JP2002020761A - ピッチ、及びその製造方法 - Google Patents

ピッチ、及びその製造方法

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JP2002020761A
JP2002020761A JP2000209922A JP2000209922A JP2002020761A JP 2002020761 A JP2002020761 A JP 2002020761A JP 2000209922 A JP2000209922 A JP 2000209922A JP 2000209922 A JP2000209922 A JP 2000209922A JP 2002020761 A JP2002020761 A JP 2002020761A
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Tsugio Tao
次雄 田泓
Masahiro Matsuoka
正洋 松岡
Kenji Fukuda
憲二 福田
Mamoru Honda
守 本田
Junji Yamaura
純治 山浦
Shoichi Oi
章市 大井
Tadanobu Takada
忠信 高田
Tetsuya Takeda
哲也 武田
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MITSUI SEKITAN EKIKA KK
Mitsui Mining Co Ltd
Original Assignee
MITSUI SEKITAN EKIKA KK
Mitsui Mining Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

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  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 石油あるいは石炭以外の材料を原料とするコ
ークス製造用バインダーピッチ、及びその製造方法であ
って、前記原料中の塩素をコークス製品中に分散混入さ
せることなく、且つ装置を腐食することなく、前記原料
が流動性付与材あるいは粘結材として有効に働くコーク
ス製造用バインダーピッチ、及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ピッチの製造方法を、廃プラスティック
と油類との混合物を150〜350℃に加熱して、前記
混合物中の廃プラスティックと油類との一体化物を得る
第1工程と、前記廃プラスティックと油類との一体化物
を350〜500℃に加熱してピッチ化する第2工程か
らなる製造工程で構成する。廃プラスティックは塩素を
含んでいても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属精錬や合金製造
の際に用いる冶金用コークス製造用バインダーピッチ、
及びその製造方法に関し、とりわけ高炉用コークス製造
用バインダーピッチ、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉用コークス等、冶金用コークスの製
造においては、骨材となる石炭、軟化流動性を付与しか
つ粘結材となる石炭、及び灰分や硫黄分等の成分調整用
の石炭等、種々の石炭、石油コークス、コークスブリー
ズ、並びに、各種ピツチ等が配合され、これにより操業
性とコークス物性の最適化がなされている。
【0003】これらの配合物のなかでも流動性を付与
し、かつ粘結材となる高品質の瀝青炭、並びに、ピッチ
類は高価であり、また埋蔵量も少ない。更にはコークス
価格を下げるために、安価な石炭でコークス製造用石炭
の配合を行うこと即ち安価な石炭を配合炭として使うこ
とが望まれている。その結果、安価ではあるが粘結性に
乏しい石炭を配合炭として使うことを強いられることと
なり、配合炭の粘結性を補うために、安価でかつ粘結性
の高い材料が求められている。
【0004】そこで近年、配合炭をそのままコークス炉
でコークス化を行うのではなく、石油系ピッチや石炭系
ピッチをバインダー即ち粘結材として用い、かつ粘結性
の乏しい安価な石炭を骨材とし、一旦成型炭を調製後、
コークス炉ないしは連続キルンでコークスを製造する方
法が提案されている。
【0005】しかしながら、石油系ピツチは軟化点と粘
結性のバランスがとり難く、高炉用コークス製造用の粘
結材として用いられることは少ない。また石油系ピッチ
の原料となる重質油は付加価値の高いオイル成分の収率
を上げる為に、ピッチとすることなく、重質油はコーカ
ーに掛けられオイル成分と石油コークスに転換する方向
にあり、石油ピッチは安価かつ安定供給が可能な粘結材
とはなりえない。
【0006】一方、石炭系ピッチは最も良質な流動性付
与材であり、かつ粘結材ではあるが、慢性的な量的不足
の状態が続いているため、高価な粘結材となりつつあ
る。
【0007】そこで石油系ピッチあるいは石炭系ピツチ
の代替となりうる、石油あるいは石炭以外の材料を原料
とするコークス製造用バインダーピッチの開発が望まれ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、上記問
題を解決するために種々検討した結果、石油あるいは石
炭を原料とするものではなく、従来廃棄物として処分さ
れていた廃プラスティックと油類とを、金属精錬や合金
製造用の冶金用コークスの製造用バインダーピッチの原
料とすることにより、従来廃棄物とされていた材料を新
たに有効資源へと変換できるのみならず、石油や石炭使
用量を抑制し、省資源化に寄与するものにできるという
知見を得た。
【0009】また近年、廃プラスティックをコークス炉
に投入し、廃プラスティック分解処理を行う計画もあ
る。
【0010】しかし、廃プラスティックをコークス炉に
投入する方法は、多くの場合、廃プラスティック中には
塩化ビニル等の塩素を含むプラスティックが混在してい
るため、廃プラスティック中の塩素をコークス製品中に
分散混入させるばかりか、装置を著しく腐食することに
なる。また、この方法では廃プラスティックは流動性付
与材あるいは粘結材として有効には働かない。
【0011】本発明者等は、上記の問題を解決するため
に更に検討を重ねた結果、廃プラスティック、又は廃プ
ラスティックと油類との混合物を流動性付与材あるいは
粘結材としての原料とし、この原料を溶融、又は混合溶
解と共に脱塩素処理を行い、続けて所定温度で加熱処理
を行うことにより、金属精錬や合金製造用の冶金用コー
クスの製造に好適なピッチを製造できるという知見を
得、本発明を完成させるに至った。
【0012】よって、本発明の目的とするところは、石
油系ピッチあるいは石炭系ピツチの代替となりうる、石
油あるいは石炭以外の材料を原料とするコークス製造用
バインダーピッチ、及びその製造方法であって、前記原
料中の塩素をコークス製品中に分散混入させることな
く、且つ装置を腐食することなく、前記原料が流動性付
与材あるいは粘結材として有効に働くコークス製造用バ
インダーピッチ、及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、〔1〕 廃プラスティックを150〜3
50℃に加熱して脱塩素化を行い、前記廃プラスティッ
クの一体化物を得る第1工程と、前記廃プラスティック
の一体化物を350〜500℃に加熱して、前記廃プラ
スティックの一体化物をピッチ化する第2工程からなる
ことを特徴とするピッチの製造方法、並びに、〔2〕
廃プラスティックと油類との混合物を150〜350℃
に加熱して脱塩素化を行い、前記混合物中の廃プラステ
ィックを油類へ溶解して一体化物を得る第1工程と、前
記一体化物を350〜500℃に加熱して、前記一体化
物をピッチ化する第2工程からなることを特徴とするピ
ッチの製造方法を提案するもので、〔3〕 〔2〕に記
載の油類の一部又は全部が、第1工程で副製する回収
油、第2工程で副製する回収油、又は、第1工程で副製
する回収油及び第2工程で副製する回収油であることを
含み、〔4〕 〔1〕又は〔2〕に記載の第2工程を1
0kg/cm2(ゲージ圧)以下の加圧下で行うことを
含む。
【0014】また、本発明は、〔5〕 廃プラスティッ
クを原料とするピッチであって、前記ピッチの軟化点が
200℃以下、トルエン不溶分が40wt%以下、キノ
リン不溶分が60wt%以下、塩素含有量2wt%以下
であることを特徴とするピッチ、並びに、〔6〕 廃プ
ラスティックと油類との混合物を原料とするピッチであ
って、前記ピッチの軟化点が200℃以下、トルエン不
溶分が40wt%以下、キノリン不溶分が60wt%以
下、塩素含有量2wt%以下であることを特徴とするピ
ッチを提案するものである。
【0015】以下廃プラスティック、又は廃プラスティ
ックと油類との混合物を原料とする本発明のピッチ、及
びその製造方法を詳細に説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のピッチは廃プラスティッ
ク、又は廃プラスティックと油類との混合物を原料と
し、前者原料の溶融処理、又は後者原料の混合溶解処
理、即ち前記何れかの原料の一体化処理を行って一体化
物を得、続けて500℃以下で加熱処理を行うことによ
り前記一体化物をピッチ化するものである。
【0017】本発明に用いられる廃プラスティックは家
庭廃棄物、農業資材廃棄物、運送資材廃棄物、製造工程
廃棄物、医療用廃棄物その他の廃棄物として排出される
ポリ塩化ビニル類、ポリエチレン類、ポリプロピレン
類、ポリウレタン類、ポリテレフタレート類、ポリエス
テル類、ポリカーボネート類、ポリアミド類、ポリイミ
ド類、フェノール樹脂類、尿素樹脂類、スチロール樹
脂、ポリアクリロニトリル樹脂、各種ゴム類、各種ター
ル類、その他合成樹脂や合成繊維が単独で使用されるこ
とがあるが、多くの場合は、これらの廃プラスティック
の混合物である。
【0018】従って、多くの場合は、塩化ビニル等の塩
素を含むプラスティックと、塩素を含まないプラスティ
ックとの混合物である。
【0019】この多くの場合の、塩化ビニル等の塩素を
含むプラスティックが混在している混合物である廃プラ
スティックを、本発明のピッチの原料とするときは、本
発明のピッチの製造方法における、前記廃プラスティッ
クを150〜350℃に加熱して脱塩素化を行う第1工
程において、前記廃プラスティックが溶融されると共に
前記廃プラスティックの脱塩素化が行われる。
【0020】また、上記の塩素を含む廃プラスティック
と油類との混合物を、本発明のピッチの原料とするとき
は、本発明のピッチの製造方法における、前記廃プラス
ティックと油類との混合物を150〜350℃に加熱し
て脱塩素化を行う第1工程において、前記混合物中の廃
プラスティックが油類へ溶解されると共に前記混合物の
脱塩素化が行われる。
【0021】よって、本発明においては、上記の混合物
である廃プラスティックから、塩化ビニル等の塩素を含
むプラスティックと、塩素を含まないプラスティックと
を選別する必要はなく、同廃プラスティック中の塩素含
有量によっての制約を受けることなく、廃プラスティッ
クを処理することができる。
【0022】以下、本発明における原料としての廃プラ
スティックは、特に断らない限り、塩化ビニル等の塩素
を含むプラスティックが混在している混合物である廃プ
ラスティックについて説明する。
【0023】これらの廃プラスティックは粉砕し、必要
があれば洗浄、乾燥したものを、第1工程の原料とする
ことが好ましい。
【0024】本発明における原料としては、上記の廃プ
ラスティックを単独で使用してもよいが、油類を混合す
ることが好ましい。油類を混合することにより、その混
合物は比較的低温でも低粘度の流体とすることができる
ので、連続化処理等が容易となる。
【0025】廃プラスティックと混合する油類は、廃油
を使用することができるが、これに限らず、廃油の元の
製品油、これら廃油、製品油に類似する油類、並びに、
本発明の方法で副製する油を回収して使用できることは
いうまでもない。
【0026】本発明に用いられる廃油は、食品、医療、
化学繊維、プラスティック、ゴムの製造工程や製油工程
等で排出される機械油、潤滑油、規格外廃油やその他廃
油類のほか、運輸機械廃棄物から発生する機械油や潤滑
油、その他廃油類や、飲食店や家庭から発生する食用
油、機械油、潤滑油等の廃油類をいう。
【0027】廃油が金属分、水分、スラッジ等の不純物
を含有する場合は、これらを遠心分離法や濾過法により
除去し、原料油とすることが好ましいが、ピッチの用途
や不純物の含有量によってはこれらの処理は必ずしも必
要ではない。
【0028】廃プラスティック/油類の混合比(重量
比)は1/2〜5/1とすることが出来る。更に好まし
くは、1/1〜2/1で行うことが望ましい。
【0029】この廃プラスティックと油類との混合物を
連続式加熱装置を用いて加熱する場合、100〜250
℃、好ましくは100〜200℃で混練流動化した後、
150〜350℃、好ましくは200〜350℃に加熱
することにより廃プラスティックは油類に溶解され、塩
素を含む廃プラスティックは塩化水素を放出して脱塩素
される。
【0030】回分式に加熱する場合は、上記の混練流動
化工程を経ることなく、混合物を直接150〜350
℃、好ましくは200〜350℃に加熱することも出来
る。この150〜350℃への加熱により廃プラスティ
ックは油類に溶解され、塩素を含む廃プラスティックは
塩化水素を放出して脱塩素される。
【0031】本第1工程における150〜350℃での
反応時間は1分間〜5時間が好ましく、更に好ましくは
5分間〜2時間である。
【0032】廃プラスティックが塩素を含有する場合、
脱塩素反応に時間を要する為、廃プラスティックが塩素
を含有しない場合よりも反応時間は長くなる。また、処
理すべき廃プラスティック量によっても反応時間は大い
に異なる。
【0033】反応時間が数分間以内の場合、実質的に撹
拌は不要であるが、数分間以上の反応時間を必要とする
場合は撹拌機を設けた反応器を用いることが好ましい。
多くの場合、脱塩素反応は150〜350℃で加熱する
ことにより5時間以内に終了する。
【0034】本第1工程において、廃プラスティックと
油類との混合物中に含まれる塩素分の80〜98%が塩
化水素等として反応系外に排出される。分解反応生成物
の反応系外への排出を促進するために、反応系に窒素等
の不活性ガスを導入することが好ましい。次工程の第2
工程であるピッチ化工程でも脱塩素反応は起きるが、上
記第1工程である一体化工程内で脱塩素反応をほぼ完結
させることができ、ピッチ化工程に用いる装置の腐蝕が
防止される。
【0035】廃プラスティックを油類へ溶解して一体化
物を得る一体化工程では必ずしも廃プラスティック全量
が油類へ溶解する必要は無い。次工程のピッチ化工程へ
の移送が可能な程度にスラリーとして不溶解成分が残存
していても良い。
【0036】この一体化工程では廃プラスティックの一
部が分解して、油類及びその分解物と共に生成油を形成
する。この生成油を廃プラスティック溶解の自己溶剤と
して用いることが出来る。また、次工程のピッチ化工程
で得られるピッチ中の塩素分を低下させる為にも、廃プ
ラスティックの分解を促進させることが好ましい。その
為に系内圧が低いことが望ましいが、発生するガス圧に
より、系内は微加圧となる。したがって本工程は1.0
kg/cm2(ゲージ圧)以下とすることが望ましい。
更に望ましくは0.1〜0.5kg/cm2(ゲージ
圧)である。
【0037】本工程の一体化工程で廃プラスティックと
油類の分解が進行し、生成油である低沸点油分が多量に
生成した場合、次工程のピッチ化工程と、一体化工程と
の間に低沸点油分回収用の蒸留器を設けることも可能で
ある。
【0038】一体化工程終了時の廃プラスティックと油
類の分解物は極めて低粘度であるため、この廃プラステ
ィックと油類の分解物中の金属分、水分、スラッジ等は
遠心分離法や濾過法により除去することも出来る。
【0039】一体化工程終了後、廃プラスティックと油
類の分解混合物は撹拌機を設けた反応器中で350〜5
00℃で30分間〜20時間、10kg/cm2(ゲー
ジ圧)以下の加圧下で熱処理し、ピッチ化することが好
ましい。反応温度が500℃を超える場合は分解が支配
的となり、ピッチ化することは出来ない。
【0040】また反応温度が350℃未満であればピッ
チ化は起きない。したがって望ましい反応温度は350
〜500℃であり、更に望ましくは370〜450℃で
あり、特に望ましくは380〜400℃である。望まし
い反応圧は10kg/cm2(ゲージ圧)以下であり、
更に望ましくは1〜10kg/cm2(ゲージ圧)であ
る。
【0041】本ピッチ化工程において、撹拌は反応器中
の温度の均一化を保つほかにも、ピッチ化の進行に伴
い、生成油の油分はより脂肪族性となり、ピッチ化され
た部分はより芳香族性となる結果、生成油の油分とピッ
チとの相溶性が低下することがあるので均一混合のため
の撹拌は不可欠である。撹拌が不十分な場合、反応器底
部にピッチが堆積し、更にはセミコークス化することが
ある。
【0042】反応系での分解と重合(ピッチ化)を促進
する為に、反応系で生成するガス成分ないし油分は系外
に排出される。この時系内に窒素等の不活性ガスを導入
することにより、反応生成物を系外に排出し、ピッチ化
反応を促進することも出来る。
【0043】上記の系外に排出される油分を回収して得
られる、ピッチ化工程における回収油も、一体化工程に
おける回収油と同様に、廃プラスティックを溶解する油
類として用いることができる。
【0044】上記の反応条件下で得られるピッチの物性
は軟化点が20〜200℃、トルエン不溶分は2〜40
wt%、キノリン不溶分が60wt%以下、塩素含有量
は2wt%以下にすることができる。
【0045】軟化点が200℃を超える場合、コークス
製造時の配合炭の流動性が不良となる。また、トルエン
不溶分が40wt%を超える場合、配合炭の粘結性が不
良となる。更にはキノリン不溶分が60wt%を超える
場合も配合炭の流動性が不良となる。
【0046】ピッチ化の終了後、ピッチは連続的、ある
いは間欠的に反応器より抜き出され、水中や金属ベルト
上に移送され、円柱状、あるいは薄板状に冷却固化成型
される。
【0047】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0048】なお、実施例1及び比較例1〜5におい
て、軟化点、トルエン不溶分、キノリン不溶分のピッチ
物性はJIS−K−2421、元素組成はJIS−M−
8813、ロガ指数の測定はJIS−M−8801に準
拠して測定した。
【0049】実施例1 ポリ塩化ビニル10wt%、ポリエチレン45wt%、
ポリプロピレン15wt%、ポリスチレン30wt%か
ら成る廃プラスティックと、密度0.88g/cm3
20℃動粘度32stokes、流動点−42℃、残留
炭素分0.93wt%、炭素含有量84.5wt%、水
素含有量13.3wt%、216〜508℃留分の飽和
炭化水素分82.6vol%、オレフィン分0.0vo
l%、1環アロマ分14.1vol%、2環アロマ分
1.4vol%、3環アロマ分1.9vol%の廃油と
を1対1で混合し、ヘンシェルミキサーを用い200℃
で15分間混練し、200℃で流動性を有する混合物を
得た。この混合物をパイレックス(登録商標)ガラス製
の反応器中で0.1kg/cm2(ゲージ圧)の微加圧
下300℃で3時間熱処理し溶解脱塩素化を行った。続
けて、この混合物を排出ガス冷却装置を有するSUS3
16製反応器中で5kg/cm2(ゲージ圧)の加圧
下、395℃で6時間撹拌を行いながら熱処理しピッチ
化を行った。
【0050】脱塩素化物からのピッチ収率は65wt
%、副生オイルの収率は30%、ガス収率は5wt%、
であった。
【0051】得られたピッチの軟化点は35℃、トルエ
ン不溶分は10wt%、キノリン不溶分は22wt%、
塩素分は1.1wt%、固定炭素分は15.5wt%で
あった。
【0052】ピッチの粘結性を評価するために、このピ
ッチと標準配合炭を10対90の重量比で混合し、85
0℃で炭化後、ロガ指数を測定した。ロガ指数は80.
41であった。
【0053】以下、比較例を示す。
【0054】比較例1 実施例1で用いた標準配合炭を850℃で炭化後、ロガ
指数を測定した。ロガ指数は72.71であった。
【0055】比較例2及び3 実施例1で用いた廃プラスティックと廃油との混合物
と、実施例1の標準配合炭とを、10/90、20/8
0の重量比で混合し、850℃で炭化後、ロガ指数を測
定した。それぞれのロガ指数は70.55、70.42
であり、廃プラスティックと廃油との混合物添加による
強度増加の効果は認められなかった。
【0056】比較例4及び5 実施例1で用いた廃プラスティックと廃油との混合物
を、実施例1と同様に、200℃で流動化、300℃で
溶解脱塩素化し、溶解脱塩素化物を得た。この溶解脱塩
素化物を標準配合炭とを、10/90、20/80の重
量比で混合し、850℃で炭化後、ロガ指数を測定し
た。それぞれのロガ指数は71.69、71.77であ
り、廃プラスティックと廃油との溶解脱塩素化物添加に
よる強度増加の効果は認められなかった。
【0057】
【発明の効果】本発明のピッチの製造方法によれば、原
料として廃プラスティックや、油類好ましくは廃油を用
いているので、安価にピッチを製造できるばかりでな
く、従来廃棄物とされていた材料を新たに有効資源へと
変換できるのみならず、石油や石炭使用量を抑制し、省
資源化に寄与するものでもある。
【0058】また、本発明のピッチの製造方法によれ
ば、上記廃プラスティックが、塩化ビニル等の塩素を含
むプラスティックが混在している混合物である場合、第
1工程で脱塩素化を行うと共に上記廃プラスティックの
溶融物即ち一体化物を得、又は、上記廃プラスティック
と油類とを混合後、第1工程で脱塩素化を行うと共に廃
プラスティックを油類へ溶解して一体化物を得ることが
できる。そのため、得られるピッチの塩素含有量は極め
て少ないので、本発明の原料としての廃プラスティック
は、塩化ビニル等の塩素を含むプラスティックが混在す
るものであっても用いることができ、その適用範囲は極
めて広いものである。
【0059】ところで、第1工程で廃プラスティックの
分解、又は、廃プラスティックと油類の分解が進行し、
副製油である低沸点油分が多量に生成した場合、第2工
程のピッチ化工程と、第1工程との間に低沸点油分回収
用の蒸留器を設けることも可能である。また、第2工程
において系外に排出される油分を回収して得られる副製
油も、第1工程において回収される副製油と同様に、廃
プラスティックを溶解する油類として用いることができ
る。
【0060】このようにして回収される副製油は、本発
明の方法における油類として用いることができるので、
本発明の方法は、油類の利用効率が極めて高いものであ
る。
【0061】しかも、第1工程終了時の廃プラスティッ
クの分解物、又は、廃プラスティックと油類の分解物
は、極めて低粘度であるため、この廃プラスティックの
分解物中の、又は、廃プラスティックと油類の分解物中
の、金属分、水分、スラッジ等不純物を遠心分離法や濾
過法により容易に除去することも出来る。そのため、本
発明のピッチ原料としては、上記不純物を多く含有する
廃プラスティック又は油類でも用いることができ、本発
明において廃プラスティック又は油類の適用できる範囲
は極めて広いものである。
【0062】なお、第1工程は比較的低温での熱処理で
あるので、この第1工程内で脱塩素反応をほぼ完結させ
ることは、更に高温での熱処理である第2工程にとって
装置の耐蝕上好ましいものである。
【0063】本発明の製造方法によって得られるピッチ
は、軟化点、トルエン不溶分、キノリン不溶分、塩素含
有量などについて、良好な物性値を示すものであり、流
動性付与材あるいは粘結材として有効に働くコークス製
造用バインダーピッチとして適したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 正洋 福岡県北九州市若松区響町一丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内 (72)発明者 福田 憲二 福岡県北九州市若松区響町一丁目3番地 三井鉱山株式会社総合研究所内 (72)発明者 本田 守 福岡県大牟田市合成町1番地 三井鉱山化 成株式会社大牟田工場内 (72)発明者 山浦 純治 福岡県大牟田市合成町1番地 三井鉱山化 成株式会社大牟田工場内 (72)発明者 大井 章市 東京都千代田区神田淡路町1丁目5番地 三井石炭液化株式会社内 (72)発明者 高田 忠信 千葉県茂原市東郷富士見1816−1 三井石 炭液化株式会社茂原研究室内 (72)発明者 武田 哲也 千葉県茂原市東郷富士見1816−1 三井石 炭液化株式会社茂原研究室内 Fターム(参考) 4F301 AA03 AA13 AA14 AA15 AA17 AA20 AA22 AA25 AA26 AA27 AA29 CA09 CA25 CA72 CA73 4H058 DA50 EA12 EA32 EA46 FA18 FA22 FA33 FA40 GA31 GA40 HA03 HA26

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃プラスティックを150〜350℃に
    加熱して脱塩素化を行い、前記廃プラスティックの一体
    化物を得る第1工程と、前記廃プラスティックの一体化
    物を350〜500℃に加熱して、前記廃プラスティッ
    クの一体化物をピッチ化する第2工程からなることを特
    徴とするピッチの製造方法。
  2. 【請求項2】 廃プラスティックと油類との混合物を1
    50〜350℃に加熱して脱塩素化を行い、前記混合物
    中の廃プラスティックを油類へ溶解して一体化物を得る
    第1工程と、前記一体化物を350〜500℃に加熱し
    て、前記一体化物をピッチ化する第2工程からなること
    を特徴とするピッチの製造方法。
  3. 【請求項3】 油類の一部又は全部が、第1工程で副製
    する回収油、第2工程で副製する回収油、又は、第1工
    程で副製する回収油及び第2工程で副製する回収油であ
    る請求項2に記載のピッチの製造方法。
  4. 【請求項4】 第2工程を10kg/cm2(ゲージ
    圧)以下の加圧下で行う請求項1又は2に記載のピッチ
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 廃プラスティックを原料とするピッチで
    あって、前記ピッチの軟化点が200℃以下、トルエン
    不溶分が40wt%以下、キノリン不溶分が60wt%
    以下、塩素含有量2wt%以下であることを特徴とする
    ピッチ。
  6. 【請求項6】 廃プラスティックと油類との混合物を原
    料とするピッチであって、前記ピッチの軟化点が200
    ℃以下、トルエン不溶分が40wt%以下、キノリン不
    溶分が60wt%以下、塩素含有量2wt%以下である
    ことを特徴とするピッチ。
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