JP2001510691A - 新規のエストロゲン受容体βおよびそのイソ型タンパク質 - Google Patents

新規のエストロゲン受容体βおよびそのイソ型タンパク質

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ソニア デュポン,
ジーン−マリー ギャルニエール,
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エール ユニヴァーシティ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、完全エストロゲン受容体β(ERβc)遺伝子のアミノ酸および核酸配列と、それに関連するタンパク質配列を提供する。本開示内容に基づき、本発明はERβcを媒介とする転写調節を阻止または向上する物質を同定する方法、ERβcまたはそのイソ型タンパク質が組織または細胞内で発現されているか否かを決定する方法、ERβcまたはそのイソ型タンパク質による遺伝子の転写調節を阻止し、さらに他生物学的過程および生理学的過程を変調する物質を同定して使用する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規の完全哺乳動物エストロゲン受容体β、いわゆるERβc、その ポリペプチド配列、ERβcをコードする核酸配列およびERβcを作成または発現す
る方法に関する。本発明は、エストロゲンとERβcの相互作用を変調する薬剤を スクリーニングする方法、そしてERβcまたはそのイソ型タンパク質を伴う病気 の診断および/または治療を行う方法にも関する。本出願は、米国仮特許出願第
60/053,869 号および第 60/054,210 号に関連する。これら両仮特許出願は引用
文献として本明細書に援用される。
【0002】
【従来の技術】
A. エストロゲン エストロゲンは、天然ステロイドホルモンの一種であり、卵巣内や、精巣など
その他体内組織で産生される。エストロゲンは、ヒトと哺乳類の特定の標的組織
および器官の成長、分化、ならびに機能へ直に影響を及ぼすことが知られている
。このような特定の組織および器官としては、乳腺、子宮、前立腺、下垂体、脳
、肝臓などがあげられる。エストロゲンは、骨の維持や心血管系で重要な役割を
果たし、心血管系では、特定の心臓保全効果がある。骨については、破骨細胞お
よび造骨細胞がエストロゲンに応答し、エストロゲンの離脱によって、代謝回転
速度および骨損失量を増やすことが知られている。様々な天然エストロゲンと化
学合成エストロゲンが、同定されて特徴付けられてきたが、多分、その中で最も
知られているものは、内因性エストロゲンであるエストラジオール-17β(E2とし
ても知られている)であろう。
【0003】 B. エストロゲン受容体 一種のホルモンとしてのエストロゲンは、「エストロゲン受容体」(ER)として
同定される細胞内タンパク質のリガンド結合ドメイン(LBD)と結合することによ って作用する。この細胞内ERの存在は、エストロゲン依存細胞による細胞増殖と
タンパク質合成の両方を提供するとともに、その原因にもなる。エストロゲンホ
ルモンが不在の場合、エストロゲン受容体はインビボおよびインビトロの両方で
生物学的に不活性であり、細胞または組織が細胞質ゾル画分および核画分に均質
化され、かつ分画される場合、エストロゲン受容体が核内で認められ、細胞質内
でも検出される可能性がある。
【0004】 既知のエストロゲン受容体は、十分に研究されたファミリーの遺伝子調節タン
パク質の構成員であり、ステロイドホルモン受容体ファミリーと呼ばれている。
ステロイドホルモン受容体のような核受容体は、6つの異なる領域を備えるモジ
ュール構造を持っている。N-末端ドメインは、非リガンド依存活性機能を含むA
/B領域である(図1a参照)。C領域は、DNA結合ドメイン(DBD)である。D領域は
、核局在化信号を含む。最後に、E領域は、リガンド結合ドメイン(LBD)と、リ ガンド依存トランザクション機能を含む。Kuiper 他 Endocrinology 138(3):863
(1997)、Tremblay 他 Mol. Endocrin 11(3):333(1997)。中央のDBDは、普通、約
100個のアミノ酸である。ステロイドホルモン受容体ファミリーの他構成員と同 様に、エストロゲン受容体はエストロゲンをC末端LBDに結合することによって活
性化される。この受容体タンパク質は、ステロイドホルモンとその受容体が相互
作用して特定の遺伝子を活性化または抑制することにより、細胞が各種の脂質溶
解性ホルモンに反応することができるようにする。ステロイドホルモン受容体は
、複数の点で、例えばそれらのリガンドの性質、一連の熱ショックタンパク質と
の会合、ステロイドホルモン受容体がホモ二量体としてホルモン応答要素に結合
する場合がある、という事実などの点で、他核受容体から区別することができる
。Mosselman 他 FEBS Letters 392:49(1996)、Komm 他 Science 241:81(1988)、
Burch他 Mol. Cell. Bilol. 8(3): 1123 (1988)。
【0005】 ステロイドホルモン作用の従来モデルは、これまでステロイドホルモン受容体
がそのリガンドと錯体をつくる場合に限り、転写調節器として作用すると想定さ
れていた。しかし、大多数のステロイド受容体は、リガンドがなくても、細胞核
に存在することが明らかになってきた。ホルモンの不在にもかかわらず、核内に
受容体が存在することは、未結合状態の受容体に別の調節機能が有り得ることを
示唆する。例えば、甲状腺ホルモン受容体(TR)には、2つの調節的な役割がある
。すなわち、ホルモン存在下では、転写活性化因子として機能するが、ホルモン
不在下で、TRは反応要素(TRE)特異転写抑制因子である。
【0006】 最初に発見されたエストロゲン受容体は、ERαであった。これは、過去数十年
間は単にERとして知られていた。ヒトER(hER)は、未結合状態で595個のアミノ酸
から成り、約67,000ダルトンである。エストロゲン結合不在下で、ERαタンパク
質は、インビトロでは細胞質ゾル内で位置を決定することができる。
【0007】 ERαの転写は、2つの別個のプロモータである P0 と P1 から生じる。ただし
、機能的マッピングについては、これまでに発表されたことはない。P1 は、主 要なERα転写出発部位を示す。出発部位 P1 は、ヒト乳房上皮細胞(HMEC)で主に
使用され、ERα陽性ヒト乳がんの主要な出発部位である。複数の出発部位が、P0
プロモータとして同定されてきた。同定されたマウスERα遺伝子の研究により 、約60塩基の長さの10の出発部位が同定されており、ヒト細胞では、1994まで
の位置(P1出発部位から)に出発部位があり、この部位は、主要なマウス P0 出発
部位と厳密に一致するものと思われる。P0 プロモータからの転写は、ヒト子宮 内膜組織の特徴であり、乳がん細胞中のERα転写の 12〜33 % を占め得る。最近
発見されたERβ遺伝子の遺伝調節制御要素は、明確化すべき余地がある。Kuiper
他(1996および1997)、Tremblay 他(1997)、Mosselman 他(1996)。ERβ遺伝子が
、同様であるか、またはERαについて記載されたものと類似した方法で機能する
調節要素(プロモータやエンハンサ)を含むか否かは決定されてはいない。
【0008】 可溶性系中および設定条件下で、ERαタンパク質は、ショ糖密度勾配分析によ
って決定される沈降係数が 8S、5S、または 4S である各種の分子形態で同定す ることができる。8S 形態のERαタンパク質は、エストロゲンの不在下において 未結合の不活性状態エストロゲン受容体と会合する不活性化形質未転換ERαタン
パク質であると考えられている。4S 形態のERαタンパク質は、インビトロで 8S
形態から作成することができる単量体タンパク質分子である。4S 形態は、イン
ビトロでは、核とDNAセルロースの両方に結合し、一般的には「活性化されてい るが形質転換されていない」エストロゲン受容体タンパク質と呼ばれる。5S 形 態のERαは、二量体タンパク質分子であり、二分子反応を通じて 4S 形態のERα
タンパク質の変換によって作成される。一般に、5S 形態のERタンパク質は、「 活性化されかつ形質転換されて」いるために、核内でDNAに結合する生物学的活 性体であると考えられている。さらに、この 5 S形態は、インビボでエストラジ
オールの投与後に核に会合することが同定されている。既に、ERαとERβが、ヘ
テロ二量体を形成することは証明されている。KuiperおよびGustafsson、FEBS 4
10:87(1997)。
【0009】 ERαとエストロゲンの正確な相互作用はほとんど分かっていないが、一般に認
められる作用の機序と事象の順序は、次のようになると考えられている。つまり
、エストラジオール17β(E2)のようなエストロゲンが、標的細胞および標的組織
へ導入されると、エストロゲンとERαタンパク質が特異的に結合し、エストロゲ
ン/ERタンパク質錯体を形成する。また、ホルモン結合に続いて、活性化および
/または形質転換と呼ばれるプロセスが生じ、核の成分である標的細胞のDNAに 対して高い親和性がある機能的エストロゲン/ホルモン受容体錯体が形成される
。ホルモン/受容体タンパク質錯体が物理的に形成されると、それは染色体の特
定の結合部位で染色質に結合し、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)転写を調節(reg
ulate)する。転写をアップレギュレートすると、新しいメッセンジャRNA(mRNA) が合成され、化学的に修飾されて、核から細胞の細胞質へ輸出されてから、mRNA
を新しいタンパク質に翻訳するが、ホルモン/受容体タンパク質錯体は、mRNA転
写をダウンレギュレートすることもできる。これは、細胞内で生じ、かつ、新た
なたんぱく質合成の調節と、それに共存する新しい細胞の成長/増殖または分化
に関係した十分に認識されたエストロゲン効果を引き起こす。ERβが同じ作用機
序を、ERαについて証明されたのと同じ方法で共有するか否かは今もって不明で
ある。確かに、それが転写を変調する様式とともにERβの局在化は、少なくとも
ERαに大体は似ているであろう。ただし、両者のエストロゲン受容体のDBD配列 とLBD配列の一致率は、それぞれ 97 % と 60 % であるので、特定のDNA配列に関
する親和性や受容体リガンドは、ERαとERβでは異なるのではないかと思われる
。Tremblay 他(1997)。
【0010】 乳がんの治療技術でERが臨床的に重要であることは知られている。置換された
トリフェニルエチレン抗エストロゲンであるタモキシフェンは、ER陽性胸部腫瘍
の治療技術に使用される部分的拮抗剤である。Gallo 他 Semin. Oncol. 24:S1(1
997)。一般に、受容体の発現は、予後がより良好であり、転移が少ないことに関
連する。(Bonetti 他 Breast Cancer Res. Treat. 38 (3): 289 (1996)。しかし
、多くの場合、腫瘍は、ER陰性であるか、あるいは一般には生物学的に不活性な
スプライス変異型を含むかの何れかである。このため、ER遺伝子調節やERメッセ
ージの編集が乳がんの発現およびタモキシフェンなどの化学療法剤による臨床的
結果にどのように寄与するかを理解することは有益である。さらに詳細な背景に
ついては、Gallo 他(1997)、 Kangas の Acta Oncol. 31 (2):143(1992)、Evans
Bone 17(4S): 1815 (1995)、Safarians 他 Cancer Res. 56(15):3560(1996)
を参照。
【0011】 より最近になって、エストロゲン受容体は、閉経後骨粗しょう症に関連する骨
損失との繋がりのあることがわかった。この発見に匹敵するのは、自明のことで
はあるがエストロゲンの作用を阻止する特定の抗エストロゲン(タモキシフェン 、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、タモキシフェンメチオジドなど)が、骨 格筋のみを刺激し、子宮または子宮間膜脂肪にはそれに対応する刺激効果がない
という事実である。Somjen 他 J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 59:389(1996) 、Grasser他 J. Cell Biochem. 65: 195 (1997)。これらの抗エストロゲンは、 選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)と呼ばれており、一般に、骨組織
または血清脂質に対するエストロゲン作動剤様活性を有する一方で、胸部および
子宮で強力なエストロゲン拮抗特性を示す。異なるエストロゲン受容体作動剤と
拮抗剤の間に観察される逆説的な効果は、ERαとERβの抗エストロゲンに対する
応答差に対応しそうである。Tremblay 他 361(1997)。
【0012】 エストロゲン受容体は、リガンド結合研究によって明かなように、ヒトとラッ
トの前立腺にも存在する。アンドロゲン受容体と対照的に、大部分のエストロゲ
ン受容体は、ラット前立腺の支質に局在化するが、分泌中の腺胞の上皮細胞は、
ERを含む。アンドロゲンに加えて、エストロゲンは、前立腺の成長に関係する。
この結果、エストロゲンは、良性前立腺過形成の発生病理に関係している。Habe
nich 他 J. Steroid. Biochem. Mol. Biol. 44:557 (1993)、Kuiper 他PNAS93:5
930(1996)。ジエチルスチルベステロール(DES)は、ERに対する親和性が高いスチ
ルベンエストロゲンであり、前立腺過形成およびがんを治療するのに使用される
。Goethuys 他 Am. J. Clin. Oncl. 20(1):40(1997)、Aprikian 他 Cancer 71(1
2):3952(1993)。従って、ERβを発現する組織および病気を同定することは、ER βが関連する病気の治療に有用であることを証明することになる。
【0013】 エストロゲンは、骨粗しょう症を予防することも証明されている。閉経後骨粗
しょう症は、先進国では最もよく見られる骨の病気であり、エストロゲン欠失に
関連する。この欠失により、破骨細胞、つまり、骨吸収に関わる大型の多核細胞
の形成および活性が向上する。エストロゲンは、破骨細胞の形成および機能の調
節を低減させることが証明されている。タモキシフェンは、恐らく、タモキシフ
ェン誘導破骨細胞フラグメント化によって、骨吸収に対してエストロゲン効果を
持つことが証明されている。Hughes の Nat. Med. 2 (10):1132(1996)。骨粗し ょう症の進行を阻害する付加的な試薬の単離は、この病気に悩む閉経後の女性の
治療に効果的であると思われる。
【0014】 C. ERβ エストロゲン受容体α(ERα)が10年前にクローニングされて以降、1種類のE
R遺伝子しか存在しないので、ERのただひとつのサブタイプ、すなわERαしか存 在しないことが、一般的に受け入れられてきた。これは、核受容体上位ファミリ
ーの他構成員では、複数の形態、例えば、甲状腺ホルモン受容体(TR)αおよびβ
、レチノイン酸受容体(RAR)α、β、およびγが報告されていることとは大きく 異なっている。
【0015】 最近、新規のラットERcDNAがラット前立腺組織および卵巣組織からクローニン
グされて、いまではERβサブタイプと呼ばれている。ERβは、ヒトの精巣から得
たcDNDライブラリーから部分的に単離されたが、重要なエスロゲン標的組織とは
一般的に考えられていない。初期に発見されたエストロゲン受容体サブタイプは
、ERβと呼ばれたが、本発明の目的上、不完全ERβ(ERβi)と呼ぶことにし、本
発明の完全ERβ(ERβcまたはERβ-3)、または、本発明の「特許請求の範囲」に
記載した3種類のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質(ERβ-1
、ERβ-2およびERβ-4)とは区別する。Mosselman 他 (1996)、Kuipe 他 (1996お
よび1997)、Tremblay 他 (1997)。「ERβ-3」は、マウス卵巣または他哺乳種の 類似配列から単離された配列である。「ERβc」は、完全ERβをコードし、エク ソン1の5'末端に新規の192塩基対と、新たに記述されるエクソン5Bを含む。ERβ
cは、ERβ-3つまりマウスERβの9個のエクソンをコードする完全配列を含む。ER
βiは、マウス卵巣から得られたクローンを使用することを特徴とし、分子量が 約62kDaで、60 キロベース(Kb)の遺伝子サイズを有するタンパク質をコードする
。単離されたマウスERβi遺伝子は、Tremblay 他によって Estrb と呼ばれてお
り、染色体12の中央領域へマッピングされた。マウス染色体12の中央領域は、ヒ
ト染色体14qと相同であり、Estrb がそこにも同様に存在し得ることを示唆して いる。Tremblay 他 (1997)。
【0016】 ERβicDNAは、予見された485個のアミノ酸から成るタンパク質をコードし、分
子量が54,200と算出された。Kuiper 他(1997)。Kuiper 他によってクローン29( 本明細書ではERβi)として説明されたこのタンパク質は、エストロゲンとの親和
結合度が高く、トランス活性化アッセイシステムにおいて、エストロゲン存在下
でレポータ遺伝子構造を含むエストロゲン応答要素(ERE)の発現を活性化する。K
uiper他(1996)。ERα(ラット、マウス、およびヒト)およびERβiのリガンド結合
ドメイン(LBD)の整列からは、各種の保存領域が明らかになったが、他セグメン トは保存されていなかった。Kuiper他(1996)。ERβi のDNA結合ドメイン(DBD)お
よびC末端LBDは、ラットERαと非常に良く一致している。Kuiper他(1997)、Trem
blay他(1997)。
【0017】 ERβiは、新規の核受容体または既存の受容体の未知のイソ型タンパク質をク ローニングし特徴付ける目的で単離された。縮重プライマーは、核受容体のDBD およびLBD内の保存領域に基づいて設計された。ポリメラーゼ連鎖反応に関連し てこれらのプライマーを使用し、ラット前立腺mRNAが増幅された。標的細胞の1 つは、前立腺、つまり、前立腺がんおよび良性前立腺過形成の発症率が高い問題
の器官であった。結果的に、ほとんどすべての前立腺腫瘍は、アンドロゲン依存
性となり、その点で臨床的制御の範囲を超えている。Kuiper他(1996)。したがっ
て、アンドロゲンの他に、他(ステロイド)ホルモンまたは局所的に産生される因
子が、核受容体と相互作用し、正常な前立腺の細胞増殖、分化およびアポトーシ
スを変調した。例えば、ヒト精巣受容体2および4(TR2およびTR4)とエストロゲン
受容体(ER)関連受容体(ERR1およびERR2)は、受容体が前立腺で発現されるオーフ
ァン核遺伝子の例である。Kuiper他(1996)。
【0018】 ERβiの組織発現により、ERα発現との更なる違いが明らかになった。ある組 織(すなわち、子宮、下垂体、精巣上体、腎臓)には、排他的にERαを含む。その
他組織は、同等以上のレベルのERβiRNAを示し、異なる細胞タイプの器官(すな わち卵巣と前立腺)で優先的に発現されるものと思われる。Kuiper 他(1996))。 脳では、ERβiは、ERサブタイプRNAの明瞭な画分であると思われる。ノーザンブ
ロットでは、ERβi発現が、末梢血リンパ球中に検出されなかったが、Mosselman
によってクローニングされたERβiの初期のPCR画分は、これらの細胞から得ら れた。このため、ERβiサブタイプは、脳、卵巣、視床下部や、恐らくは他組織 でもエストロゲン作用に重要な役割を果たすものと思われる。Mosselman他 52(1
996)、Byers他 Mol. Endocrinol. 11(2):172 (1997)、Shughrue他 Steroids 61(
12) : 678 (1996)。
【0019】 組織発現の違いの他に、ERα対ERβiイソ型タンパク質については、生理学的 エストロゲンとスチルベンエストロゲン(ジフェノール共鳴構造を形成する)の競
合の種類も異なることが観察された。Kuiper他(1997)。これらの差異は、図6に
示す2種類のマウスサブタイプの比較から証明されるように、ERαとERβcで観察
されるタンパク質配列の違いから生じるものと思われる。しかし、試験されたト
リフェニルエチレン抗エストロゲンに関する親和性の高さは、両方のサブタイプ
で同じだった: 4-OH-タモキシフェン>>ナホキシジン>>クロミフェン>>タモキシ フェン。Kuiper 他(1997)。このようなリガンド結合の違いが、ERα対ERβ依存 性疾患で、異なる薬物療法を行う契機となったことは大いに有り得る。2つのER
サブタイプの不一致は、エストロゲンに応答する作動と拮抗の差である。この観
察される逆説的な不一致は、結合親和度に関連するだけではない。より重要なの
は、ERβc(AF-1またはAF-2など)に位置する特異的活性機能の存在に関連するこ とである。Tremblay 他(1997)。
【0020】 実質的な興味は、ERβとERαががんに果たす個々の役割、多分それは組合せた
役割であり、つまり増大したエストロゲン代謝回転および骨損失を決定するとき
である。例えば、タモキシフェンは、骨の成長を高める一方で、ER陽性乳がんの
拮抗剤となる。Gallo 他(1997)、Delmas 他J.Clin.Oncol.15:955(1997)。タモキ
シフェン投与によるこの矛盾した観察結果は、ERαとERβとの薬剤の相互作用が
異なるからだと思われる。抗エストロゲンを用いて観察される混合の作動-拮抗 作用または純粋な拮抗作用は、活性化機能ドメインであるAF-1とAF-2の結合の違
いから特異的に生じるのかもしれない。例えば、エストロゲン拮抗剤である4-ヒ
ドロキシタモキシフェン(OHT)とICI 164,384を用いた研究では、両方の化合物が
エストロゲン作用を阻害したが、作用の様相は異なっていた。つまり、混合作動
/拮抗OHTは、AF2機能だけしか阻害しなかったが、純粋拮抗剤ICI164,384は、AF
-1とAF-2による活性化を阻害した。マウスERβiを使用して、試験されたすべて の拮抗剤が効果的にE2活性を阻害した。Tremblay 他(1997)。ERαとは対照的に 、OHTはERβi上で何の拮抗的活性も示さなかった。したがって、特定の症状の原
因である基本的なERサブタイプが一旦決定されると(ER陽性乳がんなど)、エスト
ロゲン受容体関連疾患の影響を予知するより正確な手段が得られるかも知れない
。また、正確に治療をフォローできるかもしれない。また、ERαおよび/または
ERβによって影響される疾患を標的とする遺伝子に特定の治療およびイソ型タン
パク質に特定の治療を開発できるかもしれない。さらに、どの程度積極的に治療
を行うかの程度を変更する機会が得られるかもしれない。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は部分的に、完全マウス(m)エストロゲン受容体β遺伝子(mERβ-3)およ
び2種類のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質、例えばmERβ
-1やmERβ-2と、ラット(r)卵巣から単離された第3のイソ型タンパク質であるγE
Rβ-4に基づく。より、広い意味では、本発明は、対応するERβc遺伝子(ヒト遺 伝子を含む)および特定の哺乳動物受容体(本明細書ではERβ-1、ERβ-2、ERβ-3
、およびERβ-4と命名される)に関する。ERβi配列は他研究所により発表された
が、それらの研究所はERβiが完全ERβ遺伝子(ERβc)を代表するものであること
を時期尚早に主張していた。
【0022】 本発明は、さらに、mERβ-1、mERβ-2、mER-3、およびmER-4のタンパク質をコ
ードする核酸分子を提供する。このような核酸分子は、単離した形態であっても
よいし、発現制御要素またはベクター配列に操作自在にリンクしてもよい。
【0023】 本発明は、異なる動物種または別のERサブタイプに発現されるように、その他
オルターナティヴにスプライスされた形態のmERβ-3、mERβ-3類似体、およびそ
れに対応するmERβcを同定する方法も提供する。具体的には、mERβ-3の核酸配 列をプローブとして使用してもよいし、PCRプライマーを作成して、ERβcファミ
リーのタンパク質の他の構成員をコードする核酸分子を同定するのに使用しても
よい。mERβ-1、mERβ-2、mERβ-3、またはγERβ-4をコードする核酸分子を使 用して、他哺乳動物種のERβ-3遺伝子またはそれに対応するERβcを同定および 単離してもよく、これまでにヒトDNA中のERβ-3遺伝子類似体を単離するの使用 されてきた。
【0024】 本発明は、さらに、ERβcタンパク質、またはmERβ-3タンパク質もしくはその
イソ型タンパク質を認識し、それらに結合する抗体を提供する。このような抗体
は、ポリクロナール性であってもよいし、モノクロナール性であってもよい。特
に、従来から知られている受容体(ERαおよびERβiなど)に対する抗体とは対照 的に、完全受容体タンパク質であるERβcに特異的な抗体が好ましい。より詳し くは、本発明は、ERβiとERβcを区別する抗ペプチド抗体をクレームする。ERβ c タンパク質に結合する抗体を、各種の診断形態、予後形態、および治療方法に 使用することができる。あるいは、完全形態であるERβcと、そのイソ型タンパ ク質とを区別することができる抗体は、診断目的およびERβサブタイプを基本と
する疾患の治療にも有用であろう。
【0025】 本発明は、さらにエストロゲン、その他の作動剤ならびに拮抗剤と、ERβcタ ンパク質との会合を減らし、阻止、または促進するための方法を提供する。例え
ば、ERβ-3タンパク質と細胞質信号伝達相手物質(エストラジオールなど)の会合
は、ERβ-3タンパク質を、エストラジオールまたはその他のエストロゲン様の作
動剤または拮抗剤(エストロゲン、スチルベンエストロゲン、またはトリフェニ ルエチレン、抗エストロゲンなど)の結合を阻止する化合物と接触させることに よって阻止または抑制することができる。Tora 他 Cell 59:447(1989)、Berry 他 EMBO。さらに、タンパク質はアロステリックなので、リガンドとERβとの会 合は、理論的には二量体相手物質によっても影響され得る。したがって、ERβの
二量体化を変調する物質を同定することにより、ERβの調節を操作する別の手段
を提供できよう。
【0026】 リガンドとERβ-3またはそのイソ型タンパク質の相互作用を阻止することで、
このようなリガンド結合錯体によって転写を達成することを必要とする生物学的
過程および病理学的過程を変調することができる。このような方法および物質を
使用すれば、細胞の増殖、分化、DNA合成、または細胞周期分布を変調すること ができる。
【0027】 本発明は、さらに、転写を調節するERβcまたはERβcタンパク質イソ型タンパ
ク質、例えばERβ-1、ERβ-2、ERβ-3、ERβ-4を単離する方法を提供する。例え
ば、ERβ-3リガンド結合相手物質、例えばエストロゲンは、ERβ-3タンパク質ま
たはそのリガンド結合部分を用いて単離される。あるいは、例えば、ERβ-3タン
パク質が結合するDNA配列は、電気泳動的移動度変化アッセイ(EMSA)、酵母ツー ハイブリッドアッセイまたは親和度選択およびERβcまたはそのイソ型タンパク 質のDNA結合ドメイン(DBD)を用いる縮重ERE共通配列によって、決定される。Ber
kowitzおよびEvans、J.Biol. Chem. 267 (10):7134(1992)、 Nawaz他 Gene Expr . 2 (1):39 (1992)、Mosselman他(1996)。
【0028】 本発明は、ERαおよびERβcとそのイソ型タンパク質、例えばERβ-1、ERβ-2 、ERβ-3およびERβ-4を区別することができる化合物をスクリーニングするする
方法についても記載する。これらの方法は、化合物が、各エストロゲン受容体に
関して作動剤または拮抗剤のいずれかとして結合し機能的に作用するか否かを決
定する方法も含む。化合物が作動剤または拮抗剤の形態で作用するか否かを決定
する方法の1つとして、酵母ツーハイブリッドシステムでERβcを使用することが
考えられる。こうした方法は、特定の薬剤とERαとの相互作用を試験するために
従来使用されており、当業者には認識されている。Ichinose他 Gene 188:95(199
7)、Collins他 Steroids 62:365(1997)、Jackson他 Mol. Endocrinol. 11:693 (
1997)を参照。
【0029】 エストロゲン/ERβc錯体を必要とする生物学的および生理学的プロセスは、 遺伝子治療法を使用することによってさらに変調することができる。インビボの
別の遺伝子操作で、ERβc遺伝子の発現またはERβcタンパク質の産生を変更する
ことができる。例えば、ERβ-3遺伝子を、ERβ-3タンパク質が不足した哺乳動物
に導入して遺伝的欠失を修正することができる。ERβ-3活性のペプチドモジュレ
ータを、遺伝的トランスフェクション方法を用いて標的細胞内で産生して、モジ
ュレータをコードする標的細胞核酸分子へ導入することができる。ERβ-3遺伝子
は、ヒト以外の哺乳類へ導入したり、欠失させたりしてERβ-3遺伝子異常を発現
する動物モデルを発生させたり、遺伝子全体を欠失させたりすることができる( 例えば、ノックアウトマウス)。後者の適用つまりERβ-3形質転換動物は、ERβ-
3活性を変調するインビボ物質や、さらには、ERβ-3作用に影響を与えるタンパ ク質をコードするその他遺伝子さえも同定するのに特に有用である。アンチセン
スと3重螺旋による療法および介入のための核酸使用も、当然予期される。
【0030】
【発明の実施の形態】
I. 一般的説明 エストロゲン受容体は、核ホルモン受容体ファミリーの構成員である。生物学
的には、これらのタンパク質は、ステロイドホルモンの効果を仲介する細胞内受
容体である。ホルモン結合時に、エストロゲン受容体は、特定のホルモン応答遺
伝子の転写的発現を制御する。これには、特定の配列、ホルモン受容体要素(標
的遺伝子プロモータに位置)への受容体の結合(ホモ二量体またはヘテロ二量体
の形態のことが多い)を含む。
【0031】 本発明の組成物および方法は、ERβc関連疾患を治療するのに使用すべき候補 的化合物のスクリーニングに利用される。組成物は、ERβc配列(ERβ-3)の単離 と、3種類のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質ERβ-1、ER
β-2およびERβ-4に基づいている。さらには、これらの組成物は、ERβcに基づ く疾患のスクリーニングに使用して、病気の予後を容易にし、ERβcまたはその イソ型タンパク質の疾患関連の異常な発現をモニタリングすることができる。
【0032】 II. 具体的な実施の形態 本発明に開示される具体的な実施の形態は、ERβc遺伝子、ERβ-3をコードす る核酸配列の単離に関連する。マウス(m)形態のERβ-3は、ATG出発コドンからTG
A (図1aおよびb)までの1,704塩基対(bp)から成り、567アミノ酸タンパク質を
コードする。この配列は、新たに記載されるエクソン5B (LBDをコードする領域
に位置する)を含む9個のエクソンを含む。また、以下3種類のオルターナティ
ヴにスプライスされたは、1,650bpであり、549残基分の長さのポリペプチドをコ
ードし、ERβ-1にはエクソン5Bが存在しない(図1aおよび図2a参照)。mERβ-
2は、1,533塩基対(bp)から成り、エクソン5Bとエクソン3の両方を欠くが、117bp
を含む(図1aおよび図2b参照)。rERβ-4をコードする配列(ラット卵巣から 単離されたオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質)は、1,570b
pから成り、エクソン5B(54bp)を含むが、134bpを含むエクソン6が欠失されて いる。(図1aおよび2c参照)。
【0033】 また、本明細書には、ERβ-3、そのイソ型タンパク質、それら核酸配列によっ
てコードされるタンパク質、に対応する核酸配列を作成し、使用する方法が記載
されている。ERβ-3またはそのイソ型タンパク質を使用する方法には、どの組織
がERβcおよびそのイソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2およびERβ-4など)を発 現するかの決定方法、ERβ-3およびそのイソ型タンパク質を含むタンパク質なら
びに核酸に関する機能の特徴付け、ERβc核酸分子およびそれに関連するタンパ ク質産物を組換え発現する方法の開発、ERβ-3リポータ系の開発、ERβ-3または
そのイソ型タンパク質に影響するエストロゲンなどのERβ-3リガンドの同定、そ
の他遺伝子の転写調節時にERβ-3またはそのイソ型タンパク質よって与えられる
影響を変調する化合物の確認、そのような影響に対応する生理学的効果を判定す
ることを含む。
【0034】 A. 完全(ERβc)DNAおよびタンパク質の単離 逆転写酵素(RT)-PCRおよび/または5'RACE(cDNA端の急速な増幅)などの方法
によって、完全エストロゲン受容体βと3種類のイソ型タンパク質を単離した。
ゲノムプライマーを、マウス卵巣RNAのRT-PCRに使用して、マウス(m)mERβ-1、m
ERβ-2、およびmERβ-3をクローニングした。mERβ-1、mERβ-3、およびラット イソ型タンパク質(r)rERβ-4に対する配列は、マラソンシステムおよび異なるプ
ライマーセットを使用して5'RACEによって得られた。これらの配列を単離しクロ
ーニングするために選択されたプライマーおよびベクターは、当業者に広く知ら
れている。
【0035】 これらの手法を用いて、新規の上流配列が、エクソン1の5'末端に発見された 。マウスおよびラットでは、これは192bpの配列であり、公表されたクローンの 上流に位置する付加的なオープンリーディングフレーム(ORF)の結果として、mER
β-3遺伝子の5'末端、mERβ-3の2種類のオルターナティヴにスプライスされた イソ型タンパク質、およびラット卵巣から単離されたオルターナティヴにスプラ
イスされたイソ型タンパク質(rERβ-4)に位置する。Kuiper他(1996および1997) 、Mosselman他(1996)、Tremblay他(1997)。造骨細胞および骨髄共培養から誘導 されるmRNAをRT-PCRでさらに分析することによって、図1aおよびbに示されるよ
うに、第9番目のエクソン(エクソン5B、54bpを含み、LBD内に位置する)が発 見された。その結果として、以前に公表されたヒト、ラットおよびマウスの配列
(これらのすべてを本明細書では、ERβiと呼ぶ)は、恐らく、より大きく完全 なこのERβc形態の5'末端が切取られたスプライス変異型(マウス系はmERβ-3で
ある)であると思われる(図1aおよびb参照)。ERβ-3に関する核酸配列情報は
、ERβiについて予言された54kDの代わりに、約63kDaの分子量を有する567アミ ノ酸タンパク質を予言する。
【0036】 ヒトなど他の哺乳類の類似配列を得るには、これまでに知られていないmERβ-
3遺伝子またはその一部をプローブとして使用することができる。これらのプロ ーブは、少なくとも18個のヌクレオチドから成るべきであり、好ましくはERβ
-3タンパク質をコードする1つ以上の配列について重複していることが望ましい 。プローブは、ERβcアミノ酸配列から設計されるべきであり、縮重遺伝コード となることが望ましい。さらに、卵巣細胞、精巣細胞、または前立腺細胞などか
らのもののように適切なcDNAライブラリーは、1つ以上のプローブ組成物に対し て、標準条件下でハイブリダイズするcDNA用のプローブによってスクリーニング
することができる。このような一般的方法の例については、Sambrook他MOLECULA
R CLONING: A LABORATORY MANUAL (1989)を参照。次に、cDNAを単離して、シー クエンスし、それらがERβcタンパク質をコードするか否かを決定してもよい。 この方法では、ヒトERβcタンパク質またはその他哺乳動物ERβc遺伝子とそれら
にそれぞれ対応する特定のイソ型タンパク質をコードするcDNAを単離することが
できる。
【0037】 その他ERβc関連遺伝子を単離する方法も本明細書に記載されている。要する に、核酸配列は、前立腺、卵巣、精巣などに関するDNAライブラリー(ゲノムDNA
またはcDNAから成る)をプロービングすることによって単離することができる。
ライブラリーは、市販の供給元から得られるものであっても、当業者に知られる
技術によって哺乳動物組織から調製されるものであってもよい。好ましいDNAラ イブラリーは、cDNAライブラリーであり、Stratageneなどの市販の供給元から入
手可能である。
【0038】 DNAライブラリーは、少なくとも20核酸残基の長さのオリゴヌクレオチドプロ ーブを用いてプラークハイブリダイゼーションによってプロビーングすることが
でき、このプローブは、マウスまたはその他ERβ-3遺伝子のユニークな配列と相
補的である。好ましいプローブは、プライマー1およびプライマー2に対する配列
である。核酸プローブは、ハイブリダイズされたクローンの単離を容易にするた
めに標識される。標識付けは、当業者に知られる手法のいずれでもよいが、一般
的には、Sambrook他(1989)により開示される末端デオキシヌクレオチジル-トラ ンスフェラーゼを用いて[32P]で標識する。
【0039】 別法として、当業者は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、mRNA、c
DNA、ゲノムライブラリー、またはcDNAライブラリーから直にERβ-3遺伝子の核 酸配列を増幅することも考えられる。PCRまたはその他インビトロ増幅方法も有 用である(発現すべきタンパク質をコードする核酸配列のクローニング、核酸配
列決定またその他目的で組織サンプル中のERβ-3DNAまたはERβ-3mRNAの存在を 検出するためのプローブとしての核酸の作成など)。
【0040】 代替哺乳動物組織からERβ-3を同定する適切なプライマーおよびプローブは、
本明細書に提供される配列を比較することから作成される。PCR手法の概要につ いては、引用文献として本明細書に援用されたPCR PROTOCOLS: A GUIDE TO METH
ODS AND APPLICATIONS。Innis, M, Gelfand, D., Sninsky, J. およびWhite, T.
, 編集、 Academic Press, San Diego (1990)を参照。
【0041】 さらに本発明は、ERβ-1と、それに関連し本明細書に記載されるイソ型タンパ
ク質タンパク質をコードする、好ましくはイソ型タンパク質のERβ-1を提供する
。本明細書に使用されるように、「核酸」は、ERβ-3ポリペプチドをコードする
か、そのようなペプチドをコードする核酸配列に相補的であるか、そのような核
酸をハイブリダイズするが適切なストリンジェントな状態では安定して結合され
た状態であるか、または、少なくとも 75%、好ましくは少なくとも 80%、より好
ましくは少なくとも 85% の配列がペプチド配列と同一性を有するポリペプチド をコードするRNA、あるいはDNAとして定義される。具体的には、ゲノムDNA、cDN
A、mRNAおよびアンチセンス分子、並びに選択的バックボーンを基礎とするか、 または天然元から得られるか、または合成される代替的塩基を含む核酸、が考え
られる。ただし、このようなハイブリダイズした核酸または相補的核酸は、コー
ドするか、さらにストリンジェントな条件またはその他適度にストリンジェント
な条件下でハイブリダイズするか、または、本発明のERβ-3タンパク質をコード
する核酸に相補的である従来技術によるいかなる核酸に対しても新規で、自明で
ないと定義される。
【0042】 「ストリンジェントな条件」とは、(1)洗浄のために低いイオン強度と高温を 利用する条件(例えば、50℃で、0.015MのNaCl、0.0015Mのクエン酸ナトリウム 、0.1%SDS)、または、(2)ホルムアミドなどの変性剤をハイブリダイゼーション
中に使用する条件(例えば、42℃で、50%(体積)ホルムアミド、0.1% ウシアル
ブミン血清、0.1% フィコール、0.1% ポリビニルピロリドン、pH6.5 で 750mM のNaCl、75mM クエン酸ナトリウムを用いる50mM リン酸ナトリウム緩衝剤を使用
する条件である。別の例は、42℃で、50% のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl
、0.075M のクエン酸ナトリウム)、50mM のリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1% の リン酸ナトリウム、5×Denhardt 溶液、音波処理されたサケ精子DNA(50μg/ml) 、0.1% SDS、および10% 硫酸デキストランを、0.2×SSDおよび0.1中、42℃で洗 浄物と一緒に使用することなどもあげられる。熟練した者であれば、ストリンジ
ェントな条件を容易に決め、適切に変更して、明確かつ検出可能なハイブリダイ
ゼーション信号(signal)を得ることができる。
【0043】 B. 新しい配列の特徴付け mERβ-3のような完全エストロゲンβ受容体は、9個のエクソンを含む。単離 された3種類のイソ型タンパク質は、mERβ-1、mERβ-2、mERβ-3、およびラッ ト卵巣から得られるオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質(rER
β-4)を含む。mERβ-1は1,650bpであり、以前に同定された8種類のエクソンを 含み、新しいエクソン5Bを含まないが、エクソン1の5'末端に配置され、以前に 記述されていない192bpを含む(図1Aおよび図2B参照)。エクソン1の5'末端
に配置される新規の192bp配列と新たに記述されるエクソン5Bに加えて、Trembla
y他(1997)によって公表された配列と本明細書に開示される配列では、1つのヌク
レオチドが異なる。すなわち、mERβ-3配列のエクソン6のヌクレオチド1,224が アデニンであるのに対して、Tremblay他に(1997)よる配列では、グアニン(ヌク
レオチド1,009)である。
【0044】 mERβ-2は、1533塩基対(bp)を含み、ERβ-2は、エクソン3とエクソン5Bを含ま
ない(図1aおよび2b参照)。rERβ-4は、1570塩基対を含み、エクソン5Bを有する
が、エクソン6は欠失している(図1aおよび2cを参照)。完全長mERβ-3は、5'末
端には以前に確認されていない192個のヌクレオチドと、エクソン5Bおよびエク ソン6配列を含む。3種類のイソ型タンパク質はすべて、mERβ-3と同様に、エク ソン1の5'末端に位置する新規の192bpを含む。
【0045】 本発明の1つの実施の形態は、従来知られていない192bpまたは54bp(エクソ ン5B)ドメインまたはその一部を含み、複製の目的上、適切なベクター中にこれ
らの配列を配置するERβ-3核酸を用いることを含む。さらに、このようなベクタ
ーは、適切な細胞発現系に導入して、アッセイシステム中で使用するか、ERβc 遺伝子またはそれに対応するタンパク質の特定部分の機能を特徴付けるのに役立
たせるためのタンパク質を発現することができる。
【0046】 ERβcタンパク質の特徴付けは、突然変異体を作成し、ERβcで特定のドメイン
を認識する抗体を使用し、タンパク質の特定領域に対するポリペプチド配列を使
用し、それらの機能を競合的アッセイによって決定することで実施される。本発
明は、このような手法を使用して、新規の192bpおよび/またはエクソン5B(54bp
)配列を含む、配列またはイソ型タンパク質を特徴付けることを提案する。
【0047】 ERβcを特徴付ける別の方法およびそのイソ型タンパク質タンパク質は、抗体 を使用して、ERβcタンパク質上の特異的な機能ドメイン(ERβcタンパク質のLBD
、二量体化部位、DNA結合ドメイン(DBD)など)をマッピングすることを含む。ま た、抗体を使用して、ERβcまたはそのイソ型タンパク質が、機能的または非機 能的な立体配座にあるか否かを決定することもできよう。
【0048】 C. ERβcタンパク質配列に対する抗体を作成する方法 抗体は、ERβ-3またはそのイソ型タンパク質(例えば、ERβ-1、ERβ-2、また
はERβ-4)のようなERβcの組織発現を決定したり、ERβ-3またはそのイソ型タ ンパク質の機能的ドメインを決定するするなどの複数の分野に有用である。ERβ
-3またはそのイソ型タンパク質のアミノ酸配列が一旦判明すると、本発明の別の
実施の形態は、抗体の作成にポリペプチドを使用することを含む。ポリペプチド
配列は、こうしたERβc特異ポリペプチドに対する抗体を作成する目的のための 特定のポリペプチド配列の抗原性を決定するソフトウェアを用いて評価すること
ができる。HoopおよびWoods、PNAS 78:3824(1981)、Garnier他J.Mol.Bio.120:97
(1978)。
【0049】 作成されたある抗体が、mERβ-3とERβiを区別することができる抗ペプチド抗
体である。その他の抗体は、ERβ-3イソ型タンパク質どうしの区別をすることが
できる他に、受容体とのアロステリック誘導リガンド相互作用から生じる、ERβ
の活性状態と不活性状態を区別するように作成することができる。mERβ-3とER βiを区別する抗ペプチド抗体は、従来方法を用いて調製され、アミノ酸末端:N
-CSSEDPHWHVAQTKSAVPR-OH(抗体1067および1068)のシステイン基を用い、エクソ ン5Bによってコードされるポリペプチド配列に対して作成される。この抗体は、
エクソン5Bポリペプチドのすべてを含む。Jameson-Wolf抗原性プログラムによっ
て、このポリペプチドが程度の高い抗原性を所有することを判断した(1978)。こ
のプログラムまたはHoppとWoodのアルゴリズムを使用すれば、ERβ-3およびその
イソ型タンパク質の新規のアミノ末端の抗原性の配列を決定し、別の付加的な抗
体を開発することもできる。
【0050】 mERβ-3とERβi を両方とも認識する2つの他抗体が作成された。これらの抗 体(抗体1069および1070)は、次の配列に対して作成された: CSSTEDSKNKESSQ-OH
。このポリペプチド配列は、発表されたラットERβiのカルボキシ末端に配置さ れる。Kuiper他(1996および1997)。抗体1067および1068または1069および1070は
、異なるニワトリの卵から得られた。
【0051】 ERβ-3ポリペプチド配列に対する抗体を作成するための別の方法には、ERβ-3
タンパク質を単離し、各種のプロテアーゼで消化することを含む。切除フラグメ
ントは、大きさによって精製され、ERβ-3の特異的な部分に対して抗体を作成す
るために使用することができる。最後に、ERβ-3ポリペプチド配列は、融合タン
パク質手法によって組換えて作成することができる。ERβ-3ポリペプチド配列は
、例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現する遺伝子に所望のE
Rβ-3ヌクレオチド配列を融合することによって発現させることができる。次に 、融合ERβ-3/GST融合産物として作成される発現されたERβ-3ポリペプチド配列
を使用して、融合遺伝子構造を含むERβ-3にコードされたERβ-3の特異的部分に
対する抗体を作成することができる。このような組換えタンパク質に対して作成
される抗体は、モノクローナル性またはポリクローナル性であってもよいし、こ
のような調製手法は一般的に知られている。
【0052】 ポリクローナル抗体1067、1067、1069および1070は、ニワトリ内で作成された
。その他動物を使用することもできる。免疫前血清は、雌鳥免疫化の前に収集さ
れた2から3個の卵から精製された。免疫化は、製造者(Pierce)のマニュアルで
推奨されるような各ペプチドのアミノ酸末端に配置される抽出システイン残基に
マレイミドを介して2mgのImject キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にコ ンジュゲートされる2mgの抗原を用いて調製した。カップリングされた担体-抗原
錯体(0.5ml)を完全フロイントアジュバント(0.5ml)で乳化して、1.0mlを初回注 射に使用した。その後、ニワトリは、不完全フロイントアジュバントを使用した
以外は、Aves Laboratoryによって説明されるカップリングされた免疫原を用い て2週間ごとに追加免疫された。6個の卵が回収され、IgYが卵黄から精製された
。その他免疫グロブリンイソタイプおよびイソタイプサブクラスも使用すること
ができる(例えば、IgG1、IgG2、IgM)も使用することができる。
【0053】 モノクローナル抗体は、当業者にはよく知られる各種の手法によって得ること
ができる。つまり、所望の抗原で免疫化された動物からの脾臓細胞を、一般には
骨髄腫細胞を用いた融合によって不死化する。KohlerおよびMilstei、Eur. J. I mmunol. 6:511(1976)参照。不死化に代わる方法には、エプスタインバールウイ ルス、がん遺伝子、またはレトロウイルスを用いる形質転換または、当業者には
よく知られるその他方法が挙げられる。単一の不死化細胞から発生するコロニー
は、所望の抗原特異性および親和性の抗体を調製するためにスクリーニングされ
る。このような細胞によって調製されるモノクローナル抗体の収率は、脊椎宿主
の腹膜腔への注射を含めた各種の手法によって増加させることができる。
【0054】 別法として、ペプチド特異抗体(1067および1068)は、適切な担体にコンジュゲ
ートされて、十分な長さから成るか、免疫原性を強化するために必要な場合には
、ペプチドハプテン単体を用いる適切免疫化プロトコルに基づいて、適切な哺乳
動物宿主(ニワトリやウサギなど)を免疫化することによって調製する。ウシ血清
アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはその他担体タ
ンパク質などの、担体との免疫原性コンジュゲートを調製する方法は、当該技術
においてよく知られている。ある環境では、カルボジイミド試薬などを使用する
直接コンジュゲーションが効果的なこともある。他例では、Pierce Chemical Co
., Rockford, ILなどによって供給されるような結合試薬剤が、ハプテンへの接 近能力を提供するために望ましいと思われる。ハプテンペプチドは、システイン
(Cys)残基を用いて、アミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかで拡張するか 、または、システイン残基を点在させて、例えば、担体への結合を容易にするこ
とができる。一般に、当業者に理解されているように、免疫原の投与は、適切な
期間にわたって、適切なアジュバントを使用して実施される。免疫化スケジュー
ル中、抗体の力価は、十分な抗体作成を決定するために選択される。さらに詳し
い情報については、引用文献として本明細書に援用されるHarlowおよびLane、AN
TIBODIES: A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Pubs., N.Y. (1988)を参
照。
【0055】 このようにして作成されたポリクローナル抗血清が、複数の用途を満たすと思
われるが、薬学的組成物の場合には、モノクローナル抗体の使用が好ましい。所
望のモノクローナル抗体を分泌する不死化細胞系は、KohlerおよびMilstein、標
準的な方法、または一般的に知られるようなリンパ球または脾臓細胞の不死化に
効果がある修正法によって調製してもよい。KohlerおよびMilstein(1976)。所望
の抗体を分泌する不死化細胞系は、抗原がペプチドハプテンであるか、ERβc自 体である免疫アッセイによってスクリーニングされる。所望の抗体を分泌する適
切な不死化細胞培養物が同定された場合、細胞は、インビトロで培養されるか、
腹水液から調製することができる。
【0056】 次に、所望のモノクローナル抗体は、培養上清または腹水上清から回収される
。免疫学的に重要な部分を含むモノクローナル抗血清またはポリクローナル血清
のフラグメントは、拮抗剤の他、そのままの抗体として使用することができる。
免疫学的反応性フラグメント(Fv、Fab、Fab'、またはF(ab')2フラグメントの使 用は、これらのフラグメントが全体の免疫グロブリンよりも免疫原性が一般に低
いので、特に治療的意味合いでは好ましいことが多い。抗体またはフラグメント
は、組換え手段による、現行技術を使用して調製することもできる。受容体の所
望の領域へ特異的な結合する領域は、複数の種の起源をもつキメラという範疇で
調製することもできる。あるいは、ERβc特異抗体は、Queen他米国特許第5,585,
089号に開示されているように、ヒト化抗体またはヒト抗体であってもよいRiech
mann他Nature 332:323(1988)も参照。最後に、ERβcタンパク質が特定のがんに 関連すると思われる場合には、ERβcタンパク質と、例えば、細胞毒性のT細胞な
どを認識することができる二重特異性抗体を作成して、腫瘍細胞の死滅を容易に
するのに有効であろう。尚、これはがんの治療に有用であると思われる。Berg他 PNAS 88:4723(1991)。
【0057】 このように調製された抗体は、ERβcエストロゲンのモジュレータとして有用 なだけではなく、ERβcタンパク質またはそのイソ型タンパク質を検出するため の免疫アッセイおよびERβcタンパク質またはそのタンパク質イソ型タンパク質 の精製のためにも有用である。免疫アッセイにより、ERβcタンパクまたはオル ターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質を検出することができる。免
疫アッセイは、ERβcタンパク質を定性的および定量的に分析するために使用す ることができる。適用可能な技術の一般的概要については、HarlowおよびLane(1
988)から分かる。簡単に言えば、ERβcタンパク質、フラグメントまたはそのイ ソ型タンパク質は、トランスフェクションされた細胞(好ましくは細菌細胞)で発
現され、一般的に既述されたように、また、以下の実施例で示されるように、精
製される。次に、産物を、抗体を生産することができる哺乳動物に注射する。遺
伝子産物に特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を各種の免疫
アッセイに使用することができる。このようなアッセイには、エンザイム−リン
クドイムノソルベントアッセイ(ELISA)、競合免疫アッセイ、ラジオイムノアッ セイ、ウェスタンブロット(図3)、間接的免疫蛍光アッセイ、ゲルシフトアッ
セイ(図5)などを含む。
【0058】 D. ERβcの結合ドメインに干渉するポリペプチドの作成 本発明の1つの実施の形態は、ERβcポリペプチド配列を使用して、ERβcタン
パク質を媒介とする転写調節に干渉する能力をアッセイする。このような干渉は
、エストラジオールなどのERβcタンパク質がERβcタンパク質に結合することを
防止することによってつくり出すことができる。あるいは、ポリペプチドを二量
体化とそれに続く信号の発生を阻止するために設計することもできよう。このよ
うなポリペプチドは、ペプチド合成装置を使用して、または、遺伝子構造を発現
する融合タンパク質、または、真核もしくは原核の細胞系に用いる発現系を作成
することによって、製造することができる。
【0059】 要約すれば、一般に、哺乳動物ERβcをコードする天然または合成の核酸の発 現は、遺伝子またはcDNAをプロモータ(構成的または誘導性のいずれか)に操作自
在に結合し、それを発現ベクターに取り込むことによって達成される。ベクター
は、原核生物または真核生物の複製または統合に適切であることが好ましい。典
型的なクローニングベクターは、転写ターミネータおよび翻訳ターミネータと、
開始配列と、ERβcの発現を調節するために有用なプロモータを含む。また、ベ クタは、少なくとも1つの独立ターミネータ配列であって、真核生物および原核 生物のプラスミドすなわち原核系と真核系の両方に対するシャトルベクターおよ
び選択可能なマーカーの複製を可能にする配列を含む一般的な発現カセットを含
んでもよい。
【0060】 細菌中でクローニングされた遺伝子を発現させる方法もよく知られている。一
般に、原核系で高い発現レベルのクローニングされた遺伝子を得るには、最低で
も、DNA複製を誘導する強力なプロモータを含む発現ベクターを構成することが 不可欠である。大腸菌中で形質転換されたDNAベクターに選択可能なマーカーを 含めることも有用である。このようなマーカーの例は、アンピシリン、テトラサ
イクリン、またはクロラムフェニコールに対する耐性を特徴とする遺伝子を含む
【0061】 適切な真核宿主には、植物細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、酵母および糸状菌
を含んでもよい。本発明の好ましい実施の形態では、バキュロウイルス/昆虫細 胞系が、遺伝子発現に使用される。
【0062】 ERβcによってコードされるタンパク質(組換えDNA技術によって製造すること ができる)は、当業者によく知られる標準的手法によって精製することができる 。組換え製造されたERβcは、直接発現または融合タンパク質としての発現が可 能である。次に、タンパク質は、細胞溶解(音波処理など)にアフィニティークロ
マトグラフィによって精製される。融合産物については、続いて、適切なタンパ
ク質分解酵素で融合タンパク質を消化することにより、所望のERβc、そのイソ 型タンパク質、またはそのフラグメントが放出される。
【0063】 精製されたERβcは、「単離された」または「実質的に純粋」と記載される場 合には、自然に付随している成分から分離されたタンパク質を意味する。一般に
、モノマータンパク質は、少なくとも約 85% 以上の試料が単一のポリペプチド バックボーンを示す場合には、実質的に純粋である。少数の変異型または化学修
飾物は、同じポリペプチド配列を典型的に共有することがある。精製操作によっ
て、85% の純度、好ましくは、95%を超える純度が可能である。タンパク質の純 度または等質性は、当業者に知られる複数の手段によって示すことができる(タ ンパク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動後に、染色時にポリアクリルアミド
ゲル上で単一ポリペプチドバンドを視覚化するなど)。特定の目的のために、高 度の分離が必要であり、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)または精製のための
同様の手段が使用される。
【0064】 本発明のERβcタンパク質またはイソ型タンパク質は、当業者によく知られる 標準手法によって、実質的に純粋に精製することができる(硫酸アンモニウムな どの物質との選択沈殿法、カラムクロマトグラフィ、免疫精製法)。例えば、R.S
copes、PROTEIN PURIFICATION: PRINCIPLE AND PRACTICE, Springer-Verlag: Ne
w York (1982)などを参照。
【0065】 次に、ERβcポリペプチドまたはイソ型タンパク質ポリペプチドは、各種のア ッセイ(ゲルシフトアッセイや酵母ツーハイブリッドシステムなど)に使用するこ
とができ、これらのポリペプチド配列は、DNA配列のホルモン応答要素(HRE)に結
合する能力、二量体化結合能力、および作動剤/拮抗剤結合能力を観察するため の試験に使用することができる。
【0066】 E. 核酸ハイブリダイゼーションによるERβcまたはそのイソ型タンパク質の 組織局在化の決定 新規に単離されたERβc遺伝子の部分を使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
手法またはインビトロ転写(どちらの手法も熟練した技術者に知られている)を使
用して、プローブを合成することができる。このようなプローブ(典型的には、 放射性標識がつけられる)を使用して、ノーザンブロット分析またはRNAサンプル
のドットブロット、あるいはサザンブロットによって、どの組織が特定のERβc 転写物を発現するかを決定するのに使用するこどができる。ここで、mRNAは、DN
Aに逆転写されて、さらに、図4に示すようにポリメラーゼ連鎖反応を用いて増 幅される。DNAのサザン分析は、ERβc遺伝子が存在するか、あるいは、破壊され
ているかを決定するときにも有用である。例えば、ERαは、特定の胸部腫瘍内で
破壊されることが知られているが、さらに、このような情報は、患者に使用すべ
き化学療法のコースを決定するのに有益である。ERβcにユニークな核酸配列を 使用して、どの組織が遺伝子を発現するかを容易に決定することができる。
【0067】 本発明は、生理学的標本やその他組織サンプル中の、ERβc遺伝子産物の有無 および異常な発現を検出するための方法も提供する。サンプル中のERβcの有無 を評価するための1つの方法は、サザンブロッティングであり、当業者らによく 知られている(図4)。簡潔に言えば、消化されたゲノムDNAは、緩衝剤中の寒天 スラブゲルで処理され、膜に転写される。ハイブリダイゼーションは、上述のプ
ローブを用いて実施される。ハイブリダイズした部分の視覚化により、ERβc遺 伝子またはそのイソ型タンパク質の有無の定性的決定が可能になる。また、サザ
ンブロッティングは、ハイブリダイゼーションに使用される条件のストリンジェ
ンシーによって、ERβc遺伝子が正常であるか、または、遺伝子欠失もしくは転 位を含むか否かも区別する。
【0068】 同様に、ノーザンブロッティングは、mRNA組織サンプルのERβcメッセンジャR
NA(mRNA)の検出に役立つ。この手順は、当業者によく知られている。Maniatis他
、MOLECULAR CLONING: A LABORATOTY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, N.Y. (1982)。要約すると、mRNAは、酸グアジニン-フェ ノール-クロロホルム抽出法を用いて、所定の細胞サンプルから単離される。次 に、mRNAを電気泳動させて、mRNA種を分離し、mRNAがゲルからニトロセルロース
膜に転移される。標識したプローブは、ERβ転写物の有無を確認するのに使用さ
れる。
【0069】 ERβc遺伝子の発現レベルを決定するための別の方法は、インサイチュ・ハイ ブリダイゼーションである。インサイチュ・ハイブリダイゼーションは、よく知
られており、Angerer他Methods Enzymol., 152:649(1987)に概要が記載されてい
る。このハイブリダイゼーション技術は、ラット視床下部のERβiの発現に関す る研究で既に使用されてきた。Shughrue他(1997))。インサイチュ・ハイブリダ イゼーションでは、細胞が固体の支持体(典型的にはスライドガラス)に固定され
る。DNAをプロービングすべき場合には、細胞は、熱またはアルカリで変性され る。次いで、細胞は、標識されたERβc特異プローブのアニーリングを可能にす る適度な温度で、ハイブリダイゼーション液に接触させられる。好ましくは、プ
ローブは、放射性同位元素または蛍光リポータで標識される。
【0070】 F. ERβc配列を含む組換え核酸分子 本発明は、図1および2に示されているように、新規に開示される5'末端、も
しくは新規に開示される54bpのエクソン5Bを含む完全なERβc遺伝子、そのイソ 型タンパク質、またはその部分を発現する組換え配列に関する。本発明は、原核
および真核の複製系の両方でこのような組換え構造体を発現するすべての方法を
含む(これらの方法は、当業者には知られているだろう)。
【0071】 組換えデオキシリボ核酸(rDNA)または組換えリボ核酸(rRNA)配列を用いる方法
は、3重螺旋を形成する配列またはERβcmRNAまたはイソ型タンパク質RNAに対し
てアンチセンスである配列を含むであろう。付加的な方法には、コードされるタ
ンパク質を発現するために、これらの組換え核酸配列を発現することを含む。
【0072】 G. 核酸分子をコードする外性供給ERβcを含む宿主細胞 本発明は、完全長組換え体の形態のERβc(ERβ-3)またはその他の単離されたイ
ソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2、またはERβ-4)を非ERβ-3発現細胞に導入し、
前記rDNAとそれに関連するタンパク質産物が転写調節に与える効果をアッセイす
る方法にも関する。次に、完全長(ERβ-3)またはERβ-3のオルターナティヴにス
プライスされたイソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2または、ERβ-4)を用いてトラ
ンスフェクションされた細胞を使用して、軟質寒天中にコロニーを形成するトラ
ンスフェクションされた細胞の能力、異なる率のDNA合成、異なるERβ-3イソ型 タンパク質を発現する細胞の細胞周期分布の差、トランスフェクションされた細
胞の変更された形態をアッセイすることができる。
【0073】 さらに、本発明は、ERβ-3タンパク質をコードする核酸分子を用いて形質転換
またはトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。宿主細胞は、原核細胞
または真核細胞のどちらでもよい。ERβ-3タンパク質の発現に有用な真核細胞は
、細胞系が細胞培養法および発現ベクターの増殖とERβ-3遺伝子産物の発現と適
合する限りは、限定されるものではない。好ましい真核宿主細胞の限定されない
1つの例は、酵母、昆虫および哺乳動物の細胞であるが、好ましくは、マウス、
ラット、サルまたはヒトの繊維芽細胞系から得られるような脊椎動物細胞である
。特に好ましい真核宿主細胞は、昆虫細胞を含む。原核宿主を使用すれば、組換
えDNA(rDNA分子)をコードするERβ-3を発現することができる。好ましい原核宿 主は、大腸菌である。
【0074】 本発明のrDNA分子を用いる適切な細胞宿主の形質転換は、使用されるベクター
および宿主系に一般に依存するタイプのよく知られた方法で達成される。原核宿
主細胞の形質転換に関しては、エレクトロポレーションおよび塩処理法が一般に
使用される。例えば、Cohen他PNAS69:2110(1972)、およびManiatis他(1982)、Sa
mbrook他(1989)、またはCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、F.Ausubel 他、編集社:Green Publishing and Wiley-Interscience、New York(1987)。rDN
Aを含む脊椎動物細胞の形質転換については、エレクトロポレーション、カチオ ン脂質処理法または塩処理法が一般に使用されている。例えば、Graham他Virolo
gy52:456 (1973)、Wigler他PNAS76:1373(1979)、およびSambrook他(1989)を参照
【0075】 うまく形質転換された細胞、すなわち、本発明のrDNA分子を含む細胞は、既知
の手法によって確認することができる。例えば、本発明のrDNAの導入から得られ
る細胞をクローニングして、単質のコロニーを精製することができる。このよう
なコロニーから得られる細胞を収集して、溶菌し、それらのDNA含有物がSouther
n、J. Mol. Biol. 98: 503(1975)、またはBerent他Biotech 3: 208 (1985)に記 載されるような方法を用いてDNAの存在について試験したり、細胞から産生され るタンパク質を、上述の免疫学的手法によって検査したりすることができる。
【0076】 完全長ERβ-3、フラグメント、またはイソ型タンパク質を使用して、軟質寒天
中のコロニーの形成を調節する能力を決定することは、ERβ-3遺伝子の特定のイ
ソ型タンパク質のERβ-3遺伝子が、細胞増殖および/または分化の原因となるか 否かを評価するのに有用である。特定のERβ-3イソ型タンパク質が増殖および/ または分化を促進する能力は、特定のERβ関連疾患の遺伝子の関与と一致する。
【0077】 別法として、イソ型タンパク質をトランスフェクションされた細胞系に使用し
て、[3H]-チミジンの取り込みをアッセイし、DNA合成に対する特定のERβcイソ 型タンパク質の効果を試験してもよい。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、
あるイソ型タンパク質を有する細胞と別のイソ型タンパク質を有する細胞の間の
細胞成長差を決定するのに使用することができる。最後に、トランスフェクショ
ンされた細胞は、異なるERβcイソ型タンパク質の発現による形態学的変化につ いて試験することができる。ERβcの特性がDNA発現、形態学的変化、細胞増殖お
よび/または分化に対する影響に対して決定されると、同じアッセイを実施して 、ERβcのイソ型タンパク質によって誘導され、観察される効果を調節する化合 物を確認することができる。想定薬剤の同定(本明細書中で詳細に検討される)は
、このようなタンパク質が関連する疾患でERβcタンパク質またはそのイソ型タ ンパク質の濃度を変調する場合に価値があると見られる。
【0078】 H. 組換え方法を使用するERβcタンパク質の製造 本発明は、新規のイソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2およびERβ-4)またはその
部分を使用するなどして、ERβ-3遺伝子の組換えDNA(rDNA)を使用することなど によって、ERβcタンパク質を発現するのに使用される方法についても開示する 。rDNA分子を作成するための方法については、当業者に知られている。例えば、
Sambrook他(1989)を参照。好ましいrDNA分子は、DNAをコードするERβ-3または 発現制御配列および/もしくはベクター配列に操作自在に結合されるイソ型タン パク質の1つをコードするDNAを含む。
【0079】 本発明のERβc核酸分子の1つが操作自在に結合されるベクターおよび/または 発現制御配列の選択は、当業者に知られるように、所望の機能的特性(タンパク 質発現)および形質転換すべき宿主細胞に直接的に依存する。本発明によって意 図されるベクターは、少なくとも、複製を誘導し、真核細胞染色体への挿入を誘
導し、原核細胞で染色体外的に複製すべきであり、rDNA分子にコードされるERβ
-3タンパク質も好ましくは発現すべきである。
【0080】 操作自在に結合され、タンパク質をコードする配列の発現を調節するために使
用される発現調節要素は、当業者に知られており、誘導可能なプロモータ、構成
的プロモータ、分泌信号やその他調節要素を含むが、これらに限定されない。好
ましくは、誘導可能なプロモータは、宿主細胞倍地の栄養素に応答するなど、容
易に制御することができる。
【0081】 1つの実施の形態では、核酸分子をコードするERβ-3を含むベクターは、細菌
性宿主細胞などの原核宿主細胞内で染色体外でそれによって形質転換されるレプ
リコン、すなわち組換えDNA分子の自家複製および維持を誘導する能力を有するD
NA配列を含む。このようなレプリコンは、当業者によく知られてている。さらに
、原核レプリコンを含むベクターは、薬剤耐性マーカーのような検出可能なマー
カーを提供する遺伝子を含んでもよい。典型的な薬剤耐性遺伝子は、アンピシリ
ンまたはテトラサイクリンに対して耐性を提供する遺伝子である。原核レプリコ
ンを含むベクターは、細菌細胞(大腸菌など)のERβ-3遺伝子配列の発現(転写お よび翻訳)を誘導することができる、原核性またはウイルス性のプロモータを含 むこともできる。プロモータは、DNAポリメラーゼの結合を可能にし、転写が起 こるようにするDNA配列によって形成される発現制御要素である。細菌性宿主と 適合性のあるプロモータ配列は、本発明のDNAセグメントの挿入のために好都合 な制限酵素部位を含むプラスミドベクターへ一般に提供される。このようなベク
タープラスミドの典型は、Bioroad Laboratories(Richmond, CA)から入手可能な
pUC8、pUC9、pBR322、およびpBR329と、Pharmacia, Piscataway、N.J.から入手 可能なpPLおよびpKK223である。
【0082】 真核細胞と適合性のある発現ベクター(好ましくは脊椎動物細胞と適合性のあ るベクター)を使用して、ERβ-3配列を含むrDNA分子を形成することができる。 真核細胞発現ベクターは、当業者によく知られており、複数の市販の供給ソース
から入手可能である。一般にこのようなベクターは、所望のDNAセグメントの挿 入に都合の良い制限酵素部位を含んで、提供される。このようなベクターの典型
は、pSVLおよびpKSV-10(Pharmacia)、pBPV-1/pML2d(International,Inc.)、pTDT
1(ATCC、#31255)、本明細書に記載のベクターpCDM8および、同様の真核発現ベク
ターである。
【0083】 本発明のrDNA分子を作成するために使用される真核発現ベクターは、真核細胞
に効果的な選択可能なマーカー(好ましくは薬剤耐性選択マーカー)を含む。好ま
しい薬剤耐性マーカーは、発現の結果ネオマイシン耐性に至る遺伝子すなわちSo
uthern他J.Mol.Anal.Genet. 1: 327 (1982)に記載のネオマイシンホスホトラン スフェラーゼ(ネオ)遺伝子である。
【0084】 I. ERβcmRNA転写物レベルを測定するための診断手法 本発明の別の実施の形態は、ERβc核酸配列を使用して、細胞のmRNA濃度の変 化を測定することである。mRNAレベルを定量的および/または定性的に評価する 方法には、ノーザンブロッティング、インサイチュ・ハイブリダイゼーション、
核酸ハイブリダイゼーションおよびRT-PCRを含む。Raval、 J. Pharmacol. Toxi coal. Methods 32 (3): 125 (1994)。ERβcまたはそのイソ型タンパク質のコー ディング配列、特に、ERβcの配列で、ERβiには見られないものを使用して、細
胞内に存在するmRNAレベルを決定してもよい。生検によって得られる細胞を溶解
し、従来の方法論に従って、RNaseを阻害する条件下で、mRNAをDNAに逆転写し、
PCRを使用してDNAを拡張してもよい。次に、拡張DNAを定量化してもよい。あま り都合がよくないが、ノーザンブロット分析は、上述のように使用することがで
きる。逆転写PCR(RT-PCR)は、胸部がん細胞の特異的なmRNA濃度を確定するため に使用されており、当該技術分野の熟練者には広く知られている。例えば、Bart
lett他Br. J. Cancer 73 (12) : 1538 (1996)を参照。RT-PCRを使用する利益は 、心筋生検のmRNAレベルを考察する研究に見られるように、サンプルサイズが大
きくなくても価値のある感度の高い結果が得られることであるEngelhardt他J.Am .Coll.Cardiol. 27(1):146 (1996)。
【0085】 ERβcmRNA発現の決定は、インサイチュ・ハイブリダイゼーションを用いて評 価することもできる。このインサイチュ・ラベル手法(ERβc、mRNA、またはオル ターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質へのハイブリダイゼーション
と、それに続く撮像装置による検出が可能な標識した核酸配列を使用する)は、E
cまたはそのイソ型タンパク質のmRNAの、発現が増加したまたは減少したを増
減させる組織を局在化するのに有用である。当該技術は、当業者に広く知られて
いる。例えば、Guldenaar他Brain Res. 700 (1-2): 107 (1995)を参照。上述の 診断手法のいずれかを使用することによって、ERβ-3タンパク質、同様にその転
写がERβ-3タンパク質によって調節されるその他タンパク質の発現を指標として
、ERβ-3またはそのイソ型タンパク質の転写および発現の有無および量を決定す
ることができる。この情報は、特定のがんの悪性の性質、処置(放射線療法、化 学療法、手術など)に関連するがんの性質の変化や、がんの転移生並びに転移の し易さなどに関連する。例えば、Mass他Cancer Lett. 97(1) : 107 (1995)を参 照すると、異なる抗がん剤を用いた治療後にRT-PCRを用いて、胸部がん細胞の特
定のmRNAレベルの変化が説明されている。この関係は、療法的処置レベルを決定
し、療法的治療に対する腫瘍(またはその他ERβc疾患)の応答をモニタし、疾患 の経過に関する患者の予後を提示するのに有用であると思われる。
【0086】 J. ERβc転写調節を阻止する薬剤を同定する方法 本発明の別の実施の形態は、エストロゲンまたはエストロゲン様の作動剤/拮 抗剤とERβcタンパク質の会合を阻害または阻止する薬剤を同定するための方法 を提供する。例えば、エストロゲンを、試験すべき化合物の存在下または不在下
で、ERβcタンパク質またはERβcを含む細胞抽出物に混合することができる。エ
ストロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤とERβcを会合することができる
条件下で、混合した後、2つの混合物を分析および比較して、化合物が、エスト
ロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤とERβcタンパク質またはそのイソ型
タンパク質との会合を促進、抑制または完全に阻止したか否かを決定する。エス
トロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤の会合を阻止または抑制する薬剤 は、試験化合物を含むサンプルに存在するエストロゲン-ERβc結合の濃度を減少
させるものとして同定される。
【0087】 受容体タンパク質は、その立体配座にアロステリック変化を生じてから、エス
トロゲン-ERβc錯体がDNAに結合する能力を持つようである。一旦核内では、活 性化受容体がDNAからmRNAへの遺伝情報の転写を開始し、さらに、アミノ酸を結 合してタンパク質にするための鋳型となる。
【0088】 タモキシフェン(登録商標Nolvadex)などの薬剤によって生じる抗エストロゲン
効果は、エストロゲン受容体が核内のDNAと相互作用してRNAおよびタンパク質合
成を刺激する結果の1つであると思われる。この作用は、タンパク質などのマク ロ分子の合成の阻止を開始し、細胞に損傷を与え、最終的には細胞を死滅させる
。抗エストロゲンは、自然に作成されるエストロゲンと類似する分子の一部を有
する親油性分子であると考えられれている。抗エストロゲンのこの部分は、エス
トロゲン受容体に選択的に結合する。ただし、抗エストロゲンは、側鎖アーム( ジメチルアミノフェニルエトキシ)を有し、エストロゲン受容体の三次元構成を ゆがめてしまい、核に対する受容体の転移を阻止する。Morgan、米国特許第4,73
2,904号(1988)。候補試薬が、完全エストロゲン受容体サブタイプのエストロゲ ン作用を阻害するか否かを決定する別の方法は、ERβcまたはそのイソ型タンパ ク質が天然の基質であるエストロゲンと結合することができないように、候補的
試薬と相互作用する結果としてアロステリック形質転換を行ったか否かを決定す
ることによるものである。ERβcまたはERβcのホモダイマーの立体配座の変化を
、受容体のERβcまたは受容体のホモダイマーに存在する配座エピトープに対す る抗体(モノクローナル抗体かポリクローナル抗体)を使用して検出することがで
きる。抗体を使用して、ERαの機能的状態を決定して、同様の方法で、化合物が
活性化されたアロステリック配座への形質転換を向上させるか、または、配座を
すべていっしょに阻害したかを否かが決定される。Wotiz他米国特許第5,312,752
号(1994)を参照。
【0089】 抗体は、ERβcが活性状態または不活性状態にあるか否かを決定すること以外 にも使用できる。また、抗体は、そのリガンドまたは受容体自体への結合が、受
容体へのリガンドの結合を促進する否かを決定するためにスクリーニングするこ
とも可能である。前述の促進を決定する方法は、当業者らに知られている。Auil
ar他Mol. Cell. Biochem. 136 (1): 35 (1994)参照。特定の試薬が、ERβcの二 量体化を促進または抑制したり、ERβcが活性状態をとるのを促進または阻害す るか否かを決定する別の方法は、酵母ツーイーストハイブリッドシステムを使用
することである。酵母ツーハイブリッドシステムは、ERα二量体化がリガンド依
存性であるかを決定するため(Wang他J.Biol.Chem. 270(40): 23,322(1992))、ホ
ルモン受容体の転写活性を促進するタンパク質または抗体などの薬剤を単離する
ため(Onate他Science 270 (5240): 1354(1995))、ERαを用いて行われる方法に 匹敵する方法でERβcに拮抗性がある化合物を単離するため(Ichinose他(1997)お
よびCollins他(1997))、およびERβcが、レチノイン酸受容体について観察され た方法と類似する方法でヘテロ二量体を形成することができるか否かを決定する
ために使用される。詳細については、Forman他Cell 81 (4): 541 (1995)、およ びWalfish他PNAS 94 (8): 3697 (1997)を参照。
【0090】 薬剤をスクリーニングする別の方法は、β-ガラクトシダーゼ(β-gal)または ルシフェラーゼなどのリポーター遺伝子を使用する方法である。これらのトラン
ス活性実験は、酵母または哺乳動物細胞系で実施することができる。細胞は、リ
ポータ遺伝子(ルシフェラーゼまたはβ-galなど)の適切なエストロゲン応答要素
(ERE、例えば、cV2EREなど)上流と共にERβcを含む。ERβの作動剤および拮抗剤
はいずれも、この方法でアッセイすることができる。Gaido他、Toxical. Appl. Pharmacol. 143 (1): 205 (1997)、Hafner他J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 5
8(4): 385 (1996)、Muhn他Ann. N.Y. Aca. Sci. 761: 311 (1995))。このような
アッセイは、ERαおよびPRについて証明されたように、ERβcとプロゲステロン(
PR)についてクロストークが生じるか否かを決定するために使用することができ る。Kraus他Mol. Cell. Biol. 15 (4): 1847(1995)。新規のERβc応答要素の確 認は、縮重オリゴヌクレオチドのライブラリーを用いて迅速に行うことができる
。プロトコルには、精製されたタンパク質は必要とせず、特に、機能的な応答要
素を選択する。Nawaz 他(1992)。
【0091】 上述の方法でアッセイされた化合物は、無作為に選択されるか、合理的に選択
または設計することができる。本明細書で用いるとき、薬剤は、恣意的に選択さ
れる場合には、エストロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤とERβcタンパ
ク質の会合に関わる特定の配列とは関係なく、無作為に選択される、と言われる
。このような無作為に選択される例は、化学的ライブラリー、ペプチド組合せラ
イブラリー、または、微生物の成長肉汁の使用である。
【0092】 本明細書で用いるとき、薬剤は、薬剤の作用に関して標的部位および/または 配座の配列を考慮する非無作為ベースで選択される場合には、合理的に選択また
は設計されると言われる。薬剤は、エストロゲンもしくはエストロゲン様作動剤
/拮抗剤、またはERβcタンパク質上のステロイド結合部位を認識し、それらの何
れかに結合するペプチド配列を使用することによって、合理的に選択されるか、
合理的に設計される。
【0093】 この実施の形態の薬剤の例としては、ペプチドまたはその他小分子、抗体(モ ノクローナル抗体やポリクローナル抗体など)、抗体のフラグメント(Fvなど)、 または抗エストロゲン活性もしくはエストロゲン活性(例えば、ナリゲニン、カ エンフエリド、フロレチン、バイオカニンA、フラボン、ICI 182, 780、ラロキ シフェン、[6-ヒドロキシ-3-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェノキシ]-2-]
4-ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン、ラロキシフェンHCLおよびエチニルエストラ
ジオール)などが挙げられる。Collins他(1998)、Palkowitz他J. Chem. Med. 40
(10): 1407 (1997)。熟練した技術者であれば、本発明の薬剤の構造的性質には 、制限がないことは容易に理解できよう。本発明のある種の化合物には、アミノ
酸配列が、ERβcLBDのアミノ酸配列に基づいて選択されるポリペプチド剤を含む
【0094】 本発明のペプチド剤は、当業者に知られるように、標準的な固相(または溶液 相)ペプチド合成方法を使用して調製することができる。さらに、これらのポリ ペプチドコードするrDNAは、市販のオリゴヌクレオチド合成装置を使用して合成
し、標準的な組換え作成システムを用いて組換え作成することができる。さらに
、これらのrDNA分子を使用して、ERβ-3タンパク質またはそのイソ型タンパク質
に結合するポリペプチドを組換えて発現することができる。固相ペプチド合成を
使用する製造方法は、非組換え的に製造されたポリペプチド配列を使用すべき場
合には、必要である。
【0095】 K. ERβシグナリングに影響を及ぼす薬剤の投与 本発明の薬剤は単独に、または特定の病理学的過程を変化させる付加的薬剤を
併用して提供される。例えば、エストロゲンまたはその他作動薬/拮抗薬がERβc
タンパク質に結合し、ERβcタンパク質またはそのイソ型タンパク質を活性状態 に転換させるのを阻止することにより、ERβcの転写制御を減弱する、さもなけ れば変調する本発明の薬剤は、他類似薬剤と併用投与することができる。本明細
書で用いるとき、2つの薬剤が同時に投与されるか、または2つの薬剤が同時に
作用するように独立に投与されるとき2つの薬剤は併用して投与されるという。
【0096】 本発明の薬剤は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮投与または舌
下錠として投与可能である。これ以外の経路として、または現状では、投与経路
は経口となる。投与量は対象者の年齢、健康状態、体重、現在受けている治療の
種類によって異なり、治療頻度および期待される効果の特徴によっても異なる。
本発明はさらに、ERβ-1タンパク質の転写制御を阻止する複数の薬剤を含有する
組成物を提供する。個々の需要は多様化するが、各組成物の効果的用量について
の最適範囲の決定は、当該技術の熟練度の範囲内である。
【0097】 薬学的活性物質に加えて、本発明の組成物は、賦形剤と、活性化合物を作用部
位へ届ける上で薬学的に利用される製剤に変化させる助剤とから成る、薬学的に
受容し得る担体を含む。非経口投与に適する処方は、活性化合物を水に溶かした
水溶液、たとえば水溶塩を含む。さらには、適当な油性注射用懸濁液として適正
な活性化合物の懸濁液を投与することもある。適当な親油性溶媒またはビヒクル
には、脂肪油(例えば、ゴマ油)または合成脂肪エステル(例えば、エチルオレ
ートまたはトリグリセリド)が含まれる。水性注射用懸濁液は、たとえばカルボ キシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストラン など、懸濁液の粘性を増大させる物質を含む。抗エストロゲンは、溶解度が限ら
れているという特徴を有し、このためにジメチルフォルムアミドなどの試薬の利
用によって、このような作動薬/拮抗薬の溶解性を向上させて、ERβcまたはその
イソ型タンパク質の効果を高める。Sasson他J.Steeroid Biochem.29(5):491(1
988)。さらに、この懸濁液は安定化剤を含む。薬剤を細胞へ到達しやすくする目
的で、カプセル化するためにリポソームを使用することができる。タモキシフェ
ンなどのある種の薬物にとっては、その溶解度を高めるために、薬剤(例えば、 アセトンおよびポリエチレングリコール4000)が必要になろう。Cotreau-Bibbo他 J.Pharm.Sci 85(11):1180(1996)。
【0098】 本発明による全身投与のための薬学的処方は、経腸、非経口または局所投与に
なる。実質上、この3タイプの処方はすべて、活性成分の全身投与を達成するた
めに、同時に使用される。経口投与に適する処方には、硬カプセルまたは軟カプ
セル、丸薬、錠剤、コーティング剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップまたは吸
入剤およびその徐放性製剤が含まれる。
【0099】 本発明の方法を実施する上で、本発明の化合物は単独、または他の治療薬ある
いは診断薬と併用して使用される。好ましい実施の形態において、本発明の化合
物は、一般に受け入れられている医療に従った条件に合わせて、典型的に処方さ
れるその他化合物と共に同時投与される。
【0100】 L. ERβcの遺伝子療法発現 ERβc遺伝子、たとえばERβ-3遺伝子およびERβ-3タンパク質は、多様なコン テクストにおける遺伝子療法の標的としても作用する。たとえば、1つの適用例
として、ERβ-3遺伝子を不活化できる標準ノックアウト操作を使用して、ERβ-3
欠損動物を作り出すことができる。このような例では、ヒト以外の哺乳動物(マ ウスまたはラット)を、ERβ-3を不活性化または欠失させておいて作り出す。こ れは、当該技術において知られた多様な操作使って達成できる。一旦作り出すと
、発生させると、ERβ-3遺伝子欠損動物は(1)ERβ-3遺伝子が媒介する生物学的 および病理学的過程を同定する目的、(2)ERβ-3と反応するタンパク質およびそ の他遺伝子を同定する目的、および(3)ERβ-3欠損を克服するために細胞外投与 可能な薬剤の同定、並びに(4)ERβ-3遺伝子の活性を高めるまたは低下させる突 然変異を同定する目的で提供される。
【0101】 動物モデルに加え、ヒトにおけるERβc欠損または突然変異は、必須ERβcタン
パク質をコードする遺伝子構築物を患者に提供することによって矯正できる。核
酸分子を被験者に導入して、遺伝的欠陥および突然変異を矯正するべく多様な手
法が現在では利用でき、さもなければ現在開発中である。このような方法は、本
発明の核酸をコードするERβcを使用するのに容易に適合させることができる。
【0102】 本発明における別の実施の形態において、遺伝子療法はERβc介在型生物学的 または病理学的過程を変調する手段に利用できる。たとえば、骨粗鬆症では、ER
βcmRNAに対してアンチセンスになる核酸分子などのERβc介在型形質転換制御 のモジュレータをコードする遺伝子発現ユニットを患者に導入することが望まし
い。代わりに、組織特異的共活性物質または共抑制物質を同定して、対象者に導
入し、ERβcまたはそのイソ型タンパク質の変調を増強できるだろう。このよう なモジュレータを構築して導入するか、あるいは細胞または特定の標的細胞内に
導入できる。これによって、患者の体内へ持続的または誘導的に治療薬を提供で
きる。
【0103】 M. 抗体を使用したERβcの立体配座解析 ERβcタンパク質のDNA結合ドメイン(DBD)に対する部位特異性ポリクローナル 抗体およびモノクローナル抗体を使用して、このタンパク質の活性部位を決定す
ることができる。この点を基本として、利用者はERβcのDBDが機能的状態または
非機能的な変化した状態にあるか否か、そしてERβcタンパク質が活性化されて いるか否かを決定することができる。本発明には、特別に調製した免疫原、ERβ
cまたはそのイソ型タンパク質のDBDへ特異的に結合するポリクローナル抗血清お
よびモノクローナル抗体、および前述のように、機能的かつ相関的な試験を基本
として、細胞試料と反応するこれらの部位特異性抗体を採用する免疫アッセイが
含まれる。ERαが活性状態にあるか不活性状態にあるかを決定する目的で、類似
の手順および方法が利用されてきた。Wotiz他。
【0104】 さらに詳細な記述がなくても、当業者は、先行する記述およびこれに続く実施
例を用いて、本発明の化合物の製造利用を可能にし、特許請求の範囲に示された
方法を実行できると信じられる。さらには、ERβ-3に関する先行する説明のすべ
てを、または完全遺伝子のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク
質(ERβ-1、ERβ-2、ERβ-4など)を他哺乳動物種における同族体に適用できる
。以下の実施例は、そこで本発明の好ましい実施の形態を特に指摘するが、開示
部分の残りをいかようにも限定しようとするものではない。その他一般的構成は
当業者には明らかであろう。
【0105】
【実施例】
【0106】
【実施例1】 マウス完全mERβ-3cDNAのクローニング mERβ-3クローンを、(1)mRNAの逆転写酵素PCR(RT-PCR)、(2)マウス胎児幹(ES
)細胞のゲノムライブラリーからの増幅からなる2つの別個の手順を使用して、 2回単離した。cDNAプローブおよびRT-PCRを使用して、マウスES細胞のゲノムDN
Aライブラリーをスクリーニングした。選択されたオリゴヌクレトチドは、Kuipe
r他(1996)が公表したラットERβiのDドメインおよびEドメインと一致した。これ
らのオリゴヌクレオチドは5'-ATG ACA TTC TAC AGT CCT GCT GTG ATG-3
'(プライマー1)、および5'-GAA GTG AGC ATC CCT CTT TGC GTT TGC-3'
(プライマー2)であった。これらのオリゴヌクレオチドを使用して5つのクロー
ンを得た。これらゲノムDNA用に2つのプライマーを選択しており、1番目のATG
周辺部に位置する1つは192bpであって、公表済みのATG (Kuiper 他(1996);Moss
elman 他(1996);およびTremblay 他(1997)における上流部位にあり、5'-TCT CT
G AGA GCA TCA TGT CC-3'(プライマー3)であって、もう1つは、TGA周辺部
であって、5'-CAG CCT GGC CGT CAC TGT GA-3'(プライマー4)であった。
製造者のマニュアルに従って、ベーリンガーマンハイム社のTitanTMRT-PCR RT-
PCRシステムを使用し、マウス卵巣由来RNAの試料10ngおよび100ngを対象としてR
T-PCRを実施した。プライマー3および4により得た増幅産物を、5'-TGC TCT AG
A CCA CCA TGT CCA TCT GTG CCT CT-3'(プライマー5)および5'-CCG G
AA TTC TCA CTG TGA CTG GAG GTT CTG-3'(プライマー6)を使って2回目
の増幅にかけた。プライマー6および7を使用して得た産物をBluescriptRベクタ ーに挿入した。クローンmERβ-1、mERβ-2、mERβ-3 のクローニングには同一条
件を適用した。
【0107】 mERβ-3 クローンを、クロンテック社のマラソンRT-PCRシステムも使用してmR
NAから単離した。5'-RACE用としては、polyA+RNAをマウス卵巣に由来する全RNA
より、Sambrook 他(1989)の記述した方法に従って調製した。polyA+RNAの約0.5
μgを200UのスーパースクリプトIIエキソゲナーゼ(exo-)を使い、マラソンcDNA 合成プライマーである5'-TTC TAG AAT TCA GCG GCC GC(T30)-3'を使用し て、製造者(GIBCO)のマニュアルに従って逆転写した。2番目の鎖合成と、これ に続く全工程を、PCRを除いてマラソンの記述した条件に従って実施した。cDNA(
反応液10μlのうち0.5μl)を、マラソンアダプタープライマーである5'-CCA TC
C TAA TAC GAC TCA CTA TAG GC-3'と、アドバンテージTaqポリメラーゼ の存在下5'-GCA GAT TCT CCT TCA CCC G-3'(プライマー7)または5'-GCA
CTT CAT GCT GAG CAG-3'(プライマー8)の2つの遺伝子特異型逆プライマー のひとつで増幅した。以下、(1)94℃で30秒間、72℃で4分間を5サイクル。(2)9
4℃で30秒間を5サイクル。(3)70℃で4分間を25サイクル。および(4)94℃で20秒
間、68℃で4分間からなる4段階のサーマルサイクルプログラムを使用して、2つ
の産物を増幅した。制限酵素で、cDNAの5'末端部に相当する単一の、圧倒的に多
量のアンプリコンを消去し、クローニングおよびシークエンスした。このクロー
ンをBluescriptRベクターに、前述のように挿入した。
【0108】 一旦mERβ-3 をクローニングしたあと、核酸およびアミノ酸配列の両者を完全
エストロゲンβ受容体配列(図1aおよびb参照)に対して演繹した。新規の192bp 配列をエクソン1の5'-末端部および新たに記述されたエクソン5Bを有することに
加えて、ヌクレオチド1244番目のアデニン1個は、mERβ-3配列のエクソン6にあ
って、Tremblay 他(1997)によって配列中に見出されたグアニン(ヌクレオチド1,
009番目)とは異なっている。このmERβ-3遺伝子は、長さが1,704個のヌクレオチ
ドであり、567個のアミノタンパク質をコードしている。これらの手法を使い、m
ERβ-3の5'末端部は、さらにオープンリーディングフレーム(192bp)を、9番目 のエクソンであるエクソン5B(54bp)と同様に含んでいることが確かめられた。こ
れら2つの配列はERβi;Kuiper 他(1996);Mosselman 他(1996);およびTrembl
ay 他(1997)には見出されていない。エクソン5BはmERβ-3のリガンド結合ドメイ
ン(LBD)に位置しており、mERβ-3機能にとって重要な役割を担っていると考えら
れる。
【0109】
【実施例2】 3つのオルターナティヴにスプライスされたスプライスイソ型 タンパク質の単離 マウス完全エストロゲンβ受容体遺伝子配列mERβ-3 に加えて、mERβ-3 2つ
のオルターナティヴにスプライスされたマウス体を同定し(mERβ-1およびmERβ-
2)、ラット卵巣より4番目のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパ
ク質とrERβ-4 を同定した。mERβ-3 にとっての最初のオルターナティヴにスプ
ライスされたスプライス体であるmERβ-1は、新規な192bpをエクソン1の5'-末 端部に含むが、エクソン5Bの54bpが欠損している。この長さはヌクレオチド1,65
0個分あり、推定的に549個のアミノ酸からなる長さのポリペプチドをコードして
いる(図2a)。予備データからは、mERβ-1イソ型タンパク質が全長mERβ-3より も活性の高いことが明らかとなっている。mERβ-3の単離について記述した方法 と同一の方法によって、mERβ-1イソ型タンパク質を単離した。
【0110】 イソ型タンパク質mERβ-2は、1,533bpから成り、510個のアミノ酸をコードす
るだろう(図2b)。mERβ-2 は、117bpを含むエクソン3を欠いている。mERβ-2
イソ型タンパク質はマウスES細胞ゲノムライブラリーのみから単離された。
【0111】 イソ型タンパク質rERβ-4をラット(r)卵巣から得たが、一方mERβ-1およびmE
Rβ-2は、全長mERβ-3と同様、マウス(m)卵巣から入手した。これは長さ1,570個
のヌクレオチドからなり、エクソン5Bを含むが、エクソン6が欠失されている。
エクソン6は(図1aに示すように)134bpから成る。rERβ-4の推定タンパク質は、
414個のアミノ酸からなるだろう(図2c)。
【0112】 検討している全核酸配列はコード領域に関連しており、対応するmRNAの配列 は、5'領域と3'領域の両者よりも長い。公表されている、ヒト、マウス、ラット
およびマウスから単離した不完全なエストロゲン受容体β遺伝子(ERβi)は、こ れらの完全体からスプライスされた変異体であって、マウスのものがmERβ-3で
あり、エクソン5Bの54bpを含み、エクソン1の5'末端部に192bpを含んでいる。M
osselman 他(1996);Kuiper 他(1996);および Tremblay 他(1997)。これら4配列
はすべて192bpをエクソン1の5'末端部に含み、過去に公表された配列(前掲) には記述されていない。エクソン1の5'末端部に位置する新規の192bpの領域に 類似している配列は、ヒトのERβcおよびそのイソ型タンパク質にも存在する。
【0113】 全長マウスERβc遺伝子、すなわちmERβ-3、のオルターナティヴにスプライ スされたイソ型タンパク質(すなわちmERβ-1、mERβ-2およびrmERβ-4)は、m
ERβ-3を得るために2つの異なる手順を使用して2回単離した。実施例1および
実施例2で使用したプライマーは、変異体があるなら、これら選択プライマーの
範囲内で生成するだろうとの仮定に基づいて、選択された。歴史的にみて、類似
のプライマーがERαと同様の結果をもたらしている。
【0114】
【実施例3】 ウエスタンブロッティングを使用したmERβ-3タンパク質の組 織特異的発現 マウスERβc(mERβ-3)に特異的な配列に対する抗ペプチド抗体は、他組織と
同様に、卵巣および骨でも64kDaのタンパク質を特異的に認識した。2つの抗ペ プチド抗体は、ニワトリのN-CSSEDPHWHVAQTKSAVPR-OH(抗体1067および抗体1068
)に対して生成された。このポリペプチドはエクソン5Bによりコードされ、エク ソン5Bコード領域を発現するイソ型タンパク質同様に、mERβ-3を認識する。抗
体1067および抗体1068は異なる2羽のニワトリの卵から、抗体1069および抗体10
70を同様に得た。これら抗体はmERβ-3が産生するタンパク質を認識するが、Ku
iper 他(1996および1997)が発見したERβ1タンパク質ではなく、エクソン5Bを欠
いている。
【0115】 卵巣組織試料および骨試料から採取した全タンパク質(60μg)を、10%アクリ ルアミドゲルにより電気泳動して分離した。このゲルを電気泳動に40Vで16時間 かけた。このタンパク質をゲルからニトロセルロース膜に移し、100mAで4時間
転写させた。mERβ-3(抗体1068)に対するニワトリ抗血清を1:1,000倍に希釈して
、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Promega社)にコンジュゲートした2次
抗体を1:1,000倍で希釈したものとともに、このブロットをプローブした。前記 タンパク質をECL化学蛍光基質を使って視覚化し、フィルムに1分間現像した(BM
Rフィルム、コダック社)。
【0116】 図3は、抗体1068を使って得たウエスタンブロットの結果を示しており、エク
ソン5Bにコードされたポリペプチドを検出する。全タンパク質(60μg)を電気泳 動により分離した。このタンパク質をニトロセルロース膜に移して、1:1,000倍 希釈した抗体1068(図3a)でプローブした。図3(b)は抗体1068前免疫血清によ りプローブしたブロットである。図3(a)および図3(b)の各レーンから抽出した
タンパク質は以下の通りである:レーン1はヒト卵巣;レーン2はマウス卵巣;
レーン3はラット卵巣;レーン4はROS17/2.8細胞;レーン5はROS17/2.8細胞を
エストラジオールで16時間処理したもの;レーン6はマウス一次骨芽細胞。抗体
は、特異的に64kDaタンパク質を認識し、mERβ-3において予想された大きさに ほぼ相当する。疑問符のついたところは、免疫特異的ではあるが同定されていな
い約58kDaに泳動したタンパク質を指す。ROS17/2.8細胞はGideon Rodanによって
定性された細胞株である。これはラットの骨芽細胞様骨腫瘍細胞株(ROS)である
【0117】
【実施例4】 RT-PCR産物のサザンブロッティングによって測定される ラットERβの組織特異的発現 ラット(r)ERβ(rERβ)mRNAの細胞発現を、RT-PCR産物のサザンブロッティン グにより検討した。ラットの卵巣、ラット総骨髄(100ng)、およびROS17/2.8細胞
(100ng)から得た全RNA(2-100ng)を200UのSuperscript(exo-)逆転写酵素(Gibco-
BRL)および100pmolのランダムヘキサマープローブを使い、製造者が推薦する条 件に従って逆転写した。ROS 17/2.8細胞はラット骨芽細胞様骨腫瘍株(ROS)であ
る。ラットcDNAを、100μlの反応液中で2UのTaq ポリメラーゼを使用し、各反 応あたり、1μMの5'-GTC AAG TGT GGA TCC AGG-3'(プライマー9;アクセ ションU57439の塩基924から始まり、mERβ-3の塩基700と一致している)、およ び5'-GCT CAC TAG CAC ATT GGG-3'(プライマー10;Kuiper 他によるrER
β-3の塩基1,130から始まり、アクセション番号U57439、およびmERβ-3 の塩基906と一致している)を使用して増幅した。産物を25-40サイクルからな る以下の増幅プログラムによって増幅した;90℃で1分、55℃で45秒、72℃で2
分。この産物をプログラム終了時に72℃で5分かけて伸長させた。
【0118】 増幅に続いて、このPCR産物を4%NuSieveアガロース(FMP)TBEゲル中で分離し た。このDNAをナイロン膜(ベーリンガー・マンハイム社)に移し、サザンブロ ット用に紫外線照射して架橋形成させた。予想される5'-AGC AGG TAC ACT G
CC TGA GCA AAG CCA AGA-3'(プライマー11;アクセションU57439の塩基991
に始まり、mERβ-3の塩基767に一致する)なるアンプリコンの内部にあるオリゴ ヌクレオチド10pmolを、T4ポリヌクレオチドを使用して末端標識し、固定化した
DNAアンプリコンをプローブするのに使用した。Quick-Hybハイブリダイゼーショ
ン溶液(Stratagene社)において58℃でプレ・ハイブリダイズしてから、このプ
ローブを添加して1時間ハイブリダイズさせた。このブロットを0.1%SDS含有2x SSCで室温にて2回洗い、0.1x SSCと0.1%SDSで58℃にて2回洗った。このブ ロットをフィルムに現像した。
【0119】 図4は、RT-PCRにより増幅したラットERβ(rERβ)産物のサザンブロットを オートラジオグラフにかけたものである。多様な組織より採取した全RNAを逆転 写し、PCRで増幅して、ナイロン膜にうつして32P標識mERβ-3オリゴヌクレオチ
ドを使用してプローブした。図4(a)は、35サイクルで増幅した。各レーンは以 下のタイプおよび量のRNAを含む;レーン1は対照、RNA含まず;レーン2はラッ
ト卵巣由来RNA(0.1μg);レーン3はROS17/2.8細胞(0.1μg);レーン3はROS
17/2.8細胞(0.1μg);レーン4はラット卵巣由来RNA対照(0.1μg)であって逆 転写酵素含まず;レーン5は、ROS17/2.8全RNA(0.1μg)でRTを含まず。
【0120】 図4(b)は、全RNAのサザンブロットである。ERβ産物をRT-PCRで25サイクル増
幅した。図4(b)の各レーンは以下に示すタイプおよび分量のRNAを含む;レーン
1は対照;レーン2はラット卵巣由来RNA(2ng);レーン3はROS17/2.8全RNA(0
.1μg)、レーン4は全(培養)骨髄RNA(0.1μg);レーン5は全培養骨髄RNA(
0.1μg)であって、ここでは細胞はエストラジオールで16時間処理しておいた;
レーン6は同時培養物における一次骨芽細胞に由来する全RNA(0.1μg)である;
レーン7-11はそれぞれレーン2-6の対照反応である。
【0121】 ERβcイソ型タンパク質の相対的発現に関する鑑別解析を、ランダムプライマ ーおよび逆転写酵素(RT)を利用して実施し、ラット、マウスまたはその他哺乳 類組織など多様な組織からcDNAを合成した。こうして得られたcDNAを、完全な相
同体ラットおよびマウスプライマーであって、かつmERβ-3の塩基700に一致する
か、あるいはRattus norvegicusエストロゲン受容体βmRNA、アクセション番 号U57439(Kuiper 他(1996))のいずれかに一致する 5'-GTC AAG TGT GGA TCC AGG-3'(プライマー9)、並びにmERβ-3の塩基1,554およびアクセ ション番号U57439の塩基1,724に一致する5'-GCA CTT CAT GCT GAG C
AG-3'(プライマー8)を使って増幅した。増幅後、このPCR産物を精製して、エク
ソン5B内部のコンセンサス部位を有する制限エンドヌクレアーゼであるFspI で
消化した(mERβの塩基1,176におけるTGCGCAであって、rERβ-4にも存在する)。 エクソン5B配列を有するマウスまたはラットのアンプリコンの消化から、このよ
うにして少量の産物を得る。消化されたPCR産制物をアガロースゲル電気泳動に よって分離し、ナイロン膜に移して、ラットまたはマウスの配列あるいは両方に
特異的な相補型オリゴヌクレオチドプローブでプローブした。ハイブリダイズし
たDNAの特異的サイズは、特定の組織または細胞試料中にどの形のイソ型タンパ ク質が存在するかを決定している。さらには、バンドの強度によって特定試料中
のイソ型タンパク質の相対的な存在量を定量できる。
【0122】
【実施例5】 ゲルシフトアッセイ mERβ-3のゲルシフトアッセイを図5(a)に示す。mERβ-3ゲルシフト(図5a)
から得た結果を、図5(b)に示すようにヒトエストロゲン受容体α(ERα)から得
た結果と比較した。形成された受容体-DNA複合体を、新規エクソン5B(抗体1067
および抗体1068)に向けた方向の抗ペプチド抗体を使って分裂させた。COS-7細胞
由来の核抽出物(16μg)を、mERβ-3(図5a)、またはヒトαエストロゲン受容
体(pHEGO)を有する発現プラスミド(図5b)で形質転換させ、27塩基対の、32p ラジオオアイソトープで末端標識した完全EREz(5fmmol)とともに培養した。 両図におけるレーンの説明は同一である。図5(a)と(b)は以下のものを含む:レ
ーン1およびレーン2は抽出物のみ;レーン3および4は抗体1067;レーン5お
よびレーン6は抗体1067の免疫前血清;レーン7およびレーン8は抗体1068;お よび免疫前血清、レーン9およびレーン10は抗体1068の免疫前血清;レーン11お
よびレーン12は未形質転換COS-7核抽出物16μgを含む対照レーン。
【0123】
【実施例6】 ERサブタイプ向けの多様なエストロゲンにおける相対的親和性 表1に示す実験データは、ERβサブタイプに対する多様なエストロゲンについ
てのさまざまな親和性を示す(ERα、ERβ-1、およびERβ-3)。
【0124】 E2結合の結合能を、異なる濃度の[3H]-E2(0-200nM)とともにトランスフェクト
されたCOS-7細胞外ゾルを培養することによって測定し、未標識E2 500Xで4時間
、40mMのTris HCl pH7.4、150mMのKCl、PMSF0.1mM、DTT 2mMを添加する か、未添加かで測定した。実施例7に示すように、COS-7細胞をトランスフェク トさせた。結合した受容体をヒドロキシアパタイト法(Obourn 他Biochemistry32
(24):6229-6236(1993))で分離するか、またはリガンドをデキストラン被覆チャ
コール法(Garcia 他Mol.Endocorinol.6(12):2071-2078(1992))で除去し、結 合したホルモンを液体シンチレーションカウント法により測定した。解離定数(k
d)をスカッチャープロット法により得た。同様に、異なるエストロゲンリガンド
の相対親和性を、1nMの受容体および5nMの[3H]-E2に多様な濃度の記述済み競合
ステロイドを添加するか、または無添加状態で測定した。標識した[3H]-17β-エ
ストラジオールの50%と結合するのに必要なリガンド濃度を分母として使い、表 に示した(分子は1nMの定数で)。
【0125】 相対親和性の差異(IC50実験の結果)は、mERβ-1およびmERβ-3受容体が異
なるリガンドに対して異なる親和性を有することを示している。このことからは
、異なるリガンドに対する転写応答が、受容体サブタイプの発現型と、転写を刺
激するために使用したエストロゲン・リガンドとの関数であることを示唆してい
る。
【0126】 表1は、ヒトERα、マウスERβ-1およびマウスERβ-3(エクソン5Bを含む)に
おいて異なる親和性を示している。指摘されたように、異なるエストロゲンの親
和性は、受容体によって異なる。数が増えれば増えるほど、エストロゲン受容体
標的に対してもっているエストロゲンの親和性が高くなる。ジエチルスチルベス
トロール(DES)はERαよりもERβイソ型タンパク質に対して高い親和性を有する
【0127】
【表1】
【0128】 この実験で使用した方法は、ERβイソ型タンパク質の各々に対して異なる親和性
を有するスクリーニング用試薬として利用でき、その他エストロゲン受容体タン
パク質およびそのイソ型タンパク質にとって特定の薬物が有するであろう親和性
を測定する上で、ERαとそれらを比較するのに利用できる。
【0129】
【実施例7】 ERβ-1およびERβ-3イソ型タンパク質のトランスアクチベーシ ョンプロファイル 本実験では、ERβ-1およびERβ-3イソ型タンパク質の効果を、両者が個別に発
現する場合と、一緒に発現する場合について、ERαの効果と比較した。
【0130】 tk-CAT(Metzer 他J.Biol.Chem.270(16):9535(1995))に記載された構築物に機
能的結合を成すエストロゲン応答物質(ERE)を介して、転写を刺激するエストロ
ゲンの能力を、COS-7細胞におけるmERβ-1およびmERβ-3に対する発現ベクタ ーの一過性トランスフェクションにより測定した。トランスフェクションには、
COS-7細胞をフェノールレッド不含低グルコース含有DMEM培地を入れた6穴プレ ートに播いた。約50-80%のコンフルエンシーに達した時点で、製造者のマニュア
ル(GIBCO-BRL)に従い、リポフェクタミンを使用してトランスフェクトした。発
現構築物を500ngのレポータ、100-500ngの発現プラスミド、および残りである(1
-1.4ng)担体DNAとしてのpBluescriptに含有する総量2μgのDNAでトランスフェ
クトした。24時間後、細胞をDMEMで洗い、薬剤(17-βエストラジオール、4-ヒド
ロキシタモキシフェン、クロミフェンまたはDESを1-300nMの濃度で)を含有する 新鮮培地、またはビヒクル(エタノール)と交換した。24時間後に、細胞を溶解 し、液体シンシレーションカウントを使ってCAT活性を転換後クロラムフェニコ ール(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGYに記載されたように)によ って測定した。mERβ-1およびmERβ-3イソ型タンパク質の共トランスフェクシ
ョンには、等量の発現構築物をトランスフェクトした(通常は各々100ng)(図8)
。他薬剤が転写に及ぼす影響を解析するには、前述の実験によって、薬剤濃度を
変化させることを除いて、同様の実験を実施した(図9)。
【0131】 トランスフェクション解析の結果(図8)からは、mERβがカノニカル応答要 素を含有するレポータからの転写を刺激する能力のあることがわかった。mERβ
-1は、エストラジオール濃度を100nMとした場合、ERα構築物すなわちpHEGOで トランスフェクトした同様な細胞で観察されたものの約50-70%まで転写を刺激し
得る。mERβ−3イソ型タンパク質は、薬物濃度を100nMとした場合、pHEG
Oで観察された転写の約40%のみを刺激しうる。
【0132】 図8および図9に示すように、mERβ-1の応答はERαをコードするpHEGOでト
ランスフェクトした細胞で観察されたのと同程度であった。mERβ-3だけがきわ
めて高濃度のエストロゲン(100-200nM)にて転写を刺激した。これとは対照的
に、両受容体が同時に発現している場合は、応答強度は除去されており、このこ
とからmERβ-3機能がmERβ-1の活動にとって優勢な負のモジュレータであるこ
とがわかる。(同様の結果が、Maruyama 他Biochemical Biophysical Researc h Communications 246(1):142-147(1998)に公表した文献でも確認されている)。
【0133】 図8の結果は、mERβ-1が、E2、クロミフェン(クロミド)、ジエチルスチル ベストロール(DES)および4-OHTに曝露した場合に、ERαに類似したトランス活性
化プロファイルを有することを示している。mERβ-3イソ型タンパク質は、ERα
またはmERβ-1のいずれかと比較した場合、cV2EREをトランス活性化する能力 が低い。しかし、イソ型タンパク質が共に発現させられた(coexpressed)場合、 この活性は、減少する(図8のmERB1+B3で示すパネル)。本実施例で利用した
アッセイは、ERβイソ型タンパク質のホモダイマーを変調するのがどの薬剤であ
るかを決定する場合も同様に使用され、ERβイソ型タンパク質のヘテロダイマー
、並びにERβおよびERαイソ型タンパク質から成るヘテロダイマーの場合も同様
である。
【0134】 図9は、ERβ-1(図9のB1で示す)およびERβ-3(B3)が共にクロミフェン、D
ES、4-OHTおよびE2に曝露された場合に類似の活性を有することを示している。 しかし、ERβ-1およびERβ-3をレポータ系内部で同時に発現させた場合は、個別
にERβイソ型タンパク質またはERαを発現させる場合と比較して、これらの同時
発現のほうがダウンレギュレートされている。このアッセイ系は、多様なERβイ
ソ型タンパク質の活性を変調する別のエストロゲンまたは化合物をスクリーング
する際に利用できる。
【0135】
【実施例8】 多様な組織のインサイチュ・ハイブリダイゼーション ERαとERβの両者に対するアンチセンスcRNAプローブを使い、インサイチュ ・ハイブリダイゼーション解析を実施した。組織を0.1M TEA、pH8.0に0.25%無
水酢酸を添加して室温で10分間処理し、2X SSCで3回洗い、アルコール類で連 続して脱水して風乾した。ERαまたはERβ-3イソ型タンパク質に対応するcRNA リボプローブを調製し、組織片をプローブした。ハイブリダイゼーション溶液を
除去し、組織片を洗って乾燥した。リボプローブ用には、mERβ-1プラスミド(
ラット配列の931-1731番目の塩基)のリガンド結合ドメインに対応する801塩基 対の挿入部を、制限酵素ApaL1 を使って直線化し、[35S]-UTPおよび[35S]-CTPの
存在下でインビトロでRNAポリメラーゼを使用し、Goldstein他Neuroscience71(1
):243(1996)の方法に従って転写した。このリボプローブをエタノール沈殿法に
て精製し、乾燥した組織片を55℃で一晩ハイブリダイゼーション緩衝液中でハイ
ブリダイズした。ハイブリダイゼーション液を除去し、組織片をRNaseで短時間 培養し、洗ってから脱水し、風乾した。乾燥片を通常の連続現像時間かけてフィ
ルムに現像し、NTB3乳剤に浸し、各mRNAの細胞内での位置、および解剖学的位 置を測定した。
【0136】 結果は、発育中の卵胞内部に(図10の一番上のパネル)、そして肺、腎皮質、
脳内の特定領域(図示せず)にて大量かつ広範囲のERβメッセージが分布してい
たことをはっきりさせた。ERα分布のパターンは全く異なっており、子宮にのみ
、腎臓の髄質(図示せず)および脳の特定の領域に高度に発現され(図10の真
中のパネル)ていた。予備的データから、ERβ発育中のラット(12日)の骨、
特に脊椎(図10)の中の間葉圧縮帯に対応するとみられる骨形成中心で発現す
ることも示された。
【0137】 ERβメッセージは、発育中の Graffinn 卵胞(GA)で観察されるが、閉鎖症が進
行している再吸収性卵胞(FA)(図10、上のパネル、アンチセンス)では観察さ
れない。卵巣内では、ERαメッセージ受容体は、子宮管の内部にのみ豊富にある
(図示せず)。ERβmRNAは、子宮全体に広く発現されているのが観察された。 (図10、真中のパネル、アンチセンス)。子宮頚部の脊椎には、Osf/Cbfalす なわち骨芽細胞分化タンパク質の発現パターンと同様に、ERβmRNAが間葉性骨 化(M)を呈する領域に局在していた(図10、最下パネル、アンチセンス、↓部 分)。センスリボプローブ対照を使用した一連のハイブリダイズ切片に対応する
対照も、右のパネルに示している。
【0138】
【実施例9】 薬剤のためのスクリーニング方法 .ERβのリン酸化。ERαを含め、ステロイド受容体スーパーファミリーのほと
んどの構成員の基底状態の関数 (function) として、あるいはリガンド結合に応
じて、翻訳後の修飾を(例えば、リン酸化)受ける。ERαの場合、リガンド結合
に応じてリン酸化される様々な部位が分子上に存在する。mERβまたはヒトER βの翻訳後の修飾は、ERαに対して先に利用した方法と同じ方法を使って行なう
ことができる。リン酸化を分析する方法は、COS-7細胞内における、様々なcDNA の一時的なまたは安定的な発現、あるいは[32P]-オルトリン酸塩で代謝標識され
た細胞から、[32P]標識されたERβを免疫沈降させることによる。リガンド刺激 /非刺激細胞からのトリプシンによるマップは、本発明者らの抗体(例えば、図
3を得るために使用した抗体のような、エクソン5Bの産物に対する)もしくは市
販の抗体を用いて、mERβまたはヒトERβ分子を免疫沈降させることにより単離 させたERβタンパク質を使って得られる。インビトロでの一時的なトランスフェ
クションを利用して行なう研究のために、トリプル-myc 標識またはGST 標識が 、適切なコード配列を発現プラスミドへクローニングすることにより、カルボキ
シル基またはアミノ基の末端へ結合されることができる。発現された(リン酸化
された)タンパク質は、次に、信頼性が高くしかも市販で入手できる抗-myc抗体
(トリプルmyc標識を使用する場合)またはまたは抗GST抗体を用いて免疫沈降さ
せることができる。さらに、エクソン5Bアミノ酸の残基を他残基と置換してリン
酸化を阻止することも可能である。ERαおよびmERβ-1の何れとも対照的に、mER
β-3にとってユニークなエクソン5Bは、さもなければ限りなく疎水性のある分子
の領域内へ配置される。しかし、エクソン5B領域は、普通は親水性であり、エク
ソン5-エクソン5B-スプライスというジャンクションの配置の直接的な結果と
して生ずる、コンセンサスなカゼインキナーゼII(CKII)リン酸化部位(VLDRSS
EDP)を含む。ERαサブタイプを含め、多数のステロイド受容体がCKII部位でリ ン酸化される。エクソン5BでコードしたERβの一部に存在するセリンは、アラ
ニン残基で置換することが可能であり、あるいはリン酸化された分子を構造上模
倣した残基(例えば、アスパラギン酸の残基)で置換することが可能である。ER
βのこのような形態は、ERβの様々なイソ型タンパク質の活性を変調する薬剤の
スクリーニングと単離に利用することができる。代替として、ERβのこれら突然
変異体形態またはこの領域を含むポリペプチドフラグメントは、それら自体が、
ERβ信号路内での作用薬あるいは拮抗薬活性について試験されることができる。
【0139】 B.ドメイン切り替え。ERαのアミノ基末端は、ERα分子のリガンド結合ドメ
イン内に存在するリガンド依存転写ドメイン(AF-2)と「同化」されると、専ら完
全に活性状態になる自律転写活性(AF-1)を含む。これらドメインは、依然として
ERβに関して記述されねばならないが、ERαとERβの分子間の、タンパク質レベ
ルにおける配列の高い相同性は、ERβが同じように形成されることを理論的に示
唆している。これらドメインの多くは、GSTおよびmycのような便利で信頼性のあ
るエピトープタグへ融合したリガンド結合ドメイン(LBD)の一部を使用して同定 されるとともに、特徴付けられた。次いで、そのような構造を利用して、細胞溶
解物全体、または発現ライブラリーのような他発現モデルにおいて、ER錯体の転
写応答性を関数的に変更するタンパク質を同定する。本発明者らは、特定のイン
テグレータ分子がタンパク質どうしの相互作用のプローブのような便利なエピト
ープタグなどに融合されるmERβ3のLBDを使用して見出されるかもしれないと推 定する。このようなタンパク質は、機能性ER錯体(ERβ3のERβ3とのホモ二量体
、またはERβ3のERβ1との、あるいはERβ3のERαとのヘテロ二量体として定義 される)、つまりER錯体と相互作用するタンパク質のためのプローブのようなエ
ピトープタグなどで融合されたアミノ基末端の一部、の転写応答性を変更するこ
とができる。一方、これらの錯体を薬剤スクリーニングアッセイで使用して、ER
βイソ型タンパク質活性を変調する薬剤を同定することができる。代替として、
錯体自身を使用して、エストロゲン受容体を媒介とする経路を調節してもよい。
【0140】 引用文献 下記引用文献、および先に記載の、そして以下に記載の、すべての論文、テキ
ストおよび特許は、それぞれ全体を引用して本明細書に援用する。 Aguilar 他, Mol. Cell. Biochem. 136(1): 35 (1994). Angerer 他., Methods Enzymol., 152: 649 (1987). Aprikian 他., Cancer 71(12): 3952 (1993). Bartlett 他, Br. J. Cancer 73(12): 1538 (1996). Berent 他, Biotech. 3: 208 (1985). Berg 他, PNAS 88: 4723 (1991). Berkowitz and Evans, J. Biol. Chem. 267(10): 7134 (1992). Berry 他, EMBO 9: 2811 (1990). Bonetti 他, Breast Cancer Res. Treat. 3 8(3): 289 (1996). Burch 他, Mol. Cell. Biol. 8(3): 1123 (1988). Byers 他, Mol. Endocrinol. 11(2): 172 (1997). Cohen 他, PNAS 69: 2110 (1972). Collins 他, Steroids 62: 365 (1997). Cotreau-Bibbo 他, J. Pharm. Sci. 85(11): 1180 (1996). CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, F. Ausub他, ed. Greene Publishin
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【図面の簡単な説明】
【図1】 完全マウスERβc遺伝子(mERβ-3)のヌクレオチド配列、推定アミノ酸配列およ
び推定ドメインを示す模式図である。 図1(a)は、完全マウスERβc、mERβ-3および、mERβ-3の、オルターナティヴ
にスプライスされた異なるイソ型タンパク質を作成するスプライシングドメイン
を含む9個のエクソン各々の位置を示す模式図である。エクソンを示す線の直接
上の数は、エクソンの末端ヌクレオチドを表現する。塩基対(bp)の9個のエクソ
ンのサイズとマウス卵巣由来のエクソンおよびスプライス変異型の各々に対して
コードされたアミノ酸(a.a.)配列が示されている。mERβ-3の1,704のヌクレオチ
ドは、567のアミノ酸をコードする。文字(A〜F)までは、ステロイド受容体上位 ファミリーのすべての構成員によって共有される相同領域を示す。Green他Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology 51(2): 751-8(1986)。領域 Cは、DNA結合ドメイン(DBD)に対応する。領域Eは、リガンド結合領域(LBD)で ある。新たに説明されるエクソン5Bは、LBD内にある。エクソン5Bは、GTCCTCAか
ら始まり、CCCAAGで停止する。レンダリングで共有された領域は、すべてのERβ
およびγERβイソ型タンパク質に含まれるアミノ末端と、全長(mERβ-3)やオル ターナティヴにスプライスされたラットイソ型タンパク質(に含まれる付加的エ クソン(エクソン5B)を示す。γERβ-4のエクソン6の欠失により、フレームシフ トが起こり、フレーム内、停止コドンが近位に配置されることにより、図示のよ
うにタンパク質の末端が切取られてしまう。 クローンmERβ-1は、1,650bpの長さがある。これは、エクソン1の5'末端のエ
クソンや7個の他記載されるエクソンに位置する、以前に記載されたことがない
192bpを含み、mERβ-1には、新たに記載されるエクソン5Bが存在しない。単離さ
れたイソ型タンパク質mERβ-2は、1,533bpであり、エクソン3およびエクソン5B を含まない。イソ型タンパク質γERβ-4(ラット組織から単離)は、1,570bpであ る。γER-β4は、新たなエクソン5Bを有するが、エクソン6を持たない。エクソ ン6の損失により、フレームシフトが生じ、翻訳がエクソン7に配置される停止コ
ドンで終了してしまう。 図1(b)は、マウスmERβc(mERβ-3クローン)全配列を示す図である。すべての
mERβクローン(mERβ-1、mERβ-2)やオルターナティヴにスプライスされたラッ トイソ型タンパク質(γERβ-4)に含まれる付加的な配列には、アンダーラインを
引き、ボールド体で示した。9番目のエクソンに含まれる配列は、塩基1,149番か
ら始まる下枠の文字で示されている。
【図2】 mERβ-3のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質のアミノ酸 配列を示す図である。 図2(a)は、選択的スプライス変異型mERβ-1に関して演繹されたアミノ酸配列
を示す図である。オルターナティヴにスプライスされた全3種類のイソ型タンパ
ク質によって共有されるポリペプチド配列は、ボールド文字とアンダーラインで
示される配列によって示される。mERβ-1タンパク質は、549のアミノ酸残基を含
む。 図2(b)は、選択的スプライス変異型mERβ-2に関して演繹されたアミノ酸配列
を示す図である。オルターナティヴにスプライスされたmERβ-2は、510個のアミ
ノ酸残基分の長さがある。 図2(c)は、ラットの選択的スプライス変異型γERβ-4に関して、演繹された アミノ酸配列を示す図である。このスプライス変異型は、ラット卵巣から得られ
た。エクソン6の欠失により、フレームシフトが生じ、末端部分が切取られて、 翻訳されたエクソン5Bを超えてから13個分のアミノ酸で終了する。結果として作
成されるγERβ-4タンパク質は、414個分の残基の長さがあると見られる。イタ リック体ボールド文字でアンダーラインを付したところ(残基1〜64)は、エクソ ン1の5'末端に位置する新規の192個のヌクレオチドによってコードするポリペプ
チドである。ボールド体で下線を付した文字は、エクソン5Bによってコードする
ポリペプチドを表現する。「*」は、翻訳された停止コドンである。
【図3】 ウェスタンブロットによって検出されたmERβ-3タンパク質の組織特異的発現 を示す。 図3(a)は、N-CSSEDPHWHVAQTKSAVPR-OH(エクソン5Bによってコードされる配列
)に対して作成される抗ペプチド抗体(抗体1068)を用いるウェスタンブロットの 結果を示す。ここで、mERβ-3タンパク質は、ヒト卵巣、マウス卵巣、ラット卵 巣、ROS17/2.8細胞、およびマウス一次造骨細胞タンパク質からの抽出物の観察 された。 図3(b)は、抗体1068前免疫血清でプロービングしたヒト卵巣、マウス卵巣、 ラット卵巣、ROS17/2.8細胞およびマウス一次造骨タンパク質からの抽出物のウ ェスタンブロットを示す。図3(a)および図3(b)の各レーンのタンパク質抽出物
は以下の通りである:レーン1、ヒト卵巣;レーン2、マウス卵巣;レーン3、ラ ット卵巣;レーン4、ROS17/2.8細胞;レーン5、16時間100nMのエストラジオール
で処理されたROS17/2.8細胞;レーン6、マウス一次造骨細胞。
【図4】 RT-PCR作成物のサザンブロットによって検出されるγERβDNAの組織特異的発 現を示す。 図4(a)は、ラット卵巣およびγERβを検出することができるオリゴを使用し て35サイクルにわたって増幅させたROS17-2.8細胞から得られる全RNAを示す。図
4(a)の各レーンは、以下のタイプのRNAから誘導されるPCR作成物を含む:レー ン1、対照、RNA無し;レーン2、ラット卵巣RNA(0.1μg);レーン3、ROS17/2.
8細胞(0.1μg);レーン4、ラット卵巣RNA対照(0.1μg)、逆転写酵素(RT)無し;
レーン5、ROS17/2.8全RNA(0.1μg)、RT無し。 図4(b)は、ラット卵巣、ROS17/2.8細胞、エストラジオールで処理した骨髄RN
Aと、ERβから誘導されたオリゴを用いて25サイクルにわたって増幅された共培 養中の一次造骨細胞(アクセション番号U57439)から得られた全RNAを示 す。図4(b)の各レーンは、以下のタイプのRNAと量を含む:レーン1、対照、RN
A無し;レーン2、ラット卵巣RNA(2ng);レーン3、ROS17/2.8全RNA(0.1μg); レーン4、全(培養)骨髄RNA(0.1μg);レーン5、全培養骨髄RNA(0.1μg、ただ し、細胞を16時間エストラジオールで処理した);レーン6、共培養中の一次破 骨細胞全RNA(0.1μg);レーン7から11、レーン二から6の各々に逆転写酵素R
Tを用いない対照反応。
【図5】 ゲルシフトアッセイの結果を示す。 図5(a)は、mERβ-3のゲルシフト分析を示す。受容体DNA錯体を、抗ペプチド 抗体1067(エクソン5Bによってコードされたポリペプチドを認識する)を用いて破
壊した。 図5(b)は、エストロゲン受容体(ERα)のヒトα型のゲルシフト分析を示す。E
Rα-DNA錯体の破壊は、エクソン5Bに特異的な2種類の抗ペプチド抗体を用いて アッセイした。 図5(a)および5(b)は以下を含む:レーン1および2、抽出物のみ;抗体1067
、レーン3および4;抗体1067前免疫血清、レーン5および6;抗体1068、レー
ン7および8;前免疫血清、レーン9および10;レーン11および12、16μ
gのトランスフェクションされていないCOS-7核抽出物を含む対照レーンである 。
【図6】 mERβ-3タンパク質と、マウスERαとの比較図である。 上側配列は、mERβ-3のタンパク質配列であり、下側配列は、マウスm(m)mERα
のタンパク質配列である。一致する配列間の「|」は、残基の一致を示す。一致 する配列の間の「:」は、同様のアミノ酸を示す。両方の配列に見られる「.」 は、配列整合プログラムによって加えられる「ギャップ」である。対になった配
列を二等分する線は、ERβcおよびERαに見られる6個のドメイン(A-F)を示す。
Cドメイン間には、その 99% に類似性、97% に一致が見られ、2種類のマウスエ
ストロゲン受容体サブタイプのDBDを含む。Eドメイン間には、その 79% に類似 性、59% に一致が見られ、LBDを含む。
【図7】 mERβ-3とmERβiヌクレオチド配列の比較図である。 上側の対の配列対(ヌクレオチド151から出発する)は、mERβ-3ヌクレオチド配
列であり、下側配列は、Tremblay他(1997)により公表されたヌクレオチド配列mE
iである。 配列(1,244のアデニン)とERβi間には、1つのヌクレオチドに違い
がある。このヌクレオチドの違いにより、mERβ-3ではアスパラギン酸残基 (D) 、mERβiではグリシン(G)残基が生じる。
【図8】 各種エストロゲン存在下のERβイソ型タンパク質の活性を示すグラフである。 ERβ-1(B1)、ERβ-3(B3)、ERα(アルファ)、またはERβ-1およびERβ-3(B1+B3
)の両方を発現するリポータ構造を、クロミフェン、ジエチルスチルベステロー ル(DES)、4OH-タモキシフェン(4-OHT)、または17βエストラジオール(E2)に曝し
た。発現は、100nMの薬剤へのERα応答に標準化された。
【図9】 トランス活性化プロフィール cV2EREを示すプロットである。 4個のパネルは、cV2EREを活性化する異なるエストロゲン受容体の能力を示す 。ERα(ERアルファ)、マウスERβ-1(mER-B1)、マウス(mER-B3)の細胞応答、また
は、E2クロミッド、DES、4-OHTに対するCOS-7細胞のマウスERβ-1およびERβ-3 イソ型タンパク質(mER B1+B3)の共発現を比較した。
【図10】 各種エストロゲン標的組織のインサイチュ・ハイブリダイゼーションを示す。 卵巣(上側パネル)、子宮(中央パネル)、およびE-15ラット胚を順次区分して、
ERβおよびERαから得られるアンチセンスプローブ(左側)およびセンスプローブ
(右側)を用いてプロービングした。頚椎を下側パネルに示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月30日(2001.1.30)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 新規のエストロゲン受容体βおよびそのイソ型タンパク質
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、新規の完全哺乳動物エストロゲン受容体β、いわゆるERβc、その ポリペプチド配列、ERβcをコードする核酸配列およびERβcを作成または発現す
る方法に関する。本発明は、エストロゲンとERβcの相互作用を変調する薬剤を スクリーニングする方法、そしてERβcまたはそのイソ型タンパク質を伴う病気 の診断および/または治療を行う方法にも関する。本出願は、米国仮特許出願第
60/053,869号および第60/054,210号に関連する。これら両仮特許出願は引用文献
として本明細書に援用される。
【0002】
【従来の技術】 A. エストロゲン エストロゲンは、天然ステロイドホルモンの一種であり、卵巣内や、精巣など
その他体内組織で産生される。エストロゲンは、ヒトと哺乳類の特定の標的組織
および器官の成長、分化、ならびに機能へ直に影響を及ぼすことが知られている
。このような特定の組織および器官としては、乳腺、子宮、前立腺、下垂体、脳
、肝臓などがあげられる。エストロゲンは、骨の維持や心血管系で重要な役割を
果たし、心血管系では、特定の心臓保全効果がある。骨については、破骨細胞お
よび造骨細胞がエストロゲンに応答し、エストロゲンの離脱によって、代謝回転
速度および骨損失量を増やすことが知られている。様々な天然エストロゲンと化
学合成エストロゲンが、同定されて特徴付けられてきたが、多分、その中で最も
知られているものは、内因性エストロゲンであるエストラジオール-17β(E2とし
ても知られている)であろう。
【0003】 B. エストロゲン受容体 一種のホルモンとしてのエストロゲンは、「エストロゲン受容体」(ER)として
同定される細胞内タンパク質のリガンド結合ドメイン(LBD)と結合することによ って作用する。この細胞内ERの存在は、エストロゲン依存細胞による細胞増殖と
タンパク質合成の両方を提供するとともに、その原因にもなる。エストロゲンホ
ルモンが不在の場合、エストロゲン受容体はインビボおよびインビトロの両方で
生物学的に不活性であり、細胞または組織が細胞質ゾル画分および核画分に均質
化され、かつ分画される場合、エストロゲン受容体が核内で認められ、細胞質内
でも検出される可能性がある。
【0004】 既知のエストロゲン受容体は、十分に研究されたファミリーの遺伝子調節タン
パク質の構成員であり、ステロイドホルモン受容体ファミリーと呼ばれている。
ステロイドホルモン受容体のような核受容体は、6つの異なる領域を備えるモジ
ュール構造を持っている。N-末端ドメインは、非リガンド依存活性機能を含むA
/B領域である(図1(a)参照)。C領域は、DNA結合ドメイン(DBD)である。D領域
は、核局在化信号を含む。最後に、E領域は、リガンド結合ドメイン(LBD)と、 リガンド依存トランザクション機能を含む。Kuiper他Endocrinology 138(3):863
(1997)、Tremblay他Mol. Endocrin 11(3):333(1997)。中央のDBDは、普通、約10
0個のアミノ酸である。ステロイドホルモン受容体ファミリーの他構成員と同様 に、エストロゲン受容体はエストロゲンをC末端LBDに結合することによって活性
化される。この受容体タンパク質は、ステロイドホルモンとその受容体が相互作
用して特定の遺伝子を活性化または抑制することにより、細胞が各種の脂質溶解
性ホルモンに反応することができるようにする。ステロイドホルモン受容体は、
複数の点で、例えばそれらのリガンドの性質、一連の熱ショックタンパク質との
会合、ステロイドホルモン受容体がホモ二量体としてホルモン応答要素に結合す
る場合がある、という事実などの点で、他核受容体から区別することができる。
Mosselman他FEBS Letters 392:49(1996)、Komm他Science 241:81(1988)、Burch 他Mol. Cell. Bilol. 8(3): 1123(1988)。
【0005】 ステロイドホルモン作用の従来モデルは、これまでステロイドホルモン受容体
がそのリガンドと複合体をつくる場合に限り、転写調節器として作用すると想定
されていた。しかし、大多数のステロイド受容体は、リガンドがなくても、細胞
核に存在することが明らかになってきた。ホルモンの不在にもかかわらず、核内
に受容体が存在することは、未結合状態の受容体に別の調節機能が有り得ること
を示唆する。例えば、甲状腺ホルモン受容体(TR)には、2つの調節的な役割があ
る。すなわち、ホルモン存在下では、転写活性化因子として機能するが、ホルモ
ン不在下で、TRは反応要素(TRE)特異転写抑制因子である。
【0006】 最初に発見されたエストロゲン受容体は、ERαであった。これは、過去数十年
間は単にERとして知られていた。ヒトER(hER)は、未結合状態で595個のアミノ酸
から成り、約67,000ダルトンである。エストロゲン結合不在下で、ERαタンパク
質は、インビトロでは細胞質ゾル内で位置を決定することができる。
【0007】 ERαの転写は、2つの別個のプロモータであるP0とP1から生じる。ただし、機
能的マッピングについては、これまでに発表されたことはない。P1は、主要なER
α転写出発部位を示す。出発部位P1は、ヒト乳房上皮細胞(HMEC)で主に使用され
、ERα陽性ヒト乳がんの主要な出発部位である。複数の出発部位が、P0プロモー
タとして同定されてきた。同定されたマウスERα遺伝子の研究により、約60塩基
の長さの10の出発部位が同定されており、ヒト細胞では、1994までの位置(P1 出発部位から)に出発部位があり、この部位は、主要なマウスP0出発部位と厳密 に一致するものと思われる。P0プロモータからの転写は、ヒト子宮内膜組織の特
徴であり、乳がん細胞中のERα転写の12〜33%を占め得る。最近発見されたERβ 遺伝子の遺伝調節制御要素は、明確化すべき余地がある。Kuiper他(1996および1
997)、Tremblay他(1997)、Mosselman他(1996)。ERβ遺伝子が、同様であるか、 またはERαについて記載されたものと類似した様式で機能する調節要素(プロモ ータやエンハンサ)を含むか否かは決定されてはいない。
【0008】 可溶性系中および設定条件下で、ERαタンパク質は、ショ糖密度勾配分析によ
って決定される沈降係数が8S、5S、または4Sである各種の分子形態で同定するこ
とができる。8S形態のERαタンパク質は、エストロゲンの不在下において未結合
の不活性状態エストロゲン受容体と会合する不活性化形質未転換ERαタンパク質
であると考えられている。4S形態のERαタンパク質は、インビトロで8S形態から
作成することができる単量体タンパク質分子である。4S形態は、インビトロでは
、核とDNAセルロースの両方に結合し、一般的には「活性化されているが形質転 換されていない」エストロゲン受容体タンパク質と呼ばれる。5S形態のERαは、
二量体タンパク質分子であり、二分子反応を通じて4S形態のERαタンパク質の変
換によって作成される。一般に、5S形態のERタンパク質は、「活性化されかつ形
質転換されて」いるために、核内でDNAに結合する生物学的活性体であると考え られている。さらに、この5S形態は、インビボでエストラジオールの投与後に核
に会合することが同定されている。既に、ERαとERβが、ヘテロ二量体を形成す
ることは証明されている。KuiperおよびGustafsson、FEBS 410:87(1997)。
【0009】 ERαとエストロゲンの正確な相互作用はほとんど分かっていないが、一般に認
められる作用の機序と事象の順序は、次のようになると考えられている。つまり
、エストラジオール17β(E2)のようなエストロゲンが、標的細胞および標的組織
へ導入されると、エストロゲンとERαタンパク質が特異的に結合し、エストロゲ
ン/ERタンパク質複合体を形成する。また、ホルモン結合に続いて、活性化およ
び/または形質転換と呼ばれるプロセスが生じ、核の成分である標的細胞のDNA に対して高い親和性がある機能的エストロゲン/ホルモン受容体複合体が形成さ
れる。ホルモン/受容体タンパク質複合体が物理的に形成されると、それは染色
体の特定の結合部位で染色質に結合し、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)転写を調
節(regulate)する。転写をアップレギュレートすると、新しいメッセンジャRNA(
mRNA)が合成され、化学的に修飾されて、核から細胞の細胞質へ輸出されてから 、mRNAを新しいタンパク質に翻訳するが、ホルモン/受容体タンパク質複合体は
、mRNA転写をダウンレギュレートすることもできる。これは、細胞内で生じ、か
つ、新たなたんぱく質合成の調節と、それに共存する新しい細胞の成長/増殖ま
たは分化に関係した十分に認識されたエストロゲン効果を引き起こす。ERβが同
じ作用機序を、ERαについて証明されたのと同じ方法で共有するか否かは今もっ
て不明である。確かに、それが転写を変調する様式とともにERβの局在化は、少
なくともERαに大体は似ているであろう。ただし、両者のエストロゲン受容体の
DBD配列とLBD配列の同一性は、それぞれ97%と60%であるので、特定のDNA配列に 関する親和性や受容体リガンドは、ERαとERβでは異なるのではないかと思われ
る。Tremblay他(1997)。
【0010】 乳がんの治療技術でERが臨床的に重要であることは知られている。置換された
トリフェニルエチレン抗エストロゲンであるタモキシフェンは、ER陽性胸部腫瘍
の治療技術に使用される部分的拮抗剤である。Gallo他Semin. Oncol. 24:S1(199
7)。一般に、受容体の発現は、予後がより良好であり、転移が少ないことに関連
する。(Bonetti他Breast Cancer Res. Treat. 38 (3): 289 (1996)。しかし、多
くの場合、腫瘍は、ER陰性であるか、あるいは一般には生物学的に不活性なスプ
ライス変異型を含むかの何れかである。このため、ER遺伝子調節やERメッセージ
の編集が乳がんの発現およびタモキシフェンなどの化学療法剤による臨床的結果
にどのように寄与するかを理解することは有益である。さらに詳細な背景につい
ては、Gallo他(1997)、KangasのActa Oncol. 31 (2):143(1992)、Evans他Bone 1
7(4S): 1815 (1995)、Safarians他Cancer Res. 56(15):3560(1996)を参照。
【0011】 より最近になって、エストロゲン受容体は、閉経後骨粗鬆症に関連する骨損失
との繋がりのあることがわかった。この発見に匹敵するのは、自明のことではあ
るがエストロゲンの作用を阻止する特定の抗エストロゲン(タモキシフェン、ラ ロキシフェン、ドロロキシフェン、タモキシフェンメチオジドなど)が、骨格筋 のみを刺激し、子宮または子宮間膜脂肪にはそれに対応する刺激効果がないとい
う事実である。Somjen 他 J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 59:389(1996)、Gra
sser他J. Cell Biochem. 65: 195 (1997)。これらの抗エストロゲンは、選択的 エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)と呼ばれており、一般に、骨組織または
血清脂質に対するエストロゲン作動剤様活性を有する一方で、胸部および子宮で
強力なエストロゲン拮抗特性を示す。異なるエストロゲン受容体作動剤と拮抗剤
の間に観察される逆説的な効果は、ERαとERβの抗エストロゲンに対する応答差
に対応しそうである。Tremblay他361(1997)。
【0012】 エストロゲン受容体は、リガンド結合研究によって明かなように、ヒトとラッ
トの前立腺にも存在する。アンドロゲン受容体と対照的に、大部分のエストロゲ
ン受容体は、ラット前立腺の支質に局在化するが、分泌中の腺胞の上皮細胞は、
ERを含む。アンドロゲンに加えて、エストロゲンは、前立腺の成長に関係する。
この結果、エストロゲンは、良性前立腺過形成の発生病理に関係している。Habe
nich他J. Steroid. Biochem. Mol. Biol. 44:557 (1993)、Kuiper他PNAS93:5930
(1996)。ジエチルスチルベステロール(DES)は、ERに対する親和性が高いスチル ベンエストロゲンであり、前立腺過形成およびがんを治療するのに使用される。
Goethuys他Am. J. Clin. Oncl. 20(1):40(1997)、Aprikian他Cancer 71(12):395
2(1993)。従って、ERβを発現する組織および病気を同定することは、ERβが関 連する病気の治療に有用であることを証明することになる。
【0013】 エストロゲンは、骨粗鬆症を予防することも証明されている。閉経後骨粗鬆症
は、先進国では最もよく見られる骨の病気であり、エストロゲン欠失に関連する
。この欠失により、破骨細胞、つまり、骨吸収に関わる大型の多核細胞の形成お
よび活性が向上する。エストロゲンは、破骨細胞の形成および機能の調節を低減
させることが証明されている。タモキシフェンは、恐らく、タモキシフェン誘導
破骨細胞フラグメント化によって、骨吸収に対してエストロゲン効果を持つこと
が証明されている。HughesのNat. Med. 2 (10):1132(1996)。骨粗鬆症の進行を 阻害する付加的な試薬の単離は、この病気に悩む閉経後の女性の治療に効果的で
あると思われる。
【0014】 C. ERβ エストロゲン受容体α(ERα)が10年前にクローニングされて以降、1種類のE
R遺伝子しか存在しないので、ERのただひとつのサブタイプ、すなわERαしか存 在しないことが、一般的に受け入れられてきた。これは、核受容体上位ファミリ
ーの他構成員では、複数の形態、例えば、甲状腺ホルモン受容体(TR)αおよびβ
、レチノイン酸受容体(RAR)α、β、およびγが報告されていることとは大きく 異なっている。
【0015】 最近、新規のラットERcDNAがラット前立腺組織および卵巣組織からクローニン
グされて、いまではERβサブタイプと呼ばれている。ERβは、ヒトの精巣から得
たcDNDライブラリーから部分的に単離されたが、重要なエスロゲン標的組織とは
一般的に考えられていない。初期に発見されたエストロゲン受容体サブタイプは
、ERβと呼ばれたが、本発明の目的上、不完全ERβ(ERβi)と呼ぶことにし、本 発明の完全ERβ(ERβcまたはERβ-3)、または、本発明の「特許請求の範囲」に 記載した3種類のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質(ERβ-1
、ERβ-2およびERβ-4)とは区別する。Mosselman他(1996)、Kuipe他(1996および
1997)、Tremblay他(1997)。「ERβ-3」は、マウス卵巣または他哺乳種の類似配 列から単離された配列である。「ERβc」は、完全ERβをコードし、エクソン1の
5'末端に新規の192塩基対と、新たに記述されるエクソン5Bを含む。ERβcは、ER
β-3つまりマウスERβの9個のエクソンをコードする完全配列を含む。ERβiは、
マウス卵巣から得られたクローンを使用することを特徴とし、分子量が約62kDa で、60 キロベース(Kb)の遺伝子サイズを有するタンパク質をコードする。単離 されたマウスERβi遺伝子は、Tremblay他によって「Estrb」と呼ばれており、染
色体12の中央領域へマッピングされた。マウス染色体12の中央領域は、ヒト染色
体14qと相同であり、Estrbがそこにも同様に存在し得ることを示唆している。Tr
emblay他(1997)。
【0016】 ERβicDNAは、推定された485個のアミノ酸から成るタンパク質をコードし、分
子量が54,200と算出された。Kuiper他(1997)。Kuiper他によってクローン29(本 明細書ではERβi)として説明されたこのタンパク質は、エストロゲンとの親和結
合度が高く、トランス活性化アッセイシステムにおいて、エストロゲン存在下で
レポータ遺伝子構造を含むエストロゲン応答要素(ERE)の発現を活性化する。Kui
per他(1996)。ERα(ラット、マウス、およびヒト)およびERβiのリガンド結合ド
メイン(LBD)の整列からは、各種の保存領域が明らかになったが、他セグメント は保存されていなかった。Kuiper他(1996)。ERβiのDNA結合ドメイン(DBD)およ びC末端LBDは、ラットERαと非常に良く一致している。Kuiper他(1997)、Trembl
ay他(1997)。
【0017】 ERβiは、新規の核受容体または既存の受容体の未知のイソ型タンパク質をク ローニングし特徴付ける目的で単離された。縮重プライマーは、核受容体のDBD およびLBD内の保存領域に基づいて設計された。ポリメラーゼ連鎖反応に関連し てこれらのプライマーを使用し、ラット前立腺mRNAが増幅された。標的細胞の1 つは、前立腺、つまり、前立腺がんおよび良性前立腺過形成の発症率が高い問題
の器官であった。結果的に、ほとんどすべての前立腺腫瘍は、アンドロゲン依存
性となり、その点で臨床的制御の範囲を超えている。Kuiper他(1996)。したがっ
て、アンドロゲンの他に、他(ステロイド)ホルモンまたは局所的に産生される因
子が、核受容体と相互作用し、正常な前立腺の細胞増殖、分化およびアポトーシ
スを変調した。例えば、ヒト精巣受容体2および4(TR2およびTR4)とエストロゲン
受容体(ER)関連受容体(ERR1およびERR2)は、受容体が前立腺で発現されるオーフ
ァン核遺伝子の例である。Kuiper他(1996)。
【0018】 ERβiの組織発現により、ERα発現との更なる違いが明らかになった。ある組 織(すなわち、子宮、下垂体、精巣上体、腎臓)には、排他的にERαを含む。その
他組織は、同等以上のレベルのERβiRNAを示し、異なる細胞タイプの器官(すな わち卵巣と前立腺)で優先的に発現されるものと思われる。Kuiper他(1996))。脳
では、ERβiは、ERサブタイプRNAの明瞭な画分であると思われる。ノーザンブロ
ットでは、ERβi発現が、末梢血リンパ球中に検出されなかったが、Mosselmanに
よってクローニングされたERβiの初期のPCR画分は、これらの細胞から得られた
。このため、ERβiサブタイプは、脳、卵巣、視床下部や、恐らくは他組織でも エストロゲン作用に重要な役割を果たすものと思われる。Mosselman他52(1996) 、Byers他Mol. Endocrinol. 11(2):172(1997)、Shughrue他Steroids 61(12): 67
8(1996)。
【0019】 組織発現の違いの他に、ERα対ERβiイソ型タンパク質については、生理学的 エストロゲンとスチルベンエストロゲン(ジフェノール共鳴構造を形成する)の競
合の種類も異なることが観察された。Kuiper他(1997)。これらの差異は、図6に
示す2種類のマウスサブタイプの比較から証明されるように、ERαとERβcで観察
されるタンパク質配列の違いから生じるものと思われる。しかし、試験されたト
リフェニルエチレン抗エストロゲンに関する親和性の高さは、両方のサブタイプ
で同じだった: 4-OH-タモキシフェン>>ナホキシジン>>クロミフェン>>タモキシ フェン。Kuiper他(1997)。このようなリガンド結合の違いが、ERα対ERβ依存性
疾患で、異なる薬物療法を行う契機となったことは大いに有り得る。2つのERサ
ブタイプの不一致は、エストロゲンに応答する作動と拮抗の差である。この観察
される逆説的な不一致は、結合親和度に関連するだけではない。より重要なのは
、ERβc(AF-1またはAF-2など)に位置する特異的活性機能の存在に関連すること である。Tremblay他(1997)。
【0020】 実質的な興味は、ERβとERαががんに果たす個々の役割、多分それは組合せた
役割であり、つまり増大したエストロゲン代謝回転および骨損失を決定するとき
である。例えば、タモキシフェンは、骨の成長を高める一方で、ER陽性乳がんの
拮抗剤となる。Gallo 他(1997)、Delmas他J.Clin.Oncol.15:955(1997)。タモキ シフェン投与によるこの矛盾した観察結果は、ERαとERβとの薬剤の相互作用が
異なるからだと思われる。抗エストロゲンを用いて観察される混合の作動-拮抗 作用または純粋な拮抗作用は、活性化機能ドメインであるAF-1とAF-2の結合の違
いから特異的に生じるのかもしれない。例えば、エストロゲン拮抗剤である4-ヒ
ドロキシタモキシフェン(OHT)とICI164,384を用いた研究では、両方の化合物が エストロゲン作用を阻害したが、作用の様相は異なっていた。つまり、混合作動
/拮抗OHTは、AF2機能だけしか阻害しなかったが、純粋拮抗剤ICI164,384は、AF
-1とAF-2による活性化を阻害した。マウスERβiを使用して、試験されたすべて の拮抗剤が効果的にE2活性を阻害した。Tremblay他(1997)。ERαとは対照的に、
OHTはERβi上で何の拮抗的活性も示さなかった。したがって、特定の症状の原因
である基本的なERサブタイプが一旦決定されると(ER陽性乳がんなど)、エストロ
ゲン受容体関連疾患の影響を予知するより正確な手段が得られるかも知れない。
また、正確に治療をフォローできるかもしれない。また、ERαおよび/またはER
βによって影響される疾患を標的とする遺伝子に特定の治療およびイソ型タンパ
ク質に特定の治療を開発できるかもしれない。さらに、どの程度積極的に治療を
行うかの程度を変更する機会が得られるかもしれない。
【0021】
【課題を解決するための手段】 本発明は部分的に、完全マウス(m)エストロゲン受容体β遺伝子(mERβ-3)およ
び2種類のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質、例えばmERβ
-1やmERβ-2と、ラット(r)卵巣から単離された第3のイソ型タンパク質であるγE
Rβ-4に基づく。より、広い意味では、本発明は、対応するERβc遺伝子(ヒト遺 伝子を含む)および特定の哺乳動物受容体(本明細書ではERβ-1、ERβ-2、ERβ-3
、およびERβ-4と命名される)に関する。ERβi配列は他研究所により発表された
が、それらの研究所はERβiが完全ERβ遺伝子(ERβc)を代表するものであること
を時期尚早に主張していた。
【0022】 本発明は、さらに、mERβ-1、mERβ-2、mER-3、およびmER-4のタンパク質をコ
ードする核酸分子を提供する。このような核酸分子は、単離した形態であっても
よいし、発現制御要素またはベクター配列に作動的にリンクしてもよい。
【0023】 本発明は、異なる動物種または別のERサブタイプに発現されるように、その他
オルターナティヴにスプライスされた形態のmERβ-3、mERβ-3類似体、およびそ
れに対応するmERβcを同定する方法も提供する。具体的には、mERβ-3の核酸配 列をプローブとして使用してもよいし、PCRプライマーを作成して、ERβcファミ
リーのタンパク質の他の構成員をコードする核酸分子を同定するのに使用しても
よい。mERβ-1、mERβ-2、mERβ-3、またはγERβ-4をコードする核酸分子を使 用して、他哺乳動物種のERβ-3遺伝子またはそれに対応するERβcを同定および 単離してもよく、これまでにヒトDNA中のERβ-3遺伝子類似体を単離するの使用 されてきた。
【0024】 本発明は、さらに、ERβcタンパク質、またはmERβ-3タンパク質もしくはその
イソ型タンパク質を認識し、それらに結合する抗体を提供する。このような抗体
は、ポリクロナール性であってもよいし、モノクロナール性であってもよい。特
に、従来から知られている受容体(ERαおよびERβiなど)に対する抗体とは対照 的に、完全受容体タンパク質であるERβcに特異的な抗体が好ましい。より詳し くは、本発明は、ERβiとERβcを区別する抗ペプチド抗体をクレームする。ERβ c タンパク質に結合する抗体を、各種の診断形態、予後形態、および治療方法に 使用することができる。あるいは、完全形態であるERβcと、そのイソ型タンパ ク質とを区別することができる抗体は、診断目的およびERβサブタイプを基本と
する疾患の治療にも有用であろう。
【0025】 本発明は、さらにエストロゲン、その他の作動剤ならびに拮抗剤と、ERβcタ ンパク質との会合を減らし、阻止、または促進するための方法を提供する。例え
ば、ERβ-3タンパク質と細胞質信号伝達相手物質(エストラジオールなど)の会合
は、ERβ-3タンパク質を、エストラジオールまたはその他のエストロゲン様の作
動剤または拮抗剤(エストロゲン、スチルベンエストロゲン、またはトリフェニ ルエチレン、抗エストロゲンなど)の結合を阻止する化合物と接触させることに よって阻止または抑制することができる。Tora他Cell 59:447(1989)、Berry他EM
BO。さらに、タンパク質はアロステリックなので、リガンドとERβとの会合は、
理論的には二量体相手物質によっても影響され得る。したがって、ERβの二量体
化を変調する物質を同定することにより、ERβの調節を操作する別の手段を提供
できよう。
【0026】 リガンドとERβ-3またはそのイソ型タンパク質の相互作用を阻止することで、
このようなリガンド結合複合体によって転写を達成することを必要とする生物学
的過程および病理学的過程を変調することができる。このような方法および物質
を使用すれば、細胞の増殖、分化、DNA合成、または細胞周期分布を変調するこ とができる。
【0027】 本発明は、さらに、転写を調節するERβcまたはERβcタンパク質イソ型タンパ
ク質、例えばERβ-1、ERβ-2、ERβ-3、ERβ-4を単離する方法を提供する。例え
ば、ERβ-3リガンド結合相手物質、例えばエストロゲンは、ERβ-3タンパク質ま
たはそのリガンド結合部分を用いて単離される。あるいは、例えば、ERβ-3タン
パク質が結合するDNA配列は、電気泳動的移動度変化アッセイ(EMSA)、酵母ツー ハイブリッドアッセイまたは親和度選択およびERβcまたはそのイソ型タンパク 質のDNA結合ドメイン(DBD)を用いる縮重ERE共通配列によって、決定される。Ber
kowitzおよびEvans、J.Biol. Chem. 267 (10):7134(1992)、Nawaz他Gene Expr.
2 (1):39 (1992)、Mosselman他(1996)。
【0028】 本発明は、ERαおよびERβcとそのイソ型タンパク質、例えばERβ-1、ERβ-2 、ERβ-3およびERβ-4を区別することができる化合物をスクリーニングするする
方法についても記載する。これらの方法は、化合物が、各エストロゲン受容体に
関して作動剤または拮抗剤のいずれかとして結合し機能的に作用するか否かを決
定する方法も含む。化合物が作動剤または拮抗剤の形態で作用するか否かを決定
する方法の1つとして、酵母ツーハイブリッドシステムでERβcを使用することが
考えられる。こうした方法は、特定の薬剤とERαとの相互作用を試験するために
従来使用されており、当業者には認識されている。Ichinose他Gene 188:95(1997
)、Collins他Steroids 62:365(1997)、Jackson他Mol. Endocrinol. 11:693(1997
)を参照。
【0029】 エストロゲン/ERβc複合体を必要とする生物学的および生理学的プロセスは 、遺伝子治療法を使用することによってさらに変調することができる。インビボ
の別の遺伝子操作で、ERβc遺伝子の発現またはERβcタンパク質の産生を変更す
ることができる。例えば、ERβ-3遺伝子を、ERβ-3タンパク質が不足した哺乳動
物に導入して遺伝的欠失を修正することができる。ERβ-3活性のペプチドモジュ
レータを、遺伝的トランスフェクション方法を用いて標的細胞内で産生して、モ
ジュレータをコードする標的細胞核酸分子へ導入することができる。ERβ-3遺伝
子は、ヒト以外の哺乳類へ導入したり、欠失させたりしてERβ-3遺伝子異常を発
現する動物モデルを発生させたり、遺伝子全体を欠失させたりすることができる
(例えば、ノックアウトマウス)。後者の適用つまりERβ-3形質転換動物は、ERβ
-3活性を変調するインビボ物質や、さらには、ERβ-3作用に影響を与えるタンパ
ク質をコードするその他遺伝子さえも同定するのに特に有用である。アンチセン
スと3重螺旋による療法および介入のための核酸使用も、当然予期される。
【0030】
【発明の実施の形態】 I.一般的説明 エストロゲン受容体は、核ホルモン受容体ファミリーの構成員である。生物学
的には、これらのタンパク質は、ステロイドホルモンの効果を仲介する細胞内受
容体である。ホルモン結合時に、エストロゲン受容体は、特定のホルモン応答遺
伝子の転写的発現を制御する。これには、特定の配列、ホルモン受容体要素(標
的遺伝子プロモータに位置)への受容体の結合(ホモ二量体またはヘテロ二量体
の形態のことが多い)を含む。
【0031】 本発明の組成物および方法は、ERβc関連疾患を治療するのに使用すべき候補 的化合物のスクリーニングに利用される。組成物は、ERβc配列(ERβ-3)の単離 と、3種類のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質ERβ-1、ER
β-2およびERβ-4に基づいている。さらには、これらの組成物は、ERβcに基づ く疾患のスクリーニングに使用して、病気の予後を容易にし、ERβcまたはその イソ型タンパク質の疾患関連の異常な発現をモニタリングすることができる。
【0032】 II. 具体的な実施の形態 本発明に開示される具体的な実施の形態は、ERβc遺伝子、ERβ-3をコードす る核酸配列の単離に関連する。マウス(m)形態のERβ-3は、ATG出発コドンからTG
A(図1(a)および(b)〜(f))までの1,704塩基対(bp)から成り、567アミノ酸タン
パク質をコードする。この配列は、新たに記載されるエクソン5B(LBDをコード する領域に位置する)を含む9個のエクソンを含む。また、以下3種類のオルタ
ーナティヴにスプライスされたは、1,650bpであり、549残基分の長さのポリペプ
チドをコードし、ERβ-1にはエクソン5Bが存在しない(図1(a)および図2(a)参
照)。mERβ-2は、1,533塩基対(bp)から成り、エクソン5Bとエクソン3の両方を 欠くが、117bpを含む(図1(a)および図2(b)を参照)。rERβ-4をコードする配
列(ラット卵巣から単離されたオルターナティヴにスプライスされたイソ型タン
パク質)は、1,570bpから成り、エクソン5B(54bp)を含むが、134bpを含むエク
ソン6が欠失されている。(図1(a)および2(c)を参照)。
【0033】 また、本明細書には、ERβ-3、そのイソ型タンパク質、それら核酸配列によっ
てコードされるタンパク質、に対応する核酸配列を作成し、使用する方法が記載
されている。ERβ-3またはそのイソ型タンパク質を使用する方法には、どの組織
がERβcおよびそのイソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2およびERβ-4など)を発 現するかの決定方法、ERβ-3およびそのイソ型タンパク質を含むタンパク質なら
びに核酸に関する機能の特徴付け、ERβc核酸分子およびそれに関連するタンパ ク質産物を組換え発現する方法の開発、ERβ-3リポータ系の開発、ERβ-3または
そのイソ型タンパク質に影響するエストロゲンなどのERβ-3リガンドの同定、そ
の他遺伝子の転写調節時にERβ-3またはそのイソ型タンパク質よって与えられる
影響を変調する化合物の確認、そのような影響に対応する生理学的効果を判定す
ることを含む。
【0034】 A. 完全(ERβc)DNAおよびタンパク質の単離 逆転写酵素(RT)-PCRおよび/または5'RACE(cDNA端の急速な増幅)などの方法
によって、完全エストロゲン受容体βと3種類のイソ型タンパク質を単離した。
ゲノムプライマーを、マウス卵巣RNAのRT-PCRに使用して、マウス(m)mERβ-1、m
ERβ-2、およびmERβ-3をクローニングした。mERβ-1、mERβ-3、およびラット イソ型タンパク質(r)rERβ-4に対する配列は、マラソンシステムおよび異なるプ
ライマーセットを使用して5'RACEによって得られた。これらの配列を単離しクロ
ーニングするために選択されたプライマーおよびベクターは、当業者に広く知ら
れている。
【0035】 これらの手法を用いて、新規の上流配列が、エクソン1の5'末端に発見された 。マウスおよびラットでは、これは192bpの配列であり、公表されたクローンの 上流に位置する付加的なオープンリーディングフレーム(ORF)の結果として、mER
β-3遺伝子の5'末端、mERβ-3の2種類のオルターナティヴにスプライスされた イソ型タンパク質、およびラット卵巣から単離されたオルターナティヴにスプラ
イスされたイソ型タンパク質(rERβ-4)に位置する。Kuiper他(1996および1997) 、Mosselman他(1996)、Tremblay他(1997)。造骨細胞および骨髄共培養から誘導 されるmRNAをRT-PCRでさらに分析することによって、図1(a)および(b)〜(f)に 示されるように、第9番目のエクソン(エクソン5B、54bpを含み、LBD内に位置 する)が発見された。その結果として、以前に公表されたヒト、ラットおよびマ
ウスの配列(これらのすべてを本明細書では、ERβiと呼ぶ)は、恐らく、より 大きく完全なこのERβc形態の5'末端が切取られたスプライス変異型(マウス系 はmERβ-3である)であると思われる(図1(a)および(b)〜(f)を参照)。ERβ-3 に関する核酸配列情報は、ERβiについて予言された54kDの代わりに、約63kDaの
分子量を有する567アミノ酸タンパク質を予言する。
【0036】 ヒトなど他の哺乳類の類似配列を得るには、これまでに知られていないmERβ-
3遺伝子またはその一部をプローブとして使用することができる。これらのプロ ーブは、少なくとも18個のヌクレオチドから成るべきであり、好ましくはERβ
-3タンパク質をコードする1つ以上の配列について重複していることが望ましい 。プローブは、ERβcアミノ酸配列から設計されるべきであり、縮重遺伝コード となることが望ましい。さらに、卵巣細胞、精巣細胞、または前立腺細胞などか
らのもののように適切なcDNAライブラリーは、1つ以上のプローブ組成物に対し て、標準条件下でハイブリダイズするcDNA用のプローブによってスクリーニング
することができる。このような一般的方法の例については、Sambrook他MOLECULA
R CLONING: A LABORATORY MANUAL (1989)を参照。次に、cDNAを単離して、シー クエンスし、それらがERβcタンパク質をコードするか否かを決定してもよい。 この方法では、ヒトERβcタンパク質またはその他哺乳動物ERβc遺伝子とそれら
にそれぞれ対応する特定のイソ型タンパク質をコードするcDNAを単離することが
できる。
【0037】 その他ERβc関連遺伝子を単離する方法も本明細書に記載されている。要する に、核酸配列は、前立腺、卵巣、精巣などに関するDNAライブラリー(ゲノムDNA
またはcDNAから成る)をプロービングすることによって単離することができる。
ライブラリーは、市販の供給元から得られるものであっても、当業者に知られる
技術によって哺乳動物組織から調製されるものであってもよい。好ましいDNAラ イブラリーは、cDNAライブラリーであり、Stratageneなどの市販の供給元から入
手可能である。
【0038】 DNAライブラリーは、少なくとも20核酸残基の長さのオリゴヌクレオチドプロ ーブを用いてプラークハイブリダイゼーションによってプロビーングすることが
でき、このプローブは、マウスまたはその他ERβ-3遺伝子のユニークな配列と相
補的である。好ましいプローブは、プライマー1およびプライマー2に対する配列
である。核酸プローブは、ハイブリダイズされたクローンの単離を容易にするた
めに標識される。標識付けは、当業者に知られる手法のいずれでもよいが、一般
的には、Sambrook他(1989)により開示されるターミナルデオキシヌクレオチジル
-トランスフェラーゼを用いて[32P]で標識する。
【0039】 別法として、当業者は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、mRNA、c
DNA、ゲノムライブラリー、またはcDNAライブラリーから直にERβ-3遺伝子の核 酸配列を増幅することも考えられる。PCRまたはその他インビトロ増幅方法も有 用である(発現すべきタンパク質をコードする核酸配列のクローニング、核酸配
列決定またその他目的で組織サンプル中のERβ-3DNAまたはERβ-3mRNAの存在を 検出するためのプローブとしての核酸の作成など)。
【0040】 代替哺乳動物組織からERβ-3を同定する適切なプライマーおよびプローブは、
本明細書に提供される配列を比較することから作成される。PCR手法の概要につ いては、引用文献として本明細書に援用されたPCR PROTOCOLS: A GUIDE TO METH
ODS AND APPLICATIONS。Innis, M, Gelfand, D., Sninsky, J. およびWhite, T.
,編集、Academic Press, San Diego (1990)を参照。
【0041】 さらに本発明は、ERβ-1と、それに関連し本明細書に記載されるイソ型タンパ
ク質タンパク質ERβ-3をコードする、好ましくはイソ型タンパク質のERβ-1を 提供する。本明細書に使用されるように、「核酸」は、ERβ-3ポリペプチドをコ
ードするか、そのようなペプチドをコードする核酸配列に相補的であるか、その
ような核酸をハイブリダイズするが適切なストリンジェントな状態では安定して
結合された状態であるか、または、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、
より好ましくは少なくとも85%の配列がペプチド配列と同一性を有するポリペプ チドをコードするRNA、あるいはDNAとして定義される。具体的には、ゲノムDNA 、cDNA、mRNAおよびアンチセンス分子、並びに代替的バックボーンを基礎とする
か、または天然元から得られるか、または合成される代替的塩基を含む核酸が考
えられる。ただし、このようなハイブリダイズした核酸または相補的核酸は、コ
ードするか、さらにストリンジェントな条件またはその他適度にストリンジェン
トな条件下でハイブリダイズするか、または、本発明のERβ-3タンパク質をコー
ドする核酸に相補的である従来技術によるいかなる核酸に対しても新規で、自明
でないと定義される。
【0042】 「ストリンジェントな条件」とは、(1)洗浄のために低いイオン強度と高温を 利用する条件(例えば、50℃で、0.015MのNaCl、0.0015Mのクエン酸ナトリウム 、0.1%SDS)、または、(2)ホルムアミドなどの変性剤をハイブリダイゼーション
中に使用する条件(例えば、42℃で、50%(体積)ホルムアミド、0.1%ウシアル ブミン血清、0.1% フィコール、0.1% ポリビニルピロリドン、pH6.5で750mMのNa
Cl、75mMクエン酸ナトリウムを用いる50mMリン酸ナトリウム緩衝剤を使用する条
件である。別の例は、42℃で、50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075
Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のリン酸ナト リウム、5×Denhardt溶液、音波処理されたサケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、 および10%硫酸デキストランを、0.2×SSDおよび0.1中、42℃で洗浄物と一緒に使
用することなどもあげられる。熟練した者であれば、ストリンジェントな条件を
容易に決め、適切に変更して、明確かつ検出可能なハイブリダイゼーション信号
(signal)を得ることができる。
【0043】 B. 新しい配列の特徴付け mERβ-3のような完全エストロゲンβ受容体は、9個のエクソンを含む。単離 された3種類のイソ型タンパク質は、mERβ-1、mERβ-2、mERβ-3、およびラッ ト卵巣から得られるオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質(rER
β-4)を含む。mERβ-1は1,650bpであり、以前に同定された8種類のエクソンを 含み、新しいエクソン5Bを含まないが、エクソン1の5'末端に配置され、以前に 記述されていない192bpを含む(図1(a)および図2(b)を参照)。エクソン1の5'
末端に配置される新規の192bp配列と新たに記述されるエクソン5Bに加えて、Tre
mblay他(1997)によって公表された配列と本明細書に開示される配列では、1つの
ヌクレオチドが異なる。すなわち、mERβ-3配列のエクソン6のヌクレオチド1,22
4がアデニンであるのに対して、Tremblay他に(1997)よる配列では、グアニン( ヌクレオチド1,009)である。
【0044】 mERβ-2は、1533塩基対(bp)を含み、ERβ-2は、エクソン3とエクソン5Bを含ま
ない(図1(a)および2(b)を参照)。rERβ-4は、1570塩基対を含み、エクソン5Bを
有するが、エクソン6は欠失している(図1(a)および2(c)を参照)。完全長mERβ
-3は、5'末端には以前に確認されていない192個のヌクレオチドと、エクソン5B およびエクソン6配列を含む。3種類のイソ型タンパク質はすべて、mERβ-3と同 様に、エクソン1の5'末端に位置する新規の192bpを含む。
【0045】 本発明の1つの実施の形態は、従来知られていない192bpまたは54bp(エクソ ン5B)ドメインまたはその一部を含み、複製の目的上、適切なベクター中にこれ
らの配列を配置するERβ-3核酸を用いることを含む。さらに、このようなベクタ
ーは、適切な細胞発現系に導入して、アッセイシステム中で使用するか、ERβc 遺伝子またはそれに対応するタンパク質の特定部分の機能を特徴付けるのに役立
たせるためのタンパク質を発現することができる。
【0046】 ERβcタンパク質の特徴付けは、突然変異体を作成し、ERβcで特定のドメイン
を認識する抗体を使用し、タンパク質の特定領域に対するポリペプチド配列を使
用し、それらの機能を競合的アッセイによって決定することで実施される。本発
明は、このような手法を使用して、新規の192bpおよび/またはエクソン5B(54bp
)配列を含む、配列またはイソ型タンパク質を特徴付けることを提案する。
【0047】 ERβcを特徴付ける別の方法およびそのイソ型タンパク質タンパク質は、抗体 を使用して、ERβcタンパク質上の特異的な機能ドメイン(ERβcタンパク質のLBD
、二量体化部位、DNA結合ドメイン(DBD)など)をマッピングすることを含む。ま た、抗体を使用して、ERβcまたはそのイソ型タンパク質が、機能的または非機 能的な立体配座にあるか否かを決定することもできよう。
【0048】 C. ERβcタンパク質配列に対する抗体を作成する方法 抗体は、ERβ-3またはそのイソ型タンパク質(例えば、ERβ-1、ERβ-2、また
はERβ-4)のようなERβcの組織発現を決定したり、ERβ-3またはそのイソ型タ ンパク質の機能的ドメインを決定するするなどの複数の分野に有用である。ERβ
-3またはそのイソ型タンパク質のアミノ酸配列が一旦判明すると、本発明の別の
実施の形態は、抗体の作成にポリペプチドを使用することを含む。ポリペプチド
配列は、こうしたERβc特異ポリペプチドに対する抗体を作成する目的のための 特定のポリペプチド配列の抗原性を決定するソフトウェアを用いて評価すること
ができる。HoopおよびWoods、PNAS 78:3824(1981)、Garnier他J.Mol.Bio.120:97
(1978)。
【0049】 作成されたある抗体が、mERβ-3とERβiを区別することができる抗ペプチド抗
体である。その他の抗体は、ERβ-3イソ型タンパク質どうしの区別をすることが
できる他に、受容体とのアロステリック誘導リガンド相互作用から生じる、ERβ
の活性状態と不活性状態を区別するように作成することができる。mERβ-3とER βiを区別する抗ペプチド抗体は、従来方法を用いて調製され、アミノ酸末端:N
-CSSEDPHWHVAQTKSAVPR-OH(抗体1067および1068)のシステイン基を用い、エクソ ン5Bによってコードされるポリペプチド配列に対して作成される。この抗体は、
エクソン5Bポリペプチドのすべてを含む。Jameson-Wolf抗原性プログラムによっ
て、このポリペプチドが程度の高い抗原性を所有することを判断した(1978)。こ
のプログラムまたはHoppとWoodのアルゴリズムを使用すれば、ERβ-3およびその
イソ型タンパク質の新規のアミノ末端の抗原性の配列を決定し、別の付加的な抗
体を開発することもできる。
【0050】 mERβ-3とERβiを両方とも認識する2つの他抗体が作成された。これらの抗体
(抗体1069および1070)は、次の配列に対して作成された: CSSTEDSKNKESSQ-OH。
このポリペプチド配列は、発表されたラットERβiのカルボキシ末端に配置され る。Kuiper他(1996および1997)。抗体1067および1068または1069および1070は、
異なるニワトリの卵から得られた。
【0051】 ERβ-3ポリペプチド配列に対する抗体を作成するための別の方法は、ERβ-3タ
ンパク質を単離し、各種のプロテアーゼで消化することを含む。切除フラグメン
トは、大きさによって精製され、ERβ-3の特異的な部分に対して抗体を作成する
ために使用することができる。最後に、ERβ-3ポリペプチド配列は、融合タンパ
ク質手法によって組換えて作成することができる。ERβ-3ポリペプチド配列は、
例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)を発現する遺伝子に所望のER β-3ヌクレオチド配列を融合することによって発現させることができる。次に、
融合ERβ-3/GST融合産物として作成される発現されたERβ-3ポリペプチド配列を
使用して、融合遺伝子構造を含むERβ-3にコードされたERβ-3の特異的部分に対
する抗体を作成することができる。このような組換えタンパク質に対して作成さ
れる抗体は、モノクローナル性またはポリクローナル性であってもよいし、この
ような調製手法は一般的に知られている。
【0052】 ポリクローナル抗体1067、1067、1069および1070は、ニワトリ内で作成された
。その他動物を使用することもできる。免疫前血清は、雌鳥免疫化の前に収集さ
れた2から3個の卵から精製された。免疫化は、製造者(Pierce)のマニュアルで
推奨されるような各ペプチドのアミノ酸末端に配置される抽出システイン残基に
マレイミドを介して2mgのImjectキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にコン
ジュゲートされる2mgの抗原を用いて調製した。カップリングされた担体-抗原複
合体(0.5ml)を完全フロイントアジュバント(0.5ml)で乳化して、1.0mlを初回注 射に使用した。その後、ニワトリは、不完全フロイントアジュバントを使用した
以外は、Aves Laboratoryによって説明されるカップリングされた免疫原を用い て2週間ごとに追加免疫された。6個の卵が回収され、IgYが卵黄から精製された
。その他免疫グロブリンイソタイプおよびイソタイプサブクラスも使用すること
ができる(例えば、IgG1、IgG2、IgM)も使用することができる。
【0053】 モノクローナル抗体は、当業者にはよく知られる各種の手法によって得ること
ができる。つまり、所望の抗原で免疫化された動物からの脾臓細胞を、一般には
骨髄腫細胞を用いた融合によって不死化する。KohlerおよびMilstei、Eur. J. I mmunol. 6:511(1976)を参照。不死化に代わる方法には、エプスタインバールウ イルス、がん遺伝子、またはレトロウイルスを用いる形質転換または、当業者に
はよく知られるその他方法が挙げられる。単一の不死化細胞から発生するコロニ
ーは、所望の抗原特異性および親和性の抗体を調製するためにスクリーニングさ
れる。このような細胞によって調製されるモノクローナル抗体の収率は、脊椎宿
主の腹膜腔への注射を含めた各種の手法によって増加させることができる。
【0054】 別法として、ペプチド特異抗体(1067および1068)は、適切な担体にコンジュゲ
ートされて、十分な長さから成るか、免疫原性を強化するために必要な場合には
、ペプチドハプテン単体を用いる適切免疫化プロトコルに基づいて、適切な哺乳
動物宿主(ニワトリやウサギなど)を免疫化することによって調製する。ウシ血清
アルブミン(BSA)、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはその他担体タ
ンパク質などの、担体との免疫原性コンジュゲートを調製する方法は、当該技術
においてよく知られている。ある環境では、カルボジイミド試薬などを使用する
直接コンジュゲーションが効果的なこともある。他例では、Pierce Chemical Co
., Rockford, ILなどによって供給されるような結合試薬剤が、ハプテンへの接 近能力を提供するために望ましいと思われる。ハプテンペプチドは、システイン
(Cys)残基を用いて、アミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかで拡張するか 、または、システイン残基を点在させて、例えば、担体への結合を容易にするこ
とができる。一般に、当業者に理解されているように、免疫原の投与は、適切な
期間にわたって、適切なアジュバントを使用して実施される。免疫化スケジュー
ル中、抗体の力価は、十分な抗体作成を決定するために選択される。さらに詳し
い情報については、引用文献として本明細書に援用されるHarlowおよびLane、AN
TIBODIES: A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Pubs., N.Y. (1988)を参
照。
【0055】 このようにして作成されたポリクローナル抗血清が、複数の用途を満たすと思
われるが、薬学的組成物の場合には、モノクローナル抗体の使用が好ましい。所
望のモノクローナル抗体を分泌する不死化細胞系は、KohlerおよびMilstein、標
準的な方法、または一般的に知られるようなリンパ球または脾臓細胞の不死化に
効果がある修正法によって調製してもよい。KohlerおよびMilstein(1976)。所望
の抗体を分泌する不死化細胞系は、抗原がペプチドハプテンであるか、ERβc自 体である免疫アッセイによってスクリーニングされる。所望の抗体を分泌する適
切な不死化細胞培養物が同定された場合、細胞は、インビトロで培養されるか、
腹水液から調製することができる。
【0056】 次に、所望のモノクローナル抗体は、培養上清または腹水上清から回収される
。免疫学的に重要な部分を含むモノクローナル抗血清またはポリクローナル血清
のフラグメントは、拮抗剤の他、そのままの抗体として使用することができる。
免疫学的反応性フラグメント(Fv、Fab、Fab'、またはF(ab')2フラグメントの使 用は、これらのフラグメントが全体の免疫グロブリンよりも免疫原性が一般に低
いので、特に治療的意味合いでは好ましいことが多い。抗体またはフラグメント
は、組換え手段による、現行技術を使用して調製することもできる。受容体の所
望の領域へ特異的な結合する領域は、複数の種の起源をもつキメラという範疇で
調製することもできる。あるいは、ERβc特異抗体は、Queen他米国特許第5,585,
089号に開示されているように、ヒト化抗体またはヒト抗体であってもよいRiech
mann他Nature 332:323(1988)も参照。最後に、ERβcタンパク質が特定のがんに 関連すると思われる場合には、ERβcタンパク質と、例えば、細胞毒性のT細胞な
どを認識することができる二重特異性抗体を作成して、腫瘍細胞の死滅を容易に
するのに有効であろう。尚、これはがんの治療に有用であると思われる。Berg他 PNAS 88:4723(1991)。
【0057】 このように調製された抗体は、ERβcエストロゲンのモジュレータとして有用 なだけではなく、ERβcタンパク質またはそのイソ型タンパク質を検出するため の免疫アッセイおよびERβcタンパク質またはそのタンパク質イソ型タンパク質 の精製のためにも有用である。免疫アッセイにより、ERβcタンパクまたはオル ターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質を検出することができる。免
疫アッセイは、ERβcタンパク質を定性的および定量的に分析するために使用す ることができる。適用可能な技術の一般的概要については、HarlowおよびLane(1
988)から分かる。簡単に言えば、ERβcタンパク質、フラグメントまたはそのイ ソ型タンパク質は、トランスフェクションされた細胞(好ましくは細菌細胞)で発
現され、一般的に既述されたように、また、以下の実施例で示されるように、精
製される。次に、産物を、抗体を生産することができる哺乳動物に注射する。遺
伝子産物に特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を各種の免疫
アッセイに使用することができる。このようなアッセイには、エンザイム−リン
クドイムノソルベントアッセイ(ELISA)、競合免疫アッセイ、ラジオイムノアッ セイ、ウェスタンブロット(図3)、間接的免疫蛍光アッセイ、ゲルシフトアッ
セイ(図5)などを含む。
【0058】 D. ERβcの結合ドメインに干渉するポリペプチドの作成 本発明の1つの実施の形態は、ERβcポリペプチド配列を使用して、ERβcタン
パク質を媒介とする転写調節に干渉する能力をアッセイする。このような干渉は
、エストラジオールなどのERβcタンパク質がERβcタンパク質に結合することを
防止することによってつくり出すことができる。あるいは、ポリペプチドを二量
体化とそれに続く信号の発生を阻止するために設計することもできよう。このよ
うなポリペプチドは、ペプチド合成装置を使用して、または、遺伝子構造を発現
する融合タンパク質、または、真核もしくは原核の細胞系に用いる発現系を作成
することによって、製造することができる。
【0059】 要約すれば、一般に、哺乳動物ERβcをコードする天然または合成の核酸の発 現は、遺伝子またはcDNAをプロモータ(構成的または誘導性のいずれか)に作動的
に結合し、それを発現ベクターに取り込むことによって達成される。ベクターは
、原核生物または真核生物の複製または統合に適切であることが好ましい。典型
的なクローニングベクターは、転写ターミネータおよび翻訳ターミネータと、開
始配列と、ERβcの発現を調節するために有用なプロモータを含む。また、ベク ターは、少なくとも1つの独立ターミネータ配列であって、真核生物および原核 生物のプラスミドすなわち原核系と真核系の両方に対するシャトルベクターおよ
び選択可能なマーカーの複製を可能にする配列を含む一般的な発現カセットを含
んでもよい。
【0060】 細菌中でクローニングされた遺伝子を発現させる方法もよく知られている。一
般に、原核系で高い発現レベルのクローニングされた遺伝子を得るには、最低で
も、DNA複製を誘導する強力なプロモータを含む発現ベクターを構成することが 不可欠である。大腸菌中で形質転換されたDNAベクターに選択可能なマーカーを 含めることも有用である。このようなマーカーの例は、アンピシリン、テトラサ
イクリン、またはクロラムフェニコールに対する耐性を特徴とする遺伝子を含む
【0061】 適切な真核宿主には、植物細胞、昆虫細胞、哺乳動物細胞、酵母および糸状菌
を含んでもよい。本発明の好ましい実施の形態では、バキュロウイルス/昆虫細 胞系が、遺伝子発現に使用される。
【0062】 ERβcによってコードされるタンパク質(組換えDNA技術によって製造すること ができる)は、当業者によく知られる標準的手法によって精製することができる 。組換え製造されたERβcは、直接発現または融合タンパク質としての発現が可 能である。次に、タンパク質は、細胞溶解(音波処理など)にアフィニティークロ
マトグラフィによって精製される。融合産物については、続いて、適切なタンパ
ク質分解酵素で融合タンパク質を消化することにより、所望のERβc、そのイソ 型タンパク質、またはそのフラグメントが放出される。
【0063】 精製されたERβcは、「単離された」または「実質的に純粋」と記載される場 合には、自然に付随している成分から分離されたタンパク質を意味する。一般に
、モノマータンパク質は、少なくとも約85%以上の試料が単一のポリペプチドバ ックボーンを示す場合には、実質的に純粋である。少数の変異型または化学修飾
物は、同じポリペプチド配列を典型的に共有することがある。精製操作によって
、85%の純度、好ましくは、95%を超える純度が可能である。タンパク質の純度ま
たは等質性は、当業者に知られる複数の手段によって示すことができる(タンパ ク質のポリアクリルアミドゲル電気泳動後に、染色時にポリアクリルアミドゲル
上で単一ポリペプチドバンドを視覚化するなど)。特定の目的のために、高度の 分離が必要であり、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)または精製のための同様
の手段が使用される。
【0064】 本発明のERβcタンパク質またはイソ型タンパク質は、当業者によく知られる 標準手法によって、実質的に純粋に精製することができる(硫酸アンモニウムな どの物質との選択沈殿法、カラムクロマトグラフィ、免疫精製法)。例えば、R.S
copes、PROTEIN PURIFICATION: PRINCIPLE AND PRACTICE, Springer-Verlag: Ne
w York (1982)などを参照。
【0065】 次に、ERβcポリペプチドまたはイソ型タンパク質ポリペプチドは、各種のア ッセイ(ゲルシフトアッセイや酵母ツーハイブリッドシステムなど)に使用するこ
とができ、これらのポリペプチド配列は、DNA配列のホルモン応答要素(HRE)に結
合する能力、二量体化結合能力、および作動剤/拮抗剤結合能力を観察するため の試験に使用することができる。
【0066】 E. 核酸ハイブリダイゼーションによるERβcまたはそのイソ型タンパク質の 組織局在化の決定 新規に単離されたERβc遺伝子の部分を使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
手法またはインビトロ転写(どちらの手法も熟練した技術者に知られている)を使
用して、プローブを合成することができる。このようなプローブ(典型的には、 放射性標識がつけられる)を使用して、ノーザンブロット分析またはRNAサンプル
のドットブロット、あるいはサザンブロットによって、どの組織が特定のERβc 転写物を発現するかを決定するのに使用するこどができる。ここで、mRNAは、DN
Aに逆転写されて、さらに、図4に示すようにポリメラーゼ連鎖反応を用いて増 幅される。DNAのサザン分析は、ERβc遺伝子が存在するか、あるいは、破壊され
ているかを決定するときにも有用である。例えば、ERαは、特定の胸部腫瘍内で
破壊されることが知られているが、さらに、このような情報は、患者に使用すべ
き化学療法のコースを決定するのに有益である。ERβcにユニークな核酸配列を 使用して、どの組織が遺伝子を発現するかを容易に決定することができる。
【0067】 本発明は、生理学的標本やその他組織サンプル中の、ERβc遺伝子産物の有無 および異常な発現を検出するための方法も提供する。サンプル中のERβcの有無 を評価するための1つの方法は、サザンブロッティングであり、当業者らによく 知られている(図4)。簡潔に言えば、消化されたゲノムDNAは、緩衝剤中の寒天 スラブゲルで処理され、膜に転写される。ハイブリダイゼーションは、上述のプ
ローブを用いて実施される。ハイブリダイズした部分の視覚化により、ERβc遺 伝子またはそのイソ型タンパク質の有無の定性的決定が可能になる。また、サザ
ンブロッティングは、ハイブリダイゼーションに使用される条件のストリンジェ
ンシーによって、ERβc遺伝子が正常であるか、または、遺伝子欠失もしくは転 位を含むか否かも区別する。
【0068】 同様に、ノーザンブロッティングは、mRNA組織サンプルのERβcメッセンジャR
NA(mRNA)の検出に役立つ。この手順は、当業者によく知られている。Maniatis他
、MOLECULAR CLONING: A LABORATOTY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory,
Cold Spring Harbor, N.Y. (1982)。要約すると、mRNAは、酸グアジニン-フェノ
ール-クロロホルム抽出法を用いて、所定の細胞サンプルから単離される。次に 、mRNAを電気泳動させて、mRNA種を分離し、mRNAがゲルからニトロセルロース膜
に転移される。標識したプローブは、ERβc転写物の有無を確認するのに使用さ れる。
【0069】 ERβc遺伝子の発現レベルを決定するための別の方法は、インサイチュ・ハイ ブリダイゼーションである。インサイチュ・ハイブリダイゼーションは、よく知
られており、Angerer他Methods Enzymol., 152:649(1987)に概要が記載されてい
る。このハイブリダイゼーション技術は、ラット視床下部のERβiの発現に関す る研究で既に使用されてきた。Shughrue他(1997))。インサイチュ・ハイブリダ イゼーションでは、細胞が固体の支持体(典型的にはスライドガラス)に固定され
る。DNAをプロービングすべき場合には、細胞は、熱またはアルカリで変性され る。次いで、細胞は、標識されたERβc特異プローブのアニーリングを可能にす る適度な温度で、ハイブリダイゼーション液に接触させられる。好ましくは、プ
ローブは、放射性同位元素または蛍光リポータで標識される。
【0070】 F. ERβc配列を含む組換え核酸分子 本発明は、図1および2に示されているように、新規に開示される5'末端、も
しくは新規に開示される54bpのエクソン5Bを含む完全なERβc遺伝子、そのイソ 型タンパク質、またはその部分を発現する組換え配列に関する。本発明は、原核
および真核の複製系の両方でこのような組換え構造体を発現するすべての方法を
含む(これらの方法は、当業者には知られているだろう)。
【0071】 組換えデオキシリボ核酸(rDNA)または組換えリボ核酸(rRNA)配列を用いる方法
は、3重螺旋を形成する配列またはERβcmRNAまたはイソ型タンパク質RNAに対し
てアンチセンスである配列を含むであろう。付加的な方法には、コードされるタ
ンパク質を発現するために、これらの組換え核酸配列を発現することを含む。
【0072】 G. 核酸分子をコードする外性供給ERβcを含む宿主細胞 本発明は、完全長組換え体の形態のERβc(ERβ-3)またはその他の単離されたイ ソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2、またはERβ-4)を非ERβ-3発現細胞に導入し、
前記rDNAとそれに関連するタンパク質産物が転写調節に与える効果をアッセイす
る方法にも関する。次に、完全長(ERβ-3)またはERβ-3のオルターナティヴにス
プライスされたイソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2または、ERβ-4)を用いてトラ
ンスフェクションされた細胞を使用して、軟質寒天中にコロニーを形成するトラ
ンスフェクションされた細胞の能力、異なる率のDNA合成、異なるERβ-3イソ型 タンパク質を発現する細胞の細胞周期分布の差、トランスフェクションされた細
胞の変更された形態をアッセイすることができる。
【0073】 さらに、本発明は、ERβ-3タンパク質をコードする核酸分子を用いて形質転換
またはトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。宿主細胞は、原核細胞
または真核細胞のどちらでもよい。ERβ-3タンパク質の発現に有用な真核細胞は
、細胞系が細胞培養法および発現ベクターの増殖とERβ-3遺伝子産物の発現と適
合する限りは、限定されるものではない。好ましい真核宿主細胞の限定されない
1つの例は、酵母、昆虫および哺乳動物の細胞であるが、好ましくは、マウス、
ラット、サルまたはヒトの繊維芽細胞系から得られるような脊椎動物細胞である
。特に好ましい真核宿主細胞は、昆虫細胞を含む。原核宿主を使用すれば、組換
えDNA(rDNA分子)をコードするERβ-3を発現することができる。好ましい原核宿 主は、大腸菌である。
【0074】 本発明のrDNA分子を用いる適切な細胞宿主の形質転換は、使用されるベクター
および宿主系に一般に依存するタイプのよく知られた方法で達成される。原核宿
主細胞の形質転換に関しては、エレクトロポレーションおよび塩処理法が一般に
使用される。例えば、Cohen他PNAS69:2110(1972)、およびManiatis他(1982)、Sa
mbrook他(1989)、またはCURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、F.Ausubel 他、編:Green Publishing and Wiley-Interscience、New York(1987)。rDNAを 含む脊椎動物細胞の形質転換については、エレクトロポレーション、カチオン脂
質処理法または塩処理法が一般に使用されている。例えば、Graham他Virology52
:456 (1973)、Wigler他PNAS76:1373(1979)、およびSambrook他(1989)を参照。
【0075】 うまく形質転換された細胞、すなわち、本発明のrDNA分子を含む細胞は、既知
の手法によって確認することができる。例えば、本発明のrDNAの導入から得られ
る細胞をクローニングして、単質のコロニーを精製することができる。このよう
なコロニーから得られる細胞を収集して、溶菌し、それらのDNA含有物がSouther
n、J. Mol. Biol. 98: 503(1975)、またはBerent他Biotech 3: 208 (1985)に記 載されるような方法を用いてDNAの存在について試験したり、細胞から産生され るタンパク質を、上述の免疫学的手法によって検査したりすることができる。
【0076】 完全長ERβ-3、フラグメント、またはイソ型タンパク質を使用して、軟質寒天
中のコロニーの形成を調節する能力を決定することは、ERβ-3遺伝子の特定のイ
ソ型タンパク質のERβ-3遺伝子が、細胞増殖および/または分化の原因となるか 否かを評価するのに有用である。特定のERβ-3イソ型タンパク質が増殖および/ または分化を促進する能力は、特定のERβ関連疾患の遺伝子の関与と一致する。
【0077】 別法として、イソ型タンパク質をトランスフェクションされた細胞系に使用し
て、[3H]-チミジンの取り込みをアッセイし、DNA合成に対する特定のERβcイソ 型タンパク質の効果を試験してもよい。蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、
あるイソ型タンパク質を有する細胞と別のイソ型タンパク質を有する細胞の間の
細胞成長差を決定するのに使用することができる。最後に、トランスフェクショ
ンされた細胞は、異なるERβcイソ型タンパク質の発現による形態学的変化につ いて試験することができる。ERβcの特性がDNA発現、形態学的変化、細胞増殖お
よび/または分化に対する影響に対して決定されると、同じアッセイを実施して 、ERβcのイソ型タンパク質によって誘導され、観察される効果を調節する化合 物を確認することができる。想定薬剤の同定(本明細書中で詳細に検討される)は
、このようなタンパク質が関連する疾患でERβcタンパク質またはそのイソ型タ ンパク質の濃度を変調する場合に価値があると見られる。
【0078】 H. 組換え方法を使用するERβcタンパク質の製造 本発明は、新規のイソ型タンパク質(ERβ-1、ERβ-2およびERβ-4)またはその
部分を使用するなどして、ERβ-3遺伝子の組換えDNA(rDNA)を使用することなど によって、ERβcタンパク質を発現するのに使用される方法についても開示する 。rDNA分子を作成するための方法については、当業者に知られている。例えば、
Sambrook他(1989)を参照。好ましいrDNA分子は、DNAをコードするERβ-3または 発現制御配列および/もしくはベクター配列に作動的に結合されるイソ型タンパ ク質の1つをコードするDNAを含む。
【0079】 本発明のERβc核酸分子の1つが作動的に結合されるベクターおよび/または発 現制御配列の選択は、当業者に知られるように、所望の機能的特性(タンパク質 発現)および形質転換すべき宿主細胞に直接的に依存する。本発明によって意図 されるベクターは、少なくとも、複製を誘導し、真核細胞染色体への挿入を誘導
し、原核細胞で染色体外的に複製すべきであり、rDNA分子にコードされるERβ-3
タンパク質も好ましくは発現すべきである。
【0080】 作動的に結合され、タンパク質をコードする配列の発現を調節するために使用
される発現調節要素は、当業者に知られており、誘導可能なプロモータ、構成的
プロモータ、分泌信号やその他調節要素を含むが、これらに限定されない。好ま
しくは、誘導可能なプロモータは、宿主細胞倍地の栄養素に応答するなど、容易
に制御することができる。
【0081】 1つの実施の形態では、核酸分子をコードするERβ-3を含むベクターは、細菌
性宿主細胞などの原核宿主細胞内で染色体外でそれによって形質転換されるレプ
リコン、すなわち組換えDNA分子の自家複製および維持を誘導する能力を有するD
NA配列を含む。このようなレプリコンは、当業者によく知られてている。さらに
、原核レプリコンを含むベクターは、薬剤耐性マーカーのような検出可能なマー
カーを提供する遺伝子を含んでもよい。典型的な薬剤耐性遺伝子は、アンピシリ
ンまたはテトラサイクリンに対して耐性を提供する遺伝子である。原核レプリコ
ンを含むベクターは、細菌細胞(大腸菌など)のERβ-3遺伝子配列の発現(転写お よび翻訳)を誘導することができる、原核性またはウイルス性のプロモータを含 むこともできる。プロモータは、DNAポリメラーゼの結合を可能にし、転写が起 こるようにするDNA配列によって形成される発現制御要素である。細菌性宿主と 適合性のあるプロモータ配列は、本発明のDNAセグメントの挿入のために好都合 な制限酵素部位を含むプラスミドベクターへ一般に提供される。このようなベク
タープラスミドの典型は、Biorad Laboratories(Richmond, CA)から入手可能なp
UC8、pUC9、pBR322、およびpBR329と、Pharmacia, Piscataway、N.J.から入手可
能なpPLおよびpKK223である。
【0082】 真核細胞と適合性のある発現ベクター(好ましくは脊椎動物細胞と適合性のあ るベクター)を使用して、ERβ-3配列を含むrDNA分子を形成することができる。 真核細胞発現ベクターは、当業者によく知られており、複数の市販の供給ソース
から入手可能である。一般にこのようなベクターは、所望のDNAセグメントの挿 入に都合の良い制限酵素部位を含んで、提供される。このようなベクターの典型
は、pSVLおよびpKSV-10(Pharmacia)、pBPV-1/pML2d(International,Inc.)、pTDT
1(ATCC、#31255)、本明細書に記載のベクターpCDM8および、同様の真核発現ベク
ターである。
【0083】 本発明のrDNA分子を作成するために使用される真核発現ベクターは、真核細胞
に効果的な選択可能なマーカー(好ましくは薬剤耐性選択マーカー)を含む。好ま
しい薬剤耐性マーカーは、発現の結果ネオマイシン耐性に至る遺伝子すなわちSo
uthern他J.Mol.Anal.Genet. 1: 327(1982)に記載のネオマイシンホスホトランス
フェラーゼ(ネオ)遺伝子である。
【0084】 I. ERβcmRNA転写物レベルを測定するための診断手法 本発明の別の実施の形態は、ERβc核酸配列を使用して、細胞のmRNA濃度の変 化を測定することである。mRNAレベルを定量的および/または定性的に評価する 方法には、ノーザンブロッティング、インサイチュ・ハイブリダイゼーション、
核酸ハイブリダイゼーションおよびRT-PCRを含む。Raval、J. Pharmacol. Toxic oal. Methods 32 (3): 125(1994)。ERβcまたはそのイソ型タンパク質のコーデ ィング配列、特に、ERβcの配列で、ERβiには見られないものを使用して、細胞
内に存在するmRNAレベルを決定してもよい。生検によって得られる細胞を溶解し
、従来の方法論に従って、RNaseを阻害する条件下で、mRNAをDNAに逆転写し、PC
Rを使用してDNAを拡張してもよい。次に、拡張DNAを定量化してもよい。あまり 都合がよくないが、ノーザンブロット分析は、上述のように使用することができ
る。逆転写PCR(RT-PCR)は、胸部がん細胞の特異的なmRNA濃度を確定するために 使用されており、当該技術分野の熟練者には広く知られている。例えば、Bartle
tt他Br. J. Cancer 73 (12): 1538(1996)を参照。RT-PCRを使用する利益は、心 筋生検のmRNAレベルを考察する研究に見られるように、サンプルサイズが大きく
なくても価値のある感度の高い結果が得られることであるEngelhardt他J.Am.Col l.Cardiol. 27(1): 146(1996)。
【0085】 ERβcmRNA発現の決定は、インサイチュ・ハイブリダイゼーションを用いて評 価することもできる。このインサイチュ・ラベル手法(ERβc、mRNA、またはオル ターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質へのハイブリダイゼーション
と、それに続く撮像装置による検出が可能な標識した核酸配列を使用する)は、E
cまたはそのイソ型タンパク質のmRNAの、発現が増加したまたは減少したを増
減させる組織を局在化するのに有用である。当該技術は、当業者に広く知られて
いる。例えば、Guldenaar他Brain Res. 700 (1-2): 107(1995)を参照。上述の診
断手法のいずれかを使用することによって、ERβ-3タンパク質、同様にその転写
がERβ-3タンパク質によって調節されるその他タンパク質の発現を指標として、
ERβ-3またはそのイソ型タンパク質の転写および発現の有無および量を決定する
ことができる。この情報は、特定のがんの悪性の性質、処置(放射線療法、化学 療法、手術など)に関連するがんの性質の変化や、がんの転移生並びに転移のし 易さなどに関連する。例えば、Mass他Cancer Lett. 97(1) : 107(1995)を参照す
ると、異なる抗がん剤を用いた治療後にRT-PCRを用いて、胸部がん細胞の特定の
mRNAレベルの変化が説明されている。この関係は、療法的処置レベルを決定し、
療法的治療に対する腫瘍(またはその他ERβc疾患)の応答をモニタし、疾患の経 過に関する患者の予後を提示するのに有用であると思われる。
【0086】 J. ERβc転写調節を阻止する薬剤を同定する方法 本発明の別の実施の形態は、エストロゲンまたはエストロゲン様の作動剤/拮 抗剤とERβcタンパク質の会合を阻害または阻止する薬剤を同定するための方法 を提供する。例えば、エストロゲンを、試験すべき化合物の存在下または不在下
で、ERβcタンパク質またはERβcを含む細胞抽出物に混合することができる。エ
ストロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤とERβcを会合することができる
条件下で、混合した後、2つの混合物を分析および比較して、化合物が、エスト
ロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤とERβcタンパク質またはそのイソ型
タンパク質との会合を促進、抑制または完全に阻止したか否かを決定する。エス
トロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤の会合を阻止または抑制する薬剤 は、試験化合物を含むサンプルに存在するエストロゲン-ERβc結合の濃度を減少
させるものとして同定される。
【0087】 受容体タンパク質は、その立体配座にアロステリック変化を生じてから、エス
トロゲン-ERβc複合体がDNAに結合する能力を持つようである。一旦核内では、 活性化受容体がDNAからmRNAへの遺伝情報の転写を開始し、さらに、アミノ酸を 結合してタンパク質にするための鋳型となる。
【0088】 タモキシフェン(登録商標Nolvadex)などの薬剤によって生じる抗エストロゲン
効果は、エストロゲン受容体が核内のDNAと相互作用してRNAおよびタンパク質合
成を刺激する結果の1つであると思われる。この作用は、タンパク質などのマク ロ分子の合成の阻止を開始し、細胞に損傷を与え、最終的には細胞を死滅させる
。抗エストロゲンは、自然に作成されるエストロゲンと類似する分子の一部を有
する親油性分子であると考えられている。抗エストロゲンのこの部分は、エスト
ロゲン受容体に選択的に結合する。ただし、抗エストロゲンは、側鎖アーム(ジ メチルアミノフェニルエトキシ)を有し、エストロゲン受容体の三次元構成をゆ がめてしまい、核に対する受容体の転移を阻止する。Morgan、米国特許第4,732,
904号(1988)。候補試薬が、完全エストロゲン受容体サブタイプのエストロゲン 作用を阻害するか否かを決定する別の方法は、ERβcまたはそのイソ型タンパク 質が天然の基質であるエストロゲンと結合することができないように、候補的試
薬と相互作用する結果としてアロステリック形質転換を行ったか否かを決定する
ことによるものである。ERβcまたはERβcのホモダイマーの立体配座の変化を、
受容体のERβcまたは受容体のホモダイマーに存在する配座エピトープに対する 抗体(モノクローナル抗体かポリクローナル抗体)を使用して検出することができ
る。抗体を使用して、ERαの機能的状態を決定して、同様の方法で、化合物が活
性化されたアロステリック配座への形質転換を向上させるか、または、配座をす
べていっしょに阻害したかを否かが決定される。Wotiz他米国特許第5,312,752号
(1994)を参照。
【0089】 抗体は、ERβcが活性状態または不活性状態にあるか否かを決定すること以外 にも使用できる。また、抗体は、そのリガンドまたは受容体自体への結合が、受
容体へのリガンドの結合を促進する否かを決定するためにスクリーニングするこ
とも可能である。前述の促進を決定する方法は、当業者らに知られている。Auil
ar他Mol. Cell. Biochem. 136 (1): 35(1994)参照。特定の試薬が、ERβcの二量
体化を促進または抑制したり、ERβcが活性状態をとるのを促進または阻害する か否かを決定する別の方法は、酵母ツーイーストハイブリッドシステムを使用す
ることである。酵母ツーハイブリッドシステムは、ERα二量体化がリガンド依存
性であるかを決定するため(Wang他J.Biol.Chem. 270(40): 23,322(1992))、ホル
モン受容体の転写活性を促進するタンパク質または抗体などの薬剤を単離するた
め(Onate他Science 270 (5240): 1354(1995))、ERαを用いて行われる方法に匹 敵する方法でERβcに拮抗性がある化合物を単離するため(Ichinose他(1997)およ
びCollins他(1997))、およびERβcが、レチノイン酸受容体について観察された 方法と類似する方法でヘテロ二量体を形成することができるか否かを決定するた
めに使用される。詳細については、Forman他Cell 81 (4): 541(1995)、およびWa
lfish他PNAS 94 (8): 3697(1997)を参照。
【0090】 薬剤をスクリーニングする別の方法は、β-ガラクトシダーゼ(β-gal)または ルシフェラーゼなどのリポーター遺伝子を使用する方法である。これらのトラン
ス活性実験は、酵母または哺乳動物細胞系で実施することができる。細胞は、リ
ポータ遺伝子(ルシフェラーゼまたはβ-galなど)の適切なエストロゲン応答要素
(ERE、例えば、cV2EREなど)上流と共にERβcを含む。ERβの作動剤および拮抗剤
はいずれも、この方法でアッセイすることができる。Gaido他、Toxical. Appl. Pharmacol. 143 (1): 205(1997)、Hafner他J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 58 (4): 385 (1996)、Muhn他Ann. N.Y. Aca. Sci. 761: 311 (1995))。このような アッセイは、ERαおよびPRについて証明されたように、ERβcとプロゲステロン(
PR)についてクロストークが生じるか否かを決定するために使用することができ る。Kraus他Mol. Cell. Biol. 15 (4): 1847(1995)。新規のERβc応答要素の確 認は、縮重オリゴヌクレオチドのライブラリーを用いて迅速に行うことができる
。プロトコルには、精製されたタンパク質は必要とせず、特に、機能的な応答要
素を選択する。Nawaz他(1992)。
【0091】 上述の方法でアッセイされた化合物は、無作為に選択されるか、合理的に選択
または設計することができる。本明細書で用いるとき、薬剤は、恣意的に選択さ
れる場合には、エストロゲンまたはエストロゲン様作動剤/拮抗剤とERβcタンパ
ク質の会合に関わる特定の配列とは関係なく、無作為に選択される、と言われる
。このような無作為に選択される例は、化学的ライブラリー、ペプチド組合せラ
イブラリー、または、微生物の成長肉汁の使用である。
【0092】 本明細書で用いるとき、薬剤は、薬剤の作用に関して標的部位および/または 配座の配列を考慮する非無作為ベースで選択される場合には、合理的に選択また
は設計されると言われる。薬剤は、エストロゲンもしくはエストロゲン様作動剤
/拮抗剤、またはERβcタンパク質上のステロイド結合部位を認識し、それらの何
れかに結合するペプチド配列を使用することによって、合理的に選択されるか、
合理的に設計される。
【0093】 この実施の形態の薬剤の例としては、ペプチドまたはその他小分子、抗体(モ ノクローナル抗体やポリクローナル抗体など)、抗体のフラグメント(Fvなど)、 または抗エストロゲン活性もしくはエストロゲン活性(例えば、ナリゲニン、カ エンフエリド、フロレチン、バイオカニンA、フラボン、ICI182, 780、ラロキシ
フェン、[6-ヒドロキシ-3-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェノキシ]-2-]4-
ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン、ラロキシフェンHCLおよびエチニルエストラジ
オール)などが挙げられる。Collins他(1998)、Palkowitz他J. Chem. Med. 40 (1 0): 1407 (1997)。熟練した技術者であれば、本発明の薬剤の構造的性質には、 制限がないことは容易に理解できよう。本発明のある種の化合物には、アミノ酸
配列が、ERβcLBDのアミノ酸配列に基づいて選択されるポリペプチド剤を含む。
【0094】 本発明のペプチド剤は、当業者に知られるように、標準的な固相(または溶液 相)ペプチド合成方法を使用して調製することができる。さらに、これらのポリ ペプチドコードするrDNAは、市販のオリゴヌクレオチド合成装置を使用して合成
し、標準的な組換え作成システムを用いて組換え作成することができる。さらに
、これらのrDNA分子を使用して、ERβ-3タンパク質またはそのイソ型タンパク質
に結合するポリペプチドを組換えて発現することができる。固相ペプチド合成を
使用する製造方法は、非組換え的に製造されたポリペプチド配列を使用すべき場
合には、必要である。
【0095】 K. ERβシグナリングに影響を及ぼす薬剤の投与 本発明の薬剤は単独に、または特定の病理学的過程を変化させる付加的薬剤を
併用して提供される。例えば、エストロゲンまたはその他作動薬/拮抗薬がERβc
タンパク質に結合し、ERβcタンパク質またはそのイソ型タンパク質を活性状態 に転換させるのを阻止することにより、ERβcの転写制御を減弱する、さもなけ れば変調する本発明の薬剤は、他類似薬剤と併用投与することができる。本明細
書で用いるとき、2つの薬剤が同時に投与されるか、または2つの薬剤が同時に
作用するように独立に投与されるとき2つの薬剤は併用して投与されるという。
【0096】 本発明の薬剤は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮投与または舌
下錠として投与可能である。これ以外の経路として、または現状では、投与経路
は経口となる。投与量は対象者の年齢、健康状態、体重、現在受けている治療の
種類によって異なり、治療頻度および期待される効果の特徴によっても異なる。
本発明はさらに、ERβ-1タンパク質の転写制御を阻止する複数の薬剤を含有する
組成物を提供する。個々の需要は多様化するが、各組成物の効果的用量について
の最適範囲の決定は、当該技術の熟練度の範囲内である。
【0097】 薬学的活性物質に加えて、本発明の組成物は、賦形剤と、活性化合物を作用部
位へ届ける上で薬学的に利用される製剤に変化させる助剤とから成る、薬学的に
受容し得る担体を含む。非経口投与に適する処方は、活性化合物を水に溶かした
水溶液、たとえば水溶塩を含む。さらには、適当な油性注射用懸濁液として適正
な活性化合物の懸濁液を投与することもある。適当な親油性溶媒またはビヒクル
には、脂肪油(例えば、ゴマ油)または合成脂肪エステル(例えば、エチルオレ
ートまたはトリグリセリド)が含まれる。水性注射用懸濁液は、たとえばカルボ キシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストラン など、懸濁液の粘性を増大させる物質を含む。抗エストロゲンは、溶解度が限ら
れているという特徴を有し、このためにジメチルフォルムアミドなどの試薬の利
用によって、このような作動薬/拮抗薬の溶解性を向上させて、ERβcまたはその
イソ型タンパク質の効果を高める。Sasson他J.Steeroid Biochem.29(5):491(1
988)。さらに、この懸濁液は安定化剤を含む。薬剤を細胞へ到達しやすくする目
的で、カプセル化するためにリポソームを使用することができる。タモキシフェ
ンなどのある種の薬物にとっては、その溶解度を高めるために、薬剤(例えば、 アセトンおよびポリエチレングリコール4000)が必要になろう。Cotreau-Bibbo他 J.Pharm.Sci 85(11):1180(1996)。
【0098】 本発明による全身投与のための薬学的処方は、経腸、非経口または局所投与に
なる。実質上、この3タイプの処方はすべて、活性成分の全身投与を達成するた
めに、同時に使用される。経口投与に適する処方には、硬カプセルまたは軟カプ
セル、丸薬、錠剤、コーティング剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップまたは吸
入剤およびその徐放性製剤が含まれる。
【0099】 本発明の方法を実施する上で、本発明の化合物は単独、または他の治療薬ある
いは診断薬と併用して使用される。好ましい実施の形態において、本発明の化合
物は、一般に受け入れられている医療に従った条件に合わせて、典型的に処方さ
れるその他化合物と共に同時投与される。
【0100】 L. ERβcの遺伝子療法発現 ERβc遺伝子、たとえばERβ-3遺伝子およびERβ-3タンパク質は、多様なコン テクストにおける遺伝子療法の標的としても作用する。たとえば、1つの適用例
として、ERβ-3遺伝子を不活化できる標準ノックアウト操作を使用して、ERβ-3
欠損動物を作り出すことができる。このような例では、ヒト以外の哺乳動物(マ ウスまたはラット)を、ERβ-3を不活性化または欠失させておいて作り出す。こ れは、当該技術において知られた多様な操作使って達成できる。一旦作り出すと
、発生させると、ERβ-3遺伝子欠損動物は(1)ERβ-3遺伝子が媒介する生物学的 および病理学的過程を同定する目的、(2)ERβ-3と反応するタンパク質およびそ の他遺伝子を同定する目的、および(3)ERβ-3欠損を克服するために細胞外投与 可能な薬剤の同定、並びに(4)ERβ-3遺伝子の活性を高めるまたは低下させる突 然変異を同定する目的で提供される。
【0101】 動物モデルに加え、ヒトにおけるERβc欠損または突然変異は、必須ERβcタン
パク質をコードする遺伝子構築物を患者に提供することによって矯正できる。核
酸分子を被験者に導入して、遺伝的欠陥および突然変異を矯正するべく多様な手
法が現在では利用でき、さもなければ現在開発中である。このような方法は、本
発明の核酸をコードするERβcを使用するのに容易に適合させることができる。
【0102】 本発明における別の実施の形態において、遺伝子療法はERβc介在型生物学的 または病理学的過程を変調する手段に利用できる。たとえば、骨粗鬆症では、ER
βcmRNAに対してアンチセンスになる核酸分子などのERβc介在型形質転換制御 のモジュレータをコードする遺伝子発現ユニットを患者に導入することが望まし
い。代わりに、組織特異的共活性物質または共抑制物質を同定して、対象者に導
入し、ERβcまたはそのイソ型タンパク質の変調を増強できるだろう。このよう なモジュレータを構築して導入するか、あるいは細胞または特定の標的細胞内に
導入できる。これによって、患者の体内へ持続的または誘導的に治療薬を提供で
きる。
【0103】 M. 抗体を使用したERβcの立体配座解析 ERβcタンパク質のDNA結合ドメイン(DBD)に対する部位特異性ポリクローナル 抗体およびモノクローナル抗体を使用して、このタンパク質の活性部位を決定す
ることができる。この点を基本として、利用者はERβcのDBDが機能的状態または
非機能的な変化した状態にあるか否か、そしてERβcタンパク質が活性化されて いるか否かを決定することができる。本発明には、特別に調製した免疫原、ERβ
cまたはそのイソ型タンパク質のDBDへ特異的に結合するポリクローナル抗血清お
よびモノクローナル抗体、および前述のように、機能的かつ相関的な試験を基本
として、細胞試料と反応するこれらの部位特異性抗体を採用する免疫アッセイが
含まれる。ERαが活性状態にあるか不活性状態にあるかを決定する目的で、類似
の手順および方法が利用されてきた。Wotiz他。
【0104】 さらに詳細な記述がなくても、当業者は、先行する記述およびこれに続く実施
例を用いて、本発明の化合物の製造利用を可能にし、特許請求の範囲に示された
方法を実行できると信じられる。さらには、ERβ-3に関する先行する説明のすべ
てを、または完全遺伝子のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク
質(ERβ-1、ERβ-2、ERβ-4など)を他哺乳動物種における同族体に適用できる
。以下の実施例は、そこで本発明の好ましい実施の形態を特に指摘するが、開示
部分の残りをいかようにも限定しようとするものではない。その他一般的構成は
当業者には明らかであろう。
【0105】
【実施例】
【0106】
【実施例1】 マウス完全mERβ-3cDNAのクローニング mERβ-3クローンを、(1)mRNAの逆転写酵素PCR(RT-PCR)、(2)マウス胎児幹(ES)
細胞のゲノムライブラリーからの増幅からなる2つの別個の手順を使用して、2
回単離した。cDNAプローブおよびRT-PCRを使用して、マウスES細胞のゲノムDNA ライブラリーをスクリーニングした。選択されたオリゴヌクレトチドは、Kuiper 他(1996)が公表したラットERβiのDドメインおよびEドメインと一致した。これ らのオリゴヌクレオチドは5'-ATG ACA TTC TAC AGT CCT GCT GTG ATG-3
'(プライマー1)、および5'-GAA GTG AGC ATC CCT CTT TGC GTT TGG-3'
(プライマー2)であった。これらのオリゴヌクレオチドを使用して5つのクロ ーンを得た。これらゲノムDNA用に2つのプライマーを選択しており、1番目のA
TG周辺部に位置する1つは192bpであって、公表済みのATG(Kuiper他(1996);Moss
elman他(1996);およびTremblay他(1997))における上流部位にあり、5'-TCT CTG
AGA GCA TCA TGT CC-3'(プライマー3)であって、もう1つは、TGA周辺部 であって、5'-CAG CCT GGC CGT CAC TGT GA-3'(プライマー4)であった 。製造者のマニュアルに従って、ベーリンガーマンハイム社のTitanTMRT-PCR RT
-PCRシステムを使用し、マウス卵巣由来RNAの試料10ngおよび100ngを対象として
RT-PCRを実施した。プライマー3および4により得た増幅産物を、5'-TGC TCT A
GA CCA CCA TGT CCA TCT GTG CCT CT-3'(プライマー5)および5'-CCG GAA TTC TCA CTG TGA CTG GAG GTT CTG-3'(プライマー6)を使って2 回目の増幅にかけた。プライマー6および7を使用して得た産物をBluescriptRベ クターに挿入した。クローンmERβ-1、mERβ-2、mERβ-3 のクローニングには同
一条件を適用した。
【0107】 mERβ-3クローンを、クロンテック社のマラソンRT-PCRシステムも使用してmRN
Aから単離した。5'-RACE用としては、polyA+RNAをマウス卵巣に由来する全RNA より、Sambrook他(1989)の記述した方法に従って調製した。polyA+RNAの約0.5 μgを200UのスーパースクリプトIIエキソゲナーゼ(exo-)を使い、マラソンcDNA 合成プライマーである5'-TTC TAG AAT TCA GCG GCC GC(T30)-3'を使用し て、製造者(GIBCO)のマニュアルに従って逆転写した。2番目の鎖合成と、これ に続く全工程を、PCRを除いてマラソンの記述した条件に従って実施した。cDNA(
反応液10μlのうち0.5μl)を、マラソンアダプタープライマーである5'-CCA TC
C TAA TAC GAC TCA CTA TAG GC-3'と、アドバンテージTaqポリメラーゼ の存在下5'-GCA GAT GCT CCT TCA CCC G-3'(プライマー7)または5'-GCA
CTT CAT GCT GAG CAG-3'(プライマー8)の2つの遺伝子特異型逆プライマー のひとつで増幅した。以下、(1)94℃で30秒間、72℃で4分間を5サイクル。(2)9
4℃で30秒間を5サイクル。(3)70℃で4分間を25サイクル。および(4)94℃で20秒
間、68℃で4分間からなる4段階のサーマルサイクルプログラムを使用して、2つ
の産物を増幅した。制限酵素で、cDNAの5'末端部に相当する単一の、圧倒的に多
量のアンプリコンを消去し、クローニングおよびシークエンスした。このクロー
ンをBluescriptRベクターに、前述のように挿入した。
【0108】 一旦mERβ-3をクローニングしたあと、核酸およびアミノ酸配列の両者を完全 エストロゲンβ受容体配列(図1(a)および(b)を参照)に対して演繹した。新規の
192bp配列をエクソン1の5'-末端部および新たに記述されたエクソン5Bを有する ことに加えて、ヌクレオチド1244番目のアデニン1個は、mERβ-3配列のエクソ ン6にあって、Tremblay他(1997)によって配列中に見出されたグアニン(ヌクレオ
チド1,009番目)とは異なっている。このmERβ-3遺伝子は、長さが1,704個のヌク
レオチドであり、567個のアミノタンパク質をコードしている。これらの手法を 使い、mERβ-3の5'末端部は、さらにオープンリーディングフレーム(192bp)を、
9番目のエクソンであるエクソン5B(54bp)と同様に含んでいることが確かめられ
た。これら2つの配列はERβi;Kuiper他(1996);Mosselman他(1996);およびTr
emblay他(1997)には見出されていない。エクソン5BはmERβ-3のリガンド結合ド メイン(LBD)に位置しており、mERβ-3機能にとって重要な役割を担っていると考
えられる。
【0109】
【実施例2】 3つのオルターナティヴにスプライスされたスプライスイソ型 タンパク質の単離 マウス完全エストロゲンβ受容体遺伝子配列mERβ-3に加えて、mERβ-3 2つ のオルターナティヴにスプライスされたマウス体を同定し(mERβ-1およびmERβ-
2)、ラット卵巣より4番目のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパ
ク質とrERβ-4を同定した。mERβ-3にとっての最初のオルターナティヴにスプラ
イスされたスプライス体であるmERβ-1は、新規な192bpをエクソン1の5'-末端 部に含むが、エクソン5Bの54bpが欠損している。この長さはヌクレオチド1,650 個分あり、推定的に549個のアミノ酸からなる長さのポリペプチドをコードして いる(図2(a))。予備データからは、mERβ-1イソ型タンパク質が全長mERβ-3よ りも活性の高いことが明らかとなっている。mERβ-3の単離について記述した方 法と同一の方法によって、mERβ-1イソ型タンパク質を単離した。
【0110】 イソ型タンパク質mERβ-2は、1,533bpから成り、510個のアミノ酸をコードす
るだろう(図2(b))。mERβ-2は、117bpを含むエクソン3を欠いている。mERβ-2
イソ型タンパク質はマウスES細胞ゲノムライブラリーのみから単離された。
【0111】 イソ型タンパク質rERβ-4をラット(r)卵巣から得たが、一方mERβ-1およびmE
Rβ-2は、全長mERβ-3と同様、マウス(m)卵巣から入手した。これは長さ1,570個
のヌクレオチドからなり、エクソン5Bを含むが、エクソン6が欠失されている。
エクソン6は(図1(a)に示すように)134bpから成る。rERβ-4の推定タンパク質は
、414個のアミノ酸からなるだろう(図2(c))。
【0112】 検討している全核酸配列はコード領域に関連しており、対応するmRNAの配列 は、5'領域と3'領域の両者よりも長い。公表されている、ヒト、マウス、ラット
およびマウスから単離した不完全なエストロゲン受容体β遺伝子(ERβi)は、こ れらの完全体からスプライスされた変異体であって、マウスのものがmERβ-3で
あり、エクソン5Bの54bpを含み、エクソン1の5'末端部に192bpを含んでいる。M
osselman他(1996);Kuiper他(1996);およびTremblay他(1997)。これら4配列はす
べて192bpをエクソン1の5'末端部に含み、過去に公表された配列(前掲)には 記述されていない。エクソン1の5'末端部に位置する新規の192bpの領域に類似 している配列は、ヒトのERβcおよびそのイソ型タンパク質にも存在する。
【0113】 全長マウスERβc遺伝子、すなわちmERβ-3、のオルターナティヴにスプライ スされたイソ型タンパク質(すなわちmERβ-1、mERβ-2およびrmERβ-4)は、 mERβ-3を得るために2つの異なる手順を使用して2回単離した。実施例1およ
び実施例2で使用したプライマーは、変異体があるなら、これら選択プライマー
の範囲内で生成するだろうとの仮定に基づいて、選択された。過去の例からみて
、類似のプライマーがERαと同様の結果をもたらしている。前記3個のオルター
ナティブにスプライスされたイソ型タンパク質は、図2(a)、2(b)、および2(c)に
示されている。
【0114】
【実施例3】 ウエスタンブロッティングを使用したmERβ-3タンパク質の組 織特異的発現 マウスERβc(mERβ-3)に特異的な配列に対する抗ペプチド抗体は、他組織 と同様に、卵巣および骨でも64kDaのタンパク質を特異的に認識した。2つの抗 ペプチド抗体は、ニワトリのN-CSSEDPHWHVAQTKSAVPR-OH(抗体1067および抗体10
68)に対して生成された。このポリペプチドはエクソン5Bによりコードされ、エ
クソン5Bコード領域を発現するイソ型タンパク質同様に、mERβ-3を認識する。
抗体1067および抗体1068は異なる2羽のニワトリの卵から、抗体1069および抗体
1070を同様に得た。これら抗体はmERβ-3が産生するタンパク質を認識するが、
Kuiper他(1996および1997)が発見したERβ1タンパク質ではなく、エクソン5Bを 欠いている。
【0115】 卵巣組織試料および骨試料から採取した全タンパク質(60μg)を、10%アクリ
ルアミドゲルにより電気泳動して分離した。このゲルを電気泳動に40Vで16時間 かけた。このタンパク質をゲルからニトロセルロース膜に移し、100mAで4時間
転写させた。mERβ-3(抗体1068)に対するニワトリ抗血清を1:1,000倍に希釈して
、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Promega社)にコンジュゲートした2 次抗体を1:1,000倍で希釈したものとともに、このブロットをプローブした。前 記タンパク質をECL化学蛍光基質を使って視覚化し、フィルムに1分間現像した(
BMRフィルム、コダック社)。
【0116】 図3は、抗体1068を使って得たウエスタンブロットの結果を示しており、エク
ソン5Bにコードされたポリペプチドを検出する。全タンパク質(60μg)を電気泳 動により分離した。このタンパク質をニトロセルロース膜に移して、1:1,000倍 希釈した抗体1068(図3(a))でプローブした。図3(b)は抗体1068前免疫血清によ
りプローブしたブロットである。図3(a)および図3(b)の各レーンから抽出した
タンパク質は以下の通りである:レーン1はヒト卵巣;レーン2はマウス卵巣;
レーン3はラット卵巣;レーン4はROS17/2.8細胞;レーン5はROS17/2.8細胞を
エストラジオールで16時間処理したもの;レーン6はマウス一次骨芽細胞。抗体
は、特異的に64kDaタンパク質を認識し、mERβ-3において予想された大きさに ほぼ相当する。疑問符のついたところは、免疫特異的ではあるが同定されていな
い約58kDaに泳動したタンパク質を指す。ROS17/2.8細胞はGideon Rodanによって
定性された細胞株である。これはラットの骨芽細胞様骨腫瘍細胞株(ROS)であ る。
【0117】
【実施例4】 RT-PCR産物のサザンブロッティングによって測定されるラット ERβの組織特異的発現 ラット(r)ERβ(rERβ)mRNAの細胞発現を、RT-PCR産物のサザンブロッティン
グにより検討した。ラットの卵巣、ラット総骨髄(100ng)、およびROS17/2.8細胞
(100ng)から得た全RNA(2-100ng)を200UのSuperscript(exo-)逆転写酵素(Gibco-
BRL)および100pmolのランダムヘキサマープローブを使い、製造者が推薦する条
件に従って逆転写した。ROS 17/2.8細胞はラット骨芽細胞様骨腫瘍株(ROS)であ る。ラットcDNAを、100μlの反応液中で2UのTaq ポリメラーゼを使用し、各反 応あたり、1μMの5'-GTC AAG TGT GGA TCC AGG-3'(プライマー9;登録番 号U57439の塩基924から始まり、mERβ-3の塩基700と一致している)、および5'
-GCT CAC TAG CAC ATT GGG-3'(プライマー10;Kuiper 他によるrERβ-3
の塩基1,130から始まり、登録番号U57439、およびmERβ-3の塩基906と一
致している)を使用して増幅した。産物を25-40サイクルからなる以下の増幅プ ログラムによって増幅した;90℃で1分、55℃で45秒、72℃で2分。この産物を
プログラム終了時に72℃で5分かけて伸長させた。
【0118】 増幅に続いて、このPCR産物を4%NuSieveアガロース(FMP)TBEゲル中で分離し
た。このDNAをナイロン膜(ベーリンガー・マンハイム社)に移し、サザンブロ ット用に紫外線照射して架橋形成させた。予想される5'-AGC AGG TAC ACT G
CC TGA GCA AAG CCA AGA-3'(プライマー11;登録番号U57439の塩基991に始
まり、mERβ-3の塩基767に一致する)なるアンプリコンの内部にあるオリゴヌク レオチド10pmolを、T4ポリヌクレオチドを使用して末端標識し、固定化したDNA アンプリコンをプローブするのに使用した。Quick-Hybハイブリダイゼーション 溶液(Stratagene社)において58℃でプレ・ハイブリダイズしてから、このプロ
ーブを添加して1時間ハイブリダイズさせた。このブロットを0.1%SDS含有2xSSC
で室温にて2回洗い、0.1xSSCと0.1%SDSで58℃にて2回洗った。このブロットを
フィルムに現像した。
【0119】 図4は、RT-PCRにより増幅したラットERβ(rERβ)産物のサザンブロットを
オートラジオグラフにかけたものである。多様な組織より採取した全RNAを逆転 写し、PCRで増幅して、ナイロン膜にうつして32P標識mERβ-3オリゴヌクレオチ
ドを使用してプローブした。図4(a)は、35サイクルで増幅した。各レーンは以 下のタイプおよび量のRNAを含む;レーン1は対照、RNA含まず;レーン2はラッ
ト卵巣由来RNA(0.1μg);レーン3はROS17/2.8細胞(0.1μg);レーン3はR
OS17/2.8細胞(0.1μg);レーン4はラット卵巣由来RNA対照(0.1μg)であっ て逆転写酵素含まず;レーン5は、ROS17/2.8全RNA(0.1μg)でRTを含まず。
【0120】 図4(b)は、全RNAのサザンブロットである。ERβ産物をRT-PCRで25サイクル増
幅した。図4(b)の各レーンは以下に示すタイプおよび分量のRNAを含む;レーン
1は対照;レーン2はラット卵巣由来RNA(2ng);レーン3はROS17/2.8全RNA(
0.1μg)、レーン4は全(培養)骨髄RNA(0.1μg);レーン5は全培養骨髄RN
A(0.1μg)であって、ここでは細胞はエストラジオールで16時間処理しておい
た;レーン6は同時培養物における一次骨芽細胞に由来する全RNA(0.1μg)で ある;レーン7〜11はそれぞれレーン2〜6の対照反応である。
【0121】 ERβcイソ型タンパク質の相対的発現に関する鑑別解析を、ランダムプライマ ーおよび逆転写酵素(RT)を利用して実施し、ラット、マウスまたはその他哺乳
類組織など多様な組織からcDNAを合成した。こうして得られたcDNAを、完全な相
同体ラットおよびマウスプライマーであって、かつmERβ-3の塩基700に一致する
か、あるいはRattus norvegicusエストロゲン受容体βmRNA、登録番号U57 439(Kuiper他(1996))のいずれかに一致する 5'-GTC AAG TGT GGA TCC
AGG-3'(プライマー9)、並びにmERβ-3の塩基1,554および登録番号U574
39の塩基1,724に一致する5'-GCA CTT CAT GCT GAG CAG-3'(プライマー8
)を使って増幅した。増幅後、このPCR産物を精製して、エクソン5B内部のコン センサス部位を有する制限エンドヌクレアーゼであるFspIで消化した(mERβの塩
基1,176におけるTGCGCAであって、rERβ-4にも存在する)。エクソン5B配列を有 するマウスまたはラットのアンプリコンの消化から、このようにして少量の産物
を得る。消化されたPCR産制物をアガロースゲル電気泳動によって分離し、ナイ ロン膜に移して、ラットまたはマウスの配列あるいは両方に特異的な相補型オリ
ゴヌクレオチドプローブでプローブした。ハイブリダイズしたDNAの特異的サイ ズは、特定の組織または細胞試料中にどの形のイソ型タンパク質が存在するかを
決定している。さらには、バンドの強度によって特定試料中のイソ型タンパク質
の相対的な存在量を定量できる。
【0122】
【実施例5】 ゲルシフトアッセイ mERβ-3のゲルシフトアッセイを図5(a)に示す。mERβ-3ゲルシフト(図5(a
))から得た結果を、図5(b)に示すようにヒトエストロゲン受容体α(ERα)か
ら得た結果と比較した。形成された受容体-DNA複合体を、新規エクソン5B(抗体
1067および抗体1068)に向けた方向の抗ペプチド抗体を使って分裂させた。COS-
7細胞由来の核抽出物(16μg)を、mERβ-3(図5(a))、またはヒトαエスト ロゲン受容体(pHEGO)を有する発現プラスミド(図5(b))で形質転換させ、27 塩基対の、32pラジオオアイソトープで末端標識した完全ERE(5fmmol)とともに
培養した。両図におけるレーンの説明は同一である。図5(a)と(b)は以下のもの
を含む:レーン1およびレーン2は抽出物のみ;レーン3および4は抗体1067;
レーン5およびレーン6は抗体1067の免疫前血清;レーン7およびレーン8は抗 体1068;および免疫前血清、レーン9およびレーン10は抗体1068の免疫前血清;
レーン11およびレーン12は未形質転換COS-7核抽出物16μgを含む対照レーン。
【0123】
【実施例6】 ERサブタイプ向けの多様なエストロゲンにおける相対的親和性 表1に示す実験データは、ERβサブタイプに対する多様なエストロゲンについ
てのさまざまな親和性を示す(ERα、ERβ-1、およびERβ-3)。
【0124】 E2結合の結合能を、異なる濃度の[3H]-E2(0-200nM)とともにトランスフェクト
されたCOS-7細胞外ゾルを培養することによって測定し、未標識E2 500Xで4時間 、40mMのTris HCl pH7.4、150mMのKCl、PMSF0.1mM、DTT2mMを添加するか 、未添加かで測定した。実施例7に示すように、COS-7細胞をトランスフェクト させた。結合した受容体をヒドロキシアパタイト法(Obourn他Biochemistry32(24
):6229-6236(1993))で分離するか、またはリガンドをデキストラン被覆チャコ ール法(Garcia他Mol.Endocorinol.6(12):2071-2078(1992))で除去し、結合し
たホルモンを液体シンチレーションカウント法により測定した。解離定数(kd)を
スカッチャープロット法により得た。同様に、異なるエストロゲンリガンドの相
対親和性を、1nMの受容体および5nMの[3H]-E2に多様な濃度の記述済み競合ステ
ロイドを添加するか、または無添加状態で測定した。標識した[3H]-17β-エスト
ラジオールの50%と結合するのに必要なリガンド濃度を分母として使い、表に示 した(分子は1nMの定数で)。
【0125】 相対親和性の差異(IC50実験の結果)は、mERβ-1およびmERβ-3受容体が異
なるリガンドに対して異なる親和性を有することを示している。このことからは
、異なるリガンドに対する転写応答が、受容体サブタイプの発現型と、転写を刺
激するために使用したエストロゲン・リガンドとの関数であることを示唆してい
る。
【0126】 表1は、ヒトERα、マウスERβ-1およびマウスERβ-3(エクソン5Bを含む)に
おいて異なる親和性を示している。指摘されたように、異なるエストロゲンの親
和性は、受容体によって異なる。数が増えれば増えるほど、エストロゲン受容体
標的に対してもっているエストロゲンの親和性が高くなる。ジエチルスチルベス
トロール(DES)はERαよりもERβイソ型タンパク質に対して高い親和性を有す る。
【0127】
【表1】
【0128】 この実験で使用した方法は、ERβイソ型タンパク質の各々に対して異なる親和
性を有するスクリーニング用試薬として利用でき、その他エストロゲン受容体タ
ンパク質およびそのイソ型タンパク質にとって特定の薬物が有するであろう親和
性を測定する上で、ERαとそれらを比較するのに利用できる。
【0129】
【実施例7】 ERβ-1およびERβ-3イソ型タンパク質のトランスアクチベーシ ョンプロファイル 本実験では、ERβ-1およびERβ-3イソ型タンパク質の効果を、両者が個別に発
現する場合と、一緒に発現する場合について、ERαの効果と比較した。
【0130】 tk-CAT(Metzer他J.Biol.Chem.270(16):9535(1995))に記載された構築物に機
能的結合を成すエストロゲン応答物質(ERE)を介して、転写を刺激するエスト ロゲンの能力を、COS-7細胞におけるmERβ-1およびmERβ-3に対する発現ベク ターの一過性トランスフェクションにより測定した。トランスフェクションには
、COS-7細胞を、フェノールレッド不含低グルコース含有DMEM培地を入れた6穴 プレートに播いた。約50〜80%のコンフルエンシーに達した時点で、製造者のマ ニュアル(GIBCO-BRL)に従い、リポフェクタミンを使用してトランスフェクトし た。発現構築物を500ngのレポータ、100〜500ngの発現プラスミド、および残り である(1〜1.4ng)担体DNAとしてのpBluescriptに含有する総量2μgのDNAでト ランスフェクトした。24時間後、細胞をDMEMで洗い、薬剤(17-βエストラジオー
ル、4-ヒドロキシタモキシフェン、クロミフェンまたはDESを1-300nMの濃度で) を含有する新鮮培地、またはビヒクル(エタノール)と交換した。24時間後に、細
胞を溶解し、液体シンシレーションカウントを使ってCAT活性を転換後クロラム フェニコール(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGYに記載されたように)
によって測定した。mERβ-1およびmERβ-3イソ型タンパク質の共トランスフェ
クションには、等量の発現構築物をトランスフェクトした(通常は各々100ng)( 図8)。他薬剤が転写に及ぼす影響を解析するには、前述の実験によって、薬剤
濃度を変化させることを除いて、同様の実験を実施した(図9)。
【0131】 トランスフェクション解析の結果(図8)からは、mERβがカノニカル応答要
素を含有するレポータからの転写を刺激する能力のあることがわかった。mERβ
-1は、エストラジオール濃度を100nMとした場合、ERα構築物すなわちpHEGOで トランスフェクトした同様な細胞で観察されたものの約50〜70%まで転写を刺激 し得る。mErβ-3イソ型タンパク質は、薬物濃度を100nMした場合、pHEGOで観察
された転写の約40%のみを刺激しうる。
【0132】 図8および図9に示すように、mERβ-1の応答はERαをコードするpHEGOでト
ランスフェクトした細胞で観察されたのと同程度であった。mERβ-3だけがきわ
めて高濃度のエストロゲン(100〜200nM)にて転写を刺激した。これとは対照的
に、両受容体が同時に発現している場合は、応答強度は除去されており、このこ
とからmERβ-3機能がmERβ-1の活動にとって優勢な負のモジュレータであるこ
とがわかる。(同様の結果が、Maruyama 他Biochemical Biophysical Research Communications 246(1):142-147(1998)に公表した文献でも確認されている)。
【0133】 図8の結果は、mERβ-1が、E2、クロミフェン(クロミド)、ジエチルスチル
ベストロール(DES)および4-OHTに曝露した場合に、ERαに類似したトランス活性
化プロファイルを有することを示している。mERβ-3イソ型タンパク質は、ERα
またはmERβ-1のいずれかと比較した場合、cV2EREをトランス活性化する能力 が低い。しかし、イソ型タンパク質が共に発現させられた(coexpressed)場合、 この活性は、減少する(図8のmERB1+B3で示すパネル)。本実施例で利用した
アッセイは、ERβイソ型タンパク質のホモダイマーを変調するのがどの薬剤であ
るかを決定する場合も同様に使用され、ERβイソ型タンパク質のヘテロダイマー
、並びにERβおよびERαイソ型タンパク質から成るヘテロダイマーの場合も同様
である。
【0134】 図9は、ERβ-1(図9のB1で示す)およびERβ-3(B3)が共にクロミフェン、
DES、4-OHTおよびE2に曝露された場合に類似の活性を有することを示している。
しかし、ERβ-1およびERβ-3をレポータ系内部で同時に発現させた場合は、個別
にERβイソ型タンパク質またはERαを発現させる場合と比較して、これらの同時
発現のほうがダウンレギュレートされている。このアッセイ系は、多様なERβイ
ソ型タンパク質の活性を変調する別のエストロゲンまたは化合物をスクリーング
する際に利用できる。
【0135】
【実施例8】 多様な組織のインサイチュ・ハイブリダイゼーション ERαとERβの両者に対するアンチセンスcRNAプローブを使い、インサイチュ ・ハイブリダイゼーション解析を実施した。組織を0.1M TEA、pH8.0に0.25%無
水酢酸を添加して室温で10分間処理し、2XSSCで3回洗い、アルコール類で連続 して脱水して風乾した。ERαまたはERβ-3イソ型タンパク質に対応するcRNAリ ボプローブを調製し、組織片をプローブした。ハイブリダイゼーション溶液を除
去し、組織片を洗って乾燥した。リボプローブ用には、mERβ-1プラスミド(ラ
ット配列の931〜1731番目の塩基)のリガンド結合ドメインに対応する801塩基対
の挿入部を、制限酵素ApaL1を使って直線化し、[35S]-UTPおよび[35S]-CTPの存 在下でインビトロでRNAポリメラーゼを使用し、Goldstein他Neuroscience71(1) :243(1996)の方法に従って転写した。このリボプローブをエタノール沈殿法に て精製し、乾燥した組織片を55℃で一晩ハイブリダイゼーション緩衝液中、ハイ
ブリダイズした。ハイブリダイゼーション液を除去し、組織片をRNaseで短時間 培養し、洗ってから脱水し、風乾した。乾燥片を通常の連続現像時間かけてフィ
ルムに現像し、NTB3乳剤に浸し、各mRNAの細胞内での位置、および解剖学的位 置を測定した。
【0136】 結果は、発育中の卵胞内部に(図10の一番上のパネル)、そして肺、腎皮質、
脳内の特定領域(図示せず)にて大量かつ広範囲のERβメッセージが分布してい
たことをはっきりさせた。ERα分布のパターンは全く異なっており、子宮にのみ
、腎臓の髄質(図示せず)および脳の特定の領域に高度に発現され(図10の真
中のパネル)ていた。予備的データから、ERβ発育中のラット(12日)の骨、
特に脊椎(図10)の中の間葉圧縮帯に対応するとみられる骨形成中心で発現す
ることも示された。
【0137】 ERβメッセージは、発育中のGraffinn卵胞(GA)で観察されるが、閉鎖症が進行
している再吸収性卵胞(FA)(図10、上のパネル、アンチセンス)では観察され
ない。卵巣内では、ERαメッセージ受容体は、子宮管の内部にのみ豊富にある(
図示せず)。ERβmRNAは、子宮全体に広く発現されているのが観察された。( 図10、真中のパネル、アンチセンス)。子宮頚部の脊椎には、Osf/Cbfalすな わち骨芽細胞分化タンパク質の発現パターンと同様に、ERβmRNAが間葉性骨化(
M)を呈する領域に局在していた(図10、最下パネル、アンチセンス、↓部分)
。センスリボプローブ対照を使用した一連のハイブリダイズ切片に対応する対照
も、右のパネルに示している。
【0138】
【実施例9】 薬剤のためのスクリーニング方法 ERβのリン酸化。ERαを含め、ステロイド受容体スーパーファミリーのほとん
どの構成員の基底状態の関数(function)として、あるいはリガンド結合に応じて
、翻訳後の修飾を(例えば、リン酸化)受ける。ERαの場合、リガンド結合に応
じてリン酸化される様々な部位が分子上に存在する。mERβまたはヒトERβの 翻訳後の修飾は、ERαに対して先に利用した方法と同じ方法を使って行なうこと
ができる。リン酸化を分析する方法は、COS-7細胞内における、様々なcDNAの一 時的なまたは安定的な発現、あるいは[32P]-オルトリン酸塩で代謝標識された細
胞から、[32P]標識されたERβを免疫沈降させることによる。リガンド刺激/非 刺激細胞からのトリプシンによるマップは、本発明者らの抗体(例えば、図3を
得るために使用した抗体のような、エクソン5Bの産物に対する)もしくは市販の
抗体を用いて、mERβまたはヒトERβ分子を免疫沈降させることにより単離させ たERβタンパク質を使って得られる。インビトロでの一時的なトランスフェクシ
ョンを利用して行なう研究のために、トリプル-myc標識またはGST標識が、適切 なコード配列を発現プラスミドへクローニングすることにより、カルボキシル基
またはアミノ基の末端へ結合されることができる。発現された(リン酸化された
)タンパク質は、次に、信頼性が高くしかも市販で入手できる抗-myc抗体(トリ
プルmyc標識を使用する場合)またはまたは抗GST抗体を用いて免疫沈降させるこ
とができる。さらに、エクソン5Bアミノ酸の残基を他残基と置換してリン酸化を
阻止することも可能である。ERαおよびmERβ-1の何れとも対照的に、mERβ-3に
とってユニークなエクソン5Bは、さもなければ限りなく疎水性のある分子の領域
内へ配置される。しかし、エクソン5B領域は、普通は親水性であり、エクソン5
-エクソン5B-スプライスというジャンクションの配置の直接的な結果として生
ずる、コンセンサスなカゼインキナーゼII(CKII)リン酸化部位(VLDRSSEDP) を含む。ERαサブタイプを含め、多数のステロイド受容体がCKII部位でリン酸化
される。エクソン5BでコードしたERβの一部に存在するセリンは、アラニン残
基で置換することが可能であり、あるいはリン酸化された分子を構造上模倣した
残基(例えば、アスパラギン酸の残基)で置換することが可能である。ERβのこ
のような形態は、ERβの様々なイソ型タンパク質の活性を変調する薬剤のスクリ
ーニングと単離に利用することができる。代替として、ERβのこれら突然変異体
形態またはこの領域を含むポリペプチドフラグメントは、それら自体が、ERβ信
号路内での作用薬あるいは拮抗薬活性について試験されることができる。
【0139】 B.ドメイン切り替え。ERαのアミノ基末端は、ERα分子のリガンド結合ドメ
イン内に存在するリガンド依存転写ドメイン(AF-2)と「同化」されると、専ら完
全に活性状態になる自律転写活性(AF-1)を含む。これらドメインは、依然として
ERβに関して記述されねばならないが、ERαとERβの分子間の、タンパク質レベ
ルにおける配列の高い相同性は、ERβが同じように形成されることを理論的に示
唆している。これらドメインの多くは、GSTおよびmycのような便利で信頼性のあ
るエピトープタグへ融合したリガンド結合ドメイン(LBD)の一部を使用して同定 されるとともに、特徴付けられた。次いで、そのような構造を利用して、細胞溶
解物全体、または発現ライブラリーのような他発現モデルにおいて、ER複合体の
転写応答性を関数的に変更するタンパク質を同定する。本発明者らは、特定のイ
ンテグレータ分子がタンパク質どうしの相互作用のプローブのような便利なエピ
トープタグなどに融合されるmERβ3のLBDを使用して見出されるかもしれないと 推定する。このようなタンパク質は、機能性ER複合体(ERβ3のERβ3とのホモ二
量体、またはERβ3のERβ1との、あるいはERβ3のERαとのヘテロ二量体として 定義される)、つまりER複合体と相互作用するタンパク質のためのプローブのよ
うなエピトープタグなどで融合されたアミノ基末端の一部、の転写応答性を変更
することができる。一方、これらの複合体を薬剤スクリーニングアッセイで使用
して、ERβイソ型タンパク質活性を変調する薬剤を同定することができる。代替
として、複合体自身を使用して、エストロゲン受容体を媒介とする経路を調節し
てもよい。
【0140】 引用文献 下記引用文献、および先に記載の、そして以下に記載の、すべての論文、テキ
ストおよび特許は、それぞれ全体を引用して本明細書に援用する。 Aguilar他,Mol. Cell. Biochem. 136(1): 35(1994). Angerer他.,Methods Enzymol., 152: 649(1987). Aprikian他.,Cancer 71(12): 3952 (1993). Bartlett他,Br. J. Cancer 73(12): 1538 (1996). Berent他,Biotech. 3: 208 (1985). Berg他,PNAS 88: 4723 (1991). Berkowitz and Evans,J. Biol. Chem. 267(10): 7134 (1992). Berry他,EMBO 9: 2811 (1990). Bonetti他,Breast Cancer Res. Treat. 3 8(3): 289 (1996). Burch他,Mol. Cell. Biol. 8(3): 1123 (1988). Byers他,Mol. Endocrinol. 11(2): 172 (1997). Cohen他,PNAS 69: 2110 (1972). Collins他,Steroids 62: 365 (1997). Cotreau-Bibbo他,J. Pharm. Sci. 85(11): 1180 (1996). CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, F. Ausub他, ed. Greene Publishin
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gct gtg atg aac tac agt gtt ccc agc agc 240 Met Thr Phe Tyr Ser Pro Ala Val Met Asn Tyr Ser Val Pro Ser Ser 65 70 75 80 acc ggt aac ctg gaa ggt ggg cct gtt cgc cag act gca agc cca aat 288 Thr Gly Asn Leu Glu Gly Gly Pro Val Arg Gln Thr Ala Ser Pro Asn 85 90 95 gtg cta tgg cca act tct gga cac ctc tct cct tta gcc acc cac tgc 336 Val Leu Trp Pro Thr Ser Gly His Leu Ser Pro Leu Ala Thr His Cys 100 105 110 caa tca tcg ctt ctc tat gca gaa cct caa aag agt cct tgg tgt gaa 384 Gln Ser Ser Leu Leu Tyr Ala Glu Pro Gln Lys Ser Pro Trp Cys Glu 115 120 125 gca aga tca cta gaa cac acc ttg cct gta aac aga gag acc ctg aag 432 Ala Arg Ser Leu Glu His Thr Leu Pro Val Asn Arg Glu Thr Leu Lys 130 135 140 agg aag ctt ggc ggg agc ggt tgt gcc agc cct gtt act agt cca agc 480 Arg Lys Leu Gly Gly Ser Gly Cys Ala Ser Pro Val Thr Ser Pro Ser 145 150 155 160 gcc aag agg gat gct cac ttc tgc gcc gtc tgc agt gat tat gca tct 528 Ala Lys Arg Asp Ala His Phe Cys Ala Val Cys Ser Asp Tyr Ala Ser 165 170 175 ggg tat cat tac ggt gtc tgg tcc tgt gaa gga tgt aag gcc ttt ttt 576 Gly Tyr His Tyr Gly Val Trp Ser Cys Glu Gly Cys Lys Ala Phe Phe 180 185 190 aaa aga agc att caa gga cat aat gac tat atc tgt cca gcc acg aat 624 Lys Arg Ser Ile Gln Gly His Asn Asp Tyr Ile Cys Pro Ala Thr Asn 195 200 205 cag tgt acc ata gac aag aac cgg cgt aaa agc tgc cag gcc tgc cga 672 Gln Cys Thr Ile Asp Lys Asn Arg Arg Lys Ser Cys Gln Ala Cys Arg 210 215 220 ctt cgc aag tgt tac gaa gta gga atg gtc aag tgt gga tcc agg aga 720 Leu Arg Lys Cys Tyr Glu Val Gly Met Val Lys Cys Gly Ser Arg Arg 225 230 235 240 gaa agg tgt ggg tac cga ata gta cga aga cag aga agt gcc agc gag 768 Glu Arg Cys Gly Tyr Arg Ile Val Arg Arg Gln Arg Ser Ala Ser Glu 245 250 255 cag gtg cat tgc ctg aac aaa gcc aag aga acc agt ggg cac aca ccc 816 Gln Val His Cys Leu Asn Lys Ala Lys Arg Thr Ser Gly His Thr Pro 260 265 270 cgg gtg aag gag cta ctg ctg aac tct ctg agt ccc gag cag ctg gtg 864 Arg Val Lys Glu Leu Leu Leu Asn Ser Leu Ser Pro Glu Gln Leu Val 275 280 285 ctc acc ctg ctg gaa gct gag cca ccc aat gtg cta gtg agc cgt ccc 912 Leu Thr Leu Leu Glu Ala Glu Pro Pro Asn Val Leu Val Ser Arg Pro 290 295 300 agc atg ccc ttc acc gag gcc tcc atg atg atg tcc ctc acg aag ctg 960 Ser Met Pro Phe Thr Glu Ala Ser Met Met Met Ser Leu Thr Lys Leu 305 310 315 320 gct gac aag gaa ctg gtg cac atg att ggc tgg gcc aag aaa atc cct 1008 Ala Asp Lys Glu Leu Val His Met Ile Gly Trp Ala Lys Lys Ile Pro 325 330 335 ggc ttt gtg gag ctc agc ctg ttg gac caa gtc cgc ctc ttg gaa agc 1056 Gly Phe Val Glu Leu Ser Leu Leu Asp Gln Val Arg Leu Leu Glu Ser 340 345 350 tgc tgg atg gag gtg ctg atg gtg ggg ctg atg tgg cgc tcc atc gac 1104 Cys Trp Met Glu Val Leu Met Val Gly Leu Met Trp Arg Ser Ile Asp 355 360 365 cac ccc ggc aag ctc atc ttt gct cca gac ctc gtt ctg gac agg tcc 1152 His Pro Gly Lys Leu Ile Phe Ala Pro Asp Leu Val Leu Asp Arg Ser 370 375 380 tca gaa gac cct cac tgg cac gtt gcg cag acg aag agt gct gtc cca 1200 Ser Glu Asp Pro His Trp His Val Ala Gln Thr Lys Ser Ala Val Pro 385 390 395 400 agg gat gag ggg aag tgc gtg gaa ggg att ctg gaa atc ttt gac atg 1248 Arg Asp Glu Gly Lys Cys Val Glu Gly Ile Leu Glu Ile Phe Asp Met 405 410 415 ctc ctg gcg acg acg gca cgg ttc cgt gag tta aaa ctg cag cac aaa 1296 Leu Leu Ala Thr Thr Ala Arg Phe Arg Glu Leu Lys Leu Gln His Lys 420 425 430 gaa tat ctg tgt gtg aag gcc atg att ctc ctc aac tcc agt atg tac 1344 Glu Tyr Leu Cys Val Lys Ala Met Ile Leu Leu Asn Ser Ser Met Tyr 435 440 445 ccc ttg gct acc gca agc cag gaa gca gag agt agc cgg aag ctg aca 1392 Pro Leu Ala Thr Ala Ser Gln Glu Ala Glu Ser Ser Arg Lys Leu Thr 450 455 460 cac cta ttg aac gca gtg aca gat gcc ctg gtc tgg gtg att tcg aag 1440 His Leu Leu Asn Ala Val Thr Asp Ala Leu Val Trp Val Ile Ser Lys 465 470 475 480 agt gga atc tct tcc cag cag cag tca gtc cgt ctg gcc aac ctc ctg 1488 Ser Gly Ile Ser Ser Gln Gln Gln Ser Val Arg Leu Ala Asn Leu Leu 485 490 495 atg ctt ctt tct cat gtc agg cac atc agt aac aag ggc atg gaa cat 1536 Met Leu Leu Ser His Val Arg His Ile Ser Asn Lys Gly Met Glu His 500 505 510 ctg ctc agc atg aag tgc aaa aat gtg gtc ccg gtg tac gac ctg ctg 1584 Leu Leu Ser Met Lys Cys Lys Asn Val Val Pro Val Tyr Asp Leu Leu 515 520 525 ctg gag atg ctg aat gct cac acg ctt cga ggg tac aag tcc tca atc 1632 Leu Glu Met Leu Asn Ala His Thr Leu Arg Gly Tyr Lys Ser Ser Ile 530 535 540 tcg ggg tct gag tgc tgc tcg aca gag gac agt aag agc aaa gag ggc 1680 Ser Gly Ser Glu Cys Cys Ser Thr Glu Asp Ser Lys Ser Lys Glu Gly 545 550 555 560 tcc cag aac ctc cag tca cag tga 1704 Ser Gln Asn Leu Gln Ser Gln 565 <210> 2 <211> 567 <212> PRT <213> Mus musculus <400> 2 Met Ser Ile Cys Ala Ser Ser His Lys Asp Phe Ser Gln Leu Arg Pro 1 5 10 15 Thr Gln Asp Met Glu Ile Lys Asn Ser Pro Ser Ser Leu Thr Ser Pro 20 25 30 Ala Ser Tyr Asn Cys Ser Gln Ser Ile Leu Pro Leu Glu His Gly Pro 35 40 45 Ile Tyr Ile Pro Ser Ser Tyr Val Glu Ser Arg His Glu Tyr Ser Ala 50 55 60 Met Thr Phe Tyr Ser Pro Ala Val Met Asn Tyr Ser Val Pro Ser Ser 65 70 75 80 Thr Gly Asn Leu Glu Gly Gly Pro Val Arg Gln Thr Ala Ser Pro Asn 85 90 95 Val Leu Trp Pro Thr Ser Gly His Leu Ser Pro Leu Ala Thr His Cys 100 105 110 Gln Ser Ser Leu Leu Tyr Ala Glu Pro Gln Lys Ser Pro Trp Cys Glu 115 120 125 Ala Arg Ser Leu Glu His Thr Leu Pro Val Asn Arg Glu Thr Leu Lys 130 135 140 Arg Lys Leu Gly Gly Ser Gly Cys Ala Ser Pro Val Thr Ser Pro Ser 145 150 155 160 Ala Lys Arg Asp Ala His Phe Cys Ala Val Cys Ser Asp Tyr Ala Ser 165 170 175 Gly Tyr His Tyr Gly Val Trp Ser Cys Glu Gly Cys Lys Ala Phe Phe 180 185 190 Lys Arg Ser Ile Gln Gly His Asn Asp Tyr Ile Cys Pro Ala Thr Asn 195 200 205 Gln Cys Thr Ile Asp Lys Asn Arg Arg Lys Ser Cys Gln Ala Cys Arg 210 215 220 Leu Arg Lys Cys Tyr Glu Val Gly Met Val Lys Cys Gly Ser Arg Arg 225 230 235 240 Glu Arg Cys Gly Tyr Arg Ile Val Arg Arg Gln Arg Ser Ala Ser Glu 245 250 255 Gln Val His Cys Leu Asn Lys Ala Lys Arg Thr Ser Gly His Thr Pro 260 265 270 Arg Val Lys Glu Leu Leu Leu Asn Ser Leu Ser Pro Glu Gln Leu Val 275 280 285 Leu Thr Leu Leu Glu Ala Glu Pro Pro Asn Val Leu Val Ser Arg Pro 290 295 300 Ser Met Pro Phe Thr Glu Ala Ser Met Met Met Ser Leu Thr Lys Leu 305 310 315 320 Ala Asp Lys Glu Leu Val His Met Ile Gly Trp Ala Lys Lys Ile Pro 325 330 335 Gly Phe Val Glu Leu Ser Leu Leu Asp Gln Val Arg Leu Leu Glu Ser 340 345 350 Cys Trp Met Glu Val Leu Met Val Gly Leu Met Trp Arg Ser Ile Asp 355 360 365 His Pro Gly Lys Leu Ile Phe Ala Pro Asp Leu Val Leu Asp Arg Ser 370 375 380 Ser Glu Asp Pro His Trp His Val Ala Gln Thr Lys Ser Ala Val Pro 385 390 395 400 Arg Asp Glu Gly Lys Cys Val Glu Gly Ile Leu Glu Ile Phe Asp Met 405 410 415 Leu Leu Ala Thr Thr Ala Arg Phe Arg Glu Leu Lys Leu Gln His Lys 420 425 430 Glu Tyr Leu Cys Val Lys Ala Met Ile Leu Leu Asn Ser Ser Met Tyr 435 440 445 Pro Leu Ala Thr Ala Ser Gln Glu Ala Glu Ser Ser Arg Lys Leu Thr 450 455 460 His Leu Leu Asn Ala Val Thr Asp Ala Leu Val Trp Val Ile Ser Lys 465 470 475 480 Ser Gly Ile Ser Ser Gln Gln Gln Ser Val Arg Leu Ala Asn Leu Leu 485 490 495 Met Leu Leu Ser His Val Arg His Ile Ser Asn Lys Gly Met Glu His 500 505 510 Leu Leu Ser Met Lys Cys Lys Asn Val Val Pro Val Tyr Asp Leu Leu 515 520 525 Leu Glu Met Leu Asn Ala His Thr Leu Arg Gly Tyr Lys Ser Ser Ile 530 535 540 Ser Gly Ser Glu Cys Cys Ser Thr Glu Asp Ser Lys Ser Lys Glu Gly 545 550 555 560 Ser Gln Asn Leu Gln Ser Gln 565 <210> 3 <211> 549 <212> PRT <213> Mus musculus <220> <223> Mouse estrogen receptor beta-1 amino acid sequence <400> 3 Met Ser Ile Cys Ala Ser Ser His Lys Asp Phe Ser Gln Leu Arg Pro 1 5 10 15 Thr Gln Asp Met Glu Ile Lys Asn Ser Pro Ser Ser Leu Thr Ser Pro 20 25 30 Ala Ser Tyr Asn Cys Ser Gln Ser Ile Leu Pro Leu Glu His Gly Pro 35 40 45 Ile Tyr Ile Pro Ser Ser Tyr Val Glu Ser Arg His Glu Tyr Ser Ala 50 55 60 Met Thr Phe Tyr Ser Pro Ala Val Met Asn Tyr Ser Val Pro Ser Ser 65 70 75 80 Thr Gly Asn Leu Glu Gly Gly Pro Val Arg Gln Thr Ala Ser Pro Asn 85 90 95 Val Leu Trp Pro Thr Ser Gly His Leu Ser Pro Leu Ala Thr His Cys 100 105 110 Gln Ser Ser Leu Leu Tyr Ala Glu Pro Gln Lys Ser Pro Trp Cys Glu 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ctgctgaact 660 ctctgagtcc cgagcagctg gtgctcaccc tgctggaagc tgagccaccc aatgtgctag 720 tgagccgtcc cagcatgccc ttcaccgagg cctccatgat gatgtccctc acgaagctgg 780 ctgacaagga actggtgcac atgattggct gggccaagaa aatccctggc tttgtggagc 840 tcagcctgtt ggaccaagtc cgcctcttgg aaagctgctg gatggaggtg ctgatggtgg 900 ggctgatgtg gcgctccatc gaccaccccg gcaagctcat ctttgctcca gacctcgttc 960 tggacaggga tgaggggaag tgcgtggaag ggattctgga aatctttggc atgctcctgg 1020 cgacgacggc acggttccgt gagttaaaac tgcagcacaa agaatatctg tgtgtgaagg 1080 ccatgattct cctcaactcc agtatgtacc ccttggctac cgcaagccag gaagcagaga 1140 gtagccggaa gctgacacac ctattgaacg cagtgacaga tgccctggtc tgggtgattt 1200 cgaagagtgg aatctcttcc cagcagcagt cagtccgtct ggccaacctc ctgatgcttc 1260 tttctcatgt caggcacatc agtaacaagg gcatggaaca tctgctcagc atgaagtgca 1320 aaaatgtggt cccggtgtac gacctgctgc tggagatgct gaatgctcac acgcttcgag 1380 ggtacaagtc ctcaatctcg gggtctgagt gctgctcgac agaggacagt aagagcaaag 1440 agggctccca gaacctccag tcacagtgac ggccaggctg gaggcggatg attacaatga 1500 tggtcagaag tggga 1515 <210> 8 <211> 19 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Peptide motif <400> 8 Cys Ser Ser Glu Asp Pro His Trp His Val Ala Gln Thr Lys Ser Ala 1 5 10 15 Val Pro Arg <210> 9 <211> 14 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Peptide motif for creating antibodies <400> 9 Cys Ser Ser Thr Glu Asp Ser Lys Asn Lys Glu Ser Ser Gln 1 5 10 <210> 10 <211> 10 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Peptide motif <400> 10 Cys Ser Ser Glu Asp Pro Val Leu His Arg 1 5 10 <210> 11 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 1 <400> 11 atgacattct acagtcctgc tgtgatg 27 <210> 12 <211> 27 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 2 <400> 12 gaagtgagca tccctctttg cgtttgg 27 <210> 13 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 3 <400> 13 tctctgagag catcatgtcc 20 <210> 14 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 4 <400> 14 cagcctggcc gtcactgtga 20 <210> 15 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 5 <400> 15 tgctctagac caccatgtcc atctgtgcct ct 32 <210> 16 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 6 <400> 16 ccggaattct cactgtgact ggaggttctg 30 <210> 17 <211> 50 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Marathon RT-PCR primer <400> 17 ttctagaatt cagcggccgc tttttttttt tttttttttt tttttttttt 50 <210> 18 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Marathon adaptor primer <400> 18 ccatcctaat acgactcact ataggc 26 <210> 19 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 7 <400> 19 gcagtagctc cttcacccg 19 <210> 20 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 8 <400> 20 gcacttcatg ctgagcag 18 <210> 21 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 9, bases 502-506 of GenBank Accession No. X99101 <400> 21 gtcaagtgtg gatccagg 18 <210> 22 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Cloning/PCR primer, primer 10 <400> 22 gctcactagc acattggg 18 <210> 23 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer, primer 11 <400> 23 agcaggtaca ctgcctgagc aaagccaaga 30 <210> 24 <211> 9 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Consensus casein kinase II phosphorylation site <400> 24 Val Leu Asp Arg Ser Ser Glu Asp Pro 1 5
【図面の簡単な説明】
【図1】 完全マウスERβc遺伝子(mERβ-3)のヌクレオチド配列、推定アミノ酸配列およ
び推定ドメインを示す模式図である。 図1(a)は、完全マウスERβc、mERβ-3および、mERβ-3の、オルターナティヴ
にスプライスされた異なるイソ型タンパク質を作成するスプライシングドメイン
を含む9個のエクソン各々の位置を示す模式図である。エクソンを示す線の直接
上の数は、エクソンの末端ヌクレオチドを表現する。塩基対(bp)の9個のエクソ
ンのサイズとマウス卵巣由来のエクソンおよびスプライス変異型の各々に対して
コードされたアミノ酸(a.a.)配列が示されている。mERβ-3の1,704のヌクレオチ
ドは、567のアミノ酸をコードする。文字(A〜F)までは、ステロイド受容体上位 ファミリーのすべての構成員によって共有される相同領域を示す。Green他Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology 51(2): 751-8(1986)。領域 Cは、DNA結合ドメイン(DBD)に対応する。領域Eは、リガンド結合領域(LBD)で ある。新たに説明されるエクソン5Bは、LBD内にある。エクソン5Bは、GTCCTCAか
ら始まり、CCCAAGで停止する。レンダリングで共有された領域は、すべてのERβ
およびγERβイソ型タンパク質に含まれるアミノ末端と、全長(mERβ-3)やオル ターナティヴにスプライスされたラットイソ型タンパク質(に含まれる付加的エ クソン(エクソン5B)を示す。γERβ-4のエクソン6の欠失により、フレームシフ トが起こり、フレーム内、停止コドンが近位に配置されることにより、図示のよ
うにタンパク質の末端が切取られてしまう。 クローンmERβ-1は、1,650bpの長さがある。これは、エクソン1の5'末端のエ
クソンや7個の他記載されるエクソンに位置する、以前に記載されたことがない
192bpを含み、mERβ-1には、新たに記載されるエクソン5Bが存在しない。単離さ
れたイソ型タンパク質mERβ-2は、1,533bpであり、エクソン3およびエクソン5B を含まない。イソ型タンパク質γERβ-4(ラット組織から単離)は、1,570bpであ る。γER-β4は、新たなエクソン5Bを有するが、エクソン6を持たない。エクソ ン6の損失により、フレームシフトが生じ、翻訳がエクソン7に配置される停止コ
ドンで終了してしまう。 図1(b)〜(f)は、マウスmERβc(mERβ-3クローン)全配列を示す図である。す べてのmERβクローン(mERβ-1、mERβ-2)やオルターナティヴにスプライスされ たラットイソ型タンパク質(γERβ-4)に含まれる付加的な配列には、アンダーラ
インを引き、ボールド体で示した。9番目のエクソンに含まれる配列は、塩基1,1
49番から始まる下枠の文字で示されている。
【図2】 mERβ-3のオルターナティヴにスプライスされたイソ型タンパク質のアミノ酸 配列を示す図である。 図2(a)は、選択的スプライス変異型mERβ-1に関して演繹されたアミノ酸配列
を示す図である。オルターナティヴにスプライスされた全3種類のイソ型タンパ
ク質によって共有されるポリペプチド配列は、ボールド文字とアンダーラインで
示される配列によって示される。mERβ-1タンパク質は、549のアミノ酸残基を含
む。 図2(b)は、選択的スプライス変異型mERβ-2に関して演繹されたアミノ酸配列
を示す図である。オルターナティヴにスプライスされたmERβ-2は、510個のアミ
ノ酸残基分の長さがある。 図2(c)は、ラットの選択的スプライス変異型γERβ-4に関して、演繹された アミノ酸配列を示す図である。このスプライス変異型は、ラット卵巣から得られ
た。エクソン6の欠失により、フレームシフトが生じ、末端部分が切取られて、 翻訳されたエクソン5Bを超えてから13個分のアミノ酸で終了する。結果として作
成されるγERβ-4タンパク質は、414個分の残基の長さがあると見られる。イタ リック体ボールド文字でアンダーラインを付したところ(残基1〜64)は、エクソ ン1の5'末端に位置する新規の192個のヌクレオチドによってコードするポリペプ
チドである。ボールド体で下線を付した文字は、エクソン5Bによってコードする
ポリペプチドを表現する。「*」は、翻訳された停止コドンである。
【図3】 ウェスタンブロットによって検出されたmERβ-3タンパク質の組織特異的発現を 示す。 図3(a)は、N-CSSEDPHWHVAQTKSAVPR-OH(エクソン5Bによってコードされる配列
)に対して作成される抗ペプチド抗体(抗体1068)を用いるウェスタンブロットの 結果を示す。ここで、mERβ-3タンパク質は、ヒト卵巣、マウス卵巣、ラット卵 巣、ROS17/2.8細胞、およびマウス一次造骨細胞タンパク質からの抽出物の観察 された。 図3(b)は、抗体1068前免疫血清でプロービングしたヒト卵巣、マウス卵巣、 ラット卵巣、ROS17/2.8細胞およびマウス一次造骨タンパク質からの抽出物のウ ェスタンブロットを示す。図3(a)および図3(b)の各レーンのタンパク質抽出物
は以下の通りである:レーン1、ヒト卵巣;レーン2、マウス卵巣;レーン3、ラ ット卵巣;レーン4、ROS17/2.8細胞;レーン5、16時間100nMのエストラジオール
で処理されたROS17/2.8細胞;レーン6、マウス一次造骨細胞。
【図4】 RT-PCR作成物のサザンブロットによって検出されるγERβDNAの組織特異的発現 を示す。 図4(a)は、ラット卵巣およびγERβを検出することができるオリゴを使用し て35サイクルにわたって増幅させたROS17-2.8細胞から得られる全RNAを示す。図
4(a)の各レーンは、以下のタイプのRNAから誘導されるPCR作成物を含む:レー ン1、対照、RNA無し;レーン2、ラット卵巣RNA(0.1μg);レーン3、ROS17/2.
8細胞(0.1μg);レーン4、ラット卵巣RNA対照(0.1μg)、逆転写酵素(RT)無し;
レーン5、ROS17/2.8全RNA(0.1μg)、RT無し。 図4(b)は、ラット卵巣、ROS17/2.8細胞、エストラジオールで処理した骨髄RN
Aと、ERβから誘導されたオリゴを用いて25サイクルにわたって増幅された共培 養中の一次造骨細胞(登録番号U57439)から得られた全RNAを示す。図4(
b)の各レーンは、以下のタイプのRNAと量を含む:レーン1、対照、RNA無し;レ
ーン2、ラット卵巣RNA(2ng);レーン3、ROS17/2.8全RNA(0.1μg);レーン4、
全(培養)骨髄RNA(0.1μg);レーン5、全培養骨髄RNA(0.1μg、ただし、細胞を1
6時間エストラジオールで処理した);レーン6、共培養中の一次破骨細胞全RNA(
0.1μg);レーン7から11、レーン二から6の各々に逆転写酵素RTを用いない 対照反応。
【図5】 ゲルシフトアッセイの結果を示す。 図5(a)は、mERβ-3のゲルシフト分析を示す。受容体DNA複合体を、抗ペプチ ド抗体1067(エクソン5Bによってコードされたポリペプチドを認識する)を用いて
破壊した。 図5(b)は、エストロゲン受容体(ERα)のヒトα型のゲルシフト分析を示す。E Rα-DNA複合体の破壊は、エクソン5Bに特異的な2種類の抗ペプチド抗体を用い てアッセイした。 図5(a)および5(b)は以下を含む:レーン1および2、抽出物のみ;抗体1067
、レーン3および4;抗体1067前免疫血清、レーン5および6;抗体1068、レー
ン7および8;前免疫血清、レーン9および10;レーン11および12、16μ
gのトランスフェクションされていないCOS-7核抽出物を含む対照レーンである 。
【図6】 mERβ-3タンパク質と、マウスERαとの比較図である。 上側配列は、mERβ-3のタンパク質配列であり、下側配列は、マウスm(m)mERα
のタンパク質配列である。一致する配列間の「|」は、残基の一致を示す。一致 する配列の間の「:」は、同様のアミノ酸を示す。両方の配列に見られる「.」 は、配列整合プログラムによって加えられる「ギャップ」である。対になった配
列を二等分する線は、ERβcおよびERαに見られる6個のドメイン(A-F)を示す。
Cドメイン間には、99%類似性、97%同一性が見られ、2種類のマウスエストロゲ ン受容体サブタイプのDBDを含む。Eドメイン間には、79%類似性、59%同一性が見
られ、LBDを含む。
【図7】 mERβ-3とmERβiヌクレオチド配列の比較図である。 図7(a)〜(c)中、上側の対の配列対(ヌクレオチド151から出発する)は、mERβ-
3ヌクレオチド配列であり、下側配列は、Tremblay他(1997)により公表されたヌ クレオチド配列mERβiである。 配列(1,244のアデニン)とERβi間には、1つのヌ
クレオチドに違いがある。このヌクレオチドの違いにより、mERβ-3ではアスパ ラギン酸残基(D)、mERβiではグリシン(G)残基が生じる。
【図8】 各種エストロゲン存在下のERβイソ型タンパク質の活性を示すグラフである。
ERβ-1(B1)、ERβ-3(B3)、ERα(アルファ)、またはERβ-1およびERβ-3(B1+B3
)の両方を発現するリポータ構造を、クロミフェン、ジエチルスチルベステロー ル(DES)、4OH-タモキシフェン(4-OHT)、または17βエストラジオール(E2)に曝し
た。発現は、100nMの薬剤へのERα応答に標準化された。
【図9】 トランス活性化プロファイルcV2EREを示すプロットである。 4個のパネルは、cV2EREを活性化する異なるエストロゲン受容体の能力を示す 。ERα(ERアルファ;図9(a))、マウスERβ-1(mER-B1;図9(b))、マウス(mER-B3;図
9(c))の細胞応答、または、E2クロミッド、DES、4-OHTに対するCOS-7細胞のマウ
スERβ-1およびERβ-3イソ型タンパク質(mER B1+B3;図9(d))の共発現を比較した
【図10】 各種エストロゲン標的組織のインサイチュ・ハイブリダイゼーションを示す。 卵巣(上側パネル)、子宮(中央パネル)、およびE-15ラット胚を順次区分して、
ERβおよびERαから得られるアンチセンスプローブ(左側)およびセンスプローブ
(右側)を用いてプロービングした。頚椎を下側パネルに示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9a
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9a】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9b
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9b】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9c
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9c】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9d
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9d】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 A61P 13/08 4C086 51/00 19/10 4H045 48/00 35/00 A61P 13/08 C07K 14/47 19/10 14/705 35/00 16/28 C07K 14/47 16/46 14/705 C12N 1/21 16/28 G01N 33/15 Z 16/46 33/50 Z C12N 1/21 33/566 5/10 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 A61K 37/02 33/50 43/00 33/566 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),CA,JP,U S (72)発明者 シャンボン, ピエール フランス, ブラエシェム エフ−67113, リュ アー. シュヴァイツァー, 4 (72)発明者 デュポン, ソニア フランス, ストラスブルグ エフ− 67100, リュ ドゥ アル ジエジェロ, 63 (72)発明者 ギャルニエール, ジーン−マリー フランス, オッフェンハイム エフ− 67370, インパス デ パケレッテ, 11 Fターム(参考) 2G045 AA29 AA34 AA35 BB14 BB48 BB50 BB51 CB01 CB17 DA13 DA36 FB02 FB03 FB05 4B024 AA01 AA11 BA53 BA63 CA04 CA12 DA06 GA01 GA11 HA12 HA17 4B065 AA26X AA58X AA72X AA88X AA90X AA91Y AB01 AB02 AC14 BA02 BA08 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA03 AA07 AA13 BA01 BA22 CA53 DB63 DB70 NA14 ZA812 ZA972 ZB262 4C085 AA13 AA14 AA16 AA19 AA21 BB11 BB41 BB43 CC04 DD21 DD62 4C086 AA01 AA02 AA03 EA16 MA01 NA14 ZA81 ZA97 ZB26 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA40 DA50 DA75 DA76 EA20 EA50 FA72 FA73 FA74 HA05 HA06

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物ERβcとそのアリール変異体、またはそれらのイソ 型タンパク質をコードする単離された核酸分子。
  2. 【請求項2】 ヒトERβcとそのアリール変異体、またはそれらのイソ型タ ンパク質をコードする請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 【請求項3】 マウスmERβ-1、mERβ-2、mERβ-3、またはラットrERβ-
    4をコードする請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 【請求項4】 前記核酸分子が、1つ以上の発現制御要素へ操作可能に結合 される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
  5. 【請求項5】 前記核酸分子が、明確な信号を発生するのに十分ストリンジ
    ェントな条件下で、請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸分子にハイブリダ
    イズする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単離された核酸分子またはその
    一部。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の核酸分子を含むように形質転換された宿主
  7. 【請求項7】 前記宿主が、原核宿主および真核宿主から成る群より選択さ
    れる、請求項6に記載の宿主。
  8. 【請求項8】 哺乳動物ERβc、アリール変異体、またはそれらのフラグメ ントを製造する方法であって、前記ERβcタンパク質またはそれらのポリペプチ ドが発現する条件下で、請求項7に記載の宿主を培養する工程を含む方法。
  9. 【請求項9】 図1b、2a、2b、または2cに示されるアミノ酸配列あ
    るいはその部分を含む単離されたタンパク質。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のタンパク質に結合する単離された抗体。
  11. 【請求項11】 前記抗体が、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体
    、二重特異性抗体、キメラ抗体およびFv、Fab、Fab'、F(ab')2のような抗体フラ
    グメントから成る群より選択される、請求項10に記載の抗体。
  12. 【請求項12】 前記抗体が、N-CSSEDPHWHVAQTKSAVPR-OH、N-CSSTEDSKNKES
    SQ-OH、またはそれらの配列それら配列の一部を含むポリペプチド配列を認識し 結合する、請求項11に記載の抗体。
  13. 【請求項13】 生理学的エストロゲン、スチルベンエストロゲン、または
    トリフェニルエチレン(抗)エストロゲンから成る群より選ばれるエストロゲンと
    、請求項9に記載のタンパク質との相互作用を阻止する方法であって、 前記タンパク質が、生理学的エストロゲン、スチルベンエストロゲン、またはト
    リフェニルエチレン(抗)エストロゲンへ結合することを阻止する薬剤と、該タン
    パク質を接触させる工程を含む方法。
  14. 【請求項14】 前記薬剤は、請求項9に記載のタンパク質のホルモン結合
    ドメイン、DNA結合ドメイン、または二量体化ドメインへ選択的に結合すること によって、生理学的エストロゲン、スチルベンエストロゲン、またはトリフェニ
    ル(抗)エストロゲンの、前記タンパク質への結合を阻止する、請求項13に記載
    の方法。
  15. 【請求項15】 前記薬剤は:前記タンパク質のフラグメント;前記タンパ
    ク質に結合する抗体;Fv、Fab、Fab'、またはF(ab')2のような前記タンパク質に
    結合する抗体フラグメント;ヒト化抗体、ヒト抗体、二重特異性抗体、または前
    記タンパク質に結合するキメラ抗体;から成る群より選択される、請求項14に
    記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記結合が、細胞の増殖、分化、DNA合成、または細胞周 期の多様性を低減するか高める、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 生理学的エストロゲン、スチルベンエストロゲン、または
    トリフェニルエチレン(抗)エストロゲンと、請求項9に記載のタンパク質との相
    互作用を変調する、またはそれらの該タンパク質に対する効果を変調する薬剤を
    同定する方法であって、 a)前記タンパク質を推定の阻害性化合物とインキュベートする工程と; b)生理学的エストロゲン、スチルベンエストロゲン、またはトリフェニルエチ
    レン(抗)エストロゲンを添加する工程と; c)前記薬剤が、前記生理学的エストロゲン、スチルベンエストロゲン、または
    トリフェニルエチレン(抗)エストロゲンへの、請求項9に記載のタンパク質の結
    合を変調するか否かを決定する工程とを含む方法。
  18. 【請求項18】 請求項9に記載のタンパク質の活性化をアッセイするため
    の方法であって、 該タンパク質が発現されるか否かを決定する工程、または、請求項9に記載のタ
    ンパク質をコードするmRNAが発現されているか否かを決定する工程を含む方法。
  19. 【請求項19】 請求項9に記載のタンパク質をインサイチュで局在化させ
    る方法であって、被験体に、該タンパク質に結合する量の抗体を投与することを
    含む方法。
  20. 【請求項20】 前記抗体が放射性同位元素とコンジュゲートされている、
    請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸分子に相補的な
    、単離された核酸分子。
  22. 【請求項22】 細胞中で請求項9に記載のタンパク質の発現を阻害する方
    法であって、該タンパク質の発現を阻害するのに十分な量の請求項21に記載の
    核酸分子を、前記細胞へ提供する方法。
  23. 【請求項23】 薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤とともに、請求
    項20に記載の核酸分子を含む薬学的組成物。
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