【発明の詳細な説明】
コーティング組成物、その製造法および
その腐食防止塗料における使用
本発明は、非ドーピングポリマーを含む第一バインダー上に析出または吸着さ
れた少なくとも1種の電気伝導性ポリマーから成る、分赦剤中の電気伝導性粒子
の分散物を含むコーティング組成物に関する。
かかるコーティング組成物は、EP−A−589,529から公知である。この文献に記
載された組成物は、非ドーピングポリマーから成るバインダー上に析出または吸
着された電気伝導性ポリマーの分散物から成る。
1981年、MengoliらはすでにJ.Appl.Polym.Sci.1981,26,4247−4257にお
いて、伝導性ポリマーが金属を腐食から保護するのに使用町能であることを示唆
した。しかし、最初の良好な結果は、10年後にのみ、Thompsonによって、ポリア
ニリンをベースとするコーティングを使用して得られた。これは、Los Alamos N
ational Report LA−UR−92−360で報告されている。軟鋼は、かき傷がコーティ
ング中にある場合ですら、食塩水および酸の環境において腐食から保護されるこ
とが見出された。
EP−A−589,529から公知のコーティング組成物も、腐食を防止するコーティン
グを金属に提供するために十分使用することができる。特に、コーティング組成
物の高い安
定性のために、高濃度の伝導性ポリマーを得るこちができ、その結果、かかる組
成物は、物体に単相で均一に簡単に塗布され得る。
しかし、この公知コーティング組成物の欠点は、それをベースとするコーティ
ングの腐食防止効果が、湿気のある湿った環境では、乾いた環境よりもかなり劣
るということである。金属の腐食は一般に湿った環境で生じるという事実を鑑み
ると、これは、腐食防止塗料としての用途に関する大きな欠点であると見ること
ができる。
本発明の目的は、かかる欠点のないコーティング組成物を提供することである
。
この目的は本発明により達成される。というのは、コーティング組成物が、電
気非伝導性粒子から成る、存在する固形物質全体に対して50〜99重量%の第二バ
インダーを含み、かつ分散剤が非水性溶媒を含むからである。
本発明に係るコーティング組成物は、それをベースとするコーティングが、湿
気のある湿った環境において良好な腐食防止効果を示すことを保証する。驚いた
ことに、本発明に係るコーティング組成物が電気伝導性を全然、またはほんの少
ししか示さないにもかかわらず、それを用いて優れた腐食防止コーティングが得
られるということが見出された。
99重量%より多くの第二バインダーを含むコーティング組成物は、50重量%未
満の第二バインダーを含むコーティング組成物と同様に、腐食に対する保護をほ
とんどま
たは全然与えないことが分かった。
好ましくは、本発明に係るコーティング組成物は、70〜90重量%の第二バイン
ダーを含む。この範囲では、そのコーティング組成物を用いて得られるコーティ
ングが、腐食に対する良好な保護に加えて、良好な乾燥および湿潤接着性を示す
ことが分かった。
非ドーピングポリマーが、本発明に係る組成物における第一のバインダーとし
て使用される。非ドーピングポリマーは、好ましくは、良好な塗装特性を有する
。かかるポリマーは、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、
フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂、環式ゴ
ム(例えばポリイソプレン、天然ゴム、シリコーン樹脂)、ポリ塩化ビニル、(ポ
リ)ビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリオレフィン(例えば、エチ
レン、プロピレン、ブタジエンおよびスチレンを含む群から選択される単位を含
むもの)、および炭化水素樹脂(例えば、シクロペンタジエンの(コ)ポリマー
)を含む群から選択される。
電気伝導性粒子の分散物において第一バインダーとして使用できるアルキド樹
脂は、例えば、ポリオール(グリセロール、ペンタエリスリトール、エチレング
リコール、ソルビトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジ
ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコールお
よびジエチレングリコールを含む群から選択される)、およびポリカルボン酸
またはその誘導体(例えば、無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸および脂肪酸、例えばリノール酸
およびオレイン酸を含む群から選択される)で構成される。アルキド樹脂の可能
な製造法は当業者には公知であり、例えば、H.F.MarkらによるEncyclopedia of
Chemical Technology,1978,Vol.2,pages 18-50に記載されている。
適するポリエステル樹脂は、例えば、無水マレイン酸、フマル酸、アジピン酸
、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸およびテトラ
クロロフタル酸を含む群から選択されるジカルボン酸またはその誘導体と、例え
ば1,2−プロパノール、1,3−ブタノール、エチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノール−Aおよびトリシクロデ
カンジメタノールを含む群から選択されるジオール単位とから構成される。所望
により一官能性および/または三官能性モノマー単位も使用することができる。
ポリエステル樹脂の可能な製造法は当業者には公知であり、例えば、the Oil an
d Colour Chemists’Association(オーストラリア)による「表面コーティング
、第1巻−原材料およびその使用(Surface coatlngs,Vol.1−Raw materials an
d their usage)」、Chapman and Hall Ltd,1983,pp.78−87に記載されている。
適するエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール−Aおよびエピクロロヒドリ
ンから誘導される。また、エポキ
シ化された脂肪族および脂環式ジエン、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよび4−エポキ
シエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンを使用することもできる。エポキシ
樹脂の可能な製造法は当業者には公知であり、例えばUlllan's Encyclopedia of
Industrial Chemistry,1985,Vol.A9,pp.547-563に記載されている。
適するポリウレタン樹脂は、例えば、イソシアネートとポリオールとの反応生
成物である。イソシアネートは、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、4,4'−メチレンビス−(フ
ェニルイソシアネート)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ピトリレンジイ
ソシアネート、メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジ
イソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシリレン
ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンおよび
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含む群から選択される。
ポリオールは通常、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含
む群から選択される。ポリウレタン樹脂の可能な製造法は、例えば、Kirk Othme
r's Encyclopedia of Chemical Technology,1982,Vol.23,pages 576-608に記
載されている。
ポリウレタン樹脂の分散物は、例えばJ.W.RosthauserらによるAdvances in U
rethane Science and Technology,
1987,Stanford,Vol.10pages 121-162およびD.DieterichによるProgress in O
rganic Coatings,1981,Vol.9,pages 291-332に記載されているように、例え
ば、ポリオキシエチレンセグメントをポリウレタン鎖に添加することにより安定
化され得る。セグメントは、変性ジオールまたはイソシアネート単位で構成する
ことができるが、モノヒドロキシル官能性ポリオキシエチレンポリエーテルをポ
リウレタン鎖に直接添加することもできる。
適するアミノ樹脂は例えば、ホルムアルデヒドとアミノ基を含む化合物(例え
ば、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルおよび尿素)との反応生成
物である。アミノ樹脂およびその製造法は、例えばthe Oil and Colour Chemist
s’Association(オーストラリア)による「表面コーティング、第1巻−原材料お
よびその使用(Surface coatings,Vol.1−Raw materials and their usage)」、C
hapman and Hall Ltd,1983,pp.87−98に記載されている。
適するフェノール樹脂は、例えば、フェノール化合物とアルデヒド化合物との
反応生成物またはその誘導体である。フェノール化合物は、例えば、フェノール
、o−クレゾール、2,4−キシレノール、ビスフェノール−A、p−フェニル
フェノールおよびp−t−ブチルフェノールを含む群から選択される。アルデヒ
ド化合物は、例えば、ホルムアルデヒドである。フェノール樹脂およびその製造
法は、例えば、the Oil and Colour Chemists’Association
(オーストラリア)による「表面コーティング、第1巻−原材料およびその使用(
Surface coatings,Vol.1−Rawmaterials and their usage)」、Chapman and Hal
l Ltd,1983,pp.99−104に記載されている。
適するシリコーン樹脂は、例えば、二官能性または三官能性クロロシランの加
水分解生成物である。このために、クロロシランは、有機溶媒、例えばトルエン
またはキシレンに溶解され、次いで、水で加水分解される。シリコーン樹脂は、
アルコキシシラン、例えばメトキシ、エトキシおよび/またはプロポキシシラン
を、水性媒体中、強酸で処理し、次いで重合させることにより製造することもで
きる。シリコーン樹脂およびその製造法は、例えば、the Oil and Colour Chemi
sts’Association(オーストラリア)による「表面コーティング、第1巻−原材
料およびその使用(Surface coatings,Vol.1−Raw materials and their usage)」
、Chapman and Hall Ltd,1983,pp.134−143に記載されている。
適するアクリレート樹脂は、例えば、(メタ)アクリレートモノマー(例えば
、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートまたはエチルアクリレート)の
ホモ重合、あるいは、これらのモノマーと、それらと反応し得るモノマー(例え
ば、アクリロニトリル、メタクリルアミド、無水マレイン酸、末端にアクリレー
ト基を有する脂肪族鎖、メタクリル酸、酢酸ビニルまたはスチレン)との共重合
により得られる。アクリレート樹脂およびその製造法は、例
えば、the Oil and Colour Chemists’Association(オーストラリア)による「
表面コーティング、第1巻−原材料およびその使用(Surface coatings,vol.1−
Raw materials and their usage)」、Chapman and Hall Ltd,1983,pp.144−157
に記載されている。
本発明に係るコーティング組成物中の伝導性ポリマーはモノマーから成る。こ
れらのモノマーは、例えば、ピロール、チオフェン、インドール、カルバゾール
、フラン、ベンゼン、アニリン、アセチレンおよびこれらのモノマーの誘導体を
含む群から選択される。伝導性のレベルおよび安定性を鑑みると、ビロール、チ
オフェンもしくはアニリン単位またはこれらのモノマーの誘導体で構成される電
気伝導性ポリマーが好ましい。
これらのモノマーの誘導体の例としては、N−メチルピロール、N−エチルピ
ロール、N−n−プロピルピロール、N−n−ブチルピロール、N−フェニルピ
ロール、N−トリルピロール、N−ナフチルピロール、3−メチルピロール、3
,4−ジメチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3
−n−ブチルピロール、3−フェニルピロール、3−トリルピロール、3−ナフ
チルピロール、3−メトキシピロール、3,4−ジメトキシピロール、3−エト
キシピロール、3−n−プロポキシピロール、3−フェノキシピロール、3−メ
チル−N−メチルピロール、3−メトキシ−N−メチルピロール、3−クロロピ
ロール、3−ブロモピロール、3−メチルチオピ
ロール、3−メチルチオ−n−メチルピロール、2,2'−ビチオフェン、3−メ
チル−2,2'−ビチオフェン、3,3'−ジメチル−2,2'−ビチオフェン、3,
4−ジメチル−2,2'−ビチオフェン、3,4−ジメチル−3',4'−ジメチル−
2,2'−ビチオフェン、3−メトキシ−2,2'−ビチオフェン、3,3'−ジメト
キシ−2,2'−ビチオフェン、2,2',5',2”−テルチオフェン、3−メチル
−2,2',5',2”−テルチオフェン、3,3'−ジメチル−2,2',5',2”−テ
ルチオフェン、2−シクロヘキシルアニリン、アニリン、4−プロパノイルアニ
リン、2−(メチルアミノ)アニリン、2−(ジメチルアミノ)アニリン、o−
トルイジン、4−カルボキシアニリン、n−メチルアニリン、m−ヘキシルアニ
リン、2−メチル−4−メトキシ−カルボニルアニリン、n−プロピルアニリン
、n−ヘキシルアニリン、m−トルイジン,o−エチルアニリン、m−エチルア
ニリン、o−エトキシアニリン、m−ブチルアニリン、5−クロロ−2−エトキ
シアニリン、m−オクチルアニリン、4−ブロモアニリン、2−ブロモアニリン
、3−ブロモアニリン、3−アセタミドアニリン、4−アセタミドアニリン、5
−クロロ−2−メトキシアニリン、2−アセチルアニリン、2,5−ジメチルア
ニリン、2,3−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、4−ベンジルア
ニリン、4−アミノアニリン、2−メチルチオメチルアニリン、4−(2,4−
ジメチルフェニル)アニリン、2−エチルチオアニリン、n−メチル−2,4−
ジメチルアニリ
ン、n−プロピル−m−トルイジン、n−メチル−o−シアノアニリン、2,5
−ジブチルアニリン、2,5−ジメトキシアニリン、o−シアノアニリン、テト
ラヒドロナフチルアミン、3−(n−ブタンスルホン酸)アニリン、2−チオメ
チルアニリン、2,5−ジクロロアニリン、2,4−ジメトキシアニリン、3−プ
ロポキシメチルアニリン、4−メルカプトアニリン、4−メチルチオアニリン、
3−フェノキシアニリン、4−フェノキシアニリン、n−ヘキシル−m−トルイ
ジン、4−フェニルチオアニリン、n−オクチル−m−トルイシン、テトラピド
ロベンゾ[c]チオフェン、4−トリメチルシリルアニリンおよび3,4−(ア
ルキレン−vic−ジオキシ)チオフェンが挙げられる。
電気伝導性ポリマーは、所望により、上記したモノマー単位のいくつかの混合
物から成る。
第一バインダーの安定剤は広範囲から選択することができ、バインダー粒子に
物理的に吸着され(物理的に結合される)、またはバインダー中に取り込まれ得る
(化学的に結合される)。安定剤は、イオン性安定剤または非イオン性安定剤であ
り得る。
電気伝導性ポリマーと第一バインダーとの重量比は、広い範囲内で変わり得る
。通常、この比は、0.1:99.9〜80:20、好ましくは0.1:99.9〜40:60、より好
ましくは10:90〜25:75である。しかし、組成物における帯電粒子のかかる重量
比の変動度または電気伝導性ポリマーがその上に析出しもしくは吸着されている
いくつかのバインダーの
使用は、湿気のある湿った環境下での腐食に対する望ましい保護のための解決と
はならないことが見出された。
本発明の効果に必須なのは、コーティング組成物が、存在する固形物質の総量
に対して50〜99重量%の第二バインダーを含み、該第二バインダーが電気非伝導
性粒子から成るということである。
上記重量%は、分散剤が除去され、その結果乾燥物質となったコーティング組
成物に基づいて計算される。本出願で言及される重量%は、乾燥物質に基づく重
量%であると理解される。
第二バインダーは、適する第一バインダーの上記した群から選択することがで
きる。この場合、第二バインダーも、第一バインダーと同じ物質から成ることが
できる。
第二バインダーとして第一群のバインダーを選択するという選択のほかに、二
成分バインダー系を選択することも可能である。かかる二成分バインダー系の例
としては、エポキシド−チオール、エポキシド−アミン、エポキシド−ポリアミ
ド、エポキシド−酸(例えば、エポキシド−カルボン酸またはエポキシド−リン
酸)、エポキシド−無水物、イソシアネート−チオール、イソシアネート−アル
コール、イソシアネート−アミン、イソシアネート−酸、無水物−アルコール、
無水物−アミン、無水物−チオールまたはメラミン−ホルムアルデヒド系が挙げ
られる。
本発明に係るコーティング組成物中の分散剤は、非水性溶媒を含む。分散剤は
通常、電気伝導性粒子の分散物の
ために使用される分散剤および第二バインダーのための分散剤の混合物である。
第二バインダーのための水性分散剤は、少なくとも、硬化されたコーティングの
良好な接着性を得るために有利であることが分かった。分散剤は好ましくは、水
を全然、または本質的に全然含まない。これは、電気伝導性粒子の分散物も非水
性溶媒に分散されるならば達成される。分散剤が水をあまり含まないので、特に
湿潤接着性はかなり改善されることが分かった。
本発明はまた、本発明に係るコーティング組成物の製造法にも関する。この方
法によれば、モノマーが溶液中で重合されて、非イオン性安定剤で安定化されて
いる第一バインダーの分散物の存在下で電気伝導性ポリマーが形成される。電気
伝導性粒子が製造されるこのプロセス部分は公知であり、EP-A-589.529に詳絽に
記載されている。本発明に係るコーティング組成物が得られるのは、モノマーの
重合後に、
第二バインダーが添加され、第二バインダーは非水性溶媒を含む分散剤中に分散
され、第一バインダーは非イオン性安定剤を含み、または、
強塩基の添加の結果としてであってもなくても、分散物が析出し、その後、分散
物は再び、有機酸および第二バインダーを含む非水性溶媒に分散し、
ここで、第二バインダーは電気非伝導性粒子から成り、コーティング組成物は、
存在する固形物質の総量に対して50〜99重量%の第二バインダーを含むからであ
る。
非水性溶媒を含む分散剤中に分散された第二バインダーがモノマーの重合後に
添加される場合、第一バインダーは非イオン性安定剤を含む。EP-A-589.529に記
載されているように、こうすると、電気伝導性粒子の分散物の安定性が保証され
る。
非イオン性安定剤は、例えば、アルキルアミン、アルキルアミド、(エトキシ
ル化)アルキルアルコール、アルキルピロリドン、(エトギシル化)アルキルフ
ェノール、ポリオキシアルキルエステル、ポリオキシアルキルエーテル、グリコ
ールアルキルエーテル、グリセロールアルキルエーテル、脂肪酸と(エトキシル
化)ソルビタンアルキレートとのエステル、(ビドロキシメチル)セルロース、
(ヒドロキシエチル)セルロース、ポリビニフレアルコール、ポリビニルピロリ
ドン、ポリアクリルアミドを含む群から選択することができる。高い有効性のた
め、ポリオキシアルキルエーテルの使用が好ましい。特に適するポリオキシアル
キルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリエ
チレングリコールなど)、アルコキシポリエチレングリコール(例えば、メトキ
シポリエチレングリコール)およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポ
リマーが挙げられる。他の場合では、あまり毒性がないため、ポリオキシアルキ
ルエステルを使用するのが好ましい。非イオン性安定剤の大要は、Helmut Stach
e and Kurt KosswigによるTensid-Taschenbuch,Carl Hanser Verlag Wien,199
0に示されている。
モノマーの重合後に、強塩基の添加の結果としてであってもなくても、分散物
が析出するならば、第一バインダー中に非イオン性安定剤を存在させることなく
行うことができる。
第一バインダーが安定剤を含まないか、またはイオン性安定剤を含む場合、分
散物は通常、重合後に自然に析出するであろう。第一バインダーが非イオン性安
定剤を含むならば、分散物は、強塩基を添加することによって析出させられ得る
。強塩基は、例えばアルカリ水酸化物であり得る。
イオン性安定剤は、アニオン性またはカチオン性安定剤であり得る。適するア
ニオン性安定剤は、例えば、アルキルサルフェートおよびアルキルスルホネート
;エトキシル化アルキルサルフェート、アルキルスルホネートおよびアルキルホ
スフェート;エトキシル化アルキルカルボン酸およびアルキルフェノールカルボ
ン酸;エトキシル化アルキルフェノールサルフェートおよびアルキルフェノール
スルホネート;スルホスクシネートおよびカルボン酸の塩が挙げられる。
適するカチオン性安定剤としては、例えば、第一、第二、第三および第四アン
モニウム塩、アルキルピリジニウム塩ならびにアセチル化ポリアタンが挙げられ
る。
適する安定剤は、一般に、100〜1,000.000、好ましくは500〜5,000の重量平均
分子量を有する。本発明に適するポリマー性安定剤は、一般に、1〜50個の炭素
原子を含むモノマー単位から成る。これは、好ましくは1〜20
個の炭素原子である。所望により、ポリマー性安定剤は、炭素原子数が異なるい
くつかの単位を含む。かかる安定剤の例は、エチレンオキシド/プロピレンオキ
ドコポリマーである。バインダーに化学的に結合されていない安定剤は、バイン
ダー粒子の分散物に通常の方法で添加しておくことができる。
安定剤は好ましどは、使用されるバインダーに化学的に結合される。これは、
バインダーの重合中に安定剤を添加することによってバインダー中に安定剤の単
位を組み込むことにより行うことができる。また、すでに重合されたバインダー
に安定剤をグラフト化させることも十分可能である。
バインダー粒子の分散物は通常、バインダー+安定剤の総重量に基づいて1〜
35重量%の安定剤を含む。これは好ましくは、5〜25重量%である。
本発明はまた、本発明に係るコーティング組成物を腐食防止塗料において使用
する方法にも関する。かかる塗料の製造の場合は、所望により、60重量%まで、
さらには90重量%までのフィラーおよび/または酸化防止剤を電気伝導性ポリマ
ーを有する第一バインダーと伝導性ポリマーを有しない第二バインダーとの混合
物に添加することもできる。添加され得るフィラーの例としては、タルク、硫酸
バリウム、炭酸カルシウム、繊維、(光吸収)顔料(例えばチタン白)および着
色顔料(酸化鉄およびSiO2など)、カオリン、珪灰石ならびにガラスが挙げら
れる。接着性促
進剤、可塑剤、フィラー、増粘剤、表面改善剤、消泡剤、腐食防止剤、硬化剤、
乾燥剤、伝導性物質(たとえば、カーボンブラック、伝導性繊維および伝導性フ
レーク)ならびに安定剤も添加することができる。
本発明はまた、本発明に係るコーティング組成物を含む腐食防止塗料にも関す
る。かかる腐食防止塗料は、好ましくは、アルミニウム、銅もしくは鉄などの金
属またはこれらの金属を含む合金を保護するために使用される。特にこれらの金
属のために、電気伝導性ポリマーは、重要な金属の保護層として作用する。上記
した腐食防止塗料は、室温または高められた温度で硬化され得る。硬化は、バイ
ンダー組成物および硬化温度に応じて、硬化触媒の存在により促進され得る。こ
の例としては、乾燥促進剤(siccatives)、塩基(例えば、第三アミン)、酸(例え
ば、パラトルエンスルホン酸)が挙げられる。
本発明はまた、本発明に係るコーティング組成物をベースとするコーティング
およびその少なくとも一部がこのコーティングによって塗膜された金属物体にも
関する。
本発明をいくつかの実施例を参照してさらに説明する。
塗膜された物質の表面抵抗率(オーム/□)は、H.H.WiederによるLaborator
y Notes on Electrical and Galvanomagnetic Measurements,Elsevier,ニュー
ヨーク,1979に記載された方法によって測定された。
接着性は、ISO 2409(クロスカットテープ試験)に従って測定され、G=0
は優れた接着性を表し、G=5は
接着性がないことを表す。乾燥条件下で測定された値は、(湿潤)腐食試験の前の
クロスカットテープ試験で得られ、湿潤条件下での値は、腐食試験後に測定され
た。
試験に関しては、特に断らない限り、均一化された混合物をコーティングナイ
フを用いて標準的な鋼板(Q−パネルR−46)に塗布し、室温で硬化し、状態調
整を1週間行った。次いで、乾燥接着性をクロスカットテープ法によつて測定し
た。
2個のかき傷を、スタンレーナイフを用いて、コーティングから状態調整され
た板の中まで作った。次いで、鋼板を3日間、3.5%のNaCl溶液中に吊り下
げ、その間、空気流を連続して通した。その後、板の視覚検査を行って、腐食が
生じているかどうかを調べた。「+」は腐食が認められ、「−」は腐食が認めら
れなかったことを示す。
次に、同じ板を「湿潤」クロスカットテープ試験に付した。
実施例I
脱イオン水21.25g中の4.86gのFeCl3(Merck杜製、水を含まない)の溶液
を調製した(溶液A)。次に、19.34gの脱イオン水中の0.89gのピロール(Aldri
ch社製、減圧蒸留済)の溶液を調製した(溶液B)。
20℃の温度で溶液Aをポリウレタン(第一バインダー)の水分散物(Uraflex
XP 401 UZ20、DSM Resins社製、固形含量40g、平均粒径60nm、混入されたメト
キシポリエチレングリコール鎖(Mw=750g/モル)によって安定
化された)20gに滴下した。滴下は、分散物を攪拌棒によって攪拌しながら行わ
れた。滴下中、温度は20℃で保持された。分酸物は黄/緑色であった。
次いで、30分攪拌した後、溶液Bを攪拌しながら滴下した。溶液Bを滴下した
後、分散物の色は暗緑色に変わり、次いで黒色に変わった。
20℃の温度で20時間攪拌した後、分散物の一部を20000rpmの速度で30分間遠心
分離した。次いで、上清の水層を注ぎ出し、沈殿(2.63g)を、Ultra−Torrax
T25(Janke & Kunkel JK Labortechnik)を用いて13.1gの脱イオン水に再分散
させた。20重量%の固形分を含む電気伝導性粒子の安定した分散物が得られた(
溶液C)。
実施例II
2−メトキシプロパノール中のUracron(商標)ZW3410(DSM Resins社)の20
重量%溶液を第二バインダーとして調製した(溶液D)。1重量%のパラトルエン
スルホン酸を、溶液CおよびDの混合物(種々の混合比に関しては表1を参照)に
添加した。こうして得られた分散物をUltra−Toraxを使用して5分間均一にした
。結果を表1に示す。
実施例III
第二バインダーとして、2−メトキシプロパノール中のUracron XP780CB(固
形分92%)6.44gおよびUracron XP770CB(固形分50%)11.58gの溶液(総固形
含量20%)を調製した(溶液E)。溶液CおよびEを種々の比で混合し(表2を参
照)、その後、混合物をUltra−Torraxを使用して5分間均一にした。腐食試験お
よびクロスカットテープ試験の結果を表2に示す。実施例IV
溶液Cを凍結乾燥し、再分散させてメトキシプロパノール中の電気伝導性粒子
の20重量%分散物を形成した(溶液F)。1重量%のパラトルエンスルホン酸を溶
液DおよびFの混合物(種々の混合比に関しては表3を参照)に添加した。こう
して得られた分散物をUltra−Toraxを使用して5分間均一にした。腐食試,験お
よびクロスカットテープ試験の結果を表3に示す。
全ての場合において、電気伝導性粒子の存在は、少なくとも50重量%の第二バ
インダーの存在と同様に、腐食耐性に関して必須であることが分かる。さらに、
湿潤接着性は、水を含まない溶媒を使用するとかなり良好であることが分かる。
実施例V
NaOH溶液を溶液Cに添加してpHを14にし、次いでその溶液を1日後に10
00gで遠心分離した。遠心分離液をデカンテーションし、沈殿を再分散させてメ
トキシプロパノール中の電気伝導性粒子の20重量%分散物を形成した(溶液G)。
1重量%のパラトルエンスルホン酸を溶液DおよびGの混合物(種々の混合比に
関しては表4を参照)に添加した。こうして得られた分散物をUltra−Toraxを使
用して5分間均一にした。腐食試験およびクロスカットテープ試験の結果を表4
に示す。
実施例VI
1−メトキシ−2−プロパノールおよびプロピレングリコールメチルエーテル
アセテートの(1/1、w/w)混合物中のEpikote(商標)1001の50重量%溶液を調
製した(溶液H)。1重量%のパラトルエンスルホン酸を溶液Gに添加した(溶液
I)。
使用されたコーティングは、等モル量(エポキシドの数に対して)のイソホロ
ンジアミンを必要量の溶液Iと共に溶液Hに添加することにより製造され、Disp
ermat(商標)を用いて2000〜4000rpmで均一にされた。次いで、スプレイガンを
用いて鋼板に噴霧した。こうして得られたコーティングを80℃で30分間硬化した
。トップクリアコート
(TCC;表5では+で示す)をスプレイガンを用いて伝導性層の上部に追加の
層として塗布した場合、溶液Hおよび等モル量のイソホロンジアミンを使用し、
次いでトップ層を80℃で30分間硬化した。全ての板を室温で4週間保管してコー
ティングの完全な硬化を確実に行った後、1mm幅の十字形のかき傷を作り(鉄に
届くまで)、板を外気に9ヶ月間さらした。結果を表5に示す。
溶液Iと類似の実験を、溶液I(伝導性ポリマーは水に分散しない)および溶
液C(伝導性ポリマーは水に分散する)の比較のために行った。 これらの実験は、伝導性ポリマーの存在が腐食耐性には必須であることを明ら
かに示している。表5および6の実験はまた、伝導性ポリマーが水にもはや分散
しないならば、腐食耐性が増加することも示している。
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