JP2001526893A - Tigirrdnaおよびポリペプチド - Google Patents

Tigirrdnaおよびポリペプチド

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JP2001526893A
JP2001526893A JP2000525548A JP2000525548A JP2001526893A JP 2001526893 A JP2001526893 A JP 2001526893A JP 2000525548 A JP2000525548 A JP 2000525548A JP 2000525548 A JP2000525548 A JP 2000525548A JP 2001526893 A JP2001526893 A JP 2001526893A
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polypeptide
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protein
nucleic acid
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シムズ,ジョン,アーネスト
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    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/715Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for cytokines; for lymphokines; for interferons
    • C07K14/7155Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for cytokines; for lymphokines; for interferons for interleukins [IL]

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Abstract

(57)【要約】 TIGIRRポリペプチドをコードするDNA、及びそれによりコードされたポリペプチド、を使用する方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願の相互参照 本出願は、参照により本明細書に組み入れる1997年12月23日出願の米国仮特許
出願第60/068,634号の利益を請求するものである。
【0002】発明の背景 (発明の分野) 本発明は、精製され、単離された新規なTIGIRRポリペプチドおよびそれらの断
片、そのようなポリペプチドをコードする核酸、組換え形態のそのようなポリペ
プチドを生産する方法、これらのポリペプチドに対して産生された抗体、これら
のポリペプチドに由来する断片化ペプチド、およびそれらの使用に関する。
【0003】 (関連技術)1.IL-1およびIL-1R インターロイキン1(IL-1)は、免疫および炎症性応答の媒介を主要な機能と
するサイトカインの大きなグループのメンバーである。IL-1リガンドファミリー
には7つの公知のメンバーがあり、それらはIL-1アルファ(IL-1α)、IL-1ベー
タ(IL-1β)、IL-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、IL-1デルタ(IL-1δ)、
およびIL-18 (以前はIGIFとして、時にはIL-1ガンマとして知られていた)、IL
-1エプシロン(IL-1ε)、およびIL-1ゼータ(IL-1ζ)を含む。マクロファージ
によって分泌されるIL-1は、実際には大部分を占めるIL-1βと若干のIL-1αの混
合物である(Abbasら,1994)。IL-1αおよびIL-1βは、最初はシグナル配列を欠 く33 kD の前駆体として産生され、タンパク質分解切断によってさらにプロセシ
ングされて、それぞれ約17 kD の分泌された活性形態を生じる。さらに、IL-1α
の33 kD 前駆体もまた活性である。IL-1の両形態とも、染色体2上に位置する2
つの異なる遺伝子の産物である。これらの2つの形態は相互の相同性が30% 未満
であるが、それらは同一の受容体に結合し、そして類似した活性を有する。
【0004】 IL-1の生物学的に不活性な形態であるIL-1raは、IL-1に構造的に相同であり、
同一の受容体に結合する。さらに、IL-1raはシグナル配列をもった形で産生され
、このシグナル配列はIL-1raの細胞外領域への効果的な分泌を可能とし、この領
域でIL-1raはIL-1と拮抗的に競合する(Abbasら,1994)。
【0005】 IL-1 I型受容体はIL-1の生物学的効果を媒介する。IL-1αおよびIL-1βに帰 する活性には、炎症性サイトカインの誘導、プロスタグランジン、一酸化窒素、
メタロプロテイナーゼ、接着分子、急性期応答タンパク質の誘導を含む他の炎症
性応答、造血、発熱、骨吸収、ならびにTh2 細胞の増殖および分化が含まれる。
【0006】 IL-1は慢性関節リウマチおよび炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患に関与して
いるとされてきた。IL-1は骨粗しょう症においてある役割を果たすという証拠が
次々に示されている。これらの活性は全部、I型IL-1R の細胞質部分のシグナル
伝達機能によって開始される。
【0007】 IL-18 はIL-1αおよびIL-1βの相同体であり、そしてIL-1R に相同な受容体を
介してその活性を媒介することができる。IL-18 はTh1 細胞の増殖および分化の
刺激因子として作用し、かつTh1 細胞からγインターフェロンの産生を誘導する
強力な誘導因子である。IL-18 はNK細胞のキラー活性を促進する。IL-18 は敗血
症性ショック、肝臓破壊、炎症性腸疾患および糖尿病に関与しているとされてき
た。
【0008】 IL-1リガンドは、Igスーパーファミリーのメンバーである2つのIL-1受容体に
結合する。IL-1受容体は80 kDaのI型受容体(IL-1RI)および68 kDaのII型受容
体(IL-IRII)を含む。IL-1リガンドはIL-IRII の可溶性タンパク質分解断片(sIL
-IRII)にも結合することができる(Colottaら,1993)。
【0009】 IL-1受容体はサイトカイン受容体の大きいIgスーパーファミリーのメンバーで
あり、サイトカイン受容体の多くは免疫系細胞、特にリンパ球の応答を媒介する
。近年、これらの受容体に結合するリガンドのメンバーが加速的な速度で発見さ
れている。公知のIL-1リガンドの数の増加は、主として遺伝子クローニングおよ
び配列決定技法が進歩したためであった。ヌクレオチド配列から演繹されるアミ
ノ酸配列は、もしそれが他の公知のIL-1リガンドと相同性を有するならば、IL-1
リガンドを表すとみなされる。
【0010】 IL-1の主要な供給源は、活性化されたマクロファージまたは単核食細胞である
。IL-1を産生する他の細胞は、上皮細胞および内皮細胞を含む(Abbasら,1994) 。マクロファージからのIL-1分泌は、マクロファージがグラム陰性細菌と遭遇し
、これを摂取した後に起る。このような細菌は、内毒素とも呼ばれるリポ多糖(L
PS) 分子を細菌細胞壁に含んでいる。LPS 分子は、マクロファージを刺激して腫
瘍壊死因子(TNF) およびIL-1を産生させる活性な成分である。この場合、IL-1は
LPS およびTNF 産生に応答して産生される。低濃度では、LPS はマクロファージ
を刺激し、そしてB細胞および細菌感染を排除するのに必要な他の宿主応答を活
性化する。しかし高濃度では、LPS は重篤な組織損傷、ショック、さらには死ま
でも引き起しうる。
【0011】 IL-1の生物学的機能は、血管内皮細胞およびリンパ球の活性化、局所細胞破壊
および発熱を含む(Janewayら,1996)。低濃度では、IL-1はマクロファージおよ
び血管内皮細胞を刺激してIL-6を産生させ、血管内皮細胞の表面に存在する分子
をアップレギュレーションして白血球の接着を増大させ、そして単核食細胞およ
び他の細胞を刺激して、炎症性白血球を活性化する特定のケモカインを産生させ
ることによって炎症性白血球を間接的に活性化する。さらに、IL-1はプロスタグ
ランジン、一酸化窒素シンテターゼ、およびメタロプロテイナーゼの誘導などの
他の炎症性応答に関与している。これらのIL-1機能は、低レベルの微生物感染の
際に非常に重大である。しかし、微生物感染がエスカレートする場合は、IL-1は
発熱を誘導し、単核食細胞を刺激してIL-1およびIL-6を産生させ、肝細胞からの
血清タンパク質の産生を増大させ、そして凝結系を活性化することによって全身
的に作用する。さらに、IL-1は腫瘍の出血性壊死を引き起こすことなく、また骨
髄幹細胞分化を抑制しない。そして、IL-1は高濃度ではヒトに対して致死性であ
る。
【0012】 IL-1によって媒介される細胞性シグナル伝達はしばしば分子活性化カスケード
(cascade)を伴い、この間に受容体は標的基質をリン酸化する細胞内キナーゼを 特異的に活性化することによってリガンド-受容体によって媒介されたシグナル を伝達する。IL-1によって媒介される細胞性シグナル伝達は、転写因子NFkBおよ
びAP1 の活性化(Stylianouら,Int. J. Biochem. Cell Biol. 30:1075-1079, 19
98)、プロテインキナーゼJun N末端キナーゼおよびp38 マップキナーゼの活性 化(O'Neilら,J. Leukoc. Biol. 63:650-657, 1998)、プロスタグランジン産生 をもたらす酵素COX-2 の活性化(Crofford, J. Rheumatol. 24 Suppl. 49:15-19,
1997)、および一酸化窒素の産生をもたらすiNOSの活性化(Alexander, Nutritio
n 14: 376-90, 1998)および炎症全般を生じうる。
【0013】 IL-1およびIL-1R の重要な機能を考慮するならば、当技術分野ではIL-1リガン
ドファミリーのさらなるメンバーが必要である。知識の量が増えつつあるにもか
かわらず、当技術分野では細胞性応答および免疫応答に関与するタンパク質の同
定および機能の解明がなお必要とされている。
【0014】2.タンパク質の同定 別の態様において、未知のタンパク質の一次構造または配列の同定は、実験の
困難なプロセスの頂点に位置する。未知のタンパク質を同定するためには、研究
者は当業者に公知の種々の技法を用いて、該未知のタンパク質と公知のペプチド
との比較に依存することができる。例えば、電気泳動、沈降、クロマトグラフィ
ー、配列決定および質量分析などの技法を用いて、タンパク質を日常的に分析す
ることができる。
【0015】 特に、未知のタンパク質と分子量が分かっているポリペプチドとの比較は、該
未知のタンパク質の見かけ分子量の測定を可能とする(T.D. BrockおよびM.T. M
adigan, Biology of Microorganisms, 76-77 (Prentice Hall, 第6版, 1991)) 。タンパク質分子量標準品は市販されていて、未知のタンパク質の分子量の推定
を助ける(New England Biolabs Inc. カタログ:130-131, 1995; J.L. Hartley, 米国特許第5,449,758号)。しかし、分子量標準品は見かけ分子量の正確な推定 を可能とするほど十分密接に大きさにおいて未知のタンパク質に対応していない
場合がある。分子量の推定における困難は、化学的または酵素的手段によって断
片化され、翻訳後修飾またはプロセシングによって修飾され、および/または非
共有結合複合体の中で他のタンパク質と会合しているタンパク質の場合は倍加さ
れる。
【0016】 さらに、特定のアミノ酸構成成分に関するタンパク質組成のユニークな性質は
、該タンパク質内の切断部位の位置をユニークなものとする。化学的または酵素
的切断によるタンパク質の特異的断片化はユニークな「ペプチドフィンガープリ
ント」をもたらす(D.W. Clevelandら,J. Biol. Chem. 252:1102-1106, 1977; M. Brownら,J. Gen. Virol. 50:309-316, 1980)。その結果、特定部位における
切断は、所与のタンパク質を正確な分子量をもつペプチドへと再現可能な断片化
をもたらす。さらに、これらのペプチドは該ペプチドの等電点pHを決定するユニ
ークな電荷特性を有する。これらのユニークな特性は、種々の電気泳動技法およ
び他の技法を用いて利用することができる(T.D. BrockおよびM.T. Madigan, Bi
ology of Microorganisms, 76-77 (Prentice Hall, 第6版, 1991))。
【0017】 タンパク質の断片化は、アミノ酸組成分析およびタンパク質配列決定のために
さらに用いられる(P. Matsudaira, J. Biol. Chem. 262:10035-10038, 1987; C.
Eckerskornら, Electrophoresis 1988, 9:830-838, 1988)。特に、「ブロック された」N末端を有するタンパク質からの断片の製造が用いられる。さらに、断
片化タンパク質は、免疫感作、アフィニティー選択(R.A. Brown, 米国特許第5,1
51,412号)、修飾部位(例えばリン酸化)の確認、活性な生物学的化合物の作製
(T.D. BrockおよびM.T. Madigan, Biology of Microorganisms, 300-301 (Pren
tice Hall, 第6版, 1991))および相同タンパク質の差別化(M. Brownら,J. Gen
. Virol. 50:309-316, 1980)のために用いることができる。
【0018】 さらに、未知のタンパク質のペプチドフィンガープリントが得られた場合は、
それを公知タンパク質のデータベースと比較して、質量分析を用いた該未知のタ
ンパク質の同定を助けることができる(W.J. Henzelら,Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 90:5011-5015, 1993; D. Fenyoら,Electrophoresis 19:998-1005, 1998) 。これらの比較を容易にする種々のコンピュータソフトウエアプログラムにイン
ターネットを通じてアクセスすることができる。例えば、Protein Prospector(
インターネットサイト:prospector.uscf.edu)、MultiIdent(インターネットサ
イト:www.expasy.ch/sprot/multiident.html)、PeptideSearch (インターネッ
トサイト:www.mann.embl-heiedelberg.de...deSearch/FR PeptideSearch Form
.html) およびProFound(インターネットサイト:www.chait-sgi.rockefeller.e
du/cgi-bin/prot-id-frag.html)である。これらのプログラムは、使用者が切断 剤および設定された誤差の範囲内で断片化ペプチドの分子量を特定することを可
能とする。該プログラムは、これらの分子量と、データベースに保存されたタン
パク質の分子量の情報とを比較し、未知のタンパク質の同一性を決定するのを助
ける。正確な同定には、断片化ペプチドの数およびそれらのペプチドの正確な分
子量に関する正確な情報が必要とされる。したがって、断片化ペプチドの数およ
びそれらの分子量の測定における正確さの増大は、未知のタンパク質の同定にお
ける成功の可能性を増大させるに相違ない。
【0019】 さらに、縦列(tandem)質量分析法(MS/MS) を用いて未知のタンパク質のペプチ
ド消化物を配列決定することが可能であり、そして得られた配列をデータベース
で検索することができる(J.K. Engら,J. Am. Soc. Mass Spec. 5:976-989 (199
4); M. MannおよびM. Wilm, Anal. Chem. 66:4390-4399 (1994); J.A. Taylorお
よびR.S. Johnson, Rapid Comm. Mass Spec. 11:1067-1075 (1997))。この過程 で使用することができる検索プログラムはインターネット上に存在する。例えば
、Lutefisk 97(インターネットサイト: ならびに上記のProtein Prospector, P
eptide SearchおよびProFoundのプログラムである。したがって、遺伝子の配列 およびその予測されるタンパク質配列およびペプチド断片を配列データベースに
加えることは、縦列質量分析法を用いた未知のタンパク質の同定を助けることが
できる。
【0020】 したがって、当技術分野ではペプチド断片化研究、分子量測定、および縦列質
量分析を用いたタンパク質配列決定に用いるのに適当なポリペプチドを必要とし
ている。
【0021】発明の概要 本発明は、単離されたTIGIRRの核酸およびこれらの核酸によってコードされる
ポリペプチドを提供することによって当技術分野における上記の種々の必要性を
満たすことを目的とする。本発明の特定の実施形態は、配列番号1のDNA配列を 含む単離されたTIGIRR核酸分子、および配列番号2のアミノ酸配列をコードする
単離されたTIGIRR核酸分子、ならびにこれらの配列に相補的な核酸分子に関する
。1本鎖および2本鎖のRNAおよびDNA核酸分子の両方、ならびに配列番号1の全
部または一部を含む、変性させた2本鎖DNAにハイブリダイズする核酸分子が本 発明によって包含される。また、配列番号1の配列を含む核酸分子のin vitro突
然変異誘発によって誘導された単離された核酸分子、配列番号1の配列を含む核
酸分子に由来する縮重物である単離された核酸分子、および本発明のDNAの対立 遺伝子変異体である単離された核酸分子も包含される。本発明はまた、これらの
核酸分子の発現を導く組換えベクター、およびこれらのベクターによって安定に
または一過性に形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞をも包含する。
【0022】 さらに、本発明は上記の核酸を用いて、TIGIRR活性を有するタンパク質をコー
ドする核酸を同定する方法;ヒト染色体Xを同定する方法;ヒト染色体X上に遺
伝子をマップする方法;ヒト染色体Xと関連する特定の疾患、症候群または他の
ヒトの病態に関連する遺伝子を同定する方法;および細胞シグナル伝達およびTI
GIRR系を研究する方法を包含する。
【0023】 本発明はまた、TIGIRR遺伝子によってコードされるポリヌクレオチドの発現を
抑制するための、配列番号1の核酸に由来するセンスまたはアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドの使用を包含する。
【0024】 本発明はまた、これらの核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチ
ドおよびそれらの断片(配列番号2の可溶性ポリペプチド部分を含む)を包含す
る。本発明はさらに、発現を促進させる条件下で宿主細胞を培養し、そして培養
培地からポリペプチドを回収することを含む、これらポリペプチドの製造方法を
包含する。特に、細菌、酵母、植物、昆虫および動物細胞におけるこれらポリペ
プチドの発現が本発明によって包含される。
【0025】 一般に、本発明のポリペプチドは免疫調節、細胞増殖、細胞死、細胞移動、細
胞間相互作用および炎症性応答などの細胞過程を研究するために用いることがで
きる。さらに、これらのポリペプチドはTIGIRRリガンドおよびTIGIRR受容体に関
連するタンパク質の同定に用いることができる。
【0026】 さらに、本発明はポリペプチド対抗構造(counter-structure)分子に関連する 活性のある潜在的なインヒビターをスクリーニングするための、これらのポリペ
プチドを用いたアッセイ、およびTIGIRRポリペプチド対抗構造分子によって媒介
される疾患を治療するための治療剤としてこれらのポリペプチドを使用する方法
を含む。さらに、これらのポリペプチドをそのインヒビターの設計に使用する方
法もまた本発明の1態様である。
【0027】 本発明はさらに、タンパク質または断片化タンパク質の分子量の推定を可能と
する分子量マーカーとしてこれらのポリペプチドを使用する方法、ならびに電気
泳動を用いた、本発明の分子量マーカーを可視化する方法を提供する。本発明は
さらに、未知のタンパク質の等電点を測定するためのマーカーとして、またタン
パク質の断片化の程度を確定するための対照として、本発明のポリペプチドを用
いる方法を包含する。
【0028】 さらに、これらの測定を助けるためのキットもまた本発明に包含される。
【0029】 さらに、TIGIRR核酸配列の使用、上記ポリペプチドまたはその断片の予想され
るアミノ酸配列の使用、またはサンプル核酸および/またはタンパク質の同定を
助けるための電子データベースの検索における上記ポリペプチドおよびその断片
の予想されるアミノ酸配列の組合せの使用もまた本発明に包含される。
【0030】 TIGIRRポリペプチドの精製を助けるためのこれらの抗体の使用に加えて、これ
らのポリペプチドに結合する単離されたポリクローナルまたはモノクローナル抗
体もまた、本発明に包含される。
【0031】 本発明はまた、SDS-PAGEによって測定すると約76 kDの分子量を有する単離さ れたポリペプチドおよび非グリコシル化形態の単離されたポリペプチドを含む、
これらの核酸分子によってコードされる単離されたポリペプチドを包含する。
【0032】 本発明はさらに、化学的または酵素的処理によってTIGIRRポリペプチドから作
製された断片化ペプチドを包含する。さらに、化学的または酵素的手段による断
片化に必要な部位のうち少なくとも1つを突然変異させた、TIGIRRポリペプチド
分子量マーカーおよびそれらの断片化ペプチドの形態は、本発明の1態様である
【0033】発明の詳細な説明 ヒトTIGIRRポリペプチドをコードするcDNAは単離されており、これを配列番号
1に開示する。
【0034】 (配列番号 1)
【0035】 TIGIRR DNAの配列はヒトゲノムプロジェクトの後援のもとにSanger Center で
成された研究から得られ、そして公共のデータベースに寄託された。X染色体ゲ
ノムDNAの2つの大きいブロックが配列決定された。それらは共に推定上のIL-1 受容体相同体の8個のエキソンを含んでいた。これらの配列は、受託番号Z74477
およびZ68328のもとに見いだすことができる。シグナルペプチドをコードするエ
キソンは欠けている。これは、IL-1受容体のエキソン7に対応し、かつ細胞外領
域の免疫グロブリンドメインD2およびD3の間のリンカーをコードする短いエキソ
ンである。エキソンT7の配列は、エキソン6および8に相同なプライマーを用い
て肝臓の第1鎖cDNAを増幅し、増幅産物を配列決定することによって決定された
。これらの長いDNA配列の中にエキソンを見いだし、そしてそれらの境界を正確 に明らかにするために相当の努力がなされた。TIGIRRのDNA配列は、エキソンT7 配列と共に、公共のデータベースの情報から演繹された。
【0036】 次に、エキソンT7を含むこれらのエキソンによってカバーされる全領域をヒト
肝臓mRNAからPCRによって増幅し、mRNAをcDNAに変換した。肝臓mRNAから増幅さ れたPCR産物の配列決定は、エキソンT8およびT9を含む全エキソンについて適切 なイントロン/エキソン境界を明らかにした。
【0037】 以下の受託番号はTIGIRRの断片に対応している:Z74477(配列番号1の塩基対
1-274)、Z81144(配列番号1の塩基対275-461)、Z69721(配列番号1の塩基対46
2-615)、Z74619(配列番号1の塩基対616-690)、Z68330(配列番号1の塩基対69
1-820)、Z68908(配列番号1の塩基対821-1110)およびZ68328(配列番号1の塩
基対1111-1979)。GenBank 受託番号Z74619に含まれる配列はエキソン7を含んで
いた。これは極めて短く、かつ標準的データベース検索によって同定されるに足
るほど異なるファミリーのメンバーの間で十分保存されていない。
【0038】 広範な検索にもかかわらず、TIGIRR RNAの発現は肝臓、胎盤および脳において
見いだされたのみであった。したがって、TIGIRRの発現は肝臓、胎盤および脳の
組織および細胞型の生物学的マーカーとして用いることができる。
【0039】 上記核酸配列によってコードされる好ましいポリペプチドを以下に示す: (配列番号 2)
【0040】 IL-1受容体およびその公知の相同体から類推して、TIGIRRポリペプチドはシグ
ナルペプチドの欠如を除いて全長である。しかし、マウスTIGIRRは配列番号2に
示すヒトTIGIRRアミノ酸配列のN末端の上流に28個のアミノ酸を有する。このう
ち17個はシグナルペプチドを含むことが、そして11個は成熟タンパク質に存在す
ることが予想される。TIGIRRポリペプチドは、細胞外ドメイン(配列番号2のア
ミノ酸1-328)、膜貫通ドメイン(配列番号2のアミノ酸329-347)および細胞質ド
メイン(配列番号2のアミノ酸348-658)を含むI型膜タンパク質である。TIGIRR
ポリペプチドはIL-1受容体およびその公知の相同体に相同である。TIGIRRポリペ
プチドはI型IL-1R と30% のアミノ酸同一性を、IL-1R AcP と38% のアミノ酸同
一性を、IL-1Rrp1と33% のアミノ酸同一性を、IL-1Rrp2と28% のアミノ酸同一性
を、T1/ST2(マウス)と28% のアミノ酸同一性を、AcPLと37% のアミノ酸同一性
を、そしてXrec2(参照によりここに組み入れる、1998年12月14日に出願された 、IL-1 Zeta およびXrec2 DNA およびポリペプチドに関するJohn E. Simsらの米
国仮特許出願)と13% のアミノ酸同一性を有する。TIGIRRポリペプチドは、その
C末端に約130アミノ酸の付加的ドメインを有する。これに類似したドメインはI
L-1R の部分的相同体、例えば哺乳動物タンパク質SIGIRR(参照によりここに組 み入れる、1997年12月23日に出願された米国仮特許出願第06/068,770号)および
Xrec2 、ならびにショウジョウバエタンパク質Tollおよび18-wheelerなどに見い
だされるが、このドメインは他の公知のIL-1R 相同体には見いだされない。
【0041】 TIGIRRポリペプチドは、IL-1R およびIL-1R AcP とのシグナル伝達複合体の第
3の構成要素として働く;IL-1α、IL-1β、IL-1受容体アンタゴニスト、公知の
IL-1相同体、公知のIL-1相同体の相同体、またはIL-1およびその相同体と関係の
ない分子でありうる可溶性リガンドと結合する;別の細胞の表面上の分子と結合
する;または、IL-1R ファミリーのメンバーではない何らかの他の表面または膜
貫通分子と結合する、可能性がある。
【0042】 公知のIL-1ファミリーメンバーの前炎症性(pro-inflammatory)活性を考慮する
ならば、これらのサイトカインのインヒビターをもつことが望ましいであろう。
TIGIRR受容体の可溶性のものを用いて、それが結合するサイトカインの活性を抑
制することが可能である。これらのサイトカインは恐らくIL-1ファミリーメンバ
ーである。
【0043】 本発明のさらなる好ましいポリペプチド配列は、配列番号2のアミノ酸1-328 、配列番号2のアミノ酸329-347、配列番号2のアミノ酸348-658、配列番号2の
アミノ酸1-347および配列番号2のアミノ酸329-658を含む。
【0044】 本発明の核酸の発見は、ポリペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクタ
ーの構築;上記発現ベクターによってトランスフェクトまたは形質転換された宿
主細胞の構築;単離され、精製された生物学的に活性なポリペプチドおよびその
断片の構築;TIGIRR活性を有するタンパク質をコードする核酸を同定するための
プローブとしての該核酸またはそのオリゴヌクレオチドの使用;ヒト染色体Xを
同定するための該核酸またはそのオリゴヌクレオチドの使用;ヒト染色体X上に
遺伝子をマップするための該核酸またはそのオリゴヌクレオチドの使用;ヒト染
色体X、特に領域Xq21.3-Xq22 と関連する特定の疾患、症候群または他のヒトの
病態〔FG症候群、アラン-ヘーンドン(Allan-Herndon) 症候群、早発性卵巣不全 1、X連鎖難聴3、先天性脈絡膜欠如、無ガンマグロブリン血症、巨大角膜1、
精神遅滞30、アーツ(Arts)症候群、アルポート(Alport)症候群、平滑筋腫、進行
性難聴1、てんかん、ファブリー(Fabry)病、ペリツェーウス-メルツバッヒャー
(Pelizaeus-Merzbacher)病、ホスホリボシルピロリン酸シンテターゼ関連痛風、
エナメル質形成不全症3、甲状腺機能正常性高および低サイロキシン血症、脳回
欠損、皮質下ラミナルヘテロピア(laminalheteropia)、精神遅滞23、カウチョッ
ク(cowchock)症候群、バゼックス(Bazex)症候群、多毛症、および単離された増 殖ホルモンの欠乏をともなう精神遅滞を含む〕に関連する遺伝子を同定するため
の該核酸またはそのオリゴヌクレオチドの使用;TIGIRR遺伝子によってコードさ
れるポリヌクレオチドの発現を抑制するための、本発明の核酸に由来する1本鎖
センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用;上記ポリペプチドおよび
可溶性断片の使用;上記ポリペプチドおよび断片化ペプチドの分子量マーカーと
しての使用;ペプチド断片化の対照としての上記ポリペプチドおよび断片化ペプ
チドの使用およびこれらの試薬を含んでなるキット;抗体を作製するための上記
ポリペプチドおよびその断片の使用;および、TIGIRRポリペプチドを精製するた
めの抗体の使用を可能とする。
【0045】核酸分子 特定の実施形態において、本発明は汚染性の内因性物質を含まない特定の単離
されたヌクレオチド配列に関する。「ヌクレオチド配列」という用語は、独立し
た断片形態の、またはより大きい核酸構築物の1構成要素としてのポリヌクレオ
チド分子を指す。上記核酸分子は、標準的な生化学的方法(Sambrookら,Molecu
lar Cloning: A Laboratory Manual, 第2版,Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, NY (1989)に概略が示されている方法、など)によってそ
れを構成するヌクレオチド配列の同定、操作および回収を可能とする量または濃
度で、実質的に純粋な形態で、少なくとも1度単離されたDNAまたはRNAから誘導
された。そのような配列は、好ましくは、真核生物遺伝子に典型的に存在する内
部非翻訳配列つまりイントロンによって中断されない1つのオープンリーディン
グフレームの形で提供および/または構築される。非翻訳DNA配列はオープンリ ーディングフレームから5’側または3’側に存在することができる。その位置
では、非翻訳配列はコード領域の操作または発現を妨げない。
【0046】 本発明の核酸分子は、1本鎖および2本鎖両形態のDNA、およびそのRNA相補体
を含む。DNAは、例えばcDNA、ゲノムDNA、化学的に合成されたDNA、PCRによって
増幅されたDNA、およびそれらの組合せを含む。ゲノムDNAは通常の技法によって
、例えば、配列番号1のcDNAまたはその適切な断片をプローブとして用いて単離
することができる。
【0047】 本発明のDNA分子は、全長遺伝子ならびにそのポリヌクレオチドおよび断片を 含む。全長遺伝子は、N末端シグナルペプチドを含んでもよい。他の実施形態は
、可溶性形態をコードするDNA、例えば、該シグナルペプチドをもつ、またはも たない、タンパク質の細胞外ドメインをコードするDNAを含む。
【0048】 本発明の核酸は主としてヒト供給源に由来するが、本発明はヒト以外の種に由
来する核酸も包含する。
【0049】好ましい配列 本発明の特に好ましいヌクレオチド配列は配列番号1である。配列番号1のDN
Aによってコードされるアミノ酸配列を配列番号2に示す。この配列は、TIGIRR ポリヌクレオチドをIL-1受容体ファミリーのメンバーとして同定する。
【0050】付加的配列 2個以上のコドンが同一のアミノ酸をコードできるという公知の遺伝子暗号の
縮重によって、DNA配列は配列番号1に示すものから変化して、なお配列番号2 のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。そのような変
異体DNA配列は、サイレント突然変異(例えば、PCR増幅の間に起こる)から生じ
うる。または、天然の配列の意図的な突然変異誘発の産物でありうる。
【0051】 したがって、本発明は下記の(a) 〜(e) から選択される、本発明のポリペプチ
ドをコードする単離されたDNA配列を提供する:(a) 配列番号1のヌクレオチド 配列を含むDNA; (b)配列番号2のポリペプチドをコードするDNA; (c)中程度のス
トリンジェンシー条件下で上記(a) または(b) のDNAにハイブリダイズ可能であ り、かつ本発明のポリペプチドをコードするDNA; (d)高ストリンジェンシー条件
下で上記(a) または(b) のDNAにハイブリダイズ可能であり、かつ本発明のポリ ペプチドをコードするDNA;および(e) 遺伝暗号の縮重により生じる、上記(a),
(b), (c) または(d) に記載のDNAの縮重物であり、かつ本発明のポリペプチドを
コードするDNA。当然ながら、そのようなDNA配列によってコードされるポリペプ
チドは本発明に包含される。
【0052】 したがって、本発明は下記の(a) 〜(d) から選択される、生物学的に活性なTI
GIRRポリペプチドをコードする、等価な、単離されたDNA配列を提供する: (a) 天然の哺乳動物TIGIRR遺伝子のコード領域に由来するDNA; (b)配列番号1のヌク
レオチド配列1〜1979からなる群より選択されるDNA; (c)中程度のストリンジェ
ンシー条件下で上記(a) または(b) のDNAにハイブリダイズ可能であり、かつ生 物学的に活性なTIGIRRポリペプチドをコードするDNA ;および(d) 遺伝暗号の縮
重により生じる、上記(a), (b)または(c) に記載のDNAの縮重物であり、かつ生 物学的に活性なTIGIRRポリペプチドをコードするDNA。そのようなDNA等価配列に
よってコードされるTIGIRRポリペプチドは本発明に包含される。他の哺乳動物種
由来のDNAによってコードされるTIGIRRポリペプチドは、該DNAが配列番号1のDN
Aの相補体にハイブリダイズする場合は、これも本発明に包含される。
【0053】 本明細書に用いる中程度のストリンジェンシー条件は、例えばDNAの長さに基 づいて、当業者によって容易に決定することができる。基本的な条件は、Sambro
okら,Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版,第1巻、pp.1.101-1
04, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)に記述されており、ニトロセ
ルロースフィルター用の前洗浄液5X SSC, 0.5% SDS, 1.0 mM EDTA (pH 8.0)の使
用;約50% ホルムアミド、6X SSCを用いた約42℃のハイブリダイゼーション条件
(または約50% ホルムアミドに溶解した他の類似した溶液、例えばStark 溶液な
どを用いた約42℃でのハイブリダイゼーション);および約60℃で0.5X SSC、0.
1% SDSを用いた洗浄条件を含む。高ストリンジェンシー条件もまた、例えばDNA の長さに基づいて、当業者によって容易に決定することができる。一般に、高ス
トリンジェンシー条件は、上記のハイブリダイゼーション条件と共に約68℃で0.
2X SSC, 0.1% SDSを用いた洗浄と規定される。当業者は、プローブの長さ等の因
子によって、必要であれば温度および洗浄液の塩濃度を調節できることを認める
であろう。
【0054】 後述するような不活性化N-グリコシル化部位、不活性化プロテアーゼプロセシ
ング部位、または保存的なアミノ酸置換を含むポリペプチド断片およびポリペプ
チドをコードするDNAもまた、本発明の実施形態として包含される。
【0055】 他の実施形態においては、本発明の核酸配列はまた、天然の配列と少なくとも
80%同一なヌクレオチド配列を含む。天然の配列と少なくとも90% 同一な、少な くとも95% 同一な、少なくとも98% 同一な、少なくとも99% 同一な、または少な
くとも99.9% 同一な配列を含む核酸分子である実施形態もまた意図される。
【0056】 同一性パーセントは、視覚による検査および数学的計算によって決定すること
ができる。または、2つの核酸配列の同一性パーセントは、Devereuxら(Nucl. A
cids Res. 12:387, 1984) によって記述され、University of Wisconsin Geneti
cs Computer Group (UWGCG) より入手可能な、GAP コンピュータプログラム、バ
ージョン6.0 を用いて、配列情報を比較することによって決定することができる
。GAP プログラムのための好ましいデフォルトパラメーターは、以下のものを含
む:(1) ヌクレオチド用の単一要素からなる比較マトリックス(一致に対して数
値1を、非一致に対して0を含む)、およびSchwartzおよびDayhoff編, Altas o
f Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundatio
n, pp. 353-358, 1979 に記述されている、GribskovおよびBurgess, Nucl. Acid
s Res. 14:6745, 1986 の加重比較マトリックス; (2) 各ギャップにつき3.0 の ペナルティー、および各ギャップの各シンボルにつき0.10の付加的ペナルティー
;および(3) 末端ギャップに対してはペナルティーなし。配列比較の技術分野に
おいて当業者に用いられている他のプログラムも用いることができる。
【0057】 本発明はまた、ポリペプチドの製造に有用な単離された核酸を提供する。その
ようなポリペプチドは多数の通常の技法のうち任意のものによって調製すること
ができる。TIGIRRポリペプチドまたはその所望の断片をコードするDNA配列を、 該ポリペプチドまたは断片を製造するための発現ベクター中にサブクローン化す
ることができる。該DNA配列を適切なリーダーまたはシグナルペプチドをコード する配列に融合させると好都合である。または、公知の技法を用いて所望の断片
を化学的に合成することができる。また、DNA断片は、全長クローン化DNA配列の
制限酵素による消化によって作製し、アガロースゲルを用いた電気泳動によって
単離することもできる。必要であれば、5'または3'末端を所望の点に再構築する
オリゴヌクレオチドを、制限酵素による消化によって作製したDNA断片に連結す ることができる。そのようなオリゴヌクレオチドは所望のコード配列の上流に1
個の制限エンドヌクレアーゼ切断部位をさらに含み、そして開始コドン(ATG) を
該コード配列のN末端に位置させることができる。
【0058】 所望のタンパク質断片をコードするDNA配列を単離し、増幅するためには、周 知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 法もまた用いることができる。DNA断片の所望 の両末端を規定するオリゴヌクレオチドを、5'および3'プライマーとして用いる
。これらのオリゴヌクレオチドは、増幅されたDNA断片の発現ベクターへの挿入 を容易にするために、制限エンドヌクレアーゼの認識部位をさらに含むことがで
きる。PCR技法はSaikiら、Science 239:487 (1988); Recombinant DNA Methodol
ogy, Wuら(編), Academic Press, Inc., San Diego (1989), pp. 189-196; お よびPCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innisら(編), Ac
ademic Press, Inc. (1990)に記載されている。
【0059】ポリペプチドおよびその断片 本発明は、天然に存在する形態、または組換えDNA技法を含む方法などの種々 の技法によって作製された形態を含む種々の形態のポリペプチドおよびその断片
を包含する。例えば、TIGIRRポリペプチドをコードするDNAは、配列番号1からi
n vitro突然変異誘発によって誘導することができる。突然変異誘発は、部位特 異的突然変異、ランダム突然変異誘発、およびin vitro核酸合成を含む。上記の
形態は、誘導体、変異体およびオリゴマー、ならびに融合タンパク質またはその
断片を含むが、それらだけに限定されない。
【0060】 ポリペプチドおよびその断片 本発明のポリペプチドは、上述の核酸配列によってコードされる全長タンパク
質を含む。特に好ましいポリペプチドは配列番号2のアミノ酸配列を含み、そし
て特に好ましい断片は配列番号2のアミノ酸1-328、配列番号2のアミノ酸329-3
47、配列番号2のアミノ酸348-658、配列番号2のアミノ酸1-347、配列番号2の
アミノ酸329-658を含む。
【0061】 本発明のポリペプチドは膜に結合していてもよいし、または分泌されてもよい
(この場合は可溶性である)。可溶性ポリペプチドは、それが発現された細胞か
ら分泌されることができる。一般に、可溶性ポリペプチドは、所望のポリペプチ
ドを発現する完全な細胞を培養培地から分離し(例えば遠心によって)、所望の
ポリペプチドの存在について培地(上清)をアッセイすることによって同定され
る(および、対応する不溶性膜結合ポリペプチドから区別される)。培地中にお
けるポリペプチドの存在は、該ポリペプチドが細胞から分泌されたこと、したが
って該タンパク質の可溶性形態であることを示す。
【0062】 1つの実施形態においては、上記可溶性ポリペプチドおよびその断片は細胞外
ドメインの全部または一部を含むが、膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメ
インを欠く。可溶性ポリペプチドは、それが産生された細胞から分泌されさえす
れば、膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインの一部を含んでもよい。
【0063】 したがって、可溶性ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1から328 を含む
ポリペプチドを包含するが、それらだけに限定されない。
【0064】 一般に、可溶性形態の使用は特定の利用にとって好都合である。可溶性ポリペ
プチドは細胞から分泌されるので、組換え宿主細胞からの該ポリペプチドの精製
は容易となる。さらに、可溶性ポリペプチドは一般に静脈内投与により適切であ
る。
【0065】 本発明はまた、所望の生物学的活性を保持する細胞外ドメインのポリペプチド
および断片を提供する。特定の実施形態は、IL-1ファミリーメンバーなどのTIGI
RRカウンター構造物との結合能を保持するポリペプチド断片に向けられている。
そのような断片は、上記のような可溶性ポリペプチドであってよい。別の実施形
態においては、本発明のポリペプチドおよび断片は上記のTIGIRRファミリー内で
保存された領域を好都合に含む。
【0066】 本発明はまた、配列番号2のアミノ酸配列の少なくとも20個、または少なくと
も30個の連続したアミノ酸を含むポリペプチド断片を提供する。細胞質ドメイン
から誘導された断片はシグナル伝達の研究、および生物学的シグナルの伝達に関
連した細胞プロセスの調節に有用である。ポリペプチド断片はまた、抗体を作製
する際に免疫原として用いることができる。
【0067】 変異体 本発明のポリペプチドおよび断片の天然に存在する変異体および誘導された変
異体を本明細書に提供する。
【0068】 本明細書で用いる「TIGIRR変異体」という用語は、天然のTIGIRRポリペプチド
に実質的に相同であるが、1個以上の欠失、挿入または置換により天然のTIGIRR
ポリペプチド(ヒト、マウスまたは他の哺乳動物種)のアミノ酸配列とは異なっ
たアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。上記変異体は、天然のTIGIRR
ポリペプチドアミノ酸配列と好ましくは少なくとも80% 、最も好ましくは少なく
とも90% 同一である。同一性パーセントは、例えば、Devereuxら(Nucl. Acids R
es. 12:387, 1984) によって記述され、ウィスコンシン大学遺伝学コンピュータ
グループ(UWGCG) より入手可能な、GAP コンピュータプログラム、バージョン6.
0 を用いて、配列情報を比較することによって決定することができる。GAP プロ
グラムは、SmithおよびWaterman (Adv. Appl. Math. 2:482, 1981)によって改訂
された、NeedlemanおよびWunschのアライメント法(J. Mol. Biol. 48:443, 1970
)を利用している。GAP プログラムのための好ましいデフォルトパラメータは、 以下のものを含む:(1) ヌクレオチド用の単項の(unary)比較マトリックス( 一致に対して数値1を、非一致に対して0を含む)、およびSchwartzおよびDayh
off編,「タンパク質配列および構造のアトラス」, National Biomedical Resear
ch Foundation, pp. 353-358, 1979 に記述されている、GribskovおよびBurgess
, Nucl. Acids Res. 14:6745, 1986 の加重(weighted)比較マトリックス; (2)
各ギャップにつき3.0 のペナルティー、および各ギャップの各記号につき0.10 の追加ペナルティー;および(3) 末端ギャップに対してはペナルティーなし。
【0069】 変異体は、ポリペプチドまたは断片が好ましいポリペプチドまたはその断片と
少なくとも90% 、少なくとも95% 、少なくとも98% 、少なくとも99% 、または少
なくとも99.9% 同一なアミノ酸配列を含む実施形態をも包含する。同一性パーセ
ントは上記のように決定することができる。または、NeedlemanおよびWunsch (J
. Mol. Bio. 48:443, 1970)のアルゴリズムに基づく、ウィスコンシン大学遺伝 学コンピュータグループ(UWGCG) より入手可能なGAP コンピュータプログラムを
用いて、配列情報を比較することによって2つのタンパク質配列の同一性パーセ
ントを決定することができる。GAP プログラムのための好ましいデフォルトパラ
メータは、以下のものを含む:(1) HenikoffおよびHenikoff (Proc. Natl. Acad
. Sci. USA 89:10915, 1992)によって記述されたスコアリングマトリックスblos
um62; (2) ギャップの重み12;(3) ギャップの長さの重み(gap length weight)
4;および(4) 末端ギャップに対してはペナルティーなし。配列比較の技術分野に
おいて当業者に用いられている他のプログラムも用いることができる。
【0070】 本発明の変異体は、例えば、mRNAの選択的スプライシング現象またはタンパク
質分解開裂によって生じる変異体を含む。mRNAの選択的スプライシングは、例え
ば、末端を切断されているが生物学的に活性なタンパク質(該タンパク質の天然
に存在する可溶性形態など)を生じうる。タンパク質加水分解に起因する変異は
、例えば、該タンパク質から1つ以上の末端アミノ酸(一般に1〜5末端アミノ
酸)がタンパク質加水分解によって除去されることによる、異なる種類の宿主細
胞における発現後のN末端またはC末端における相違を含む。アミノ酸配列の相
違が遺伝的多型性(該タンパク質を産生する個体間における対立遺伝子変異)に
起因するタンパク質もまた本明細書に包含される。
【0071】 上記のように、本発明は単離され精製された、すなわち均質なTIGIRRポリペプ
チドを、組換えおよび非組換えの両方の形で提供する。所望の生物学的活性を保
持する、天然のTIGIRRタンパク質の変異体および誘導体は、天然のTIGIRRポリペ
プチドをコードする核酸配列の突然変異によって得ることができる。天然のアミ
ノ酸配列の変更は、多数の通常の方法のうち任意のものによって達成することが
できる。突然変異は、天然の配列の断片との連結を可能とする制限部位によって
両側をはさまれた突然変異配列を含むオリゴヌクレオチドを合成することによっ
て、特定の遺伝子座に導入することができる。連結後、再構築された配列は所望
のアミノ酸挿入、置換または欠失を有する類似体をコードする。
【0072】 または、オリゴヌクレオチドに向けられた部位特異的突然変異誘発法を用いて
、あらかじめ定められたコドンが置換、欠失または挿入によって変更されている
変更された遺伝子を提供することができる。この変更を作製する好例となる方法
は、Walderら(Gene 42:133, 1986); Bauerら (Gene 37:73, 1985); Craik (BioTechniques, January 1985, 12-19); Smithら(「遺伝子工学;原理と方法」
Plenum Press, 1981); Kunkel (Proc. Natl. Acad. Sci.USA 82:488, 1985); Ku
nkelら(Methods in Enzymol. 154:367, 1987);および米国特許第4,518,584号お よび第4,737,462号に開示されている。これらは全て参照によりここに組み入れ る。
【0073】 他の化学的部分、例えばグリコシル基、ポリエチレングリコール(PEG) 基、脂
質、リン酸、アセチル基などと共有結合または凝集性コンジュゲートを形成する
ことによってTIGIRRポリペプチドを改変してTIGIRR誘導体を作製することが可能
である。TIGIRRポリペプチドの共有結合誘導体は、該化学的部分をTIGIRRアミノ
酸側鎖上、またはTIGIRRポリペプチドのN末端またはC末端、または該ポリペプ
チドの細胞外ドメインの官能基に結合することによって調製することができる。
本発明の範囲内にあるTIGIRRポリペプチドの他の誘導体は、組換え培養物中のN
末端またはC末端融合体としての合成などによる、TIGIRRポリペプチドまたはそ
の断片と、他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合または凝集性コンジ
ュゲートを含む。例えば、上記コンジュゲートはTIGIRRポリペプチドのN末端に
シグナルまたはリーダーポリペプチド配列(例えば、サッカロミセス属(Sacchar
omyces)のα因子リーダー)を含むことができる。シグナルまたはリーダーペプ チドは翻訳と同時に、または翻訳後に、該コンジュゲートの合成部位から細胞膜
または細胞壁の内側または外側の部位への移動を導く。
【0074】 以下により詳しく記述するように、本明細書においてコンジュゲートに結合し
た(検出可能な)診断剤または治療剤を含むコンジュゲートが考慮されている。
【0075】 他の誘導体は、組換え培養物中のN末端またはC末端融合体としての合成など
による、TIGIRRポリペプチドと他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合
または凝集性コンジュゲートを含む。融合タンパク質の例は、オリゴマーに関連
して後述する。さらに、融合タンパク質は精製および同定を容易にするために付
加したペプチドを含むことができる。そのようなペプチドは、例えば、ポリ-His
または米国特許第5,011,912号およびHoppら,Bio/Technology 6:1204, 1988に記
述されている抗原性同定ペプチドを含む。そのようなペプチドの1つは、FLAG ペプチド Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lysで、これは高度に抗原性であり、
特定のモノクローナル抗体によって可逆的に結合されるエピトープを提供し、発
現された組換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能とする。参
照により本明細書に組み入れる米国特許第5,011,912号に記述されているように 、4E11と称するマウスハイブリドーマは、特定の二価金属カチオンの存在下でFL
AGTMペプチドと結合するモノクローナル抗体を産生する。4E11ハイブリドーマ
細胞系は、受託番号 HB 9259のもとにアメリカンタイプカルチャーコレクション
(ATCC)に寄託されている。FLAGTMペプチドと結合するモノクローナル抗体は、
Eastman Kodak Co.,科学的画像システム部門, New Haven, Connecticut より入 手可能である。
【0076】 本明細書に提供する変異体ポリペプチドの中には、天然の生物学的活性または
実質的にそれと等価な活性を保持する、天然ポリペプチドの変異体が存在する。
1例を挙げるならば、天然形態と本質的に同一の結合親和性をもって結合する変
異体である。結合親和性は、例えば米国特許第5,512,457号および以下に記述さ れるような通常の方法によって測定することができる。
【0077】 変異体は、天然形態に実質的に相同であるが、1つ以上の欠失、挿入または置
換によって天然形態のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチド
を含む。特定の実施形態は、天然の配列と比較してアミノ酸残基の1から10個の
欠失、挿入または置換を含むポリペプチドを含むが、これらだけに限定されない
【0078】 特定のアミノ酸を、例えば、類似した物理化学的特徴を有する残基と置換する
ことができる。そのような保存的置換の例は、1個の脂肪族残基の別の脂肪族残
基との置換、例えばIle, Val, Leu またはAla などの相互置換;1個の極性残基
の別の極性残基との置換、例えばLys とArg、Glu とAsp、またはGln とAsnの間 の置換;または1個の芳香族残基の別の芳香族残基との置換、例えばPhe, Trpま
たはTyr などの相互置換を含む。他の保存的置換、例えば、類似の疎水性特性を
有する全領域の置換を含むものが周知である。
【0079】 同様に、本発明のDNAは、1つ以上の欠失、挿入または置換のために天然のDNA
配列とは異なるが、生物学的に活性なポリペプチドをコードする変異体を含む。
【0080】 本発明はさらに、関連する天然パターンのグリコシル化を有する、または有し
ない、本発明のポリペプチドを含む。酵母または哺乳動物発現系(例えば、COS-
1 またはCOS-7 細胞)において発現されたポリペプチドは、発現系の選択によっ
て、分子量およびグリコシル化パターンが天然のポリペプチドに類似する場合と
、非常に異なる場合がある。大腸菌(E. coli)などの細菌発現系における本発明 のポリペプチドの発現は、非グリコシル化分子を提供する。さらに、特定の調製
物は、ディファレンシャルにグリコシル化された該タンパク質の複数の種を含む
場合がある。グリコシル基は通常の方法、特にグリコペプチダーゼを利用する方
法によって除去することができる。一般に、本発明のグリコシル化ポリペプチド
は、モル過剰のグリコペプチダーゼ(Boehringer Mannheim)と共にインキュベー
トすることができる。
【0081】 上記に対応して、アミノ酸残基もしくは配列の種々の付加もしくは置換、また
は末端もしくは内部残基もしくは配列の種々の欠失をコードする類似のDNA構築 物が本発明に包含される。例えば、ポリペプチドの細胞外ドメインにあるN-グリ
コシル化部位を改変してあらかじめグリコシル化を排除し、哺乳動物および酵母
発現系における還元された炭水化物類似体の発現を可能とすることができる。真
核生物ポリペプチドのN-グリコシル化部位は、アミノ酸トリプレットAsn-X-Y (
XはPro以外の任意のアミノ酸; YはSerまたはThr)によって特徴付けられる。この
トリプレットをコードするヌクレオチド配列の適切な置換、付加または欠失は、
炭水化物残基のAsn 側鎖への結合を阻止する。例えばAsn が異なるアミノ酸によ
って置換されるように選択された1個のヌクレオチドの変更は、N-グリコシル化
部位を不活性化するのに十分である。または、Ser またはThr を別のアミノ酸、
例えばAla などに置換することができる。タンパク質中のN-グリコシル化部位を
不活性化する公知の方法は、参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,071,
972号およびEP 276,846に記述されている方法を含む。
【0082】 変異体の別の例においては、生物学的活性に必須ではないCys 残基をコードす
る配列を変更して、Cys 残基を欠失または他のアミノ酸残基と置換させ、折りた
たみまたは再生後の不正確な細胞内ジスルフィド架橋の形成を阻止することがで
きる。
【0083】 KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母系において発現を増大させるため、隣接
する二塩基性アミノ酸残基を改変することによって他の変異体を調製することが
できる。EP 212,914は、タンパク質のKEX2プロテアーゼプロセシング部位を不活
性化するための部位特異的突然変異誘発の使用を開示している。KEX2プロテアー
ゼプロセシング部位は、残基を欠失、付加または置換してArg-Arg、Arg-Lysおよ
びLys-Arg対を変更し、これらの隣接する塩基性残基の存在を排除することによ って不活性化できる。Lys-Lysという対合はKEX2開裂をかなり受けにくいので、A
rg-LysまたはLys-ArgをLys-Lysに変換することは、KEX2部位を不活性化するため
の伝統的で好ましいアプローチである。
【0084】 オリゴマー TIGIRRポリペプチドを含むオリゴマーまたは融合タンパク質は本発明に包含さ
れる。そのようなオリゴマーは、共有結合した、または非共有結合した多量体(
二量体、三量体または高次オリゴマーを含む)の形をとることができる。上記の
ように好ましいポリペプチドは可溶性であるので、したがってこれらのオリゴマ
ーは可溶性ポリペプチドを含んでよい。本発明の1態様においては、オリゴマー
はポリペプチド成分の結合能を維持し、それゆえ二価、三価などの結合部位を提
供する。
【0085】 本発明の1つ実施形態は、ポリペプチドに融合したペプチド部分の間の共有ま
たは非共有相互作用を介して連結された複数のポリペプチドを含むオリゴマーに
向けられている。そのようなペプチドはペプチドリンカー(スペーサー)または
オリゴマー化を促進する特性を有するペプチドであってよい。ペプチドに結合す
るポリペプチドのオリゴマー化を促進できるペプチドの中には、後に詳述するよ
うに、ロイシンジッパーおよび抗体から誘導されるある種のポリペプチドが存在
する。
【0086】 免疫グロブリンに基づくオリゴマー 他のオリゴマーの1つとして、免疫グロブリンから誘導されたポリペプチドを
用いてオリゴマーが調製される。抗体に由来するポリペプチド(Fcドメインを含
む)の種々の部分に融合したある種の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の
調製は、例えば、Ashkenaziら,(PNAS USA 88:10535, 1991); Byrnら (Nature 3
44:677, 1990);およびHollenbaughおよびAruffo (Current Protocols in Immuno
logy, 増刊号4, 10.19.1-10.19.11 頁, 1992に記載の「免疫グロブリン融合タン
パク質の構築」)によって記述されている。
【0087】 本発明の1つの実施形態は、本発明のポリペプチドを抗体由来のFcポリペプチ
ドに融合させることによって作製された2つの融合タンパク質を含む二量体に向
けられている。本発明のポリペプチド/Fc融合タンパク質をコードする遺伝子融
合体を適切な発現ベクターに挿入する。該ポリペプチド/Fc融合タンパク質は、
組換え発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞中で発現され、そして抗体
分子のように組み立てられる。そこでFc部分の間に鎖間ジスルフィド結合が形成
され、二価の分子を生じる。
【0088】 本明細書に用いる「Fcポリペプチド」という用語は、Fc領域のCHドメインのい
ずれかまたは全部を含む、抗体のFc領域からなるポリペプチドの天然形態および
突然変異形態を含む。二量体化を促進するヒンジ領域を含む、上記ポリペプチド
の末端切断形態もまた包含される。好ましいポリペプチドは、ヒトIgG1抗体由来
のFcポリペプチドを含む。
【0089】 PCT出願WO 93/10151(参照により本明細書に組み入れる)に記述されている適
切なFcポリペプチドの一つは、ヒトIgG1抗体のN末端ヒンジ領域からFc領域の天
然のC末端に伸びている1本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチド
は、参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,457,035号およびBaumら(EMBO
J. 13:3992-4001, 1994)に記述されているFc突然変異タンパク質である。この 突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに、アミノ酸20
がLeuからGluに、およびアミノ酸22がGlyからAlaに変わっている他は、WO 93/10
151に開示されている天然のFc配列のアミノ酸配列と同一である。この突然変異 タンパク質は、Fc受容体に対して減少したアフィニティーを示す。
【0090】 Fc部分を含む上記の融合タンパク質(およびそれから形成されるオリゴマー)
は、プロテインAまたはプロテインGカラム上のアフィニティークロマトグラフ
ィーによる容易な精製という有利さを提供する。
【0091】 他の実施形態においては、本発明のポリペプチドは抗体の重鎖または軽鎖の可
変部分と置換することができる。融合タンパク質が抗体の重鎖および軽鎖の両方
を用いて作製されている場合は、4個ものTIGIRR細胞外領域を有するオリゴマー
を形成することが可能である。
【0092】 好ましいTIGIRRポリペプチド断片は、アミノ酸配列の少なくとも6個の連続し
たアミノ酸を含む。他の実施形態においては、好ましいTIGIRRポリペプチド断片
は、アミノ酸配列の少なくとも10個、少なくとも20個、または少なくとも100個 の連続したアミノ酸を含む。これらのポリペプチドは可溶性形態で作製すること
ができる。
【0093】 ペプチド-リンカーに基づくオリゴマー 他に、本発明のオリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)を有
する、または有しない、複数のポリペプチドからなる融合タンパク質である。適
切なペプチドリンカーの中に、参照により本明細書に組み入れる米国特許第4,75
1,180号および第4,935,233号に記述されているペプチドリンカーがある。所望の
ペプチドリンカーをコードするDNA配列は、任意の適切な通常の技法を用いて、 本発明のDNA配列の間に、リーディングフレームを合わせて挿入することができ る。例えば、リンカーをコードする化学的に合成されたオリゴヌクレオチドを配
列の間に連結することができる。特定の実施形態においては、融合タンパク質は
ペプチドリンカーによって隔てられている2から4個の可溶性TIGIRRポリペプチ
ドを含む。
【0094】 ロイシン-ジッパー 本発明のオリゴマーを調製する別の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。
ロイシンジッパードメインとは、該ドメインが見いだされるタンパク質のオリゴ
マー化を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは最初いくつかのDNA結合 タンパク質中に同定され (Landschulzら, Science 240:1759, 1988)、その後種 々の異なるタンパク質中に見いだされた。公知のロイシンジッパーの中には、二
量体化または三量体化をおこなう天然に存在するペプチドおよびその誘導体があ
る。
【0095】 ジッパードメイン(本明細書ではオリゴマー化ドメインまたはオリゴマー形成
ドメインとも言う)は、しばしば他のアミノ酸と共に散在した4または5個のロ
イシン残基を有する、反復性7個群(heptad)のリピートを含んでなる。ジッパー
ドメインの例は、酵母転写因子GCN4に見いだされるジッパードメイン、およびラ
ット肝臓に見いだされる熱安定性DNA結合タンパク質である(C/EBP; Landschulz ら, Science 243:1681, 1989)。2つの核トランスフォーミングタンパク質fos およびjun もまた、マウス癌原遺伝子c-mycの遺伝子産物と同様に、ジッパード メインを示す(Landschulzら, Science 240:1759, 1988)。核癌遺伝子fos および
jun の産物は、主としてヘテロ二量体を形成するジッパードメインを含む(O'She
aら,Science 245:646, 1989; TurnerおよびTjian, Science 243:1689, 1989)。
ジッパードメインは、これらのタンパク質における生物学的活性(DNA結合)に とって必要である。
【0096】 パラミクソウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルスおよび多数のレトロウイ
ルスを含む異なるウイルスの融合誘導(fusogenic)タンパク質もまたジッパード メインを有する(BucklandおよびWild, Nature 338:547, 1989; Britton, Nature
353:394, 1991; DelwartおよびMosialos, AIDS Research and Human Retroviru
ses 6:703, 1990)。これらのウイルスの融合誘導タンパク質におけるジッパード
メインは、該タンパク質の膜貫通領域の近くに存在する。ジッパードメインは融
合誘導タンパク質のオリゴマー性構造に寄与しうることが示唆された。ウイルス
の融合誘導タンパク質のオリゴマー化は、融合孔(pore)形成に関与している(Spr
uceら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3523, 1991)。また、ジッパードメイン
は熱ショックした転写因子のオリゴマー化にもある役割を果たすことが最近報告
されている(Rabindranら,Science 259:230, 1993)。
【0097】 ジッパードメインは短い、平行なより合わせコイル(coiled coil)として折り たたまれている(O'Sheaら,Science 254:539, 1991)。平行なより合わせコイル の全体的構造は、Crick (Acta Crystallogr. 6:689) によって1953年に提案され
た「ノブ(knobs, 突き出している部分)を穴に(knobs-into-holes)」パッキング
を用いてうまく特徴付けられた。ジッパードメインによって形成された二量体は
、McLachlanおよびStewart (J. Mol. Biol.98:293, 1975) の命名にしたがって(
abcdefg)nと称する上述の7個群のリピートによって安定化される。上記リピー
トにおいて、残基aおよびdは一般に疎水性残基で、dはロイシンであり、ロイ
シンはヘリックスの同じ面に並ぶ。反対に荷電された残基が一般にgおよびeの
位置に存在する。したがって、2本のらせん状のジッパードメインから形成され
た平行なより合わせコイルにおいて、第1のヘリックスの疎水性側鎖によって形
成された「ノブ」は、第2のヘリックスの側鎖の間に形成された「穴」に詰め込
まれる。
【0098】 位置dの残基(しばしばロイシン)は、大きな疎水性安定化エネルギーに寄与
し、オリゴマー形成にとって重要である(Krystekら,Int. J. Peptide Res. 38:
229, 1991)。Lovejoyら(Science 259:1288, 1993)は最近、3本鎖αヘリックス の束状構造の合成を報告した。この束状構造の中で、ヘリックスはアップ-アッ プ-ダウン(up-up-down)に走っていた。彼らの研究は、疎水性安定化エネルギー はらせん状単量体からのより合わせコイルの形成に主要な駆動力を提供すること
を確認した。これらの研究はまた、静電的相互作用がより合わせコイルの化学量
論および幾何構造に寄与することを示している。ロイシンジッパーの構造のさら
なる論議はHarburyら(Science 262:1401, 1993年11月26日) に見いだされる。
【0099】 可溶性オリゴマー性タンパク質の作製に適切なロイシンジッパードメインの例
は、PCT出願WO 94/10308 に記述されており、また肺サーファクタントプロテイ ンD(SPD)由来のロイシンジッパーは参照により本明細書に組み入れるHoppeら(
FEBS Letters 344:191, 1994)に記述されている。ロイシンジッパーに融合した 異種タンパク質の安定な三量体化を可能とする改変されたロイシンジッパーの使
用がFanslowら(Semin. Immunol. 6:267-278, 1994) によって記述されている。 ロイシンジッパーペプチドに融合させた可溶性ポリペプチドを含む組換え融合タ
ンパク質を適切な宿主細胞で発現させ、そして形成される可溶性オリゴマーを培
養上清から回収する。
【0100】 ある種のロイシンジッパー部分は主として三量体を形成する。1例としては、
参照により全体をここに組み入れるHoppeら(FEBS Letters 344:191, 1994)およ び米国特許第5,716,805号に記述されている肺サーファクタントタンパク質D(S
PD)由来のロイシンジッパーが挙げられる。この肺SPD由来のロイシンジッパーペ
プチドは、アミノ酸配列 Pro Asp Val Ala Ser Leu Arg Gln Gln Val Glu Ala L
eu Gln Gly Gln Val Gln His Leu Gln Ala Ala Phe Ser Gln Tyrを含む。
【0101】 三量体化を促進するロイシンジッパーの別の例は、米国特許第5,716,805号に 記述されている、アミノ酸配列 Arg Met Lys Gln Ile Glu Asp Lys Ile Glu Glu
Ile Leu Ser Lys Ile Tyr His Ile Glu Asn Glu Ile Ala Arg Ile Lys Lys Leu
Ile Gly Glu Argを含むペプチドである。別の実施形態においては、N末端Asp 残基が付加されている。さらに別の実施形態においては、該ペプチドはN末端Ar
g 残基を欠いている。
【0102】 オリゴマー化を促進する特性を保持している、上記ジッパーペプチドの断片も
用いることができる。そのような断片の例は、上記のアミノ酸配列に示されたN
末端またはC末端残基の1または2個を欠くペプチドを含むが、それらだけに限
定されない。ロイシンジッパーは、天然に存在するロイシンジッパーペプチドか
ら、例えば、オリゴマー化を促進する該ペプチドの能力が保持される、天然のア
ミノ酸配列の保存的置換によって誘導することができる。
【0103】 天然に存在する三量体タンパク質から誘導された他のペプチドを、三量体TIGI
RRを調製するために用いることができる。または、オリゴマー化を促進する合成
ペプチドを用いることができる。特定の実施形態においては、ロイシンジッパー
部分のロイシン残基はイソロイシン残基で置換される。イソロイシンを含むその
ようなペプチドはイソロイシンジッパーと呼ぶことができるが、本明細書に用い
る「ロイシンジッパー」という用語に包含される。
【0104】ポリペプチドおよびその断片の製造 本発明のポリペプチドおよび断片の発現、単離および精製は、以下のものを含
むがそれらだけに限定されない、任意の適切な技法によって達成することができ
る。
【0105】 発現系 本発明はまた、DNAを含む組換えクローニングおよび発現ベクター、ならびに 該組換えベクターを含む宿主細胞を供給する。DNAを含む発現ベクターを用いて 、該DNAによってコードされる本発明のポリペプチドまたは断片を調製すること ができる。ポリペプチドの製造方法は、該ポリペプチドをコードする組換え発現
ベクターを用いて形質転換した宿主細胞を該ポリペプチドの発現を促進する条件
下で培養し、次に発現されたポリペプチドを培地から回収することを含む。当業
者は、発現されたポリペプチドを精製する方法が、使用した宿主細胞の種類、該
ポリペプチドが膜に結合しているか、または宿主細胞から分泌される可溶性形態
であるか、などの因子によって異なることを認めるであろう。
【0106】 任意の適切な発現系を用いることができる。上記ベクターは、哺乳動物、微生
物、ウイルスまたは昆虫遺伝子などに由来する適切な転写または翻訳調節ヌクレ
オチド配列に機能しうる形で連結された、本発明のポリペプチドまたは断片をコ
ードするDNAを含む。調節配列の例としては、転写プロモーター、オペレーター 、またはエンハンサー、mRNAリボソーム結合部位、ならびに転写および翻訳の開
始および終止を制御する適切な配列を含む。ヌクレオチド配列は、上記調節配列
が該DNA配列と機能的に関連している場合、機能しうる形で連結されている。し たがって、プロモーターヌクレオチド配列は、この配列がDNA配列の転写を制御 する場合は、該DNA配列に機能しうる形で連結されている。所望の宿主細胞中で 複製する能力を付与する複製起点、および形質転換体を同定する選択遺伝子が一
般に発現ベクターに組み込まれている。
【0107】 さらに、適切なシグナルペプチド(天然または異種の)をコードする配列を発
現ベクターに組み込むことができる。最初にDNAが転写され、次にmRNAがシグナ ルペプチドを含む融合タンパク質に翻訳されるように、シグナルペプチド(分泌
リーダー)のDNA配列をフレームを合わせて本発明の核酸配列に融合させること ができる。意図された宿主細胞中で機能するシグナルペプチドは、ポリペプチド
の細胞外分泌を促進する。このシグナルペプチドは、細胞からポリペプチドを分
泌した後に該ポリペプチドから開裂される。
【0108】 当業者はまた、シグナルペプチドが開裂される位置はコンピュータプログラム
によって予測された位置と異なる場合があること、そして組換えポリペプチドを
発現するのに用いた宿主細胞の種類などの因子によって変わりうること、を認め
るであろう。タンパク質調製物は、2つ以上の部位におけるシグナルペプチドの
開裂から生じた、異なるN末端アミノ酸を有するタンパク質分子の混合物を含む
場合がある。本明細書が提供する成熟タンパク質の特定の実施形態は、N末端ま
たはC末端アミノ酸として配列番号2の1、328、329、347、348または658位の 残基をもつタンパク質を含むが、それらだけに限定されない。
【0109】 ポリペプチドの発現に適切な宿主細胞は、原核生物、酵母または高等真核細胞
を含む。宿主細胞としての使用には哺乳動物細胞または昆虫細胞が一般に好まし
い。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞宿主と共に使用する適切なクローニン
グおよび発現ベクターは、例えば、Pouwelsら,「クローニングベクター:研究 室マニュアル」, Elsevier, New York (1985)に記述されている。本明細書に開 示するDNA構築物由来のRNAを用いてポリペプチドを生産するために、無細胞翻訳
系を用いることも可能であろう。
【0110】 原核生物系 原核生物はグラム陰性またはグラム陽性生物を含む。形質転換に適切な原核生
物宿主細胞は、例えば、大腸菌(E. coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、ネズミ
チフス菌(Salmonella typhimurium)およびシュードモナス属(Pseudomonas)、ス トレプトミセス属(Streptmyces) およびスタフィロコッカス属(Staphylococcus)
内の種々の種を含む。大腸菌などの原核宿主細胞を用いる場合は、該原核宿主細
胞中における組換えポリペプチドの発現を容易にするためにポリペプチドはN末
端メチオニン残基を含むことができる。このN末端Met は、発現された組換えポ
リペプチドから開裂することができる。
【0111】 原核宿主細胞中で用いる発現ベクターは、一般に1以上の表現型選択マーカー
遺伝子を含む。表現型選択マーカー遺伝子とは、例えば、抗生物質耐性を付与す
る、または独立栄養要求性を提供するタンパク質をコードする遺伝子である。原
核宿主細胞のための有用な発現ベクターの例は、クローニングベクターpBR322 (
ATCC 37017) などの市販のプラスミドから誘導されたベクターを含む。pBR322は
、アンピシリンおよびテトラサイクリン耐性遺伝子を含み、したがって形質転換
された細胞を同定するための単純な手段を提供する。適切なプロモーターおよび
DNA配列がpBR322ベクターに挿入されている。他の市販のベクターは、例えば、p
KK223-3 (Pharmacia Fine Chemicals, Uppsala, Sweden)およびpGEM1 (Promega
Biotec, Madison, WI, USA)を含む。
【0112】 組換え原核宿主細胞発現ベクターに一般に用いられているプロモーター配列は
、βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Changら, Na
ture 275:615, 1978; およびGoeddelら,Nature 281:544, 1979)、トリプトファ
ン(trp) プロモーター系(Goeddelら,Nucl. Acids Res. 8:4057, 1980;およびE
P-A-36776) およびtacプロモーター(Maniatis,「分子クローニング:研究室マ ニュアル」, Cold Spring Harbor Laboratory, p.412, 1982)を含む。特に有用 な原核宿主細胞発現系は、ファージλPLプロモーターおよびcI857ts 熱不安定性リプレッサー配列を採用している。λPLプロモーターの誘導体を組み
込んだ、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手可能なプラ
スミドベクターは、プラスミドpHUB2(大腸菌JMB9株、ATCC 37092に内在)およ びpPLc28(大腸菌RR1 株、ATCC 53082に内在)を含む。
【0113】 TIGIRR DNAを、普通の細菌発現ベクターのマルチクローニング部位にフレーム
を合わせてクローン化することができる。理想的には、誘導物質の添加が研究者
の選択した時期に組換えタンパク質の高レベル産生をもたらすように、該ベクタ
ーは上記クローニング部位の上流に誘導プロモーターを含む。いくつかのタンパ
ク質については、プロモーターと目的の遺伝子の間に融合パートナー(ヘキサヒ
スチジンなど)をコードするコドンを組み込むことによって発現レベルを上昇さ
せることが可能である。このようにして得られる「発現プラスミド」を、大腸菌
の種々の菌株で増殖させることができる。
【0114】 組換えタンパク質の発現のため、細菌細胞をあらかじめ定めた光学密度に達す
るまで増殖培地で増殖させる。次に、例えば、lacオペレーター/プロモーター を含むプラスミドからのタンパク質の発現を活性化するIPTG(イソプロピル-b-D
-チオガラクトピラノシド)の添加などによって、組換えタンパク質の発現を誘 導する。誘導(典型的には1〜4時間)後、遠心機を用いて例えば5,000 x Gで2
0分間4℃でペレット化することによって細胞を回収する。
【0115】 発現されたタンパク質を回収するため、ペレット化した細胞を10容積の50 mM Tris-HCl (pH 8)/1 M NaClに再懸濁し、次に2〜3回フレンチプレスに通す。最
も高度に発現された組換えタンパク質は、封入体として知られる不溶性の凝集体
を形成する。封入体は、遠心機を用いて5,000 x Gで20分間4℃でペレット化す ることによって、可溶性タンパク質から精製することができる。封入体ペレット
を50 mM Tris-HCl (pH 8)/1% Triton X-100で洗浄し、次に50 mM Tris-HCl (pH
8)/8 M 尿素/0.1 M DTTfに溶解する。溶解しない物質をすべて遠心(10,000 x Gで20分間、20℃)により除去する。殆どの場合、目的のタンパク質は得られ た清澄化上清の中で最も豊富なタンパク質である。このタンパク質を50 mM Tris-HCl (pH 8)/5 mM CaCl2/5 mM Zn(OAc)2/1 mM GSSG/0.1 mM GSHに対して透 析することによって、活性なコンホメーションに「再び折りたたむ」ことができ
る。再折りたたみ後、イオン交換またはゲル濾過などの種々のクロマトグラフ法
によって精製を実施することができる。いくつかのプロトコルでは、再び折りた
たまれる前に最初の精製を実施してもよい。例としては、ヘキサヒスチジンでタ
グされた融合タンパク質を、固定化ニッケル上で部分精製することができる。
【0116】 上記の精製および再折りたたみ方法によって該タンパク質は封入体から最も良
く回収されるものと考えられるが、タンパク質精製の技術分野の当業者は、多く
の組換えタンパク質は細胞溶解物の可溶性画分から最も良く精製されることを理
解するであろう。これらの場合、再折りたたみはしばしば必要とされず、標準的
クロマトグラフ法による精製を直接実施することができる。
【0117】 酵母系 他には、酵母宿主細胞、好ましくはサッカロミセス属(Saccharomyces)(例え
ば、S. cerevisiae)を用いて本発明のポリペプチドを発現させることができる。
酵母の他の属、例えばピキア属(Pichia)またはクルイベロミセス属(Kluyveromyc
es) も用いることができる。酵母ベクターはしばしば2μ酵母プラスミド由来の 複製起点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化配列、 転写終止配列、および選択マーカー遺伝子を含む。酵母ベクターのための適切な
プロモーター配列は、とりわけメタロチオネイン、3-ホスホグリセレートキナー
ゼ(Hitzeman ら,J. Biol. Chem. 255:2073, 1980)または他の解糖酵素(Hessら ,J. Adv. Enzyme Reg. 7:149, 1968;およびHollandら,Biochem. 17:4900, 197
8)、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキ ソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコ
ース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナ ーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホ-グルコースイソメラーゼ、及び グルコキナーゼ等のプロモーターを含む。酵母発現に用いるための他の適切はベ
クターおよびプロモーターは、HitzemanのEPA-73,657にさらに記述されている。
別のプロモーターは、Russellら(J. Biol. Chem. 258:2674, 1982)およびBeier ら(Nature 300:724, 1982)に記述されているグルコース抑制ADH2プロモーターで
ある。大腸菌中での選択および複製のためにpBR322由来のDNA配列(Amp遺伝子
および複製起点)を上記の酵母ベクターに挿入することによって、酵母および大
腸菌の両方で複製可能なシャトルベクターを構築することができる。
【0118】 ポリペプチドの分泌を導くため、酵母α因子リーダー配列を用いることができ
る。α因子リーダー配列はしばしばプロモーター配列と構造遺伝子配列の間に挿
入される。例えば、Kurjanら,Cell 30:933, 1982 およびBitterら,Proc. Natl
. Acad. Sci. USA 81:5330, 1984を参照されたい。酵母宿主からの組換えポリペ
プチドの分泌を容易にするのに適する他のリーダー配列が、当業者に公知である
。リーダー配列は、1つ以上の制限部位を含むようにその配列の3'末端付近で改
変することができる。これはリーダー配列の構造遺伝子との融合を容易にする。
【0119】 酵母の形質転換プロトコルは当業者に公知である。そのようなプロトコルの1
つは、Hinnenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:1929, 1978によって記述され
ている。Hinnenらのプロトコルは選択培地でTrp 形質転換体を選択する。この
選択培地は、0.67% 酵母窒素ベース、0.5%カサミノ酸、2%グルコース、10 mg/ml
アデニンおよび20 mg/mlウラシルから成る。
【0120】 ADH2プロモーター配列を含むベクターで形質転換した酵母宿主細胞を、「豊か
な(rich)」培地で発現を誘導するために増殖させることができる。
【0121】 豊かな培地の例は、80 mg/mlアデニンおよび80 mg/mlウラシルを補充した、1%酵
母抽出物、2%ペプトン、および1%グルコースから成る培地である。この培地から
グルコースが枯渇した時にADH2プロモーターの脱抑制が起こる。
【0122】 哺乳動物または昆虫系 哺乳動物または昆虫を宿主細胞とする培養系も組換えポリペプチドを発現する
のに用いることができる。昆虫細胞中で異種タンパク質を産生するためのバキュ
ロウイルス系がLuckowおよびSummers, Bio/Techonology 6:47 (1988)に総論され
ている。哺乳動物起源の確立された細胞系も用いることができる。適切な哺乳動
物宿主細胞系は、サル腎細胞のCOS-7 細胞系(ATCC CRL 1651)(Gluzman ら,Cell
23:175, 1981)、L細胞、C127細胞、3T3 細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハ
ムスター卵巣(CHO) 細胞、HeLa細胞およびBHK (ATCC CRL 10)細胞系、ならびにM
cMahanら,(EMBO J. 10:2821, 1991) に記述されているアフリカミドリザル腎細
胞系CV1 (ATCC CCL 70)由来のCV1/EBNA細胞系を含む。
【0123】 DNAを哺乳動物細胞に導入するための確立された方法は記述されている(Kaufma
n, R.J., Large Scale Mammalian Cell Culture, 1990, pp.15-69)。リポフェク
トアミン脂質試薬(Gibco/BRL)またはリポフェクトアミン−プラス脂質試薬など の市販の試薬を用いたさらなるプロトコールを、細胞のトランスフェクションに
用いることができる(Felgnerら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7417, 1
987)。さらに、Sambrookら(「分子クローニング:研究室マニュアル」,第2版,
1-3巻, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記述されているような 通常の方法を用いて哺乳動物細胞をトランスフェクトするのに、エレクトロポレ
ーションを用いることができる。安定な形質転換体の選択は、例えば、細胞傷害
性薬物への耐性などの当技術分野で公知の方法を用いて達成することができる。
Kaufmanら,Meth. in Enzymology 185:487-511, 1990は、ジヒドロ葉酸レダクタ
ーゼ(DHFR)耐性などのいくつかの選択スキームを記述している。DHFR選択に適し
た宿主株は、DHFRを欠くCHO細胞DX-B11株(UrlaubおよびChasin, Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 77:4216-4220, 1980)でありうる。DHFR cDNAを発現するプラスミ ドをDX-B11株に導入することができる。すると、このプラスミドを含む細胞のみ
が適切な選択培地で増殖できる。発現ベクターに組み込むことができる選択マー
カーの他の例は、G418およびハイグロマイシンBなどの抗生物質に対する耐性を
付与するcDNAを含む。該ベクターを有する細胞を、これらの化合物に耐性である
ことに基づいて選択しうる。
【0124】 哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写および翻訳調節配列は、ウイルス
ゲノムから切り取ることができる。一般に用いられているプロモーター配列およ
びエンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイ
ルス40(SV40)およびヒトサイトメガロウイルスに由来するものである。SV40ウイ
ルスゲノムに由来するDNA配列、例えば、SV40起点、初期および後期プロモータ ー、エンハンサー、スプライスおよびポリアデニル化部位を用いて、哺乳動物宿
主細胞中で構造遺伝子配列を発現するための別の遺伝子エレメントを得ることが
できる。ウイルスの初期および後期プロモーターは、両方ともウイルスゲノムか
ら断片として容易に入手することができるので特に有用であり、それらはウイル
スの複製起点をも含むことができる(Fiersら,Nature 273:113, 1978; Kaufman,
Meth. in Enzymology, 1990)。SV40ウイルスの複製起点部位に位置するHind II
I部位からBgl I部位に向かって伸びている約250 bpの配列が含まれているならば
、SV40のより大きいまたは小さい断片も用いることができる。
【0125】 哺乳動物発現ベクターからの異種遺伝子の発現を向上させることが示されたさ
らなる調節配列は、CHO 細胞に由来する発現増大(augmenting)配列エレメント(E
ASE)(Morrisら,Animal Cell Technology, 1997, pp.529-534およびPCT 出願WO
97/25420)、アデノウイルス2に由来する3部分からなる(tripartite)リーダー(
TPL) およびAV遺伝子RNA (Gingerasら,J. Biol. Chem. 257:13475-13491, 1982
)、などのエレメントを含む。ウイルス起源の内部リボソームエントリー部位(IR
ES)配列は、二シストロン性mRNAを効率よく翻訳させる(OhおよびSarnow, Curren
t Opinion in Genetics and Development 3:295-300, 1993; Rameshら,Nucleic
Acids Research 24:2697-2700, 1996)。二シストロン性mRNAの一部としての異 種cDNAおよびそれに続く選択マーカー遺伝子(例えば、DHFR)の発現は、宿主の トランスフェクト能および異種cDNAの発現を向上させることが示された(Kaufman
, Meth. in Enzymology, 1990)。二シストロン性mRNAを用いた発現ベクターの好
例は、Mosserら,Biotechniques 22:150-161, 1997に記述されているpTR-DC/GFP
、およびMorrisら,Animal Cell Technology, 1997, pp. 529-534に記述されて いるp2A5Iである。
【0126】 有用な高発現ベクターpCAVNOTが、Mosleyら, Cell 59:335-348, 1989 によっ て記述されている。哺乳動物宿主細胞で用いる他の発現ベクターを、Okayamaお よびBerg (Mol. Cell. Biol. 3:280, 1983)が開示するように構築することがで きる。C127マウス乳腺上皮細胞を用いた哺乳動物cDNAの安定な高レベル発現のた
めの有用な系は、実質的にCosmanら(Mol. Immunol. 23:935, 1986)が記述するよ
うに構築することができる。Cosmanら, Nature 312:768, 1984が記述している有
用な高発現ベクターPMLSV N1/N4 は、ATCC 39890として寄託されている。さらな
る有用な哺乳動物発現ベクターは、参照によりここに組み入れるEP-A-0367566お
よびWO 91/18982 に記述されている。さらに別の発現ベクターは、レトロウイル
スから誘導することができる さらなる有用な発現ベクターpFLAGTMおよびpDC311も用いることができる。F
LAGTM技術は、低分子量(1 kD)親水性FLAGTMマーカーペプチドの、FLAGTM 発現ベクターによって発現される組換えタンパク質のN末端への融合に中心を置
いている。pDC311は、CHO 細胞中でタンパク質を発現するのに使用される、別の
特殊化ベクターである。pDC311は、目的の遺伝子およびジヒドロ葉酸レダクター
ゼ(DHFR)遺伝子を含み、DHFR翻訳のための内部リボソーム結合部位をもつ二シス
トロン性配列、発現増大配列エレメント(EASE)、ヒトCMV プロモーター、3部分
からなるリーダー配列、およびポリアデニル化部位によって特徴付けられる。
【0127】 用いることができるシグナルペプチドに関しては、天然のシグナルペプチドを
所望であれば異種シグナルペプチドまたはリーダーと置き換えることができる。
シグナルペプチドまたはリーダー配列の選択は、その中に組換えポリペプチドを
産生させるべき宿主細胞の種類、などの因子に依存する。例示するならば、哺乳
動物宿主細胞中で機能する異種シグナルペプチドの例は、米国特許第4,965,195 号に記述されているインターロイキン7(IL-7)のシグナル配列;Cosmanら,Natu
re 312:768 (1984)に記述されているインターロイキン2受容体のシグナル配列 ;EP 367,566に記述されているインターロイキン4受容体のシグナルペプチド;
米国特許第4,968,607号に記述されているI型インターロイキン1受容体シグナ ルペプチド;およびEP 460,846に記述されているII型インターロイキン1受容体
シグナルペプチドを含む。
【0128】 精製 本発明は、本発明のポリペプチドおよびその断片を単離し、精製する方法をも
含む。本発明による単離され、精製されたTIGIRRポリペプチドは、上記の組換え
発現系によって生産するか、または天然に存在する細胞から精製することができ
る。TIGIRRポリペプチドは、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)に
よって分析するとタンパク質の1本のバンドによって示されるように、実質的に
精製することができる。TIGIRRを作製する1つの方法は、TIGIRRポリペプチドを
コードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換した宿主細胞を、TIGIRRの発 現を促進するのに十分な条件下で培養することを含む。次に、使用した発現系に
依って、TIGIRRポリペプチドを培養培地または細胞抽出物から回収する。
【0129】 単離および精製 本明細書に用いる「単離され、精製された」という表現は、TIGIRRが他のDNA 、タンパク質、またはポリペプチド(例えば、組換え宿主細胞培養物の精製産物
としての、または非組換え供給源に由来する精製産物としての)との会合を本質
的に免れていることを意味する。本明細書に用いる「実質的に精製された」とい
う用語は、TIGIRRを含んでいて、そして特定の抗体を用いて除去することができ
る公知DNAまたはタンパク質の存在以外は他のDNA、タンパク質、またはポリペプ
チドとの会合を本質的に免れている混合物を指し、そして実質的に精製されたTI
GIRRタンパク質は生物学的活性を保持している。「精製されたTIGIRR」という用
語は、TIGIRRの「単離され、精製された」形態、またはTIGIRRの「実質的に精製
された」形態を言う。両方とも本明細書に記述されている。
【0130】 TIGIRRタンパク質に言及する場合、「生物学的に活性な」という用語は、TIGI
RRタンパク質がTIGIRRカウンター構造物と会合できること、またはTIGIRRカウン
ター構造物に対する抗体を用いてTIGIRRカウンター構造物と共に共免疫沈降(coi
mmunoprecipitated)されうること、を意味する。
【0131】 1つの好ましい実施形態においては、組換えポリペプチドまたは断片の精製は
、精製を容易にするため、本発明のポリペプチドまたは断片を別のポリペプチド
に融合させて達成することができる。このような融合パートナーは、上述のポリ
-Hisまたは他の抗原性同定ペプチド、ならびに先に記述したFc部分を含むことが
できる。
【0132】 当業者に公知のいずれの種類の宿主細胞についても、組換えポリペプチドまた
は断片を精製する方法は、用いた宿主細胞の種類、または該組換えペプチドまた
は断片が培養培地中に分泌されるかどうか、などの因子によって変わる。
【0133】 一般に、組換えポリペプチドまたは断片は、それらが分泌されないならば宿主
細胞から、またそれらが可溶性で分泌される場合は培地または上清から単離する
ことができる。そして後で1つ以上の濃縮、塩析、イオン交換、疎水性相互作用
、アフィニティー精製、またはサイズ排除クロマトグラフィー工程が実施される
。これらの工程を実施する具体的な方法については、市販のタンパク質濃縮フィ
ルター(例えば、AmiconまたはMillipore Pelliconの限外濾過ユニット)を用い
て最初に培養培地を濃縮することができる。この濃縮工程の後で、濃縮物をゲル
濾過媒質などの精製マトリックスにアプライすることができる。または、例えば
ペンダント型のジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基質
など、アニオン交換樹脂を用いることができる。上記マトリックスはアクリルア
ミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製に一般に用
いられている他の種類のマトリックスであってよい。または、カチオン交換工程
を用いることができる。適切なカチオン交換体は、スルホプロピルまたはカルボ
キシメチル基を含む種々の不溶性マトリックスを含む。さらに、クロマトフォー
カシング工程を用いることができる。または、疎水性相互作用クロマトグラフィ
ー工程を用いることができる。適切なマトリックスは樹脂に結合したフェニルま
たはオクチル部分であることができる。さらに、組換えタンパク質に選択的に結
合するマトリックスを用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いることが
できる。使用されるそのような樹脂の例は、レクチンカラム、色素カラムおよび
金属キレート性カラムである。最後に、疎水性RP-HPLC 媒質(例えば、シリカゲ
ルまたはペンダント型のメチル、オクチル、オクチルデシルまたは他の脂肪族基
を有するポリマー樹脂)を用いた1以上の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-
HPLC) 工程を用いて、ポリペプチドをさらに精製することができる。様々に組み
合わせた上記精製工程のいくつか、または全部は周知であり、これらを用いて単
離され、精製された組換えタンパク質を提供することができる。
【0134】 細菌培養物中に産生された組換えタンパク質は、通常、以下の工程によって単
離される。すなわち、宿主細胞の初期破壊、遠心分離、不溶性ポリペプチドであ
れば細胞ペレットから、可溶性ポリペプチドであれば上清液からの抽出、その後
1つ以上の濃縮、塩析、イオン交換、疎水性相互作用、アフィニティー精製、ま
たはサイズ排除クロマトグラフィー工程である。最後に、最終精製工程のために
RP-HPLCを用いることができる。微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理 、機械的破壊、または細胞溶解剤の使用を含む任意の通常の方法で破壊すること
ができる。
【0135】 精製を単純化するために分泌タンパク質としてTIGIRRを発現するには、形質転
換酵母宿主細胞が好ましく使用される。酵母宿主細胞の発酵に由来する分泌され
た組換えポリペプチドは、Urdalら(J. Chromatog. 296:171, 1984)によって開示
された方法に類似の方法によって精製することができる。Urdalらは、組換えヒ トIL-2の精製のための、分離用HPLCカラムを用いた2つの連続的逆相HPLC工程を
記述している。
【0136】 本発明のポリペプチド結合タンパク質(例えば、本発明のポリペプチドに対し
て産生されたモノクローナル抗体など)を充填したアフィニティーカラムを用い
て、発現されたポリペプチドをアフィニティー精製することも可能である。これ
らのポリペプチドは通常の技法を用いてアフィニティーカラムから除去すること
ができる。例えば、高塩溶出バッファーを用いて除去し、次に低塩バッファーを
用いて透析することにより、または用いたアフィニティーマトリックスによって
pHまたは他の成分を変えることによって、除去することができる。または、アフ
ィニティー部分の天然に存在する基質(例えば、本発明から誘導されるポリペプ
チド)を用いて競合的にカラムから除去することができる。
【0137】 本発明のこの態様においては、ポリペプチド結合タンパク質(例えば、本発明
の抗ポリペプチド抗体、または本発明のポリペプチドと相互作用できる他のタン
パク質など)を、本発明のポリペプチドを表面上に発現する細胞を同定し、分離
し、または精製するのに適したカラムクロマトグラフィーマトリックスまたは類
似の基質などの固相支持体に結合することができる。本発明のポリペプチド結合
タンパク質の固相接触表面への接着は、任意の手段によって達成することができ
る。例えば、磁気マイクロスフェアを上記ポリペプチド結合タンパク質で被覆し
、インキュベーション容器中に保持して磁場を通過させることができる。細胞混
合物の懸濁物を、上記のようなポリペプチド結合タンパク質を表面に有する固相
に接触させる。表面に本発明のポリペプチドを有する細胞は、固定されたポリペ
プチド結合タンパク質に結合し、次に未結合の細胞は洗い流される。このアフィ
ニティー結合法は、上記のようなポリペプチド発現細胞を溶液から精製し、スク
リーニングし、または分離するのに有用である。陽性に選択された細胞を固相か
ら放出する方法は当技術分野で公知であり、例えば酵素の使用を包含する。この
ような酵素は好ましくは細胞に対して非毒性かつ非傷害性であり、そして好まし
くは細胞表面結合パートナーの開裂に向けられている。
【0138】 または、本発明のポリペプチド発現細胞を含んでいると疑われる細胞混合物を
、最初に本発明のビオチニル化ポリペプチド結合タンパク質と共にインキュベー
トすることができる。インキュベーション時間は、本発明のポリペプチドへの十
分な結合を確実にするため、典型的には少なくとも継続して1時間である。次に
、得られた混合物をアビジン被覆ビーズを充填したカラムに通す。それにより、
アビジンに対するビオチンの高い親和性は、ポリペプチド結合細胞の該ビーズと
の結合をもたらす。アビジン被覆ビーズの使用は当分野で公知である。Berenson
ら,J. Cell. Biochem., 10D:239 (1986)を参照されたい。未結合物質の洗浄お よび結合細胞の放出は通常の方法を用いて達成される。
【0139】 上記の方法において、適切なTIGIRR結合ポリペプチドは、抗TIGIRR抗体、およ
びTIGIRRとの高アフィニティー結合が可能な他のタンパク質である。好ましいTI
GIRR結合タンパク質は抗TIGIRRモノクローナル抗体である。
【0140】 所望の純度の程度は、該タンパク質の意図された使用に依存する。例えば、該
ポリペプチドがin vivo投与される場合には、比較的高程度の純度が望ましい。 そのような場合、該ポリペプチドはSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-P
AGE)によって分析した時に他のタンパク質に対応するタンパク質バンドが全く検
出されないように精製される。当業者は、ディファレンシャルグリコシル化、デ
ィファレンシャル翻訳後プロセシングなどのために、該ポリペプチドに対応する
複数のバンドがSDS-PAGEによって可視化されうることを認めるであろう。最も好
ましくは、本発明のポリペプチドはSDS-PAGEによる分析の結果だだ1本のタンパ
ク質バンドによって示される、実質的な均一性にまで精製される。タンパク質バ
ンドは銀染色法、クーマシーブルー染色法または(該タンパク質が放射能標識さ
れている場合は)オートラジオグラフィーによって可視化することができる。
【0141】 アッセイ 本発明の精製されたポリペプチド(タンパク質、ポリペプチド、断片、変異体
、オリゴマーおよび他の形態を含む)は、TIGIRRカウンター構造物分子との結合
能に関して任意の適切なアッセイ、例えば、通常の結合アッセイなどによって試
験することができる。説明すると、検出可能な試薬(例えば、放射性核種、発色
団、比色分析反応または蛍光定量反応を触媒する酵素、など)を用いて該ポリペ
プチドを標識することができる。標識化ポリペプチドを、TIGIRRカウンター構造
物分子を発現する細胞に接触させる。次に該細胞を洗浄して未結合標識化ポリペ
プチドを除去し、そして標識の性質にしたがって選択した適切な技法で細胞に結
合した標識の存在を確認する。
【0142】 結合アッセイ法の1例は、以下の通りである。すなわち、TIGIRRカウンター構
造物分子cDNAを含む組換え発現ベクターを、例えば、OX40-Fcについて以前に記 述されているように(Baumら,EMBO J. 13:3992-4001, 1994)TIGIRR カウンター 構造物分子の細胞外ドメインをIgG-I Fc(突然変異形態)に融合させて構築する
。この組換え発現ベクターを用いて10 cmのディッシュにいれたCV1-EBNA-1細 胞をトランスフェクトする。CV-1/EBNA-1細胞 (ATCC CRL 10478)は、CMV前初期 エンハンサー/プロモーターに導かれてEBV 核抗原1を構成的に発現する。CV1-
EBNA-1は、McMahanら(EMBO J. 10:2821, 1991) によって記述されているように 、アフリカミドリザル腎細胞系CV-1 (ATCC CCL 70)から誘導されたものである。
【0143】 前記トランスフェクトした細胞を24時間培養し、次に各ディッシュの細胞を24
ウエルプレートに分注する。さらに48時間培養した後、トランスフェクトした細
胞(約4x10個/ウエル)をBM-NFDM で洗浄する。BM-NFDMは50 mg/ml脱脂粉乳 を加えた結合培地(25 mg/ml ウシ血清アルブミン、2 mg/ml アジ化ナトリウム、
20 mM Hepes pH 7.2を含むRPMI 1640)である。次に、細胞を種々の濃度の、例え
ば上述のように作製した可溶性ポリペプチド/Fc 融合タンパク質と共に1時間37
℃でインキュベートする。次に細胞を洗浄し、そして結合培地中で一定の飽和濃
度の125I-マウス抗ヒトIgG と共に、穏やかに攪拌しながら1時間37℃でイン
キュベートする。よく洗浄した後、トリプシン処理によって細胞を放出させる。
【0144】 上記で用いたマウス抗ヒトIgG は、ヒトIgG のFc領域に向けられたもので、Ja
ckson Immunoresearch Laboratories, Inc., West Grove, PAから入手可能であ る。この抗体は標準的クロラミンT法を用いて放射性ヨウ素化される。この抗体
は上記細胞に結合した任意のポリペプチド/Fcタンパク質のFc部分に結合する。 すべてのアッセイにおいて、Fc融合タンパク質の不在下、ならびにFc融合タンパ
ク質および200倍モル過剰の非標識マウス抗ヒトIgG 抗体の存在下で、125I- 抗体の非特異的結合がアッセイされる。
【0145】 細胞に結合した125I-抗体は、パッカード自動ガンマカウンター(Packard
Autogamma counter)を用いて定量する。親和性の計算値(Scatchard, Ann. N.Y.
Acad. Sci. 51:660, 1949)は、Microvaxコンピュータを用いてRS/1 (BBN Softw
are, Boston, MA) を実行させて作製される。
【0146】 別種の適切な結合アッセイは競合的結合アッセイである。説明すると、TIGIRR
カウンター構造物との、またはTIGIRRカウンター構造物を発現する細胞との結合
について、天然のタンパク質と競合する変異体の能力をアッセイすることによっ
て、該変異体の生物学的活性を測定することができる。
【0147】 競合的結合アッセイは通常の方法によって達成することができる。競合的結合
アッセイに用いることのできる試薬は、放射性標識化TIGIRRカウンター構造物お
よび細胞表面にTIGIRR(内因性または組換え)を発現する完全な細胞を含む。例
えば、放射性標識された可溶性TIGIRR断片を用いて、細胞表面(結合パートナー
)との結合について可溶性TIGIRR変異体と競合させることができる。完全な細胞
の代わりに、プロテインAまたはプロテインG(固相上に存在する)とFc部分と
の相互作用によって固相に結合された可溶性TIGIRRカウンター構造物/Fc融合タ ンパク質を使うことができるであろう。プロテインAおよびプロテインGを充填
したクロマトグラフィーカラムは、Pharmacia Biotech, Inc., Piscataway, NJ から入手可能なカラムを含む。
【0148】 別種の競合的結合アッセイは、可溶性TIGIRRカウンター構造物/Fc融合タンパ ク質などの放射性標識化可溶性TIGIRRカウンター構造物、およびTIGIRRを発現す
る完全な細胞を使用する。定量的結果を出すにはスキャッチャードプロット(Sca
tchard, Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660, 1949)を用いることができるが、競合的
オートラジオグラフィープレート結合アッセイによると定性的結果を得ることが
できる。
【0149】TIGIRR核酸またはオリゴヌクレオチドの使用 上述のようにポリペプチドを発現するために用いられるのに加えて、本発明の
核酸(DNAを含む)およびそのオリゴヌクレオチドは下記のように用いることが できる。すなわち: − TIGIRR活性を有するタンパク質をコードする核酸を同定するためのプロー ブとして; − ヒト染色体Xを同定するため; − ヒト染色体X上の遺伝子をマッピングするため; − ヒト染色体Xに関連する特定の疾患、症候群または他の病態に関連する遺 伝子を同定するため; − TIGIRR遺伝子によってコードされるポリペプチドの発現を抑制するための 1本鎖センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドとして; − 個人における欠陥遺伝子の検出を助けるため;および − 遺伝子療法のため。
【0150】 プローブ 本発明の核酸の用途の中に、プローブまたはプライマーとしての断片の使用が
ある。そのような断片は一般に、DNA配列の少なくとも約17個の連続したヌクレ オチドを含む。他の実施形態においては、DNA断片は、DNA配列の少なくとも30個
、または少なくとも60個の連続したヌクレオチドを含む。
【0151】 他の哺乳動物種由来の配列番号1の相同体が本発明で意図されているので、配
列番号1のDNA配列に基づくプローブを用いて、通常の交差種(cross-species)ハ
イブリダイゼーション技法により他の哺乳動物種由来のcDNAライブラリーをスク
リーニングすることができる。
【0152】 遺伝子暗号の知識を上述のアミノ酸配列と組み合わせて用いて、数セットの縮
重オリゴヌクレオチドを調製することができる。このようなオリゴヌクレオチド
は、例えば、DNA断片を単離し増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマー
として有用である。
【0153】 TIGIRRのRNA発現パターンのゆえに、配列番号1のDNA配列に基づくプローブは
in situ ハイブリダイゼーションなどの方法によって肝臓、胎盤および脳の組織
および細胞型を検出するのに用いることができる。
【0154】 染色体マッピング TIGIRR遺伝子は染色体Xq21.3-Xq22 に位置する。配列番号1の核酸の全部また
は一部は、オリゴヌクレオチドも含めて、当業者が周知の技法を用いてヒト染色
体X、およびTIGIRRファミリーメンバーのDNAを含む染色体Xの特定の遺伝子座 を同定する場合に用いることができる。有用な技法は以下のものを含むがそれら
だけに限定されない。すなわち、オリゴヌクレオチドを含む上記配列またはその
一部をプローブとして種々の周知の技法、例えば放射線ハイブリッドマッピング
(高分解能(high resolution))、染色体散在遺伝子(chromosome spread)とのin
situハイブリダイゼーション(中分解能)、および個々のヒト染色体を含むハイ
ブリッド細胞系とのサザンブロットハイブリダイゼーション(低分解能)などに
使用する。
【0155】 例えば、染色体を放射線ハイブリダイゼーションによってマッピングすること
ができる。Whitehead Institute/MIT Center for Genome Researchの93放射線ハ
イブリッドのGenebridge4 パネル (http://www-genome.wi.mit.edu/ftp/distrib
ution/human STS releases/july97/rhmap/genebridge4.html) を用いてPCRを 実施する。目的の遺伝子の推定上のエキソン内に位置する、そしてヒトゲノムDN
Aから産物を増幅するがハムスターゲノムDNAは増幅しない、プライマーを用いる
。PCRの結果をデータベクターに変換し、これをインターネット上のWhitehead/M
IT Radiation Mappingサイト(http://www-seq.wi.mit.edu) に提出する。このデ
ータはスコアリングされ、そして放射線ハイブリッドマップ上の公知の配列タグ
部位(Sequence Tag Site)(STS) マーカーに対する染色体の帰属および配置が提
供される。下記のウェブサイトは放射線ハイブリッドマッピングに関する付加的
な情報を提供してくれる: http://www-genome.wi.mit.edu/ftp/distribution/hu
man STS releases/july97/07-97.INTRO.html)。
【0156】 関連する疾患の同定 上述のように、配列番号1は染色体XのXq21.3-Xq22 領域にマッピングされて
いる。この領域は、以下のものを含むがそれらだけに限定されない特定の疾患に
関連している。すなわち、FG症候群、アラン-ヘーンドン(Allan-Herndon) 症候 群、早発性卵巣不全1、X連鎖難聴3、先天性脈絡膜欠如、無ガンマグロブリン
血症、巨大角膜1、精神遅滞30、アーツ(Arts)症候群、アルポート(Alport)症候
群、平滑筋腫、進行性難聴1、てんかん、ファブリー(Fabry)病、ペリツェーウ ス-メルツバッヒャー(Pelizaeus-Merzbacher)病、ホスホリボシルピロリン酸シ ンテターゼ関連痛風、エナメル質形成不全症3、甲状腺機能正常性高および低サ
イロキシン血症、脳回欠損、皮質下ラミナルヘテロピア(laminalheteropia)、精
神遅滞23、カウチョック(cowchock)症候群、バゼックス(Bazex)症候群、多毛症 、および単離された増殖ホルモンの欠乏をともなう精神遅滞である。したがって
、配列番号1の核酸またはその断片は、当業者が染色体Xにマッピングされる遺
伝子に関連する異常を周知の技法を用いて分析する場合に用いることができる。
これは、このマーカーが転位している、または欠損している病態を区別すること
を可能とする。さらに、配列番号1の核酸またはその断片は、位置が知られてい
ない他の遺伝子をマップするための位置マーカーとして用いることができる。
【0157】 上記DNAは、本発明の核酸に対応する遺伝子の欠陥または不十分な量によって (直接的または間接的に)媒介される任意の障害の治療法の開発に用いることが
できる。本明細書における天然のヌクレオチド配列の開示は、欠陥遺伝子の検出
、およびそれと正常遺伝子との置換を可能とする。欠陥遺伝子はin vitro診断ア
ッセイによって、および本明細書に開示する天然のヌクレオチド配列と、この遺
伝子に欠陥を有すると疑われるヒトに由来する遺伝子のヌクレオチド配列とを比
較することによって、検出することができる。
【0158】 センス-アンチセンス 他の有用な核酸断片は、標的mRNA(センス)またはDNA(アンチセンス)配列 に結合可能な1本鎖核酸配列(RNAまたはDNA)を含むアンチセンスまたはセンス
オリゴヌクレオチドを含む。本発明によるアンチセンスまたはセンスオリゴヌク
レオチドは、DNA(配列番号1)の断片を含む。そのような断片は一般に少なく とも約14個のヌクレオチド、好ましくは約14から約30個のヌクレオチドを含む。
所与のタンパク質をコードするcDNA配列に基づいてアンチセンスまたはセンスオ
リゴヌクレオチドを誘導する能力は、例えば、SteinおよびCohen (Cancer Res.
48:2659, 1988)およびvan der Krolら(BioTechniques 6:958, 1988)に記述され ている。
【0159】 アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドの標的核酸配列との結合は、RN
AseHによるmRNAの分解の増大、スプライシングの抑制、転写または翻訳の不完全
終結、または他の手段を含むいくつかの手段のうち1つによって、タンパク質発
現をブロックまたは抑制する二重らせんの形成をもたらす。したがって、アンチ
センスオリゴヌクレオチドはタンパク質の発現をブロックするために用いること
ができる。アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、改変された糖-ホ スホジエステル主鎖(またはWO 91/06629 に記述されているような他の糖結合)
を有するオリゴヌクレオチドをさらに含み、そして該オリゴヌクレオチドにおい
てそのような糖結合は内因性ヌクレアーゼに耐性である。耐性糖結合を有するそ
のようなオリゴヌクレオチドはin vivoで安定である(すなわち、酵素的分解に 抵抗することができる)が、標的核酸配列に結合することができる配列特異性を
保持している。
【0160】 センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの他の例は、WO 90/10448 に記
述されているような有機部分、およびオリゴヌクレオチドの標的核酸配列、例え
ばポリ-(L-リシン)などに対する親和性を増大させる他の部分に共有結合したオ
リゴヌクレオチドを含む。さらに、エリプチシン(ellipticine) などの挿入剤、
およびアルキル化剤または金属錯体を、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレ
オチドに結合させ、標的ヌクレオチド配列に対する該アンチセンスまたはセンス
オリゴヌクレオチドの結合特異性を改変することができる。
【0161】 アンチセンスまたはセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、リポフェクション
、CaPO4媒介DNAトランスフェクション、エレクトロポレーションを含む任意の 遺伝子導入法によって、またはエプスタイン-バーウイルス等の遺伝子導入ベク ターを用いて、標的核酸配列を含む細胞中に導入することができる。
【0162】 センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列を含む細胞中
に好ましくは以下のように導入される。すなわち、該センスまたはアンチセンス
オリゴヌクレオチドを適切なレトロウイルスベクターに挿入し、次に挿入された
配列を含むこのレトロウイルスベクターに上記細胞をin vivoまたはex vivoで接
触させることによって導入される。適切なレトロウイルスベクターは、マウスレ
トロウイルスM-MuLV, N2 (M-MuLVに由来するレトロウイルス)、またはDCT5A, D
CT5BおよびDCT5C と称されるダブルコピーベクター(PCT出願 US 90/02656を参照
)を含むが、これらだけに限定されない。
【0163】 センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列を含む細胞中
に、WO 91/04753 に記述されているようにリガンド結合分子とのコンジュゲート
を形成させることによって導入することもできる。適切なリガンド結合分子は、
細胞表面受容体、増殖因子、他のサイトカイン、または細胞表面受容体に結合す
る他のリガンドを含むが、これらだけに限定されない。好ましくは、リガンド結
合分子とのコンジュゲート形成は、対応する分子または受容体と結合する該リガ
ンド結合分子の能力を実質的に妨げない。または、センスまたはアンチセンスオ
リゴヌクレオチドまたはそのコンジュゲート形態が細胞に入ることを実質的にブ
ロックしない。
【0164】 または、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸配列を含
む細胞中に、WO 90/10448 に記述されているようにオリゴヌクレオチド-脂質複 合体を形成させることによって導入することができる。センスまたはアンチセン
スオリゴヌクレオチド-脂質複合体は、好ましくは、細胞内で内因性リパーゼに よって解離される。特定の細胞型にターゲッティングされるモノクローナル抗体
に。
【0165】TIGIRRポリペプチドおよび断片化ポリペプチドの使用 用途は以下のものを含むが、それらだけに限定されない: − タンパク質を精製し、その活性を測定する − デリバリー剤 − 治療剤 − 合理的薬物設計 − 研究用試薬 − 分子量および等電点電気泳動マーカー − ペプチド断片化の対照 − 未知のタンパク質の同定 − 抗体の調製 精製試薬 本発明のポリペプチドのそれぞれは、タンパク質精製試薬としての用途を有す
る。該ポリペプチドを固相支持体物質に結合させ、アフィニティークロマトグラ
フィーによってTIGIRR対抗構造分子(TIGIRR counter-structure molecule)を精 製するために用いることができる。特定の実施形態においては、ポリペプチド(
TIGIRR対抗構造分子と結合可能な、本明細書に記載する任意の形態のもの)を通
常の方法によって固相支持体に結合させる。1例として、タンパク質のアミノ酸
側鎖上の官能基と反応する官能基を含むクロマトグラフィーカラムが利用できる
(Pharmacia Biotech, Inc., Piscataway, NJ)。別の実施形態においては、(上 述の)ポリペプチド/Fcタンパク質をFc部分との相互作用によってプロテインA またはプロテインG含有クロマトグラフィーカラムに結合させる。
【0166】 該ポリペプチドはまた、細胞表面にTIGIRR対抗構造分子を発現する細胞を精製
または同定するために用いられる。ポリペプチドを、カラムクロマトグラフィー
マトリックスまたはこれに類似した適切な基質などの固相に結合させる。例えば
、磁気微小球体をポリペプチドで被覆して、インキュベーション容器に入れて磁
場を通過させることができる。TIGIRR対抗構造分子発現細胞を含む細胞混合物の
懸濁物を、表面に上記ポリペプチドを有する固相に接触させる。細胞表面にTIGI
RR対抗構造分子を発現する細胞は、上記固定化ポリペプチドに結合する。次に未
結合細胞を洗い流す。
【0167】 または、該ポリペプチドを検出可能な部分とコンジュゲートさせ、次にこれを
TIGIRR対抗構造分子発現について試験すべき細胞と共にインキュベートすること
ができる。インキュベーション後、未結合の標識化物質を除去し、細胞上の上記
検出可能な部分の存在または不在を確認する。
【0168】 さらに別の実施形態においては、TIGIRR対抗構造分子を発現する細胞を含むこ
とが疑われる細胞混合物を、ビオチニル化ポリペプチドと共にインキュベートす
る。十分な結合を確実にするため、インキュベーション時間は、典型的には少な
くとも継続して1時間である。次に、得られた混合物をアビジン被覆したビーズ
を充填したカラムに通す。すると、アビジンに対するビオチンの高い親和性は、
所望の細胞の該ビーズとの結合をもたらす。アビジン被覆したビーズの使用方法
は公知である(Berensonら,J. Cell. Biochem., 10D:239, 1986参照)。未結合
物質を除去するための洗浄および結合細胞の放出は通常の方法を用いて実施され
る。
【0169】 活性測定 ポリペプチドはまた、TIGIRR対抗構造分子の生物学的活性をそれらの結合親和
性として測定するのに用途を見いだす。したがって、該ポリペプチドは「品質保
証」試験を実施する人々によって、例えば、異なる条件下におけるタンパク質の
貯蔵寿命および安定性をモニターするのに使用されうる。例えば、該ポリペプチ
ドは結合親和性試験に用いられて、異なる温度で保存された、または異なる細胞
型で産生されたTIGIRR対抗構造分子の生物学的活性を測定することができる。該
タンパク質はまた、TIGIRR対抗構造分子の改変(例えば、化学修飾、トランケー
ション、突然変異、など)後に生物学的活性が保持されているか否かを確認する
ために用いることができる。改変されたTIGIRR対抗構造分子の結合親和性を、未
改変のTIGIRR対抗構造分子のそれと比較し、TIGIRR対抗構造分子の生物学的活性
に及ぼす改変の不都合な影響を検出する。TIGIRR対抗構造分子の生物学的活性は
、該分子が例えば研究試験に用いられる前に、このようにして突き止めることが
できる。
【0170】 デリバリー剤 本発明のポリペプチドは、TIGIRR対抗構造分子を細胞表面に発現することが見
いだされた細胞または細胞型に診断剤または治療剤をデリバリーするために、in
vitroまたはin vivoの方法で用いることができる。したがって、TIGIRRポリペ プチドをトキシンに結合させ、細胞表面にTIGIRR対抗構造分子を発現する細胞に
結合させ、そしてこれらの細胞を特異的に殺すことができる。この方法は、SCID
マウスにおける難治性のB系統急性リンパ芽球性白血病を治療するための抗CD72
イムノトキシンの成功した使用(Meyersら,Leuk. and Lymph. 18:119-122) に 類似していると言える。
【0171】 ポリペプチドに結合することができる検出剤(診断剤)および治療剤は、トキ
シン、他の細胞傷害剤、薬物、放射性核種、発色団、比色分析反応または蛍光定
量反応を触媒する酵素などを含むが、それらだけに限定されない。特定の剤は意
図される使用によって選択される。トキシンの例としては、リシン、アブリン、
ジフテリア毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素A、リボソーム不活性
化タンパク質、トリコテセンなどのマイコトキシン、ならびにそれらの誘導体お
よび断片(例えば、1本鎖など)が挙げられる。診断的使用に適切な放射性核種
は、123I、131I、99mTc、111In および76Brを含むが、これらだけに限定されな い。治療的用途に適した放射性核種の例は、131I、211At、77Br、186Re、188Re 、212Pb、212Bi、109Pd、64Cuおよび67Cuである。
【0172】 このような剤は任意の適切な通常の方法によってポリペプチドに結合させるこ
とができる。該ポリペプチドは、例えば所望の剤上の官能基と反応させて共有結
合を形成させることができる、アミノ酸側鎖上の官能基を含む。または、上記タ
ンパク質または剤を誘導体化して、所望の反応性官能基を生成または結合させる
ことができる。誘導体化は、種々の分子をタンパク質に結合させるのに利用でき
る二官能性カップリング試薬(Pierce Chemical Company, Rockford, Illinois) の1つの結合を伴う場合がある。タンパク質を放射能標識する多数の技法が公知
である。放射性核種金属は、例えば適切な二官能性キレート剤を用いてポリペプ
チドに結合させることができる。
【0173】 ポリペプチドおよび適切な診断剤または治療剤(好ましくは共有結合している
)を含むコンジュゲートはこのように調製される。該コンジュゲートは、特定の
使用にとって適切な量で投与または別途使用される。
【0174】 治療剤 本発明の別の実施形態はTIGIRRの治療的使用に関する。IL-1リガンドは、感染
および免疫炎症性応答に対する保護において中心的役割を果たす。この役割は、
細胞シグナル伝達、血管内皮細胞およびリンパ球の活性化、炎症性サイトカイン
、急性期応答タンパク質、造血、発熱、骨吸収、プロスタグランジン、メタロプ
ロテイナーゼおよび接着分子の誘導を含む。公知のIL-1ファミリーメンバーの数
が増え続けている現在、適切な分類法はポリペプチドの構造および機能(活性化
および調節特性)の比較に基づくものである。したがって、IL-1α、IL-1βおよ
びIL-18 と同じように、TIGIRRのリガンドは炎症性応答の促進はもちろん、上記
の機能の多くに関与しているものと思われる。そしてそれ故、TIGIRRのリガンド
は慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、および乾癬などの炎症性疾患および/また
は自己免疫疾患の原因および持続に恐らく関与していると思われる。そこで、TI
GIRRなどのIL-1R ファミリーメンバーの発現および/または活性化における変更
は、過剰の細胞過程(細胞特異的応答の活性化または抑制、増殖、およびシグナ
ル伝達の変化に基づく炎症性反応を含むがそれらだけに限定されない)に対して
深遠な影響を及ぼしうる。
【0175】 IL-1によって媒介される細胞シグナル伝達はしばしば分子活性化カスケードを
伴い、この間に受容体は標的基質をリン酸化する細胞内キナーゼを特異的に活性
化することによってリガンド-受容体によって媒介されるシグナルを伝達する。 その結果、転写因子NFkBおよびAP1、プロテインキナーゼJun N末端キナーゼお よびp38 マップキナーゼ、プロスタグランジン産生をもたらす酵素COX-2 および
一酸化窒素の産生をもたらすiNOSの活性化、および炎症全般が生じる。TIGIRRは
類似の方法でシグナル伝達をするように思われる。
【0176】 したがって、本発明の単離され、精製されたTIGIRRポリペプチドまたはその断
片は、治療剤としてシグナル伝達を抑制するのに有用でありうる。可溶性TIGIRR
ポリペプチドはTIGIRR対抗構造と相互作用が可能であり、細胞結合TIGIRRを介し
て細胞の活性化を抑制することができる。
【0177】 ポリペプチドは周知の手段、例えば、該タンパク質を静脈内に投与すること、
または該タンパク質を特定の細胞型にターゲッティングされるモノクローナル抗
体に結合させること、等によって細胞外環境に導入することが可能で、それによ
ってシグナル伝達に影響を及ぼすことができる。治療剤として用いる場合、本発
明のポリペプチドを公知の方法にしたがって医薬組成物に製剤化するこができる
。該ポリペプチドを唯一の活性物質として、または他の公知の活性物質と共に、
製薬上適切な希釈剤(例えば、Tris-HCl、酢酸、リン酸)、保存剤(例えば、Th
imerosal, ベンジルアルコール、パラベン)、乳化剤、可溶化剤、アジュバントおよび/ま
たは担体と組み合わせて混合物にすることができる。適切な担体およびそれらの
処方はRemington's Pharmaceutical Sciences, 第16版, 1980, Mack Publishing
Co. に記述されている。さらに、このような組成物はポリエチレングリコール(
PEG)、金属イオンと錯体化したポリペプチド、またはポリマー性化合物(ポリ酢
酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、など)に組み込まれたポリペプチド、また
はリポソーム、微小エマルジョン、ミセル、単ラメラまたは多重ラメラ小胞、赤
血球ゴースト、またはスフェロブラストに組み込まれたポリペプチドを含むこと
ができる。このような組成物は、本発明のポリペプチドの物理的状態、可溶性、
安定性、in vivo放出速度、およびin vivoクリアランス速度に影響を及ぼす。
【0178】 上記組成物の投与量は、当業者が容易に決定することができる。投与すべき量
および投与頻度は経験的に決定することができ、そして決定にあたっては治療す
べき患者の年齢および大きさ、ならびに治療すべき疾患が考慮される。
【0179】 治療は、静脈内、腹腔内、体内注射、関節内、心室内、鞘内、筋肉内、皮下、
局所、扁桃、鼻内、膣内、および経口投与を含む当業者によく知られている任意
の方法によって上記組成物を投与することを含む。上記組成物は、特定部位への
筋肉内または皮下注射などによって局部的に投与することもできる。
【0180】合理的ドラッグデザイン さらに、TIGIRRポリペプチドはまた、TIGIRRインヒビターの構造ベースの設計
のために使用することができる。そのような構造ベースの設計はまた、「合理的
ドラッグデザイン」として知られている。TIGIRRポリペプチドは、例えばX線結
晶法、核磁気共鳴、または相同性モデリング(これらは、すべて公知の方法であ
る)により3次元的に解析することができる。分子モデリングソフトウェアシス
テムにTIGIRR構造情報を使用して、インヒビターの設計とインヒビター−TIGIRR
相互作用を促進することもまた、本発明に包含される。このようなコンピュータ
ー支援モデリングおよびドラッグデザインは、化学的コンフォメーション解析、
分子の静電電位、タンパク質折り畳みなどの情報を使用してもよい。例えばメタ
ロプロテアーゼのクラス特異的インヒビターの設計のほとんどは、触媒性亜鉛原
子をキレートさせるかまたは結合する試みに集中してきた。合成インヒビターは
通常、特定プロテアーゼの特異性ポケットに適合するように設計された一連の他
の群が結合する負に荷電した部分を含有するように設計される。本発明の1つの
具体的な方法は、基質の予測結合部位についてTIGIRRの3次元構造を解析し、予
測反応性部位を取り込む新しい分子を合成し、そして前述のように新しい分子を
測定する、ことを含んでなる。
【0181】研究試薬 本発明のポリペプチドの別の用途は、異なるタイプの細胞についてTIGIRR/TIG
IRRカウンター構造の相互作用を阻害することに起因する生物学的作用の研究手 段としてである。ポリペプチドはまた、TIGIRRカウンター構造分子もしくはTIGI
RRポリペプチドの検出またはその相互作用の検出のためにin vitroアッセイで使
用してもよい。
【0182】 TIGIRRはまた、(a)それが結合し、TIGIRRシグナル伝達に関与するタンパク質 と、(b)シグナル伝達経路に関与するであろう相互作用する他のタンパク質とを 、同定するための試薬として使用してもよい。次にこれらの他のタンパク質は、
シグナル伝達の他のインヒビターの検索のための有用な手段であろう。TIGIRRは
、組換えタンパク質を親和性マトリックスに結合させることにより、またはこれ
を2ハイブリッド系においておとりとして使用することにより、使用できるであ
ろう。
【0183】 TIGIRRポリペプチドとそのカウンター構造との相互作用は、TIGIRRポリペプチ
ド/TIGIRRカウンター構造の会合を妨害し、TIGIRRポリペプチドまたはそのカウ ンター構造の活性を阻害する小分子のスクリーニングを可能にする。例えばSUNY
で開発された酵母2ハイブリッド系(Fieldsらの米国特許第5,283,173号に記載 されている)は、以下のTIGIRRのインヒビターのスクリーニングに使用され得る
。TIGIRRポリペプチドとそのカウンター構造、またはこれらの相互作用に関与す
る部分は、それぞれGal4 DNA結合ドメインとGal4転写活性化ドメインに融合し、
ヒスチジンの欠如したプレート上での増殖についてGal4活性に依存する株に導入
してもよい。増殖を妨害する化合物は、IL-1インヒビターを同定するためにスク
リーニングしてもよい。あるいはスクリーニングを変更してもよく、その結果TI
GIRRポリペプチド/TIGIRRポリペプチドカウンター構造の相互作用が増殖を阻害 し、その結果相互作用の阻害は増殖が起きることを可能にする。
【0184】 TIGIRR阻害のスクリーニングへの別のin vitroのアプローチは、成分の1つ(
TIGIRRポリペプチドまたはそのカウンター構造)をマイクロタイタープレートの
ウェルに固定化し、容易に検出される指示物を他の成分に結合することであろう
。この相互作用のインヒビターは、ウェル由来の検出可能な指示物が存在しない
ことにより同定される。
【0185】 さらに本発明のTIGIRRポリペプチドは、TIGIRRインヒビターの構造ベースの設
計に有用である。そのような設計は、TIGIRRポリペプチドの3次元構造を決定す
る工程、基質の可能性のある結合部位について3次元構造を解析する工程、予測
反応性部位を取り込んでいる分子を合成する工程、そして分子の阻害活性を測定
する工程とを含んでなる。
【0186】 TIGIRR DNA、TIGIRRポリペプチド、およびTIGIRRポリペプチドに対する抗体は
、多くの研究プロトコールにおいて試薬として使用することができる。そのよう
な研究プロトコールのサンプルは、Sambrookら、Molecular Clonig: A Laborato
ry Manual, 第2版、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989
)に記載されている。例えばこれらの試薬は、RNAまたはタンパク質の細胞特異的
または組織特異的発現のマーカーとして作用することができる。同様にこれらの
試薬は、TIGIRR RNAまたはポリペプチドの構成性または一過性発現を研究するの
に使用することができる。TIGIRR DNAは、TIGIRR DNAの染色体上の位置の決定、
およびこの染色体位置に関連する遺伝子のマッピングに使用することができる。
TIGIRR DNAはまた、遺伝子フィンガープリンティングのような技術を使用して遺
伝的不均一性および遺伝を調べ、ならびに遺伝的障害に関連するリスクの確認に
使用することもできる。TIGIRR DNAはさらに、TIGIRR DNAに関連する追加の遺伝
子を同定し、かつ配列の比較に基づき進化系統樹を樹立するのに使用することが
できる。TIGIRR DNAおよびポリペプチドは、陽性スクリーニング法(例えば、サ
ザンブロッティングおよび免疫ブロッティング)や陰性スクリーニング法(例え
ば、サブトラクション)により、TIGIRR DNAまたはポリペプチドに相同的な遺伝
子またはタンパク質を選択するのに使用することができる。
【0187】分子量、等電点マーカー 本発明のポリペプチドは、化学的および酵素的手段により断片化して小ペプチ
ドにすることができ、こうして産生されたペプチド断片は、他のタンパク質また
はポリペプチドの分析に使用することができる。例えばそのようなペプチド断片
は、ペプチド分子量マーカー、ペプチド等電点マーカーとして、またはペプチド
断片化の程度の分析に使用することができる。すなわち本発明はまた、これらの
ポリペプチドやペプチド断片、ならびに未知タンパク質の見かけの分子量および
等電点の測定を促進するためのキットおよび未知タンパク質の断片化の程度を評
価するためのキットも包含する。
【0188】 断片化のすべての方法は本発明により包含されるが、化学的断片化は好適な実
施形態であり、メチオニン残基で特異的に切断するための中性または酸性条件下
で切断するための臭化シアンの使用を含む(E. Gross, Methods in Enz. 11: 23
8-255, 1967)。これはさらに、システイン残基を非反応種に変換するためのカ ルボキシメチル化工程のような追加の工程を含むことができる。
【0189】 酵素的断片化は、別の好適な実施形態であり、特殊なアミノ酸残基で切断する
ための、従来法の条件下でのアスパラギニルエンドペプチダーゼ、アルギニルエ
ンドペプチダーゼ、AchromobacterプロテアーゼI、トリプシン、黄色ブドウ球 菌(Staphylococcus aureus)V8プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼAsp-N、ま
たはエンドプロテイナーゼLys-Cのようなプロテアーゼの使用を包含する。アス パラギニルエンドペプチダーゼは、本発明のポリペプチド内に存在するアスパラ
ギン残基のカルボキシル側で特異的に切断することができる。アルギニルエンド
ペプチダーゼは、これらのポリペプチド内に存在するアルギニン残基のカルボキ
シル側で特異的に切断することができる。AchromobacterプロテアーゼIは、ポ リペプチド内に存在するリシン残基のカルボキシル側で特異的に切断することが
できる(SakiyamaとNakat, 米国特許第5,248,599号;T. Masakiら、Biochim. Bi
ophys. Acta 660: 44-50, 1981;T. Masakiら、Biochim. Biophys. Acta 660:51
-55, 1981)。トリプシンは、本発明のポリペプチド内に存在するアルギニンと リシン残基のカルボキシル側で特異的に切断することができる。酵素的断片化は
また、複数のアミノ酸残基で切断するプロテアーゼでも起きる。例えば、黄色ブ
ドウ球菌(Staphylococcus aureus)V8プロテアーゼは、ポリペプチド内に存在 するアスパラギン酸およびグルタミン酸残基のカルボキシル側で特異的に切断す
ることができる(D. W. Cleveland, J. Biol. Chem. 3: 1102-1106, 1977)。エ
ンドプロテイナーゼAsp-Nは、ポリペプチド内に存在するアスパラギン残基のア ミノ側で特異的に切断することができる。エンドプロテイナーゼLys-Cは、本発 明のポリペプチド内に存在するリシン残基のカルボキシル側で特異的に切断する
ことができる。他の酵素的および化学的処理も同様に、これらのポリペプチドを
ユニークなセットの特殊なペプチドに特異的に断片化するのに使用することがで
きる。
【0190】 もちろん、本発明のペプチドおよびポリペプチドの断片もまた、当該分野で公
知の従来の組換え法および合成法により産生することができる。組換え法に関し
て、本発明が包含するポリペプチドとペプチド断片は、発現される宿主細胞に依
存して種々の分子量をとり得る。種々のタイプの細胞における本発明のポリペプ
チドおよびペプチド断片のグリコシル化により、修飾の程度に依存して、これら
の断片の分子量を変化させることができる。これらの断片のサイズは、ポリペプ
チドの細胞外部分から得られるポリペプチドの断片において最も不均一である。
もっぱらトランスメンブラン領域および細胞質領域から得られるポリペプチドを
使用するか、N-グリカナーゼで前処理してグリコシル化を除去するか、または細
菌宿主中でポリペプチドを発現することにより、一貫したポリペプチドとペプチ
ド断片を得ることができる。
【0191】 また、本発明のポリペプチドのアミノ末端とカルボキシル末端の両方に追加の
ペプチド配列を融合することにより、これらのポリペプチドの分子量も変化させ
ることもできる。本発明のポリペプチドのアミノ末端とカルボキシル末端への追
加のペプチド配列の融合体を使用して、これらのポリペプチドの発現を増強する
かまたはタンパク質の精製を促進することができる。さらに本発明のポリペプチ
ドのアミノ末端とカルボキシル末端への追加のペプチド配列の融合体は、酵素的
または化学的処理により生成したポリペプチドの断片化ペプチドの一部(通常、
すべてではない)を変化させるであろう。もちろん、分子生物学の一般的および
公知の技術を使用して、本発明のポリペプチド中に突然変異を導入することがで
きる。例えば突然変異を設計して、特異的酵素によるタンパク質分解的切断の部
位を排除するか、または特異的な化学的に誘導した断片化法により切断の部位を
排除することができる。特異的酵素または化学的方法を用いて断片化すると、こ
の部位の排除により、本発明のポリペプチドのペプチドフィンガープリントが変
化するであろう。
【0192】 ポリペプチドと得られる断片化ペプチドは、沈降法、電気泳動法、クロマトグ
ラフィー、および質量分析法を含む方法により分析してその分子量を決定するこ
とができる。各断片のユニークなアミノ酸配列は分子量を規定するため、次にこ
れらの断片は、このような分析法の分子量マーカーとして機能して、未知タンパ
ク質、ポリペプチドまたはこれらの断片の分子量の決定を促進する。本発明の分
子量マーカーは、類似の見かけの分子量を有するタンパク質の見かけの分子量の
推定ための分子量マーカーとして特によく機能し、従ってタンパク質の見かけの
分子量の決定における正確度を向上させる。
【0193】 本発明が、TIGIRRポリペプチド断片および断片化ペプチド分子量マーカーの使
用に関する時、これらのマーカーは、少なくとも10アミノ酸の大きさであること
が好ましい。さらに好ましくは、これらの断片化ペプチド分子量マーカーは、10
〜100アミノ酸の大きさである。さらに好ましくは、10〜50アミノ酸の大きさ、 特に10〜35アミノ酸の大きさの断片化ペプチド分子量マーカーである。最も好ま
しくは、10〜20アミノ酸の大きさの断片化ペプチド分子量マーカーである。
【0194】 分子量の測定方法には、沈降法、ゲル電気泳動、クロマトグラフィー、質量分
析法がある。特に好適な実施形態は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(U.
K. Laemmli, Nature 227: 680-685, 1970)である。従来法では、ドデシル硫酸 ナトリウムと6〜20%のアクリルアミドを含むゲルの2つの異なるレーンを使用
する。同一条件下でマーカーとサンプルを同時に解析できることは、正確度を向
上させる。もちろん、本発明のポリペプチドを使用して未知タンパク質の分子量
測定のために、多くの異なる方法が使用できること、本実施形態は決して本発明
の範囲を限定するものではないことは理解されるであろう。
【0195】 各非グリコシル化ポリペプチドまたはその断片は、そのユニークなアミノ酸配
列により決定される固有のpIを有する(pIは、当業者が、現在入手できるpI値を
予測するように設計された任意のコンピュータープログラムを使用して算定する
か、公知のアミノ酸pKa表を使用して計算するか、または経験的に測定すること ができる)。従ってこれらのポリペプチドおよびその断片は、特異的マーカーと
して作用し、等電点電気泳動のような技術を使用する未知タンパク質、ポリペプ
チド、または断片化ペプチドの等電点の測定を促進することができる。これらの
ポリペプチドまたは断片化ペプチドマーカーは、本発明のポリペプチドまたは断
片化ペプチドマーカーに近い見かけの等電点を有する未知タンパク質の見かけの
等電点の推定に、特によく機能する。
【0196】 等電点電気泳動の技術をさらにゲル電気泳動のような他の方法と組合せて、分
子量と電荷に基づいてタンパク質を同時に分離することができる。同一条件下で
これらのポリペプチドまたは断片化ペプチドマーカーおよび未知タンパク質を同
時に解析できることは、未知タンパク質の見かけの等電点の測定における正確度
を向上させる。これは、方法の本質から、マーカーを未知タンパク質と同時に分
析することが必要な、2次元電気泳動(T. D. BrockとM. T. Madigan, Biology
of Microorganisms 76-77 (Prentice Hall、第6版、1991))のような技術に おいて特に重要である。さらにこのような方法で、これらのポリペプチドおよび
その断片ペプチドは、未知タンパク質または断片化ペプチドの等電点と分子量の
両方の測定を促進することができる。
【0197】 ポリペプチドと断片化ペプチドは、未知タンパク質と分子量マーカーの区別を
可能にする2つの異なる方法を使用して視覚化することができる。1つの実施形
態において、本発明のポリペプチドおよび断片化ペプチド分子量マーカーは、こ
れらのマーカーに対する抗体と従来の免疫ブロッティング法を使用して視覚化す
ることができる。この検出は、未知タンパク質を検出することができない従来の
条件下で行う。小ペプチドは免疫原性エピトープを含有しないことがあるため、
本発明のすべてのポリペプチド断片に対して抗体を作製することができない場合
があることは理解されよう。さらに、必ずしもすべての抗体がこのアッセイで機
能しないかも知れないが、本発明のポリペプチドおよび断片に結合することがで
きるこれらの抗体は、従来法を使用して容易に測定することができる。
【0198】 未知タンパク質はまた、従来の染色法を使用して視覚化することもできる。本
発明のポリペプチドまたは断片化ペプチド分子量マーカーに対する未知タンパク
質のモル過剰は、従来の染色法では、主に未知タンパク質が検出されるようなも
のである。これらのポリペプチドまたは断片化ペプチド分子量マーカーのレベル
は、従来の染色法によってはこれらのマーカーがほとんどまたは全く検出できな
いものである。本発明のポリペプチド分子量マーカーに対する未知タンパク質の
好適なモル過剰は、2〜100,000倍である。さらに好ましくは、これらのポリペ プチド分子量マーカーに対する未知タンパク質の好適なモル過剰は、10〜10,000
倍、特に100〜1,000倍である。
【0199】 これらのポリペプチド分子量マーカーおよびそのペプチド断片を使用して、未
知タンパク質、ポリペプチドおよびその断片化ペプチドの分子量と等電点の測定
と検出のために、多くの方法を利用することができること、これらの実施形態は
決して本発明の範囲を限定するものではないことはもちろん理解される。
【0200】 別の実施形態において、例えば断片化反応の時間または温度を変化させること
による特異的ペプチドへの本発明のポリペプチドの漸進的断片化の分析(D. W.
Clevelandら、J. Biol. Chem. 252: 1102-1106, 1977)は、未知タンパク質の切
断の程度の対照として使用することができる。例えば同一条件下での同量のポリ
ペプチドと未知タンパク質の切断は、断片化の程度の直接的比較を可能にするこ
とができる。ポリペプチドの完全な断片化を引き起こす条件はまた、未知タンパ
ク質の完全な断片化を引き起こす。
【0201】 本発明の別の好適な実施形態は、ゲル電気泳動によりサンプルタンパク質の見
かけの分子量を推定するための、分子量マーカーとしてのTIGIRRポリペプチドの
使用である。TIGIRRポリペプチドはサンプルタンパク質とともに、ドデシル硫酸
ナトリウムと6〜20%のアクリルアミドを含有するゲルの2つの異なるレーン中
で、従来法(U.K. Laemmli, Nature 227: 680-685, 1970)により、変性ポリア クリルアミドゲル電気泳動により分離することができる。ゲル上のタンパク質は
、従来の染色法を使用して視覚化することができる。TIGIRRポリペプチド分子量
マーカーは、サンプルタンパク質の見かけの分子量の推定において分子量マーカ
ーとして使用することができる。TIGIRRのユニークなアミノ酸配列(配列番号2
)は、約75,577ダルトンの分子量を規定する。従ってTIGIRRポリペプチド分子量
マーカーは、見かけの分子量が75,577ダルトンに近いサンプルタンパク質の見か
けの分子量の推定ための分子量マーカーとして、特に有効に機能する。このポリ
ペプチド分子量マーカーを使用することにより、見かけの分子量が75,577ダルト
ンに近いタンパク質の見かけの分子量の測定における、正確度の向上を可能にす
る。TIGIRRポリペプチドを使用した、サンプルタンパク質の分子量の測定のため
に、多くの異なる方法を利用することができること、この実施形態は決して本発
明の範囲を限定するものではないことはもちろん理解される。
【0202】 本発明の別の好適な実施形態は、TIGIRRポリペプチドの化学的断片化により生
成するTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーの、ゲル電気泳動によりサンプルタ
ンパク質の見かけの分子量を推定するための分子量マーカーとしての使用である
。単離され精製されたTIGIRRポリペプチドは、TIGIRRポリペプチド内のメチオニ
ン残基のカルボキシル側の特異的加水分解によりTIGIRRポリペプチド分子量マー
カーの断片化を引き起こす従来の条件下で臭化シアンにより処理することができ
る(E. Gross, Methods in Enz. 11: 238-255, 1967)。TIGIRRポリペプチドの ユニークなアミノ酸配列のために、臭化シアンによるTIGIRRポリペプチド分子量
マーカーの断片化により、TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーのユニークなセ
ットが生成する。メチオニン残基の分布は、各ペプチド中のアミノ酸の数を決定
し、そして各ペプチドのユニークなアミノ酸組成がその分子量を決定する。
【0203】 臭化シアンを用いるTIGIRRポリペプチドの処理により生成するTIGIRR断片化ペ
プチド分子量マーカーのユニークなセットは、少なくとも10アミノ酸の大きさの
15個の断片化ペプチドを含む。配列番号2のアミノ酸1〜14によりコードされる
ペプチドは、分子量約1,644ダルトンを有する。配列番号2のアミノ酸15〜47に よりコードされるペプチドは、分子量約3,678ダルトンを有する。配列番号2の アミノ酸48〜66によりコードされるペプチドは、分子量約2,353ダルトンを有す る。配列番号2のアミノ酸67〜97によりコードされるペプチドは、分子量約3,60
3ダルトンを有する。配列番号2のアミノ酸102〜137によりコードされるペプチ ドは、分子量約4,148ダルトンを有する。配列番号2のアミノ酸138〜159により コードされるペプチドは、分子量約2,714ダルトンを有する。配列番号2のアミ ノ酸160〜218によりコードされるペプチドは、分子量約6,769ダルトンを有する 。配列番号2のアミノ酸219〜250によりコードされるペプチドは、分子量約3,40
5ダルトンを有する。配列番号2のアミノ酸255〜355によりコードされるペプチ ドは、分子量約11,483ダルトンを有する。配列番号2のアミノ酸356〜429により
コードされるペプチドは、分子量約8,768ダルトンを有する。配列番号2のアミ ノ酸430〜468によりコードされるペプチドは、分子量約4,816ダルトンを有する 。配列番号2のアミノ酸469〜528によりコードされるペプチドは、分子量約6,91
6ダルトンを有する。配列番号2のアミノ酸536〜561によりコードされるペプチ ドは、分子量約2,820ダルトンを有する。配列番号2のアミノ酸562〜584により コードされるペプチドは、分子量約2,407ダルトンを有する。配列番号2のアミ ノ酸585〜658によりコードされるペプチドは、分子量約8,406ダルトンを有する 。
【0204】 従って、臭化シアンを用いる化学的処理によるTIGIRRポリペプチドの切断によ
り、TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーのユニークなセットが生成する。TIGI
RR断片化ペプチドのユニークで既知のアミノ酸配列は、これらの断片化ペプチド
分子量マーカーの分子量の決定を可能にする。この具体的な例において、TIGIRR
断片化ペプチド分子量マーカーの分子量は、約1,644;3,678;2,353;3,603;4,
148;2,714;6,769;3,405;11,483;8,768;4,816;6,916;2,820;2,407;お よび8,406ダルトンを有する。
【0205】 TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーはサンプルタンパク質と一緒に、ドデシ
ル硫酸ナトリウムと10〜20%のアクリルアミドを含有するゲルの2つの異なるレ
ーン中で、従来法により、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離する
ことができる。ゲル上のタンパク質は、従来の染色法を使用して視覚化すること
ができる。TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーは、サンプルタンパク質の見か
けの分子量の推定において分子量マーカーとして使用することができる。TIGIRR
のユニークなアミノ酸配列は、TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーについて、
約1,644;3,678;2,353;3,603;4,148;2,714;6,769;3,405;11,483;8,768 ;4,816;6,916;2,820;2,407;および8,406ダルトンの分子量を規定する。従 ってTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーは、1,644;3,678;2,353;3,603;4,
148;2,714;6,769;3,405;11,483;8,768;4,816;6,916;2,820;2,407;ま たは8,406ダルトンに近い見かけの分子量を有するサンプルタンパク質の見かけ の分子量の推定のための分子量マーカーとして、特によく機能する。従ってこれ
らの断片化ペプチド分子量マーカーの使用は、1,644;3,678;2,353;3,603;4,
148;2,714;6,769;3,405;11,483;8,768;4,816;6,916;2,820;2,407;ま たは8,406ダルトンに近い見かけの分子量を有するタンパク質の見かけの分子量 の測定において、正確度の向上を可能にする。
【0206】 さらなる実施形態において、サンプルタンパク質とTIGIRRポリペプチド内のメ
チオニン残基のカルボキシル側での特異的加水分解により、サンプルタンパク質
とTIGIRRポリペプチドの断片化を引き起こす従来法の条件下で、サンプルタンパ
ク質とTIGIRRポリペプチドを同時にしかし別々に、臭化シアンで処理することが
できる。前記したように、臭化シアンによるTIGIRRポリペプチドの切断により生
成するTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーは、約1,644;3,678;2,353;3,603
;4,148;2,714;6,769;3,405;11,483;8,768;4,816;6,916;2,820;2,407 ;および8,406ダルトンの分子量を有する。
【0207】 TIGIRRポリペプチドとサンプルタンパク質の両方からの断片化ペプチドは、ド
デシル硫酸ナトリウムと10〜20%のアクリルアミドを含有するゲルの2つの異な
るレーン中で、従来法により、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離
することができる。ゲル上の断片化ペプチドは、従来の染色法を使用して視覚化
することができる。TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーは、サンプルタンパク
質から得られる断片化ペプチドの見かけの分子量の推定において分子量マーカー
として使用することができる。前記したように、TIGIRR断片化ペプチド分子量マ
ーカーは、1,644;3,678;2,353;3,603;4,148;2,714;6,769;3,405;11,483
;8,768;4,816;6,916;2,820;2,407;または8,406ダルトンに近い見かけの分
子量を有する断片化ペプチドの見かけの分子量の推定ための分子量マーカーとし
て、特によく機能する。従ってこれらのTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーの
使用は、1,644;3,678;2,353;3,603;4,148;2,714;6,769;3,405;11,483;
8,768;4,816;6,916;2,820;2,407;または8,406ダルトンに近い見かけの分子
量を有する断片化ペプチドの見かけの分子量の測定において、正確度の向上を可
能にする。TIGIRRポリペプチドの断片化の程度はさらに、サンプルタンパク質の
完全な断片化以外の条件を測定するための対照として使用される。もちろんTIGI
RRポリペプチドを断片化するために多くの化学物質を利用することができること
、この実施形態は決して本発明の範囲を限定するものではないことは理解される
【0208】 他の実施形態においては、特定のアミノ酸残基でポリペプチドを切断する酵素
を用いて、TIGIRRポリペプチドからTIGIRRの断片化ペプチド分子量マーカーの特
有のセットを生成することができる。TIGIRRポリペプチドのアミノ酸配列の特有
な性質のために、独特のアミノ酸残基における切断により、断片化ペプチド分子
量マーカーの独特のセットを生成するだろう。
【0209】 単離および精製されたTIGIRRポリペプチドを、従来の条件においてアクロモバ
クタープロテアーゼIで処理し、TIGIRRポリペプチド中のリシン残基のカルボキ シル側における特異的な加水分解によりTIGIRRポリペプチドの断片化を生じさせ
うる(T. Masakiら、Biochim. Biophys. Acta、660:44-50、1981;T. Masakiら 、Biochim. Biophys. Acta、660:51-55、1981を参照のこと)。TIGIRRポリペプ チドの特有なアミノ酸配列のために、アクロモバクタープロテアーゼIを用いたT
IGIRRポリペプチド分子量マーカーの断片化は、TIGIRR断片化ペプチド分子量マ ーカーの特有のセットを生成する。リシン残基の分布により各ペプチドのアミノ
酸数を決定し、各ペプチドの特有なアミノ酸組成によりその分子量を決定する。
【0210】 アクロモバクタープロテアーゼIを用いたTIGIRRポリペプチドの処理により生 成されたTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーの特有のセットは、大きさにおい
て少なくとも10個のアミノ酸の断片化ペプチド23個を含む。TIGIRRポリペプチド
を該酵素処理して生成した23個の断片化ペプチドは、TIGIRRポリペプチドを臭化
シアン処理して生成した15個の断片化ペプチドと比較して、断片化ペプチド分子
量マーカーの大きさおよび数の双方がTIGIRRポリペプチドの断片化に使用される
断片化の処理によって多様であることを明らかに示している。これらの断片の大
きさおよび数はどちらもTIGIRRポリペプチドのアミノ酸配列により指示される。
【0211】 配列番号2のアミノ酸1〜11によりコードされるペプチドは、約1,249ダルトン の分子量を有する。配列番号2のアミノ酸12〜24によりコードされるペプチドは 、約1,433ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸25〜50によりコード
されるペプチドは、約3,135ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸53
〜68によりコードされるペプチドは、約1,848ダルトンの分子量を有する。配列 番号2のアミノ酸69〜98によりコードされるペプチドは、約3,516ダルトンの分子
量を有する。配列番号2のアミノ酸99〜123によりコードされるペプチドは、約2,
861ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸131〜141によりコードされ
るペプチドは、約1,298ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸143〜1
53によりコードされるペプチドは、約1,364ダルトンの分子量を有する。配列番 号2のアミノ酸168〜189によりコードされるペプチドは、約2,422ダルトンの分子
量を有する。配列番号2のアミノ酸214〜231によりコードされるペプチドは、約2
,011ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸239〜255によりコードさ れるペプチドは、約1,953ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸259 〜276によりコードされるペプチドは、約2,122ダルトンの分子量を有する。配列
番号2のアミノ酸283〜312によりコードされるペプチドは、約3,403ダルトンの分
子量を有する。配列番号2のアミノ酸327〜348によりコードされるペプチドは、 約2,326ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸349〜372によりコード
されるペプチドは、約2,935ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸37
3〜382によりコードされるペプチドは、約1,251ダルトンの分子量を有する。配 列番号2のアミノ酸383〜409によりコードされるペプチドは、約3,102ダルトンの
分子量を有する。配列番号2のアミノ酸415〜475によりコードされるペプチドは 、約7,275ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸476〜485によりコー
ドされるペプチドは、約1,159ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸
488〜497によりコードされるペプチドは、約1,147ダルトンの分子量を有する。 配列番号2のアミノ酸534〜594によりコードされるペプチドは、約6,714ダルトン
の分子量を有する。配列番号2のアミノ酸595〜632によりコードされるペプチド は、約4,143ダルトンの分子量を有する。配列番号2のアミノ酸633〜649によりコ
ードされるペプチドは、約1,957ダルトンの分子量を有する。
【0212】 従って、アクロモバクタープロテアーゼIを用いた酵素処理によるTIGIRRポリ ペプチドの切断は、TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーの特有のセットを生成
する。これらの断片化ペプチドの特有および既知のアミノ酸配列により、これら
のTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーの分子量を決定することができる。この
特定の場合には、これらのTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーは約1,249; 1,4
33; 3,135; 1,848; 3,516; 2,861; 1,298; 1,364; 2,422; 2,011; 1,953; 2,122
; 3,403; 2,326; 2,935; 1,251; 3,102; 7,275; 1,159; 1,147; 6,714; 4,143; および1,957ダルトンの分子量を有する。
【0213】 再度、ドデシル硫酸ナトリウムおよび10〜20%のアクリルアミドを含むゲルの
2つの別のレーンにおいて、従来の方法による変性ポリアクリルアミドゲル電気 泳動により、サンプルタンパク質と共にTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーを
分析しうる。ゲル上のタンパク質は従来の染色法により視覚化されうる。TIGIRR
断片化ペプチド分子量マーカーを分子量マーカーとして用いてサンプルタンパク
質の見かけの分子量を評価しうる。TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーは、以
下のものに近い見かけの分子量を有するタンパク質の見かけの分子量を評価する
分子量マーカーとして特に適している(1,249; 1,433; 3,135; 1,848; 3,516; 2
,861; 1,298; 1,364; 2,422; 2,011; 1,953; 2,122; 3,403; 2,326; 2,935; 1,2
51; 3,102; 7,275; 1,159; 1,147; 6,714; 4,143;または1,957ダルトン)。これ
らの断片化ペプチド分子量マーカーを使用して、以下のものに近い見かけの分子
量を有するタンパク質の見かけの分子量を決定する際の精度が向上する(1,249;
1,433; 3,135; 1,848; 3,516; 2,861; 1,298; 1,364; 2,422; 2,011; 1,953; 2
,122; 3,403; 2,326; 2,935; 1,251; 3,102; 7,275; 1,159; 1,147; 6,714; 4,1
43;または1,957ダルトン)。
【0214】 他の実施形態において、サンプルタンパク質およびTIGIRRポリペプチドを、従
来条件下でアクロモバクタープロテアーゼIを用いて、同時にしかし別々に処理 し、サンプルタンパク質およびTIGIRRポリペプチド中のリシン残基のカルボキシ
ル側において特異的に加水分解することによって、サンプルタンパク質およびTI
GIRRポリペプチドの断片化を生じさせることができる。ドデシル硫酸ナトリウム
および10〜20%のアクリルアミドを含むゲルの2つの別のレーンにおいて従来の 方法による変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、TIGIRR断片化ペプチド
分子量マーカーおよびサンプルタンパク質由来の断片化ペプチドを分析する。ゲ
ル上の断片化ペプチドを従来の染色法を用いて視覚化しうる。TIGIRR断片化ペプ
チド分子量マーカーを分子量マーカーとして用いて、サンプルタンパク質の見か
けの分子量を評価しうる。TIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーは、以下のもの
に近い見かけの分子量を有する断片化ペプチドの見かけの分子量を評価するため
の分子量マーカーとして特に適している(1,249; 1,433; 3,135; 1,848; 3,516;
2,861; 1,298; 1,364; 2,422; 2,011; 1,953; 2,122; 3,403; 2,326; 2,935; 1
,251; 3,102; 7,275; 1,159; 1,147; 6,714; 4,143;または1,957ダルトン)。こ
のようなTIGIRR断片化ペプチド分子量マーカーを使用することにより、以下のも
のに近い見かけの分子量を有する断片化ペプチドの見かけの分子量を決定する際
の精度が向上する(1,249; 1,433; 3,135; 1,848; 3,516; 2,861; 1,298; 1,364
; 2,422; 2,011; 1,953; 2,122; 3,403; 2,326; 2,935; 1,251; 3,102; 7,275;
1,159; 1,147; 6,714; 4,143;または1,957ダルトン)。TIGIRRポリペプチドの断
片化の程度をさらにコントロールとして用いて、サンプルタンパク質の完全な断
片化に求められる条件を決定する。多くの酵素をTIGIRRポリペプチドの断片化に
用いることができ、この実施形態が決して本発明の範囲を限定するものではない
、ということがもちろん理解されよう。
【0215】 最後に、本発明により包含されるキットに関して、このキットの構成要素は多
様であるが、典型的にポリペプチドおよび断片化ペプチド分子量マーカーを含む
。また、このようなキットは、断片化に必要な部位を除去したポリペプチドを含
みうる。さらに、該キットは、化学的若しくは酵素的切断によるポリペプチドお
よび未知のタンパク質の特異的な切断のための試薬を含みうる。該キットは、本
発明のポリペプチドまたはそれらの断片に対する抗体をさらに含みうる。
【0216】未知タンパク質の同定 上記に説明した通り、ポリペプチドまたはペプチドフィンガープリントを既知
タンパク質のデータベースに加えたり、または該データベースと比較して、質量
分析法を用いた未知タンパク質の同定を補助することができる(W.J. Henzelら 、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90:5011-5015、1993:D. Fenyoら、Electropho
resis、19:998-1005、1998を参照されたい)。これらの比較を容易にする多様な
コンピュータソフトウエアプログラムはインターネットでアクセス可能であり、
Protein Prospector(インターネットサイト:prospector.uscf.edu)、MultiId
ent(インターネットサイト:www.expasy.ch/sprot/multiident.html)、Peptid
eSearch(インターネットサイト:www.mann.embl-heiedelberg.de…deSearch/FR
_PeptideSearch Form.html)、およびProFound(インターネットサイト:www.ch
ait-sgi.rockefeller.edu/cgi-bin/prot-id-frag.html)などがある。これらの プログラムにより、ユーザーは指示許容度内の断片化ペプチドの分子量および切
断試薬を特定できる。該プログラムは、観察された分子量を配列データベース由
来の推定ペプチド分子量と比較し、未知タンパク質の同定の決定に役立つ。
【0217】 更に、タンデム質量分析法(MS/MS)を用いてポリペプチドまたはペプチド消 化物を配列決定し、得られた配列をデータベースに対して検索しうる(J.K. Eng
ら、J. Am. Soc. Mass Spec.、5:976-989(1994);M. MannおよびM. Wilm、Anal.
Chem.、66:4390-4399(1994);J.A. TaylorおよびR.S. Johnson、Rapid Comm. M
ass Spec.、11:1067-1075(1997)を参照されたい)。この方法に使用されうる検 索プログラムはインターネット上にあり、Lutefisk 97(インターネットサイト :www.lsbc.com:70/Lutefisk97.html)および上述のProtein Prospector、Pepti
de Search、ProFoundプログラムなどがある。
【0218】 従って、遺伝子配列およびその推定タンパク質配列並びにペプチド断片を配列
データベースに加えることにより、質量分析法を用いた未知タンパク質の同定に
役立てることができる。
【0219】抗体 本発明のポリペプチドに免疫反応性のある抗体が本明細書で提供される。その
ような抗体は、該抗体の抗原結合部位を介して該ポリペプチドに特異的に(非特
異的結合を阻むように)結合する。従って、該ポリペプチド、フラグメント、変
異体、融合タンパク質などは、上記で説明したとおり、それらに対する免疫反応
性を有する抗体を製造する際の免疫原として用いることができる。
【0220】 本発明の別の態様においては、TIGIRR、及びTIGIRRのアミノ酸配列に基づくペ
プチド、を用いて、TIGIRRに特異的に結合する抗体を調製することができる。用
語「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、それらのフラグメント
(F(ab’)2及びFabフラグメントなど)に加えて、任意の組換えにより製造され た結合パートナーを含むことを意味する。抗体は、それらが約107 M-1以上のKa で TIGIRRポリペプチドに結合する場合、特異的に結合するものと定義される。 結合パートナーまたは抗体の親和性を、従来の技術(例えばScatchardら、Ann.
N.Y Acad. Sci., 51:660 (1949)に記載されたもの)を用いて容易に測定するこ とができる。
【0221】 当業界でよく知られている方法を用いて、様々な供給源(例えば、ウマ、ウシ
、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウスまたはラットなど)から、ポ
リクローナル抗体を容易に作製することができる。一般に、精製したTIGIRRまた
はTIGIRRポリペプチドのアミノ酸配列に基づくペプチドは、適宜コンジュゲート
されており、典型的には非経口的注入により宿主動物に投与される。TIGIRRポリ
ペプチドの免疫原性を、アジュバント(例えば、Freundの完全または不完全アジ
ュバント)を用いることにより増強することができる。追加免疫の後、少量の血
清サンプルを採集し、TIGIRRポリペプチドに対する反応性を測定する。そのよう
な測定に有用な様々なアッセイの例としては、Antibodies: A Laboratory Manua
l, Harlow及びLane(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988に記載の
もの、同じく向流免疫電気泳動(CIEP)、ラジオイムノアッセイ、放射性免疫沈降
法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELIZA)、ドットブロットアッセイ及びサンドイ ッチアッセイなどの方法が挙げられる。米国特許第4,376,110号及び第4,486,530
号を参照されたい。
【0222】 よく知られた方法を用いて、モノクローナル抗体を容易に調製することができ
る。例えば、米国特許第RE32,011号、第4,902,614号、第4,543,439号及び第4,41
1,993号、Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biologica
l Analyses, Plenum Press, Kennett, McKearn及びBechtol(編)、1980に記載の 方法を参照されたい。手短に述べると、マウスなどの宿主動物に、単離し、精製
したTIGIRRまたはコンジュゲートしたTIGIRRペプチドを、場合によってはアジュ
バントの存在下で、約3週間ごとに、少なくとも1回、好ましくは少なくとも2回 、腹腔内に注入する。次いで、マウスの血清を従来のドットブロット法または抗
体捕捉法(ABC)によりアッセイし、どの動物が融合させるのに最適かを決定する 。約2〜3週間後、マウスにTIGIRRまたはコンジュゲートしたTIGIRRペプチドを静
脈内に追加投与する。次いで、マウスを殺し、脾臓細胞を、以下の確立されたプ
ロトコルに従って、Ag8.653(ATCC)などの市販の骨髄腫細胞と融合させる。手短 に述べると、骨髄腫細胞を培地中で数回洗浄し、骨髄腫細胞1に対して脾臓細胞 が約3の割合でマウス脾臓細胞と融合させる。融合化剤は、例えばポリエチレン グリコール(PEG)などの、当業界で用いられる任意の適当な剤でよい。融合し た細胞を選択的に増殖させ得る培地を含むプレートで融合物を平板培養する。次
いで、融合細胞を約8日間増殖させることができる。得られたハイブリドーマか らの上清を採集し、ヤギ抗マウスIgで最初にコーティングしたプレートに添加す
る。続いて洗浄し、125Iなどで標識したTIGIRRを各ウェルに添加してインキュベ
ートする。続いて陽性ウェルをオートラジオグラフィーにより検出することがで
きる。陽性クローンは大量培養により増殖させることができ、続いて上清をProt
ein A カラム(Pharmacia)で精製する。
【0223】 本発明のモノクローナル抗体を別の技術(Alting-Meesら、「Monoclonal Antib
ody Expression Libraries: A Rapid Alternative to Hybridomas」、Strategies
in Molecular Biology 3:1-9(1990)に記載されている技術など)を用いて製造 することができる。該引用文献は参照により本明細書に組み入れられる。同様に
、特異的に結合する抗体をコードする遺伝子の可変領域を組み入れるために、組
換えDNA技術を用いて、結合パートナーを構築することができる。そのような技 術は、Larrickら、Biotechnology, 7:394(1989)に記載されている。
【0224】 そのような抗体の抗原結合フラグメントは、従来技術により製造することがで
き、また、本発明に包含される。そのようなフラグメントの例としては、限定さ
れるものではないが、Fab及びF(ab’)2が挙げられる。抗体フラグメント及び遺 伝子工学的手法により製造される誘導体も提供される。
【0225】 本発明のモノクローナル抗体は、キメラ抗体、例えばヒト化マウスモノクロー
ナル抗体を含む。そのようなヒト化抗体は、公知の技術により調製でき、該抗体
をヒトに投与する際に免疫原性を減じるのに有利である。一実施形態においては
、ヒト化モノクローナル抗体は、マウス抗体の可変領域(またはそれらの抗原結
合部位のみ)及びヒト抗体に由来する定常領域を含む。あるいは、ヒト化抗体フ
ラグメントは、マウスモノクローナル抗体の抗原結合部位及びヒト抗体に由来す
る可変領域フラグメント(抗原結合部位を欠失している)を含んでもよい。キメ
ラ及びさらに加工したモノクローナル抗体の製造方法は、Riechmannら(Nature 3
32:323,1988)、Liuら(PNAS 84:3439,1987)、Larrickら(Bio/Technology 7:934,1
989)及びWinter及びHarris (TIPS 14:139,May,1993)に記載されたものを含む。 トランスジェニック的に抗体を作製する方法は、英国特許第2,272,440号、米国 特許第5,569,825号及び第5,545,806号並びにそこから優先権を主張している関連
特許に見つけることができる。それらの全ては、参照により本明細書に組み入れ
られる。
【0226】 一実施形態においては、該抗体は本発明のポリペプチドに特異的であり、他の
タンパク質と交叉反応しない。そのような抗体を同定できるスクリーニング法は
、よく知られており、例えばイムノアフィニティークロマトグラフィーを含んで
もよい。
【0227】 本発明のポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マ細胞系も、本明細書において意図するものである。そのようなハイブリドーマ
は、従来技術により製造及び同定することができる。そのようなハイブリドーマ
細胞系を製造する一つの方法は、ポリペプチドで動物を免疫すること、免疫した
動物から脾臓細胞を採取すること、前記脾臓細胞を骨髄腫細胞系に融合させるこ
とによりハイブリドーマ細胞を作製すること、及び該ポリペプチドに結合するモ
ノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を同定すること、を含む。該
モノクローナル抗体を、従来技術により回収することができる。
【0228】 本発明のポリペプチドに免疫反応性のある抗体が本明細書で提供される。その
ような抗体は、該抗体の抗原結合部位を介して該ポリペプチドに特異的に(非特
異的結合を阻むように)結合する。従って、該ポリペプチド、フラグメント、変
異体、融合タンパク質などは、上記で説明したとおり、それらに対する免疫応答
性を有する抗体を製造する際の「免疫原」として用いることができる。より具体的
には、該ポリペプチド、フラグメント、変異体、融合タンパク質などは、抗体の
形成を引き出す抗原決定基またはエピトープを含む。
【0229】 それらの抗原決定基またはエピトープは、直線的または立体的(断続的)のど
ちらかであり得る。直線的エピトープは、該ポリペプチドのアミノ酸の単一の断
片で構成されるが、それに対して、立体的または断続的エピトープは、タンパク
質の折りたたみに際してぴったりと近接するに至ったポリペプチド鎖の異なる領
域からのアミノ酸断片で構成される(C. A. Janeway, Jr.及びP. Travers, Immu
no Biology 3:9 (Garland Publishing Inc.、第2版、1996))。折りたたまれた タンパク質は複雑な表面を有しているため、利用できるエピトープ数は極めて多
い。しかし、タンパク質の高次構造及び立体障害により、実際にエピトープに結
合する抗体数は、利用できるエピトープ数より少ない(C. A. Janeway, Jr.及び
P. Travers, Immuno Biology 2:14 (Garland Publishing Inc.、第2版、1996))
。当業界で知られている任意の方法により、エピトープを同定することができる
【0230】 このように、本発明の一態様は、本発明のポリペプチドの抗原性エピトープに
関する。そのようなエピトープは、以下により詳細に記載されるように、抗体、
特にモノクローナル抗体を作るのに有用である。さらに、本発明のポリペプチド
からのエピトープを、アッセイにおいて、研究試薬として用いて、ポリクローナ
ル血清または培養したハイブリドーマからの上清などの材料から特異的に結合す
る抗体を精製することができる。固相合成、ポリペプチドの化学的または酵素的
切断などの、当業界でよく知られた技術を用いて、あるいは組換えDNA技術を用 いて、そのようなエピトープまたはそれらの変異体を製造することができる。
【0231】 本発明のポリペプチドのエピトープにより誘導され得る抗体に関しては、単離
されたエピトープにせよ、ポリペプチドの残余の部分にせよ、ポリクローナル及
びモノクローナル抗体の双方を従来技術により調製することができる。例えば、
Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyse
s, Kennetら(編)、Plenum Press, New York(1980)及びAntibodies: A Laborat
ory Manual, Harlow 及びLand(編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Co
ld Spring Harbor, NY (1988)を参照されたい。
【0232】それらの使用 in vitroまたはin vivoで本発明のポリペプチドまたはフラグメントの存在を 検出するためのアッセイにおいて、本発明の抗体を用いることができる。TIGIRR
のRNA発現パターンにより、TIGIRRポリペプチドは、肝臓、胎盤、並びに脳細胞 及び組織で発現されると予想される。TIGIRRポリペプチドに対する抗体を用いて
、従来の免疫組織化学的方法により肝臓、胎盤、並びに脳組織及び細胞型を検出
することができる。該抗体は、イムノアフィニティークロマトグラフィーにより
本発明のポリペプチドまたはフラグメントを精製するのにも用いることができる
【0233】 本発明のポリペプチドがTIGIRRの対抗構造分子に結合するのをさらに阻止でき
るそれらの抗体を用いて、そのような結合により生じた生物学的活性を阻害する
ことができる。例えば、転写因子(NFκB及びAP1)、タンパク質キナーゼ(Jun
N末端キナーゼ及びp38 map)、酵素(プロスタグランジン産生を誘導するCOX-2 及び一酸化窒素産生を誘導するiNOS)の活性化及び一般の炎症などを阻害するこ
とができる。TIGIRRポリペプチドが、TIGIRRの対抗構造分子を発現する特定の細
胞に結合するのを阻害する能力について、抗体を試験することなどの任意の適当
なアッセイ法を用いて、そのような阻止性抗体を同定することができる。また、
TIGIRRの対抗構造分子が標的細胞に結合することにより生じた生物学的作用を阻
害する能力についてのアッセイにおいて阻止性抗体を同定することができる。例
えば、TIGIRRの対抗構造分子を介した細胞溶解を阻害する能力について、抗体を
アッセイすることができる。
【0234】 そのような抗体は、in vitroでの方法に用いることができ、または抗体を生成
した実体により仲介された生物学的活性を阻害するためにin vivoで投与するこ とができる。従って、TIGIRRの対抗構造分子と細胞表面(結合パートナー)受容
体との相互作用により引き起こされた、または悪化した(直接的にせよ、間接的
にせよ)疾患を治療することができる。治療方法は、TIGIRRの対抗構造分子を介
した生物学的活性を阻害する有効量の阻止性抗体を哺乳動物にin vivoで投与す ることを含む。そのような治療方法には、モノクローナル抗体を用いるのが一般
に好ましい。一実施形態においては、抗原に結合する抗体フラグメントを用いる
【0235】 抗体のアゴニスト的な(すなわち、リガンド−模倣)性質をスクリーニングで
きる。そのような抗体は、細胞表面のTIGIRRポリペプチドに結合する際、生物学
的作用(例えば、生物学的シグナル伝達)を誘導する。それは、TIGIRRの対抗構
造分子が細胞表面のTIGIRRポリペプチドに結合する際に誘導される生物学的作用
と同様である。アゴニスト的な抗体を用いて、TIGIRRポリペプチドが転写因子NF
κB及びAP1(Stylianouら、Int. J. Biochem Cell Biol. 30:1075-1079, 1998)、
タンパク質キナーゼJun N末端キナーゼ及びp38 map キナーゼ(O’Neilら、J. Le
uokoc. Biol. 63:650-657, 1998)、酵素(プロスタグランジン産生を誘導するCO
X-2(Crofford, J. Rheumatol. 24 Suppl. 49:15-19, 1997)及び一酸化窒素産生 を誘導するiNOS(Alexander, Nutrition 14:376-90))及び一般の炎症の活性化を
導く細胞のシグナリングを促進する能力を誘導することができる。
【0236】 TIGIRRポリペプチドに対する抗体、生理上許容される希釈剤、添加剤、または
担体を含む組成物が本明細書で提供される。そのような組成物の適当な成分は、
上記のごとく、TIGIRRポリペプチドを含む組成物のためのものである。
【0237】 また、該抗体に結合した検出剤(例えば、診断剤)または治療剤を含むコンジ
ュゲートも本明細書で提供される。そのような剤の例は、上記に提示されている
。該コンジュゲートは、in vitro法でもin vivo法でも有用であることがわかる 。
【0238】 本明細書に記載された引用文献は、その全体を参照として本明細書に組み入れ
られる。
【0239】 本明細書中の実施形態は、本発明の実施形態の一つの実例を提供し、本発明の
技術範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、多くの他
の実施形態が本発明の特許請求の範囲に包含されることを認識できる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月17日(2000.7.17)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/08 5/10 G01N 33/53 D C12P 21/08 33/68 G01N 27/447 C12N 15/00 ZNAA 33/53 5/00 B 33/68 G01N 27/26 315G (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,US,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB20 BB24 BB29 DA13 DA36 FA18 FB03 FB05 4B024 AA01 AA11 BA43 BA63 CA04 DA02 DA05 DA11 EA04 GA01 GA11 HA01 HA03 4B064 AG20 AG27 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA90Y AB01 AB02 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA51 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74 GA23 GA25 GA26

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1のDNA配列を含む単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 配列番号2の配列を含むアミノ酸配列をコードする単離され
    た核酸分子。
  3. 【請求項3】 50% ホルムアミドおよび6XSSC中、42℃での中度のストリン ジェンシー条件並びに0.5XSSC、0.1%SDS、60℃での洗浄条件下で、請求項1また
    は2に記載のいずれかの核酸配列を含む変性された二本鎖DNAのどちらかの鎖に ハイブリダイズする、単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記単離された核酸分子が配列番号1からのin vitro突然変
    異誘発によって誘導される、請求項3に記載の単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 遺伝暗号の結果配列番号1から縮重する、単離された核酸分
    子。
  6. 【請求項6】 ヒトTIGIRR DNA、ヒトTIGIRR DNAの対立遺伝子変異体、また
    はTIGIRR DNAの種相同体である、単離された核酸分子。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、5および6に記載の核酸分子から成る群より
    選択される核酸分子の発現を指令する組換えベクター。
  8. 【請求項8】 請求項3に記載の核酸分子の発現を指令する組換えベクター
  9. 【請求項9】 請求項4に記載の核酸分子の発現を指令する組換えベクター
  10. 【請求項10】 請求項1、2、5および6に記載の核酸分子から成る群よ
    り選択される核酸分子によってコードされる、単離されたポリペプチド。
  11. 【請求項11】 SDS-PAGEによって測定すると約76 kDの分子量を有する、 請求項10に記載の単離されたポリペプチド。
  12. 【請求項12】 非グリコシル化形態である、請求項10に記載の単離された
    ポリペプチド。
  13. 【請求項13】 請求項3に記載の核酸分子によってコードされる、単離さ
    れたポリペプチド。
  14. 【請求項14】 非グリコシル化形態である、請求項13に記載の単離された
    ポリペプチド。
  15. 【請求項15】 請求項4に記載の核酸分子によってコードされる、単離さ
    れたポリペプチド。
  16. 【請求項16】 非グリコシル化形態である、請求項15に記載の単離された
    ポリペプチド。
  17. 【請求項17】 請求項10に記載のポリペプチドに結合する、単離された抗
    体。
  18. 【請求項18】 モノクローナル抗体である、請求項17に記載の単離された
    抗体。
  19. 【請求項19】 請求項13に記載のポリペプチドに結合する、単離された抗
    体。
  20. 【請求項20】 モノクローナル抗体である、請求項19に記載の単離された
    抗体。
  21. 【請求項21】 請求項15に記載のポリペプチドに結合する、単離された抗
    体。
  22. 【請求項22】 モノクローナル抗体である、請求項21に記載の単離された
    抗体。
  23. 【請求項23】 請求項7に記載のベクターでトランスフェクションまたは
    形質導入された宿主細胞。
  24. 【請求項24】 TIGIRRポリペプチドを製造する方法であって、発現を促進
    させる条件下で請求項23に記載の宿主細胞を培養し、そして培養培地から該ポリ
    ペプチドを回収することを含む、該方法。
  25. 【請求項25】 前記宿主細胞が細菌細胞、酵母細胞、植物細胞および動物
    細胞から成る群より選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 請求項8に記載のベクターでトランスフェクションまたは
    形質導入された宿主細胞。
  27. 【請求項27】 TIGIRRポリペプチドを製造する方法であって、発現を促進
    させる条件下で請求項26に記載の宿主細胞を培養し、そして培養培地から該ポリ
    ペプチドを回収することを含む、該方法。
  28. 【請求項28】 該宿主細胞が細菌細胞、酵母細胞、植物細胞および動物細
    胞から成る群より選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 請求項9に記載のベクターでトランスフェクションまたは
    形質導入された宿主細胞。
  30. 【請求項30】 TIGIRRポリペプチドを製造する方法であって、発現を促進
    させる条件下で請求項29に記載の宿主細胞を培養し、そして培養培地から該ポリ
    ペプチドを回収することを含む、該方法。
  31. 【請求項31】 前記宿主細胞が細菌細胞、酵母細胞、植物細胞および動物
    細胞から成る群より選択される、請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 サンプルタンパク質の分子量を請求項10に記載のポリペプ
    チドの分子量と比較することを含むサンプルタンパク質の分子量を測定する方法
    であって、該分子量の比較は該サンプルタンパク質および該ポリペプチドをアク
    リルアミドゲルにアプライし、電流を用いて該サンプルタンパク質および該ポリ
    ペプチドを分離し、そして該サンプルタンパク質および該ポリペプチドを染色す
    る検出試薬を該ゲルに加えることを含んでなる、該方法。
  33. 【請求項33】 サンプルタンパク質のペプチド断片の分子量を測定するた
    めのキットであって、下記のもの: 容器; 請求項10に記載のポリペプチド; アスパラギニルエンドペプチダーゼ、アルギニルエンドペプチダーゼ、アクロ
    モバクタープロテアーゼI、トリプシン、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aure
    us) V8プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼAsp-NおよびエンドプロテイナーゼL
    ys-C より成る群より選択された少なくとも1つの酵素; 該ポリペプチドよりin vitro突然変異誘発によって誘導された、該選択された
    酵素による酵素切断部位が除去されている突然変異ポリペプチド;および 該選択された酵素による酵素切断によって該ペプチドから誘導された断片化ペ
    プチド; を含んで成り、 該ポリペプチドおよび該サンプルタンパク質を該選択されたプロテアーゼと接
    触させ、そして該タンパク質、ポリペプチドおよび断片化ペプチドをアクリルア
    ミドゲルにアプライし、電流を用いて分離し、そして該タンパク質、ポリペプチ
    ドおよび断片化ペプチドを染色する検出試薬を該ゲルに加えることによってそれ
    らを可視化する、該キット。
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