JP2002055365A - 液晶表示素子及び積層型液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子及び積層型液晶表示素子

Info

Publication number
JP2002055365A
JP2002055365A JP2000243119A JP2000243119A JP2002055365A JP 2002055365 A JP2002055365 A JP 2002055365A JP 2000243119 A JP2000243119 A JP 2000243119A JP 2000243119 A JP2000243119 A JP 2000243119A JP 2002055365 A JP2002055365 A JP 2002055365A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
substrate
crystal display
film
substrates
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000243119A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuyo Matsumoto
光代 松本
Shoji Kotani
昌二 小谷
Noboru Ueda
昇 上田
Hideaki Ueda
秀昭 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP2000243119A priority Critical patent/JP2002055365A/ja
Publication of JP2002055365A publication Critical patent/JP2002055365A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カイラルネマティック液晶を含む液晶層と、
液晶層を挟持する基板を有し、基板上に安定化膜、或い
は、安定化膜及び絶縁膜が形成されている液晶表示素子
であり駆動電圧が低く、コントラストの良好な液晶表示
素子を提供する。 【解決手段】 液晶セルCb、Cg、Crが積層された
液晶表示素子LE3。液晶セルCb、Cg、Crは、液
晶層Lb、Lg、Lrを有している。液晶層Lb、L
g、Lrは、青、緑、赤色領域に選択反射波長を有する
カイラルネマティック液晶を含んでいる。各液晶層の厚
みを3μm〜6μmの範囲とする。各液晶層はそれぞれ
基板S1、S2に挟持されている。基板S1には電極E
1、絶縁膜IS1、安定化膜ST1が形成されており、
絶縁膜IS1と安定化膜ST1の膜厚の合計を300Å
〜1500Åの範囲とする。基板S2には電極E2、安
定化膜ST2が形成されており、安定化膜ST2の膜厚
を300Å〜1500Åの範囲とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶層を含む液晶表
示素子に関する。また、本発明は、複数の液晶層が積層
された積層型液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、一対の基板と、基板間
に配置された液晶層を有している。
【0003】液晶表示素子においては、液晶層中の液晶
に電界を印加することで液晶分子の配列を制御し、液晶
表示素子への入射光を変調するなどして、目的とする画
像の表示を行う。
【0004】液晶表示素子においては、液晶層に電界を
印加するために、液晶層を挟持する一対の基板上にはそ
れぞれ電極が設けられている。基板上には、電極の他
に、安定化膜、絶縁膜などの所定の目的を持った機能膜
が形成されることもある。
【0005】近年、ネマティック液晶にカイラル剤を添
加することにより、室温にてコレステリック相を示すよ
うにしたカイラルネマティック液晶を用いた液晶表示素
子に関して種々の提案がなされている。カイラルネマテ
ィック液晶を用いた液晶表示素子は、カイラルネマティ
ック液晶の選択反射特性を利用して、消費電力の小さい
反射型の液晶表示素子として利用できる。
【0006】液晶表示素子においては、良好な画像表示
のために明るい表示が行えることや高いコントラストが
求められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液晶表
示素子において、絶縁膜、安定化膜等の機能膜を基板上
に設ける場合には、その機能膜によって駆動電圧の上昇
や、コントラストの低下を招いてしまうことがある。
【0008】そこで、本発明は、カイラルネマティック
液晶を含む液晶層と、液晶層を挟持する基板を有し、基
板上に安定化膜が形成されている液晶表示素子であっ
て、駆動電圧が低く、コントラストの良好な液晶表示素
子を提供することを課題とする。
【0009】また、本発明は、カイラルネマティック液
晶を含む液晶層と、液晶層を挟持する基板を有し、基板
上に安定化膜及び絶縁膜が形成されている液晶表示素子
であって、駆動電圧が低く、コントラストの良好な液晶
表示素子を提供することを課題とする。
【0010】また、本発明は、積層された複数のカイラ
ルネマティック液晶を含む液晶層と、各液晶層を挟持す
る複数の基板を有し、基板上に安定化膜が形成されてい
る積層型液晶表示素子であって、駆動電圧が低く、コン
トラストの良好な積層型液晶表示素子を提供することを
課題とする。
【0011】また、本発明は、積層された複数のカイラ
ルネマティック液晶を含む液晶層と、各液晶層を挟持す
る複数の基板を有し、基板上に安定化膜及び絶縁膜が形
成されている積層型液晶表示素子であって、駆動電圧が
低く、コントラストの良好な積層型液晶表示素子を提供
することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】[1]液晶表示素子 本発明は、次の第1及び第2の二つのタイプの液晶表示
素子を提供する。
【0013】第1タイプの液晶表示素子は、第1及び第
2の一対の基板と、前記第1基板と第2基板の間に挟持
された液晶層とを備えており、前記液晶層は室温でコレ
ステリック相を示すカイラルネマティック液晶を含んで
おり、該液晶層の厚みが3μm〜6μmの範囲にあり、
前記第1基板上には安定化膜が形成されており、該第1
基板上の該安定化膜の厚みが300Å〜1500Åの範
囲にあることを特徴とする液晶表示素子である。
【0014】第2タイプの液晶表示素子は、第1及び第
2の一対の基板と、前記第1基板と第2基板の間に挟持
された液晶層とを備えており、前記液晶層は室温でコレ
ステリック相を示すカイラルネマティック液晶を含んで
おり、該液晶層の厚みが3μm〜6μmの範囲にあり、
前記第1基板上には安定化膜及び絶縁膜が形成されてお
り、該第1基板上の該安定化膜と該絶縁膜の厚みの合計
が300Å〜1500Åの範囲にあることを特徴とする
液晶表示素子である。
【0015】本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素
子も、液晶層と、この液晶層を挟持するための第1及び
第2の一対の基板を有している。
【0016】本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素
子も、液晶層を一つだけ有する単層の液晶表示素子であ
っても、積層された複数の液晶層を有する積層型液晶表
示素子のいずれであってもよい。積層型液晶表示素子
は、複数の液晶層をそれぞれ挟持するために複数の基板
を有している。なお、本発明に係る液晶表示素子が複数
の液晶層を有する積層型液晶表示素子の場合、以下に述
べる事項は少なくとも一つの液晶層、その液晶層を挟持
する第1及び第2の一対の基板、並びに、これら第1及
び第2基板上に形成された膜に関する。
【0017】液晶層は第1基板と第2基板の間に配置さ
れている。液晶層は液晶(液晶組成物)が層をなしてい
るものである。すなわち、第1基板と第2基板の間に層
状に液晶が配置されている。液晶(液晶層)は、第1基
板と第2基板の間に挟持されている。
【0018】第1基板と第2基板の間からの液晶漏れを
防止するために、第1基板と第2基板の間の液晶を囲む
位置にはシール壁を設けてもよい。換言すれば、液晶
は、第1基板、第2基板及びシール壁により囲まれる空
間内に配置してもよい。シール壁は、シール材料により
形成すればよい。
【0019】本発明に係る液晶表示素子においては、液
晶層中の液晶はカイラルネマティック液晶(カイラルネ
マティック液晶組成物)である。カイラルネマティック
液晶は、ネマティック液晶にカイラル剤を添加したもの
である。カイラルネマティック液晶は、室温でコレステ
リック相を示す。
【0020】電界が印加されていないときには、コレス
テリック相を示す液晶(したがってカイラルネマティッ
ク液晶)は、プレーナ状態、フォーカルコニック状態又
はこれらが混在した状態のいずれかにある。各状態では
液晶分子の配列状態等が異なっている。
【0021】プレーナ状態のときには、液晶分子のヘリ
カル軸が基板に対して垂直に並んでいる。そして、プレ
ーナ状態の液晶は、ヘリカルピッチと該液晶の平均屈折
率の積に対応する波長の光を選択的に反射する。選択反
射波長が可視域にある場合には、プレーナ状態の液晶は
選択反射波長に対応する色に見える。また、選択反射波
長が赤外域にある場合には、プレーナ状態の液晶は透明
に見える。
【0022】フォーカルコニック状態のときには、液晶
分子のヘリカル軸が基板に平行な面内で不規則な方向を
向いている。そのため、フォーカルコニック状態の液晶
は入射光を散乱する。選択反射波長が可視域にある場合
には、液晶分子のヘリカルピッチが短いので入射光の散
乱が小さくなり、フォーカルコニック状態の液晶はほぼ
透明に見える。ヘリカルピッチが可視光波長より大きい
と、フォーカルコニック状態の液晶は白濁して見える。
【0023】コレステリック相を示す液晶は、上記のよ
うにプレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した
状態となることもある。選択反射波長が可視域にある場
合には、プレーナ状態とフォーカルコニック状態とが混
在した状態の液晶は、プレーナ状態とフォーカルコニッ
ク状態の割合等に応じて、選択反射波長に対応した色か
ら無色透明までの間の中間色に液晶は見える。
【0024】したがって、プレーナ状態とフォーカルコ
ニック状態の間で液晶の状態を変えることで、コレステ
リック相を示す液晶は、選択反射状態(プレーナ状
態)、透明状態(フォーカルコニック状態)又はこれら
の中間の状態となる。また、選択反射波長が赤外域にあ
る場合には、液晶の状態を変えることで、コレステリッ
ク相を示す液晶は、透明状態(プレーナ状態)、白濁状
態(フォーカルコニック状態)又はこれらの中間の状態
となる。これらにより、コレステリック相を示す液晶
(したがってカイラルネマティック液晶)を用いると、
階調表示を行うことができる。
【0025】本発明に係る液晶表示素子において基板間
に配置する液晶は、室温でコレステリック相を示すカイ
ラルネマティック液晶(カイラルネマティック液晶組成
物)である。上記のようにカイラルネマティック液晶
は、液晶分子のヘリカルピッチに応じた波長の光を選択
的に反射する。そのため、基板間にカイラルネマティッ
ク液晶が配置された本発明の液晶表示素子は、反射型の
液晶表示素子として利用することができる。カイラルネ
マティック液晶は、カイラル剤の添加量や種類によって
選択反射波長を簡単に調整できる利点がある。
【0026】カイラルネマティック液晶に電界を印加し
て、その状態をプレーナ状態とフォーカルコニック状態
の間で変えるために、液晶を挟持する第1及び第2基板
にはそれぞれ電極が形成されている。少なくとも観察側
に配置される電極は透光性を有するものとすればよい。
電極材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxid
e: インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxid
e:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電材料、アルミニ
ウム、シリコン等の金属材料、アモルファスシリコン、
BSO(Bismuth Silicon Oxide )等の光導電性材料な
どを採用すればよい。
【0027】各基板上には、例えば、液晶表示素子を単
純マトリクス駆動又はアクティブマトリクス駆動できる
ように電極をそれぞれ形成しておけばよい。アクティブ
マトリクス駆動する場合には、電極の他にTFTやMI
M等のアクティブ素子を基板上に形成しておけばよい。
【0028】電極間に所定電圧(例えばパルス電圧)を
印加して、カイラルネマティック液晶に電界を印加する
と、カイラルネマティック液晶は、その液晶分子の長軸
方向が電界の向きに応じた方向に並んだホメオトロピッ
ク状態になろうとする。正の誘電異方性を有するカイラ
ルネマティック液晶は、その長軸方向が電界の向きに平
行に並んだホメオトロピック状態になろうとする。この
現象を利用して、電界の印加により液晶の配列状態を変
化させることができる。例えば、以下のような方法でカ
イラルネマティック液晶をプレーナ状態、フォーカルコ
ニック状態又はこれらが混在した状態に変化させること
ができる。
【0029】印加する電圧の大きさや、印加時間などに
応じて、電圧印加停止直前のカイラルネマティック液晶
は完全なホメオトロピック状態となったり、不完全なホ
メオトロピック状態になる。電圧印加時(電圧印加停止
直前)のカイラルネマティック液晶の状態に応じて、電
圧印加停止後のカイラルネマティック液晶の状態が決ま
る。電圧印加時にカイラルネマティック液晶が完全なホ
メオトロピック状態になっていたときには、電圧印加停
止後にはプレーナ状態となる。電圧印加時にカイラルネ
マティック液晶が不完全なホメオトロピック状態であっ
たときには、電圧印加停止後にはフォーカルコニック状
態となる。電圧印加時にカイラルネマティック液晶が完
全なホメオトロピック状態と不完全なホメオトロピック
状態の間の中間状態であったときには、電圧印加停止後
にはそのホメオトロピック状態の度合いに応じて、プレ
ーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した状態にな
る。
【0030】電圧印加停止後のカイラルネマティック液
晶の状態は安定的に維持される。すなわち、電界が印加
されていない状態においては、カイラルネマティック液
晶の状態は、プレーナ状態、フォーカルコニック状態又
はこれらが混在した状態に安定的に維持される。このよ
うに、カイラルネマティック液晶にはメモリ性がある。
【0031】本発明の第1及び第2のいずれのタイプの
液晶表示素子においても、電圧印加停止後のカイラルネ
マティック液晶の状態をさらに長時間にわたり安定的に
維持、保持するために、第1基板上には安定化膜が設け
られている。換言すれば、本発明の液晶表示素子におい
ては、第1及び第2基板のうちの少なくとも一方の基板
上には安定化膜が設けられている。安定化膜は、第1及
び第2基板の両基板に形成してもよい。
【0032】安定化膜は、電圧印加停止後のカイラルネ
マティック液晶の状態の安定化を目的とする膜である。
安定化膜がなくても、上記のように電圧印加停止後のカ
イラルネマティック液晶の状態は維持されるが、安定化
膜はさらに長時間にわたりその状態を安定して維持する
ために設けられる。
【0033】安定化膜は、基板上のカイラルネマティッ
ク液晶に接触する位置に設けられている。すなわち、安
定化膜は、基板上の液晶層側の面に形成されている。
【0034】安定化膜材料としては、例えば、ポリイミ
ド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等の有機
材料や、酸化シリコン、酸化アルミニウム等の無機材料
を採用すればよい。これら材料は一般的に配向膜材料と
して知られているものである。配向膜は、液晶分子の配
列状態を制御するために設けられる膜である。安定化膜
材料としては、上記述べた以外にも配向膜材料として知
られている他の材料を採用することもできる。このよう
な材料により形成した安定化膜を基板上の液晶に接触す
る位置に設けておくことで、安定化膜がないときに比べ
て、電圧印加停止後の液晶の状態を長時間にわたり安定
的に維持できることが実験により確認されている。
【0035】TN型、STN型等の液晶表示素子におい
ては、通常、基板上の液晶に接触する位置には配向膜が
設けられ、その配向膜には基板近傍における液晶分子の
向きを制御するためにラビング処理が施されている。し
かし、本発明の液晶表示素子においては、基板上の液晶
に接触する位置に設ける安定化膜には、原理的にはラビ
ング処理を施す必要はない。安定化膜にラビング処理を
施さないことによって、視野角依存性を弱めることがで
きる。安定化膜にラビング処理を施すと、液晶分子の向
きがラビング方向に揃ってしまうため、視野角依存性が
強くなりやすい。 [2]以下、本発明に係る第1及び第2の各タイプの液
晶表示素子について順に説明する。 (a)第1タイプの液晶表示素子 本発明に係る第1タイプの液晶表示素子においては、第
1基板上に形成された安定化膜の膜厚が300Å〜15
00Åの範囲にある。このように安定化膜の膜厚を比較
的薄くすることで、後述する実験結果に示すように、安
定化膜によるコントラストの低下を抑制できる。安定化
膜を薄くすることで、カイラルネマティック液晶を透明
状態(フォーカルコニック状態)としたときの視感反射
率が下がり、その結果コントラストの低下を抑制でき
る。
【0036】また、第1タイプの液晶表示素子において
は、カイラルネマティック液晶を含む液晶層の厚みが3
μm〜6μmの範囲にある。このように液晶層の厚みを
比較的薄くすることで、駆動電圧を低くすることができ
る。すなわち、カイラルネマティック液晶をプレーナ状
態、フォーカルコニック状態又はこれらの中間の状態と
するために電極間に印加する電圧を低くすることができ
る。第1基板上の安定化膜の膜厚も上記のように薄いの
で、それだけさらに駆動電圧を低くすることができる。
これらにより、市販の駆動ICを用いて液晶表示素子を
駆動することが可能となる。また、液晶表示素子の消費
電力も低くなる。
【0037】第1タイプの液晶表示素子においては、第
1基板上には安定化膜の他に、絶縁膜、ガスバリア膜、
フィルタ層等を形成してもよい。 (b)第2タイプの液晶表示素子 本発明に係る第2タイプの液晶表示素子においては、第
1基板上には、安定化膜の他に、絶縁膜が形成されてい
る。
【0038】絶縁膜は、第1及び第2基板上にそれぞれ
形成されている電極間の電気的絶縁状態を保つためのも
のである。絶縁膜材料としては、例えば、酸化シリコ
ン、酸化チタン、酸化ジルコニウムや、これらのアルコ
キシド等の無機材料、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、
ウレタン樹脂等の有機材料を採用すればよい。
【0039】第2タイプの液晶表示素子においては、第
1基板上の安定化膜と絶縁膜の膜厚の合計が300Å〜
1500Åの範囲にある。このように安定化膜と絶縁膜
の膜厚を比較的薄くすることで、第1タイプの液晶表示
素子と同様に、安定化膜及び絶縁膜によるコントラスト
の低下を抑制できる。
【0040】第2タイプの液晶表示素子においても、第
1タイプの液晶表示素子と同様に、カイラルネマティッ
ク液晶を含む液晶層の厚みは3μm〜6μmの範囲にあ
る。したがって、第2タイプの液晶表示素子において
も、駆動電圧を低くすることができる。第1基板上の安
定化膜及び絶縁膜の厚みも上記のように薄いので、それ
だけさらに駆動電圧を低くすることができる。これらに
より、市販の駆動ICを用いて液晶表示素子を駆動する
ことが可能となる。また、液晶表示素子の消費電力も低
くなる。
【0041】第2タイプの液晶表示素子においては、第
1基板上には、電極、絶縁膜及び安定化膜の他に、例え
ば、ガスバリア膜、フィルタ層などを形成してもよい。 [3] 本発明に係る第1及び第2タイプの液晶表示素
子についてさらに説明する。 (a) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、前述のように第2基板上にも安定化膜を設け
てもよい。
【0042】電圧印加停止後の液晶の状態を長時間にわ
たり安定的に維持するためには、第1及び第2基板のい
ずれにも安定化膜を設けておくことが好ましい。
【0043】第2基板上の安定化膜の膜厚も、例えば、
300Å〜1500Åの範囲としてもよい。このように
することで、第2基板上の安定化膜によるコントラスト
の低下や、駆動電圧の上昇を抑制することができる。 (b) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、第2基板上に安定化膜及び絶縁膜を設けても
よい。
【0044】第2基板上の安定化膜と絶縁膜の膜厚の合
計も、例えば、300Å〜1500Åの範囲としてもよ
い。このようにすることで、第2基板上の安定化膜及び
絶縁膜によるコントラストの低下や、駆動電圧の上昇を
抑制することができる。 (c) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、電気絶縁性を有する材料によって安定化膜を
形成し、安定化膜に絶縁膜の機能を兼用させてもよい。
第1及び第2基板のいずれにも安定化膜を設ける場合に
は、少なくとも一方の安定化膜に絶縁膜の機能を兼用さ
せてもよい。 (d) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、第1及び第2基板のうち少なくとも一方の基
板は、例えば、樹脂基板(ポリマー基板)とすればよ
い。樹脂基板の材料は、例えば、ポリエーテルスルホン
(PES)、ポリカーボネイト(PC)、ポリエチレン
テレフタレート(PET)、ポリアリレート(PA)、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状非晶質
ポリオレフィンなどとすればよい。基板の厚みは、例え
ば、50μm程度〜1000μm程度とすればよい。薄
い基板を採用すれば、それだけ液晶表示素子の全体の厚
みを薄くすることができ、軽量化も図れる。 (e) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、第1及び第2基板のうちの少なくとも一方の
基板を透光性基板とすればよい。
【0045】本発明に係る液晶表示素子が液晶層を一つ
だけ有する単層の液晶表示素子である場合、その液晶層
を挟持する第1及び第2基板のうちの観察側から遠い基
板は透光性でなくてもよい。
【0046】本発明に係る液晶表示素子が複数の液晶層
を有する積層型液晶表示素子の場合、各液晶層を挟持す
る複数の基板のうちの最も観察側から遠い基板は透光性
を有していなくてもよい。 (f) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、基板の液晶層側の面に電極、安定化膜、絶縁
膜は形成すればよい。 (g) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、基板間に配置するカイラルネマティック液晶
(カイラルネマティック液晶組成物)には、所定波長帯
域の光を吸収などするための色素を添加してもよい。
【0047】例えば、カイラルネマティック液晶の選択
反射波長よりも短波長側の光を吸収するための色素を液
晶に添加すると、選択反射時に表示される色の純度を高
めることができる。
【0048】液晶に添加する色素としては、既に知られ
た各種色素を用いることができるが、液晶との相溶性が
良好な色素が好適である。液晶に添加する色素は、例え
ば、アゾ化合物、キノン化合物、アントラキノン化合物
等とすればよい。複数種類の色素を液晶に添加してもよ
い。
【0049】色素の添加量は、ネマティック液晶とカイ
ラル剤の合計量に対して3wt%以下が好ましい。色素
の添加量が多すぎると、液晶が選択反射時に反射する光
の量が少なくなり、コントラストが悪くなる。 (g) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、液晶への色素の添加に代えて、或いは、これ
とともに、所定波長帯域の光(例えば、カイラルネマテ
ィック液晶の選択反射波長よりも短波長側の光)を吸収
するなどのためのカラーフィルタを採用してもよい。
【0050】カラーフィルタは、例えば、基板上に設け
るフィルタ層とすればよい。フィルタ層材料は、例え
ば、無色透明材料に色素を添加したもの、色素を添加せ
ずとも本質的に色のついている材料などとすればよい。
フィルタ層は、色素と同様の働きをする材料からなるも
のとしてもよい。
【0051】カラーフィルタは、上記フィルタ層材料と
して示した材料からなる基板としてもよい。すなわち、
基板自身にフィルタ層の機能を兼用させてもよい。 (h) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子に
おいても、液晶層と同じ層内には、換言すれば、液晶層
を挟持する第1基板と第2基板の間には、基板間隔を制
御するための1又は2以上のスペース保持部材(ギャッ
プ保持部材)を配置してもよい。
【0052】スペース保持部材は、例えば、形状が球、
粒等であるいわゆるスペーサとすればよい。スペーサ
は、基板に固着する固着スペーサ、固着しない非固着ス
ペーサのいずれでもよい。
【0053】非固着スペーサは、例えば、加熱や加圧に
よって変形しない硬質材料からなる粒子とすればよい。
非固着スペーサとしては、例えば、ガラスファイバーを
微細化したもの、ボール状の珪酸ガラス、アルミナ粉末
等の無機系材料粒、ジビニルベンゼン系架橋重合体、ポ
リスチレン系架橋重合体等の有機系合成球状粒を挙げる
ことができる。
【0054】固着スペーサは、例えば、熱可塑性樹脂か
らなる粒子とすればよい。固着スペーサは、非固着スペ
ーサの表面に、ホットメルト系接着剤、熱硬化性樹脂、
熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂などをコーティングした
ものとしてもよい。
【0055】スペース保持部材は、柱状などの樹脂構造
物としてもよい。
【0056】樹脂構造物は、第1及び第2基板のうちの
少なくとも一方の基板に接着させる。
【0057】樹脂構造物を第1及び第2の両基板に接着
させると、第1基板と第2基板の間の接着力が高まり、
液晶表示素子全体の強度を高めることができる。したが
って、シール壁が基板から外れてしまうことを抑制で
き、基板の間から液晶が漏れ出てしまうことを抑制でき
る。さらに、第1基板と第2基板の間の間隔が広がらな
いように基板間隔を保つことができる。
【0058】樹脂構造物材料としては、例えば、加熱に
より軟化し、冷却により固化する材料を用いればよい。
樹脂構造物材料としては、使用する液晶材料と化学反応
を起こさず、適度な弾性を有する有機物質が好適であ
る。このような樹脂構造物材料として、熱可塑性高分子
材料を挙げることができる。かかる熱可塑性高分子材料
としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニ
リデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリメタクリル酸エ
ステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリスチレ
ン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアク
リロニトリル樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、ポリビ
ニールケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニールピ
ロリドン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネイ
ト樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂等を挙げることができ
る。
【0059】樹脂構造物材料としては熱可塑性高分子材
料以外にも、熱硬化性高分子材料や光硬化性高分子材料
などの各種高分子材料を用いてもよい。
【0060】樹脂構造物は、例えば、これらのうちの1
又は2以上の樹脂材料を含む材料により形成すればよ
い。
【0061】樹脂構造物の形状は、例えば、円柱状、四
角柱状、楕円柱状などのドット状とすればよい。
【0062】基板間には、スペース保持部材として、上
記スペーサ及び樹脂構造物のうちのいずれか一方だけを
配置してもよく、双方を配置してもよい。 (i) 本発明に係るいずれのタイプの液晶表示素子
も、前述のように、積層された複数の液晶層を有する積
層型の液晶表示素子としてもよい。積層型液晶表示素子
は、複数の液晶層をそれぞれ挟持するための複数の基板
を有している。各液晶層はそれぞれ一対の基板により挟
持されている。
【0063】積層型液晶表示素子においては、複数の液
晶層に対して、それぞれ一対の基板を設けて、各液晶層
をその液晶層に対して設けた一対の基板によって挟持し
てもよい。この場合、隣合う液晶層の間には二つの基板
が配置されることになるが、隣合う二つの液晶層の間に
一つの基板だけを配置して、その基板をそれら液晶層の
挟持に共通に利用してもよい。すなわち、複数の液晶層
のうちの一つの液晶層を挟持する基板を、他の液晶層の
挟持に利用してもよい。このようにすれば、積層型液晶
表示素子における基板の数が少なくなり、それだけ表示
素子全体を薄くすることができる。
【0064】積層型液晶表示素子においても、各液晶層
を挟持する一対の基板にはそれぞれ電極が形成されてい
る。
【0065】本発明に係る積層型液晶表示素子において
は、少なくとも一つの液晶層は室温でコレステリック相
を示すカイラルネマティック液晶を含んでいる。
【0066】本発明に係る積層型液晶表示素子は、例え
ば、赤色領域に選択反射波長を有するカイラルネマティ
ック液晶を含む液晶層(R−液晶層)、緑色領域に選択
反射波長を有するカイラルネマティック液晶を含む液晶
層(G−液晶層)、青色領域に選択反射波長を有するカ
イラルネマティック液晶を含む液晶層(B−液晶層)の
三つの液晶層を積層したものとすればよい。R−液晶
層、G−液晶層及びB−液晶層の三つの液晶層が積層さ
れた積層型液晶表示素子をRGB−積層型液晶表示素子
と呼ぶ。RGB−積層型液晶表示素子は、反射型のフル
カラー表示を行うことができる。RGB−積層型液晶表
示素子においては、例えば、観察側からB−液晶層、G
−液晶層、R−液晶層の順にこれら液晶層を配置するこ
とで、コントラスト及び色純度の高い表示を行うことが
できる。
【0067】B−液晶層中のカイラルネマティック液晶
のピーク選択反射波長は、例えば、475nm〜485
nmの範囲とすればよい。G−液晶層中のカイラルネマ
ティック液晶のピーク選択反射波長は、例えば、550
nm〜560nmの範囲とすればよい。R−液晶層中の
カイラルネマティック液晶のピーク選択反射波長は、例
えば、665nm〜675nmの範囲とすればよい。 (j) 本発明に係る液晶表示素子が複数の液晶層を有
する積層型液晶表示素子の場合、少なくとも一つの液晶
層と、その液晶層を挟持する一対の基板について、上記
述べたように、液晶層の厚み、安定化膜の厚み、安定化
膜と絶縁膜の膜厚の合計を上記述べた範囲とすること
で、上記述べた効果が得られる。
【0068】勿論、駆動電圧の抑制及び消費電力の抑制
といった観点からは、各液晶層の厚みをそれぞれ上記の
範囲(3μm〜6μm)とすることが好ましい。
【0069】複数の液晶層のうち1又は2以上の液晶層
をカイラルネマティック液晶を含むものとする場合、カ
イラルネマティック液晶の状態を長時間にわたり安定的
に維持するといった観点からは、いずれのカイラルネマ
ティック液晶を含む液晶層を挟持する一対の基板にも、
それぞれ安定化膜を形成しておくことが好ましい。
【0070】複数の基板のうちの1又は2以上の基板上
に安定化膜を形成する場合には、安定化膜によるコント
ラストの低下の抑制といった観点からは、いずれの安定
化膜についても、その膜厚を上記述べた範囲(300Å
〜1500Å)とすることが好ましい。
【0071】複数の基板のうちの1又は2以上の基板上
に安定化膜及び絶縁膜を形成する場合には、これら膜に
よるコントラストの低下の抑制といった観点からは、い
ずれの基板上の安定化膜及び絶縁膜の膜厚の合計も上記
述べた範囲(300Å〜1500Å)とすることが好ま
しい。
【0072】上記第1、第2の各タイプの液晶表示素子
に対応する積層型液晶表示素子として、次の積層型液晶
表示素子を例示できる。
【0073】上記第1タイプの液晶表示素子に対応する
積層型液晶表示素子は、積層された複数の液晶層と、前
記各液晶層を挟持するための複数の基板とを備えてお
り、前記各液晶層はそれぞれ室温でコレステリック相を
示すカイラルネマティック液晶を含んでおり、各液晶層
の厚みがそれぞれ3μm〜6μmの範囲にあり、少なく
とも一つの前記基板上には安定化膜が形成されており、
該安定化膜の厚みが300Å〜1500Åの範囲にある
ことを特徴とする積層型液晶表示素子である。
【0074】また、上記第2タイプの液晶表示素子に対
応する積層型液晶表示素子は、積層された複数の液晶層
と、前記各液晶層を挟持するための複数の基板とを備え
ており、前記各液晶層はそれぞれ室温でコレステリック
相を示すカイラルネマティック液晶を含んでおり、各液
晶層の厚みがそれぞれ3μm〜6μmの範囲にあり、少
なくとも一つの前記基板上には安定化膜及び絶縁膜が形
成されており、該安定化膜と該絶縁膜の厚みの合計が3
00Å〜1500Åの範囲にあることを特徴とする積層
型液晶表示素子である。
【0075】これら第1、第2の各タイプの液晶表示素
子に対応する積層型液晶表示素子においても、第1又は
(及び)第2タイプの液晶表示素子に関して述べたこと
は当てはまる。
【0076】
【発明の実施の形態】[4] 以下、本発明の実施の形
態を図面を参照して説明する。
【0077】図1に、本発明に係る液晶表示素子の一例
の概略断面図を示す。
【0078】図1に示す液晶表示素子LE1は、本例で
は、反射型の表示素子として利用する。この表示素子に
よる表示は図1において液晶表示素子LE1の上側から
観察する。
【0079】液晶表示素子LE1は、一対の基板S1、
S2と、両基板の間に挟持された液晶層Lrを有してい
る。観察側から遠い側に配置された基板S1の外側に
は、黒色の光吸収層ABが設けられている。
【0080】液晶層Lrは、カイラルネマティック液晶
LCrを含んでいる。液晶LCrは、室温でコレステリ
ック相を示すカイラルネマティック液晶である。このカ
イラルネマティック液晶は、所定のヘリカルピッチが得
られるように、さらに言うと、所定波長が選択反射波長
となるように、ネマティック液晶にカイラル剤を添加し
たものである。カイラル剤の添加量によって選択反射波
長は調整できる。液晶LCrの選択反射波長は、本例で
は、赤色波長帯域に設定されている。液晶LCrのピー
ク選択反射波長(選択反射帯域のピーク波長)は、66
5nm〜675nmの範囲に設定されている。
【0081】カイラルネマティック液晶LCrは、後述
する電極間に電圧が印加されていないときには、プレー
ナ状態、フォーカルコニック状態又はプレーナ状態とフ
ォーカルコニック状態が混在した状態(プレーナ状態と
フォーカルコニック状態の間の中間の状態)にある。
【0082】プレーナ状態の液晶LCrは、所定波長
(選択反射波長)の光を選択反射する。本例では、上記
のように選択反射波長は赤色帯域に設定されているた
め、プレーナ状態の液晶LCrは赤色に見える。また、
フォーカルコニック状態の液晶LCrはほぼ透明に見え
る。プレーナ状態とフォーカルコニック状態が混在した
状態の液晶LCrは、混在する割合に応じた中間色に見
える。
【0083】液晶LCr(液晶層Lr)を挟持する基板
S1、S2は、いずれも樹脂フィルム基板である。基板
S1、S2は、本例では、いずれもPESからなる。基
板S1、S2は、いずれも透光性を有している。
【0084】基板S1の上には、透明電極E1、絶縁膜
IS1、安定化膜ST1が順に形成されている。安定化
膜ST1等は、基板S1の液晶層LCr側の面に形成さ
れている。基板S2の上には、透明電極E2、安定化膜
ST2が順に形成されている。安定化膜ST2等は、基
板S2の液晶層LCr側の面に形成されている。
【0085】電極E1、E2は、液晶LCrの状態を変
えて、表示を行うために設けられている。電極E1、E
2間に所定電圧(例えばパルス電圧)を印加すること
で、液晶LCrの状態を変えることができる。本例で
は、単純マトリクス駆動を行うために、電極E1、E2
は、いずれも所定間隔で互いに平行に並んだ複数の帯状
電極からなる。電極E1の帯状電極と、電極E2の帯状
電極は互いに交差するように配置されており、これら帯
状電極部はいわゆるマトリクス構造を呈している。電極
E1、E2は、いずれも本例ではITOからなり、透光
性を有している。
【0086】絶縁膜IS1は、電極E1とE2の間の電
気的絶縁状態を保つために設けられている。本例では、
一方の基板上にしか絶縁膜を設けなかったが、両基板上
に絶縁膜を設けてもよい。
【0087】安定化膜ST1、ST2は、液晶LCrに
接する位置に設けられており、液晶LCrの状態を長時
間にわたり安定的に維持するために設けられている。安
定化膜ST1、ST2には、ラビング処理は施されてい
ない。安定化膜は、本例では、ポリイミド樹脂からな
る。安定化膜は、スパッタリング法、スピンコート法、
ロールコート法、蒸着法などの既に知られた手法にて形
成することができる。
【0088】基板S1とS2の間の液晶層LCrと同じ
層内には、複数のスペーサ3と複数の柱状樹脂構造物4
が配置されている。スペーサ3及び樹脂構造物4は、い
ずれも基板間のギャップを液晶表示素子全体にわたって
均一に保つために設けられている。さらに言うと、スペ
ーサ3及び樹脂構造物4は、液晶LCrの厚みを液晶表
示素子全体にわたって均一に保つために設けられてい
る。
【0089】スペーサ3は球状であり、加熱や加圧によ
って変形しない硬質材料からなる。スペーサ3は基板に
は接着していない。スペーサ3によって、基板間ギャッ
プが小さくなりすぎないように、基板間ギャップが制御
されている。
【0090】樹脂構造物4は本例では円柱状であり、基
板S1とS2のいずれにも接着している。樹脂構造物4
によって、基板間ギャップが小さくなりすぎないよう
に、且つ、基板間ギャップが広がらないように、基板間
ギャップが制御されている。また、樹脂構造物4によっ
て基板S1とS2の接着強度が高められており、これに
より液晶表示素子全体の強度が高められている。
【0091】基板間からの液晶漏れを防止するために、
基板間の液晶LCrを囲む位置にはシール壁SWが設け
られている。シール壁SWは、基板間に枠状(環状)に
設けられている。別の観点から言うと、基板S1、S2
及びシール壁SWによって囲まれた空間内に液晶LCr
が配置されている。
【0092】本発明の液晶表示素子LE1においては、
液晶層Lr(液晶LCr)の厚みが、3μm〜6μmの
範囲にある。これにより、後述する実験結果からわかる
ように、駆動電圧を低くすることができる。
【0093】また、本発明の液晶表示素子LE1におい
ては、基板S1上に形成された安定化膜ST1と絶縁膜
IS1の膜厚の合計が、300Å〜1500Åの範囲に
ある。また、もう一方の基板S2上に形成された安定化
膜ST2の膜厚も、300Å〜1500Åの範囲にあ
る。このように基板上に形成された安定化膜及び絶縁膜
の膜厚が比較的薄いので、後述する実験結果からもわか
るように、液晶LCrが透明状態のときのY値(視感反
射率)が大きくならず、その結果コントラストが良好に
なる。すなわち、安定化膜と絶縁膜の膜厚を上記の範囲
とすることで、安定化膜及び絶縁膜によるコントラスト
の低下を抑制できる。 [5] 本発明に係る液晶表示素子の他の例の概略断面
図を図2に示す。
【0094】図2の液晶表示素子LE2は、次に述べる
ことを除けば、図1の液晶表示素子LE1と同様の構造
を有している。
【0095】液晶表示素子LE2においては、基板S1
及びS2のいずれの基板にも絶縁膜が設けられていな
い。液晶表示素子LE2においては、絶縁材料(本例で
はポリイミド)からなる安定化膜ST1、ST2が絶縁
膜の機能も兼ねている。なお、液晶表示素子LE1にお
いても、基板S2上の安定化膜ST2は、絶縁膜の機能
を兼ねていると考えることもできる。
【0096】液晶表示素子LE2においても、液晶表示
素子LE1と同様に、液晶層LCrの厚みを3μm〜6
μmの範囲に設定することで、駆動電圧を低くすること
ができる。
【0097】また、基板S1上の安定化膜ST1の膜厚
及び基板S2上の安定化膜ST2の膜厚をそれぞれ30
0Å〜1500Åの範囲に設定することで、安定化膜に
よるコントラストの低下を抑制できる。 [6] 本発明に係る液晶表示素子のさらに他の例の概
略断面図を図3に示す。
【0098】図3の液晶表示素子LE3は、三つの液晶
セルCb、Cg、Crがこの順に積層された積層型液晶
表示素子である。
【0099】液晶表示素子LE3は、本例では、反射型
の表示素子である。この表示素子による表示は、液晶セ
ルCbの外側(図3においては液晶セルCbの上側)か
ら観察する。すなわち、液晶セルCbが表示観察側に最
も近い位置に配置されており、液晶セルCrが観察側か
ら最も遠い位置に配置されている。観察側から最も遠い
位置に配置された液晶セルCrの外側には、黒色の光吸
収層ABが設けられている。液晶表示素子LE3は、フ
ルカラー表示を行うことができる。
【0100】液晶セルCb、Cg、Crは、それぞれ図
1に示す液晶表示素子LE1から光吸収層ABを除いた
部分の構造と同じ構造を有している。
【0101】液晶セルCb、Cg、Crは、それぞれ青
色、緑色、赤色表示用の液晶セルであり、それぞれ液晶
層Lb、Lg、Lrを有している。液晶層Lb、Lg、
Lrは、青色波長帯域、緑色波長帯域、赤色波長帯域に
選択反射波長を有する液晶LCb、LCg、LCrをそ
れぞれ含んでいる。液晶LCb、LCg及びLCrは、
いずれも室温でコレステリック相を示すカイラルネマテ
ィック液晶である。
【0102】液晶セルCrにおいては、図1の液晶表示
素子LE1と同様に、液晶層Lrは一対の基板S1、S
2によって挟持されている。基板S1の上には、電極E
1、絶縁膜IS1、安定化膜ST1が順に形成されてい
る。また、基板S2の上には、電極E2、安定化膜ST
2が順に形成されている。
【0103】液晶セルCgにおいても、液晶セルCrと
同様に、液晶層Lgは一対の基板に挟持されている。一
方の基板上には、電極、絶縁膜、安定化膜が順に形成さ
れている。また、他方の基板上には電極、安定化膜が順
に形成されている。
【0104】液晶セルCbにおいても、液晶セルCrと
同様に、液晶層Lbは一対の基板に挟持されている。一
方の基板上には、電極、絶縁膜、安定化膜が順に形成さ
れている。また、他方の基板上には電極、安定化膜が順
に形成されている。
【0105】隣合う二つの液晶セルは、それらの間に設
けた接着層5によって、互いに接着されている。接着層
5は、本例では、粘着フィルムからなる。粘着フィルム
としては、例えば、アクリル系粘着剤からなるものなど
を採用すればよい。接着層5は、粘着フィルムに代え
て、例えば、接着剤としてもよい。接着剤としては、例
えば、紫外線硬化樹脂や、熱硬化型シリコーン系接着剤
などを採用すればよい。
【0106】液晶セルCb、Cg、Cr(液晶層Lb、
Lg、Lr)が積層された液晶表示素子LE3による
と、青、緑、赤色の各色表示、これら各色の中間色の表
示及びこれらの色が2つ又は3つ混ざった色の表示を行
うことができ、その結果、加法混色によるフルカラー表
示を行うことができる。全ての液晶セル(液晶層)の液
晶が透明状態のときは、液晶セルCrの外側に設けた光
吸収層ABの黒色が表示される。
【0107】積層型液晶表示素子LE3においても、液
晶表示素子LE1と同様に、各液晶層LCr、LCg、
LCbの厚みをそれぞれ3μm〜6μmの範囲に設定す
ることで、各液晶セルの駆動電圧をそれぞれ低くするこ
とができる。
【0108】また、安定化膜及び絶縁膜の双方の膜が形
成された基板においては、これら膜の厚みの合計を30
0Å〜1500Åの範囲に設定することで、安定化膜及
び絶縁膜によるコントラスト低下を抑制できる。
【0109】また、絶縁膜は形成されずに、安定化膜が
形成された基板においては、安定化膜の厚みを300Å
〜1500Åの範囲に設定することで、その安定化膜に
よるコントラスト低下を抑制できる。
【0110】いずれの液晶セルにおいても、安定化膜及
び絶縁膜の膜厚を上記範囲に設定することが好ましい。 [7] なお、本発明の積層型液晶表示素子において
は、例えば図4に示す積層型液晶表示素子LE4のよう
に、隣合う液晶層の間に基板を一つだけ配置して、その
基板をこれら液晶層挟持などのために共通に利用しても
よい。
【0111】図4の積層型液晶表示素子LE4において
は、隣合う液晶層LrとLgの間には基板Sc1が配置
されており、隣合う液晶層LgとLbの間には基板Sc
2が配置されている。
【0112】液晶層Lrは基板S11とSc1の間に挟
持されている。液晶層Lgは基板Sc1とSc2の間に
挟持されている。液晶層Lbは基板Sc2とS32の間
に挟持されている。すなわち、基板Sc1は液晶層Lr
とLgの挟持などのために共通に利用されている。ま
た、基板Sc2は液晶層LgとLbの挟持などのために
共通に利用されている。
【0113】基板S11には、液晶層Lrに対して設け
られた電極E1、絶縁膜IS1及び安定化膜ST1が形
成されている。
【0114】基板Sc1の一方の面には、液晶層Lrに
対して設けられた電極E2及び安定化膜ST2が形成さ
れている。基板Sc1の他方の面には液晶層Lgに対し
て設けられた電極、絶縁膜及び安定化膜が形成されてい
る。
【0115】基板Sc2の一方の面には、液晶層Lgに
対して設けられた電極及び安定化膜が形成されている。
基板Sc2の他方の面には液晶層Lbに対して設けられ
た電極、絶縁膜及び安定化膜が形成されている。
【0116】基板S32には液晶層Lbに対して設けら
れた電極及び安定化膜が形成されている。
【0117】積層型液晶表示素子LE4においても、液
晶表示素子LE1と同様に、各液晶層LCr、LCg、
LCbの厚みをそれぞれ3μm〜6μmの範囲に設定す
ることで、各液晶セルの駆動電圧をそれぞれ低くするこ
とができる。
【0118】また、安定化膜及び絶縁膜の双方の膜が形
成された基板においては、これら膜の厚みの合計を30
0Å〜1500Åの範囲に設定することで、安定化膜及
び絶縁膜によるコントラスト低下を抑制できる。
【0119】また、絶縁膜は形成されずに、安定化膜が
形成された基板においては、安定化膜の厚みを300Å
〜1500Åの範囲に設定することで、その安定化膜に
よるコントラスト低下を抑制できる。
【0120】図4の積層型液晶表示素子LE4は、図3
の積層型液晶表示素子LE3に比べ、素子全体を薄くす
ることができる。 [8] 以下、本発明に係る液晶表示素子を作製し、そ
の駆動電圧及びコントラストを調べた実験例(実験例1
〜6)について述べる。
【0121】実験例1〜6においては、赤色表示用液晶
セル、緑色表示用液晶セル及び青色表示用液晶セルの三
つの液晶液晶セルが積層された積層型液晶表示素子を作
製した。
【0122】さらに詳しく言うと、実験例1〜4の積層
型液晶表示素子は、各液晶セルの一方の基板には電極、
安定化膜及び絶縁膜が形成されており、他方の基板には
絶縁膜は形成されておらず、電極及び安定化膜が形成さ
れている。
【0123】また、実験例5の積層型液晶表示素子は、
各液晶セルのいずれの基板にも、絶縁膜は形成されてお
らず、電極及び安定化膜が形成されている。
【0124】実験例6の積層型液晶表示素子において
は、各液晶セルのいずれの基板にもそれぞれ電極、絶縁
膜及び安定化膜が形成されている。
【0125】実験例1〜6の積層型液晶表示素子におい
ては、基板上の安定化膜の厚み、或いは、安定化膜及び
絶縁膜の厚みの合計は、300Å〜1500Åの範囲に
ある。また、各液晶層の厚みは、3μm〜6μmの範囲
にある。
【0126】本発明の液晶表示素子との比較のために比
較例1及び2においては、実験例1〜4と同じ構造の積
層型液晶表示素子を作製し、その駆動電圧及びコントラ
ストを調べた。ただし、比較例1及び2においては、基
板上の安定化膜及び絶縁膜の厚みの合計が1500Åを
超える積層型液晶表示素子を作製した。 (1)実験例1 実験例1においては、次のようにして積層型液晶表示素
子を作製した。
【0127】まず、赤色表示用液晶層を含む赤色表示用
液晶セル、緑色表示用液晶層を含む緑色表示用液晶セル
及び青色表示用液晶層を含む青色表示用液晶セルをそれ
ぞれ次のように作製した。・赤色表示用液晶セル(観察
側から最も遠い位置に配置される液晶セル)赤色表示用
液晶セルを形成するための一対の基板として、所定パタ
ーンのITOからなる透明電極が形成されているポリカ
ーボネイト(PC)フィルムを採用した。
【0128】まず、一方の基板の電極上には、厚み45
0Åの安定化膜を形成した。
【0129】また、他方の基板の電極上には、厚み10
00Åの絶縁膜、厚み450Åの安定化膜を順に形成し
た。
【0130】安定化膜材料としては、本例では、ポリイ
ミド系の配向膜材料AL4552(JSR社製)を用い
た。いずれの基板の安定化膜にもラビング処理は施して
いない。また、絶縁膜材料としては、シリカ系の絶縁膜
材料OA−1001(日産化学社製)を用いた。
【0131】次いで、一方の基板上(一方の基板の安定
化膜上)には、直径5μmのスペーサ(積水ファインケ
ミカル社製)を散布した。
【0132】また、他方の基板の周辺部(周縁部)に
は、シール材料XN21S(三井化学社製)をスクリー
ン印刷法で枠状に印刷し、所定高さの壁を形成した。こ
のシール材料からなる壁が後に液晶漏れを防止するため
のシール壁となる。
【0133】この後、次の液晶組成物LCrを、シール
材料からなる壁で囲まれた基板領域上に塗布した。シー
ル材料からなる壁で囲まれた領域の面積と、この壁の高
さに応じた量だけ、液晶組成物LCrを基板上に塗布し
た。
【0134】液晶組成物LCrは、ネマティック液晶組
成物E31LV(メルク社製)に、カイラル剤R−81
1(メルク社製)を所定量添加したカイラルネマティッ
ク液晶である。なお、ネマティック液晶(ネマティック
液晶組成物)E31LVは、屈折率異方性Δn:0.2
27、誘電率異方性Δε:16.2である。液晶組成物
LCrの選択反射波長は、667nm(赤色領域)であ
った。この液晶組成物LCrは、室温でコレステリック
相を示した。
【0135】次いで、両基板を液晶組成物LCrを介し
て貼り合わせ装置を用いて貼り合わせた。貼り合わせる
ことでできた液晶セルを150°Cで1時間加熱するこ
とで、シール材料を両基板に融着させた。この後、室温
まで冷却することで、赤色表示用液晶セルを得た。赤色
表示用液晶セルにおいては、直径5μmのスペーサが基
板間に配置されているため、液晶層の厚みは5μmであ
る。・緑色表示用液晶セル(真ん中に配置される液晶セ
ル)緑色表示用液晶セルも、次に述べることを除き、赤
色表示用液晶セルと同様にして作製した。
【0136】緑色表示用液晶セルにおいては、直径4μ
mのスペーサを採用した。すなわち、緑色表示用液晶セ
ルの液晶層の厚みは4μmにした。
【0137】また、緑色表示用液晶セルにおいては、二
つの基板の間に挟持する液晶として、次の液晶組成物L
Cgを採用した。液晶組成物LCgは、ネマティック液
晶E31LVに、カイラル剤R−811を所定量添加し
たカイラルネマティック液晶である。液晶組成物LCg
の選択反射波長は、558nm(緑色領域)であった。
この液晶組成物LCgは、室温でコレステリック相を示
した。・青色表示用液晶セル(観察側に最も近い位置に
配置する液晶セル)青色表示用液晶セルも、次に述べる
ことを除き、赤色表示用液晶セルと同様にして作製し
た。
【0138】青色表示用液晶セルにおいては、直径3μ
mのスペーサを採用した。すなわち、青色表示用液晶セ
ルの液晶層の厚みは3μmにした。
【0139】また、青色表示用液晶セルにおいては、二
つの基板の間に挟持する液晶として、次の液晶組成物L
Cbを採用した。液晶組成物LCbは、ネマティック液
晶E31LVに、カイラル剤R−811を所定量添加し
たカイラルネマティック液晶である。液晶組成物LCb
の選択反射波長は、476nm(青色領域)であった。
この液晶組成物LCbは、室温でコレステリック相を示
した。
【0140】このようにして作製した赤色表示用液晶セ
ル、緑色表示用液晶セル、青色表示用液晶セルをこの順
に接着した。
【0141】隣合う液晶セルを接着した後、観察側から
最も遠い位置に配置する赤色表示用液晶セルの外側に
は、黒色の光吸収膜を設けた。
【0142】これらにより、積層型液晶表示素子を得
た。
【0143】作製された積層型液晶表示素子の特性を分
光測色計CM3700d(ミノルタ社製)を用いて測定
した。各液晶セルの液晶を選択反射状態(プレーナ状
態)にして、白色表示したときのY値(白)と、各液晶
セルの液晶を透明状態(フォーカルコニック状態)にし
て、黒色表示をしたときのY値(黒)を測定した。Y値
は、視感反射率である。なお、各液晶セルの液晶を透明
状態にしたときには、赤色表示用液晶セルの外側に設け
た光吸収膜の色(黒色)が表示される。そして、Y値
(白)及びY値(黒)からコントラスト(=Y値(白)
/Y値(黒))を算出した。コントラストの値は、大き
いほどコントラストが良好であることを示している。
【0144】実験例1の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=24.0、Y値(黒)=4.8、コン
トラスト=5.0であった。実験例1の積層型液晶表示
素子は、白、黒いずれの表示特性も良好で、コントラス
トが良好であった。
【0145】実験例1の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ35V、15Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ3
5V、16Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ35V、25Vであった。
【0146】いずれの駆動電圧も、パルス幅5msec
のパルス電圧を電極間に印加するときのものである。後
述する実験例2〜6、比較例1、2においても、駆動電
圧の測定は、同様に、パルス幅5msecのパルス電圧
を用いて測定した。 (2)実験例2 実験例2においては、次に述べることを除き、実験例1
と同様にして、赤色表示用液晶セル、緑色表示用液晶セ
ル及び青色表示用液晶セルがこの順に積層された積層型
液晶表示素子を作製した。
【0147】実験例2においては、各液晶セルの一方の
基板の電極上には、厚み300Åの安定化膜を形成し
た。
【0148】また、各液晶セルの他方の基板の電極上に
は、厚み500Åの絶縁膜、厚み300Åの安定化膜を
順に形成した。
【0149】実験例2においては、絶縁膜材料として有
機系の絶縁膜材料HIM3000(日立化成社製)を用
いた。安定化膜材料としては、実験例2においても配向
膜材料AL4552を用いた。
【0150】実験例2においては、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルのカイラルネマティック液晶組成物の選択
反射波長は、それぞれ672nm、558nm、483
nmであった。なお、いずれのカイラルネマティック液
晶も、実験例1と同様に、ネマティック液晶E31LV
にカイラル剤R811を所定量添加して調製したもので
ある。
【0151】実験例2においても、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルの各液晶層の厚みは、それぞれ5μm、4
μm、3μmとした。
【0152】実験例2の積層型液晶表示素子の特性も、
実験例1と同様にして測定した。
【0153】実験例2の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=28.2、Y値(黒)=4.7、コン
トラスト=6.0であった。実験例2の積層型液晶表示
素子は、白、黒いずれの表示特性も良好で、コントラス
トが良好であった。
【0154】実験例2の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ30V、13Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ2
8V、14Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ28V、15Vであった。 (3)実験例3 実験例3においては、次に述べることを除き、実験例1
と同様にして、赤色表示用液晶セル、緑色表示用液晶セ
ル及び青色表示用液晶セルがこの順に積層された積層型
液晶表示素子を作製した。
【0155】実験例3においては、各液晶セルを形成す
るための一対の基板として、所定パターンのITOから
なる透明電極が形成されているポリエーテルスルホン
(PES)フィルムを採用した。
【0156】各液晶セルの一方の基板の電極上には、厚
み600Åの安定化膜を形成した。
【0157】また、各液晶セルの他方の基板の電極上に
は、厚み600Åの絶縁膜、厚み600Åの安定化膜を
順に形成した。
【0158】実験例3においては、安定化膜材料とし
て、ポリイミド系の配向膜材料SE−610(日産化学
工業社製)を用いた。絶縁膜材料としては実験例1と同
じ絶縁膜材料OA−1001を用いた。
【0159】実験例3においては、赤色表示用液晶セル
のカイラルネマティック液晶組成物LCrは、ネマティ
ック液晶組成物(屈折率異方性Δn:0.187、誘電
率異方性Δε:4.47)に、カイラル剤R811(メ
ルク社製)を所定量添加することで調製した。緑色表示
用液晶セルのカイラルネマティック液晶組成物LCg
は、ネマティック液晶組成物(Δn:0.177、Δ
ε:5.33)に、カイラル剤R811を所定量添加す
ることで調製した。青色表示用液晶セルのカイラルネマ
ティック液晶組成物LCbは、ネマティック液晶組成物
(Δn:0.20、Δε:6.25)に、カイラル剤R
811を所定量添加することで調製した。
【0160】赤色、緑色、青色表示用液晶セルのカイラ
ルネマティック液晶組成物の選択反射波長は、それぞれ
672nm、556nm、482nmであった。
【0161】実験例3においても、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルの各液晶層の厚みは、それぞれ5μm、4
μm、3μmとした。
【0162】実験例3の積層型液晶表示素子の特性も、
実験例1と同様にして測定した。
【0163】実験例3の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=27.0、Y値(黒)=5.0、コン
トラスト=5.4であった。実験例3の積層型液晶表示
素子は、白、黒いずれの表示特性も良好で、コントラス
トが良好であった。
【0164】実験例3の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ32V、14Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ3
0V、15Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ30V、15Vであった。 (4)実験例4 実験例4においては、次に述べることを除き、実験例1
と同様にして、赤色表示用液晶セル、緑色表示用液晶セ
ル及び青色表示用液晶セルがこの順に積層された積層型
液晶表示素子を作製した。
【0165】実験例4においては、各液晶セルを形成す
るための一対の基板として、所定パターンの透明電極が
形成されているポリエーテルスルホン(PES)フィル
ムを採用した。実験例4においては、実験例3と同じ電
極付き基板を採用した。
【0166】各液晶セルの一方の基板の電極上には、厚
み300Åの安定化膜を形成した。
【0167】また、各液晶セルの他方の基板の電極上に
は、厚み300Åの絶縁膜、厚み300Åの安定化膜を
順に形成した。
【0168】実験例4においては、絶縁膜材料として、
有機系の絶縁膜材料HIM3000(日立化成社製)を
用いた。安定化膜材料として、ポリイミド系の配向膜材
料SE−610(日産化学工業社製)を用いた。
【0169】実験例4においては、赤色表示用液晶セル
のカイラルネマティック液晶組成物LCrは、ネマティ
ック液晶組成物(Δn:0.187、Δε:4.47)
に、カイラル剤R811(メルク社製)を所定量添加す
ることで調製した。緑色表示用液晶セルのカイラルネマ
ティック液晶組成物LCgは、ネマティック液晶組成物
(Δn:0.177、Δε:5.33)に、カイラル剤
R811を所定量添加することで調製した。青色表示用
液晶セルのカイラルネマティック液晶組成物LCbは、
ネマティック液晶組成物(Δn:0.20、Δε:6.
25)に、カイラル剤R811を所定量添加することで
調製した。
【0170】赤色、緑色、青色表示用液晶セルのカイラ
ルネマティック液晶組成物の選択反射波長は、それぞれ
668nm、558nm、485nmであった。
【0171】実験例4においては、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルにおいて用いるスペーサの直径をそれぞれ
6μm、5μm、5μmとした。すなわち、赤色、緑
色、青色表示用液晶セルの各液晶層の厚みは、それぞれ
6μm、5μm、5μmとした。
【0172】実験例4の積層型液晶表示素子の特性も、
実験例1と同様にして測定した。
【0173】実験例4の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=29.1、Y値(黒)=4.7、コン
トラスト=6.2であった。実験例4の積層型液晶表示
素子は、白、黒いずれの表示特性も良好で、コントラス
トが良好であった。
【0174】実験例4の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ35V、18Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ3
0V、15Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ30V、14Vであった。 (5)実験例5 実験例5においては、次に述べることを除き、実験例1
と同様にして、赤色表示用液晶セル、緑色表示用液晶セ
ル及び青色表示用液晶セルがこの順に積層された積層型
液晶表示素子を作製した。
【0175】実験例5においては、各液晶セルの一方の
基板の電極上には、厚み350Åの安定化膜を形成し
た。また、各液晶セルの他方の基板の電極上には、厚み
350Åの安定化膜を形成した。安定化膜材料として
は、実験例1と同様に配向膜材料AL4552を用い
た。
【0176】実験例5においては、各液晶セルのいずれ
の基板上にも絶縁膜は形成しなかった。
【0177】実験例5においては、赤色表示用液晶セル
のカイラルネマティック液晶組成物LCrは、ネマティ
ック液晶組成物(Δn:0.187、Δε:4.47)
に、カイラル剤R811(メルク社製)を所定量添加す
ることで調製した。緑色表示用液晶セルのカイラルネマ
ティック液晶組成物LCgは、ネマティック液晶組成物
(Δn:0.177、Δε:5.33)に、カイラル剤
R811を所定量添加することで調製した。青色表示用
液晶セルのカイラルネマティック液晶組成物LCbは、
ネマティック液晶組成物(Δn:0.20、Δε:6.
25)に、カイラル剤R811を所定量添加することで
調製した。
【0178】赤色、緑色、青色表示用液晶セルのカイラ
ルネマティック液晶組成物の選択反射波長は、それぞれ
673nm、552nm、477nmであった。
【0179】実験例5においても、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルの各液晶層の厚みは、それぞれ5μm、4
μm、3μmとした。
【0180】実験例5の積層型液晶表示素子の特性も、
実験例1と同様にして測定した。
【0181】実験例5の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=26.5、Y値(黒)=5.0、コン
トラスト=5.3であった。実験例5の積層型液晶表示
素子は、白、黒いずれの表示特性も良好で、コントラス
トが良好であった。
【0182】実験例5の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ30V、15Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ2
7V、14Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ26V、13Vであった。 (6)実験例6 実験例6においては、次に述べることを除き、実験例1
と同様にして、赤色表示用液晶セル、緑色表示用液晶セ
ル及び青色表示用液晶セルがこの順に積層された積層型
液晶表示素子を作製した。
【0183】実験例6においては、各液晶セルのいずれ
の基板の電極上にも、厚み300Åの絶縁膜、厚み60
0Åの安定化膜を順に形成した。
【0184】実験例6においても、絶縁膜材料としては
OA−1001を用いた。安定化膜材料としては、実験
例6においても配向膜材料AL4552を用いた。
【0185】実験例6においても、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルのいずれのカイラルネマティック液晶も、
実験例1と同様に、ネマティック液晶E31LVにカイ
ラル剤R811を所定量添加して調製したものである。
【0186】実験例6においても、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルの各液晶層の厚みは、それぞれ5μm、4
μm、3μmとした。
【0187】実験例6の積層型液晶表示素子の特性も、
実験例1と同様にして測定した。
【0188】実験例6の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=30.2、Y値(黒)=5.2、コン
トラスト=5.8であった。実験例6の積層型液晶表示
素子は、白、黒いずれの表示特性も良好で、コントラス
トが良好であった。
【0189】実験例6の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ37V、16Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ3
6V、16Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ35V、28Vであった。 (7)比較例1 比較例1においては、次に述べることを除き、実験例1
と同様にして、赤色表示用液晶セル、緑色表示用液晶セ
ル及び青色表示用液晶セルがこの順に積層された積層型
液晶表示素子を作製した。
【0190】比較例1においては、各液晶セルの各基板
の電極上には、それぞれ厚み2000Åの絶縁膜と、厚
み800Åの安定化膜とを順に形成した。
【0191】絶縁膜材料としては、比較例1においても
絶縁膜材料OA−1001を用いた。安定化膜材料とし
ては、比較例1においても配向膜材料AL4552を用
いた。
【0192】比較例1においては、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルのカイラルネマティック液晶組成物の選択
反射波長は、それぞれ678nm、565nm、490
nmであった。なお、いずれのカイラルネマティック液
晶も、実験例1と同様に、ネマティック液晶E31LV
にカイラル剤R811を所定量添加して調製したもので
ある。
【0193】比較例1においては、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルにおいて用いるスペーサの直径をそれぞれ
6μm、5μm、4μmとした。すなわち、赤色、緑
色、青色表示用液晶セルの各液晶層の厚みは、それぞれ
6μm、5μm、4μmとした。
【0194】比較例1の積層型液晶表示素子の特性も、
実験例1と同様にして測定した。
【0195】比較例1の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=30.9、Y値(黒)=7.9、コン
トラスト=3.9であった。
【0196】比較例1の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ46V、25Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ4
2V、23Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ42V、22Vであった。 (8)比較例2 比較例2においては、次に述べることを除き、実験例1
と同様にして、赤色表示用液晶セル、緑色表示用液晶セ
ル及び青色表示用液晶セルがこの順に積層された積層型
液晶表示素子を作製した。
【0197】比較例2においては、各液晶セルの一方の
基板の電極上には、厚み1800Åの安定化膜を形成し
た。
【0198】また、各液晶セルの他方の基板の電極上に
は、厚み900Åの絶縁膜、厚み1800Åの安定化膜
を順に形成した。
【0199】絶縁膜材料としては、比較例2においては
絶縁膜材料HIM3000を用いた。安定化膜材料とし
ては、比較例2においては配向膜材料SE−610を用
いた。
【0200】比較例2においては、赤色表示用液晶セル
のカイラルネマティック液晶組成物LCrは、ネマティ
ック液晶組成物(Δn:0.187、Δε:4.47)
に、カイラル剤R811(メルク社製)を所定量添加す
ることで調製した。緑色表示用液晶セルのカイラルネマ
ティック液晶組成物LCgは、ネマティック液晶組成物
(Δn:0.177、Δε:5.33)に、カイラル剤
R811を所定量添加することで調製した。青色表示用
液晶セルのカイラルネマティック液晶組成物LCbは、
ネマティック液晶組成物(Δn:0.20、Δε:6.
25)に、カイラル剤R811を所定量添加することで
調製した。
【0201】比較例2においては、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルのカイラルネマティック液晶組成物の選択
反射波長は、それぞれ663nm、550nm、472
nmであった。
【0202】比較例2においては、赤色、緑色、青色表
示用液晶セルにおいて用いるスペーサの直径をそれぞれ
7μm、6μm、5μmとした。すなわち、赤色、緑
色、青色表示用液晶セルの各液晶層の厚みは、それぞれ
7μm、6μm、5μmとした。
【0203】比較例2の積層型液晶表示素子の特性も、
実験例1と同様にして測定した。
【0204】比較例2の積層型液晶表示素子において
は、Y値(白)=30.7、Y値(黒)=7.5、コン
トラスト=4.1であった。
【0205】比較例2の積層型液晶表示素子において、
赤色表示用液晶セルの液晶層を選択反射状態及び透明状
態にするときの駆動電圧は、それぞれ45V、25Vで
あった。また、緑色表示用液晶セルの液晶層を選択反射
状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、それぞれ4
0V、20Vであった。青色表示用液晶セルの液晶層を
選択反射状態及び透明状態にするときの駆動電圧は、そ
れぞれ42V、22Vであった。
【0206】以上説明した実験例1〜6及び比較例1、
2の結果をまとめると、次表1に示すようになる。
【0207】
【表1】 なお、表1中、安定化膜1及び絶縁膜1は、各液晶セル
の一対の基板のうちの一方の基板に形成された膜であ
る。また、安定化膜2及び絶縁膜2は各液晶セルの他方
の基板に形成された膜である。
【0208】R−液晶層厚、G−液晶層厚及びB−液晶
層厚は、それぞれ赤色、緑色、青色表示用液晶セルの液
晶層の厚みである。
【0209】R−駆動電圧、G−駆動電圧及びB−駆動
電圧は、それぞれ赤色、緑色、青色表示用液晶セルの駆
動電圧である。各欄の前後に記載した電圧は、それぞれ
その液晶セルの液晶層(液晶)を選択反射状態にするた
めの電圧、透明状態にするときの電圧である。
【0210】表1から次のことがわかる。
【0211】本発明に係る実験例1〜6の液晶表示素子
は、比較例1、2の液晶表示素子に比べてコントラスト
が良好なことがわかる。
【0212】実験例1〜4の液晶表示素子においては、
各液晶セルの一方の基板上に形成された安定化膜と絶縁
膜の膜厚の合計が600Å〜約1500Åの範囲にあ
り、その膜厚の合計が小さいほどコントラストが良好な
ことがわかる。このようにコントラストの観点からは、
安定化膜と絶縁膜の膜厚の合計は小さいほどよいと考え
られる。しかし、安定化膜や絶縁膜はあまり薄くしすぎ
ると、各膜の本来の機能を果たせなくなる。
【0213】実験例5の液晶表示素子においてはいずれ
の基板にも約300Åの安定化膜が形成されており、こ
の程度の膜厚があれば電極間の絶縁不良も特に発生しな
かった。したがって、基板上に安定化膜と絶縁膜の双方
を形成する場合にも、これら膜の膜厚の合計は300Å
程度以上あれば、各膜の本来の機能を果たせるものと推
定できる。
【0214】また、基板上に安定化膜及び絶縁膜のうち
の安定化膜だけ形成する場合であっても、その安定化膜
の膜厚が300Å程度以上あれば、その安定化膜に絶縁
膜の機能を兼用させることができることがわかる。この
場合も、コントラストの観点から言うと、安定化膜の膜
厚は薄い方がよいと考えられる。安定化膜だけを形成す
る場合も、安定化膜と絶縁膜の双方を形成する場合と同
様に、コントラストの観点からは安定化膜の膜厚は約1
500Å以下であることが好ましいことが推定できる。
【0215】実験例6の液晶表示素子においては、いず
れの基板にも絶縁膜と安定化膜の双方が形成されている
が、比較例1、2の液晶表示素子に比べてコントラスト
は良好である。したがって、いずれの基板にも絶縁膜と
安定化膜の双方の膜を形成する場合であっても、各基板
上の絶縁膜と安定化膜の膜厚の合計をそれぞれ300Å
〜1500Å程度とすれば、これら膜によるコントラス
トの低下を抑制できることがわかる。
【0216】比較例1、2の液晶表示素子においては、
一方の基板上に形成された安定化膜と絶縁膜の膜厚の合
計が1500Åを大きく超えているため、Y値(黒)が
大きくなり、結果としてコントラスト(=Y値(白)/
Y値(黒)が低下してと考えられる。
【0217】また、実験例1〜6の結果から、一対の基
板にそれぞれ形成された安定化膜、絶縁膜の全ての膜厚
の合計(例えば、実験例1の液晶表示素子においては安
定化膜1、絶縁膜1、安定化膜2の膜厚の合計)は、2
000Å程度以下であれば、コントラストが良好である
ことがわかる。一対の基板にそれぞれ形成された安定化
膜、絶縁膜の全ての膜厚の合計の下限は、一方の基板だ
けに絶縁膜を兼ねる安定化膜だけを形成する場合には約
300Å、各基板に安定化膜を形成する場合には約60
0Åとすればよい。
【0218】駆動電圧の観点から言っても、基板上に形
成された安定化膜の厚み、絶縁膜の厚みは、薄い方がよ
いことがわかる。
【0219】本発明に係る実験例1〜6の液晶表示素子
のように、安定化膜の厚みや、絶縁膜の厚みが上記述べ
た範囲にあり、しかも各液晶層の厚みが3μm程度〜6
μm程度の範囲にあれば、駆動電圧を比較的小さくでき
ることがわかる。
【0220】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、カイラ
ルネマティック液晶を含む液晶層と、液晶層を挟持する
基板を有し、基板上に安定化膜が形成されている液晶表
示素子であって、駆動電圧が低く、コントラストの良好
な液晶表示素子を提供することができる。
【0221】また、本発明は、カイラルネマティック液
晶を含む液晶層と、液晶層を挟持する基板を有し、基板
上に安定化膜及び絶縁膜が形成されている液晶表示素子
であって、駆動電圧が低く、コントラストの良好な液晶
表示素子を提供することができる。
【0222】また、本発明は、積層された複数のカイラ
ルネマティック液晶を含む液晶層と、各液晶層を挟持す
る複数の基板を有し、基板上に安定化膜が形成されてい
る積層型液晶表示素子であって、駆動電圧が低く、コン
トラストの良好な積層型液晶表示素子を提供することが
できる。
【0223】また、本発明は、積層された複数のカイラ
ルネマティック液晶を含む液晶層と、各液晶層を挟持す
る複数の基板を有し、基板上に安定化膜及び絶縁膜が形
成されている積層型液晶表示素子であって、駆動電圧が
低く、コントラストの良好な積層型液晶表示素子を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示素子の一例の概略断面図
である。
【図2】本発明に係る液晶表示素子の他の例の概略断面
図である。
【図3】本発明に係る液晶表示素子のさらに他の例の概
略断面図である。
【図4】本発明に係る液晶表示素子のさらに他の例の概
略断面図である。
【符号の説明】
LE1〜LE4 液晶表示素子 Cb、Cg、Cr 液晶セル S1、S2、S32 基板 Sc1、Sc2 基板(共通基板) E1、E2 電極 IS1、IS2 絶縁膜(絶縁層) ST1、ST2 安定化膜 Lb、Lg、Lr 液晶層 LCb、LCg、LCr 液晶 3 スペーサ 4 樹脂構造物 5 接着層 SW シール壁 AB 光吸収層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 昇 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 (72)発明者 植田 秀昭 大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 Fターム(参考) 2H088 GA03 HA01 HA03 HA04 HA14 JA14 KA02 KA04 MA02 MA20 2H089 HA32 NA58 QA16 RA11 TA01 TA04 TA05 TA13 2H090 HA03 HA08 HB08Y HC05 JB03 KA09 LA05 MB14

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1及び第2の一対の基板と、 前記第1基板と第2基板の間に挟持された液晶層とを備
    えており、 前記液晶層は室温でコレステリック相を示すカイラルネ
    マティック液晶を含んでおり、該液晶層の厚みが3μm
    〜6μmの範囲にあり、 前記第1基板上には安定化膜が形成されており、該第1
    基板上の該安定化膜の厚みが300Å〜1500Åの範
    囲にあることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】第1及び第2の一対の基板と、 前記第1基板と第2基板の間に挟持された液晶層とを備
    えており、 前記液晶層は室温でコレステリック相を示すカイラルネ
    マティック液晶を含んでおり、該液晶層の厚みが3μm
    〜6μmの範囲にあり、 前記第1基板上には安定化膜及び絶縁膜が形成されてお
    り、該第1基板上の該安定化膜と該絶縁膜の厚みの合計
    が300Å〜1500Åの範囲にあることを特徴とする
    液晶表示素子。
  3. 【請求項3】前記第2基板上には安定化膜が形成されて
    おり、該第2基板上の該安定化膜の厚みが300Å〜1
    500Åの範囲にある請求項1又は2記載の液晶表示素
    子。
  4. 【請求項4】前記第2基板上には安定化膜及び絶縁膜が
    形成されており、該第2基板上の該安定化膜と該絶縁膜
    の厚みの合計が300Å〜1500Åの範囲にある請求
    項1又は2記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】前記安定化膜にはラビング処理が施されて
    いない請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示素
    子。
  6. 【請求項6】前記安定化膜はポリイミド樹脂からなる請
    求項1から5のいずれかに記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】前記第1及び第2基板のうちの少なくとも
    一方の基板は樹脂基板である請求項1から6のいずれか
    に記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】前記第1及び第2基板上にはそれぞれ電極
    が形成されており、該第1基板上の電極及び第2基板上
    の電極のうちの少なくとも観察側に配置される電極は透
    光性を有している請求項1から7のいずれかに記載の液
    晶表示素子。
  9. 【請求項9】積層された複数の液晶層と、 前記各液晶層を挟持するための複数の基板とを備えてお
    り、 前記各液晶層はそれぞれ室温でコレステリック相を示す
    カイラルネマティック液晶を含んでおり、各液晶層の厚
    みがそれぞれ3μm〜6μmの範囲にあり、 少なくとも一つの前記基板上には安定化膜が形成されて
    おり、該安定化膜の厚みが300Å〜1500Åの範囲
    にあることを特徴とする積層型液晶表示素子。
  10. 【請求項10】積層された複数の液晶層と、 前記各液晶層を挟持するための複数の基板とを備えてお
    り、 前記各液晶層はそれぞれ室温でコレステリック相を示す
    カイラルネマティック液晶を含んでおり、各液晶層の厚
    みがそれぞれ3μm〜6μmの範囲にあり、 少なくとも一つの前記基板上には安定化膜及び絶縁膜が
    形成されており、該安定化膜と該絶縁膜の厚みの合計が
    300Å〜1500Åの範囲にあることを特徴とする積
    層型液晶表示素子。
  11. 【請求項11】前記複数の液晶層は観察側から順に積層
    された第1、第2及び第3の三つの液晶層であり、 該第1液晶層中の前記カイラルネマティック液晶のピー
    ク選択反射波長が475nm〜485nmの範囲にあ
    り、 該第2液晶層中の前記カイラルネマティック液晶のピー
    ク選択反射波長が550nm〜560nmの範囲にあ
    り、 該第3液晶層中の前記カイラルネマティック液晶のピー
    ク選択反射波長が665nm〜675nmの範囲にある
    請求項9又は10記載の積層型液晶表示素子。
JP2000243119A 2000-08-10 2000-08-10 液晶表示素子及び積層型液晶表示素子 Withdrawn JP2002055365A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000243119A JP2002055365A (ja) 2000-08-10 2000-08-10 液晶表示素子及び積層型液晶表示素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000243119A JP2002055365A (ja) 2000-08-10 2000-08-10 液晶表示素子及び積層型液晶表示素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002055365A true JP2002055365A (ja) 2002-02-20

Family

ID=18734029

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000243119A Withdrawn JP2002055365A (ja) 2000-08-10 2000-08-10 液晶表示素子及び積層型液晶表示素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002055365A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006518470A (ja) * 2002-10-17 2006-08-10 インテル コーポレイション 白黒コレステリック液晶ディスプレイ
JP2010164994A (ja) * 2010-04-12 2010-07-29 Intel Corp 白黒コレステリック液晶ディスプレイ

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006518470A (ja) * 2002-10-17 2006-08-10 インテル コーポレイション 白黒コレステリック液晶ディスプレイ
US7595856B2 (en) 2002-10-17 2009-09-29 Intel Corporation Black and white color cholesteric liquid crystal display
US7880837B2 (en) 2002-10-17 2011-02-01 Intel Corporation Black and white color cholesteric liquid crystal display
JP2010164994A (ja) * 2010-04-12 2010-07-29 Intel Corp 白黒コレステリック液晶ディスプレイ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6833885B2 (en) Two layer liquid crystal display apparatus
JPH10161110A (ja) 反射型液晶表示素子
US6565932B2 (en) Liquid crystal composition and liquid crystal light modulating device using the liquid crystal composition
US6812977B1 (en) Liquid crystal element
EP2163940B1 (en) Liquid crystal display
JP2000178557A (ja) 液晶組成物及び液晶光変調素子
US20050157231A1 (en) Transflective mode liquid crystal display
US6699534B2 (en) Liquid crystal display element
JP2002055365A (ja) 液晶表示素子及び積層型液晶表示素子
JPH1164818A (ja) 反射型液晶表示素子
JP2001311969A (ja) 調光装置
JP2002107768A (ja) 液晶表示素子
JP2003096460A (ja) 液晶組成物及び液晶表示素子
JP2004170868A (ja) 積層型液晶表示素子
JP2002207225A (ja) 液晶表示素子
JP2003029301A (ja) 反射型フルカラー液晶表示素子及び該素子を備えた表示装置
JPH10115704A (ja) 反射型カラーフィルタおよび液晶表示装置
JP2001147442A (ja) 積層型液晶素子
JP2001147444A (ja) 積層型液晶素子
JP2002287136A (ja) 反射型液晶表示素子
US20010005258A1 (en) Liquid crystal element and layered type liquid crystal element
JP2007148232A (ja) 液晶表示素子
JP2002214648A (ja) 液晶表示素子及び積層型液晶表示素子
JP2003195341A (ja) 積層型液晶表示素子
JP2004184670A (ja) 液晶表示素子

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20050613

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20071106