JP2002065708A - 骨組織再生のための代替物構造設計支援方法とその装置 - Google Patents

骨組織再生のための代替物構造設計支援方法とその装置

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JP2002065708A JP2000257947A JP2000257947A JP2002065708A JP 2002065708 A JP2002065708 A JP 2002065708A JP 2000257947 A JP2000257947 A JP 2000257947A JP 2000257947 A JP2000257947 A JP 2000257947A JP 2002065708 A JP2002065708 A JP 2002065708A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 欠損骨を再生または修復するために損傷部に
埋め込まれる骨代替物の構造を最適に設計することを支
援する方法、とそのための装置を提供する。 【解決手段】 欠損した骨の再生または修復に使用され
る骨代替物の構造を最適に設計することを支援する骨組
織再生のための代替物構造設計支援方法であって、2次
元または3次元の解析領域において、骨代替物の吸収お
よび劣化による力学的特性の変化をシミュレーション
し、次いで、骨または骨代替物表面における骨の形成過
程をシミュレーションすることで、最終的に再生または
修復される骨の力学的特性および形状を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、骨組織再
生のための代替物構造設計支援方法とその装置に関する
ものである。さらに詳しくは、欠損した骨の再生または
修復の際に代替物として使用されるスカフォールド(s
caffold)の最適な構造設計を支援する代替物構
造設計支援方法とそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年、人工的な骨代替物を利
用することで、事故などにより欠損した骨の再生または
修復を行う新たな治療法が実用化されつつある。この治
療法によれば、損傷を受けた組織を除去し、損傷部に骨
代替物を埋め込む。この骨代替物は、スカフォールド
(足場)と呼ばれており、生分解性高分子やコラーゲン
を原料とし、ポーラスな構造を有する。スカフォールド
は、時間の経過とともに、加水分解などにより劣化し、
体内に吸収される。一方で、スカフォールド周辺の細胞
活動により、骨の形成が行われ、形成される骨組織とス
カフォールドとが入れ替わることで、骨の再生または修
復がなされる。すなわち、スカフォールドは、細胞の運
搬体および足場としての機能と骨細胞組織形成のための
空間としての機能とを併せ持ち、骨細胞組織が形成する
ためのガイド役として作用する。
【0003】以上で示した手法は、新たな欠損骨の治療
法として注目されている。損傷部へスカフォールドを埋
め込む際には、損傷部の位置、大きさ、損傷の度合いな
ど様々な条件に応じて、最適なスカフォールドの外形形
状および内部構造を選択する必要があることは言うまで
もない。しかしながら、スカフォールドを構成する高分
子の吸収劣化と骨組織の形成過程との相互作用など、明
らかになっていない点も多く、長時間に渡る試行錯誤的
な実験を経て、スカフォールドの設計がなされているの
が現状である。このため、スカフォールドの効率的な設
計支援方法が望まれていた。
【0004】この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、欠損骨を再生または修復する
ために損傷部に埋め込まれる骨代替物の構造を最適に設
計することを支援する方法と、そのための装置を提供す
ることを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、欠損した骨の再生または
修復に使用される骨代替物の構造を最適に設計すること
を支援する骨組織再生のための代替物構造設計支援方法
であって、2次元または3次元の解析領域において、骨
代替物の吸収および劣化による力学的特性の変化をシミ
ュレーションし、次いで、骨または骨代替物表面におけ
る骨の形成過程をシミュレーションすることで、最終的
に再生または修復される骨の力学的特性および形状を算
出することを特徴とする骨組織再生のための代替物構造
設計支援方法を第1の態様として提供する。
【0006】また、この出願の発明は、第2の態様とし
て、第1のステップとして、欠損した骨の再生または修
復に使用される骨代替物の構造を最適に設計することを
支援する骨組織再生のための代替物構造シミュレーショ
ン方法であって、2次元または3次元の解析領域におい
て、生体内に骨代替物を埋め込んだ時点での生体内にお
ける力学的特性および形状を初期値として設定し、第2
のステップとして、生体細胞への吸収による骨代替物の
力学的特性をシミュレーションし、第3のステップとし
て、解析領域における応力分布より骨または骨代替物表
面における骨の形成過程をシミュレーションすること
で、最終的に再生または修復される骨の力学的特性およ
び形状を算出し、第4のステップとして、第3のステッ
プにて算出された再生または修復される骨の力学的特性
より力学的特性評価量を、また、形状より形状評価量を
算出し、第5のステップとして、第4のステップで算出
された力学的評価量および形状評価量が予め決定されて
いた目標の範囲内にあるか否かを判断し、第6のステッ
プとして、第4のステップにて算出された再生または修
復される骨の力学的特性評価量および形状評価量が予め
決定されていた目標の範囲内にない場合には生体内に骨
代替物を埋め込んだ時点での力学的特性および形状を新
たな初期値として再設定し前記の第2〜6のステップを
実行する第7のステップと、から構成されることを特徴
とする骨組織再生のための代替物構造設計支援方法を提
供する。
【0007】そして、上記の骨組織再生のための代替物
構造設計支援方法について、この出願の発明は、第3の
態様として、2次元または3次元の解析領域において、
第1のステップとして解析領域を構成する複数の要素の
それぞれについて含水率を算出し、第2のステップとし
て第1のステップで算出された含水率より求められる分
子量変化率からそれぞれの要素について分子量を算出
し、第3のステップとして第2のステップで算出された
分子量から力学的特性を算出することで、骨代替物の吸
収および劣化による力学的特性の変化をシミュレーショ
ンすることを特徴とする請求項1または2の骨組織再生
のための代替物構造設計支援方法を提供し、さらに、第
4の態様として、2次元または3次元の解析領域におい
て、第1のステップとして解析領域を構成する複数の要
素のそれぞれに骨または骨代替物の力学的特性を初期値
として設定することで応力解析により各要素の応力を算
出し、第2のステップのステップとして第1のステップ
で算出された応力から骨または骨代替物の表面に対応す
る表面要素について骨形成駆動力を算出し、第3のステ
ップとして第2のステップで算出された表面要素につい
て骨形成速度を算出し、さらに、第4のステップとして
第3のステップで算出された骨形成速度から表面要素に
おける骨の状態を形成、吸収、または、休止の3状態に
判別し、第5のステップとして第4のステップで表面要
素における骨の状態に応じて表面要素の付加または除去
を行うことにより骨または骨代替物の形状を変更するこ
とで、骨または骨代替物表面の骨形成過程をシミュレー
ションすることを特徴とする骨組織再生のための代替物
構造設計支援方法を提供する。
【0008】そして、この出願の発明は、第5の態様と
して、前記第2の態様の発明として提供される骨組織再
生のための代替物構造設計支援方法において、評価に用
いられる力学的特性評価量が、解析領域全体の見掛けの
応力/解析領域全体の見掛けの歪み/解析領域全体の見
掛けの剛性であることを特徴とする骨組織再生のための
代替物構造設計支援方法を提供し、第6の態様として、
前記第2の態様の発明として提供される骨組織再生のた
めの代替物構造設計支援方法において、評価に用いられ
る骨の形状評価量が、解析領域全体に対する骨の平均体
積分率/骨の平均厚さ/単位体積あたりの骨梁数である
ことを特徴とする骨組織再生のための代替物構造設計支
援方法を提供する。また、第7の態様として、前記第2
の態様の発明として提供される骨組織再生のための代替
物構造設計支援方法において、2次元または3次元の解
析領域を構成する要素モデルを、MRI/X線CT/超
音波CTにより取得される医療用計測画像から作成する
ことを特徴とする骨組織再生のための代替物構造設計支
援方法を提供する。
【0009】さらに、この出願の発明は、上記のいずれ
かの方法をコンピュータによるシミュレーションで可能
とすることを特徴とする骨組織再生のための代替物構造
設計支援装置を提供する。そして、この出願の発明は、
上記の骨組織再生のための代替物構造設計支援方法によ
り最適設計された骨代替物の構造を構成する要素モデル
データを光造形装置に入力し骨代替物を作成することを
特徴とする骨代替物作成方法をも提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】この出願の発明は上記のとおりの
特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態につい
て説明する。
【0011】図1は、この出願の発明に係る骨組織再生
のための代替物構造設計支援方法についての流れ図であ
る。
【0012】この出願の発明に係る骨組織再生のための
代替物構造設計支援方法においては、まず、2次元また
は3次元の解析領域を、複数の要素に分割し、それぞれ
の要素について初期値を設定し、また、解析領域内にお
いて境界値を設定する(ステップ(A))。解析領域
は、図2(A)に示すような骨または骨代替物(21)
を、図2(B)のように、骨または骨代替物(21)の
持つ曲線的な形状を再現できるような寸法となるよう
に、複数の要素(22)へ分割される。
【0013】以上の解析領域の要素分割は、MRI/X
線CT/超音波CTにより取得される医療用計測画像か
ら直接実施することも可能である。
【0014】次に、骨代替物が吸収されることにより力
学的特性が劣化する時間変化を、シミュレーションによ
り解析領域の各要素について算出する(ステップ
(B))。
【0015】ステップ(B)においては、解析領域にお
いて、解析領域を構成する複数の要素のそれぞれについ
て含水率を算出する(ステップ(B1))。含水率は、
次式の方程式
【0016】
【数1】
【0017】具体例としては、
【0018】
【数2】
【0019】を解くことにより求められる。
【0020】次いで、ステップ(B1)で算出された含
水率hから、解析領域のそれぞれの要素について分子量
Wを算出する。分子量の時間変化δW/δtは、次式
【0021】
【数3】
【0022】のように含水率hの単調減少関数として表
されることから、分子量Wは、ΔWを積分することで求
められる(ステップ(B2))。式(III)の具体例と
しては、次式が挙げられる。
【0023】
【数4】
【0024】さらに、ステップ(B2)で算出された分
子量Wより、各要素における力学的特性が求められる。
各要素の力学的特性Mは、次式
【0025】
【数5】
【0026】具体例として、
【0027】
【数6】
【0028】により算出される(ステップ(B3))。
【0029】以上のステップ(B1)〜(B3)によ
り、骨代替物が吸収されることによる力学的特性の変化
がシミュレーションされる。
【0030】次に、骨または骨代替物表面における骨の
形成過程のシミュレーションを実行し、最終的に再生ま
たは修復される骨の力学的特性および形状を算出する
(ステップ(C))。
【0031】ステップ(C)においては、まず、解析領
域において、骨または骨代替物の力学的特性を、解析領
域を構成する各要素の初期値として設定して応力解析を
行うことにより各要素の応力を算出する(ステップ(C
1))。
【0032】次いで、ステップ(C1)で算出された応
力から、骨または骨代替物の表面に対応する表面要素に
ついて骨形成駆動力を求める(ステップ(C2))。表
面要素数をNとすると、表面要素cに対する骨形成駆動
力Γcは、次式
【0033】
【数7】
【0034】で算出される。
【0035】さらに、ステップ(C2)で算出された骨
形成駆動力から、各表面要素について骨形成速度を求め
る(ステップ(C3))。表面要素cにおける骨形成速
度Mcは、駆動力Γcの正負に応じて決定する。すなわ
ち、駆動力Γcが正の値を取る場合には、骨形成速度Mc
も正の値をとり、駆動力Γcが負の値を取る場合には、
骨形成速度Mcも負の値をとる。また、駆動力Γcが0で
ある場合には、骨形成速度Mcは0となる。このとき、
骨形成速度Mcの値が正であれば、表面要素cにおいて
新たに骨が形成されていることを意味する。一方、骨形
成速度Mcの値が負であれば、表面要素cにおいて骨が
吸収されることを意味する。また、骨形成速度Mcが0
のときには、表面要素cにおける骨の状態変化は休止状
態にあることを意味する。
【0036】この出願の発明においては、解析領域を離
散的に分割することから、現実的には連続的な値を取る
表面移動速度は離散的となり、その決定に際しては確率
的なランダム性を導入することで離散性が補われる。例
えば、図3に示すような確率関数PMcを導入し、表面要
素cにおける骨形成速度Mcの値を−1、0、1の3通
りとなるように限定する。すなわち、表面移動速度は、
確率PMcと要素辺長との積となる。図3において、Γu
とΓlは閾値を表しており、Γl≦Γc≦0および0≦Γc
≦Γuの領域はそれぞれ確率関数PMcを正弦曲線で補間
している。骨または骨代替物の形状の変化が進み、表面
応力が一様化されてくると、駆動力Γcの値は0に近づ
き、骨または骨代替物表面での骨の形成が起きる確率で
あるPMcは小さくなる。
【0037】以上により、骨形成速度Mcを求め、図4
に示すように、Mc=1の場合には、骨または骨代替物
の要素(41)の内、表面要素(42)に新たな骨また
は骨代替物の要素を付加し、逆に、Mc=−1の場合に
は、表面要素を削除することで、骨または骨代替物の表
面の再構築を行う(ステップ(C4))。
【0038】骨または骨代替物の表面の再構築により骨
の形状の変化が生じた場合には、ステップ(B)に戻
り、計算を繰り返す(ステップ(D))。ここで、骨ま
たは骨代替物の表面の再構築により骨の形状の変化が得
られない場合には、平衡状態に達したものと判断され、
次のステップ(E)へと進む。
【0039】ステップ(E)において、平衡状態に達し
た骨の力学的特性評価量および形態評価量が算出され
る。骨の力学的特性評価量として、例えば、解析領域全
体の見掛けの応力、見掛けの歪み、または、見掛けの剛
性が算出される。また、骨の形態評価量として、例え
ば、解析領域全体に対する骨の平均体積分率、骨の平均
厚さ、単位体積あたりの骨梁数が算出される。
【0040】次いで、ステップ(F)において、平衡状
態に達した骨の力学的特性評価量および形態評価量が、
予め決定されていた目標の範囲内にあるか否かが判断さ
れ、目標の範囲内にない場合には生体内に骨代替物を埋
め込んだ時点での生体内における力学的特性および形状
を新たな初期値として再設定し、前記のステップ(B)
以降を実行する。
【0041】そして、この出願の発明においては、上記
のシミュレーションがコンピュータ(電子計算機)等に
よりなされることが特徴でもある。
【0042】さらに、この出願の発明においては、以上
で詳細に説明した骨組織再生のための代替物構造設計支
援方法により最適設計された骨代替物の構造について、
要素モデルデータを用意し、この要素モデルデータを光
造形装置に入力し、骨代替物を簡便に作成することも可
能である。
【0043】この出願の発明は、以上の特徴を持つもの
であるが、以下に実施例を示し、さらに具体的に説明す
る。
【0044】
【実施例】この出願の発明に基づき、骨代替物による骨
組織再生についてシミュレーションを行った結果を示
す。実施例1 図5に示すような、骨代替物を縦横それぞれ15個のP
ixel要素に分割したモデルについてシミュレーショ
ンを行った。Pixel要素の一辺は、100μmに設
定した。モデルの上端および下端に仮想的な剛体板を配
置し、上端の剛体板には上面より2MPaの一様圧縮応
力を加えた。新たに形成される骨および骨代替物は、等
方線形弾性体と仮定した。骨および骨代替物の力学的特
性(ヤング率、ポアソン比)は、表1で示した値に設定
した。
【0045】
【表1】
【0046】反復計算回数10回、15回、20回、3
0回、50回における骨組織の再生過程における、骨お
よび骨代替物の形状変化について、それぞれ図6(A)
〜(E)に示す。再生初期(図6(A))における新た
な骨の形成が行われているのは、主に、骨代替物中央部
および上下の境界近傍の3箇所である。これらの3箇所
は、いずれも高い応力を示す箇所である。これらの3箇
所において骨が成長し太くなり、同時に代替物は骨表面
から吸収劣化される(図6(B)〜(D))。このよう
な過程を経て、反復計算回数50回においては、骨代替
物のほとんどが、新しい骨に置き換わっている(図6
(E))。
【0047】再生過程における骨代替物のひずみエネル
ギの変化について、図7に示す。骨代替物が吸収または
劣化するにつれて、反復計算回数が増加する程、荷重支
持構造としての剛性が増し、ひずみエネルギが減少す
る。
【0048】図8は、骨代替物の全分子量の変化および
骨部の全体積の変化について示したグラフである。図8
により、骨代替物が時間とともに吸収(分解)され、一
方、骨が形成され体積が増加することが示された。実施例2 図9に示すような、骨代替物を縦横それぞれ30個のP
ixel要素に分割したモデルについてシミュレーショ
ンを行った。Pixel要素の一辺は、100μmに設
定した。モデルの上端および下端に仮想的な剛体板を配
置し、上端の剛体板には上面より2MPaの一様圧縮応
力を加えた。新たに形成される骨および骨代替物は、等
方線形弾性体と仮定した。骨および骨代替物の力学的特
性(ヤング率、ポアソン比)は、表2に示した値に設定
した。
【0049】
【表2】
【0050】反復計算回数70回および150回におけ
る骨組織の再生過程における、骨および骨代替物の形状
変化について、それぞれ図10(A)、(B)に示す。
反復計算回数150回においては、骨代替物の全てが、
新しい骨に置き換わっている。
【0051】式(II)における定数αの値による、再生
過程の変化について検討した。式(II)においてαが大
きい値をとるほど、分子量の時間変化は大きくなる。す
なわち、αは分子量の変化の加速度に対応し、αの値が
大きいほど骨代替物が吸収劣化しやすいことを意味す
る。
【0052】定数αをα=1000,2000,300
0と設定したときの再生過程における骨部および骨代替
物を合わせた全ひずみエネルギの変化について、図11
に示す。図11により、定数αの値が大きいときには、
早い反復回数で、全ひずみエネルギの変化があらわれ
た。また、定数αをα=1000,2000,3000
と設定したときの骨部の全体積の変化について図12に
示す。図12により、定数αの値が大きいときには、早
い反復回数において、骨部の全体積の変化が現われた。
【0053】以上のように、αの値を調整することで骨
代替物が吸収劣化のしやすさに対する再生過程の差異を
算出することができる。実施例3 図13に示すような、骨代替物を縦横それぞれ30個の
Pixel要素に分割したモデルについてシミュレーシ
ョンを行った。Pixel要素の一辺は、100μmに
設定した。モデルの上端および下端に仮想的な剛体板を
配置し、上端の剛体板には上面より2MPaの一様圧縮
応力を加えた。新たに形成される骨および骨代替物は、
等方線形弾性体と仮定した。骨および骨代替物の力学的
特性(ヤング率、ポアソン比)は、表2に示した値に設
定した。
【0054】反復計算回数70回および150回におけ
る骨組織の再生過程における、骨および骨代替物の形状
変化について、それぞれ図14(A)、(B)に示す。
反復計算回数150回においては、骨代替物の全てが、
新しい骨に置き換わっている。
【0055】再生過程における骨部と骨代替物それぞれ
についてのひずみエネルギ、および、骨部および骨代替
物を合わせた全ひずみエネルギの変化について、図15
に示す。図15より、反復計算回数の増加とともに、骨
代替物のひずみエネルギが低下し、代わりに骨のひずみ
エネルギが増加する様子が見られ、以上で示した骨再生
過程において、剛性(ひずみエネルギ)を保持しつつ、
骨代替物の吸収および劣化とあたらしい骨の形成がなさ
れていることがわかる。
【0056】
【発明の効果】以上、詳しく説明した通り、この出願の
発明により、欠損骨を再生または修復するために損傷部
に埋め込まれる骨代替物の構造を最適に設計することを
支援する方法と、そのための装置が提供される。生体組
織は、部位により形態や機能も異なり、骨代替物の構造
を決定することは非常に困難であるが、この出願の発明
により、個々の症例に応じた個別モデリングやシミュレ
ーションが可能となり、骨代替物の構造設計の実用化が
実現することが強く期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明である骨組織再生のための代替
物構造設計支援方法の処理手順を示した流れ図である。
【図2】この出願の発明である骨組織再生のための代替
物構造設計支援方法における解析領域の要素分割につい
て示した概要図である。
【図3】この出願の発明である骨組織再生のための代替
物構造設計支援方法において、表面要素cにおける骨形
成速度Mcの値の出現確率関数PMcについて示したグ
ラフである。
【図4】この出願の発明である骨組織再生のための代替
物構造設計支援方法において、骨または骨代替物の表面
の再構築について示した概要図である。
【図5】この出願の発明の実施例で与えられたモデルの
要素分割について示した概要図である。
【図6】この出願の発明での実施例において、反復計算
回数に対する骨および骨代替物の形状変化について示し
た概要図である。
【図7】この出願の発明での実施例において、再生過程
における骨代替物のひずみエネルギの変化について示し
たグラフである。
【図8】この出願の発明での実施例において、骨代替物
の全分子量の変化および骨部の全体積の変化について示
したグラフである。
【図9】この出願の発明の実施例で与えられたモデルの
要素分割について示した概要図である。
【図10】この出願の発明での実施例において、反復計
算回数に対する骨および骨代替物の形状変化について示
した概要図である。
【図11】この出願の発明での実施例において、定数α
の値に対する骨部および骨代替物を合わせた全ひずみエ
ネルギの変化について示したグラフである。
【図12】この出願の発明での実施例において、定数α
の値に対する骨部の全体積の変化について示したグラフ
である。
【図13】この出願の発明の実施例で与えられたモデル
の要素分割について示した概要図である。
【図14】この出願の発明での実施例において、反復計
算回数に対する骨および骨代替物の形状変化について示
した概要図である。
【図15】この出願の発明での実施例において、再生過
程における骨部と骨代替物それぞれについてのひずみエ
ネルギ、および、骨部および骨代替物を合わせた全ひず
みエネルギの変化について示したグラフである。
【符号の説明】
21 骨または骨代替物 22 要素 41 骨または骨代替物の要素 42 表面要素

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 欠損した骨の再生または修復に使用され
    る骨代替物の構造を最適に設計することを支援する骨組
    織再生のための代替物構造設計支援方法であって、2次
    元または3次元の解析領域において、骨代替物の吸収お
    よび劣化による力学的特性の変化をシミュレーション
    し、次いで、骨または骨代替物表面における骨の形成過
    程をシミュレーションすることで、最終的に再生または
    修復される骨の力学的特性および形状を算出することを
    特徴とする骨組織再生のための代替物構造設計支援方
    法。
  2. 【請求項2】 第1のステップとして、欠損した骨の再
    生または修復に使用される骨代替物の構造を最適に設計
    することを支援する骨組織再生のための代替物構造シミ
    ュレーション方法であって、2次元または3次元の解析
    領域において、生体内に骨代替物を埋め込んだ時点での
    生体内における力学的特性および形状を初期値として設
    定し、第2のステップとして、骨代替物の吸収および劣
    化による力学的特性の変化をシミュレーションし、第3
    のステップとして、解析領域における応力分布より骨ま
    たは骨代替物表面における骨の形成過程をシミュレーシ
    ョンすることで、最終的に再生または修復される骨の力
    学的特性および形状を算出し、第4のステップとして、
    第3のステップにて算出された再生または修復される骨
    の力学的特性より力学的特性評価量を、また、形状より
    形状評価量を算出し、第5のステップとして、第4のス
    テップで算出された力学的評価量および形状評価量が予
    め決定されていた目標の範囲内にあるか否かを判断し、
    第6のステップとして、第4のステップにて算出された
    再生または修復される骨の力学的特性評価量および形状
    評価量が予め決定されていた目標の範囲内にない場合に
    は生体内に骨代替物を埋め込んだ時点での力学的特性お
    よび形状を新たな初期値として再設定し前記の第2〜6
    のステップを実行する第7のステップと、から構成され
    ることを特徴とする骨組織再生のための代替物構造設計
    支援方法。
  3. 【請求項3】 2次元または3次元の解析領域におい
    て、第1のステップとして解析領域を構成する複数の要
    素のそれぞれについて含水率を算出し、第2のステップ
    として第1のステップで算出された含水率より求められ
    る分子量変化率からそれぞれの要素について分子量を算
    出し、第3のステップとして第2のステップで算出され
    た分子量から力学的特性を算出することで、骨代替物の
    吸収および劣化による力学的特性の変化をシミュレーシ
    ョンすることを特徴とする請求項1または2の骨組織再
    生のための代替物構造設計支援方法。
  4. 【請求項4】 2次元または3次元の解析領域におい
    て、第1のステップとして解析領域を構成する複数の要
    素のそれぞれに骨または骨代替物の力学的特性を初期値
    として設定することで応力解析により各要素の応力を算
    出し、第2のステップのステップとして第1のステップ
    で算出された応力から骨または骨代替物の表面に対応す
    る表面要素について骨形成駆動力を算出し、第3のステ
    ップとして第2のステップで算出された表面要素につい
    て骨形成速度を算出し、さらに、第4のステップとして
    第3のステップで算出された骨形成速度から表面要素に
    おける骨の状態を形成、吸収、または、休止の3状態に
    判別し、第5のステップとして第4のステップで表面要
    素における骨の状態に応じて表面要素の付加または除去
    を行うことにより骨または骨代替物の形状を変更するこ
    とで、骨または骨代替物表面の骨形成過程をシミュレー
    ションすることを特徴とする請求項1または2の骨組織
    再生のための代替物構造設計支援方法。
  5. 【請求項5】 評価に用いられる力学的特性評価量が、
    解析領域全体の見掛けの応力/解析領域全体の見掛けの
    歪み/解析領域全体の見掛けの剛性であることを特徴と
    する請求項2記載の骨組織再生のための代替物構造設計
    支援方法。
  6. 【請求項6】 評価に用いられる骨の形状評価量が、解
    析領域全体に対する骨の平均体積分率/骨の平均厚さ/
    単位体積あたりの骨梁数であることを特徴とする請求項
    2記載の骨組織再生のための代替物構造設計支援方法。
  7. 【請求項7】 2次元または3次元の解析領域を構成す
    る要素モデルを、MRI/X線CT/超音波CTにより
    取得される医療用計測画像から作成することを特徴とす
    る請求項2記載の骨組織再生のための代替物構造設計支
    援方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれかの方法をコ
    ンピュータによるシミュレーションで可能とすることを
    特徴とする骨組織再生のための代替物構造設計支援装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7の骨組織再生のための代替
    物構造設計支援方法により最適設計された骨代替物の構
    造を構成する要素モデルデータを光造形装置に入力し骨
    代替物を作成することを特徴とする骨代替物作成方法。
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