JP2002017757A - レーザを用いた根管の滅菌、乾燥、滅菌乾燥装置 - Google Patents

レーザを用いた根管の滅菌、乾燥、滅菌乾燥装置

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JP2002017757A
JP2002017757A JP2000204567A JP2000204567A JP2002017757A JP 2002017757 A JP2002017757 A JP 2002017757A JP 2000204567 A JP2000204567 A JP 2000204567A JP 2000204567 A JP2000204567 A JP 2000204567A JP 2002017757 A JP2002017757 A JP 2002017757A
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Kenzo Kataoka
研慥 片岡
Junko Oishi
純子 大石
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J Morita Manufaturing Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】根管形成後の根管の滅菌がより安全確実にでき
るレーザを用いた滅菌装置を提供する。 【解決手段】滅菌装置10は、コア径50μm〜300
μmであって、先端が頂角70度〜90度の円錐形状と
なっているプローブ1を備え、このプローブ1先端から
波長1.5μm〜4μm、被照射面1平方mm当たりエ
ネルギ密度1mJ〜50mJ/パルスのレーザ光を照射
して、根管の滅菌を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザを用いた歯
の根管の滅菌、乾燥、滅菌乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯科における歯の根管治療では、根管形
成後、根管充填の前に、形成された根管を滅菌、乾燥す
ることが必要不可欠である。
【0003】従来、このような根管の滅菌には、過酸化
水素水(H)や、次亜塩素酸ナトリウム(NaC
lO)などの薬剤を数回根管に注入し、その後生理食塩
水や、滅菌精製水で洗浄する方法が行われていたが、洗
浄がどの程度確実に行われたかを確認する方法がなく、
必要以上に洗浄を繰り返したり、また、薬剤が残留した
場合には、二次的な疾患を誘発する可能性もあった。
【0004】一方、根管の乾燥には、ペーパポイント、
ブローチ綿花、エンドバキュームなどが用いられてい
た。
【0005】ペーパポイントとは紙製こよりであり、ブ
ローチ綿花とは綿花製こよりであり、いずれも、細い根
管内に挿入して吸水するものであるが、吸水率の点で改
善が望まれていた。この理由としては、ペーパポイント
などは水に接触することによって吸水するため、根管の
形状によっては、隈なくペーパポイントなどを根管壁に
接触させることができない、ということが考えられた。
【0006】エンドバキュームとは、小形の吸引装置で
あり、吸水率の点では、良好な結果を示すものの、狭い
根管内で、真空の吸引力を以て吸水するため、根管の先
端にある根尖孔からの出血を引き起こしたり、根管壁面
にある象牙細管や側枝内の残留細菌も吸い出して根管内
を汚染させたりする等の可能性があった。
【0007】また、上記の方法では、滅菌と乾燥の方法
が全く異なるので、それぞれ別個に行われており、余分
な時間と手間を要していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な問題を解決するためになされたものであって、根管形
成後の根管の滅菌がより安全確実にできるレーザを用い
た滅菌装置、根管の乾燥がより安全確実にできるレーザ
を用いた乾燥装置、根管の滅菌と乾燥の双方がより安全
確実にできるレーザを用いた滅菌乾燥装置を提供するこ
とを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、所定の波長の
レーザ光が、水あるいは水酸基へのエネルギー吸収率が
非常に良いという点を活用し、実験を繰り返して、レー
ザ光を出射する先端部分であるプローブの形状、レーザ
光のエネルギー密度などを適正化することによって、レ
ーザを根管の滅菌、乾燥に用いることができることを見
出し、根管の滅菌、乾燥装置として提案するものであ
る。
【0010】このレーザ光を適切なエネルギー密度で根
管内で照射すれば、照射された部分の組織は損傷せず、
その部分に残存している水にレーザ光のエネルギーのほ
とんどが吸収され、この水を蒸散させる。また、照射さ
れた部分に、細菌が存在する場合、その細菌に含まれる
水分にレーザ光のエネルギーが吸収され、瞬間的な水温
上昇により、その細菌を死滅させる。また、このような
細菌の含む水、水酸基への吸収による滅菌の可能性に加
え、根管壁表面へのレーザ光の吸収による発熱での温度
的滅菌も十分考えられる。こうして、レーザ光による滅
菌、乾燥が可能となっているのである。
【0011】特に、請求項1に記載のレーザを用いた根
管の滅菌装置は、根管形成後の根管の滅菌装置であっ
て、コア径50μm〜300μmであって、先端が頂角
70度〜90度あるいは95度〜110度の円錐形状と
なっているプローブを備え、このプローブ先端から波長
1.5μm〜4μm、被照射面1平方mm当たりエネル
ギ密度1mJ〜50mJ/パルスのレーザ光を照射し
て、根管の滅菌を行うことを特徴とする。
【0012】この滅菌装置は、根管の滅菌に必要なプロ
ーブの形状、レーザ光の波長、エネルギー密度を、実験
結果などにより、具体的に規定したもので、かかる構成
により、根管壁を損傷することなく、安全かつ確実に根
管の滅菌をすることができる。また、薬剤の残留の問題
もない。
【0013】特に、プローブのコア径を通常の根管の先
端部分にまで入り込むことができる径としているので、
根管先端までの滅菌が可能である。
【0014】また、プローブ先端を頂角70度〜90度
の円錐形状としているので、レーザ光がプローブ軸方向
に直角な方向から更に後方にまでも照射され、根管壁面
に通常直角方向に形成されている象牙細管や側枝の一定
深度の内部にまでレーザ光が及び、この部分までの滅菌
も可能で、更に、象牙細管などが根管壁面に対してプロ
ーブの挿入方向に逆向きに斜めに形成されている場合で
も、その一定深度の内部までの滅菌が可能である。ま
た、この円錐形状の頂角を95度〜110度とすると、
頂角70度〜90度ではカバーできなかった方向にも照
射可能である。
【0015】請求項2に記載のレーザを用いた根管の滅
菌装置は、根管形成後の根管の乾燥装置であって、コア
径50μm〜300μmであって、先端が頂角70度〜
90度あるいは95度〜110度の円錐形状となってい
るプローブを備え、このプローブ先端から波長1.5μ
m〜4μm、被照射面1平方mm当たりエネルギ密度1
mJ〜50mJ/パルスのレーザ光を照射して、根管の
乾燥を行うことを特徴とする。
【0016】この乾燥装置は、請求項1と同じ構成のも
のを、滅菌用ではなく、根管の乾燥用として規定したも
のである。
【0017】この場合、同様の効果を根管の殺菌にも発
揮し、加えて、レーザ光は、根管内の全ての部分に隈な
く行き渡るため、ペーパポイントなどによる吸水に比べ
て、取り残しということが少ない。また、エンドバキュ
ウムのように、根尖孔からの出血を招くような可能性も
少ない。
【0018】請求項3に記載のレーザを用いた根管の滅
菌乾燥装置は、根管形成後の根管の滅菌乾燥装置であっ
て、コア径50μm〜300μmであって、先端が頂角
70度〜90度あるいは95度〜110度の円錐形状と
なっているプローブを備え、このプローブ先端から波長
1.5μm〜4μm、被照射面1平方mm当たりエネル
ギ密度1mJ〜50mJ/パルスのレーザ光を照射し
て、根管の滅菌、または/かつ、乾燥を行うことを特徴
とする。
【0019】この滅菌乾燥装置は、本発明の装置が、同
じ構成で有りながら、根管の滅菌、乾燥の双方が可能で
あることを明確にしたものである。したがって、滅菌、
乾燥と別個の装置を用意する必要が無く、コストダウン
を図ることができる。
【0020】また、上述のレーザ光の機能から、根管の
滅菌と乾燥とを同時に行うことも可能で、その場合に
は、滅菌と乾燥を別個に行う二度手間を省くことができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明のレーザを用いた根管の滅菌、乾燥、滅菌乾燥装置に
ついて詳しく説明する。
【0022】図1は、本発明のレーザを用いた根管の滅
菌装置の一例を示す外観図である。
【0023】この根管の滅菌装置10は、レーザ光を出
射する先端部分であるプローブ1、プローブ1を着脱交
換可能に保持するハンドピース2、ケーブル3、ケーブ
ル3によって、ハンドピース2に流体を供給する液体供
給源4、レーザ光を供給するレーザ光発生源5、気体を
供給する気体供給源6、これら液体供給源4などを収容
する装置本体7を備えている。
【0024】プローブ1、ハンドピース2、ケーブル3
については、図2で詳述する。
【0025】液体供給源4には、精製水又は生理食塩水
が収容されるが、フィルタを設けた配管を介して、水道
管に接続できるようになっていてもよい。
【0026】レーザ光発生源5としては、波長1.5μ
m〜4μmのレーザ光を発生するものを用いるが、特
に、水の光吸収波長帯のピークに一致した2.94μm
の発振波長のレーザ光を発生させるEr:YAG(エル
ビウム−イットリウム−アルミニウム−ガーネット)レ
ーザ光発生源は、水へのエネルギ吸収率が最もよく、本
発明のレーザ光発生源として適している。
【0027】気体供給源6は、圧縮空気又は圧縮した不
活性ガスを発生させることができるようになっており、
例えば、空気を発生させる場合には、ブロアやコンプレ
ッサなどが用いられ、また、不活性ガスを発生させる場
合には、不活性ガスを圧縮して詰め込んだガスボンベな
どが用いられる。
【0028】なお、この根管の滅菌装置10は、後述す
るように、そのままの構成で、根管の乾燥装置10A、
また、根管の滅菌乾燥装置10Bとしても用いることが
できるものである。
【0029】図2は、図1の滅菌装置の要部拡大縦断面
図である。これより、同じ部分については、同じ符号を
付して、重複説明を省略する。
【0030】プローブ1は、レーザ光の導光路となる導
光路1aと、導光路1aを保護する金属製の保護管1
b、この保護管1bを更に覆っている被覆管1c、この
被覆管1cを保持する保持体1d、この保持体1dに設
けられた二か所の流通孔1e、1fを備え、ハンドピー
ス2の先端部分に着脱交換可能に装着することができ
る。
【0031】ハンドピース2は、後部カバー2a、本体
部2b、この本体部2bの前面にネジ着脱されるキャッ
プ2c、凸レンズ2dなどを備えている。
【0032】ケーブル3には、液体供給源4からの液体
輸送管3a、レーザ光発生源5からの導光路3b、気体
供給源6からの気体輸送管3cが内蔵されている。
【0033】液体輸送管3aは、ハンドピース2の後部
カバー2aを貫通して、本体部2bの管路に連結され、
この管路の先端が、装着されたプローブ1の保持体1d
に設けられた流通孔1fに達しており、この流通孔1f
は被覆管1cの層間隙間の最も内側の隙間に達してい
る。
【0034】したがって、液体供給源4から、水又は生
理食塩水が、液体輸送管3aを通じて、ハンドピース2
へ供給され、被覆管1cの層間隙間を通って、プローブ
1の先端から、図に点線矢印で示すように、噴出される
ようになっている。
【0035】導光路3bは、光ファイバーで構成され、
ハンドピース2の後部カバー2aを貫通して、本体部2
bの中央部分に挿嵌され、ここで凸レンズ2dを介し
て、導光して来たレーザ光を、プローブ1の導光路1a
に伝達し、そのレーザ光が導光路1aの先端から出射さ
れるようになっている。
【0036】気体輸送管3cは、ハンドピース2の後部
カバー2aを貫通して、本体部2bの管路に連結され、
この管路の先端が、装着されたプローブ1の保持体1d
に設けられた流通孔1eに達しており、この流通孔1e
は被覆管1cの層間隙間の外側の隙間に達している。
【0037】したがって、空気供給源6から、空気又は
不活性ガスが、気体輸送管3cを通じて、ハンドピース
2へ供給され、被覆管1cの層間隙間を通って、プロー
ブ1の先端から、図に白抜き矢印で示すように、噴出さ
れるようになっている。
【0038】こうして、この根管の滅菌装置では、プロ
ーブ1から、レーザ光を照射するとともに、空気又は不
活性ガスと、水又は生理食塩水とを混合して、スプレー
状に噴霧することができるようになっている。
【0039】図3(a)は、図1の滅菌装置のプローブ
の一例の先端拡大図、(b)は、図1の滅菌装置のプロ
ーブの他例の先端拡大図、図4(a)は、根管を示す模
式図、(a1)〜(a3)は根管の断面の例示模式図、
(b)は、図4(a)の部分拡大図である。これらの図
を用いて、本発明の装置を用いた、根管の滅菌について
説明する。
【0040】図3(a)に示すように、本発明の装置で
は、プローブ1の導光路1aの径Dが50μm〜300
μmで、先端が頂角θ1が70度〜90度の円錐形状と
なっており、このプローブ1先端から波長1.5μm〜
4μm、被照射面1平方mm当たりエネルギ密度1mJ
〜50mJ/パルスのレーザ光を照射するようにしてい
る。
【0041】このように、導光路1aの先端を円錐形状
とし、その頂角θ1を70度〜90度とすると、図3
(a)に示すような軸方向に対して回転対称な照射域S
1A、S1Bでレーザ光が照射され、前方だけでなく、
導光路1aの軸方向にほぼ直角な方向にも照射されてい
るのが解る。
【0042】ここで、導光路1aは、周知のように、コ
アをクラッドで覆い、さらにジャケットで覆った構造と
なっているが、コア径に対して、クラッド、ジャケット
の層厚はかなり小さいものなので、ここでいう導光路1
aの径Dは、ほとんど、コア径に等しいものである。
【0043】図3(b)に示す導光路1aは、図3
(a)に比べ、円錐形状の頂角θ2が、95度〜110
度となっている点が異なり、このようにすると、レーザ
光の照射域S2は前方だけのものとなる。
【0044】このような導光路1aを用いてレーザ光を
照射する対象となる根管は、図4(a)に示すような構
造をしている。この図は、歯牙の根Cの一つの拡大縦断
面である。
【0045】根C自体は象牙質であるが、その内部に根
管CAが形成され、この断面形状は、図(a1)(a
2)、(a3)に示すように、単純な円形だけでなく、
複雑な形状をしており、また、傾向としては、先へ行く
ほど細く、つまり、断面積が小さくなるものであるが、
そうでない場合もある。また、最先端部分の内径が10
0μm程度となっている。
【0046】根管CAの壁面には、内径が2〜3μm程
度の象牙細管CBと、内径100μm〜500μm程度
の側枝CCがあり、これらは根管Cの壁面に対して通常
直角方向に伸びているが、図の上下方向などに斜めにな
っている場合もある。根管Cの先端には根尖孔CDがあ
る。なお、ここでは、煩雑を避けるため、象牙細管C
B、側枝CCなどの一部だけを表示している。
【0047】図3、4から、以下のことが解る。
【0048】まず、根管の断面が単純な円形でなく、プ
ローブ1の先端の導光路1aに沿わない複雑な形状をし
ている場合でも、レーザ光は根管壁まで及び、根管を隈
なく滅菌することができる。
【0049】プローブ1の導光路1aの径Dを50μm
〜300μmとしたのは、根管の先端付近の内径に対応
させたもので、このようにすることで、導光路1aを根
管の先端付近まで挿入することができ、上記効果と併せ
て、根管先端まで、レーザ光を照射して、根管内を隈な
く滅菌することができる。
【0050】円錐先端の頂角θ1を70度〜90度とす
ると、図3(a)のように側方へも照射されるので、図
4(b)に示すように、象牙細管CBなどの内部へも一
定深度でレーザ光が到達する可能性が大きく、この象牙
細管CBに入りこめる細菌B、例えば、口腔内常在菌で
あるサンギス菌などを殺菌、あるいは、滅菌することが
できる。
【0051】レーザ光の波長1.5μm〜4μmとした
のは、上述したように、その水、あるいは、水酸基への
吸収率を利用するためであり、この点では、波長2.9
4μmのEr:YAGレーザを用いるのが良い。
【0052】被照射面1平方mm当たりエネルギ密度1
mJ〜50mJ/パルスのレーザ光としたのは、殺菌な
ど以上の影響を与えないようにするためである。このエ
ネルギーレベルであれば、根管壁や、付近の柔組織に損
傷を与えることもない。
【0053】さらに、レーザ光をパルス的に照射してい
るので、照射と冷却が交互に行われ、殺菌などの目的に
必要十分な程度の照射を行うことができ、レーザ光照射
部位の温度を過大に上昇させることが少ない。
【0054】また、図3(a)の導光路1aに加えて、
図3(b)の導光路1aも用意したのは、これらの図の
比較から解るように、この導光路1aの性質上、図3
(a)あるいは(b)のどちらか一方だけでは、導光路
1aの前方側の全方位を照射域をカバーできないからで
ある。
【0055】つまり、図3(a)の導光路1aでは、前
方と側方は照射できるが、斜め前方は照射できない。一
方、図3(b)の導光路1aは、この図3(a)の導光
路1aで照射できない斜め前方を照射することができ
る。
【0056】これらの2種類の導光路1aは使用目的に
応じて、適宜使い分けるとよい。
【0057】なお、上述したプローブの先端形状とレー
ザ光の種類、照射条件は、そのまま、根管の乾燥にも適
合し、同様の効果を発揮することができる。つまり、同
じ装置を根管の乾燥装置としても使うことができ、さら
に、根管の滅菌と乾燥を行う滅菌乾燥装置としても使う
ことができる。
【0058】これより、従来の滅菌、乾燥の方法と、本
発明のレーザを用いた滅菌、乾燥の方法を比較検証した
実験について説明する。
【0059】図5は、実験用の模擬根管の縦断面図、図
6は、本発明のために用いた根管乾燥実験装置の構成概
念図である。
【0060】図5に示す模擬根管Mは、牛歯から製作さ
れたもので、人歯と同様の象牙質でできており、同様の
象牙細管を備えている。形状としては、外径1.2m
m、長さ10mmの円柱形状で、内径0.5mmで深さ
5mmの根管MAを備えている。
【0061】この模擬根管Mを実験に用いる場合、滅菌
実験には、従来方法との比較において統一した寸法のサ
ンプルを使用する必要がある。まず、滅菌実験について
説明する。
【0062】この滅菌実験は、以下のプロセスで、レー
ザー照射で滅菌した場合と、過酸化水素水と次亜塩素酸
ナトリウムで滅菌した場合とで、滅菌効果の比較を行っ
た。
【0063】1)清浄状態の模擬根管Mを準備する。
【0064】2)根管MAにサンギス菌を注入し、1週
間培養。
【0065】3)根管MA内部の菌液をペーパーポイン
トで吸い取り、培養液アンプルに投入。
【0066】4)滅菌処理 A1)レーザ照射 導光路の径200μm、先端頂角8
4度(図3(a)と同じ)、波長2.94μm、被照射
面1平方mm当たりエネルギ密度8mJ/パルス、パル
ス10pps、プローブ軸方向移動速度:毎分25mm
で2回照射。
【0067】A2)レーザ照射 A1の条件と被照射面
1平方mm当たりエネルギ密度が4mJ/パルスである
点のみ相違。
【0068】B)従来法 過酸化水素水0.1mlを注
入後、次亜塩素酸ナトリウム0.1ml注入。これを3
回繰り返し、5%チオ硫酸ナトリウム水溶液で中和し、
で滅菌精製水で洗浄。
【0069】5)滅菌水を含ませたペーパポイントで根
管MA内部を拭き取り、培養液アンプルに投入。
【0070】6)φ0.52、φ0.54、φ0.5
6、φ0.58、φ0.60、・・・、φ0.80の滅
菌ドリルで根管MA内径を順次拡大させていき、ドリル
に付着した切削粉を確認した後、ドリルを培養液アンプ
ルに投入。
【0071】7)培養液アンプルを37度恒温槽で41
〜47時間保管。
【0072】8)それぞれの培養液アンプルにおける培
養コロニーの存在を確認。
【0073】この実験の結果、B)従来法では、4つの
サンプルのうち、2つにおいて、φ0.52のドリル入
りのアンプルで培養コロニーを確認し、4サンプルの平
均値では、細管深さ5μmまでの滅菌を確認した。
【0074】一方、A2)レーザ照射では、B)従来法
と比較して、約20μmの深さまで滅菌効果が認めら
れ、A1)レーザ照射では、3つのサンプルの内、1つ
において、φ0.54のドリル入りのアンプルで初めて
培養コロニーが確認され、更に、残り2つについては、
φ0.60のドリル入りのアンプルで初めて培養コロニ
ーが確認される、つまり、平均値で32μmの深さまで
殺菌効果が認められるという結果であった。
【0075】つまり、A1)レーザ照射の場合、元の根
管内径φ0.5に対して、φ0.60近辺まで、象牙細
管内部のレーザ光による滅菌がなされているが、B)従
来法では、ほとんど、滅菌の効果は及んでいないことが
解った。次に、図6に示す根管乾燥実験装置を用いた、
根管乾燥実験について説明する。
【0076】根管乾燥実験装置20は、滅菌の場合と同
様の鍔付き模擬根管M′を用いるもので、この模擬根管
Mの根管MA内に導電体でできた電極11を入れ、一
方、模擬根管M′を絶縁性プラスチックで製された蓋1
2に鍔部分で係止されるように嵌め込み、模擬根管M′
の蓋12の反対側に出ている部分を導電性、不透水性の
シール13で覆い、この部分が導電性容器14に貯留さ
れた水に浸されるように、容器14を蓋12で覆ってい
る。
【0077】容器14には、貯留された水に達するよう
に電極15が設けられ、この電極15と上記電極11と
を導線16で結び、この導線16に抵抗計17を設け
て、この抵抗器17で根管MA内の水分による抵抗値の
変化を計測することによって、種々の乾燥方法による乾
燥度を比較する。
【0078】この実験装置で、5つのサンプルについて
5回ずつ、A1)レーザ照射:滅菌と同じプローブで、
波長2.94μm、被照射面1平方mm当たりエネルギ
密度3mJ/パルス、パルス1pps、照射時間10
秒、A2)レーザ照射:A1とパルスのみ5ppsで相
違、A3)レーザ照射:A1とパルスのみ10ppsで
相違、B)ペーパポイント、C)ブローチ綿花、D)エ
ンドバキュームの乾燥方法を比較した。
【0079】その結果、C)ブローチ綿花の成績が悪
く、B)ペーパポイントとD)エンドバキュームの成績
はC)ブローチ綿花に比べてよく、A3)レーザ照射を
2回繰り返した場合の成績について、B)ペーパポイン
トとD)エンドバキュームの成績に比べて、有為の差を
見い出すことができた。
【0080】以上、本発明で用いるレーザとして、E
r:YAG(エルビウム−イットリウム−アルミニウム
−ガーネット)レーザの例を示したが、これのみに限る
ものではなく、例えば、Er:YSGG(エルビウム−
イットリウム−スカンジウム−ガリウム−ガーネッ
ト)、Ho:YAG(ホロミウム−イットリウム−アル
ミニウム−ガーネット)、Er:GLASS(エルビウ
ム−ガラス)等の、水あるいは水酸基への吸収率の高い
レーザを用いてもよい。
【0081】
【発明の効果】請求項1に記載のレーザを用いた根管の
滅菌装置によれば、根管の滅菌に必要なプローブの形
状、レーザ光の波長、エネルギー密度を、実験結果など
により、具体的に規定したので、根管を損傷することな
く、安全かつ確実に根管の滅菌をすることができる。ま
た、薬剤の残留の問題もない。特に、プローブのコア径
を通常の根管の先端部分にまで入り込むことができる径
としているので、根管先端までの滅菌が可能である。
【0082】また、プローブ先端を頂角70度〜90度
の円錐形状としているので、レーザ光がプローブ軸方向
に直角な方向から更に後方にまでも照射され、根管壁面
に通常直角方向に形成されている象牙細管や側枝の一定
深度の内部にまでレーザ光が及び、この部分までの滅菌
も可能で、更に、象牙細管などが根管壁面に対してプロ
ーブの挿入方向に逆向きに斜めに形成されている場合で
も、その一定深度の内部までの滅菌が可能である。ま
た、この円錐形状の頂角を95度〜110度とすると、
頂角70度〜90度ではカバーできなかった方向にも照
射可能である。
【0083】請求項2に記載のレーザを用いた根管の滅
菌装置によれば、請求項1と同じ構成のものを、滅菌用
ではなく、根管の乾燥用として規定したので、請求項1
と同様の効果を根管の殺菌にも発揮し、加えて、レーザ
光は、根管内の全ての部分に隈なく行き渡るため、ペー
パポイントなどによる吸水に比べて、取り残しというこ
とがすくない。また、エンドバキュウムのように、根尖
孔からの出血を招くようなこともない。
【0084】請求項3に記載のレーザを用いた根管の滅
菌乾燥装置によれば、本発明の装置が、同じ構成で有り
ながら、根管の滅菌、乾燥の双方が可能であることを明
確にしたので、滅菌、乾燥と別個の装置を用意する必要
が無く、コストダウンを図ることができる。また、用い
るレーザ光の機能から、根管の滅菌と乾燥とを同時に行
うことも可能で、その場合には、滅菌と乾燥を別個に行
う二度手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザを用いた根管の滅菌装置の一例
を示す外観図
【図2】図1の滅菌装置の要部拡大縦断面図
【図3】(a)は図1の滅菌装置のプローブの一例の先
端拡大図、(b)は図1の滅菌装置のプローブの他例の
先端拡大図
【図4】(a)は根管を示す模式図、(a1)〜(a
3)は根管の断面の例示模式図、(b)は図4(a)の
部分拡大図
【図5】試験用の根管模型の縦断面図
【図6】本発明のために用いた根管乾燥試験装置の構成
概念図
【符号の説明】
1 プローブ 1a 導光路(コア) 10 根管の滅菌装置 10A 根管の乾燥装置 10B 根管の滅菌乾燥装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C052 AA16 AA20 BB12 CC01 CC19 LL04 4C058 AA13 AA28 BB06 CC02 KK05 KK27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】根管形成後の根管の滅菌装置であって、 コア径50μm〜300μmであって、先端が頂角70
    度〜90度あるいは95度〜110度の円錐形状となっ
    ているプローブを備え、このプローブ先端から波長1.
    5μm〜4μm、被照射面1平方mm当たりエネルギ密
    度1mJ〜50mJ/パルスのレーザ光を照射して、根
    管の滅菌を行うことを特徴とするレーザを用いた根管の
    滅菌装置。
  2. 【請求項2】根管形成後の根管の乾燥装置であって、 コア径50μm〜300μmであって、先端が頂角70
    度〜90度あるいは95度〜110度の円錐形状となっ
    ているプローブを備え、このプローブ先端から波長1.
    5μm〜4μm、被照射面1平方mm当たりエネルギ密
    度1mJ〜50mJ/パルスのレーザ光を照射して、根
    管の乾燥を行うことを特徴とするレーザを用いた根管の
    乾燥装置。
  3. 【請求項3】根管形成後の根管の滅菌乾燥装置であっ
    て、 コア径50μm〜300μmであって、先端が頂角70
    度〜90度あるいは95度〜110度の円錐形状となっ
    ているプローブを備え、このプローブ先端から波長1.
    5μm〜4μm、被照射面1平方mm当たりエネルギ密
    度1mJ〜50mJ/パルスのレーザ光を照射して、根
    管の滅菌、または/かつ、乾燥を行うことを特徴とする
    レーザを用いた根管の滅菌乾燥装置。
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