JP2002045199A - 変異原性解析方法 - Google Patents

変異原性解析方法

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JP2002045199A
JP2002045199A JP2000232056A JP2000232056A JP2002045199A JP 2002045199 A JP2002045199 A JP 2002045199A JP 2000232056 A JP2000232056 A JP 2000232056A JP 2000232056 A JP2000232056 A JP 2000232056A JP 2002045199 A JP2002045199 A JP 2002045199A
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micronuclei
chromosome
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Takatomo Sato
卓朋 佐藤
Yuichi Kawada
雄一 河田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境変異原等の被検物質により誘発された各
々の小核について、夫々、染色体における帰属性を解析
し、且つ染色体異常の部位特異性を正確に同定する方法
を提供する。 【解決手段】 被検物質の変異原性を解析する方法であ
って、(a)解析対象細胞を培養することと、(b)前
記細胞に被検物質を処理して小核を誘発することと、
(c)小核保有細胞から各々の小核を個別に採取するこ
とと、(d)前記採取した個々の小核毎にDNAプロー
ブを作製することと、(e)前記DNAプローブを用い
て、予め準備しておいた正常染色体標本に対して測定可
能な標識物質を特異的に結合させるような条件下でハイ
ブリダイゼーションを行うことと、および(f)前記標
識物質を検出して異常部位を同定することにより染色体
異常を解析することとを具備する解析方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検物質の変異原
性を解析する方法に関し、特に、変異原による染色体異
常を解析する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝的要因または環境変異原等は、染色
体を有するあらゆる生物に対して様々な染色体異常を誘
発することが知られてる。そのような染色体異常を解析
する方法の多くは、核型(karyotype)の解析に依存し
ている。核型を解析するためには、有核生物の細胞の細
胞周期において分裂中期(metaphase)の細胞を必要と
する。そのような分裂中期細胞の標本を作製する際に
は、細胞内の個々の染色体群の全てが重なりがないよう
に分離し、且つ、個々の染色体が十分に伸展するよう
に、慎重に標本を調製しなくてはならない。しかしなが
ら、24種類の異なる染色体群からなるヒト染色体につ
いて、このような完全な標本を得ることは困難である。
特に、環境変異原を培養細胞に処理する場合には、細胞
毒性の影響により、分裂中期細胞の出現頻度が著しく減
少する。そのため、解析に耐え得る状態のよい試料を多
数得ることは困難である。
【0003】一方、分裂中期細胞の染色体に切断、交換
および不分離等の形態的な異常が生じた場合には、その
後の間期において、細胞核の一部が分離して微小な核が
形成される。このような微小な核を小核と呼ぶ。小核の
研究は、ヒトでは、主に末梢血由来のリンパ球が用いら
れてきた。正常なリンパ球では、小核の出現頻度が極め
て低いが、有毒な薬剤等の刺激により、劇的に小核の出
現頻度が増加することも知られている(Heddle,J.A.
ら、Mutat.Res.44,63-69,1977)。従って、小核の出現
とその頻度は、何らかの遺伝的要素、環境変異原等の影
響により、DNA損傷による染色体異常が生じたことを
示す指標となり得る。この場合、小核出現頻度の解析を
行う対象細胞は間期細胞である。これは、分裂中期細胞
に比べて、標本作製および観察の容易さ等の点から利点
である。しかしながら、その一方で、通常の小核の解析
方法を用いても、小核の由来となる染色体は決定できな
いことが問題である。
【0004】今日、小核の出現頻度のみならず、蛍光イ
ンサイチュウハイブリダイゼーション(FISH)法を利用
して、小核中の染色体情報を解析することで、小核出現
に関与する染色体の特異性を解析しようという試みが行
われている。例えば、小前らの方法は、FISHの応用
であるスペクトル核型法(spectral karyotyping;SKY)
を用いて、ヒト全染色体の着色DNAプローブの小核中
の存在をスクリーニングした結果を報告している(小前
ら、薬学雑誌119(10):763-772,1999)。この方法では、
小核中に複数の染色体、または、その断片が含まれる場
合には、小核の由来となる染色体を同定することができ
ない。また、小核の候補となる染色体が予測できたとし
ても、その切断点の解析ができないことが大きな問題で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の状況に鑑み、本
発明は、被検物質により誘発された各々の小核につい
て、夫々、染色体における帰属性を解析し、且つ染色体
異常の部位特異性を正確に同定する方法を提供すること
を目的とする。
【0006】また、本発明は、被検物質により誘発され
た小核を用いて、染色体異常生成に関わる染色体領域を
解析する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の手
段により解決される。即ち、被検物質の変異原性を解析
する方法であって、(a)解析対象細胞を培養すること
と、(b)前記細胞に被検物質を処理して小核を誘発す
ることと、(c)小核保有細胞から各々の小核を個別に
採取することと、(d)前記採取した個々の小核毎にD
NAプローブを作製することと、(e)前記DNAプロ
ーブを用いて、予め準備しておいた正常染色体標本に対
して蛍光インサイチュウハイブリダイゼーションを行う
ことと、および(f)蛍光標識を検出して異常部位を同
定することにより染色体異常を解析することとを具備す
る解析方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、従来から出現頻度の解
析を主としたアプローチに偏っていた小核試験につい
て、本発明者が種々の観点から見直し、多面的な鋭意検
討を重ねた結果、達成されたものである。即ち、本発明
者は、由来が不明な染色体を解析するために開発された
分子細胞生物学的手法により、環境変異原等の被検物質
により誘発される小核の解析が可能であることを見出し
た。以下に説明する本発明によれば、培養可能な細胞で
あれば、生物の種を問わず、任意の被検物質に曝露され
た任意の有核細胞を小核の解析対象とすることが可能で
ある。
【0009】以下、図1から2を用いて、本発明を説明
する。図1は本発明の解析方法の流れを示す模式図であ
り、図2は解析方法を示すフローチャートである。
【0010】まず、図1を用いて本方法の概要を説明す
る。細胞培養系1において、解析対象細胞2を培養す
る。次に、該細胞2が対数増殖期にあるときに、該細胞
2に対して任意の被検物質を処理する。この被検物質の
処理により該細胞の間期において小核が誘発される。被
検物質を処理された細胞2の幾つかは、染色体に構造的
異常および/または数的異常が生じる。この異常から、
細胞2に小核4が発生する。
【0011】次に、夫々の小核4を個別に採取し、小核
4に含まれる核酸の配列に相補的な配列のDNAプロー
ブ5を作製する。DNAプローブ5は、該相補的核酸配
列と蛍光標識6とを具備する。
【0012】次に、得られた小核4が、何れの染色体の
どの位置に由来するものであるのかを同定する。具体的
には、上記で作製したDNAプローブ5を、予め製作し
ておいた正常染色体標本7に具備される染色体8に対し
てインサイチュウハイブリダイゼーションする。
【0013】その後、ハイブリダイズした標識6を検出
することにより、染色体の異常部位が特定される。
【0014】ここで試験される被検物質は、変異原性が
疑われる何れの物質でもよく、例えば、自然界に存在す
る化学物質およびその他の化学物質、医薬品、および天
然物質等である。また「環境変異原」の語は、環境に存
在する、または存在する可能性のある変異原をいう。
【0015】ここで使用する「変異原性」の語は、染色
体異常を誘発する性質をいう。また、「染色体の異常」
とは、染色体の切断および交換等の染色体における種々
の異常をいう。
【0016】続いて、図2を用いて、更に具体的に本発
明の解析方法を説明する。細胞培養系1において、解析
対象細胞2を培養する。解析対象となる細胞は、生物種
の由来を問わず、どのような細胞でもよい。例えば、ヒ
ト、げっ歯動物等の哺乳類、両生類、魚類、鳥類および
昆虫等の生物から得た細胞を使用することが可能であ
る。前記培養は、選択した細胞種に適切な方法により行
えばよい。
【0017】次に、該細胞2の対数増殖期に、該細胞2
に対して任意の被検物質を処理する。この際、被検物質
のDNAの作用が全く予測できない場合、該細胞培養系
1に直接に単独で添加してもよく、また、一般的に使用
されるラット肝S9mix等に含まれる代謝活性化酵素
(P450)の存在下で添加してもよい。
【0018】この添加の後、1細胞周期以上の時間に亘
って培養し、細胞試料を調製して小核4を採取する。こ
こで、細胞試料から個々の小核4を各々採取するには、
スライドガラス等の支持体上に細胞を展開して空気乾燥
した後、顕微鏡下で、個々の小核を各々マイクロマニピ
ュレーションやレーザダイセクション等のそれ自身公知
の方法を使用して行うことが可能である。
【0019】例えば、支持体上に固定した細胞をギムザ
染色して顕微鏡により観察すると、図3に示す図のよう
な顕微鏡像が得られる(図3)。また、前記支持体を使
用せずに、裸核化した細胞浮遊液をDNA染色し、セル
ソータ等を用いて各々の小核を分取することも可能であ
る。例えば、裸核化した細胞を蛍光染色し、サイトメト
リー技術により測定して得られたデータは、図4のグラ
フに示す通りである。ここで、縦軸は核または小核のサ
イズを示し、横軸は核または小核の相対蛍光量(DNA
量)を示す。また、A画分は小核の集団であり、B画分
は核または主核の集団を示す。従って、この場合、A画
分を採取することが好ましい。しかしながら、これらの
手段に限定されるものではなく、各小核を個別採取する
手段であれば使用してよい。
【0020】次に、採取した個々の小核4に対して相補
的な配列を有するDNAプローブ5を作製する。本発明
に使用するDNAプローブ5に具備されるDNAは、例
えば、染色体の略全域に亘るDNAを増幅することが可
能なポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)により作製す
ることが可能である。例えば、ギュアンらの方法を使用
してもよい(Guan X.Y.ら、Cancer Res 55:3380-3385, 1
995)。各小核に対して相補的なDNAを得た後、これに
標識物質6を結合してDNAプローブとする。標識物質
6は、種々の標識物質を使用することが可能であるが、
検出感度および扱い易さ等から蛍光物質を使用すること
が好ましい。蛍光物質を使用すれば、蛍光インサイチュ
ウハイブリダイゼーション(FISH)を行うことが可能であ
るので有利である。そのような蛍光物質は、FISHに
おいて一般的に使用される何れかの蛍光物質であればよ
く、例えば、FITC等である。
【0021】得られたDNAプローブ5の解析は、予め
準備した正常染色体を含む標本7に対してハイブリダイ
ズすることにより行う。正常染色体8を含む標本7は、
解析対象細胞2から、事前に、染色体の空気乾燥標本を
準備することにより用意できる。ここでは、DNA合成
期の後半に培地中にBrdUを添加して作製するR−b
and標本等、染色体バンド情報が得られる標本を準備
するのが好ましい。
【0022】次に、上述のDNAプローブ5を使用し
て、上記の正常染色体標本7に対するFISHを実施す
る。FISHは、通常実施される条件により行うことが
可能である。続いて、FISHを行った標本7上の標識
物質6を検出することにより、DNAプローブの染色体
上での位置が同定される。
【0023】また、複数の小核についての上述のように
解析した結果を比較することも可能である。これによ
り、被検物質の染色体異常誘発性を正確に且つ詳細に評
価することが可能になる。
【0024】本願発明の解析方法によれば、被検物質の
変異原性によって誘発された染色体の切断若しくは交換
部位を同定することが可能であり、また染色体異常に関
わる染色体を同定することが可能である。
【0025】従って、本発明は、被検物質により誘発さ
れた各々の小核について、夫々、染色体における帰属性
を解析し、且つ染色体異常の部位特異性を正確に同定す
ることが可能である。即ち、被検物質によって誘発され
た染色体における切断部位の同定、交換部位の同定およ
び染色体異常に関わる特定の染色体の同定をすることが
可能である。また、本発明は、被検物質により誘発され
た小核を用いて、染色体異常生成に関わる染色体領域を
解析することが可能である。
【0026】本発明の変異原性解析方法は、変異原の作
用により染色体に発生した異常を小核を解析することに
より行うことが可能である。特に、発生した小核につい
て、1つ1つ別々に採取し、これに対してDNAプロー
ブを作製する。1つ1つの小核を個別に解析することに
より、複数の小核を纏めて解析する場合よりも正確に解
析することが可能である。これにより、1被検物質によ
り誘発される突然変異の発生頻度、突然変異の種類およ
び量的共通性等を、細胞間で比較することが可能であ
る。従って、従来の方法に比較して正確且つ詳細な小核
発生プロファイルを作製することが可能である。
【0027】
【実施例】上述の実施形態に基づき、発明者らが行った
実施例を以下に説明する。ここでは、男性胎児肺繊維芽
細胞株TIG−7に対して、代表的な染色体構造異常誘
発物質であるマイトマイシンC(MMC)を処理して得
られた小核を解析した例を示す。
【0028】1.小核標本の作製 TIG−7細胞を、10%のウシ胎児血清を含有するM
EM培地で単層培養した。このTIG−7細胞の細胞倍
加時間は約20時間で、核型は正常であった。対数増殖
期の前記細胞に対して、最終濃度0.05μg/mLの
MMCを72時間処理した。データには示さないが、こ
の処理によって、全体の約20%の細胞に小核が出現す
ることを予め確認した。その後、0.025%のトリプシン処
理により細胞を回収し、常法に従って、低張および固定
処理を行い、空気乾燥カバーガラス標本を作製した。こ
の標本を、ギムザ染色し、小核の顕微鏡操作に用いた。
顕微鏡観察および小核の顕微鏡操作に関しては、倒立顕
微鏡IX70(オリンパス光学工業(株))とそれに設置
した油圧式マイクロマニピュレータ装置ONM−1(ナ
リシゲ社)を使用した。マイクロマニピュレータの先端
には、小核採取のために加工した微細ガラス管(直径約
5μm)を取り付け、観察倍率600倍観察条件下で、
直径約1〜3μmの小核を顕微鏡下で採取した。具体的
には、小核を微小ガラス管でかき取り、微小ガラス管内
に採取した。
【0029】2.DNAプローブの作製 回収した小核1断片を0.2mL用のPCRチューブに
移し、ギュアンら(Guan XY、Cancer Res 55:3380-338
5,1995)によるDOP−PCRの変法を用いて、小核の
DNAプローブを作製した。該プローブ作製のプロセス
は、次の通りに行った。
【0030】(1)トポイソメラーゼIによるクロマチ
ン構造の弛緩処理 小核1断片を含む0.2mL用のPCRチューブに、サ
ンプル液(5×T7 sequenase buffer;10μL、2mM dNTP混
合液;5μL、70μM DOP-PCR プライマー;1.3μL、および
滅菌蒸留水;33.7μLの混合液)を4μL添加し、ボルテッ
クスミキサーにより混和した後、4℃で一晩静置した。
その後、トポイソメラーゼI反応液(Promega社製 10U/
μL のトポイソメラーゼI;1μLと上記のサンプル
液;9μLの混合液)をPCRチューブに1μL添加し、
37℃で30分間の処理を行い、更に、95℃で10分
間の熱処理により、トポイソメラーゼIを失活させると
同時に鋳型となるDNAを変性した。
【0031】(2)T7 DNAシーケナーゼとTaq
DNAポリメラーゼによるDNAの増幅 T7 DNAシーケナーゼ(DNA sequenase,Amaersham
社製)を用いたPCRは、95℃で1分間、30℃で2
分間、37℃で2分間を1サイクルとした合計8サイク
ルで実施した。ここで、各サイクルにおける30℃で2
分間のアニーリング反応開始時に、T7 DNAシーケ
ナーゼ反応液(Amaersham社製 13U/μLのT7 DNA sequen
aseを2μLと、T7 DNA希釈液を14μLとの混合液)を0.
25μLずつ添加した。ここで、T7 DNAシーケナ
ーゼを用いたPCR反応終了後、全反応液は、合計7μL
となった。次に、Taq DNA ポリメラーゼによるDN
Aの増幅を実施した。ここでは、Taq DNA ポリメ
ラーゼ反応液(Takara社製10U/μLのEX Taqを3
μL、10×PCR緩衝液を25μL、25mM MgCl2を20μL、2mM
dNTP混合液を25μL、70μM DOP-PCRプライマーを6.5μ
L、および滅菌蒸留水を170.5μLの混合液)を、前記反
応液7μLに対して、43μLで添加し、合計50μL
として、95℃で5分間の熱処理後、95℃で1分間、
56℃で1分間、72℃で3分間を1サイクルとして合
計40サイクルのPCRを実施し、最後に72℃で5分
間の処理を行った。
【0032】(3)ビオチンdUTPによるプローブD
NAの標識 次に、(2)で得たPCR産物の2μLを別のPCRチ
ューブに採取し、更に、上述の10U/μLのEX T
aqを0.5μL、10×PCRバッファーを5μL、
25mMのMgClを4μL、10mMのdATPを1μ
L、10mMのdGTPを1μL、10mMのdCTPを
1μL、10mMのdTTPを0.5μL、1mMのビオ
チン−16−dUTP(Beringer社製)を5μL、70μ
MのDOP−PCRプライマーを1.3μLと、および
滅菌蒸留水を28.7μLを添加し、合計50μLとし
て、95℃で5分間の熱処理後、95℃で1分間、56
℃で1分間、72℃で3分間を1サイクルとする合計1
6サイクルのPCRを実施した。最後に72℃で5分間
の処理を行って、プローブのビオチン標識を行った。P
CR産物をアガロースゲル電気泳動により確認した結
果、約200から1000bpのスメアなバンドとして
確認された。その後、PCR産物をエタノール沈殿によ
り精製し、最終濃度約300ng/μLとなるように、
滅菌蒸留水を用いてプローブDNA溶液を調製した。
【0033】3.正常染色体標本の作製 上述で得たDNAプローブがどの染色体領域に由来する
のかを解析するために、健常人男性由来の培養末梢血リ
ンパ球から得た染色体の空気乾燥スライド標本を正常染
色体標本として準備した。ここでは、標本作製の6時間
前にBrdUを最終濃度で25μg/mLとなるように
添加した。FISHに先立って、以下のようにR−Ba
nd用の染色体標本とした。まず、標本をヘキスト33
258の1μg/mL溶液を用いて染色し、2×SSCを
標本に滴下してカバーガラスで封入した。その後、75
℃のホットプレート上で3分間静置した。次に、連続し
て、ブラックライト(20W)による6分間の照射を1
から1.5cmの距離で実施し、蒸留水で標本を洗浄
し、空気乾燥した。
【0034】4.蛍光インサイチュウハイブリダイゼー
ション反応(FISH)の実施 上述の方法により作成したDNAプローブを用いて、上
述で得た正常染色体のR−band標本に対して以下の
ようにFISHを行った。まず、スライド上の染色体D
NAを70%ホルムアミドを含む2×SSC溶液中で7
0℃で2分間、熱変性し、ビオチン標識したDNAプロ
ーブを50%ホルムアミド溶液を含む2×SSC溶液中
で、70℃で5分間熱変性した。次に、変性した染色体
DNA上に変性したDNAプローブを滴下し、37℃で
一晩ハイブリダイゼーションした。その後、スライド標
本を72℃の2×SSC溶液中に5分間静置し、余分な
プローブを洗浄した。染色体DNAにハイブリダイズし
たプローブをビオチン・アビジン・FITC染色し、最
後にヨウ化プロピジウム(propidium iodide:PI)の0.
1μg/mL溶液による対比染色を行った。
【0035】5.解析 上記で作製したFISH標本上で、DNAプローブの検
出を行い、染色体上の位置を決定した。具体的には、1
00倍の油浸対物レンズを使用して蛍光顕微鏡BX−5
0(オリンパス光学工業(株)社製)に接続したCCDカ
メラにて撮像した蛍光画像について、染色体上での蛍光
シグナルの位置を同定した。本実施例では、典型的なF
ISHの顕微鏡像を基に、MMC誘発小核1断片から作
製したDNAプローブの解析結果を観察して得た図を示
す(図5)。図中黒色部分が蛍光部を示す。図5におい
て、シグナルが確認された染色体領域は、R−Band
との比較により、1q24〜1q末端とXq12〜Xq
末端領域であると同定された。このマップされた領域を
図6のイデオグラムに示した。以上の結果より、ここで
示した小核は、染色体1q24部位とXq12部位を切
断点とし、非対称型染色体分体交換の結果生ずる染色体
断片から形成されたことが示唆された(図7)。従っ
て、MMCによる典型的な染色体構造異常誘発の結果で
あると考察された。
【0036】以上の解析を、採取した個々の小核に対応
するDNAプローブについて複数実施した結果、本実施
例以外に、9番、16番染色体の動原体近傍や、Y染色
体長腕の真正染色質と異質染色質の境界領域に切断点を
有すると示唆される結果が得られ、MMCによる染色体
構造異常の特異性を示唆する可能性が得られた。
【0037】従って、本発明による小核を用いた染色体
異常解析方法が、被検物質が誘発する染色体異常部位の
解析のために有効であることが結論できた。なお、本発
明は、上記実施の形態および実施例のみに限定されるこ
となく、発明の主旨に基づいて、本発明の出願時の技術
水準に応じて自明は範囲における種々の変更が可能であ
る。
【0038】
【発明の効果】以上示した通り、本発明は、被検物質に
より誘発された各々の小核について、夫々、染色体にお
ける帰属性を解析し、且つ染色体異常の部位特異性を正
確に同定することが可能である。即ち、被検物質によっ
て誘発された染色体における切断部位の同定、交換部位
の同定および染色体異常に関わる特定の染色体の同定を
することが可能である。また、本発明は、被検物質によ
り誘発された小核を用いて、染色体異常生成に関わる染
色体領域を解析することが可能である。
【0039】特に、本発明の変異原性解析方法は、変異
原の作用により染色体に発生した異常を小核を解析する
ことにより行うことが可能である。特に、発生した小核
について、1つ1つ別々に採取し、これに対してDNA
プローブを作製する。1つ1つの小核を個別に解析する
ことにより、複数の小核を纏めて解析する場合よりも正
確に解析することが可能である。また、これにより、1
被検物質により誘発される突然変異の発生頻度、突然変
異の種類および量的共通性等を、細胞間で比較すること
が可能である。従って、従来の方法に比較して正確且つ
詳細な小核発生プロファイルを作製することが可能であ
る。
【0040】従って、本発明は環境変異原の検出および
その解析化学物質および医薬品等の安全性試験等に有利
に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本発明の解析方法の流れを示す模式
図。
【図2】本発明の本発明の解析方法の手順を示すフロー
チャート。
【図3】ギムザ染色した細胞の顕微鏡像を観察すること
により得た図。
【図4】裸核化した細胞のDNAを蛍光染色して、サイ
トメトリーにより測定することにより得たサイトグラ
ム。
【図5】本発明の方法により、DNAプローブを正常染
色体標本に対してFISHを行い、蛍光顕微鏡で観察す
ることにより得た図。
【図6】図5に示した結果から、DNAプローブの染色
体上での位置を決定したイデオグラム。
【図7】本実施例における小核形成に至った染色体異常
生成の機構を示す模式図。
【符号の説明】
1.細胞培養系 2.細胞 3.核 4.小核
5.DNAプローブ 6.標識物質 7.正常染色体標本 8.染色体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA01 CA09 HA12 HA13 4B063 QA13 QQ08 QQ42 QQ61 QQ98 QR32 QR56 QR62 QS11 QS25 QS36 QX02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検物質の変異原性を解析する方法であ
    って、 (a)解析対象細胞を培養することと、 (b)前記細胞に被検物質を処理して小核を誘発するこ
    とと、 (c)小核保有細胞から各々の小核を個別に採取するこ
    とと、 (d)前記採取した個々の小核毎にDNAプローブを作
    製することと、 (e)前記DNAプローブを用いて、予め準備しておい
    た正常染色体標本に対して測定可能な標識物質を特異的
    に結合させるような条件下でハイブリダイゼーションを
    行うことと、および (f)前記標識物質を検出して異常部位を同定すること
    により染色体異常を解析することと、を具備する解析方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の被検物質の変異原性を
    解析する方法であって、前記細胞に対して小核を誘発し
    た後に、該細胞を支持体表面に固定することを特徴とす
    る解析方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の被検物質の変異原性を
    解析する方法であって、前記細胞に対して小核を誘発し
    た後に、該細胞を裸核化して溶液中に浮遊させることを
    特徴とする解析方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか1項に記載の変
    異原性を解析する方法であって、前記標識物質が蛍光標
    識物質であることを特徴とする解析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010016612A1 (ja) 2008-08-06 2010-02-11 三菱製紙株式会社 色素増感型太陽電池用色素、半導体電極及び色素増感型太陽電池

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