JP2002000584A - 関節可動域検査訓練システム - Google Patents

関節可動域検査訓練システム

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JP2002000584A
JP2002000584A JP2000181613A JP2000181613A JP2002000584A JP 2002000584 A JP2002000584 A JP 2002000584A JP 2000181613 A JP2000181613 A JP 2000181613A JP 2000181613 A JP2000181613 A JP 2000181613A JP 2002000584 A JP2002000584 A JP 2002000584A
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joint
range
motion
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measurement
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JP2000181613A
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English (en)
Inventor
Masabumi Yoshizawa
正文 吉澤
Hiroyuki Yoshida
裕之 吉田
Eiji Fukumiya
英二 福宮
Takaaki Nishi
隆暁 西
Shogo Hamazaki
省吾 濱崎
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Japan Science and Technology Agency
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リハビリテーション患者の関節可動域の検査
・訓練に関し、短時間で容易に正確な測定ができる関節
可動域検査訓練システムを提供する。 【解決手段】 被験者の複数の身体部位の位置を測定す
る身体部位位置計測手段と、あらかじめ定義された算出
式に基づき、測定した身体部位の位置から対応する関節
の角度を求める関節角度算出手段107と、関節角度か
ら基準方向に対する関節の可動域を求める可動域算出手
段110とを備える。験者がいなくとも、測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リハビリテーショ
ン患者の関節可動域の検査、訓練に関して、短時間で容
易に正確な測定ができる関節可動域検査訓練システムに
関するものである。なお、本明細書では、リハビリテー
ション患者など関節可動域の検査、訓練を受ける者を
「被験者」といい、このような検査、訓練を被験者に対
して実施する者(例えば、医師、療法士等)を「験者」
という。
【0002】
【従来の技術】関節可動域の検査においては、次のよう
な従来技術がある。
【0003】第1案として、実開昭50−144488
号公報に記載されているような、アナログ式ゴニオメー
ターを利用することが考えられる。これによるときは、
験者が、アナログ式ゴニオメーターを被験者の測定した
い関節部位に当て、目視でアナログ式ゴニオメーターの
目盛りを読み、図10に示すような、ROM―T表に記
入する。
【0004】第2案として、実開平5−74503号公
報に記載されているような、医療用携帯型ディジタル式
ゴニオメーターを用いることが考えられる。このゴニオ
メーターは、ゴニオメーターを構成するアームの回動量
を検出する角度検出器を備えており、その出力を信号処
理して角度としてディジタル的に表示するものである。
したがって、験者が、ディジタル式ゴニオメーターを被
験者の測定したい関節部位に当てれば、験者は、角度を
即座に読み取れる。
【0005】第3案として、特開平9−273946号
公報に記載されているような、動作解析装置を利用する
ことが考えられる。この装置は、被験者の関節等につけ
たマーカの位置を画像処理によって計測し、追跡結果を
一旦記録する。そして、験者が計測結果に所定の指示を
与えることにより、被験者の動作を3次元的に解析す
る。
【0006】この動作解析装置の動作を、図9を参照し
ながら、説明する。まず、動作の測定時においては、被
験者の所定位置にマーカなどの測定対象を取付け、被験
者にビデオカメラ101の前で動作させる。このとき、
図9(a)に示すように、複数台のビデオカメラ101
で測定対象の映像を撮影し、ビデオカメラ101の出力
を映像信号変換手段102によって順次デジタル化し、
メモリ103に蓄積する。
【0007】次に、座標計測手段105が、メモリ10
3に蓄積された各カメラ101毎の撮影画像に基づい
て、測定対象の画像内での二次元座標を求める。ここ
で、測定対象が複数ある場合には、色情報等に基づいて
各測定対象を識別して各測定対象の二次元座標が求めら
れる。
【0008】さらに、座標計測手段105は、各カメラ
101毎の撮影画像に対して求めた測定対象の画像内二
次元座標と、あらかじめ測定された各カメラ101の位
置情報とから、三角測量の原理に基づいて、測定対象の
三次元座標を求め、求められた結果が、計測結果表示手
段191によってディスプレイ等に三次元座標として表
示され、あるいは測定対象の軌跡として表示される。ま
た、同時に三次元座標の履歴が撮影画像データと共に計
測結果記録手段192に記録される。
【0009】そして、このような記録が終了した後に、
動作の解析が行われる。即ち、図9(b)に示すよう
に、測定後、験者が解析対象入力手段193を用いて、
解析の対象とする測定対象とその解析方法を指定する。
例えば、3つの測定対象点に対して、それらが成す角度
を求めたいとすると、験者は、測定結果が表示されてい
る画面上で測定対象点を順に指定し、解析方法として角
度算出を指定する。
【0010】すると、動作解析手段194が、計測結果
記録手段192に記録されたデータから必要なデータを
抽出して、指定された解析を行い、解析結果表示手段1
95が、その結果を験者に表示する。
【0011】この装置を用いると、例えば被験者の複数
の関節位置にマーカをつけておき、マーカの動作を測定
しているので、被験者の各関節の座標の履歴を記録して
いることとなり、記録が完了した後に、験者が、関節の
組合せとそれらの関節が成す角度を算出するように指定
することで、関節の可動域を測定できる。
【0012】一方、関節可動域の測定ではなく、その訓
練においては、特開平11−164859号公報に記載
されているように、関節に負荷をかけて強制的に運動を
行なわせる、他動的関節可動域訓練を行う訓練機器が多
数開発されている。
【0013】しかしながら、他動的でなく、被験者が、
験者がいなくとも、自主自立して運動を行う、自動的関
節可動域訓練に関しては、滑車等の簡単な器具を用いて
関節の回転運動を単純に繰り返し行わせるか、あるいは
ボール等を被験者の周囲に置き、それに触れる動作を行
わせるなどの訓練が行われているに過ぎない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】第1案の、アナログ式
ゴニオメーターの利用においては、測定に手間や時間が
かかり、測定の仕方や験者の固有の癖によって、測定値
にばらつきが生じてしまう。
【0015】第2案の、ディジタル式ゴニオメーターの
利用においては、第1案に対して、目盛りの読み取り精
度だけは高くなったものの、アームを機械的に当てる点
は全く変わらないから、第1案同様に、測定の手間がか
かるし、測定値にばらつきを生じやすい。
【0016】第3案の、動作解析装置の利用において
は、マーカの位置をほぼ正確に測定することができる。
しかしながら、可動域を求めるには、験者が、計測が済
んだ後で、解析対象入力手段193に所定の指示を与え
なければならず、簡易に可動域を測定することができな
い。
【0017】加えて、これら従来の測定装置は、験者
が、被験者の能力を把握するために用いることを前提と
している。したがって、被験者が、験者がいない状態
で、ひとりで自らの能力を簡便に把握することができな
い。特に、被験者は、傷害又は疾病などにより、体の自
由が利かなくなっている場合が多く、被験者に、第1案
から第3案の技術で測定させようとするのは、酷に過
ぎ、非現実的である。
【0018】また、従来の関節可動域の訓練において
は、訓練目標の設定が、験者の経験や認識に任されてお
り、被験者の自主的な機能回復訓練の支援に適用するこ
とは、非常に困難である。
【0019】そこで本発明は、験者がいなくとも、被験
者が自主的に関節可動域の測定や機能回復訓練を行える
ように、被験者を支援できる関節可動域検査訓練システ
ムを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明では、被験者の関
節の動きを特徴付ける複数の身体部位の位置を測定する
身体部位位置計測手段と、関節毎にあらかじめ定義さ
れ、身体部位の位置から対応する関節の角度を求める算
出式に基づき、測定した身体部位の位置から対応する関
節の角度を求める関節角度算出手段と、求めた関節角度
から、あらかじめ定義された基準方向に対する関節の可
動域を求める可動域算出手段とを備える。
【0021】この構成により、験者がいなくとも、被験
者が自主的に関節可動域の測定や機能回復訓練を行える
ように、被験者を支援できる関節可動域検査訓練システ
ムを実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1から図8を用いて説明する。
【0023】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の
形態1によるシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本形態の関節可動域検査訓練システ
ムは、次の要素を有する。
【0024】まず、複数台のビデオカメラ101は、被
験者の動作を撮影する。画像信号変換手段102は、ビ
デオカメラ101からの映像信号をデジタル変換してデ
ジタル画像を順次生成する。
【0025】メモリ103は、画像信号変換手段102
が生成するデジタル画像を順次蓄積する。測定対象情報
保持手段104は、被験者の身体部位をデジタル画像か
ら抽出するために必要なデータを保持する。
【0026】座標計測手段105は、測定対象情報保持
手段104が保持する測定対象に関するデータに基づ
き、メモリ103に蓄積されたデジタル画像から被験者
の複数の身体部位の空間位置を算出する。関節角度算出
式保持手段106は、関節毎にあらかじめ定義された身
体部位の組合せと関節角度の算出式を保持する。
【0027】関節角度算出手段107は、関節角度算出
式保持手段106が保持する関節角度算出式に基づき、
座標計測手段105が算出する被験者の身体部位の空間
位置から被験者の各関節の関節角度を算出する。
【0028】関節角度履歴保持手段108は、関節角度
算出手段107が算出する関節角度の履歴を保持する。
可動域算出条件保持手段109は、可動域の測定項目毎
にあらかじめ定義された各関節の関節角度から可動域を
算出するための条件を保持する。
【0029】可動域算出手段110は、可動域算出条件
保持手段109が保持する条件に基づき、関節角度履歴
保持手段108が保持する関節角度の履歴から各関節の
可動域を算出する。
【0030】測定項目指定手段112は、験者からの指
定に基づき、座標計測手段105、関節角度算出手段1
07、可動域算出手段110に対して、算出すべき対象
を設定する。可動域出力手段111は、可動域算出手段
110が算出した各関節の可動域の値を出力する。
【0031】以下、さらに詳細に説明する。身体部位位
置計測手段100は、被験者の、関節の動きを特徴付け
る身体部位の動きを測定する部分であり、ビデオカメラ
101と、画像信号変換手段102と、メモリ103
と、測定対象情報保持手段104と、座標計測手段10
5とを含む。
【0032】身体部位の位置を計測するには、様々な動
作解析手法を利用することができる。例えば、光学セン
サを用いたものや磁気センサを用いたものがあり、光学
センサを用いたものはさらに、赤外線カメラと反射型マ
ーカを利用したもの、可視光レベルでCCDカメラと色
マーカを利用したもの、CCDカメラで撮影したシルエ
ットを解析するものなどに分けられるが、身体の特定部
位の位置を追跡できるものであれば、いずれを利用して
も構わない。
【0033】ここでは、図1、図2に示すように、可視
光レベルでCCDカメラと色マーカを用いる。このよう
な動作解析手法では、図1に示すように、通常、2台以
上のビデオカメラ101を備えて測定対象を撮影し、そ
の撮影映像をデジタル化した信号を計算機を用いて解析
する。これにより、測定対象に付けられたそれぞれ色の
異なる複数のマーカ(身体位置)の空間位置を求めるこ
とができる。
【0034】可動域測定においては、可動域を測定した
い関節に対してその関節の周囲にそれぞれ色の異なるマ
ーカを貼り付けることによって、関節の動きに応じた周
辺部位の動きを追跡することができる。貼り付けたマー
カの色情報は、測定対象情報保持手段104が保持して
おり、座標計測手段105が測定する部位毎に必要な情
報を取り出し、画像からマーカ領域を抽出するために利
用する。
【0035】本例では、可動域の測定対象とする関節毎
に、あらかじめマーカを取り付ける位置を決めておく。
ただし、取り付け位置の組合せは、1つに限定されるも
のではない。
【0036】例えば、肘の関節における可動域を測定す
る場合には、図3に示すように、肩(肩峰、肩甲骨を挟
んだ体の胸側及び背側)、肘(橈骨頭、肘頭)、手首
(橈骨茎状突起、尺骨茎状突起)の7個所にマーカをつ
けても良いし、あるいは上腕骨を挟んだ2個所、肘の2
個所(橈骨頭、肘頭)、及び前腕の尺骨と橈骨のそれぞ
れ途中の2個所の計6個所につけても良く、体の部位の
向きを特定するのに充分な位置、数が付けられていれば
良い。
【0037】身体部位位置計測手段100は、こうして
求めた各マーカの空間位置を、マーカが取り付けられた
身体部位の空間位置として出力する。
【0038】また、関節角度算出式保持手段106に
は、測定対象とする関節に対して、あらかじめ関節の周
辺に取り付けるべきマーカの空間位置から関節角度を算
出する算出式が定義されてされている。関節角度算出手
段107は、その算出式に身体部位位置計測手段100
が求めたマーカの空間位置を代入することにより、実際
の関節角度を求める。
【0039】この関節角度は、基準となる部位(以下
「基本部位」という)に対して運動させる部位(以下、
「移動部位」という)がどれだけ回転しているかを示す
ものであり、3自由度を持つ。基本部位、移動部位のそ
れぞれに、XYZの直交座標系を設定すると、各軸まわ
りの相対的な回転量で表わすことができる。
【0040】基本部位に設定する座標系の正規化された
各軸ベクトルを、Xr,Yr,Zrとし、移動部位に設
定する座標系の正規化された各軸ベクトルをXm,Y
m,Zmとおく。基本部位座標系と移動部位座標系との
間の回転を、各軸まわりの回転角度をロールピッチヨー
角(Φ,Θ,Ψ)で表わすと、各軸ベクトルXm,Y
m,Zmは、回転行列Rを用いて、次式で表せる。
【0041】
【数1】
【0042】またここで、
【0043】
【数2】
【0044】である。(数2)を変形すると、
【0045】
【数3】
【0046】となる。各座標系の軸ベクトル[Xr Y
r Zr ]、[Xm Ym Zm]はそれぞれ、各部
位のワールド座標系に対する傾きであり、身体につけた
マーカの位置から求まるので、これらの式を解くことに
より、基本部位に対する移動部位の各軸まわりの回転角
度(Φ,Θ,Ψ)を算出できる。
【0047】例えば、左肘の関節角度を求める場合、基
本部位を上腕、移動部位を前腕とし、図3に示すような
座標系を設定する。図3に示すように、肩(肩峰、肩甲
骨を挟んだ体の胸側及び背側)、肘(橈骨頭、肘頭)、
手首(橈骨茎状突起、尺骨茎状突起)の7個所にマーカ
がつけられている場合、それぞれの座標系を表わす各軸
のベクトルは、次のようにして求められる。
【0048】まず、基本部位(上腕)の座標系につい
て、原点を、肩につけた3つのマーカが構成する三角形
の重心(各頂点の二等分線の交点)とする。Xr軸を、
肩甲骨を挟む2個のマーカを結ぶベクトル(背面側から
正面側に向かうベクトル)に平行で、かつ原点を通るベ
クトルを正規化したベクトルとする。Yr軸を、Xr軸
ベクトルとZr軸ベクトルの外積ベクトルを正規化した
ベクトルとする。Zr軸を、原点から、肘の2マーカの
中点を結ぶベクトルを正規化したベクトルとする。
【0049】また、移動部位(前腕)の座標系につい
て、原点を、肘の2マーカ(肘頭、橈骨頭)の中点とす
る。Xr軸を、肘頭のマーカ中心から橈骨頭のマーカ中
心を結ぶベクトルを正規化したベクトルとする。Yr軸
を、Xr軸ベクトルとZr軸ベクトルの外積ベクトルを
正規化したベクトルとする。Zr軸を、原点から、手首
の2マーカ(尺骨茎状突起、橈骨茎状突起)の中点を結
ぶベクトルを正規化したベクトルとする。
【0050】この定義に基づき、身体部位位置計測手段
100から出力される各マーカの空間位置の値を用い
て、各軸ベクトルの値を決定すれば、(数1)から(数
3)により、基本部位に対する移動部位の回転角度を求
めることができる。
【0051】次に、可動域算出条件保持手段109およ
び可動域算出手段110について詳述する。さて、可動
域とは、身体部位の運動を行ったときに関節を回転させ
ることができる範囲である。被験者の運動の中で関節角
度を逐次測定し、その最大範囲を測定することで可動域
を測定することができる。
【0052】関節の回転は、3自由度で表現できるの
で、図4に示すように、関節角度算出手段107が算出
した関節角度は、Φ軸,Θ軸,Ψ軸で構成する3次元の
関節角度空間内の点で表わせる。被験者が運動を行った
場合には、関節角度の変化は、関節角度空間内の軌跡と
して現れ、さまざまな方向に対して十分な運動を行え
ば、それらの軌跡を包含する空間領域を求めることがで
きる。この関節角度空間において求まる空間領域が、そ
の関節の可動域に他ならず、領域の表面の点が最大可動
域(それ以上動かせない角度)となる。
【0053】一方、関節可動域の検査においては、測定
する部位、項目毎に、基本軸、移動軸、および肢位(被
験者が取る姿勢)が定義されている(例えば、日本リハ
ビリテーション学会「改訂 関節可動域表示法ならびに
測定法」参照)。
【0054】ここで、可動域算出条件保持手段106
は、各関節に関する測定項目毎に、あらかじめ上記測定
法で定義されている測定肢位の情報を保持しており、具
体的にはその肢位を取ったときに、固定すべき軸周りの
回転角度値を保持している。可動域算出手段110は、
その条件の中で自由に動かせる軸周りの回転角度の最大
値を求めることで、関節の最大可動域を算出する。
【0055】例えば、肘については、屈曲および伸展と
いう測定項目があり、その時の基本軸は上腕骨、移動軸
は橈骨、測定肢位として前腕を回外位とすると定義され
ている。屈曲および伸展は、それぞれ人体の矢状面にお
いて2つの部位が近づく運動、遠ざかる運動である。
【0056】左の肘において、図3の座標系を用いれ
ば、測定肢位は、前腕を上腕に対してZ軸周りに90度
回転させた(Φ=90°)状態であり、これが可動域の
算出条件となる(肘はY軸周りには回転できないので常
にΘ=0°)。また、このときのX軸周りの回転角度
が、屈曲および伸展の角度に相当し、右回りの場合(Ψ
>0)が屈曲、左周りの場合(Ψ<0)が伸展となる。
【0057】したがって、関節角度算出手段107の出
力から求まる関節角度空間中の空間領域において、Φ=
90°、Θ=0°におけるΨの正負方向のそれぞれ最大
値を求めれば、これらの最大値が、肘の屈曲および伸展
の最大可動域となる。
【0058】また、図1の測定項目指定手段112は、
関節可動域の測定項目を指定することにより、測定対象
情報、関節角度算出式、可動域算出条件を、各手段10
4,106,109に設定する。
【0059】さらに、可動域出力手段111は、可動域
算出手段110が算出した可動域データを、日付データ
や被験者に関するデータとともに記録装置123に記録
するほか、ディスプレイ等に表示したり、帳票形式等で
紙面に印刷する。
【0060】以下、実施の形態1における、システム全
体の動作について説明する。験者が、測定項目指定手段
112を用いて測定項目を指定すると、測定項目指定手
段112は、座標計測手段105、関節角度算出手段1
07、可動域算出手段110にそれぞれ測定項目を設定
する。座標計測手段105は、測定対象情報保持手段1
04からデータを取り出し、関節角度算出手段107は
関節角度算出式保持手段106から、可動域算出手段1
10は可動域算出条件保持手段109から、それぞれ測
定項目に対応したデータを取り出す。
【0061】具体的には、測定に必要な測定対象情報
(マーカ色のリスト)が座標計測手段105に渡され、
関節角度算出式が関節角度算出手段107に、可動域測
定条件が可動域算出手段110に渡される。
【0062】座標計測手段105は、メモリ103に蓄
積されたデジタル画像に対して、マーカの色情報を用い
て、患者の運動に伴って逐次変化する、マーカの空間位
置を計測し、関節角度算出手段107に渡す。
【0063】関節角度算出手段107は、関節角度算出
式とマーカ位置データとから、移動軸の各軸周りの回転
角度を算出する。算出した値は、逐次、関節角度履歴保
持手段108によって履歴データとして記録される。
【0064】可動域算出手段110は、被験者の運動が
終了した時点で、関節角度履歴保持手段108が保持す
る関節角度の履歴データから、可動域算出の条件であ
る、測定肢位を満たす時の測定対象回転軸周りの回転角
度の範囲を求め、その最大値を測定項目における最大可
動域として決定する。
【0065】そして、可動域出力手段111は、可動域
算出手段110が求めた最大可動域の値を、記録装置1
23に記録し、あるいは可視データとして表示、出力す
る。
【0066】(実施の形態2)図5は、本発明の実施の
形態2によるシステムの構成を示すブロック図である。
本形態では、実施の形態1に対して、測定タイミング入
力手段151を設けた点が異なる。
【0067】この測定タイミング入力手段151によ
り、験者が測定のタイミングを入力すると、可動域算出
手段110は、その時点での関節角度算出手段107の
出力に対して、可動域算出の条件(測定肢位を保ってい
るかどうか)をチェックし、条件を満たしていれば、そ
の時の回転角度の値を可動域として出力する。
【0068】このように、験者が被験者の身体部位を最
大に回転させた時点で、測定の指示を行えば、関節角度
空間における可動域領域を求めることなく、一瞬で最大
可動域を求めることができる。このため、被験者の運動
時間を短縮でき、被験者の疲労を軽減できる。
【0069】(実施の形態3)図6は、本発明の実施の
形態3によるシステムの構成を示すブロック図である。
本形態では、実施の形態1に対し、測定動作指示手段1
61を設けた点が異なる。
【0070】ここで、可動域検査は、通常、測定部位の
ストレッチ動作を行った後、関節を最大に回転させた姿
勢を保持し、その時の関節角度を測定するものである
が、測定動作指示手段161は、被験者がこの関節可動
域検査を一人で行えるように、被験者に適宜指示を与え
るものである。
【0071】具体的には、測定動作指示手段161は、
測定項目および測定動作の案内、ストレッチ開始の指
示、測定動作開始の指示、測定姿勢保持の指示、測定終
了の案内を順に行い、同時に座標計測手段105、関節
角度算出手段107、可動域算出手段110に対して、
その動作を制御する。
【0072】なお、測定動作指示手段161の指示提示
の仕方としては、音声、文字、自然画映像、CG映像な
どのいずれを用いても良い。
【0073】(実施の形態4)図7は、本発明の実施の
形態4によるシステムの構成を示すブロック図である。
本形態では、実施の形態1に対し、訓練目標提示手段1
72と訓練目標設定手段171を設けた点が異なる。
【0074】このうち、訓練目標提示手段172は、可
動域訓練のために、被験者の動作目標を提示する。動作
目標は、被験者の訓練したい身体部位の運動を引き出す
目的のものであれば、どのようなものでもよいが、患者
の身体能力に応じてその目標の提示内容を変更できる構
成とする。
【0075】例えば、腕の関節(肩や肘)の可動域訓練
を行いたい場合、被験者の目の前に天井からボールを吊
るしてその高さを被験者の能力に応じて制御し、そのボ
ールを手で触るように指示することにより、適切な腕の
運動を引き出すことができる。
【0076】あるいは図8に示すように、被験者の目の
前においたディスプレイに、コンピュータグラフィック
技術によって作成した像182を表示したり、ボール1
81と腕を表示する。そして、これらの絵に合わせて、
被験者が腕を動かした時の関節角度を、関節角度算出手
段107で求め、その結果に応じて、画面中の腕を移動
させることにより、画面中のボール181に触るための
腕の動作を引き出すことができる。
【0077】あるいは、あらかじめ可動域検査で測定し
た最大可動域まで動かせた時を100点として、験者が
訓練中に実際に腕を動かした時の関節角度を、関節角度
算出手段107で求め、求めた角度を逐次点数化して画
面に表示するようにしてもよい。
【0078】いずれにしても、このような訓練目標提示
手段172を設けることにより、被験者の訓練に対する
意欲を鼓舞することができる。
【0079】また、訓練目標設定手段171は、測定部
位毎の可動域データに基づき、訓練内容に応じて訓練目
標の提示の仕方を決定する。
【0080】この可動域訓練は、関節の可動域を広げる
ことと、可動域内で関節を滑らかに回転できるようにす
ることを目的としている。そこで訓練目標も、検査時に
測定した最大可動域内での関節の運動を引き出すように
設定する。そのために、可動域検査で測定した最大可動
域の値を基準とし、そこまで関節を動かすことができた
ときに目標達成となるように訓練目標を設定する。
【0081】この時、基準とする最大可動域は、他動検
査(験者が被験者の身体部位を押しながら測定)におけ
る値を用いてもよいし、自動検査(患者が自らの力のみ
で身体部位を動かして測定)における値を用いても良
い。
【0082】また、最大可動域の値をそのまま目標の基
準としてもよいし、あるいはその値に対して一定割合の
値を用いてもよい。最大可動域よりも大きな値を基準と
すればより可動域を広げる方向での訓練となり、小さな
値を基準にとれば最大可動域内での運動を確実なものと
する訓練となる。
【0083】例えば、訓練目標としてボールを提示する
場合には、訓練動作で使う複数の関節の最大可動域の組
み合わせで求まる被験者の手先の到達領域に対して、訓
練目的に応じて、その境界領域(到達に困難を伴う)に
提示するか、あるいは少し内側(比較的容易に到達でき
る位置)に提示するか、あるいは逆に少し外側(到達で
きない可能性が非常に高い)に提示するかを決定する。
【0084】また、最大可動域に対する実際の回転角度
の到達度合いを点数で表示する場合には、100点の基
準を、最大可動域の値そのものを基準とするか、その前
後の値(例えば90%、あるいは110%)を基準とす
るとよい。
【0085】
【発明の効果】請求項1記載の発明では、あらかじめ定
義された規則に基づき可動域を算出するので、験者の手
間をわずらわすことなく、容易に短時間で測定を行うこ
とができる。
【0086】請求項2記載の発明では、被験者の連続し
た運動の様子を測定し、その履歴から測定値を算出する
ので、験者の手を煩わすことなく、自動的に最大可動域
を測定することができる。
【0087】請求項3記載の発明では、験者が指定した
時点の測定値を出力するので、システム任せにするので
はなく、験者が測定したいタイミングで測定を実施する
ことができる。
【0088】請求項4記載の発明では、被験者は指示に
従って動作するだけでよいので、被験者が自分自身で自
己の身体能力を簡便に測定することができる。
【0089】請求項5記載の発明では、検査で得られた
最大可動域の値に基づき目標位置を設定するので、自動
的関節可動域訓練を定量的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるシステムの構成を
示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1において用いる動作解析
装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1によるマーカの取り付け
位置を示す図
【図4】本発明の実施の形態1による身体部位の可動領
域を示す関節角度空間図
【図5】本発明の実施の形態2によるシステムの構成を
示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態3によるシステムの構成を
示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態4によるシステムの構成を
示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態4における訓練目標の提示
内容を示す図
【図9】(a)従来の動作解析装置のブロック図(測定
時) (b)従来の動作解析装置のブロック図(解析時)
【図10】従来使用されているROM−T表の例示図
【符号の説明】
100 身体部位位置計測手段 105 座標計測手段 107 関節角度算出手段 108 関節角度履歴保持手段 110 可動域算出手段 111 可動域出力手段 112 測定項目指定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 裕之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 福宮 英二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西 隆暁 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 濱崎 省吾 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4C038 VA04 VB11 VB12 VB40 VC05 VC20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被験者の関節の動きを特徴付ける複数の身
    体部位の位置を測定する身体部位位置計測手段と、 関節毎にあらかじめ定義され、身体部位の位置から対応
    する関節の角度を求める算出式に基づき、測定した身体
    部位の位置から対応する関節の角度を求める関節角度算
    出手段と、 求めた関節角度から、あらかじめ定義された基準方向に
    対する関節の可動域を求める可動域算出手段とを備える
    ことを特徴とする関節可動域検査訓練システム。
  2. 【請求項2】被験者の一連の動作における関節角度の履
    歴を保持する関節角度保持手段を備え、前記可動域算出
    手段は、前記関節角度保持手段が保持する履歴の中の最
    大値を最大可動域として出力することを特徴とする請求
    項1記載の関節可動域検査訓練システム。
  3. 【請求項3】指示入力手段を備え、前記可動域算出手段
    は、前記指示入力手段に入力があった時点での関節角度
    を最大可動域として出力することを特徴とする請求項1
    から2記載の関節可動域検査訓練システム。
  4. 【請求項4】測定項目、測定動作、測定タイミングを指
    示する測定動作指示手段を備えることを特徴とする請求
    項1から3記載の関節可動域検査訓練システム。
  5. 【請求項5】関節毎に測定された最大可動域の値に基づ
    いて目標の位置を設定する訓練目標設定手段と、設定さ
    れた目標の位置を被験者の可動域訓練のために被験者に
    提示する訓練目標提示手段を備えることを特徴とする請
    求項1から4記載の関節可動域検査訓練システム。
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