JP2002036108A - エンジン用のピストンを研削する方法、および同装置 - Google Patents

エンジン用のピストンを研削する方法、および同装置

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JP2002036108A JP2000223886A JP2000223886A JP2002036108A JP 2002036108 A JP2002036108 A JP 2002036108A JP 2000223886 A JP2000223886 A JP 2000223886A JP 2000223886 A JP2000223886 A JP 2000223886A JP 2002036108 A JP2002036108 A JP 2002036108A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研削仕上げされたシリンダライナ1に対して
適正なクリアランスを生じるように、ピストン2の外周
面を高能率,高精度で研削加工する。 【解決手段】 シリンダライナ1を、単品の状態でな
く、シリンダブロック4(もしくは、これに代る治具)
に装着した状態で、その内径を計測(エアーマイクロ1
1)し、演算回路12によって適正なピストン外径寸法
を算出し、切込制御機構13を介して、センターレス研
削機9の切込送り駆動機構14を自動的に調節する。上
記のように調節されたセンターレス研削機9でピストン
2の外周面を研削仕上げする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンに用いら
れるピストンであって、シリンダライナの中に嵌め合わ
されるピストンを、そのクリアランスが適正となるよう
にセンターレス研削する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、エンジンに用いられるシリンダ
ライナの2例を示し、(A)は水冷式エンジンを構成す
るシリンダライナの断面とピストンの外観とを描いた分
解図、(B)は空冷式エンジンを構成するシリンダライ
ナの断面とピストンの外観とを描いた分解図である。図
4(B)に示した空冷エンジン用シリンダライナ1′は
乾式ライナとも呼ばれ、フランジ1aを備えた円筒状を
なしていて、シリンダブロック(別称・エンジンブロッ
ク)に穿たれたライナ挿入孔(図示省略)の中に圧入し
て使用に供せられる。図4(A)に示した水冷エンジン
用シリンダライナ1は湿式ライナとも呼ばれ、その外周
部にウォータジャケット(図示省略・図5を参照して後
述)を設けるため、その上端に設けられたフランジ1a
に隣接せしめて上方嵌合部1bが形成されるとともに、
その下端部近傍に下方嵌合部1cが形成されている。中
央部1dの外周面は冷却水に接触する部分であって、鋳
放し、もしくは荒仕上げされたままになっている。符号
1eを付して示したのは、冷却水をシールするためのO
リング(図5を参照して後述)を嵌めるOリング溝であ
る。ピストン2はシリンダライナ1,1′の中で爆発ガ
ス圧を受けて押し下げられ、その押し下げ方向の力はコ
ネクチングロッド3を介して回転運動を加速する。
【0003】上記の作用は爆発行程説明したものである
が、エンジンは吸入,圧縮,爆発,排気の行程を繰り返
すので、ピストン2の役目は4種類に変化する。前述の
爆発行程においては、爆発ガスの圧力エネルギをピスト
ンの直線動のエネルギに変換する。この作用は、遅速の
差は有るが油圧プレスに類似している。
【0004】吸入工程では、ピストンの直線動によって
燃焼室内の気圧を負ならしめる。圧縮行程および排気行
程では、ピストンの直線動によって燃焼室内の気圧を上
昇させる。これら呼入,圧縮,排気行程におけるピスト
ンの作用は、流体ポンプに類似している。
【0005】図5は、シリンダライナを水冷エンジン用
のシリンダブロックに組み込んだ状態を実線で描くとと
もに、該シリンダライナに嵌合されたピストンを仮想線
で描いた断面図である。ただし、読図しやすいように模
式化してあって、写実的な投影図ではない。シリンダブ
ロック4の中には、シリンダライナ1を取り囲む形にウ
ォータジャケット(斑点を付して示す)が形成される。
上記ウォータジャケットを形成するため、シリンダ4に
は上部嵌合孔4aと下部嵌合孔4bとが設けられ、これ
ら両方の孔を貫通してシリンダライナ1が挿通されてい
る。4cは上方嵌合区域であって、この部分の水密はラ
イナガスケット8によって保たれている。シリンダブロ
ック4の頂面よりも、フランジ1aの頂面は寸法sだけ
上方に突出し、この輪状の突出部とシリンダヘッド7と
の間にヘッドガスケット6を挟みつけ、該ヘッドガスケ
ット6に対して輪状に喰い込んで気密を保っている。4
dは下部嵌合区域であって、この部分の水密はOリング
10によって保たれている。4eは点検窓、5はカバー
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ピストンは、シリンダ
ライナとの間に油膜を形成して潤滑されつつ、軸心方向
に往復摺動する。このため、両者の間には適正なクリア
ランスが必要である。このため、シリンダライナ1の内
周面およびピストン2の外周面は研削仕上げされるが、
高精度の研削を施しても誤差を完全にゼロにすることは
出来ないので、工業的生産の経済性を図りつつ、誤差を
許容の限度内に収めることが研究開発の対象となる。エ
ンジン用のピストンとシリンダライナとの嵌合に問題を
限った場合、 イ.工作機械の特性、 ロ.組立に伴う歪み、 という問題が解決を難しくしている。以下に項目別に説
明する。なお、前記のエンジン用のピストンとは「エン
ジンまたはエンジンの補機器の構成部材であるピスト
ン」の意である。
【0007】工作機械の特性について、 現在の機械技術の実情として、円柱状の内周面を研削仕
上げする精度は、外周面を研削仕上げする精度に比して
悪い。このため、研削仕上げされたシリンダライナの内
周面を基準にして、これに対して適正なクリアランスを
生じるように、ピストンの外周面を仕上げてやらねばな
らない。
【0008】先に考察したように、エンジン本体に用い
られているピストンは、その吸入,圧縮,爆発,排気の
各行程において異なる役目を果たす。また、エンジン補
機器に用いられている各種のピストンも、それぞれ異な
った役目を受け持っている。
【0009】そこで、本発明においてピストンとは、流
体圧力エネルギーと直線運動エネルギーとを相互に、も
しくは一方向に変換する円柱状部材である、とする。そ
の技術の属する分野によって異なる呼称が用いられ、プ
ランジャもしくはラムと呼ばれることもあるが、本発明
ではこれらを総称してピストンという。注・実教出版
(株)発行の機械用語辞典によれば、ピストンポンプと
プランジャポンプとは同意であるとされている。また、
日刊工業新聞社発行の機械用語辞典においては「プラン
ジャとは棒状のピストンの意である」と述べられてい
る。
【0010】さらに、該機械用語辞典によれば、シリン
ダライナとは、シリンダ用の壁が摩耗したとき取替えを
容易ならしめるためシリンダ内に装入する円筒形の部品
であるとされているが、本発明においてシリンダライナ
とは、「摩耗したとき交換を容易ならしめるため、もし
くは摩耗を防止するため、ブロック内に収納された硬質
の円筒状部材」をいう。
【0011】組立に伴う歪みについて、 例えば図4に示したシリンダライナ1の内周面が高度の
円筒度を有するように研削仕上げされた場合であって
も、これを図5に示したようにシリンダブロックの中に
圧入すると、シリンダライナ1はシリンダブロック4に
よって不均等に締めつけられ、図示の内径寸法D1,同
2,同D3はそれぞれ縮小傾向に変化し、D1≠D2≠D
3となる。このような寸法変化は、図4(B)に示した
乾式のシリンダライナであっても発生する。本発明は上
述の事情に鑑みて為されたもので、大量に生産されて研
削仕上げされたシリンダライナに対して、適正なクリア
ランスが得られるようにピストンの外周面を研削する方
法、および、上記の発明方法を実施するに好適な研削装
置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述の技術的背景の下に
前記の目的を達成するために創作した本発明について、
その基本的な技術思想を要約すると、個々のシリンダラ
イナを、実機装着時と同様の状態に保持して、その内径
寸法を計測し、計測された内径寸法に合わせて、ピスト
ンの外周面を個々にセンターレス研削する。
【0013】ここに重要なポイントは、 イ.シリンダライナが実機に装着されている状態をシミ
ュレーションして、 ロ.個々のシリンダライナの内径を計測し、 ハ.該個々のシリンダライナに適応せしめて、個々のピ
ストンの外周面を、 ニ.センターレス研削する。 ということである。上掲のイ〜ニのそれぞれについて、
その意義を次に述べる。
【0014】イ項のシミュレーションについて:シリン
ダライナを単品の状態で精密に計測しても、該シリンダ
ライナを実機に組み込んで歪んでしまっては無意味であ
る。
【0015】そこで本発明においてはシリンダライナを
単品として研削仕上げされたシリンダライナを、シリン
ダブロックのシリンダ孔に装入し、もしくはシリンダブ
ロックに相当する治具に収納して計測する。たとえ該シ
リンダライナがシリンダブロックに対してすきまばめさ
れていても、シリンダライナに内圧が掛かるとしまりば
め状態になる。また、しまりばめ状態にならなくても自
重による重力荷重を受けて歪むので、適正な治具で保持
して内径を計測しなければならない(自重による歪みの
考慮は、例えばクランク軸や大型タービン軸については
常識であるにも拘らず、シリンダライナについては軽視
されていたのが実情である)。
【0016】ロ項およびハ項の「個々」について:この
問題は、20世紀における技術の歴史を背景としてい
る。すなわち、初期における精密嵌合は、現場合わせの
手作業で行なわれていたが、中期に至って大量生産が進
み、これに品質管理の手法が適用されて、層別化された
グループ処理が主流となった。この時代においては、個
々の計測,加工を現場合わせと呼んで、低レベル非能率
の代名詞とされていた。
【0017】ところが、最近のハイテク技術によって事
情が変わってきた。すなわち、従前は個々の計測に多大
の時間,労力を費し、個々の機械加工の調節に高度の熟
練と多大の時間,労力を要し、誤差発生の因となってい
た。ところが、電子技術の発達によって、計測も、調節
も、NC制御によって瞬時に、かつ高精度で遂行される
ようになった。そこで本発明は、シリンダライナの個々
の計測と、ピストンの個々の研削とを必須の要件とし
て、ハイテク時代に相応しい研削技術を創作した。
【0018】ニ項のセンターレス研削について:本発明
はピストンの外周研削を適用対象としている。このよう
に、中心軸部材を有しない高精度の円柱状部材の外周面
加工は、センターレス加工が最も有利であり、かつ、調
整砥石の切込送りを制御することによって被加工物(ピ
ストン)の外径寸法を高精度で瞬時的に自動調節するこ
とができるので好適である。センターレス研削機の原理
は公知技術であるが、本発明の目的を達成するための構
成としてセンターレス研削は不可欠である。上述の技術
思想を根底に置いて創作した本発明の基本的な原理を、
その実施形態に対応する図1を参照して略述すると次の
とおりである。すなわち、研削仕上げされたシリンダラ
イナ1に対して適正なクリアランスを生じるように、ピ
ストン2の外周面を高能率,高精度で研削加工するた
め、シリンダライナ1を、単品の状態でなく、シリンダ
ブロック4(もしくは、これに代る治具)に装着した状
態で、その内径を計測(エアーマイクロ11)し、演算
回路12によって適正なピストン外径寸法を算出し、切
込制御機構13を介して、センターレス研削機9の切込
送り駆動機構14を自動的に調節する。上記のように調
節されたセンターレス研削機9でピストン2の外周面を
研削仕上げする。
【0019】以上に説明した原理に基づいて請求項1に
係る発明方法の構成は、エンジンに用いられる円筒状の
シリンダライナの中に嵌合され、軸心方向に往復動して
爆発ガス圧を直線動に変換し、および/または直線動を
流体圧に変換する円柱状のピストンの外周面を研削する
方法において、相互に嵌合される1個のシリンダライナ
と1個のピストンとを「組部品」として研削作業の対象
とし、研削仕上げされたシリンダライナをシリンダブロ
ック内に圧入し、もしくはシリンダブロックに相当する
治具内に収納して保持し、上記のようにして、完成品に
組み込まれているシリンダライナとほぼ同様の状態とな
ったシリンダライナの内径寸法を計測し、上記のように
して計測されたシリンダライナの内径寸法に対して所定
のクリアランスを生じるように、ピストンの外径寸法を
設定し、ピストン部材の外径寸法が上記の設定寸法とな
るように、粗仕上げされたピストン部材の外周面をセン
ターレス研削することを特徴とする。以上に説明した請
求項1の発明方法によると、研削仕上げされたシリンダ
ライナの研削仕上寸法誤差の如何に拘らず、該シリンダ
ライナの内径に対応せしめて、適正なクリアランスを生
じるようにピストンの外周面を研削仕上げすることがで
きる。相互に嵌合させる1個のシリンダライナと1個の
ピストンとを組部品として研削するので、従来技術にお
けるがごとく多数のシリンダライナの内径寸法を計測し
てグループ分けする場合に比して、シリンダライナとピ
ストンとの対偶を高精度で確実に対応させることができ
る。研削を終えたシリンダライナを、シリンダブロック
もしくは治具の中に収納した状態で内径寸法を計測する
ので、当該シリンダライナが実機に組み込まれて稼働す
る状態と同様の状態で寸法を計測することになる。従っ
て、この計測寸法に合わせてピストンの外周面を研削す
ることにより、該シリンダライナを実機に組み込んで、
その中にピストンを嵌合した場合、適正なクリアランス
が再現され、両者の間に望ましい油膜が形成される。こ
のため、シリンダライナの内周面とピストンの外周面と
の間に焼付きや早期摩耗を生じることなく、しかも過度
のリークを生じることが無い。一般に、シリンダライナ
の内周面研削精度は、ピストンの外周面研削精度よりも
低いが、本請求項1の発明方法によれば、研削仕上げを
終了したシリンダライナを基準とし、これに対して正常
なクリアランスを生じるようにピストンの外径寸法を設
定するので、“高精度研削可能な側(ピストン)でクリ
アランス調整を行なう”という原則に一致していて、ク
リアランス制御を容易に、高精度で行なうことができ
る。その上、ピストンの外周面をセンターレス研削する
ので、該ピストンの粗仕上げ状態における真円度が低く
ても、センターレス研削特有の造円作用によって真円柱
に研削仕上げされる。
【0020】請求項2に係る発明方法の構成は、前記請
求項1の発明方法の構成要件に加えて、前記シリンダラ
イナの内径寸法は、少なくとも2箇所で計測し、2箇所
間の軸心方向距離と、2箇所それぞれの内径寸法とに基
づいて、該シリンダライナ内径のテーパ量を算出し、計
測された2箇所それぞれの内径寸法、もしくは2箇所の
内径の寸法差、または2箇所の内径寸法の平均値に基づ
いて、前記ピストンの外径寸法および/またはテーパ量
を設定することを特徴とする。以上に説明した請求項2
の発明方法によると、シリンダライナの内周面形状の狂
いをテーパ量として算出することにより、シリンダライ
ナの内周面の形状,寸法を簡略化して把握し、これに適
合するピストンの仕上げ寸法(外径および/またはテー
パ量)を、簡単な演算で求めることができる。内径を計
測する2箇所間の距離を予め一定の値に決めておけば、
該2箇所の計測値の差によってテーパ量が一義的に定ま
る。このため、2箇所のそれぞれで計測された内径寸法
の何れか片方を基準として、この基準値に対してテーパ
量を勘案した補正を加えてピストン外径を決定すると、
当該シリンダに対して適正なクリアランスを形成し得る
ピストンを研削仕上げすることができる。また、ピスト
ン外径に適当なテーパを付与することによって、一層適
正なクリアランスが得られる。
【0021】請求項3に係る発明方法の構成は、前記請
求項2の発明方法の構成要件に加えて、前記シリンダラ
イナの2箇所の内径寸法の計測をエアマイクロによって
行なうとともに、計測結果である2箇所の直径寸法のそ
れぞれ、もしくは直径差と、計測された2箇所の軸心方
向距離とを、電気信号として出力せしめて、ピストン仕
上寸法演算回路に入力せしめてピストンの外径設定寸法
を算出し、および/または、上記の計測値を可視的にデ
ジタル標示もしくはアナログ標示せしめることを特徴と
する。以上に説明した請求項3の発明方法によると、シ
リンダ内径の計測値に基づいて、ピストンの外径寸法を
決定する操作を適宜に行なうことができ、工程設計に関
する自由度が大きい。
【0022】すなわち、計測値である2箇所の直径寸法
のそれぞれ、もしくは直径差と、該2箇所間の軸心方向
距離とを、電気信号として演算回路に入力させると、こ
の演算回路によってピストンの外径寸法(目標値)を自
動的にかつ即時に算出することができる。また、上記の
計測結果である2箇所の直径寸法、もしくは直径差(テ
ーパ量)を可視的に表示することによって、この表示を
目視してピストンの仕上寸法を人為的に決定することも
できる。人為的な寸法決定には高度の熟練を要するとい
う短所は有るが、センターレス研削による各種の作業条
件を加味してピストン外径寸法(目標値)の設定をする
ことができる。本請求項を適用して、ピストン外径寸法
の算出を自動的に行なわせながら、技術員が可視的な表
示数値を目視しつつ監視することも有効である。このよ
うな方法によれば、基本的には自動演算を行なわせつ
つ、情況に応じてピストン外径寸法(算出値)に適宜の
補正を加えることも可能となり、万一の異常発生に対し
て迅速に対処することができる。
【0023】請求項4に係る発明方法の構成は、前記請
求項3の発明方法の構成要件に加えて、前記ピストン仕
上寸法演算回路によって算出されたピストン外径設定寸
法に基づき、および/または可視的に標示された計測値
に基づいて、センターレス研削機の切り込み駆動機構を
制御することを特徴とする。以上に説明した請求項4の
発明方法によると、センターレス研削機の切込駆動機構
を制御することにより、ピストンの外径が設定値となる
ように研削仕上げすることができる。センターレス研削
機によって研削された被加工物(この場合はピストン)
の外径寸法を調節する方式は各種有るが、シリンダライ
ナの内径に合わせてピストンの外径を真円柱面に研削仕
上げする場合、切込み送りを制御する方式が最適であ
る。切込送りの制御は、センターレス研削機の調整砥石
の切込み送りを制御することもでき、また研削砥石の切
込み送りを制御することもできるので、工程設計の自由
度が大きい。
【0024】請求項5に係る発明方法の構成は、前記請
求項4の発明方法の構成要件に加えて、センターレス研
削されたピストン部材をエアーブローして、エアマイク
ロまたはレーザー外径検査装置によって仕上寸法の検査
を行ない、前記のピストン外径の設定寸法に比して許容
誤差内である否かを判定することを特徴とする。以上に
説明した請求項5の発明方法によると、シリンダライナ
の内径寸法に適応させて外径を研削仕上げしたピストン
が、適正に研削されたか否かを確実に検査して、製品の
品質を保証することができる。センターレス研削を終え
た被加工物(この場合はピストン)は、研削油に濡れて
いる上に、研削粉が付着しており、その上、研削熱によ
って昇温しているのが通例である。従って、そのままで
外径寸法を計測しても正確な値を得ることは困難であ
る。本請求項を適用して、センターレス研削を終えたピ
ストンをエアーブローすると、研削油を研削粉との混合
物が空気流で吹き飛ばされて清浄になり、検査に適した
状態となるので、容易かつ迅速に高精度の外径寸法検査
を行ない得るようになる。そして、エアーマイクロまた
はレーザー検査装置によると非接触で寸法検査を行なう
ことができるので、高精度に磨き上げられたピストンを
汚損したり傷つけたりする虞れが無くて安全である。
【0025】請求項6に係る発明方法の構成は、前記請
求項1ないし請求項5の発明方法の構成要件に加えて、
前記のシリンダライナの内周面に、円柱面以外の精密仕
上面が、該円柱面と同心に形成されており、かつ、前記
のピストンにも円柱面以外の精密仕上面が、該円柱面と
同心に設けられていて、双方の非円柱面が相互に密着す
る構造になっている場合、ピストン外周面のセンターレ
ス研削仕上げに先立って、予めシリンダライナ側の非円
柱面、および、ピストン側の非円柱面を研削仕上げして
おくことを特徴とする。以上に説明した請求項6の発明
方法によると、例えばシリンダライナとピストンとの対
偶のそれぞれに、円錐面より成る弁座と弁とが設けられ
ている場合、シリンダライナとピストンとのクリアラン
スを適正ならしめ、かつ、弁と弁座とを密着せしめるこ
とができるという特有の効果が得られる。このような構
造のシリンダライナとピストンとの対偶は、各種のスト
ップ弁,リリーフ弁,調圧弁,ピストンポンプなど、適
用範囲が広いので実用的価値が多大である。本請求項の
構成は、前工程において非円柱面を仕上げ、後工程でピ
ストン外周面を研削する。このような工程順序をとるこ
とができる理由は、ピストン外周面をセンターレス研削
するからである。すなわち、前工程で弁座と弁との円錐
面を同心に研削仕上げしても、後工程でピストンをチャ
ックして外周面を研削すれば、このチャック作業におけ
る心出し誤差によってピストン外周面の中心線が変位す
る。このため、該ピストンをシリンダライナの中へ挿入
すると、弁座と弁との同心性が狂ってしまう。しかし、
センターレス研削においては被加工物(この場合はピス
トン)を心出し・チャックするという操作を行なわず、
該被加工物(ピストン)をブレードと調整砥石とによっ
て無心的に支持しつつ、該調整砥石を回転駆動すること
により摩擦伝動によって被加工物の回転を制御する。こ
のような状態で、該被加工物に研削砥石を接触させて研
削を行なうので、被加工物は高速で回転しつつ、その外
周面を研削される。つまり、被加工物であるピストンの
外周面を、周方向に均等に、連続的に薄皮を剥ぐように
削り取ってゆく。このため、センターレス研削の前後に
おいて被加工物(ピストン)の中心線は変位しない。こ
うしたセンターレス研削特有の作用により、センターレ
ス研削前に仕上げた弁の非円周面(例えば円錐面)は、
センターレス研削しても同心性を失うことがない。
【0026】本請求項6の発明を適用すると、上述の理
由により、非円錐面の密着性を損うことなく、ピストン
とシリンダライナとの間のクリアランスを適正ならしめ
ることができる。
【0027】請求項7に係る発明装置の構成は、シリン
ダブロック内に圧入され、もしくは治具に収納して保持
されたシリンダライナの内径を計測する手段と、算出さ
れたシリンダ内径寸法に基づいて、このシリンダに適合
するようなピストンの外径寸法を算出する手段と、研削
仕上寸法が上記のピストン外径寸法となるように調節す
る手段を備えたセンターレス研削機との組合せから成る
ことを特徴とする。以上に説明した請求項7の発明装置
によると、シリンダブロック内に圧入され、もしくは該
シリンダブロックに代る治具の中に収納されたシリンダ
ライナの内径寸法を計測する手段が設けられているの
で、このシリンダライナが実機のエンジンもしくは補機
器に装着されて稼働する状態における内径寸法が計測さ
れる。従って、上記の内径寸法(計測値)に対して適正
なクリアランスを生じるようにピストンの外周を研削す
ると、このピストンは、エンジンもしくは補機器に組み
込まれて稼働しているとき、適正なクリアランスを形成
して、焼付きや早期摩耗の虞れ無く、しかも過大なリー
クを生じない。
【0028】さらに本請求項7の発明装置は、センター
レス研削機に「被加工物であるピストンの外径寸法が、
前記の計測値(シリンダ内径)に適合するピストン外径
寸法」を算出する手段を備えているので、迅速,容易,
かつ正確に適正なピストン外径寸法を算出することがで
きる。
【0029】請求項8に係る発明装置の構成は、前記請
求項7の発明装置の構成要件に加えて、前記のシリンダ
ライナの内径を計測する手段は、該シリンダライナの長
手方向に離れた2箇所で測定するようになっており、か
つ、上記2箇所の間の距離と、該2箇所の測定値とに基
づいて、シリンダライナ内周面のテーパ量を算出する演
算回路と、前記2箇所の測定値、および/または、算出
されたテーパ量に基づいて、当該シリンダライナに嵌合
されるピストンの適正な外径寸法および/またはテーパ
量を算出する演算回路と、を具備していることを特徴と
する。以上に説明した請求項8の発明装置によると、シ
リンダライナ長手方向の2箇所で内径を計測する手段
と、この計測手段による計測値に基づいてシリンダライ
ナ内周面のテーパ量を算出する演算回路とを備えている
ので、被加工物であるピストンの嵌合相手部材であるシ
リンダライナの内径寸法およびテーパ量を迅速,容易に
把握することができる。一方、研削手段であるセンター
レス研削機は、本来的な機能として被加工物のテーパ量
を容易に、かつ正確に調節して、任意所望のテーパ仕上
げをすることができる。ピストンのストロークが比較的
小さい場合は、シリンダライナの僅少なテーパを無視す
ることができるが、ピストンのストロークが比較的長い
場合はシリンダライナのテーパ量を無視することができ
ない。さらに、ピストンの長さ寸法が直径に比して相対
的に大きい場合、テーパの影響は一層顕著になる。シリ
ンダライナが単品として高精度の円筒度で研削されてい
ても、これをシリンダブロックに圧入するとテーパを生
じて変形する。このため、本請求項8の構成が、該シリ
ンダライナについて、単品の状態ではなく実機装着状態
をシミュレーションして、そのテーパ量を算出するとこ
ろに重要な意義が有る。そして、本請求項8の構成は、
ピストンの適正な外径寸法や適正なテーパ量を算出する
演算回路を有しているので、シリンダライナ内径の計測
値に基づいてセンターレス研削機を適正な調節状態なら
しめる操作が迅速,容易に行なわれ、人為的な計算誤り
を生じる虞れが無い。
【0030】請求項9に係る発明装置の構成は、前記請
求項7もしくは請求項8の発明装置の構成要件に加え
て、前記のシリンダライナの内径を計測する手段はエア
マイクロであり、かつ、前記ピストンの外径寸法を算出
する手段は、算出された外径寸法を電気信号として出力
する機能、および/または、ピストン外径寸法やテーパ
量を算出した演算の要素もしくは演算の結果を可視的に
表示する機能を有しており、または、上記の演算要素,
演算結果を電気的に出力したり電気的に記録したりする
機能を有していることを特徴とする。以上に説明した請
求項9の発明装置によると、ピストンの直径やテーパ量
を算出するに至った演算の要素が可視的に表示され、も
しくは、電磁的に記録される。
【0031】すなわち、例えば内径を計測するについ
て、1方向の直径を計測したのか、直交する2方向の直
径を計測して平均値を取ったのか(その平均は算術平均
か幾何平均か)、または周方向に旋回しつつ多数の直径
を計測したのか、をはじめとして、シリンダライナの内
周面を表す数値を、見ることもでき、他の演算回路に入
力することもでき、また、中間検査データとして記録す
ることもできる。精密加工という仕事は、製品の精度が
微小に変動することが多い、このような微少な変動を把
握して、その原因を探求するためにも、また、微少な変
動をフィードバックして補正をかけるにも、このような
中間検査記録を可能ならしめることは有効である。
【0032】請求項10に係る発明装置の構成は、前記
請求項9の発明装置の構成要件に加えて、前記の演算回
路によって算出されたピストンの適正な外径寸法および
/またはテーパ量に基づいて、前記センターレス研削機
の切込み送り駆動機構を制御する切込送り制御機構が設
けられていることを特徴とする。以上に説明した請求項
10の発明装置によると、単品としてではなく、エンジ
ンの何れか一部分を構成しているシリンダライナが稼働
している状態において、該シリンダライナの内周面に対
してピストンが、軸心方向に往復摺動しつつ適正なクリ
アランスを保持することがてきるように、その外径を研
削仕上げすることができる。この効果は、当該ピストン
をセンターレス研削機で加工することによって発揮する
ことができる。すなわち、センターレス研削機は、その
本来的な特性として、切込送り制御によって被加工物で
ある円柱状部材の直径寸法とテーパ量とを調節すること
ができる。その上、外周面を無心的に研削するので「心
出し・チャック」という作業に因る誤差を生じない。し
かも、心出し・チャックを必要としないので作業能率が
高い。センターレス研削機そのものは公知の機械である
が、その特性を利用して「実機装着状態のシリンダライ
ナに対して適正なクリアランスを維持し得るように、ピ
ストン外径を研削する」という効果は、本発明によって
初めて達成されたものである。従来技術におけるがごと
く、単品のシリンダライナと、静的なピストンとの嵌合
を追求している限りにおいては本発明の技術的思想に到
達できない。ピストンが静止部材ではなく軸心方向に移
動することに着目し、微小テーパの円筒に対して微小テ
ーパのピストンを嵌合させることにより、該ピストンの
往復摺動ストロークの全行程にわたって、そのクリアラ
ンスを許容範囲内に収め得るようにしたところに本発明
の新規性が有る。静止しているテーパ面に対して、移動
するテーパ面の嵌合を想定すれば、クリアランスは時々
刻々に変化する。本発明は、この変化するクリアランス
の変化幅を、許容クリアランスの幅の中に収めるように
創作したものである。ここに、クリアランスの許容幅
(許容範囲)とは、シリンダライナとピストンとの間に
油膜が形成されることを前提として、双方の部材が金属
接触を生じる虞れの有る寸法よりも大きく、双方の部材
の間に有害な程度のリークを生じる寸法よりも小さいク
リアランス値をいう。
【0033】請求項11に係る発明装置の構成は、前記
請求項7ないし請求項10の発明装置の構成要件に加え
て、前記のセンターレス研削機が、研削されたピストン
をエアーブローする手段、および、エアーブローされた
ピストンの外径寸法を計測して、前記外径,テーパ量寸
法算出手段によって算出されたピストン外径,テーパ量
と比較し、両者の差が所定の許容誤差範囲内であるか否
かを判定する手段を具備していることを特徴とする。以
上に説明した請求項11の発明装置によると、センター
レス研削を終了したピストンの外径寸法を自動的に計測
して、良品であるか検査不合格品であるかを自動的に判
定することができる。
【0034】すなわち、センターレス研削を終了した時
の被研削物(ピストン)は研削液に濡れており、かつ、
該研削液の中には研削粉が混入している。本請求項の装
置はエアーブローによって前記の「研削粉を懸濁した研
削液」を吹き払って清浄ならしめる。さらに、センター
レス研削直後のピストンは、研削熱によって昇温し、熱
膨張しているが、エアーブローによって一定温度まで冷
却され、正確な外形寸法測定が可能な状態になる。測定
可能な状態になったピストンは、単に直径のみでなく、
テーパ量も計測して、完全な検査が行なわれる。この場
合の判定手段は自動演算機であることが望ましいが、手
動式の機器であっても良い。
【0035】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の1実施形態を説
明するために示したもので、センターレス研削機の要部
と、ブロックに嵌入されたシリンダライナと、該シリン
ダライナの内径を計測する手段と、計測結果に基づいて
前記センターレス研削機を制御する系統とを描いた模式
図である。符号1を付して示したシリンダライナはシリ
ンダブロックの中に嵌合されている。本発明を実施する
際、必ずしもシリンダブロックの中に嵌合するように限
定されないが、上記のシリンダライナがエンジン本体も
しくはエンジン補機器に装着されているのと同じ状態を
シミュレーションするように、適宜のブロック部材に収
納される。上記のシリンダブロックとは、慣用的な名称
の如何に拘らず、シリンダライナを嵌合する部材の総称
である。上述の状態のシリンダライナ1の内径を、エア
ーマイクロ11によって計測する。計測は、図示の寸法
Lだけ軸心方向に離れた2箇所の直径D1,D2を計測す
る。図示を省略するが、3箇所もしくはそれ以上の箇所
で計測することを妨げない。上記の内径の計測は、直径
方向の1箇所で行なっても良く、直交する直径方向に2
箇所で行なっても良く、また、全周方向に回転しながら
多数箇所で行なっても良い。本実施形態の応用例として
(図示を省略するが)、区間Lを螺旋状に移動しつつ直
径を計測しても良い。計測された複数箇所の内径箇所を
表す電気信号がエアーマイクロ11から出力されて、演
算回路12に入力される(矢印a)。上記演算回路12
は、複数箇所の内径寸法(本例では2箇所の内径寸法D
1,D2)を入力され、テーパ量を算出する。本例では、
計測される2箇所の間の距離Lが一定であって、演算回
路12に記憶させてあるので、テーパ量は容易に算出さ
れる。テーパ量は、角度で表しても良いのであるが、本
例のごとくLが一定であれば、2箇所の内径寸法の差に
よってテーパ量を表しても良い。
【0036】2箇所の内径の計測は、1箇所について1
つの直径方向を計測しても良い。また、直交する2つの
直径方向を計測しても、2つ以上の直径方向を計測して
も良い。1箇所について複数回の計測を行なった場合、
複数の計測値の算術平均をとることもでき、幾何平均
(例えば最小2乗法)をとることもできる。情況によっ
ては、複数個の計測値のうち、図面寸法に対する誤差が
最大である値をとることもできる。このようにして各種
の演算を行なった結果は、切込送り制御機構13に入力
される(矢印b)。前記各種の演算を行なった際の演算
要素(例えば、1箇所の測定に関する最大,最小値、お
よび両者の算術平均値,または幾何平均値、並びに、角
度で表したテーパ量,もしくは直径差で表されたテーパ
量など)は、矢印eのように、記録手段を備えたディス
プレイ15に入力されて、可視的に標示されるととも
に、記録される。前記の記録手段は電磁的な記録手段で
あっても良く、ペーパープリンタであっても良い。図示
を省略するが、内径寸法もしくはテーパ量に異常値が発
生したときは、その旨を放置するアラーム手段を併設し
ておくことが望ましい。この工程で計測の対象となるシ
リンダライナは既に研削仕上げを終えていて、中間検査
に合格した半製品であるが、これをシリンダブロック4
(もしくはこれに代る治具)の中に収納されたとき、必
ずしも許容誤差内にあるとは限らないので、この段階に
おける内径やテーパ量について検査合格,不合格を判定
することには意義が有る。前記演算回路12は、前述の
ようにしてシリンダライナ1の内径寸法およびテーパ量
を算出し、かつ、こうしたシリンダライナの内周面形状
寸法に対して最適のピストン形状寸法(内径寸法および
テーパ量)を算出する。内周面がテーパであるシリンダ
ライナの中で、テーパの有るピストンを往復摺動させる
ように形状,寸法を設定するということは、従来技術に
おいては考慮されていなかった。
【0037】燃焼室を形成するピストンにテーパを付す
るということは公用公知の技術であるが、これは、運転
状態においてピストンヘッドが高温になって大きく熱膨
張し、ピストンスカートは比較的低温で熱膨張が少ない
ことを勘案して、こうした熱勾配の下において真円柱面
となるようにピストンヘッド側を小径ならしめる方向の
テーパを予め与えておくものである。本発明を適用する
場合、上記のように熱膨張差を打ち消すためのテーパ以
外に、運転状態でテーパを保つようにピストンにテーパ
を付して研削仕上げする。先に述べたように、本発明に
おけるピストンは広義であって、ラムもしくはプランジ
ャと通称される部材も含み、エンジンおよび/またはエ
ンジン用補機器に用いられる往復摺動部材全般が適用の
対象である。従って、ポンプの構成部材であるプランジ
ャや、リリーフバルブの構成部材であるニードルバルブ
などのように、稼動中に熱勾配を生じない円柱状部材に
もテーパを付するようにセンターレス研削仕上げする。
【0038】テーパ状のシリンダライナ内周面の中で、
テーパを付された外周面を有するピストンを往復摺動さ
せることは、ちょっと考えにくい事かと思われるが、こ
のテーパ量が直径差としてサブミクロンオーダーの、き
わめて微小なものであることをご理解頂きたい。そし
て、シリンダライナー内周面の研削仕上げは高い円筒度
を有するように行なわれる。しかし、その誤差を完全に
ゼロならしめることは至難である上に、このシリンダラ
イナをシリンダブロック(通称の如何を問わない。要す
るにシリンダライナを嵌合する剛性部材)の中に収納す
ると、サブミクロンオーダーの歪みを生じて真円柱面で
なくなる。そこで本実施形態においては、実機装着状態
をシミュレーションしたシリンダライナ内周面のテーパ
に対して、「ライナ内周面の研削よりも格別に高精度の
調節が可能なセンターレス研削機」側で、シリンダライ
ナに合わせたテーパ仕上げをすることによってクリアラ
ンス調整を行なう。
【0039】切込送り制御機構13は、切込送り駆動機
構14に対して制御信号(矢印c)を与える。該切込送
り駆動機構14は、調整砥石9bの切込み動作を制御す
る。
【0040】切込み動作の制御は主として2通り有っ
て、その一つは調整砥石9bを矢印d方向に前進させる
ストロークのエンドを決めることである。センターレス
研削においては、ブレード9aと調整砥石9bとによっ
て被加工物(この場合はピストン2)を支承するので、
ブレード9aと調整砥石9bとの相対的な位置は一定に
保たれる。そこで、ブレード9aと協働してピストン2
を支承している調整砥石9bを矢印b方向に進めると、
ピストン2を矢印d方向に送られ、研削砥石9cに接近
して研削される。このため、調整砥石を矢印d方向に進
めれば進めるほど、ピストン2の研削仕上げ直径寸法は
小さくなる。その反対に、矢印d方向の切込み送りを手
前(図の右方)で止めれば、手前で止めるほどピストン
2の研削仕上げ直径寸法は大きくなる。切込送り駆動機
構14は、以上のようにしてピストン2の研削仕上げ直
径寸法を調節する機能を有しており、切込送り制御機構
13から制御信号(矢印c)を受けて、ピストン2の外
径がシリンダライナ1の内周面に対して適正なクリアラ
ンスを生じるように、該ピストン2の外周面を研削仕上
げする。切込み動作の制御のもう一つは、調整砥石9b
を、往復円弧矢印θのように旋回させることである。先
に述べたように、調整砥石9bとブレード9aとの相対
的な位置関係は一定であるから、調整砥石9bが往復円
弧矢印θのように旋回せしめられると、ブレード9aも
これに伴って旋回せしめられ、支承されているピストン
も旋回する。このようにしてピストン2が研削砥石9c
に対して旋回せしめられ、その外周面にテーパが付され
る。切込送り駆動機構14は、上述のようにして被加工
物(ピストン2)のテーパを調節する機能を有してお
り、切込送り制御機構13の制御信号(矢印c)を受け
て、ピストン2の外周面のテーパ量をシリンダライナ1
の内周面のテーパ量に対応せしめて適正に研削仕上げす
る。
【0041】先に述べたように、ブレード9aと調整砥
石9bとは相対的な位置関係を一定に保たれている(厳
密に言うならば、ブレード9aと、調整砥石9bの回転
軸の軸受とは相互に固定されている。この関係は、調整
砥石が摩耗しても変らない)。従って、研削によってピ
ストン2が僅かに細くなることを無視すれば、調整砥石
9bと、ブレード9aと、ピストン2との相対的な位置
関係は一定であり、これら3者が研削砥石9cに対して
矢印dのように接近することによって研削仕上げ外径寸
法が減少する。また、上記3者が往復円弧矢印θのよう
に旋回することによってテーパ量が増減する。上述の作
動原理から明らかなように、調整砥石9bと、ブレード
9aとピストン2との3者を動かさずに、これら3者に
対して研削砥石9cを反矢印d方向に移動させても、セ
ンターレス研削の切り込みが行なわれ、該移動のストロ
ークエンドを制御することによってピストン2の研削仕
上げ外径寸法を増減せしめることができる。同様に、前
記3者を動かすことなく研削砥石9cを往復円弧矢印φ
のように旋回させても、ピストン2にテーパを与えるこ
とができる。本発明においてセンターレス研削機の切込
み駆動機構を制御するとは、図1,図2に例示されたよ
うに調整砥石の切込み送りを制御することに限定され
ず、研削砥石の切込み送りを制御することも含んでい
る。
【0042】図2は、本発明の1実施形態における工程
の全部を表すもので、シリンダライナをシリンダブロッ
ク内に挿入する工程と、上記シリンダライナの内径を計
測する工程と、ピストンの外周面をセンターレス研削す
る工程と、センターレス研削されたピストンの外径寸法
を検査する工程と、該ピストンとシリンダライナとをペ
アリングする工程とを描いた模式図である。
【0043】ピストン研削の準備工程として、個々のシ
リンダライナ1をシリンダブロック4の中へ装入する
(矢印f)。シリンダライナ1を装入されたシリンダブ
ロック4を計測位置に進める(矢印g)。エアーマイク
ロ11で前記シリンダライナ1の内径寸法を計測して、
演算装置12′に入力する(矢印h)。上記演算装置1
2′は、演算回路を具備していて、先に図1を参照して
説明したような演算を行なって、その結果や演算要素を
ディスプレー15に標示するとともに、切込送り制御機
構から制御命令信号(矢印i)を切込送り駆動機構14
に与える。本例のセンターレス研削機は、調整砥石9b
の支持駆動機構およびブレード9aが、スライド・旋回
機構9dに搭載されていて、切込送り駆動機構14によ
って切込み送り(図において左方に移動)せしめられた
り、旋回角を与えられたりするようになっている。ピス
トン2は、矢印jのように個々にローディングされ、セ
ンターレス研削される。
【0044】研削を終えたピストンは矢印kのようにア
ンローディングされ、エアーブロー16で空気を吹きつ
けて清浄にされる。センターレス研削を終えたままのピ
ストン2には、研削粉を含んだ研削油が付着していて、
そのままでは外径寸法の検査を行なうに適しないが、エ
アブローによって研削油を吹き飛ばされて、計測に適し
た状態になる。さらに、研削を終了した直後のピストン
は研削熱によって昇温し、熱膨張しているため寸法検査
に適しない。しかし、上述のエアブローによって一定温
度まで降温するので、寸法検査に好適な状態となる。本
実施形態においては、エアブローされたピストンが矢印
mのようにレーザー外径寸法検査に送られる。本発明を
実施する際、この検査工程はレーザー計測に限らない
が、レーザー計測やエアーマイクロなどのように非接触
で検査することが望ましい。非接触検査であれば、超精
密に研削されたピストンを傷つけたり汚損したりする虞
れが無い。外径寸法検査機17に対して、演算装置1
2′から「研削仕上げ目標とされる外径寸法およびテー
パ量」が出力(矢印n)される。該外径寸法検査機17
は、目標値と計測値とを比較して、寸法検査の合否を判
定する。検査に合格したピストンは矢印pのようにペア
リングステーション18に送られ、個々に内径計測され
たシリンダライナ1が矢印qのごとく該ペアリングステ
ーション18に送られてきて、1個のシリンダライナと
1個のピストンとがペアを形成して搬出(矢印r)され
る。本実施形態(図2)におけるエアーマイクロ11
は、エア噴出孔が円周上に4箇所ある形式のものを用い
た。2箇所式のものに比して精度が高いからである。ま
た、レーザー外径寸法検査17に代えて、上記と同様の
4箇所噴出式のエアーマイクロを用いることもできる。
【0045】なお、ピストン2に設けられた溝などのた
めに、エアーマイクロやレーザー計測が困難な場合は接
触式の公知の計測具を用いることもできるが、エアーマ
イクロやレーザー計測は自動化に適しているので望まし
い。
【0046】図3は、前記と異なる実施形態に係る研削
方法およびピストン研削装置によって研削仕上げされた
バルブピストン21がバルブシリンダ20に組み込まれ
た状態の断面図である。
【0047】本図3に示した直動形リリーフ弁19は、
エンジン潤滑系統の調圧に用いられる機器であるから、
本発明の適用対象である。シリンダライナ20bはシリ
ンダボディ20aの中に嵌合されている。この場合、上
記シリンダボディはバルブボディと呼ばれることが多い
が、先に定義したごとく本発明においてはシリンダボデ
ィに相当する。前記シリンダライナ20bには凹形の円
錐弁座20cが形成され、バルブピストン21には凸形
の円錐面21aが形成され、バルブスプリング22で付
勢されて相互に密着するようになっている。23はプッ
シュロッド、24は調整ネジである。このように、シリ
ンダライナに形成された非円柱面と、ピストンに形成さ
れた非円柱面とが同心に対向して当接密着する構造であ
る場合、予め非円柱面を研削仕上げした後、シリンダラ
イナの内周面を計測して内径とテーパ量とを算出し、こ
れに合わせてピストンの外周面をセンターレス研削する
と良い。その理由は、センターレス研削は外周面を無心
的に研削するため、予め研削仕上げされている非円柱面
の同心性を狂わせないからである。
【0048】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方
法によると、研削仕上げされたシリンダライナの研削仕
上寸法誤差の如何に拘らず、該シリンダライナの内径に
対応せしめて、適正なクリアランスを生じるようにピス
トンの外周面を研削仕上げすることができる。相互に嵌
合させる1個のシリンダライナと1個のピストンとを組
部品として研削するので、従来技術におけるがごとく多
数のシリンダライナの内径寸法を計測してグループ分け
する場合に比して、シリンダライナとピストンとの対偶
を高精度で確実に対応させることができる。研削を終え
たシリンダライナを、シリンダブロックもしくは治具の
中に収納した状態で内径寸法を計測するので、当該シリ
ンダライナが実機に組み込まれて稼働する状態と同様の
状態で寸法を計測することになる。従って、この計測寸
法に合わせてピストンの外周面を研削することにより、
該シリンダライナを実機に組み込んで、その中にピスト
ンを嵌合した場合、適正なクリアランスが再現され、両
者の間に望ましい油膜が形成される。このため、シリン
ダライナの内周面とピストンの外周面との間に焼付きや
早期摩耗を生じることなく、しかも過度のリークを生じ
ることが無い。一般に、シリンダライナの内周面研削精
度は、ピストンの外周面研削精度よりも低いが、本請求
項1の発明方法によれば、研削仕上げを終了したシリン
ダライナを基準とし、これに対して正常なクリアランス
を生じるようにピストンの外径寸法を設定するので、
“高精度研削可能な側(ピストン)でクリアランス調整
を行なう”という原則に一致していて、クリアランス制
御を容易に、高精度で行なうことができる。その上、ピ
ストンの外周面をセンターレス研削するので、該ピスト
ンの粗仕上げ状態における真円度が低くても、センター
レス研削特有の造円作用によって真円柱に研削仕上げさ
れる。
【0049】請求項2の発明方法によると、シリンダラ
イナの内周面形状の狂いをテーパ量として算出すること
により、シリンダライナの内周面の形状,寸法を簡略化
して把握し、これに適合するピストンの仕上げ寸法(外
径および/またはテーパ量)を、簡単な演算で求めるこ
とができる。内径を計測する2箇所間の距離を予め一定
の値に決めておけば、該2箇所の計測値の差によってテ
ーパ量が一義的に定まる。このため、2箇所のそれぞれ
で計測された内径寸法の何れか片方を基準として、この
基準値に対してテーパ量を勘案した補正を加えてピスト
ン外径を決定すると、当該シリンダに対して適正なクリ
アランスを形成し得るピストンを研削仕上げすることが
できる。また、ピストン外径に適当なテーパを付与する
ことによって、一層適正なクリアランスが得られる。
【0050】請求項3の発明方法によると、シリンダ内
径の計測値に基づいて、ピストンの外径寸法を決定する
操作を適宜に行なうことができ、工程設計に関する自由
度が大きい。
【0051】すなわち、計測値である2箇所の直径寸法
のそれぞれ、もしくは直径差と、該2箇所間の軸心方向
距離とを、電気信号として演算回路に入力させると、こ
の演算回路によってピストンの外径寸法(目標値)を自
動的にかつ即時に算出することができる。また、上記の
計測結果である2箇所の直径寸法、もしくは直径差(テ
ーパ量)を可視的に表示することによって、この表示を
目視してピストンの仕上寸法を人為的に決定することも
できる。人為的な寸法決定には高度の熟練を要するとい
う短所は有るが、センターレス研削による各種の作業条
件を加味してピストン外径寸法(目標値)の設定をする
ことができる。本請求項を適用して、ピストン外径寸法
の算出を自動的に行なわせながら、技術員が可視的な表
示数値を目視しつつ監視することも有効である。このよ
うな方法によれば、基本的には自動演算を行なわせつ
つ、情況に応じてピストン外径寸法(算出値)に適宜の
補正を加えることも可能となり、万一の異常発生に対し
て迅速に対処することができる。
【0052】請求項4の発明方法によると、センターレ
ス研削機の切込駆動機構を制御することにより、ピスト
ンの外径が設定値となるように研削仕上げすることがで
きる。センターレス研削機によって研削された被加工物
(この場合はピストン)の外径寸法を調節する方式は各
種有るが、シリンダライナの内径に合わせてピストンの
外径を真円柱面に研削仕上げする場合、切込み送りを制
御する方式が最適である。切込送りの制御は、センター
レス研削機の調整砥石の切込み送りを制御することもで
き、また研削砥石の切込み送りを制御することもできる
ので、工程設計の自由度が大きい。
【0053】請求項5の発明方法によると、シリンダラ
イナの内径寸法に適応させて外径を研削仕上げしたピス
トンが、適正に研削されたか否かを確実に検査して、製
品の品質を保証することができる。センターレス研削を
終えた被加工物(この場合はピストン)は、研削油に濡
れている上に、研削粉が付着しており、その上、研削熱
によって昇温しているのが通例である。従って、そのま
まで外径寸法を計測しても正確な値を得ることは困難で
ある。本請求項を適用して、センターレス研削を終えた
ピストンをエアーブローすると、研削油を研削粉との混
合物が空気流で吹き飛ばされて清浄になり、検査に適し
た状態となるので、容易かつ迅速に高精度の外径寸法検
査を行ない得るようになる。そして、レーザー検査装置
によると非接触で寸法検査を行なうことができるので、
高精度に磨き上げられたピストンを汚損したり傷つけた
りする虞れが無くて安全である。
【0054】請求項6の発明方法によると、例えばシリ
ンダライナとピストンとの対偶のそれぞれに、円錐面よ
り成る弁座と弁とが設けられている場合、シリンダライ
ナとピストンとのクリアランスを適正ならしめ、かつ、
弁と弁座とを密着せしめることができるという特有の効
果が得られる。このような構造のシリンダライナとピス
トンとの対偶は、各種のストップ弁,リリーフ弁,調圧
弁,ピストンポンプなど、適用範囲が広いので実用的価
値が多大である。本請求項の構成は、前工程において非
円柱面を仕上げ、後工程でピストン外周面を研削する。
このような工程順序をとることができる理由は、ピスト
ン外周面をセンターレス研削するからである。すなわ
ち、前工程で弁座と弁との円錐面を同心に研削仕上げし
ても、後工程でピストンをチャックして外周面を研削す
れば、このチャック作業における心出し誤差によってピ
ストン外周面の中心線が変位する。このため、該ピスト
ンをシリンダライナの中へ挿入すると、弁座と弁との同
心性が狂ってしまう。しかし、センターレス研削におい
ては被加工物(この場合はピストン)を心出し・チャッ
クするという操作を行なわず、該被加工物(ピストン)
をブレードと調整砥石とによって無心的に支持しつつ、
該調整砥石を回転駆動することにより摩擦伝動によって
被加工物の回転を制御する。このような状態で、該被加
工物に研削砥石を接触させて研削を行なうので、被加工
物は高速で回転しつつ、その外周面を研削される。つま
り、被加工物であるピストンの外周面を、周方向に均等
に、連続的に薄皮を剥ぐように削り取ってゆく。このた
め、センターレス研削の前後において被加工物(ピスト
ン)の中心線は変位しない。こうしたセンターレス研削
特有の作用により、センターレス研削前に仕上げた弁の
非円周面(例えば円錐面)は、センターレス研削しても
同心性を失うことがない。
【0055】本請求項6の発明を適用すると、上述の理
由により、非円錐面の密着性を損うことなく、ピストン
とシリンダライナとの間のクリアランスを適正ならしめ
ることができる。
【0056】請求項7の発明装置によると、シリンダブ
ロック内に圧入され、もしくは該シリンダブロックに代
る治具の中に収納されたシリンダライナの内径寸法を計
測する手段が設けられているので、このシリンダライナ
が実機のエンジンもしくは補機器に装着されて稼働する
状態における内径寸法が計測される。従って、上記の内
径寸法(計測値)に対して適正なクリアランスを生じる
ようにピストンの外周を研削すると、このピストンは、
エンジンもしくは補機器に組み込まれて稼働していると
き、適正なクリアランスを形成して、焼付きや早期摩耗
の虞れ無く、しかも過大なリークを生じない。
【0057】さらに本請求項7の発明装置は、センター
レス研削機に「被加工物であるピストンの外径寸法が、
前記の計測値(シリンダ内径)に適合するピストン外径
寸法」を算出する手段を備えているので、迅速,容易,
かつ正確に適正なピストン外径寸法を算出することがで
きる。
【0058】請求項8の発明装置によると、シリンダラ
イナ長手方向の2箇所で内径を計測する手段と、この計
測手段による計測値に基づいてシリンダライナ内周面の
テーパ量を算出する演算回路とを備えているので、被加
工物であるピストンの嵌合相手部材であるシリンダライ
ナの内径寸法およびテーパ量を迅速,容易に把握するこ
とができる。一方、研削手段であるセンターレス研削機
は、本来的な機能として被加工物のテーパ量を容易に、
かつ正確に調節して、任意所望のテーパ仕上げをするこ
とができる。ピストンのストロークが比較的小さい場合
は、シリンダライナの僅少なテーパを無視することがで
きるが、ピストンのストロークが比較的長い場合はシリ
ンダライナのテーパ量を無視することができない。さら
に、ピストンの長さ寸法が直径に比して相対的に大きい
場合、テーパの影響は一層顕著になる。シリンダライナ
が単品として高精度の円筒度で研削されていても、これ
をシリンダブロックに圧入するとテーパを生じて変形す
る。このため、本請求項8の構成が、該シリンダライナ
について、単品の状態ではなく実機装着状態をシミュレ
ーションして、そのテーパ量を算出するところに重要な
意義が有る。そして、本請求項8の構成は、ピストンの
適正な外径寸法や適正なテーパ量を算出する演算回路を
有しているので、シリンダライナ内径の計測値に基づい
てセンターレス研削機を適正な調節状態ならしめる操作
が迅速,容易に行なわれ、人為的な計算誤りを生じる虞
れが無い。
【0059】請求項9の発明装置によると、ピストンの
直径やテーパ量を算出するに至った演算の要素が可視的
に表示され、もしくは、電磁的に記録される。すなわ
ち、例えば内径を計測するについて、1方向の直径を計
測したのか、直交する2方向の直径を計測して平均値を
取ったのか(その平均は算術平均か幾何平均か)、また
は周方向に旋回しつつ多数の直径を計測したのか、をは
じめとして、シリンダライナの内周面を表す数値を、見
ることもでき、他の演算回路に入力することもでき、ま
た、中間検査データとして記録することもできる。精密
加工という仕事は、製品の精度が微小に変動することが
多い、このような微少な変動を把握して、その原因を探
求するためにも、また、微少な変動をフィードバックし
て補正をかけるにも、このような中間検査記録を可能な
らしめることは有効である。
【0060】請求項10の発明装置によると、単品とし
てではなく、エンジンの何れか一部分を構成しているシ
リンダライナが稼働している状態において、該シリンダ
ライナの内周面に対してピストンが、軸心方向に往復摺
動しつつ適正なクリアランスを保持することがてきるよ
うに、その外径を研削仕上げすることができる。この効
果は、当該ピストンをセンターレス研削機で加工するこ
とによって発揮することができる。すなわち、センター
レス研削機は、その本来的な特性として、切込送り制御
によって被加工物である円柱状部材の直径寸法とテーパ
量とを調節することができる。その上、外周面を無心的
に研削するので「心出し・チャック」という作業に因る
誤差を生じない。しかも、心出し・チャックを必要とし
ないので作業能率が高い。センターレス研削機そのもの
は公知の機械であるが、その特性を利用して「実機装着
状態のシリンダライナに対して適正なクリアランスを維
持し得るように、ピストン外径を研削する」という効果
は、本発明によって初めて達成されたものである。従来
技術におけるがごとく、単品のシリンダライナと、静的
なピストンとの嵌合を追求している限りにおいては本発
明の技術的思想に到達できない。ピストンが静止部材で
はなく軸心方向に移動することに着目し、微小テーパの
円筒に対して微小テーパのピストンを嵌合させることに
より、該ピストンの往復摺動ストロークの全行程にわた
って、そのクリアランスを許容範囲内に収め得るように
したところに本発明の新規性が有る。静止しているテー
パ面に対して、移動するテーパ面の嵌合を想定すれば、
クリアランスは時々刻々に変化する。本発明は、この変
化するクリアランスの変化幅を、許容クリアランスの幅
の中に収めるように創作したものである。ここに、クリ
アランスの許容幅(許容範囲)とは、シリンダライナと
ピストンとの間に油膜が形成されることを前提として、
双方の部材が金属接触を生じる虞れの有る寸法よりも大
きく、双方の部材の間に有害な程度のリークを生じる寸
法よりも小さいクリアランス値をいう。
【0061】請求項11の発明装置によると、センター
レス研削を終了したピストンの外径寸法を自動的に計測
して、良品であるか検査不合格品であるかを自動的に判
定することができる。
【0062】すなわち、センターレス研削を終了した時
の被研削物(ピストン)は研削液に濡れており、かつ、
該研削液の中には研削粉が混入している。本請求項の装
置はエアーブローによって前記の「研削粉を懸濁した研
削液」を吹き払って清浄ならしめる。さらに、センター
レス研削直後のピストンは、研削熱によって昇温し、熱
膨張しているが、エアーブローによって一定温度まで冷
却され、正確な外形寸法測定が可能な状態になる。測定
可能な状態になったピストンは、単に直径のみでなく、
テーパ量も計測して、完全な検査が行なわれる。この場
合の判定手段は自動演算機であることが望ましいが、手
動式の機器であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を説明するために示したも
ので、センターレス研削機の要部と、ブロックに嵌入さ
れたシリンダライナと、該シリンダライナの内径を計測
する手段と、計測結果に基づいて前記センターレス研削
機を制御する系統とを描いた模式図である。
【図2】本発明の1実施形態における工程の全部を表す
もので、シリンダライナをシリンダブロック内に挿入す
る工程と、上記シリンダライナの内径を計測する工程
と、ピストンの外周面をセンターレス研削する工程と、
該ピストンとシリンダライナとをペアリングする工程と
を描いた模式図である。
【図3】前記と異なる実施形態に係る研削方法およびピ
ストン研削装置によって研削仕上げされたバルブピスト
ン21がバルブシリンダ20に組み込まれた状態の断面
図である。
【図4】エンジンに用いられるシリンダライナの2例を
示し、(A)は水冷式エンジンを構成するシリンダライ
ナの断面とピストンの外観とを描いた分解図、(B)は
空冷式エンジンを構成するシリンダライナの断面とピス
トンの外観とを描いた分解図である。
【図5】シリンダライナを水冷エンジン用のシリンダブ
ロックに組み込んだ状態を実線で描くとともに、該シリ
ンダライナに嵌合されたピストンを仮想線で描いた断面
図である。ただし、読図しやすいように模式化してあっ
て、写実的な投影図ではない。
【符号の説明】
1,1′…シリンダライナ、2…ピストン、4…シリン
ダブロック、9…センターレス研削機、9a…ブレー
ド、9b…調整砥石、9c…研削砥石、11…エアーマ
イクロ、12…演算回路、12′…演算装置、13…切
込み送り制御機構、14…切込み送り駆動機構、15…
ディスプレー、18…ペアリングステーション、20…
バルブシリンダ、21…バルブピストン。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月13日(2001.2.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】先に考察したように、エンジン本体に用い
られているピストンは、その吸入,圧縮,爆発,排気の
各行程において異なる役目を果たす。また、エンジン補
機器に用いられている各種のピストンも、それぞれ異な
った役目を受け持っている。エンジン本体に用いられる
ピストンは、運転中に高温ガスの接触を受けて昇温し、
かつ温度勾配を生じるので、使用時はほぼ円柱形となる
よう、常温では非円柱形に仕上げられているものが多
い。エンジン本体用ピストンを常温時の外形に基づいて
分類すると、円柱式,円錐式,楕円柱式,楕円錐式とな
る。錘面に形成するのは、ピストン頂部がスカート部よ
りも高温になるからであり、楕円形に形成するのはピス
トンピンボス方向の熱膨張を考慮したものである。いず
れの方式を用いるかは、エンジンの熱負荷条件およびピ
ストン材質等を考慮して設計的に定められる。エンジン
技術進歩の初期においては円柱ピストンが主流であった
が、その後、エンジンが高負荷運転されるようになると
ともに軽合金ピストンが用いられるようになって、大型
低速エンジン用ピストンや超小型エンジン用ピストンを
除いて専ら楕円錐式ピストンが主流となった。しかし、
熱膨張係数の小さい強靭な金属の枠を軽合金ピストンに
鋳込む技術が開発されたり、熱膨張係数の小さい軽合金
の機械的強度向上の改良が進んだり、形状記憶合金を利
用して熱負荷による変形を補正する研究が進められたり
して、常温において断面が真円形をなすエンジン本体用
ピストンが実用化されつつある。また、エンジン補機器
に用いられるピストン類は、大きい熱負荷を受けないの
で、一般に真円柱状に構成されている。本発明は、断面
が真円形をなす、広義のエンジン用ピストンを適用の対
象とするものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 彰 山形県山形市蔵王上野578番地の2 ミク ロン精密 株式会社内 (72)発明者 神保 正美 山形県山形市蔵王上野578番地の2 ミク ロン精密 株式会社内 (72)発明者 羽角 富彦 山形県山形市蔵王上野578番地の2 ミク ロン精密 株式会社内 Fターム(参考) 3C034 AA01 AA13 BB94 CA02 DD02

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンに用いられる円筒状のシリンダ
    ライナの中に嵌合され、軸心方向に往復動して、爆発ガ
    ス圧を直線動に変換し、および/または直線動を流体圧
    に変換する円柱状のピストンの外周面を研削する方法に
    おいて、 相互に嵌合される1個のシリンダライナと1個のピスト
    ンとを「組部品」として研削作業の対象とし、 研削仕上げされたシリンダライナをシリンダブロック内
    に圧入し、もしくはシリンダブロックに相当する治具内
    に収納して保持し、 上記のようにして、完成品に組み込まれているシリンダ
    ライナとほぼ同様の状態となったシリンダライナの内径
    寸法を計測し、 上記のようにして計測されたシリンダライナの内径寸法
    に対して所定のクリアランスを生じるように、ピストン
    の外径寸法を設定し、 ピストン部材の外径寸法が上記の設定寸法となるよう
    に、粗仕上げされたピストン部材の外周面をセンターレ
    ス研削することを特徴とする、エンジン用のピストンを
    研削する方法。
  2. 【請求項2】 前記シリンダライナの内径寸法は、少な
    くとも2箇所で計測し、2箇所間の軸心方向距離と、2
    箇所それぞれの内径寸法とに基づいて、該シリンダライ
    ナ内径のテーパ量を算出し、 計測された2箇所それぞれの内径寸法、もしくは2箇所
    の内径の寸法差、または2箇所の内径寸法の平均値に基
    づいて、前記ピストンの外径寸法および/またはテーパ
    量を設定することを特徴とする、請求項1に記載したエ
    ンジン用のピストンを研削する方法。
  3. 【請求項3】 前記シリンダライナの2箇所の内径寸法
    の計測をエアマイクロによって行なうとともに、 計測結果である2箇所の直径寸法のそれぞれ、もしくは
    直径差と、計測された2箇所の軸心方向距離とを、 電気信号として出力せしめて、ピストン仕上寸法演算回
    路に入力せしめてピストンの外径設定寸法を算出し、 および/または、上記の計測値を可視的にデジタル標示
    もしくはアナログ標示せしめることを特徴とする、請求
    項2に記載したエンジン用のピストンを研削する方法。
  4. 【請求項4】 前記ピストン仕上寸法演算回路によって
    算出されたピストン外径設定寸法に基づき、および/ま
    たは可視的に標示された計測値に基づいて、 センターレス研削機の切り込み駆動機構を制御すること
    を特徴とする、請求項3に記載したエンジン用のピスト
    ンを研削する方法。
  5. 【請求項5】 センターレス研削されたピストン部材を
    エアーブローして、エアマイクロまたはレーザー外径検
    査装置によって仕上寸法の検査を行ない、前記のピスト
    ン外径の設定寸法に比して許容誤差内である否かを判定
    することを特徴とする、請求項1ないし請求項4に記載
    したエンジン用のピストンを研削する方法。
  6. 【請求項6】 前記のシリンダライナの内周面に、円柱
    面以外の精密仕上面が、該円柱面と同心に形成されてお
    り、 かつ、前記のピストンにも円柱面以外の精密仕上面が、
    該円柱面と同心に設けられていて、双方の非円柱面が相
    互に密着する構造になっている場合、 ピストン外周面のセンターレス研削仕上げに先立って、
    予めシリンダライナ側の非円柱面、および、ピストン側
    の非円柱面を研削仕上げしておくことを特徴とする、請
    求項1ないし請求項5の内の何れか一つに記載したエン
    ジン用のピストンを研削する方法。
  7. 【請求項7】 シリンダブロック内に圧入され、もしく
    は治具に収納して保持されたシリンダライナの内径を計
    測する手段と、 算出されたシリンダ内径寸法に基づいて、このシリンダ
    に適合するようなピストンの外径寸法を算出する手段
    と、 研削仕上寸法が上記のピストン外径寸法となるように調
    節する手段を備えたセンターレス研削機との組合せから
    成ることを特徴とする、エンジン用のピストンを研削す
    る装置。
  8. 【請求項8】 前記のシリンダライナの内径を計測する
    手段は、該シリンダライナの長手方向に離れた2箇所で
    測定するようになっており、 かつ、上記2箇所の間の距離と、該2箇所の測定値とに
    基づいて、シリンダライナ内周面のテーパ量を算出する
    演算回路と、 前記2箇所の測定値、および/または、算出されたテー
    パ量に基づいて、当該シリンダライナに嵌合されるピス
    トンの適正な外径寸法および/またはテーパ量を算出す
    る演算回路と、を具備していることを特徴とする、請求
    項7に記載したエンジン用のピストンを研削する装置。
  9. 【請求項9】 前記のシリンダライナの内径を計測する
    手段はエアマイクロであり、 かつ、前記ピストンの外径寸法を算出する手段は、算出
    された外径寸法を電気信号として出力する機能、および
    /または、ピストン外径やテーパ量を算出した演算の要
    素もしくは演算の結果を可視的に表示し、あるいは電気
    的に出力する機能を有するものであることを特徴とす
    る、請求項7もしくは請求項8に記載したエンジン用の
    ピストンを研削する装置。
  10. 【請求項10】 前記の演算回路によって算出されたピ
    ストンの適正な外径寸法および/またはテーパ量に基づ
    いて、前記センターレス研削機の切込送り駆動機構を制
    御する切込送り制御機構が設けられていることを特徴と
    する、請求項9に記載したエンジン用のピストンを研削
    する装置。
  11. 【請求項11】 前記のセンターレス研削機が、研削さ
    れたピストンをエアーブローする手段、 および、エアーブローされたピストンの外径を計測し
    て、前記外径,テーパ量寸法算出手段によって算出され
    たピストン外径,テーパ量と比較し、両者の差が所定の
    許容誤差範囲内であるか否かを判定する手段を具備して
    いることを特徴とする、請求項7ないし請求項10の内
    の何れか一つに記載したエンジン用のピストンを研削す
    る装置。
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