JP2002056998A - 減圧下での除電方法 - Google Patents
減圧下での除電方法Info
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Abstract
状であっても減圧下(真空中)で高性能かつ高密度の除
電ができる除電方法を提供する。 【解決手段】 プラス・マイナスの放電電極2・3を真
空室1a内に設置してプラス・マイナスの高電圧をそれ
ぞれ印加し、プラス・マイナスの放電電極2・3間でグ
ロー放電が生じせながらマイナス放電電流が最大域に達
するまで真空室内1aを減圧し、被除電物Fを真空室内
の放電プラズマ雰囲気で除電する。
Description
下で除電する方法に関する。
せてプラス・マイナスのイオンを生成し、そのプラス・
マイナスのイオンにより帯電物体を除電するのが通念
で、空気(ガス分子)が希薄になる減圧下(真空中)で
は、空気の電離が起こりにくくなるため、プラス・マイ
ナスのイオンが生成せず、除電できないという考えであ
った。
たり三次元の帯電面を除電するような場合、例えば送風
により空気を積極的に送っているが、高密度に除電する
ことができず、特に、プラス・マイナス両方の極性が模
様のように複雑に混在している様相の帯電(帯電模様)
に対しては、除電ムラや逆帯電という問題を払拭するこ
とができなかった。
密度に除電できる方法として、特許第2651476号
公報に記載されているように、平面的な拡がりをもった
イオン吸引電極を用い、これを正負イオン生成用除電電
極に対して帯電物体を挟んで対向配置し、このイオン吸
引電極に、正負が交互に逆極性になる高電圧を交互に印
加し、正負イオン生成用除電電極で発生した正負のイオ
ンをイオン吸引電極で吸引して帯電物体に強制的に照射
する除電方法を提供している。
面積よりも大きいイオン吸引電極を必要とするため、装
置規模が大きくなるうえに、イオン吸引電極及び正負イ
オン生成用除電電極のための電源装置も複雑になるなど
の問題がある。
きる方法(例えば特公平5−12839号公報参照)も
提案しているが、弱帯電の場合しか適用できず、また高
密度の除電は期待できない。
物体が、強帯電であってもかつ三次元形状であっても減
圧下(真空中)で高性能かつ高密度の除電ができる除電
方法を提供することにある。
ラス・マイナスの放電電極を真空室内に設置してプラス
・マイナスの高電圧をそれぞれ印加し、プラス・マイナ
スの放電電極間でグロー放電が生ずるまで真空室内を減
圧し、被除電物を真空室内の放電プラズマ雰囲気で除電
することを特徴とする。
大域に達するまで行う。その減圧は、真空室内のガスが
空気の場合、20kPa〜1Paである。
マイナスの放電電極に抵抗を接続し、抵抗を介してプラ
ス・マイナスの高電圧をそれぞれ印加する。
に基づいて詳細に説明する。
真空容器1内の所定位置に、針状のプラス放電電極2と
マイナス放電電極3とが所定の間隔をおきかつ先端を同
方向に向けて設置されている。具体的には、これらプラ
ス・マイナスの放電電極2・3は、図2に示すように、
絶縁基板4に植設した有底の導電性ブッシュ5に基端部
を嵌入させて絶縁基板4上に平行に保持され、各放電電
極2・3には、いわゆる抵抗結合にするため、絶縁基板
4の裏面に実装した抵抗6がそれぞれ接続されている。
放電電極3は、一対、又は複数対が所定の間隔をおいて
絶縁基板4に直線上に設けられている。また、絶縁基板
4には、プラス・マイナスそれぞれの電源配線7・8が
プリント配線されている。そして、この絶縁基板4を、
図3に示すように、導電性ブッシュ5及び抵抗6と共に
断面C字形の電極ホルダ9内において樹脂10に埋設し
て、プラス・マイナスの放電電極2・3の先端部を樹脂
表面から突出させることにより、全体として一本の放電
電極ユニット11となっている。この放電電極ユニット
11を真空容器1内において架台に水平に固定すること
により、プラス・マイナスの放電電極2・3は真空容器
1内の所定位置に固定設置されている。
縁基板4上の電源配線7・8を介して真空容器1外の直
流高電圧電源12に電気接続され、プラス放電電極2に
はプラスの直流高電圧が抵抗6を介して印加され、マイ
ナス放電電極2にはマイナスの直流高電圧が抵抗6を介
して同時に印加される。
5号公報に開示されている直流除電器用のものと同様
に、自励発振回路と昇圧回路を用いて昇圧し、これをプ
ラス側倍電圧整流回路とマイナス側倍電圧整流回路にて
整流して、プラスの直流高電圧とマイナスの直流高電圧
を別々に生成するもので、プラス・マイナスそれぞれ倍
電圧整流回路の段数により変えることができる構成にな
っている。
透明になっているが、その基台13は不透明である。真
空容器1内、つまり真空室1aは、外部の真空ポンプ
(図示せず)により無段階に徐々に真空圧(大気圧以
下)に減圧できるようになっている。
電装置を用い、被除電物Aを真空室1a内に入れて、プ
ラス・マイナスの放電電極2・3にプラス・マイナスの
直流高電圧をそれぞれ印加したまま、これら放電電極2
・3間でグロー放電が生ずるまで真空室1a内を減圧す
ることにより、被除電物Aを真空室1a内の放電プラズ
マ雰囲気で除電する。以下に本発明者らが行った実験と
その結果について説明する。
フィルム)を、プラス・マイナスの放電電極2・3から
距離L1だけ離して対向させて真空室1aに設置し、プ
ラス・マイナスの放電電極2・3に印加する高電圧はプ
ラス・マイナス同じにして、真空室1aの真空度を徐々
に上げて被除電物Aに対する除電実験をし、被除電物A
の表面(フィルム面)の帯電模様に対する除電を確認し
た。
Aの後方に更に距離L2だけ離して金属の帯電板Bを真
空室1a内に垂直に立てて設置し、この帯電板Bに電流
計14を接続し、その接続側とは反対側の電流計の極は
接地した。帯電板Bから電流計14に流れる放電電流と
して、プラスの放電電流を測定する場合には、マイナス
の放電電極3に接続されている放電電極ユニット11の
マイナス側入力端は直流高電圧電源12から切り離して
大気中に開放し、プラスの放電電流はマイナスの放電電
極3に流れない処置をした。同様に、マイナスの放電電
流を測定する場合には、プラスの放電電極2に接続され
ている放電電極ユニット10のプラス側入力端は直流高
電圧電源12から切り離して大気中に開放し、マイナス
の放電電流はプラスの放電電極2に流れない処置をし
た。
を減圧して圧力(kPa)を下げ、帯電板Bに流れるプ
ラス放電電流(μA)とマイナス放電電流(μA)を別
々に測定した圧力−放電電流特性のグラフである。図5
はその一部を対数目盛にして示すグラフである。 プラス・マイナスの放電電極2・3間の距離 50m
m プラス・マイナスの放電電極2・3への印加電圧 +
5kV、−5kV 放電電極2・3と被除電物Aとの距離L1 50mm 帯電板Bのサイズ 150×150mm 被除電物Aと帯電板Bとの距離L2 50mm 帯電板Bの材質 ステンレス 抵抗6の抵抗値 200MΩ
流及びマイナス放電電流ともに、20kPaあたりから
急激に上昇し、その急激な上昇に従いプラス・マイナス
の放電電極2・3間でのグロー放電による青紫色の発光
量が急激に増加するのが、肉眼でも観察され、プラス放
電電極2ではその針の先端のみが点状に発光したままで
あるが、マイナスの放電電極3については、発光が針の
先端から球形に拡がり、マイナス放電電流の急激な上昇
に伴い発光の球形が膨張して拡大するのが観察された。
これは真空室1aでプラズマが発生しているためである
と想像される。このようなプラス・マイナス両極性の放
電電流の上昇推移は圧力を更に下げても続き、プラス放
電電流とマイナス放電電流とが共に最高域になるまでは
ほぼ同じような上昇カーブであるが、プラス放電電流は
最高域からさほど減衰しないのに、マイナス放電電流は
最高域になってから圧力の更なる低下に従い急激に減衰
し、その減衰に伴いマイナスの放電電極3の周囲の球形
の発光の大きさも収縮するのが観察された。
減圧して一定にし、マイナス放電電極3にマイナス高電
圧を可変して印加し、帯電板Bに流れる電流とマイナス
放電電極3からの放電電流を測定した。図7は、同様に
プラス放電電極2にプラス高電圧を可変して印加し、帯
電板Bに流れる電流とプラス放電電極2からの放電電流
を測定した。いずれの場合も、真空室1aの底面、つま
り基台13の金属表面は絶縁フィルムで絶縁し、抵抗6
の抵抗値は200MΩとしたところ、プラス・マイナス
の2極の放電電極2・3から放電した。図6及び図7に
おいて、0から90μAまでの実線は、放電電極2・3
を短絡させたときに流れた短絡時の放電電流を示す。
内を減圧した場合のプラス・マイナスの放電電流は、大
気圧中に比べて大きな値(図4に示す100kPaが大
気圧中での放電電流値で、この値は1μA程度)が測定
されている。このことから、プラズマによる導電性が最
高に達したことで、短絡電流に近い放電電流が得られ、
これが高密度の除電に有効に利用できると思われる。
Hg)の変化に対するマイナス放電電流の特性グラフ、
図9は同様にプラス放電電流の特性グラフである。
ス・マイナス両方の極性が複雑に混在した帯電模様を呈
していることから、その帯電状況と除電状況とを視覚的
に把握するため、静電式複写に使用される2種のトナー
を用い、プラスの帯電極性部分には青トナー、マイナス
の帯電極性部分には赤トナーを付着させて、真空室1a
内の圧力の変化に対するフィルム表面の除電状況を観測
した。直流高電圧電源11の電源オン時間はそれぞれ1
秒である。
している。実際にはプラス・マイナス両方の極性が混在
していることから、プラスの帯電極性部分は青色、マイ
ナスの帯電極性部分は赤色で現れているが、カラーで図
示できないため、帯電部分は全て黒で表さざるを得ない
ので、プラス・マイナス両方の帯電極性部分を全て黒で
表現した図と、その中からプラスの帯電極性部分のみを
取り出して黒で表現した図と、マイナスの帯電極性部分
のみを取り出して黒で表現した図の3つに分けて示して
いる。黒色の濃淡は帯電電位の強弱を表している。
する前(空気中)のフィルム表面に現れたプラス・マイ
ナス両方の帯電模様(青と赤)を示した図、図12は、
その中からプラスの帯電模様のみ(青のみ)を取り出し
た図、図13は、マイナスの帯電模様のみ(赤のみ)を
取り出した図である。
47.88kPaにしてフィルムを除電したときのプラ
ス・マイナス両方の帯電模様を示した図、図15は、そ
の中からプラスの帯電模様のみを取り出した図、図16
は、マイナスの帯電模様のみを取り出した図である。
て除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様を示
した図、図18は、その中からプラスの帯電模様のみを
取り出した図、図19は、マイナスの帯電模様のみを取
り出した図である。
て除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様を示
した図、図21は、その中からプラスの帯電模様のみを
取り出した図、図22は、マイナスの帯電模様のみを取
り出した図である。
て除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様を示
した図、図24は、その中からプラスの帯電模様のみを
取り出した図、図25は、マイナスの帯電模様のみを取
り出した図である。
除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様を示し
た図、図27は、その中からプラスの帯電模様のみを取
り出した図、図28は、マイナスの帯電模様のみを取り
出した図である。
除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様を示し
た図、図30は、その中からプラスの帯電模様のみを取
り出した図、図31は、マイナスの帯電模様のみを取り
出した図である。
除電したときのフィルム表面で、帯電模様は現れなかっ
た。
圧力−放電電流特性図とを対比すれば分かるように、真
空室1aの圧力の低下につれて放電電流が上昇するのに
伴い、フィルム面の帯電模様が次第に少なくなるととも
に色も希薄になり、放電電流が最高域になっている圧力
1.33kPaのときには、図32に示すようにプラス
・マイナス両極性とも帯電模様は全く消滅し、高密度に
綺麗に除電されていることを示している。
ィルムの裏面(放電電極2・3とは反対側)にトナー付
着させた場合も同様であった。このような減圧の進行に
伴う現象、つまり真空度が高くなる(圧力が低下する)
に従い空気が希薄になり、電離する空気量が減少してい
くのに、除電性能が高まっていく現象は、プラス・マイ
ナスの放電電極間の放電で空気を電離させて、プラス・
マイナスのイオンのみで除電していた従来の除電法の考
えとは適合せず、真空室1a全体が放電プラズマ雰囲気
(荷電粒子であるイオンと電子が混在して電気的に中性
な状態)になっていて、中性なプラズマによりフィルム
の帯電部分がプラス・マイナス両極性とも同時に除電さ
れるからであると想像される。また、プラズマに電界が
印加されると、荷電粒子であるイオンと電子の移動に伴
ってプラズマ中に電流が流れてプラズマに導電性が生
じ、これが上記のように測定された放電電流を引き起こ
し、放電電流が最高域になったところがプラズマの導電
性が最高に上昇したことと符合すると思われる。
の低下に伴い上昇して最高域に達した後、更に圧力を下
げていくと、図5に示すように減衰し、その減衰の度合
いは、圧力が1Pa未満でマイナス放電電流の方がプラ
ス放電電流よりはるかに急激で、マイナスの放電電極3
の周囲に生じている球形の発光の大きさが急激に収縮す
るのが観察された。これは、圧力を下げ過ぎると放電電
流が低下し、却って除電性能が低下することを示してい
る。
明するために、圧力の変化に伴う分子及び電子の平均自
由行程の変化について計算した。分子及び電子の平均自
由行程は近似的に次式で求められる。
電子の平均自由行程、Pは圧力[Torr]で、K[×10-3]は
ガスにより異なり、次の表1に示すとおりである。
空気の平均自由行程を求めたところ表2のようになっ
た。図10はこれをグラフで表したものである。
図4、図8及び図9の圧力−放電電流特性のグラフとを
対比すれば分かるように、平均自由行程が急激に上昇す
る圧力域では放電電流も急激な上昇推移を呈し、平均自
由行程の上昇推移と放電電流の上昇推移とは符合してい
る。従って、放電電流の急激な上昇は、真空室1aでの
空気の分子数の減少以上に、平均自由行程の急激な上昇
が大きく寄与していると言える。しかし、更に圧力が低
下したときには、平均自由行程は更に上昇するが、上記
のようにマイナス放電電流は急激に減衰しており、これ
は分子数の減少に伴うイオンの急激な減少の度合いの方
が大きくなったためであると思われる。
から抵抗結合用の抵抗6を外した状態で実験したとこ
ろ、図6及び図7に示した特性のように、減圧下では導
電性が向上し、短絡電流に近い放電電流が流れるため、
1個の放電電極から大きなプラズマ放電が接地体に向か
って流れ、安定なグロー放電を生成することができず、
上記と同等の除電効果が得られなかった。
物体を強帯電であっても減圧下(真空中)で高性能かつ
高密度の除電ができる。また、三次元形状の帯電物体で
あっても、その内部まで高密度に除電でき、更に装置規
模も小さくできる。
合にも、ある減圧下で除電することで、帯電模様までし
かもプラス・マイナスの帯電極性に関係なく綺麗に除電
できるので、実用価値の高い新たな除電方法を提供でき
る。
極の実装構造を示す一部分の斜視図である。
て全体として一本の放電電極ユニットとした断面図であ
る。
プラス放電電流とマイナス放電電流とを別々に測定した
圧力−放電電流特性のグラフである。
る。
にマイナス高電圧を可変して印加し、帯電板に流れる電
流とマイナス放電電極からの放電電流を測定した、マイ
ナス印加電圧の変化に対する放電電流の特性グラフであ
る。
して印加し、帯電板に流れる電流とプラス放電電極から
の放電電流を測定した、プラス印加電圧の変化に対する
放電電流の特性グラフである。特性グラフである。
ス放電電流の特性グラフである。
自由行程の変化を示すグラフである。
前のフィルム面に現れたプラス・マイナス両方の帯電模
様を示す図である。
を取り出した図である。
図である。
ルムを除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様
を示した図である。
た図である。
図である。
ルムを除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様
を示した図である。
た図である。
図である。
ルムを除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様
を示した図である。
た図である。
図である。
ルムを除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様
を示した図である。
た図である。
図である。
ムを除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様を
示した図である。
た図である。
図である。
ムを除電したときのプラス・マイナス両方の帯電模様を
示した図である。
た図である。
図である。
のフィルム表面の図である。
1)
激に上昇するところから最大域に達するまでの範囲内で
行う。その減圧は、真空室内のガスが空気の場合、20
kPa〜1Paである。
7)
激に上昇するところから最大域の範囲内で行う。その減
圧は、真空室内のガスが空気の場合、20kPa〜1P
aである。なお、ここで1Paは、実施例で示している
ようにマイナス放電電流値が最大になるところでなく、
最大になってから下降したところであり、本発明で言う
「最大域」とは、このように最大値から下降したところ
までを含めた意味である。
Claims (4)
- 【請求項1】プラス・マイナスの放電電極を真空室内に
設置してプラス・マイナスの高電圧をそれぞれ印加し、
プラス・マイナスの放電電極間でグロー放電が生ずるま
で真空室内を減圧し、被除電物を真空室内の放電プラズ
マ雰囲気で除電することを特徴とする減圧下での除電方
法。 - 【請求項2】真空室内の減圧は、マイナス放電電流が最
大域に達するまで行うことを特徴とする請求項1に記載
の減圧下での除電方法。 - 【請求項3】真空室内を20kPa〜1Paまで減圧す
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の減圧下での
除電方法。 - 【請求項4】プラス・マイナスの放電電極に抵抗を接続
し、抵抗を介してプラス・マイナスの高電圧をそれぞれ
印加することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の
減圧下での除電方法。
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