JP2001506136A - 可逆的に不活性なラクターゼ活性をもつβ−ガラクトシダーゼ - Google Patents

可逆的に不活性なラクターゼ活性をもつβ−ガラクトシダーゼ

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Abstract

(57)【要約】 パッケージ入りのミルクの中では実質的に不活性であり、人間の胃腸管の中、または、例えばチーズ製造の過程など乳汁を処理する過程における化学的条件または天然の条件によって活性化されるという点で、天然のβ-ガラクトシダーゼとは異なる合成βガラクトシダーゼ酵素について開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 可逆的に不活性なラクターゼ活性をもつβ-ガラクトシダーゼ 発明の背景 ラクトースは、ミルクの主な成分の一つで、乳製品やそれらを含む食品に必ず 存在している。通常の乳汁分泌には、これが含まれていることが必要である。ラ クトースは、直接には腸に吸収されず、天然の酵素ラクターゼーフロリジンヒド ロラーゼ(β-ガラクトシダーゼ)によって、その構成成分である単糖類に切断 される必要がある。この酵素は、小腸のグリコカリックスまたは内層に付着して おり、また、我々の腸の微小植物相の中にも存在する。人間を含む哺乳動物の幼 児はすべて、腸β-ガラクトシダーゼを高濃度で発現している。しかし、歳をと るにつれて、この酵素の量および活性は次第に減少して、ラクトース消化機能が 損なわれる。この状態は、「乳糖不耐症(lactose intolerance)」と名づけられ 、個体がミルク、あるいは他の非発酵乳製品を摂取すると、多くの胃腸障害を起 こすという特徴をもつ。世界の人口の大多数が、ラクトースの吸収不良と結びつ いたラクターゼ欠乏症および乳汁不耐症に罹っている。ラクトースの吸収不良を なくすために、さまざまな生物に由来する、食品級のβ-ガラクトシダーゼ酵素 調製品をいくつか用いて、ミルクを飲む前に予めラクトースを加水分解したり、 または、「酵素置換治療(enzyme replacement therapy)」として経口投与したり してきた。この加水分解産物であるグルコースおよびガラクトースは、かなり甘 く、ラクトースと等モル量存在する。この結果、かなり甘味の強い製品になる。 このように甘みが強くなることは、ラクトースの加水分解製品の許容できない風 味属性であるということが、消費者のテストパネルで確認された。 発明の概要 本発明は、特異的な作用属性をもつ、すなわち、乳汁の通常の貯蔵状態の間は 可逆的に不活性で、人間の消化管の中で機能する(ラクトースを加水分解する) β-ガラクトシダーゼタンパク質(プロラクターゼ)を作り出すことを特徴する 。本発明は、「普通の」味覚刺激特性をもつミルクの需要を充たす一方で、同時 に、摂取するときに胃または小腸の中で乳汁のラクトースを加水分解する(味蕾 経過後のラクトース加水分解)という需要を充たす。 胃腸管の中には、2つの非常に異なる環境が存在する。すなわち、酸性pH(2〜 5)の胃内環境、および膵臓からの分泌液によって中和されている小腸管腔であ る。さまざまな環境において機能する酵素をコードするβ-ガラクトシダーゼ遺 伝子を利用することができる。例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のβ-ガラクトシダーゼの至適pHは3〜4であり、アスペルギルス・オリゼ( Aspergillus oryzae)で約5.0であるが、K.ラクティス(K.lactis)で6.5〜7.5 である。 時間的なパラメータは、胃の中の糜粥が器官を流れる速さによって決まる。胃 の中では、食事の量が、胃の中が空になる速度の主要な調節因子である。例えば 、330mlの乳汁は80分で一掃されるが、1,250mlの乳汁では140分かかる。最も典 型的には、グラス一杯の乳汁を消化するのに80分の加水分解枠を必要とするのか もしれないが、これよりも速い消化時間が報告されているので、無難な加水分解 時間枠は30分であろう。さらに、例えば、ラクトースが胃内環境から小腸まで移 行する速度は、加水分解速度に影響を与えるかもしれない。問題の酵素が腸内で 機能するか、腸の中で残留活性をもてば、時間は重要な要因ではなくなるであろ う。 このように本発明は、合成酵素が乳汁中に存在するときには実質的に不活性で 、人間の胃腸管の中で、化学的または天然の条件によって活性化されるという点 で天然のβ-ガラクトシダーゼとは異なる合成β-ガラクトシダーゼ酵素を提供す る。好ましくは、この合成酵素のβ-ガラクトシダーゼ部位は、切断部位(好ま しくは、酵素切断可能なペプチド結合)を介してペプチドまたはポリペプチド( 「調節ドメイン」と考えられる)と結びついている。調節ドメインの役割は、β -ガラクトシダーゼの加水分解活性を可逆的に不活性化/抑制することであり、切 断酵素は好ましくは、人間の胃腸管の中に存在するが、実質的には乳汁中には存 在しないものであり、かつ実質的に、乳汁中に存在する別の化学物質や条件によ って切断できない部位である。 本発明は、また、本発明の合成酵素をコードするDNA分子と、それらのDNA分子 を含む組換え細胞を特徴とする。 本発明は、また、乳腺がこの合成酵素をコードするDNA分子を発現するトラン ス ジェニック哺乳動物を特徴とするが、この場合のDNA分子は、この酵素をコード するDNAの転写を調節する乳房特異的プロモーターを含み、また好ましくは、こ の酵素をトランスジェニック哺乳動物の乳汁中に分泌させるシグナルペプチドを コードする核酸配列を含んでいる。 詳細な説明 まず、図面について簡単に説明する。図面の簡単な説明 図1は、本発明の合成酵素の発現ベクターとして用いられたプラスミドの構造 を図示したものである。 図2は、α-Gla(α-グルコアミラーゼ)プロモーターの調節下にある、アスペ ルギルス・ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダーゼをコードするDNAを含むベ クターの構造を図示したものである。 図3は、ウシのラクトフェリンを後ろに融合した、アスペルギルス・ニガー(A .niger)のβ-ガラクトシダーゼをコードするDNAを含むベクターの構造を図示 したものである。 図4は、ポリアミノ酸尾部をコードする配列を融合した、アスペルギルス・ニ ガー(A.niger)のβ-ガラクトシダーゼをコードするDNAを含むベクターの構造 を図示したものである。 図5は、ウシのα-ラクトアルブミンをコードする配列を後ろに融合した、アス ペルギルス・ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダーゼをコードするDNAを含む ベクターの構造を図示したものである。 図6は、アスペルギルス・ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダーゼ遺伝子が 、ペプシン切断部位において、アスペルギルス・ニガー(A.niger)のβ-ガラ クトシダーゼcDNA(尾部)を融合し、アスペルギルス・ニガー(A.niger)のグ ルコアミラーゼ遺伝子プロモーターの調節下に置かれている、発現カセットを図 示したものである。 図7は、β-ガラクトシダーゼ遺伝子の3'末端が、ペプシンによって認識され る切断部位をもつタンパク質をコードするように改変されているベクターを図示 したものである。 図8は、改変されたβ-ガラクトシダーゼと、図7に示されているβ-ガラクトシ ダーゼのcDNAとを別のベクターの中で融合させたものを図示したものである。 図9は、ペプシン切断部位によって、アスペルギルス・ニガー(A.niger)の β-ガラクトシダーゼcDNA(尾部)に融合している、アスペルギルス・ニガー(A .niger)のゲノムβ-ガラクトシダーゼをコードするDNAを含むベクターを構築 する方法を図示したものである。 図10は、アスペルギルス・ニガー(A.niger)のグルコアミラーゼプロモータ ーの調節下に置かれた、ペプシン切断部位を通してβ-ガラクトシダーゼの後ろ にウシのカゼインを融合させた、アスペルギルス・ニガー(A.niger)のβ-ガ ラクトシダーゼをコードするDNAを含むベクターを構築する全方法を図示したも のである。β-ガラクトシダーゼの選択 用いられる酵素は、酸耐性であって、pH1.0(絶食状態)から5.0までという胃 の中での変性に耐性でなければならない。この酵素は、胃の中のペプシンおよび 腸管腔の膵臓プロテアーゼなどのタンパク質分解酵素の存在下でも、活性を保持 しなければならない。 アスペルギルス・ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダーゼは、至適pHが3〜 5の範囲にあるため、酸性乳清を加工し、その浸透に適している。この酵素は、 比較的至適温度が高く、典型的には、50℃までの温度で非常に安定して用いられ る。この酵素の属性は、胃の中の環境で機能することにも適しているため、アス ペルギルス・オリゼ(A.oryzae)のβ-ガラクトシダーゼとともに、乳食品を摂 取する直前に飲む市販の錠剤の形で、ラクトース吸収不良の症状を緩和するため に用いられている。アスペルギルス・ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダー ゼは、胃液の中でインキュベートした後も活性を保持しているため、好ましい候 補である。アスペルギルス・ニガー(A.niger)のこのβ-ガラクトシダーゼ遺 伝子は、フアン(Huang)らの来国出願特許第08/551,459号に説明されており、 これは参照として本明細書に組み入れられる。プロ配列をもつラクターゼの作製 天然の多くの酵素およびホルモンは、その構造の一部として、調節のために作 用するペプチドをもっている。プロペプチドが残りのタンパク質部分についてい ると、タンパク質の折畳みが変わり、活性部位を阻害することがある。これらの 「プロ」または「プレ」ペプチドを取り除くと、酵素が活性化する。このタイプ の調節の例は、例えば、胃あるいは腸のプロテアーゼなど、消化器系に共通して いる。このようなタイプの酵素活性調節が進化したことによって、胃と腸の細胞 が、自己分解の危険なしに強力なタンパク質分解酵素を合成できるようになった 。この酵素の「プロ」型は完全に不活性である。細胞から分泌された後、「プロ 」調節ペプチドが除去されることによって、プロ酵素が活性化する。細胞の外側 に対する損傷は、タンパク質分解作用を受けつけない厚い粘膜層によって防止さ れる。胃腸のプロテアーゼの構造および機能はよく理解されている。例えば、切 断の標的となる配列が分かっており、切断の動態も分子的に詳しく分かっている 。胃腸系には、ペプシンが相当な量存在している。それが存在することが、食餌 のタンパク質分解に必須である。ラクトースの加水分解は、人体の内側で起き、 37℃という比較的高い温度で反応が速くなる。 酸性pHへの変化および/またはタンパク質分解的切断の結果として酵素が活性 化されるという考えが、内生的酵素および外来酵素の調節法として述べられてき た。 ブレム(Brem)ら(1995)は、キモシン(chymosin)の活性化を明らかにした。 彼らの組換えDNA構築物は、トランスジェニックウサギのシステムにおいてウシ キモシンを発現させるウシカゼインプロモーターを含んでいた。胃内のpHおよび /またはプロテアーゼの作用によって、活性型酵素に活性化されるプロキモシン として、キモシンを合成した。特に、0.5N HCl,pH=2.5に置くことによって酵素 が活性化された。尾部の遺伝子工学 精製を容易にするために、組換えDNA技術を用いて、さまざまなタンパク質に 融合尾部が付加されている。融合尾部システムは、アフィニティークロマトグラ フィーのために、His-タグ、ストレプトアビジン結合ペプチド、IgG結合ドメイ ン、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、およびマルトース結合タンパク質を用 いて開発されてきた(Ford et al.,1991,Protein Expression and Purificati on 2 :95-107)。その精製を容易にするために、大腸菌β-ガラクトシダーゼと、荷電 したポリアミノ酸尾部との遺伝子融合物が作製されている(Niederauer et al. ,1994)。これらの例においては、アフィニティー/精製ハンドルとして用いる 融合尾部の付加によって、目的とするタンパク質が不活性化するのは望ましくな い効果である。 これに対して、本発明においては、例えば、酵素認識/切断認識部位による、 β-ガラクトシダーゼへの調節用尾部の融合は、望ましくは、可逆的に不活性な 新規の雑種分子をもたらす。適当な条件の下では、この部位は、特異的なプロテ アーゼによって認識され、ラクトースを加水分解するβ-ガラクトシダーゼ分子 が解離する。切断配列の性質 切断配列は、タンパク質分解酵素によって認識されるように作出される。下記 の表1では、そのようなタンパク質分解酵素とそれらの標的配列の一部のリスト が示されている。 表1:プロラクターゼ分子の構築に用いられるエンドペプチダーゼ切断部位 プロ-β-ガラクトシダーゼの設計 プロラクターゼ酵素を産生するために用いられる発現ベクターは、下記に述べ る実施例で、より詳細に提示されている。一般的に、この構築物は、高レベルで の発現を可能にするプロモーター領域、分泌シグナル、プロラクターゼ、終結配 列、バクテリア内でこの構築物を増殖させるための抗生物質耐性遺伝子(例えばamp )、および複製開始点を含んでいる。プロモーター、終結配列およびシグナ ル 配列の選択は、発現系として用いられる宿主生物による。これらの構成成分を以 下に述べる: 1.シグナルペプチドは、内生的なβ-ガラクトシダーゼ遺伝子が自然に分泌さ れるもの(すなわち、アスペルギルス・ニガー(A.niger)、またはアスペルギ ルス・オリゼ(A.oryzae))であれば、それに由来するものでよいが、組換えプ ロラクターゼを産生させようとしているシステムで有効であることが分かってい る別のシグナルペプチド(すなわち、アスペルギルス・ニガー(A.niger)のグ ルコアミラーゼ遺伝子由来)を用いることもできる。プロラクターゼが、例えば 、トランスジェニック動物によって産生されるとすれば、乳房の上皮細胞から乳 汁中へのベクターによる酵素の分泌を行うために、カゼインまたは乳清ファミリ ータンパク質のシグナルペプチドを用いることもできる。このようなシステムが 、例えば、ゴードンら、(Gordon et al.,1987,Biotechnology 5:1103-1187) ;およびへニグハウゼン(Hennighausen,1992,J.Cellular Biochemistry 49: 325-332)において説明されており、これらは、参照として本明細書に組み入れら れる。 2.例えば、アスペルギルス・ニガー(A.niger)、またはアスペルギルス・オ リゼ(A.oryzae)のβ-ガラクトシダーゼは、望ましい機能特性(至適pHが2.5 〜5.0)およびラクトース加水分解活性をもつ。 3.調節ドメイン。融合遺伝子は、例えば、表1に示されているような切断部位 、および切断部位を認識する特異的酵素の作用によって取り除かれるまでは酵素 活性を抑制する阻害ドメインまたは「尾部」を含むように作り出すことができる 。作出された尾部は、β-ガラクトシダーゼに、折畳み方の間違いによるか、ま たは活性部位の阻害による可逆的な不活性化をもたらす。β-ガラクトシダーゼ の自然なフォールディングは、適当な酵素による尾部の切断によって回復される 。分子を不活性化させる尾部を同定するために、さまざまな長さをもつ尾部を作 出することができる。この「尾部」は、また、培養液から酵素を精製する過程の アフイニティーハンドルとしても用いることができる。 その活性を調整される遺伝子の3'-、5'または両末端に尾部ドメインを付加す ることができる。乳汁の通常の成分である、カゼイン、ラクトフェリンまたはラ ク トアルブミンなど、その長さと機能が分かっているタンパク質を尾部として用い ることができる。または、β-ガラクトシダーゼ分子に正または負の電荷を与え る短いポリアミノ酸尾部を用いることもできる。尾部の変異体または欠損体も、 完全長の尾部と同じ材料に融合させることができる。尾部のこのような欠損体は 、例えば、エンドヌクレアーゼIIIの作用によって作出することができる。目的 の尾部のアミノ末端またはカルボキシル末端のいずれからも欠失させることがで きる。 プロラクターゼ分子(一連の欠失を含む尾部をもつ)を、適当な宿主発現系の 中に導入する。形質転換体および、これらの構築物を含む培養液の培地を、抗体 を利用して、まず発現に成功したものをスクリーニングする。用いられる抗体は 、β-ガラクトシダーゼ、またはプロラクターゼ分子の尾部のいずれかを認識す ることができる。新規に発現した組換えプロラクターゼ分子を阻害するかもしれ ないので、発現系として用いられる宿主には、内生のβ-ガラクトシダーゼ活性 がないことが好ましい。好ましい菌類宿主は、例えば、内生するβ-ガラクトシ ダーゼ遺伝子が破壊されているものである。このような宿主は、前記の1995年11 月1日提出のフアン(Huang)ら、米国出願特許第08/551,459号で説明されている 。ウエスタンブロッティングによって、プロラクターゼ分子の発現に成功したこ とが確認されたら、新規に発現したプロラクターゼタンパク質について、培地を さらに調べる。 4.切断配列 特異的な切断酵素に対する認識部位として作用するように切断部位を作出する 。表1は、このようなタンパク質分解酵素および、それらの標的配列の一部のリ ストである。さらに、具体的に応用するときには、特異的な切断部位を付加する こともできる。例えば、胃内環境でのプロラクターゼの活性化には、ペプシンに よって認識される部位、または、酸性の低いpHで活性化される部位が必要であろ う。調節ドメインとしてのκ-カゼインの付加によって、チーズ製造過程にある 乳汁の中で付加されうるような融合分子を作出することができる。それは、キモ シンを付加すると、その部位が切断され(Phe-Met)、尾部が除去され、β-ガラ クトシダーゼが放出されて、それによって、排出された乳清に存在するラクトー スが 加水分解されるようするために、切断部位をキモシン/レニン酵素によって認識 されるように工夫することもできる。プロラクターゼの生産 タンパク質の遺伝子操作が完了したら、それを費用効果の高い方法で大量に産 生することができるはずである。今日、発酵技術が、工業的な規模で多くの食品 用酵素(キモシン、β-ガラクトシダーゼ)を生産するために用いられている。 生産手段として選ばれる生物は、そのDNA構築物の設計と関連したいくつかの処 理要件による。さまざまな生物を生産手段として利用することができる。原核生 物による発酵は、典型的には、大腸菌(Escherichia coli)(Emtage et al.,1 983;Zhang et al.,1991)もしくは枯草菌(Bucillus subtilis)(Parente et al.,1991)、またはさまざまなGRAS徴生物を利用する。生化学的に、より複雑 な分子については、酵母のサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomy cescerevi siae)(Goff et al.,1984)が日常的に使われている。菌類による発酵は、組 換えタンパク質を産生するための効率的な発現系も提供する。実施例1 プロラクターゼ発現系 発現ベクター 発現ベクターは、ストームズ(Storms)博士(コンコルディア大学、モントリ オール(Concordia University,Montreal))からいただいたpGla発現ベクター を以下のように改変して得られた(図1)。もとのpGlaベクターのpUC18の骨組み 部分を、LacZ部位をもたない、より短いpUC18の骨組み部分と取り替えた。LacZ 産物の活性が、発現したベータ-ガラクトシダーゼの活性を阻害することのない ようにするため、この改変を行った。以下の工程を行った。まず、SalIとSacI制 限酵素部位の一つを除去するために、pGlaベクター(図1、工程1)をSalI制限酵 素(プロメガ社(Promega)、米国ウィスコンシン州マディソン(Madison,Wisc onsin,USA))で消化して、T4DNAリガーゼ(ファルマシアバイオテック社(Pha rmacia Biotech)、Baie D'Urfe,Quebec,Canada)で再環化した。この結果で きたプラスミドをHindIII(ファルマシア社(Pharmacia))とSacI(ファルマシ ア社(Pharmacia))で消化して、dNTP(ファルマシア社(Pharmacia))存在下 でT4DN Aポリメラーゼ(ファルマシア社(Pharmacia))によって処理を行い、アガロー スゲルから精製した。pGlaプロモーターとT.T.領域に相当するバンドを単離して 、QiexIIキット(Quiagen Inc.,Chatsworth,CA,USA)を用いてDNAを精製した 。これと平行して、pUC18プラスミドをPvuII(プロメガ社(Promega))とSspI (Pharmacia Biotech)制限酵素で消化し、ウシ小腸ホスファターゼ(ファルマ シア社(Pharmacia))によって処理してから1%アガロースゲルで電気泳動した 。QiexIIキットを用いて、pUC18の骨組み部分をもつ1.8kbのバンドを精製した。 そして、この2つの精製DNA断片をT4DNAリガーゼ(プロメガ社(Promega))によ って結合させて、新規の発現ベクターpGla(NV)を作成した。このベクターの同一 性を制限酵素解析によって確認した。アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のβ-ガラクトシダーゼcDNAと構 造遺伝子を菌類の細胞で発現させるベクターの構築 pGlaプロモーター部分を含むpSP72プラスミド(pSPcDNAN)、およびβ-ガラク トシダーゼcDNAまたは構造遺伝子を、A.ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダ ーゼcDNAとグルコアミラーゼプロモーター部分を切り出すXhoIで制限酵素消化し た。このDNA断片をXhoI断片として単離し、QiexIIキット(Quiagen)を用いて精 製し、SalIとXhoIで予め消化したpGla(NV)(図1)の中にクローニングした。こ の結果、β-ガラクトシダーゼのcDNAを発現させる全長グルコアミラーゼプロモ ーターが再構築された(図2、工程3)。制限酵素解析データと配列決定データに よって、この結果できた構築物が適正なオープンリーディングフレーム、全長の pGlaプロモーター、およびT.T.領域をもつことが確認された。このcDNAとゲノム を発現するシステムを、それぞれPglaNVBC(図2)およびPglaNVBGと名づけた。A. ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の3'末端にあるペプシン認 識部位によって融合した尾部としてウシラクトフェリンを用いたプロラクターゼ の構築(図3、デザイン1) RT-PCR増幅によって、ウシ乳腺、またはMAC-T細胞系より単離したmRNAから、 ウシラクトフェリン(BLF)cDNAをクローニングした。ツァン(Tsang)ら(1991 )にしたがってプライマーを設計した:(5'-GGTCACCGAGCACTGGATGGG-3'、58塩 基目から78塩基目)および(5'-ATCCGACTTCAGGAAGGGAGA-3'、発表された配列の 塩基番 号によれば、2351から2371塩基目)。製造業者のプロトコールにしたがい、Expa ndLongシステム(Stratagene,La Jolla,CA,USA)を用いて、最終容量100μl の反応液中でPCRを行つた。この反応を、MiniCycler(MJ Research Inc.,Water town,MA,USA)を用いて30サイクル行った。各サイクルは、90℃で30秒、60℃ で80秒、および72℃で2分間となっていた。下記のプライマーを用いて、成熟BLF をコードする配列を増幅した:(5'-CTGTCAGTCAGTTAGACGTCGAAAGCGGCCGCTTACCTCG TCAGGAAGGCGCAGGCTT-3')および(5'-CTTTGGTACCGTTTCTGCAAGGCCCCGAGGAAAAACGTTC GA-3')。β-galのゲノムDNAの3'側の配列も(5'-ACCCTGTGGGCTCTCGACTCT-3')およ び(5'-CTTGCAGAAACGGTACCAAAGGTATGCACCCTTCCGCTTCTTGTACTTGG-3')によって増幅 した。下線を引いた配列は、β-galのゲノムDNAの増幅した3'側配列を、プライ マーを用いないPCRでBLF配列と融合させるための重複配列を示している。PCR条 件とサイクリングプロファイルは、アニーリング温度を50℃で行った以外は、上 記したところと同一であった。次に、PCR産物を直接にサブクローニングできるp GEMTベクターの中に融合産物をサブクローニングした。この結果できたベクター pGEMT/bgblfPCRを、NaeIとSpHIで制限酵素消化して、NaeIとSpHIで制限酵素消化 したpGlaNVBC発現ベクターにライゲーションした(図2、工程3)。こうしてでき たベクターをCTF8と名づけ(図3、工程3)、ペプシン部位によってウシBLFと融 合したβ-ガラクトシダーゼcDNA(pGlaプロモーターの調節下で)発現させる。 この部位は、上記のプライマーの重複領域(下線部)の配列によって製造され、 LWYRFCKをコードしている。BLFを増幅するために用いた、この3'側プライマーは 、3つの考えられる読み枠すべての中に終止コドン、NotI部位およびAatII部位を 含んでいた。同じような方法を用いて、ゲノムのβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(G TF7)をもつ発現系を構築した。実施例2 ペプシン認識部位によって、β-ガラクトシダーゼ遺伝子の3'末端に融合したポ リアミノ酸尾部をもつプロラクターゼの構築 この一連の構築物の基本設計は、正(Arg尾部)または負(Asp尾部)のいずれ かに荷電した、2種類の長さ(例えば、16アミノ酸と25アミノ酸)のポリアミノ 酸尾部をもつことであった。これらの尾部は、ペプシン認識部位によってβ-ガ ラク トシダーゼ遺伝子の3'末端に融合させるためのものである。この一連の実験にお いて、本発明者らは、宿主生物として、ペプシン様酵素を分泌することが分かっ ている菌類の発現系を利用したが、これは、本発明者らが構築したペプシン部位 は、これらのペプシン様分子によって切断されるであろうと考えたためである。 このため、ペプシン部位をもつポリアミノ酸尾部ともたない尾部について発現ベ クターを構築した(詳細は表2を参照)。ポリアミノ酸尾部をゲノムのβ-ガラク トシダーゼ遺伝子の3'末端にもつ、全部で8個の発現構築物(表2)を、骨組みと してpGgbpbベクターを用いて構築した(図4、工程1)。まず、所望の数のポリア ミノ酸をコードする4つのリンカーを合成した(Immunocorp,Montreal,Quebec ,Canada)。各リンカーは、AgeIおよびNotI突出末端、ならびに内側のBSSHII部 位(図4、工程2)をもっていた。ペプシン部位をもたない構築物については、リ ンカーを、pGgbpbベクターのAgeI部位とNotI部位との間に直接クローニングした (図4、工程3)。ペプシン切断部位をもつ構築物については、BSSHII制限酵素( New England Biolabs Ltd.,Mississauga,ON,Canada)でリンカーを消化し、ア ルカリホスファターゼ(Pharmacia Biotech)を用いて脱リン酸化し、pGgbpbベ クターのNotI部位とBSSHII部位との間にクロ-ニングした(図4、工程4)。各構 築物の完全性とオープンリーディングフレームをDNA配列解析によって確認した 。 表2 実施例3 β-ガラクトシダーゼ遺伝子の3'末端に融合したウシα-ラクトアルブミン(調節 ドメインとして用いられる)をもつプロラクターゼで、ペプシン認識部位をもつ ものともたないものの構築 RT-PCRによって、ウシα-ラクトアルブミンをクローニングした。まず、登録 商標Tri-Zol(GibcoBRL,Burlington,ON,Canada)を用いて、授乳しているウ シの乳腺サンプルから全RNAを抽出して、第一鎖cDNA合成キット(First Strand cDNA Synthesis kit)(Pharmacia)を用いて第一鎖cDNAを逆転写した。ウシα- ラクトアルブミンcDNA(α-lac)の配列に基づいて2本のプライマー(5'-TGCGGA ATTCGAGCAGTGTGGTGACCCCATTT-3';5'-TAATGCGGCCGCAGCAAAGACAGCAGGTGTTC-3')を 設計して(Vilotte et al.,1987)、α-lac cDNAを増幅した(図5、工程1)。 製造業者のプロトコールにしたがって、Taq DNAポリメラーゼ(Boehringer Mann heim Canada,Laval,QC,Canada)を用いて、最終容量100μlの反応液中でPCR を行った。この反応は、MiniCycler(MJ Research Inc.,Watertown,MA,USA) を用いて35サイクル行った。各サイクルは、94℃で30秒、60℃で80秒、および72 ℃で2分間で成っていた。PCR産物を制限酵素解析して、pCDNA3(Clontech)ベク ターのEcoRI部位とNotI部位との間にクローニングした。PCR産物の同一性をDNA 配列解析によって確認した。 尾部となる成熟α-lacを構築するためにプライマー(5'-AGCTGCGCGCTACCGGTCAG AACAGTTAACAAAATGTGAGGTGTTCC-3'および5'-TAATGCGGCCGCAGCAAAGACAGCAGGTGTTC- 3')を用い、α-lacをpCDNA3の中にクローニングするための鋳型として用いた。P CR産物をpGgbpbベクターのBSSHIIとNotIとの間にサブクローニングし(図4と6) 、α-lacを尾部として、ペプシン認識部位によって、β-ガラクトシダーゼの3' 末端に融合させた(図5、工程2)。または、α-lacのPCR断片をAgeIとNotIで消 化して、pGgbpbベクターのAgeIとNotI部位にライゲーションさせた(図5、工程3 )。この結果できたプラスミドは、ペプシン部位がないが、ベータ-gal遺伝子の 3'末端に融合したα-lac遺伝子をもっている。各構築物のオープンリーディング フレームを、DNA配列解析によって確認した。実施例4 (調節ドメインとしての)ペプシン部位によって、β-ガラクトシダーゼに融合 したβ-ガラクトシダーゼcDNAをもつプロラクターゼの構築 構築方法 A.ニガー(A.niger)のグルコアミラーゼ遺伝子のプロモーター領域と、以下 のDNAエレメントに基づいて、発現カセットpGgbpb(図6)を構築することを目的 とした。すなわち、グルコアミラーゼプロモーター(エレメント1)、全長のゲ ノムβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の配列(エレメント2)、尾部/調節ドメインと して用いられるβ-ガラクトシダーゼcDNA(エレメント4)、およびグルコアミラ ーゼのポリA部位(エレメント5)。ペプシン認識部位をコードする短い配列(エ レメント3)を設計して、2つのβ-ガラクトシダーゼ遺伝子に融合させた(エレ メント2とエレメント4)。ベクター 最初のベクターは、pGTF7である(図9)。このベクターは、基本構造としてのp UC18、エレメント1、エレメント2、およびエレメント5をもっている。エレメン ト2とエレメント因子5との間にはNotI部位があり、サブクローニングに用いられ る。この構築に用いられた別のベクターは、それぞれ、ゲノムとcDNAのβ-ガラ クトシダーゼ遺伝子配列をもつpSP72ベクターのpSPganb3'(図7)とpSPanb(図8 )である。方法 エレメント2、エレメント3、およびエレメント4を含むDNA断片によってプラス ミドpGTF7の因子2を置換するという構築(図9)を以下の3つの工程で行った: 1.PCRによる、ゲノムβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(エレメント2)の3'末端の 改変(図7) DNA鋳型は、A.ニガー(A.niger)のβ-ガラクトシダーゼのゲノムクローンを もつプラスミドpSPganbである。5'側プライマーは、5'-CAAGAACGGCATCTGGTCAG-3 'であり、3'側プライマーは、5'-ATTACTGCAGCGCGCCAGCAGAGCGTAGAAGGACCGGTATGC ACCCTTCCGCTTCT-3'である。PCR増幅は、5ngのpSPganb、2.5uのPWO DNAポリメラ ーゼ(Boehringer Mannheim)、0.2mMの各デオキシリボヌクレオチド(dNTP)、 0.25μMの各プライマー、およびサーモDNAポリメラーゼ緩衝液を含む100μlの反 応液中で行った。この反応は、MiniCycler(MJ Research Inc.,Watertown,MA ,USA)を用いて、次のプログラムで行った:94℃、3分間の変性;94℃で1分、 6 0℃で1分、72℃で2分間からなるプログラムを30サイクル;そして、最終伸長反 応を72℃で7分間。このPCR産物は、0.8%アガロースゲルで1kbのバンドとして確 認され、QIAEXゲル抽出キット(QIAEX Gel Extractionkit)(QIAGEN Inc.,200 20)を用いて精製し、SacIIとPstIで制限酵素消化し、QIAEXゲル抽出キット(QI AEX GelExtraction kit)を用いたアガロースゲルから0.7kbのDNA断片として精 製され、SacIIとPstIで制限酵素消化したpSPganbプラスミド(5.1kbのDNA断片) とライゲーションさせたところ、プラスミドpSPganb3'ができた(図7)。ペプシ ン認識部位(エレメント3)と適当なクローニング部位(AgeIとBssHII)をPCR産 物の中に作製する。 2.PCRによる、cDNAのβ-ガラクトシダーゼ遺伝子(エレメント4)の5'末端と 3'末端の改変 ゲノムのβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の3'末端に、β-ガラクトシダーゼcDNAの 配列を融合させるために、適当なクローニング部位を設計する。PCRのためのDNA 鋳型は、プラスミドpSPanbであった(図8)。5'側プライマーは、5'-ATTAGCGCGC GAACTGTTGCAGAAATACGTC-3'であり、3'側プライマーは、5'-ATTACTCGAGCTAGTCAGT TAGACGTCGAAAGCGGCCGCTAGTATGCACCCTTCCGCTT-3'である。PCR増幅は、5ngのpSPan b、2.5uのPWO DNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)、0.2mMの各デオキシリ ボヌクレオチド(dNTP)、0.25μMの各プライマー、およびサーモDNAポリメラ ーゼ緩衝液を含む100μlの反応液中で行った。この反応は、MiniCycler(MJ Re search Inc.,Watertown,MA,USA)を用いて、次のプログラムで行った:94℃ 、3分間の変性;94℃で1分間、60℃で1分間、72℃で4分間からなるプログラム を30サイクル;そして、最終伸長工程を72℃で7分間。このPCR産物は、0.8%アガ ロースゲルで2.9kbのバンドとして確認され、QIAEXゲル抽出キット(QIAEX Gel Extraction kit)(QIAGEN Inc.,20020)を用いて精製し、BssHIIとXhoIで制限 酵素消化して、pSPganb3'(図7)の中にサブクローニングして、エレメント2、 エレメント3、およびエレメント4をもつプラスミドpSPgbpb(図8)を作出した。 3.pGgbpbの構築 エレメント2、エレメント3、およびエレメント4を含むpSPgbpb(図8)のXbaI/ NotI DNA断片をpGTF7にクローニングして、発現カセットpGgbpb(図9)を作製す る。実施例5 β-ガラクトシダーゼの活性を調節するドメインとして、ウシκ-カゼインを含む プロラクターゼベクターの構築 1.κ-カゼイン遺伝子(cDNA)のクローニング ウシの乳腺組織からRNAを抽出した。ファルマシア社製のT-プライマーによる 第一鎖キット(T-primed First Strand Kit)(Ready-To-Go,カタログ番号:27 -9263-01)を用いてcDNAを合成した。このcDNAは、κ-カゼイン遺伝子をクロー ニングするための鋳型として用いられた。 プライマーは、一つしかない制限酵素部位(EcoRI,BamHI)を含む全遺伝子( 0.750kb)に及ぶように作製された。PCRは、PWO酵素を用いて行った。増幅後0.7 5kbの産物が生成されたので、EcoRIとBamHIで制限酵素消化して、pUC18ベクター の中にサブクローニングした(図10の工程bを参照のこと)。 2.A.ニガー(A.niger)発現ベクター(pGLA)へのκ-カゼイン遺伝子のクロ ーニング κ-カゼイン遺伝子をpGLAベクターにサブクローニングするために、成熟タン パク質をコードする配列だけを増幅させた。このために、2つの新しいプライマ ーを作製したが、そのうち一つのプライマーは、5'末端に唯一のKpnI部位をもち 、成熟タンパク質の最初のアミノ酸をコードしている。もう一つの3'末端プライ マーは、pGLAベクターへのサブクローニングが容易になるよう、唯一のNotI部位 を含んでいる。 このPCR産物(0.56kb)をbpnI/NotIで制限酵素消化して(工程2)、KpnIとNot Iで制限酵素消化したpGLAベクターにサブクローニングした。 刺激された胃液条件下でのプロラクターゼ活性によるラクトースの加水分解目的 精製されたプロラクターゼ酵素(可逆的に不活性化されたもの)から潜在的な ラクターゼ活性が回復できるか否かを判定するために、以下の実験を行った。処 理は、ペプシンが(b-gal遺伝子と尾部/調節ドメインとの間で)ペプシン認識部 位を切断して、ラクトースに作用/ラクトースを加水分解できる、プロラクター ゼ 分子のラクターゼ部分を解離させるというものである。HPLC解析、および合成基 質(ONPGなど)を含む、さまざまな方法でラクトースの加水分解を測定する。概要 開発されたモデル系は、胃の中で一般的な条件に基づいている。胃液は、150m eq/mlの水素(pH1.5)と、0.5〜1mg/mlのペプシンを含む単純な液体である。高 い分泌速度をもつ純粋な胃液は、1よりも低いpHをもちうるが、食物を消化する ときには、胃内の糜粥のpHは、pH6にまで上昇しうる。絶食時の胃内pHは、1.5か ら2.5の間であると推定されている。人間の集団の中で見られるペプシンの高い 多様性を考慮して、ペプシン濃度は、0.1から10mg/mlの範囲で用いる。ヒトのペ プシンを市販されていないので、シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Co.,St Louis,Missouri)から購入したブタのペプシン、またはその等価物を用いる。 3種類の異なる量の塩酸、ペプシン、およびプロラクターゼまたはラクターゼ (陽性対照として用いる)を加えた400μlの乳汁を用いて、プロラクターゼの活 性を調べる。加える塩酸の量を変えることにより、約3.5から、乳汁のpHである6 .5から6.6あたりのpHまでの範囲をカバーすることができる。反応は、37℃で2時 間行う。HPLC解析によって、ラクトース濃度を判定する。手順 1)保存溶液:150meq H/Lの溶液、pH1.5、0.005M酢酸溶液、pH4.3、ペプシン 保存溶液(100mg/ml)。 2)加水分解反応:400μlの乳汁をピペットでとり、0または200または600μl の塩酸を加え、適当な容量のペプシン溶液(0.1〜10mg/ml)を加え、脱イオン水 で容量を調整し、ラクターゼまたはプロラクターゼを加え、このチューブを37℃ の温水槽に入れて2時間インキュベートする。10分間煮沸して反応を停止させ、H PLCで解析するまで-20℃に保存する。 3)ラクトース解析 HPLCによるラクトース濃度については、各反応を3連のサンプルで解析する。 4)計算 各条件の組合わせごとに、ラクトースまたはプロラクトースを含まない対照実 験を行って、酵素添加によるラクトース加水分解の割合が計算できるようにした 。 %加水分解=(「加水分解」されたサンプル中の%ラクトース/対照中の%ラクトー ス)*100% 参考文献
【手続補正書】 【提出日】平成11年7月8日(1999.7.8) 【補正内容】 【図1】【図2】【図4】【図5】【図10】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:685) (C12N 9/38 C12R 1:685) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 エイノ マーマウド カナダ国 オンタリオ州 ミシソガ ソウ ミル バレイ ドライブ 3382 (72)発明者 キャベル ジョン ジェイ. カナダ国 オンタリオ州 ロンドン アパ ッチ ロード 937 (72)発明者 アマンティア ジェラルド エフ. カナダ国 オンタリオ州 ロンドン バー ジニア クレセント 85

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.乳汁中に存在するときには実質的に不活性であり、ヒトの胃腸管の中に自然 に存在する化学物質または条件によって活性化されるという点で、天然のβ-ガ ラクトシダーゼとは異なる合成β-ガラクトシダーゼ酵素。 2.ヒトの胃腸管の中に存在するが、実質的には乳汁中には存在しない酵素で切 断することができる、間にある切断部位を介してβ-ガラクトシダーゼに結合し ているペプチドまたはポリペプチドを含み、該切断部位が、乳汁中に存在するい かなる化学物質や条件によっても実質的に切断できない、請求項1記載の合成酵 素。 3.切断部位が、ヒトの胃腸管にある酵素によって切断できるペプチド結合であ る、請求項2記載の合成酵素。 4.β-ガラクトシダーゼがアスペルギルス・ニガー(A.niger)に由来する、 請求項1記載の合成酵素。 5.合成酵素を発現する細胞からの酵素の分泌をひき起こすシグナルペプチドを 含む、請求項1記載の合成酵素。 6.請求項3記載の酵素をコードするDNA分子。 7.請求項6記載のDNA分子を含む組換え細胞。 8.その乳腺が請求項6記載のDNA分子を発現するトランスジェニック哺乳動物で あって、該DNA分子が、前記合成酵素をコードするDNAの転写を調節する乳房特異 的プロモーターを含み、該トランスジェニック哺乳動物の乳汁中に該酵素を分泌 させるシグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含むトランスジェニック 哺乳動物。 9.切断部位が、チーズの加工過程において用いられる酵素または条件によって 切断することができるペプチド結合である、請求項2記載の合成酵素。 10.チーズの加工過程において用いられる酵素がキモシンである、請求項9記載 の合成酵素。
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