JP2002035176A - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低重心ゴルフクラブのメリットを損なわず
に、上方打点でのミスショットによる不快な振動を抑制
することを可能にしたゴルフクラブヘッドを提供する。 【解決手段】 ヘッド本体１にクラブシャフトを装着す
るホーゼル４を設け、該ヘッド本体１のソール部３に少
なくとも１つのソール用の重量体５を固着したゴルフク
ラブヘッドにおいて、ホーゼル４の上端部にホーゼル用
の重量体６を装着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、低重心化を図った
金属製のゴルフクラブヘッドに関し、更に詳しくは、上
方打点でのミスショットによる不快な振動を抑制するよ
うにしたゴルフクラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ゴルフクラブヘッドにおいてヘ
ッドの重心位置を低くすると、ボールとの衝突位置（打
点位置）がフェース面のスイートスポットより上方とな
り、インパクト時の衝撃によりヘッドが動き、縦方向
（トップ−ソール方向）のギア効果が働くことによっ
て、ボールに加わるバックスピン量が少なくなり、飛距
離が増大することが知られている。そのため、ヘッドの
各部を軽量化し、必要なヘッド質量に対する質量マージ
ンをソール部に集中させることが従来から行われてい
る。

【０００３】このように低重心化したゴルフクラブヘッ
ドによれば、例えば、フェースセンターのように最適な
打点位置で打球したとき、ボールは大きな打ち出し角で
かつバックスピンが少ない理想的な弾道を描き、その結
果として大きな飛距離を得ることができる。

【０００４】しかしながら、フェース面のスイートエリ
アよりも上方の位置で打球した場合には、インパクト時
に手が痺れるような不快な振動が発生し、飛距離も極端
に低下してしまう。不快な振動が発生する原因はインパ
クト時の衝撃でヘッドが大きく振動するためである。特
に低重心化に伴って質量がソール部に集中していると、
ヘッドの上下方向の慣性モーメントが従来品より小さく
なり、即ち、インパクト時の衝撃でヘッドが上下方向に
回転しやすくなってしまうのである。また、低重心化に
よりスイートエリアがフェース面の下側へ移動している
ため、打球位置がスイートエリアから大きく外れる確率
も高くなってしまう。

【０００５】従って、低重心ゴルフクラブは従来クラブ
に比べて大きな飛距離を期待できるものの、一歩間違え
ば、不快な打球感と共に飛距離の大幅な損失を招くとい
う欠点がある。なお、スイートエリアより上方の位置で
打球することは、ティーアップした時や伸びた芝の上に
ボールが浮いた状態になっている時など一般に起こりう
ることであり、特に重心深度が浅いアイアンタイプのゴ
ルフクラブでは上方打点でのミスショットによる欠点が
顕著に現れる。

【０００６】また、ミスショットが生じた際に飛距離が
低下するだけであれば、単にミスショットとして受け入
れられるが、ゴルフプレーでは体験したことがない不快
な振動が発生することによって、手の感覚が麻痺して次
のショットに影響を及ぼしたり、上方打点でのミスショ
ットを恐れるあまりリーディングエッジで打球してしま
う所謂トップと呼ばれるミスが発生しやすくなるという
悪循環を生じ、低重心ゴルフクラブのメリットを打ち消
してしまうのである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低重
心ゴルフクラブのメリットを損なわずに、上方打点での
ミスショットによる不快な振動を抑制することを可能に
したゴルフクラブヘッドを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明のゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体にクラブ
シャフトを装着するホーゼルを設け、該ヘッド本体のソ
ール部に少なくとも１つのソール用の重量体を固着した
ゴルフクラブヘッドにおいて、前記ホーゼルの上端部に
ホーゼル用の重量体を装着したことを特徴とするもので
ある。

【０００９】本発明者は、低重心ゴルフクラブのメリッ
トを損なわずに上方打点でのミスショットによる不快な
振動を抑制する手段について鋭意研究を重ねた結果、ホ
ーゼルの上端部に質量を配分することが、重心の高さに
対する影響を最小限に抑制しがら不快な振動を抑制する
のに最も効果的であることを見い出し、本発明に至った
のである。

【００１０】一般に、ホーゼルの上端部はゴルフクラブ
ヘッドの中でも最も高い位置であるため、この部位に質
量を配分することはヘッドの上下方向の慣性モーメント
を増加させて振動を減少させる上で最も効果的である。
しかも、ホーゼルの上端部はヘッドとシャフトとの境界
部に相当するため、この部位の質量を僅かに増加させる
だけで、シャフトを通じてゴルファーの手に伝わる振動
を最も効果的に減衰させることができる。また、重量体
の質量と配置を異ならせてゴルファーの手に伝わる不快
な振動の抑制効果を試験したところ、同等の振動抑制効
果を得るにあたって、ホーゼルの上端部に重量体を配置
した場合に重心位置に対する影響が最も少ないことが判
った。

【００１１】従って、ホーゼルの上端部にホーゼル用の
重量体を装着することにより、低重心ゴルフクラブのメ
リットを損なわずに、上方打点でのミスショットによる
不快な振動を抑制することが可能になるのである。

【００１２】本発明において、ホーゼル用の重量体を構
成する材料の比重は、ヘッド本体を構成する材料の比重
よりも大きく、より好ましくはヘッド本体を構成する材
料の比重の１．５倍以上にすることが望ましい。また、
ホーゼル用の重量体はパイプ状に成形し、ホーゼルとク
ラブシャフトとの間に介在する細管部と、その外径がホ
ーゼルの内径よりも大きい太管部とを設けることが好ま
しい。このような構造によれば、ホーゼル用の重量体の
細管部をホーゼルとクラブシャフトとの間に強固に固定
しながら、ホーゼル上端部に太管部を配置することで該
上端部に大きな質量を配分することができる。また、太
管部の寸法を変更することで重量調整を行うことも可能
である。

【００１３】本発明は、ヘッド本体をゴルフクラブのア
ドレス状態で接地させた時、ホーゼルの上端部が最も高
い位置となるように設計されたゴルフクラブヘッドに適
用することが好ましい。また、重心深度が浅いアイアン
タイプのゴルフクラブでは上方打点でのミスショットに
よる不快な振動が発生しやすいので、本発明はヘッド本
体のフェース−バック方向の厚さが４０ｍｍ以下であ
り、フェース面を平面から構成したアイアンタイプのゴ
ルフクラブヘッドに適用した場合に顕著な効果を得るこ
とができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１５】図１〜図３は、本発明の実施形態からなる
ゴルフクラブヘッドを示すものである。この実施形態
は、ヘッド本体のフェース−バック方向の厚さが４０ｍ
ｍ以下であり、かつフェース面を平面から構成したアイ
アンタイプのゴルフクラブヘッドである。

【００１６】本実施形態のゴルフクラブヘッドは、中空
構造を有する金属製のヘッド本体１を備えている。ヘッ
ド本体１はドーム状に成形されたクラウン部２と、該ク
ラウン部２の底部を塞ぐソール部３とを有し、クラウン
部２のヒール側に不図示のクラブシャフトを装着するた
めホーゼル４を設けた構成になっている。ヘッド本体１
の各部はチタン又はチタン合金等の軽金属から構成され
ている。

【００１７】ヘッド本体１のソール部３には、少なくと
も１つのソール用の重量体５が固着されている。この重
量体５を構成する材料の比重は、ヘッド本体１を構成す
る材料の比重よりも大きく、その比重の１．５倍以上に
なっている。これらヘッド本体１と重量体５との比重差
が不十分であると、ヘッドの低重心化を効果的に行うこ
とができなくなる。ソール用の重量体５の構成材料とし
ては、タングステンや銅等の高比重金属を用いることが
できる。特に、複数個の重量体５をソール部３の面方向
に沿って分散させて配置すると良い。ソール部３に対す
る重量体５の固着方法は、特に限定されるものではな
く、溶接や圧入等の処理を施せば良い。

【００１８】一方、ホーゼル４の上端部には、パイプ状
に成形されたホーゼル用の重量体６が装着されている。
この重量体６を構成する材料の比重は、ヘッド本体１を
構成する材料の比重よりも大きく、その比重の１．５倍
以上になっている。これらヘッド本体１と重量体６との
比重差が不十分であると、上下方向の慣性モーメントを
効果的に増大させることができなくなる。ホーゼル用の
重量体６の構成材料としては、タングステンや銅等の高
比重金属を用いることができる。

【００１９】上記重量体６は細管部６ａと太管部６ｂと
から構成されている。細管部６ａは外径がホーゼル内径
と同等で内径がシャフト外径と同等である。また、太管
部６ｂは外径がホーゼル内径より大きく内径がシャフト
外径と同等である。このように構成される重量体６は、
細管部６ａをホーゼル４とクラブシャフトとの間に介在
させると共に太管部６ｂをホーゼル上端に位置させるよ
うにホーゼル４に対して組付けられている。

【００２０】ホーゼル４に対する重量体６の装着方法
は、特に限定されるものではなく、溶接や圧入や接着等
の処理を施したり、両者を互いに螺合させても良い。こ
れら手段により、ホーゼル用の重量体６の細管部６ａを
ホーゼル４とクラブシャフトとの間に強固に固定するこ
とが可能である。

【００２１】ホーゼル用の重量体６の重量調整は、材料
の選択のみならず、寸法の変更によっても行うことがで
きる。例えば、太管部６ｂを大きくすることにより、ホ
ーゼル４の上端部の質量配分を任意に増加させることが
可能である。

【００２２】上述したゴルフクラブヘッドによれば、ソ
ール部３に重量体５を固着することで低重心化を図って
いるので、打球時にボールに加わるバックスピン量が少
なくなり、飛距離を増大することが可能である。しか
も、ホーゼル４の上端部に重量体６を装着しているの
で、ミスショットによりフェース面のスイートスポット
より上方の位置で打球した場合であっても、ゴルファー
の手に不快な振動が伝わるのを効果的に抑制することが
できる。また、ホーゼル４の上端部に重量体６を装着し
ても、低重心ゴルフクラブのメリットが損なわれること
はない。

【００２３】

【実施例】図１〜図３に示すようにヘッド本体のソール
部に重量体を固着すると共にホーゼル上端部にも重量体
を装着した本発明ヘッドと、ホーゼル上端部に重量体を
装着していないこと以外は本発明ヘッドと略同じ構成を
有する従来ヘッドをそれぞれ製作した。

【００２４】これらヘッドを装着したゴルフクラブを構
成し、５名のゴルファーＡ〜Ｅにより各人２００球の試
打を行った。そして、ミスショットを除いた平均飛距離
を求めると共に、上方打点でミスショットした時の打球
感を評価し、その結果を表１及び表２に示した。但し、
ミスショットであるか否かの判断はゴルファー自身が行
った。平均飛距離については、従来ヘッドを１００とす
る指数にて示した。この指数値が大きいほど平均飛距離
が大きいことを意味する。また、ミスショット時の打球
感については、５段階で評価し、痺れが殆ど無い場合を
５とし、痺れが酷い場合を１とした。

【００２５】

【表１】

【００２６】

【表２】

【００２７】これら表１及び表２から明らかなように、
本発明ヘッドは低重心化を図った従来ヘッドと同等の飛
距離を確保しながら、上方打点でのミスショット時にお
ける打球感が良好であった。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ヘ
ッド本体にクラブシャフトを装着するホーゼルを設け、
該ヘッド本体のソール部に少なくとも１つのソール用の
重量体を固着したゴルフクラブヘッドにおいて、ホーゼ
ルの上端部にホーゼル用の重量体を装着したから、低重
心ゴルフクラブのメリットを損なわずに、上方打点での
ミスショットによる不快な振動を抑制することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態からなるゴルフクラブヘッド
を示す断面図である。

【図２】本発明の実施形態からなるゴルフクラブヘッド
を示す底面図である。

【図３】図２のＸ−Ｘ矢視断面図である。

【符号の説明】

１ ヘッド本体 ２ クラウン部 ３ ソール部 ４ ホーゼル ５ ソール用の重量体 ６ ホーゼル用の重量体 ６ａ 細管部 ６ｂ 太管部

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッド本体にクラブシャフトを装着する
   ホーゼルを設け、該ヘッド本体のソール部に少なくとも
   １つのソール用の重量体を固着したゴルフクラブヘッド
   において、前記ホーゼルの上端部にホーゼル用の重量体
   を装着したゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】 前記ホーゼル用の重量体を構成する材料
   の比重を、前記ヘッド本体を構成する材料の比重よりも
   大きくした請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
3. 【請求項３】 前記ホーゼル用の重量体を構成する材料
   の比重を、前記ヘッド本体を構成する材料の比重の１．
   ５倍以上にした請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
4. 【請求項４】 前記ホーゼル用の重量体をパイプ状に成
   形し、前記ホーゼルと前記クラブシャフトとの間に介在
   する細管部と、その外径が前記ホーゼルの内径よりも大
   きい太管部とを設けた請求項１乃至請求項３のいずれか
   に記載のゴルフクラブヘッド。
5. 【請求項５】 前記ヘッド本体をゴルフクラブのアドレ
   ス状態で接地させた時、前記ホーゼルの上端部が最も高
   い位置となる請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の
   ゴルフクラブヘッド。
6. 【請求項６】 前記ヘッド本体のフェース−バック方向
   の厚さが４０ｍｍ以下であり、フェース面を平面から構
   成した請求項１乃至請求項５のいずれかに記載のゴルフ
   クラブヘッド。