JP2001511405A - 外部誘導管をもつ小径心内膜リード - Google Patents

外部誘導管をもつ小径心内膜リード

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JP2001511405A
JP2001511405A JP2000504910A JP2000504910A JP2001511405A JP 2001511405 A JP2001511405 A JP 2001511405A JP 2000504910 A JP2000504910 A JP 2000504910A JP 2000504910 A JP2000504910 A JP 2000504910A JP 2001511405 A JP2001511405 A JP 2001511405A
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Abstract

(57)【要約】 ヒトの心臓への心内膜固定に適合した集成リード(10)が提供される。集成リードは、心臓刺激器(18)への電気的接続のためのコネクタ(16)を備えた近端(14)を有するリード体(12)を含む。心臓刺激器は、ペースメーカー、電気徐細動器/細動除去器、または検知器であってもよい。リード体の遠端は電極ハウジング管(22)に接続される。リード体(12)は長さが同じ絶縁スリーブ(26)で囲まれた非コイル巻導電体ケーブル(24)からなる。従来のリードとは対照的に、発明のリード体はコイル巻導電線または内腔を必要としない。リード体の操作はリード体外部から誘導管により行われる。直径が0.25mm以下のリード体を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は概括的には心臓刺激リードに関し、さらに詳しくは、非常に細い非コ
イル巻導電体ケーブルを収めているリード体及び外部誘導管を用いる埋込可能心
臓刺激リードに関する。
【0002】 従来の技術 埋込可能心内膜刺激リードの出現以前は、心律動異常に苦しむ患者に永久的ま
たは半永久的な電気生理学的治療を施すための選択肢を外科医及び心臓病専門医
はわずかしかもっていなかった。薬物療法及び矯正手術が不適切であると判定さ
れた場合には、外部の、後には埋込可能となった、パルス発生器とともに用いら
れる心外膜リードが標準の臨床的手法を代表していた。心臓内深くの極めて局所
的な点における電気信号伝搬の混乱からおこる不整脈をもつ多くの患者にとって
、心外膜刺激は事実上妥協的処置でしかなかった。
【0003】 経静脈埋込が可能な心内膜リードの導入は、多くの心律動異常患者に恩恵を与
えた。以前は胸骨正中切開すなわち開胸手術が必要とされ、心内膜起因機能不全
に対して心外膜刺激に頼らざるをえなかった多くの人々に、リード電極をさらに
正確に布置できることによりさらに良好な治療をうけられる可能性だけでなく、
美容上もさらに好ましい結果が得られることが約束される経静脈リードと組み合
せられた皮下埋込心臓刺激器を与えることができた。心内膜リードにともなう無
数の利点にも関わらず、多くの患者での使用には常にトレードオフがともなう。
一方で、経静脈埋込可能リードは美容上より好ましい結果及びより正確な不整脈
治療の可能性を患者に与える。他方では、心臓血管系に挿入されたいかなる異物
とも同様に、経静脈心臓リードは正常な血流及び、おそらくは、1つ以上の心臓
弁の正常な動作に対する障害となる。患者の心臓血管系の一部の上記部分的閉塞
は、血流量を減少させるだけでなく微小塞栓を形成させることもある。
【0004】 ほとんどの患者では、心内膜リードにともなう医療上の利点が、付随する正常
な血流への障害よりはるかに上回っている。しかし、中には収支計算がはっきり
しない患者もいる。小児患者では、血管が従来の埋込可能リードを入れるには単
に細すぎることが多く、また、こうした若い患者は血流量の減少及び/または弁
機能の低下にうまく順応することがほとんどできないことが多い。同様に、疾病
、傷害、あるいは何か別の機構により生じた血管閉塞及び/または弁膜侵食を示
す患者は、経静脈埋込リードの対象者としてふさわしくはないであろう。上記の
タイプの事例では、おそらく心外膜リードが不整脈患者に対する唯一の実行可能
な解決策であろう。ある与えられた血管の従来の心内膜リードにより妨げられる
血流領域の大きさはリード体の直径の関数である。初期の心内膜リードの構造は
、パルス発生器への接続のためのコネクタを近端に、また心臓に信号を伝達する
ための電極を遠端に含む細長いリード体からなっていた。このリード体は、電極
からコネクタまで達するコイル巻導線を被覆する絶縁スリーブ管からなっていた
。導線は、中心に配置された内腔を残し、これを通してリードを操作するための
スタイレットを挿入できるように、らせん状にコイル巻きされていた。上記構造
の最小全直径は、内腔直径と導線の直径の2倍と及びスリーブ壁体厚の2倍との
和が限度である。初期の双極型に変えられたリード体では、2本のコイル巻導線
がそれぞれの内腔に別々に配置されて収められていた。この場合、最小直径はそ
れぞれの内腔直径と導線直径の2倍とスリーブ壁体厚の2倍との和の関数である
。直径8フレンチ(約3mm)(1フレンチ=mmで表わした直径×3)は珍し
くはなかった。
【0005】 後になって、小型化における進歩を代表する同軸構成がリード構造に導入され
た。同軸リードは内腔を定める内部導線、外部導線、これら2本の導線を隔てる
中間絶縁スリーブ、及び外装絶縁スリーブをもつリード体を利用する。同軸双極
リード体の最小直径は、内腔、第1の導線コイル、中間絶縁スリーブ、第2の導
線コイル、及び外装スリーブのそれぞれの直径の和が限度である。この構造の全
直径は普通、約6フレンチ(約2mm)である。同軸双極構造の最近の改善では
、同心状に配された内腔を囲む、入れ子式のそれぞれが絶縁された導線が導入さ
れている。この単軸構造は、サルザー・インターメディクス社(Sulzer
Intermedics,Inc)が製造する、シンライン(Thinline
)(サルザー・インターメディクス社の商標)リードに見ることができる。シン
ライン(商標)リード体の直径は、内腔直径とそれぞれの導線の直径と外装スリ
ーブ壁体厚の2倍との和の関数である。シンライン(商標)リード構造の導入に
より、リード体の最小直径はさらに、約4.7フレンチ(約1.6mm)まで縮小
された。
【0006】 小型化における進歩にも関わらず、未だに従来のリード構造にともなう難点が
いくつかある。従来のリード体には、リード体を操作するための内部スタイレッ
トを入れるためにリード体を通して伸びる内腔が必要である。内腔直径がリード
体の全直径のかなりの部分をなし、従ってリード体の達成可能な小型化の限界を
表わすことが多い。同様に従来のリード体には、当然、自身の直径の2倍でリー
ド体の全直径に寄与するコイル巻導線が収められる。上記理由により、入手可能
な従来型の最も細いリードであっても、あるタイプの患者にとっては経静脈埋込
が成功するにはまだ太すぎる。
【0007】 さらに、同軸リードは“鎖骨下圧挫”として普通知られる現象による構造破損
を受けやすい。鎖骨下圧挫は、リードが(一般的な経静脈挿入部位である)鎖骨
下静脈を介して埋め込まれ、肩甲関節を移動する間に患者の鎖骨に押し付けられ
るときにおこる。この圧力は、リード線コイルをたわませて座屈させることがあ
る。この問題は、患者が鎖骨部に外傷を受ける場合には、一層悪化する。
【0008】 本発明は、上記難点の1つ以上を克服するかあるいは最小限に抑えることに向
けられている。
【0009】 発明の開示 本発明の一態様に従えば、集成リードが適供される。本集成リードは、近端、
固定機構、電極及び周上で間隔をおいて長さ方向に配置された一対のスロットを
有する電極ハウジング管を含む。電極ハウジング管の基部に結合された第1の末
端、第2の末端、細長い非コイル巻導電体ケーブル、及び非コイル巻導電体ケー
ブルを被覆する絶縁性スリーブを有するリード体が提供される。心臓刺激器との
結合のために非コイル巻導電体ケーブルの第2の末端に結合された末端を有する
コネクタが含まれる。電極ハウジング管の基部と取外し可能な嵌合を行う遠端を
有する細長い誘導管が提供される。誘導管は、前記スロットと協同的に嵌合する
、周上で間隔をおいて径方向に突き出している一対のキーを有し、よって誘導管
の外部に配置された導電体ケーブルとともに集成リードを埋め込むために誘導管
を操作することができる。
【0010】 本発明の別の態様に従えば、集成リードが提供される。本集成リードは、心臓
刺激器と結合するためのコネクタ及びリード体を含む。このリード体は、コネク
タに結合された第1の末端、第2の末端、細長い非コイル巻導電体ケーブル、及
び導電体ケーブルを被覆する絶縁性スリーブを有する。電極ハウジング管が提供
され、この電極ハウジング管は導電体ケーブルの第2の末端に結合された基部、
固定機構、電極、周上で間隔をおいて長さ方向に配置された一対のスロット、及
び電極ハウジング管を通して伸びる内腔を有する。この内腔は、導電体ケーブル
の第2の末端に対して偏心して配置されて集成リードより先に所望の位置に一時
的に埋め込まれたスタイレットに電極ハウジング管を滑り嵌めできるようにし、
よって内腔を通るスタイレットに電極ハウジング管をかぶせて滑らせ、スタイレ
ットに沿って所望の位置まで進ませることができる。電極ハウジング管の基部と
取外し可能な嵌合を行う遠端を有する細長い誘導管が含まれる。誘導管は、前記
スロットと協同的に嵌合するための、周上で間隔をおいて径方向に突き出してい
る一対のキーを有し、よって誘導管の外部に配置された導電体ケーブルとともに
集成リードを埋め込むために誘導管を操作することができる。
【0011】 本発明のまた別の態様に従えば、集成リードが提供される。本集成リードは、
心臓刺激器に結合するためのコネクタ及びリード体を含む。このリード体は、コ
ネクタに結合された第1の末端、第2の末端、細長い非コイル巻導電体ケーブル
及び導電体ケーブルを被覆する絶縁性スリーブを有する。リード体は約4.7フ レンチ(約1.6mm)より小さい直径を有する。電極ハウジング管が提供され 、この電極ハウジング管は、導電体ケーブルの第2の末端に結合された基部、固
定機構、電極、周上で間隔をおいて配置された一対のスロット、及び電極ハウジ
ング管を通して伸びる内腔を有する。この内腔は、導電体ケーブルの第2の末端
に対して偏心して配置されて、集成リードより先に所望の位置に一時的に埋め込
まれたスタイレットに電極ハウジング管を滑り嵌めできるようにし、よって内腔
を通るスタイレットに電極ハウジング管をかぶせて滑らせ、スタイレットに沿っ
て所望の位置まで進ませることができる。電極ハウジング管の基部に取外し可能
な嵌合を行う遠端を有する細長い誘導管が提供される。誘導管は、周上に間隔を
置いて配置され径方向に突き出す、前記スロットと競合的に嵌合するための一対
のキーを含み、よって細長い誘導管の外部に配された非コイル巻導電体ケーブル
とともに集成リードを埋め込むために誘導管を操作することができる。
【0012】 本発明の上記及びその他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照する
ことにより明らかになるであろう。
【0013】 発明を実施する最良の形態 以下に説明する図面において、同じ要素が1枚より多い図に現われる場合は一
般に同じ参照数字が繰り返される。ここで図面、特に図1及び2を参照すると、
ヒトの心臓への心内膜固定に適合した典型的な集成リード10が示されている。
この集成リード10は、心臓刺激器18との電気的接続のためのコネクタ16を
近端14に備えたリード体12を含む。心臓刺激器18は、ペースメーカー、電
気徐細動器/細動除去器、あるいは検知器であってもよい。リード体12の遠端
20は電極ハウジング管22に接続される。リード体12の近端14は、クリン
プ留め、あるいはレーザまたはスポット溶接のような従来の手段によりコネクタ
16に結合することができる。
【0014】 図2は断面2−2で取られたリード体12の相当に誇張した断面図である。こ
の図は、リード体12の実直径がヒトの髪の毛よりやや大きいだけであるために
拡大してある。リード体12は同じ長さの絶縁性スリーブ26で囲まれた導電体
ケーブル24からなる。導電体ケーブル24は単芯導線であるか、あるいは図に
示されるように、複数本の単導線28からなる複芯導線であってもよい。単導線
28の精確な本数及び配置は設計上の裁量事項である。図の実施の形態において
は、導電ケーブル24は19本の金属単導線からなり、総合直径は約0.127 mmである。絶縁性スリーブ26の壁体厚は約0.0508mmであって、リー ド体の総直径は約0.229mmすなわち0.69フレンチになる。従来のリード
体とは対照的に、導電体ケーブル24はコイル巻きされていない。すなわち、同
心的に配される内腔を定めるためのらせん巻にはされていない。従ってリード体
12の最小直径は、ケーブル24の直径とスリーブ26の壁体厚の2倍との和に
よってのみ制限される。
【0015】 リード体12と従来の直径4.7フレンチ(約1.6mm)のシンライン(商標
)リード体との間の鮮明な対照が、いずれも同じ25mm=0.001mmの倍 率で描かれたリード体12と従来のシンライン(商標)リード体30の断面図の
それぞれを並べて示す、図3及び4で容易に見ることができる。図3及び4は本
発明のリード体12と従来のシンライン(商標)リード体30との間の相対寸法
差を示す。従来のリード体30は、同心的に配された内腔36を定める、コイル
巻されて入れ子にされた導電線32及び34からなる。導電線32及び34は絶
縁スリーブ38に囲まれる。リード体30の総直径は、スリーブ38の壁体厚の
2倍と導電線32及び34、並びに同心的に配された内腔36のあわせた直径の
和である。
【0016】 導電体ケーブル24は、例えばMP35N合金のような生体適合性導電材料で
つくられることが好ましい。MP35N合金は一般に、コバルト、クロム、ニッ
ケル、及びモリブデンの組合せからなる。MP35N合金の特性についてのさら
なる詳細は、米国特許第3,356,542号及び第3,562,024号を参照す
ることにより知ることができる。リード体12は心臓血管系の不規則な通路及び
形状に容易にならうことができなければならない。従って、導電体ケーブル24
はリード体12が容易にまた弾性的に曲がることができるだけの十分高い柔軟性
をもたなければならない。導電体ケーブル24は通常製造時に冷間加工される。
導電体ケーブル24が数本の単導線28からなる場合には、スリーブ26で被覆
する前に、それぞれの単導線28を一つにまとめておくために必ず軽く縒りを入
れておくことが推奨される。しかし、先に行われた冷間加工により単導線28の
それぞれが縒りに逆らい、弾力で互いに離れてしまう傾向をもつことがある。こ
の点については、スリーブ26の被覆の前に複数本の単導線28が広がらないよ
うに、ヒートセットすることができる。適当な種々のヒートセット手順がある。
可能な手順の1つには、アルゴンのような不活性雰囲気における、600°F(
約316℃)で約1時間の焼戻しが含まれる。完成品のケーブル24が、米国ミ
ネソタ州ウェイゼイタ(Wayzata)のザイレム社(Xylem Comp
any)から入手できる。
【0017】 絶縁スリーブ26は、平滑で微小塞栓を引きおこさない外部表面を与える一方
で、導電体ケーブル24に対して生体適合性電気的絶縁を与えるように設計され
る。スリーブ26は、例えばETFE(フルオロポリマー樹脂)のような生体適
合性ポリマー材、あるいは同様の生体適合性ポリマー材でつくられることが好ま
しい。
【0018】 電極ハウジング22の詳細構造は図1及び5を参照することにより理解できる
。図5は図1の断面5−5でとられた断面図である。電極ハウジング22は、基
部側に伸びている縮径部42を有する管電極部材40を含み、縮径部42は管電
極部材40の末端近くに配されてかるく突き出している円環肩44を定める。縮
径部42はポリウレタンまたはシリコーンゴムのような通常の生体適合性材料か
らなる絶縁スリーブ46で囲まれる。絶縁スリーブ46の遠端は円環肩44に突
き当たる。絶縁スリーブ46の基部端は開口48を含み、管電極部材40の末端
は開口50を含む。管電極部材40及び絶縁スリーブ46の内表面は、開口48
及び50とともに内腔52を定める。絶縁スリーブ46の基部端には長さ方向に
配されたスロット56を有する縮径部54が含まれる。スロット56の機能は以
下で開示される。
【0019】 半管式プラグ58が管電極部材40の内部に配される。プラグ58の中央部分
60は管電極部材40の内表面と締り嵌めされる大きさの円筒表面を含む。プラ
グ58の末端部分は縮径円筒先端62を含む。固定機構すなわちらせん金具64
が先端62の外周に巻き付けらる。らせん金具64の末端は開口50から突き出
して、心内膜組織に能動的に固定される。プラグ58はプラグ58の基部端から
先端62の末端に広がる内腔66を含む。しかし、先端62の末端は閉じられて
いることに注意されたい。内腔66は以下でより十分に論じられるようなある状
況下でスタイレットを受け入れるように設計される。
【0020】 プラグ58の基部の上側部分には、図5に見られるように、切欠き68が含ま
れる。切欠き68の構造及び機能は、電極ハウジング22から取り外したプラグ
58の分解図である図6もまた参照することにより理解できる。切欠き68の水
平面70は、その上でリード体12の遠端72を確実に固定できるプラットフォ
ームを提供する。リード体12の遠端72は水平面70上に蛇行様形態で配置さ
れる。導電体ケーブル24をむき出しにするために絶縁スリーブ26のほとんど
が遠端部分72から除去されなければならないが、体液による短絡が生じる可能
性を小さくするために切欠き68の基部端近傍ではスリーブ26の一部は残され
ていなければならない。蛇行様配置の特定の形状は裁量事項である。しかし、応
力が集中する可能性を下げるために、比較的半径の大きい第1の曲げ73を遠端
72で与えるように注意が払われなければならない。
【0021】 リード体12の遠端72をプラグ58に確実に固定するためにクリンプブロッ
ク74が与えられる。クリンプブロック74は切欠き68に対応する形状寸法で
つくられ、切欠き68の間と遠端72の上にきつく押し付けられると、遠端72
を図5に示されるように所定の場所に保持するためのクリンプ部材としてはたら
く。クリンプブロック74が適切な形状寸法につくられるか、及び/またはクリ
ンプブロック74と管電極部材40の縮径部42の内表面の間で締り嵌めが与え
られるように、管電極部材40はスエージ加工される。リード体12を電極ハウ
ジング22に確実に固定するために摩擦に頼るだけでなく、プラグ58が溶接可
能な材料でつくられている場合は、導電体ケーブル24を水平面70にレーザま
たはスポット溶接して固定機構を追加することもできる。
【0022】 固定機構すなわちらせん金具64は、電極ハウジングを心内膜組織に確実に固
定するための受動的固定機構で置き換えることができる。図7は図5と同様の透
視図であり、受動的に固定される外側に突き出した1本以上の角75を含む、こ
こでは22’で表示される、電極ハウジングの実施の形態を示す。角75の数及
び配置は設計上の裁量事項である。角75は、例えばシリコーンゴム、ポリウレ
タン、ポリエチレン、ポリイミドのような非金属生体適合性材料、あるいは同様
の材料でつくることができる。
【0023】 らせん金具67及び管電極部材40は、例えば酸化イリジウム被覆チタンのよ
うな、様々な生体適合性導電材料でつくることができる。用い得るその他の材料
には、MP35N,ステンレス鋼、約90%の白金と10%のイリジウムからな
る白金−イリジウム合金、またはその他何らかの生体適合性導電材が含まれる。
らせん金具64はユニオン・カーバイド(Union Carbide)から供
給されるパリレン(Parylen)C(登録商標)のような絶縁性ポリマーの
薄い被膜で被覆されることが好ましい。一般には、プラグ58及びクリンプブロ
ック74は、らせん金具64と同じタイプの材料でつくられるか、あるいは例え
ば、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリイミドのような非金属
生体適合性材、または同様の材料からなる。プラグ58が金属材料からなる場合
は、らせん金具64をスポットまたはレーザ溶接により先端62に確実に固定す
ることができる。しかし、リード体12の遠端72と管電極部材40との間には
電流路が確立されなければならない。プラグ58が金属材料でつくられる場合は
、電流路はプラグ58自体により与えられる。この場合、クリンプブロック74
は導電材料からなる必要はなく、代わりに、シリコーンゴム、ポリウレタン、ポ
リエチレン、ポリイミドのような様々な生体適合性非金属材料または同様の材料
からつくることができる。しかしプラグ58が非導電性材料からつくられる場合
は、遠端72から管電極部材40への必要な電流路を確立するために、クリンプ
ブロック74はらせん金具64と同じタイプの材料でつくられなければならない
【0024】 リード体12を電極ハウジング22に確実に固定するための特定の機構には様
々な形状があり得る。例えば図8は、ここでは22’’で表示される、電極ハウ
ジング22の別の実施の形態を示す。この実施の形態においては、図5及び6に
描かれたプラグ58は、直径が比較的一様であり通常のクランプスラッグとして
はたらく、より流線型のプラグ58’で置き換えられている。管電極部材40の
縮径部42は、遠端72を確実に固定するためのクリンプスリーブとしてはたら
くような形状にされる。この実施の形態においては遠端72はプラグ58’の周
りに1巻き以上巻き付けられることに注意されたい。上述の実施の形態と同様に
、管電極部材40によりクリンプされる前に遠端72をプラグ58’にレーザま
たはスポット溶接することができる。
【0025】 埋込または摘出中の集成リード10の操作は、集成リード10の図及び図9の
断面10−10でとられた断面図をそれぞれ示す、図9及び10を参照すること
により理解できる。誘導管76が、集成リード10を空間的に操作するために電
極ハウジング22の基部端54にかぶせられて滑らされる。誘導管76は誘導管
76を手で操作するために近端に配されたハンドル78を備える。誘導管76の
遠端80は、電極ハウジング22のスロット56と嵌合するような形状をもつ長
さ方向に突き出したキー82を備える。キー82とスロット56との嵌合により
、ハンドル78に加えられたトルクが伝達されて電極ハウジング22の回転運動
となることができ、このようにしてらせん金具64を心内膜83にねじ込むこと
ができる。電極ハウジング22が受動的固定を利用する場合には、誘導管76は
キー82を必要としない。誘導管76の遠端80には、キー82から周上の位置
を変えて付けられた長さ方向に並行するスロット84も与えられる。スロット8
4があるために、リード体12を誘導管76の外に出したままで誘導管76を電
極ハウジング22の縮径部54にかぶせて滑らせることができる。誘導管76が
電極ハウジング22から滑って外れることのないように、誘導管の遠端80は電
極ハウジング22の縮径部54と締り嵌めされるような形状寸法につくられるか
、または遠端80が滑りながら電極ハウジング22にかぶせられた後から電極ハ
ウジング22が心内膜83に確実に固定されるまでの間、リード体12に引張力
をかけたままにしておく。
【0026】 誘導管76はスタイレットとして機能する。従って誘導管76は、心臓内の所
望の位置に電極ハウジング22を布置するために、必要に応じて、外科医が様々
な位置で誘導管76を曲げることができるように、手で容易に塑性変形させ得る
柔軟な材料でつくられることが望ましい。典型的な材料には、ナイティノル(N
itinol)という商品名で一般に販売されているニッケル−チタン合金、ポ
リウレタン、ポリエチレン、及びポリアミドが含まれる。これらの材料、特にナ
イティノルはキンクを生じにくい。
【0027】 誘導管76を電極ハウジングとの嵌合から外すためには、ハンドル78を通し
て誘導管76にスタイレット86を挿入し、内腔66に進ませることができる。
次いで、スタイレット86を突くと同時に誘導管76を引くことにより、誘導管
76と電極ハウジング22を分離することができる。次いでスタイレット86が
引き抜かれる。
【0028】 誘導管76から電極ハウジング22にトルクを伝達するには様々な機構を用い
ることができる。図11及び12は、そのような代わりに用い得る2種類の構成
の図をそれぞれ示す。図11において、ここでは76’で表示される誘導管に、
図11には1つしか示されていない、径方向に対向し、径方向に突き出している
2つの円筒キー88が与えられている。ここでは22’’’で表示される電極ハ
ウジングには、図11には1つしか示されていない、径方向に対向する一対の弧
状スロット90が与えられている。誘導管76’が電極ハウジング22’’’の
基部に滑り込んで対応するスロット90に嵌合するキー88とともに長さ方向に
進むことができるように、誘導管76’は電極ハウジング22’’’よりも直径
が若干小さくなるような形状寸法につくられる。キー88とスロット90との相
互作用により、誘導管76’から電極ハウジング22’’’にトルクを伝達でき
る。図12は、代わりに用い得る誘導管について、ここでは76’’で表示され
る別の構成を示す。この実施の形態において、ここでは88’で表示されるキー
が誘導管76’’の内側に配置され、誘導管76’’が電極ハウジング22’’
’の外側を滑ってかぶさり、キー88’が長さ方向に滑りながらスロット90と
嵌合できるように、誘導管76’’は電極ハウジング22’’’よりも直径が若
干大きくなるような形状寸法につくられる。こうして誘導管76’’から電極ハ
ウジング22’’’にトルクを伝達することができる。キー88及び88’は誘
導管76’または76’’の作成に用いられる材料と同じ材料でつくることがで
き、誘導管76’または76’’と一体化してつくるか、あるいは誘導管76’
または76’’に溶接されるかまたは圧入される個々のピンとしてつくることが
できる。
【0029】 集成リード10の埋込手順は図9及び10を参照して理解することができる。
誘導管76が上述したようにして電極ハウジングに確実に固定される。スタイレ
ット86もこの時点で挿入される。次いで電極ハウジング22が、鎖骨下静脈ま
たは内頸静脈の内の1本のような、心臓に通じる主静脈の1つに挿入される。初
めの経静脈挿入に続いて、誘導管76及び/またはスタイレット86の操作によ
り、電極ハウジング22が心内膜83への所望固定点に到達するまで、電極ハウ
ジング22が進められる。能動固定が用いられる場合には、次に外科医がハンド
ル78をひねり、らせん金具64を心内膜83にかみ合わせる。そうでない場合
は、外科医がハンドル78をひねる必要はない。いずれの場合にも、次いで必要
に応じてスタイレットが用いられて、誘導管76が電極ハウジング22から外さ
れる。次いで誘導管76及び、用いられていれば、スタイレット86が引き抜か
れ、続いてコネクタ16が心臓刺激器18に接続される。初めの布置に満足でき
ない場合には上記手順を逆順で行い、必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0030】 図13は、集成リード10の別の実施の形態の、図5と同じ母断面でとられた
部分断面図である。この実施の形態においては、心内膜83への所望の固定点ま
での特定の経路がスタイレット92を用いて先に確立されている。プラグ58の
先端62には開口94が与えられ、よってここでは22’’’’で表示されてい
る電極ハウジングがスタイレット92の近端にかぶさって滑ることができる。次
いで、上に開示された誘導管のいずれかが電極ハウジング22’’’’の縮径部
54に確実に固定され、続いて誘導管76を操作することにより、電極ハウジン
グ22’’’’が図13に示されるように所望の固定点の近くに達するまで、電
極ハウジング22’’’’がスタイレット92に沿って進められる。次いで、ス
タイレット92が所定の場所におかれたままで、あるいはスタイレット92が引
き抜かれた後に、らせん金具64が上に開示されたようにして心内膜83に確実
に固定される。らせん金具64が心内膜83に確実に固定されると、スタイレッ
ト92及び誘導管76(図8参照)が取り出される。
【0031】 誘導管76が電極ハウジング22と締り嵌めされている場合には、誘導管76
を電極ハウジングから外すために誘導管76に加えられる引張力に抵抗するのは
らせん金具64が心内膜83とかみ合っている力だけであろう。このため、らせ
ん金具64が心内膜83から外れることがあるかもしれない。従って、スタイレ
ット92の取り出しに続いて、図8に示されるタイプではあるが内腔66に軽く
締り嵌めされる大きさの直径をもつスタイレットが挿入され、誘導管76に加え
られる引張力に対向する突きをこのスタイレットに与えることにより、所望の取
り外しを達成できる。この実施の形態においては、電極ハウジング22’’’’
のスタイレット92に沿う移動が妨げられないように、リード体12の遠端72
は内腔66に対して偏心して配置されなければならない。
【0032】 上述した実施の形態には単極リード体12が組み込まれている。しかし、多極
刺激及び/または検知を容易にするために、多極リード体を代わりに与えること
ができる。図14は図5と同様の、ここでは12’で表示される双極リード体を
用いる、ここでは10’で表示される集成リードの別の実施の形態の断面図であ
る。このリード体12’は分岐98において2本の分枝96A及び96Bに分け
られる。図15は分岐98の近くでとられたリード体12’の断面図である。図
15に示されるように、リード体12’は、互いに平行して配されて絶縁スリー
ブ26’に囲まれた、2本の非コイル巻導電体ケーブル24’及び24’’を含
む。分岐98より末端側では、図5に示されるリード体12の断面図と同様に、
ケーブル24’及び24’’のそれぞれはスリーブ26’の一部に個別に覆われ
ている。分岐98は、ケーブル24’及び24’’の間でスリーブ26’を切り
離すことによるか、あるいはリード体12’の製造時にケーブル24’及び24
’’の末端を別々に被覆することにより、形成することができる。スリーブ26
’並びにケーブル24’及び24’’は上に開示した材料からつくることができ
る。
【0033】 分枝96Aは、リード体12の結合について上で説明した方法により、ここで
は22’’’’’で表示される電極ハウジングに結合される。もう1つの分枝9
6Bは、電極ハウジング22’’’’’の基部でスリーブ46’にかぶせて配置
された第2の円環電極100に接続される。スリーブ46’は、電極100を入
れるために基部側で引き伸ばされている。2個の円環部材102及び104が、
スリーブ46’と第2電極100との間に配置される。分枝96Bと電極100
との間の電気的接続を確立するために、スリーブ46’の円環電極100がかぶ
せられている部分にあるスリーブ46’の開口106を通して分岐96Bが引き
出される。分岐96Bの末端では被覆がはぎ取られて、裸のケーブル24’’が
むき出しになっている。裸のケーブル24’’は円環部材104の外側と円環電
極100の内側との間に挟み込まれる。円環電極100を取り付ける前に、裸の
ケーブル24’’はレーザまたはスポット溶接により円環部材104に確実に固
定される。ケーブル24’’が円環部材104に確実に固定された後、円環電極
100が位置につけられてスエージ加工される。スエージ加工は、円環電極10
0の直径を小さくし、円環電極100とケーブル24’’及び/または円環部材
104との間で確実に物理的接触を得るために役立つ。
【0034】 集成リード10’にはいくつかの電極が組み込まれ、互いに平行に配された対
応する複数の非コイル巻ケーブルから信号を受け得ることは、同業者には当然で
あろう。このようなリード体の全直径は従来のリード体よりかなり小さくなるで
あろう。リード体12’のケーブル本数には関わらず、埋込手順は上に開示した
手順と同じになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う集成リードの典型的な実施の形態の図である
【図2】 図1の断面2−2でとられた断面図である
【図3】 ある特定の倍率で概略的に描かれた図2と同じ図である
【図4】 図3と同じ倍率で描かれた従来のシンライン(商標)リード体の断面図である
【図5】 図1の断面5−5でとられた断面図である
【図6】 本発明に従う図5に描かれた電極ハウジングの一部を分解した図である
【図7】 本発明に従う電極ハウジングの別の実施の形態の図5と同様の断面図である
【図8】 本発明に従う電極ハウジングのまた別の実施の形態の図5と同様の断面図であ
【図9】 図1に本発明に従う誘導管の配置を加えて示す図である
【図10】 図9の断面10−10でとられた断面図である
【図11】 本発明に従う図9に示された誘導管の別の実施の形態の図である
【図12】 本発明に従う図9に示された誘導管のまた別の実施の形態の図である
【図13】 本発明に従うスタイレットにかぶさって滑るように構成された電極ハウジング
の別の実施の形態を示す図5と同様の断面図である
【図14】 本発明に従う双極リード体を組み込んだ集成リードの別の実施の形態を示す図
5と同様の断面図である
【図15】 本発明に従う図14のリード体を示す図2と同様の断面図である
【符号の説明】
10 集成リード 12 リード体 16 コネクタ 18 心臓刺激器 22 電極ハウジング管 24 非コイル巻導電体ケーブル 26 絶縁スリーブ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集成リード(10)において: 基部、固定機構(64,75),電極(40),及び周上で間隔をおいて長さ
    方向に配置された一対のスロット(90)を有する電極ハウジング管(22); 前記電極ハウジング管(22)の前記基部に結合された第1の末端、第2の末
    端、細長い非コイル巻導電体ケーブル(24)、及び前記非コイル巻導電体ケー
    ブルを被覆する絶縁性スリーブ(26)を有するリード体(12);及び 心臓刺激器に結合するために前記非コイル巻導電体ケーブルの第2の末端に結
    合された末端を有するコネクタ(16); を含み、さらに: 前記電極ハウジング管の前記基部と取外しが可能なように嵌合し得る遠端(8
    0)を有する細長い誘導管(76)を含み、前記誘導管は前記スロットと協同的
    に嵌合するための周上に間隔をおいて配置されて径方向に突き出している一対の
    キー(82)を有し、よって前記誘導管の外部に配された前記導電体ケーブルと
    ともに前記集成リードを埋め込むために前記誘導管を操作し得ることを特徴とす
    る集成リード。
  2. 【請求項2】 前記リード体が前記第1の非コイル巻導電体ケーブル(24
    ’)に対して平行に配された第2の非コイル巻導電体ケーブル(24’’)を有
    し、前記第2の非コイル巻導電体ケーブルがこれに結合された第2の電極(10
    0)を有することを特徴とする請求項1に記載の集成リード。
  3. 【請求項3】 前記リード体の直径が約4.7フレンチ(約1.6mm)より
    小さいことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の集成リード。
  4. 【請求項4】 前記固定機構がらせん金具(64)を含むことを特徴とする
    請求項1から3のいずれかに記載の集成リード。
  5. 【請求項5】 前記固定機構が前記電極ハウジング管から外側に突き出して
    いる角(75)を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の集成
    リード。
  6. 【請求項6】 前記誘導管がナイティノルからなることを特徴とする請求項
    1から5のいずれかに記載の集成リード。
  7. 【請求項7】 前記キー(82)が前記誘導管の外表面から外側に向けて径
    方向に突き出していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の集成
    リード。
  8. 【請求項8】 前記キー(88)が前記誘導管の内側に向けて径方向に突き
    出していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の集成リード。
  9. 【請求項9】 前記電極ハウジング管が、前記管を通して伸び、前記電極ハ
    ウジング管を滑り移動が可能なように取外し可能なスタイレット(92)に嵌合
    させ得るために前記導電体ケーブルの第1の末端に対して偏心して配置された内
    腔(94)を有し、よって前記スタイレットを所望の位置に一時的に埋め込むこ
    とができ、前記電極ハウジング管を前記内腔を通して前記スタイレットにかぶせ
    て滑らせて、前記スタイレットに沿って前記所望の位置まで進ませることができ
    、前記スタイレットを取り外すことができることを特徴とする請求項1から8の
    いずれかに記載の集成リード。
JP2000504910A 1997-07-30 1998-07-21 外部誘導管をもつ小径心内膜リード Withdrawn JP2001511405A (ja)

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