JP2001524529A - トレオニン含有プロテグリン - Google Patents

トレオニン含有プロテグリン

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JP2001524529A JP2000522930A JP2000522930A JP2001524529A JP 2001524529 A JP2001524529 A JP 2001524529A JP 2000522930 A JP2000522930 A JP 2000522930A JP 2000522930 A JP2000522930 A JP 2000522930A JP 2001524529 A JP2001524529 A JP 2001524529A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、天然のプロテグリンペプチドに関連した抗微生物性ペプチド、ならびに感染症およびそれに関連した疾病の治療または予防を含めた様々の状況において該ペプチドを使用する方法に関する。本発明のペプチドは、天然PG-1およびメリチンと比較して、ヒト赤血球に対する溶血活性が低下している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 1.発明の分野 本発明は抗微生物性ペプチドの分野に関する。特に、本発明は、広域抗微生物
活性を有する「プロテグリン」(protegrin)と称する短鎖ペプチドに関する。
【0002】 2.発明の背景 抗生物質に耐性を示す病原菌と感染症の最近の劇的な増加により、新たな抗微
生物剤の必要性が急がれている(Cohenら, 1992, Science 257:1050-1055)。例え
ば、最近になって、バンコマイシンに耐性を示す腸球菌(Enterococcus faecium)
の株が観察されている(Moellering, 1990, Clin. Microbiol. Rev. 3:46-65)。 バンコマイシンは数種の病原菌に対して最後の頼みの綱となる抗生物質であると
考えられているので、バンコマイシン耐性菌は社会にとって重大な健康上の脅威
となる。この切迫した必要性にもかかわらず、10年以上の年月で、たった1つの
全く異なるタイプの抗生物質であるシナーシド(Synercid)(Rhone-Poulenc Rorer
, Collegeville, PA) と呼ばれるストレプトグラミン混合物がフェーズIIIの臨 床試験に到達したにすぎない(Pfeiffer, 1996, "New Anti-Microbial Therapies
Described", Genetic Engineering News 16(8):1)。
【0003】 近年、植物、動物、昆虫により産生される天然の抗微生物性ペプチドに基づい
た新しいクラスの抗微生物剤または抗生物質が発見されている。こうしたペプチ
ドとして、とりわけ、セクロピン(cecropin)(Hultmarkら, 1980, Eur. J. Bioch
em. 106:7-16; Hultmarkら, 1982, Eur. J. Biochem. 127:207-217)、アピダエ シン(apidaecin)(Casteelsら, 1989, EMBO J. 8:2387-2391)、マガイニン(magai
nin)(Zasloff, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:5449-5453; Zasloff,
1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:910-913)、タキプレシン(tachyples
in)およびタキプレシンの類似体、例えば、ポリフェムシン(polyphemusin)(Naka
muraら, 1988, J. Biol. Chem. 263:16709-16713; Miyataら, 1989, J. Biochem
. 106:663-668)、デフェンシン(Lehrerら, 1991, Cell 64:229-230; Lehrerら,
1993, Ann. REv. Immunol. 11:105-128; 米国特許第4,705,777号、同第4,659,69
2号、同第4,543,252号)、β-デフェンシン(Selstedら, 1993, J. Biol. Chem. 2
88:6641-6648; Diamondら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88:3952-395
8)、昆虫デフェンシン(Lambertら, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88:2
62-265; Matsuyama & Natori, 1988, J. Biol. Chem. 263:17112-17116)、およ びプロテグリン(Kokryakovら, 1993, FEBS 337:231-236; Zhaoら, 1994, FEBS L
etters 346:285-288; Migorodskayaら, 1993, FEBS 330:339-342; Storiciら, 1
993, Biochem. Biophys. Res. Commun. 196:1363-1367; Zhaoら, 1994, FEBS Le
tt. 346:285-288; Manzoniら, 1996, FEBS Lett. 383:93-98; 米国特許第5,464,
823号)がある。これらの新しいクラスの抗微生物性ペプチドの発見は、一部のも
のが医学的に重要な微生物に使用可能な薬剤へと発展するかもしれないという希
望を与える。動物由来のものは特に重要である。なぜなら、これらの抗微生物性
ペプチドは一般に、抗生物質耐性の細菌株に対して活性を示し、しかも従来の抗
生物質と比べて耐性頻度が低いからである(StaphylococciとStaphylococcusに関
する国際シンポジウム(Aix les Bains, フランス)で提示された、Steinbergら,
1996, "Protegrins: Fast Acting Bactericidal Peptides")。少なくともサイト
レックス(CytolexTM)(Magainin Pharmaceuticals, Inc.)と呼ばれるこれらのペ プチドの1つは、糖尿病性足潰瘍と関連した感染症についてフェーズIIIの臨床 試験中である(Craig, Aug. 17, 1995, BioWorld Today 6(158):1)。
【0004】 特に興味のもてるクラスの抗微生物性ペプチドは、ブタの白血球から単離され
た、「プロテグリン」(protegrin)と呼ばれるものである。5種類の、それぞれP
G-1、PG-2、PG-3、PG-4およびPG-5と名付けられた天然のプロテグリンに加えて 、数種類の活性同族体が記載されている(例えば、米国特許第5,464,823号、WO
95/03325、WO 96/37508を参照のこと)。一般には両親媒性であるプロテグリン ペプチドは、ウイルス、レトロウイルス、細菌、真菌、酵母、原生動物を含めて
、広範な微生物に対して抗微生物活性を示す。さらに、それらは内毒素、すなわ
ち、グラム陰性敗血症の原因であると考えられるグラム陰性菌由来のリポ多糖(L
PS)と結合する。それゆえ、これらのペプチドは植物と動物の両方において抗細 菌剤、抗真菌剤および抗ウイルス剤として有用である。プロテグリンペプチドに
関する文献をレビューするには、Kokryakovら, 1993, FEBS Lett. 337:231-236;
Zhaoら, 1994, FEBS Lett. 346:285-288; Mirgorodskayaら, 1993, FEBS Lett.
330:339-342; Storiciら, 1993, Biochem Biophys Res Comm 196:1363-1367; H
arwigら, 1995, J Peptide Sci 3:207; Zhaoら, 1995, FEBS Lett 376:130-134;
Zhaoら, 1995, FEBS Lett 368:197-202; Miyakawaら, 1996, Infect Immun 64:
926-932; Yasinら, 1996, Infect Immun 64:709-713; Quら, 1996, Infect Immu
n 64:1240-1245; Aumelasら, 1996, Eur. J. Biochem 237:575-583; Mangoniら,
1996, FEBS Lett 383:93-98; StaphylococciおよびStaphylococcus感染症に関 する第8回国際シンポジウム(Aix les Bains, フランス, 6月23-26日, 1996年)で
提示された、Steinbergら, 1996, "Protegrins: Fast Acting Bacterial Peptid
es"; 抗微生物剤および化学療法に関する第36回インターサイエンス会議(New Or
leans, LA, 9月15-18日, 1996年)で提示された、Steinbergら, 1996, "Broad Sp
ectrum Antimicrobial Activity of Protegrin Peptides"; 抗微生物剤および化
学療法に関する第36回インターサイエンス会議(New Orleans, LA, 9月15-18日,
1996年)で提示された、Kungら, 1996, "Protegrin Protects Mice From Systemi
c Infection By Antibiotic- Resistant Pathogens"; および抗微生物剤および 化学療法に関する第36回インターサイエンス会議(New Orleans, LA, 9月15-18日
, 1996年)で提示された、Steinbergら, 1996, "In Vitro Efficacy of Protegri
ns Against Helicobacter Pylori"を参照されたい。
【0005】 使用に際して、プロテグリンペプチドは従来の抗生物質や他の抗微生物性ペプ
チドと比べて多数の利点を提供する。例えば、デフェンシンペプチドと違って、
プロテグリンペプチドは生理食塩水の存在下を含めて生理的条件下でそれらの広
域活性を生じる。また、サイズが小さいため、それらは免疫原性を示さない形態
で調製することができ、投与可能な生物種の数が広がる。さらに、プロテグリン
ペプチドは動物にもともと見出される抗微生物性ペプチドに関係しているので、
伝統的な抗生物質において観察される高い耐性頻度を示さない。したがって、プ
ロテグリンペプチドは抗生物質耐性病原体に起因する感染症の治療または予防に
特に有用である。
【0006】 本発明は、天然のプロテグリンと比較して血清適合性が向上し、それゆえに全
身性抗生物質としての有用性が増し、また、ヒト赤血球に対する溶血活性が減少
し、同時に低い耐性頻度で広域活性を与える、そのような新しいセットのプロテ
グリンペプチドに関するものである。
【0007】 3.発明の概要 一つの態様において、本発明は、天然のプロテグリンよりも血清適合性(serum
compatibility)が向上し、かつヒト赤血球に対する溶血活性が減少しているプ ロテグリンペプチドに関する。本発明のプロテグリンは、一般に約10〜30個のア
ミノ酸残基から成り、2つの主要なエレメントをもつ「コア」構造、すなわち、
逆平行βシートを形成する2本の鎖によって囲まれている逆ターンにより特徴づ
けられる。この分子のβシート領域は両親媒性で、一方の表面はその性質が正味
の疎水性(net hydrophobic)であり、他方の表面は正味の親水性である。これら のペプチドは逆ターン領域に少なくとも1個の塩基性アミノ酸残基を含み、生理
的pHにおいて少なくとも+1の実効電荷を有する。前記ペプチドはさらに、コア構
造内のいくつかの不変位置にトレオニンやセリンなどのヒドロキシル側鎖含有ア
ミノ酸をもつ点に特徴がある。場合により、該プロテグリンペプチドはN末端で
アシル化されていてもよいし、C末端でアミド化またはエステル化されていても
よい。また、ジスルフィド橋はなくてもよいし、1または2個のジスルフィド橋
が存在してもよい。
【0008】 一つの実施形態において、本発明は、下記のアミノ酸配列を含み、約10〜30個
のアミノ酸残基から成るプロテグリンペプチド、またはその薬学的に許容される
塩、またはそのN末端アシル化形態、またはそのC末端アミド化もしくはエステ
ル化形態を提供する。 (I) X1-X2-X3-X4-X5-C6-X7-C8-X9-X10-X11-X12-C13-X14-C15-X16-X17-X18 〔式中、 C8およびC13は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、存在する場 合は、それぞれが独立してシステイン様、塩基性、小型、極性または疎水性のア
ミノ酸であり、 C6およびC15は、それぞれが独立してシステイン様、塩基性、小型、極性また は疎水性のアミノ酸であり、 X1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、
存在する場合は、それぞれが独立して塩基性、疎水性、極性または小型のアミノ
酸であり、 X7およびX14は、それぞれが独立して疎水性または小型のアミノ酸であり、 X9およびX12は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、 X9〜X12は、式(I)のアミノ酸配列中に含まれるとき、一緒になって逆ターンを
形成することができ、X9〜X12の少なくとも1個は塩基性アミノ酸でなければな らず、 X16、X17およびX18は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、存在 する場合は、それぞれが独立して塩基性、疎水性、極性または小型のアミノ酸で
あり、そして 前記抗微生物性ペプチドを構成するアミノ酸の約15%以上で約50%までは、該
抗微生物性ペプチドが生理的pHで少なくとも+1の実効電荷をもつように、塩基性
のアミノ酸である、 ただし、X2、X3、X5、X7、X14またはX16の少なくとも1個は小型のアミノ酸で
なければならず、好ましくはヒドロキシル含有アミノ酸である。〕
【0009】 本発明のペプチドは、広域抗微生物活性を示し、グラム陽性菌、グラム陰性菌
、酵母、真菌、原生動物を含めた広範な微生物標的に対して生物致死性である。
したがって、前記ペプチドは多種多様な用途において抗微生物剤として使用する
ことができる。例えば、前記ペプチドは医療器具、食品、化粧品、コンタクトレ
ンズ溶液、医薬品、その他の栄養含有物質を含めて種々の材料・物質の防腐また
は消毒に使用しうる。前記ペプチドはまた、植物と動物の両方における微生物感
染症またはそれに関連する疾病の予防または治療にも有用である。
【0010】 別の態様において、本発明は、本発明のペプチドの生産に有用な組換え物質、
ならびにこれらのペプチドを生産するための発現系を含むように改変された植物
または動物に関する。
【0011】 他の態様において、本発明は、活性成分として本発明のペプチドを含有する医
薬組成物または植物に適用するための組成物、または該ペプチド生産用の、もし
くは該ペプチドをコードするヌクレオチド配列のin situ発現用の発現系を含む 組成物に関する。
【0012】 さらに別の態様において、本発明は、前記ペプチドまたはその組成物を用いて
微生物の生育を阻害する方法に関する。この方法は一般に、微生物に、微生物の
生育を阻害するのに有効な量の1種以上の本発明のプロテグリンペプチドまたは
組成物を接触させることを含んでなる。好ましい実施形態において、微生物は細
菌である。
【0013】 最後の態様において、本発明は、前記ペプチドまたはその組成物を用いて植物
と動物(ヒトを含む)の双方の微生物感染症またはそれに関連した疾病を予防ま
たは治療する方法に関する。この方法は一般に、植物または動物に、特定の症状
を治療または予防するのに有効な量の1種以上の本発明のペプチドまたは組成物
を投与することを含んでなる。本発明のプロテグリンペプチドを用いて治療また
は予防できる疾病または感染症として、結膜炎や角膜炎などの眼の感染症、角膜
の潰瘍、H. pyloriと関連した胃潰瘍、性的感染症(STD)、グラム陰性敗血症が挙
げられる。本発明のプロテグリンペプチドで治療または予防が可能な、臨床的に
関係のある感染症には、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Ent
erococcus faecium)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) およびペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)など、多剤耐性
病原菌によって引き起こされる全身感染症が含まれる。
【0014】 4.図面の簡単な説明 (図面の説明については下記参照)
【0015】 5.発明の詳細な説明 5.1 定義 本明細書中で用いる以下の用語は次の意味を有する。 「二次構造」: ここで用いる「二次構造」とは、αヘリックスなどのヘリッ
クス、β鎖などの伸長鎖、βシートなどの伸長鎖のシートを含むがこれらに限ら
ないポリペプチド鎖のセグメントの規則的な局部構造をさす。
【0016】 「逆平行βシート」: ここで用いる「逆平行βシート」とは、逆平行ペプチ
ド鎖間の分子間主鎖−主鎖水素結合により特徴づけられるポリペプチド鎖の二次
構造をさす。逆平行βシートは1または2個の鎖間ジスルフィド結合を含んでい
てもよい。
【0017】 「両親媒性逆平行βシート」: ここで用いる「両親媒性逆平行βシート」と
は、一方の表面が正味の疎水性の性質を有し、他方の表面が正味の親水性の性質
を有する逆平行βシートをさす。
【0018】 「逆ターン」: ここで用いる「逆ターン」とは、逆平行βシートの隣接鎖を
リンクしている特徴的な二次構造をいう。典型的には、「逆ターン」は、1本の
ポリペプチド鎖に逆平行βシートの配置をとらせるように、ポリペプチド鎖の方
向を逆転させる2〜4個のアミノ酸残基からなるペプチドである。このようなペ
プチドセグメントは当分野で公知であり、例えば、限定するものではないが、3
個のアミノ酸残基からなるγターン(Roseら, 1985, Adv. Protein Chem. 37:1-1
09; Wilmer-Whiteら, 1987, Trends Biochem. Sci. 12:189-192; Wilmotら, 198
8, J. Mol. Biol. 203:221-232; Sibandaら, 1989, J. Mol. Biol. 206:759-777
; Tramontanoら, 1989, Proteins: Struct. Funct. Genet. 6:382-394)および以
下で説明するような4個のアミノ酸残基からなるβターンがある。
【0019】 「βターン」: ここで用いる「βターン」とは、逆ターンの認められたサブ
クラスをさす。典型的には、「βターン」は、1本のポリペプチド鎖に逆平行β
シートの二次構造をとらせるように、ポリペプチド鎖の方向を逆転させる4個の
アミノ酸残基からなるペプチドセグメントである。一般的に、βターンの2個の
内部アミノ酸残基はβシートの水素結合に関与しない。内部残基の両側の2個の
アミノ酸残基がβシートの水素結合に含まれる。「βターン」という用語は、当
分野で通常知られているペプチドβターンのあらゆる型を含み、限定するもので
はないが、I型、II型、III型、I'型、II'型およびIII'型のβターンが含まれる (Rose ら, 1985, Adv. Protein Chem. 37:1-109; Wilmer-Whiteら, 1987, Tren
ds Biochem. Sci. 12:189-192; Wilmotら, 1988, J. Mol. Biol. 203:221-232;
Sibandaら, 1989, J. Mol. Biol. 206:759-777; Tramontanoら, 1989, Proteins
: Struct. Funct. Genet. 6:382-394を参照のこと)。
【0020】 「抗微生物的に有効な量」: ここで用いる「抗微生物的に有効な量」とは、
標的微生物に対して生物静止的または生物致死的なペプチド(またはその組成物
)量をさす。より特定すると、ペプチドの抗微生物的に有効な量は、標的微生物
の生育を阻害するかまたは標的微生物に対して致死的なペプチドの量である。
【0021】 「治療に有効な量」: ここで用いる「治療に有効な量」とは、植物と動物(
ヒトを含む)の両方において微生物感染症またはそれに関連した疾病を軽減、治
療もしくは予防するのに有効な、またはそれらの症状を軽減するのに有効なペプ
チド(またはその組成物)量をさす。
【0022】 「薬学的に許容される塩」: ここで用いる「薬学的に許容される塩」とは、
遊離塩基の抗微生物活性を実質的に保持している、無機酸または有機酸との反応
により得られる塩をさす。
【0023】 5.2 好ましい実施形態の説明 本発明は、抗微生物性プロテグリンペプチド、該ペプチドを含む組成物、該ペ
プチド(またはその組成物)を使用して多種多様な微生物標的を死滅させるかま
たはその生育を阻害する方法、ならびに該ペプチド(またはその組成物)を使用
して植物と動物の両方の微生物感染症およびそれに関連した疾病を治療または予
防する方法を提供する。
【0024】 米国特許第5,464,823号、WO 95/03325、WO 95/37508、WO 97/18826およびWO 9
7/18827(それぞれを参照によりその全体を本明細書中に組み入れる)に記載さ れるプロテグリンペプチドと同様に、本発明のプロテグリンペプチドは広域抗微
生物活性を示し、限定するものではないが、以下のような広範な微生物に対して
生物静止的または生物致死的に作用する。すなわち、グラム陽性菌、例えば、L.
monocytogenes、B. subtilis、E. faecalis(バンコマイシン感受性株(VSEF)お よびバンコマイシン耐性株(VREF)を含む)、E. faecium(バンコマイシン感受性株
(VSEF)およびバンコマイシン耐性株(VREF)を含む)、S. aureus(メチシリン感受 性株(MSSA)およびメチシリン耐性株(MRSA)を含む)、S. epidermis メチシリン感
受性株(MSSE)およびメチシリン耐性株(MRSE)を含む)、S. salivarius、C. minut
issium、C. pseudodiptheriae、C. stratium、コリネバクテリウム(Corynebacte
rium)グループG1、コリネバクテリウムグループG2、S. pneumoniae(ペニシリン 耐性株(PSRP)を含む)、S. mitisおよびS. sanguis; グラム陰性菌、例えば、A.
calcoaceticus、E. coli、K. pneumoniae、P. aeruginosa(「Psa」)、S. marces
cens、H. influenza、Moraxella sp.、N. meningitidis、S. typhimurium、H. p
ylori、H. felisおよびC. jejuni; ならびに原生動物、酵母、ウイルスおよびレ
トロウイルスのいくつかの株である。重要なことは、本明細書中に記載するペプ
チドが多剤耐性を示す臨床的に関係のある病原菌、中でも、バンコマイシン耐性
Enterococcus faeciumまたはfaecalis(「VRE」)、ペニシリン耐性Streptococcus
pneumoniae(「PRSP」)およびメチシリン耐性Staphylococcus aureus(「MRSA」)
に対して生物静止的または生物致死的であることである。
【0025】 こうした活性に基づいて、本発明のペプチド(またはその組成物)は様々な用
途において生物静止剤または生物致死剤として有用である。例えば、前記ペプチ
ドは、医療器具、食品、医薬品、コンタクトレンズ溶液、化粧品、その他の栄養
含有物質を含めて種々の材料・物質の消毒または防腐に使用することができる。
特に、本発明のペプチドは様々な臨床現場においてVRE、MRSA、MSSEなどの多剤 耐性病原菌に対する静菌剤または殺菌剤として有用である。
【0026】 本発明のペプチドまたはその組成物は、植物と動物(ヒトを含む)の双方の微
生物感染症およびそれに関連した疾病を予防または治療するにも有用である。こ
のような疾病としては、グラム陰性菌およびグラム陽性菌感染症、心内膜炎、肺
炎および他の呼吸器感染症、尿路感染症、全身カンジダ症、口内炎などがあるが
、これらに限らない。
【0027】 数種のプロテグリンペプチド、特に天然プロテグリンPG-1(RGGRLCYCRRRFCVCV
GR-NH2; 配列番号1)はヒト赤血球に対して溶血性であることが認められている
。その結果、いくつかのプロテグリンペプチドは有意な溶血を起こす濃度での全
身投与には適していない。
【0028】 まったく驚いたことに、今回、プロテグリンペプチドのコア構造内のアミノ酸
残基、すなわち2、3、5、7、14および/または16位のアミノ酸の1個以上を
、小型のアミノ酸、特にセリンやトレオニンのようなヒドロキシル側鎖をもつア
ミノ酸で置換すると、ヒト赤血球に対する溶血活性が天然プロテグリンPG-1より
も著しく低下することが見出された。さらにまた、これらの類似体の少なくとも
1個の塩基性アルギニンを、アルギニン以外の塩基性残基、特にオルニチン、リ
シン、2,3-ジアミノ酪酸、2,4-ジアミノ酪酸またはこれらの混合物でさらに置換
すると、プロテグリンペプチドの溶解性および/または血清適合性が増大するこ
とが見出された。こうした知見の結果、本発明のプロテグリンは溶解性の向上お
よび/または静脈内投与を必要とする用途に理想的に適合している。
【0029】 5.2.1 ペプチド 本発明のプロテグリンペプチドは一般に約10〜30個のアミノ酸残基から成り、
次のアミノ酸配列: (I) X1-X2-X3-X4-X5-C6-X7-C8-X9-X10-X11-X12-C13-X14-C15-X16-X17-X18 を有する「コア」構造およびその定義された改変体を含む。これらのペプチド(
偶然に天然に存在する可能性がある)は精製および/または単離された形態で存
在する必要があり、あるいは合成または組換えにより製造されたものでなければ
ならない。
【0030】 それぞれの場合の記号Xnは前記ペプチドの特定の位置にあるアミノ酸を表す。
同様に、記号Cnは特定の位置にあるアミノ酸を表し、さらに式(I)のアミノ酸配 列中の、ジスルフィド結合を形成できるアミノ酸残基を含んでいてもよい位置を
表す。
【0031】 XnまたはCnで表されるアミノ酸残基は、遺伝的にコードされるL-アミノ酸、天
然に存在するが遺伝的にコードされないL-アミノ酸、合成のL-アミノ酸、または
上記の全アミノ酸のD-鏡像異性体でありうる。20種類の遺伝的にコードされるL-
アミノ酸およびコードされない一般的なアミノ酸についての本明細書中で用いる
アミノ酸表記は慣例的なものであって、次のとおりである。
【0032】
【表1】 表1 一般的なアミノ酸の略号 アミノ酸 一文字表記 三文字表記 アラニン A Ala アルギニン R Arg アスパラギン N Asn アスパラギン酸 D Asp システイン C Cys グルタミン Q Gln グルタミン酸 E Glu グリシン G Gly ヒスチジン H His イソロイシン I Ile ロイシン L Leu リシン K Lys メチオニン M Met フェニルアラニン F Phe プロリン P Pro セリン S Ser トレオニン T Thr トリプトファン W Trp チロシン Y Tyr バリン V Val オルニチン O Orn β-アラニン bAla 2,3-ジアミノプロピオン酸 Dpr α-アミノイソ酪酸 Aib N-メチルグリシン(サルコシン) MeGly シトルリン Cit t-ブチルアラニン t-BuA t-ブチルグリシン t-BuG N-メチルイソロイシン MeIle フェニルグリシン Phg シクロヘキシルアラニン Cha ノルロイシン Nle 1-ナフチルアラニン 1-Nal 2-ナフチルアラニン 2-Nal 4-クロロフェニルアラニン Phe(4-Cl) 2-フルオロフェニルアラニン Phe(2-F) 3-フルオロフェニルアラニン Phe(3-F) 4-フルオロフェニルアラニン Phe(4-F) ペニシラミン Pen 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン- Tic 3-カルボン酸 β-2-チエニルアラニン Thi メチオニンスルホキシド MSO ホモアルギニン Har N-アセチルリシン AcLys 2,3-ジアミノ酪酸 Dab 2,4-ジアミノ酪酸 Dbu p-アミノフェニルアラニン Phe(pNH2) N-メチルバリン MeVal ホモシステイン hCys ホモセリン hSer ε-アミノヘキサン酸 Aha δ-アミノ吉草酸 Ava ヒドロキシプロリン Hyp パラベンジルフェニルアラニン Pba ホモフェニルアラニン hPheN-メチルフェニルアラニン MePhe
【0033】 本明細書中に記載されるプロテグリンペプチドは指定されたクラスのアミノ酸
残基によって部分的に規定される。一般的にアミノ酸は、主にアミノ酸側鎖の特
性に応じて3つの主要なクラス、すなわち、親水性アミノ酸、疎水性アミノ酸、
小型のアミノ酸、に大別される。これらの主要なクラスはさらにサブクラスに分
割される。親水性アミノ酸には酸性、塩基性または極性側鎖をもつアミノ酸が含
まれ、疎水性アミノ酸には芳香族または無極性側鎖をもつアミノ酸が含まれる。
以下で詳述するように、小型のアミノ酸のクラスには極性側鎖または無極性側鎖
のいずれかをもつアミノ酸が含まれるが、この場合該側鎖はペプチドの正味の性
質にそれほど影響を及ぼしていない。本明細書中で用いるアミノ酸のクラスは次
のように定義される。
【0034】 「疎水性アミノ酸」とは、疎水性アミノ酸を含むペプチドが水性媒体中に存在
するとき、該ペプチドのコンホメーションの内側の位置を捜し求めるように水溶
液をはじいてしまう、生理的pHで荷電していない側鎖を有するアミノ酸のことで
ある。
【0035】 「芳香族アミノ酸」とは、共役π電子系(芳香族基)をもつ環を少なくとも1
個含む側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう。遺伝的にコードされる芳香族アミノ
酸としては、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンがある。遺伝的
にコードされない芳香族アミノ酸には、フェニルグリシン、2-ナフチルアラニン
、β-2-チエニルアラニン、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸、
4-クロロフェニルアラニン、2-フルオロフェニルアラニン、3-フルオロフェニル
アラニンおよび4-フルオロフェニルアラニンが含まれる。
【0036】 「無極性アミノ酸」とは、生理的pHで荷電していない側鎖を有する疎水性アミ
ノ酸をいう。遺伝的にコードされる無極性アミノ酸には、ロイシン、バリン、イ
ソロイシンおよびメチオニンがある。遺伝的にコードされない無極性アミノ酸に
は、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン、ノルロイシ
ン、N-メチルバリンおよびシクロヘキシルアラニンが含まれる。
【0037】 「親水性アミノ酸」とは、親水性アミノ酸を含むペプチドが生理的pHの水性媒
体中に存在するとき、該ペプチドのコンホメーションの表面の位置を捜し求める
ように水溶液によって求引される側鎖を有するアミノ酸のことである。
【0038】 「酸性アミノ酸」とは、側鎖pK値が7未満の親水性アミノ酸をいう。酸性アミ
ノ酸は典型的には、水素イオンを失うため生理的pHで負に荷電した側鎖を有する
。遺伝的にコードされる酸性アミノ酸には、アスパラギン酸(アスパルテート)
とグルタミン酸(グルタメート)がある。
【0039】 「塩基性アミノ酸」とは、側鎖pK値が7より大きい親水性アミノ酸をいう。塩
基性アミノ酸は典型的には、ヒドロニウムイオンとの会合のため生理的pHで正に
荷電した側鎖を有する。遺伝的にコードされる塩基性アミノ酸としては、非環状
アミノ酸のアルギニンとリシン、環状アミノ酸のヒスチジンがある。遺伝的にコ
ードされない塩基性アミノ酸には、非環状アミノ酸のオルニチン、2,3-ジアミノ
プロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸およびホモアルギニンが含まれる。
【0040】 「極性アミノ酸」とは、極性アミノ酸を含むペプチドが水性媒体中に存在する
とき、該ペプチドのコンホメーションの内側の位置を求めるほど十分に水溶液に
より反発されないが、生理的pHで荷電していない側鎖を有する親水性アミノ酸の
ことをいう。遺伝的にコードされる極性アミノ酸としては、アスパラギンとグル
タミンがある。遺伝的にコードされない極性アミノ酸には、シトルリン、N-アセ
チルリシンおよびメチオニンスルホキシドが含まれる。
【0041】 「小型のアミノ酸」とは、ペプチドに有意な疎水性または親水性を付与するに
足る大きさでない側鎖を有するアミノ酸をいう。小型のアミノ酸は、側鎖が少な
くとも1個の極性基を含む場合は4個以下の炭素をもつ側鎖を有するものであり
、側鎖が極性基を含まない場合は3個以下の炭素をもつ側鎖を有するものである
。遺伝的にコードされる小型のアミノ酸としては、グリシン、セリン、アラニン
およびトレオニンがある。遺伝子によりコードされる第2級イミノ酸プロリンも
小型のアミノ酸に指定されるが、ペプチドの二次コンホメーションに影響を与え
ることが知られている。遺伝的にコードされない小型のアミノ酸には、β-アラ ニン、N-メチルグリシン(サルコシン)およびα-アミノイソ酪酸が含まれる。
【0042】 「システイン様アミノ酸」とは、ジスルフィド結合に関与しうる側鎖を有する
アミノ酸のことである。したがって、システイン様アミノ酸は一般的に少なくと
も1個のチオール(SH)基を含む側鎖を有している。遺伝的にコードされるシステ
イン様アミノ酸にはシステインがある。遺伝的にコードされないシステイン様ア
ミノ酸には、ホモシステインとペニシラミンが含まれる。
【0043】 当業者には理解されるように、極性、無極性または小型として分類するのに必
要な求引または反発の程度はやや任意的である。例えば、セリンとトレオニンは
両方とも極性ヒドロキシル基を含むが、これらの残基は小型のアミノ酸として分
類される。というのは、それらの側鎖が本発明のペプチドに有意な全体的親水性
を付与しないからである。ここに特に名を挙げていないアミノ酸は、詳細に同定
されたアミノ酸と比べたときの既知の挙動に基づいて、上で定義したカテゴリー
に容易に分類できるだろう。
【0044】 本発明のペプチドを構成しうる、遺伝的にコードされない、通常見られるアミ
ノ酸としては、限定するものではないが、以下のものが含まれる。すなわち、β
-アラニン(b-Ala)と他のω-アミノ酸、例えば、3-アミノプロピオン酸、2,3-ジ アミノプロピオン酸(Dpr)、4-アミノ酪酸など;α-アミノイソ酪酸(Aib);ε-ア
ミノヘキサン酸(Aha);δ-アミノ吉草酸(Ava);N-メチルグリシンまたはサルコ シン(MeGly);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t-ブチルアラニン(t-BuA);
t-ブチルグリシン(t-BuG);N-メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(P
hg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);1-ナフチルアラニン(
1-Nal);2-ナフチルアラニン(2-Nal);4-クロロフェニルアラニン(Phe(4-Cl));
2-フルオロフェニルアラニン(Phe(2-F));3-フルオロフェニルアラニン(Phe(3-F
));4-フルオロフェニルアラニン(Phe(4-F));ペニシラミン(Pen);1,2,3,4-テ トラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic);β-2-チエニルアラニン(Thi);メ
チオニンスルホキシド(MSO);ホモアルギニン(Har);N-アセチルリシン(AcLys) ;2,3-ジアミノ酪酸(Dab);2,4-ジアミノ酪酸(Dbu);p-アミノフェニルアラニン
(Phe(pNH2));N-メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ヒドロキシプ ロリン(Hyp);p-ベンジルフェニルアラニン(Pba);ホモフェニルアラニン(hPhe)
;N-メチルフェニルアラニン(MePhe)およびホモセリン(hSer)である。これらの アミノ酸も上で定義したカテゴリーに都合よく分類することができる。
【0045】 本発明と共に使用できるその他のアミノ酸は当技術分野で公知であり、例えば
、Fasman, 1989, Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology
, CRC Press, Boca Raton, FL, pp.3-76およびそこに引用されている文献中に見
出せる。
【0046】 上述した遺伝的にコードされるおよびコードされないアミノ酸の分類を以下の
表2にまとめておく。表2は単なる例示目的であって、ここに記載する環状ペプ
チドを構成しうるアミノ酸残基の網羅的なリストを表すものではないことを理解
すべきである。
【0047】
【表2】 表2 一般的なアミノ酸の分類 分類 遺伝的にコード化 遺伝的に非コード化 疎水性 芳香族 F, Y, W Phg, 1-Nal, 2-Nal, Thi, Tic, Phe(4-Cl), Phe(2-F), Phe(3- F), Phe(4-F) 非極性 L, V, I, M t-BuA, t-Bug, MeIle, Nle, MeVal, Cha 親水性 酸性 D, E 塩基性 H, K, R Dpr, Orn, Har, Phe(p-NH2), Dab, Dbu 極性 Q, N Cit, AcLys, MSO 小型 S, T, G, A, P bAla, MeGly, Aib, hSerシステイン様 C Pen, hCys
【0048】 式Iのペプチドにおいて、アミノ酸残基Xnおよび/またはCn間の記号「−」は
一般的に主鎖内部結合を示す。すなわち、記号「−」は通常アミド結合(-C(O)-N
H-)を表す。しかしながら、本発明の全てのペプチドにおいて、1個以上のアミ ド結合をアミド以外の結合で任意に置き換えてもよいことを理解すべきである。
こうした結合として、アミドのアイソスター、置換アミド(-C(O)NR-、ここでR はC1-C6アルキルまたはC5-C20アリール)、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2CH2-、-CH=CH
-(シスおよびトランス)、-C(O)CH2-、-CH(OH)CH2-および-CH2SO-が挙げられる
が、これらに限らない。したがって、本明細書中で用いる「ペプチド」とは、ペ
プチド主鎖をもつ化合物だけでなく、1個以上のアミド結合が上記の結合で置換
されている化合物をもさしている。
【0049】 そのような結合をもつペプチドおよび該ペプチドの製造方法は当技術分野で公
知である(例えば、Spatola, 1983, Vega Data 1(3) (一般的なレビュー); Spat
ola, 1983, "Peptide Backbone Modifications" In: Chemistry and Biochemist
ry of Amino Acids Peptides and Proteins (Weinstein編), Marcel Dekker, Ne
w York, p.267 (一般的なレビュー); Morley, 1980, Trends Pharm. Sci. 1:463
-468; Hudsonら, 1979, Int. J. Prot. Res. 14:177-185 (-CH2NH-, -CH2CH2-);
Spatolaら, 1986, Life Sci. 38:1243-1249 (-CH2-S-); Hann, 1982, J. Chem.
Soc. Perkin Trans. I. 1:307-314 (-CH=CH-, シスおよびトランス); Almquist
ら, 1980, J. Med. Chem. 23:1392-1398 (-COCH2-); Jennings-Whiteら, Tetrah
edron. Lett. 23:2533 (-COCH2-); 欧州特許出願EP 45665 (1982) CA:97:39405
(-CH(OH)CH2-); Holladayら, 1983, Tetrahedron. Lett. 24:4401-4404 (-C(OH)
CH2-); およびHruby, 1982, Life Sci. 31:189-199 (-CH2-S-) を参照のこと) 。
【0050】 一般的に、本発明のペプチドは約10〜30個のアミノ酸残基から構成される。か
くして、式(I)は「コア」ペプチド構造を含む18個の特定したアミノ酸位置を示 しているが、本発明のペプチドは、該ペプチドの抗微生物特性または他の有用な
特性に悪影響を及ぼすことなく、ある場合にはこのような特性を増強さえして、
18個より少ないまたは多いアミノ酸残基を含みうることを理解すべきである。18
個より少ないアミノ酸残基を含むペプチドでは、以下で詳しく述べるように、い
くつかの特定したアミノ酸がペプチド配列中に存在しない。18個より多いアミノ
酸残基を含むペプチドの場合は、式(I)として示されるアミノ酸配列がそのNお よび/またはC末端に追加のアミノ酸残基またはペプチド配列の延長部を含むこ
とができる。そのような追加のアミノ酸残基またはペプチド配列は、それらが天
然のプロテグリンと比較して該ペプチドの抗微生物活性に有意な悪影響を及ぼさ
ないという点で非干渉性であることを理解すべきである。
【0051】 本発明のペプチドは主たる2つのエレメントまたはモチーフを有する「コア」 構造によって特徴づけられる。すなわち、逆ターン領域が逆平行βシートを形成
している2つの鎖によって囲まれている。何らかの理論に結びつけることは意図 していないが、式(I)の化合物の抗微生物活性は部分的にはそのようなコア構造 に関連していると考えられる。
【0052】 ペプチドのβシート領域はN-鎖(残基X1〜C8)およびC-鎖(残基C13〜X18)からな
る。N-鎖およびC-鎖はお互いに逆平行となるように配置され主鎖-主鎖の水素結 合によって非共有結合的に連結されている(βシートの構造の詳細な説明にはCre
ighton, 1993, Protein Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman a
nd Co., NYおよびそこに引用された文献を参照のこと)。何らかの理論に結びつ ける意図はないが、βシート領域をなす最も重要な残基は残基X5-C8およびC13-X 16 であると考えられる。
【0053】 好ましくは、ペプチドのβシート領域は両親媒性、すなわちβシートの一方の
表面が純疎水性であり他方の表面が純親水性である。L-またはD-ペプチドの2本 の鎖が逆平行βシートで構成されている場合には、鎖内で互いに隣接しているア
ミノ酸の側鎖はβシートの相反する面に位置するように相反する方向を向いてい
る。鎖間で互いに隣接しているアミノ酸の側鎖はβシートの同じ面に位置するよ
うに同じ方向を向いている(例えばWO 97/18826の図6を参照のこと)。この一般的
構造モチーフを用いてβシートが一方の面に疎水性側鎖を持ち、他方の面に親水
性側鎖が位置するように各残基の位置でアミノ酸を選択することによって両親媒
性の逆平行βシートが得られる。
【0054】 両親媒性の逆平行βシート領域の表面は正味の疎水性または正味の親水性のど
ちらかの性質をもつだけでよいことがもちろん理解されるであろう。特定の面を
構成する側鎖がそれぞれ疎水性または親水性である必要はない。それらの面はそ
の面の正味の性質を顕著に変えることのない側鎖であればそれを含有することが
できる。例えば、疎水性の表面および親水性の表面は双方とも小型のアミノ酸の
側鎖を含むことができるが、それはそれらの側鎖が表面の正味の性質に大きく寄
与しないためである。
【0055】 式Iのペプチドのβシート領域はC6、C8、C13、およびC15と名付けられた1〜4 個のシステイン様アミノ酸を含むことができ、それらは鎖間のジスルフィド結合
に関与しうる。少なくとも2個のシステイン様アミノ酸残基を有する本発明のペ プチドは、ジスルフィド結合を形成する程度によって直鎖状または環状になりう
る。環状のものは4個の不変のシステイン様アミノ酸の全てまたはいくつかの間 でジスルフィド結合が形成された結果として形成される。本発明の環状のものは
ジスルフィド結合形成のあらゆる可能な置換を含んでいる。直鎖状のものは環状
のものと変換可能であり、逆もまた可能である。環状となるようにジスルフィド
結合を形成する方法は当業界でよく知られており、ジスルフィドの数を減らして
直鎖状化合物とする方法もまたよく知られている。
【0056】 天然に存在するプロテグリン(PG-1からPG-5)は2個のジスルフィド結合を含ん でおり、その一方はシステインC6-C15間、もう一方はシステインC8〜C13間であ る(Harwigら, 1995, J. Peptide Sci. 3:207)。従って、2個のジスルフィド結合
を有する実施形態においては、ジスルフィド結合がC6〜C15間およびC8〜C13間に
ある形態が好ましい。そのようなペプチドを「天然型」と呼ぶ。しかし、ジスル
フィド結合を1個のみ有するプロテグリンの形態が活性を有し、容易に調製しう ることが見出された。ジスルフィド結合を1個のみ有する実施形態の中ではC6〜C 15 間のみのものおよびC8〜C13間のみのものが好ましい。
【0057】 C6〜C15間のジスルフィド結合が唯一のジスルフィド結合である形態はプロテ グリンの「弾丸型」と呼ばれ、唯一のジスルフィド結合がC8〜C13間のものは「 凧型」と呼ばれる。弾丸型と凧型は、ジスルフィド結合に無関係な位置のシステ
イン様アミノ酸残基の各々をジスルフィド結合に関与しないアミノ酸、好ましく
はGly、Ser、AlaまたはThrなどの小型のアミノ酸で置換することによって都合良
く作製することができる。また別に、C8および/またはC13を欠いたものとするこ
とができる。
【0058】 直鎖状すなわち「ヘビ型」の天然ペプチドは有用な活性を有しており、本発明
のペプチドはスルフヒドリル基が適切な試薬で化学的に安定化された直鎖状のも
のを含んでいる。本発明のペプチドの「SH-安定化型」とここで定義するものは 、ジスルフィド結合の再形成を防止するために標準的な試薬と反応させたスルフ
ヒドリル基、または、システイン様アミノ酸残基を上記のように他のアミノ酸で
置換させたものを含むものである。分子間のジスルフィド結合形成の可能性を最
小限とするために、4個のシステイン様アミノ酸残基が全て置換されているかま たはSH-安定化されていることが好ましい。
【0059】 βシートの鎖間ジスルフィド架橋に関与しているイオウ原子は、鎖間の主鎖- 主鎖水素結合によって定められる平面内に位置してはおらず、そのイオウ原子は
架橋されたアミノ酸残基のβ炭素に対してある角度でβシートの表面に位置づけ
られる。従ってそのジスルフィド結合のイオウ原子はβシートの表面の正味の親
水性に寄与している。式Iのペプチドにおいては、下記の式によって定義される βシート領域は本明細書に述べる両親媒性逆平行シートの定義の範囲内に包含さ
れるものと考えられる: 上記式中、C6、C8、C13およびC15はそれぞれ独立にシステイン様アミノ酸であり
、X7およびX14はそれぞれ独立に疎水性または小型のアミノ酸であり、‖はジス ルフィド結合である。特に好ましい実施形態においては、C6、C8、C13およびC15 はそれぞれシステインである。
【0060】 当業者であれば、ペプチドの特定の位置で、L-アミノ酸を対応するD-鏡像異性
体と置換すると構造的安定性および/またはペプチドの両親媒性逆平行βシート 領域の両親媒性を壊すことが理解されるであろう。何らかの特定の鏡像異性体置
換が構造的安定性または両親媒性を壊す程度は、部分的にはアミノ酸側鎖の大き
さおよびβシート内でのその残基の位置に依存している。好ましくは、式Iのペ プチドのβシート領域が、シートのペプチドが対応するD-またはL-鏡像異性体で
全てできている場合と比較してβシート領域の安定性または両親媒性に対して顕
著な影響を及ぼさないL-およびD-アミノ酸の混合物を含むことが好ましい。βシ
ート領域の安定性または両親媒性に実質的に影響を及ぼさないような鏡像異性体
の置換については当業者には容易に明らかであろう。
【0061】 本発明の好ましい実施形態においては、βシートを構成する疎水性、塩基性、
極性、およびシステイン様アミノ酸は全てL-鏡像異性体かまたは全てD-鏡像異性
体である。βシート領域を構成する小型のアミノ酸はL-鏡像異性体またはD-鏡像
異性体のどちらかである。
【0062】 式Iのペプチドの逆ターン領域(一緒になった残基X9-X10-X11-X12)は逆平行β シートの鎖と結合している。従って、この逆ターン領域はそのペプチドの領域に
逆平行βシートの2次構造をとらせるようにポリペプチド鎖の方向を逆転させる
構造からなる。
【0063】13 ペプチドの逆ターン領域は通常は2、3、または4個のアミノ酸残基からなる(残
基X9、および/またはX12が欠けていてもよい)。本発明のペプチドの重要な特徴 は分子のターン領域に正の電荷が存在することである。X9〜X12のうちの1つ、 好ましくはX9〜X12のうちの2つが塩基性のアミノ酸でなければならない。ペプチ
ド中のターンに影響を及ぼすことのできるような2、3、および4個のアミノ酸の セグメントは当業者にはよく知られており、自明のものである。
【0064】 本発明の好ましい実施形態においては、逆ターンは3個のアミノ酸残基のγタ ーンである。実質的には当業界で公知のいかなるγターン配列も本発明のペプチ
ド中に用いることができ、それらとしては、例えば、Roseら, 1985, Adv. Prote
in Chem. 37:1-109; Wilmer-Whiteら, 1987, Trends Biochem. Sci. 12:189-192
; Wilmotら, 1988, J. Mol. Biol. 203:221-232; Sibandaら, 1989, J. Mol. Bi
ol. 206:759-777; およびTramontanoら, 1989, Proteins: Struct. Funct. Gene
t. 6:382-394などに記載されているものを挙げることができる。
【0065】 別の好ましい実施形態においては、逆ターンは4個のアミノ酸残基のβターン である。そのような構造においては、ターンの2個の内部アミノ酸残基は通常は 逆平行βシートの水素結合には関与していない。それらの内部残基の両側にある
2個のアミノ酸残基が通常はβシートの水素結合に関与している。何らかの理論 と結びつけることを意図しているわけではないが、このことはそのような水素結
合は分子のβシート領域の安定化に役立っているものと考えられる。
【0066】 多数のペプチドβターンのコンホメーションおよび配列が当業界では広く報告
されており、それらとしては、限定はしないが例示すれば、I型、I'型、II型、I
I'型、III型、III'型、IV型、V型、V'型、VIa型、VIb型、VII型、およびVIII型 が挙げられる(Richardson, 1981, Adv. Protein Chem. 34:167-339; Roseら, 19
85, Adv. Protein Chem. 37:1-109; Wilmotら, 1988, J. Mol. Biol. 203:221-2
32; Sibandaら, 1989, J. Mol. Biol. 206:759-777; Tramontanoら, 1989, Prot
eins: Struct. Funct. Genet. 6:382-394を参照のこと)。ペプチドβターン構造
のこれら全ての型およびそれらに対応する配列、ならびに今後発見されるペプチ
ドβターンおよび配列は本発明に包含される。
【0067】 βターンのような短いペプチドターンの特別なコンホメーションは主としてタ
ーンの中の一定のアミノ酸残基(通常はGly、Asn、またはPro)の位置に依存して いる。通常、I型βターンは、X9からX12の位置のアミノ酸残基は、ProがX11の位
置を取ることができないことを除いては、いかなるものであってもよい。I型お よびII型のターンの双方でX12の位置はGlyが最も多く、X10の位置はProが最も多
い。X9の位置はAsp、Asn、Ser、およびCysの頻度が高く、そこではそれらの側鎖
は残基X11のNHとしばしば水素結合を形成する。
【0068】 II型ターンにおいては、X11の位置ではGlyおよびAsnが、必要とされる主鎖角 を最も容易にとるので、最も頻度が高い。理想的には、I'型ターンはX10およびX 11 の位置にGlyを有し、II'型ターンはX10の位置にGlyを有することである。III 型ターンは通常はほとんどのアミノ酸残基をもつことができるが、III'型ターン
は通常はX10およびX11の位置にGlyを必要とする。
【0069】 VIa型およびVIb型ターンは通常はcis-ペプチド結合および内部残基としてPro を有する。タンパク質およびペプチド中のβターンの異なる型と配列についての
総説はWilmotら, 1988, J. Mol. Biol. 203:221-232にある。
【0070】 好ましいβターン配列は下記のとおりである(X9からX12の順に記してある):Z
ZZG; ZZZF; ZZZY; ZZSG; ZZAL; ZGZL; ZXZF; ZFZL; ZPZV; ZPZF; ZGZY; ZGZF; I
ZGZ; LZZF; YZZY; ZZZE; YZZV; YZGZ、ここでXはMeGlyで、各Zは独立にR、K、Da
b、Dbu、またはOrnのL-もしくはD-鏡像異性体である。
【0071】 さらに別の好ましいβターンとしてはX10および/またはX11がTicもしくはHyp のものであり、それはこれらの残基がペプチドおよびタンパク質中でβターン構
造をもたらすか、または誘導することが知られているものだからである。
【0072】 本発明のペプチドは通常は塩基性、すなわち生理的pHにおいて正味では正の電
荷を有する。何らかの理論に結びつけることは意図していないが、正に荷電した
アミノ酸残基、とりわけ分子のターン領域でのその存在は抗微生物活性に重要で
あると考えられる。
【0073】 ペプチドなどの構造物中での個々のアミノ酸残基の集合を統計的にみると、ア
ミノ酸残基のいくつかは正に荷電し、いくつかは負に荷電し、いくつかは電荷を
持たない。従ってペプチドのいくつかは電荷を持ち、いくつかは持たないことと
なる。「塩基性」という定義に適合するということは、ペプチド分子内の過剰の
アミノ酸残基が生理的pHで正に荷電しているものであることである。従って、約
15%(しかし約50%未満)のアミノ酸が塩基性アミノ酸でなければならず、そうであ
ればその化合物は正味の電荷として生理的pHで少なくとも+1を有するはずであ る。本発明のペプチドは生理的pHで少なくとも+3の正味の電荷を有することが 好ましい。
【0074】 アミノ酸数が10個という少数である実施形態のためには、塩基性アミノ酸残基
は1個のみでよいであろう。しかし、このような短鎖の残基においても、少なく とも2個の塩基性残基を有することが好ましい。プロテグリンペプチドが15個も のアミノ酸残基を含有している場合には2個の塩基性残基が必要である。配列中 のアミノ酸の少なくとも20%が塩基性であることが好ましく、30%が塩基性アミノ
酸であることが特に好ましい。
【0075】 本発明のプロテグリンの2つの顕著な特徴は、天然のプロテグリンPG-1に比べ 、血清を含む生理的溶液中での可溶性および適合性が増加し、ヒト赤血球に対す
る溶血活性が減少していることである。何らかの特定の理論に結びつけることは
意図していないが、これらの性質は、本明細書に記載のプロテグリンのコア構造
の特定の不変の位置に(2, 4, 5, 7, 14および/または16の位置)1個以上のヒドロ
キシル含有アミノ酸が存在することによって与えられるものと考えられる。「ヒ
ドロキシル含有アミノ酸」とは、側鎖に少なくとも1つのヒドロキシル基を有す る、例えばセリンおよびトレオニンなどのアミノ酸を意味する。血清中での適合
性の増加は部分的にはこれらのトレオニン類似体中の少なくとも1個の塩基性ア
ルギニン残基を他の塩基性残基、特にリシン、オルニチン、2,3-ジアミノ酪酸お
よび/または2,4-ジアミノ酪酸で置換したためと考えられる。
【0076】 本発明のペプチドのアミノ末端は遊離アミノの形、または式RC(O)-の基、この
式ではRは5〜20個の炭素原子のアリール基(好ましくは6〜10個)、5〜20原子のヘ
テロアリール基(好ましくは5〜10原子)、または1〜25個の炭素原子のヒドロカル
ビル基(好ましくは1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜8個の炭素原子)によ ってアシル化されたものであってよい。ヒドロカルビル基は飽和されているかま
たは不飽和、直鎖、分岐、もしくは環状で、典型的には例えば、メチル、エチル
、イソプロピル、t-ブチル、n-ペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセン-2- イル、ヘキセン-3-イル、ヘキシン-4-イル、オクチル、デシル、エイカノシルお
よびそれらに類似のもので、オクチルが好ましい。
【0077】 また、「N末端アシル化」の定義の範囲内には、N末端塩基性残基の側鎖アミ
ノ基が上述の式RC(O)-の基の群でアシル化されたペプチドが含まれる。側鎖アミ
ノ基がN末端アミンに加えて、またはそれに替わってアシル化されていてもよい
。芳香族基またはヘテロ芳香族基を側鎖アミノ基に導入するための特に都合の良
い方法は側鎖アミノ基を芳香族またはヘテロ芳香族側鎖を有するアミノ酸、例え
ばW(トリプトファン)などをアシル化することである。
【0078】 また別に、N末端は芳香族基、例えばナフタリンなどを含有することができる
。そのような基は本発明のペプチド中に、1-ナフチルアラニンまたは2-ナフチル
アラニンなどのアミノ酸をN末端アミノ酸残基として用いることによって都合よ
く取り込むことができる。
【0079】 また、ペプチドのN末端は、そのペプチドの細菌の周辺細胞質への進入を容易
にする目的で溶質特異的膜貫通チャンネルを用いるために置換することができる
。例えば、N末端はカテコール-NHS活性化エステルを用いてカテコールで都合よ
く改変することができる。
【0080】 ペプチドのC末端は非誘導体化カルボキシル基、すなわち、遊離酸またはカリ
ウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの許容しうる塩、またはその
他の無機イオンもしくはカフェインなどの有機イオンの塩のいずれかの形をとる
ことができる。いくつかの実施形態においては、分子の残りの部分が正の電荷を
有しそれが関係する陽イオンを追い払うので塩を作ることが困難である。またカ
ルボキシル末端は、ROHの式のアルコールとエステルを形成させて誘導体化する か、またはNH3、もしくはRNH2、もしくはR2NHの式のアミンによってアミド化す ることもでき、それらの式ではRは独立にアリール、ヘテロアリール、もしくは 上記で定義したヒドロカルビルである。ペプチドのアミド化されたものでそのC
末端が式-C(O)NH2のものが好ましい。
【0081】 Cおよび/またはN末端に親油性基を付加するとペプチドの標的微生物の膜へ の移動及び感染部位への浸透が容易となる。最適な置換の選択は標的微生物の脂
質含量に関する評価によって決定される。
【0082】 ある例示的実施形態においては、本発明は約10〜30個のアミノ酸残基からなる
抗微生物性プロテグリンペプチドを提供し、それは次のアミノ酸配列からなる: (I) X1-X2-X3-X4-X5-C6-X7-C8-X9-X10-X11-X12-C13-X14-C15-X16-X17-X18 またはその製薬上許容しうる塩、またはN末端アシル化、またはC末端アミド化
もしくはエステル化されたもので、上記式中、 C8およびC13の各々は独立に存在するかまたは存在せず、存在する場合には各 々は独立にシステイン様、塩基性、小型、極性、または疎水性のアミノ酸であり
; C6およびC15の各々は独立にシステイン様、塩基性、小型、極性、または疎水 性のアミノ酸であり; X1、X2、X3、X4、およびX5の各々は独立に存在するかまたは存在せず、存在す
る場合には各々は独立に塩基性、疎水性、極性、または小型のアミノ酸であり; X7およびX14の各々は独立に疎水性または小型のアミノ酸であり; X9およびX12の各々は独立に存在するかまたは存在せず; X9〜X12はまとまって式(I)のアミノ酸配列中に含まれている場合には逆ターン
をなすことができ、X9〜X12の少なくとも1つは塩基性アミノ酸でなければならず
; X16、X17、およびX18の各々は独立に存在するかまたは存在せず、存在する場 合には各々は独立に塩基性、疎水性、極性、または小型のアミノ酸であり; 該抗微生物性ペプチドが生理的pHで少なくとも+1の実効電荷を持つように該 抗微生物性ペプチドを構成するアミノ酸の少なくとも約15%から約50%までは塩基
性アミノ酸である、 ただし、X2、X3、X5、X7、X14、またはX16のうちの少なくとも1つは小型のア ミノ酸でなければならず、SまたはTなどのヒドロキシル含有アミノ酸であること
が好ましい。
【0083】 本発明のペプチドは好ましい実施形態を示すことによってさらに説明すること
ができる。好ましい実施形態のあるセットにおいては、C6、C8、C13およびC15
位置のシステイン様アミノ酸残基は、X9およびX12と同様、存在する。
【0084】 別の好ましい実施形態のセットでは、X1、X2、X3、およびX4はそれぞれ存在し
ない。
【0085】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X1、X2、X3、およびX4のうちの少な
くとも1つ、および好ましくは2つが疎水性アミノ酸、好ましくはI、V、L、Y、F 、またはWである。
【0086】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X9〜X12は少なくとも1つの疎水性ア
ミノ酸残基、好ましくはPhe、Tyr、またはTrpを含有する。
【0087】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X1およびX9の各々は独立にR、K、Or
n、Dab、Dbu、およびHarまたは疎水性アミノ酸からなる群から選択されたもので
あり、好ましくはX1はR、K、Harで、X9はR、K、Harまたは疎水性アミノ酸で、特
にI、V、L、W、F、またはYである。
【0088】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X2およびX3の各々は独立にG、A、S 、T、I、V、L、F、Y、およびWからなる群から選択されたものであり;より好ま しくはX2およびX3はG、W、F、Y、L、またはVであるが;X2および/またはX3は存 在していなくてもよい。
【0089】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X4はR、K、H、Orn、Har、Dab、Dbu 、G、A、S、T、F、Y、およびWからなる群から選択されたものであり;より好ま しくはX4はR、K、Orn、Dab、Dbu、G、またはWである。
【0090】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X5およびX16の各々は独立にI、V、L
、Nle、W、Y、およびFからなる群から選択されたものであり;I、V、L、W、Fお よびYが好ましい。しかし、X5および/またはX16は存在していなくてもよい。
【0091】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X7およびX14の各々は独立にI、V、L
、W、Y、およびFからなる群から選択されたものであり;好ましくはX7はI、F、Y
、またはWでX14はI、V、L、W、Y、またはFである。
【0092】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X9はR、K、H、Orn、Dab、Dbu、Har 、I、V、L、Nle、W、Y、およびF、ならびにX12はI、L、V、W、F、またはYであり
、より好ましいのはY、W、Fなどの芳香族アミノ酸である。
【0093】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X10はR、Orn、Dab、Dbu、G、W、ま たはPである。
【0094】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X11はR、K、Orn、Dab、Dbu、G、Wま
たはPである。
【0095】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X17は存在しないか、もし存在する 場合にはG、A、S、またはTである。
【0096】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X18は存在しないか、もし存在する 場合にはR、K、H、Orn、Dab、Dbu、またはHarである。
【0097】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X1、X2、X3およびX4はそれぞれ存在
し、X1およびX4は塩基性で、X2およびX3は小型のアミノ酸または疎水性アミノ酸
である。X1〜X4の好ましい実施形態ではR-G-G-R、R-G-W-R、R-L-L-Rおよび類似 のものである。
【0098】 システイン様残基を置換するための塩基性アミノ酸の好ましい実施形態は、R 、K、H、Orn、Dab、DbuまたはHarであり、最も好ましくはR、K、またはOrnであ る。システイン様残基を置換するための小型のアミノ酸として好ましいのはG、A
、SおよびTであり、最も好ましくはAおよびTである。
【0099】 また別の好ましい実施形態のセットでは、式(I)のペプチドは10〜18個のアミ ノ酸残基からなる。
【0100】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X7とX14はそれぞれ独立にSまたはT である。
【0101】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X1、X2およびX3は各々存在しない。
【0102】 また別の好ましい実施形態のセットでは、X17およびX18はそれぞれ存在しない
【0103】 また別の好ましい実施形態のセットでは、式(I)のペプチドは次のように定義 される: X1は存在しないか塩基性アミノ酸; X2は存在しないかまたは塩基性または小型のアミノ酸; X3は存在しないか、GまたはT; X4は塩基性アミノ酸、T、またはW; X5はF、L、Y、K、Q、またはT; C6はシステインまたはH; X7はF、L、Y、S、またはT; C8はシステイン; X9は塩基性アミノ酸またはY; X10は塩基性アミノ酸、G、またはMeGly; X11は塩基性アミノ酸; X12はF、Y、V、またはE; C13はシステイン; X14はV、T、またはS; C15は存在しないかまたはシステイン; X16は存在しないか、V、Y、F、E、またはT; X17は存在しないか、またはG;および/または X18は存在しないか、Orn、またはRである。
【0104】 また別の好ましい実施形態のセットでは、N末端アミノ酸はリシンでそのε- アミノ基はR-C(O)-でアシル化されており、そのRはC1-C8のアルキル、C6-C10ア リール、またはC6-C10へテロアリールである。
【0105】 また別の好ましい実施形態のセットでは、少なくとも1個の塩基性残基はR以外
である。より好ましくは、2個以上の塩基性残基がR以外である。
【0106】 本発明に従って得られるプロテグリンで特に好ましいものは下記のペプチドの
弾丸型、凧型、およびヘビ型であり: およびそれらのN末端アシル化およびC末端アミド化またはエステル化したもの
で、上記式中、JはN-ε-トリプトファニルリシン、XはDbuで、ZはMeGlyである。
上記のペプチドのC末端をアミド化したものが最も好ましい。
【0107】 本発明に従って得られる別の特に好ましいプロテグリンは配列番号12、13、お
よび18であり、それらはC末端が酸の形またはアミドの形のいずれかであり、N
末端が好ましくはC8H18-C(O)-でアシル化されたものである。
【0108】 5.2.2. 活性プロテグリンの同定 通常、本発明の活性プロテグリンペプチドはin vitroスクリーニングアッセイ
を用いて同定される。事実、多くの場合、本発明のプロテグリンペプチドはin v
itroでの保存剤、外用抗微生物剤などとして用いられることとなろう。さらに、
in vitroでの感受性試験には明らかにある程度の限定があるにも関わらず、臨床
試験データは最小増殖阻止濃度(MIC)試験結果とin vivoでの抗生物質の有効性と
の間によい相関関係があることを示している(Murray, 1994, Antimicrobial Sus
ceptibility Testing, Poupardら編, Plenum Press, 米国ニューヨーク; Knudse
nら, 1995, Antimicrob. Agents Chemother. 39(6):1253-1258)。従って、感染 及び感染に関係する疾患の治療に有用なプロテグリンペプチドはまた、特定の微
生物標的に対するin vitroでの抗微生物活性を示すことによって都合よく同定す
ることができる。
【0109】 通常、抗微生物剤のin vitroでの抗微生物活性は標準的なNCCLS細菌阻止アッ セイ、またはMIC試験を用いて試験される(National Committee on Clinical Lab
oratory Standards "Performance Standards for Antimicrobial Susceptibilit
y Testing" NCCLS Document M100-S5 Vol.14, No.16, December 1994; "Methods
for dilution antimicrobial susceptibility test for bacteria that grow a
erobically - Third Edition", Approved Standard M7-A3, National Committee
for Clinical Standards, Villanova, 米国ペンシルバニア州を参照のこと)。 しかしこれらの標準NCLLS MICアッセイが本発明の活性ペプチドの同定にはうま く働かないことが見出された。従って、好ましくはこれらの化合物はNCLLS MIC アッセイの変法および、WO 97/18826および/またはSteinbergら, 1997, Antimic
robial Agents and Chemotherapy 41(8):1738-1742に述べられているその他のア
ッセイ法を用いてスクリーニングされる。
【0110】 当業界でよく知られたその他のアッセイ法、またはこの開示をみれば当業者に
は明らかであろうと思われるアッセイ方法も本発明の活性プロテグリンペプチド
を同定するために用いうることは理解されるであろう。そのようなアッセイとし
ては例えば、Lehrerら, 1988, J. Immunol. Methods 108:153およびSteinbergと
Lehrer, "Designer Assays for ntimicrobial Peptides: Disputing the 'One S
ize Fits All' Theory" Antibacterial Peptide Protocols, Shafer編, Humana
Press, 米国ニュージャージー州、の中に述べられているアッセイ法が挙げられ る。
【0111】 一般的には、本発明の活性ペプチドは、約64μg/mL以下、通常は約32μg/mL以
下、好ましくは約16μg/mL以下、および最も好ましくは約4μg/mL以下のMIC(WO
97/18826に記載されているNCCLSアッセイ変法を用いて測定)を示す。
【0112】 5.2.3 ペプチドの調製 5.2.3.1 化学合成 本発明のプロテグリンペプチドは実際には当分野で環状ペプチドを調製するた
めの技術として知られているいかなるものを用いても調製しうる。例えば、ペプ
チドは従来の液相での、または固相ペプチド合成法を用いて直鎖状または非環状
の形に調製し、標準的な化学処理で環状化することができる。
【0113】 本明細書に記載される大きさのペプチドの化学合成のための標準的な方法は公
知である。現在、最も一般的に用いられているものは固相合成技術である:事実
、ペプチド鎖を系統的に構築するための自動化装置が購入可能である。液相合成
も用いることができ、大規模産生にはかなり有益である。これらの標準技術を用
いて合成した場合には、遺伝子によってコードされていないアミノ酸およびD-鏡
像異性体を合成で用いることができる。従って、本発明の化合物を得る非常に実
際的な方法は、これらの標準化学合成技術を用いることである。
【0114】 ペプチド主鎖を提供することに加え、Nおよび/またはC末端を、従来の化学 技術をここでも用いて誘導体化することができる。本発明の化合物は任意でアミ
ノ末端にアシル基を持つようにすることができる。N末端の遊離アミノ基のアセ
チル化、またはより一般的にはアシル化の方法は通常当分野で知られている;さ
らに、N末端アミノ酸は合成においてアシル化された形で供給しうる。
【0115】 カルボキシル末端ではカルボキシル基はもちろん塩の形で存在することができ
る;医薬組成物の場合にはこのことは製薬上許容しうる塩となる。適切な塩とし
てはNH4 +、Na+、K+、Mg++、Ca++、および類似のものなどの無機イオンによって 形成される塩、ならびにカフェインおよびその他の高度に置換されたアミンなど
の有機陽イオンと形成される塩が挙げられる。しかし、式(I)の化合物が塩基性 残基を複数有している場合には塩の形成は困難かまたは不可能である。カルボキ
シル末端はまたROHの式であらわされるアルコールを用いてエステル化すること もでき、その式でRはアリール、ヘテロアリール、または上記で定義したヒドロ カルビルである。同様に、カルボキシル末端は、-CONH2、-CONHR、またはCONR2 という式になるようにアミド化することができ、それらの式で各々のRは、個別 にアリール、ヘテロアリール、または上記で定義したヒドロカルビルである。エ
ステル化およびアミド化ならびに塩基の存在下で塩を形成するために中和させる
技術は全て標準的な有機化学技術である。
【0116】 本発明のペプチドが生理的条件下で調製される場合には、どの塩基性アミノ酸
の側鎖のアミノ基も関連の酸が付加された塩の形となっているであろう。
【0117】 C末端アミドを有する直鎖ペプチドの合成には、そのペプチド配列はABI433自
動ペプチド合成機(ABD, Perkin Elmer, Foster city, 米国カリフォルニア州)上
で、機器製造者の標準プロトコールに従ってFmoc反応を用いてFmoc Rink アミド
固相担体樹脂(Bachem)上で都合よく合成される。切断は典型的には10mlのチオ
アニソール/EDT/TFA(1/1/9)中で室温で2時間かけて行う。粗切断産物をt-ブチル
メチルエーテルで沈殿させ、ろ過し、乾燥させる。
【0118】 N末端の塩基性アミノ酸の側鎖のアミノ基がアシル化されたものを含有するペ
プチドは、適切に防護されアシル化されたアミノ酸を用いることによって都合よ
く調製される。適したアミノ酸はBachemから入手可能であり、または標準的な技
術を用いて容易に調製することができる。
【0119】 ジスルフィド結合の形成が所望される場合には穏和な酸化剤の存在下で行うこ
とができる。化学的酸化剤を用いることができ、またはその化合物を単に空気中
の酸素に曝してこれらの結合を作らせることができる。各種の方法が当分野では
知られている。ジスルフィド結合形成に有用な工程については、Tamら, Synthes
is (1979) 955-957; Stewartら, Solid Phase Peptide Synthesis, 第2版, Pier
ce Chemical Company, Rockford, 米国イリノイ州、(1984); Ahmedら, 1975, J.
Biol. Chem. 250:8477-8482およびPenningtonら, Peputides 1990, Giraltら,
ESCOM Leiden, オランダ(1991) 164-166によって述べられている。別の代替法に
ついてはKamberら, 1980, Helv. Chim. Acta 63:899-915に述べられている。固 相担体上での方法についてはAlbericio, 1985, Int. J. Pept. Protein Res. 26
:92-97に述べられている。
【0120】 特に好ましい方法は分子状酸素を用いる溶液酸化である。この方法は合成プロ
テグリンPG-1、PG-3をそのアミド型または酸型、鏡像異性PG-1および2つのユニ ジスルフィドPG-1化合物(C6-C15およびC8-C13)を折り畳むために用いられてきた
。回収率は65%-90%と高い。
【0121】 ジスルフィド結合を形成するためのこの好ましい方法において粗ペプチドをDM
SOに溶解し20mM酢酸アンモニウム緩衝液pH7中に添加する。その溶液中でのペプ チドの終濃度は1-8 mg/mlであり、pHの範囲は7.0-7.2であり、DMSO濃度は5-20
%である。そのペプチド溶液を室温で一晩攪拌する。
【0122】 その溶液のpHを濃酢酸でpH5に調整し、サンプルを分離用液体クロマトグラフ ィーで精製する。ロードした後、カラムを10%アセトニトリル/H2O(0.1% TFA)でU
V吸収がベースラインに下がるまで洗う。次いで、グラディエントを開始する。
【0123】 カラム:Vydac Cat#218TP101522, 2.2 × 25 cm, C18ペプチドおよびタンパク
質;UVλ:235 nm; 流速:10 ml/min 溶媒Aは100% 0.1% TFA/H2O;溶媒Bは100% 0.08% TFA/ACN。グラディエントは 次のとおり。 T (分) %B (線型グラディエント) 0 10 10 18 80 32 95 95 フラクションは分析用HPLCで分析し、所望のペプチドを含有するフラクションを
合わせる。アセトニトリルを除去しその結果得られた水溶液を凍結乾燥する。そ
の結果得られたアミドはスルフィド結合を含んでおり、それは質量スペクトルで
確認する。
【0124】 5.2.3.2 遺伝子組換えによる合成 ペプチド主鎖が全て遺伝子によってコードされるアミノ酸からなっている場合
、またはペプチド主鎖のある部分がそうである場合にはそのペプチドまたは関連
する部分を組換えDNA技術を用いて合成することもできる。本発明のペプチドを コードするDNAは、それ自体を市販の装置を用いて合成することができる;宿主 の性質に応じて、コドン選択を合成過程に組み入れることができる。
【0125】 遺伝子組換えで産生させた形のプロテグリンは、続いてNおよび/またはC末 端を改変し、単離法によっては上記に述べたジスルフィド結合の形成を行わせる
ために誘導体化を必要とする場合がある。遺伝子組換えでの産生に用いられる宿
主生物、およびそのタンパク質が単離される動物のソースによっては、これらの
変換のうちのいくつかまたはその全てが既に行われている場合もある。
【0126】 遺伝子組換えでの産生のためには本発明のプロテグリンをコードするDNAは発 現系中に含まれている。発現系はこれらのコード配列を適切なプロモーターおよ
び意図している宿主細胞中で共存可能なその他の制御配列の制御下に位置させる
。使用可能な宿主細胞のタイプは植物および動物界のほとんど全範囲におよぶ。
従って、本発明のプロテグリンは、動物細胞、昆虫細胞および植物細胞中のみな
らず、細菌または酵母中で(プロテグリンが無毒または屈折性の形、または抵抗 性の株を用いて産生される限りにおいては)、で産生させることができる。事実 、改変された植物細胞はこの関連発現系を含有している植物を再生させるために
用いることができ、それによって得られたトランスジェニック植物はこれらの感
染性作用物に対する自己防護が可能となる。
【0127】 本発明のプロテグリンは、プロテグリンをコードするDNAに適切なシグナルペ プチドをコードするDNAを融合させることによって宿主細胞から分泌する形で産 生させることができ、または細胞内で産生させることができる。また、本発明の
プロテグリンは追加のアミノ酸配列を有する融合タンパク質として産生させるこ
ともでき、その追加配列はこれらの化合物を抗微生物剤または抗ウイルス剤とし
て使用する前に除去することが必要な場合、または必要がない場合がある。
【0128】 このように、本発明のプロテグリンは化学合成および遺伝子組換えによる産生
またはこれらの技術の組み合わせなどを含む種々の様式で産生させることができ
る。
【0129】 天然に生ずるプロテグリンクラスのいかなるメンバーも、精製されたおよび/ または単離された形で供給されている。「精製されたおよび/または単離された 」とは、そのペプチドが通常生ずるような環境(天然に産生されるペプチドの場
合)を含まず、実際的に使用しうる形にあることを意味している。従って、「精
製されたおよび/または単離された」形のものとはそのペプチドが実質的に純粋 、すなわち、90%を超える純度であり、好ましくは95%を超える純度であり、より
好ましくは99%を超える純度であるか、または医薬品製剤中にある場合などの全 く異なる状況にあることを意味する。
【0130】 5.2.4 プロテグリンを含有する組成物およびその使用方法 本発明のプロテグリンは、グラム陽性およびグラム陰性細菌、酵母、原生動物
、ならびにウイルスの特定の株を含む広範囲の微生物およびウイルス標的に対し
て広いスペクトルの抗微生物活性を示す。本発明のプロテグリンは広い活性のス
ペクトルを有するので、治療及び予防関連においてのみならず、保存剤として用
いることができる。
【0131】 本発明のプロテグリンが殺菌的に働くグラム陽性細菌としては、MRSA(メチシ リン耐性株)およびMSSA(メチシリン感受性株)を含む黄色ブドウ球菌(Staphyloco
ccus aureus)、Enterococcus faeciumおよびE. Faecalis(VREFすなわちバンコマ
イシン耐性E. faecium、ならびにVSEFすなわちバンコマイシン感受性E. faecali
sを含む)などの主要な病原菌が挙げられる。これらは病院内において非常に一般
的にみられる病原体である。適切な標的となるその他のグラム陽性細菌としては
Listeria monocytogenes、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae(PRSP、ペニ
シリン耐性型を含む))、S. mitis、S.sanguis、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus
epidermis(メチシリン感受性株MSSEを含む))、S. salivarius、Corynebacteriu
m minutissium、偽ジフテリア菌(C. pseudodiphtheriae)、C. striatum、コリネ
バクテリウム(Corynebacterium) G1およびG2群、ならびに枯草菌(Bacillus subt
ilis)などが挙げられる。PRSPも広範囲に感染が拡がり健康に障害を及ぼしてい る。
【0132】 プロテグリンが有効なグラム陰性の微生物には大腸菌(Escherichia coli)、緑
膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、肺炎棹菌(Klebsiella Pneumoniae)、レイ菌(Se
rratia marcescens)、インフルエンザ菌(Haemophilus infloenzae)、ネズミチフ
ス菌(Salmonella typhimurium)、Acinetobacter calocoaceticus、C. pneumonia
e、および髄膜炎菌(Neisseria meningitidus)、ならびに上記の属の範囲内にあ るその他の種を挙げることができる。例えば淋菌(Neisseria gonorrhoeae)はChl
amydia trachomatisと同様に性感染症(STD)に関連している。また、グラム陰性 の微生物の中には胃の病原体であるHelicobacter pylori、H. felis、およびCam
pylobacter jejuniがある。
【0133】 グラム陽性およびグラム陰性の細菌の他に、本発明のプロテグリンは、結核菌
(M. tuberculosis)およびトリ型結核菌(M. avium(MACを含む))などのマイコバク
テリア;Candida albicansおよび関連の病原体、C. parapsilosis、C. krusei、
C. tropicalisおよびC. glabrata、ならびにAspergillus nigerなどの真菌の増 殖及び感染に対しても有効である。プロテグリンが有効なウイルスには単純ヘル
ペスウイルスI型およびII型、ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV)がある。
【0134】 上述のものは全てを挙げたリストではなく本発明のプロテグリンが活性を有す
る微生物の代表例を示したものである。
【0135】 上述のとおり、プロテグリンは感染防止用組成物中で、ならびに生物の栄養源
となるものを含有している食品、化粧品、医薬品、またはその他の材料などの材
料のための保存剤として用いることもできる。そのような状況で用いる場合には
、プロテグリンはプロテグリン単体、数種の他のプロテグリンとの混合物、また
はさらに別の抗微生物剤との混合物のいずれかの形で供給される。一般的には、
このような状況ではこれらは保存剤であるので、これらのものは通常比較的少量
で用いられ、組成物の全重量の5%未満、より好ましくは1%未満、さらにより好ま
しくは0.1%未満である。
【0136】 本発明のペプチドはまた、抗微生物アッセイ、および供試化合物のリポ多糖な
どの内毒素との結合能を測定するためのアッセイにおける標準品として有用であ
る。
【0137】 動物を被験者とする治療で抗微生物剤または抗ウイルス剤として用いるために
は、本発明のプロテグリンは医薬組成物または動物用薬組成物として製剤化する
ことができる。処置しようとする被験者、投与方法、および、例えば疾病防止、
予防、治療などの所望の処置のタイプに応じて、プロテグリンはこれらのパラメ
ーターに応じた形で製剤化される。そのような技術についての要約はRemington'
s Pharmaceutical Science, 最新版, Mack Publishhing Co., Easton, 米国ペン
シルベニア州、に述べられている。
【0138】 プロテグリンはヒトを含む動物を被験者として治療的および予防的処置に用い
ることができる:感染の「処置」とは、感染を防止すること、症状を改善するこ
と、被験者の体内での微生物の増殖を阻害すること、およびその他の微生物に対
してネガティブな影響を与えそれが被験者に有益なものとなることを意味する。
このように、「処置する」または「処置」には予防的および治療的の両面がある
。 プロテグリンは、Chlamydia trachomatis、Treponema pllidum、淋菌(Neisser
ia gonorrhoeae)、Trichomonas vaginalis、単純ヘルペス2型およびHIVなどに起
因する疾患を含む性感染症の処置に有用な医薬組成物中の有効成分として特に魅
力的である。外用剤型が好ましく、そのようなものとしてはクリーム、軟膏、オ
イル、粉末、ゲル、および類似のものが挙げられる。適切な局所外用剤用の賦形
剤は当分野では公知であり、当業者であれば特定の使用目的に応じて用いること
ができる。
【0139】 通常は、STDの治療または予防での使用のためには本発明のプロテグリンは単 独で、または他の抗生物質、例えばエリスロマイシン、テトラサイクリン、マク
ロライド、例えばアジスロマイシン、およびセファロスポリンなどと組み合わせ
て用いることができる。投与のやり方如何によって、患部への送達を容易にする
ためにプロテグリンは適切な組成物中に剤型化することができる。プロテグリン
は1つまたは2つののジスルフィド架橋を有する形または直鎖状の形で用いること
ができる。さらに、全てD-アミノ酸を含有している鏡像異性体型のものを使用す
ると、トリプシンおよびキモトリプシンなどの蛋白質分解酵素に対して抵抗性を
持つ(L-アミノ酸含有のプロテグリンでは抵抗性がより少ない)という利点を持
たせることができる。
【0140】 本発明のプロテグリンは単独またはいくつかのプロテグリンの混合物または他
の医薬有効成分との組み合わせで投与することができる。製剤は全身投与、また
は外用、または局所投与に適するように調製することができる。全身投与用剤型
としては注射用としてデザインされたもの(例えば筋肉内、静脈内、腹腔内、ま たは皮下注射用)があり、または経皮、経粘膜、または経口投与用に調製するこ とができる。製剤は通常は溶解剤、ならびに場合によってはアジュバント、緩衝
液、保存剤および類似のものを含むことができる。プロテグリンはリポソーム組
成中または微乳剤として投与することができる。
【0141】 経口投与の場合には、本発明のプロテグリンは適切な腸溶性コーティングを用
いて消化管内での崩壊から保護すべきである。このことはD-体のアミノ酸を用い
ることによって蛋白質分解酵素に対する抵抗性を付与することである程度は避け
ることができる。プロテグリンは酸に対して比較的安定ではあるが、それでもあ
る程度の腸溶性コーティングは必要であろう。
【0142】 本発明のプロテグリンは、眼科用製剤中に一般的に用いられるホウ酸溶液中に
含有させた状態においても微生物に対して活性を保持する。ホウ酸緩衝生理食塩
水中にリゾチームの存在下および不在下で大腸菌(E.coli)に対しての抗微生物活
性を調べると、リゾチームの存在によってPG-3の有効性が増強されることが示さ
れている。この効果はPG-3をオートクレーブで処理した場合にはより顕著であり
、遊離酸及びアミドの形の双方で同様のパターンが得られた。従ってプロテグリ
ンは、そのような組成物中での保存剤として、または結膜炎および角膜潰瘍など
の眼の感染の治療のための抗微生物剤として用いることができる。
【0143】 天然に存在するプロテグリンであるPG-1(配列番号1)に比較すると、本発明の プロテグリンはその活性は維持され、血清中での適合性は改善され、および/ま たはヒト赤血球に対する溶血活性は低減されている。さらに本発明のプロテグリ
ンはそれらの微生物に対する毒性と比較すると、高等生物の細胞ではその細胞傷
害性が劇的に低減されている。これらの性質は本発明のプロテグリンを特にin v
ivoでの使用および治療用の使用、特に静脈内注射の場合に適したものとしてい る。
【0144】 本発明のプロテグリンはまた、植物またはその環境に適用して、ウイルスおよ
び微生物が誘発する、これらの植物における疾患の防止のためにも用いることが
できる。この使用法のために適切な組成物は、典型的には溶剤ならびに分散剤ま
たはその他の植物または環境に対して有益な補助剤を含有し得る。
【0145】 このように、本発明のプロテグリンは抗微生物作用および/または抗ウイルス 作用が必要とされるようないかなる状況においても用いることができる。このよ
うな使用は、全てin vitroで行われるような使用であるか、またはペプチドをヒ
トを含む生物体に投与することができる。
【0146】 さらに、本発明のプロテグリンの産生に適した発現系を投与することによって
抗微生物活性または抗ウイルス活性をin situで生じせしめることができる。そ のような発現系は植物およびヒトを含む動物の被験者に公知の技術を用いて供給
することができる。例えば、動物においてはポックスウイルスをベースとした発
現ベクターをin situでの該ペプチドの産生のために用いることができる。同様 に、植物細胞を発現ベクターで形質転換し次いで完全な植物に再生させてそれ自
体で該ペプチド産生を行えるようにすることができる。
【0147】 本発明のプロテグリンは標準的なアッセイ法においてグラム陰性細菌から由来
する内毒素すなわちリポ多糖(LPS)-を不活化することができる。従って、本発明
のプロテグリンは、LPSの不活化が求められるいかなる状況下でも用いることが できる。そのような状況の1つとしてはグラム陰性菌による敗血症の治療または
改善における使用がある。
【0148】 5.3 有効投与量 本発明のペプチド、またはその組成物は通常は意図する目的を達成するために
有効な量が用いられる。もちろん、用いられる量は特定の用途に応じて変わるこ
とは理解されるであろう。
【0149】 例えば、感染防止剤または保存剤として用いるためには、ペプチドまたはその
組成物の抗微生物的に有効な量が、感染防止または保存すべき材料に適用される
かまたは添加される。抗微生物的に有効な量とは、ペプチドまたは組成物の量が
標的微生物の集団の増殖を阻害するか、または致死させる量であることを意味す
る。実際の抗微生物的に有効な量は特定の用途によって変わるが、感染防止剤ま
たは保存剤としての使用には、ペプチドまたはその組成物は通常は感染を防止す
べきまたは保存すべき材料に比較的少量を添加するかまたは適用する。典型的に
は該ペプチドは感染防止剤溶液または保存すべき材料の重量比で約5%以下であり
、好ましくは重量比で約1%以下、より好ましくは重量比で約0.1%以下である。当
業者であれば、特定のペプチドの特定の用途への応用で抗微生物的に有効な量を
、過度な実験を行うことなしに、例えば本実施例で提供されるin vitroアッセイ
を用いて決定できるであろう。
【0150】 微生物感染またはそれに関連する疾患の治療または防止のためには本発明のペ
プチドまたはその組成物の治療に有効な量を投与または適用することができる。
治療に有効な量とは、微生物感染またはそれに関連する疾患の症状を改善するた
めに、あるいは微生物感染またはそれに関連する疾患を改善、処置、または防止
するために有効な量である。治療に有効な量の決定は当業者であれば、特に本明
細書で提供される詳細な開示事項があるので十分行いうることである。
【0151】 感染防止剤および保存剤の場合と同様に、細菌、酵母、真菌またはその他の感
染の処置または防止のために外用投与するための、治療に有効な量は、例えば、
本実施例で提供されているin vitroアッセイ法を用いて決定することができる。
その処置は感染が目視できる場合に行いうるがそれが目視できない場合でも行い
得る。当業者であれば、過度な実験を行うことなく、局所感染を処置するための
治療に有効な量を決定できるであろう。
【0152】 全身投与では治療に有効な量は、最初はin vitroアッセイから概算することが
できる。例えば、細胞培養で求めたIC50値(すなわち細胞培養の50%が致死性であ
る供試化合物の濃度)、細胞培養で求めたMIC(すなわち増殖の最小阻止濃度)、ま
たは細胞培養で求めたIC100(細胞培養の100%が致死性であるペプチドの濃度)が 含まれるような循環血液中のペプチド濃度を達成するための1回投与量を、動物 モデルにおいて定めることができる。このような情報はヒトにおける有用な投与
量をより正確に決定するために用いることができる。
【0153】 初回投与量も、in vivoのデータ、例えば動物モデル、でのデータから当分野 ではよく知られた技術を用いて概算することができる。当業者であれば動物デー
タに基づいてヒトへの投与量を容易に最適化することができるであろう。
【0154】 投与量と投与間隔は、治療効果を維持するのに十分な活性ペプチドの血漿中濃
度を提供するために個々に調節することができる。注射による投与のための患者
への通常投与量は約0.1から5mg/kg/dayの範囲であり、好ましくは約0.5から1mg/
kg/dayである。治療に有効な血清中濃度は複数回の投与を毎日行うことによって
達成することができる。
【0155】 局所投与または選択的取り込みの場合にはペプチドの有効局所濃度は血漿中濃
度には関連しない場合もある。当業者であれば、過度な実験をすることなく、治
療に有効な局所投与量を最適化することができるであろう。
【0156】 投与されるペプチドの量は、治療を受ける被験者によって当然変わり、被験者
の体重、病状の重篤度、投与のやり方、および医師の判断によって変わる。
【0157】 抗微生物療法は感染が検出されている間または検出されなくなったときでも、
間欠的に繰り返すことができる。その治療は単独で、あるいは、例えば抗生物質
またはその他の抗微生物ペプチドなどの他の薬剤と組み合わせて提供することが
できる。
【0158】 5.4 毒性 本明細書に記載のペプチドの治療に有効な投与量は、毒性を生ずることなく治
療上の有益性を提供するものであることが好ましい。本明細書に記載のペプチド
の毒性は、細胞培養または実験動物で、例えばLD50(集団の50%が致死する投与量
)またはLD100(集団の100%が致死する投与量)を決定することなどの標準的な製薬
上の技術によって求めることができる。毒性量と治療に有効な量との投与量比は
治療指数である。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッ
セイおよび動物での研究から得られたデータは、ヒトへの使用において毒性を持
たない投与量範囲を設定するために用いることができる。本明細書に述べたペプ
チドの投与量は好ましくは毒性がわずかであるかまたは全くない有効投与量を含
む循環血液中濃度の範囲に収まっていることが好ましい。この範囲内で投与量は
用いる投与剤型および利用される投与経路によって変化し得る。的確な投与剤型
、投与経路、および投与量は個々の医師が患者の状態を考慮して選択することが
できる。(例えばFinglら, 1975, The Pharmacological Basis of Therapeutics,
第1章, p.1を参照せよ)。ここに記載してきた本発明、下記の実施例は本発明を
説明することを意図しており、限定することは意図していない。
【0159】 6. 実施例:血清中の利用率 例としてペプチド[5T]PG-1(配列番号3)、OGGOTCYCOOOFCVCVGO-NH2(配列番号4)
、OTTLCYCOGOFCVCVGO-NH2(配列番号4)、OTOLCYCOZOFCVCV-NH2(Z-MeGly; 配列番 号11)、およびWTCYCOOOFCVCV-NH2(配列番号14)のin vitroでの血清中の利用率を
、WO 97/18826に記載のMCZアッセイ法に従って調べた。ペプチドを50μg/mlで
2種の異なるインディケーター細菌株(大腸菌(E.coli)とVRE)で血清の存在下と不
在下の双方で調べた。血清の存在下で行った実験では90%血清をペプチドの溶剤 として用いた。天然のPG-1(配列番号1)は対照として試験した。
【0160】 6.1 結果 利用率アッセイの結果は下記の表3に示す。利用率の%とは、示されたペプチ ドの血清中での活性を同じペプチドの血清のない条件での活性(その値を100%と した)との比較を意味する。
【0161】
【表3】 表3 50μg/ml ペプチドでのin vitro血清中利用率(%) 利用率(%) ペプチド 大腸菌(E.coli) VRE 天然 PG-1 3 1.6 [5T]PG-1 10 1.6 OGGOTCYCOOOFCVCVGO-NH2 40 9 OTOLCYCOZOFCVCV-NH2 (Z=MeGly) 30 8 OTTLCYCOGOFCVCVGO-NH2 10 3 WTCYCOOOFCVCV 4 2
【0162】 表3にみられるとおり、トレオニンを含有する類似体は天然のプロテグリンPG-
1に比べはるかに高い血清利用率を有していた。
【0163】 トレオニンおよび非アルギニン塩基性アミノ酸を含有する類似体は血清利用率
の最も劇的な増加を示した。
【0164】 7. 実施例:抗微生物活性 数種の例示した本発明のペプチドの、大腸菌(E.coli)ML-35、L. monocytegene
s、緑膿菌((Pseudomonas aeruginosa:Psa)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRS
A)、バンコマイシン耐性enterococcus faecium(VREF)、およびCandida albicans
(C. alb)を含む種々の微生物に対する抗微生物活性を調べた。方法はWO 97/1882
6に記載のものとした。
【0165】 7.1 結果 アッセイ結果は図2-5および下記の表4に示している。
【0166】
【表4】 JはN-ε-トリプトファニルリシン、XはDbu、ZはMeGly、および*はN末端を
(C8H16-C(O)-)でアシル化したペプチドを示す。
【0167】 図2-6および表4にみられるとおり、例示した本発明のプロテグリンペプチドは
種々の病原体に対して天然型プロテグリンPG-1(配列番号1)と同等または天然型 を超える抗微生物活性を示す。
【0168】 8. 実施例:溶血活性 天然型プロテグリンPG-1(配列番号1)および例示したペプチド[5T]PG-1(配列番
号3)、[7T]PG-1(配列番号5)、[14T]PG-1(配列番号6)、および[16T]PG-1(配列番 号8)についてヒト赤血球に対する溶血活性を調べた。メリチン(GIGAVLKVLTTGLPA
LISWIKRKRQQ-NH2;配列番号19)は陽性対照として試験した。そのアッセイでは、
ペプチドの各種の濃度のものをヒト赤血球とインキュベートし溶血の比率を測定
した。
【0169】 8.1 結果 溶血アッセイの結果は図1に示した。トレオニン含有プロテグリンはヒト細胞 に対してメリチン(陽性対照)または天然型プロテグリンPG-1よりはるかに溶血性
が低かった。5μg/mlを超える濃度では試験したトレオニン変異体の全てがメ リチンまたは天然型プロテグリンPG-1より溶血性が低かった。10μg/mlを超え
る濃度ではトレオニン変異体での溶血性の減少はさらに顕著であった。
【0170】 9. 実施例:細胞傷害性 例示プロテグリン[5T]PG-1(配列番号3)、[7T]PG-1(配列番号5)、[14T]PG-1(配
列番号6)、および[16T]PG-1(配列番号8)のME-180(ヒト頸部癌)に対する細胞傷害
性をMTTアッセイを用いて試験した。天然型プロテグリンPG-1(配列番号1)および
メリチン(配列番号19)は陽性対照として試験した。
【0171】 9.1 結果 MTTアッセイの結果は図6および下記の表5に示す。
【0172】
【表5】 表5 MTTアッセイ結果 ペプチド EC50(μg/ml) メリチン (配列番号19) 8.0 天然型PG-1 (配列番号1) 47.2 [5T]PG-1 (配列番号3) 101.3 [7T]PG-1 (配列番号5) 50.4 [14T]PG-1 (配列番号6) 154.8 [16T]PG-1 (配列番号8) 122.6
【0173】 この結果は[14T]PG-1などのトレオニン含有プロテグリンは天然型PG-1および 対照のペプチドであるメリチンに比べ細胞傷害性が低いことを示した。しかしこ
れらのペプチドは天然型PG-1を超える抗微生物活性の維持または改善を示す(図2
-5および表4)。
【0174】 本発明は例示した実施形態、それは本発明の単一の態様を説明することを意図
したものであるが、それによってその範囲を限定されるものではなく、機能的に
等価であるいかなる配列も本発明の範囲内にある。事実、上記の記述に加えて本
発明に種々の改変を加えることは、上述の説明および添付の図から当業者であれ
ば明らかなこととなろう。そのような改変は添付した特許請求の範囲の範囲内に
あることを意図している。
【0175】 本明細書中に引用した参考文献の全てを参照によりその全文を本明細書に組み
入れることとする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 [5T]PG-1(RGGRTCYCRRRFCVCVGR-NH2; 配列番号3;△)、[7T]PG-1(RGGRLCTC
RRRFCVCVGR-NH2; 配列番号5;○)、[14T]PG-1(RGGRLCYCRRRFCTCVGR-NH2; 配 列番号6;◇)、および[16T]PG-1(RGGRLCYCRRRFCVCTGR-NH2; 配列番号8;▽ )のヒト赤血球に対する溶血活性が、天然PG-1(RGGRLCYCRRRFCVCVGR-NH2; 配列
番号1;□)およびメリチン(配列番号19; ●)と比べて、低下していることを
示すグラフである。
【図2】 [5T]PG-1(配列番号3;○)、[14T]PG-1(配列番号6;▽)および[16T]PG-1
(配列番号8;△)の大腸菌ML-35に対する抗微生物活性を、天然PG-1(配列番 号1;●)と比較して示したグラフである。
【図3】 [5T]PG-1(配列番号3;○)、[14T]PG-1(配列番号6;▽)および[16T]PG-1
(配列番号8;△)のP. aeruginosaに対する抗微生物活性を、天然PG-1(配列 番号1;●)と比較して示したグラフである。
【図4】 [5T]PG-1(配列番号3;○)、[14T]PG-1(配列番号6;▽)および[16T]PG-1
(配列番号8;△)のC. ablicansに対する抗微生物活性を、天然PG-1(配列番 号1;●)と比較して示したグラフである。
【図5】 [5T]PG-1(配列番号3;○)、[14T]PG-1(配列番号6;▽)および[16T]PG-1
(配列番号8;△)のL. monocytogenesに対する抗微生物活性を、天然PG-1(配
列番号1;●)と比較して示したグラフである。
【図6】 MTTアッセイで測定したときの、[5T]PG-1(配列番号3;○)、[7T]PG-1(配 列番号5;△)、[14T]PG-1(配列番号6;◇)および[16T]PG-1(配列番号8;
△)のME-180細胞に対する細胞傷害性を、天然PG-1(配列番号1;●)およびメ
リチン(配列番号19;■)と比較して示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/04 C07H 21/04 4H045 C07H 21/04 C07K 7/08 C07K 7/08 C12N 1/21 C12N 1/21 C12P 21/04 C12P 21/04 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 チェン,ジエ アメリカ合衆国 94002 カリフォルニア 州,ベルモント,トレジャー アイランド ドライブ 352 (72)発明者 レリア,ロバート,アイ. アメリカ合衆国 90403 カリフォルニア 州,サンタモニカ,ワシントン アベニュ ー 2730 (72)発明者 ラデル,ペギー,エイ. アメリカ合衆国 94702 カリフォルニア 州,バークレイ,ホプキンス ストリート 1320 Fターム(参考) 4B064 AG01 CA01 CA19 CC24 DA01 4B065 AA01X AA57X AA87X AB01 BA01 CA24 CA44 4C057 BB02 CC03 MM04 MM09 4C084 AA02 BA18 BA23 CA21 DA42 NA07 NA14 ZA332 ZB331 ZB351 ZC552 ZC752 4H011 AA01 AA02 AA04 BB06 4H045 AA10 AA20 AA30 BA16 BA17 CA42 EA29 FA74

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のアミノ酸配列を含む10〜30個のアミノ酸残基から成る
    抗微生物性ペプチド、またはその薬学的に許容される塩、またはそのN末端アシ
    ル化形態、またはそのC末端アミド化もしくはエステル化形態。 (I) X1-X2-X3-X4-X5-C6-X7-C8-X9-X10-X11-X12-C13-X14-C15-X16-X17-X18 〔式中、 C8およびC13は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、存在する場 合は、それぞれが独立してシステイン様、塩基性、小型、極性または疎水性のア
    ミノ酸であり、 C6およびC15は、それぞれが独立してシステイン様、塩基性、小型、極性また は疎水性のアミノ酸であり、 X1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、
    存在する場合は、それぞれが独立して塩基性、疎水性、極性または小型のアミノ
    酸であり、 X7およびX14は、それぞれが独立して疎水性または小型のアミノ酸であり、 X9およびX12は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、 X9〜X12は、式(I)のアミノ酸配列中に含まれるとき、一緒になって逆ターンを
    形成することができ、X9〜X12の少なくとも1個は塩基性アミノ酸でなければな らず、 X16、X17およびX18は、それぞれが独立して存在するかまたは存在せず、存在 する場合は、それぞれが独立して塩基性、疎水性、極性または小型のアミノ酸で
    あり、そして 前記抗微生物性ペプチドを構成するアミノ酸の約15%以上で約50%までは、該
    抗微生物性ペプチドが生理的pHで少なくとも+1の実効電荷をもつように、塩基性
    のアミノ酸である、 ただし、X2、X3、X5、X7、X14またはX16の少なくとも1個はヒドロキシル含有
    アミノ酸である。〕
  2. 【請求項2】 C6、C8、C13およびC15がそれぞれCysであり、Cysは天然型で
    ある、請求項1記載の抗微生物性ペプチド。
  3. 【請求項3】 C末端がアミド化されている、請求項1記載の抗微生物性ペ
    プチド。
  4. 【請求項4】 X2、X3、X5、X7、X14またはX16の少なくとも1個がTである 、請求項1記載の抗微生物性ペプチド。
  5. 【請求項5】 10〜18個のアミノ酸残基から成る、請求項1記載の抗微生物
    性ペプチド。
  6. 【請求項6】 少なくとも1個の塩基性アミノ酸がR以外のものである、請 求項1記載の抗微生物性ペプチド。
  7. 【請求項7】 すべての塩基性アミノ酸がそれぞれ独立してOrn、KおよびDa
    bからなる群より選択される、請求項1記載の抗微生物性ペプチド。
  8. 【請求項8】 X9〜X12が一緒になって3アミノ酸残基のγターンを形成し ている、請求項1記載の抗微生物性ペプチド。
  9. 【請求項9】 X9〜X12が一緒になって4アミノ酸残基のβターンを形成し ている、請求項1記載の抗微生物性ペプチド。
  10. 【請求項10】 前記βターンがZZZG、ZZZF、ZZZY、ZZSG、ZZAL、ZGZL、ZX
    ZF、ZFZL、ZPZV、ZPZF、ZGZY、ZGZF、IZGZ、LZZF、YZZY、ZZZE、YZZVおよびYZGZ
    からなる群より選択され、ここで、XはMeGlyであり、各Zは独立してR、K、Dab、
    DbuまたはOrnのL-またはD-鏡像異性体である、請求項1記載の抗微生物性ペプチ
    ド。
  11. 【請求項11】 およびそのN末端アシル化およびC末端アミド化もしくはエステル化形態からな
    る群より選択され、ここで、JはN-ε-トリプトファニル-リシンであり、XはDbu であり、ZはMeGlyである、請求項1記載の抗微生物性ペプチド。
  12. 【請求項12】 発現を起こさせるための制御配列に機能的に連結された、
    請求項1記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有する、抗微生物性
    ペプチド産生用の組換え発現系。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の発現系を含有する宿主細胞またはその子
    孫。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の宿主細胞を、抗微生物性ペプチドが産生
    される条件下で培養することを含む、抗微生物性ペプチドまたはその前駆体ペプ
    チドの産生方法。
  15. 【請求項15】 前記培養物から前記ペプチドを回収するステップをさらに
    含む、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 請求項1記載の抗微生物性ペプチドおよび少なくとも1種
    の製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有する医薬組成物。
  17. 【請求項17】 請求項1記載の抗微生物性ペプチドおよび少なくとも1種
    の環境上許容される担体、希釈剤または賦形剤を含有する、植物または植物環境
    に適用するための環境用組成物。
  18. 【請求項18】 微生物に、有効量の請求項1記載の抗微生物性ペプチドを
    接触させるステップを含む、微生物の生育の阻害方法。
  19. 【請求項19】 グラム陰性菌の内毒素に、有効量の請求項1記載の抗微生
    物性ペプチドを接触させるステップを含む、前記内毒素の不活化方法。
  20. 【請求項20】 治療に有効な量の請求項1記載の抗微生物性ペプチドを、
    治療の必要な被験者に投与するステップを含む、微生物感染症またはそれに関連
    した疾病を治療または予防する方法。
  21. 【請求項21】 微生物感染症が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) によって引き起こされる、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 微生物感染症がシュードモナス(Pseudomonas)によって引 き起こされる、請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】 微生物感染症がH. ピロリ(H. pylori)によって引き起こさ
    れる、請求項20記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記感染症が抗生物質耐性菌によって引き起こされる、請
    求項20記載の方法。
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