JP2002059172A - 植物プランクトンの異常増殖の抑制方法及び休眠胞子の除去装置 - Google Patents

植物プランクトンの異常増殖の抑制方法及び休眠胞子の除去装置

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JP2002059172A
JP2002059172A JP2000247047A JP2000247047A JP2002059172A JP 2002059172 A JP2002059172 A JP 2002059172A JP 2000247047 A JP2000247047 A JP 2000247047A JP 2000247047 A JP2000247047 A JP 2000247047A JP 2002059172 A JP2002059172 A JP 2002059172A
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AQUA TEC KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な手段によって植物プランクトンの異常
増殖を抑制することを可能とできる植物プランクトンの
異常増殖の抑制方法、及び、それに用いる休眠胞子の除
去装置を提供すること。 【解決手段】 自然の力によって流動している水域系に
存在している休眠胞子を発芽前に除去することを特徴と
する植物プランクトンの異常増殖の抑制方法、6mより
も深い水深部分を有する自然の力によって流動している
水域系において、休眠胞子を、発芽前に発芽不能な水深
部分に沈降させることを特徴とする植物プランクトンの
異常増殖の抑制方法、及び、休眠胞子の除去装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物プランクトン
の異常増殖の抑制方法、及び、該方法の実現に有用な休
眠胞子の除去装置に関する。ここで、休眠胞子とは、植
物プランクトンの増殖から死滅の過程において分化する
耐環境性の高い細胞であり、過酷な環境でも休眠して生
き延び、好環境になると発芽して増殖するもののことで
ある。
【0002】
【従来の技術】湖沼、ダム湖、河口堰、溜池等の、水深
6m以下の水位が浅く、水の流出入が緩慢な水域系にお
いては、しばしば植物プランクトンが異常増殖し、いわ
ゆるアオコ(水の華)が発生する。アオコの発生は、上
記水域系の景観を損ねるばかりでなく、上水道水のカビ
臭の発生の原因となったり、生態系へ多大な影響を及ぼ
す。即ち、アオコは、異常増殖した植物プランクトン
が、水面に薄皮或いは塊状に浮いた状態のものである
が、多量に発生すると、上層では溶存酸素が過飽和とな
る一方、死骸の分解による酸素消費のために下層の酸素
は欠乏し、魚や底生生物が死滅することが起こる。アオ
コの発生は、夏が発生の主時期であり、栄養塩類が多
い、小池沼、特に平地の池に多発するという傾向があ
る。かかるアオコの発生原因は、富栄養化現象にある。
富栄養化には、旧来からの、湖沼が年月を経て次第に埋
まって浅くなり、栄養物を蓄積して生産量や生物量の大
きく濁った富栄養型の湖沼となる自然富栄養化と、近年
において問題となっている、人間活動の活発化によって
引き起こされる湖沼、河口堰、溜池やダム湖等における
有機汚濁の一種としての富栄養化がある。
【0003】後者の場合は、人間活動の急激な増大によ
り、都市の生活廃水や、工場廃水・農業廃水等から多量
に窒素やリン等の栄養物質が湖沼や溜池等に流入するこ
とが起こる結果、植物プランクトン等の藻類がおびただ
しく繁殖し、水を濁らせ、多量に生産された有機物の分
解に伴って溶存酸素が消費しつくされ、水質の悪化をも
たらす。このため、富栄養化に伴い、魚介類の総量は一
般に一時的には増加するが、有用魚類は減少し、更に富
栄養化が進行すると、酸素欠乏のため、魚介類の殆どが
斃死するといった事態が生じる。かかる事態を回避する
ためには、その発端となる植物プランクトンの異常増殖
を抑制することが有効であり、そのための根本的な解決
策としては、湖沼等の水域系へ流入するリンや窒素等の
栄養源を除去することが非常に有効である。
【0004】しかしながら、現在の下水処理システムで
は、生活廃水や農業廃水等に多量に含まれるこれらの栄
養塩類成分を完全に除くことは困難であり、植物プラン
クトンの異常増殖を抑制し得る他の解決手段が待望され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、簡易な手段によって植物プランクトンの異常増殖を
抑制することを可能とできる植物プランクトンの異常増
殖の抑制方法、及び、該方法の実現に有用な休眠胞子の
除去装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】(第一の発明)上記した
目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発
明の第一の発明は、自然の力によって流動している水域
系に存在している休眠胞子を発芽前に除去することを特
徴とする植物プランクトンの異常増殖の抑制方法であ
る。具体的な実施態様としては、例えば、自然の力によ
って流動している水域系が溜池である場合には、休眠胞
子を発芽前に除去する手段として、少なくとも年に1回
の水抜きを行なって、これにより低比重物質として除去
することが有効である。又、自然の力によって流動して
いる水域系が、水深6m以下の湖沼、ダム湖、河口堰及
び溜池のいずれかである場合には、休眠胞子を発芽前に
除去する手段として、水底近傍の低比重泥を吸引除去す
ることも有効である。
【0007】更に、例えば、自然の力によって流動して
いる水域系が、水深6m以下の湖沼、ダム湖、河口堰及
び溜池のいずれかである場合には、休眠胞子を発芽前に
除去する手段として、上記いずれかの水域系の水底に、
少なくとも上面と、該上面と接する側面の少なくとも一
部とが多数の通水孔を有する遮流板で構成され、且つ、
非通水性の底面を有する筐体を設置することで、該筐体
内に休眠胞子を集積させて捕捉し、その後に捕捉した休
眠胞子を吸引除去する方法を用いることが有効である。
【0008】更に、この場合に用いることのできる休眠
胞子を集積させて捕捉し、その後に捕捉した休眠胞子を
吸引除去することのできる有効な装置としては、底面が
非通水性の材料からなり、上面と、該上面と接する側面
の少なくとも一部とが多数の通水孔を有する遮流板で構
成されている筐体と、該筐体の底部に集積される休眠胞
子を吸引除去するための手段とを有することを特徴とす
る休眠胞子の除去装置が挙げられる。更に、休眠胞子を
吸引除去するための手段が、筐体の中央に配置した回転
軸と、該回転軸に固着され、且つ、筐体の底面に対向す
る面に少なくとも1個の吸引孔が設けられている棒状部
材とを有し、更に、該棒状部材の吸引孔から吸引された
休眠胞子が、該吸引孔に連通している上記回転軸に設け
られた少なくとも2個の開口から外部へと吸引除去でき
るように構成されている休眠胞子の除去装置が有効であ
る。
【0009】(第二の発明)上記した目的は、下記の本
発明によって達成される。即ち、本発明の第二の発明
は、6mよりも深い水深部分を有する自然の力によって
流動している水域系において、休眠胞子を、発芽前に
(浅い岸や側面ではなく)発芽不能な水深部分に沈降さ
せることを特徴とする植物プランクトンの異常増殖の抑
制方法である。発芽不能な水深部分に沈降させる具体的
な実施態様としては、例えば、6mよりも深い水深部分
を有する湖において、水面下の水温躍層のいずれかの位
置に流動抑制物を配置することで、水温躍層より下方に
休眠胞子を沈降させる方法、或いは、10mよりも深い
水深部分を有するダム湖においては、少なくとも年に1
回、水位を少なくとも5m以上下げ、その後、水位を元
に戻して、水深6m以浅の湖岸周辺の水底及び側壁に沈
降していた休眠胞子を下方に沈降させる方法が挙げられ
る。又、上記流動抑制物として、流通を著しく低下させ
ることのできる多数の孔或いは空隙を有する複数の部材
を連結具によって連結した連結体であって、且つ、連結
体の上部に浮きが設けられているものである
【0010】
【発明の実施の形態】以下、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明を詳細に説明する。 (第一の発明)本発明者らは、上記した従来技術の課題
を解決すべく鋭意検討の結果、植物プランクトンの異常
増殖によるアオコの発生が定期的に起こることに着目
し、植物プランクトンの生態学的な特性からの根本的な
解決を図ることが、有効な手段となり得ることを知見し
て本発明に至った。即ち、先に述べたように、植物プラ
ンクトンが異常増殖し、アオコが発生した湖沼等では、
最終的に生物が生息するのに適さない厳しい環境下に置
かれ、通常の栄養細胞は死滅したはずであるにもかかわ
らず、このような湖沼においては、周期的に、例えば、
夏になるとアオコの発生が見られることが多い点に着目
して検討を行なった。その結果、その一因が、耐寒性・
耐乾性が強い、不良環境を過ごすことのできる休眠細胞
と呼ばれる胞子(以下、休眠胞子と呼ぶ)の存在にあ
り、湖沼等の水域系において、発芽前に、この休眠胞子
を効率よく除去することができれば、植物プランクトン
の異常増殖を有効に抑制できることを見いだした。
【0011】従って、本発明の基本理念は、この休眠胞
子を発芽前に効率よく除去することで、植物プランクト
ンの異常増殖の抑制を達成せんとするものである。具体
的な休眠胞子の除去方法としては、先にも述べたよう
に、例えば、自然の力によって流動している水域系が溜
池である場合には、少なくとも年に1回の割合で水抜き
することが有効である。この方法は、溜池に限らず、自
然にできた湖沼等であっても、水抜きすることが可能で
あれば有効である。又、自然の力によって流動している
水深6m以下の浅い湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池の水
底近傍の低比重泥を吸引除去することも、休眠胞子を発
芽前に除去する手段として有効である。更に、水深6m
以下の湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池のいずれかの水底
に、少なくとも上面と、該上面と接する側面の少なくと
も一部とが多数の通水孔を有する遮流板で構成され、且
つ、非通水性の底面を有する筐体を設置することで、該
筐体内に休眠胞子を集積させて捕捉し、その後に捕捉し
た休眠胞子を吸引除去する方法も有効である。特に、低
比重泥を吸引除去する方法、及び、水底に筐体を設置す
る方法は、例えば、平均水深が0.5〜6m程度の比較
的に浅い、湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池の場合に有効
である。
【0012】本発明においては、風等の自然の力によっ
て流動している水域系の水底に存在していると考えられ
る休眠胞子を、発芽前に効率よく除去することができれ
ばいずれでもよく、本来、その手段は限定されず、上記
のような種々の方法が考えられる。休眠胞子を発芽前
に、簡易に且つ確実に除去できる方法としては、特に、
底面が非通水性の材料からなり、上面と、該上面と接す
る側面の少なくとも一部とが多数の通水孔を有する遮流
板で構成されている筐体と、該筐体の底部に集積される
休眠胞子を吸引除去するための手段とを有することを特
徴とする本発明の休眠胞子の除去装置を使用することが
好ましい。更に、かかる本発明の装置を、植物プランク
トンの異常増殖が生じ易い浅い湖沼、ダム湖、河口堰及
び溜池のいずれかの水域系の水底の、特に、水底の流動
が停滞している部分に設置することが好ましい。
【0013】自然界において、植物プランクトンの存在
自体は、植物プランクトンから動物プランクトン、動物
プランクトンから魚類、更に、各種の哺乳類等へと繋が
る一連の生命活動の根源とも言えるものであり、欠くこ
とのできない重要なものである。前記したように、問題
は、植物プランクトンが異常増殖することで、この一連
の生命活動の維持が損なわれる点にある。本発明者ら
は、既に、植物プランクトンが有している、湖沼等の水
域系に流入する窒素やリンといった栄養源を浄化する機
能に着目し、かかる植物プランクトンの増殖機能を利用
する方法を提案している。かかる方法は、栄養源を吸収
して増殖した植物プランクトンを、効率よく捕集及び回
収することで、富栄養化した水域系における栄養源除去
を達成するものである(特開平11−179106号公
報参照)。この方法によれば、簡便に、しかも二次汚染
の発生を伴う特別の薬品等を使用することなく、水域系
を自然に浄化することが可能となる。
【0014】しかしながら、増殖した植物プランクトン
を効率よく集積させ、捕集及び回収するという上記の方
法は事後的なものであり、場合によっては植物プランク
トンの異常増殖を防止できない場合がある。即ち、上記
した方法は、植物プランクトンの増殖速度と、植物プラ
ンクトンの捕集及び回収速度とのバランスの上に立った
方法であるため、植物プランクトンの増殖速度の方が勝
った場合には、前記したアオコの発生を招くといった事
態を生じる。
【0015】これに対し、本発明者らが検討した結果、
先に述べた植物プランクトンの異常増殖等に伴って形成
される休眠胞子が、通常の植物プランクトンの増殖以上
の異常増殖をもたらす原因となっていることがわかっ
た。例えば、光合成原核生物である藍藻の一種のAna
baenaは、アオコの原因となる植物プランクトンの
一種であり、環境条件によっては、アオコの優先種とな
ることもあるものであるが、かかるAnabaena
は、増殖に厳しい、ストレスの多い環境下に置かれる
と、栄養細胞が休眠細胞へと分化することが知られてい
る。そして、形成された休眠細胞は、通常の栄養細胞が
死んでしまうような厳しい環境を生き延び、環境が好転
すると発芽して再増殖する。この休眠細胞の形成は、生
物の巧みな生き残り戦術であるということができる。即
ち、休眠細胞は、湖沼等の水が極端に減った乾燥状態
や、冬の厳しい寒さの低温下においては発芽することの
ない休眠胞子として存在しているが、湖沼等の水域系が
植物プランクトンが増殖できる良好な環境状態になると
一斉に発芽し、植物プランクトンの増殖に拍車をかけ
る。
【0016】従って、この休眠細胞が発芽しない胞子の
状態にあるうちに、湖沼等から効率よく除去することが
できれば、植物プランクトンの異常増殖を有効に抑制す
ることができると考えられる。そこで、かかる観点か
ら、周期的にアオコの発生が見られた湖沼において、夏
になる前に休眠胞子を捕捉し、除去することを試みたと
ころ、植物プランクトンの異常増殖を有効に抑制できる
ことがわかった。
【0017】以下、先に挙げたような休眠胞子を除去す
る方法について、更に詳細に説明する。本発明におい
て、アオコの発生し易い、水深6m以下の、湖沼、河口
堰、ダム湖及び溜池等の、水位が浅く、水の流出入が緩
慢な水域系から除去することを目的とする休眠胞子は、
下記に述べるように、通常の栄養細胞から休眠細胞に分
化後、胞子となって湖沼等の水域系の水底に沈降して存
在すると予想される。例えば、前記したAnabaen
aでは、上記したように、休眠細胞は、栄養細胞から分
化して形成されるが、その後、成熟して糸状体から切り
離される。かかる休眠細胞は、栄養細胞から分化するの
に伴って、脂肪質の濃縮が起こり顆粒が蓄積され、密度
が高くなっていく。この結果、通常の栄養細胞は、ガス
胞を作り湖沼中の液面に浮遊することが知られている
が、休眠細胞は、栄養細胞と比べて密度が高く(1.1
6〜1.18g/ml程度)、ガス胞を作ることもな
く、糸状体から分離後、胞子となって沈降して、水底近
傍に浮遊した状態で存在している。
【0018】これに対し、一般に、水深6m以下の湖
沼、ダム湖、河口堰及び溜池等の、水位が浅く、水の流
出入が緩慢な水域系においては、その表面水層は、風等
の自然現象で波浪を生じ、これによって水中及び水底に
おいても流動状態となる。又、水面が無風状態にあった
としても、太陽熱で水面が暖められたり、気温が下がっ
て水面が冷やされたりすることによって水中に対流が生
じるため、水の流出入が緩慢なこれらの水域系において
も、水面、水中及び水底のいずれにおいても必ず水の流
動が起こっている。そして、かかる水の流動の在るとこ
ろにおいては、後述する流離現象が必ず生じ、上記の沈
降して水底に集積した休眠胞子は、水底付近における緩
やか流動によって、流動が非常に少ない区域へと運ばれ
て、その位置に停滞することで、所謂、水底部分の吹き
溜まり(淀み)に、浮遊しながら集積していると考えら
れる。従って、この部分の水底の泥を掻き出せば、土砂
と共に休眠胞子を除去することが可能となる。
【0019】よって、休眠胞子が集積していると考えら
れる水域系の水底部分の土砂を、夏になる前に掻き出す
ことも、植物プランクトンの異常増殖を抑制するための
有力な手段となり得る。しかしながら、風の向きや強さ
が変化すると、かかる変化に伴って水底付近における流
動が多様に変化することとなるので、休眠胞子の集積
も、場所的、時間的に多様に変動する。このため、水底
にある休眠胞子が集積している場所を適格に探知するの
は困難であり、又、水底の土砂を掻き出すための浚渫工
事は、設備的にも大掛かりになり、容易ではない。
【0020】これに対し、本発明者らの検討によれば、
例えば、水の出入りを人為的に調節できる溜池等の場合
には、少なくとも年1回の割合で水抜きすれば、溜池の
水底付近に浮遊している休眠胞子を溜池内から容易に除
去できることがわかった。この場合、水抜きする時期と
しては、休眠胞子が発芽する春〜夏前迄に行なうことが
好ましい。水抜きの回数としては、年1回行なえば、植
物プランクトンの異常増殖を抑制する効果が認められ
る。
【0021】更に、休眠胞子を発芽前に除去する別の手
段としては、湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池等の水底の
土砂や岩石をさらう大掛かりな浚渫工事を行なうのでは
なく、水底近傍に浮遊している休眠胞子を含む低比重泥
を吸引除去する方法も好ましい。この場合の具体的な方
法としては、次のような方法が有効である。例えば、先
ず、湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池等の水底近傍に浮遊
している低比重泥を、プロペラを駆動させて水流を発生
させる等の方法によって水底から巻き上げることで、水
底の小石等を巻き上げることなく、できるだけ低比重泥
のみが吸引されるような状態にした後、巻き上げられた
低比重泥を多量に含む泥水を水中ポンプ等によって吸引
する。次に、吸引した泥水を、タンクに導入して、自然
沈降と天日乾燥等によって分離し、低比重泥のみを除去
する。又、吸引した泥水をそのまま畑地に撒いて、肥料
として利用してもよい。水底近傍に浮遊している休眠胞
子を含む低比重泥のみを選択的に、しかも円滑に吸引除
去するためには、これらの手段が一連の流れをもってな
されることが好ましく、そのためには、上記した各方法
が良好な状態に制御されるように構成するとよい。
【0022】本発明者らは、先に述べた特開平11−1
79106号公報等に記載しているように、本発明者ら
が流離と称している下記の作用を積極的に用いて、植物
プランクトン等の水中に浮遊する物質を効率よく集積さ
せて回収することを既に提案している。ここで、流離と
は、いかなる水域系においても存在する流動の大小によ
って生じる固液分離現象をいう。即ち、自然環境におけ
るいかなる水域系においても水流が見られ、しかも、そ
の中では流動の大小が必ず存在し、更に、この流動の大
小によって、流体中の固形物は次第に流動の少ない方向
に移動させられ、最終的に流動が非常に少ない区域に停
滞し、これによって水域系において固液分離現象が起こ
る。例えば、この現象の発現として、河川において、沈
水植物の群落の中や、流れの遅い川辺や淀みに、細かい
浮遊汚泥が多数集積することは、経験的によく知られて
いる。本発明者らは、これまでにも、かかる流離現象を
積極的に利用することで、例えば、植物プランクトン等
の浮遊物を効率よく固液分離して集積し、回収する方法
や装置等を提案している。
【0023】以下に述べる休眠胞子を除去する手段は、
上記の流離現象を積極的に利用したものである。即ち、
本発明者らは、自然の力によって流動している水域系の
水底に、少なくとも上面と、該上面と接する側面の少な
くとも一部とが多数の通水孔を有する遮流板で構成さ
れ、且つ、非通水性の底面を有する筐体を設置すれば、
該筐体内に人為的に、先に述べた吹き溜まり(淀み)部
分を作ることができ、この結果、該筐体内に、水底付近
に沈降して浮遊している休眠胞子を効率よく集積させ、
捕捉することができることを見いだした。特に、前記し
た、休眠胞子が選択的に集積していると考えられる湖沼
等の水底の吹き溜まり(淀み)部分に、上記したような
筐体を設置することができれば、更に効果的に休眠胞子
を集積・捕捉することが可能となる。
【0024】以下、本発明の植物プランクトンの異常増
殖の抑制方法に好適な、本発明の休眠胞子の除去装置に
ついて説明する。図1に、本発明の休眠胞子の除去装置
の一例を示した。本発明に好適な休眠胞子の除去装置
は、図1(a)の斜視図に示したような外観を有し、少
なくとも上面と、該上面と接する側面の少なくとも一部
とが、図1(b)及び(c)に示したような、多数の通
水孔を有する厚みが5〜50mm程度の厚さの遮流板で
構成されている筐体からなる。図1に示した例では、上
面が正八角形となるような柱状の筐体としたが、本発明
は、これに限定されず、例えば、上面が正八角形以外の
多角形の柱状体であっても、或いは上面が円形の円柱体
であってもよい。但し、休眠胞子を集積・捕捉した後に
行なう、後述する休眠胞子を吸引除去するための手段と
の兼ね合い、及び、組み立ての容易さ等から、上面が八
角形以上の多角形の柱状体か、円柱体とすることが好ま
しい。
【0025】これらの筐体の上面及び側面を形成するた
めの多数の通水孔を有する遮流板としては、これによっ
て形成される筐体内に水が自由に出入りでき、しかも、
筐体の内部に、筐体の外部と比べて流動が格段に少ない
区域を作り出せるものであれば特に限定されない。例え
ば、図1の(b)及び(c)に示したように、通水孔の
形状が角柱状であってもよいし、円柱状(不図示)であ
ってもよいし、或いは、筐体の内部側と外部側の夫々の
開口断面積が異なるように構成してもよい(不図示)。
かかる通水孔を有する遮流板としては、特に限定され
ず、5〜50mmの範囲の厚みを有するもので構成する
とよい。即ち、筐体の上面及び側面を構成する遮流板を
このような厚みを有するものとすれば、流動を有する水
域系の水底に筐体を設置した場合に、遮流板にあたって
減速された流れが、更に、遮流板の厚みが通水孔の長さ
となるので、該通水孔を流動する間に流れがより減速さ
れて、筐体内部に、流動が殆どない区域が容易に形成さ
れる。この結果、水底付近に沈降して漂っている休眠胞
子は、筐体の内部に人工的に形成される流動の殆どない
吹き溜まり(淀み)部分に効率よく集積し、捕捉される
ことになる。
【0026】筐体を構成している遮流板に設けられる多
数の通水孔の開口径としては、筐体内へ水が自由に出入
りでき、しかも、筐体内に大きなゴミや生物等の浸入が
なく、更に、筐体内に、流動が殆どない区域が形成され
るようなものとすることが好ましい。そのためには、例
えば、遮流板に設けられる多数の通水孔の開口径を、5
〜30mm、より好ましくは、10〜25mmの角、或
いはφとすることが好ましい。筐体の大きさとしては、
水底に、流動の殆どない吹き溜まり(淀み)部分が形成
された状態となるものであれば、特に限定されないが、
例えば、非通水性の底面部分の広さが、1〜20m2
度となるようにすることが好ましい。又、筐体の高さも
特に限定されず、設置する場所に応じて適宜に設計すれ
ばよいが、植物プランクトンの異常増殖の発生は、浅
い、小さな池や沼に多く見られ、しかも、先に述べたよ
うに、休眠胞子は、水底に沈降しているので、例えば、
筐体内部の高さは、後述する休眠胞子の吸引除去手段の
形状等にもよるが、20〜100cm程度とすればよ
い。
【0027】上記したような形状を有する筐体を、自然
の力によって流動している水域系の水底に設置すること
によって、筐体内に休眠胞子を効率よく集積させること
ができるが、この集積した休眠胞子を効率よく除去でき
るようにするためには、集積した休眠胞子が逃れられな
いように、少なくとも、上記した筐体の底面を通水性の
ない材料で形成する必要がある。更に、本発明において
は、この非通水性の底面を有する底板の上側に、該底面
の大部分を覆う範囲に、該底面との間に間隙が保持され
る状態で通水性の中間板を設けた二重底構造の態様とす
ることが好ましい(図2にその一部を図示)。非通水性
の底板と、その上側に設ける通水性の中間板との間に設
ける間隙としては、例えば、両者の間に、5〜20cm
程度の間隔が保持されるようにすることが好ましい。こ
のようにすれば、筐体の上面及びそれに接する側壁の通
水孔から休眠胞子と共に筐体内に浸入してくる大きなゴ
ミを、上記の通水性の中間板の上に残留させることがで
き、結果として、非通水性の底板の上に休眠胞子を主に
含んだものを選択的に集積させることが可能となる。
又、大きなゴミが排除されているので、非通水性の底板
の上の休眠胞子を主に含む集積物を吸引・除去を円滑に
行なうことが容易となる。
【0028】更に、上記した通水性の中間板を設けるこ
とによって、非通水性の底板と通水性の中間板との間に
形成される空間の流動は、より効果的に抑制されること
になる。この結果、水底付近において、例えば、0.5
m/秒といった大きな流動が生じたとしても、集積され
た休眠胞子が再び流されるといった事態の発生が有効に
防止され、筐体内の非通水性の底板の上に休眠胞子が有
効に保持されるという効果も得られる。
【0029】次に、筐体内部にある非通水性の底板上に
集積された休眠胞子を、吸引・排出して除去する好まし
い方法について説明する。図2は、この吸引除去手段の
一例を示した概略斜視図であるが、以下、これについて
説明する。図2(a)に示した例では、休眠胞子を吸引
除去するための手段として、筐体の中央に配置した回転
軸と、該回転軸に固着され、且つ、筐体の底面に対向す
る面に少なくとも1個の吸引孔が設けられている棒状部
材とを有し、更に、該棒状部材の吸引孔から吸引された
休眠胞子が、該吸引孔に連通している上記回転軸に設け
られた少なくとも2個の開口から外部へと吸引除去でき
るように構成されたものを用いる。以下、かかる装置に
よって達成される集積された休眠胞子の吸引・除去の手
順について説明する。
【0030】筐体の中央に配置された回転軸は、筐体上
部にある駆動収納部内に収納されているモータによっ
て、適宜な速度で回転できるように構成されている。該
回転軸の下部には、筐体の、非通水性の底面に対向する
面に少なくとも1個の吸引孔が設けられている棒状部材
が固着されている(図2(b)参照)。該棒状部材は、
回転軸の回転に伴って、筐体の非通水性の底面全体を掃
きながら移動でき、しかも、移動しながら、筐体の非通
水性の底面に集積された休眠胞子を含む集積物を円滑に
吸引できるものが好ましい。このためには、図2(a)
及び図3(b)に示したように、回転軸に固着させた筐
体の底面と接地しながら回転する押えプレートと、これ
に取り付けられた少なくとも1個の吸引孔を有する吸込
み棒とからなる構造とすることが好ましい。
【0031】上記のような棒状部材に設ける吸引孔の形
状は任意であり、又、少なくとも1個設けられていれば
よいが、図2(a)及び図3(b)に示したように、複
数の細孔形状からなる吸引孔を設けることも好ましい態
様である。棒状部材に設ける吸引孔の形状としては、集
積物を効率よく吸引することのできる構造のものであれ
ばいずれのものでもよい。例えば、2〜5×10〜10
0mm程度の細長い矩形或いは楕円形が多数設けられた
ものであってもよいし、1の幅広の吸引孔に、網が設け
られている構造のものであってもよい。このような幅広
の吸引孔は異物による目詰りがし難いというメリットが
ある。
【0032】上記したような棒状部材に設けられた吸引
孔は、図2(b)に示したように、回転軸の、棒状部材
と前記した回転軸との固着部に設けられた開口を介し
て、回転軸内に設けられている通路を経て、更に、該開
口よりも上部側の回転軸に設けられた別の開口と連通す
るように構成されている。この際、回転軸の上部側に設
ける開口は、1つでもよいが、後述するように、効率の
よい吸引・除去を可能とするためには多数設けることが
好ましい。これらの開口は、回転軸の回転に伴って回転
する。
【0033】更に、図2(b)に示したように、これら
の開口が設けられているのと同一の水平位置に、休眠胞
子を吸引し、除去するための吸引・排出管が、該管の端
部の開口が回転軸上部に設けられている開口と対峙する
ことができるようにして設けられている。この結果、吸
引・排出管の外部側の端部開口に繋げた吸引ポンプ等を
可動させて吸引すれば、回転軸の回転に伴って上部の開
口が回転し、該開口と、吸引・排出管の端部開口とが対
峙した瞬間に、回転軸に固着して取り付けられている棒
状部材の吸引孔と、上記した全ての開口が連通し、その
瞬間に、筐体底部に集積した休眠胞子は、棒状部材の吸
引孔からが吸引されて、回転軸内及び吸引・排出管を通
って外部へと除去される。
【0034】回転軸上部にある開口と、これに対峙する
ことのできる吸引・排出管の端部開口とは連結される訳
ではないので、Oリング或いはオイルシール等して、こ
の部分から、吸引した休眠胞子を含む集積物が漏れるこ
となく、確実に吸引・除去できるように構成することが
好ましい。図4は、その部分の構造を示す概略図であ
る。
【0035】(第二の発明)本発明者らは、上記した従
来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、植物プラン
クトンの異常増殖によるアオコの発生が定期的に起こる
ことに着目し、植物プランクトンの生態学的な特性から
の根本的な解決を図ることが、有効な手段となり得るこ
とを知見して本発明に至った。即ち、先に述べたよう
に、植物プランクトンが異常増殖し、アオコが発生した
湖沼等では、最終的に生物が生息するのに適さない厳し
い環境下に置かれ、通常の栄養細胞は死滅したはずであ
るにもかかわらず、このような湖沼においては、周期的
に、例えば、夏になるとアオコの発生が見られることが
多い点に着目して検討を行なった。その結果、その一因
が、耐寒性・耐乾性が強い、不良環境を過ごすことので
きる休眠細胞と呼ばれる胞子(以下、休眠胞子と呼ぶ)
の存在にあり、水深が6mよりも深い湖やダム湖等の水
域系においては、発芽前に、この休眠胞子を発芽不能
な、例えば、充分に太陽光線が届ず、光合成をすること
のできないような水深部分に沈降させてしまうことがで
きれば、植物プランクトンの異常増殖を有効に抑制でき
ることを見いだした。従って、本発明の第二の発明の基
本理念は、休眠胞子を、発芽不能な自然環境下に追いや
ることで、植物プランクトンの異常増殖の抑制を達成せ
んとするものである。
【0036】自然界において、植物プランクトンの存在
自体は、植物プランクトンから動物プランクトン、動物
プランクトンから魚類、更に、各種の哺乳類等へと繋が
る一連の生命活動の根源とも言えるものであり、欠くこ
とのできない重要なものである。前記したように、問題
は、植物プランクトンが異常増殖することで、この一連
の生命活動の維持が損なわれる点にある。本発明者ら
は、既に、植物プランクトンが有している、湖沼等の水
域系に流入する窒素やリンといった栄養源を浄化する機
能に着目し、かかる植物プランクトンの増殖機能を利用
する方法を提案している。かかる方法は、栄養源を吸収
して増殖した植物プランクトンを、効率よく捕集及び回
収することで、富栄養化した水域系における栄養源除去
を達成するものである(特開平11−179106号公
報参照)。この方法によれば、簡便に、しかも二次汚染
の発生を伴う特別の薬品等を使用することなく、水域系
を自然に浄化することが可能となる。
【0037】しかしながら、増殖した植物プランクトン
を効率よく集積させ、捕集及び回収するという上記の方
法は事後的なものであり、場合によっては植物プランク
トンの異常増殖を防止できない場合がある。即ち、上記
した方法は、植物プランクトンの増殖速度と、植物プラ
ンクトンの捕集及び回収速度とのバランスの上に立った
方法であるため、植物プランクトンの増殖速度の方が勝
った場合には、前記したアオコの発生を招くといった事
態を招く。
【0038】これに対し、本発明者らが検討した結果、
先に述べた植物プランクトンの異常増殖等に伴って形成
される休眠胞子が、通常の植物プランクトンの増殖以上
の異常増殖をもたらす原因となっていることがわかっ
た。例えば、光合成原核生物である藍藻の一種のAna
baenaは、アオコの原因となる植物プランクトンの
一種であり、環境条件によっては、アオコの優先種とな
ることもあるものであるが、かかるAnabaena
は、増殖に厳しい、ストレスの多い環境下に置かれる
と、栄養細胞が休眠細胞へと分化することが知られてい
る。そして、形成された休眠細胞は、通常の栄養細胞が
死んでしまうような厳しい環境を生き延び、環境が好転
すると発芽して再増殖する。この休眠細胞の形成は、生
物の巧みな生き残り戦術であるということができる。即
ち、休眠細胞は、湖沼等の水が極端に減った乾燥状態
や、冬の厳しい寒さの低温下においては発芽することの
ない休眠胞子として存在しているが、湖沼等の水域系が
植物プランクトンが増殖できる良好な環境状態になると
一斉に発芽し、植物プランクトンの増殖に拍車をかけ
る。
【0039】これに対し、先に述べたように、水深6m
以下の浅い湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池等の場合にあ
っては、前述に挙げた種々の方法によって休眠胞子を容
易に除去することが可能であるため、これらの方法を状
況に応じて適宜に用いれば、植物プランクトンの異常増
殖を有効に防止することができる。しかしながら、水深
が6mよりも深い湖やダム湖においては、先に述べたよ
うな方法で休眠胞子を除去することは難しい。本発明者
らは、特に、このような場合において植物プランクトン
の異常増殖を防止することのできる有効な手段について
検討した結果、休眠胞子を、発芽することのできない環
境下に追いやることができれば、植物プランクトンの異
常増殖を有効に抑制できると考えた。そこで、かかる観
点から、周期的にアオコの発生が見られた6m以上の水
深を有する湖において、夏になる前に休眠胞子を、光が
殆ど届かない深い湖底へ沈降させることを試みたとこ
ろ、植物プランクトンの異常増殖が有効に抑制されるこ
とを見いだした。
【0040】以下、上記に挙げたような休眠胞子を除去
する方法について、更に詳細に説明する。本発明の第二
の発明において、光が殆ど届かないような深い湖底へ沈
降させる対象となる休眠胞子は、下記に述べるように、
通常の栄養細胞から休眠細胞に分化後、胞子となって湖
沼等の水域系の水底に沈降して存在すると予想される。
例えば、前記したAnabaenaでは、上記したよう
に、休眠細胞は、栄養細胞から分化して形成されるが、
その後、成熟して糸状体から切り離される。かかる休眠
細胞は、栄養細胞から分化するのに伴って、脂肪質の濃
縮が起こり顆粒が蓄積され、密度が高くなっていく。こ
の結果、通常の栄養細胞は、ガス胞を作り湖沼中の液面
に浮遊することが知られているが、休眠細胞は、栄養細
胞と比べて密度が高く(1.16〜1.18g/ml程
度)、ガス胞を作ることもなく、糸状体から分離後、胞
子となって沈降する傾向がある。
【0041】これに対し、水の流出入が緩慢であって、
水深が6m以上あるような深い湖やダム湖等の水域系に
おいても、その表面水層は、風等の自然現象で波浪を生
じ、これによって流動状態となる。又、水面が無風状態
にあったとしても、太陽熱で水面が暖められたり、気温
が下がって水面が冷やされたりすることによって水中に
対流が生じるため、必ず水の流動が起こる。しかし、こ
の場合に、水深の深い湖等においては、先に述べた水深
6m以下の浅い湖沼や堰等の場合と異なり、湖面等にお
ける風力や熱の影響が、深い水底にまでは届きにくいた
め、水面部分と水底部分とでは、その流動の様子は大き
く異なっている。即ち、水深の深い湖等においては、図
5に示したように、その時の自然環境によっても異なる
が、水面から2〜6m迄の水面近傍には、流動が比較的
に大きい水温躍層が形成されているのに対して、それよ
りも深い部分における流動は非常に小さく、微流動層に
なっている。
【0042】休眠胞子は、先に述べたように、環境スト
レスがかかる環境下において、植物プランクトンの栄養
細胞から分化して形成される。通常、植物プランクトン
は水面近傍を浮遊しているが、水深が6m以上あるよう
な深い湖やダム湖等の水域系にあっては、植物プランク
トンから分化した休眠胞子も、栄養細胞よりも密度が大
きいとは言え差程大きいものではないので、栄養細胞に
比べて沈降する傾向はあるものの深い湖底に沈むことは
なく、上記の水温躍層中を流動に乗って浮遊した状態に
ある。そして、水温躍層内の流動に乗って浮遊している
休眠胞子は、ダム湖等の水深6m以浅の湖岸周辺の水底
や側壁に到達すると沈降して、これらの部分に滞留する
と考えられる。このため、夏になって、環境が好転する
と、これらの水底や側壁に存在している休眠胞子や、水
温躍層内を浮遊している休眠胞子が一斉に発芽する。こ
の結果、水深が6m以上あるような深い湖やダム湖等の
水域系にあっても、先に述べた水深の浅い湖沼や河口堰
等の場合と同様に、植物プランクトンの異常増殖が生じ
るものと考えられる。
【0043】本発明の第二の発明は、特に、6mよりも
深い水深部分を有する緩慢に流動している水域系におけ
る植物プランクトンの異常増殖防止を目的としており、
その方法としては、休眠胞子を発芽前に発芽不能な水深
部分に沈降させることを特徴とする。その具体的な方法
としては、例えば、6mよりも深い水深部分を有する湖
においては、水面から水温躍層の下部に渡って流動抑制
物を配置させて、これにより、水温躍層よりも下方に休
眠胞子を沈降させる方法が挙げられる。具体的には、湖
の地形にもよるが、水温躍層は、水面から2〜6m迄の
範囲にあり、休眠胞子は沈降する傾向にあるため、例え
ば、水面から水面下6m以上の位置、具体的には、水面
から10〜30mの位置に渡って流動抑制物を配置させ
ることが好ましい。又、別の方法としては、10mより
も深い水深部分を有するダム湖の場合においては、その
水位を適宜に調節することが可能であることから、少な
くとも年に1回、水位を少なくとも5m以上下げ、その
後、水位を元に戻す方法が有効である。かかる方法によ
れば、水深6m以浅の湖岸周辺の水底及び側壁に沈降し
ていた休眠胞子や、水温躍層内を浮遊している休眠胞子
を下方に沈降させ、休眠胞子を発芽できない環境下に追
いやるることが有効である。以下、これらの方法につい
て説明する。
【0044】先ず、水面下に在る水温躍層を含むいずれ
かの位置に流動抑制物を配置させて、これにより、水温
躍層よりも下方に休眠胞子を沈降させる具体的な方法に
ついて説明する。本発明者らは、先に述べた特開平11
−179106号公報等に記載しているように、本発明
者らが流離と称している下記の作用を積極的に用いて、
植物プランクトン等の水中に浮遊する物質を効率よく集
積させて回収することを既に提案している。先に説明し
たように、ここで、流離とは、いかなる水域系において
も存在する流動の大小によって生じる固液分離現象をい
う。即ち、自然環境におけるいかなる水域系においても
水流が見られ、しかも、その中では流動の大小が必ず存
在し、更に、この流動の大小によって、流体中の固形物
は次第に流動の少ない方向に移動させられ、最終的に流
動が非常に少ない区域に停滞し、これによって水域系に
おいて固液分離現象が起こる。例えば、この現象の発現
として、河川において、沈水植物の群落の中や、流れの
遅い川辺や淀みに、細かい浮遊汚泥が多数集積すること
は、経験的によく知られている。本発明者らは、これま
でにも、かかる流離現象を積極的に利用することで、例
えば、植物プランクトン等の浮遊物を効率よく固液分離
して集積し、回収する方法や装置等を提案している。
【0045】上記した水面下の適宜な位置に流動抑制物
を配置させて、休眠胞子を発芽前に発芽不能な水深部分
に沈降させる手段は、上記の流離現象を積極的に利用し
たものである。即ち、図5に示したように、水深の深い
湖においては、水面近傍の、風や太陽熱の影響を受け易
い水温躍層の部分においては、大きい緩慢な流速を有す
る水温躍層が形成されているが、その下部は、水温の変
動が殆どなく、風の影響も少なく、上記の水温躍層と比
較して、より流動のない微流動層が形成されている。先
に述べたように、この場合に、水温躍層内の浅い位置に
水底や壁面があれば、これらの部分に到達した休眠胞子
は、流離現象によって流動の少ない部分に集積するが、
大部分の休眠胞子は、水温躍層内の流動に乗って浮遊し
ている(図5(a)参照)。休眠胞子は、通常の栄養細
胞に比べて沈降し易いが、水底や壁面がないと、密度が
差程大きいわけではないのでそれ以上沈降することはな
く、流動によって再び巻き上げられ、浮遊した状態を続
ける。このため、自然の状態にあっては、休眠胞子が、
水温躍層よりも深い微流動層を沈降して、深い水底近傍
に停滞するといったことは、殆ど起こり得ない。
【0046】そこで、本発明では、この水温躍層内に、
流動抑制物を、図5(b)に示したようにして配置させ
ることで、水温躍層内に流動の殆どない境界層を作る。
このようにすれば、先に述べた流離作用によって、休眠
胞子は、水温躍層内において、流動の殆どない境界層に
選択的に集積することになるが、かかる境界層では流動
がないため、流動に乗って巻き上げられることは生じな
いので、そのまま、更に下層の微流動層を沈降して行
き、休眠胞子は浅い側壁等に堆積することなく、深い水
底へ行き、除去できる。この結果、休眠胞子は、深い湖
底に沈降するが、湖底近傍では、流動が殆どないため、
再び水面近傍に上昇してくることはない。休眠胞子が発
芽し、増殖するためには、光や栄養塩成分を必要とする
ため、湖底深く沈降した休眠胞子が発芽することはな
く、植物プランクトンの異常増殖は有効に抑制される。
【0047】この場合に利用できる流動抑制物として
は、水面から6〜30m迄の範囲に配置でき、水温躍層
の緩やかな流動を止めて境界層を作成することができれ
ば、いずれにも限定されないが、本発明者らの検討によ
れば、流通を著しく低下させることのできる多数の孔或
いは空隙を有する部材である、例えば、ポリ塩化ビニル
シートを下記のように構成し、流動抑制物として用いる
ことが好適である。以下、図6を用いて説明する。本発
明に好適な流動抑制物としては、例えば、1.5m×2
mの厚さ1mmのポリ塩化ビニルシートを複数枚用い、
図6に示したように、これらを互いに連結具によって連
結して連結体とし、該連結体の上部に多数の浮きを設け
たものが挙げられる。ポリ塩化ビニルシートの数枚は、
設置する場所に応じて適宜に設計すればよく、例えば、
図6(a)のように、5枚×5段で25枚を連結ればよ
い。
【0048】このようなポリ塩化ビニルシート等の材料
からなる流動抑制物を、図7に示したように、水中の水
温躍層の適宜な位置に、水面に対して垂直に配置させる
と、水温躍層の流動が流動抑制物によって遮られ、流動
抑制物の周りに、流動のない境界層ができる。例えば、
図7に示したように、図の左側から右方向に流動があっ
た場合、流れが流動抑制物に当たると、一部は逆方向に
跳ね返され、一部は流動抑制物に吸収される。この結
果、流動抑制物の手前側では流れが減速し、流動の殆ど
ない境界層となる。又、このようにして流動抑制物によ
って流動が遮られると、図7に示したように、流動抑制
物の後ろ側も、流動のない境界層が形成されることにな
る。この結果、水温躍層の緩やかな流動に乗って浮遊し
ながら流動している休眠胞子は、先に述べた流離現象に
よって、水温躍層内に人為的に形成された流動のない境
界層に掃き寄せられて沈降する。そして、これらの境界
層では流動がないため、沈降した休眠胞子は、その地点
で更に沈降を続け、水温躍層の下層の微流動層を沈降し
て行き、湖底深く迄沈降し、その状態が維持されること
になる。
【0049】更に、発芽不能な水深部分に迄、休眠胞子
を沈降させる別の方法としては、下記の方法がある。か
かる方法は、その水位を人為的に変動させることのでき
るダム湖において有効な方法であるが、例えば、10m
よりも深い水深部分を有するダム湖において、少なくと
も年に1回、水位を少なくとも5m以上下げ、その後、
水位を再び元に戻すことが挙げられる。かかる方法によ
れば、水温躍層を浮遊流動して水深6m以浅の周囲水底
及び壁面に到達し、流動の殆どない部分に沈降し、滞留
している休眠胞子を、より下方に沈降させることができ
る。この結果、前記した方法の場合と同様に、休眠胞子
を、発芽できない環境下に追いやることができるので、
植物プランクトンの異常増殖を有効に抑制することが可
能となる。
【0050】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。 <実施例1>図1〜4に示した構造を有する筐体を、毎
年のようにアオコの発生が見られる小池の、水深約1.
5mの、藻が生えている水底部分に設置した。使用した
筐体の形状は、図1に示したように八角柱であり、その
大きさは、上面の正八角形の一辺の長さが150cmで
あり、筐体部分の外形の高さが約60cmのものを使用
した。該筐体の上面と、該上面と接する側面は、厚みが
20mmのプラスチック製のパネルを用いて形成した
が、該パネルには、15×15mmの多数の通水孔が設
けられている。又、筐体の底部には、図3(a)に示し
たように、非通水性の底板の10cm程度上側に、更
に、目開き15mm程度の多数の通水孔が設けられてい
る通水性の中間板が設けられているものを用いた。この
中間板と底板の間を、筐体の中央に在るφ=50mmの
回転軸に固着されている長さ約160cm程度の棒状部
材の一部が、非通水性の底板の表面に接しながら回転で
きるようになっている。棒状部材の吸込み棒の非通水性
の底板に対向する側には、図3(b)に示したように、
3×20mm程度の長孔の吸引孔が多数設けられてい
る。上記回転軸の内部の少なくとも一部には、図2
(b)に示したように、棒状部材の吸引孔から吸い込ま
れた集積物が通ることのできる通路が設けられている。
かかる通路を通じて、休眠胞子を含む集積物は、回転軸
の中央に設けられた3個のφ=15mmの開口から、φ
=40mmの内径を有する吸引・排出管によって外部へ
と、吸引され除去される。
【0051】吸引ポンプとしては、渦巻き形水中ポンプ
を用いた。又、回転軸を回転させるためのモーターとし
ては、減速ギヤ付きモータを用い、回転軸及びこれに固
着されている棒状部材を、0.1rpm/分の速さで回
転させた。
【0052】本実施例では、上記したような筐体を、1
2月〜3月にかけて、面積約21,000m2の池の水
底に1個、上記の条件で運転させながら、120日間設
置した。吸引除去された集積物について、顕微鏡で観察
したところ、多数の休眠胞子の存在を確認できた。更
に、試験した池は、毎年、夏になるとアオコの発生が観
察されていたが、その年の夏は、アオコが発生せず、休
眠胞子の除去が植物プランクトンの異常増殖防止に効果
があることを確認できた。
【0053】<実施例2>毎年、アオコの発生が見られ
た、縦60m、横70m及び水深約2m程度の大きさの
溜池において、3月上旬に、全ての水を勢いよく抜い
て、その後、水路から新たに水を入れた。この結果、そ
の年の夏にはアオコの発生がなかった。更に、毎年、同
様にして年1回の割合で、溜池から水を抜いたところ、
アオコの発生は見られず、溜池においては、水抜きが休
眠胞子の除去に有効に作用することがわかった。
【0054】<実施例3>本実施例では、11月に、面
積約7,000m2の池の水底近傍から、低比重泥を5
回に分け合計1,000リットル吸引除去した。吸引除
去の具体的な方法としては、水底から10cm上に配置
したプロペラを駆動して、流速1.5m/s程度の水流
を起こし、底泥を巻き上げ、巻き上がった底泥を水と共
にポンプで吸引して、地上に配置したトレイの中で自然
に沈降させ、上澄みは池に戻した。更に、吸引除去され
た低比重泥について、顕微鏡で観察したところ、休眠胞
子の存在が確認できた。更に、試験した池は、毎年、夏
になるとアオコの発生が観察されていたが、その年の夏
は、アオコが発生せず、上記方法による休眠胞子の除去
が植物プランクトンの異常増殖防止に効果があることを
確認できた。
【0055】(第二の発明) <実施例4>図6に示したような、4m×3m及び厚さ
1mmの大きさのポリ塩化ビニルシートを連結具で、一
段を5枚として、5段繋げた連結体の上部に、列毎にポ
リ塩化ビニル製の浮き及び錘を取り付けた流動抑制物を
用意した。これを、12月〜3月にかけて120日間、
アオコの発生が見られる水深が深い所で60m程度ある
湖の中央部付近に、図5(b)に示したようにして、浮
きと支持タイヤを用いて配置したところ、その年の夏
は、アオコが発生しなかった。この結果、上記の方法に
よって、休眠胞子を、発芽できない湖底に沈降させるこ
とができ、これにより、植物プランクトンの異常増殖防
止に効果があることが確認できた。
【0056】<実施例5>毎年、アオコの発生が見られ
たダム湖において、3月上旬に1回、放水して水位を1
0m下げ、その後、満水にした。この結果、その年の夏
にはアオコの発生がなかった。従って、この方法によっ
て、ダム湖の6m以浅の周囲部分や壁面に滞留し浮遊し
ていると考えられる休眠胞子が、水位を下げたことによ
って、発芽できない環境の湖底部分へと移動し、これに
より、植物プランクトンの異常増殖防止が可能となるこ
とが確認できた。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
簡易な手段によって、しかも、薬剤を使用した場合のよ
うに二次汚染を発生することなく、植物プランクトンの
異常増殖を有効に抑制することが可能となる植物プラン
クトンの異常増殖の抑制方法、及び、それに用いる休眠
胞子の除去装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の休眠胞子の除去装置の一例の外観を示
す概略斜視図、及び、その一部構造を示す概略図であ
る。
【図2】図1の休眠胞子の除去装置の内部の概略を示す
斜視図、及び、その一部構造を示す概略図である。
【図3】図1の休眠胞子の除去装置の概略構造を示す断
面図、及びこれに使用する棒状部材を示す概略図であ
る。
【図4】図1の休眠胞子の除去装置の内部構造を説明す
るための概略図である。
【図5】水深6mよりも深い水深を有する湖における流
動状態を説明するための図である。
【図6】本発明で使用する流動抑制物の一例の概略図で
ある。
【図7】流動抑制物の近傍の状態を説明するための図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/00 ZAB C02F 1/00 ZABW E02B 7/00 E02B 7/00 Z

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自然の力によって流動している水域系に
    存在している休眠胞子を発芽前に除去することを特徴と
    する植物プランクトンの異常増殖の抑制方法。
  2. 【請求項2】 自然の力によって流動している水域系が
    溜池であって、且つ、休眠胞子を発芽前に除去する手段
    が、少なくとも年に1回の水抜きである請求項1に記載
    の植物プランクトンの異常増殖の抑制方法。
  3. 【請求項3】 自然の力によって流動している水域系が
    水深6m以下の湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池のいずれ
    かであって、且つ、休眠胞子を発芽前に除去する手段
    が、低比重泥の吸引除去である請求項1に記載の植物プ
    ランクトンの異常増殖の抑制方法。
  4. 【請求項4】 自然の力によって流動している水域系が
    水深6m以下の湖沼、ダム湖、河口堰及び溜池のいずれ
    かであって、且つ、休眠胞子を発芽前に除去する手段
    が、上記いずれかの水域系の水底に、少なくとも上面
    と、該上面と接する側面の少なくとも一部とが多数の通
    水孔を有する遮流板で構成され、且つ、非通水性の底面
    を有する筐体を設置することで、該筐体内に休眠胞子を
    集積させて捕捉し、その後に捕捉した休眠胞子を吸引除
    去することである請求項1に記載の植物プランクトンの
    異常増殖の抑制方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の植物プランクトンの異
    常増殖の抑制方法に用いる休眠胞子の除去装置であっ
    て、底面が非通水性の材料からなり、上面と、該上面と
    接する側面の少なくとも一部とが多数の通水孔を有する
    遮流板で構成されている筐体と、該筐体の底部に集積さ
    れる休眠胞子を吸引除去するための手段とを有すること
    を特徴とする休眠胞子の除去装置。
  6. 【請求項6】 休眠胞子を吸引除去するための手段が、
    筐体の中央に配置した回転軸と、該回転軸に固着され、
    且つ、筐体の底面に対向する面に少なくとも1個の吸引
    孔が設けられている棒状部材とを有し、更に、該棒状部
    材の吸引孔から吸引された休眠胞子が、該吸引孔に連通
    している上記回転軸に設けられた少なくとも2個の開口
    から外部へと吸引除去できるように構成されている請求
    項5に記載の休眠胞子の除去装置。
  7. 【請求項7】 更に、筐体の非通水性の底面の上側に、
    該底面の大部分を覆う範囲に、該底面との間に間隙が保
    持される状態で通水性の中間板が設けられている請求項
    5又は6に記載の休眠胞子の除去装置。
  8. 【請求項8】 6mよりも深い水深部分を有する自然の
    力によって流動している水域系において、休眠胞子を、
    発芽前に発芽不能な水深部分に沈降させることを特徴と
    する植物プランクトンの異常増殖の抑制方法。
  9. 【請求項9】 発芽不能な水深部分に沈降させる方法
    が、6mよりも深い水深部分を有する湖において、水面
    から深さ6〜30mに渡って流動抑制物を配置すること
    で、水温躍層より下方に休眠胞子を沈降させることであ
    る請求項8に記載の植物プランクトンの異常増殖の抑制
    方法。
  10. 【請求項10】 流動抑制物が、流通を著しく低下させ
    ることのできる多数の孔或いは空隙を有する複数の部材
    を連結具によって連結した連結体であって、且つ、連結
    体の上部に浮きが設けられているものである請求項9に
    記載の植物プランクトンの異常増殖の抑制方法。
  11. 【請求項11】 発芽不能な水深部分に沈降させる方法
    が、10mよりも深い水深部分を有するダム湖におい
    て、少なくとも年に1回、水位を少なくとも5m以上下
    げ、その後、水位を元に戻して、水深6m以浅の湖岸周
    辺の水底及び側壁に沈降していた休眠胞子を下方に沈降
    させることである請求項8に記載の植物プランクトンの
    異常増殖の抑制方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010190002A (ja) * 2009-02-20 2010-09-02 Chugoku Electric Power Co Inc:The アオコ増殖抑制方法
KR101804036B1 (ko) * 2016-01-25 2017-12-04 오춘근 무동력 조류 제거장치 및 이를 이용한 조류 제거방법
CN108585211A (zh) * 2018-05-31 2018-09-28 中国环境科学研究院 用于高风浪、低透明度水体区域的多级净化生态消浪系统

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