JP2002030933A - 空冷式エンジン - Google Patents

空冷式エンジン

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JP2002030933A
JP2002030933A JP2000217250A JP2000217250A JP2002030933A JP 2002030933 A JP2002030933 A JP 2002030933A JP 2000217250 A JP2000217250 A JP 2000217250A JP 2000217250 A JP2000217250 A JP 2000217250A JP 2002030933 A JP2002030933 A JP 2002030933A
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timing transmission
chamber
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慶太 伊藤
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隆夫 西田
Tetsuya Arai
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    • F02B63/02Adaptations of engines for driving pumps, hand-held tools or electric generators; Portable combinations of engines with engine-driven devices for hand-held tools
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン本体及び気化器間に遮熱兼導風板を
配設した空冷式エンジンにおいて,遮熱兼導風板を他部
材と一体化することにより,部品点数及び組立工数の削
減を図る。 【解決手段】 エンジン本体1と,そのの一側に配設さ
れるタイミング伝動装置35との間に,該装置35を収
容してエンジン本体1に固着されるタイミング伝動ケー
ス36を配置し,このタイミング伝動ケース36に遮熱
兼導風板102を一体に連設して,これらタイミング伝
動ケース36及び遮熱兼導風板102を一部品に構成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,外端に冷却ファン
を付設したクランク軸及びカム軸を支持するエンジン本
体と,このエンジン本体に接続される気化器との間に,
その間の遮熱を行うと共に冷却ファンからの冷却風を誘
導する遮熱兼導風板を配設した,空冷式エンジンに関す
る。
【0002】
【従来の技術】かゝるエンジンは,例えば実公平5−1
9547号公報に開示されているように,既に知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のかゝる空冷式エ
ンジンでは,遮熱兼導風板の支持のために,それを単独
で複数のボルトをもってエンジン本体に固着しているの
で,部品点数及び組立工数が多く,これがコスト低減の
妨げとなっている。
【0004】本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたも
ので,遮熱兼導風板を他部材と一体化することにより,
部品点数及び組立工数を削減させ,コストの低減に寄与
し得る前記空冷式エンジンを提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,本発明は,外端に冷却ファンを付設したクランク軸
及びカム軸を支持するエンジン本体と,このエンジン本
体に接続される気化器との間に,その間の遮熱を行うと
共に冷却ファンからの冷却風を誘導する遮熱兼導風板を
配設した,空冷式エンジンにおいて,エンジン本体と,
その一側に配設されてクランク軸及びカム軸間を連結す
るタイミング伝動装置との間に,そのタイミング伝動装
置を収容してエンジン本体に固着されるタイミング伝動
ケースを配置し,このタイミング伝動ケースに前記遮熱
兼導風板を一体に連設して,これらタイミング伝動ケー
ス及び遮熱兼導風板を一部品に構成したことを第1の特
徴とする。
【0006】この第1の特徴によれば,遮熱兼導風板
は,エンジン本体に固着されたタイミング伝動ケースと
一体化されて一部品となっているので,遮熱兼導風板は
タイミング伝動ケースにより支持されることになり,遮
熱兼導風板自体をエンジン本体に固着するボルトを省略
したり,或いはそのボルトの使用本数を大幅に減らすこ
とができる。したがってタイミング伝動ケース及び遮熱
兼導風板の一体化と相俟って,部品点数及び組立工数の
削減を図り,コストの低減に寄与することができる。
【0007】また本発明は,第1の特徴に加えて,前記
タイミング伝動ケースには,エンジン本体の一側に配設
されて内部でオイルミストを生成するオイルタンクとエ
ンジン本体内の被潤滑部との間で前記オイルミストの授
受を行うオイル送り導管及びオイル戻し導管を形成した
ことを第2の特徴とする。
【0008】この第2の特徴によれば,タイミング伝動
ケースとオイル送り導管及びオイル戻し導管との一体化
により,部品点数及び組立工数の削減を更に図り,コス
トの低減に大いに寄与することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を,添付図面
に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0010】図1は本発明のハンドヘルド型四サイクル
エンジンの一使用例を示す斜視図,図2は上記四サイク
ルエンジンの縦断側面図,図3は図2の要部拡大図,図
4は図3のカム軸周りの拡大縦断面図,図5は図3の5
−5線断面図,図6は図3の6−6線断面図,図7は図
6の7−7線断面図,図8は図6の8−8線断面図,図
9は棒状シール部材の正面図,図10は図9の10矢視
図,図11は図5の要部拡大図,図12は図3の12−
12線断面図,図13は図12の13−13線断面図,
図14は図11の14−14線断面図,図15は図14
の15−15線断面図,図16はヘッドカバーの底面
図,図17はエンジンの潤滑系統図,図18はエンジン
の種々の運転姿勢におけるシリンダヘッドでの溜まりオ
イルの吸い上げ作用説明図である。
【0011】図1に示すように,ハンドヘルド型四サイ
クルエンジンEは,例えば動力トリマTの動力源とし
て,その駆動部に取付けられる。動力トリマTは,その
作業状態によりカッタCを色々の方向に向けて使用され
るので,その都度エンジンEも大きく傾けられ,あるい
は逆さにされ,その運転姿勢は一定しない。
【0012】先ず,このハンドヘルド型四サイクルエン
ジンEの全体的構成について,図2〜図5により説明す
る。
【0013】図2,図3及び図5に示すように,上記ハ
ンドヘルド型四サイクルエンジンEのエンジン本体1に
は,その前後に気化器2及び排気マフラ3がそれぞれ取
付けられ,気化器2の吸気道入口にはエアクリーナ4が
装着される。またエンジン本体1の下面には合成樹脂製
の燃料タンク5が取付けられる。
【0014】エンジン本体1は,クランク室6aを有す
るクランクケース6,一つのシリンダボア7aを有する
シリンダブロック7,並びに燃焼室8a及び該室8aに
開口する吸,排気ポート9,10を有するシリンダヘッ
ド8からなっており,シリンダブロック7とシリンダヘ
ッド8とは一体に鋳造され,そのシリンダブロック7の
下端に,それと別個に鋳造されたクランクケース6がボ
ルトにより接合される。このクランクケース6は,その
中央で左右に分割された第1及び第2ケース半体6L,
6Rで構成され,両ケース半体6L,6Rはボルト12
で相互に接合される。シリンダブロック7及びシリンダ
ヘッド8に外周には多数の冷却フィン38が形成され
る。
【0015】クランク室6aに収容されるクランク軸1
3は,第1及び第2ケース半体6L,6Rにボールベア
リング14,14′を介して回転自在に支承されと共
に,シリンダボア7aに嵌装されたピストン15にコン
ロッド16を介して連接される。また第1及び第2ケー
ス半体6L,6Rには,上記ベアリング14,14′外
側に隣接してクランク軸13の外周面に密接するオイル
シール17,17′が装着される。
【0016】図3,図6〜図8に示すように,シリンダ
ブロック7と第1及び第2ケース半体6L,6Rとの接
合面間にはガスケット85が介裝される。また第1及び
第2ケース半体6L,6R間には棒状シール部材86が
次のように介裝される。即ち,第1及び第2ケース半体
6L,6Rの接合面の一方には,その内周面に沿ってU
字状のシール溝87が形成され,このシール溝87の,
シリンダブロック7側の各端部には,両ケース半体6
L,6Rの接合面に沿って拡大凹部87aが連設され
る。一方,シール部材86はゴム等の弾性材からなるも
ので,棒状部は断面円形であるが,その両端には,それ
ぞれ両側面側に直角に張り出した角形断面の拡大端部8
6aが形成される。このシール部材86は,棒状部がU
字状に曲げられながら前記シール溝87に嵌め込まれ,
各拡大端部86aは前記拡大凹部87aに充填される。
この場合,シール溝87の中間部内側面に,棒状部の中
間部外周面に弾力的に接する一対の小突起88を形成す
ることは,シール部材86の中間部のシール溝87から
の浮き上がりを防ぐ上に有効である。
【0017】而して,第1及び第2ケース半体6L,6
Rを相互に接合したとき,シール部材86の棒状部及び
拡大端部86aの外側面が対向する相手の接合面に密着
し,また両ケース半体6L,6Rの上面にシリンダブロ
ック7をガスケット85を挟んで接合したとき,各拡大
端部86aの上面がガスケット85に密着する。こうし
て,両ケース半体6L,6R及びシリンダブロック7の
互いにT字状に交差する接合面は,1個のシール部材8
6と1枚のガスケット85によってシールされる。特
に,各一対の拡大端部86aと拡大凹部87aとの嵌合
により,特別な熟練を要することなく,該シール部材8
6全体を定位置に正確に保持することができ,しかも該
シール部材86の棒状部及び拡大端部86aの締め代
は,これを収めるシール溝87及び拡大凹部87aの深
さによって決められ,各結合面の接合圧力のばらつきに
よっては殆ど影響されないから,エンジン本体1の組立
性の向上を図りゝ,交差する接合面のシールを確実に行
うことができる。
【0018】再び図4及び図5において,シリンダヘッ
ド8には,吸気ポート9及び排気ポート10をそれぞれ
開閉する吸気弁18及び排気弁19がシリンダボア7a
の軸線と平行に設けられ,また点火栓20が,その電極
を燃焼室8aの中心部に近接させて螺着される。
【0019】吸気弁18及び排気弁19は,シリンダヘ
ッド8に形成された動弁カム室21において弁ばね2
2,23により閉弁方向に付勢される。また動弁カム室
21において,吸気弁18及び排気弁19の頭部には,
シリンダヘッド8に上下揺動自在に軸支されたロッカア
ーム24,25が重ねられ,これらロッカアーム24,
25を介して吸気弁18及び排気弁19を開閉するカム
軸26が,クランク軸13と平行にして,動弁カム室2
1の左右両側壁ボールベアリング27,27′を介して
回動自在に支承される。一方のボールベアリング27が
装着される動弁カム室21の一側壁は,シリンダヘッド
8と一体に成形されており,この一側壁には,ベアリン
グ27の外側に隣接してカム軸26の外周面に密接する
オイルシール28が装着される。動弁カム室21の他側
壁には,該室21へのカム軸26の挿入を可能にする挿
入口29が設けられ,カム軸26の挿入後,この挿入口
29を閉鎖するベアリングキャップ30に他方のボール
ベアリング27′が装着される。このベアリングキャッ
プ30は,シール部材31を介して挿入口29に嵌合さ
れた上,シリンダヘッド8にボルトで結合される。
【0020】図4,図11及び図16に明示するよう
に,シリンダヘッド8の上端面には,動弁カム室21の
開放面を閉じるヘッドカバー71が接合される。
【0021】シリンダヘッド8の上端面11は,カム軸
26側からロッカアーム24,25の揺動支点側へ下る
ように傾斜した斜面11cと,この斜面11cの両端に
連なる,互いに高低差をもって平行する一対の平坦面1
1a,11bとで構成され,ヘッドカバー71には,シ
リンダヘッド8のこのような上端面11に重なるフラン
ジ部71aと,動弁カム室21の内周面に嵌合する嵌合
壁部71bとが形成される。この嵌合壁部71bの外周
面には環状のシール溝90が設けられており,これに動
弁カム室21の内周面に密接するシール部材としてのO
リング72が装着される。そしてフランジ部71aは,
前記一対の平坦面11a,11bに対応する部分で平行
する一対のボルト91,91によってシリンダヘッド8
に固着される。
【0022】このように,ヘッドカバー71の嵌合壁部
71bをOリング72を介して動弁カム室21の内周面
に嵌合すると,ボルト91の軸力に関係なくOリング7
2の各部に均一な締め代を付与することができて,シリ
ンダヘッド8及びヘッドカバー71間の良好なシール状
態を確保することができる。しかもヘッドカバー71の
フランジ部71aをシリンダヘッド8に固着するボルト
91は,Oリング72の締め代に関係せず,単にシリン
ダヘッド8への固着を果たすのみであるから,その使用
本数を大幅に少なくすることができる。特に,ヘッドカ
バー71のフランジ部71aを,前記一対の平坦面11
a,11bに対応する部分で平行する一対のボルト9
1,91によってシリンダヘッド8に固着すれば,最少
のボルトで簡単,確実にヘッドカバー71を固着するこ
とができる。
【0023】カム軸26は,前記オイルシール28が位
置する側でシリンダヘッド8の外側方へ一端部を突出さ
せている。これと同じ側でクランク軸13も一端部をク
ランクケース6の外側方に突出させており,その一端部
に歯付きの駆動プーリ32が固着され,これより歯数が
2倍の歯付きの被動プーリ33が前記カム軸26の一端
部に固着される。そして,両プーリ32,33に歯付き
のタイミングベルト34が巻掛けられ,クランク軸13
がカム軸26を2分の1の減速比をもって駆動し得るよ
うになっている。上記カム軸26及びタイミング伝動装
置35によって動弁機構53が構成される。
【0024】こうして,エンジンEはOHC型に構成さ
れ,またタイミング伝動装置35は,エンジン本体1外
側に配置される乾式とされる。
【0025】図3及び図12に示すように,エンジン本
体1とタイミング伝動装置35との間には,エンジン本
体1にボルト37で固定される合成樹脂製のタイミング
伝動ケース36が配置され,エンジン本体1の放射熱の
タイミング伝動装置35への影響を避けるようになって
いる。
【0026】またエンジン本体1には,タイミング伝動
装置35に一部の外側面を覆うように配置される合成樹
脂製のオイルタンク40がボルト41により固着され,
さらにこのオイルタンク40の外側面にリコイル式スタ
ータ42(図2参照)が取付けられる。
【0027】再び図2において,クランク軸13の,タ
イミング伝動装置35と反対側の他端部もクランクケー
ス6の外側方に突出しており,その一端部にはフライホ
イール43がナット44で固着される。このフライホイ
ール43は,冷却ファンを兼ねるべく内側面に多数の冷
却羽根45,45…を一体に備えている。またフライホ
イール43の外側面には,複数の取付けボス46(図2
には,そのうちの1個を示す)が形成されており,この
各取付けボス46に遠心シュー47が揺動自在に軸支さ
れる。この遠心シュー47は,後述する駆動軸50に固
着されるクラッチドラム48と共に遠心クラッチ48を
構成するもので,クランク軸13の回転数が所定値を超
えると,遠心シュー47が,それ自体の遠心力によりク
ラッチドラム48の内周壁に圧接して,クランク軸13
の出力トルクを駆動軸50に伝達するようになる。この
遠心クラッチ48よりも,フライホイール43は大径に
なっている。
【0028】エンジン本体1及び付属機器を覆うエンジ
ンカバー51は,タイミング伝動装置35の部分で,フ
ライホイール43側の第1カバー半体51aと,スター
タ42側の第2カバー半体51bとの分割され,それぞ
れエンジン本体1に固着される。第1カバー半体51a
には,クランク軸6と同軸に並ぶ円錐台状の軸受ホルダ
75が固着され,この軸受ホルダ75は,前記カッタC
を回転駆動するベアリング59を介して支持するもので
あり,この軸受ホルダ75に空気取り入れ口52が設け
られ,冷却羽根45,45…の回転に伴い外気をエンジ
ンカバー51内に取り入れるようになっている。またエ
ンジンカバー51及び軸受ホルダ75には,燃料タンク
5の下面を覆う台座54が固着される。
【0029】第2カバー半体51bは,前記タイミング
伝動ケース36と協働して,タイミング伝動装置35を
収容するタイミング伝動室92を画成する。
【0030】而して,クランク軸13及びカム軸26間
を連動させるタイミング伝動装置35が乾式に構成され
て,エンジン本体1の外側に配設されるので,エンジン
本体1の側壁には,該装置35を収容する室を特別に設
ける必要がなくなり,したがってエンジン本体1の薄肉
化及びコンパクト化を図り,エンジンE全体の大幅な軽
量化を達成することができる。
【0031】しかも,シリンダブロック7を間に置い
て,クランク軸13の両端部にタイミング伝動装置35
と遠心クラッチ48の遠心シュー47とが連結されるの
で,クランク軸13の両端部での重量バランスが良好
で,エンジンEの重心をクランク軸13の中央部に極力
近づけることができ,軽量化と相俟って,エンジンEの
作業性を向上させることができる。のみならず,エンジ
ンEの作動中,タイミング伝動装置35及び駆動軸50
による負荷は,クランク軸13の両端部に分散して作用
することになるため,クランク軸13及びそれを支持す
るベアリング14,14′への荷重の集中を回避して,
それらの耐久性をも向上させることができる。
【0032】またエンジン本体1と遠心シュー47との
間において,遠心シュー47より大径で冷却羽根45を
有するフライホイール43がクランク軸13に固着され
るので,フライホイール43によるエンジンEの大型化
を極力回避しながら,冷却羽根45の回転により,遠心
クラッチ48に邪魔されることなく,空気取り入れ口5
2から外気を吸入してシリンダブロック7及びシリンダ
ヘッド8周りに的確に供給でき,それらの冷却性を高め
ることができる。
【0033】さらにエンジン本体1にはオイルタンク4
0がタイミング伝動装置35の外側に隣接して取付けら
れるので,オイルタンク40がタイミング伝動装置35
の少なくとも一部を覆うことになり,該伝動装置35の
他の部分を覆う第2カバー半体51bと協働して,該伝
動装置35を保護することができる。しかもこのオイル
タンク40とフライホイール43との,エンジン本体1
を間に置いた対向配置により,エンジンEの重心をクラ
ンク軸13の中心部により近づけることができる。
【0034】図5,図14及び図15に示すように,シ
リンダヘッド8の一側面には,前記吸気ポート9有する
吸気管94が一体に突設されており,この吸気管94
に,ゴム等の弾性材からなる吸気パイプ95を介して前
記気化器2が接続される。吸気パイプ95の一端部は,
吸気管94の外周に嵌合され,更にその外周に締め付け
環96が嵌合され,この締め付け環96には複数条の環
状かしめ溝96aが形成される。こうして吸気パイプ9
5は吸気管94に接続される。吸気パイプ95の他端に
はフランジ95aが形成されており,このフランジ95
aを挟むようにして,支持板97と,断熱材からなるイ
ンシュレータ98とが重ねて配置される。支持板97に
は,一対の連結ボルト99の頭部が溶接されており,こ
れら連結ボルト99は,インシュレータ98,気化器2
及び前記エアクリーナ4のケース4a底壁を貫通する一
連のボルト孔100に挿通され,それらの先端にナット
101を螺合,緊締することにより,支持板102に吸
気パイプ95,インシュレータ98,気化器2及びエア
クリーナ4が取り付けられる。
【0035】上記支持板97には,上方に延びるステー
97aが一体に形成されており,このステー97aがシ
リンダヘッド8にボルト109で固着される。
【0036】エンジン本体1及び気化器2間には遮熱兼
導風板102が配設される。この遮熱兼導風板102は
合成樹脂製であって,エンジン本体1にボルト37で固
着される合成樹脂製の前記タイミング伝動ケース36の
一側に一体に連設されたものであり,前記吸気パイプ9
5が通過する開口部103を有すると共に,下端部が前
記フライホイール,即ち冷却ファン43の近傍まで延び
ている。こうして,タイミング伝動ケース36及び遮熱
兼導風板102は,合成樹脂製の一部品として構成され
る。
【0037】而して,遮熱兼導風板102は,エンジン
本体1の放射熱を遮断して気化器2への熱影響を防ぐと
共に,冷却ファン43から送られた冷却風をエンジン本
体1,特にシリンダヘッド8に誘導して,その効果的な
冷却に寄与する。しかも,この遮熱兼導風板102は,
エンジン本体1に固着されたタイミング伝動ケース36
と一体化されて合成樹脂製の一部品となっているので,
遮熱兼導風板102はタイミング伝動ケース36により
支持されることになり,図示例のように遮熱兼導風板1
02自体をエンジン本体1に固着するボルトを省略した
り,或いはそのボルトの使用本数を大幅に減らすことが
できる。その結果,タイミング伝動ケース36及び遮熱
兼導風板102の一体化と相俟って,部品点数組立工数
の削減を図り,コストの低減の大いに寄与することがで
きる。
【0038】次に,図3,図13,図16〜図18によ
り上記エンジンEの潤滑系について説明する。
【0039】図3に示すように,クランク軸13の一端
部は,オイルタンク40の内外両側壁に装着されたオイ
ルシール39,39′に密接しながらオイルタンク40
を貫通するように配置されており,オイルタンク40の
内部とクランク室6aとの間を連通する通孔55がクラ
ンク軸13に設けられる。オイルタンク40には潤滑用
オイルOが貯留されれており,その貯留量は,上記通孔
55のオイルタンク40内への開口端をエンジンEの如
何なる運転姿勢でも常にオイルOの液面上に露出させる
ように設定される。
【0040】オイルタンク40の外側壁には,クランク
軸13を中心として該タンク40内に凹入した椀状部4
0aが形成される。このオイルタンク40内では,クラ
ンク軸13にオイルスリンガ56がクランク軸13にナ
ット57で固着される。オイルスリンガ56は,クラン
ク軸13に嵌着される中心部から互いに半径方向反対側
へ延出する2枚のブレード56a,56bを備え,一方
のブレード56aは,中間部からエンジン本体1側へ屈
曲し,他方のブレード56bは中間部から前記椀状部4
0aの湾曲面に沿うように屈曲しており,クランク軸1
3によりオイルイルスリンガ56が回転されると,エン
ジンEの如何なる運転姿勢でも,2枚のブレード56
a,56bの少なくとも何れか一方が,オイルタンク4
0内にオイルOを飛散させ,オイルミストを生成するよ
うになっている。
【0041】特に,オイルタンク40の外側壁に椀状部
40aを形成することにより,オイルタンク40のデッ
ドスペースを削減することができ,しかも椀状部40a
を下向きとしたエンジンEの横転姿勢でも,椀状部40
a周りに存在するオイルをブレード56bによって攪
拌,飛散させることができる。こうしたことは,効率的
なオイルミストの生成を確保しながら,オイルタンク4
0内のオイルOの無効貯留量の減少を可能にすることを
意味する。
【0042】また椀状部40aの中心部には,これを貫
通するクランク軸13の外周面に密接する前記オイルシ
ール39が取り付けられ,椀状部40a内には,クラン
ク軸13の先端に固着されて前記リコイルスタータ42
によって駆動される被動部材84が配置される。
【0043】こうすることにより,椀状部40a内のス
ペースが被動部材84の配置に有効利用されると共に,
リコイルスタータ42のオイルタンク40への近接配置
が可能となり,エンジンE全体のコンパクト化に寄与す
ることができる。
【0044】図3,図12及び図17において,クラン
ク室6aはオイル送り導管60を介して動弁カム室21
に接続され,そのオイル送り導管60には,クランク室
6aから動弁カム室21側への一方向のみの流れを許容
する一方向弁61が介裝される。オイル送り導管60は
前記タイミング伝動ケース36に,その一側縁に沿って
一体に形成され,このオイル送り導管60の下端部は弁
室62に形成される。タイミング伝動ケース36には,
弁室62からタイミング伝動ケース36の裏側に突出す
る入口管63が一体に形成され,この入口管63は,ク
ランク室6aに連通するように,クランクケース6下部
の接続孔64にシール部材65を介して嵌合される。弁
室62には,入口管63から弁室62への一方向への流
れを許容させるべく,前記一方向弁61が配設される。
この一方向弁61は,図示例の場合,リード弁からなっ
ている。
【0045】またタイミング伝動ケース36には,オイ
ル送り導管60の上端からタイミング伝動ケース36の
裏側に突出する出口管66が一体に形成され,この出口
管66は,動弁カム室21に連通するように,シリンダ
ヘッド8側部の接続孔67に嵌合される。
【0046】ヘッドカバー71は,前記フランジ部71
aを有する合成樹脂製のカバー外側板105と,前記嵌
合壁部71bを有する合成樹脂製のカバー内側板106
とを相互に摩擦溶接して構成される。これらカバー外側
及び内側板105,106は,その間に吸い上げ室74
を画成するように形成される吸い上げ室74は,動弁カ
ム室21の上面に沿った偏平な形状を成しており,その
底壁,即ち内側板105の四隅に4つのオリフィス7
3,73…が穿設される。またその底壁には,その中央
部でカム軸26の軸線と直交する方向に間隔を置いて並
んで動弁カム室21内に突出する長短2本の吸い上げ管
74,75が一体に形成されており,これらにオリフィ
ス73,73が設けられる。
【0047】図12,図13及び図17に示すように,
吸い上げ室74は,他方において,オイル戻し導管78
を介してオイルタンク40内と連通される。オイル戻し
導管78はタイミング伝動ケース36に,オイル送り導
管60と反対側の他側縁に沿って一体に形成される。タ
イミング伝動ケース36には,オイル戻し導管78の上
端からタイミング伝動ケース36の裏側に突出する入口
管78が一体に形成されており,この入口管78は,吸
い上げ室74と連通するように,ヘッドカバー71に形
成された出口管80にコネクタ81を介して接続され
る。
【0048】またタイミング伝動ケース36には,オイ
ル戻し導管78の下端からタイミング伝動ケース36の
裏側に突出する出口管82が一体に形成されており,こ
の出口管82は,オイルタンク40内に連通するよう
に,オイルタンク40に設けられた戻し孔83に嵌合さ
れる。戻し孔83の開口端は,エンジンEの如何なる運
転姿勢でもオイルタンク40内のオイルの液面上に露出
するように,オイルタンク40内の中心部近傍に配置さ
れる。
【0049】図4に明示するように,カム軸26には,
ブリーザ通路68が設けられる。このブリーザ通路68
は,カム軸26の軸方向中間部から動弁カム室21に向
かって開口する,入口としての短い横孔68aと,この
横孔68aに連通すると共に,カム軸26の中心部を通
って,ベアリングキャップ30側の端面に開口する長い
縦孔68bとからなっている。ベアリングキャップ30
には,上記縦孔68bの出口と連通する拡大したブリー
ザ室69と,このブリーザ室69に連通してベアリング
キャップ30外側面に突出するパイプ接続管107とが
形成されており,そのパイプ接続管107に接続される
ブリーザパイプ70を介してブリーザ室69は前記エア
クリーナ4内に連通される。
【0050】ベアリングキャップ30に保持されるボー
ルベアリング27′は,ブリーザ室69に臨む側にシー
ル部材108を4えるシール付きに構成される。したが
って,動弁カム室21内のオイルミストは,ボールベア
リング27′を潤滑し得るが,該ベアリング27′を通
過してブリーザ室69に到達することはできない。
【0051】而して,エンジンEの運転中,クランク軸
13の回転によりオイルタンク40においてオイルスリ
ンガ56が潤滑油Oを飛散させてオイルミストを生成す
ると,ピストン15の上昇運動によりクランク室23が
減圧したとき,そのオイルミストは通孔55を通してク
ランク室6aに吸入され,クランク軸13ピストン15
周りを潤滑する。次いでピストン15の下降運動により
クランク室6aが昇圧すると,一方向弁61の開弁によ
り上記オイルミストはクランク室6aで発生したブロー
バイガスと共にオイル送り導管60を昇って動弁カム室
21に供給され,カム軸26やロッカアーム24,25
等を潤滑する。
【0052】動弁カム室21内のオイルミスト及びブロ
ーバイガスが回転中のカム軸26のブリーザ通路68の
横孔68aに流入すると,この回転する横孔68aにお
いて遠心力の作用により気液分離され,オイル分は動弁
カム室21に戻され,ブローバイガスは,ブリーザ通路
68の横孔68aから縦孔68b,ブリーザ室69,ブ
リーザパイプ70及びエアクリーナ4を順次経由してエ
ンジンEに吸入される。
【0053】上記ブリーザ室69と,ブリーザパイプ7
0を接続するパイプ接続管107とは,前述のように,
カム軸26支持のためのボールベアリング27′を保持
するベアリングキャップ30に形成されるので,ベアリ
ングキャップ30がブローバイガスをブリーザパイプに
受け渡すガス受け渡し部材を兼ねることになり,構造の
簡素化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0054】ところで,動弁カム室21は,上記のよう
にブリーザ通路68,ブリーザ室69及びブリーザパイ
プ70を介してエアクリーナ4内に連通しているので,
動弁カム室21の圧力は,大気圧もしくはそれより若干
低圧に保たれる。
【0055】一方,クランク室6aは,その圧力脈動の
正圧成分のみを一方向弁61から吐出することから平均
的に負圧状態となり,その負圧は,通孔55を介してオ
イルタンク40に伝達し,更にオイル戻し導管78を介
して吸い上げ室74に伝達するので,吸い上げ室74
は,動弁カム室21よりも低圧,オイルタンク40内は
吸い上げ室74よりも低圧となる。その結果,圧力の移
動が動弁カム室21から吸い上げ管75,76及びオリ
フィス73,73…を通して吸い上げ室74へ,更にオ
イル戻し導管78を通してオイルタンク40へと生ずる
ので,それに伴い動弁カム室21内のオイルミストや,
動弁カム室21内で液化して溜まったオイルは吸い上げ
管75,76及びオリフィス73,73…を通して吸い
上げ室74に吸い上げられ,そしてオイル戻し導管78
を下ってオイルタンク40に還流する。
【0056】その際,前述のように,吸い上げ室74の
底壁の四隅に4つのオリフィス73,73…が穿設さ
れ,またその底壁の中央部から動弁カム室21に突出し
て,カム軸26の軸線と直交する方向に間隔を置いて並
ぶ長短2本の吸い上げ管74,75にオリフィス73,
73が設けられているので,図18に示すように,エン
ジンEの正立状態(A)は勿論,左方傾け状態(B),
右方傾け状態(C),左方横転状態(D),右方横転状
態(E),倒立状態(F)など,如何なる運転姿勢で
も,動弁カム室21に溜まったオイルには,6つのオリ
フィス73,73…の何れかが浸かることになり,その
オイルを吸い上げ室74に吸い上げることができる。
【0057】かくして,オイルタンク40内でミスト化
されたオイルを,クランク室6aの圧力脈動と,一方向
弁61の機能を利用して,OHC型四サイクルエンジン
Eのクランク室6a及び動弁カム室21に供給し,それ
をオイルタンク40に還流させるので,エンジンEの如
何なる運転姿勢においても,そのエンジン内部をオイル
ミストにより確実に潤滑することができ,しかもそのオ
イルミストの循環のための専用のオイルポンプは不要で
あり,構造の簡素化を図ることができる。
【0058】また合成樹脂製のオイルタンク40のみな
らず,クランク室6a及び動弁カム室21間を結ぶオイ
ル送り導管60,並びに吸い上げ室74及びオイルタン
ク40間を結ぶオイル戻し導管78は,エンジン本体1
外に配設されるので,エンジン本体1の薄肉化及びコン
パクト化を何ら妨げず,エンジンEの軽量化に大いに寄
与することができる。特に,外部配置のオイル送り導管
60及びオイル戻し導管78は,エンジン本体1からの
熱の影響を受け難くなるので,潤滑用オイルOの過熱を
回避することができる。またオイル送り導管60及びオ
イル戻し導管78とタイミング伝動ケース36との一体
化により,部品点数の削減と組立性の向上に寄与し得
る。
【0059】本発明は,上記実施例に限定されるもので
はなく,その要旨の範囲を逸脱することなく種々の設計
変更が可能である。
【0060】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれ
ば,外端に冷却ファンを付設したクランク軸及びカム軸
を支持するエンジン本体と,このエンジン本体に接続さ
れる気化器との間に,その間の遮熱を行うと共に冷却フ
ァンからの冷却風を誘導する遮熱兼導風板を配設した,
空冷式エンジンにおいて,エンジン本体と,その一側に
配設されてクランク軸及びカム軸間を連結するタイミン
グ伝動装置との間に,そのタイミング伝動装置を収容し
てエンジン本体に固着されるタイミング伝動ケースを配
置し,このタイミング伝動ケースに前記遮熱兼導風板を
一体に連設して,これらタイミング伝動ケース及び遮熱
兼導風板を一部品に構成したので,遮熱兼導風板はタイ
ミング伝動ケースにより支持されることになり,遮熱兼
導風板自体をエンジン本体に固着するボルトを省略した
り,或いはそのボルトの使用本数を大幅に減らすことが
でき,したがってタイミング伝動ケース及び遮熱兼導風
板の一体化と相俟って,部品点数及び組立工数の削減を
図り,コストの低減に寄与することができる。
【0061】また本発明の第2の特徴によれば,前記タ
イミング伝動ケースには,エンジン本体の一側に配設さ
れて内部でオイルミストを生成するオイルタンクとエン
ジン本体内の被潤滑部との間で前記オイルミストの授受
を行うオイル送り導管及びオイル戻し導管を形成したの
で,タイミング伝動ケースとオイル送り導管及びオイル
戻し導管との一体化により,部品点数及び組立工数の削
減を更に図り,コストの低減に大いに寄与することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハンドヘルド型四サイクルエンジンの
一使用例を示す斜視図。
【図2】上記四サイクルエンジンの縦断側面図。
【図3】図2の要部拡大図。
【図4】図3のカム軸周りの拡大縦断面図。
【図5】図3の5−5線断面図。
【図6】図3の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線断面図。
【図8】図6の8−8線断面図。
【図9】棒状シール部材の正面図。
【図10】図9の10矢視図。
【図11】図5の要部拡大図。
【図12】図3の12−12線断面図。
【図13】図12の13−13線断面図。
【図14】図11の14−14線断面図。
【図15】図14の15−15線断面図。
【図16】ヘッドカバーの底面図。
【図17】エンジンの潤滑系統図。
【図18】エンジンの種々の運転姿勢におけるシリンダ
ヘッドでの溜まりオイルの吸い上げ作用説明図。
【符号の説明】
E・・・・・エンジン 1・・・・・エンジン本体 13・・・・クランク軸 26・・・・カム軸 35・・・・タイミング伝動装置 36・・・・タイミング伝動ケース 40・・・・オイルタンク 43・・・・冷却ファン(フライホイール) 60・・・・オイル送り導管 78・・・・オイル戻し導管 102・・・遮熱兼導風板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外端に冷却ファン(43)を付設したク
    ランク軸(13)及びカム軸(26)を支持するエンジ
    ン本体(1)と,このエンジン本体(1)に接続される
    気化器(2)との間に,その間の遮熱を行うと共に冷却
    ファン(43)からの冷却風を誘導する遮熱兼導風板
    (102)を配設した,空冷式エンジンにおいて,エン
    ジン本体(1)と,その一側に配設されてクランク軸
    (13)及びカム軸(26)間を連結するタイミング伝
    動装置(35)との間に,そのタイミング伝動装置(3
    5)を収容してエンジン本体(1)に固着されるタイミ
    ング伝動ケース(36)を配置し,このタイミング伝動
    ケース(36)に前記遮熱兼導風板(102)を一体に
    連設して,これらタイミング伝動ケース(36)及び遮
    熱兼導風板(102)を一部品に構成したことを特徴と
    する,空冷式エンジン。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の空冷式エンジンにおい
    て,前記タイミング伝動ケース(36)には,エンジン
    本体(1)の一側に配設されて内部でオイルミストを生
    成するオイルタンク(40)とエンジン本体(1)内の
    被潤滑部との間で前記オイルミストの授受を行うオイル
    送り導管(60)及びオイル戻し導管(78)を形成し
    たことを特徴とする,空冷式エンジン。
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