JP2002039870A - ヘテロダイン干渉法による気体温度測定方法およびその装置 - Google Patents

ヘテロダイン干渉法による気体温度測定方法およびその装置

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栄二 冨田
Nobuyuki Kawahara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非接触、高応答、高精度で気体温度変化を測
定することができるヘテロダイン干渉法によるガス温度
変化測定方法およびその装置を提供する。 【解決手段】 気体温度を測定するために、ヘテロダイ
ン用音響光学素子12を利用したヘテロダイン干渉法を
用いて測定部20でのビート周波数の位相変化から気体
の屈折率変化を算出し、前記気体組成からグラッドスト
ーン−デイル定数を求め、その気体の圧力値を用い、気
体の状態式から気体温度を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘテロダイン干渉
法を用いた、極めて精度が高く、高応答で気体(ガス)
温度変化が測定可能なヘテロダイン干渉法による気体温
度測定方法およびその装置に関する。特に、気体の温度
測定において、ミリ秒オーダーでの時間的変化を非接触
で測定することができる。
【0002】
【従来の技術】従来のマッハツエンダ干渉計を用いたレ
ーザ干渉法により気体温度変化を非接触にて測定する技
術が開示されている〔参考文献:浜本ら、レーザ干渉法
によるガス温度変化の測定、日本機械学会論文集(B
編)、53巻496号、pp.3798−3802、1
987年12月〕。
【0003】この技術によれば、2本のレーザビームの
交点に生じる干渉縞は、両ビームが通過する気体の屈折
率の差が変化すると、光路長差が変化することによって
移動する。すなわち、一方のビーム(参照ビーム)が通
過する気体の状態を一定に保っておき、他方(テストビ
ーム)の気体の屈折率が変化するとき、干渉縞の移動を
測定することによってテストビーム側の気体の屈折率変
化を求めることができる。そして、屈折率と密度の関
係、および理想気体の状態式から気体の温度変化を求め
ることができる。
【0004】図7はかかる従来のレーザ干渉法を用いた
ガス温度変化測定方法の光学系の概略図である。
【0005】この図において、光源1はHe−Neレー
ザ(波長λ=632.8nm,出力15mW,ビーム径
1.2mm)である。ビームスプリッタ2によって2本
に分けられたビームの一方(ビームBR )は大気中を通
過しており、第1のミラー3と第1のレンズ4を通過す
る。そして他方のテストビーム(ビームBT )は気体を
充填した容器5内を通過させた後、第2のミラー6,第
3のミラー7により反射され、第1のレンズ4を通過す
る。
【0006】第1のレンズ4を通過した2本のビーム
(ビームBR とビームBT )は干渉する。第1のレンズ
4と第2のレンズ8により2本のビームを一度絞った後
にビーム径を拡大し、かつ交叉角を小さくすることによ
って干渉縞の間隔が約1mmになるまで拡大している。
干渉縞の動きをピンホール9後方のフォトトランジスタ
10A,10Bにより検出する。干渉縞の移動方向判別
のため、ピンホールおよびフォトトランジスタ10A,
10Bの位置は、干渉縞の明暗の位相が約π/2ずれる
ように調整する。なお、図7において、5Aは熱電対、
5Bは圧力変換素子である。
【0007】そこで、幅dの容器5内の気体の屈折率が
初期値ni からnまで変化するとき、両ビームの光路長
の変化ΔLは、 ΔL=(n−ni )d …(1) である。
【0008】光路長差がレーザの1波長分(=632.
8nm)変化すると干渉縞が一つ移動するので、干渉縞
の移動数NとΔLの関係は、 N=ΔL/λ=(n−ni )d/λ …(2) となる。
【0009】屈折率が減少する場合にはNは負となる。
屈折率nと密度ρの関係は、Lorentz−Lore
nzの式により、 n2 =(1+2ρRL /M)/(1−ρRL /M) …(3) と表される。
【0010】ここで、Mは分子量、RL は分子屈折であ
る。気体の場合、nが1に非常に近いため、近似的にグ
ラッドストーン−デイル(Gladstone−Dal
e)(グラッドストーン−デイル則:物質の屈折率nの
変化の法則、つまり、n+1が物質の密度に比例する)
の式が用いられる。
【0011】 n≒1+(3ρRL /2M)≒1+(ρRG /M) …(4) ここで、RG はグラッドストーン−デイル定数である。
L ,RG は、使用するレーザの波長と測定する気体の
種類によって決定される定数である。また、混合気体の
場合は、それぞれの化学種のモル分率をxj とすると、
【0012】
【数1】
【0013】となる。状態変化が理想気体の状態式に従
うものと仮定すると、 n=1+(P・RG )/(R0 ・T) …(7) となり、式(2)、(7)より、気体の温度Tは次のよ
うに求められる。
【0014】 T=PRG 1 d/(NλR0 1 +RG 1 d) …(8) ここで、R0 は一般気体定数、Pは圧力であり、添字1
は初期値を表す。すなわち、初期状態における温度、圧
力を既知として、干渉縞の移動数Nと圧力Pの変化を測
定することにより、温度Tの時間的な変化を求めること
ができる。この手法により数Kでの分解能で温度履歴を
測定できる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の方法は、機械的振動に対して、非常に敏感であ
るという欠点を持っている。そのため、内燃機関や燃焼
装置に適用する場合には、機関の振動に影響されない干
渉法を用いる必要がある。また、レーザ干渉法の光路上
に燃焼装置等を設置する必要があるため、測定対象が限
定される。そのため、光路上に光ファイバを使用し、測
定部のセンサ化を行う必要がある。
【0016】一方、エンジン内部の火炎の伝播や異常燃
焼であるノッキングの解明には、エンジン内部の特に未
燃部分の温度測定が重要である。プラグ着火から燃焼す
るまでの短時間での温度変化の測定が必要である。CA
RS(コヒーレントアンチストークス分光)法が実用化
されているが、1億円以上と高価であり、時間分解能が
低く精度も十分でない。
【0017】本願発明者等はレーザー干渉法を用いて測
定法の開発を行ってきた。定積容器内で温度変化により
気体の分子密度が変化するが、屈折率変化をレーザー干
渉法で測定し、分子密度の変化を求め、気体の物性定数
より温度変化を算出する。この方法では、レーザー干渉
法の光路上に被測定部を設置する必要があるため機械的
信号に対して、極めて敏感であるという欠点がある。
【0018】本発明は、上記状況に鑑みて、非接触、高
応答、高精度で気体温度を測定することができるヘテロ
ダイン干渉法による気体温度測定方法およびその装置を
提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 〔1〕ヘテロダイン干渉法による気体温度測定方法にお
いて、気体温度を測定するために、音響光学変調器を利
用したヘテロダイン干渉法を用いて測定部でのビート周
波数の位相変化から気体の屈折率変化を算出し、前記気
体組成からグラッドストーン−デイル定数を求め、前記
気体の圧力値を用い、気体の状態式から気体温度を測定
することを特徴とする。
【0020】〔2〕上記〔1〕記載のヘテロダイン干渉
法による気体温度測定方法において、前記測定部は定積
燃焼容器の末端部であり、この末端部での未燃焼混合気
の温度計測を行うようにしたものである。
【0021】〔3〕ヘテロダイン干渉法による気体温度
測定装置において、音響光学変調器を利用したヘテロダ
イン干渉法を用いて測定部でのビート周波数の位相変化
から燃焼容器内の気体の屈折率変化を算出する手段と、
前記測定部内の気体組成からグラッドストーン−デイル
定数を求める手段と、前記測定部内の気体の圧力値を測
定する手段とを備え、前記気体の圧力値を用い、前記気
体の状態式から気体温度を測定することを特徴とする。
【0022】〔4〕上記〔3〕記載のヘテロダイン干渉
法による気体温度測定装置において、前記光学系におい
て、測定部までの光路上に光ファイバを使用し、構成し
たことを特徴とする。
【0023】〔5〕上記〔3〕又は〔4〕記載のヘテロ
ダイン干渉法による気体温度測定装置において、前記測
定部は燃焼器であることを特徴とする。
【0024】〔6〕上記〔5〕記載のヘテロダイン干渉
法による気体温度測定装置において、前記燃焼器は定積
燃焼容器であることを特徴とする。
【0025】このように、音響光学変調器を利用したヘ
テロダイン干渉法を用いることにより、気体温度の時系
列変化を非接触、高応答、高精度で計測できる方法とそ
の装置を提供することができる。ヘテロダイン干渉法
は、一定の周波数偏移を与えた光を重ね合わせて検出
し、気体の位相変化などの情報を効果的に取り出すレー
ザ干渉法の一つである。検出位相と出力との間に線形関
係が成立し較正の必要がない、光源の出力変動の影響を
受け難い等の特色を持っている。
【0026】これにより、信号光の位相情報のみを取り
出すときは、外乱による信号光の強度変動にも影響され
ず、高精度の測定ができる。また、測定対象が限定され
る問題に関しては、光路上に光ファイバを使用し、測定
部のセンサ化を行うようにする。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施例を示すヘテ
ロダイン干渉装置の構成図である。
【0028】この図に示すように、光源である安定化H
e−Neレーザ(出力1mW,波長632.8nm)1
1からの光は、ヘテロダイン用音響光学素子(ブラッグ
セル式)12により、周波数を80.0MHzと79.
9875MHzや、80.0MHzと79.975MH
zなど異なる周波数に周波数偏移され、また、2本のビ
ームはそれぞれP偏光、S偏光に分離される。
【0029】第1のミラー13と第1の偏光ビームスプ
リッタ14により1本のビームにまとめられ、ハーフミ
ラー15により2本のビームに分離される。ハーフミラ
ー15を反射したビームは、偏光面を45度に傾けた第
1の偏光板16を通過する。その第1の偏光板16の偏
光面を45度傾けているため、ビームは干渉し、第1の
フォトトランジスタ17により、干渉ビート信号を光電
検出され、基準信号が得られる。
【0030】一方、ハーフミラー15を透過したビーム
は第2の偏光ビームスプリッタ18により、2本のビー
ム(第1のビームB1 ,第2のビームB2 ;それぞれP
偏光とS偏光の偏光面を持つ)に分けられ、マイケルソ
ン干渉計を構成する。試験光の1本(例えばP偏光の偏
光面を持つビームB1 )は、第1のλ/4波長板19を
通過し、円偏光となる。その第1のλ/4波長板19を
通過後、測定部(燃焼器)20を通過する。測定部(燃
焼器)20を通過した光は第2のミラー21により反射
され、再度測定部(燃焼器)20を通過する。測定部
(燃焼器)20から射出したビームは、第1のλ/4波
長板19によりS偏光に偏光される。このビームは第2
の偏光ビームスプリッタ18により反射される。
【0031】もう一方の第2のビームB2 (例えばS偏
光の偏光面を持つビーム)は、第2の偏光ビームスプリ
ッタ18により反射され、第2のλ/4波長板22を通
過後、円偏光となる。そして、第3のミラー23により
反射され、再び第2のλ/4波長板22によりP偏光に
偏光面を変えられる。
【0032】そこで、測定部(燃焼器)20を通過し、
第2の偏光ビームスプリッタ18により反射されたS偏
光面を持つビームB1 とともに、第2の偏光板24を通
過後干渉し、第2のフォトトランジスタ25により検出
される。500kHzのサンプリング周波数でこの干渉
信号をディジタルメモリレコーダ(図示なし)に記録す
る。基準信号と試験信号のビート周波数の違いから、位
相差を算出することができる。
【0033】図2は本発明の他の実施例を示すヘテロダ
イン干渉装置の構成図である。
【0034】この実施例では、光ファイバを使用した光
学系を示す。なお、第1実施例と同じ部分については、
同じ符号を付してそれらの説明は省略する。
【0035】図2に示すように、光学系に偏波面保存型
光ファイバ33を用いる場合は、図1における第1のλ
/4波長板19の代わりにλ/2波長板31を使用す
る。
【0036】そこで、λ/2波長板31を通過した光は
偏波面保存型光ファイバ33を使用して測定部(燃焼
器)20に入射される。偏波面保存型光ファイバ33の
両端にはセルフォックマイクロレンズ32,34を取り
付けてあり、レーザビームの入射を行い易く、また、偏
波面保存型光ファイバ33から射出された光のビーム径
を細くし、コリメート化を行う。測定部(燃焼器)20
を通過した光は第2のミラー21に反射され、再度測定
部(燃焼器)20を通過する。測定部(燃焼器)20か
ら射出したビームは再び偏波面保存型光ファイバ33に
入射され、λ/2波長板31を通過し、第2の偏光ビー
ムスプリッタ18により反射されたS偏光面を持つビー
ムB1 とともに、第2の偏光板24を通過後干渉し、第
2のフォトトランジスタ25により検出される。
【0037】この実施例によれば、センサ部を偏波面保
存型光ファイバ33と第2のミラー21とで構成するこ
とにより、測定部の小型化、センサ化が測られる可能性
を示している。
【0038】火炎伝播により圧縮された燃料空気の混合
気や燃焼により温度が変化した気体は、密度が変化し、
同時に屈折率が変化する。試験部の気体(ガス)の屈折
率が変わると、試験信号と参照信号の位相差が変わり、
干渉光強度が変化する。この干渉光強度変化がヘテロダ
イン干渉計によるビート信号の位相情報として表れる。
【0039】光信号の複素振幅は、 E=a・exp{i(2πft−2πnLf /λ)} …(9) として表される。
【0040】ここで、f:周波数,n:屈折率,Lf
光が通過した光路の長さである。光ファイバに入射され
る光をビームsとし、参照光をビームrとして、2つの
光の複素振幅は振幅をaとして、次のように示される。
【0041】 Es =a・exp{i(2πfs t−2πΔnt t /λs )} …(10) Er =a・exp{i(2πfr t)} …(11) ここで、fs ,fr :光の周波数,Δnt :測定部の屈
折率変化量,Lt :測定部の長さ,t:測定開始からの
時間である。λs は試験光のレーザの波長である。
【0042】2つの光は互いに干渉し、次のような合成
振幅を持つビームとなる。
【0043】 E=Es +Er …(12) 実際に光電変換して得られる光強度は振幅の2乗として
検出されるものであり、次式で表される。
【0044】 I=|E|2 =2・I0 〔1+cos(2πfb t+ΔΨt )〕 …(13) ただし、I0 =a2 、fb はビート周波数fs −fr
あり、ΔΨt は測定部の位相変化である。
【0045】測定開始から、ある時刻tまで測定したヘ
テロダイン信号の位相変化をΔΨtとすれば、測定部気
体の位相が変化することによって、測定信号の位相変化
量ΔΨH が変わる。ΔΨH は測定部の位相変化ΔΨt
次の関係を持つ。
【0046】
【数2】
【0047】測定部の位相変化ΔΨt と屈折率の変化Δ
t の関係は、 ΔΨt =2πΔΦt /λs =2πΔnt t /λs …(15) となる。ここで、Φt は測定部での光路長変化である。
【0048】本来、ヘテロダイン干渉法は基準信号とし
てビームスプリッタにより光源からの光の一部を分割し
干渉させる。このとき得られる光強度は次式となる。
【0049】 Ir =Ir0〔1+cos(2πfb t)〕 …(16) 式(13)にて得られる試験信号と式(16)にて得ら
れる基準信号の位相変化量の比較より測定部の位相変化
を求める。このように構成することにより、測定誤差の
原因であるビート周波数fb の不安定さや振動などによ
る影響を除去できる。
【0050】しかし、ここでは、参照信号を検出せず、
測定部の位相変化は、次式にて得られる基準信号と比較
して求めた。
【0051】 Ir ′=Ir0〔1+cos(2πfbht)〕 …(17) ただし、
【0052】
【数3】
【0053】ここで、基準信号の周波数fbhは、参照信
号のある時間帯t1 〜t2 のビート周波数の平均値であ
る。
【0054】そこで、時間0〜tの間に基準信号の位相
変化は、2πfbhtであり、ビート周波数fb が安定し
ていると仮定すれば、任意の時間tに対して、次の関係
式が成立する。
【0055】
【数4】
【0056】式(18)を式(14)に代入すると、測
定部の位相変化ΔΨt は、 ΔΨt =ΔΨH −2πfbht …(19) となり、つまり、ビート信号の周波数fb が安定してい
れば、測定信号の位相変化と基準信号の位相経過の差よ
り、測定部の位相変化が正確に求められる。しかし、ビ
ート周波数fb が安定していなければ、位相変化の測定
値に誤差が生じ、気体温度の測定に誤差をもたらす。
【0057】気体温度Tt は計測した光学位相変化より
求められる。気体の屈折率nt と密度ρの関係は近似的
にグラッドストーン−デイルの式で表される。
【0058】 nt =1+(ρt Gt/Mt )=1+(Pt Gt/R0 t )…(20) ここで、RGtはグラッドストーン−デイル定数であり、
使用するレーザの波長と気体種類により決まる。Mは気
体の分子量、R0 はガス定数、Pt は測定部の圧力、T
t は測定部の絶対温度である。
【0059】グラッドストーン−デイル定数RGtは、使
用するレーザの波長と測定する気体の種類によって決定
される定数である。また、s種の混合気体のグラッドス
トーン−デイル定数RGtは、次式に示すように各種気体
のモル分率XI から求めることができる。
【0060】
【数5】
【0061】ここで、RGIは各成分気体のグラッドスト
ーン−デイル定数である。
【0062】式(20)より、気体温度Tt は次式で求
まる。 Tt =(2πPt Gtt0t )/(2πPt0Gtt +ΔΨt t00 λ) …(22) すなわち、初期状態の圧力Pt0,温度Tt0が既知であ
り、混合気組成が不変であれば、圧力Pt および干渉光
の位相変化量ΔΨt を測定することにより、測定部の気
体温度Tt を求めることができる。
【0063】
【実施例】ヘテロダイン干渉法による気体温度計測に関
する実験を定積燃焼容器の末端部未燃焼混合気の温度計
測に関して実施した。
【0064】図3は本発明を適用した定積燃焼容器の末
端部未燃焼混合気の気体温度計測装置の構成図であり、
図3(a)はその内部平面図、図3(b)はその断面図
である。
【0065】これらの図に示すように、定積燃焼容器4
0を使用した。光源には周波数安定型He−Neレーザ
(波長:632.8nm)を使用した。定積燃焼器の一
部にグラスロッド41を取り付け、測定距離Lt を決め
ている。燃焼室蓋42には半導体小型圧力センサ43が
取り付けられている。
【0066】また、一方の燃焼室蓋44には熱電対45
を取り付けている。燃料にはプロパンを用い、空気との
混合気を燃焼室に充填し、点火電極46による電気火花
によって点火し、火炎伝播によって圧縮される末端部の
未燃焼混合気の温度変化を測定した。混合気の当量比は
1.0となるようにした。火炎伝播による圧縮によっ
て、燃焼室内未燃焼混合気の密度が変化すると、屈折率
が変化する。光の位相変化量と燃焼室内の圧力変化を測
定することにより、測定部の屈折率変化および気体温度
を測定する。
【0067】図4に位相変化量と圧力を同時に測定した
例を示す。
【0068】混合気の初期圧力P0 =101kPa,初
期温度T0 =291Kである。図の横軸は、点火のため
の火花放電開始時からの経過時間である。火炎が到達す
る直前までの位相変化量と圧力の値から、式(22)に
より温度Tt を求めた結果を図5に示す。
【0069】末端部の未燃焼混合気が火炎によって断熱
圧縮されたと仮定して求めた温度を比較のために図5に
示しているが、両者はほぼ一致している。未燃焼混合気
の比熱比として温度300〜500K、圧力100〜6
00kPaの範囲における平均値を1.361として用
いた。
【0070】図6に温度の最小読み取り値と圧力との関
係を示す。
【0071】約25kHzのビート周波数信号を500
kHzのサンプリング周波数で記録しているため、20
点で1周期の信号を記録できるが、火炎伝播中ビート周
波数が増加しているため、火炎が測定部に到達する前で
は、実際に1周期分を記録できるのは17点程度であ
る。ここで、1/17周期の光路長変化を最小読み取り
値とした。これより、火炎到達直前の温度の最小読みと
り値は、光路長36mmの時、最小で0.5K程度であ
り、光路長が長くなると分解能は向上する。
【0072】上記したように、本発明では、ヘテロダイ
ン干渉法を用い、レーザー光を音響光学素子に入射し、
周波数が異なる2ビーム光を発生させ、更に光束を2分
割する。2分割された一方の2ビームを干渉させて基準
ビート信号を得、他方の2ビームを分波し、1ビームを
被測定領域に通過させた後、2ビームで干渉させ、試験
ビート信号を得る。基準・試験ビート信号の位相差と被
測定気体の物性定数から温度変化を算出する。基準信号
を別途設けることにより、耐震対策のみならず、測定精
度の1桁向上を図ることができた。
【0073】更に、試験光を光ファイバーで誘導するこ
とが可能になり、測定の自由度が大幅に増した。エンジ
ン内部ガスの温度から、一般流体の温度測定への展開性
がある。
【0074】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
【0075】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、次のような効果を奏することができる。
【0076】(A)音響光学変調器を利用したヘテロダ
イン干渉法を用いることにより、気体温度の時系列変化
を非接触、高応答、高精度で計測できる。
【0077】ヘテロダイン干渉法は、一定の周波数偏移
を与えた光を重ね合わせて検出し、気体の位相変化など
の情報を効果的に取り出すレーザ干渉法の一つであり、
検出位相と出力との間に線形関係が成立し、較正の必要
がない。また、光源の出力変動の影響を受け難い等の特
色を持っている。
【0078】これにより、信号光の位相情報のみを取り
出すときは、外乱による信号光の強度変動にも影響され
ず、高精度の測定ができる。
【0079】(B)測定対象が限定される問題に関して
は、光路上に光ファイバを使用し、測定部のセンサ化を
行い、測定部の小型化、測定部のみを独立したセンサ部
として構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すヘテロダイン干渉装置の
構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を示すヘテロダイン干渉装
置の構成図である。
【図3】本発明を適用した定積燃焼容器の末端部未燃焼
混合気の気体温度計測装置の構成図である。
【図4】図3における定積燃焼容器内の試験信号の位相
変化及び圧力履歴を示す図である。
【図5】図3における定積燃焼容器の点火からの時間と
温度変化の測定結果を示す図である。
【図6】図3における定積燃焼容器の温度の最小読み取
り値と圧力との関係を示す図である。
【図7】従来のレーザ干渉法を用いたガス温度変化測定
方法の光学系の概略図である。
【符号の説明】 11 安定化He−Neレーザ 12 ヘテロダイン用音響光学素子 13 第1のミラー 14 第1の偏光ビームスプリッタ 15 ハーフミラー 16 第1の偏光板 17 第1のフォトトランジスタ 18 第2の偏光ビームスプリッタ 19 第1のλ/4波長板 20 測定部(燃焼器) 21 第2のミラー 22 第2のλ/4波長板 23 第3のミラー 24 第2の偏光板 25 第2のフォトトランジスタ 31 λ/2波長板 32,34 セルフォックマイクロレンズ 33 偏波面保存型光ファイバ 40 定積燃焼容器 41 グラスロッド 42,44 燃焼室蓋 43 半導体小型圧力センサ 45 熱電対 46 点火電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体温度を測定するために、音響光学変
    調器を利用したヘテロダイン干渉法を用いて測定部での
    ビート周波数の位相変化から気体の屈折率変化を算出
    し、前記気体組成からグラッドストーン−デイル定数を
    求め、前記気体の圧力値を用い、気体の状態式から気体
    温度を測定することを特徴とするヘテロダイン干渉法に
    よる気体温度測定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のヘテロダイン干渉法によ
    る気体温度測定方法において、前記測定部は定積燃焼容
    器の末端部であり、該末端部での未燃焼混合気の温度計
    測を行うヘテロダイン干渉法による気体温度測定方法。
  3. 【請求項3】(a)音響光学変調器を利用したヘテロダ
    イン干渉法を用いて測定部でのビート周波数の位相変化
    から燃焼容器内の気体の屈折率変化を算出する手段と、
    (b)前記測定部内の気体組成からグラッドストーン−
    デイル定数を求める手段と、(c)前記測定部内の気体
    の圧力値を測定する手段とを備え、(d)前記気体の圧
    力値を用い、前記気体の状態式から気体温度を測定する
    ことを特徴とするヘテロダイン干渉法による気体温度測
    定装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のヘテロダイン干渉法によ
    る気体温度測定装置において、前記光学系において、測
    定部までの光路上に光ファイバを使用し、構成したこと
    を特徴とするヘテロダイン干渉法による気体温度測定装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載のヘテロダイン干渉
    法による気体温度測定装置において、前記測定部は燃焼
    器であることを特徴とするヘテロダイン干渉法による気
    体温度測定装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のヘテロダイン干渉法によ
    る気体温度測定装置において、前記燃焼器は定積燃焼容
    器であることを特徴とするヘテロダイン干渉法による気
    体温度測定装置。
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WO2007094435A1 (ja) * 2006-02-15 2007-08-23 National University Corporation Okayama University 温度センサ
JP2009250983A (ja) * 2008-04-02 2009-10-29 Polytec Gmbh 振動計および、物体の光学的測定方法
CN114325180A (zh) * 2021-12-14 2022-04-12 国网河南省电力公司检修公司 一种基于六氟化硫表计压力监测的电力设备发热诊断方法

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