JP2002006346A - 磁気粒子回転型表示素子 - Google Patents

磁気粒子回転型表示素子

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JP2002006346A
JP2002006346A JP2000188787A JP2000188787A JP2002006346A JP 2002006346 A JP2002006346 A JP 2002006346A JP 2000188787 A JP2000188787 A JP 2000188787A JP 2000188787 A JP2000188787 A JP 2000188787A JP 2002006346 A JP2002006346 A JP 2002006346A
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layer
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JP2000188787A
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Tadao Katsuragawa
忠雄 桂川
Hiroyuki Takahashi
裕幸 高橋
Tomohiro Inoue
智博 井上
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低消費電力で鮮明な画像表示が可能な軽量薄
型の表示素子を得る。 【解決手段】 透明の支持体11に2色例えば白黒に色
分けされた5〜30μm粒径の磁気粒子12が回転可能
に、例えばマイクロカプセルに内包されて配列されてい
る。この回転粒子層13に、保護膜14が形成された垂
直磁気異方性を有するメモリー層15および支持体16
が配設され、さらに絶縁層となる支持体17の両面に電
気配線18a、18bが例えばX−Y方向にマトリクス
状にパターン形成され保護膜19、20が形成された電
気配線層21と、支持体22が順次配設されている。ま
た、回転粒子層13の支持体11には、必要に応じて反
射防止膜が設けられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性体からなる粒
子の回転により粒子表面の光学的状態が変化して図形や
文字等の画像を表示する磁気粒子回転型表示素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】1975年にMagnavox社より、
粒子を磁界によって回転させるMPD(magneti
c particle display)が提案された
(L.L.Lee:IEEE Transaction
on Electron Devices,ED−2
2,P758)。このMPDには、半球面が白色、残り
半球面が黒色に着色された磁性体球状粒子が用いられ
た。その後、個々の粒子をマイクロカプセル化し、これ
を透明シートに敷き詰める方法に改良されている。
【0003】図4は、上記MPDの構成例を示すもの
で、(a)に示すように、上から順に回転粒子1の表面
色により画像を表示する回転粒子層2と、磁界発生機能
を有する電気配線層3と、電気配線層3によって磁化さ
れ回転粒子層2に回転磁界を与えるメモリー層4と、基
板5が積層されている。回転粒子層2には、白黒に色分
けされた酸化鉄の磁性体からなる回転粒子1が、図4
(b)に示すように、マイクロカプセル6に内包されて
配列されている。電気配線層3は、ポリイミドからなる
支持体3aの両面に、図4(c)に示すように、銅配線
3b、3cがX−Yマトリックス状に張り巡らされて構
成され、各2本のXラインとYラインで囲まれた面の磁
場によって、画素部に相当する部位の磁性体層の磁化方
向を反転させる。メモリー層4は数ミリの厚さの磁性体
層からなり、図4(d)に拡大して示すように、回転粒
子層2に対して垂直方向に磁界を印加できるように、形
状磁気異方性を利用すべく格子状に画素単位の角柱に分
割されている。このMPDの画素サイズは0.5〜1.
7mmであり、粒子径30〜400μmの回転粒子が用
いられた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記MPD
では次のような問題点があった。 電気配線層の発生磁界で高速度にまずメモリー層を磁
化した後、メモリー層の磁界でゆっくりと回転粒子層の
粒子を回転させるが、回転粒子層/電気配線層/メモリ
ー層の構成では、回転磁界を与えるメモリー層が回転粒
子層と離れているためメモリー層の磁界を伝えにくく、
粒子回転にばらつきが生じて、鮮明な画像が得にくかっ
た。
【0005】メモリー層は回転粒子層と離れているた
め大きな記録磁界強度が必要で、厚膜のメモリー層が大
きな記録磁界強度を得るために、電気配線層の発生磁界
を大きくする必要があった。 回転粒子の粒子径が30μm以上と大きいため、画像
分解能は低かった。 メモリー層は格子状に形成されるが、このような複雑
形状の作製は困難なため、作製コストが高かった。
【0006】本発明は、上記従来技術の問題点に対処し
てなされたもので、メモリー層を薄くかつ簡単形状にし
て、回転粒子層に近接して設けることにより、製造が容
易で、低消費電力かつ高分解能の磁気粒子回転型表示素
子を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1の発
明は、回転により色替え可能に色分けされ着磁された磁
気粒子が透明支持体上に回転可能に配列される画像表示
層と、前記画像表示層の画素単位に前記磁気粒子を回転
させる磁界を発生する電気配線層と、前記画像表示層と
電気配線層の間に介挿され、前記電気配線層によって磁
化され前記画像表示層の磁気粒子に磁界を付与する垂直
磁気異方性を有するメモリー層とを具備することを特徴
とする磁気粒子回転型表示素子である。
【0008】請求項1の発明においては、電気配線層に
例えば画像信号に基づいて制御された電流が流れ、画像
信号に対応した画素単位の磁界が発生すると、メモリー
層が画素単位に磁化され、画像表示層の磁気粒子に画像
信号に対応した画素単位の磁界を付与する。これによ
り、画像表示層の各磁気粒子は画像信号に対応した回転
状態に制御され、各磁気粒子が透明支持体側に向けた色
によって画像が形成される。この各磁気粒子の回転によ
る画像は、電気配線層によって次の磁界が発生するまで
メモリー層によって保持される。ここで、メモリー層が
画像表示層に近接して設けられ、かつ垂直磁気異方性を
有することで、メモリー層を画素単位の角柱に形成する
ことなく、薄膜で形成することが可能となるとともに、
記録磁界強度が小さくてすみ、電気配線層に流れる電流
の低減化すなわち省電力化が可能となる。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の磁気粒子回
転型磁気表示素子において、磁気粒子の平均粒子径が5
μm〜30μmの範囲にあることを特徴とする。磁気粒
子の平均粒子径を30μm以下とすることにより、画素
サイズを126μm以下とすることができ、200dp
i以上と高分解能画像を得ることが可能となる。また、
粒子径を5μm以下とすると、1個当たりの磁化が小さ
くなり、磁界による回転が困難となる。
【0010】請求項3の発明は、請求項1の磁気粒子回
転型磁気表示素子において、磁気粒子が透明なマイクロ
カプセル内に回転可能に潤滑性液体とともに封入されて
いることを特徴とする。この発明においては、磁気粒子
がマイクロカプセルに内包されて透明支持体上に配列さ
れることで、磁界によって回転自在となり、鮮明な画像
形成が可能となる。
【0011】請求項4の発明は、請求項1の磁気粒子回
転型磁気表示素子において、磁気粒子が透明の板に規則
的に設けた孔の中に封入されていることを特徴とする。
この発明においては、磁気粒子が規則的に設けた孔の中
に封入されることで、マイクロカプセルに内包された状
態と同様に磁界によって回転自在となるとともに、磁気
粒子をより規則的に配列することが容易となり、解像度
の高い画像が得られる。
【0012】請求項5の発明は、請求項1の磁気粒子回
転型磁気表示素子において、磁気粒子が半球ずつ2色に
色分けされ、一方の色が白色であることを特徴とする。
画像表示層に配列される磁気粒子がすべて白黒に色分け
された場合にはモノクロ画像が表示される。白と組み合
わせて複数色が用いられて画像表示層に配列された場合
にはカラー画像が表示される。
【0013】請求項6の発明は、請求項1の磁気粒子回
転型磁気表示素子において、磁気粒子が窒化鉄を含有す
ることを特徴とする。この発明においては、飽和磁化の
大きな窒化鉄を磁気粒子の磁性体に用いることで、大き
な回転トルクが得られ、少ない電流値で磁気粒子の回転
制御すなわち画像形成が可能となる。
【0014】請求項7の発明は、請求項1の磁気粒子回
転型磁気表示素子において、電気配線層が、絶縁層を介
して互いに直交する方向にそれぞれ導電性配線が平行に
画素ピッチで設けられた一対の配線パターン層を有する
ことを特徴とする。この発明においては、配線パターン
をX方向とY方向に互いに接することがないように高格
子状に設けることで、画素単位に磁界を発生することが
可能となるとともに、電気配線層の作製が容易で、安価
な表示素子が得られる。
【0015】請求項8の発明は、請求項7の磁気粒子回
転型磁気表示素子において、電気配線層が、隣り合う平
行な導電性配線の電流が互いに逆方向に流れるよう制御
されることを特徴とする。この発明においては、X方向
とY方向の配線パターンによって形成される格子の中心
に大きな回転磁界が得られるので、少ない電流値で磁気
粒子の回転制御すなわち画像形成が可能となる。
【0016】請求項9の発明は、請求項1の磁気粒子回
転型表示素子において、電気配線層が、絶縁層を介して
互いに直交する方向にそれぞれ導電性配線が画素ピッチ
で設けられてなるとともに、各導電性配線が、絶縁層を
介して交差する部位にコの字が重なるようなコイル形状
を有することを特徴とする。この発明においては、導電
性配線が絶縁層を介して交差する部位のコの字の中心に
大きな回転磁界が得られるので、少ない電流値で磁気粒
子の回転制御すなわち画像形成が可能となる。
【0017】請求項10の発明は、請求項1の磁気粒子
回転型表示素子において、画像表示層の透明支持体に反
射防止膜が形成されていることを特徴とする。この発明
においては、磁気粒子の色調がより明瞭となり、画像の
ちらつきが抑制され、より鮮明な画像が得られる。
【0018】請求項11の発明は、請求項1の磁気粒子
回転型表示素子において、画像表示層の透明支持体と電
気配線層の支持体が同一材料で構成されていることを特
徴とする。この発明においては、画像表示層と電気配線
層との間で温度変化や湿度変化に伴う支持体の伸縮によ
るずれが抑制され、書き換え時の画像ずれを防いで鮮明
な画像形成が可能となる。
【0019】請求項12の発明は、請求項1の磁気粒子
回転型表示素子において、画像表示層の透明支持体の上
から磁気粒子を回転させる磁界を発生する磁気ペンを具
備することを特徴とする。この発明においては、透明支
持体の上から磁気ペンにより任意に画像を追加したり、
消去したりすることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明の磁気粒子回転型
表示素子の一実施の形態を示す断面図である。この図に
おいて、表面観測側から、透明の支持体11に複数色通
常は2色に色分けされた磁気粒子12が回転可能に配列
されている。この回転粒子層13に、保護膜14が形成
されたメモリー層15および支持体16が配設され、さ
らに絶縁層となる支持体17の両面に電気配線18a、
18bがパターン形成され保護膜19、20が形成され
た電気配線層21と、支持体22が順次配設されてい
る。また、回転粒子層13の支持体11には、必要に応
じて反射防止膜(図示せず)が設けられる。
【0021】磁気粒子12は磁性体を含んでおり、2色
に色分けされた一方がN極、他方がS極になるように着
磁されて永久磁石となっている。磁気粒子12として
は、磁性体の超微粒子とポリエチレンやフェノール樹脂
などのポリマーとの混合物が用いられる。また、磁性体
単独の微粒子を用いてもよい。この場合は、ポリマーと
の混合物よりも磁化が強くなり、従って回転のためのト
ルクが強くなる。このため、回転に要する磁界強度は小
さくて済み、電気配線層21の電流値を低減することが
できるので、省電力化を図ることができる。磁気粒子1
2の形状は、楕円や多角形でもかまわないが、回転を滑
らかに行うためには球形が好ましい。
【0022】磁気粒子12の粒子径は、30μm以下が
好ましい。従来技術のMPDでは30μm以上の粒径の
回転粒子が用いられたが、これは画素サイズが0.5〜
1.7mmの大きさであったためであり、200dpi
以上と高分解能画像を得ようとする場合には、画素サイ
ズが126μm以下となり、磁気粒子の粒径が30μm
以上では大きすぎて十分な分解能が得られない。一方、
粒子径はあまり小さいと1個当たりの磁化が小さくな
り、磁界による回転が不可能となる。また回転機能付与
処理、たとえばマイクロカプセル化なども困難になる。
磁気粒子12に用いる磁性体の飽和磁化にもよるが、5
μm以上が好ましい。
【0023】また、磁性体の粒径が小さくなると磁化が
小さくなるので、磁性体としては飽和磁化の大きい方が
回転トルクが大きくなって好ましい。一般に用いられる
酸化鉄(γ- Fe2 3 、Fe3 4 )は飽和磁化が7
0〜80emu/gであるが、窒化鉄(Fe4 N)は飽
和磁化が120〜140emu/gと約2倍大きく好ま
しい。
【0024】磁性体は保磁力が50Oe以上の半硬磁性
体または硬磁性体で、色は一般的に黒色であるが、黄色
や茶色または緑色など他の色でもかまわない。黒色磁性
体としては、Fe、Co、Ni、Fe2 3 、Fe3
4 、Coフェライト、MnZnフェライトなどの各種フ
ェライトがある。磁気粒子12の色は通常白と黒の2色
に半球ずつ色分けされるが、磁性体が黒であれば半球だ
け白に着色すればよい。背景の色を白以外にしたい場合
には、白色の代わりにその背景色が選択される。カラー
画像を得たい場合には、白と、たとえば赤(R)、緑
(G)、青(B)などのいわゆる3原色の着色が施され
る。場合によっては3色以上を着色してもかまわない。
たとえば、上記白と黒の5色に色分けしてあれば、フル
カラーを表示することができる。3原色の粒子着色材と
しては、メチレンブルー、コンゴーレッド、ベンゾイエ
ローTZ等の染料や、オイルブルー、オイルクリーン、
オイルイエロー、ベンジジンイエローなどが用いられ
る。また、磁気粒子12が配列された回転粒子層13上
に反射防止膜を設けることで、磁気粒子12の色調がよ
り明瞭に確認することができるようになる。
【0025】黒およびR、G、Bの各色微粒子の片面を
白色に着色するには、コーティング法やスプレー法など
いろいろ考えられるが、最も容易な方法としては、微粒
子を一層形成し固定した後、真空蒸着法を用いてアルミ
ニウム膜を被着する方法がある。アルミニウム膜は金属
光沢を有するが、5〜30μm径の微粒子になると、こ
の金属光沢は感じられなくなり、いわゆる白色として観
察される。色分けされた磁気粒子12の表面には、表面
凹凸を減少させるため、あるいは表面潤滑性を向上させ
るため、有機物や無機物を薄くコーティングしてもよ
い。
【0026】上記のように着色され着磁された磁気粒子
12は回転機能を付与され、支持体11上に配置され
る。回転機能を付与する方法はいくつかあるが、その1
つとして磁気粒子12を透明なマイクロカプセルで封入
する方法が挙げられる。マイクロカプセルの外殻を構成
する材料としては、アクリル系、メタクリル系、ポリエ
ステル、ポリスチレン、ポリウレア、ポリアミド、エポ
キシなど一般的な樹脂を単独または混合して使用するこ
とができる。マイクロカプセルの製造方法としては、磁
気粒子を分散させたエマルジョンの内側と外側の両方か
らモノマーを供給する界面重合法、磁気粒子を分散させ
たエマルジョンの内相あるいは外相の一方からモノマー
を供給するin−situ法、その他公知のマイクロカ
プセル化技術が用いられる。マイクロカプセルの外殻
は、ある程度の押し圧に耐える機械的強度、透明性、化
学的安定性などの特性が求められる。また、マイクロカ
プセル内に含有させる流動体は、磁気粒子12の回転を
スムーズにするための潤滑作用が最も求められ、水、
油、アルコール等の液体が用いられる。
【0027】回転機能を付与された磁気粒子12は、透
明な支持体11上に配列される。この配列方法にも各種
あり、同一サイズ粒子を規則正しく1層だけ配列するこ
とが好ましいが、1.5層程度または、2種の大小粒子
を多層に配列してもよい。透明支持体としては、MMA
(メチルメタクリレート)、PMMA(ポリメチルメタ
クリレート)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ア
クリル系樹脂、スチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリ
レート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エ
ポキシ樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、フッ素化
ポリイミド、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフ
ィン系樹脂、ナイロン樹脂などの透明樹脂が用いられ
る。
【0028】同一サイズ粒子を規則正しく1層だけ配列
する場合の方法として、透明プラスチック製の板に規則
的に設けた孔の中に微粒子を封入させる方法がある。孔
の高さは1個の粒子が回転できるくらいであり、縦と横
は複数個が入るサイズである。この場合、磁気粒子12
に回転機能を付与するマイクロカプセルは必要がない。
透明プラスチック板の孔がマイクロカプセルの代わりと
なる。この孔の中に摩擦抵抗低減用液体(たとえばオイ
ル)を封入すればさらによい。この方法の利点は微粒子
を規則正しく配列することができるために、高品質画像
が得られることである。なお、この方法はランダムにも
配列できることはもちろんである。
【0029】この透明プラスチック板に孔を形成する方
法としては、次のような方法がある(J Vac Sc
i Technol B Vol.16, No.6
p.3825−3829,1998参照)。 1.例えばシリコンウェハの上に、電気メッキのための
金属たとえばPt層を設ける。 2.この上にCVD法などでSiO2 の膜を作る。この
膜厚が微粒子を入れる孔の深さをきめる。 3.この上に透明プラスチックとして例えばPMMAを
スピンコート法などで設ける。 4.リソグラフィーで孔パターンをPMMA上に露光す
る。 5.PMMA上にCrを蒸着法などで設ける。 6.反応性イオンエッチングでPMMAとCr層に孔を
形成する。
【0030】メモリー層15は、従来のMPDと違い、
回転粒子層13に接して設けられる。また、メモリー層
15は垂直磁気異方性を有する磁性体層からなり、一様
な膜厚にて形成される。すなわち、メモリー層15とし
て、垂直磁気異方性定数Hkが2KOe以上、好ましく
は4KOe以上である垂直磁化膜が用いられる。この垂
直磁化膜を用いることによって、同一膜厚の面内磁化膜
の場合よりも、メモリー層面の垂直方向により大きな発
生磁界が得られるので、よりメモリー層を薄くすること
ができる。
【0031】メモリー層15は電気配線層21によって
発生した磁界によって磁化され、さらに磁化されたメモ
リー層15の磁界によって回転粒子層13の磁気粒子1
2の回転を支援するとともに、その回転状態を保持して
画像の乱れを防止する機能を有する。すなわち、電気配
線層21の発生磁界方向は、電流方向を逆にすることで
変えられるが、この発生した磁界方向によって、メモリ
ー層15の画素に対応する指定した場所を+または−に
磁化する。この磁化は1画素ごとでもよいし、複数画素
ごとでもよい。この1画素の磁化のスピードは、1μs
以下と高速で行うことが可能であるので、たとえばA4
サイズのような大画面でも秒のオーダーで可能である。
もしこのメモリー層15がない場合には、磁気粒子12
の回転を各粒子ごとに電気配線層21の磁界で行うこと
が必要となる。磁気粒子回転は速くても20m秒程度か
かるので、A4サイズでは長時間かかってしまう。電気
配線層21による磁界印加方法は色々あり、同時に複数
個ずつ印加していく方法を用いれば速く画像が得られる
が、しかし同時に印加する画素数が多くなればなるほ
ど、同時に流れる電流値も多くなる。1A以上の電流を
流すことは装置サイズなどの点で実用上困難であるた
め、メモリー層15は画像を高速度で得るために必須で
ある。
【0032】また、回転した磁気粒子12は、画像が変
化しないように、次の回転制御時の再書き換えまで固定
しておく必要がある。この場合にも、メモリー層15を
設けることで、メモリー層15の磁化は時間によって変
化しないので、永久磁石である磁気粒子12は同一方向
を向いたまま固定される。なお、回転後の磁気粒子12
を固定する方法としては、メモリー層15の設置以外に
も、磁気粒子12とマイクロカプセルなどの樹脂層との
間に回転後に抵抗が増大するチキソトロピーな液体を用
いる方法もある。
【0033】ところで、磁気粒子12を回転させるに
は、この表示素子の面に垂直に磁界を発生させて、永久
磁石化された粒子の磁化に引力と斥力を与えることが必
要である。従来技術のMPDでは面内異方性を有する磁
性材料を垂直に方向に長い形状として、形状磁気異方性
を利用して、垂直方向に磁界が印加できるようにしてい
るが、本実施の形態ではメモリー層15自体に垂直磁気
異方性を与えて、表示素子面に垂直方向に発生する磁界
で粒子を回転させる。この垂直磁化膜を用いることによ
り、画素ごとに磁性体を柱状に加工する必要がなく、一
様な層の加工でよいので製造が容易となり、従ってコス
トを大幅に低下させることができる。
【0034】垂直磁気異方性を有する垂直磁化膜を作成
する方法としては、たとえばバリウムフェライトのよう
な六角板状形状を有する磁性体粉末の塗料を、磁場を印
加しながら基板面に平行に六角板を並べて(配向)塗布
して、垂直磁化膜を作成する方法がある。同様にバリウ
ムフェライトと樹脂の混合物をロール間を通過させて、
各粒子を配向して薄板状に作製する方法もある。また、
広く光磁気記録材メディアとして利用されているTbF
eCoなどの金属化合物を、スパッタ法などのPVD法
で基板上に作製する方法がある。他にもPtCo等の垂
直磁気異方性を有する材料をメッキ法で作製する方法や
ゾル・ゲル法で作製する方法もある。本発明では材料や
作製方法は限定しない。安定性のよい材料で、より薄
く、作り易い方法が選定される。
【0035】次に、メモリー層15の磁化に用いる電気
配線層21について説明する。電気配線18a、18b
に電流が流れることよって発生する磁場と各磁気粒子1
2の残留磁化の相互作用(引力または斥力)によって、
磁気粒子12をマイクロカプセル内で回転させることが
できる。回転に必要な磁場強度は小さく10ガウス程度
でよいので、電気配線18a、18bは、それぞれX、
Y方向に直線状に設けて、互いに格子を形成するように
配線する方法で可能である。この場合は配線形状が単純
で作製が容易であるという利点がある。その際、図2に
示すように、X方向およびY方向において、それぞれ2
本線を1ペアーとし、2本線には逆方向に電流を流して
目的の画素に磁界を発生させるようにしてもよい。
【0036】この外に、電気配線18a、18bを、
X、Y方向の各単線に、図3に示すように、各画素に対
応させてコの字状のコイルを設け、その1ターンのコイ
ルがX、Y方向で絶縁層を介して重なるように形成して
もよい。もちろん2ターン以上のコイルを各画素位置に
対応して設ければ、励磁に必要な電流値が小さくて済み
好ましいが、単層での作製が不可能となり、中間に絶縁
層を含めた多層で配線を構成する必要が生じる。また上
下の配線位置を合わせることが困難となる。なお電気配
線による発生強磁場と画素の位置は一致するように作製
される。
【0037】電気配線18a、18bは、上記いずれの
配線方法においても、目的の画素部以外にも磁界が発生
しており、目的の画素部でのみ磁気粒子12を回転可能
なように、磁気粒子12の回転に必要な力にはしきい値
が必要である。このようなしきい値は、たとえばマイク
ロカプセルと磁気粒子間の液体の粘度などで制御され
る。このような液体の粘度調整には、アルギン酸ナトリ
ウム、ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸ナト
リウム、変性ポリアクリル酸エマルジョン、変性ポリア
クリル酸スルホン酸塩などの粘度調整材が用いられる。
特に、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールが
好ましい。
【0038】また、電気配線18a、18bは、いずれ
の配線方法においても、ポリイミドフィルムなどの絶縁
層の裏と表の両面に銅層を蒸着法、スパッタ法、メッキ
法などにより形成し、この銅層を配線パターンを除いて
エッチングすることによって形成することができる。こ
のフォトリソグラフィー法以外にも、転写法を用いて配
線パターンを形成することもできる。たとえば、1.導
電性基板上にレジストを形成後、パターン化する。2.
この上に電気メッキ法で、金属たとえば銅を設ける。
3.この上にたとえばメッキ法で接着剤を付着させる。
4.この接着剤面を下にして、たとえばプラスチック基
板上に転写して、電気配線を形成する。この転写法は、
低コストで大面積に容易に対応することができ、また極
細配線や立体配線の作成が容易であるという利点を有す
る。なお、電気配線に用いられる材料は一般的な銅が電
気抵抗値の点から好ましいが、Au、Ag、Al、Pt
などその他の導電性材料も用いられる。また透明導電膜
として一般的なITO膜を用いてもよい。
【0039】また、傷や剥離などの損傷を防止するため
に、図1に符号14、19、20で示すように、保護膜
を設けることが、デバイスの耐久性の点から好ましく、
SnS、SiO、SiO2 、ITO、ZrC、TiC、
MgF2 、MgO、BeO、ZrO2 、Y2 3 、Al
2 3 、Al2 3 /Ta2 5 、SiAlON、Al
N、Si3 4 、SiCN:Hなどが用いられる。有機
樹脂保護膜としては、重合性モノマーおよびオリゴマー
を主成分とする光硬化性樹脂組成物や熱光硬化性樹脂組
成物を用いることができる。膜厚は50〜1000nm
が望ましい。
【0040】回転粒子層13の画像はまた、上記の電気
配線層21によって形成するだけでなく、支持体11の
反対側すなわち画像を見る側から形成することも可能で
ある。たとえばコイル中に鉄心を設けてペン先とした磁
気ペンにより、画像形成することも可能である。ペン先
はある方向の通電時のみ書き込みが可能で、これとは逆
の方向に通電した場合は、画像を消すことができるよう
に、磁気粒子12の着磁設定との組み合わせで可能であ
る。円筒状の細い永久磁石をペン先とした場合は、先端
を機械的に反転する必要があり不便であるが、電磁石を
用いた場合は、ボタン操作により容易に磁界方向を逆転
させることができる。
【0041】なお、磁気ペンの移動すなわち追記動作に
よって画素部に磁界が発生した場合、電気配線層21に
電流が流れる。この電流を検知する電流検知器を各配線
端に配置すれば、タッチパネルなどの画像検出素子を特
別に配置しなくても、低コストで容易に追記画像を表示
と同時に記録することができる。
【0042】磁気粒子12は前にも述べたように、白黒
だけでなく、さらにR、G、Bの格色に着色することが
できるので、電気配線層21によって発生する磁場によ
って粒子回転を制御することによって、カラー画像も可
能となる。この場合白黒とRGBの各色に配色された磁
気粒子12は、保磁力や磁性の種類(反強磁性など)を
変えて配置することも可能である。
【0043】また、表示素子最表面には、素子表面の保
護と支持体の機能を併せ持つ透明層である支持体11が
設けられる。この支持体11を通して、磁気粒子12に
よって作られた画像コントラストを観察することにな
る。この場合、支持体11の表面側で反射した光は、画
像を乱す要因となる。したがって、この反射光発生を防
止するための反射防止膜を設けることにより、より鮮明
な画像を得ることができる。反射防止膜に用いられる材
料は、透明でかつ熱的に安定な物質が適し、例えば金属
や半金属の酸化物、窒化物、カルコゲン化物、フッカ
物、炭化物、およびこれらの混合物であり、具体的には
SiO2 、SiO、Al2 3 、GeO2 、In
2 3 、Ta2 5 、TeO2 、TiO2 、MoO3
WO3 、ZrO2 、Si3 4 、AlN、BN、Ti
N、ZnS、CdS、CdSe、ZnSe、ZnTe、
AgF、PbF2 、MnF2 、NiF2 、SiCなどの
単体あるいはこれらの多層膜である。各膜厚は5〜20
0nm、好ましくは5〜30nmの範囲にするのがよ
い。膜は各種のPVD、CVD法を用いて形成される。
【0044】また、回転粒子層13が形成される透明な
支持体11と、電気配線層21が形成される支持体17
には、プラスチック材料を用いる。これは表示素子全体
を軽く、薄くするためであるが、プラスチック材料は熱
や湿度による伸縮が大きい。一度表示した画像は、温度
や湿度の影響を受けて画素位置がずれる。このずれは大
きな画面になる程大きくなる。新たな画像を同一表示素
子に表示する場合、もとの電気配線層21の画素位置と
異なると、上書きできない画像部位が生ずる。したがっ
て、表示層である回転粒子層13と書き込み層である電
気配線層21の間で温度や湿度によるずれを生じさせな
いために、回転粒子層13の支持体11と、電気配線層
21の支持体17には、同一プラスチック材料を用いる
ことが好ましい。これによって、画像書き換え時に、支
持体の伸縮による画像ずれが生じるのを防ぐことがき、
電気配線層21による書き換え不可の画像の発生を極力
抑えることができる。
【0045】上記の説明からも明らかなように、本実施
の形態においては、軽量、薄型で、また多少の変形が有
っても破壊することなく、省電力で高精細な画像形成が
可能で、画像上から追記も可能な磁気粒子回転型表示素
子を得ることができる。特に、従来メモリー層は柱状で
素子厚は厚かったが、垂直磁気異方性を有する薄い膜を
用いることにより、装置全体を薄く軽くすることが可能
となった。また、磁気粒子回転を支援するメモリー層を
回転粒子層に近接して設置することで、磁気粒子回転は
数ガウスの磁界強度で可能であるため、メモリー層を磁
化する電気配線層の電流値は最大でも100mA以下、
通常は10mA以下で十分となり、より省電力で精度よ
く画像を表示することが可能となった。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。実施例1 平均粒子径が0.2μmであるFe3 4 の超微粒子
を、ポリエチレン溶解液に分散した。この分散液を、約
100℃程度に加熱され30000RPMで回転中の周
辺端部が歯形状の円板に滴下した。この回転円板にぶつ
かって飛散した粒子は急冷され、表面エネルギーを下げ
るように真球状に丸くなった。この粒子をドラムに捕集
し、平均粒子径が15μm、最大粒子径が30μmのF
3 4 /ポリエチレン混合(体積比で1/1)黒色微
粒子を得た。
【0047】この真球に近い球形の混合微粒子を、市販
の粘着シート上に1層だけとなるように散布した後、空
隙をさらに微粒子で充填して固定した。この固定粒子上
に真空蒸着法を用いて、アルミニウム薄膜を約100n
mの厚みに形成した。アルミニウム膜は混合微粒子の上
半分(白色面積約50%)に形成され、下半分には被着
されていない。シート上の粒子は微粒子のため、メタリ
ックな色でなく、いわゆる白色に観察できた。VSM
(振動試料型磁力計)で測定した保磁力は108Oe、
残留磁化は67emu/gであった。この粒子固定シー
トをそのまま、電磁石のポールピース間に配置し、10
0ガウスの磁界を印加して白色と黒色の中心を結ぶ線と
磁化の方向が揃うように磁化した。ついで、各磁気粒子
をシートから剥離した。
【0048】上記磁気粒子を55℃のゼラチン水溶液に
入れ撹拌した。この溶液にアラビアゴムを加え、PHを
下げて酸性にし、さらに液温を20℃以下に下げて、ゼ
ラチン/アラビアゴムの重合体膜を生成し、硬化してマ
イクロカプセルを形成した。このマイクロカプセルをシ
リコンオイル中に浸漬して、マイクロカプセルと磁気粒
子の間にシリコンオイルをしみ込ませ、カプセル内で磁
気粒子が回転できるようにした。マイクロカプセルを通
して白黒の色を確認できた。
【0049】次に、厚さ100μmのポリカーボネート
基板の片面に、厚み100nmのMgOの反射防止膜を
真空蒸着法で設け、もう一方の面に紫外線硬化樹脂をコ
ーティングした。上記作製したマイクロカプセルの水溶
液を、ポリカーボネート基板の紫外線硬化樹脂塗布面に
垂らして、1層のみの厚みでマイクロカプセルが配列す
るように振動を加えた。この後、紫外線硬化樹脂にUV
光を照射して硬化させ、各マイクロカプセル位置を固定
して画像表示部を作製した。
【0050】次に、厚さ20μmのポリカーボネートフ
ィルム上に、TbFeCoをターゲットとしてスパッタ
法を用いて、厚さ0.5μmの垂直磁化膜を形成した。
垂直方向磁界を印加して測定した保磁力は180Oeで
あった。垂直異方性磁界は4.5KOeであった。この
膜上に同様にスパッタ法を用いて、厚さ100nmのS
iNの保護膜を形成した。このようにして作製したメモ
リー層の保護膜の上に接着剤を用いて前記画像表示部の
ポリカーボネート基板を外側にして重ねて貼着した。
【0051】次に、厚さ100μmのポリカーボネート
基板の片面に10nm厚のNi膜をスパッタ法で設けた
後、5μm厚の銅膜をメッキ法で形成した。この銅膜を
フォトリソグラフィー法でパターニングし、エッチング
法で銅配線を形成した。配線パターンは3ターンのコイ
ル状とした。またコイル間すなわち画素間のピッチは1
27μm(200dpi)とした。この後、さらにスパ
ッタ法で配線パターン上に約100nm厚のSiN膜を
保護層として設けた。各配線端には、XとY方向の配線
の交点に順次1つずつコイルによる磁界が発生するよう
な駆動回路を設けた。以上のようにして作製した電気配
線層を、マイクロカプセルを配列した画像表示部とメモ
リー層との張り合わせ品に図1のように重ねて一体化し
た後、端部を樹脂でシールして表示素子を作製した。
【0052】ついで、各電気配線に駆動回路を用いて順
次電流を流した。電流は各コイル(画素)上の磁気粒子
の磁極とは反発するように、方向を制御した。磁気粒子
は回転して黒色を示した。同様にして各画素に白黒への
移動を生じさせてコントラストを得て白黒画像を得るこ
とができた。画像は透明支持体の表面での反射光によっ
て、ちらついて見えることもなく鮮明で、繰り返し表示
させることができた。また、磁気粒子の凹凸は気になら
なかった。形成した画像は書き換えるまで半永久的に消
えることがなかった。
【0053】さらに、直径0.8mm、長さ15mmの
鉄棒に、コイルを形成して電磁石とし、電池とスイッチ
によって、電流が正負の両方向に流れるようにして、画
像表示部の透明支持体の上から像を記入することができ
る磁界発生用磁気ペンを作製した。上記表示素子の電気
配線層に電流を流して画像形成した後、該磁気ペンに正
方向に電流を流して、透明支持体上からペンを走らせ画
像を消去した。また、負方向に電流を流して、新たに線
画像を追加した。画像表示部の透明支持体と電気配線層
の支持体には、同一材料のポリカーボネート基板を用い
たので、画像書き換えできなかった部位が少なく、画像
が鮮明であった。
【0054】実施例2 実施例1において、磁気粒子として、Fe3 4 /ポリ
エチレン混合粒子の代わりに、平均粒子径15μmのF
3 4 の黒色磁性体微粒子を用い、磁気粒子間のくっ
つきを防止するために、マイクロカプセルの厚みを約2
倍になるようにした。他は実施例1と同様にして表示素
子を作製した。電気配線に電流を流して得た画像は鮮明
であった。また、実施例1の磁気回転粒子より約2倍に
飽和磁化が増大した分、粒子重量の増大にもかかわら
ず、粒子回転トルクが増大してより少ない電流値で回転
が可能になり、省電力化を図ることができた。
【0055】実施例3 実施例1において、平均粒子径0.2μmのFe3 4
の超微粒子の代わりに平均粒子径0.2μmのFe4
の黒色磁性体微粒子を用い、Fe4 N/ポリエチレンの
混合粒子を磁気粒子として作製した。また、磁気粒子間
のくっつきを防止するために、マイクロカプセルの厚み
を約2倍になるようにした。他は実施例1と同様にして
表示素子を作製し、電気配線に電流を流して得た画像は
鮮明であった。また、実施例1の磁気回転粒子より約2
倍に飽和磁化が増大した分、粒子回転トルクが増大して
より少ない電流値で回転が可能になり、省電力化を図る
ことができた。
【0056】実施例4 100μm厚のポリカーボネート基板の両面上に、5μ
m厚の銅膜を真空蒸着法で作製し、この銅膜をフォトリ
ソグラフィー法でパターニングし、エッチング法で銅配
線を形成した。配線パターンは図2のように基板の縦と
横にほぼ直角に格子状に設けた。上記配線パターンは裏
面と表面では90度回転させて作製し、格子の中心の磁
界強度が最大になる分布を示した。これを電気配線層と
して用い、他は実施例1と同様にして表示素子を作製し
た。電気配線に電流を流して得た画像は鮮明であった。
【0057】実施例5 100μm厚のポリカーボネート基板の両面上に、5μ
m厚の銅膜を真空蒸着法で作製し、この銅膜をフォトリ
ソグラフィー法でパターニングし、エッチング法で銅配
線を形成した。配線パターンは図3のようにカタカナの
コの字の形状とした。上記配線パターンは裏面と表面で
は90度回転させて作製し、コの字の中心の磁界強度が
最大になるように位置を合わせた。これを電気配線層と
して用い、他は実施例1と同様にして表示素子を作製し
た。電気配線に電流を流して得た画像は鮮明であった。
【0058】実施例6 シリコンウェハの上に、電気メッキのためのPt層を設
けた。この上にCVD法で約20μm厚のSiO2 の膜
を作製した。この上にPMMA(ポリメチルメタクリレ
ート)をスピンコート法で設けた。ついで格子状の孔パ
ターンをPMMA上に露光した後、PMMA上にCr層
を蒸着法などで設けた。反応性イオンエッチングを用い
てPMMAとCr層に孔を作製した。ついで、このよう
にして規則的に形成された孔中に、実施例1で作製した
Fe3 4 /ポリエチレン混合黒色微粒子を入れ、20
μm厚のPMMAフィルムを張り付けて覆った。20μ
m厚のPMMAフィルム側に、実施例1と同様にしてメ
モリー層および電気配線層を設けて、表示素子を作製し
た。電流を流した場合の画像は鮮明であった。
【0059】比較例1 実施例1の透明支持体/回転粒子層/メモリー層/電気
配線層の構成に対して、メモリー層と電気配線層の位置
を入れ替えて、透明支持体/回転粒子層/電気配線層/
メモリー層の構成にして、あとは実施例1と同様にして
表示素子を作製した。実施例1と同様の電流を電気配線
層に流したが、回転粒子層とメモリー層の間が大きくな
り、回転粒子層の磁気粒子を回転させる磁界の強度が減
少して、画像コントラストは実施例1の半分程度であっ
た。
【0060】比較例2 実施例1のメモリー層をフェライトと樹脂の混合(体積
比8/2)塗布層とした。膜厚を厚くして、表面磁束密
度を実施例1と同じとした。膜は等方的な磁気特性を示
した。その他は実施例1と同様にして表示素子を作製し
た。電気配線に電流を流したところ、メモリー層の磁界
方向が膜面に平行な成分が多いため、磁気粒子の回転角
にバラツキが多くなり、画像はボケたものとなった。ま
たメモリー層厚が厚くなったため、電気配線層の発生磁
界がメモリー層磁化にとって不足して、従って粒子の回
転角が不十分となり表示画像は不鮮明であった。
【0061】比較例3 実施例1において、磁気粒子の粒径を5μm、32μ
m、46μmとした以外は、まったく同様にして表示素
子を作製した。粒子径が大きい磁気粒子を用いたものほ
ど画像の鮮明さがなくなり、32μm、46μm径の磁
気粒子による画像は、明らかに5μm、15μm径の磁
気粒子による画像よりも見ずらいものであった。
【0062】比較例4 実施例1において、磁性体超微粒子とポリマーからなる
磁気粒子を透明なマイクロカプセル中に封入した後、こ
のマイクロカプセルと微粒子間にシリコンオイルを浸漬
しないでポリカーボネート基板に配置した。その他は実
施例1と同様にして磁界を加えても、カプセル内で粒子
が回転せず、画像は表示されなかった。
【0063】
【発明の効果】上述したように、請求項1の発明によれ
ば、メモリー層を垂直磁気異方性膜によって形成し、画
像表示層に近接して配置することにより、低消費電力で
鮮明な画像表示が可能な軽量薄型の表示素子を得ること
ができる。
【0064】請求項2の発明によれば、磁気粒子の平均
粒子径を5μm〜30μmとすることにより、高分解能
の画像を表示することができる。
【0065】請求項3の発明によれば、画像表示層にお
いてマイクロカプセルに内包した磁気粒子を配列するこ
とにより、磁気粒子に回転機能が付与され、磁界によっ
て鮮明な画像を表示することができる。
【0066】請求項4の発明によれば、画像表示層にお
いて透明の板に規則的に設けた孔の中に磁気粒子を封入
することにより、磁気粒子に回転機能が付与されるとと
もに、より規則的に磁気粒子を配列することができ、解
像度の高い画像を表示することができる。
【0067】請求項5の発明によれば、磁気粒子の半球
ずつ色分けした一方を白色とすることにより、白黒画像
またはカラー画像を容易に表示することができる。
【0068】請求項6の発明によれば、飽和磁化の大き
な窒化鉄を磁気粒子の磁性体に用いることにより、磁気
粒子に大きな回転トルクが得られ、少ない電流値で画像
を形成することができる。
【0069】請求項7の発明によれば、電気配線層の配
線パターンを絶縁層を挟んで格子状に設けることによ
り、低コストの製作費で容易に画素単位に磁気粒子の回
転を制御することができる電気配線層を得ることができ
る。
【0070】請求項8の発明によれば、電気配線層の隣
り合う平行な導電性配線の電流が互いに逆方向に流れる
よう配線2本1組で電流制御することにより、配線パタ
ーンによって絶縁層を挟んで形成される格子の中心に大
きな回転磁界を得ることができ、少ない電流値で画像を
形成することができる。
【0071】請求項9の発明によれば、電気配線層の各
導電性配線に絶縁層を介して交差する部位にコの字が重
なるようなコイル形状を形成することにより、コの字の
中心に大きな回転磁界を得ることができ、少ない電流値
で画像を形成することができる。
【0072】請求項10の発明によれば、画像表示層の
透明支持体に反射防止膜を形成することにより、画像の
ちらつきを抑制して鮮明な画像を観測することができ
る。
【0073】請求項11の発明によれば、画像表示層の
透明支持体と電気配線層の支持体を同一材料とすること
により、画像表示層と電気配線層との間で温度変化や湿
度変化によるずれを抑制することができ、書き換え時の
画像ずれを防いで鮮明な画像を形成することができる。
【0074】請求項12の発明によれば、画像表示層の
透明支持体の上から磁気粒子を回転可能な磁気ペンを用
いることにより、手書きで任意に画像を追加したり、消
去したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の磁気粒子回転型表示素
子を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる電気配線による磁界発生方法を
説明する図である。
【図3】本発明にかかる電気配線による磁界発生方法を
説明する図である。
【図4】従来技術のMPDの構成例を示す図である。
【符号の説明】
1……回転粒子 2、13……回転粒子層 3、21……電気配線層 4、15……メモリー層 6……マイクロカプセル 11、16、17、22……支持体 12……磁気粒子 14、19、20……保護膜 18a、18b……電気配線

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転により色替え可能に色分けされ着磁
    された磁気粒子が透明支持体上に回転可能に配列される
    画像表示層と、 前記画像表示層の画素単位に前記磁気粒子を回転させる
    磁界を発生する電気配線層と、 前記画像表示層と電気配線層の間に介挿され、前記電気
    配線層によって磁化され前記画像表示層の磁気粒子に磁
    界を付与する垂直磁気異方性を有するメモリー層とを具
    備することを特徴とする磁気粒子回転型表示素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記磁気粒子の平均粒子径が5μm〜30μ
    mの範囲にあることを特徴とする磁気粒子回転型表示素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記磁気粒子が透明なマイクロカプセル内に
    回転可能に潤滑性液体とともに封入されていることを特
    徴とする磁気粒子回転型表示素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記磁気粒子が透明の板に規則的に設けた孔
    の中に封入されていることを特徴とする磁気粒子回転型
    表示素子。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記磁気粒子が半球ずつ2色に色分けされ、
    一方の色が白色であることを特徴とする磁気粒子回転型
    表示素子。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記磁気粒子が窒化鉄を含有することを特徴
    とする磁気粒子回転型表示素子。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記電気配線層が、絶縁層を介して互いに直
    交する方向にそれぞれ導電性配線が平行に画素ピッチで
    設けられた一対の配線パターン層を有することを特徴と
    する磁気粒子回転型表示素子。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記電気配線層が、隣り合う平行な導電性配
    線の電流が互いに逆方向に流れるよう制御されることを
    特徴とする磁気粒子回転型表示素子。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素子
    において、前記電気配線層が、絶縁層を介して互いに直
    交する方向にそれぞれ導電性配線が画素ピッチで設けら
    れてなるとともに、各導電性配線が、前記絶縁層を介し
    て交差する部位にコの字が重なるようなコイル形状を有
    することを特徴とする磁気粒子回転型表示素子。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素
    子において、前記画像表示層の透明支持体に反射防止膜
    が形成されていることを特徴とする磁気粒子回転型表示
    素子。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素
    子において、前記画像表示層の透明支持体と前記電気配
    線層の支持体が同一材料で構成されていることを特徴と
    する磁気粒子回転型表示素子。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の磁気粒子回転型表示素
    子において、前記画像表示層の透明支持体の上から前記
    磁気粒子を回転させる磁界を発生する磁気ペンを具備す
    ることを特徴とする磁気粒子回転型表示素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040002587A (ko) * 2002-06-18 2004-01-07 제이에스알 가부시끼가이샤 반사 방지막 및 그것을 갖는 표시 소자
US8020326B2 (en) 2006-09-27 2011-09-20 Tred Displays Corporation Magneto-optical display elements
KR101503812B1 (ko) * 2008-08-29 2015-03-19 엘지이노텍 주식회사 마그네틱을 이용한 입출력 일체형 표시 장치 및 그 방법

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