JP2001503261A - 悪性細胞の状態の検証法および治療法 - Google Patents

悪性細胞の状態の検証法および治療法

Info

Publication number
JP2001503261A
JP2001503261A JP52014598A JP52014598A JP2001503261A JP 2001503261 A JP2001503261 A JP 2001503261A JP 52014598 A JP52014598 A JP 52014598A JP 52014598 A JP52014598 A JP 52014598A JP 2001503261 A JP2001503261 A JP 2001503261A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gene
expression
cell
p21waf1
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP52014598A
Other languages
English (en)
Inventor
ファビアン、カルボ
Original Assignee
ファビアン、カルボ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ファビアン、カルボ filed Critical ファビアン、カルボ
Publication of JP2001503261A publication Critical patent/JP2001503261A/ja
Ceased legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6841In situ hybridisation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • A61K38/17Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • A61K38/1703Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • A61K38/1709Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • C12Q1/6886Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K48/00Medicinal preparations containing genetic material which is inserted into cells of the living body to treat genetic diseases; Gene therapy
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/112Disease subtyping, staging or classification

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Marine Sciences & Fisheries (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、特に、in situにおいて遺伝子を標識すること並びに悪性度の点で試験細胞を通常細胞と比較して遺伝子構造の誤差を評価して細胞核の中に存在する少なくとも1個の遺伝子の正確な構造を明らかにすることを特徴とする悪性細胞の状態を検証する方法に関する。再組織化遺伝子は抗癌方法において有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 悪性細胞の状態の検証法および治療法 本発明は、一般的に診断レベルおよび治療レベルで、特に抗癌治療レベルで、 癌抑止中の細胞核の再組織化およびそのもたらす結果を検証することである。 遺伝子の活性化であれ沈黙化であれ、その発現の調節が2段階で展開し、これ らの段階中においてまず核中の染色体の転写前の画分化が観察される事をますま す多数の指数が示している。 本発明は、癌組織中において、この画分化が正常細胞と異なるように生じ、こ の事が診断要素を成す事実を明らかにした。 特に遺伝子p21WAF1のメカニズムと、腫瘍発生プロセスの抑制に役立つ 活性化に際してのその挙動メカニズムとを研究する際に、このような観察が実施 された。 このような現象は、特にこのプロセスを追跡する事のできるDNaseI(デ オキシリボヌクレアーゼI)法の完成によって明かにする事ができた。 DNaseI法は、転写レベルにおける活性クロマチンが特にヌクレアーゼの 作用に対して敏感である事の観察に基づいている。クロマチンは特にDNase Iに対する超感度部位を含む(この場合、多数の裂開剤に対して非常に敏感な比 較的短いDNAセグメントが問題となる)。ヌクレオソーム以外のこれらのDN Aセグメントは種々の遺伝子発現機能と結合されている。このような「開放クロ マチン区域」は特定因子を固定する事ができ、重要な調節機能を有し、従ってマ ーキングされたDNAは露出されたDNAであると言われる。 従ってこの方法によって、特に癌現象中のゲノム全体の組織化の解析を可能と するマーカーとして、遺伝子の転写とインサイチュ(in situ)DNaseIに 対 するその超感度との間にありうる関係が研究された。 下記において「DNaseI法」と呼ばれる一般的方法は公開米国特許第5, 264,343号に記載され、この文献を引例としてここに加えるが、この文献 に記載の情報については詳細に繰り返さない。またPuckほかの文献を引用す る(Puck T.T.,Bartholdi M.,Krystosek A.,Johnson R.& M.Haag,Somatic Ce ll and Molec.Genetics 17,489-503,1991)。 しかし、前記の特許に記載の方法は、フォルモル/パラフィン法によって固定 された組織、すなわち大部分の病理解剖研究室において実施される方法によって 得られる組織の解析を実施する事ができない。実際に前記の米国特許に記載の方 法は、本質的に細胞培養システムの解析に関するものである。 従って本発明の目的の1つは、固定された組織の診断を実施する事のできる新 規なDNaseI法を提供することである。 しかしさらに本発明の目的は、細胞核中の少なくとも1つの遺伝子の詳細な立 体配座を遺伝子のインサイチュマーキングによって明かにし、正常細胞に対する この立体配座の差異をその悪性度指数として評価するようにした悪性細胞の検証 法にある。 実際に、DNaseI法によって露出されたDNAの位置の検証が組織の悪性 状態の全体的解析を可能とするならば、これに対して染色体中の少なくとも1つ の遺伝子の詳細な立体配座の研究と正常細胞に対するその偏差の測定は、悪性細 胞の種々の型の分類を可能にするのみならず、その悪性度指数を評価し、またも ちろん、これによって治療法の追跡調査を実施する事を可能にする。 下記において、腫瘍形成と直接に結びついていないが核内部の染色体の脱組織 化、例えば嚢状線維症を特徴とする現象の説明のために、場合によって用語「悪 性」または「悪性度指数」を使用する事を注意しなければならない。 この第二の方法も、立体配座、すなわち1つまたは複数の遺伝子の位置のみな らず必要ならばその構造を任意適当な手段によって、特に例えば蛍光インサイチ ュハイブリダイゼーション法(FISH)によって評価する際に、細胞の悪性状 態に従って、腫瘍の抑制および/または活性化に関連する一部の遺伝子が核の中 心から外部にむかって移動し、またこれらの遺伝子の正常造伝子に対する偏差が 細胞の良好な指数を成し、これを下記において「悪性度指数」と呼び、またこの 指数は正常細胞と不可逆的悪性とみなされた細胞との間において適当な任意方法 によって評価する事ができる。 この方法は細胞核中の相異なる遺伝子の位置および核中のこれらの特異的遺伝 子の三次元構造の関数として腫瘍を分類する事ができる。 まず第一に、核中の遺伝子の位置を単にこれらの遺伝子を担持する染色体動原 体の位置の測定によって研究する事が可能になる。 この方法は動原体プローブ型のハイブリダイゼーションプローブによって実施 する事ができ、この場合、正常度は動原体プローブを担持する染色体の外周部域 決定に対応し、さらに詳しくは下記に説明するように、これらの動原体プローブ は染色体13qおよび16qに対応する事ができ、これらの染色体は、染色体1 6q上に共局在する遺伝子HUMSIAHおよびRbr−2、並びに染色体13 q上に局在する遺伝子Rbの担体であり、これらの遺伝子が癌抑制現象の中に含 まれる。もちろん、本発明の方法において使用される動原体プローブは他の任意 の細胞染色体に対応する事ができ、同様に本発明の方法による遺伝子マーキング は細胞の染色体全体のうちから選択された1つまたは複数の染色体上に担持され た1つまたは複数の遺伝子に対応する事ができる。 しかし、前述のように、本発明はまた固定後の組織の細胞の全体的悪性状態を 検証する方法において、露出された核DNAおよびDNA全体をDNA特異マー カーによってマーキングし、これらの2つのマーカーが汚染されていない特異信 号を発生する事ができる事を特徴とする方法に関するものである。 「汚染されていない特異信号」とは、2つのマーカーに対応する2つの信号を 顕著な汚染なしで別々に可視化できる事を意味する。 一般的に、核DNAは前述のようにDNaseI法によってマーキングされ、 またDNAはクロモマイシンA−3特異マーカー(CA−3)によってマーキン グされる。 露出された核DNAマーカーのうち、特にペルオキシダーゼと共に使用される テトラメチル ロダミンを挙げなければならない。ペルオキシダーゼによるマー キングは任意適当な方法によって実施する事ができ、特にアビジン型、またはス トレプトビジン/ビオチン型またはDIG/アンチDIG型(ジゴキシゲニンに 対してDIG)のカップリングを使用する事ができる。 実際に、チラミド−TRITCと呼ばれるペルオキシダーゼ基質は得られた信 号を15倍増幅する事ができ、このようにして核中の信号の微細分布を解析する 事を可能にする。 DNAの特異的マーカーを使用する利点は細胞環を半自動的に解析する事を可 能にし、従ってDNaseI法によって得られたゲノムの露出と細胞環の相とを 相関させうる事にある。 このようにして、本発明はまた組織細胞の悪性状態の指数としてのDNAの特 異的マーカーによって検証された細胞環の相に対して露出核DNAの位置を評価 する事を特徴とする方法に関するものである。 さらに、使用される2種類のフルオロクロムは光スペクトルの同一区域、すな わち600nmにおいて放射するが、その特異的励起は非常に相異なり、すなわ ちCA−3の場合は467nm、TRITCの場合は514nmであり、また消 滅係数を有するので、2つのマーカーの間においてまったく汚染を伴なわずに、 特異的信号をえる事ができる。さらにこれらのマーカーの故に、顕微鏡検査にお いて最も普及したアルゴン・レーザ1台のみで解析を実施する事ができる。 この本発明による方法は通常法によってフォルモルの中に固定された組織を使 用する事ができ、従って例えば組織コレクションから得られた組織を解析する事 ができる。 一般的に、前記の方法は組織および/または細胞培養から悪性状態を診断する 事を可能にし、また作成された分類によって診断病理学における予後因子を立て る事ができる。 さらに詳しくは、前記の方法は例えば良性病理としての単純過形成(胸部、前 立腺)と、確証する事が困難で「ボーダライン」として公知の病理を成すが本発 明の場合には前述の種々のマーキング要素によって容易に分類する事のできる可 変的展開を示す異型的過形成(胸部、前立腺)と、インサイチュ癌腫とを区別す る事を可能にする。 またこれらの方法は、抗癌剤を試験するための複数のモデルを迅速に確立し、 特に二、三の特異的染色体の再組織作用に対する抗癌剤の作用を研究して、種々 の抗癌剤のさらに詳細な分類を可能とする。 好ましくは、抗癌剤または関連物を試験するため、前記の手順を実施し、この 場合まず悪性細胞の状態を検証し、次に前記細胞を抗癌剤または関連物によって 処置し、次に悪性度指数の変動を測定する事によって前記化合物の活性を評価す る。 本発明は、本発明の方法によって選択された事を特徴とする抗癌剤または関連 物を含む。 関連物とは、腫瘍形成に直接に結びつけられていないが前述の定義のような病 理に作用する生成物を言うものとする。 もちろん、これによってこれらの生成物は処置に際して治療の追跡調査を可能 とする。 最後に本発明は核のレベルにおいて脱組織化を示す細胞の治療法、およびこの 方法の二、三の病理、特に腫瘍の治療に対する応用に関するものである。 本発明は、遺伝子p21WAF1と関連した細胞核再組織特性の検証に基づい ている。 遺伝子p21WAF1と信号p53との関連、サイクリンに依存するキナーゼ の抑止剤(CDKs)としての役割および染色体内部複製の制御におけるのその 役割は、この遺伝子が細胞成長の制御に大きな役割を果たす事を示している。 モデル中の遺伝子p21WAF1の再発現が腫瘍の抑止を導く事を明らかにし た。 この故に本発明は、核の脱組織化を示す細胞の治療法において、遺伝子p21 WAF1の生成物または均等生成物の発現を生じまたは前記の遺伝子生成物また は均等物を導入する事を特徴とする方法を提供するにある。 遺伝子p21WAF1は公知であり、すでに繰り返し記載されており、その特 徴、その分離、またはその一部の特性に関しては、下記の文献およびその引用文 献を参照されたい。 下記に説明するように核の脱組織化は腫瘍の原因でありうるが、他の型の脱組 織化もありうる。本発明による細胞治療法は、核の脱組織化が腫瘍現象によるも のであれ非腫瘍現象によるものであれ、均等に本発明の一部を成す。 「核の脱組織化」とは、遺伝物質、特に染色体が正常状態において細胞核の中 に占める位置と異なる位置を占める事を意味し、このような脱組織化は特に前記 の方法によって検証される。 核の脱組織化現象は特に腫瘍現象において検証されたが、この脱組織化は非腫 瘍型の他の現象、例えば嚢状線維症(CFTR)においても介入する事ができる 。 従って本発明による方法は、p21WAF1に対応する遺伝子の発現の再誘導 によるにせよ、この遺伝子または均等生成物、すなわち遺伝子p21WAF1の 生成物と同様の再組織活性を有する生成物、を利用するにせよ、細胞核の遺伝物 質を再組織する事ができる。 もちろん遺伝子の発現の誘導の代わりに、この遺伝子またはその発現生成物の 抑制の阻止を使用する事ができる。 遺伝子p21WAF1または均等生成物の発現は任意公知の方法によって実施 する事ができ、その例としては特に細胞中において発現されるプロモータの制御 のもとに対応の遺伝子を導入されたウイルス起源の発現ベクターを使用し、この 導入は、ベクターが非染色体のままであるか、またはベクターが染色体の中に合 体されているかに関わらず、p21WAF1の生成物の発現および細胞の悪性の 減少に導く。ウイルスベクターとしては、特にアデノウイルス・ベクター、レト ロウイルス・ベクター、ヘルペスウイルス・ベクターまたは合成型システムまた は裸DNAも挙げる事ができる。 p21WAF1遺伝子はその全体を発現させることもできるが、ある種の切断 型、欠失型または変異型の変形は、均等な性質を呈することができ、それゆえ、 本発明の方法の一部をなす。 たとえば細胞培養によって得られた遺伝子p21WAF1の産物ならびに先に 述べたような均等な産物を産生する培養物を使用できる。 天然のp21WAF1のプロモーターのインサイチュでの再活性化またはそれ のインサイチュでの発現を抑制する系の阻害を図ることも可能である。 一般に、本発明は、遺伝子p21WAF1の発現産物または均等な産物あるい は該産物の発現を確保・保証する化合物を、癌性過程にある細胞または核の異常 編成を伴う非癌性タイプの細胞の細胞核の再編成を確保・保証するための医薬の 製造に用いることならびに遺伝子p21WAF1の発現産物または均等な産物あ るいは該産物の発現を確保・保証する化合物を活性成分として含有することを特 徴とする治療用組成物に関するものである。 本発明のその他の特徴および利点は、以下に記載する、添付の図面を参照して の実施例から明らかになるであろう。図面の説明は以下の通りである: 図1: 図1は、対照(pRSV)およびp21WAF1を発現する(pRSV−p2 1)形質転換(トランスフェクション)U937細胞におけるmRNAの差異の ある発現を示している。ノーザンブロットによる分析は、ベクターのみでトラン スフェクトした対照pRSV細胞と比較して、pRSV−p21形質転換細胞に おけるp21WAF1、HUMSIAH、RbおよびRbr−2の活性化を示し ている。GAPDHを対照プローブとして用いている。 図2:トランスフェクトしたpRSV−p21細胞と比較したときのベクター単 独でトランスフェクトした対照U937pRSV細胞の腫痘形成 腫瘍形成は、scid/scidマウスに107個の細胞を皮下注射したのち に評価している。 図3:トランスフェクトした細胞U937p21WAF1における16番染色体 の再配置。 b)16番染色体のアルフォイド動原体プローブを用いた蛍光インサイチュハイ ブリダイゼーション(FISH)、2つまたは3つの点(通常は赤色)が核(通常 は青色)の内部に現れ、標識動原体プローブに対応する蛍光信号を示す。a)は 対照形質転換(pRSV)U937細胞の核に相当し、b)はp21WAF1形 質転換U937細胞(p21−WAF1)の核に相当する。対照形質転換U93 7細胞および形質転換細胞p21−WAF1の核はDAPIで標識されている( 青)。FISHの信号は、チラミド−TRITCにより明らかにされている(赤) 。ここでは、試料の16番の三染色体性から考えて3つの点をみることができる 。 c)トランスフェクトした細胞U937p21WAF1(p21−WAF1)の 拡大図、核の距離コード像付き。 d)核の極限的境界に対する距離により分類したときの画素(ピクセル)サイズ の順次の層の表示。 e)二次元像からの核体積の復元。球(R:半径)は一組の円柱(半径:ri、 高さ:hi、厚み:ΔR)に切り分けられている。 f)周辺分布を、厚み2/10Rの環状体中のランダム分布によりモデル化した もの。 g)核の極限的境界との距離に応じて種々の厚みの環状体における信号の分布の モデル化。 図4:核の極限的境界から測定した信号の分布のヒストグラム。 対照形質変換細胞U937pRSV(■)と形質変換細胞U937pRSV− p21(□)との比較。 a:球内のランダムな点の分布。 b−f:16番染色体(b)、13/21番染色体(c)、17番染色体(d)、遺伝 子p53(e)および遺伝子Rb(f)のそれぞれについて核の極限的境界から 測定したときのFISH信号の分布。 実施例1 トランスフェクション ヒトp21WAF1遺伝子をコードする全cDNAを、ファージミドpBK− RSV(ストラタジーン社)のEcoRI部位にクローニングした。構築物を、 試剤リポフェクチン(ギブコ−BRL)を用いてトランスフェクトした。3.5 x106個の細胞を、リポフェクチン(30μg)−DNA(20μg)の複合 体とともに8時間インキュベートする。 ノーザンブロットによる分析 mRNAの抽出およびノーザンブロットを、標準的操作法を用いて行う。p2 IWAF1プローブは2.1kbのcDNAに相当する。HUMSIAHについ ては、1.4kbのcDNA断片を使用する。Rb1プローブはHP126(メ ドジーン)であり、Rbr−2プローブは、つぎのプライマーを用いて得た39 3bpのPCR断片である: 5’−TGGGACAGCTACCGCAGCATGAGCGA−3’および 5’−CACAGTACAGGGCTGTCGCCGCTGTT−3’ 腫瘍原性の分析 scid/scidマウスへの注射を先に記載されている(Telerman ら、1993年)通りにして実施した。1部位当り107個の細胞を注射した。 動物らを3か月間追跡した。統計解析には、マン−ホイットニー検定を用いた。 デオキシリボヌクレアーゼIへのゲノムの暴露 デオキシリボヌクレアーゼIへのゲノムの暴露試験は、パック(Puckら、 1991年)が記載しているものに比して修飾したものであった。細胞を4%パ ラホルムアルデヒド/PBS(PBS:燐酸緩衝食塩液)中で固定し、脱水し、 −80℃で保存する。外界温度のNT緩衝液(50mMトリスHCl、pH8、 5mM MgCl2、10mMβ−メルカプトエタノール、50ng/m・BS A(ウシ血清アルブミン))中で30UのデオキシリボヌクレアーゼI(ベーリン ガーマンハイム、ドイツ)および40UのDNAポリメラーゼI(ベーリンガー マンハイム、ドイツ)、100mMのdNTP−ジゴキシゲニン標識化混合物( ベーリンガーマンハイム、ドイツ)を用いて、インサイチュでのニックトランス レーション(NT)を実施した。インサイチュで修復されたDNAを、ペルオキ シダーゼに結合させた抗ジゴキシゲニン抗体(ベーリンガーマンハイム、ドイツ )および基質としてのチラミド−TRITC(デュポン、アメリカ合衆国)を用 いて、現像した。切片をクロモマイシンA3(シグマ、アメリカ合衆国)により 標識化した。分析は、蛍光モードでの共焦点走査レーザー顕微分光測光法(MR C600、バイオラド、イギリス)により実施した。 蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH) FISHは、先にリナレス−クルスら(Linares−Cruzら、199 5年、Histochemical Journal,27,15−23)に記 載されている通りに実施した。つぎのプローブ(オンコル(ONCOR)、アメリ カ合衆国)を使用した:16番染色体に対応するアルフォイド動原体プローブ( D16Z2)、17番染色体に対応するアルフォイド動原体プローブ(D17Z 1)ならびに13/21番染色体に対応する(D13Z1/D21Z1)および 遺伝子p53およびRbに対応するアルフォイド動原体プローブ。分析は、エピ (副次)蛍光顕微分光測光法(三重の通過バンドを備えた冷却3CCDカメラ (フランスのレーザ(Lhesa)社製)を使用)により、768x512画素 のマトリックスにディジタル化された開口数(NA)の小さい(40x:0.7 5NA)レンズを用いて、実施した。各画素は対象物の55x55nmに相当す る。 画像分析 距離の測定は、画像分析システムSAMBA IPS(ユニログ(UNILO G)、スランス)を用いて行った。「トップハット」トランスフォーメーション によってマーカー(標識)を抽出し、DAPIによる蛍光画像からの閾値によっ て核を分別した。マーカーおよび核についてそれぞれ2つの二値画像を得た。逐 次エロージョンを行って、マーカーと核の縁との間の距離を測定した。マーカー の位置は、それらの画像と前記距離との交わりによって求めた。この方法によっ て、核の全体をそれらの形態に無関係に分析することができる。核の寸法の差を 補償するために、各距離値を相当する核の半径で除して、それらの距離を系統的 に正規化した。 距離の分布モデル 実験で得られた距離の比較のために用いたモデル曲線は、立体解析学的シミュ レーションによって作成した。核の三次元表示は、ワンセットの円柱の形の球形 モデルと同等とみなした。基本円柱の体積(vi)は次式によってマーカーの存 在確率(Pi)と相関関係にある:Pi=Vi/Σvi。Rを核の半径、ηを円 柱の半径、ΔRを円柱の厚み、hiをその高さとすれば:vi=ΠΔR(2η− ΔR)hiとなる。 この方程式によって、球内のランダム分布および異なる厚みの環状(ドーナツ 状)体中の周辺分布を追跡できる。このモデルでは、得られた関数は核の楕円形 状とは無関係である。焦点調整(赤道面)で整合させたFISHスポットを分析 する。各ケースについて100個以上の核を評価した。 統計解析 核の半径を8クラスに分ける。核の縁とFISH信号との間の各測定距離をこ れら8つのクラスの1つに登録する。2つの仮説を検定するために、χ2検定を 用いた。第一に、U937 p21WAF1細胞で測定された距離が、ベクター のみでトランスフェクトされたU937細胞で測定された距離と同様に分布する という仮説である。第二に、2つの細胞系で測定された距離は球内のランダムな 点と同様に分布するという仮説である。P<0.001をもって有意差を示すも のであると考える。モデル系におけるp21WAF1の再発現 形質転換した細胞は、インビトロおよびインビボで同時に腫瘍を形成する系統 であって、mRNAレベルでも蛋白質レベルでもp21WAF1をほとんど発現 しない(Telermanら、1993年およびNemaniら、1996年) 腫瘍細胞系U937の細胞である。 腫瘍細胞系U937から誘導し、パルボウイルスH−1を用いて選択した娘細 胞US3−US4は腫瘍性表現型の抑制を示すことが認められた。たとえば、U 937細胞は、scid/scidマウスへの注射部位の80%で腫瘍を形成す るが、US3細胞は腫瘍を形成せず、US4細胞は20の注射部位で腫瘍を形成 することが示された。その代わりに、これらの細胞US3およびUS4は、p5 3ルートとは無関係に、きわめて高いレベルのp21WAF1を構成的に発現す る。 このため、これらの観察に基づいて、特異的遺伝子発現に及ぼすp21WAF 1の影響およびp21WAF1により安定にトランスフェクトされたU937細 胞の腫瘍の抑制を研究することとした。 p21WAF1による特異的遺伝子発現の誘発および腫瘍原性の抑制 前記のベクターによるU937細胞のトランスフェクションののち、ノーザン ブロット分析(図1参照)のあとで、p21WAF1によりトランスフェクトさ れたU937細胞(pRSV−p21)は、ショウジョウバエ”seven i n absentia”の遺伝子のヒト相同染色体(HUMSIAH)のp21 WAF1遺伝子の発現に相当するきわめて高いmRNA含量を示すことが認めら れる。この遺伝子(経路3で活性な癌抑制遺伝子TSAP3とも呼ばれる)は、 アポトーシスおよび癌抑制のきわめて早期の段階で野性p53蛋白質によって活 性化される(Nemaniら、1996年およびAmsonら、1996年)。そ の上、網膜芽細胞腫感受性遺伝子Rb(Weinbergら、1992年)およ びRbに関連するp130をコードする遺伝子(Rbr−2)(Hannonら、 1993年Genes and Development,,2378−23 91)も、U937細胞の形質転換体p21においてきわめて強度に活性化され る(図1参照)。mRNAおよび蛋白質レベルでのp53遺伝子の発現は、対照に おいてもトランスフェクトした細胞においても検出できない(結果は示さない)。 Rb遺伝子の発現はそれの腫瘍抑制性を確証するものであり、Rbr−2遺伝子 の場合の細胞周期およびHUMSIAHの染色体局在におけるそれの関与につい ても同様である。しかしながら、3つの独立した実験(沃化ポピジウムを用いて の)でのFACS(フローサイトメトリーによる分析)による細胞周期の解析は 、対照でトランスフェクトしたU937細胞とU937 p21−WAF1細胞 との間で有意差を明らかにしなかった(得られた結果の例:i)対照でトランス フェクトしたU937細胞:G165%/S29%/G26%;ii)U937 p21−WAF1細胞:G164%/S39%/G26%)。 倍加時間も両細胞系で類似しており、それぞれ、対照でトランスフェクトした U937細胞で33時間、U937 p21WAF1細胞で36時間である。 Scid/Scidマウスへの注射を先に記載したのと同様にして実施する。 ベクター単独でトランスフェクトした細胞(pRSV)と比較する。対照として GAPDHを用いる。前記ベクター類によるU937細胞のトランスフェクショ ンののち、p21WAF1で安定的にトランスフェクトされたU937細胞(p RSV−p21)は悪性表現型の顕著な消失を示すのが認められる(図2参照)。 24日後、ベクターのみを含有するU937細胞を注射したscid/scid マウスは、すべての部位で、屠殺しなければならないほどの体積の腫瘍を呈する 。これに対し、トランスフェクトU937 p21WAF1細胞の20の注射部 位のうち9部位のみが、体積のずっと小さい、遅延型と思われる腫瘍を形成した 。さらに6週間の観察ののちにも、他の腫瘍は現れなかった。このように、細胞 周期の重大な変化なしでのp21−WAF1遺伝子の特異的誘発は、腫瘍抑制の 分子過程の活性化の部分的な原因となっている。実施例2 デオキシリボヌクレアーゼI法 − 核の再組織化に及ぼすp21WAF1の影 この実施例は、ありうべき核の再編成におけるp21WAF1の役割を調べる ことを目的としている。 核中の染色体の位置が細胞の表現型を持ちうることを明らかにするのに用いた方 法は、暴露されたDNA(すなわちある条件下でデオキシリボヌクレアーゼIに 対してより感受性であり、そのためそれらの部分を標識化するのと可能ならしめ る染色体の部分)を可視化することを可能ならしめるデオキシリボヌクレアーゼ I法である。 これを行うために、US特許5264343に記載されているごときデオキシ リボヌクレアーゼI法を、ただし組織に適用できるようにして、実施した。 組織を、PBS中4%パラホルムアルデヒド混合物中で10分間固定し、脱水 し、−80℃で保存する。 「ニックトランスレーション」による標識化を、「ニックトランスレーション」 緩衝液(NTB)および溶液10x(100ml)を用いて行う。 NTBは、50mMトリスHCl(pH8)、5mMMgCl2、10mMβ −メルカプトエタノールおよび50ng/mlのBSAを含有している。前記の 溶液10x(100ml)は、トリスHCl pH8(1M)50ml、MgC l2(1.5M)3.3ml、β−メルカプトエタノール(14.2M)700 mlおよびBSA(3%)1.66μlを含有している。 各切片当たりデオキシリボヌクレアーゼIを30単位含有するNTB100μ lで組織を処理する。外界温度で3分間インキュベートし、EDTA20mM、 pH8で3分間ブロックし、つぎにNTBで3回洗う。 つぎに、100μlのNTBを40UのDNAポリメラーゼおよび100μM のdNTPジゴキシゲニンと共に用いる(各切片当たり10%の溶液10x)。外 界温度で6分間インキュベートし、上記と同様にEDTAでブロックし、NTB で3回洗う。 標識化は、3%のBSAによる飽和ののちに行い、可視化は、ペルオキシダー ゼ標識抗DIG抗体を用いて行い、PBSで3回洗浄後、基質としてチラミド− TRITCを用い、つぎにPBSで3分間洗う。 つぎに、プラークをクロモマイシン3−Aを用いて対比発色させる。 分析は、共焦点レーザー顕微鏡(MRC600バイオラド)を用いて蛍光モー ドで行う(結果は、本明細書には含まれていないが、カラー写真によって表わさ れる)。 癌性親細胞U937または対照ベクターでトランスフェクトした同細胞は、哺 乳動物の癌腫の生検で観察されるような散在性の外観を呈する。p21WAF1 でトランスフェクトしたU937細胞は、ゲノムのデオキシリボヌクレアーゼI への露出によって本質的な変化を示し、腫瘍性表現型の抑制されたUS3−US 4細胞に似た外観を呈し、また、正常乳房の生検で観察される上皮細胞に相当す る外観を呈し、すなわち核周辺の環状部に標識化を示す。 この核再編成は、腫瘍原性の抑制における遺伝子の活性化と関連している可能 性がある。p21−WAF1により誘発されるこの核再組織化は、この誘発の直 接的効果であるかもしくはcdk(「サイクリン依存性キナーゼ」)活性阻害剤と しての機能に関係している可能性がある。核ラミナのグループ(Foisnie rら、1993年、Cell,73,1267−1279)はcdk−有糸分裂 活性に特徴的な標的の一つである。核修飾は、これらの核ラミナの燐酸化状態の 変化の結果でありうる。それゆえ、デオキシリボヌクレアーゼIに対して感受性 の部位の分布におけるこの重要な変化は、p21−WAF1により誘発される核 内部への染色体の移動開始の原点となりうるのかもしれない。実施例3 in situ標識化 16番アルフォイド動原体プローブによるDNAのインサイチュハイブリダイ ゼーションを以前に記載されている(Klinger K.ら、Am.J.Hu m.Genet.51,55−65(1992))通りに実施する。 HUMSIAHおよびRbr−2は染色体16qに共局在し、Rbは染色体1 3qに局在化するので、相当するプローブを使用する。インサイsチュハイブリ ダイゼーションによる蛍光(FISH)をディジタル光学顕微鏡観察と組合せ、 16番染色体に対応するこれらのアルフォイド動原体を用いると、得られたカラ ー写真(本明細書では白黒)(図3、a)−d)参照)で、U937細胞が核の中 心近くにハイブリダイゼーションの信号を示すことを観察できる。これに対して 、p21WAF1でトランスフェクトしたU937細胞および腫瘍を抑制された US3−US4細胞は、核の周辺領域に検出される信号を示す。対照形質転換U 937細胞の核および形質転換細胞p21−WAF1をDAPI(青)で標識化 する。FISH信号をチラミド−TRITC(赤)により現像する。生理学的 観点からは、これらの観察は、間期の染色体の領域編成の証拠を確固たるものに する。核内の遺伝子の精密なトポロジーコンフォメーションは、明白な機能上の 影響を示す。とくに、この核再編成は、腫瘍形成過程において沈黙している腫瘍 の抑制に関与する遺伝子の活性化によるものである可能性がある。 使用した各プローブについて、核の縁からの距離を測定し、モデルに組み込ん だ(図3、e)−g)参照)。 トランスフェクトした細胞U937 p21−WAF1は、核の周辺領域への 明確な転位を示す全体的な信号分布を示す(図4参照)。動原体プローブに対応す るこれらのFISH信号の分布は、腫瘍細胞と腫瘍抑制を示す細胞との間で統計 的に差がある。χ2検定はきわめて有意である(p<0.001)。遺伝子Rbお よびp53に特異的なプローブを用いるとき、pRSVベクター単独でトランス フェクトした細胞およびp21−WAF1でトランスフェクトした細胞に対応す るFISHスポット間には分布において統計的有意差(χ2検定を用いたとき) は認められない(図4参照)。生理学的観点からは、これらの観察は、間期の染色 体の領域編成を強度に示唆する観察(Manuelidisら、1990年、S cience,250,1533−1540;Cremerら、1993年、量 的生物学に関するコールド・スプリング・ハーバーシンポジウム、LVIII, 772−792およびPuckら、1991年)を補足するものである。クロマ チンの特異的領域は、はっきりと、非無作為的に、先に記載されているごとき空 間内位置を占める(Hulspasら、1994年、Chromosoma, 03 ,286−292;Nageleら、1995年、Science,270 ,1831−1835)。遺伝子発現と染色体の再配置との間に相関関係がある というのは不確かであり、いくつかの結果が染色体の周辺領域に優先的に局在し ている活性および不活性遺伝子を同時に示していることから、その点はなお研究 すべきところである。我々の研究は、p21−WAF1により誘発された 腫瘍原性抑制の場合、コードする遺伝物質を含まない動原体領域が再配置される ことを示している。上で分析した染色体の動原体領域の再配置は、染色体領域の 構成が修飾されるメカニズムの原点である可能性がある。かかる領域修飾は、特 定の遺伝子の空間環境に影響し、それの発現を変化させる可能性がある。核内部 の遺伝子の精確なトポロジーコンフォメーションが機能上の影響をもつであろう ことは明らかである。実際、ショウジョウバエにおける位置の影響の多様性を記 述している最近のいくつかの研究は、遺伝子発現における特定の核構成の機能上 の重要性をはっきりと明らかにしている(Csinkら、1996年、Natu re,381,529−531;Dernburgら、1996年、85,74 5−749)。 結論として、腫瘍原性の抑制を分析するためのモデル系および安定なトランス フェクションを同時に利用することにより、上に示した結果は、p21−WAF 1が、腫瘍発生抑制の達成に潜在的に重要な機能と関連した核内遺伝物質再配置 を誘発することを証明している。これらの結果は、核の組織化、染色体の配置お よび腫瘍原性抑制過程の活性化においてp21−WAF1が果たす中心的役割を 明らかにしている。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年1月18日(1999.1.18) 【補正内容】 請求の範囲 1.インサイチュ(in situ)において遺伝子を標識すること並びに悪性度の点 で試験細胞を通常細胞と比較して遺伝子構造の誤差を評価して細胞核の中に存在 する少なくとも1個の遺伝子の正確な構造を明らかにすることを特徴とする悪性 細胞の状態を検証する方法。 2.前記遺伝子の構造が蛍光インサイチュハイブリダイゼーションにより評価さ れることを特徴とする請求項1に記載の方法。 3.ハイブリダイゼーションプローブが動原体プローブであることを特徴とする 請求項2に記載の方法。 4.状態が前記遺伝子を有する染色体の周辺の存在に対応することを特徴とする 請求項3に記載の方法。 5.前記染色体が13qおよび/または16qであることを特徴とする請求項1 から4のいずれか1項に記載の方法。 6.定着後に組織細胞の悪性状態を検証する方法であって、露出した核DNAを 標識し且つDNAの特別なマーカーと共にDNA全体を標識し、これら2つのマ ーカーが汚染されていない所定の信号を発することができるものであることを特 徴とする方法。 7.露出した核DNAがDN酵素I法によって標識されると共に、DNAはクロ モミシンA−3法によって標識されることを特徴とする請求項6に記載の方法。 8.露出した核DNAが露出したヌクレオチドを明かにするためテトラメチルロ ーダミンによって標識されることを特徴とする請求項7に記載の方法。 9.DNaseI法の表示分子がアビジンまたはストレプトアビジンまたは抗体 抗DIGに結合したペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項8に記載の 方法。 10.組織細胞の悪性度として、DNAの特別なマーカーにより明らかにされた 細胞サイクル相と比較しながら露出した核DNAの位置を評価することを特徴と する請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。 11.前記組織が組織の収集に由来することを特徴とする請求項6から10のい ずれか1項に記載の方法。 12.悪性細胞の状態を明らかにし、次に前記細胞を制癌剤または類似の製剤で 処理し、悪性度の変化を測定しながら前記化合物の活性を評価することを特徴と する請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。 13.請求項12に記載の方法により選択されることを特徴とする制癌剤または 類似の製剤。 14.遺伝子p21WAF1生成物または均等な生成物の発現を生じさせるか、 遺伝子生成物または均等な生成物を導入することを特徴とする細胞核の脱組織化 を伴う細胞処理方法。 15.細胞核の前記脱組織化が腫瘍性の現象に起因することを特徴とする請求項 14に記載の方法。 16.細胞核の前記脱組織化が非腫瘍性の現象に起因することを特徴とする請求 項14に記載の方法。 17.p21WAF1の発現が遺伝子の発現を導入することにより得られること を特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。 18.p21WAF1の発現が、遺伝子または発現物質の発現を阻止することに より得られることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方法 。 19.p21WAF1の発現が、発現物質の発現または均等な生成物をコードす る配列を導入することにより得られることを特徴とする請求項14から16のい ずれか1項に記載の方法。 20.p21WAF1の発現が遺伝子生成物または均等な生成物を導入すること により得られることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方 法。 21.癌細胞成長過程または癌細胞成長ではないタイプの細胞核の非組織化を保 証するための薬剤を生成するための、p21WAF1の発現物質または均等物質 または化合物の使用。 22.癌細胞成長過程または癌細胞成長ではないタイプの細胞核の非組織化を保 証するための薬剤において、有効成分として遺伝子p21WAF1の発現生成物 または均等物質あるいは前記生成物の発現を保証する化合物からなることを特徴 とする治療薬。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.インサイチュ(in situ)において遺伝子を標識すること並びに悪性度の点 で試験細胞を通常細胞と比較して遺伝子構造の誤差を評価して細胞核の中に存在 する少なくとも1個の遺伝子の正確な構造を明らかにすることを特徴とする悪性 細胞の状態を検証する方法。 2.前記遺伝子の構造が蛍光インサイチュハイブリダイゼーションにより評価さ れることを特徴とする請求項1に記載の方法。 3.ハイブリダイゼーションプローブが動原体プローブであることを特徴とする 請求項2に記載の方法。 4.状態が前記遺伝子を有する染色体の周辺の存在に対応することを特徴とする 請求項3に記載の方法。 5.前記染色体が13qおよび/または16qであることを特徴とする請求項1 から4のいずれか1項に記載の方法。 6.定着後に組織細胞の悪性状態を検証する方法であって、露出した核DNAを 標識し且つDNAの特別なマーカーと共にDNA全体を標識し、これら2つのマ ーカーが汚染されていない所定の信号を発することができるものであることを特 徴とする方法。 7.露出した核DNAがDN酵素I法によって標識されると共に、DNAはクロ モミシンA−3法によって標識されることを特徴とする請求項6に記載の方法。 8.露出した核DNAが露出したヌクレオチドを明かにするためテトラメチルロ ーダミンによって標識されることを特徴とする請求項7に記載の方法。 9.DNaseI法の表示分子がアビジンまたはストレプトアビジンまたは抗体 抗DIGに結合したペルオキシダーゼであることを特徴とする請求項8に記載の 方法。 10.組織細胞の悪性度として、DNAの特別なマーカーにより明らかにされた 細胞サイクル相と比較しながら露出した核DNAの位置を評価することを特徴と する請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。 11.前記組織が組織の収集に由来することを特徴とする請求項6から10のい ずれか1項に記載の方法。 12.悪性細胞の状態を明らかにし、次に前記細胞を制癌剤または類似の製剤で 処理し、悪性度の変化を測定しながら前記化合物の活性を評価することを特徴と する請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。 13.請求項12に記載の方法により選択されることを特徴とする制癌剤または 類似の製剤。 14.遺伝子p21WAF1生成物または均等な生成物の発現を生じさせるか、 遺伝子生成物または均等な生成物を導入することを特徴とする細胞核の脱組織化 を伴う細胞処理方法。 15.細胞核の前記脱組織化が腫瘍性の現象に起因することを特徴とする請求項 14に記載の方法。 16.細胞核の前記脱組織化が非腫瘍性の現象に起因することを特徴とする請求 項14に記載の方法。 17.p21WAF1の発現が遺伝子の発現を導入することにより得られること を特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方法。 18.p21WAF1の発現が、遺伝子または発現物質の発現を阻止することに より得られることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方法 。 19.p21WAF1の発現が、発現物質の発現または均等な生成物をコードす る配列を導入することにより得られることを特徴とする請求項14から16のい ずれか1項に記載の方法。 20.p21WAF1の発現が遺伝子生成物または均等な生成物を導入すること により得られることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載の方 法。 21.癌細胞成長過程または癌細胞成長ではないタイプの細胞核の非組織化を保 証するための薬剤を生成するための、p21WAF1の発現物質または均等物質 または化合物の使用。 22.有効成分として遺伝子p21WAF1の発現生成物または均等物質あるい は前記生成物の発現を保証する化合物からなることを特徴とする治療薬。
JP52014598A 1996-10-31 1997-10-31 悪性細胞の状態の検証法および治療法 Ceased JP2001503261A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
FR96/13326 1996-10-31
FR9613326A FR2755148B1 (fr) 1996-10-31 1996-10-31 Procede destine a mettre en evidence l'etat d'une cellule maligne et procede de traitement
PCT/FR1997/001960 WO1998018960A1 (fr) 1996-10-31 1997-10-31 Procede destine a mettre en evidence l'etat d'une cellule maligne et procede de traitement

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001503261A true JP2001503261A (ja) 2001-03-13

Family

ID=9497231

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52014598A Ceased JP2001503261A (ja) 1996-10-31 1997-10-31 悪性細胞の状態の検証法および治療法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US6277575B1 (ja)
EP (1) EP0941364B1 (ja)
JP (1) JP2001503261A (ja)
AT (1) ATE322553T1 (ja)
CA (1) CA2269865A1 (ja)
DE (1) DE69735636T2 (ja)
FR (1) FR2755148B1 (ja)
WO (1) WO1998018960A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004502262A (ja) * 2000-06-30 2004-01-22 ユニバーシティ オブ アデレード 指示介入不要なシーン分割

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5264343A (en) * 1990-08-31 1993-11-23 Eleanor Roosevelt Institute Method for distinguishing normal and cancer cells
US5817462A (en) * 1995-02-21 1998-10-06 Applied Spectral Imaging Method for simultaneous detection of multiple fluorophores for in situ hybridization and multicolor chromosome painting and banding
CA2060267A1 (en) * 1991-02-22 1992-08-23 Joe W. Gray Chromosome specific staining to detect genetic rearrangements
US5506098A (en) * 1991-09-04 1996-04-09 Daikin Industries, Ltd. In situ hybridization method
CA2156920A1 (en) * 1993-02-24 1994-09-01 Stephen N. Thibodeau Tumor-specific genomic instability as a prognostic indicator
WO1995009928A1 (en) * 1993-10-06 1995-04-13 The Regents Of The University Of California Methods for detecting cancer-associated chromosome deletions using in situ hybridization
WO1995013375A1 (en) * 1993-11-10 1995-05-18 The Johns Hopkins University Tumor suppressor waf1
AU5297496A (en) * 1995-02-17 1996-09-04 Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of The Department Of Health And Human Services, The Methods of preparation and use of recombinant adenoviral vectors
US5707808A (en) * 1996-04-15 1998-01-13 The Regents Of The University Of California Optical selection and collection of DNA fragments

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004502262A (ja) * 2000-06-30 2004-01-22 ユニバーシティ オブ アデレード 指示介入不要なシーン分割

Also Published As

Publication number Publication date
WO1998018960A1 (fr) 1998-05-07
FR2755148A1 (fr) 1998-04-30
US6277575B1 (en) 2001-08-21
EP0941364B1 (fr) 2006-04-05
ATE322553T1 (de) 2006-04-15
CA2269865A1 (fr) 1998-05-07
FR2755148B1 (fr) 1999-01-29
DE69735636D1 (de) 2006-05-18
EP0941364A1 (fr) 1999-09-15
DE69735636T2 (de) 2007-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Goiran et al. Nuclear p53-mediated repression of autophagy involves PINK1 transcriptional down-regulation
AU744193B2 (en) 14-3-3 sigma arrests the cell cycle
Jiang et al. Essential role for survivin in early brain development
Wang et al. QRX, a novel homeobox gene, modulates photoreceptor gene expression
Anderson et al. Severe muscle wasting and denervation in mice lacking the RNA-binding protein ZFP106
Le et al. Dysregulation of the NRG1/ERBB pathway causes a developmental disorder with gastrointestinal dysmotility in humans
Qin et al. A novel function for p53: regulation of growth cone motility through interaction with Rho kinase
Yao et al. Correlations of bcl-2 and p53 expression with the clinicopathological features in tongue squamous cell carcinomas
Su et al. Reduced expression of integrin αvβ8 is associated with brain arteriovenous malformation pathogenesis
US20130333059A1 (en) Hox compositions and methods
Li et al. Binding of pro-prion to filamin A: by design or an unfortunate blunder
Chen et al. Molecular cloning and characterization of a novel human BTB domain-containing gene, BTBD10, which is down-regulated in glioma
US20110129844A1 (en) Use of Activating Transcription Factor-2 (ATF2) for Detecting Skin Cancer
JP2006524491A (ja) 細胞表面タンパク質の調節
JP2001503261A (ja) 悪性細胞の状態の検証法および治療法
Hariri et al. Degenerated hair follicle cells and partial loss of sebaceous and eccrine glands in a familial case of axenfeld-rieger syndrome: An emerging role for the FOXC1/NFATC1 genetic axis
Kido et al. Expression of the human TSPY gene in the brains of transgenic mice suggests a potential role of this Y chromosome gene in neural functions
Alfano et al. First insights into the expression of VAX2 in humans and its localization in the adult primate retina
Li et al. Inhibition of autism-related Crm1 disrupts mitosis and induces apoptosis of the cortical neural progenitors
US20200246438A1 (en) Targeting gdf6 and bmp signaling for anti-melanoma therapy
Lauffart et al. Temporal and spatial expression of TACC1 in the mouse and human
JP2001520877A (ja) 血管平滑筋細胞のインビトロ分化、それに関する方法および試薬
Vernooij Birt-Hogg-Dubé syndrome: from patient to protein
Chen et al. p53 Isoform A113p53 in Zebrafish
JP2006501152A (ja) 非生理学的レベルの微小管結合PP2Acと関連するかまたはこれにより引き起こされる疾患の治療に用いる手段

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070306

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20070605

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20070723

A313 Final decision of rejection without a dissenting response from the applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A313

Effective date: 20071017

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071127