JP2002069584A - 成形性の優れた高強度鋼管およびその製造方法 - Google Patents

成形性の優れた高強度鋼管およびその製造方法

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JP2002069584A
JP2002069584A JP2000268322A JP2000268322A JP2002069584A JP 2002069584 A JP2002069584 A JP 2002069584A JP 2000268322 A JP2000268322 A JP 2000268322A JP 2000268322 A JP2000268322 A JP 2000268322A JP 2002069584 A JP2002069584 A JP 2002069584A
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steel
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strength steel
ferrite
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Nobuhiro Fujita
展弘 藤田
Naoki Yoshinaga
直樹 吉永
Yasuhiro Shinohara
康浩 篠原
Manabu Takahashi
学 高橋
Hitoshi Asahi
均 朝日
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイドロフォーム等の成形性に優れた高強度
鋼管を提供する。 【解決手段】 フェライトの面積率が50%以上であ
り、前記フェライトはアスペクト比が0.5〜3.0
で、平均粒径が10〜100μmで、その標準偏差σが
平均粒径に対して40%超300%以下となること又は
58μm以上の粒が5%以上含まれることを満たす、質
量%でC:0.0005〜0.30%、Si:0.00
1〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、及び必要に
応じて他の元素を含有し、残部が鉄および不可避的不純
物からなり、鋼板1/2板厚での板面の{110}<1
10>〜{111}<110>の方位群のX線ランダム
強度比の平均が2.0以上、{110}<110>及び
{111}<110>のX線ランダム強度比が3.0以
上の1又は2以上を満たすことを特徴とする成形性の優
れた鋼管。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の足
廻り、メンバーなどに用いられる鋼材で特にハイドロフ
ォーム等の成形性に優れた高強度鋼管及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の軽量化ニーズに伴い、鋼板の高
強度化が望まれている。高強度化することで板厚減少に
よる軽量化や衝突時の安全性向上が可能となる。また最
近では、複雑な形状の部位について、高強度鋼の素鋼板
または鋼管からハイドロフォーム法を用いて成形加工す
る試みが行われている。これは、自動車の軽量化や低コ
スト化のニーズに伴い、部品数の減少や溶接フランジ箇
所の削減などを狙ったものである。このように、ハイド
ロフォーム(特開平10−175026号公報参照)な
どの新しい成形加工方法が実際に採用されれば、コスト
の削減や設計の自由度が拡大されるなどの大きなメリッ
トが期待される。
【0003】このようなハイドロフォーム成形のメリッ
トを充分に生かすためには、これらの新しい成形法に適
した材料が必要となる。例えば第50回塑性加工連合講
演大会(1999,447頁)にあるように、ハイドロ
フォーム成形に及ぼすr値の影響が示されている。しか
しここではシミュレーションによる解析が主で、実際の
材料と1対1に対応するものではない。
【0004】また、FISITA World Automotive Congress
2000A420 (於Seoul,June 12-15,2000 )にあるよう
に、結晶粒微細化を活用して高強度高延性化を図った高
加工性鋼管の開発も進められつつある。しかし、細粒化
は厚手系の材料の靱性確保効力が大きいが、比較的低温
での温間加工により細粒化を実現させる点からすると、
ハイドロフォーム等の成形に重要なn値が低くなってし
まうことや、成形性の指標である平均r値を向上させる
結果には至らない事が懸念される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、ハイド
ロフォーム成形に適した材料開発は実用レベルでは殆ど
行われておらず、既存の高r値鋼板や高延性鋼板がバイ
ドロフォーム成形に使用されつつある。本発明は、材料
の特性値を限定してハイドロフォーム等の成形性に優れ
た鋼管を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、ハイドロフォ
ーム等の成形性に優れた材料の金属組織並びに集合組織
およびその制御方法を見出だし、これを限定することで
ハイドロフォーム等の成形性に優れた高強度鋼管を提供
するものである。
【0007】即ち、本発明の要旨とするところは次の通
りである。 (1) フェライトの面積率が50%以上であり、前記
フェライトはアスペクト比が0.5〜3.0で、平均粒
径が10〜100μmで、標準偏差σが平均粒径に対し
て40%超300%以下であることを特徴とする成形性
の優れた高強度鋼管。 (2) フェライトの面積率が50%以上であり、前記
フェライトはアスペクト比が0.5〜3.0で、その粒
径分布において58μm以上の粒が5%以上となること
を特徴とする成形性の優れた高強度鋼管。 (3) 質量%で、C :0.0005〜0.30%、
Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0
%、 N :0.0001〜0.05%を含有し、
残部が鉄および不可避的不純物からなり、 鋼板1/2板厚での板面の{110}<110>〜
{111}<110>の方位群のX線ランダム強度比の
平均が2.0以上、 鋼板1/2板厚での板面の{110}<110>のX
線ランダム強度比が3.0以上、 鋼板1/2板厚での板面の{111}<110>のX
線ランダム強度比が3.0以上、のいずれか1項目以上
を満たすことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載
の成形性の優れた高強度鋼管。 (4) 鋼中に、さらにAl,ZrおよびMgの1種ま
たは2種以上を合計で0.0001〜0.5質量%含む
ことを特徴とする前記(3)記載の成形性の優れた高強
度鋼管。 (5) 鋼中に、さらにTi,VおよびNbの1種また
は2種以上を合計で0.001〜0.5質量%以下含む
ことを特徴とする前記(3)又は(4)記載の成形性の
優れた高強度鋼管。 (6) 鋼中に、さらにPを0.001〜0.20質量
%含むことを特徴とする前記(3)〜(5)のいずれか
1項に記載の成形性の優れた高強度鋼管。 (7) 鋼中に、さらにBを0.0001〜0.01質
量%含むことを特徴とする前記(3)〜(6)のいずれ
か1項に記載の成形性の優れた高強度鋼管。 (8)鋼中に、さらにCr,Cu,Ni,Co,Wおよ
びMoの1種または2種以上を合計で0.001〜5.0
質量%含むことを特徴とする前記(3)〜(7)のいず
れか1項に記載の成形性の優れた高強度鋼管。 (9) 鋼中に、さらにCaおよび希土類元素の1種ま
たは2種を合計で0.0001〜0.5質量%含むこと
を特徴とする前記(3)〜(8)のいずれか1項に記載
の成形性の優れた高強度鋼管。 (10) 前記(1)〜(9)の何れか1項に記載の成
形加工性に優れた鋼管を製造するに当たり、母管を造管
後、Ac3 変態点−50℃以上Ac3 変態点+200℃
以下に加熱し、700℃以上で縮径率が25%以上70
%以下となる縮径加工を行うことを特徴とする成形性の
優れた鋼管の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 フェライトの面積率:50%未満であると延性が著しく
低下するため、これを下限とした。良好な強度・延性バ
ランスを得るには80%以上が望ましい。フェライトの
面積率の上限は特に定める必要はなく、100%でも良
い。一方、鋼の高強度化を図るために炭化物,窒化物や
パーライト、残留オーステナイト、マルテンサイト、ベ
イナイトなどの強化相を1種又は2種以上を強度レベル
に合わせて50%未満含んでも良い。
【0009】フェライトのアスペクト比:n値の低下を
できるだけ抑制するためフェライト中の転位密度を極端
に高めない目的から、アスペクト比を0.5〜3.0と
した。また、ここでいうアスペクト比は、圧延方向に平
行な断面および垂直な断面共にこの範囲を満たすことと
し、アスペクト比は光学顕微鏡組織において、同一長さ
の線分が板厚方向と圧延方向に平行または垂直方向に横
切ったときの、フェライト粒界の交わる回数の比で示す
事が出来、板厚方向で交わる粒界数を圧延方向に平行ま
たは垂直方向で交わる粒界数で除することで求められる
ものとする。
【0010】フェライトの平均粒径:平均粒径は鋼管の
成形性を確保する上で重要で、10〜100μmで標準
偏差σが平均粒径に対して40%超300%以下である
と、特にハイドロフォーム成形に優れる。10μmより
も小さな平均粒径であったり、その標準偏差が平均粒径
の40%以下であると、n値またはr値の低下が懸念さ
れるためこれを下限とした。また、平均粒径が100μ
mを超えたり、その標準偏差が平均粒径の300%を超
えると、加工時の表面肌荒れ懸念や材質の異方性が拡大
する事の懸念のため、これらを上限とした。
【0011】フェライト粒の分布:成形性の確保から粒
径分布において、58μm以上の粒が5%以上の場合に
もハイドロフォーム等の成形性に優れるため、これを条
件とした。
【0012】ここで、フェライト粒径やアスペクト比を
測定するにあたり、粒界を明確化する必要がある。観察
断面を数μmの研磨用ダイヤモンド又はバフ研磨で仕上
げて、炭素量の比較的高い鋼種については、2〜5%ナ
イタール液を用いて、極低炭素鋼(例えばIF鋼)につ
いては、特殊エッチング液:SULC−Gを用いて、そ
れぞれフェライト粒界を明確に出現させる事とする。特
殊エッチング液は、以下の方法で作成する。水100m
lにドデシルベンゼンスルホン酸:2〜10g、蓚酸:
0.1〜1g、ピクリン酸:1〜5gを溶かしたのち、
6Nの塩酸:2〜3mlを加えることで作製できる。
【0013】これらの手法を用いて得られる組織には、
フェライト粒界やそのサブグレインの一部も出現するこ
とがある。ここで言うフェライト粒界とは、これらの一
部出現したサブグレインのような界面も含めて、上記の
試料調整により光学顕微鏡により可視化された界面を示
し、粒径およびアスペクト比を測定するものとする。こ
こで、フェライト粒径は、100〜500倍の20視野
以上の画像解析により測定を行い、粒径及びその粒径の
分布を求めた。光学顕微鏡試料は上記手法でエッチング
して、画像解析した。100〜1000倍の光学顕微鏡
にて20視野以上の観察を行い、各粒径については円相
当径を画像解析により求めて、粒径分布も合わせて測定
した。
【0014】フェライトの平均粒径は、上記により求め
た個々のフェライト粒径の単純平均と定義する。又、標
準偏差は最低でも20視野から得ることとし、それぞれ
の視野に於ける平均粒径で除して百分率(%)で示す。
また、アスペクト比については、圧延方向と平行な線分
と同じ長さの垂直方向の線分とに交わる各フェライト粒
界の数の比で示す事が出来、板厚方向で交わる粒界数を
圧延方向に平行または垂直方向で交わる粒界数で除する
ことで求めた。
【0015】以下に、前記(3)の発明の限定理由につ
いて説明する。以下の説明において、成分含有量は質量
%である。 C:Cは高強度化に有効で、0.0005%以上の添加
とするが、集合組織を制御する上では多量添加は好まし
くなく、上限を0.30%とした。
【0016】Si:Siは強化元素であり、脱酸元素で
もあることから下限を0.001%とし、過剰添加はメ
ッキのぬれ性や加工性の劣化を招くため、上限を2.0
%とした。
【0017】Mn:Mnは高強度化に有効な元素である
ため、下限を0.01%とした。また過剰添加は延性の
低下を招くため、上限を3.0%ととした。
【0018】N:Nは高強度化に有効で0.0001%
以上の添加とするが、溶接欠陥制御の点で多量添加は好
ましいものではなく、上限を0.05%とした。
【0019】鋼板1/2板厚での板面の{110}<1
10>〜{111}<110>の方位群、{110}<
110>および{111}<110>のX線ランダム強
度比:ハイドロフォーム成形を行う上で最も必要な特性
値である。板厚中心位置での板面のX線回折を行い、ラ
ンダム結晶に対する各方位の強度比を求めたときの、
{110}<110>〜{111}<110>の方位群
での平均が2.0以上とした。
【0020】この方位群に含まれる主な方位は、{11
0}<110>、{661}<110>、{441}<
110>、{331}<110>、{221}<110
>、{332}<110>、{443}<110>、
{554}<110>および{111}<110>であ
る。これらの各方位のX線ランダム強度比は、{11
0}極点図よりベクトル法により計算した3次元集合組
織や、{110},{100},{211},{31
0}極点図のうちの複数の極点図を基に級数展開法で計
算した3次元集合組織から求めればよい。例えば、後者
の方法から各結晶方位のX線ランダム強度比を求めるに
は、3次元集合組織のφ2 =45度断面における(110)
[1 -1 0] 、(661)[1 -1 0] 、(441)[1 -1 0] 、(331)[1
-1 0] 、(221)[1 -1 0] 、(332)[1 -1 0] 、(443)[1 -
1 0] 、(554)[1 -1 0] および(111)[1 -1 0] 強度で代
表させられる。
【0021】{110}<110>〜{111}<11
0>方位群の平均X線ランダム強度比とは、上記の各方
位の相加平均である。上記方位のすべての強度が得られ
ない場合には、{110}<110>、{441}<1
10>、{221}<110>の方位の相加平均で代替
してもよい。中でも、{110}<110>または{1
11}<110>は重要であり、この方位のX線ランダ
ム強度比が3.0以上であることが特に望ましい。
【0022】{110}<110>〜{111}<11
0>方位群の平均強度比が2.0以上で、かつ{11
0}<110>および{111}<110>の強度比が
3.0以上であれば、特にハイドロフォーム用鋼管とし
て更に好適であることは言うまでもない。また、成形困
難な場合には上記方位群の平均強度比が3.5以上であ
ること、{110}<110>または{111}<11
0>の強度比が5.0以上であることのうち、少なくと
も1つを満たす事が望ましい。
【0023】鋼管のX線回折を行う場合には、鋼管から
弧状試験片を切り出し、これをプレスして平板としX線
解析を行う。また、弧状試験片から平板とするときは、
試験片加工による結晶回転の影響を避けるため極力低歪
みで行うものとし、加えられる歪み量の上限を10%以
下で行うこととした。このようにして得られた板状の試
料について、機械研磨によって所定の板厚まで減厚した
後、化学研磨などによって歪みを除去すると同時に、板
厚中心層が側面となるように調整する。
【0024】なお、鋼板の板厚中心層に偏析帯が認めら
れる場合には、板厚の3/8〜5/8の範囲で偏析帯の
ない場所について測定すればよい。また、偏析帯が認め
られない場合においても、板厚1/2の板面以外の板
面、例えば3/8〜5/8で、本願請求項に記載した集
合組織が得られてもよい。なお{hk1}<uvw>と
は、上述の方法でX線用試料を採収したとき、板面に垂
直な結晶方位が{hk1}で、鋼管の長手方向が<uv
w>であることを意味する。
【0025】以下に、前記(4)〜(9)の発明の成分
限定理由について説明する。 Al,Zr,Mg:脱酸元素である。また、Alは特に
箱焼鈍を行う場合には成形性向上に寄与する。一方過剰
添加は酸化物、硫化物や窒化物の多量晶出・析出を招き
清浄度が劣化して、延性を低下させてしまう上、過剰添
加はメッキ性を著しく損なう。したがって、必要に応じ
てこれらの1種または2種以上を合計で0.0001〜
を0.50%とした。
【0026】Nb,Ti,V:必要に応じて添加するN
b,Ti,Vは、合計で0.001%の添加で炭化物、
窒化物もしくは炭窒化物を形成することによって鋼材を
高強度化する事ができるが、その合計が0.5%を超え
た場合には、母相であるフェライト粒内もしくは粒界に
多量の炭化物、窒化物もしくは炭窒化物として析出し
て、延性を低下させることから、添加範囲を0.001
〜0.5%とした。
【0027】P:Pは高強度化に有効な元素であるが、
溶接性や鋳片の耐置き割れ性の劣化や疲労特性、靱性の
劣化を招くことから、必要に応じて添加することとし、
その範囲を0.001〜0.20%の範囲とした。
【0028】B:必要に応じて添加するBは、粒界の強
化や鋼材の高強度化に有効であるが、その添加量が0.
01%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、必
要以上に鋼板強度を上昇させ、加工性も低下させること
から、0.0001〜0.01%とした。
【0029】Ni,Cr,Cu,Co,Mo,W:N
i,Cr,Cu,Co,Mo,Wは強化元素であり、必
要に応じて合計で0.001%以上の添加とした。ま
た、過剰の添加は延性低下を招くことから、合計で5.
0%以下とした。
【0030】Ca、希土類元素(Rem):介在物制御
に有効な元素で、適量添加は熱間加工性を向上させる
が、過剰の添加は逆に熱間脆化を助長させるため、必要
に応じて合計で0.0001〜0.5%の範囲とした。
ここで、希土類元素とは、Y,Srおよびランタノイド
系の元素を指し、工業的には、これらの混合物であるミ
ッシュメタルとして添加することがコスト的に有利であ
る。
【0031】また、不可避的不純物として、O,Sn,
S,Zn,Pb,As,Sbなどをそれぞれ0.01%
以下の範囲で含んでも、本発明の効果を失するものでは
ない。
【0032】次に、前記(10)の発明について説明す
る。さらに、製造するにあたっては、高炉、転炉、電炉
による溶製に続き各種の2次製錬を行い、インゴット鋳
造や連続鋳造を行い、連続鋳造の場合にはそのまま熱間
圧延するなどの製造方法を組み合わせて製造しても何ら
本発明の効果を阻害するものではない。
【0033】また、1050〜1300℃に鋼塊を加熱
して熱間圧延をAr3 変態点−10℃以上Ar3 変態点
十120℃未満で行うことや、熱延時に潤滑圧延を施す
こと、熱延板の巻取り処理を750℃以下で行うこと、
さらには冷間圧延を施すこと、その後に箱焼鈍または連
続焼鈍にて焼鈍を行うなどの造管前の鋼板の製造方法を
組み合わせて製造しても、何ら本発明の効果を阻害する
ものではない。すなわち、造管用の鋼板は熱延板、冷延
板または冷延焼鈍板を用いることができる。さらに、鋼
管製造にあたっては、電縫溶接、TIG,MIG、レー
ザー溶接、UOや鍛接等の溶接・造管手法等を用いるこ
とができる。
【0034】母管製造後、Ac3 変態点―50℃以上A
c3 変態点+200℃以下に加熱し、700℃以上で縮
径率が25%以上70%以下となる縮径加工を行う。加
熱温度がAc3 変態点―50℃より低いと延性低下の原
因となり、Ac3 変態点+200℃より高いと酸化によ
る表面性状劣化のため、上記の範囲に限定する。また、
縮径加工温度が700℃より低いとn値が低下するた
め、上記の範囲に限定する。縮径加工温度の上限は特に
制限しないが、酸化による表面性状劣化のため、880
℃以下とすることが好ましい。また、縮径率は25%よ
り小さいと成形性向上効果が小さく、70%を超えると
延性劣化や表面性状の劣化が懸念されるので、上記の範
囲に限定する。縮径率とは、母管の外径で製品の外径を
除して1から差し引いた値とし、加工により縮径した量
を意味する。
【0035】これらの溶接鋼管製造に於いて、溶接熱影
響部は必要とする特性に応じて局部的な固溶化熱処理を
単独あるいは複合して、場合によっては複数回重ねて行
ってもよく、本発明の効果をさらに高める。この熱処理
は溶接部と溶接熱影響部のみに付加することが目的であ
って、製造時にオンラインあるいはオフラインで施行で
きる。また、縮径,または縮径前に均質化熱処を施して
も何ら本発明の効果を阻害しない。また、縮径時に潤滑
を施すことは成形性向上の点で望ましく、特に表層の集
合組織を本願請求項に記載のようなものとして、板厚全
面に{110}<110>および{111}<110>
および/または{110}<110>〜{111}<1
10>への集積度を高めた成形加工性の優れた鋼管を製
造でき、本発明の効果を助長するものである。
【0036】
【実施例】(実施例1)表1(表1−1)に示す成分の
各鋼を、実験室規模で溶製して1200℃に加熱後、熱
間圧延して各鋼の成分と冷却速度で決まるAr3 変態点
−10℃以上Ar3 変態点+120℃未満(概ね900
℃)で熱間圧延を終了し、一部鋼種については冷延後焼
鈍して、2.2mm厚さの熱延または冷延焼鈍板を作製し
た。その後、外径108〜49mmにTIG、レーザーま
たは電縫溶接を用いて造管した後、Ac3 変態点−50
℃以上Ac3 変態点+200℃以下に加熱して、外径7
5〜25mmに縮径して高強度鋼管を作製した。
【0037】ハイドロフォーム成形は、バーストに至る
まで行った。このときの破断部近傍もしくは最大板厚減
少部分の管の、長手方向歪みεφと周方向歪みεθの比
εφ/εθが−0.5±0.2(板厚は減少するためマ
イナスとなる)になる拡管率を求めて、これをハイドロ
フォーム成形性の1指標として評価した。X線解析は、
鋼管から弧状試験片を切り出し、プレスして平板として
行った。また、X線の相対強度はランダム結晶と対比す
ることで求めた。
【0038】表2(表1−2)に、各鋼のフェライトの
面積率、フェライトの平均粒径、フェライトのアスペク
ト比,58μm以上のフェライトの占める面積率、{1
10}<110>〜{111}<110>の方位群、
{110}<110>および{111}<110>のX
線ランダム強度化およびハイドロフォーム成形における
バーストまでの最大拡管率(=バースト時点の最大径/
元管の径)を示す。
【0039】表から明らかなように、本発明鋼A〜Mで
は、フェライトの面積率は50%を超え、整粒と見なさ
れる場合には平均粒径が10μm以上であり、混粒の場
合には平均粒径が58μm以上の粒の占める割合が5%
以上である。また、フェライト粒のアスペクト比も0.
5〜3.0の範囲にある。さらに、{110}<110
>〜{111}<110>の方位群の平均X線ランダム
強度比が2.0以上、{110}<110>および/ま
たは{111}<110>のX線相対強度が3.0以上
となり、拡管率も1.30を超える良好な値を示す。
【0040】一方、比較鋼である高CのCA、高Mgの
CB、高NbのCC、高BのCEおよび高CrのCF
は、整粒の場合には細粒で平均粒径が10μm未満、混
粒の場合には58μm以上の粒の占める割合が5%未満
である。また、{110}<110>および/または
{111}<110>、{110}<110>〜{11
1}<110>の方位群のX線ランダム強度比が低く、
拡管率も低い。また、高PのCDおよび高REMのCG
は、溶接不良が発生してしまい量産設備での造管は難し
いことが判る。
【0041】(実施例2)表1(表1−1)に示す成分
のうち、A,B,E及びCF鋼を、実験室規模で溶製し
て1200℃に加熱後、熱間圧延して各鋼の成分と冷却
速度で決まるAr3 変態点−10℃以上Ar3 変態点+
120℃未満(概ね900℃)で、2.2または7mm
厚さに熱間圧延を終了し、造管用の元板とした。又、一
部については更に冷延後焼鈍して2.2mm厚さの冷延焼
鈍板を作製した。その後、外径108〜49mmに冷間で
電縫又はレーザー溶接を用いて造管した後、表3(表
2)に示す加熱温度及び縮径加工時の温度にて、外径7
5〜25mmに縮径して高強度鋼管を作製した。
【0042】ハイドロフォーム成形は、実施例1と同じ
条件で行った。表3(表2)に各鋼の特性を併せて示
す。各集合組織の方位群の強度や平均フェライト粒径お
よび標準偏差、又はフェライトの粒径分布が本発明の範
囲を満たすものは、拡管率が高い。また、縮径時の加熱
温度,縮径加工終了温度及び縮径率が本発明の条件を満
たすもので拡管率が高い。一方、縮径時の加熱温度及び
/または縮径加工温度が本発明の条件範囲外の場合に
は、低拡管率であるか、縮径時に破断した。また高C
r、高MoのCFでは拡管率は低い。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、ハイドロフォーム等の
成形性に優れた材料の金属組織、集合組織およびその制
御方法を適正に規定することで、ハイドロフォーム等の
成形性に優れた高強度鋼管を得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 篠原 康浩 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 高橋 学 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 朝日 均 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA05 AA08 AA09 AA10 AA11 AA12 AA14 AA15 AA16 AA17 AA19 AA20 AA21 AA22 AA23 AA24 AA27 AA31 AA32 AA35 AA36 AA37 AA39 AA40 BA03 CA01 CB01 CB02 CC02 CC03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライトの面積率が50%以上であ
    り、前記フェライトはアスペクト比が0.5〜3.0
    で、平均粒径が10〜100μmで、標準偏差σが平均
    粒径に対して40%超以上300%以下であることを特
    徴とする成形性の優れた高強度鋼管。
  2. 【請求項2】 フェライトの面積率が50%以上であ
    り、前記フェライトはアスペクト比が0.5〜3.0
    で、その粒径分布において58μm以上の粒が5%以上
    となることを特徴とする成形性の優れた高強度鋼管。
  3. 【請求項3】 質量%で、 C :0.0005〜0.30%、 Si:0.001〜2.0%、 Mn:0.01〜3.0%、 N :0.0001〜0.05% を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、
    (1)鋼板1/2板厚での板面の{110}<110>
    〜{111}<110>の方位群のX線ランダム強度比
    の平均が2.0以上、(2)鋼板1/2板厚での板面の
    {110}<110>のX線ランダム強度比が3.0以
    上、(3)鋼板1/2板厚での板面の{111}<11
    0>のX線ランダム強度比が3.0以上、のいずれか1
    項目以上を満たすことを特徴とする請求項1または2に
    記載の成形性の優れた高強度鋼管。
  4. 【請求項4】 鋼中に、さらにAl,ZrおよびMgの
    1種または2種以上を合計で0.0001〜0.5質量
    %含むことを特徴とする請求項3記載の成形性の優れた
    高強度鋼管。
  5. 【請求項5】 鋼中に、さらにTi,VおよびNbの1
    種または2種以上を合計で0.001〜0.5質量%含
    むことを特徴とする請求項3又は4に記載の成形性の優
    れた高強度鋼管。
  6. 【請求項6】 鋼中に、さらにPを0.001〜0.2
    0質量%含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれか
    1項に記載の成形性の優れた高強度鋼管。
  7. 【請求項7】 鋼中に、さらにBを0.0001〜0.
    01質量%含むことを特徴とする請求項3〜6のいずれ
    か1項に記載の成形性の優れた高強度鋼管。
  8. 【請求項8】 鋼中に、さらにCr,Cu,Ni,C
    o,WおよびMoの1種または2種以上を合計で0.0
    01〜5.0質量%含むことを特徴とする請求項3〜7
    のいずれか1項に記載の成形性の優れた高強度鋼管。
  9. 【請求項9】 鋼中に、さらにCaおよび希土類元素の
    1種または2種を合計で0.0001〜0.5質量%含
    むことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載
    の成形性の優れた高強度鋼管。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9の何れか1項に記載の成
    形加工性に優れた鋼管を製造するに当たり、母管を造管
    後、Ac3 変態点−50℃以上Ac3 変態点+200℃
    以下に加熱し、700℃以上で縮径率が25%以上70
    %以下となる縮径加工を行うことを特徴とする成形性の
    優れた鋼管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200036339A (ko) * 2018-09-28 2020-04-07 주식회사 포스코 강관용 열연강판 및 그 제조방법

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