JP2001523499A - スポーツ用履き物 - Google Patents

スポーツ用履き物

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Abstract

(57)【要約】 履き物の甲またはそれに隣接した部分でボールを蹴るのに必要なスポーツ目的用の履き物の改良であって、凹形蹴り面(28)が設けられるように、この履き物には、少なくとも1個の挿入物(24)または付加物が備え付けられ、この挿入物は、この甲またはそれに隣接して、この履き物に装着可能であり、そしてこの甲に沿って、この甲の実質的に前部へと伸長しており、蹴り面(28)の曲率半径は、このボールの半径と実質的に同じであるかまたはそれより僅かに大きく、少なくとも1個の挿入物(24)は、この甲の前部で最大高さであり、この甲の前部での最大高さは、この甲の後部での最大高さと少なくとも同程度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、スポーツ用履き物に関し、特に、この履き物がボールなどを蹴るの
に使用される場合(それに限る訳ではないが)のスポーツ用履き物に関する。
【0002】 (発明の背景) 選手がボールを蹴るスポーツでは、ボールを蹴る人の足を保護する靴またはブ
ーツを使用するのが普通である。スポーツが変わると、その靴またはブーツの性
質は、ボールを蹴る様式および蹴るボールの性質を考慮して、変わる。しかしな
がら、いずれの場合でも、この靴またはブーツは、人間の足の生来の形状に追従
するようにされる。
【0003】 人間の足のうち蹴りを加える部分の形状は、一般に、ボールの形状に合致しな
い。例えば、オーストラリア式フットボール、ラグビーおよびアメリカンフット
ボールのようなスポーツでは、ボールの形状(楕円形である)は、蹴りを加える
足の部分(甲)に一致しない。混乱を避けるために、本明細書全体を通じて、甲
とは、足の上面であり、そして土踏まずとは、足の底面である。甲の先端は、蹴
るとき、長手方向および側方の両方で、本質的に凸状になり、従って、ボールと
の接触は、甲の一部に沿って、狭い帯になり易い。もし、ボールが甲と正しく接
触しないなら、角度を付けて斜めに進み得、その結果、正確な蹴りとはとても言
えなくなる。また、もし、ボールが、甲の高すぎる部分または低すぎる部分のい
ずれかに当たると、ボールの軌道は望ましいものではなくなり、得られる蹴りは
、思っていたほどに有効ではなくなる。
【0004】 円形のボールを使用するサッカーのようなスポーツでは、ブーツの先端、甲、
および足の外側および内側は、全て、踵と同様に、蹴り目的に使用される。再度
、使用する足の部分の形状がボールの形状と一致しないという問題があり、従っ
て、その接触面は、極めて限られている。このことは、ボールを望ましい場所に
望ましい軌道で進めるには、常に有効である訳ではない。
【0005】 これらのスポーツの熟練選手は、殆どの場合、極めてうまくボールを処理でき
ているものの、要求された結果をいつでも達成できる選手はいない。
【0006】 (従来技術の考慮) GB2,060,351Aの明細書では、平面状部分11を有するスポーツブ
ーツが開示されており、この部分は、比較的に厚く、ブーツ10に一体的に組み
込まれている。これは、平坦な蹴り面14を有しており、これは、このブーツの
先端から、甲全体を覆って、足首領域まで伸長している。これは、平坦な領域を
提供し、従って、(蹴りが甲の中心から僅かに外れていることによる)ひどく不
正確な蹴りの数を少なくする傾向にあるものの、蹴りを正確にするためにボール
を”カップ状に取り囲む(cup)”ことはない。さらに、それは、比較的に厚
い部品であるので、柔軟ではない。それは、足指から甲の先端まで伸長している
ので、このことは、足指を曲げたり足を屈曲できないことから(これらの動作は
、走るのに必要である)、このような靴を着用している選手が正常な様式で歩い
たり走ったりできないことを意味する。その唯一の目的は、蹴りのためにある。
従って、それは、ラグビーのようなスポーツでのプレースキックに適当であるに
すぎない。この明細書は、その蹴り面が僅かに凹形であり得ることを開示してい
るものの、蹴ったときに大きな精度を与えるために、ボールの”カッピング(c
upping)”という発想を開示していない。
【0007】 さらに別の開示は、EP0,359,082A2の明細書にある。ここでは、
隆起部(これは、甲のいずれかの側に配置されており、そして甲の長さにわたっ
て伸長しいる)を有するスポーツ靴が開示されている。各隆起部は、ボールと接
触する上端を有し、その運動量が2個の接触端面の間にあるようにされる。これ
らの隆起部の1個は、他の隆起部よりも高く、その結果、この靴の案内性は、中
心通過が行われるとき、高くなる。さらに、これらの隆起部は、その長さに沿っ
て、一定の高さではない。それらは、(足指に隣接した)甲の前部において、比
較的に低い高さで開始し、甲に沿って、高さが増している。従って、それらの最
大高さ(それゆえ、精度)は、甲の前部(この場所で、強力な蹴りの殆どが起こ
る)ではなく、装着者の足首に隣接して生じる。また、これらの隆起部は、この
靴の上部の一体化部分として形成されたポケットに配置される。さらに、ボール
は、これらの隆起部の上面およびカッピング効果を与える足の甲と接触するより
もむしろ、これらの隆起部の縁部と接触する。カッピング効果は、ずっと大きい
蹴りエネルギーをボールに与えて、ボールに大きな案内を提供する。
【0008】 従って、本発明の主要な目的は、ボールを蹴る際に使用するためのスポーツ目
的用の履き物の改良を提供することにあり、この場合、この履き物の主要な接触
表面領域は、ある程度、ボールの形状に対応するようにされ、それにより、蹴る
とき、より確実な結果が得られる。
【0009】 (発明の簡単な説明) 上記目的および他の目的を考慮して、本発明は、履き物の甲またはそれに隣接
した部分でボールを蹴るのに必要なスポーツ目的用の履き物の改良であって、蹴
り面(これは、凹形上面を有する)が設けられるように、この履き物には、少な
くとも1個の挿入物または付加物が備え付けられ、この挿入物は、この甲または
それに隣接して、該履き物に装着可能であり、この凹形上面の曲率半径は、この
ボールの曲率半径と実質的に同じであるかまたはそれより僅かに大きく、この少
なくとも1個の挿入物は、この甲の前部で最大高さであり、それは、この甲の後
部での最大高さと少なくとも同程度である。
【0010】 好ましくは、この少なくとも1個の挿入物は、実質的に三角形の形状の前面を
有する。さらに好ましくは、この前面は、凹形であり、この前面は、このボール
の曲率半径と実質的に同じであるかまたはそれより僅かに大きい曲率半径を有す
る。さらに好ましくは、この前面は、上部先端を有する。
【0011】 有利には、この少なくとも1個の挿入物は、その長さに沿って、実質的に一定
の高さである。
【0012】 さらに、この少なくとも1個の挿入物は、側面を有し得、これもまた、凹形ま
たは平坦であり、この側面の曲率半径は、好ましくは、このボールの曲率半径と
同じであるかまたはそれより僅かに大きい。
【0013】 有利には、この少なくとも1個の挿入物は、この履き物と一体化されている。
あるいは、この少なくとも1個の挿入物は、この履き物に取り外し可能または固
定可能に装着できる別個の部品である。さらに有利には、この少なくとも1個の
挿入物は、垂直断面でほぼ三角形である。あるいは、1個の挿入物が存在し、こ
れは、ほぼM形である。
【0014】 (好ましい実施態様の説明) 発明が充分に理解できるようにするため、限定しない実施例によって、本発明
の主要な特徴に、図面に記載の符号を組み込むことにより履き物の品目の好まし
い構成を説明する。
【0015】 サッカーのような球技をするとき、その選手は、異なる蹴り動作を行なうため
に、ブーツの異なる部分を使用する傾向にある。例えば、それ程パワーを要しな
いが多大なコントロールを必要とする短い蹴りには、足の親指丘(ball)の
側面、足指、および足の親指丘の外側が使用され得る。足のこの部分では、感触
が大きく、従って、選手は、多大なコントロールが得られる。強力な蹴りが必要
なときに使用するのは、通常、足の甲である。何故なら、この部分は、足のこの
部分の硬い性質および皮膚の下にある一般に骨張った構造を特に考慮すると、蹴
るときに多大なパワーを与えるからである。この部分は、ブーツ(これもまた、
比較的に硬い)の靴紐の下にある比較的に硬い表面を与えて、硬い蹴り面を設け
てボールに最大の蹴りエネルギーを与え、それにより、できるだけ遠い距離にボ
ールを投げ出すようにする。また、甲の異なる部分を使用することにより、ボー
ルは、異なるスピン量を伴って、異なる様式で方向付けできる。これは、一般に
、甲の上部(足首に近いところ)ではなく、甲の下部でなされる。さらに、時に
は、足の踵が蹴り目的に使用される。いずれの場合でも、この靴のこれらの部分
では、最新の履き物は、ほぼ凸面のものを有する。ボール自体もまた、凸形であ
る。
【0016】 全ての図面において、ボールの一部は、それが関係している場合、目立たせて
示されている。
【0017】 図1〜3を参照すると、履き物の品目の第一実施態様が示されており、これは
、靴底10を有し、これは、多数の段差、小枝部、または他の適当な突起部がそ
こから垂れ下がっている。これらは、主に、この履き物を競技場で使用するとき
、着用者にグリップを与えることを目的としている。
【0018】 この靴は、ほぼ公知構造の上部14を有し、これは、ヒール16、足受容開口
部18、および舌革20を有する。靴紐など22が設けられ、これは、この靴を
着用者の足の上に配置できるように、緩めることができ、次いで、この履き物を
着用者の足で保持することができるように、締めることができる。ヒール16は
、図2から明らかなように、好ましくは、ある程度凹形である。
【0019】 靴紐22のいずれかの側面では、この靴から長手方向に、挿入物または付加物
24が伸長しており、これは、この場合、この靴と一体化されているが、先の説
明から明らかなように、この靴に取り外し可能または固定可能に装着できる別個
の部品として、作製され得る。これらは、図3ではっきりと見える。挿入物24
の各々は、ある程度三角形の形状であり、そして外面26および上面28を有す
る。外面26および上面28の形状は、プレーする競技の性質に適合するように
、変えることができる。
【0020】 例えば、サッカー競技では、外面26は、サッカーボールの曲率半径と近似し
た曲率半径で曲げるべきである。このようにして、外面26は、上面14のうち
外面26の直下の部分と合体して、ボールの半径と実質的に同じかまたはそれよ
り僅かに大きい半径の側面主要蹴り領域を形成する。従って、この側面主要蹴り
領域は、以前に利用できた領域よりも著しく大きくした領域である。ボールが”
カップ状に取り囲まれる”(cupped)とき、足の側面を用いて、改良され
た蹴り精度が得られる。外面26、および多分、上部14の関連部分は、ボール
に対してさらに大きなグリップを可能にするように、適当な処理を施し得る。従
って、蹴ったとき、さらに大きな距離が生じるだけでなく、ボールには、さらに
大きなスピンを与えることができる。
【0021】 理解できるように、上面28は、サッカーボールを、この靴との衝突時にて、
挿入物24の上面28および靴紐部分22により形成される谷27の表面内に配
置してそれと接触できるように、またはこの靴との衝突時にて、1個の挿入物2
4の頂点から反れて(on deflection off a peak)谷
27に入るように、このサッカーボールの半径と同じかまたはそれより僅かに大
きい曲率半径を有する凹部である。挿入物24の上面28の曲率半径は、サッカ
ーボールの曲率半径と同じかまたはそれより僅かに大きい。挿入物24は、この
靴と組み合わせて、この靴に接触するボールを” カップ状に取り囲む”。
【0022】 側面26および上面28の曲率半径は、それにより形成された” 谷”にボー ルが入って、それにより、その関連表面によって” カップ状に取り囲まれる” ように、ボールの曲率半径と同じかまたはそれより僅かに大きい必要がある。も
し、これらの表面の曲率半径が、このボールの曲率半径未満であるなら、ボール
は、この谷に入ってこれらの表面によりカップ状に取り囲まれることができなく
なる。それは、これらの表面の間で規定されている縁部と接触して、それにより
、衝撃表面積が小さくなる。もし、これらの表面の曲率半径が、ボールの半径よ
りも著しく大きいなら、ボールは、この凹面の一部とだけ接触でき、それゆえ、
所望の軌道から反れることができる。
【0023】 挿入物24は、上部14からこの靴の足指領域32へと下に伸長している。挿
入物24は、それらの長手範囲全体にわたって、比較的に一定の垂直断面である
。挿入物24は、その甲に沿って、甲のほぼ前端へと伸長しているのが好ましい
。着用者の足の形状の多様性(これは、このブーツの上部の形状に変化を起こし
得る)のために、一定高さが達成できない場合がある。従って、このことから、
従って、挿入物24は、その長さに沿った高さの僅かな変化を起こし得る。この
甲の下部において最大高さにすることにより、この靴のうち” カッピング”効 果が必要な領域(この場所にて、” パワー”蹴りの殆どが行われる)において 、ボールに対して最大の” カッピング”効果が達成される。パワー蹴りが行わ れるとき、ボールは、通常、大きな距離にわたって投げ出されると予想される。
本発明を使用することにより、さらに大きな距離にわたって、精度に関して大き
なコントロールが達成でき得る。明らかに、もし、ボールが40または50メー
トルの距離を移動するなら、蹴ったときに数度の誤差があると、このような距離
にわたって、ボールは、数メートル外れる。これにより、目標とされた選手は、
素早く動かなければならなくなるか、または相手チームの選手にボールを向ける
おそれがある。従って、この靴において、パワー蹴りが起こる場所では、挿入物
24は、最大高さであり、従って、最大カッピング効果を与える。それらは、甲
の上部に向かって(着用者の足首(ここでは、最小の蹴りが起こり、従って、こ
れらの挿入物は、最大高さである必要はない)に近づいて)、高さについて、下
向きにテーパを付け得る。
【0024】 望ましいなら、着用者の足指のすぐ上の部分(これは、一般に、34として示
されている)は、拡大した幅および/または凹形状であり得、通常の蹴り位置の
とき、着用者の足は、この履き物と合体して、再度、大きくした主要蹴り領域を
設け、それにより、この蹴りの効率および精度を高めるようにされる。主要スポ
ットまたはスイートスポットとして知られている一般領域36もまた、競技およ
び/またはボールに依って位置が変わるが、利用できる。これは、領域36の上
の甲領域およびその下の足指領域が、挿入物24と一緒になって、ボールの表面
と直接接触する大きな主要蹴り表面領域を与えるからである。
【0025】 挿入物24は、必要なら、平行または分岐であり得る。
【0026】 当然のことながら、蹴るときに、ボールに対して大きなグリップが得られるよ
うに、挿入物および/または上部14の外面26、28の上には、表面処理を施
し得る。
【0027】 挿入物24の範囲および形状は、プレーする競技の性質に依って変わり得る。
図4から明らかなように、挿入物24aは細長くされ、そして実質的に凹形の領
域26(これもまた、蹴るボールとほぼ同じ曲率半径である)を設けるために、
さらに連続した様式で、この靴の甲に沿って、この足指領域へと伸長している。
この形式を用いると、着用者の足が充分に屈曲性を有することができるように、
挿入物24のうち、高さを低くした領域38が存在し得る。図示したこの形状の
履き物は、一般に、オーストラリア式フットボール、アメリカンフットボールお
よびラグビーのような競技(この場合、楕円形のボールを使用する)向きである
【0028】 領域38はまた、挿入物24を欠いていてもよく、選手は、運動融通性が充分
であり、それにより、走っているときに、正常な様式でこの靴を使用できるよう
になる。
【0029】 これにより、挿入物24aの各々にて、前端または表面40が作成される。図
示しているように、表面40は、各挿入物24aの縁部にて、略三角形である。
その三角形の表面40は、上部先端42を有する。表面34と共に、表面40は
、この靴の足指領域にて、” カップ”効果を生じ、それにより、ボールとの接 触表面積を大きくする。それはまた、硬い表面を提供し、これは、この蹴りから
ボールへと大きなエルネギーを与え得る。それにより、また、上部先端42がボ
ールと接触することによって、ボールにさらに大きなスピンを与えることが可能
となる。
【0030】 これは、図5および6でさらに図示されており、この場合、図5では、挿入物
24bは、上部先端42bと共に前面40bを有するとして、示されている。こ
の図から分かるように、上部先端42bは、蹴ったときに、ボールの表面に”埋
め込んで(dig into)”、それにより、ボールにさらに大きなスピンを
与え易い。使用できる両方の上部先端42bを用いて、選手は、所望のスピンを
与えるために、その足の方向をコントロールできるようになる。それには、また
、ボールの表面がこの靴のさらに大きな表面領域と接触するように、足指部分3
4bに凹形”カップ”が設けられる。
【0031】 図6では、挿入物24cは、前面40cを有し、これは、それ自体、ある程度
凹形である。表面40cの曲率半径は、ボールの曲率半径と同じかまたはそれよ
り僅かに大きい。このようにして、ボールに対する”カッピング(cupping)”効 果が著しく高まる。しかしながら、上部先端42cは、依然として存在し、従っ
て、依然として、ボールを蹴るとき、ボールをスピンさせる高い性能を与えるた
めに、また、”ピーンという音がする”(ping)ように、上部先端42cを
使用することが可能である。
【0032】 この効果は、このブーツのいずれかの側面にて、異なる挿入物24の高さを変
えることにより、大きな利点を与えるために使用できる。図7および8は、図3
とある程度類似した図であるが、この靴の足指に向けて見ている断面である。
【0033】 図7では、左挿入物24dは、高さを高くして作製されており、そして右挿入
物24eは、高さを低くして作製されている。このようにして、各々は、異なる
高さの前面40(これらの図面では図示せず)および先端42(これもまた、図
面では図示せず)を有する。このようにして、蹴ったときのボールに対する効果
は、このブーツのいずれかの側面にて、異なるようになる。図7で示した異形で
は、選手は、右側よりも左側にて大きな接触面積で、また、右側よりも左側に対
して前面40および先端42の効果が大きく、ボールを蹴ることができるので、
ボールは、空中を移動するとき、左側から右側へと曲がり易いように、時計方向
で著しいスピンを与える。このことは、サッカー競技において、例えば、左ウイ
ングがこのようなブーツを右足に履いて、ゴールに向けて蹴ったとき、依然とし
て、左側から右側へとボールの向きを変えることができる場合にて、非常に有利
である。これは、選手がボールを蹴ったときに生じる普通のカーブとは反対であ
る。
【0034】 同様に、図8の実施態様は、著しく高さを低くした左挿入物24fおよび高さ
を高くした右挿入物24gを示している。このようにして、図8の例を用いて、
このブーツを右足に履いた選手は、反時計方向にボールに大きなスピンを与え易
く、それにより、ボールは、飛行中に、右側から左側へと曲がる。従って、これ
は、右ウイングに適しており、彼は、ゴールに向かってボールの向きを非常に効
果的に変えることができるように、ボールに対して大きな湾曲を与えることがで
きる。
【0035】 もしかしたら、プレースキックからゴールを目指して蹴るラグビーのような競
技では、図7で示したようなブーツは、装着者が左足に履いたとき、競技場の右
側から蹴るとき効果的であり、それにより、ボールは、センターラインの方へと
向きを変えてゴールに近づいて、得点する最大の機会を与えるかも知れない。同
様に、図8のブーツは、競技場の左側から蹴るとき、プレースキックで右足蹴り
の選手の右足に装着して、それにより、ボールがゴールに近づく角度を小さくし
て、その結果、ボールは、完全に開いた状態のゴールを効果的に見通すので、そ
れにより、得点の機会を高めることができる。
【0036】 このようなブーツには、簡単に再装填される縛りまたは固定システムを備え付
け得、例えば、ラグビーのような競技では、プレースキックを行う選手は、ブー
ツをこのようなブーツ設計(これは、ゴールに向かってキックを行うとき、大き
な効果がある)へと非常に迅速に変えることができるようになる。ラグビー競技
では、そのための充分な時間が許される。
【0037】 靴紐22のいずれかの側面に挿入物24を存在させることが好ましい。図示し
ているように、これらは、この履き物と一体化している。しかしながら、それら
は、別個の品目(これは、”ベルクロ(Velcro)”または他の適当な様式
で、この靴紐穴を通っておよび/またはこの靴の回りに固定することにより、こ
の履き物に装着できる)として、作製され得る。
【0038】 さらに、挿入物24は、その底面および/または上面28に余分な層を追加す
ることにより、高さを調節可能にし得る。また、表面26、28の処理の性質は
、異なる天候、グランドの状態、またはプレーする競技のスタイルを考慮して、
変えることができ得る。これは、接着剤、ネジ、クリップ、”ベルクロ”、革紐
などにより、達成され得る。
【0039】 もし、望ましいなら、各挿入物24の下面は、1個またはそれ以上の突起部を
有し得、これらは、上部14の対応したサイズおよび形状の穴を通って、ボール
の”感触”を着用者の足に直接転移できるようにする。
【0040】 この靴の上部14は、その外面にて、高くした突起部の形状で、表面処理を有
し得る。これらは、表面作成の一部として別々に配置された楔の形状で、設けら
れ得る。これらは、この表面と一体化される(これらは、この表面の成形中に製
造される)か、または後で付け加え得る。他の形状の表面処理は、例えば、一連
の細かい長方形の格子形状である表面を設けることにより、行われ得る。これら
は、ボールに対してさらに多くのコントロールを行うことができるように、蹴る
ときにボールの表面にさらに大きなグリップを与えることを目的にしている。そ
れらはまた、ボールにさらに大きなスピンを与えるのに使用できる。この表面処
理は、この靴の全表面領域にわたって、またはボールを蹴るときに通常使用する
靴の側面だけにおいて、伸長し得る。さらに、それは、異なる材料(例えば、こ
のような表面がないときに可能なよりもずっと多くのグリップをボールに与える
ことができるように、粘着性または触感を有するゴム)から製造され得る。
【0041】 今ここで、図9の実施態様を参照すると、ワンピース構造の形状で略”M”形
の挿入物が示されている。従って、上面928は、この挿入物だけによって形成
されている。上面928の曲率半径は、蹴るボールの曲率半径と同じかまたはそ
れより僅かに大きい。この図から分かるように、挿入物924の高さは、その長
さに沿って比較的に一定であり、従って、挿入物924の前部では、再度、最大
”カッピング”効果が生じ、この靴のうちパワー蹴りが行われる(それにより、
精度が最も要求される)部分では、最も高い精度を与えることができるようにな
る。このようにして、上面928は、ボールの表面と一致する。
【0042】 これにより、また、足からボールへの最大のエネルギー伝達を起こすことが可
能となる。挿入物上面928の形状は、ボールの関連部分の形状と同じであるの
で、蹴った瞬間のボールの外面の歪みは最小であり、従って、その蹴りエネルギ
ーは、ボールの外面の歪みよりもむしろ運動の形状で、ボールに伝達される。そ
のようにして、さらに大きな精度が達成され得るだけでなく、大きな距離も実現
できる。
【0043】 これはまた、先に記述した実施態様にも適用される。
【0044】 また、図9の実施態様は、前面940にて、図5、6、7および8で示したも
の(類似の理由のために、これらの実施態様について記述したもの)と同じ特徴
を有し得る。
【0045】 特定の実施態様では、その性質によって、靴紐922は、挿入物924の側面
に沿っており、従って、挿入物924の一端931に沿って、複数の穴929が
設けられており、靴紐922が、この靴を通常の様式で締めたり緩めることが可
能なように、そこに通すことができるようにされる。
【0046】 今ここで、図10を参照すると、第8の実施態様が示されており、この実施態
様では、通常のフットボールシューズ形状の靴が存在し、従って、詳細には記述
しない。しかしながら、それは、この靴を着用者の足に固定するのに使用される
靴紐522を有し、靴紐522は、紐穴523に通される。
【0047】 この形状では、一般に521として示す挿入物は、図9の実施態様のように、
断面がある程度”M”形状である。それは、谷527を作っている上部リッジ5
24を有し、この谷は、凹形であり、そして蹴るボールの半径と同じかまたはそ
れより僅かに大きい半径である。再度、それは、前面540を有し、これは、再
度、ボールの曲率半径と同じかまたはそれより僅かに大きい曲率半径で曲げられ
ている。
【0048】 この靴に挿入物521を固定するために、挿入物521の側面527または下
面539のいずれかから突出している複数のフック535が存在する。このよう
にして、フック535は、この靴に挿入物521を固定できるように、紐穴52
3に引っかかる。
【0049】 挿入物521は、僅かに弾力性の材料から製造して、この挿入物が僅かに伸展
して、それにより、紐穴523に入れたとき、張力を受けたフック525を有す
るのが好ましい。さらに、それにより、着用者の足の形状に依存して、この靴の
一方の側から他の側へと、異なる離間距離の紐穴523について調節することが
可能となる。
【0050】 フック535は、側面537または下面539から伸長できる。それらは、長
さが異なり得、または異なる足形状の人が、その足の形状に適合するために、異
なる長さのフックを有することができるように、挿入物521に解除可能に装着
可能であり得る。フック535は、(図示しているように)上方に向けられ得ま
たは下方に向けられ得る。それらは、異なる長さであり得る可撓性コード(図示
せず)によって、この挿入物に装着され得る。
【0051】 挿入物521は、中実構造、中空または半中空であり得る。
【0052】 今ここで、図11〜13の実施態様を参照すると、挿入物60を装着したまた
は装着可能な比較的に通常の形状の靴が示されている。挿入物60は、先の実施
態様のものとほぼ同じ構造である。このようにして、それは、ボールの曲率半径
と実質的に同じかまたはそれより僅かに大きい曲率半径の谷62を有する。谷6
2は、挿入物60の全長にわたって伸長している2個のリッジ64により、作成
される。各側面には、先端66が設けられ、リッジ64は、先端66から2方向
で、下向きにテーパを付けられている。これらのうちの第一のものは、一般に、
68として示され、そして外向きにテーパ状となって、この挿入物のその側の下
端70と合流している。それは、縁部70および前端72とも合流する点まで、
テーパ状となっている。
【0053】 他のテーパ付きリッジは、一般に、74として示され、そして下方であるが谷
62の中心に向かってテーパが付けられている。これは、従って、三角領域76
を作り、これは、ある程度前方およびある程度側方に面している。これは、多大
なスピンを与えるが大きなパワーを要しない様式でボールを蹴るときに、有利で
ある。このようにして、ボールは、湾曲され得る。三角領域76は、ほぼ凹形の
形状であり、その曲率半径は、好ましくは、ボールの曲率半径と実質的に同じか
またはそれより僅かに大きい。当然のことながら、これは、挿入物60の両側で
繰り返される。
【0054】 挿入物60の頂端78は、ある程度凹形であるが、下端80は、一般に、凸形
であり、その結果、この挿入物は、この靴にぴったりと嵌め込まれる。
【0055】 この谷の”床部”は、2個のリッジ74間の部分であるが、前端80が最小の
厚さであるように、比較的に薄い。
【0056】 しかしながら、図12および13から分かるように、図13が、リッジ64の
1個に沿った断面図である場合、リッジ64に沿った挿入物60の高さまたは厚
さは、挿入物60の前面に向かって大きくなる。あるいは、それは、この挿入物
の前部から後部へと小さくなっていると言える。これは、最大効果が必要な場合
に、”カッピング”効果が最大となるようにされる。
【0057】 もし、望ましいなら、その間に任意の靴紐を置く目的のために、下端70に隣
接して、挿入物60の各側面に沿って、複数の穴82が設けられ得る。
【0058】 挿入物60の長さに沿って、谷62の”床部”でのこの挿入物の厚さは、もし
、望ましいなら、最小であり得る。
【0059】 上記挿入物は、以下の多数の変化する性質に合うような形状にするのが好まし
い: 1.人間の足の形状; 2.使用する種々のボールの一定曲線または半径(radiature);お
よび 3.足の甲に沿って正しい位置で最大有効性を有する必要性。
【0060】 人間の足の形状が、人ごとに、また、個人の左足から右足へと変わり得るので
、この挿入物を、一定形状から作成すること、および足の形状の変化に吸収でき
る性能を備えた媒体をそこに充填することが望まれ得る。これは、この挿入物を
中空構造として製造することにより作成され得、この挿入物の中空構造を満たす
充填媒体を存在させて、そしてこの充填媒体が人間の足の形状の変化(従って、
この靴(これは、本質的に、足の形状に追従する傾向にある)の形状の変化)を
補償することができるように、この靴の上面との接触を与える。このことは、空
気(空気袋中の)、発泡体、またはゲル(これは、一旦、適当な位置に置くと、
硬化できる)のような空隙充填媒体を使用することにより、達成され得る。同じ
ことは、発泡体にも当てはまる(それは、この変化形状が調整できるように、そ
の場で硬化できる)。このことは、この挿入物が(靴紐を使用する図9の実施態
様のように)一側面に沿って装着され、そしてこの靴の上部に配置され付着され
るように、使用者が使用できる適切な機構を設けることにより、達成され得る。
この空気は、空気調節可能スポーツ靴用の公知技術と類似の様式で、添加できる
。このゲル、発泡体などは、適切な硬化剤も注入して、注入できる。これは、適
切な手段を与え、この手段により、この発泡体またはその硬化剤は、この挿入物
と靴の上部との間の空隙を満たすように挿入して空隙充填材料を形成し、その結
果次いで、選手は、この挿入物付きの靴を容易に着用でき、そして完全な適合に
できるだけ近くできる。
【0061】 一部の選手は、ボールに対する最大の跳ね返りまたはエネルギー付与が得られ
るように、極めて硬い空隙充填材料を望んでいる場合がある。これは、例えば、
蹴るときに大きな距離が要求されるゴールキーパーに有用であり得る。ボールを
もっとコントロールしたいストライカーなどには、少ない硬化剤を使用すること
により、僅かに硬くない硬化が達成でき、それにより、ボールのさらに大きなコ
ントロールが得られる。
【0062】 従って、所望の要求された弾力性または硬度/柔軟性を得るために、硬化剤の
注入または混合により、成形し引き続いて硬化する性能によって、依然として、
所望の性能効果を備えつつ、全ての形状のフットボール靴を、この挿入物に適合
するように、また、個人の足およびその輪郭の合理的な変化を考慮するように作
製することが可能となる。これは、この挿入物以外の他の装置と共に、または他
の形状の靴(例えば、ランニング靴、自転車に乗るための靴、または他の形状の
スポーツ靴、または靴一般)に使用でき、その結果、この靴では、足の形状の変
化が許容できるようになる。
【0063】 本明細書中で開示し規定した本発明は、ここで述べた個々の特徴または教本若
しくは図面から明らかな個々の特徴の2つまたはそれ以上の全ての代替的な組合
せへと拡張されることが理解できる。これらの異なる組合せの全ては、本発明の
種々の代替的な局面を構成する。
【0064】 ”包含する”またはその文法的な異形が本明細書中で使用されている場合、そ
れは、”含有する”との用語と等価であり、他の要素または特徴の存在を排除す
るものと見なされないこともまた、理解できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の主要な特徴を包含する履き物の品目の上部斜視図である。
【図2】 図2は、図1の履き物の品目の後下から見た斜視図である。
【図3】 図3は、図1および2の履き物の品目の垂直断面図である。
【図4】 図4は、本発明の主要な特徴を包含する履き物の品目の第2実施態様の斜視図
である。
【図5】 図5は、本発明の主要な特徴を包含する履き物の品目の第3実施態様の側面図
である。
【図6】 図6は、本発明の主要な特徴を包含する履き物の品目の第4実施態様の側面図
である。
【図7】 図7は、本発明の第5実施態様の履き物の品目の一部の垂直断面図である。
【図8】 図8は、本発明の第6実施態様の履き物の品目の一部の垂直断面図である。
【図9】 図9は、本発明の第7実施態様の斜視図である。
【図10】 図10は、本発明の第8実施態様の分解斜視図である。
【図11】 図11は、本発明の第9実施態様の平面図である。
【図12】 図12は、図11の実施態様の概略側面図である。
【図13】 図13は、この第9実施態様の部分断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 PP 3562 (32)優先日 平成10年5月19日(1998.5.19) (33)優先権主張国 オーストラリア(AU) (31)優先権主張番号 PP 4200 (32)優先日 平成10年6月18日(1998.6.18) (33)優先権主張国 オーストラリア(AU) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW 【要約の続き】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 履き物の甲またはそれに隣接した部分でボールを蹴るのに必
    要なスポーツ目的用の該履き物の改良であって、凹形蹴り面が設けられるように
    、該履き物には、少なくとも1個の挿入物または付加物が備え付けられ、該挿入
    物は、該甲またはそれに隣接して、該履き物に装着可能であり、そして該甲に沿
    って、該甲の実質的に前部へと伸長しており、該蹴り面の曲率半径は、該ボール
    の半径と実質的に同じであるかまたはそれより僅かに大きく、該少なくとも1個
    の挿入物は、該甲の該前部で最大高さであり、該甲の該前部での該最大高さは、
    該甲の後部での最大高さと少なくとも同程度である、 履き物の改良。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも1個の挿入物が、実質的に三角形の形状の前
    面を有する、請求項1に記載の履き物の改良。
  3. 【請求項3】 前記前面が、凹形であり、該前面が、前記ボールの曲率半径
    と実質的に同じであるかまたはそれより僅かに大きい曲率半径を有する、請求項
    2に記載の履き物の改良。
  4. 【請求項4】 前記前面が、上部先端を有する、請求項2または3に記載の
    履き物の改良。
  5. 【請求項5】 2個の挿入物が存在し、該挿入物が、前記甲の長手軸に略平
    行な間隔を開けた関係で、該長手軸のいずれかの側にて、該履き物に装着されて
    いるかまたは装着可能である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の履き物の改
    良。
  6. 【請求項6】 前記少なくとも1個の挿入物が、ほぼ三角形の垂直断面であ
    る、請求項1〜5のいずれかに記載の履き物の改良。
  7. 【請求項7】 1個の挿入物が存在し、該挿入物が、ほぼM形である、請求
    項1〜6のいずれか1項に記載の履き物の改良。
  8. 【請求項8】 前記少なくとも1個の挿入物が、前記履き物と一体化されて
    いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の履き物の改良。
  9. 【請求項9】 前記少なくとも1個の挿入物が、前記履き物に取り外し可能
    または固定可能に装着できる別個の部品である、請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の履き物の改良。
  10. 【請求項10】 前記少なくとも1個の挿入物が、凹形側面を有し、該凹形
    側面の曲率半径が、前記ボールの曲率半径と同じであるかまたはそれより僅かに
    大きい、請求項1〜9のいずれか1項に記載の履き物の改良。
  11. 【請求項11】 前記少なくとも1個の挿入物が、その長さに沿って、実質
    的に一定の高さである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の履き物の改良。
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