JP2002025637A - 電極用フッ素ドープ二酸化チタン多孔質結晶膜 - Google Patents

電極用フッ素ドープ二酸化チタン多孔質結晶膜

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JP2002025637A JP2000207926A JP2000207926A JP2002025637A JP 2002025637 A JP2002025637 A JP 2002025637A JP 2000207926 A JP2000207926 A JP 2000207926A JP 2000207926 A JP2000207926 A JP 2000207926A JP 2002025637 A JP2002025637 A JP 2002025637A
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electrode
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dioxide porous
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Shozo Yanagida
祥三 柳田
Yuji Wada
雄二 和田
Takayuki Kitamura
隆之 北村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改良された電子輸送性を持つ二酸化チタン多
孔質結晶膜、該二酸化チタン多孔質結晶膜を有する電
極、および該二酸化チタン多孔質結晶膜電極を用いた色
素増感型太陽電池用電極の提供 【解決手段】 二酸化チタン、フッ素原子供給化合物お
よび水又は有機分散溶媒からなるペーストを用いて製造
されたフッ素を0.5〜0.005重量%含有する電子
輸送性が改善された電極用二酸化チタン多孔質結晶膜、
特にフッ素原子供給化合物としてヘキサフルオロアセチ
ルアセトン、四フッ化チタン、ポリフッ化ビニリデン、
ヘキサフルオロイソプロパノールおよびヘキサフルオロ
アセトンからなる群から選択される少なくとも1種を用
いて形成されたものであることを特徴とする二酸化チタ
ン多孔質結晶膜

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極用フッ素ドー
プ二酸化チタン多孔質結晶膜、特に色素増感した多孔質
二酸化チタン半導体を光−電気変換部材として用いた系
において用いられる、改良された電子輸送性を持つ多孔
質二酸化チタン多孔質結晶膜、および該二酸化チタン多
孔質結晶膜を有する電極、特にフッ素を0.5〜0.0
05重量%含有する二酸化チタン多孔質結晶膜および該
二酸化チタン多孔質結晶膜を有する電極に関する。
【0002】
【従来の技術】色素増感型太陽電池に多孔質二酸化チタ
ンを用いる技術はおよそ10年前から知られている。こ
こでは、可視光領域に吸収を持つ色素を上記多孔質二酸
化チタン電極に化学的に吸着させ、ヨウ化物イオン/ヨ
ウ素酸化還元対を含む電解質を介して対極と接合する。
そこにおける、光−電気の変換原理は、 1.光照射による増感色素のHOMOからLUMOへの
光電子励起。 2.生じた光励起電子の色素のLUMOから二酸化チタ
ン半導体の伝導帯への電子注入(10fs:フェムト秒
オーダー)。 3.注入電荷の二酸化チタン層から外部回路への電子輸
送。 4.電解液I-/I3 -から酸化状態の色素への電子注入
(酸化色素の還元)(〜100ns:100ナノ秒オー
ダー)。 5.電解液中でのホールの対極への移動(I3 -の拡
散)。 6.注入電子の酸化状態の色素(μs〜ms:マイクロ
秒〜ミリ秒オーダー)、又は電解液への逆電子移動(1
00ms〜s:100ミリ秒〜秒オーダー)(競合反
応)から成る。
【0003】前記1.および2.の工程は色素増感機構
である。Ru色素〔cis-SCN2(2,2'-bipyridyl-4,4'-dic
arboxylate)2ruthenium (II)〕と二酸化チタン半導体と
の組み合わせが、効率が非常に良いものの例として知ら
れている。また、前記3.および4.の工程は効率が高
く、これに対して前記6.の工程の競合反応の効率は低
い。そのことは前記1.、2.、3.、4.、および
5.の工程で完結する色素増感現象が、前記6.の工程
で表される逆反応の103以上速い電子移動速度を示す
ため、効率的な光−電子変換をもたらしている。
【0004】ところで、太陽電池としては、本発明が対
象とする技術以外に、シリコン太陽電池があり、両者の
光電変換効率の理論限界値は、シリコン太陽電池が29
%であるのに対し、色素増感型太陽電池は33%であ
る。しかしながら現在までに開発されたそれぞれの電池
の実際の効率は、最大で前者が24%であるのに対し
て、後者は約10%と非常に小さく、実用化の面でさら
に改良する必要がある。後者の効率の悪い原因として、
前記4.および5.の工程のホール輸送効率が工程2.
の電子注入効率に比べて劣っていること、更には前記
3.の工程の電子輸送特性が良くなく、そのことにより
効率よく伝導帯に電子が注入されるにも関わらず熱によ
る失活、電解液中の酸化還元対への逆電子移動による再
結合により、外部回路への電荷輸送効率の低下をもたら
し、結局色素増感太陽電池の全体としての光電変換能を
悪くしている。
【0005】二酸化チタン結晶における酸素欠陥は電子
を補足し、結晶内に局在電子状態を作る。これにより、
伝導帯のやや正側(ed=0.4〜0.7eV)にドナ
ー準位が形成されn型半導体となるだけでなく、該ドナ
ーの濃度増大はフェルミ準位を伝導帯側にシフトさせ
る。酸素欠陥の多い二酸化チタン結晶を電極材料に用い
て色素増感型太陽電池を作成すると、前記のようにフェ
ルミ準位が伝導帯側にシフトするため開放電圧値は高く
なる。また、二酸化チタン結晶における酸素欠陥は大気
中の酸素で容易に酸化を受けるなど構造的にかつ電気的
に安定しておらず、結晶構造のひずみやドナー準位のシ
フトの原因を生じ、色素増感太陽電池を作成した際の開
放電圧値、電子注入効率、電子輸送特性に影響をもたら
す。二酸化チタン結晶に吸着した色素の光励起に伴う電
子の二酸化チタン電極への注入効率は、 kinj=(2π/h)|V|2ρ であらわされる。ここで、kinjは電子注入速度、Vは
電子カップリング、ρは半導体の伝導帯と色素のLUM
Oの電子状体密度の重なり積分である。すなわち電子注
入の効率は、Vで表される半導体/色素間の結合様式
(エステル様結合、キレート結合など)とその相互作用
の強さ、およびρで表される二酸化チタンの伝導帯と色
素のLUMOの幾何学的な配置に支配される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、電極
用の酸化チタン多孔質結晶、特に前記の色素増感型太陽
電池に利用される前記酸素欠陥を有する二酸化チタンの
問題を解決した、すなわち、安定した結晶構造に基づく
安定なドナー濃度を持ち、電荷輸送特性が改善された二
酸化チタン多孔質結晶膜、および該電荷輸送性が改善さ
れた二酸化チタン多孔質結晶膜を形成した電極を提供す
ることであり、また、色素増感型太陽電池用の透明導電
性基板上に前記電荷輸送特性を改善した二酸化チタン多
孔質結晶膜を形成した電極を提供することである。本発
明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討する中で、不
安定な酸素欠陥を安定なイオンにより補償することによ
り二酸化チタン多孔質結晶膜の構造の安定性、これによ
るドナー濃度が改善された二酸化チタン多孔質結晶膜
(結晶)が得られるのではないかと考え、種々のイオン
を試みる中で、F-半径がO2-と非常に近いイオン半径
(F-=0.136nm、O2-=0.14nm)を持
ち、かつイオン化エネルギーが高いことから、F-を酸
素欠陥にドープ(取り込ませ)すれば、その結合の安定
性から安定な結晶構造の生成、およびこれによる安定な
ドナー濃度が得られるのではないかと考えて二酸化チタ
ン製造原料にF-供給物質を配合して、また、形成した
後の二酸化チタン多孔質結晶膜層をF-供給物質を含む
処理剤により処理して酸素欠陥部位にF-をドープする
ことを試み、該二酸化チタン多孔質結晶膜を形成した電
極を用いて色素増感太陽電池を試作し物性の測定を行っ
たところ、短絡電流密度値、および変換効率の向上が認
められ、前記本発明の課題を解決したものである。特に
電極用として調製したものではない市販の二酸化チタン
結晶を原料にして、該酸化チタン結晶をフッ素原子供給
化合物、および水又は有機分散溶媒と混合したペースト
を用いて、比較的低温の焼成工程により電荷輸送特性が
改善された二酸化チタン多孔質結晶膜が得られることの
発見は驚きであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、二酸化
チタン、フッ素原子供給化合物および水又は有機分散溶
媒からなるペーストを用いて製造されたフッ素を0.5
〜0.005重量%含有する電子輸送性が改善された電
極用二酸化チタン多孔質結晶膜である。好ましくは、フ
ッ素原子が二酸化チタン多孔質結晶の酸素欠陥サイトに
導入されていることを特徴とする前記電極用二酸化チタ
ン多孔質結晶膜であり、より好ましくは、焼結温度15
0℃〜500℃、焼成時間5〜60分間で焼結すること
により得られたものであることを特徴とする前記各電極
用二酸化チタン多孔質結晶膜である。
【0008】本発明の第2は、二酸化チタン、フッ素原
子供給化合物および水又は有機分散溶媒からなるペース
トを用いて透明導電性基板上に焼結により膜厚1〜20
μmに形成されたフッ素を0.5〜0.005重量%含
有する電子輸送性が改善された二酸化チタン多孔質結晶
膜を有することを特徴とする電極である。好ましくは、
焼結温度を150℃〜500℃、焼成時間5〜60分間
として形成したことを特徴とする前記電極である。
【0009】本発明の第3は、前記各電極の二酸化チタ
ン多孔質結晶膜を色素増感剤で処理した色素増感型光電
変換素子用電極である。また、前記各二酸化チタン多孔
質結晶膜を形成する際、フッ素原子供給化合物としてヘ
キサフルオロアセチルアセトン、四フッ化チタン、ポリ
フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロイソプロパノールお
よびヘキサフルオロアセトンからなる群から選択される
少なくとも1種を用いることを特徴とする前記各二酸化
チタン多孔質結晶膜又は前記各二酸化チタン多孔質結晶
膜を有する電極である。
【0010】本発明の第4は、二酸化チタン多孔質結晶
膜の酸素欠陥を熱的又は光学手段により生成させた後、
フッ素原子供給化合物で処理して二酸化チタン多孔質結
晶膜中のフッ素を0.5〜0.005重量%含有させ電
子輸送性を改善された電極用二酸化チタン多孔質結晶膜
であり、特に前記処理に用いるフッ素原子供給化合物と
してHF水溶液を用いることを特徴とする前記電極用二
酸化チタン多孔質結晶膜である。
【0011】
【本発明の実施の態様】本発明をより詳細に説明する。 A.Fドープ(フッ素化物含有)二酸化チタン多孔質結
晶膜を有する電極の形成法 1.市販の二酸化チタン粉末、例えばP−25(デグサ
社)、を分散用溶媒、例えばアセチルアセトン(aca
c:二酸化チタンとキレートを形成して分散を促進す
る)水溶液に分散し、二酸化チタンペーストとした(Z
rO2ビーズを用いて分散させる)。これにF-供給化合
物、例えば、ヘキサフルオロアセチルアセトン(HF
A)、四フッ化チタン(TiF4:分散溶媒水)、ポリ
フッ化ビニリデン〔PVF、この場合分散溶媒としてD
MF(N,N−ジメチルホルムアミド)を用いた〕など
を加えた。該ペースト状物を透明導電性電極、例えばフ
ッ素ドープした酸化スズなどの透明導電性ガラス電極
(OTE)上に塗布し、次いで150℃〜500℃、例
えば450℃で、5〜60分間、たとえば30分間焼結
する。多孔質性の二酸化チタン結晶膜が得られる。この
ような方法により得られる二酸化チタン中のフッ素濃度
は、X線光電子分光法および蛍光X線分光法により同
定、定量したところ0.5〜0.005重量%程度であ
る。
【0012】2.酸素欠陥を制御して形成した二酸化チ
タン多孔質結晶膜を電極上に形成後、該二酸化チタン多
孔質結晶膜をフッ素化合物溶液、例えばフッ酸水溶液で
処理してF-を酸素欠陥にドープする。このような方法
により得られる二酸化チタン多孔質結晶膜中のフッ素濃
度は0.5〜0.005重量%程度である。 3.酸素欠陥を制御した二酸化チタン多孔質結晶膜電極
は、通常の二酸化チタン多孔質結晶膜の形成法により形
成したものを、紫外線照射、高温処理などの強い外部エ
ネルギー供給する〔例えば、強度1000W・m-2の疑
似太陽(AM1.5、c-Si、JIS規格)〕ことにより促進させる
ことができる。また、二酸化チタンはイオンスパッタリ
ング処理、真空処理、不活性雰囲気で高温焼結をするこ
とで、酸素欠陥を著しく増加させることもできる。
【0013】B.増感色素の前記二酸化チタン多孔質結
晶膜への担持 1.増感色素 増感色素としては、ルテニウム錯体色素、ポリメチン色
素など、およびこれらの組み合わせなどを使用でき、化
学構造的には半導体粒子(TiO2)の表面と結合する
適当な結合基を有していることが好ましい。該結合基と
しては、例えば、COOH基、PO32基、SO3
基、フェノール性もしくはカテコール性のOH基、シア
ノ基などを挙げることができ、これらの基はアルカリ金
属等と塩を形成していても良いし、分子内塩を形成して
いても良いし、酸塩化物などの酸ハロゲン化物になって
いてもよい。また、一つの色素に上記の結合基を単独
で、複数で、あるいは異なる種類のものを同時に有して
いてもよい。ルテニウム錯体色素としては前記で挙げた
ものの他に、例えば特開平11−185836号公報な
ど記載のものを用いることができる。また、ポリメチン
色素としても前記公報に記載のものを用いることができ
る。
【0014】C.色素増感型太陽電池の作成 1.電極、例えば透明電極表面に前記二酸化チタン多孔
質結晶膜の作成方法により形成した二酸化チタン多孔質
結晶膜を、前記Ru色素〔cis-SCN2(2,2'-bipyridyl
-4,4'-dicarboxylate)2 ruthenium (II)〕(以下、R
u色素という。)を濃度0.3mM/Lで溶解させたエ
タノール溶液に浸漬し、光増感する。該増感された薄膜
をI-/I3 -系電解液を介して、白金を、もしくは黒鉛
を塗布したフッ素ドープ酸化スズ電極(F-OTE)を
配置して太陽電池を構築する。これに、光源として前記
強度1000W・m-2の疑似太陽(AM1.5、c-Si、JIS規
格)を用いて光電変換特性などを測定する。
【0015】
【実施例】実施例1 二酸化チタン(P−25:デグサ社、粒径21nm、ル
チル/アナターゼ=3/7)を用い、表1に記載の分散
溶媒およびフッ素含有化合物を加えた二酸化チタンペー
ストを調製する。
【0016】
【表1】
【0017】該ペーストをフッ素ドープ酸化スズ電極
(F-OTE)表面に塗布し、次いで450度で焼結し
て二酸化チタン多孔質結晶膜を持つ電極(TiO2/O
TE)を形成した。得られた二酸化チタン多孔質結晶膜
中のF濃度は0.5〜0.005重量%である。該電極
をRu色素の0.3mMエタノール溶液に一晩浸漬して
色素増感型二酸化チタン多孔質結晶膜電極にする。該電
極をI-/I3 -系電解液(ホール輸送層)(EL)を介
して白金を塗布した透明導電性電極(Pt/OTE)配
置して色素増感型太陽電池を作成した(図1)。これ
に、透明なF-OTEを通し光源として、強度1000
W・m-2の疑似太陽光(AM1.5、c-Si、JIS規格)を用いて
色素増感型二酸化チタン多孔質結晶膜を露光し電流密度
−電圧特性(図2)、および吸着色素当たりの光電流量
(Iscpd/kA・mol-1)と電圧の関係(図3)を調
べた。図2および3において、aはFドープなし、bは
HFAaqによるFドープ、cはTiF4aqによるFドー
プ、dはPVF/DMFによるFドープ二酸化チタン多
孔質結晶膜電極を用いた場合を示す。
【0018】表2に二酸化チタン多孔質結晶膜の厚さ
(μm)、投影面積あたりの色素吸着濃度(DD/nm
ol・cm-2)、粗度因子(RF)、平均孔径(n
m)、表3に該二酸化チタン多孔質結晶膜を用いて作成
した色素増感型太陽電池の開放電圧(Voc/mV)、
短絡電流密度(Jsc/mA・cm-2)、吸着色素当た
りの短絡電流(Iscpd/kA・mol-1)、曲線形
状因子(FF)、および光電変換効率(φ/%)などの
特性を示す。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】前記表3、図2および3から、Fドープを
した全ての電池において、短絡電流密度値(Jsc)と変
換効率(φ)が向上していることが分かる。吸着色素に
対する短絡電流値(Iscpd)、すなわち二酸化チタ
ン/色素界面における発生電荷の電流への変換効率は、
Fを含まない参照電池の117kA・mol-1に対し
て、HFA、TiF4(水系)およびPVF(DMF
系)を用いてFをドープした場合には、短絡電流値はそ
れぞれ、143kA・mol-1、307kA・mol-1
および298kA・mol-1と非常に大きな最大で2.
5倍以上の値が得られている。TiF4を用いて処理し
た膜(二酸化チタン層)については、FFが非常に高い
ことが特徴であり、Fドープによる二酸化チタンの電子
輸送性の向上が、電池の直列抵抗を低下させたことによ
るものと解釈できる。
【0022】表2から、溶媒としてDMFを用いたもの
で、作成した二酸化チタン多孔質結晶膜の平均空孔径は
水系から作成したものに比べて大きく、粗度因子(R
F:層を構成する二酸化チタンの粒径に依存する)も低
く吸着色素量も少ない。また、溶媒としてDMFを用い
た場合、吸着色素に対する短絡電流値(Iscpd)はFを
ドープしない膜でも238kA・mol-1と大きいが、
Fをドープすることにより前記したように298kA・
mol-1と非常に大きく20%も向上した値が得られて
いる。このような、水系とDMF系の短絡電流値(I
scpd)に対する影響は、色素と二酸化チタンとの結合の
違いを生じさせ、前記式における電子カップリングVが
大きいこと又は色素吸着が行き届いていると判断され
る。
【0023】実施例2 ここでは、二酸化チタン多孔質結晶膜を透明導電性ガラ
ス電極表面に形成後、酸素欠陥を発生させる処理をした
後、該酸素欠陥にF−イオンをドープし(取り込ま
せ)、二酸化チタン多孔質結晶膜の特性を改善する場合
を示す。前記P−25/DMFペーストを用い、該ペー
ストをフッ素ドープ酸化スズ電極表面に塗布、450℃
で焼結する(空気中)ことにより、二酸化チタン多孔質
結晶膜を持つ電極を作成した。該電極の二酸化チタン多
孔質結晶膜に酸素欠陥を強制的に形成するように、不活
性雰囲気下、例えばN2雰囲気下で300℃、20分間
の焼成処理をし、多酸素欠陥型二酸化チタン多孔質結晶
膜電極にする。
【0024】得られた該多酸素欠陥型二酸化チタン多孔
質結晶膜電極を、表4に記載のpHに調製した表面処理
用HFaqで処理してF-イオンをドープする。様々な
pH領域のHFaqで表面処理した場合の二酸化チタン多
孔質結晶膜におけるFの濃度は0.5〜0.005重量
%である。このような処理をした電極を、実施例1と同
様にRu色素を濃度0.3mM/Lで溶解させたエタノ
ール溶液に一昼夜浸漬して光増感させて色素増感型多孔
質二酸化チタン多孔質結晶膜電極を得る。該色素担持二
酸化チタン多孔質結晶膜電極を用いて、実施例1と同様
にI-/I3 -系電解液(ホール輸送層)(EL)を介し
て白金コート電極(Pt/OTE)を配置して色素増感
型太陽電池を作成し、該電極を実施例1と同様に疑似太
陽光を用いて、電流密度−電圧特性(図4)、および吸
着色素当たりの光電流量(Iscpd/kA・mol-1)と
電圧との関係(図5)を調べた。また表4に、太陽電池
としての特性すなわち、二酸化チタン多孔質結晶膜の厚
さ(μm)、投影面積あたりの色素吸着濃度(DD/nm
ol・cm-2)、開放電圧(Voc/mV)、短絡電流密度
(Jsc/mA・cm-2)、吸着色素当たりの短絡電流
(Iscpd/kA・mol-1)、曲線形状因子(FF)、お
よび光電変換効率(φ/%)を示す。
【0025】
【表4】
【0026】図4、表4から、それぞれのpHの表面処
理用HFaqで処理してF-イオンをドープした色素増
感型二酸化チタン多孔質結晶電極を用いた太陽電池の光
電変換効率、特に短絡電流密度(Jsc)は、特にpH
1〜4において色素吸着量が低下したにもかかわらず増
加が認められた。一方pH0で処理した場合、色素吸着
量が増加したにもかかわらず逆に変換効率(φ)が低下
した。またpH5で処理した場合には、未処理のものと
ほとんど同じ変換効率(φ)しか得られなかった。図5
からも、吸着色素当たりの短絡電流値(Iscpd)を比較
することで、HF aqの処理により二酸化チタン多孔質結
晶電極の電子輸送性の向上がより明確に確認でき、pH
5で処理した場合にも、未処理のものに比べて吸着色素
当たりの光電流量(Iscpd)が増加することが認められ
た。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、二酸化チタン多孔質
結晶膜にF-をドープすることにより、太陽電池の二酸
化チタン多孔質結晶膜電極に用いる場合の短絡電流密度
(Jsc)と変換効率(φ)が向上、電子輸送性の向上が
見られるという優れた効果がもたらされる。また、市販
の二酸化チタン結晶を原料にして、該酸化チタン結晶を
フッ素原子供給化合物および水又は有機分散溶媒と混合
したペーストを用いて、低温での焼成工程により電荷輸
送特性が改善された二酸化チタン多孔質結晶膜が得ら
れ、電子輸送特性が改善された二酸化チタン多孔質結晶
膜が非常に低コストで得られるという優れた作用・効果
がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のF-ドープ二酸化チタン多孔質結晶
膜を用いた太陽電池の構造
【図2】 F供給源を二酸化チタンペーストに添加して
得られた二酸化チタン多孔質結晶膜電極を用いた太陽電
池の電流密度−電圧特性
【図3】 F供給源を二酸化チタンペーストに添加して
得られた二酸化チタン多孔質結晶膜電極を用いた太陽電
池の吸着色素当たりの光電流量と電圧の関係
【図4】 酸素欠陥型二酸化チタン多孔質結晶膜にF-
イオンをドープした二酸化チタン電極を用いた太陽電池
の電流密度−電圧特性
【図5】 酸素欠陥型多孔質二酸化チタンにF-イオン
をドープした二酸化チタン電極を用いた太陽電池の吸着
色素当たりの光電流量と電圧の関係
【符号の説明】
Pt/OTE 白金コート透明導電性電極 EL I-/I3 -系電解液 F-/OTE フッ素ドープ酸化スズ透明導電性電極 TiO2/OTE 二酸化チタン多孔質結晶膜電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G031 AA11 AA40 BA03 CA08 CA09 GA04 GA11 4M104 BB36 BB39 DD37 DD51 DD79 GG05 5F051 AA14 5H032 AA06 AS16 BB02 BB05 CC14 EE02 EE05 EE16 HH01 HH04 HH06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化チタン、フッ素原子供給化合物お
    よび水又は有機分散溶媒からなるペーストを用いて製造
    されたフッ素を0.5〜0.005重量%含有する電子
    輸送性が改善された電極用二酸化チタン多孔質結晶膜。
  2. 【請求項2】 フッ素原子は二酸化チタン多孔質結晶の
    酸素欠陥サイトに導入されていることを特徴とする請求
    項1に記載の電極用二酸化チタン多孔質結晶膜。
  3. 【請求項3】 焼結温度150℃〜500℃で焼結する
    ことにより得られたものであることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の電極用二酸化チタン多孔質結晶膜。
  4. 【請求項4】 二酸化チタン、フッ素原子供給化合物お
    よび水又は有機分散溶媒からなるペーストを用いて透明
    導電性基板上に焼結により膜厚1〜20μmに形成され
    たフッ素を0.5〜0.005重量%含有する電子輸送
    性が改善された二酸化チタン多孔質結晶膜を有すること
    を特徴とする電極。
  5. 【請求項5】 焼結温度が150℃〜500℃であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の電極。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5からなる電極の二酸化チ
    タン多孔質結晶膜を色素増感剤で処理した色素増感型光
    電変換素子用電極。
  7. 【請求項7】 フッ素原子供給化合物としてヘキサフル
    オロアセチルアセトン、四フッ化チタン、ポリフッ化ビ
    ニリデン、ヘキサフルオロイソプロパノールおよびヘキ
    サフルオロアセトンからなる群から選択される少なくと
    も1種を用いて形成されたものであることを特徴とす
    る、請求項1〜6のいずれかに記載の二酸化チタン多孔
    質結晶膜。
  8. 【請求項8】 二酸化チタン多孔質結晶膜の酸素欠陥を
    熱的又は光学手段により生成させた後、フッ素原子供給
    化合物で処理して二酸化チタン多孔質結晶膜中のフッ素
    を0.5〜0.005重量%含有させ電子輸送性を改善
    された電極用二酸化チタン多孔質結晶膜。
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