JP2001506898A

JP2001506898A - 心臓補助装置の弁

Info

Publication number: JP2001506898A
Application number: JP52861598A
Authority: JP
Inventors: ロッテンバーグダン; ハイモビッヒドゥドゥ
Original assignee: エイチ．ディー．エス．システムズリミテッド
Priority date: 1996-12-24
Filing date: 1997-12-14
Publication date: 2001-05-29
Also published as: IL119899A0; AU5234898A; WO1998028034A1; EP1009466A1

Abstract

(57)【要約】医療用ポンプ・システムに使用する一方向弁で、前記弁は、内部にルーメンを画定してこれを囲み、１つまたは複数の半径方向開口を備える外部シースと、シースの外部半径方向表面に付着して半径方向開口を覆い弁を閉じる弾性外部スリーブとを備え、ルーメン内の流体圧力の上昇に反応して、外部スリーブが外側に伸びて半径方向開口を露出させ、流体がスリーブによって決定された方向で弁から流出し、弁は流れの方向を制御するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】心臓補助装置の弁発明の分野本発明は、一般には、心拍出量を増加させるための装置およびシステムに関し、特に心室内心臓補助ポンプに使用する弁に関する。発明の背景当技術分野では大動脈内および心室内心臓補助装置がよく知られている。これらの装置は、一般に発作または手術後の心臓の負担を軽減するために使用されている。これらの装置は、例えば急性または慢性の心臓病、または外科手術中の正常な心臓機能への妨害により心拍出量が不十分な場合に、心臓の左心室から大動脈への血流を増加させるためにも使用することができる。最もよく知られ、最も広く使用されている大動脈内ポンプ・システムの１つに、大動脈内バルーン・ポンプ（ＩＡＢＰ）があり、先端に膨張可能なバルーンを有し、動脈を通じて大動脈中に挿入されるカテーテルを備えている。次いで、左心室が動脈系に血液を送り込むのを補助するため、心臓の鼓動と同期して、大動脈中の血流を交互に遮断／解放するよう、バルーンを外部ポンプ駆動によって交互に膨縮させる。しかしＩＡＢＰは心臓の無補助且つ自然な拍出量の限られた増加しかもたらさず、心臓の機能不全を克服するには十分ではない。引用により本明細書に組み込まれる米国特許第４，０１４，３１７号は、バルーン・ポンプと心拍調整電極とを備えた心臓循環補助カニューレについて述べている。カニューレは、遠位端が心臓の左心室の内部に入るよう、大動脈を通して経皮的に挿入される。心収縮の間は左心室内のカニューレの吸入弁が開き、心室の収縮によって強制的に血液をカニューレに流入させる。次に、心拡張の間、血液は、吸入弁の下流のカニューレに沿って、１つまたは複数の放出弁を通り、大動脈に流出する。上述したＩＡＢＰと同様の機能のガス充填バルーンが、放出弁の下流でカニューレに連結されている。このバルーンは、通常は心拡張中に膨張し、心収縮中に収縮して、冠状動脈の灌流を補助する。しかし、カニューレは行程容積が小さく、血液の給送は心臓の収縮力に頼っている。したがって、衰弱した心臓や疾患心臓の血液送出量を増加させる場合の有効性は限定されている。同様に引用により本明細書に組み込まれる米国特許第４，９０６，２２９号は、高周波経弁線対称血液ポンプについて述べている。このポンプは内容積が小さく、この容積は、これを半径方向に取り囲む軟質膜を介して加えられる空気圧または液圧で交互に膨張し収縮する。この容積は入口端と出口端を有し、これ等両端には一方向軸弁があるので、血液は心臓から大動脈内にしか流れることができない。ポンプは一方向入口弁を介してカニューレに接続され、カニューレは大動脈弁を通って心臓の左心室に挿入される。内容積が膨張すると、血液が心室からポンプへ流入する。次いで容積が減少し、血液が出口端を通って大動脈中に放出される。ポンプは、６００〜１０００サイクル／分の周波数で作動するように構成されている。ボンプの行程容積は一般に約３〜５ｃｃしかないので、十分な灌流を行うために、このような高いサイクル数が必要である。 Johnson & Johnson Interventional Systemsの販売するHemopump Cardiac Ass ist Systemでは、特殊な小型ローター・ポンプ機構を備えたカニューレが大動脈中に挿入される。ポンプは体外の駆動ユニットで駆動され、血液を大動脈から残りの動脈系へと連続的に給送し、それによって心臓の自然の拍出量を補足する。この形式のシステムは、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第５，０９２，８４４号にも記載されている。連続流装置は心拍出量の短期間増加には有用であるが、脈動ポンプの方が、心臓の自然なポンプ作用に近いので、長期間の補助には有効であることが医学的に知られている。引用により本明細書に組み込まれる英国特許第１，３７０，５４６号は、血液を心臓血管に給送するポンプと、ポンプと連絡され心臓の心室に挿入されるカテーテルとを含む心臓補助装置について述べている。カテーテルは、血液を左心室からカテーテルへと吸い込む吸入弁と、血液を大動脈弓に放出する放出弁とを含む。放出弁は、外側の弾性舌片によって閉じられる、カテーテルのスロット開口で構成されている。ポンプの作用によってカテーテルの内部に超過圧力が生じると、弾性舌片が外側に開き、血液が開口を通って放出される。これも引用により本明細書に組み込まれる米国特許第３，９９５，６１７号は、心臓の作用を増大させる方法および装置について述べている。カテーテルは、その近位端が往復動ポンプに連結され、大動脈弁を通して左心室に挿入される。心収縮中に、ポンプは吸引力を発生し、左心室内に位置するカテーテルの遠位端にある吸入弁を通して、血液がカテーテルに吸入される。心拡張中には、ポンプ圧力が増加し、血液が複数の放出弁を通して大動脈に吐出される。放出弁は、外部に配置されたゴムまたは軟質プラスチックのシリンダまたはブーツで覆われる、カテーテルの側壁に沿った複数の開口で構成される。ポンプによってカテーテル内に生じた外向きの圧力により、シリンダまたはブーツは外側に拡張して、放出弁が開く。上記の心臓補助装置は、一般に、ポンプから動脈系への血流の方向を制御または調節することはしない。ポンプに連動する弁は、ポンプから流出した血液を、所定方向の、通常は下流の方向にのみ向けるようになっている。発明の概要本発明の目的は、特に医療用ポンプ・システムおよびカニューレに使用する、調節可能な一方向弁を提供することである。本発明の幾つかの態様では、一方向弁が、心臓補助ボンプ・システムに関連したカニューレの放出弁として使用される。この弁は、カニューレから出る血流の方向を制御するよう構成または調節される。引用により本明細書に組み込まれるＰＣＴ公開第ＷＯ９７／０２８５０号に記載されているように、本発明の幾つかの好ましい実施形態では、心室内心臓補助ポンプは、遠位端が大動脈を通して左心室に挿入されたカニューレと、近位端でカニューレに結合された拍動性駆動ユニットとを備える。カニューレは、内部ルーメンを画定して囲むと共に、少なくとも１つの吸入弁を有してカニューレの遠位端に隣接する弁外部シースと、吸入弁の下流でカニューレの長さに沿って半径方向に配置された１つまたは複数の放出弁とを備える。拍動性駆動ユニットは、カニューレ中の流体の圧力を交互に減少させ、増加させる。圧力が減少すると、少なくとも１つの吸入弁が開き、前記１つまたは複数の放出弁が閉じて、血液が吸入弁を通ってカニューレのルーメンに流入する。次いで、カニューレ内の圧力が増加し、吸入弁が閉じて放出弁が開き、血液がルーメンから流出して大動脈に入る。駆動は、心収縮中に血液をカニューレのルーメンに導入し、心拡張中に血液を大動脈へと放出するよう、心拍と同期することが好ましい。あるいは、駆動は、心拡張中に血液をルーメンに導入し、心収縮中に放出するよう、逆同期するか、心拍とは無関係に非同期で作動しても良い。本発明の好ましい実施形態では、カニューレは１５〜３０フレンチ（５〜１０ｍｍ）の範囲の直径を有する軟質弾性管を備える。経皮的に大腿動脈を通って大動脈へ、次に大動脈弁を通って左心室へと挿入することが好ましい。あるいは、カニューレは、適切な外科的切開により他の場所で動脈系または静脈系に挿入することができる。カニューレの少なくとも１つの吸入弁は、機械的フラップ、小葉弁、または当技術分野で知られているか上述したＰＣＴ特許明細書に記載されている他の弁タイプで構成しても良い。カニューレの放出弁は、その長さ方向に、好ましくは生物的適合性ゴムで作成された軟質弾性外部シースで覆われ閉じられる半径方向の開口を備えている。シースは、その長さ方向の一部に、例えばスクイーズ・リングなどのクランプで、所定の位置に保持されることが好ましい。あるいは、所定の位置に接着するか、若しくは締着させてもよい。通常、放出弁を覆う外部シースは、その弾性によりカニューレの外面に半径方向に付着し、それによって放出弁を閉じる。しかし、カニューレのルーメン内の圧力が上がると、血液の圧力が半径方向の開口を通してシースに外向きの力をかける。この力により、シースが外方向に伸びて、血液をルーメンから流出させることとなる。スクイーズ・リングの位置を調節することにより、放出弁からの血流の方向を調節することができる。本発明の幾つかの好ましい実施形態では、スクイーズ・リングをシースの上流端またはその付近に配置する。したがって、シースの下流端は、ルーメン内の圧力が上昇すると外側に伸びて、カニューレからの血流の方向を概ね下流方向に向ける。本発明の他の好ましい実施形態では、スクイーズ・リングをシースの下流端またはその付近に配置し、したがってその上流端は、圧力が上昇すると外方向に伸びて、血流が概ね上流方向に向く。別法として、あるいは追加的に、シースの上流端または下流端のいずれかを厚くするか、硬質にする、あるいはその両方にし、シースの他方のより軟質の端が、ルーメン内の圧力が上昇すると好ましくは外側に伸びる。さらに、本発明のさらに別の好ましい実施形態では、スクイーズ・リングをシースの上流端と下流端との中間にある所定の位置に配置する。位置は、血流を上流方向および下流方向との間に所望の割合で向けるよう選択する。別法として、あるいは追加的に、カニューレ内の半径方向開口のサイズ、数および／または位置は、シースと協力して所望の上流／下流の割合を生じるよう選択することができる。本発明の幾つかの好ましい実施形態では、上述したポンプ、カニューレおよび放出弁構造を使用して、例えば梗塞の危険がある対象者の冠状動脈の循環を増強する。カニューレは、上流方向に流出するよう調節された放出弁構造を有し、対象者の大動脈に挿入される。ポンプ駆動は、血液が心拡張中にカニューレから大動脈へと給送されるよう、逆同期モードで行われることが好ましい。このような状態下では、放出弁から流出した血液は、優先的に冠状動脈に流入することとなる。当技術分野で知られている他のタイプのポンプを、この目的のため同様に使用しても良い。好ましい実施形態を、心臓補助ポンプ・システムに関して述べてきたが、本発明の原理による弁は、他のタイプの医療用流体フロー装置にも同様に使用できることが理解されよう。したがって、本発明の好ましい実施形態によると、医療用ポンプ・システムに使用する一方向弁が提供され、前記弁は、内部にルーメンを画定してこれを囲み、１つまたは複数の半径方向開口を備える外部シースと、シースの外部半径方向表面に付着して半径方向開口を覆い、弁を閉じる弾性外部スリーブとを備え、ルーメン内部の流体圧の上昇に応じて、外部スリーブが外側に伸びて半径方向開口を露出させ、スリーブによって決定される方向に流体が弁から流出し、弁が流れの方向を制御するようになっている。１つまたは複数の半径方向開口は、少なくとも、スリーブの近位軸端に隣接する第１開口と、スリーブの遠位軸端に隣接する第２開口とを備え、スリーブが外方向に伸びると、近位流と遠位流との望ましい割合で、第１開口を出る流体が近位方向に弁から流出し、第２開口を出る流体が遠位方向に弁から流出することが好ましい。第１および第２開口が異なるサイズであり、したがって近位方向に弁から流出する流体と、遠位方向に流出する流体との割合は、第１および第２開口の相対的サイズによって決定されることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、弁は、スリーブをシースに対して所定の位置に保持するよう、スリーブの一部と円周方向に係合する保持リングを備え、スリーブに沿った保持リングの軸方向の位置は、弁から出る流体の流れを制御するよう調節することができる。さらに、本発明の好ましい実施形態によると、医療用ポンプ・システムに使用する一方向弁が提供され、前記弁は、内部にルーメンを画定してこれを囲み、１つまたは複数の半径方向開口を備える外部シースと、シースの外部半径方向表面に付着して半径方向開口を覆い、弁を閉じる弾性外部スリーブとを備え、ルーメン内部の流体圧の上昇に応じて、外部スリーブが外側に伸びて半径方向開口を露出させ、スリーブによって決定される方向に流体が弁から流出し、１つまたは複数の半径方向開田ま、少なくとも、スリーブの近位軸端に隣接する第１開口と、スリーブの遠位軸端に隣接する第２開口とを備え、スリーブが外方向に伸びると、近位流と遠位流との望ましい割合で、第１開口を出る流体が近位方向に弁から流出し、第２開口から出る流体が遠位方向に弁から流出し、第１および第２開口が異なるサイズであり、したがって近位方向に弁から流出する流体と、遠位方向に流出する流体との割合が、第１および第２開口の想定的サイズによって決定される。さらに、本発明の好ましい実施形態によると、内部ルーメンが内部に形成されたカニューレと、ルーメンと連絡する吸入弁と、上述したように設けられてルーメンと連絡する放出弁とを備えるカニューレ・ポンプが提供される。さらに、本発明の好ましい実施形態によると、カニューレから流出する流体を制御する方法で、カニューレの外部シースにある１つまたは複数の半径方向開口を開いて、ルーメンと連絡するステップと、１つまたは複数の半径方向開口を覆うよう、カニューレ上の軟質外部スリーブを装着するステップとを含み、スリーブはルーメン内の流体圧力の上昇に反応して外側に伸びて、開口を露出させ、さらに、ルーメンから流出する流体の望ましい方向を決定するステップと、スリーブがルーメンから流出する流体を所望の方向に向けるよう、スリーブをシースの所定の位置に固定するステップとを含む方法が提供される。１つまたは複数の半径方向開口を開くステップは、流体の流れの望ましい方向に応じて、異なるサイズの少なくとも２つの開口を開くステップを含むことが好ましい。スリーブをシースに固定するステップは、流体の流れる方向を調節するよう、スリーブをシースに固定する位置を変更するステップを含むことが好ましい。さらに、本発明の好ましい実施形態によると、概ね通常のフロー方向の液体の流れを有する管に流体を注入する方法が提供され、この方法は、遠位端および近位端を有し、入口弁および方向性のある放出弁を有するカニューレを、カニューレの近位端にあるボンプ駆動装置に接続するステップと、カニューレの遠位端を管に挿入するステップと、カニューレに流体を充填するステップと、カニューレの放出弁を通して、管の通常のフロー方向とは反対の概ね上流方向で、管に流体を放出するステップを含む。管は血管、好ましくは大動脈であることが望ましい。さらに、本発明によると、冠状動脈への血流を増大させる方法が提供され、この方法は、遠位端および先端を有し、入口および方向性のある放出弁を有するカニューレを、カニューレの近位端にあるポンプ駆動装置に接続するステップと、カニューレの遠位端が心臓の左心室の内側になるよう、大動脈を通してカニューレを挿入するステップと、吸入弁を通して心室からカニューレへと血液を吸入するステップと、血液が冠状動脈を灌流するよう、カニューレの放出弁を通して、概ね上流方向で大動脈へと血液を放出するステップを含む。血液を吸入するステップと、血液を放出するステップは、交互に繰り返し実行されることが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、カニューレに血液を吸入するステップは、心収縮中に血液を吸入するステップを含み、血液を放出するステップは、心拡張中に血液を放出するステップを含む。本発明は、好ましい実施形態についての以下の詳細な記述を図面とともに考慮することによって、さらに十分に理解される。図面の簡単な説明図１は、本発明の好ましい実施形態による放出弁アセンブリを有するカニューレを含む心臓補助ポンプ・システムの概略図であり、カニューレを対象者の心臓に挿入するステップを示す。図２Ａは、本発明の好ましい実施形態により、第１閉成位置で示す、図１の弁アセンブリの概略部分断面図である。図２Ｂは、第２開成位置で示す、図２Ａの弁アセンブリの概略部分断面図である。図２Ｃは、開成位置で示す、代替形状の図２Ａの弁アセンブリの概略部分断面図である。図２Ｄは、本発明の好ましい実施形態による、別の弁アセンブリの概略部分断面図である。図３は、本発明の好ましい実施形態による、さらに別の弁アセンブリの概略部分断面図である。好ましい実施形態の詳細な説明次に図１を参照すると、これは、本発明の好ましい実施形態により、対象者の心臓４０に挿入された、大動脈内カニューレ２０を含む心臓補助ポンプ・システム１８の概略図である。カニューレ２０は外部シース２２を備え、これは内部ルーメン２４を画定し取り囲む。カニューレ２０は、人体の主要動脈に挿入し、これに通すことができるよう、１５〜３０フレンチ（５〜１０ｍｍ）の範囲の直径を有し、例えばステンレス鋼線で強化したポリウレタンのような軟質弾性材料で形成することが好ましい。カニューレ２０は、さらに、好ましくは軸方向に配置されて、遠位端２８に隣接する一方向吸入弁２６と、カニューレのシース２２に沿って半径方向に配置された一方向放出弁アセンブリ３０を含む。カニューレ２０は近位端でポンプ３２に結合され、ポンプはルーメン２４内の圧力を交互に上昇させ、低下させる機能を果たす。システム１８およびポンプ３２は、引用により本明細書に組み込まれる上記のＰＣＴ公報にさらに詳細に記載されている。しかし、当技術分野で知られているように、ポンプ３２の代わりに、任意の適切なタイプのポンプまたは流体圧力源を使用することができる。さらに、好ましい実施形態は、本明細書では心臓補助ポンプ・システム１８に関して述べられているが、本発明の原理による弁は、他のタイプの医療用流体フロー装置にも使用できることが理解されよう。カニューレ２０は、切開部を通して経皮的に末梢動脈４２、例えば大腿動脈に挿入され、上流へ流れ、大動脈４４を通過して心臓４０の左心室４６に入ることが好ましい。挿入方法は、当技術分野で知られる他のタイプの心臓カニューレの挿入方法とほぼ同じである。カニューレ２０が所定の位置に達すると、吸入弁２６を開き、血液が心室４６からルーメン２４へと流入する。放出弁アセンブリ３０は、血液がルーメンを充填する間、閉じていることが好ましい。次に、血液がルーメンを出て大動脈４４に流入できるよう、吸入弁２６を閉じ、放出弁アセンブリ３０を開く。図２Ａ、図２Ｂおよび図２Ｃは、本発明の好ましい実施形態による弁アセンブリ３０を概略的に示す。弁アセンブリ３０は、軟質弾性外部スリーブ１０２を備え、これはカニューレ２０のシース２２内の半径方向開口１０４および１０５を覆って、これを閉じ、この開口は放出弁として働く。スリーブ１０２はラテックス、シリコンまたは他の生物的適合性ゴムで作成し、スクイーズ・リング１０６によって所定の位置に保持することが好ましい。あるいは、スリーブを所定の位置に接着するか、若しくは締着させてもよい。図２Ａでは、上述したように吸入弁２６を通って血液を吸入するよう、ルーメン２４内の圧力を低下させている。スリーブ１０２の弾性により、カニューレ２０の外面に半径方向に付着し、放出弁アセンブリ３０が閉じたままとなっている。しかし図２Ｂでは、ルーメン２４内の血液の圧力が上昇している。この圧力は、開口１０４および１０５を通してスリーブ１０２に外方向の力をかけ、スリーブを外側に延ばして、放出弁３０を開く。外側に伸びた状態のスリーブ１０２の形状は、一般に、開口１０４を通ってルーメン２４から放出された血液を遠位方向、つまり概ね上流方向へ、開口１０５を通って放出された血液を近位方向、つまり概ね下流方向へと偏向させる。図２Ｃでは、弁アセンブリ３０が代替形状で図示され、そのスクイーズ・リング１０６は、リングが開口１０５を覆うよう、シース２２に沿って軸方向に位置を変更している。リング１０６は、シース１０２の遠位端と近位端の間の任意の所望の位置に変更しても良い。カニューレ２０から流出する血液を遠位方向と近位方向との間に所望の割合で方向付けるよう、その位置が選択される。図２Ｃに示すケースでは、シース１０２が開くと、カニューレから流出する血液はほぼ遠位方向に方向付けられる。図２Ｄは、本発明の別の好ましい実施形態による別の弁アセンブリ３１を示す概略部分断面図である。弁アセンブリ３１は、図２Ａ〜図２Ｃに示したアセンブリ３０とほぼ同じ構成および動作であるが、アセンブリ３１では、近位開口１０５が遠位開口１０４より大幅に小さい。その結果、図２Ｄに示すように弁アセンブリ３１が開くと、カニューレ２０から流出する血液は、近位方向より遠位方向がはるかに多くなる。開口のサイズは、シース１０２と協力して、遠位流と近位流との割合が望ましくなるよう選択しても良い。この割合は、１より大きいか、１より小さくてよい。追加的に、あるいは別法として、開口１０４および１０５の数および／または位置は、所望の遠位／近位割合を生じるよう選択することができる。弁アセンブリ３１上のスクイーズ・リング１０６も、上述したようにフローの割合を調節するよう、移動させることができる。図３は、カニューレ２０の弁アセンブリ３０と置換可能な、本発明の別の好ましい実施形態である、指向性フロー弁アセンブリ６０を示す概略部分断面図である。弁アセンブリ６０の動作原理は、上述したアセンブリ３０と同様である。しかし、アセンブリ６０は、遠位開口１０４のみを含み、近位開口１０５がない。別法として、あるいは追加的に、スリーブ１０２の近位部分を、ルーメン２４内の圧力に反応して外側に伸びる、より軟質の遠位部分より厚くおよび／または硬質にするか、スリーブの近位部分を所定の位置に接着する、あるいはその両方にすることができる。図１に示すようにカニューレ２０を大動脈４４に挿入した場合、弁アセンブリ６０が開くと、開口１０４から流出する血液が、通常の血流方向に逆らい、スリーブ１０２によって概ね上流方向に向くことが観察される。この方法で流れを方向付けることにより、冠状動脈４８の灌流を増強させることができる。心拡張中に血液が弁アセンブリ６０から流出するよう、ポンプ３２は心臓４０の鼓動に対して逆同期モードで作動することが好ましい。大動脈４４中のフローおよび圧力は、心拡張中に通常は最低レベルになるので、ポンプが逆同期して作動すると、カニューレ２０から動脈４８への上流への血流をより強力にすることができる。血液が近位（通常は下流）方向開口１０５からのみ流出するよう、弁アセンブリ６０の形状を逆にしても良いことを理解されたい。上述したように、弁アセンブリ３０および３１も、血流を同様の方法で方向付けるよう構成および／または調節することができる。さらに、上述した好ましい実施形態は、例示的に引用したものであり、本発明の完全な範囲は請求の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項【提出日】平成１１年１月１７日（１９９９．１．１７）【補正内容】請求の範囲１．内部にルーメン（２４）を画定してこれを囲み、１つまたは複数の半径方向開口(１０４，１０５)を備える外部シース（２２）と、シースの外部半径方向表面に付着して半径方向開口を覆い、弁を閉じる弾性外部スリーブ（１０２）とを備え、ルーメン内部の流体の圧力上昇に応じて、外部スリーブが外側に伸びて半径方向開口を露出させ、流体がスリーブによって決定される方向へと弁から流出するものであって、弁から出る流体の流れの方向を変化させる為のコントロール（１０６）を含むことを特徴とする、医療用ポンプ・システムに使用する一方向弁。２．１つまたは複数の半径方向開口が、少なくとも、スリーブの近位軸端に隣接する第１開口（１０４）と、スリーブの遠位軸端に隣接する第２開口（１０５）とを備え、スリーブが外側に伸びると、近位流と遠位流との所望の割合で、第１開口を出る流体が弁から近位方向に流出し、第２開口を出る流体が弁から遠位方向に流出する、請求項１に記載の弁。３．第１および第２開口が異なるサイズであり、弁から近位方向に流出する流れと遠位方向に流出する流れとの割合が、第１および第２開口の相対的サイズによって決定される、請求項２に記載の弁。４．スリーブの一部と円周方向で係合する保持リング（１０６）を備え、シースに対してスリーブを所定の位置に保持し、スリーブに沿った保持リングの軸方向の位置が、弁からの流体の流れを制御するよう調節可能である、請求項１から３のいずれか一項に記載の弁。５．内部にルーメン（２４）を画定してこれを囲み、１つまたは複数の半径方向開口を備える外部シース（２２）と、シースの外部半径方向表面に付着して半径方向開口を覆い、弁を閉じる弾性外部スリーブ（１０２）とを備え、ルーメン内部の流体圧力の上昇に応じて、外部スリーブが外側に伸びて半径方向開口を露出させ、流体が弁からスリーブによって決定される方向に流出し、１つまたは複数の半径方向開口が、少なくとも、スリーブの近位軸端に隣接する第１開口（１０４）と、スリーブの遠位軸端に隣接する第２開口（１０５）とを備え、スリーブが外側に伸びると、近位流と遠位流との所望の割合で、第１開口から出る流体が弁から近位方向に流出し、第２開口から出る流体が弁から遠位方向に流出するものにおいて、第１および第２開口が異なるサイズであり、したがって弁から近位方向に流出する流体と遠位方向に流出する流体との割合が、第１および第２開口の相対的サイズによって決定されることを特徴とする医療用ポンプ・システムに使用する一方向弁。６．内部に内部ルーメン（２４）が形成されたカニューレ（２２）と、ルーメンと連絡する吸入弁（２６）と、請求項１から５のいずれか一項に従い、ルーメンと連絡する放出弁（３０）とを備えるカニューレポンプ。７．カニューレの外部シースにある１つまたは複数の半径方向開口（１０４，１０５）を開き、ルーメンと連絡させるステップと、１つまたは複数の半径方向開口を覆うよう、カニューレに軟質外部スリーブ（１０２）を取り付けるステップを含み、ルーメン内の流体圧力の上昇に反応して、スリーブが外側に伸びて開口を露出させ、さらに、ルーメンから流出する流体の所望の方向を決定するステップと、スリーブがルーメンから流出する流体を所望の方向に方向付けるような位置でスリーブをシースに固定するステップを含む、カニューレからの流体の流出を制御する方法。８．１つまたは複数の半径方向開口（１０４，１０５）を開くステップが、流体の望ましい流れの方向に反応して、異なるサイズの少なくとも２つの開口を開くステップを含む、請求項５に記載の方法。９．スリーブをシースに固定するステップが、流体の流れの方向を調節するよう、スリーブをシースに固定する位置を変更するステップを含む、請求項６まはた７のいずれか一項に記載の方法。１０．遠位端および近位端を有し、吸入弁および方向性のある放出弁を有するカニューレを、カニューレの近位端でポンプ駆動装置に接続するステップと、カニューレの先端を血管に挿入するステップと、カニューレを流体で充填するステップと、カニューレの放出弁を通して、血管内の通常の流れの方向とは逆に、概ね上流方向で血管に流体を放出するステップを含む、血管に流体を注入する方法。１１．管が血管であり、液体が血液である、請求項１０に記載の方法。１２．遠位端および近位端を有し、吸入弁および方向性のある放出弁を有するカニューレと、カニューレの近位端でポンプ駆動装置に接続するステップと、カニューレの遠位端が心臓の左心室に入るよう、大動脈を通してカニューレを挿入するステップと、吸入弁を通して血液を心室からカニューレに吸入するステップと、血液が冠状動脈を潅流するよう、概ね上流方向で、カニューレの放出弁を通して血液を大動脈に放出するステップを含む、冠状動脈に流入する血液を増大させる方法。１３．血液を吸入するステップと血液を放出するステップとが交互に繰り返し実行される、請求項１２に記載の方法。１４．血液をカニューレに吸入するステップが、心収縮中に血液を吸入するステップを含み、血液を放出するステップが、心拡張中に血液を放出するステップを含む、請求項１２または１３のいずれか一項に記載の方法。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ

Claims

【特許請求の範囲】１．内部にルーメンを画定してこれを囲み、１つまたは複数の半径方向開口を備える外部シースと、シースの外部半径方向表面に付着して半径方向開口を覆い、弁を閉じる弾性外部スリーブとを備え、ルーメン内部の流体の圧力上昇に応じて、外部スリーブが外側に伸びて半径方向開口を露出させ、流体がスリーブによって決定される方向へと弁から流出し、弁が流れの方向を制御するようになっている、前記弁医療用ポンプ・システムに使用する一方向弁。２．１つまたは複数の半径方向開口が、少なくとも、スリーブの近位軸端に隣接する第１開口と、スリーブの遠位軸端に隣接する第２開口とを備え、スリーブが外側に伸びると、近位流と遠位流との所望の割合で、第１開口を出る流体が弁から近位方向に流出し、第２開口を出る流体が弁から遠位方向に流出する、請求項１に記載の弁。３．第１および第２開口が異なるサイズであり、弁から近位方向に流出する流れと遠位方向に流出する流れとの割合が、第１および第２開口の相対的サイズによって決定される、請求項２に記載の弁。４．スリーブの一部と円周方向で噛み合う保持リングを備え、シースに対してスリーブを所定の位置に保持し、スリーブに沿った保持リングの軸方向の位置が、弁からの流体の流れを制御するよう調節可能である、請求項１から３のいずれか一項に記載の弁。５．内部にルーメンを画定してこれを囲み、１つまたは複数の半径方向開口を備える外部シースと、シースの外部半径方向表面に付着して半径方向開口を覆い、弁を閉じる弾性外部スリーブとを備え、ルーメン内部の流体圧力の上昇に応じて、外部スリーブが外側に伸びて半径方向開口を露出させ、流体が弁からスリーブによって決定される方向に流出し、１つまたは複数の半径方向開口が、少なくとも、スリーブの近位軸端に隣接する第１開口と、スリーブの遠位軸端に隣接する第２開口とを備え、したがってスリーブが外側に伸びると、近位流と遠位流との所望の割合で、第１開口から出る流体が弁から近位方向に流出し、第２開口から出る流体が弁から遠位方向に流出し、さらに、第１および第２開口が異なるサイズであり、したがって弁から近位方向に流出する流体と遠位方向に流出する流体との割合が、第１および第２開口の相対的サイズによって決定される、医療用ポンプ・システムに使用する一方向弁。６．内部に内部ルーメンが形成されたカニューレと、ルーメンと連絡する吸入弁と、請求項１から５のいずれか一項に従い、ルーメンと連絡する放出弁とを備えるカニューレ・ポンプ。７．カニューレの外部シースにある１つまたは複数の半径方向開口を開き、ルーメンと連絡させるステップと、１つまたは複数の半径方向開口を覆うよう、カニューレに軟質外部スリーブを取り付けるステップを含み、ここでルーメン内の流体圧力の上昇に反応して、スリーブが外側に伸びて開口を露出させ、さらに、ルーメンから流出する流体の所望の方向を決定するステップと、スリーブがルーメンから流出する流体を所望の方向に方向付けるような位置でスリーブをシースに固定するステップを含む、カニューレからの流体の流出を制御する方法。８．１つまたは複数の半径方向開口を開くステップが、流体の望ましい流れの方向に反応して、異なるサイズの少なくとも２つの開口を開くステップを含む、請求項７に記載の方法。９．スリーブをシースに固定するステップが、流体の流れの方向を調節するよう、スリーブをシースに固定する位置を変更するステップを含む、請求項６まはた７のいずれか一項に記載の方法。１０．遠位端および近位端を有し、吸入弁および方向性のある放出弁を有するカニューレを、カニューレの近位端でポンプ駆動装置に接続するステップと、カニューレの先端を管に挿入するステップと、カニューレを液体で充填するステップと、カニューレの放出弁を通して、管の通常の流れの方向とは逆に、概ね上流方向で管に液体を放出するステップを含む、概ね通常の方向で液体が流れる管に流体を注入する方法。１１．管が血管であり、液体が血液である、請求項１０に記載の方法。１２．遠位端および近位端を有し、吸入弁および方向性のある放出弁を有するカニューレと、カニューレの近位端でポンプ駆動装置に接続するステップと、カニューレの遠位端が心臓の左心室に入るよう、大動脈を通してカニューレを挿入するステップと、吸入弁を通して血液を心室からカニューレに吸入するステップと、血液が冠状動脈を潅流するよう、概ね上流方向で、カニューレの放出弁を通して血液を大動脈に放出するステップを含む、冠状動脈に流入する血液を増大させる方法。１３．血液を吸入するステップと血液を放出するステップとが交互に繰り返し実行される、請求項１２に記載の方法。１４．血液をカニューレに吸入するステップが、心収縮中に血液を吸入するステップを含み、血液を放出するステップが、心拡張中に血液を放出するステップを含む、請求項１２または１３のいずれか一項に記載の方法。