JP2001525335A - 骨格環状化ペプチド類似体による核への輸送の阻害 - Google Patents

骨格環状化ペプチド類似体による核への輸送の阻害

Info

Publication number
JP2001525335A
JP2001525335A JP2000523229A JP2000523229A JP2001525335A JP 2001525335 A JP2001525335 A JP 2001525335A JP 2000523229 A JP2000523229 A JP 2000523229A JP 2000523229 A JP2000523229 A JP 2000523229A JP 2001525335 A JP2001525335 A JP 2001525335A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
backbone
cyclized
nls
analog
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000523229A
Other languages
English (en)
Inventor
フリードラー,アサフ
ロイター,アブラハム
ジロン,チャイム
ウォルフ,アムノン
Original Assignee
イッサム リサーチ ディヴェロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム
ペプター,リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by イッサム リサーチ ディヴェロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム, ペプター,リミテッド filed Critical イッサム リサーチ ディヴェロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティー オブ エルサレム
Publication of JP2001525335A publication Critical patent/JP2001525335A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2740/00Reverse transcribing RNA viruses
    • C12N2740/00011Details
    • C12N2740/10011Retroviridae
    • C12N2740/16011Human Immunodeficiency Virus, HIV
    • C12N2740/16311Human Immunodeficiency Virus, HIV concerning HIV regulatory proteins
    • C12N2740/16322New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 巨大分子の核局在化シグナル(NLS)領域を機能的に模倣する骨格環状化ペプチド類似体の設計および合成を開示する。本発明の原理は、ヒト免疫不全ウイルス1型のタンパク質であるMA、Vpr、TatのNLS配列およびHIV−1タンパク質VifのNLS様配列について例示される。我々はBCvirと名付けた新規の非常に強力な骨格環状化ペプチドが35nMというIC50値で核への輸送を阻害するという発見を開示する。この阻害活性の強さは元の直鎖状のHIV−MA NLSペプチドによって示される12μMという値に匹敵するものである。BCvirはまた、感染した、分裂していない培養ヒトT細胞においてHIV−1の産生を75%低減させ、トリプシン消化に対して比較的抵抗性であった。これらの特性によって、NLSもしくはNLS様配列の骨格環状化ペプチド類似体は、ウイルスゲノムの核への輸送を阻止することに基づく新規薬物の候補となりうるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (本発明の技術分野) 本発明は巨大分子の細胞質から細胞核への移送の調節に関し、核への輸送を阻
害する骨格環状化ペプチドおよびそれらのペプチドを用いて核への局在化および
ウイルス産生を阻害するための組成物および方法に関する。
【0002】 (本発明の背景技術) 真核細胞のライフサイクルは機能を有するタンパク質の、細胞質から、DNA
複製およびRNA生合成が起こる場所である核内への移動に依存している。また
、ウイルスゲノムの核−細胞質間の輸送は多数の動物ウイルスの複製およびアセ
ンブリーに不可欠である。例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)および
単純ヘルペスウイルス(HSV)の核への輸送は、核膜が天然の状態に保たれて
いるような分裂していない細胞への感染がウイルス産生性のものとなるためには
非常に重要である(Von−Schwedlerら,(1994)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 91,6992−6996)。
【0003】 核局在化シグナル(NLS)はタンパク質内に存在する輸送シグナルで、その
タンパク質の核への取り込みを複雑な機序によって媒介する(Melchior
(1995),Curr. Opin.Cell Biol.7,310−31
8;Garcia−Bustosら,(1991)Biochim.Bioph
ys.acta 1071,83−101)。NLSは半コンセンサス配列を有
し、それは一般に5−15個のアミノ酸残基からなり、それらの残基の大多数は
正に荷電されている(リジンおよびアルギニン)(DingwallとLask
ey(1991),TIBS 16,478−481)。核への輸送は、細胞質
内におけるNLSと細胞質内受容体(一般に、NLS結合タンパク質(NBP)
と呼ばれている)との特異的結合によって開始される。NLS配列と相互作用す
るタンパク質が多数検出されており、それらは核輸送受容体と同定されている(
Nigg,(1997)Nature 386,779−787)。最初に発見
された核への輸送経路は、インポーチン(importin)としても知られて
いるカリオフェリンヘテロ2量体と共に働く(Gorlichら,(1995)
Nature 377,246−248)。
【0004】 ウイルスの核への輸送は、核への輸送に不可欠な特有のNLSを有しているウ
イルスタンパク質がそのウイルスのゲノムと複合体を形成することによって可能
となる。少なくとも3種類のHIV−1タンパク質が、ウイルスプレインテグレ
ーション複合体(PIC)の核への輸送に関与しており、部分的には過剰な核局
在化活性を示している:ヌクレオキャプシド成分であるHIV−1 MA(Bu
krinskyら,同上)、補助的タンパク質であるVpr(Heinzing
erら,(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,
7311−7315)、およびウイルスインテグラーゼ(Gallayら,(1
997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94,9825−9
830)。HIV−1はまた、分子量30kDa未満の補助的なタンパク質をい
くつか発現している(MillerとSarver,(1997)Nature
Medicine 3,389−394)。これらのタンパク質のうち、Ta
t、Rev、NefおよびVifがNLS様配列を含有し、一定の条件下では感
染細胞の核に蓄積される。最近、Vpr(Karniら,(1998)FEBS
Lett.429,421−425)、Tat(Efthymiadisら,
(1998)J.Biol.Chem.273,1623−1628)、および
Rev(HendersonとPercipalle,(1997)J.Mol
.Biol.274,693−707)が、別個の非インポーチン経路によって
核への輸送を促進することが報告されている。NLS配列に由来する直鎖ペプチ
ドでは、それがBSAと共有結合によるコンジュゲーションを行うとそのコンジ
ュゲートの核への輸送を起こすので、活性NLSとして機能する(Bukuri
nskyら,同上;Goldfarbら,(1986)Nature322,6
41−644)。そのようなペプチドは、HIV−1マトリクスタンパク質(M
A)およびそのプレインテグレーション複合体の阻害で示されたものと同様の核
への輸送の阻害も示す(Guliziaら,(1994)J.Virol.68
,2021−2025)。しかし、それらの構造的柔軟性および代謝での不安定
性のために、直鎖状NLSペプチドを抗ウイルス剤として治療的に用いることは
実際的でない。
【0005】 タンパク質模倣体は、元の大きなタンパク質の構造および/または活性を模し
た小分子である。そのような小分子が利用ができれば、タンパク質の生物学的機
能、分子構造、および折り畳みを詳細に研究するために有用である。さらに、タ
ンパク質模倣体は、現在のところタンパク質およびポリペプチドの治療における
使用を妨げているそれらの抗原性、代謝における不安定性およびバイオアベイラ
ビリティーの低さなどの制限のいくつかを克服しうるので、新しいタイプの薬物
となりうる優れた候補物質である。多数の構造的タンパク質模倣体が既に報告さ
れているが、それらの大多数は元のタンパク質を特徴づけている生物学的機能を
欠いている。また、酵素の触媒部位を模し、その酵素活性を保持させた小ペプチ
ドを得ようとした試みはこれまでのところは失敗に終わっている(Coreyと
Corey(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93
,11428−11434)。構造的タンパク質模倣体で対応するタンパク質の
生物的活性を保持しかつ構造的に類似しているものがごくわずか公表されており
、例えば、ジンクフィンガー(Struthersら,(1996)Scien
ce 271,342−345)および金属結合性タンパク質模倣体(Robe
rtsonら,(1994)Nature 368,425−432;Pess
iら,(1993)Nature 362,367−369)などである。我々
はここで、タンパク質の活性領域の構造と機能を模した小さな骨格環状化ペプチ
ドの設計と合成のための一般的なアプローチを開示する。
【0006】 骨格環状化は、ペプチド骨格中のNαもしくはCα原子をお互いに結合させる
か、またはそれらの原子と側鎖を結合させるか、またはカルボキシおよびアミノ
末端に結合させることによってコンホメーションの拘束をペプチドに与える一般
的な方法である(Gilonら,(1991)Biopolymers 31,
745−750)。骨格環状化によれば、ペプチドは、直鎖状の元のペプチドと
比較して選択的かつ代謝に安定で、生物学的活性が増強されたタンパク質模倣体
に変換されることが以前から示されており、それは、例えば、EPO 564,
739 A2およびWO95/33765;Bykら,(1996)J.Med
.Chem.39,3174;Bitanら,(1997)J.Pept.Re
s.49,421、で述べられている。シクロスキャン(cycloscan)
は、コンホメーション的に拘束された骨格環状化ペプチドライブラリーに基づく
選択方法であり、WO97/09344中に開示されているように、所定の配列
に由来する最も活性が高い骨格環状化ペプチドの迅速な検出がそれによって可能
となる。シクロスキャンは多様なことが可能であり、骨格環状化の様式、環の位
置、環の大きさ、および環の化学的性質を調べることができるが、これによって
コンホメーションのみがわずかずつ異なる、配列に順次偏りを持たせたペプチド
を多数作ることができる。”骨格環状化タンパク質模倣体”のアプローチの原理
は、次のステップに基づいている:(i)標的タンパク質の活性残基を明らかに
する(ii)活性残基を包含し、そのコンホメーションが元のタンパク質と類似
しているような一連の骨格環状化ペプチドのプロトタイプの設計およびモデリン
グ(iii)リード化合物を見出すまで各々の骨格環状化ペプチドのシクロスキ
ャンを行うこと(iv)最も良いリード化合物の構造分析、および(v)反復に
よる最適化。
【0007】 (発明の概要) 本発明の目的の1つは、巨大分子の核局在化シグナル(NLS)領域を模した
骨格環状化ペプチド類似体を提供することである。本発明の別の目的は、骨格環
状化ペプチド類似体をNLS含有巨大分子の細胞核への核輸送を阻害するために
用いることである。本発明のまた別の目的は、ヒト免疫不全ウイルスの各種タン
パク質のNLS領域を模した骨格環状化ペプチド類似体を提供することである。
本発明のまた別の目的は、該骨格環状化ペプチドを感染細胞中でのウイルス複製
を阻害するために用いるための組成物と方法を提供することである。本発明の原
理に従って、骨格環状化タンパク質模倣体アプローチを用いて、NLS配列の領
域を模した骨格環状化ペプチドのライブラリーを設計することが可能であること
をここに開示する。これらのライブラリーを、所望の特定の巨大分子の特異的N
LS配列を模倣するためにさらに最適化および改善された分子を同定するために
用いることができる。これらの原理をウイルスタンパク質のNLS配列を用いて
例示している。得られた骨格環状化ペプチドは、巨大分子の細胞質から細胞核へ
の移動を阻害し、それによって、ウイルスの伝播ができないようにするために有
用である。
【0008】 現在のところ、本発明のより好ましい実施形態としては、HIV−1のNLS
配列およびNLS様配列の作用を模倣することのできる骨格環状化ペプチド類似
体がある。これらの好ましい実施形態は、HIV−1ウイルスタンパク質MA、
Tat、およびVprから選択されるNLS配列の骨格環状化類似体を包含して
いる。
【0009】 また、本発明の別の好ましい実施形態では、HIV−1タンパク質Vif内の
ペプチドの骨格環状化類似体を提供する。これらの骨格環状化ペプチドは、Vi
fの残基88から98、これは塩基性残基からなる短い配列を有するが、これら
の残基の類似体を含む。このウイルス配列は、核への輸送を阻害するが媒介しな
い。
【0010】 現在のところ、本発明の最も好ましい実施形態の1つは、一般式Iに示す骨格
環状化ペプチド類似体である。
【0011】
【化13】 [式I] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
NHも存在しない;mは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
ンである;AAおよびAA2は独立にアミノ酸残基を示し、それは同一のもので
も異なるものでもよい。〕 本発明のより好ましい実施形態は、一般式IIの骨格環状化ペプチド類似体で
ある。
【0012】
【化14】 [式II] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
NHも存在しない;Hは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
ンである。〕 本発明のまた別の好ましい実施形態は、一般式IIIの骨格環状化ペプチド類
似体である。
【0013】
【化15】 [式III] 〔この式で、Rはリジンもしくはグルタミンであり、AAはセリン、ロイシンも
しくはメチオニンからなる群から選択される1個のアミノ酸残基であり、AA2
はバリン、グリシンもしくはシステインからなる群から選択される1個のアミノ
酸残基である。〕 現在のところ、本発明の最も好ましい実施形態は、一般式IIIのペプチドで
、Rがリジン、AAがロイシン、AA2がバリンであるもので、ここではそれを
BCvirと呼ぶ。
【0014】 本発明のまた別の最も好ましい実施形態は、一般式IVの骨格環状化ペプチド
類似体を含む。
【0015】
【化16】 [式IV] 〔この式で、mおよびnはそれぞれ独立に1から10の整数である。〕 NLS配列を模倣することができる骨格環状化ペプチドを有効成分として含む
医薬組成物を開示し、特許請求する。
【0016】 さらにここに開示した事項は、巨大分子の細胞核から細胞質への移動を、細胞
と該巨大分子のNLS配列を模倣する骨格環状化ペプチドの有効量とを接触させ
ることによって阻害する方法である。これらの方法は、in vitro、もし
くは治療を必要としている動物のin vivoでの、ウイルス感染の予防もし
くは治療に有用である。これらの方法の有用性については、ウイルス感染細胞内
でのウイルス複製の阻害によって例示されている。
【0017】 (発明の詳細な説明) 骨格環状化タンパク質模倣体アプローチによって骨格環状化ペプチド類似体の
発見がなされ、それは巨大分子の細胞質から細胞核への核輸送を阻害するが、そ
のような種類の巨大分子は核局在化シグナルの仲介によって核に入り込む。本明
細書および特許請求の範囲において「巨大分子」という用語は、タンパク質また
は1つ以上のタンパク質を別の分子と共に含んでいる複合体を意味する。例えば
、その複合体はNLS配列もしくはNLS様配列を有するタンパク質に加えてD
NAもしくはRNAを含むことができる。とりわけ複合体はウイルスゲノムを含
むことができる。
【0018】 本明細書および特許請求の範囲において「骨格環状化ペプチド類似体」という
用語は、ペプチド骨格の少なくとも1個の窒素もしくは炭素を、もう1つの別の
そのような窒素もしくは炭素と、または側鎖と、またはペプチドの末端のうちの
1つと結合させたアミノ酸残基の配列を意味する。さらにその配列の1つ以上の
ペプチド結合が還元されているかもしくは非ペプチド結合で置換されていてもよ
い。
【0019】 「アミノ酸」という用語はアミノ末端およびカルボキシ末端を有する化合物を
意味し、炭素骨格の1,2−、1,3−、もしくは1,4−置換パターンが好ま
しい。α−アミノ酸が最も好ましく、そのようなものとしてはタンパク質中に見
出される20種の天然アミノ酸(グリシンを除いてはL−アミノ酸である)、そ
れらに対応するD−アミノ酸、タンパク質中には見出されず生合成によって得ら
れるアミノ酸(例えば4−ヒドロキシプロリン、5−ヒドロキシリジン、シトル
リン、オルニチン、カナバニン、ジェンコール酸、β−シアノアラニン(β−c
yanolanine)、ならびにアミノイソ酪酸、ノルロイシン、ノルバリン
、ホモシステインおよびホモセリンなどの合成α−アミノ酸が挙げられる。β−
アラニン及びγ−アミノ酪酸は1,3−および1,4−アミノ酸の例であり、そ
の他多数のものが当業界で周知である。スタチン(statine)様アイソス
ター(CONH結合がCHOHによって置換されている2個のアミノ酸からなる
ジペプチド)、ヒドロキシエチレンアイソスター(CONH結合がCHOHCH
によって置換されている2個のアミノ酸からなるジペプチド)、還元アミドア
イソスター(CONH結合がCHNH結合によって置換されている2個のアミ
ノ酸からなるジペプチド)、およびチオアミドアイソスター(CONH結合がC
SNH結合によって置換されている2個のアミノ酸からなるジペプチド)もまた
本発明には有用な残基である。
【0020】 骨格環状化は、ペプチド骨格中のNαもしくはCα原子をお互いに結合させる
か、またはそれらの原子と側鎖を結合させるか、またはカルボキシおよびアミノ
末端に結合させることによって、コンホメーションの拘束をペプチドに与える一
般的な方法である(Gilonら,(1991)Biopolymers 31
,745−750)。骨格環状化はペプチドを直鎖状の元のペプチドと比較する
と選択的かつ代謝に安定で生物学的活性が増強されたタンパク質模倣体に変換す
ることが以前から示されており、それは例えばEPO 564,739 A2お
よびWO95/33765で述べられている。
【0021】 「シクロスキャン(cycloscan)」はコンホメーション的に拘束され
た骨格環状化ペプチドライブラリーに基づく選択方法であり、WO97/093
44中に開示されているようにある与えられた配列に由来する最も活性が高い骨
格環状化ペプチドの迅速な検出がそれによって可能となる。これらの公表文献類
の教示は本明細書に参照によりその全体を組み込むこととする。骨格環状化の様
式、環の位置、環の大きさ、および環の化学的性質を含む種々のシクロスキャン
により、コンホメーションのみがわずかずつ異なる、配列に順次偏りを持たせた
ペプチドを多数作製することができる。
【0022】 「骨格環状化タンパク質模倣体」のアプローチの原理は次のステップに基づい
ている:(i)標的タンパク質の活性残基を明らかにし、(ii)活性残基を包
含しかつそのコンホメーションが元のタンパク質と類似しているような一連のプ
ロトタイプの骨格環状化ペプチドを設計およびモデリングし、(iii)リード
化合物を見出すまで各々の骨格環状化プロトタイプのシクロスキャンを行い、(
iv)最も良いリード化合物の構造を分析し、そして(v)反復により最適化す
る。
【0023】 巨大分子の細胞質から核への輸送を阻害する骨格環状化ペプチドの能力は、第
1の態様においてin vitroアッセイ系でNLS−BSAを用いたモデル
系で示された。第2の態様では、巨大分子の細胞核への輸送を妨げる骨格環状化
ペプチドの能力を機能アッセイを用いて示し、それによって分裂していない感染
培養細胞中でのHIV−1産生が、明らかにそのMAが媒介する核への取り込み
をブロックすることによって低減することが見出された。これらの結果に基づけ
ば、これらの新規の環状化ペプチドがHIV−1 MAタンパク質のNLS領域
を模したものであると考えられる。
【0024】 その作用機作には関わらず、巨大分子のNLS配列を模したこの新規の骨格環
状化ペプチドは、巨大分子のNLS配列を模した骨格環状化ペプチドの治療的有
効量を有効成分として含む医薬組成物、および巨大分子の細胞質から核への輸送
を阻害するその組成物の有用性を特許請求事項としている。
【0025】 本発明の方法は、HIV−1タンパク質MA、Tat、およびVprのNLS
配列を模した、もしくは塩基性残基を有するNLS様配列を含むVifの88−
98残基にまたがる配列を模した骨格環状化ペプチドを用いて本明細書中に例示
されている。開示されているペプチドは感染細胞内でのウイルスの複製を阻害す
ることが示されている。当業者であれば下記の実施例が単に説明のためのもので
あって本発明の原理の非限定的な例示であり、別記の特許請求事項に定義した本
発明の請求事項の範囲内において多数の変更および改変を行いうることを理解す
るであろう。
【0026】 本発明ならびにその製造と使用様式を記述するためにいくつかの略語をここで
用いている。例えば、AAAはアミノ酸分析を意味し、Bocはt−ブチルオキ
シカルボニルを意味し、BSAはウシ血清アルブミンを意味し、Bzlはベンジ
ルを意味し、DCMはジクロロメタンを意味し、DIEAはエチルジイソプロピ
ルアミンを意味し、DMFはジメチルホルムアルデヒドを意味し、DMSOはジ
メチルスルホキシドを意味し、DTTはジチオスレイトールを意味し、EGTA
はエチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)N,N,N’,N’
−四酢酸を意味し、FCSはウシ胎児血清を意味し、Fmocは9−フルオレニ
ルメチルオキシカルボニルを意味し、HIV−1はヒト免疫不全ウイルス1型を
意味し、HOBtはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールを意味し、IC50は5
0%阻止濃度を意味し、MAはマトリクスタンパク質を意味し、MBHAは4−
メチルベンズヒドリルアミンを意味し、NLSは核局在化シグナルを意味し、N
MPはN−メチルピロリジノンを意味し、NMRは核磁気共鳴を意味し、pMe
OBzlはp−メトキシベンジルを意味し、PMSFはフェニルメチルスルホニ
ルフルオリドを意味し、PyBroPはブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウ
ムヘキサフルオロホスフェートを意味し、SMPSは同時多重ペプチド合成を意
味し、SPPSは固相ペプチド合成を意味し、TBTUは2−(1−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール−1−イル)1,1,3,3テトラメチルウロニウムテトラ
フルオロボレートを意味し、TDWは3回蒸留水を意味し、TFAはトリフルオ
ロ酢酸を意味し、TOF−MSは飛行時間型質量分析法を意味し、Zはベンジル
オキシカルボニルを意味する。
【0027】 天然のコード化されたアミノ酸はIUPAC協定に従って3文字コードもしく
は1文字コードで示している。
【0028】 (実施例) (材料)輸送バッファー :20mM Hepes pH 7.3、110mM 酢酸カリ
ウム、5mM 酢酸ナトリウム、0.5mM EGTA、2mM DTT、1m
g/mL ロイペプチン、1mg/mL ペプスタチン、1mg/mL アプロ
チニン、0.1mM PMSF。
【0029】培養細胞 : (a)Colo−205(ヒト結腸腺癌細胞[ATCC CCL 222])お
よびHut78細胞(ヒトT細胞系)を、10% FCS、0.3g/L L−
グルタミン、100U/mL ペニシリン、および100U/mLストレプトマ
イシン(Beit Haemek,イスラエル)を添加したRPMI 1640
培地中で維持した。Colo−205細胞を1.2x10細胞/mLの密度と
なるまで増殖させた。遠心(600rpm,5分間)した後、細胞をATP再生
系を欠く輸送バッファー中に懸濁した。
【0030】 (b)HeLa細胞の単層培養を、10%FCSを添加したDMEM増殖培地
中で既に報告されているとおり(Broderら,(1997)FEBS Le
tt.412,535−539)行った。
【0031】ウイルス :HIV−1 IIIB株はDr.M.Weinberg(Lady
Davis Institute,カナダモントリオール)の好意により提供を
受けたものである。
【0032】 実施例1.骨格環状化ペプチドの合成 骨格環状化ペプチドは既に報告されているとおりに調製した(Bykら,(1
996)J.Med.Chem.39,3174;Bitanら,(1997)
J.Pept.Res.49,421)。簡潔に述べれば、ペプチドをMBHA
樹脂(0.56meq/gをロード)上で合成した。ペプチドライブラリーはS
MPS「ティーバッグ」法(Houghten,R.(1985)Proc.N
atl.Acad.Sci.USA 82,5131−5135)を用いて合成
し、各バッグに第1ライブラリーでは200mg、第2ライブラリーでは300
mgの樹脂部分を入れた。樹脂を4x5 cmのポリプロピレン織物のバッグ中
に封入しポリプロピレンの箱の中におき、Labotron 振盪機(INFO
RS HT,Bottmingen,ドイツ)で振盪させた。ペプチド22の合
成は手動SPPS容器中で行った。容器をMilliGen 504振盪機で振
盪させた。アミノ酸は、グリシンとバリンをBocで保護した以外は全てFmo
cでそのNαを保護した。側鎖保護基はLys(Z)、Ser(Bzl)、Cy
s(pMeOBzl)とした。PyBroP(3eq.)をカップリング剤とし
て用い、各カップリングにおいて保護されたアミノ酸の3倍過剰、DIEAの7
倍過剰とした。保護アミノ酸は全てカップリング前に10分間予備活性化させた
。カップリング反応は2時間かけて行った。各ペプチドの第1番目のアミノ酸の
カップリングは2度繰り返した。キャッピングは0.5M無水酢酸、0.125
M DIEAおよび0.015M HOBTを含むDMF中で1時間行った。F
moc保護基除去は20%ピペリジンを含むDMF中で30分の処理を2度繰り
返して行った。ライブラリーの合成のためにFmoc−Nα−[ω−(Boc−
アミノ)アルキル]グリシンビルディングユニットを既報のとおり調製した(W
O95/33765およびWO97/09344に示す方法、これらはその全体
を本明細書中に参照により組み込むこととする)。
【0033】 ビルディングユニットの後ろへのリジンのカップリングを3回繰り返した。B
oc保護基除去は55%TFAを含むDCM中で2分間行い、次いでさらに30
分間行った。ラクタム環状化はTBTU(3eq)を4eqのDIEAと共に用
いてBoc保護基除去の後に3回行った。HF切断はKel Fシステム(ペプ
チド研究所,大阪)で行った。第1ライブラリーではチオアニソールをスカベン
ジャーとして用い、アニソールをその他のペプチドの切断において同じ目的で用
いた。反応は−5℃で2時間行った。HFを蒸発させた後、切断したペプチドお
よび樹脂をTFAで処理し、樹脂をろ過して除き、2mlのTFAで3回洗った
。TFA洗液を合わせて窒素雰囲気下で蒸散させ、粗ペプチドを冷エチルエーテ
ルで沈殿させた。粗ペプチドを冷エーテルで数回洗い、乾燥させ、30%酢酸中
に溶解し、凍結乾燥した。粗ペプチドをTOF−MSで分析した結果、その分子
量は期待された値であった。第1ライブラリーは混合物として分析した。その他
のペプチドは全て個別に特徴を調べた。それらのペプチドをHPLC(Merc
k Hitachi 655AにL−6200A勾配ポンプおよび波長可変のU
V−vis検出器を215nmにセットして取り付けた)で分析した。流速は1
mL/分に固定し、勾配は5−60%アセトニトリル:TDW(それぞれ0.1
%および0.085%のTFAを含有)、35分間とした。カラムはShand
onのRP−3を用いた。ペプチド17−20、19.1−19.4、21およ
び22もAAAで特徴を調べた。ペプチド19.1−19.4、21および22
は半調製的HPLCで精製した。分離はLichosorb RP−8 250
x10 mmの内径のカラム(Merck)で流速を4.5mL/分の定速とし
て行った。勾配は5−60% アセトニトリル:TDW(それぞれ0.1%およ
び0.085%のTFAを含有)、45分間とした。精製したペプチドについて
も分析用HPLC、AAA、およびTOF−MSで特徴を調べた。
【0034】 実施例2.直鎖状ペプチドの合成 直鎖状NLSペプチドをRinkアミド樹脂(0.5mmol/gをロード)
上でApplied Biosystems Peptide Synthes
izer 433A型を用い、FastMocTM合成法を用いて合成した。5
%アニソールをスカベンジャーとして用いてTFAで樹脂からペプチドを切り出
し、冷エーテル中で沈殿させ、30%酢酸中に溶解し凍結乾燥した。粗ペプチド
を逆相HPLC(C3カラム、勾配は5−60% アセトニトリル:TDW、0
.1%TFA含有、35分間)で分析し、TOF−MSおよびアミノ酸分析で特
徴を調べた。
【0035】 実施例3.in vitro系における核への輸送の定量分析 核への輸送を、本質的には既に報告されている方法で(Melchiorら,
(1993)J.Cell Biol.123(6),1649−1659)、
ただし、Colo−205細胞の懸濁液をHeLa細胞の懸濁液の替わりに用い
、500nMのビオチニル化BSA−NLSを輸送基質として用いたことを除い
て、定量的に測定した。IgG画分を用いる替わりにウサギ抗BSA血清でイム
ノモジュールストリップ(immunomodule strip)をコートし
た。結果は3回測定の平均で示しているが標準偏差が±20%を超えたものはな
かった。
【0036】 実施例4.蛍光顕微鏡観察による核への輸送の評価 HeLa細胞を10mmのカバーガラス上でサブコンフルエントな密度となる
まで培養した後、既に報告されている方法(Broderら,同上)でジギトニ
ンを用いて透過性を持たせた。SV40ラージT抗原のNLSシグナルを担持す
る直鎖状ペプチドを(FITCで)蛍光標識したBSA分子(Goldfarb
ら,(1986)Nature 322,641−644)に共有結合で付着さ
せ、その結果得られた蛍光標識NLS−BSA分子(FL−NLS−BSA)の
、ジギトニンで透過性を持たせたHeLa細胞の核内への移行を蛍光顕微鏡で既
に報告されているように(Broderら,同上)観察することによって追跡し
た。 実施例5.第1骨格環状化NLS模倣体ライブラリーの設計、合成、および
スクリーニング 骨格環状化ペプチドライブラリーの設計は、NMRで決定されたHIV−1
MAの構造に基づいている(Massiahら,(1994)J.Mol.Bi
ol.244,198−223;Matthewsら,(1994)Natur
e 370,666−668)。このタンパク質のNLS領域の配列は−KKQ
YK−もしくは他のHIV−1株では−KKKYK−であり(Massiahら
,(1994)J.Mol.Biol.244,198−223)、それはβ−
シートの外側の鎖内に位置している。残基K26、K27、Q28およびK30
は溶媒に暴露されているがY29の側鎖はタンパク質の内部に面しておりT97
と水素結合を形成している。Tyr29をPhe残基で置換するとHIV−1
MAの核への取り込みが顕著に低減する(Von−Schwedlerら,同上
)。Y29はタンパク質表面に露出していないので、その役割はNLS領域の生
物活性を有するコンホメーションの安定化であろうと考えられる。想像するとこ
ろでは、このコンホメーションは推定上のNLS受容体への結合のために塩基性
残基をアクセス可能とすることに寄与している(Gorlichら,(1994
)Cell 79,767−778)。この仮定から第1のペプチドライブラリ
ーを、Y29が骨格環状化ビルディングユニットで置換されるように設計するこ
ととなった。ビルディングユニットの役割はY29の役割を模倣すること、すな
わちNLSにコンホメーションの拘束性(環状化による)を与えることである。
環の大きさについてのシクロスキャンを阻害効果に必要な最適な環の大きさを決
定するために第1ライブラリーについて行った。
【0037】 上述の情報に基づき、図1aに示す一般式を有するペプチド20個のN−骨格
から末端へ環状化したライブラリーを設計した。用いた骨格環状化ビルディング
ユニットは遊離アミンをN−アルキル鎖の末端に持ち、ラクタム環の環状化はペ
プチドのN末端へ付着させたジカルボン酸スペーサーへのアミド結合によって形
成した。
【0038】 第1ライブラリーの初回スクリーニングは、そのライブラリーのペプチドのi
nvitro系でのFL−NLS−BSAの核への移動を競合的に阻害する能力
を評価することによって行った(実施例3)。ライブラリーを4つの粗ペプチド
混合物に分けそれぞれを別個にスクリーニングした。これらの混合物のうちの1
つ、混合物4と名付けたもの(ペプチド17−20を含有、図1a参照)のみが
阻害活性を有することが見出された。次いで、その混合物4中に存在する個々の
粗ペプチドの活性を同じ方法で測定し、その中からペプチド19(環の大きさが
26個の原子であるもの)が最も強力な阻害剤であることが見出され、それを第
2ライブラリーのリード化合物として用いた。
【0039】 実施例6.第2骨格環状化NLS模倣体ライブラリーの設計、合成、および
スクリーニング NLS模倣体リード化合物(ペプチド19)の阻害活性を最適化するために、
図1bに示す一般式を有する第2ライブラリーを設計し、合成した。このライブ
ラリーでは、環の大きさと位置はペプチド19中のものと同様に維持し、アミノ
酸スキャンをその環と元のペプチド双方で行った。システイン残基はNLS配列
の不可欠な部分ではないが、そのシステイン残基を種々のアミノ酸で置換した。
粗ペプチド(19.1−19.4と名付けた)の活性を蛍光顕微鏡で測定した(
実施例4)。それらうちの2個のペプチド、19.2と19.4が阻害活性を持
つことが見出された。このライブラリーから精製されたそれらのペプチドのIC
50値を、対応する直鎖状の元のNLSペプチドの値と比較したものを表2に示
す。ペプチド19.2は最も活性の高い骨格環状化ペプチドでIC50値が3μ
Mであることが見出された。阻害活性を向上させるために、このペプチドをリー
ド化合物として用いてシクロスキャン法をさらに反復して行った。
【0040】
【表2】 この結果はリードペプチド19.2がプロトタイプのSV40 NLSよりは
るかに非力であるが、それでもなおHIV−MA NLSよりは強力であること
を示している。本発明者らは、ペプチド19.2の相対的に低い活性は環の中の
グリシン残基が予期していたβ構造には重要でなく、その結果安定性のより低い
β構造を有するペプチドになってしまったという事実によるものであろうと考え
ている。β構造をより安定化し、それによってペプチド19.2の阻害活性を向
上させるために、グリシン残基を、最良のβシート形成物として知られているバ
リン残基(Smithら,(1994)Biochemistry 33,55
10−5517)と置換した。その結果得られた新しいペプチド、それは本発明
者らがBCvir(ペプチド22)と名付けたが、そのペプチドの構造を図2に
示す。予期したとおり、精製BCvirは高い活性を有し、そのIC50値は3
5nMに達し、リード化合物である19.2の値よりも2けた良い値であること
が見出された。比較のために述べれば、直鎖状の元のペプチド、すなわちHIV
−1 MA NLSでのIC50値は12μMであった。
【0041】 上記の結果を蛍光標識したNLS−BSAの核への輸送および蛍光顕微鏡観察
(実施例4)によって確認した。図3にみられるとおり、BCvirは核への輸
送を完全に抑えた。
【0042】 実施例7.BCvirのトリプシンによるタンパク質分解性切断に対する安
定性 方法 :0.05mLのトリプシン溶液(HCl 0.001M溶液中に8% w
/v含有するもの)、0.5mL TEAバッファーpH7.8(Geiger
,R.とFritz,H.,Methods of enzymatic an
alysis中の記載,H.U.Bergmeyerら編,Weinheim,
Verlag−chemie,(1984),119−129)および0.2m
Lのペプチド22(BCvir)水溶液(初濃度1.25mg/mL)を含有す
る混合物を、ペプチド添加直後(t=0)にHPLC(C3カラム,勾配は5−
60% アセトニトリル:TDW、0.1%TFA含有、35分間)に注入した
。その混合物を室温でインキュベートし、70分毎にサンプルを注入した。同じ
実験をペプチド19.4(初濃度3mg/mL)およびHIV−MA NLS直
鎖状ペプチド(初濃度20mg/mL)でも行った。各タイムインターバルにお
けるピーク面積をt=0のペプチドのピーク面積と比較して相対ペプチド濃度の
尺度とした。
【0043】 結果:BCvirは4つのリジン残基を含んでいるためトリプシンによるタンパ
ク質分解作用を受けるか調べることは重要である。上述のとおり、骨格環状化ペ
プチドはタンパク質分解酵素に対して比較的抵抗性であろうと予測される。図4
に示した結果はトリプシンによるBCvir消化のt1/2は7時間であり、ペ
プチド19.4のt1/2は9時間、直鎖状HIV−MA NLSの元のペプチ
ドでは約1.3時間にすぎないことを示している。そのt1/2が長いことに反
映されているように、BCvirはトリプシンによる切断にかなり高い抵抗性を
有している。HPLCのクロマトグラム、そこではBCvirに対応するピーク
面積は減少しており、より短い保持時間を有する別のピークの面積は増加してい
るが、そのクロマトグラムに基づいて、BCvirの環の外側のリジン−ロイシ
ン結合がゆっくりと切断されているものと本発明者らは仮定した。タンパク質分
解が環の内部で起こると、産物のピークが複数現れる。この仮定は、環の外部の
ペプチド結合を持たないペプチド19.4がより長いt1/2値を有しているこ
とを示す結果によって支持される。
【0044】 実施例8.BCvirによるHIV−1産生の阻害 方法 :Hut78細胞(0.5x10/mL)を37℃で2時間、5μg/m
Lのアフィジコリンの存在下もしくは不在下でインキュベートした。次いで細胞
にHIV−1IIIB(感染多重度0.1)をBCvir(100μg/mL)
の存在下もしくは不在下で感染させた。1時間吸着させた後、細胞を1.5mL
の同じ培地中でインキュベートし、120μLのサンプルを感染後3,5,7,
および9日後に採取した。ウイルスの伝播は、Vironostika HIV
−1 AntigenMicroELISAシステム(Organon Tek
nika,米国)を用いてp24−CA抗原の培地中への放出量を測定すること
によって調べた。
【0045】結果 :BCvirは無細胞系でNLS−BSAの核への輸送を阻害するので、本
発明者らはそれのウイルス感染細胞におけるHIV−1産生に及ぼす影響を調べ
た。MA NLSはHIV−1の分裂していない細胞内での複製にのみ不可欠で
あるので(Von−Schwedlerら,同上;Bukrinskyら,同上
)、BCvirの効力はアフィジコリンで細胞サイクルを停止させた細胞で調べ
た。図5Aは感染9日後にBCvir(100μg/mL)が分裂していないH
ut78細胞でのウイルス産生を非処理細胞におけるウイルス産生と比べ75%
低減させたことを示している。BCvirはアフィジコリン非処理の分裂細胞で
はウイルス産生に影響を及ぼさない(図5B)。アフィジコリンが不在の状態で
増殖させた細胞におけるウイルス産生がアフィジコリン存在下で増殖させた細胞
における産生よりも、より効率的であることに注目されたい。
【0046】 実施例9.BCvirの細胞傷害性の測定 方法 :Hut78細胞(0.5x10/mL)をBCvir0.1,1,10
および100μg/mL存在下もしくは不在下で培養した。生細胞数は細胞を撒
いてから1,2,4および7日後にトリパンブルーで染色して測定した。
【0047】結果 :BCvirは未感染の培養Hut78細胞の増殖速度に影響を及ぼさなか
った。
【0048】 実施例10.HIV−1 Vifタンパク質に由来するペプチドおよびHI
V−1タンパク質に由来するその他のNLSペプチドによるSV40−NLS−
BSAの核への取り込みの阻害 核への取り込みは特に記したもの以外はELISAをベースとするアッセイで
測定した。IC50値はペプチドと輸送基質のモル比をそれぞれ500:1と0
.005:1の間の比で用いて測定した。全てのペプチドでシステイン残基はも
との配列の一部ではなくBSAとコンジュゲートさせるために付加されたもので
ある。結果は下記の表3に示す。
【0049】
【表3】 (1)数字は天然のタンパク質中での残基の位置を示す。Vifの推定上のNL
Sに含まれる残基は太字で示す。
【0050】 (2)変異している残基は太字で示す。変異およびリバースSV40−NLSペ
プチドは阻害効果を示さなかったことに注目されたい。
【0051】 (3)これらの結果は蛍光顕微鏡観察に基づくものである。
【0052】 (+)顕微鏡視野の大多数(70−80%以上)の細胞が核への取り込みを示し
た(蛍光染料が核内に存在)。
【0053】 (−)顕微鏡視野の大多数(70−80%以上)の細胞が核への取り込みを示さ
なかった(細胞の核ではなく、細胞質に蛍光標識が認められた)。
【0054】 実施例11.HIV−1タンパク質由来のペプチドによる核への取り込みの
促進および阻害 指定したペプチド(その適当な配列については表3を参照)を標識BSA分子
とコンジュゲートさせ、その結果得られたコンジュゲートの核への輸送を上述の
ELISAベースのアッセイで評価した。核への取り込みの阻害を、上に列記し
たペプチドをSV40−NLS−BSAを輸送基質として用いる核への輸送系へ
付加することによって評価した。結果は表4に示すとおりで、Vif 88−9
8を除いては蛍光顕微鏡観察(実施例4)によって確認された。
【0055】
【表4】 実施例12.異なるコンジュゲート中での、BSA分子にコンジュゲートされ
たNLSペプチドの数の測定。 BSA分子各々とコンジュゲートしたNLSペプチドの平均数はアミノ酸分析
で測定した。結果は表5にまとめた。
【0056】
【表5】 実施例13.Tat−NLS−BSAの核への輸送の特徴の検討 Tat−NLSおよびSV40ラージT抗原のNLSの配列を担持するペプチ
ドを合成し、ビオチニル化したBSAとコンジュゲートさせた。透過性を持たせ
たcolo細胞の核内へのコンジュゲートの進入は上述の方法で評価した。BS
Aコンジュゲートを添加する前に、ATPを枯渇させ、透過性を持たせた細胞と
WGA(0.6mg/mL)およびTat−NLSペプチド(1mg/mL)と
を室温で30分間プレインキュベーションした。結果は表6に示す。
【0057】
【表6】
【0058】 実施例14.骨格環状化Tat−NLS模倣体ライブラリーのスクリーニン
SV40−NLS−BSAおよびTat−NLS−BSAを輸送基質として用
いる核への輸送をin vitro ELISA系を用いて実施した。結果は表
7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】 **in vitroアッセイ系におけるTat−NLS−BSAの核への輸
送には、Tat−NLSが非インポーチン(importin)経路において核
への取り込みを促進するので、可溶性の細胞質ゾル因子の添加を必要としない。
【0061】 実施例15.Vpr NLS模倣体 ウイルスタンパク質r(Vpr)はウイルスプレインテグレーション複合体(
PIC)の核への輸送を媒介するHIV−1の補助的タンパク質であり、2つの
領域、N末端およびC末端、を含んでおりそれらは核局在化シグナル(NLS)
として働くのではないかとされている。本発明者らは双方の領域(VprNおよ
びVprCと呼ぶ)に対応するペプチドを合成し、それをウシ血清アルブミン(
BSA)とコンジュゲートさせ、透過性を持たせた細胞中での核への輸送を媒介
する活性を調べた。VprCではなく、VprNのみが活性を有するNLSとし
て機能し、コンジュゲートの核内への輸送を促進した。コンジュゲートの核への
輸送はエネルギーおよび温度に依存性であることが見出され、コムギ胚芽アグル
チニン(WGA)によって阻害された。しかし、それには細胞質ゾル因子の添加
を必要とせず、プロトタイプのSV40ラージT抗原NLSペプチドによって阻
害されなかった。本発明者らの結果はVprが従来のものではない負電荷を帯び
たNLSを有していることを示し、従ってVprが固有の核輸送経路を用いてい
ることを示唆している。
【0062】 (結論) 本開示はBCタンパク質模倣体という新規のアプローチが、ウイルスタンパク
質内の特定の二次構造を有する活性領域の機能を有する模倣体を得るために、う
まく応用しうることを示している。このことはアミノ酸配列がHIVタンパク質
のNLSに対応した骨格環状化ペプチドが発見され、それがin vitroア
ッセイ系における核への輸送ならびに感染させた培養細胞でのHIV−1複製を
阻害することができたことによって示された。
【0063】 コンホメーションによる制限によって骨格環状化NLSペプチドは柔軟性がよ
り低くなり、おそらく直鎖状ペプチドより選択性が高くなる。さらに、骨格環状
化ペプチドはタンパク質分解に抵抗性で、そのことによって代謝に対しての安定
性を強めているはずである。代謝に対して安定となったことで骨格環状化ペプチ
ドは治療用途への応用の候補として魅力のあるものとなった。NLS領域が隣接
してないアミノ酸残基、例えば2分節NLS配列などからなる場合にはこのよう
なアプローチは明らかに不可欠である。
【0064】 治療目的でHIVの核への輸送をブロックすることは既に示唆されており、そ
の目的のための非ペプチド性の小分子の使用も行われた(Dubrovskyら
,(1995)Mol.Med.1(2),217−230)。ここに開示した
タイプのものから得た骨格環状化ペプチドはそのもともとの特性を有しかつ核へ
の輸送をブロックする活性があるので、新規のクラスの抗ウイルス剤および特に
抗HIV剤を開発するための候補となる。
【0065】 その作用機作には関わらず、巨大分子のNLS配列を模したこの新規の骨格環
状化ペプチドは、巨大分子のNLS配列を模した骨格環状化ペプチドの治療的有
効量を有効成分として含む医薬組成物、および巨大分子の細胞質から核への輸送
を阻害するその組成物の有用性を特許請求事項としている。
【0066】 本発明の方法は、HIV−1タンパク質MA、Tat、およびVprのNLS
配列を模した、もしくは塩基性残基を有するNLS様配列を含むVifの88−
98残基にまたがる配列を模した骨格環状化ペプチドを用いてここに例示されて
いる。開示されているペプチドは感染細胞内でのウイルスの複製を阻害すること
が示されている。当業者であれば下記の実施例が単に説明のためのものであって
本発明の原理の非限定的な例示であり、別記の特許請求事項に定義した本発明の
請求事項の範囲内において多数の変更および改変を行いうることを理解するであ
ろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 骨格環状化NLS模倣体ペプチドの一般構造:(a)第1ライブラリー、(b
)第2ライブラリー。
【図2】 BCvirの構造。
【図3】 BCvirは、透過性を持たせたHeLa細胞の核内へのFL−NLS−BS
Aの移動を阻害する。透過性を持たせたHela細胞をFL−NLS−BSAと
BCvirの不在下(a)もしくは存在下(b)でインキュベートした。BCv
ir:輸送基質の比を2:1(w/w)として阻害性のBCvirを添加した。
【図4】 BCvir、ペプチド19.4、およびHIV−MA NLSのトリプシン消
化に対する感受性の測定。(A)BCvir、(B)ペプチド19.4、(C)
HIV−MA NLS直鎖ペプチド。半減期(t1/2)はそれぞれ7、9、1
.3時間である。
【図5】 BCvirによるHIV−1産生の阻害:BCvirをHIV−1感染の2時
間前にヒトHut 78 細胞に添加した。(A)細胞サイクルを停止させたヒ
トHut78細胞でのBCvirによるHIV−1増殖の阻害[BCvirなし
、BCvirあり]。(B)分裂中の細胞では同じペプチドで阻害がみられない
[BCvirなし、BCvirあり]。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ロイター,アブラハム イスラエル国 97279 エルサレム,ハア ヒム レ ハラン ストリート 16 (72)発明者 ジロン,チャイム イスラエル国 96755 エルサレム,ゲル バー ス トリート 18 (72)発明者 ウォルフ,アムノン イスラエル国 46684 ヘルツリア,シェ ベット メナシェ ストリート 44 Fターム(参考) 4C084 AA06 AA07 BA01 BA17 BA27 CA59 NA14 ZB331 ZC451 4H045 AA10 AA30 BA13 BA31 EA29 FA34 FA41

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巨大分子の細胞質から細胞核への移送を阻害することのでき
    る骨格環状化ペプチド類似体であって、該巨大分子が核局在化シグナルの媒介に
    よって核に進入する種類のものである前記骨格環状化ペプチド類似体。
  2. 【請求項2】 前記ペプチドが、核局在化シグナル配列の媒介によって核に
    進入する種類の巨大分子の該核局在化シグナル配列の骨格環状化類似体である請
    求項1記載の骨格環状化ペプチド類似体。
  3. 【請求項3】 前記ペプチドがウイルスタンパク質の核局在化シグナル配列
    の骨格環状化類似体である請求項1記載の骨格環状化ペプチド。
  4. 【請求項4】 前記ペプチドがHIV−1タンパク質の核局在化シグナル配
    列の骨格環状化類似体である請求項3記載の骨格環状化ペプチド。
  5. 【請求項5】 前記ペプチドが、HIV−1タンパク質MA、Tat、およ
    びVprもしくはHIV−1タンパク質Vifの残基88−98から選択される
    核局在化シグナル配列の骨格環状化類似体である請求項4記載の骨格環状化ペプ
    チド。
  6. 【請求項6】 前記ペプチドが一般式I: 【化1】 [式I] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
    NHも存在しない;mは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
    ンである;AAおよびAA2は独立にアミノ酸残基を示し、それは同一のもので
    も異なるものでもよい。〕 を有する請求項1記載の骨格環状化ペプチド。
  7. 【請求項7】 一般式II: 【化2】 [式II] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
    NHも存在しない;mは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
    ンである。〕 を有する請求項6記載の骨格環状化ペプチド。
  8. 【請求項8】 一般式III: 【化3】 [式III] 〔この式で、Rはリジンもしくはグルタミンであり、AAはセリン、ロイシンも
    しくはメチオニンからなる群から選択される1個のアミノ酸残基であり、AA2
    はバリン、グリシンもしくはシステインからなる群から選択される1個のアミノ
    酸残基である。〕 を有する請求項6記載の骨格環状化ペプチド。
  9. 【請求項9】 Rがリジンであり、AAがロイシンであり、かつAA2がバ
    リンである請求項8記載の骨格環状化ペプチド。
  10. 【請求項10】 一般式IV: 【化4】 [式IV] 〔この式で、mおよびnはそれぞれ独立に1から10の整数である。〕 を有する請求項1記載の骨格環状化ペプチド類似体。
  11. 【請求項11】 巨大分子の細胞質から細胞核への移送を阻害することので
    きる骨格環状化ペプチドを有効成分として含む医薬組成物であって、該巨大分子
    が核局在化シグナルの媒介によって核に進入する種類のものである前記医薬組成
    物。
  12. 【請求項12】 前記ペプチドが、核局在化シグナル配列の媒介によって核
    に進入する種類の巨大分子の該核局在化シグナル配列の骨格環状化類似体である
    請求項11記載の医薬組成物。
  13. 【請求項13】 前記ペプチドがウイルスの核局在化シグナル配列の骨格環
    状化類似体である請求項11記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】 前記ペプチドがHIV−1の核局在化シグナル配列の骨格
    環状化類似体である請求項13記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】 前記ペプチドが、HIV−1タンパク質MA、Tat、お
    よびVprもしくはHIV−1タンパク質Vifの残基88−98から選択され
    る核局在化シグナル配列の骨格環状化類似体である請求項14記載の医薬組成物
  16. 【請求項16】 前記骨格環状化ペプチドが一般式I: 【化5】 [式I] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
    NHも存在しない;mは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
    ンである;AAおよびAA2は独立にアミノ酸残基を示し、それは同一のもので
    も異なるものでもよい。〕 を有する請求項15記載の医薬組成物。
  17. 【請求項17】 前記骨格環状化ペプチドが一般式II: 【化6】 [式II] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
    NHも存在しない;mは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
    ンである。〕 を有する請求項16記載の医薬組成物。
  18. 【請求項18】 前記骨格環状化ペプチドが式III: 【化7】 [式III] 〔この式で、Rはリジンもしくはグルタミンであり、AAはセリン、ロイシンも
    しくはメチオニンからなる群から選択される1個のアミノ酸残基であり、AA2
    はバリン、グリシンもしくはシステインからなる群から選択される1個のアミノ
    酸残基である。〕 を有する請求項14記載の医薬組成物。
  19. 【請求項19】 Rがリジンであり、AAがロイシンであり、かつAA2が
    バリンである請求項18記載の医薬組成物。
  20. 【請求項20】 前記骨格環状化ペプチド類似体が一般式IV: 【化8】 [式IV] 〔この式で、mおよびnはそれぞれ独立に1から10の整数である。〕 を有する請求項14記載の医薬組成物。
  21. 【請求項21】 巨大分子の細胞質から細胞核への移送を阻害する方法であ
    って、該巨大分子が核局在化シグナルの媒介によって核に進入する種類のもので
    あり、該細胞を請求項1に記載の骨格環状化ペプチド類似体の有効量と接触させ
    ることを含む前記方法。
  22. 【請求項22】 前記ペプチドが、前記巨大分子の核局在化シグナル配列の
    骨格環状化類似体である請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記ペプチドがウイルスの核局在化シグナル配列の骨格環
    状化類似体である請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記ペプチドがHIV−1の前記核局在化シグナル配列の
    骨格環状化類似体である請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 前記ペプチドが、HIV−1タンパク質MA、Tat、お
    よびVprもしくはHIV−1タンパク質Vifの残基88−98から選択され
    る核局在化シグナル配列の骨格環状化類似体である請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記骨格環状化ペプチドが一般式I: 【化9】 [式I] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
    NHも存在しない;mは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
    ンである;AAおよびAA2は独立にアミノ酸残基を示し、それは同一のもので
    も異なるものでもよい。〕 を有する請求項24記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記骨格環状化ペプチドが一般式II: 【化10】 [式II] 〔この式で、nは1から10の整数もしくは0であり、ただしnが0のときには
    NHも存在しない;Hは1から10の整数である;Rはリジンもしくはグルタミ
    ンである。〕 を有する請求項24記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記骨格環状化ペプチドが式III: 【化11】 [式III] 〔この式で、Rはリジンもしくはグルタミンであり、AAはセリン、ロイシンも
    しくはメチオニンからなる群から選択される1個のアミノ酸残基であり、AA2
    はバリン、グリシンもしくはシステインからなる群から選択される1個のアミノ
    酸残基である。〕 を有する請求項24記載の方法。
  29. 【請求項29】 Rがリジンであり、AAがロイシンであり、かつAA2が
    バリンである請求項27記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記骨格環状化ペプチドが一般式IV: 【化12】 [式IV] 〔この式で、mおよびnはそれぞれ独立に1から10の整数である。〕 を有する請求項21記載の方法。
JP2000523229A 1997-11-27 1998-11-26 骨格環状化ペプチド類似体による核への輸送の阻害 Pending JP2001525335A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
IL12234397A IL122343A0 (en) 1997-11-27 1997-11-27 Inhibition of nuclear import by backbone cyclic peptide analogs
IL122343 1997-11-27
PCT/IL1998/000577 WO1999028338A1 (en) 1997-11-27 1998-11-26 Inhibition of nuclear import by backbone cyclic peptide analogs

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001525335A true JP2001525335A (ja) 2001-12-11

Family

ID=11070903

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000523229A Pending JP2001525335A (ja) 1997-11-27 1998-11-26 骨格環状化ペプチド類似体による核への輸送の阻害

Country Status (7)

Country Link
US (1) US6664368B1 (ja)
EP (1) EP1034182A4 (ja)
JP (1) JP2001525335A (ja)
AU (1) AU754510B2 (ja)
CA (1) CA2311768A1 (ja)
IL (1) IL122343A0 (ja)
WO (1) WO1999028338A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL149279A0 (en) * 2002-04-22 2002-11-10 Yissum Res Dev Co Anti-nls substances and uses thereof in nuclear import inhibition
US20060068426A1 (en) * 2004-08-20 2006-03-30 Tam James P Cyclic peptides and antibodies thereof
IT1397569B1 (it) 2009-12-10 2013-01-16 Icgeb Peptidi e loro derivati che inibiscono il rilascio extracellulare della proteina tat di hiv-1 e la replicazione di hiv-1.

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IL99628A (en) * 1991-10-02 2004-07-25 Yissum Res Dev Co Processes for the preparation of cyclic peptides, and pharmaceutical compositions containing them
US6117974A (en) * 1991-10-02 2000-09-12 Peptor Limited Libraries of backbone-cyclized peptidomimetics

Also Published As

Publication number Publication date
EP1034182A4 (en) 2005-03-16
CA2311768A1 (en) 1999-06-10
AU1257499A (en) 1999-06-16
US6664368B1 (en) 2003-12-16
WO1999028338A1 (en) 1999-06-10
AU754510B2 (en) 2002-11-21
IL122343A0 (en) 1998-04-05
EP1034182A1 (en) 2000-09-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2279883C2 (ru) Гибридные полипептиды с усиленными фармакокинетическими свойствами
Contreras et al. Cellular uptake of cyclotide MCoTI-I follows multiple endocytic pathways
US7456251B2 (en) HIV fusion inhibitor peptides with improved biological properties
US20020077284A1 (en) Inhibitors of HIV membrane fusion
MXPA00011314A (es) Polipeptidos hibridos con propiedades farmacocineticas mejoradas..
Friedler et al. Backbone cyclic peptide, which mimics the nuclear localization signal of human immunodeficiency virus type 1 matrix protein, inhibits nuclear import and virus production in nondividing cells
CA2569807A1 (en) Oligomeric peptides and their use for the treatment of hiv infections
WO2008124013A1 (en) Novel formulations for delivery of antiviral peptide therapeutics
WO2022202816A1 (ja) ペプチド及びペプチドを含む組成物
US10632187B2 (en) Hemagglutinin-binding peptide
CN101289500A (zh) 病毒感染的长效融合肽抑制剂
JP2001525335A (ja) 骨格環状化ペプチド類似体による核への輸送の阻害
US6664040B2 (en) Compositions and methods for delivery of a molecule into a cell
Hariton-Gazal et al. Inhibition of nuclear import by backbone cyclic peptidomimetics derived from the HIV-1 MA NLS sequence
US7960504B2 (en) Inhibitors of HIV membrane fusion
Mabrouk et al. Correlation of Antiviral Activity with. beta.-Turn Types for V3 Synthetic Multibranched Peptides from HIV-1 gp120
JPH10505613A (ja) フェニルペプチドと、その製造方法と、このペプチドを含む医薬品組成物