍の所定位置に設置されており、内部に備えてい
るプロペラ水車20により、フレキシブルパイプ1内に
生じる水流を回転運動に変換する。なお、変換装置2に
備える水車は、基本的には反動水車に分類されるもので
あればよく、上述したプロペラ水車20以外にも、フラ
ンシス水車等の水車を採用することもできる。発電機3
は、変換装置2によって得られる回転運動を利用して発
電を行う。
【0023】開閉バルブ4、5は、開閉自在な弁であ
り、フレキシブルパイプ1の両端に設けられている。具
体的には、開閉バルブ4は、フレキシブルパイプ1の取
水口に設けられており、開閉バルブ5は、フレキシブル
パイプ1の排水口に設けられている。これらの開閉バル
ブ4、5を閉状態とすることにより、フレキシブルパイ
プ1の内部を密閉状態にすることができる。
【0024】ポンプ6は、発電動作の開始前に、フレキ
シブルパイプ1内を水で満たすために用いられるもので
あり、貯水池90から吸引した水をホース7を介してフ
レキシブルパイプ1の内部へ送り出す。ポンプ駆動装置
8は、図示しないバッテリ等の電源から電力を得てポン
プ6を駆動する。
【0025】導水バルブ9は、開閉自在な弁であり、図
1に示すように、ホース7とフレキシブルパイプ1との
接続位置に設けられている。この導水バルブ9は、ポン
プ6によって水の吸引動作が行われる際に開状態とさ
れ、それ以外の場合には閉状態とされる。
【0026】水位検出センサ10は、所定の連結部材を
介して連結されたフロート部材11を備えており、この
フロート部材11の上下方向の位置の変動に基づいてフ
レキシブルパイプ1内の水位を検出し、水位が最高位と
なった場合に所定の検出音を出力する。また、水位が最
高位となった場合に、水位検出センサ10は、ポンプ駆
動装置8にその旨を通知する信号を出力する。この通知
を受け取った場合には、ポンプ駆動装置8は、ポンプ6
の駆動を停止する。
【0027】フロート部材11は、水に浮く材料を用い
て形成されており、フレキシブルパイプ1の内部であっ
て、上下方向の最高位置近傍の所定位置に設置されてい
る。このフロート部材11は、フレキシブルパイプ1内
の水位の変動に応じてその上下方向の位置が変動し、フ
レキシブルパイプ1内がほぼ水で満たされるとその上下
方向の位置が可動範囲内でほぼ上限まで達するようにな
っている。
【0028】空気抜き機構12は、フレキシブルパイプ
1内を水で満たす際に、元々フレキシブルパイプ1内に
あった空気を外部へ排出するための機構である。また、
この空気抜き機構12を利用して、上述したフロート部
材11と水位検出センサ10を連結するための連結部材
が通されている。
【0029】また、フレキシブルパイプ1内がほぼ水で
満たされた場合に、空気抜き機構12とフレキシブルパ
イプ1の上部を連通する開口部13は、フロート部材1
1によって塞がれるようになっている。これにより、フ
レキシブルパイプ1の内部が水で満たされた後にこの開
口部13を通して空気が吸入されることを防ぐことがで
きる。
【0030】本実施形態の水力発電システムはこのよう
な構成を有しており、次にその動作を説明する。上述し
たように、本実施形態の水力発電システムは、サイホン
作用を利用して高所にある貯水池90の水を低所へと導
き、このときに生じる水流を利用して発電を行ってい
る。
【0031】初めに、発電開始時の準備作業について説
明する。図2は、第1の実施形態における発電開始時の
準備作業について説明する図である。以下、準備作業の
手順を順に説明する。 (1)開閉バルブ4および5をそれぞれ閉状態にする。 (2)導水バルブ9を開状態にする。 (3)ポンプ駆動装置8によりポンプ6を駆動し、フレ
キシブルパイプ1内に水を導く。これにより、図2に示
すようにフレキシブルパイプ1内が水で満たされてい
く。この際に、図2に示すように、フレキシブルパイプ
1内の空気は、空気抜き機構12を通って外部に排出さ
れる。 (4)フレキシブルパイプ1内の水位がほぼ最高位とな
ると、フロート部材11が水に浮くことによって開口部
13が塞がれる。また、水位検出センサ10から所定の
検出音が出力されるとともに、ポンプ駆動装置8による
ポンプ6の駆動動作が停止する。 (5)導水バルブ9を閉状態にする。
【0032】以上の手順により、フレキシブルパイプ1
内が水で満たされ、発電開始時の準備作業が完了する。
次に、上述した発電開始時の準備作業が完了した後に行
われる発電動作について説明する。図3は、第1の実施
形態における発電動作について説明する図である。以
下、発電動作の手順を順に説明する。 (1)開閉バルブ4を開状態にし、その後に開閉バルブ
5を開状態にする。 (2)開閉バルブ4および5を開状態とすることで、サ
イホン作用によって、フレキシブルパイプ1内において
取水口から排水口に向かう水流が生じる。 (3)フレキシブルパイプ1内の水流が変換装置2によ
って回転運動に変換される。 (4)変換装置2によって得られた回転運動によって発
電機3が駆動されて発電が行われる。
【0033】このように、第1の実施形態の水力発電シ
ステムは、フレキシブルパイプ1を用いて、高所にある
貯水池90の水を低所へと導き、このときに生じる水流
を利用して発電を行っているので、身近に存在する水の
位置エネルギーを利用して、小規模な施設で発電を行う
ことができる。特に、本実施形態では、反動水車に属す
るプロペラ水車20を採用しているので、フレキシブル
パイプ1の取水口の水位と排水口の水位の差、すわなち
水流の落差をそれほど大きく取れない場合であっても、
発電を行うことができる。具体的には、プロペラ水車2
0を採用した場合には、数m程度の落差が確保できれば
発電が可能である。
【0034】なお、本実施形態(後述する第2、第3の
実施形態も同様)では、貯水池90から水を取得してい
たが、水を取得する場所は貯水池に限定されるものでな
く、例えば、河川等から取得してもよい。 〔第2の実施形態〕ところで、上述した第1の実施形態
では、サイホン作用を生じさせるための準備作業として
フレキシブルパイプ1内を水で満たす際には、ポンプ6
等を用いてフレキシブルパイプ1内に水を導いていた
が、フレキシブルパイプ1の内部に負圧を発生させるこ
とにより、取水口からフレキシブルパイプ1内に水を導
いて、サイホン作用を生じさせるようにしてもよい。
【0035】図4は、第2の実施形態の水力発電システ
ムの構成を示す図である。同図に示す水力発電システム
は、フレキシブルパイプ1、変換装置2a、発電機3
a、発電機駆動装置14を含んで構成されている。な
お、図4では、上述した図1等に示した第1の実施形態
における水力発電システムと同じ構成要素については同
じ符号が付されており、これらの構成要素については詳
細な説明を省略する。
【0036】変換装置2aは、上述した第1の実施形態
における変換装置2と同様に、フレキシブルパイプ1の
排水口近傍の所定位置に設置されており、内部に備えて
いるプロペラ形ポンプ水車21により、フレキシブルパ
イプ1内の水流を回転運動に変換する。また、本実施形
態におけるプロペラ形ポンプ水車21は、発電時と同方
向に回転させることによりポンプ機能を実現できるよう
な構造を有している。なお、変換装置2aに備えるポン
プ水車は、上述したプロペラ形ポンプ水車21以外に
も、フランシス形等のポンプ水車を採用してもよい。
【0037】発電機3aは、変換装置2aによって得ら
れる回転運動を利用して発電を行う。また、発電機3a
は、電力を供給することにより回転運動を生じる電動機
としての機能を兼ね備えている。本実施形態では、この
発電機3aを電動機として動作させた場合に生じる駆動
力が上述したプロペラ形ポンプ水車21に伝達され、プ
ロペラ形ポンプ水車21が発電時と同方向に回転するよ
うに構成されている。
【0038】発電機駆動装置14は、発電機3aを電動
機として動作させる場合に駆動電力を発電機3aに供給
する。本実施形態の水力発電システムはこのような構成
を有しており、次にその動作を説明する。図5は、第2
の実施形態における発電動作について説明する図であ
る。以下、発電動作の手順を順に説明する。 (1)発電機駆動装置14により、発電機3aを電動機
として動作させ、変換装置2a内のプロペラ形ポンプ水
車21を回転させる。 (2)プロペラ形ポンプ水車21が回転することによ
り、ポンプ機能が実現され、フレキシブルパイプ1の内
部、具体的には、変換装置2aから取水口近傍までの間
の空気が吸引されて排水口から排出される。これによ
り、フレキシブルパイプ1内に負圧が発生する。 (3)フレキシブルパイプ1内が負圧となることによ
り、取水口から水が吸引され、図5に示すように、取水
口から排水口へと向かう水流が生じる。 (4)フレキシブルパイプ1内がほぼ水で満たされる
と、サイホン作用が生じて、取水口から排水口へと向か
う水流が生じている状態が維持される。 (5)水流が生じたら、発電機3aの電動機としての動
作を停止し、発電機として動作させる。 (6)フレキシブルパイプ1内の水流が変換装置2aに
よって回転運動に変換される。 (7)変換装置2aによって得られた回転運動に基づい
て、発電機3aにより発電が行われる。なお。発電時の
動作状態については、上述した図3に示す第1の実施形
態の場合と同様である。
【0039】このように、第2の実施形態の水力発電シ
ステムでは、電動機としての機能を兼ね備えた発電機3
aを発電機駆動装置14により駆動してプロペラ形ポン
プ水車21を回転させることにより、フレキシブルパイ
プ1の内部に負圧を発生させてフレキシブルパイプ1内
に水を導入しているので、上述した第1の実施形態と比
べて、ポンプ6、ホース7、ポンプ駆動装置8、導水バ
ルブ9が不要となり、水力発電システム全体の構成を簡
略化することができる。
【0040】〔第3の実施形態〕ところで、上述した第
1の実施形態では、プロペラ水車20等の反動水車を採
用した変換装置2を用いて水流を回転運動に変換してい
たが、ペルトン水車等の衝動水車を採用してもよい。
【0041】図6は、第3の実施形態の水力発電システ
ムの構成を示す図である。同図に示す水力発電システム
は、フレキシブルパイプ1、変換装置2b、発電機3、
開閉バルブ4、5、ポンプ6、ホース7、ポンプ駆動装
置8、導水バルブ9、水位検出センサ10、空気抜き機
構12、噴射部材15を含んで構成されている。なお、
図6では、上述した図1等に示した第1の実施形態にお
ける水力発電システムと同じ構成要素については同じ符
号が付されており、これらの構成要素については詳細な
説明を省略する。
【0042】フレキシブルパイプ1は、上述したように
その形状を自在に変形可能なパイプ部材であり、本実施
形態では、図6に示すように略U字状に形成されてい
る。変換装置2bは、開閉バルブ5に接続された噴射部
材15の近傍の所定位置に設置されており、内部に備え
ているペルトン水車22によって、噴射部材15から噴
射される水の衝撃力を回転運動に変換する。なお、変換
装置2bに備える水車は、基本的には衝動水車に分類さ
れるものであればよく、上述したペルトン水車22以外
の水車を採用してもよい。
【0043】噴射部材15は、フレキシブルパイプ1の
排水口に設置された開閉バルブ5と接続されており、フ
レキシブルパイプ1から排出される水の速度を増加させ
て変換装置2b内のペルトン水車22に設けられている
パケットに向けて噴射する。この噴射部材15は、一方
の口から他方の口へ向かって横断面積を減少させるよう
に形成されており、これにより、水の速度を増加させる
ことができる。
【0044】本実施形態の水力発電システムはこのよう
な構成を有しており、次にその動作を説明する。本実施
形態の水力発電システムの動作は、基本的には、上述し
た第1の実施形態で説明した水力発電システムの動作と
同様であるため、ここでは簡略化して説明を行う。
【0045】図7は、第3の実施形態における発電開始
時の準備作業について説明する図である。同図に示すよ
うに、第1の実施形態の場合と同様な手順で、開閉バル
ブ4および5をそれぞれ閉状態にし、ポンプ6によりフ
レキシブルパイプ1内に水を導いてフレキシブルパイプ
1内をほぼ水で満たすことにより、発電開始時の準備作
業が完了する。
【0046】図8は、第3の実施形態における発電動作
について説明する図である。以下、発電動作の手順を順
に説明する。 (1)開閉バルブ4を開状態にし、その後に開閉バルブ
5を開状態にする。この結果、サイホン作用によってフ
レキシブルパイプ1内で取水口から排水口に向かう水流
が生じる。 (2)開閉バルブ5から排出される水は、噴射部材15
によりその速度が増加され、変換装置2b内のペルトン
水車22に向けて噴射される。 (3)噴射部材15から噴射された水の衝撃力が変換装
置2b内のペルトン水車22により回転運動に変換され
る。 (4)変換装置2bによって得られた回転運動に基づい
て、発電機3により発電が行われる このように、第3の実施形態の水力発電システムでは、
衝動水車に属するペルトン水車22を採用しているの
で、フレキシブルパイプ1の取水口の水位と排水口の水
位の差、すわなち水流の落差を比較的に大きく取れる場
合には、反動水車を採用した場合に比較して効率よく発
電を行うことができる。
【0047】なお、本発明は上述した各実施形態に限定
されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種
々の変形実施が可能である。例えば、上述した各実施形
態では、水を取得する場所として、貯水池や河川等を想
定していたが、これら以外の水源として滝を利用しても
よい。なお、滝を利用する場合には、形状を自在に変形
可能なフレキシブルパイプ1の利点を活かして、滝の水
流を直接、フレキシブルパイプ1内に導入して発電を行
うこともできる。
【0048】また、上述した各実施形態では、1本のパ
イプ部材からなるフレキシブルパイプ1を用いて導水路
を確保していたが、比較的に短め(例えば、数m程度)
の長さを有するフレキシブルパイプを複数用意してお
き、これら複数のフレキシブルパイプを連結して導水路
を確保するようにしてもよい。
【0049】図9は、複数のフレキシブルパイプを連結
して導水路を確保する変形例について具体的に説明する
図である。なお、同図では、一例として上述した第3の
実施形態を変形実施した場合が説明されているが、第1
および第2の実施形態を変形実施することもできる。
【0050】図9では、導水バルブ9、空気抜き機構1
2等が設置されたボックス1aと、所定長さを有する4
つのフレキシブルパイプ1b、1c、1d、1eのそれ
ぞれが連結されており、これらにより1本の導水路が形
成されている。具体的には、ボックス1aの両端、フレ
キシブルパイプ1bの一方端、フレキシブルパイプ1c
〜1eの両端のそれぞれには、相互に連結可能な所定の
コネクタ部30がそれぞれ設けられている。そして、各
コネクタ部30を用いて、フレキシブルパイプ1bの他
方端とボックス1aの一方端、ボックス1aの他方端と
フレキシブルパイプ1cの一方端、フレキシブルパイプ
1cの他方端とフレキシブルパイプ1dの一方端、フレ
キシブルパイプ1dの他方端とフレキシブルパイプ1e
の一方端、のそれぞれが連結されている。また、フレキ
シブルパイプ1bの一方端は、取水口バルブ4と接続さ
れ、所定の水源に設置されている。このように、複数の
フレキシブルパイプを連結する場合には、連結するフレ
キシブルパイプの数を増減することにより、導水路の全
長を自在に調整することができるので、水力発電システ
ムを設置する場所の自由度がさらに大きくなる利点があ
る。
【0051】また、上述した第3の実施形態では、説明
を簡略化するために、変換装置2b内のペルトン水車2
2に設けられているパケットに向けて水を噴射するため
の噴射部材15は、水の噴射口を1つだけ備えているも
のとして説明を行っていたが、実際には、図9に示す噴
射部材15aのように、2つまたはそれ以上の噴射口を
備えていることが好ましい。
【0052】図9に示す噴射部材15aは、2つの噴射
口を備えている。また、噴射部材15aは、コネクタ部
30を備えており、フレキシブルパイプ1eの他方端と
噴射部材15aとは、コネクタ部30を用いて連結され
ている。また、噴射部材15aに備えられた2つの噴射
口の近傍には、それぞれ噴射バルブ32が設置されてお
り、これらの噴射バルブ32により、水の噴射量や速度
が調整できるようになっている。このように、2つ以上
の噴射口を備えた場合には、水車の速度調整などを行い
やすくなる利点がある。
【0053】また、各噴射バルブ32は、上述した各実
施形態における排水口バルブ5が行っていた機能を兼ね
ており、各噴射バルブ32および取水口バルブ4をそれ
ぞれ閉状態とすることにより、フレキシブルパイプ1a
〜1eを連結して構成された導水路の内部を密閉するこ
とができる。また、密閉した導水路の内部を水で満た
し、取水口バルブ4を開状態にした後に、各噴射バルブ
32を開状態とすることにより、サイホン作用を生じさ
せることができる。
【0054】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、吸い
上げ管を用いることで、いわゆるサイホンの作用を生じ
させて高所から低所へと水を導き、この吸い上げ管によ
って生じる水の流れを変換装置によって回転運動に変換
し、この回転運動を利用して発電機により発電を行って
いるので、身近に存在する貯水池等の水が有する位置エ
ネルギーを利用して、小規模な施設で発電を行うことが
できる。また、吸い上げ管を形状が変形自在なパイプ部
材によって形成しているので、水の存在する場所および
その周囲の状況に臨機応変に対応して、取水口や排水口
の位置等、吸い上げ管の設置状態を調整して発電を行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の水力発電システムの構成を示
す図である。
【図2】第1の実施形態における発電開始時の準備作業
について説明する図である。
【図3】第1の実施形態における発電動作について説明
する図である。
【図4】第2の実施形態の水力発電システムの構成を示
す図である。
【図5】第2の実施形態における発電動作について説明
する図である。
【図6】第3の実施形態の水力発電システムの構成を示
す図である。
【図7】第3の実施形態における発電開始時の準備作業
について説明する図である。
【図8】第3の実施形態における発電動作について説明
する図である。
【図9】複数のフレキシブルパイプを連結して導水路を
確保する変形例について具体的に説明する図である。
【符号の説明】
1 フレキシブルパイプ 2、2a、2b 変換装置 3 発電機 4、5 開閉バルブ 6 ポンプ 7 ホース 8 ポンプ駆動装置 9 導水バルブ 10 水位検出センサ 11 フロート部材 12 空気抜き機構 13 開口部 14 発電機駆動装置 15 噴射部材 20 プロペラ水車 21 プロペラ形ポンプ水車 22 ペルトン水車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H072 AA03 AA06 BB33 BB40 CC71 CC74 3H074 AA10 AA12 BB12 BB19 CC28 CC32 CC38 CC39 3H079 AA26 BB10 CC03 CC19 DD33

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高所の水を低所に導く吸い上げ管と、 前記吸い上げ管によって生じる水の流れを回転運動に変
    換する変換装置と、 前記変換装置によって得られた回転運動を利用して発電
    を行う発電機と、 を備えることを特徴とする水力発電システム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記吸い上げ管を形状が変形自在なパイプ部材によって
    形成することを特徴とする水力発電システム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記変換装置は、反動水車を含んで構成されていること
    を特徴とする水力発電システム。
  4. 【請求項4】 請求項1または2において、 前記変換装置は、衝動水車を含んで構成されていること
    を特徴とする水力発電システム。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記吸い上げ管の先端には、横断面積を減少させること
    により形成された噴射部材が取り付けられており、前記
    噴射部材から噴射された水流によって前記衝動水車を回
    転させることを特徴とする水力発電システム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記吸い上げ管の両端に設けられた開閉バルブと、 前記吸い上げ管の内部に水を満たすポンプと、 を備え、前記ポンプを動作させて前記吸い上げ管の内部
    を水で満たした後に前記開閉バルブを開状態にすること
    を特徴とする水力発電システム。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記吸い上げ管の上部近傍に設けられた空気抜き機構を
    備えることを特徴とする水力発電システム。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 前記吸い上げ管の上部近傍に設けられた水位検出センサ
    を備えることを特徴とする水力発電システム。
  9. 【請求項9】 請求項8において、 前記水位検出センサは、前記吸い上げ管の内部に導入さ
    れた水に浮くフロート部材を有しており、 前記フロート部材は、前記吸い上げ管の上部であって前
    記空気抜き機構に連通する開口部を、前記吸い上げ管の
    内部が水で満たされたときに閉塞することを特徴とする
    水力発電システム。
  10. 【請求項10】 請求項8において、 前記水位検出センサによって前記吸い上げ管の内部が水
    で満たされていることを検出したときに前記ポンプの動
    作を停止させるポンプ駆動装置を備えることを特徴とす
    る水力発電システム。
  11. 【請求項11】 請求項3において、 電力を供給することにより前記発電機を電動機として動
    作させる発電機駆動装置を備え、 前記発電機によって前記反動水車を回転させることによ
    り、前記吸い上げ管の内部に負圧を発生させて前記吸い
    上げ管の内部に水を導入することを特徴とする水力発電
    システム。
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