JP2001504831A - アルキルペプチドアミドおよび適用 - Google Patents

アルキルペプチドアミドおよび適用

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JP2001504831A JP52396898A JP52396898A JP2001504831A JP 2001504831 A JP2001504831 A JP 2001504831A JP 52396898 A JP52396898 A JP 52396898A JP 52396898 A JP52396898 A JP 52396898A JP 2001504831 A JP2001504831 A JP 2001504831A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、アルキルペプチドアミド、少なくともそのアミド部分を生存細胞の細胞内空間に導入するための薬学組成物および方法に向けられる。本発明の薬学組成物および方法を用いることにより、ペプチドまたはアンカー阻害ペプチド部分を含むペプチド模倣部分を、様々な種からの精子細胞を含む様々な異なる種類の細胞の細胞内空間に導入することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 アルキルペプチドアミドおよび適用 関連出願のクロスリファレンス 本出願は、35 U.S.C.119項に基づき、1996年11月21日に提出した米国暫定出願 番号60/031,428の優先日の利益を請求する。 連邦により保障された研究または開発に関する報告 適用なし 発明の背景 本発明は、タンパク質活性、特に二つまたはそれ以上のタンパク質間の結合に 依存する活性の、制御が可能な組成物に関する。特に、本発明は、ペプチド阻害 部分(moiety)を、タンパク質リン酸化酵素(kinase)及びアンカー化(anchor ing)タンパク質などの最低限他の細胞内のタンパク質間の結合の阻害が可能で ある部分を含む生細胞に導入するための組成物及び手法に関する。 ホルモン及び神経伝達物質等の信号分子は、相関する生化学的反応を通じて細 胞の反応を引き出す。特定且つ選択的な試薬の種類が開発されてきたが、これは これらの信号分子がこれらの細胞反応をin vitroで媒介する方法を研究すること を可能にした。これらの反応の研究は、新薬の発見と開発の重要な第1段階であ る。使用可能な特定且つ選択的な試薬の開発は、他の細胞培養培地または動物全 体に対する同様の研究においても等しく重要である。最も好まれるこのような試 薬は、伝統的に、細胞の破壊または人工物をそこに導入することなしに生細胞内 での特定の過程を研究することを可能にする。 信号タンパク質分子と相互作用または競合が可能な、タンパク質リン酸化酵素 またはインシュリン受容体等の、合成ペプチドまたはペプチド模倣物等の合成分 子は文献に報告されている。電気穿孔法、浸透圧衝撃、及び、サポニン、ストレ プトリジン0、またはリポソーム等の試薬を用いた細胞の透過化を含む、様々な 戦略がこれら合成分子を生細胞内に導入するために報告されている。しかし、こ れらの導入系は細胞に損害を与える傾向がある。ほかにこれら合成分子を生細胞 に導入する方法として知られるマイクロインジェクションは、損傷性が少ないが 、しかし労働集約的に損害を被る。 Liottaらによる近年の出版物は、合成ペプチドは修飾されると、修飾されたペ プチドが膜貫通タンパク質と相互作用できる生細胞の膜中に受動的に移動するこ とが可能であることを示す(Liotta et al.,J.Biol.Chem.269:22996-23001,19 94)。Liottaらの出版物は、インシュリン受容体1146-リン酸化酵素(kinase)領 域の類似物であるトリス-硫酸チロシルドデカペプチドは、in situでのインシュ リン受容体のチロシン脱リン酸化の良い阻害剤であることを示す。Liottaらによ る最も重要な観察は、ステアリルペプチドアミドである特定のトリス-硫酸チロ シルドデカペプチド(TRDIYETDYYRK-アミド)は、完全なCHO/HIR細胞におけるイ ンシュリン刺激による受容体の自己リン酸化を4.5倍に増加させるという事実で ある。このステアリルペプチドアミドはチロシン種脱リン酸化酵素(phosphatas e)にのみ特異性を示し、セリン/トレオニン脱リン酸化酵素PP-1、PP-2、または アルカリ脱リン酸化酵素の活性には効果を有しない。しかし、Liottaらと同様の 試みでは、脂肪酸ペプチド融合物が完全な細胞におけるタンパク質リン酸化酵素 C(PKC)及びチロシンリン酸化酵素活性を阻害するために用いられていた(Eich holtz et al.J.Biol.Chem.,268:1982-1986,1993;Liotta et al.,J.Biol.Chem.26 9(37):22996-23001,1994;及び0'Brien et al.,Biochem.Pharmacol.39:49-27,199 0)。 信号タンパク質分子の一種である信号変換酵素(例えばタンパク質リン酸化酵 素及び脱リン酸化酵素)は、広く多様な刺激に対する細胞応答の媒介における中 心的役割を果たす。これらの酵素は頻繁に、細胞の「アンカー化タンパク質」と の相互作用を経て、特異的基質または細胞構成物の標的とされる(Hubbeard及びC ohen,Trends Biochem.Sci.18:172-177,1993)。これらのタンパク質のアンカー化 または区画化は、特定の刺激に対する特異的な応答の決定において重要であると 考えられる(Scott及びCarr,News Physiol.Sci.7:143-148,1992;Rubin,Biochem. Biophys.Acta 1224:467-479,1994;Mochly-Rosen,Science 268:247-251,1995) 。サイクリックAMP依存タンパク質リン酸化酵素A(PKAまたはA-リン酸化酵素) のアンカー化は、その制御サブユニット(R)がA-リン酸化酵素アンカー化タン パク質(AKAPs)中に位置する両親媒性ヘリックス結合領域に結合することにより 完了する(Carr et al.,J.Biol.Chem.266:14188-14192,1991)。 アンカータンパク質、または生細胞の細胞内空間において結合領域を有するこ とが知られるその他のタンパク質と相互作用するよう設計されたペプチドを含む 、in vitroで機能的活性を有することが知られる多くの異なるペプチドが、開発 および合成された。Ht31(DLIEEAASRIVDAVIEQVKAAGAY)等の、タンパク質リン酸 化酵素のアンカー化を阻害するペプチドは、アンカー化タンパク質と相互作用す るよう設計されたペプチドの分類に含まれる(Carr et al.,J.Biol.Chem.267(19) :13376,1992)。Ht31は、in vitroでの細胞抽出物を用いたPKAの制御サブユニッ トのアンカー化タンパク質への結合を阻害することが示されている。Ht31の配列 の由来であるPKA制御サブユニットは、本出願のいくつかの実施例において使用 される新規試薬のペプチド部分の合成に用いられた。Ht31等の、PKAのアンカー タンパク質への結合を阻害することで知られるペプチドは、本明細書中において 「アンカー阻害ペプチド」または(AIPs)と呼ばれる。 in vitroで機能的に活性であるペプチドは、対照ペプチドとして使用される不 活性ペプチドの開発または合成にも使用された。不活性ペプチドを生産するため に、活性ペプチドのアミノ酸配列においてなされる変更は、元の活性ペプチドの 、機能的活性の維持を保障するのに必須とみなされる構造である、推定α-ヘリ ックス構造に破壊的効果を有すると期待される。この種の変更された不活性ペプ チドは、機能的活性及び、由来である元のペプチドの他の性質の解析における対 照として使用された。各これら対照ペプチドの配列は、元のアミノ酸配列におけ る幾つかのアミノ酸残基を、著しく異なる構造を生産する傾向のある他のアミノ 酸残基に置き換えることにより、機能的活性類似物の配列から作られた(例えばC arr et al.,上述;及びRosenmund et al.,Nature 368:853-856,1994を参照)。 AIPsを神経または骨格筋細胞にマイクロインジェクションすることは、PKAの アンカー化及び、PKAのグルタミン酸受容体チャンネル(Rosenmund et al.,上述 )及び電位開閉カルシウムチャンネル(Johnson et al.,Proc.Natl.Acad Sci.US A91:11492-11496,1994)の調節を破壊することが示されている。しかし、マイク ロインジェクションは一般薬学的応用には非現実的である。もし、AIPs及び他の 機能的活性ペプチドを細胞内に導入するためのこれ以上現実的な手法が発見され れば、多くの応用、特に生細胞におけるサイクリックアデノシン1リン酸(cAMP )を媒介とした反応の操作及び制御を含む応用への可能性が引き出せる。 サイクリックAMP(cAMP)は、精子及び他の様々な繊毛細胞の運動性を媒介す ることで知られる(Satir,Modern Cell Biol.4:1-46,1985;Tash,Cell Motil.Cyto skel.14:332-339,1989;Marshall's Physiology of Reproduction,Lamming,ed., pp.379,Churchill Livingstone,New York,1990におけるBedfold及びHoskins)。 このヌクレオチドのレベルの増加は副睾丸における運動性の発達に関連する(Bed ford及びHoskins,上述;Hoskins et al.,J.Reprod.Fertil.37:131-133,1974)。細 胞透過性cAMP類似物、例えばcAMPホスホジエステラーゼ阻害物、及びアデニルシ クラーゼ活性化物、全ては数種の種由来の精子の運動性を刺激する(Garbers et al.,Biol.Reprod.7:132,1972;Garbers et al.,Adv.Cyclic Nucleotid Res.9:58 3-595,1978;Hoskins,Journal of Biological Chemistry 248:1135-1140,1973;Ho skins et al.,Biol.Reprod.13:168-176,1975;Vijayaraghavan及びHoskins,J.Cy clic Nucleotid Protein Phosphoryl.Res.10:499-510,1985)。cAMP上昇に対す る動力学的及び代謝応答は5から10分の間に起こることが発見された(Garbers et al.,Biol.Reprod.7:132,1972;Garbers et al.,Adv.Cyclic Nucleotid Res.9:5 83-595,1978)。 精子は核酸及びタンパク質合成活性を欠いていることが知られており、それに よりcAMP活性の標的の可能な範囲が相当減少する。精子は光学顕微鏡を用いて、 明瞭な細胞内構造を簡便に確認できることが判明している。精子の免疫金染色の 後の光学顕微鏡での検査を用いて、中央鞭毛の周囲に螺旋状に存在するミトコン ドリアの外膜にPKAアンカー化タンパク質のタイプ2型サブユニット(RII)が顕 著に局在することを示した(Lleberman et al.,J.Cell Biol.107:1809-1816,198 8)。進化的に制御された精子AKAP(すなわちAKAP-84)も精子ミトコンドリアに 局在する(Lin et al.,J.Biol.Chem.270:27804-27811,1995)。 サイクリックAMP及び、様々なタンパク質リン酸化酵素アンカー化制御タンパ ク質(例えばAKAPs)等の生細胞においてcAMPの生産を制御するタンパク質は、 精子細胞における動的反応の他、広く多様な細胞における多くの異なる反応を媒 介するのに重要である。例えば、AKAPsは培養海馬神経におけるシナプス機能の 制御に重要な役割を果たすことが判明している(Rosenmund et al.,上述)。 したがって、必要とされることは生細胞の細胞内空間に機能的に活性であるこ とが知られているペプチドを導入するための生成物または方法である。本明細書 中で使用される、「細胞内空間」という単語は細胞膜または細胞壁により区切ら れた細胞領域のことを言う。真核細胞の場合、細胞内空間とは、全ての細胞内小 器官及び細胞膜の内側表面から細胞質に突き出したタンパク質の領域を含む、細 胞の細胞質に含まれる全てのもののことを言う。特に必要とされるのは、AIPsを 生細胞の細胞内空間に導入する生成物または方法であり、さらに特に、特定のタ ンパク質リン酸化酵素が特定のタンパク質リン酸化酵素アンカータンパク質に結 合するのを阻害できるAIPsである。本明細書中において開示されるのは、これら 生成物、例えばアルキルペプチドアミド、及び少なくとも生成物のアミド部分を 生細胞の細胞内空間に導入するための方法である。 本明細書中において開示されるのは、これらアルキルペプチドアミドをHela細 胞におけるタンパク質リン酸化酵素Aの活性を阻害するために、及びタンパク質 リン酸化酵素AのRIIサブユニット及び精子その他様々な異なる器官におけるアン カー結合タンパク質との結合を阻害するために、合成及び使用する実施例もある 。 本発明の簡単な概要 本発明の基礎的側面は以下のとおりである。一つの側面において、本発明は、 アルキルペプチドであり、以下のものを含む: 少なくとも12の炭素原子を有するアルキル部分; 第一のタンパク質中の結合領域であって、生細胞の細胞内空間における第二の タンパク質に結合できる結合領域、に実質的に相同なアミノ酸配列を含む阻害領 域を有するペプチド部分;および アルキル部分とペプチド部分の間の結合。 他の側面において、本発明はアルキルペプチドであり、以下のものを含む: 少なくとも12の炭素原子を有しカルボニル末端を含むアルキル部分; 第一のタンパク質中の結合領域であって、生細胞の細胞内空間における第二の タンパク質に結合できる結合領域、に実質的に相同なアミノ酸配列を含む阻害領 域及びN末端を有するペプチド部分;および アルキル部分のカルボニル末端とペプチド部分のN末端の間のアミド結合。 他の側面において、本発明は上記薬学的受容輸送物において記載されたアルキ ルペプチドアミドを含む薬学組成物である。 さらに他の側面において、本発明は以下の工程からなる、生細胞における第一 のタンパク質の第二のタンパク質への結合を阻害するアルキルペプチドアミドを 使用する方法である: (a)第一のタンパク質、第二のタンパク質及び、細胞内空間において第二のタ ンパク質に結合可能な結合領域を少なくとも一つ有する第一のタンパク質が存在 する細胞内空間を囲む細胞膜を有する生存細胞を選択し; (b)少なくとも12の炭素原子からなるアルキル部分、カルボニル末端を有する アルキル部分; 阻害領域及びN末端を有するペプチド部分であって、但し阻害領域は第一 のタンパク質の第二のタンパク質への結合領域に実質的に相同なアミノ酸配列を 含む;および アルキル部分のカルボニル末端及びペプチド部分のN末端のアミド結合を 含むアルキルペプチドアミドを提供し;そして (c)ペプチド部分が細胞膜を透過し、第一のタンパク質が第二のタンパク質に 結合するのを阻害するために、生細胞をアルキルペプチドアミドにさらす。 本発明におけるアルキルペプチドアミドは、精子細胞及びHela細胞を含む生細 胞の細胞内空間にペプチド部分を導入するための効果的な送達系である。広く多 様な異なる種由来の精子細胞の運動性は、これらの細胞をAIPs形態のアルキルペ プチドアミド(すなわちアルキルAIPアミド)にさらされた後、阻害される。こ の本発明におけるアルキルペプチドアミドの最終形態(アルキルAIPアミド)は 薬学組成物に含まれ、単独でまたは他の避妊基質、例えばノノキシノール-9等の 殺精子剤との併用により避妊薬として使用されうる。 本発明におけるアルキルペプチドアミドの薬学組成物は、薬学的避妊薬組成物 、特にアルキルAIPアミドなど精子の運動性を阻害することが知られるアルキル ペプチドアミドを含む組成物を含む。本発明における薬学的避妊薬組成物は、例 えば性交渉前に膣を滑らかにするための、局部軟膏または外用水薬の形態で使用 されうる。本発明における薬学組成物の他の形態での応用は避妊技術において知 識を有するものには適切に見いだせる。本発明における避妊薬組成物は、精子の 運動 性を阻害することにより、最小限の副作用で卵の受精を妨げる事が可能である( 単独でまたは他の避妊技術との併用により)。 本発明における薬学的避妊薬組成物は副作用をほとんど生じないが、なぜなら 、(1)アルキルペプチドアミドのペプチド部分は本来の細胞内要素の配列に実質 的に類似であり;(2)アルキルペプチドアミド組成物の濃度が極めて低くとも精 子の運動性を阻害するのに効果的であり:そして(3)効果、すなわち精子運動阻 害は一時的であることが判明しており、すなわち精子がアルキルペプチドアミド を含む組成物に触れなくなれば、復帰するからである。 以下の詳細な開示により、本発明の組成物及び手法は、様々な異なる種より得 られた精子細胞及びヒーラ細胞(経代的に培養された細胞系列、元来ヒト子宮頚 管部組織の癌細胞由来)を含む様々な異なる型の細胞の細胞内空間にペプチドま たはペプチド模倣部分等の阻害部分を導入するために用いることができる。本発 明の側面は本明細書における開示の観点において当業者により見いだせる他の応 用においても有用性を有する。この側面の一つとしてある腫瘍細胞の癌化阻害が ある。全てのこれら他の応用は本発明の範囲に含まれる。 図面の簡単な説明 図1 生細胞の細胞内空間における、一組のcAMP依存性制御サブユニットタン パク質と膜結合アンカー化タンパク質との結合のアルキルAIPアミドによる破壊 の機構を示した模式図。 図2 PKIまたはs-PKI(N-ST-PKI)処理後の加工および分析中のHeLa細胞から得 られた阻害剤濃度に対するPKAリン酸化酵素活性のプロット。 図3 ウシ(B)、ヒト(H)、およびサル(M)から抽出した精子の、32P-標識のcAMP -依存性タンパク質リン酸化酵素AのサブユニットRIα,RIβ,RIIα,およびRII βのラウリル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)に対 するウエスタンブロット法の放射線写真。 図4 ウシ精巣上体の精子尾部を溶解および遠心分離により上清(S)および沈澱 (P)画分に分離し、抗RIIα,抗RIIβ,および抗RIβ抗体を用いてプローブ探査 したウエスタンブロット法/SDS-PAGEの放射線写真。 図5 32P-標識のRIIαまたはRIIβでプローブ探査したウシ、ヒト、およびサ ル に由来する精子抽出物のウエスタンブロット法/SDS-PAGEの放射線写真。 図6 20μMのアンカー阻害タンパク質Ht31,20μMのHt31ステアリルペプチド アミド型(s-Ht31)、または20μMのHt31対照ペプチドのステアリルペプチドアミ ド型(s-Ht31-P)の存在下または非存在下におけるRIIのウシ精子AKAPへの結合の 破壊を示したウエスタンブロット法/SDS-PAGEの放射線写真。 図7 50μM s-Ht31-P(対照)(x)、または5μM(●),10μM(■),または50μ M(◆)のHt31を含む緩衝液内での様々な時間の保温後の、試験中のウシ精子から 得た保温時間に対する対照の割合として表した前方運動性のプロット。 図8 緩衝液内での5分間の保温の後、様々な量のs-Ht31(◆)またはs-Ht31-P対 照(▲)を添加した後の試験中のウシ精子から得られたステアリルペプチドアミド (AIPの誘導体)の濃度に対する対照の割合として表した前方運動性のプロット。 図9 水(対照)または10μM s-Ht31で処理し、2mMカルシウム(+カルシウム)ま たは2mM EGTA(-カルシウム)を含む緩衝液内において様々な時間で回復処理した 後のウシ精巣上体の精子尾部から得た前方運動性指数のヒストグラム。 図10 水(対照)または10μM s-Ht31で処理し、2mMカルシウムおよび50mM炭酸 水素塩を含むまたは含まない緩衝液内において様々な時間で回復処理した後のウ シ精巣上体の精子尾部の前方移動性指数のヒストグラム。 図11 ジメチルスルホキシド(DMSO)(対照)および様々な量のステアリルAIPア ミドs-AKAP-97を含む緩衝液内で5または30分間保温した後のサルの射精した精子 の前方運動性指数のヒストグラム。 図12 無添加(対照)または100μM s-Ht31,2.5mM EGTA,または2.5mM EGTA+5 0μM s-Ht31を添加した後15分間保温した後の、生の精液または泳動(swim-up )分析後に回収したサルの精子の前方運動性指数のヒストグラム。 図13 無添加(対照)または100μM s-Ht31またはs-Ht31-Pを添加した後15分間 保温した後の、泳動(swim-up)分析後のヒトの射精した精子の前方運動性指数 のヒストグラム。 図14 50μM 2-クロロ-2’-デオキシアデノシン(CDA)および/または50μMの タンパク質リン酸化酵素阻害剤H-89の存在下または非存在下で15分間保温した後 の、ウシ精子の尾部および頭部の前方運動性指数のヒストグラム。 図15 図12に記載されている保温の後に続いてPKA活性の分析を行なったウシ 精子の尾部および頭部のPKA活性のヒストグラム。 図16 量を増加させたs-Ht31(◆),s-AKAP79(□),またはs-Ht31-P(対照)(△) を含む緩衝液内で5分間保温したウシ精子から得た、対照の割合として表される 前方運動性のプロット。 発明の詳細な説明 本発明のアルキルペプチドは、ペプチド部分またはペプチドメトリック部分に 結合したアルキル部分を含む。擬ペプチド部分は、アルキルペプチドのペプチド 部分の生物学的活性を模倣するアルキルペプチド以外の少なくとも一種の有機分 子から生産される部分から成る。本発明のアルキルペプチドは好ましくはアルキ ルペプチドアミドであり、より好ましくは、アルキルペプチドアミドは、ペプチ ド部分の末端の窒素残基(N末端)とアルキル部分の末端の炭素残基(カルボニル末 端)との間のアミド結合により連結された、アルキル部分およびペプチド部分を 含む。アルキル部分は少なくとも12個の炭素原子(カルボニル末端を含む)の飽和 した直鎖、または所望によりハロゲンまたは1個から6個の炭素原子および特にメ チルまたはエチル基などの非常に短いアルキル基を有する低分子アルキル基など の少なくとも1個のその他の成分に置換した、少なくとも12個の炭素原子鎖を含 む。アルキル部分は好ましくは少なくとも14個の炭素原子の飽和した直鎖であり 、最も好ましくは、ステアリル基(すなわち、カルボニル末端を有する直鎖の17 炭素原子鎖)である。 以下は、本出願の側面からみたアルキルペプチドアミドの詳細な説明である。 しかしながら、以下の詳細な説明は、本発明を本発明の特別な態様のみに制限す る意図のものではない。 N末端に加えて、ペプチド部分は、特定のタンパク質(第一のタンパク質)の結 合ドメイン、生細胞の細胞内空間における興味の対象である特定のタンパク質( 第二のタンパク質)を結合できる結合ドメイン内のアミノ酸配列に実質的に相同 なアミノ酸配列を含む阻害領域をも含む。ペプチド部分の阻害配列内のアミノ酸 配列は、好ましくは生細胞の細胞内空間におけるタンパク質リン酸化酵素を結合 することが可能である第一のタンパク質の結合ドメイン内のアミノ酸配列に実質 的に相同 であり、より好ましくはPKAを結合することが可能である結合ドメインである。 本発明のアルキルペプチドアミドの一つの好ましい側面においては、ペプチド部 分の阻害領域は第一のタンパク質の結合ドメイン内のアミノ酸配列に実質的に相 同なアミノ酸配列から成り、ここで第一のタンパク質はアンカー化タンパク質で あり、より好ましくは、PKAの制御サブユニットに結合することが知られている 、または考えられているAKAPの結合ドメインである。 ペプチド部分の阻害領域は、第二のタンパク質の第一のタンパク質の結合領域 への結合を阻害するための充分な長さを有しなければならない。ここでその部分 の阻害領域内のアミノ酸配列は第一のタンパク質の結合ドメインに実質的に相同 である。ペプチド部分全体の長さは、最も好ましくは、その部分の阻害領域が第 二のタンパク質と第一のタンパク質との結合を破壊するために充分無傷であると ともに、その部分が生細胞の細胞内空間内へと通過するために充分な長さを有す る。本発明のアルキルペプチドアミドのペプチド部分の構成成分全体の最小の長 さは好ましくはおよそ4アミノ酸残基であり、より好ましくは、およそ10アミノ 酸残基であり、および最も好ましくは20アミノ酸残基である。ペプチド部分全体 の最大の長さは好ましくはおよそ40アミノ酸残基以下であり、より好ましくはお よそ30アミノ酸残基以下であり、最も好ましくはおよそ25アミノ酸残基以下であ る。 アルキルペプチド部分を産生するために使用されたペプチドはいずれかの標準 的なペプチド合成法を用いて、好ましくは自動ペプチド合成機を使用して、より 好ましくは塩基を介した共役反応を利用した9-フルオレニルメトキシカルボニル (FMOC)化学を用いた自動ペプチド合成機を使用して合成することが可能である。 ポリペプチドは、本発明のアルキルペプチドアミドの作製において使用する前に 、当該技術分野において既知であるいずれかの適切なポリペプチド精製法(Shaw, C.,Methods in Molecular Biology 32:275-287 1994)を用いて精製することも また可能である。 アルキル部分のカルボニル末端はペプチド部分のN末端に結合して本発明のア ルキルペプチドアミドを形成している。好ましくはその結合は、ペプチドを分解 から保護するように設計された反応条件下での、ステアリン酸などの脂肪酸のカ ルボン酸末端と阻害領域を有するペプチドのN末端との反応による塩基触媒求核 付加 反応の間を通して形成されている。形式的には、反応は以下に記した通りである と考えられる: 式中、R1は少なくとも11炭素原子の飽和鎖であり、所望により上記のようにハロ ゲンまたは低分子アルキル基などの少なくとも一つの成分により置換される;式 中、R2はアミノ酸R基(例えば、A.L.Lehninger,Principles of Biochemistry,W orth Publishers,Inc.,1982,p.101におけるアミノ酸R基の説明を参照せよ)で ある;そして式中、R3はカルボキシル基を末端とする少なくとも4アミノ酸残基 のペプチド鎖である(すなわち、ペプチド部分のC末端)。 好ましくは、上記のように脂肪酸に露出される前に少なくとも一つのの実質的 に不活性な保護基に共有結合で連結させることにより、ペプチドを反応の間保護 する。脂肪酸は好ましくはペプチドに露出する前に活性化させる。好ましくは、 脂肪酸とペプチドの間の連結は、ジイソプロピルエチルアミンを用いた活性剤、 ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘ キサフルオロリン酸(BOP)または0-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3 ,-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)などの活性剤の存在下で 形成される。 上記の反応におけるアルキルペプチドアミドの形成は、反応混合物の試料をニ ンヒドリン(アミノ酸選択性青色染色)により染色するか、または生成産物のトリ フルオロ酢酸(TFA)による分解を含む、多くの異なる監視法のいずれか1種類によ って監視することが可能である。監視は好ましくは質量分析法および高速(また は高圧)液体クロマトグラフィー(HPLC)の組み合わせを用いて行なう。 上記のペプチド/脂肪酸連結反応のアルキルペプチドアミド生成物は好ましく はHPLCにより、そしてより好ましくはTFA/アセトニトリル緩衝液系を利用したC 8カラムを用いた逆相HPLCにより、反応溶液の他の内容物から単離する。アルキ ルペプチドの精製にHPLCを使用するなら、好ましくは、アルキルペプチドアミド を含む溶出液の画分を同定するために、好ましくは質量分析法を用いて、より好 ましくは飛行時間型(TOF)質量分析計を用いて溶出物を分析する。最大量のアル キルペプチドアミドを含む画分は次に好ましくは貯蔵し、最終的なアルキルペプ チドアミド産物の純度を確認するために再度分析する。 上記の好ましい手順に従って合成および単離したアルキルペプチドアミドは安 定化緩衝液内で室温またはそれ以下の冷所で保存することが可能であるが、より 好ましくは凍結乾燥した状態で保存する。窒素下の凍結乾燥状態で保存すること がさらに好ましい。 本発明のアルキルペプチドアミドは、ペプチド部分を、一つまたはそれ以上の 第一のタンパク質と一つまたはそれ以上の第二のタンパク質との間の結合を破壊 または阻害することが可能である生細胞の細胞内空間に導入するように設計され ている。得られたアルキルペプチドアミドの第一のタンパク質と第二のタンパク 質の結合を破壊または阻害する能力は、ペプチド部分の阻害領域の配列が、生細 胞の細胞内空間内において第二のタンパク質と結合可能であるような第一のタン パク質の結合ドメインの阻害領域内のアミノ酸配列にどれほど類似しているかに 依存する。好ましい側面において、アルキルペプチドアミドのペプチド部分の阻 害領域内のアミノ酸配列は、好ましくは第一のタンパク質の結合ドメインのアミ ノ酸配列に実質的に相同であり、より好ましくは、細胞の細胞内空間におけるタ ンパク質リン酸化酵素に結合することが可能な結合ドメインに実質的に相同であ り、最も好ましくは、AKAPのPKA結合ドメイン内の配列などの、アンカータンパ ク質のPKA結合ドメイン内のアミノ酸配列に実質的に相同である。最後の最も好 ましい型の配列を含むペプチドは一般にAIPとして既知である。本発明のアルキ ルペプチドアミドのこの特定の好ましい態様は、本明細書内でアルキルAIPアミ ドと呼称 される。 AKAPとPKAの相互作用を破壊するのに充分である構造特性を有する擬ペプチド などのその他の有機分子または非相同的なペプチドは、本明細書に記載されてい るアルキルAIPアミドのペプチド部分に置換することが可能であり、同様に精子 の運動性およびその他のAKAPによりアンカー化されたPKAを介した反応を阻害す るために使用することが可能である。 図1は、アンカー化タンパク質とPKAの制御サブユニットのホモ二量体との結合 を阻害するための、アルキルAIPアミドと膜結合アンカー化タンパク質との相互 作用を示した機構の模式図である。そのような結合阻害剤の非存在下では、アデ ニル酸シクラーゼ(膜結合酵素)などのcAMP産生酵素はリガンド(ホルモン、神経 伝達物質など)または活性化因子(フォルスコリンまたはcAMP類似体)によって活 性化することが可能である。二次メッセンジャーであるcAMPは次に、PKAと相互 作用し、制御サブユニットのホモ二量体をPKAの触媒サブユニットから分離させ る。次に制御サブユニットは膜に移動し、そこでアンカー化タンパク質に結合す る。PKAの制御サブユニットとアンカー化タンパク質との結合を阻害または破壊 することによって、本発明のアルキルAIPアミドはアンカー化タンパク質と制御 サブユニットの相互作用を介した生理的な機能を阻害する。 図1は本発明のアルキルペプチドアミドの一つの態様の挙動の、単に一つの可 能な様式を説明しているに過ぎない。本発明はいずれかの仮説またはいずれかの 仮定された様式に限定されるものではない。このように、図1の機構模式図また はこの直前に記載された内容は本発明の範囲を限定する意図のものではない。 本発明は上に一般的な語句で記載されており、以下に定義や例を通して多くの 詳細を記載しているアルキルペプチドまたはアルキルペプチドアミドの局面に限 定されるものではない。本発明は、アミド結合を通して阻害剤部分と結合するア ルキル部分を含むあらゆるアルキル阻害剤アミドを包含するが、ここにおいて阻 害剤部分は生細胞の細胞内空間における第一のタンパク質と第二のタンパク質と の結合を阻害または破壊する能力をもつ阻害領域を含む。阻害剤部分は好ましく はペプチド部分または擬ペプチド部分であり、ここにおいて擬ペプチド部分はペ プチド以外の少なくとも一種類の有機分子から産生された部分から成り、ペプチ ド阻害剤部分の生物学的活性を模倣する。 ペプチド阻害剤部分の阻害領域は、生細胞の細胞内空間における第一のタンパ ク質と第二のタンパク質との結合を阻害または破壊する能力をもつアミノ酸残基 の配列から成る。そのようなペプチド部分の阻害剤領域のアミノ酸残基の配列は 、無作為の配列をもつ一連のペプチドの合成および試験により、標的となる阻害 効果を産生する配列が同定されるまで選択することが可能である。このような検 索方法を利用した場合、その結果生じた阻害剤領域配列は、第一または第二のタ ンパク質のいずれかの結合ドメインに必ずしも実質的に相同である必要はない。 しかしながら、最も好ましい局面においては、本発明のアルキルペプチドアミド の阻害剤領域内のアミノ酸配列は、生細胞の細胞空間において第二のタンパク質 と結合することが可能である第一のタンパク質の結合ドメイン内の少なくとも一 種類のアミノ酸残基配列と実質的に相同である。 本発明のアルキル擬ペプチドアミドは、好ましくは、脂肪酸分子のカルボン酸 末端におけるカルボキシル残基を擬ペプチド部分前駆体の末端におけるアミン残 基に連結させるアミド結合を形成することによって産生される。擬ペプチド部分 の阻害剤領域の組成は、本発明のアルキルペプチドアミドのペプチド部分の阻害 剤領域の阻害または破壊機能を模倣することで選択される。本発明のアルキル擬 ペプチドアミドの阻害機能は好ましくはアルキルペプチドアミドのものと類似し 、より好ましくはアルキルペプチドアミドのものと同じ程度であり、最も好まし くはアルキルペプチドアミドのものより高い。そのような阻害剤能力を有する擬 ペプチド分子の産生のための方法は既知である。(例えば、Eicherら、Med.Res .Rev.,15:481-496,1995,本明細書の参考文献に含まれている、を参照せよ) 。 アルキル阻害剤アミドのペプチド部分は、ペプチド分子のいずれかの末端にお けるアミノ基とのアミド結合を形成することによって産生される。通常は、ペプ チド分子は唯一のN末端を有している。しかしながら、ペプチド分子のカルボキ シル酸末端(すなわちC末端)はその末端のヒドロキシル基をアミノ基によって置 換することによって修飾することが可能であり、それにより第二のN末端を生じ る。 好ましい態様の定義および詳細 本発明の好ましい態様の以下に示す定義および付加的な詳細は、本発明の組成 物を理解し、作製し、使用する、当該技術分野において通常の知識を有する者を 案内することを提供する。ここに使用した共通の用語の定義は、Rigerら、Gloss ary of Genetics:Classical and Molecular,第5版、Springer-Verlag:New York ,1991;およびLewin,Genes V,Oxford University Press:New York,1994にお いて見られる。本明細書においては、標準的なアミノ酸残基の1文字表記を使用 している。 「アンカー化阻害ペプチド」アンカー化阻害ペプチドまたはAIPは、(1)少なく とも4アミノ酸の長さである;(2)両親媒性のα-ヘリックス構造を有する;(3)PK Aに結合する;(4)PKAのAKAPへの結合を妨害する、ペプチドとして定義される。 PKAの細胞下の局在は制御(R)サブユニットを通して指示される。2個のRサブユ ニットのクラス、RIおよびRIIがあり、各々I型およびII型のホロ酵素を形成する 。II型PKAは全ての真核細胞に存在するが、I型PKAの組織分布はさらに制限され ている。II型PKAの局在はRIIのAKAPとの結合により方向決定される。組織特異的 なAKAP局在はタンパク質ブロット技術またはRII親和性カラムにおける画分化に より検出される。 これまでに同定されているすべてのAKAPはRII結合の原因である両親媒性ヘリ ックスドメインを有する(Carrら、J.Biol.Chem.266:14188-14192,1991;Carr ら、J.Biol.Chem.267:13376-13382,1992;Carrら、J.Biol.Chem.267:1681 6-16823,1992;Coughlanら、J.Biol.Chem.269:7658-7665,1994;McCartneyら 、J.Biol.Chem.270:9327-9333,1995)。 「両親媒性ヘリックス」両親媒性ヘリックスは、らせんの長軸に沿った方向を 向いている親水性および疎水性の正反対の側面を有するαヘリックスである。以 下の実施例3で議論するように、AIPなどの、機能的に活性をもつペプチドのαヘ リックス構造を実質的に破壊することにより、AIPのRIIへの結合などの機能活性 が減少または消滅する。 AKAPのRII結合性両親媒性ヘリックスは、計算機による二次構造予想法により 同定することが可能である(Eisenbergら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:140- 144,1984)。およそ14アミノ酸残基の両親媒性ヘリックスモチーフの特色は、タ ンパク質の直線配列内における疎水性および親水性のアミノ酸の交互の組の順序 だ った配置である。さらに、各々のRIIアンカー化タンパク質は、ヘリックスの親 水性の側面上に分布する酸性のアミノ酸を有する。特に、3番目の位置にあるグ ルタミン酸残基は大部分の野生型AKAPの両親媒性ヘリックスの最初の曲り角に位 置する。 同じ計算機による二次構造予想法(またはその方法およびライブラリー検索法 の組み合わせ)は、AKAPおよび特異的な第二のタンパク質に結合すると考えられ るその他の第一のタンパク質の領域内の両親媒性ヘリックスモチーフを同定する ために使用することが可能である。同定されたモチーフ内のアミノ酸配列は引き 続き、以下に示す同定された特異的なAIP配列と同等な破壊能力を有するペプチ ドを得るために使用することが可能である。 好ましくは、AIPは「生来の」(自然に起こる、または野生型の)AKAPのRII結合 部分のアミノ酸配列と実質的に同一な、またはより好ましくは同一な、アミノ酸 配列を含む。付加的なアミノ酸残基は、AIPのPKAへの結合を妨害しないように、 好ましくはAIPのアミノ末端またはカルボキシル末端に含まれる。 RIIを結合することが予想される両親媒性ヘリックス配列は以下の表1に列挙 した配列を含むが、これに限定されるものではない: 表 1 名前 AKAPアミノ酸残基 アミノ酸配列 Ht31 494-507 LIEEAASRIVDAVI MAP2 87-100 TAEEVSARIVQVVT AKAP 150 429-442 LIETASSLVKNAIE AKAP 79 392-405 LIETASSLVKNAIQ AKAP 95 642-659 EVAAEVLAEVITAAVKAV AKAP 100 396-411 IIDMASTALKSKSQ AKAP 220 905-918 LAEKIVAEAIEKAE AKAP 84 355-376 VISEATEQVLATTVGKVAGRVC (Carrら、J.Biol.Chem.266:14188-14192,1991;Carrら、J.Biol.Chem.267 :13376-13382,1992;Carrら、J.Biol.Chem.267:16816-16823,1992;Coghlan ら、J.Biol.Chem.269:7658-7665,1994;McCartneyら、J.Biol.Chem.27 0:9327-9333,1995;Carrら、J.Biol.Chem.267:13376-13382,1992)。すぐ上 に挙げられたいずれの配列も、本発明のアルキルペプチドアミドのアルキル部位 への取り込みに適している。 野生型AKAPポリペプチドのRII-結合ドメインの配列、即ち"天然の"AIP"配列は 例えば疎水性アミノ酸残基をその他の疎水性残基で置換すること、または親水性 残基をその他の親水性残基で置換することにより修飾され得る。好ましくは、酸 性残基は他の酸性残基で置き換えられる。AKAPのRII-結合領域の予測された両親 媒性ヘリックス領域の外側に存在する残基は領域全体の配位を安定化することに よりRII結合を増強してよく、好ましくはAIP配列に含まれる。結果として、ヘリ ックス形成配列の周辺のAKAPのRII-結合領域由来の付加的な配列を含むAIPおよ びアルキルAIPアミドが好ましい。14アミノ酸残基よりも短いAIPをRIIに結合し てもよい。 適切なAIP配列はRIIに結合するペプチドの検索によっても同定され得る。少な くとも約14アミノ酸残基の両親媒性ヘリックスを形成すると期待される無作為な ペプチド配列がコンピューターによる解析によって同定されるはずである。もし くは、そのような配列は、コンビナトリアルケミストリー、および発現ライブラ リーの手法(例えば、ペプチドが読み枠の合った状態でファージの外殻構造タン パク質に連結されたものを含むファージ発現ライブラリー)を含むがそれらに限 定されない方法を含む慣用法を用いてPKA調節サブユニットに対する結合に関し て検索することにより同定され得る。下記の例およびCarr et al.(J.Biol.Ch em.266:14188-14192,1991)は、例えばRIIに結合するポリペプチドについてファ ージ発現ライブラリーを検索するのに有用なRIIゲルオーバーレイ法のような様 々な試験について論じている。 本発明の好ましいアルキルAIPアミドの作成に用いられるAIPは標準的な合成技 術、好ましくは化学合成により生産される(例えばMerrifield,J.Amer.Chem.S oc.85:2149-2156,1963を参照)。あるいは、AIPは、標準的な遺伝子工学技術に より、即ち適切な宿主細胞中でのAIPをコードする核酸配列の発現により、生産 され得る。AIPはPKAに対する結合が融合の相手によって有意に減少させられない のならば、融合ポリペプチドとして発現してよい。様々な宿主細胞中でのポリペ プ チドの発現に関する案内としては、たとえばMolecular Cloning:A Laboratory M anual,2nd ed.,vol.1-3,ed Sambrook et al.,Cold Spring Harbor Laborat ory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989,およびCurrent Protocols i n Molecular Biology,ed,Ausubel et al.,Greene Publishing and Wiley-Int erscience,New York,1987(定期的な更新有り)を参照されたい。 アルキルAIPアミドは細胞膜を透過すること、および生きた細胞の細胞内にAIP ペプチド部位を導入し、そこでPKAのAKAPに対する結合を競合的に阻害させ、細 胞応答に対するPKAによる調節を失わさせることが可能である。本発明のアルキ ルAIPアミドのいくつかは、アルキルAIPアミドの形で精子に対して導入された場 合、時間および濃度に依存した様式で精子の運動をも阻害する。そのようなアル キルAIPアミド(例えばs-Ht31)による精子運動の阻害は懸濁緩衝液中にカルシウ ムが存在する場合においてのみ可逆的である。最近用いられるほとんどの殺精子 剤は膣腔内に存在する細胞に悪影響をもたらす非特異的な殺傷成分(例えばノノ キシノール-9)を用いている。本発明のアルキルAIPペプチドは精子の運動を完全 に阻害する濃度において最小の副作用しか持たないことが期待される。 ペプチド配列の相同性。本発明の各アルキルAIPアミドのペプチド部位の阻害 剤領域は、天然のAKAP由来のポリペプチドと、少なくとも約70%、好ましくは少 なくとも約80%、さらに好ましくは少なくとも約95%の相同性である。本発明の任 意のアルキルペプチドアミドの阻害剤領域が、第二のタンパク質に結合できる第 一のタンパク質と"実質的に相同である"と述べられるのは、そのアルキルペプチ ドアミドが、同一の第一のタンパク質の同一の領域に相同な阻害性領域を持つア ルキルペプチドアミドと同等に、そのような結合を阻害できる場合である。アル キルAIPアミドを含む本発明のアルキルペプチドアミドのもっとも好ましい態様 は、そのような"実質的な相同性"をもつか、または充分な破壊または結合阻害能 を示す。 ペプチドの相同性は典型的な場合、Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,Madison,Wisconsinより入手できるSequenc e Analysis Software Packageのような配列解析ソフトウェアを用いて解析され た。" 単離され"、"精製され"、"均一な"ペプチドまたはポリペプチド。例えば細 胞成分(核酸、脂質、炭水化物およびその他のペプチド種)のような精製の際に入 り込 む混入物から実質的に分離されている場合に、ペプチドは"単離"されている。そ のようなペプチドまたはポリペプチドは"純粋な"または"均一な"または"有意に 純粋または均一な"とも呼ばれる。例えば、重量で試料の少なくとも60-90%、好 ましくは95%またはそれ以上、より好ましくは99%以上がペプチドで構成されると き、AIPは単離されている。純度または均一さはタンパク質試料のポリアクリル アミドゲル電気泳動およびその後の適切な試薬によるポリアクリルアミドゲルの 染色に際しての単一バンドの可視化、または高速液体クロマトグラフィ(HPLC)の ような慣用的な検査法を用いて決定される。 非天然配列をもつAIP部位。好ましくは、天然のAKAP配列に対する修飾は"保存 的な"アミノ酸置換からなる。"保存的な"アミノ酸置換は以下の表2に挙げられ たものを含む。 表 2 もとの残基 保存的な置換残基 アラニン(A) G アルギニン(R) K アスパラギン(N) Q,H アスパラギン酸(D) E システイン(C) S グルタミン酸(E) D グリシン(G) A グルタミン(Q) N,H ヒスチジン(H) N,Q イソロイシン(I) L,V ロイシン(L) I,V リジン(K) R メチオニン(M) L,I フェニルアラニン(F) L,Y プロリン(P) G セリン(S) T スレオニン(T) S トリプトファン(w) F,Y チロシン(Y) W,F バリン(V) L,I "非保存的な置換"はある第2の(PKAのような)タンパク質の(AKAPのような)第1 のタンパク質に対する結合を、第1のタンパク質の結合ドメインに相同な配列を 持つ(AIPのような)ペプチドと比較して少なくとも50%減少させるペプチドを産す るアミノ酸置換である。そのような置換は25%またはそれ以下しか結合を減少さ せないことが好ましく、さらには結合に影響を及ぼさないことがより好ましく、 もっとも好ましいのは結合を上昇させることである。非保存的な置換は、(a)ペ プチドの3次構造;(b)ペプチドの電荷または疎水性;または(c)アミノ酸側鎖の体 積の変化により起こり得る。タンパク質の性質を最も大きく変化させることが一 般的に期待される置換は、(a)一般的に親水性のアミノ酸残基が一般的に疎水的 なアミノ酸残基により置換される、またはそれらを置換する場合;(b)プロリン残 基がその他の残基のいずれかにより置換されるまたはそれらを置換する場合、ま たは(c)例えばフェニルアラニン残基のようなかさばる側鎖をもつアミノ酸残基 が、例えばグリシン残基のようなそのような側鎖を持たない残基により置換され る、またはそれらを置換する場合である。好ましくは、例えばリジン、アルギニ ンまたはヒスチジン残基のような一般的に正電荷をもつ側鎖をもつアミノ酸残基 が例えばグルタミンまたはアスパラギン酸のような一般的に負電荷をもつ側鎖を もつ残基により置換されるかまたはそれらを置換することはない。 アルキルAIPアミド。アルキルAIPアミドはアルキル基を上記のAIPのN末端に連 結することにより生産された本発明のアルキルペプチドアミドの1形態である。 アルキルAIPアミドの最も好ましい形態は、ステアリルAIPアミドであり、そこに おいてアルキル部位は直線的な側鎖、飽和しており18炭素原子の長さのアルキル 基を含むことが望ましい。最も好ましい形態においては本発明のアルキルAIPア ミドは細胞膜(例えば精子細胞膜)を透過することが可能であり、細胞内における PKAのAKAPに対する結合に影響を及ぼし得る。 本発明のアルキルAIPアミドの最も好ましい形態は、例えば局所的な投与、注 入 (例えば関節炎患者を治療するためには関節へ注入する)または、当該技術分野に おいて良く知られた方法によるAIPの細胞または組織特異的な投与によって、PKA 活性が標的細胞においてのみ、または標的細胞が一次的に影響されるような方法 で投与されることが好ましい。 薬学組成物。本発明の薬学組成物の記載を以下に提供する。特に好ましい形熊 の本発明のアルキルペプチドアミド、即ち精子の運動性を阻害することができる アルキルAIPアミドの組成物の記載、およびそれらの避妊組成物における利用に 、特に重点が置かれる。しかしながら、以下の教示は、特化した避妊組成物を特 異的に指向するものでさえも、本発明のその他のアルキルペプチドアミドの薬学 組成物の製剤化と同等に適用され得る。本発明の組成物及び方法が当該技術分野 における技術を有するものに対して、ヒトおよび家畜に関する多くの変更物を示 唆することが意図される。 本発明は"有効量の"アルキルAIPアミドまたはアルキルAIPアミドの混合物およ び一つまたはそれ以上の非傷害性の薬学上適切な担体、賦形剤、希釈剤、および またはアジュバントを含む薬学組成物を含む。アルキルAIPアミドの"有効量"は 例えば標的細胞中でPKAのAKAPに対する結合に実質的に干渉し、少なくとも約50% 、好ましくは少なくとも約75%および最も好ましくは少なくとも約90%細胞中での PKA活性を減少させるのに有効な量である。避妊組成物に対してはアルキルAIPア ミドの有効量は少なくとも約50%、好ましくはは少なくとも約70%、より好ましく は少なくとも約80%、および最も好ましくは少なくとも約90%精子の運動性を減少 させるのに有効な量である。 例えば体重kgあた0.05から約20mgの投与率は治療されるヒトまたは動物の性質 および体重の関数である。対象に送達される生物学的に活性のある任意の物質の 投与単位は、例えば、治療の条件、製剤の性質、条件の性質、請求された薬学組 成物の態様、投与の様式および患者の条件及び体重、および用いられる特定の物 質の活性に依存する。例えばThe pharmacological Basis of Therapeutics,Goo dman,Gilman,et al.,eds,Macmillan,New York,1994,およびPrinciples of Pharmacology,Munson et al.,ed.,Chapman & Hall,New York,1995を参照の こと。Remington's Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton, Pennsylvania,latest editionに開示された技術のような標準的な薬学組成物は 任意の薬学組成物の能力の試験において用いられることが好ましい。 本発明のアルキルペプチドアミドの薬学組成物または薬剤は様々な任意の経路 で投与するために製剤され得る。組成物は例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒 、甜剤、糖剤、丸剤、アンプル、座薬、または経口、局所、または滅菌非経口溶 液または懸濁物のような液体またはゲル調製物も形態で有り得る。避妊の場合は 、薬剤は例えば座薬、泡、ゲル、またはクリームの形態で製剤されるか、または コンドーム、ペッサリー、子宮頚部キャップ、スポンジ、またはその他の慣用的 な交接前の避妊用障壁に付加されることが好ましい。 経口投与用の錠剤およびカプセルは単位-投与量の表示に適した形態で有り得 、そして慣用的な希釈剤および賦形剤を含み得る。本薬学組成物は一般的に全組 成物中に重量で0.5から90%のアルキルペプチドアミドを含み得る。薬学組成物 および薬剤はアルキルペプチドアミドに加えて、またはアルキルペプチドアミド と共に、その他の薬学上活性のある化合物をも含み得る。 避妊用にはアルキルAIPアミドまたは複数のアルキルAIPアミドの組み合わせに 、一つまたはそれ以上の、例えばノニルフェノキシポリエトキシエタノール(ノ ノキシノール-9)、p-ジイソブチルフェノキシポリエトキシエタノール(オクト キシノール-9)、ゴッシポル、グラミシジン、ニーム草抽出物(Praneem)、リータ サポニン、キニン塩酸などのようなその他の避妊物質を組み合わせてよい。ノノ キシノール-9およびオクトキシノール-9は細胞膜を破壊し、それによりそれらの 物質が接触した精子を殺す界面活性剤である。アルキルAIPアミドは、精子の運 動性を界面活性剤が精子細胞に接触して細胞を殺すのに充分なだけ長く阻害する ことで、そのような界面活性剤と協同して働き得る。アルキルAIPアミドの運動 性阻害効果により、アルキルAIPアミドおよび例えばノノキシノール-9を組み合 わせた避妊組成物は、ノノキシノール-9が単独で用いられる場合よりも少ない量 のノノキシノール-9を用いてよい。局所的な(女性の)避妊に加えて、アルキルAI Pアミドの投与が精子の運動性に影響を与えるために適切な部位を標的とする系 統的な(男性の)避妊もまた考慮される。 充分な濃度のカルシウムはアルキルAIPアミドによる精子運動性の阻害を克服 し 得る。このため、非傷害性のキレート試薬(EDTAまたはEGTAなど)または、リン酸 のようなカルシウムイオンと組み合わさって不溶性の産物を形成する陰イオンが 本発明の避妊組成物に含まれることが好ましい。 本発明の薬学組成物が希釈剤および/または賦形剤を含むことがさらに考慮さ れる。本発明の薬学組成物における使用に適した希釈剤および賦形剤は、シロッ プ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカンス、カルボキシメチルセル ロース、およびそのほかのセルロース誘導体、アルギン酸、およびポリビニルピ ロリドン、のような結合試薬、糖、スターチ、リン酸カルシウム、ソルビトール 、マンニトール、またはグリシンのような充填剤および展開剤、ステアリン酸マ グネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカのような錠剤化潤 滑剤、馬鈴薯スターチのような崩壊剤、またはラウリル硫酸ナトリウムのような 適切な湿潤化試薬、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭化エチ ル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリ コール、1.3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油脂(例えばピーナ ッツ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレング リコール、およびソルビトールの脂肪酸エステルおよびそれらの混合物のような 希釈剤、を含む。錠剤は慣用的な方法により被覆され得る。 本発明の薬学組成物は経口液体調製、または使用前に水またはその他の適切な 媒体により還元されるように設計された乾燥調製物を含んでよい。本発明の薬学 組成物に含まれることを考慮された適切な経口液体調製物は、懸濁物、溶液、乳 液、シロップまたは万能薬の形状の調製物を含む。適切な液体調製物はまた、例 えばソルビトール、メチルセルロース、グルコース、ゼラチン、または水素化さ れた食用油、等の懸濁試薬、例えばレクチン、ソルビタンモノオレエート、また はアカシア等の乳化剤、例えばアーモンド油、分画化されたココナッツオイル、 グリセリンやプロピレングリコールのような油脂性エステル、またはエチルアル コールなどの非水性媒体、メチルまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエートま たはソルビン酸のような保存料のような慣用的な添加物をも含み得る。 本発明の薬学組成物はまた、例えばメタジサルファイトナトリウムまたはリン 酸緩衝液のような緩衝液、フェニル水銀酢酸または硝酸、塩化ベンザルコニウム またはクロルヘキシジンを含む殺細菌剤および防菌剤のような保存料、ヒプロメ ロースのような濃縮剤、または香料または着色料のような添加物をも含んでよい 。 本発明の薬学組成物、特にアルキルAIPアミドの避妊組成物は局所的に投与さ れ得る。皮膚に対する局所的な投与に関しては、アルキルペプチドアミドは慣用 的な物質を用いてクリーム、ローション、または軟膏にされ得る。眼に対する局 所的な投与に関しては、本発明のアルキルペプチドアミドは適切な水性または非 水性の滅菌された媒体中の溶液または懸濁液にされ得る。 本発明の薬学組成物はまた滅菌的な溶媒中で非経口的に投与され得る。薬剤は 、用いられる媒体または濃度に応じて、媒体に溶解または懸濁され得る。局所麻 酔剤、保存料および緩衝剤のようなアジュバントもまたは媒体中に溶解され得る 。注入可能な形態の本発明のヤ組成物のための一般的に使われる賦形剤は、生理 食塩水、Hank's solution、リンガー液、およびそれらの類似物を含む。注入は 例えば静脈内、筋内、腹腔内、または皮下になされ得る。 本発明の薬学組成物は経皮的または経粘膜的に、バイル塩、フシジン酸誘導体 、コリン酸およびそれらの類似物のようなこれらの組織の透過に効果を持つ試薬 を含むことにより投与され得る。 本発明のアルキルペプチドアミドの合成、精製および精子細胞およびヒーラ細 胞という2つの異なる生きた細胞種における使用を単に描写することを意図した 以下の実施例を参照することにより、本発明はよりよく理解され得る。しかしな がら、本発明の範囲は、以下の実施例において用いられる特定の種、組成物およ びアルキルペプチドアミドの使用法に限定されると考えられるべきではない。 実施例1-ステアリルペプチドアミド合成および精製 本明細書の以下に記載されるペプチドは全て(Hopkinton,Massachusetts,USA の)Quality Controlled Biochemicals,Inc.により塩基仲介結合を用いた9-フ ルオネリルメトキシカルボニル(FMOC)化学を用いて自動化合成機上で合成された 。選択された活性化剤はジイソプロピルエチルアミンを溶媒として用いたBOPま たはHATUであった。ステアリン酸は保護されたペプチドの遊離のアミノ末端への 結合の活性化剤とともに加えられた。ステアリン酸化の進行はニンヒドリン、TF A試験解裂、または質量分析またはHPLC解析により監視された。 ステアリン酸化された最終ペプチド産物はTFA/アセトニトリル緩衝液系を用い たC8カラムを用いた逆相HPLCにより精製された。正確なピークを同定し、純粋な 物質の回収を可能にするためにTOFマススペクトロメトリー解析機を用いてステ アリン化された物質の分子量の確認が行われた。プールされた分各の解析的HPLC 図により期待された純度が確認された。プールされた分画は窒素下で乾燥粉末に なるまで凍結乾燥された。構築され以下の実施例に用いられたステアリルペプチ ドアミドは以下のものである。 s-PKI: ステアリル-TTYADFIASGRTGRRNAIHDアミド s-Ht31:ステアリル-DLIEEAASRIVDAVIEQVKAAGAYアミド s-Ht31-P:ステアリル-DLIEEAASRPVDAVPEQVKAAGAYアミド s-AKAP79:ステアリル-YETLLIETASSLVKNAIQLSIEアミド 実施例2-ステアリルPKIアミドによるヒーラ細胞のPKAの阻害A.cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素阻害剤ペプチドの特徴 : 上記のPKIペプチドは精製されたPKAに対してナノメーター領域でのIC50を持ち 、細胞抽出物の形態で供給されたPKAに対してマイクロメーター領域でのIC50を 持つ非常に有効な阻害剤として知られている。本明細書において用いられる"IC5 0 "なる語はPKAの酵素活性を50%減少させるのに必要な阻害剤濃度を指す。ステア リルPKIアミド、s-PKIが濃度依存的な様式で細胞抽出物中のPKAの活性サブユニ ットの酵素活性を阻害し、ステアリル化されていないPKIに対するのと同様のIC5 0 を有することをこの結果は示した。上記の実施例1に記載されたようにステアリ ル部位を付加することによりs-PKIを産するPKIの修飾がPKAに対する阻害能を変 化させないことを示した(図2を参照)。 上記の結果はs-PKIのPKAの活性に与えるin vivoでの効果を試験するために設 計された実験を導いた。これらの研究のモデルとしてヒーラ細胞が選ばれた。し かしながら、PKAは普遍的に存在する酵素であるため、他のいかなる細胞もこの 特定のステアリルペプチドアミドPKIの阻害能を試験するのに用いられ得た。い かなる細胞におけるPKAの活性化も二次伝達物質であるcAMPの利用可能性に依存 する。したがって、アデニル酸シクラーゼ酵素を活性化または阻害するいかなる 試薬も従って内在的なcAMPの濃度を上昇または減少させ、PKAの活性を変化させ 得る。 植物アルカロイド、フォルスコリンはヒーラ細胞において内在的なcAMP量を有 意に増大させるアデニル酸シクラーゼの有効な活性化因子として知られている。 この試薬はヒーラ細胞中のcAMP量を有意に増大させるのに充分であると知られて いる濃度で培養液中に加えられることにより、本明細書に報告される研究におい て用いられた。本研究において用いられたヒーラ細胞は100μMのフォルスコリ ンまたは溶媒の対照として同量のDMSOを含むDulbecco's Modified Eagle Medium (DMEM)およびウシ胎児血清(FBS)の混合物中で生育させられた。 修飾されていないPKIがPKAに対して試験され、s-PKIのそれと比較された場合 、s-PKIはヒーラ細胞におけるin vivoで、培養液への阻害剤の付加後60分以内に PKAの酵素活性を阻害したことが観察され、その阻害は基本(フォルスコリン無し )およびフォルスコリン-刺激細胞の両方について観察された。対照的に、修飾さ れていないステアリル化されていないPKIはPKAの酵素活性に対していかなる有意 な阻害効果も持たなかった。B.ヒーラ細胞の治療に用いられるsPKIの濃度効果 ヒーラ細胞の培養は以下のように、異なる量のs-PKIを用いてフォルスコリン の存在下または非存在下で行われた。約106個のヒーラ細胞は5ミリリットル(ml) DMEM/10%FBS媒質を含む75平方センチメートル(cm2)フラスコ中で、0,10,25,50 および100マイクロモル(μM)のs-PKI存在下で30分保温された。細胞はついで フォルスコリン(100μM)または同じ体積の媒体対照(0.1%DMSO)を添加した培 地溶液(DMEM/10%FBS)に移され、さらに30分保温された。 二回目の30分の次に、細胞は回収され、以下のような処理をうけた。細胞はま ず始めに付着する阻害剤または他の付着する物質を取り除くために洗浄され、さ らに、血清の入っていないDMEMの中へ掻きおとされた。その結果得られた細胞は さらに溶菌緩衝液の中で溶菌され、溶菌液が得られた。溶菌液は遠心分離され上 清はGoueli,et alら(Anal.Biochem.225:10-17,1995)に記載されたようにPKA キナーゼ活性の検定の用いられた。タンパク質濃度は本発明に参照により編入さ れた前述の参考文献において記載された検定プロトコールを用いて決定された。 この検定の結果は下の表3に表示されている。 表 3 s-PKI PKI活性 パーセント 濃度(μM) (pmoles32P/分/μgタンパク質) 阻害 0 3.258 0 10 2.536 22 25 2.456 25 50 1.775 45 100 0.80 75C.s-PKIの存在下での保温時間がヒーラ細胞に与える効果: 下の表4は、ヒーラ細胞の中のPKAのキナーゼ活性に対するs-PKIの保温時間の 効果を決定するために行われた特異的研究の結果を示している。ヒーラ細胞は様 々な長さの時間、s-PKIを添加した培地で培養され、PKAキナーゼ活性への阻害効 果が測定された。ヒーラ細胞(一皿あたり106細胞)が10%FCSの添加されたDMEM 培地中で成長させられ、新鮮な培地が阻害剤(s-PKI)存在下または非存在下で、 様々な時間(0,1,2,および3時間)、細胞回収前30分の100μMのフォルスコリンの 添加の有る状態および添加が無い状態で付加された。 ついで回収された細胞は処理され、PKAキナーゼ活性が次のように検定された 。培地は取り除かれ、細胞は新鮮な培地の中で何度か洗浄され、ついで溶菌緩衝 液を用いて溶菌された。溶菌液は遠心分離され、上清はGoueli,et alら(1995)An al.Biochem.225:10-17)によって記載されたようにPKAキナーゼ活性の検定に用 いられた。タンパク質濃度は出版されているプロトコール(Id.参照)を用いて 決定された。 表 4 保温時間(時間) PKA活性(pmoles32P/分/μg 残った活性 タンパク質) パーセント 0 2.84 0.0 1 1.432 50.4 2 1.791 63.0 3 1.996 70.3 表4におけるデータはs-PKIが培地での数時間後に阻害剤としての効果を失っ た ことを示している。フォルスコリンの存在は、活性にいかなる効果も与えないこ とが明らかになった。これらの結果は、s-PKIは外因性のまたは分泌されたプロ テアーゼ(またはエステラーゼ)によって分解される、またはs-PKIが細胞内的 に分解されることを示唆い得る。 時間超過後のPKA活性阻害剤としてのs-PKIの効果の明らかな減少は様々な方法 の一つによって説明でき、妨げられ得る。例えば、s-PKIは数時間ごとに培地に 追加され、その培地はこの例において以上に頻繁に補充され得る。または、新し いステアリルペプチドアミドがPKI配列の部分集合によって設計され、結果とし て生じるs-PKIの改変形は分解にたえて生き残り、培地および細胞内で長い時間 無傷のまま存在するであろう。 実施例3−精子運動性検定A.材料および方法 精子調製 。損なわれていない被膜を持つ成熟雄牛由来の精巣が地方の屠殺場から 得られ、頭部または尾部の副睾丸から精子が単離され、以前に記載されたように (Vijayaraghavan,Biol.Reprod.32:489-500,1985)洗浄された。精子は、運 動性測定のために10mMグルコースおよび10mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)を添 加された緩衝液A(120mM NaCl,1OmM KCl,10mM Tris[ヒドロキシメチル]アミ ノメタン(TRIS)pH7.4)に再懸濁された。サル精液は電子射精によって獲得さ れ、以前に報告された方法(Smithら,Biol.Reprod.54:719-727,1996)によっ て処理された。ヒト精液試料はOregon Health Sciences Universityにある受精 能力相談所より得られた。精子運動性測定 。陰茎亀頭運動性パラメーターが以前に記載されたように(Vija yaraghavan,Biol.Reprod.54:709-718,1996;Stephensら,Biol.Reprod.38:577 -586,1988)決定された。3-4μLの整除数の精子懸濁液(5×107/ml)が37℃で 計算孔に置かれた。大量の流動運動が沈下した後、スライド上の6つの異なる位 置が記録された。ビデオテープにとられた部分がコンピューター化されたイメー ジ分析システム(CASMA)によって、以前に記載されたように(Vijayaraghavan ら,Biol.Reprod.54:709-718,1996;Stephensら,Biol.Reprod.38:577-586, 1988)分析された。コンピューターシステムは、前方運動性を含む、陰茎亀頭運 動の いくつかのパラメーターを測定した。前方運動指数(FMI)は運動性の基準とし て用いられた。FMIは運動性パーセント(%M20mm/秒以上の速度で動く精子のパ ーセント)および平均速度(Va少なくとも20コマの分析を通じた亀頭位置の5点 平均)からの産物である。ほとんどの場合、FMIの両成分は一緒に増加すること が明らかになった。PKA 活性 。PKA活性はマイナーな変化を加えて、以前に記載されたように(Carrら ,J.Biol.Chem.268:20729-20732,1993)検定された。頭部または尾部の全長精 子が2クロロ2’デオキシアデノシン(50μM)、H-89(50μM)またはその両方 を用いて30分間37℃で処理された。ついで精子は、プロテアーゼ阻害剤、ベンザ ミジン(10mM)、ロイペプチン(4μg/ml)、およびN−トシル−L−フェニルアラ ニンクロロメチルケトン(TPCK)(100μM)を添加した氷冷均質化(ホモジェナ イゼーション)緩衝液の中で二度洗浄され、一分間音波処理された。反応混合物 (20マイクロリットル(μl)全体)は250μMKemptide(すなわち、LRRASLG)、25 0μM(γ-32P)ATP、25mMNa3VO4、50mM 3-[N-morpholino]propanesulfonic acid (MOPS)(pH=7.0、10mM MgCl2、0.25mg/mlBSAおよび示される場合は10μMのcAMPを 含んでいた。検定は、標識されたATPの付加によって開始され、30℃で二分間保 温され、30μlの1NHClの添加によって停止された。20μlの反応物がついでリン セルロース紙上にスポットされ、75mMリン酸の中で三度洗浄された。これらの紙 は、さらに、Cerenkov計算法で分析された。全ての決定は四つ行われた。ウエスタンブロッティングおよびオーバーレイ検定 。オーバーレイ検定はウエス タンブロッティング法を改変したものである。タンパク質はSDSポリアクリルア ミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分離されナイロン膜(Immobilon)に転 移された。非特異的結合を妨げるためのBlottoを用いた処理(Protein Methods ,BollagおよびEdelstein,編集.,Wiley-Liss,New York,1991)の後、放射線 標識されたRIIαまたはRIIβプローブに曝された(CarrおよびScott,Trends Bio chem.Sci.17:246-249,1992)。組換えRIIαおよびRIIβはDr.John Scott,Or egonHealth Sciences University,Portland,Oregonから寄贈された。オーバー レイ法の二つの異なるバリエーションが用いられた。この最初のバリエーション では、PKAの触媒サブユニットおよびγ32PATPとともに保温することにより放射 線標識され た組換えRIIが使用された。遊離γ32PATPから分離した後、32P標識RII(500,000 CPM/10ml blotto)はブロックされたブロットとともに4時間保温され、洗浄さ れ、オートラジオグラフィーが行われた。二番目のバリエーションでは、ブロッ トは非放射性RIβ(1μg/10ml Blotto)とともに保温され、洗浄され、ついで抗 RIβ抗血清とともに保温された。ブロットが再び洗浄された後、西洋ワサビペル オキシダーゼに結合した第二次抗体とともに保温された。最終的な洗浄の後、こ れは、高性能化学蛍光キット(RenaissanceTM,New England Nuclear)とともに 現像された。PKA異型特異的抗体は、Triple Point Biologics,Forest Grove Or egonから得られたアフィニティ精製された抗体である。B.結果 ウシ、ヒトおよびサルの精子におけるAKAPおよびPKA異型の同定 サイクリックAMPは様々な種において精子の運動性を刺激することが知られて いる。PKAアンカー化が運動性の制御に関連しているかどうかを決定するために 、哺乳類の精子に存在するPKA異型およびAKAPsが同定された。精子タンパク質 のアフニティ精製された異型特異的抗体との免疫ブロット分析はウシ、ヒト、お よびサルの精子における既知のPKA異型の三つの形(RIIα、RIIβおよびRIβ) を検出した(図3)。 図3は様々な哺乳類の精子におけるPKAサブユニットを同定した結果を示す。ウ シ(B)、ヒト(H)、およびサル(M)由来の精子は溶菌され、タンパク質はSDS-PAGE によって分離され、PKAの制御サブユニット(RIα、RIβ、RIIα、またはRIIβ) について、異型特異的抗体を用いてウエスタンブロッティングによって分析され た。 RIαがウシ精巣において検出されたにもかかわらず、いかなる種由来の精子に おいても、50から55kDaの範囲においてRIαはまったく検出されなかった。抗RI α抗体を用いて検出されたウシおよびヒトの精子における低いMrバンドは、RIα の崩壊産物であり得る。しかしながら、他の異型は非常に少ないタンパク分解を 明らかに示した。RIIαおよびRIβ抗体を用いて検出されたバンドのぼやけは、 これらのタンパク質が少なくとも部分的にリン酸化されている可能性があること を示唆する。異なる抗体を用いた三つの異なる種の精子のPKA異型の同定 PKA異型が音波処理した精子の可溶性または非可溶性分画と関連するかどうか 決定するために、ウシの精子が均質化され、16,000xg、30分遠心分離され、ウエ スタンブロット分析にかけられた(図4)。ウシ尾部副睾丸精子は音波処理により 溶菌され、16,000xgでの遠心分離により上清(S)またはペレット(P)分画に分 離され、抗RIIα、抗RIIβおよび抗RIβ抗体を用いて走査された。 3つすべてのRサブユニット異型の50%以上が、音波処理された精子のペレッ ト分画に存在し、RIβはほとんど排他的にこの分画に見られる。これらの結果は 、これらの三つのすべての異型は精子の構造的細胞骨格的要素と関連があること を示唆する。32P標識RIIαまたはRIIβをプローブとして用いたウシ、ヒト、サルの精子の オーバーレイ法は各精子において単一優性AKAPを検出した(図5)。単一優性AKAP はウシ、ヒト、およびサルの精子においてRIIαまたはRIIβをプローブとして用 いて検出された。ウシおよびヒトのAKAPは110kDの相対的分子量で、いっぽう サルのAKAPは若干大きくl15kDaの相対的分子量をもつ。オーバーレイ法はまた内 因性RII異型を検出し、55kDaにおいて観察されたバンドを説明する。 これらのタンパク質がなぜRIIβよりもRIIαに結合しやすいのかは明かではな いにせよ、RIIβプローブによって約55kDaにおいて検出されたバンドは、おそら くプローブの内因性RIIとの二分性にもとづく。RIβを用いたオーバーレイ法は いかなる結合タンパク質も検出しなかった。これらのデータは、精子における単 一AKAPがRIIαおよびRIIβの両方の位置決定に必須である可能性があることを示 唆する。RIβが明らかに分子分画に存在するが、ブロット上の変性タンパク質と は相互作用しないという事実は、オーバーレイ法がRIβと相互作用するAKAPを検 出するのに適当ではない可能性があることを示唆する。その代わりに、バンドシ フト法(CarrおよびScott,Trends Biochem.Sci.17:246-249,1992)などの非 変性結合法はRI結合タンパク質を検出するのに使用し得る。 これまでに同定された全てのAKAPがRII結合に必須な両親媒性ヘリックスドメ インを含む(Carrら,J.Biol.Chem.266:14188-14192,1991;Carrら,J.Biol.Chem.2 67:13376-13382,1992;Carrら,J.Biol.Chem.267:16816-16823,1992;Coghlanら,J. Biol.Chem.269:7658-7665,1994;McCartneyら,J.Biol.Chem.270:9327-9333,199 5;Carret al.,J.Biol.Chem.367:13376-13382,1992)。Ht31というペプチドは 両親媒性ヘリックスドメインを含み、RIIに結合し、RIIの他のAKAPとの相互作用 を拮抗的に阻害する。オーバーレイ法へのこのAIPの添加は、RIIのAKAP110との 結合を阻害し(図6)、この精子AKAPもまた両親媒性ヘリックスドメインを含むこ とを示唆する。細胞透過性ステアリン酸化Ht3lの類似物N-StHt31もまた、低い効 能であったとはいえ試験管内でのRIIのAKAP110への結合を阻害した(非ステアリ ン酸化Ht31が100%阻害であったのに対し85%阻害)。両親媒性ヘリックス形成を 妨げるプロリン置換を持つ対照ステアリン化ペプチドs−Ht31-PはRII結合にい かなる効果も与えなかった。 図6はAIP、または対照アルキルペプチドアミドによるRIIの精子AKAPへの結合 崩壊の結果である。RIIオーバーレイ法は20μMHt31、s−Ht31,またはs−Ht31-P の非存在下(レーン1)または存在下(おのおのレーン2、3、4)で実施され た。濃度計スキャン法によって決定されたように、三つのペプチド種の添加はRI IのAKAP110への結合を、それぞれ100%、85%、および0%阻害した。ステアリルAIPアミドが精子運動性へ与える効果 PKAアンカー化が精子運動性の低下をひきおこすのに十分阻害されるかどうか を決定するために、s-Ht31やs-AKAP79といったステアリルAIPアミドが様々な条 件下で活発に動く精子に添加された。下に示された結果は、試験された各ステア リルAIPアミドが濃度および時間に依存して基本的運動性を阻害したことを示唆 した。 そのような最初の実験では、s-Ht31が精子の生存度または構造に影響するかど うか決定するために、s-Ht31処理の前後に生体色素であるSYBR-グリーンおよび ローダミン123が精子に添加された。無傷の生きている細胞のみが、そのような 色素を正常に取り込む。処理済み精子および対照の精子とも、同程度にこれらの 色素を蓄積することが見られ、ステアリルペプチドアミド(s-Ht31)が生存度を減 少させたり精子の原形質膜を破壊しなかったことが示された。クロモフォアであ るBCECFまたはFura2を加えた精子を用いた実験では、ジギトニンの添加によりこ れらの色素の放出が起き、s-Ht31では起きなかったことから、ペプチド処理が原 形質膜の構造を損ねなかったことが確認された。 図7は、そのような2番目の実験の要約である。この実験は以下のように行われ た。5μM(●)、10μM(■)、50μM(◆)のs-Ht31、または50μM(×)の対照ペプチ ドのs-Ht31-Pを含む緩衝液Aの中で精子が保温された。以前に記載されたように 、コンピューター自動化精子運動度解析(CASMA)によって、示した時間の運動度 が測定された。濃度5から50μMで、処理後3から5分以内に完全に運動性が停止す ることが観察された(図7)。 図8は、s-Ht31(◆)、または対照ペプチドのs-Ht31-P(▲)の濃度を徐々に上げ た緩衝液Aの中で精子が5分保温され、運動性指数が決定された実験の結果のグラ フである。処理後5分に運動性が計測された場合、50%の阻害に必要なs-Ht31の濃 度は約1μMであった(図8)。対照ペプチドのs-Ht31-PはAKAPへのPKAのアンカー化 を阻害することができず(図6参照)、20μM以下の濃度では精子の運動性に影響し なかったことから、s-Ht31による運動性阻害はPKAのアンカー化の阻害によるこ とが示唆された。 これらに続く次の実験により、s-Ht31に曝した後で運動性が阻害された精子は 、s-Ht31との接触が絶えた後で(少なくともある条件下では)運動性を完全に回復 することが示された。このような実験の各々では、種々の塩組成の緩衝液存在下 でs-Ht31に曝した5、30、60分後に精子の運動性が観測された。図9は、水(対照) または10μM s-Ht31での処理後に2mMカルシウム(+カルシウム)または2mM EGTA(- カルシウム)を添加した緩衝液Aに懸濁されたウシ副睾丸尾部精子の運動性の回復 を示す。この第一の実験の結果から(図9に示す)、s-Ht31で処理した精子の運動 性が回復するのは精子がカルシウムを含む培地に懸濁された時だけであることが 示された。EGTAの添加によって細胞外カルシウムが除去された培地に精子が懸濁 された場合、s-Ht31処理によって非可逆的に運動性が停止した。細胞外カルシウ ムの有無は、無処理の精子の運動性には影響しなかった。 精子の運動性およびs-Ht31による運動性の阻害は、重炭酸塩(bicarbonate) の存在および非存在下でも試験された。この実験においては重炭酸塩が用いられ たのは、精子のアデニル酸シクラーゼを活性化して(Okamuraら,J.Biol.Chem.26 0:9699-9705,1985)細胞内pHを上昇させる(Vijayaraghavanら,Biol.Reprod.32:4 89-500,1985)性質が示されているからである。重炭酸塩はまた、in vitroにおけ る 精子の最適な機能に必要な懸濁緩衝液の必須因子であることが記載されている(L eeおよびStorey,Biol.Reprod.34:349-356,1986;KopfおよびGerton,Elements of Mammalian Fertilization,Wassermann編集,153-203頁,CRC Press,Boca Rato n,Florida,1991)。 図10は、最後の実験の結果を示す。この実験では、精子は2mMカルシウムおよ び50mM重炭酸塩(明記した場合)を含む緩衝液A中で保温された。水(対照)または1 0μM s-Ht31の添加後5、30、60分運動性が測定された。重炭酸塩存在下での精子 運動性は、無処理の精子に比べて有意に増強された(図10)。最大の運動性の精子 に対するAIPの効果を決定するために、s-Ht31が基底培地および重炭酸塩添加培 地に加えられた(図10)。運動性を阻害する点において、このペプチドはどちらの 培地でも同様に効果的であった。精子が他の運動性活性化剤、ジブチリルサイク リック3',5’-アデノシン一リン酸(db-cAMP)、イソブチルメチルキサンチン(IBM X)、およびCDA(これらは全てcAMP含量を増加させると考えられる)で前処理され た場合も、同様の結果が得られた。 同様の実験で、希釈されていないアカゲザル(図11および12)およびヒト(図13) の射精精液に同じステアリルAIPアミド(s-Ht31)を添加することによって、同様 に精子の運動性の低下が生じた。この最後の結果を示す実験および図を、以下に さらに要約する。 図11は、サルの射精された精子の運動性にs-AKAP79が与える効果(5分(灰色)お よび30分(黒))を示す。希釈されないサル精液に添加されるs-AKAP79濃度は徐々 に増加され、37℃で保温された。運動性は5および30分に試験された。上に記載 したs-Ht31の実験で観察されたのと同様、この実験の結果からs-AKAPが精子の運 動性を濃度および時間依存的に阻害することが示された。 図12は、サルの精液および泳動(swim-up)精子の運動性にs-Ht31が与える効 果を示す。希釈されない精液または泳動後に回収された精液のサル精子が、無添 加(対照;白)、50μM s-Ht31(黒)、2.5mM EGTA(斜線)、または2.5mM EGTA+50μM s-Ht31(点)を加えて保温された。運動性は15分後に試験された。 図13は、ヒトの射精後の泳動精子の運動性にs-Ht31が与える効果を示す。泳動 試験後に回収されたヒト精子が、無添加(対照)、100μM s-Ht31,または100μM s-Ht31-P(点)を加えて15分保温され、運動性が試験された。精子の運動性におけるPKAの役割、およびs-Ht31の効果 アンカー化阻害ペプチドの精子運動性に対する効果が、PKAの好ましい基質か らPKAの触媒サブユニットが解離するためであるならば、この効果はPKA活性の阻 害剤によって模倣されると考えられる。この仮説を検定するために、効果的な細 胞透過性PKA阻害剤であるN-[2-{p-ブロモシナミルアミノ}エチル]-5-イソキノリ ン-スルホンアミド(H-89)の、精子運動性に対する効果が研究された。 図14は、対照の精子および2-クロロ-2'-デオキシアデノシン(CDA)で活性化さ れた精子の、精子運動性およびPKA活性に対するH-89の効果を示す。50μM CDAお よび/または50μM H-89の存在下または非存在下で、ウシ頭部および尾部精子が 緩衝液A中で保温された。精子がCDAおよびH-89の両者で処理された場合、H-89は CDAの15分前に添加された。処理の15分後に、運動性がCASMAによって検定された 。高レベルのH-89(50μM)の添加によって、精子の基底運動性は約50%以下にまで 阻害されたが、アデノシン類似分子CDAにより亢進した精子の運動性には影響は なかった(図14)。 精子がCDAではなくイソブチルメチルキサンチン(IBMX)または8-ブロモ-cAMP(8 -Br-cAMP)で刺激された場合も、図14に示したデータと本質的に同一のデータが 得られた(図15)。多くの精子の運動性は活発なままであったため、H-89のこの予 想外の弱い効果は、主に一部の精子の運動性の減少によると考えられる。これは 、s-Ht31処理された精子で見られる運動性の完全な停止とは際だって対照的であ る。また、アルキルAIPアミドの効果とは異なり、H-89の効果はCDAによって強く 抑圧される。H-89の効果は、CDAまたはIBMXのような試薬により活性化されない と動かない頭部精子においても観察された。CDAによる運動性の誘導は、処理前 に精子をH-89と保温しても影響されなかった(図14および15)。併せると、これら の観察はAIPおよびPKAキナーゼ阻害剤が異なる作用機序を有することを示唆する 。 以前の報告において、CDAによる精子運動性の開始または亢進はcAMPの増加に 伴い、PKA活性の上昇が予想されていた(Vijayaraghavan,Biol.Reprod.34:468 -77,1986)。H-89はCDAによる運動性の亢進を抑圧しなかったことから、CDA、H-8 9またはCDA+H-89で処理された頭部および尾部精子のPKA活性が測定された。基底 お よび最大PKA活性を決定するために、全ての試験はcAMPの存在下または非存在下 で行われた。ウシ精子が図14および15に記載されたように保温され、次にPKA活 性を検定された。特に示すところでは、PKA試験で10μM cAMPを加えた。試験の 結果を図15に示す。 CDAによる処理によって、頭部および尾部の両方の基底PKA活性が約60%上昇し た。CDAの存在下または非存在下でのH-89処理により、PKA活性は強く阻害された 。試験でcAMPを加えても、この阻害効果は克服されなかった。H-89が細胞内のPK A活性に影響しているのであり、in vitro試験での活性のみを阻害しているので はないことを確認するために、精子は溶解前に数回洗浄され、外来H-89を除去さ れた。非透過性PKA阻害剤であるPKI(50μM)が対照として精子に添加された。次 に精子は洗浄、溶解され、そしてH-89処理された精子と同様の方法でPKA活性を 検定された。PKIはPKA試験において同様の濃度で加えられた場合には実質的に10 0%活性を阻害するが、この場合は細胞内PKA活性には効果をもたらさなかった。 これらのデータから、cAMPを増大させる処理による運動性の亢進には、PKAの触 媒活性の上昇は必要でなく、PKA活性が実質的に阻害されている場合でも亢進は 起き得ることが示唆される。 最後に、図16はs-Ht31、s-AKAP79およびs-Ht31-Pがウシ精子の運動性に与える 効果を示す。精子は漸増する種々の濃度のs-Ht31(ひし形)、s-AKAP79(四角)また は対照ペプチドs-Ht31-P(三角)を含む緩衝液A中で5分保温され、運動性が検定 された。C.考察 精子の機能制御におけるPKAのアンカー化の役割を研究する最初の段階として 、哺乳類の精子中に存在するPKA異型およびAKAPが同定された。PKAの調節サブユ ニットの4つの異型のうち3つはウシ、ヒトおよびサルの精子中に検出された。R Iαは精巣には豊富に存在するが、精子中には検出されなかった。恐らくAKAPと の相互作用のために全ての異型の大部分が粒子画分に存在したことは、以前の報 告(Horowitzら,J.Biol.Chem.263:2098-2104,1988)と一致する。上に記載した実 施例はまた、ウシ、ヒトおよびサルの精子の各々に見かけの分子量が110から150 kDaの1つの主要なAKAPが含まれることを示した。さらに、研究されたこれらの 生物のA KAPが粒子画分に圧倒的に局在し、RIIαおよびRIIβに結合することが実施例に よって示され、これらのRII異型の両方の局在には単一のAKAPが関与することが 示唆された。上に記載したように、RIβをプローブとして用いたオーバーレイ試 験においては、研究された精子のいずれでもいかなる結合タンパク質も欠如して いなかった。実施例ではRIβが明らかに粒子画分に存在するが、ブロット中の変 性タンパク質とは相互作用しないという事実から、RIβと相互作用するAKAPを検 出するのにオーバーレイ試験が適当でない可能性が示唆される。電子顕微鏡によ る予備的な解析により、RIIβが頭部および尾部の両方に検出され、RIIαはほと んど軸糸のみに局在していた。 Orrのグループはウシ精子中の分子量約120kDaの1つの主要なAKAPを報告してお り(Horowitzら,J.Biol.Chem.263:2098-2104,1988)、またRubinのグループは成 熟したマウスの精子中のRIIβに結合する単一のRIIβ AKAP(約120kDa)を発見し ており(Linら,J.Biol.Chem.270:27804-27811,1995)、これらは上の観察と一致 する。しかし、RIIαに結合するマウスの約82kDaのAKAP(Carreraら,Dev.Biol.1 65:272-284,1994)、ラットの80kDaのもの(Horowitzら,J.Biol.Chem.263:2098-2 104,1988)、およびヒトの72kDaのもの(ParisetおよびWeinman,Mol.Reprod.Devel op.39:415-422,1994)が報告されている。これらの差異が生じる理由は定かでな いが、タンパク質分解が1つの可能性である。SDS可溶化された抽出物を長期間保 存すると、110kDaのバンドが消失して80kDaのバンドが出現することが発見され た。ヒト精子において報告された72kDaのRIIα結合バンド(ParisetおよびWeinma n,Mol.Reprod.Develop.39:415-422,1994)は、AKAP結合ドメインを含まない(Luo ら,J.Biol.Chem.265:21804-21810,1990;Scottら,J.Biol.Chem.265:21561-2156 6,1990;Hauskenら,J.Biol.Chem.269:24245-24251,1994;LinおよびRubin,J.Biol .Chem.270:1935-1944,1995)RIIα由来のペプチド(アミノ酸残基45-75)を用いて 検出されるという点において、他の既知のAKAPのいずれとも異なっている。最後 に、精子形成の間だけに発現される84kDaの精子AKAPのクローニングが報告され ている(Linら,J.Biol.Chem.270:27804-27811,1995)。このAKAPは成熟した精子 には見られず、成熟した精子内のAKAP 110との関係は不明である。現在まで、11 0kDaのAKAPを含むことが示されているのは精子細胞のみである。 いくつかの報告により、精子の鞭毛の活動がcAMPにより制御されることが示唆 されているTash,Cell Motil.Cytoskel.14.332-339,1989;GarbersおよびKopf, Advances in Cyclic Nucleotide Research,GreengardおよびRobinson編集,Vol .13,252-306頁,Raven Press,New York,1980;LindemannおよびKanous,Arch.Andr ol.23:1-22,1989;TashおよびMeans,Prog.Clin.Biol.Res.267:335-355,1988) 。PKAおよびAKAPの両者とも、精子内で同じ細胞内部位、すなわち近位鞭毛(「精 子中間部」)に位置するミトコンドリア外膜に局在することが示されている(Lie bermanら,J.Biol.Chem.107:1809-1816,1988;Linら,J.Biol.Chem.270:27804-27 811,1995)。細胞透過性AIPの添加により、精子の運動性は量および時間依存的 に劇的に阻害される。この阻害効果は細胞外カルシウムの存在下でのみ可逆的で あり、阻害されている調節機構に、外来カルシウムの存在下でのみ回復するカル シウム恒常性またはカルシウムにより調節される機能が関与することが示唆され る。ミトコンドリアは精子のカルシウム恒常性において重要な役割を果たしてい るため(Babcockら,J.Biol.Chem.251:3881-3886,1976;VijayaraghavanおよびH askins,Cell.Calsium 10:241-253,1989;Vijayaraghavanら,Biol.Reprod.40: 744-751,1989;VijayaraghavanおよびHaskins,Mol.Reprod.Develop.25:186-194 ,1990;Vijayaraghavanら,Mol.Reprod.Dev.38:326-333,1994)、この領域のRII のアンカー化が阻害されることが精子のCa2+調節の変化の原因であり得ると考え るのが適当である。対照ペプチドであるs-Ht31-Pは運動性には効果を及ぼさず、 s-Ht31による運動性の阻害がステアリン酸分子によるものでなく、PKAのアンカ ー化によるものであることが示唆された。運動性の阻害の可逆性、およびs-Ht31 処理された精子が生体色素を吸収しないという観察は、運動性の阻害が精子原形 質膜の構造の破壊のせいでない証拠となる。これらのデータと矛盾しない最も単 純なモデルは、PKAの調節サブユニットとAKAP 110との相互作用が精子の運動に 必須であるというものである。 この相互作用の主な機能は触媒サブユニットを特定の細胞内部位に転移させて 近傍の基質タンパク質を特異的にリン酸化することだと通常考えられている。こ のモデルは、神経または筋細胞にAIPをマイクロインジェクションすることによ ってPKA阻害剤と同様の効果が得られ、グルタミン酸受容体または電位依存性カ ルシ ウムチャンネルのcAMP調節が失われることを示した研究によって指示される(Ros enmundら,Nature 368:853-856,1994;Johnsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1 1492-11496,1994)。図14および15は、PKAの触媒サブユニットのキナーゼ活性の 精子内での阻害が、AIPの効果の様子とは異なることを示しており、精子AKAPと 調節サブユニットとの相互作用が触媒サブユニットとは独立の調節機序を有する ことが示唆される。また他に、触媒サブユニットとは独立に調節サブユニットが 働くことが示唆されている(De Camilliら,J.Cell Biol.103:189-203,1986)。ま た、膜除去した精子へのaxokinin(後にRIIであることが判明した;Nolandら,Biol .Reprod.37:171-180,1987;Paupardら,J.Cell.Biochem.37:161-175,1988)の添 加が運動性の誘導に十分であることを示した報告によって、精子の運動の調節に おけるRIIの独立した役割も示唆されている(Tashら,Cell 38:551-559,1984;Tas hら,J.Cell Biol.103:649-655,1986;TashおよびBrancho,J Androl.15:505-5 09,1994)。 精子のcAMPを上昇させる運動性分子の活性化は良く実証されているが、PKAの 役割は今まで明らかでなかった。例えばPKA阻害剤は、無処理の精子または膜除 去した精子の運動性に対するcAMPの活性化作用に影響しないことが報告されてい る(CarrおよびAcott,Biology of Reproduction 43:795-805,1990;San Agustin およびWitman,Cell Motility&the Cytoskeleton 27:206-18,1994)。しかしこれ らの報告は、PKA阻害剤が実際に精子PKAを阻害しているということを決定的に証 明すものではない。本明細書で報告した試験結果から、精子PKAが明らかに阻害 された条件下でも、CDA、IBMXおよび8-Br-cAMPのようなcAMPを亢進させる化合物 が精子の運動性を誘導または促進することが証明された。50μMという高い濃度 でも、cAMPを介した運動性の誘導または促進に関してH-89の効果がなかったこと はきわめて明白である。これらのデータから、RIIがAKAPと介合することが精子 の運動に必要であり、PKA触媒活性は必要でないことが示唆される。すなわち、R IIはPKA活性とは独立に、脱リン酸化酵素の活性や細胞内イオン濃度のような他 の生物化学現象を調節し得る。 この調節には、RII/精子AKAP複合体と他の精子タンパク質間のタンパク質間相 互作用が関与し得る。脱リン酸化酵素PP2B、PKAおよびPKCは神経内で全て同じAK APにアンカーされているという証明により(Klauclら,Science 271:1589-1592, 1996)、この多量体複合体の個々の分子の以前にはわからなかったいくつかの役 割が存在する可能性が生じてきた。cAMPは調節サブユニットの立体構造を変化さ せることが知られているため、RIIと他の精子タンパク質との相互作用はcAMP依 存性であり得る。本明細書で示したデータにより、RIIアンカー化はPKA触媒活性 とは独立に精子の運動性に必要であり、細胞透過性AIPはPKAアンカー化および細 胞機能を阻害することが示された。 本明細書で引用した全ての出版物および開示された特許文書は、本明細書中で は参考文献目録として引用される。 本発明の原理を以上に例示し記載したが、その原理から逸脱すること無く本発 明の配合および細部が修飾され得ることは、当業者には明らかであると考えられ る。本発明の精神および展望に含まれる全ての修飾は、本明細書に記載した発明 の範囲に含まれると考えられる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年12月14日(1998.12.14) 【補正内容】 明細書第9頁を次のとおり補正する(第19行目の「17炭素」を「18炭素」と補 正した)。「 図15 図12に記載されている保温の後に続いてPKA活性の分析を行なったウシ精 子の尾部および頭部のPKA活性のヒストグラム。 図16 量を増加させたs-Ht31(◆),s-AKAP79(□),またはs-Ht31-P(対照)(△) を含む緩衝液内で5分間保温したウシ精子から得た、対照の割合として表される 前方運動性のプロット。 発明の詳細な説明 本発明のアルキルペプチドは、ペプチド部分またはペプチドメトリック部分に 結合したアルキル部分を含む。擬ペプチド部分は、アルキルペプチドのペプチド 部分の生物学的活性を模倣するアルキルペプチド以外の少なくとも一種の有機分 子から生産される部分から成る。本発明のアルキルペプチドは好ましくはアルキ ルペプチドアミドであり、より好ましくは、アルキルペプチドアミドは、ペプチ ド部分の末端の窒素残基(N末端)とアルキル部分の末端の炭素残基(カルボニル末 端)との間のアミド結合により連結された、アルキル部分およびペプチド部分を 含む。アルキル部分は少なくとも12個の炭素原子(カルボニル末端を含む)の飽和 した直鎖、または所望によりハロゲンまたは1個から6個の炭素原子および特にメ チルまたはエチル基などの非常に短いアルキル基を有する低分子アルキル基など の少なくとも1個のその他の成分に置換した、少なくとも12個の炭素原子鎖を含 む。アルキル部分は好ましくは少なくとも14個の炭素原子の飽和した直鎖であり 、最も好ましくは、ステアリル基(すなわち、カルボニル末端を有する直鎖の18 炭素原子鎖)である。 以下は、本出願の側面からみたアルキルペプチドアミドの詳細な説明である。 しかしながら、以下の詳細な説明は、本発明を本発明の特別な態様のみに制限す る意図のものではない。 N末端に加えて、ペプチド部分は、特定のタンパク質(第一のタンパク質)の結 合ドメイン、生細胞の細胞内空間における興味の対象である特定のタンパク質( 第二のタンパク質)を結合できる結合ドメイン内のアミノ酸配列に実質的に相同 なアミ ノ酸配列を含む阻害領域をも含む。ペプチド部分の阻害配列内のアミノ酸配列は 、好ましくは生細胞の細胞内空間におけるタンパク質リン酸化酵素を結合するこ とが可能である第一のタンパク質の結合ドメイン内のアミノ酸配列に実質的に相 同」 【手続補正書】 【提出日】平成12年7月4日(2000.7.4) 【補正内容】
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.少なくとも12個の炭素原子を含む、カルボニル末端を有するアルキル分子 、第一のタンパク質中の結合ドメイン(この結合ドメインは生きた細胞内で第二 のタンパク質に結合することができる)に実質的に相同なアミノ酸配列からなる 阻害性領域およびN末端を含むペプチド分子、 およびアルキル分子のカルボニル末端とペプチド分子のN末端との間のアミド結 合からなる、 アルキルペプチドアミド。 2.アルキル分子が少なくとも18個の炭素原子からなる、請求項1のアルキル ペプチドアミド。 3.ペプチド分子が少なくとも約4個、40個以下のアミノ酸残基からなる、請求 項1のアルキルペプチドアミド。 4.ペプチド分子の阻害性領域が、cAMP依存性タンパク質キナーゼA(第二のタ ンパク質)に結合することができるAキナーゼアンカータンパク質(第一のタンパ ク質)の領域に実質的に相同なアミノ酸配列からなる、請求項1のアルキルペプ チドアミド。 5.ペプチド分子の阻害性領域が、LIEEAASRIVDAVI;TAEEVSARIVQVVT;LIETASSLV KNAIQ;LIETASSLVKNAIE;EVAAEVLAEVITAAVKAV;IIDMASTALKSKSQ;LAEKIVAEAIEKAE;お よびVISEATEQVLATTVGKVAGRVCから選択されたアミノ酸配列からなる、請求項1の アルキルペプチドアミド。 6.少なくとも12個の炭素原子からなる、カルボニル末端を有するアルキル分 子、LIEEAASRIVDAVI;TAEEVSARIVQVVT;LIETASSLVKNAIQ;LIETASSLVKNAIE;EVAAEVLA EVITAAVKAV;IIDMASTALKSKSQ;LAEKIVAEAIEKAE;およびVISEATEQVLATTVGKVAGRVCか らなるグループから選択されるアミノ酸配列からなる阻害性領域およびN末端を 有する、少なくとも約4個、40個以下のアミノ酸残基からなるペプチド分子、お よびアルキル分子のカルボニル末端とペプチド分子のN末端との間のアミド結合 からなる、 アルキルペプチドアミド。 7.少なくとも12個の炭素原子からなる、カルボニル末端を有するアルキル分 子 ;第一のタンパク質中の結合ドメイン(この結合ドメインは生きた細胞内で第二の タンパク質に結合することができる)に実質的に相同なアミノ酸配列からなる阻 害性領域およびN末端を含むペプチド分子;およびアルキル分子のカルボニル末端 とペプチド分子のN末端との間のアミド結合からなる、アルキルペプチドアミド 、および薬理的に受容可能な錠剤担体からなる、 アルキルペプチドアミドの薬学組成物。 8.阻害性領域のアミノ酸配列がアンカータンパク質である第一のタンパク質 の結合ドメインに実質的に相同であり、結合ドメインが第二のタンパク質である タンパク質キナーゼに結合することができる、請求項7の薬学組成物。 9.第一のタンパク質および第二のタンパク質を含む生きた細胞に投与した際 に、組成物中のアルキルペプチドアミドの量が第一のタンパク質が第二のタンパ ク質に結合することを実質的に阻害するのに十分である、請求項7の薬学組成物 。 10.生きた細胞に投与した際に、アルキルペプチドアミドの量が第二のタンパ ク質の活性の少なくとも50%の低下を引き起こすのに十分である、請求項9の薬 学組成物。 11.(a)第一のタンパク質、第二のタンパク質(第一のタンパク質は細胞内で第 二のタンパク質に結合するドメインを少なくとも1つ有する)、および細胞内空間 を取り囲む細胞膜を有する生きた細胞を選択し、 (b)カルボニル末端を有し少なくとも12個の炭素原子からなるアルキル分 子、および第二のタンパク質に結合するための第一のタンパク質中の結合ドメイ ンに実質的に相同なアミノ酸配列からなる阻害性領域およびN末端を含むペプチ ド分子、およびアルキル分子のカルボニル末端とペプチド分子のN末端との間の アミド結合からなるアルキルペプチドアミドを提供し、 (c)生きた細胞をアルキルペプチドアミドに曝して、ペプチド分子が細胞 膜を透過して第一のタンパク質と第二のタンパク質との結合を阻害するようにす る各段階からなる、 生きた細胞内で第一のタンパク質が第二のタンパク質に結合することを阻害する ためにアルキルペプチドアミドを用いる方法。 12.結合ドメインを有するアンカータンパク質である第一のタンパク質を選択 す ることによって選択の段階(a)が達成され、アンカータンパク質の結合ドメイン に実質的に相同なアミノ酸配列からなるペプチド分子の阻害性領域を有するアル キルペプチドアミドを提供することによって段階(b)が達成される、請求項11の 方法。 13.さらに段階(a)においてタンパク質キナーゼAである第二のタンパク質に結 合できる結合ドメインを有するアンカータンパク質を含む生きた細胞を選択し、 段階(b)においてペプチド分子の阻害性領域が第一のアンカータンパク質のタン パク質キナーゼA結合ドメインに実質的に相同なアミノ酸配列からなるアルキル ペプチドアミドを提供することからなる、請求項12の方法。 14.段階(c)において第一のアンカータンパク質と第二のタンパク質キナーゼと の結合を妨げて、タンパク質キナーゼAに媒介される生きた細胞内の生物応答を 阻害するために、十分量のアルキルペプチドアミドが生きた細胞と併せて使用さ れる、請求項10の方法。 15.さらに段階(a)においてタンパク質キナーゼAである第二のタンパク質、お よびタンパク質キナーゼAに結合する結合ドメインを有し細胞内空間に存在する 第一のタンパク質を含む生きた細胞を選択し、段階(b)においてアルキルペプチ ドアミドの阻害性領域が第一のタンパク質のタンパク質キナーゼA結合ドメイン に実質的に相同なアミノ酸配列からなる、請求項10の方法。 16.少なくとも12個の炭素原子を有するアルキル分子、生きた細胞内で第二の タンパク質に結合できる第一のタンパク質の結合ドメインに実質的に相同なアミ ノ酸配列からなる阻害性領域を有するペプチド分子、およびアルキル分子とペプ チド分子間の結合からなる、アルキルペプチド。 17.結合がアミド結合である、請求項15のアルキルペプチド。 18.少なくとも12個の炭素原子を有するアルキル分子、生きた細胞内で第二の タンパク質と第一のタンパク質との結合を阻害できる阻害性領域を有する阻害性 分子、およびアルキル分子と阻害性分子間の結合からなる、アルキル阻害剤アミ ド。 19.阻害性分子がペプチド分子である、請求項18のアルキル阻害剤アミド。 20.阻害剤分子がペプチド疑似分子である、請求項18のアルキル阻害剤アミド 。
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