JP2002089205A - 金属硫化物の除去方法及び耐食性被覆部材の形成方法 - Google Patents

金属硫化物の除去方法及び耐食性被覆部材の形成方法

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JP2002089205A JP2000275464A JP2000275464A JP2002089205A JP 2002089205 A JP2002089205 A JP 2002089205A JP 2000275464 A JP2000275464 A JP 2000275464A JP 2000275464 A JP2000275464 A JP 2000275464A JP 2002089205 A JP2002089205 A JP 2002089205A
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武馬 寺谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属部材表面に生成した腐食生成物としての
金属硫化物を除去する金属硫化物の除去方法、及び金属
硫化物を除去した部品を再利用した耐食性被覆部材の形
成方法を提供する。 【解決手段】 金属硫化物が生成された金属製部材を、
600℃〜1200℃の酸化性雰囲気中で、3〜30h
加熱する。金属硫化物が生成された金属製部材を再利用
する場合は、金属硫化物が生成された金属製部材を、6
00℃〜1200℃の酸化性雰囲気中で、3〜30h加
熱して金属硫化物を除去し、表面を清浄化した後、耐高
温硫化被覆を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば硫黄化合物
を含む高温の燃焼ガスに曝露されるガスタービンやジェ
ットエンジン部材等の表面に腐食生成物として形成され
る金属硫化物を除去する金属硫化物の除去方法、及び金
属硫化物を除去した部品を再利用した耐食性被覆部材の
形成方法に関する。本発明は、硫黄化合物を含む化石燃
料の燃焼ガスを熱源とするボイラ、ディーゼルエンジ
ン、熱処理炉、反応炉などで使用されたり、石油の蒸
留、分解ガス、反応ガスを取り扱う石油化学装置などで
使用される耐熱合金、耐熱鋼、ステンレス鋼、低合金
鋼、炭素鋼などの表面に生成される金属硫化物の除去に
も適用可能である。
【0002】
【従来の技術】例えば、ディーゼル、ボイラ、ガスター
ビン及びジェットエンジンなどの原動機関では、熱効率
の向上を目的として精力的な開発研究が進められてい
る。ここで、熱効率の向上は、同時に、構成部材に対す
る過酷な熱負荷の増大を強いる結果ともなっている。従
って、これらの原動機関の高温部に使用される金属材料
としては、使用環境下では高い機械的強度を有すると共
に、耐高温酸化性および耐高温腐食性に優れることが要
求される。特に、V,NaおよびSなどの不純物を含む
燃料を使用する場合には、これらの不純物を含む無機化
合物が高温状態で金属材料を激しく腐食損耗させるの
で、このような環境においても長時間安定した状態を維
持することが必要である。
【0003】このような要求に応えるため、従来から、
Cr,Ni,Mo,Co,W,Ta,AlおよびTiな
どの非鉄金属元素を主成分とする、いわゆる超合金と呼
ばれる耐熱合金類が多数開発されてきた。これらの超合
金類は、高温強度が最優先されるため、強度の向上に役
立たない金属元素の添加は必然的にその割合が低く抑え
られる傾向にある。このような強度の向上に役立たない
金属元素の代表は、Cr,Al,Si等であるが、一方
でこれらの元素は耐酸化性、耐高温腐食性に優れている
ことから、上記のような高温強度を優先した超合金は、
耐酸化性や耐高温腐食性に乏しいのが一般的である。
【0004】このような状況に鑑み、高温環境下で使用
する耐熱合金部材に対しては、予め耐食性を有する金属
元素または複数の金属元素(合金)で表面を被覆するこ
とが実施されている。例えば、Cr,Al,Siのよう
な金属を拡散処理方法によって被覆したり、溶射法によ
って耐熱・耐高温酸化性の合金を被覆したり、さらに耐
熱合金を溶射被覆した後、その上からAlを拡散浸透さ
せるようにしたもの等が種々開発されている。
【0005】発明者らは、石油分解ガスを取り扱うター
ビン動翼の化学的及び物理的損傷(微粉体によるエロー
ジョン損傷)を防止するため、炭化クロムサーメットを
溶射被覆させた技術を提案して、耐食性のみならず耐摩
耗性にも優れた被覆の開発に努めてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、ガスタービン
やジェットエンジンの高温被曝部材(タービン動静翼、
ディスク、燃焼器ライナーなど)には、高温強度に優れ
たNi基超合金、Co基超合金などが一般に使用されて
いるが、これらの合金中には、必ず耐熱金属元素として
Ni,Crが含まれている。これらのNi,Crは、高
温の燃焼ガス中に含まれている硫黄化合物と反応してN
iSx,CrSxなどの耐熱性に乏しい金属硫化物を生
成する。これらの金属硫化物は、合金の結晶粒界を選択
的に浸食しつつ成長するため、タービン動静翼等の寿命
を著しく短命化させ、ときには部材を破損させることが
ある。
【0007】以上の金属硫化物の生成は、タービン動翼
とディスクの嵌合部などのように、非常に高い仕上精度
が要求されるところにも発生するが、このような箇所
は、溶射、拡散浸透処理などによる防食被覆が施工でき
ないため、極めて危険な状態にある。すなわち、このよ
うな部分は、タービンの運転時に大きな遠心応力が負荷
されるため、タービン動翼、ディスク材とも僅かな金属
硫化物の生成、特に結晶粒界における金属硫化物の生成
は大きな破損事故を誘発する原因となる。
【0008】しかしながら、前記従来技術は、そのいず
れもが金属部材と環境を構成するガス成分との間で行わ
れる腐食反応を防止するようにしたものであり、金属部
材表面に腐食反応の結果として生成された金属硫化物の
除去技術や除去後の耐食性付与技術については全く知ら
れていなかった。
【0009】このため、例えばタービン動翼にあって
は、その翼面を耐食性被覆によって保護したとしても、
ディスクとの嵌合部を耐食性被覆によって保護すること
ができず、一定期間の運転後、これを廃却する必要に迫
られるので、大きな経済的負担となっているといった問
題があった。
【0010】本発明は上記に鑑みてなされたものであ
り、金属部材表面に生成された腐食生成物としての金属
硫化物を除去する金属硫化物の除去方法、及び金属硫化
物を除去した部品を再利用した耐食性被覆部材の形成方
法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、金属硫化物が生成された金属製部材を、600℃〜
1200℃の酸化性雰囲気中で、3〜30h加熱するこ
とを特徴とする金属硫化物の除去方法である。金属硫化
物は、NiS,CrSとも酸化性雰囲気下で600
℃以上に加熱するとガス状のSOを発生し、残渣物と
して非常に粗しょうでブラッシングで簡単に除去可能な
NiO,Crを生成する。このため、金属製部材
に生成されていた金属硫化物を完全に除去でき、しかも
金属製部材の形状、寸法変化を伴わないため再利用が可
能となる。
【0012】請求項2に記載の発明は、前記酸化性雰囲
気として、空気、酸素または水蒸気のいずれか、若しく
はこれらを混合したものを使用することを特徴とする請
求項1記載の金属硫化物の除去方法である。
【0013】請求項3に記載の発明は、金属硫化物が生
成された金属製部材を、600℃〜1200℃の酸化性
雰囲気中で、3〜30h加熱して金属硫化物を除去し、
表面を清浄化した後、耐高温硫化被覆を形成することを
特徴とする耐食性被覆部材の形成方法である。これによ
り、良好な密着性を有する耐高温硫化被覆を形成して、
高価な部材の再利用が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】化石燃焼の燃焼ガスや石油分解ガ
ス中に含まれている硫黄化合物の種類は、ガス状のもの
と固体もしくは溶融塩状のものに分けることができる。
ガス状のものとして、SO, SO, HS,COS
などが挙げられ、固体もしくは溶融塩状のものとして、
SO,M,MFe(SO),M
Al(SO)などが挙げられる。ここで、Mは、N
aあるいはKを示す。
【0015】ガス状の硫黄化合物は、高温環境中で金属
成分と反応して固体状の硫黄化合物を生成する原因とな
るほか、金属部材とも直接腐食反応を起こして、その表
面に金属部材成分との硫化物(NiS,CrS) を
生成させる。固体もしくは溶融塩状の硫黄化合物は、も
っぱら金属部材表面に付着して、金属部材表面に生成さ
れている保護性の酸化膜を溶解してその機能を消失させ
るとともに、ここでも金属部材成分の硫化物を生成させ
る。
【0016】このため、例えばタービン動静翼やディス
ク材等にあっては、雰囲気ガス中に僅かな量でも硫黄化
合物が含まれていると、その表面に金属硫化物が生成さ
れる。これらの金属硫化物は、一般に融点が低いため
(例えば、NiとNiの共晶は645℃で溶融状
態を呈する)、硫化反応速度が異常に速くなるととも
に、これが部材の結晶粒界に生成すると、早期に粒界が
剥離して機械強度を消失するため非常に危険な状態にな
る。
【0017】図1は、Ni基合金製のタービン動翼の翼
根部の表面に生成した金属硫化物の断面を電子顕微鏡で
観察した結果を模式的に示すものである。図1におい
て、1は金属硫化物、2は結晶粒界、3は結晶粒子であ
る。図1(a)に示すように、金属硫化物1は、比較的
緻密な状態でタービン動翼の表面に対して平行的に生成
するものもあれば、図1(b)に示すように、ほぼ垂直
に内部へ深く成長するものもあり、また金属粒界を選択
的に浸食しつつ成長するものもある。これらの金属硫化
物は、タービン翼全面に亘って生成する場合もあれば、
局所的に限定して発生する場合もあり、しかも外観上、
目視によって判別できない特徴がある。
【0018】次に、このようにしてタービン翼等の金属
製部材の表面に生成された金属硫化物の除去方法につい
て説明する。この方法は、空気,O,HOなどを含
む酸化性の高温雰囲気中で金属製部材の表面に生成され
た金属硫化物を酸化させて除去する、いわゆる高温酸化
方法を利用したものである。
【0019】つまり、NiSやCrS等の金属硫化
物は、酸化雰囲気中で600℃以上に加熱すると、下記
の反応式で酸化する。 NiS+1・1/2 O→XSO+NiO CrS+1・1/2 O→XSO+CrO
【0020】この酸化によって発生したガス状のSO
は飛散し、NiO,Crが残渣物として金属製部
材の表面に残るが、これらは非常に粗しょうでブラッシ
ングによって簡単に除去することができる。これによ
り、タービン翼にあっては、翼面上に生成された金属硫
化物が、翼面、翼根部とも完全に除去され、しかもター
ビン翼の形状、寸法変化を伴わないため、耐食性表面処
理被覆を施工して再使用が可能となる。
【0021】ここで、酸化性の雰囲気として空気をその
まま利用できるが、水蒸気(HO)やOも利用で
き、さらに炭化水素の燃焼ガス、例えば都市ガス(CH
)の燃焼ガスを利用することができる。この場合、燃
焼ガスの主成分CO,HOは共に酸化力を持ってい
るため、燃焼エネルギーを有効に使用することができ
る。
【0022】高温酸化処理温度は、600℃〜1200
℃の範囲が適当で、処理時間は、3〜30hの範囲が適
当である。600℃より低温では、金属硫化物の除去に
長時間を要し、また1200℃以上の高温では、タービ
ン翼材等の金属製部材の冶金的組織変化が大きくなっ
て、機械的強度の劣化が甚だしくなる欠点がある。
【0023】なお、金属硫化物の除去方法としては、 砥石による研磨、セラミックスや金属などの微粒子
の吹き付けによるブラスト処理を使用した機械的方法、 酸、アルカリなどの薬剤による溶解反応を利用した
化学的方法、 酸あるいはアルカリを含む電解液中で被処理体をア
ノードとして電解除去するようにした電気化学的方法、 高温のHガス中で、金属硫化物を還元する方法
(この場合、例えば、NiS+H→H+Ni
の還元反応で金属硫化物は硫化水素となって揮散す
る)、等が考えられる。
【0024】ここで、の機械的方法は、複雑な形状を
有するタービン翼等の金属製部品の研磨に多大な時間を
必要とするばかりでなく、すでに精密な寸法に仕上げら
れて使用されたタービン翼等をこれ以上研磨することと
なって設計上大きな問題が生じる。またこの方法では、
金属硫化物の生成はもとより除去の確認も不可能であ
り、処理に対する信頼性に乏しい欠点がある。
【0025】の化学的方法は、金属硫化物が酸やアル
カリに溶解することが少ない上、タービン翼等の健全部
をも浸食するおそれがあり、さらに薬剤の使用は作業者
はもちろん環境上も好ましいものではない。の電気化
学的方法も、電解液として薬剤を使用する問題点がある
ほか、複雑な形状を有するタービン翼の表面に均等な電
流を通じさせることが不可能に近く、そのうえ、この方
法でも健全部を溶解させる危険性が大きい。の還元す
る方法は、取り扱い上危険なHガスを使用する欠点が
あるほか、その還元力には限界があり、熱力学的検討及
び実験によって、ガスタービン翼等の表面に生成された
金属硫化物は除去できないことが判った。
【0026】これに対して、本発明の高温酸化方法によ
れば、これらの欠点がなく、タービン翼にあっては、タ
ービン翼の形状、寸法変化を伴うことなく、翼面上に生
成された金属硫化物を完全に除去することができる。
【0027】次に、金属硫化物を除去したタービン翼等
の金属製部材を再利用するには、先ず、全体を軽くブラ
ッシングして清浄化した後、耐高温硫化腐食性及び耐高
温酸化性に優れた被覆を加工する。この加工方法として
は、CrまたはAl拡散浸透法が挙げられる。
【0028】これは、金属Cr粒子、アルミナ、NH
Clなどを含む浸透剤中に金属製部材(金属硫化物を除
去したタービン翼材)を埋没させた後、Hガスまたは
Arガスを流しつつ、800〜1000℃の雰囲気で5
〜20h加熱するようにしたものである。この操作によ
って、金属製部材の全面に亘ってCrが拡散して耐高温
硫化性が向上する。この処理は、NHClの熱分解に
よるHClの生成とCr粉末との反応によるCrCl
ガスの生成を伴う一種の化学蒸着法(ChemicalVapor De
position)であるため、金属硫化物が除去されたタービ
ン翼等の金属製部品上の小さな凹部の中でも微細なCr
粒子が付着する特徴がある。上記の化学反応を具体的に
示すと次の通りである。
【0029】 NHCl→NH+HCl (分解反応) 2HCl+Cr(粒子)→CrCl+H(ハロゲン化クロムの生成反応) CrCl+H→Cr+2HCl (Crの気相析出反応) なお、金属Cr粒子に代えて金属Al,Al-Cr合
金,Al-Ni合金などを用いると金属製部品の表面に
はAlの拡散浸透層が得られる。
【0030】また、このCrまたはAl拡散浸透法の他
に、プラズマ溶射法や高速フレーム溶射法などによっ
て、Ni,Cr,Al,Coなどを含む合金皮膜を形成
したり、電気めっき法によって、金属製部品に良好な密
着性を有するCr,Niなどのめっき皮膜で被覆した
り、空気を除いた後、Arを導入して50〜500hP
aの減圧状態の容器中で、電子ビーム熱源によって耐食
合金を蒸発させ、この金属蒸気を被処理体の表面に付着
させる(Physical Vapor Deposition法) こと等によっ
て、容易に耐食性を有する被覆を形成することができ
る。
【0031】なお、溶射被覆形成後に、その上にCrま
たはAlの拡散処理を施す複合処理や電気めっき皮膜の
上にCrまたはAlの拡散処理を行うようにしても良い
ことは勿論である。
【0032】
【実施例】(実施例1)タービン翼材として使用されて
いるNi基超合金(20%Cr-14%Co-4%Mo-
3%Ti-1.5%Al-残りNi(質量%))から試験
片(寸法:幅10mm×長さ30mm×厚さ3mm)を切り出
した後、これを硫化水素1000ppm・残りNガスの
雰囲気中で850℃×10h加熱することによって、試
験片の全面に亘って金属硫化物層を生成させたものを硫
化物除去用試験片として作製した。
【0033】その後、この試験片を用いてHガス(比
較例1)、空気(実施例1−1)及び水蒸気(実施例1
−2)を流通した500℃〜1250℃の雰囲気中で5
時間加熱した後、試験片表面に生成していた金属硫化物
の存在の有無を光学顕微鏡にて観察した。その結果を表
1に示す。
【表1】 この表1から明らかなように、Hガス中(比較例1)
では、1000℃以上の高温雰囲気において、水素ガス
による還元反応によって若干の金属硫化物の分解が行わ
れているが、完全に除去されていない。これに対し、空
気中(実施例1−1)及び水蒸気中(実施例1−2)で
は、600℃以上の温度でほぼ完全に金属硫化物は除去
され、除去された金属面は、非常に薄い酸化膜は生成す
るものの、試験片全体としては全く異常は認められなか
った。
【0034】以上の結果から、Ni基合金上に生成した
金属硫化物の除去には、水素ガスによる還元反応より、
空気(O)及び水蒸気(HO)による酸化反応を利
用する方が有効であることが判る。
【0035】(実施例2)約600℃の硫化水素を含む
石油分解ガスの中で、3万時間運転したNi基タービン
翼(化学組成:20%Cr-14%Co-4%Mo-3%
Ti-1.5%Al-残りNi(質量%))の翼根部分に
生成している金属硫化物の除去について調査した。この
ような実機翼では、金属硫化物の生成部を目視判定する
ことが難しいため、翼根部を研磨紙によって丁寧に磨い
た後、印画紙に10%HSOを含浸させた紙を貼
り、さらにその上に錫板を置いて陰極とし、印画紙が乾
燥しないように、30分間、HSOを滴下し続けな
がら、翼根部を陽極として直流による電解を行った。そ
の後、印画紙を剥離すると、金属硫化物が存在していた
ところは、金属硫化物の生成に起因してセピア色となる
現象を利用して判定した。
【0036】この実施例では、運転後のタービン翼の翼
根部には、全数、金属硫化物の存在が認められた。この
タービン翼をHガス中で1000℃×16h加熱した
ところ、金属硫化物は全く除去できなかった。これに対
し、空気中1000℃×5h、水蒸気中1000℃×5
hの加熱処理を施したところ、金属硫化物の存在は全く
認められず、完全に除去されていた。念のためタービン
翼を切断して光学顕微鏡によって観察しても、金属硫化
物は発見できなかった。なお、金属硫化物除去後、露出
した金属面及び金属硫化物が生成していない健全部に
は、金属酸化膜の生成が認められたが、全体に薄く、1
0%塩酸によって除去可能であった。
【0037】(実施例3)実施例1で作製した硫化物除
去試験片を用い、そのままの状態(比較例3−1)と金
属硫化物を完全に除去した後に硬質Crめっきにより表
面処理してめっき皮膜を形成した時(実施例3−1a,
3−1b)、同じく、そのままの状態(比較例3−2)
とCr拡散処理により表面処理被覆を形成した時(実施
例3−2a,3−2b)の密着性を調査した。供試表面
処理被覆とその条件は以下の通りである。 (a)硬質Crめっき:めっき液組成(CrO:25
0g/dm,HSO:2.5g/dm)温液53℃、電
流密度15A/dmで8μm厚のCrめっきを析出さ
せた。 (b)Cr拡散処理:Cr粉末30質量%,Al
69質量%,NHCl1質量%の組成を有する浸透剤
中に試験片を埋め込み、950℃×16h、Hガスを
通しつつ処理を行った。
【0038】表面処理後の試験片を切断し、その断面に
ついて光学顕微鏡により観察した。その結果を表2に示
す。
【表2】 この結果から明らかなように、試験片の表面に金属硫化
物層が形成されていると、Crめっき、Cr拡散処理と
も良好な被覆は形成されない。これに対し、金属硫化物
を完全に除去した試験片面には、良好な密着性を示すC
rめっき膜及びCr拡散被覆が形成されることが確認さ
れた。
【0039】(実施例4)各種の金属材料について、実
施例1の場合と同様な硫化物除去用試験片を作製した
後、金属硫化物の除去を行った。供試材料、及び金属硫
化物除去法とその条件は以下の通りである。、 (1)供試材料 (a)Co基合金:26%Cr-11%Ni-7.5%W-
2%Fe-残りCo(質量%) (b)ステンレス鋼:市販SUS304鋼 (c)Fe基耐熱合金:15%Cr-26%Ni-1.3
%Mo-2%Ti-残りFe(質量%) (2)金属硫化物除去法とその条件 空気中で1000℃×10h加熱 以上の条件で加熱した後、試験片を切断し、その断面を
光学顕微鏡で観察したところ、全試験片とも金属硫化物
を除去されていた。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
金属製部品に形成された金属硫化物を完全に除去できる
うえ、金属製部品の強度低下や寸法、形状に変化を与え
ないので、金属製部品を再度使用することができる。ま
た再使用時には、耐高温硫化腐食性を向上させるための
表面処理被覆も容易に形成することができる。
【0041】従って、タービン動静翼やディスクなどに
適用すれば、高価な部材の再使用が可能となり、消耗部
材費の大幅な削減、耐食性の向上による長時間連続運転
が可能となるほか、保守点検費の節減、運転効率の向上
などが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硫黄化合物を含む高温の石油分解ガス中で使用
されていたNi基超合金製タービン動翼の翼根部に生成
している金属硫化物の模式図で、(a)は、金属硫化物
が金属面に対して平行に生成している模式図、(b)
は、金属硫化物が結晶粒界に沿って深く内部へ浸食して
いる模式図である。
【符号の説明】
1 金属硫化物 2 結晶粒界 3 結晶粒子
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // F28F 19/02 501 F28F 19/02 501Z (72)発明者 澤田 茂 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 八鍬 浩 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 原田 良夫 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 寺谷 武馬 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 (72)発明者 三木 猛 千葉県船橋市行田1丁目1番1号 トーカ ロ株式会社東京工場内 Fターム(参考) 3G002 EA05 EA06 4K057 WA20 WB01 WB11 WC01 WD10 WE30 WG01 WG02 WK10 WN06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属硫化物が生成された金属製部材を、
    600℃〜1200℃の酸化性雰囲気中で、3〜30h
    加熱することを特徴とする金属硫化物の除去方法。
  2. 【請求項2】 前記酸化性雰囲気として、空気、酸素ま
    たは水蒸気のいずれか、若しくはこれらを混合したもの
    を使用することを特徴とする請求項1記載の金属硫化物
    の除去方法。
  3. 【請求項3】 金属硫化物が生成された金属製部材を、
    600℃〜1200℃の酸化性雰囲気中で、3〜30h
    加熱して金属硫化物を除去し、表面を清浄化した後、耐
    高温硫化被覆を形成することを特徴とする耐食性被覆部
    材の形成方法。
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JP2013217227A (ja) * 2012-04-05 2013-10-24 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 燃料ガス圧縮機

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