JP2001501909A - 癌ワクチンとして有用な細胞性イムノゲン - Google Patents

癌ワクチンとして有用な細胞性イムノゲン

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Abstract

(57)【要約】 標的プロトオンコジーンの産生物の作用に対し宿主を免疫処理するための細胞性イムノゲンが提供され、この標的プロトオンコジーンの過剰発現は悪性腫瘍と関連する。この細胞性イムノゲンは標的プロトオンコジーンに対し同族のトランスジーンと形質導入細胞におけるトランスジーンの発現を促進する強力プロモータとを含む少なくとも1つのトランスジーン構成物で形質導入されている宿主細胞を含む。このトランスジーンは、標的プロトオンコジーン遺伝子の産生物の宿主自己決定子に対し宿主免疫反応性を誘発する遺伝子産生物をコードする。このトランスジーンは、例えば、標的プロトオンコジーンに対し同族の野性型又は突然変異型レトロウィルスオンコジーンDNA、又は宿主種とは異なる種の野性型又は突然変異型プロトオンコジーンDNAを含むことができる。この細胞性イムノゲンは、同族トランスジーンを含有するトランスジーン構成物で安定的又は一時的に形質導入されたバイオプシー宿主細胞(例えば皮膚繊維芽細胞)から作成することができる。この同族トランスジーン構成物で形質導入された宿主細胞を次いで宿主の身体に戻して、宿主における同族トランスジーンの発現を得る。

Description

【発明の詳細な説明】 癌ワクチンとして有用な細胞性イムノゲン 関連出願の説明 1996年1月19日付け出願の米国特許出願第60/010262号の優先 権を主張する。 発明の技術分野 本発明は、癌ワクチン接種及び免疫療法の分野に関するものである。 発明の背景 癌研究の現在の目標は、腫瘍形成を予測し或いは腫瘍成長を増大させるよう作 用する宿主因子を同定することである。 腫瘍化状態まで細胞を変換させる能力を付与する遺伝子はオンコジーン(癌遺 伝子(oncogene))として知られる。多数のレトロウィルスの形質転換能力は個々 のウィルスオンコジーン(一般にv−onc)に局在している。多くの動物に存 在する細胞性オンコジーン(一般にc−onc)はウィルスオンコジーンに関連 する。一般にレトロウィルスオンコジーンは逸散(escape)及び/又は部分変態(m etamorphose)した細胞性遺伝子を示し、これら遺伝子は伝染性か感染性の作用物 質、すなわちレトロウィルスのゲノムに組込まれる。 或る種のc−onc遺伝予は本質的にオンコジーン特性(oncogenic propertie s)を欠如するが、オンコジーンまで突然変異してその形質転換活性が新たな性質 の獲得又は古い性質の喪失を反映するよう変換することができる。アミノ酸置換 は細胞プロトオンコジーン(proto-oncogene)をオンコジーンまで変換させること ができる。たとえばc−rasプロトオンコジーン族(family)の各要因(H−r as、N−ras及びK−ras)は単一の塩基の突然変異により形質転換性オ ンコジーンをもたらし得る。 他のc−onc遺伝子は対応のv−oncから機能的に区別しえないが、これ らはずっと多量に或いは不適切な細胞種類にて発現されるのでオンコジーン的(o ncogenic)である。これらオンコジーンは、その発現を変化させるがそのコード 配列を変化させない現象によって活性化される。この種類のプロトオンコジーン の最もよく特性化された例はc−mycである。MYC蛋白質配列における変化 は腫瘍原性につき重要であると思われない。過剰発現又は調整変化がオンコジー ン表現型(phenotype)に寄与し得る。c−mycの活性化は、c−myc遺伝子 の内部又はその近くにおけるレトロウィルスゲノムの挿入から、或いは新たな環 境への転置(translocation)から生ずると思われる。転置部位における共通の特 徴はc−myc発現のレベル上昇である。 遺伝子増大は、オンコジーン発現を増大させ得る他のメカニズムを与える。多 くの腫瘍細胞ライン(系(line))は染色体増幅の可視領域(visible region)を有 する。たとえば或る種のヒト白血病及び肺癌ラインにて20倍のc−myc増幅 が観察されている。関連するオンコジーンN−mycは、ヒト神経芽腫及び網膜 芽腫にて5〜1000倍増幅される。ヒト急性骨髄白血病及び結腸癌ラインにお いて、プロトオンコジーンc−mybは5〜10倍増幅される。確立された細胞 ラインは遺伝子を増幅する傾向を有するが、増幅領域における公知オンコジーン の存在及び同種類の多くの独立腫瘍における特定オンコジーンの首尾一貫した増 幅は、発現増大と腫瘍成長との間の相関関係を強化する。 v−onc遺伝子を含有するDNA構成物の接種により、或いはv−onc蛋 白質又はペプチドの接種により、腫瘍形成に対し免疫性を誘発させることに成功 している。一連のレポートは、動物試験検体にv−srcオンコ蛋白質(oncopro tein)又はv−src遺伝子を含有するDNA構成物のいずれかを接種する1種 の「相同」誘発試験(“homologous”challenge)を記載している。v−src DNA又はv−src−誘発腫瘍細胞でのその後の誘発試験により、腫瘍形成に 対し保護免疫性が誘発された[クズマキ等、JNCI(1988)、第80巻、 第959〜962頁;ウィスナー等、ジャーナル・バイロロジー(1991)、 第65巻、第7020〜7024頁;ハルパーン等、バイロロジー(1993) 、第197巻、第480〜484頁;テイラー等、バイロロジー(1994)、 第2 05巻、第569〜573頁;プラッチー等、イミュノジェネチックス(199 4)、第40巻、第257〜265頁、参照]。この誘発試験は、標的とする遺 伝子の産生物に対する反応性が、同じ遺伝子、その対応の遺伝子産生物又は遺伝 子産生物の断片を用いた免疫処理により誘発される誘発試験は、「相同」である と言われる。標的とする遺伝子の産生物に対する反応性が異なる遺伝子、遺伝子 産生物又はその断片での免疫処理により誘発される場合は、誘発試験は「非相同 」である。 WO 92/14756号(1992)は、癌ワクチンに使用するためのT細 胞免疫性を誘発し得る合成ペプチド及びオンコ蛋白質断片を記載している。これ らペプチド及び断片は、プロトオンコジーンの対応断片と比較してポイント突然 変異又は転置を有する。その目的は、野性型プロトオンコジーンでなく突然変異 プロトオンコジーンに対し免疫反応性を誘発させることである。従ってWO 9 2/14756号は相同誘発試験の種類に関するものである。 EP 119,702号(1984)は、オンコジーンウィルスによりコード されたオンコ蛋白質の決定子(determinant)に対応するアミノ酸配列を持った合 成ペプチドを記載しており、その決定子はオンコ蛋白質の活性部位に近接する。 活性部位は、オンコ蛋白質機能(たとえばホスホリル化の触媒反応)につき必要 とされるオンコ蛋白質の領域である。これらぺプチドを用いて、オンコ蛋白質活 性部位に対し抗体を誘発すよう宿主を免疫化することができる。EP 119, 702号は従って相同誘発試験の1種に向けられる。 プロトオンコジーンによりコードされる蛋白産生物は自己抗原を構成すると共 に、その内生発現のパターンに応じこの産生物の自己ペプチドのT細胞認識レベ ルにてトレロジェニック(tolerogenic)となる。従って、プロトオンコジーン過 剰発現から生ずる癌に対するワクチン接種が問題となる。 インビトロ又はインビボにてHER−2/neuプロトオンコジーンの産生物 に対し免疫性を誘発させるべく最近試みがなされている。このプロトオンコジー ンは185−kDaの膜内外蛋白質(transmembrane)をコードする。HER−2 /neuプロトオンコジーンは或る種の癌(特に顕著には乳癌)にて過剰発現さ れる。下記する各レポートにおいて、免疫性を誘発させるべく選択されたイムノ ゲ ンはp185HER-2/neu蛋白質の精製ペプチドからなり、細胞性イムノゲンでな い。 ジシス等、キャンサー・リサーチ(1994)、第54巻、第16〜20頁は 、p185HER-2/neu蛋白質に対する抗体免疫性及びCD4+ヘルパー/インジ ューサT−細胞免疫性の各反応を持った数人の乳癌患者を同定した。p185HE R-2/neu に対する抗体が月経停止前の20人の乳癌患者のうち11人にて確認さ れた。この研究の前には、自己蛋白及びその免疫性が発生困難であるため各患者 はHER−2/neuに対し免疫学上耐性であると思われた。 ジシス等、キャンサー・リサーチ(1994)、第54巻、第1071〜10 76頁は、HLA−A2.1−結合性ペプチドの公開モチーフ(motifs)と同様な アミノ酸モチーフを有するp185HER-2/neu蛋白セグメントと同一の合成ペプ チドを作成した。合成した4種のペプチドのうち2種は、HLA−A2につき正 常な個々のホモ接合体からの末梢血液リンパ球を用いる培養系における一次イン ビトロ免疫処理によって、ペプチド特異性の細胞毒性T−リンパ球を誘発するこ とが示された。従って、p185HER-2/neuプロトオンコジーン蛋白質はヒトC D8+細胞毒性T−リンパ球を発生し得る免疫原性エピトープ(epitopes)を含有 すると結論された。 後者のレポートに示された細胞毒性T−細胞はしかしながら腫瘍細胞を認識す ることが示されず、合成ペプチドに結合した標的のみを認識した。他の研究[ダ ール等、ジャーナル・イミュノロジー(1996)、第157巻、第239〜2 46頁]は細胞毒性細胞がペプチドを結合した標的を認識し得るが、ペプチドを 内生的に合成する標的を認識しえないことを示している。従って、ジシス等によ り示された細胞毒性細胞が腫瘍細胞を認識し得るかどうかは不明瞭である。いず れにせよ、腫瘍成長に対する保護についてはジシス等により示されなかった。ピ ープルス等、プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス、USA (1995)、第92巻、第432〜436頁は、HLAクラスI分子により卵 巣癌及び乳癌細胞の表面に存在すると共に腫瘍特異性の細胞毒性T−リンパ球に より認識される抗原性ペプチドの同定につき報告している。HLA−A2−限定 乳癌及び卵巣癌特異性の細胞毒性T−リンパ球の両者は、共有の抗原性ペプチド を認識した。これらペプチドの1種の9−アミノ酸配列に対し感作されたT細 胞は、HLA−A2 HER2/neu腫瘍の顕著な認識を示した。 腫瘍細胞にて発現される免疫性ペプチドがイソロイシンを位置2に含有したの に対し正常細胞で発現されるペプチドがこの位置にバリン残基を含有するので、 ピープルス等がプロトオンコジーンコード自身を攻撃するのに成功したかどうか は不明のままである。さらに、T細胞の刺激はインビトロで生じたが、この刺激 は出発T細胞集団が腫瘍浸潤性リンパ球を示す限り真の一次免疫反応を示さない 。 ジシス等及びピープルス等の研究は、ジシス等により記載されたようなプライ ミング又はピープルス等により記載された再刺激のいずれかであるインビトロ刺 激の形態を必要とした。ジシス等及びピープルス等のインビトロ手法は、反応性 を誘発するように作用するペプチドの選択を支援する突然変異細胞ラインを必要 とする。非突然変異体(すなわちペプチド抗原提供細胞)は既に内生ペプチドが 負荷されたHLAクラスI分子を有し、その現象は外生負荷を内部から排除する 。突然変異ラインの価値は、これらがTAP遺伝子(抗原発生に関連したトラン スポーターをコードする)を欠如する点である。内部誘導ペプチドのクラスI結 合は顕著に低下し、「エンプチィー」(empty)クラスI分子が細胞表面に存在し て外生添加ペプチドの結合に用いうる。膜結合クラスIにおけるペプチド結合性 部位のこの利用性は、所定のペプチドが(i)クラスIに一様に結合し、(ii )細胞毒性T−細胞分析における標的として機能するかどうかの検査を可能にす る。しかしながら、ペプチド配列を免疫化する種類を推定するための突然変異細 胞ラインの必要性は、ペプチド系免疫処理方式の有用性を制限する。 フェンドリー等、ジャーナル・バイオロジカル・レスポンスン・モジファイヤ ース(1990)、第9巻、第449〜455頁は、ポリペプチド系免疫療法に つき考慮している。p185HER-2/neu蛋白質の細胞外ドメインに対応する精製 ポリペプチドを形質導入された(transfected)細胞ラインから得た。この精製ペ プチドをモルモット(guinea pig)の免疫処理に用いた。免疫処理動物は、遅延型 高過敏性反応により監視して細胞免疫反応を発生した。免疫処理動物から得られ た抗血清は、p185HER-2/neuを過剰発現するヒト乳癌細胞のインビトロ成長 を特異的に阻止した。自己反応性と非自己反応性との誘発の関係につきフレンド リー等により示 されていない。モルモットは主としてヒトポリペプチドイムノゲンにおける非自 己決定子(モルモット宿主につき規定)に応答したと思われる。 免疫用ペプチドの使用は単一ハプロタイプ(haplotype)での免疫処理に限定す る必要がある。人間には約30種のHLA型が存在する。ペプチド免疫処理の各 場合、宿主HLA型に適合するペプチドを選択するよう注意せねばならない。選 択されたペプチドは宿主にて免疫原性でなければならず、宿主免疫性細胞に提供 しえねばならない。 必要とされることは、癌の発生と関連した自己コードプロトオンコジーンに対 しヒト及び動物を免疫化すると共に、免疫処理のための免疫原性HLA宿主適合 ペプチドを分離する必要性がない免疫法である。 発明の要点 本発明の目的は、過剰発現されたプロトオンコジーンの産生物の自己決定子に 対し反応性を誘発させることにある。 本発明の目的は、腫瘍細胞にて過剰発現されたプロトオンコジーンコード自身 に対し免疫反応性を誘発する能力に基づいた形態の療法又は予防法を提供するこ とにある。 さらに本発明の目的は、自己プロトオンコジーン決定子に対する免疫処理に使 用するための細胞性イムノゲンを提供することにある。 本発明の目的は、プロトオンコジーンの過剰発現に関連した病気に対し宿主を ワクチン接種する方法を提供することにある。 これら及び他の目的は以下の開示から明かとなるであろう。 標的プロトオンコジーンの過剰発現に関連した病気に対し宿主をワクチン接種 する方法が提供される。この方法は: (a) 細胞を宿主から切除しすること; (b) 切除細胞を、標的プロトオンコジーンに対し同族の少なくとも1つの トランスジーンと、形質導入細胞におけるトランスジーンの発現を促進させる強 力プロモータと、を含む少なくとも1つのトランスジーン構成物で形質導入する ことであり、このトランスジーンは標的プロトオンコジーン遺伝子の産生物の宿 主自己決定子に対し宿主免疫反応性を誘発する遺伝子産生物をコードする; (c) トランスジーン構成物で形質導入された切除細胞を宿主の身体に戻して 、宿主におけるトランスジーンの発現を得ること を含む。 本発明の主たる1実施例によれば、このトランスジーンは野生型又は突然変異 型のレトロウィルスオンコジーンDNAを含む。本発明の他の主たる実施例によ れば、このトランスジーンは宿主種とは異なる種の野性型又は突然変異型のプロ トオンコジーンDNAを含む。このトランスジーンが突然変異型レトロウィルス オンコジーンDNA又は突然変異型プロトオンコジーンDNAを含む場合、突然 変異DNAは、好ましくは非形質転換性である。突然変異DNAは、好ましくは 形質転換につき必須であるDNAの領域に欠失突然変異を含む。好ましくは宿主 細胞を複数(特に好ましくは少なくとも5つ)の異なるトランスジーン構成物で 形質導入し、各構成物は異なる欠失突然変異をコードする。 本発明の1好適実施例において、突然変異DNAは少なくとも約75%の相同 性、より好ましくは少なくとも約80%の相同性、特に好ましくは少なくとも約 90%の相同性を対応の野性型オンコジーン又はプロトオンコジーンDNAに対 し有する。 さらに本発明は、その過剰発現が癌と関連する標的プロトオンコジーンの産生 物の作用に対し宿主を免疫化するための細胞性イムノゲンに向けられる。細胞性 イムノゲンは上記少なくとも1種のトランスジーン構成物で形質導入されている 宿主細胞を含む。 さらに本発明は、(a)細胞を宿主から切除すること、(b)切除細胞を上記 少なくとも1つのトランスジーン構成物で形質導入することによる細胞性イムノ ゲンの製造方法にも向けられる。 トランスジーンで形質導入された細胞は好ましくは、宿主の身体に戻す前に非 分裂性にされる。 本明細書にて用いられる「対応する(corresponds to)」と言う表現は、ここで はポリヌクレオチド配列が対照ポリヌクレオチド配列の全部又は1部に対し相同 (すなわち、厳密に進化的には関連しないが、同一)であること、或いはポリペ プチド配列が対照ポリペプチド配列に同一であることを意味する。 本明細書にて用いられる「同族(congate)」と言う用語は、各種類間で進化的 及び機能的に関連した遺伝子配列を意味する。限定はしないが、たとえばヒトゲ ノムにおいてヒトc−myc遺伝子はマウスc−myc遺伝子に対し同族の遺伝 子である。何故なら、これら2種の遺伝子の配列及び構造は高度に相同性であっ て、機能的に均等である蛋白質を両遺伝子がコードするからである。 「相同性(homology)」と言う用語は2種の異なるアミノ酸配列の間における配 列類似性の程度を意味し、配列類似性の程度についてはFASTAプログラム・ オブ・パールソン・アンド・リップマン、プロシーディング・ナショナル・アカ デミー・サイエンス、USA(1988)、第85巻、第2444〜2448頁 (その全開示を参考のためここに引用する)に記載されている。 本明細書で用いられる「作用結合(operably linked)」と言う用語は、機能的 関係におけるポリヌクレオチド要素の結合を意味する。核酸は、これが他の核酸 配列と機能的関係に置かれた際に「作用結合」する。たとえばプロモータ又はエ ンハンサは、もしこれがコード用配列の転写に影響を与えればコード用配列に作 用結合する。作用結合とは、結合するDNA配列が典型的には隣接し、2種の蛋 白コード用領域を結合する必要があれば、隣接すると共に読み枠(reading frame )内に位置する、ということを意味する。 「形質導入(transfection)」と言う用語はその通常の意味、即ち、真核細胞へ の外来DNAの導入を意味する。 「トランスジーン(transgene)」と言う用語は、1個又はそれ以上の宿主細胞 に導入される外来遺伝子を意味する。 「トランスジーン構成物(transgene construct)」と言う用語は、トランスジ ーンと、宿主細胞にてこのトランスジーンの発現につき必要である付加的な調整 DNA(たとえばプロモータ要素)とを含むDNAを意味する。 図面の説明 第1図は、1日令のラインTK(パネルA)及びラインSC(パネルB)の雛 (chicken)に100μgの腫瘍化プラスミドpcsrc527(−▲−)、pV S RC−C1(−●−)、又はpMvsrc(−−■−−)を皮下ウィングウェブ 接種した後の経時的な平均腫瘍直径のプロットである。接種したTK又はSCラ イン雛の任意の1群につき特定時点の平均腫瘍直径(mm)は、一次腫瘍の直径 の合計をその時点まで生存した雛数により割算して演算した。各時点における比 は、特定群につき、その時点までの生存体の全数に対する触診可能な腫瘍を有す る雛数を示す(pcsrc527につき標準的活字、pVSRC−C1につきイ タリック、pMvsrcにつき肉太活字)。誤差バーは(記号により不明瞭でな ければ)標準誤差を示す。 第2図は、(i)プラスミドpcsrc527でのプライミング及び相同誘発 試験(パネルA:−−△−−、試験;−−▲−−、比較)又は(ii)プラスミ ドpVSRC−CIでのプライミング及び相同誘発試験(パネルB:−−○−− 、試験;−−●−−、比較)の条件下における、試験及び比較のラインTK雛に おける誘発試験(ウィングウェブ)腫瘍の成長のプロットである。試験雛につい ては孵卵の1日後に100μgの構成物でプライムした;試験及び比較雛につい ては孵卵の5週間後に200μgの構成物で誘発試験した。平均誘発試験直径(m ean challenge diameter)を第1図と同様に演算した。各時点にて、その時点ま での生存体の全数に対する触診可能な腫瘍を有する雛の比が示される(比較群に つき標準活字、試験群につき肉太活字)。特定時点における試験群と比較群との 間の平均誘発試験腫瘍直径の統計比較を両側スチューデントt検定を用いて行っ た[*(p<0.05)、**(p<0.01)、***(p<0.001)] 。触診可能なチャレンジ腫瘍を有する雛の、試験群の生存体の全数に対する比と 、比較群の生存体の全数に対する比との間の、特定時点における統計比較をカイ 二乗検定を用いて行った。p<0.05の時点についてのみ、対の比に下線を施 した。誤差バーは標準誤差を示す。 第3図は、(i)プラスミドpVSRC−CIでのプライミング及びプラスミ ドpcsrc527での非相同チャレンジ(パネルA:−−△−−、試験;−− ▲−−、比較)、又は(ii)pcsrc527でのプライミング及びpVSR C−CIでの非相同チャレンジ(パネルB:−−○−−、試験;−−●−−、比 較)の条件下におけるTK雛でのチャレンジ(ウィングウェブ)腫瘍の成長のプ ロットである。試験雛については孵卵の1日後に100μgの構成物でプライム した;試験及び比較雛については孵卵の5週間後に200μgの構成物で誘発処 理した。平均チャレンジ腫瘍直径を第1図と同様に演算した。各時点にて、その 時点までの生存体の全数に対する触診可能な腫瘍を有する雛の比を示す(比較群 につき標準活字、試験群につき肉太活字)。試験群と比較群との間で統計比較を 第2図に示すように行った。[スチューデントt検定につき*(p<0.05) 、**(p<0.01)、***(p<0.001)]。カイ二乗検定(p<0 .05)を用いてp<0.05の時点についてのみ対の比に下線を施した。 発明の詳細な説明 癌の発生を予防するためのワクチン接種対策が提供される。このワクチン接種 法は、特定の癌の危険性を有するが癌の発生前の患者につき行うことができる。 本発明の実施は、頻繁なヒト癌(たとえば結腸癌、乳癌、並びにその過程が細胞 プロトオンコジーンの過剰発現を伴う各種のリンパ腫など)の免疫予防につき役 立ちうる。 本発明のワクチン接種対策は、プロトオンコジーン特異性の抗原性を認識する ことにより、腫瘍細胞を標的とする免疫反応の誘発に依存する。ワクチン手法の 目的は、過剰発現されたプロトオンコジーン産生物の自己決定子に対する反応性 を誘発させることである。この手法は、細胞性プロトオンコジーンの産生物と、 標的プロトオンコジーンに対して同族の遺伝子の産生物との間の構造的関係を利 用する。同族遺伝子は野性型又は突然変異型の同族レトロウィルスオンコジーン 、又は宿主動物とは異なる動物の野性型又は突然変異型プロトオンコジーンを含 むことができる。ワクチン対策の出発点は、標的プロトオンコジーンの蛋白産生 物とその同族レトロウィルスオンコジーンとの間、又はプロトオンコジーン産生 物と異なる動物からの同族プロトオンコジーンの産生物との間に存在する高度の 一次配列相同性である。しかしながら、他の提案されたワクチン対策とは異なり 、本発明は癌特異性突然変異により規定される決定子の免疫認識に基づかない。 プロトオンコジーン過剰発現を示すような腫瘍につき、この配列相同性は、免 疫原性を向上させるよう選択される、細胞表面発現又は他の形態のアジュバニシ チー(adjuvanicity)の条件下で予防的又は治療的に用いうる次の対策の適用を可 能にする:(a)標的プロトオンコジーンに対し同族のトランスジーン(このト ランスジーンは標的プロトオンコジーンの産生物の宿主自己決定子に対し宿主免 疫反応性を誘発する遺伝子産生物をコードする)を含むDNA構成物による宿主 バイオプシー(生検(biopsy))細胞の免疫処理;(b)宿主におけるトランスジ ーンの発現を得るための宿主の身体に対する形質導入細胞の復帰、及び/従って プロトオンコジーン産生物に対する免疫性を得る。本発明は過剰発現された或い は過剰に存在するプロトオンコジーンコードの産生物に見られる自己決定子の標 的化に基づく。免疫用オンコジーン産生物の外来ペプチド要素は末梢リンパ球を 始動させて、標的プロトオンコジーン産生物の自己ペプチドへの弱い交差反応性 (cross reactivity)を示す。このようなの自己ペプチドはプロトオンコジーンを 発現する正常細胞に存在するが、腫瘍細胞の標的化がプロトオンコジーンの過剰 発現の観点から好適である。 免疫手法は次の2つの択一的な種類の決定子の抗原性を利用する:(1)オン コジーン産生物の活性の結果(たとえばオンコジーン産生物により行われる細胞 蛋白質の酵素的改変)として誘発される腫瘍関連抗原決定子、又は(2)オンコ ジーンコード産生物自身に固有の腫瘍関連抗原決定子。慣用手段(すなわち抗原 精製)による前記の第1の手法を利用する際の困難性は、現在ではオンコジーン 誘発されるがオンコジーンコードされないような抗原の諸性質を有する系統的情 報が殆ど又は全く存在しない点である。この状況は、この種の任意の抗原の精製 を問題にする。しかしながら、この問題は、培養に際して同族レトロウィルスオ ンコジーンにより形質導入されて、適切な抗原性を発現するようなバイオプシー 細胞を利用する本発明により、最初から回避される。 前記の第2の手法を利用する点に関し、すなわちプロトオンコジーン産生物に 固有の抗原性に関与する適切な考慮は、本発明による免疫処理の手法がオンコジ ーン産生物自身の決定子に対し宿主をプライム(prime)する点である。この免疫 処理の結果は、多様な(すなわち外来の)レトロウィルスオンコジーン産生物の ペプチド決定子(すなわち細胞性プロトオンコジーン産生物の位置相同性決定子 に対し配列差を示すようなペプチド決定子)に対するT−細胞反応性の誘発であ る 。この反応性の誘発は、それ自身ではワクチン能力を持たない。何故なら、レト ロウィルスオンコジーン産生物に対し特異性の外来決定子は、一般に細胞性プロ トオンコジーン産生物には存在しないからである。しかしながら、外来ペプチド 要素(特に位置相同性の自己ペプチドから単一アミノ酸だけ相違するようなペプ チド要素)は末梢T−リンパ球を始動させて、自己ペプチドにつき弱い交差反応 性を示す。この種の自己ペプチドはプロトオンコジーンを発現する正常細胞にも 存在するが、腫瘍細胞の標的化はプロトオンコジーンの過剰発現に鑑み好適であ る。 多くの腫瘍関連及び過剰発現のプロトオンコジーンは突然変異を有することも できる。或る場合、過剰発現は1つ又はそれ以上の突然変異の直接的結果として 極めて良好に生じうる。しかしながら、本発明のワクチン接種法はその目的とし て、プロトオンコジーン突然変異により発生する、或る非自己決定子を特に標的 とすることはない。この種の突然変異始動の非自己決定子を標的とするよう設計 された従来のワクチン接種法とは異なり、本発明の目的は腫瘍関連及び過剰発現 のプロトオンコジーンにおける過剰発現産生物の自己決定子につき反応性を誘発 させることである。 プロトオンコジーン自己決定子に対し反応性を誘発させることを試みる従来の 努力は、個々の自己ペプチドイムノゲンを同定すべく突然変異細胞ラインを利用 するインビトロ手法に依存している[ジシス等、キャンサー・リサーチ(199 4)、第54巻、第1071〜1076頁;ピープルス等、プロシーディング・ ナショナル・アカデミー・サイエンス、USA(1995)、第92巻、第43 2〜436頁]。本発明によれば、宿主免疫系は全ての天然産クラスI結合性ペ プチドにより与えられる。本発明のワクチン手法は、個々のペプチドの免疫原性 を優先的に評価する必要性を排除する。 本発明の細胞性イムノゲンは自己ペプチドを示すが、一層効果的なトレランス ブレーカ(tolerance breakers)として作用し得る非自己ペプチドも与えられる。 非自己ペプチドであるが自己ペプチドに近縁であるペプチドの価値は、これが同 族自己ペプチドにつき弱い交差反応性と、自己ペプチドにより始動させるには高 過ぎる活性化域値(T細胞リセプタに対する結合性の堅固さにより決定)との両 者を有するようなT細胞を一層容易に活性化し得る点である。さらに同族非自己 ペプチドは、単にこれが非自己を構成するので、良好な免疫反応性を誘発し得る 。非自己免疫反応は、同じ蛋白産生物における自己決定子に対し不可避的に弱い 反応の誘発をもたらすと予想される。何故なら、得られるサイトキン(cytokine) 放出が、一層弱い抗−自己反応を開始させる局部的支援を与えるからである。 src−オンコジーン系腫瘍形成のモデルにて以下例示するように、v−sr cオンコジーン産生物を発現するトランスジーン構成物で形質導入された細胞で の免疫処理はc−srcプロトオンコジーンの産生物に対し反応性を誘発させる ことにより、c−srcプロトオンコジーンの過剰発現を示す腫瘍の成長に対し 保護を与える。標的プロトオンコジーン 本発明によれば、特定プロトオンコジーンの過剰発現を特徴とする癌の家族履 歴を有する患者を免疫処理につき選択する。代案として、腫瘍がプロトオンコジ ーンを過剰発現することを示し得る患者を選択する。プロトオンコジーンの過剰 発現は、転写の基礎レベルを越える増加から生じうる。さらに過剰発現は、基礎 レベル又は上昇レベルの転写を伴う遺伝子増幅(すなわち遺伝子コピー数の上昇 )からも生じうる。プロトオンコジーン過剰発は、たとえばモレキュラ・クロー ニング:ラボラトリー・マニュアル、J.サムブルック等編、コールド・スプリ ング・ハーバー・ラボラトリー・プレス、第2版(1989)に記載されたよう な慣用のプロービング技術により分析することができる。標的プロトオンコジー ン発現のレベルは、患者細胞からの全細胞RNAを適切なmRNAに関する相補 プローブで試験して決定することができる。患者細胞からの全RNAをグリオキ サール/アガロースゲルで分画し、ナイロンに移行させ、次いで標的mRNAに 関する充分標識された核酸プローブにハイブリダイズさせる。患者細胞に見られ る該当mRNA転写物の個数を、正常な比較検体の同じ組織から採取された細胞 に見られる個数と比較する。 mRNA転写物を測定する代案としては、形成されるコード蛋白質の量を分析 することにより標的プロトオンコジーンの発現レベルを分析することができる。 蛋白質レベルを決定するための通常の使用にはウェスタン・ブロッティングが標 準的手法である[モレキュラ・クローニング、上記、第18章参照、参考のため ここに引用する]。従って、蛋白質を含有する細胞溶解物又は他の細胞フラクシ ョンをポリアクリルアミドゲルにて電気泳動させ、次いでニトロセルロースまで 蛋白移動させ、さらにゲルを問題とする蛋白質に特異的な抗体でプローブする。 このプローブ工程は、出発混合物における他の全ての蛋白質からの所望蛋白質の 分離を可能にする。結合抗体を、たとえば125Iのような放射性同位元素により 予備標識して、ゲルにおけるその検出を可能にすることができる。代案として、 第2の試薬(一般に抗免疫グロブリン又は蛋白質A)を放射能標識し或いはたと えば西洋ワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼの ような酵素に共有結合させることができる。シグナルの強度は、標的蛋白質の量 に比例する。このシグナルの強度を、同様に分析されるが腫瘍組織とは異なり正 常組織から採取された試料からのシグナルと比較する。 腺腫様ポリープ(結腸上皮)におけるc−src−コード蛋白質pp60c-sr c のレベルを決定するためのウェスタン・ブロッチングの方法論及び使用の説明 はカートライト等、プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス、 USA(1990)、第87巻、第558〜562頁(その開示全体を参考のた めここに引用する)に示されている。 患者細胞における遺伝子発現を同じ組織からの正常な比較細胞における発現と 比較して少なくとも約8倍の増加は、ワクチン接種のための候補を示す。 第1表は、1種又はそれ以上の悪性腫瘍(malignancy)と関連した過剰発現を有 する代表的プロトオンコジーンの部分リストを包含する。それぞれ挙げられたプ ロトオンコジーンは本発明による標的プロトオンコジーンである。標的プロトオ ンコジーンが正常細胞同族体であるところの、対応するオンコジーンも同定され る。標的プロトオンコジーンのこのリストは代表的なものであって、完全リスト でないことを意図する。 第1表 標的プロトオンコジーンの代表リスト 細胞性イムノゲンを作成するための同族トランスジーンの選択 本発明によれば、標的プロトオンコジーンに対し同族であるトランスジーン[ 以下、「同族トランスジーン」又は「CTG」と言う]を含むトランスジーン構 成物を処理する。このトランスジーンは、標的プロトオンコジーンの産生物にお ける宿主自己決定子に対し宿主免疫反応性を誘発する遺伝子産生物をコードする よう選択される。このトランスジーンは、形質導入体にて極めて高レベルまで発 現される。すなわち、構成物は強力なプロモータを含有すべきである。 同族遺伝子によりコードされる産生物は標的プロトオンコジーンの産生物に対 し高度の配列相同性を持たねばならないが、標的プロトオンコジーン産生物に対 し或る程度のアミノ酸の差も示さねばならない。すなわち免疫原刺激を付与する には、標的プロトオンコジーンとその同族体との間にサブ群(subset)の1つ又は それ以上のアミノ酸の差が存在せねばならない。これら基準を満たす2種類の遺 伝子はレトロウィルスオンコジーン及び異種プロトオンコジーンである。「異種 (xenogenic)」と言う用語は、その通常の生物学的意味(すなわち異なる動物 に関する性質又は特徴)を有することを意図する。すなわち、異種プロトオンコ ジーンは、宿主生物以外の動物の相同プロトオンコジーンを包含することを意味 する。標的プロトオンコジーン(たとえばレトロウィルス相同体がまだ知られて いないMDM2)の場合、異種同族体が同族トランスジーンのためのDNAの供 給源として有利に利用されることを了解し得る。 原理的に一層効果的な免疫原刺激は特定の配列に依存するが、その相対的な形 質転換能力の点でレトロウィルスオンコジーンと異種プロトオンコジーンとの間 の区別には依存しない。すなわち、或る種の場合、レトロウィルスオンコジーン は許容性破壊免疫原刺激(tolerance-breaking immunogenic stimulus)を付与す る点で一層良好であり、他の場合は異種プロトオンコジーンが一層効果的である 。CTGを形成するレトロウィルスオンコジーン又は異種プロトオンコジーンD NAは野性型オンコジーン又はプロトオンコジーンDNAを含むことができる。 より好ましくは、宿主にて非形質転換性であるよう処理される突然変異DNAが 用いられる。DNAは、宿主にて非形質転換性であるが標的プロトオンコジーン に 対し所要程度の配列相同性を保持するオンコジーン産生物をコードするような1 つ又はそれ以上のヌクレオチド挿入、欠失又は置換を含むよう突然変異される。 同族トランスジーン欠失突然変異体(以下、「dCTG」)が好適である。 蛋白配列は一般に、これが進化的及び機能的に各動物間で関連すれば標的プロ トオンコジーンコード蛋白質に関し「同族」と考えられる。同族化(cognation) の一層正確な見解は、パールソン及びリップマン、プロシーディング・ナショナ ル・アカデミー・サイエンス、USA(1988)、第85巻、第2444〜2 448頁(その開示全体を参考のためここに引用する)に記載のFASTAプロ グラムを用いて行われる以下の配列比較に基づいている。同族化はFASTAに より提起された2つの基準を満たす際に得られる;(i)標的プロトオンコジー ンコードアミノ酸配列の少なくとも75%に対応するセグメントの成列;(ii )整列した配列における少なくとも80%のアミノ酸同一性。これら2つの基準 を満たす標的プロトオンコジーン蛋白配列及び蛋白試験配列のセグメントを「相 同性領域(homology region)」と称する。従って、標的プロトオンコジーン蛋白 配列の少なくとも75%は試験配列と整列し得る。しかしながら、長さについて 標的プロトオンコジーン蛋白を顕著に越える試験配列の場合、整列し得るセグメ ント又は相同性領域は、全試験ポリペプチド鎖の75%未満を示す。 FASTAプログラムを熟知した当業者は、標的プロトオンコジーンに対し同 族である試験配列につき現存する配列データベース(アミノ酸配列が全読枠につ きFASTAにより決定される限り蛋白配列又はDNA配列のいずれか)を検討 することができる。その者は、同族試験配列(たとえばヒトMDM−2と同族で あると思われるネコMDM−2)に極めて類似するものを分離し、次いで配列決 定すると共にFASTAを用いて予想の同族化を上記基準に従い証明することが でき、同時に、その者は、多数の哺乳動物配列から予想同族プロトオンコジーン の配列を得ると共に、これら配列を上記同族化の方式に従いFASTAでスクリ ーニングすることができる。 CTGによりコードされる産生物は標的プロトオンコジーンによりコードされ る産生物とは少数のアミノ酸位置にて相違するので、(i)外来蛋白質に指向さ れ、及び(ii)より低い確率を有するような免疫原刺激が抗−自己反応を誘発 する。CTGは、遺伝子産生物が最大免疫原刺激を与えて抗−自己反応性を誘発 するよう選択される。全配列相同性(好ましくは約75%より大)が維持されれ ば、分散したアミノ酸相違点の存在が所望される。何故なら、1つの残基はいず れも自己反応性を誘発する比較的低い確率を有すると思われるからである。さら に最大数の残基の相違が、所要程度の一般的配列相同性を維持する点に関し有利 である。 CTGのためのアミノ酸改変の選択は、ポリペプチドの免疫原ペプチド断片を 同定すべく使用される入手可能なコンピュータモデルを用いて容易化することが できる。これらモデルを用いて、所定のHLAハプロタイプにつき最大数の免疫 原ペプチドを有するCTGを選択することができる。CTG選択のためのスクリーニング法 或る種の予測値を有するコンピュータに基づくアルゴリズムを入手し得るにも 拘らず、HLA−ハプロタイプ特異性とし得る実際の実験分析に基づくスクリー ニング法を用いてCTGを設計することが望ましい。従って、細胞を特定ハプロ タイプの正常志願者からバイオプシーする。これら細胞にCTG構成物(好まし くはdCDG構成物)を形質導入して、認識(cognition)につき示した基準を満 たす。より好ましくは、細胞に複数のdCTG(好ましくは少なくとも5個のd CTG)を形質導入して認識につき基準を満たす。コード配列のポリペプチド鎖 の全体に実質的に延びるアミノ酸相違を示すよう、少なくとも5個のdCTGが 選択される。次いで、形質導入細胞を用いて本発明の免疫法に従い志願者を免疫 処理する。免疫処理の後、ヒト検体を104〜106照射自己繊維芽細胞(免疫用 調整物につき使用されたと同じdCTG(又は一連のdCTG)を形質導入)と の標準的遅延超過敏性(delayed hypersensitivity(DH))反応で試験する。陽 性DH反応(硬化)は、反応性の誘発を証明する。この分析における反応性の誘 発は、dCTGコード蛋白における非自己決定子へのプライミング及び同じ非自 己決定子のDH反応における読取りのために、容易に示し得る。DH反応性が、 dCTGによりコードされる非自己決定子の抗原性を直接試験するDH反応(す なわち非自己構成物でのプライミング、同じ非自己構成物でのDH試験)にて示 され た後、検体をヒトプロトオンコジーン自身から得られたdCTGを形質導入した 自己細胞での試験に基づくDH反応(すなわち非自己構成物でのプライミング、 ヒト自己構成物での試験)にて試験することができる。一連のヒト志願者の試験 はHLA適合dCTGのカタログをもたらして、同じHLAハプロタイプを有す る個人につき特定dCTGの使用がプロトオンコジーンコード自身に対し反応性 を誘発するようにする。かくして、異なるCTGを、最大の第2刺激を特定のH LAハプロタイプと相関させるよう試験することができる。 同時に、この手順を腫瘍切除を受けた患者(術後の免疫抑制手法は強制的でな い)につき用いて、切除前に免疫処理の過程を開始させ、その終点がDH反応の 発生をを示すようにすることができる。 CTGコード産生物とプロトオンコジーンコード産生物との間の任意所定のア ミノ酸相違は「トレランス・ブレーカー」である確率が低い。すなわち、宿主細 胞に複数の異なるCTG(好ましくはdCTG)の混合物を形質導入することが 好ましい。異なるdCTGの個数は好ましくは5個又はそれ以上である。さらに 、特に複数のdCTGがコード配列のポリペプチド鎖全体に実質的に延びるアミ ノ酸相違を示すことが好ましい。dCTGはアミノ酸相違を最大化するよう選択 され、同時にこれらの相違が全てのポリペプチド鎖に沿って存在するよう確保す る。従って、ポリペフチド鎖の同じドメイン内から全ての欠失を選択するのは好 ましくない。 5個の別々のdCTGを含有する免疫用の107照射細胞を用いる手法に従い 、5群の2×106細胞を1つの接種物に含ませ、2×106の各群には特定プロ トオンコジーンに対し同族である5種のCTGの全群からの別々のdCTGを形 質導入させる。非形質転換性同族トランスジーンの選択 非形質転換性同族トランスジーン変種は最も有利には、形質転換に必須の配列 の欠失を介して得られる。逆突然変異に基づき可逆性となりうるポイント突然変 異とは異なり、欠失突然変異は不可逆性である。さらに、欠失突然変異はポイン ト突然変異に伴う固有の欠点を有さず、すなわち許容し得る同族トランスジーン の発生の要件が野性型に対し定性的な差(すなわち非形質転換性と形質転換性と の関係)を有するとしても任意所定のポイント突然変異はその作用にて中性(neu tral)又は定量的(quantitative)であり、すなわち突然変異は形質転換性を減少 させ得るが全体的には排除しない。従って本発明の好適実施例によれば、欠失は 形質転換に必要とされるアミノ酸配列をコードする同族トランスジーンの領域に て形成される。非形質転換性と同調して、トランスジーン産生物の大部分の抗原 性を無傷に残す可能性がある最小の欠失が選択される。 これら基準を満たす同族トランスジーン欠失突然変異体の処理は、オンコジー ンコード蛋白質における構造−機能関係の報告により容易化される。この種の報 告は、中性であるか或いは形質転換性を単に調整するよう作用する領域とは異な り、形質転換に必須であるオンコ蛋白質の領域を同定するよう作用する。この種 の報告は一般にインビトロ形質転換分析に基づき、従って免疫作用とは無関係で あるが、これら検討を用いて本発明の実施に使用するための非形質転換性dCT Gの作成を支援することができる。 欠失突然変異体を処理して、形質転換につき臨界的と同定された領域の少なく とも1部を含ませる。必須アミノ酸が同定されている場合、欠失はこれら残部を 離間させる。任意所望の欠失の処理は、非突然変異同族トランスジーンの公知ヌ クレオチド配列に基づき、慣用のPCR技術によるポリメラーゼ連鎖反応(PC R)により容易に行うことができる。 以下の説明は、最小可能な欠失を有する本発明の実施に使用するための非形質 転換性dCTGを得るための代表的手法を説明する。公知の或いは確認された形 質転換特異性ドメインに基づき処理されると共に、最も強力な可能プロモータに より促進される試験dCTGを用いて、ネズミ(murine)3T3細胞を形質導入す る。3T3細胞のシスター培養物にも非欠失CTGを形質導入する。各CTG又 はdCTG細胞培養物を、非分裂性にする何らの処理も施さずに、裸ネズミ(mou se)に接種する。長時間の観察後にもマウスに腫瘍をもたらさないdCTGを次 いでバイオプシーヒト細胞につきトランスジーンとして使用し、これら細胞はト ランスジーンを形質導入すると本発明の実施に従い細胞ワクチンとして作用する 。非形質転換性と一致する最小の欠失突然変異体を得るようdCTGを選択する 。 異種プロトオンコジーンを代表する幾種かのCTGは3T3/裸ネズミ分析に て腫瘍形成性であってはならない。この種の非形質転換性CTGにつき、dCT Gを発生させることは重要でない。しかしながら、裸ネズミにて所定の非腫瘍形 成性の場合でさえ、トランスジーンが異種プロトオンコジーンに基づく場合は欠 失突然変異体の発生を選択することが望ましい。この種の場合、欠失は相同性領 域を対応レトロウィルスオンコジーンdCTGにおける欠失に対応した特定dC TGにて欠失される点まで除去するよう処理する。 トランスジーン構成物が非形質転換性である突然変異オンコジーン又はプロト オンコジーンDNAを含む場合でさえ、安全手段として形質導入細胞を処理する ことにより、これらを宿主に逆接種する前に非分裂性にすることが好ましい。細 胞には、これらを非分裂性にするのに充分な放射線量を照射する。同族トランスジーンのオンコジェニシチー分析 さらに安全手段として、所定のdCTGのオンコジェニシチー(oncogenecity) を、本発明の実施に従い細胞性イムノゲンとして使用されるヒト宿主細胞への感 染前に完全に試験する。たとえば、オンコジェニシチー試験方式は3種の別々の 分析形態を採用し得る:(i)NIH 3T3細胞のdCTG形質導入に続く裸 ネズミへの接種;(ii)ヒト繊維芽細胞のdCTG形質導入に続く裸ネズミへ の接種;及び(iii)ヒト繊維芽細胞のdCTG形質導入に続く足場依存性成 長のインビトロ試験。原理的に、これら3種は全て本発明のワクチン接種法にお ける任意所定のdCTGの使用を確証するには陰性である。 オンコジェニシチー分析(i)によれば、試験dCTGによるNIH 3T3 細胞の安定形質導入の後、形質導入体を裸ネズミに接種する。次いでネズミにお ける形質導入体の腫瘍形成性を標準手法により評価するべきである。 オンコジェニシチー分析(ii)によれば、ヒト繊維芽細胞に上記ヒト免疫処 理手法で提案されたように試験dCTGを形質導入する。しかし、形質導入体の X線照射を行ってこれらを非分裂性にするのでなく、ヒト繊維芽細胞の安定なd CTG形質導入の後、照射された形質導入体をヒト宿主に接種し、形質導入体を 腫瘍形成性の直接的試験として裸ネズミに直接接種する。オンコジーン形質転換 、すなわち一次ヒト又はネズミ形質導入体繊維芽細胞に対しネズミ3T3細胞の 感受性がより大であれば、分析(ii)は恐らく分析(i)よりずっと感受性が 低くなるが、しかし、ヒト細胞におけるdCTGオンコジェニシチーの直接的試 験を与えるのに有利である。 オンコジェニシチー分析(iii)によれば、非照射dCTG形質導入ヒト繊 維芽細胞を、足場依存性成長、すなわち、軟質寒天におけるコロニー形成といっ た、ヒト細胞にて有力なdCTG形質転換の試験として分析する。半固形媒体に 懸濁させた場合に細胞が成長する能力により規定される足場独立性は、ヒト腫瘍 細胞(特にたとえば繊維芽肉腫のような間葉組織原の脛瘍細胞)により獲得され る共通の表現型である。分析(iii)はインビボでの読取りをしないが、これ はヒト細胞におけるdCTGオンコジェニシチーの臨界的問題の独立的試験を与 える。 オンコジェニシチー分析は公開された手法に従って行われる。NIH 3T3 細胞のdCTG形質導入に続く裸ネズミへの接種からなる分析(i)は、スティ ブンス等、プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス、USA( 1988)、第85巻、第3875〜3879頁の手法に従って行うことができ 、これはマノハーべン等、カルシノゲネシス(1985)、第6巻、第1295 〜1301頁の燐酸カルシウム共沈法によるDNA形質導入を包含する。従って 、NIH 3T3細胞(100mm皿1枚当たり7.5×105細胞)を燐酸カ ルシウム−DNA共沈物(40μgのゲノムDNA+3μgのpSV2neo/ 皿1枚)に4時間にわたり露出させる。2日間の後、各皿をトリプシン処理する と共に175cm2フラスコに再シード(reseed)する。次の10日間にわたり培 養物をG418(400μg/mL)にて選択し、次いでフラスコをトリプシン 処理すると共に細胞を同じフラスコに再び入れてG418耐性コロニーを細胞の 拡散部分に分散させる。2日間の後、細胞を回収すると共に血清フリーの媒体で 洗浄した後に注入する。右脇腹への5×106細胞の1回の注入及び左脇腹への 1×107細胞の1回の注入(それぞれ200μLの容積)を各裸ネズミにつき 行う。注入部位を100日間にわたり3日間又は4日間の間隔で監視する。各部 位を注射部位1か所当たりに誘発された腫瘍の個数につき評価する。 ヒト繊維芽細胞のdCTG形質導入に続く裸ネズミへの接種によるオンコジェ ニシチー分析(ii)を分析(i)と同様に行うが、ただし分析(ii)につい てはヒト繊維芽細胞形質導入体をネズミ3T3形質導入体の代わりに用いる。 分析(iii)は、dCTG形質導入ヒト繊維芽細胞のインビトロ足場依存性 成長の試験を含む。この分析はスティブンス等、ジャーナル・キャンサー・リサ ーチ・アンド・クリニカル・オンコロジー(1989)、第115巻、第118 〜128頁に記載されたように行われる。6%胎児ウシ血清が補充されたハムス F10における6mLの0.5%寒天ベース層の上の、0.33%ノーブル寒天 に、60mm皿1枚当たり1×105の細胞を接種する。寒天懸濁物の1部をハ ムスF10+6%胎児ウシ血清により200細胞/5mLまで希釈して、60m mプラスチック皿へ接種した際のこれら細胞のクローン化効率を決定する。寒天 皿には、接種後の第1日目及び15日目に、6%胎児ウシ血清が補充された1m LのハムスF10を供給する。接種してから4週間後、直径>75μmの全寒天 コロニーを計数(count)し、このコロニーカウント数を、プラスチック上に示さ れた初期接種細胞の部分(aliquouts)をなす塗沫効率に基準化する。プラスチッ ク皿コロニーカウント数に対する寒天コロニーカウント数の前記比較又は基準化 は、初期形質導入処理から或いは熱誘発細胞死滅から持続した死滅細胞を寒天に 接種して生じうる任意の機械的作用を確認及び修正するのに有用であり、これは 寒天皿に接種する過程で溶融寒天に細胞を懸濁させる際に生じうる。 次のリストは、ヒト又は動物の細胞を用いる実験の公開に基づく各種欠失の部 分リストであり、示す各種欠失は、同定されたCTGを非腫瘍形成性(non-tumor igenic)にすると思われる。第2表 示した遺伝子を非形質転換性にする欠失突然変異 宿主細胞形質導入のためのベクターの処理 特定CTG、好ましくはdCTGを発現させるためのベクターの処理は組換D NA技術の標準方法(すなわち標準的又は市販入手し得る発現ベクターのポリリ ンカーを介するdCTGの挿入)に基づいている。dCTGを強力プロモータに 作用結合させる。一般的に言えば、「強力」プロモータは形質導入細胞にてdC TGの構成的に高い発現を達成するプロモータである。各プロモータは、適切な 下流配列の転写を開始させるのに必要な全てのシグナルを含むべきである。これ ら条件は、たとえばストラタジーン・クローニング・システムス社、ラ・ヨラ、 CAから入手し得るpBK−CMV発現ベクター(カタログNo.212209 )により満たされる。pBK−CMVベクターはサイトメガロウィルス(CMV )隣接早期(immediate early)プロモータを含有する。特定の標的プロトオンコ ジーンに対し異種であるdCTGは、同族レトロウィルスオンコジーン及び/又 はヒトプロトオンコジーン自身により示される高相同プローブを入手しうれば、 慣用の核酸プロービング技術により分離することができる。形質導入のための宿主細胞の収集 本発明の細胞性イムノゲンを得るよう形質導入し得る宿主細胞は、クラスI MHCを発現すると共に分離及び培養に対し感受性とせねばならない。繊維芽細 胞はクラスI MHCを発現すると共に培養することができる。従って、宿主ヒ ト皮膚のパンチバイオプシーを行って繊維芽細胞を集める。パンチパイオプシー は、標準臨床手順として適格医者により行うことができる。各バイオプシーは、 培養に際し増殖する1〜2×107細胞の出発集団をもたらす。ヒト繊維芽細胞 の組織培養物を作成する方法は、充分開発されて広く使用されている[クリスト ファロ及びカーペンター、ジャーナル・ティシュー・カルチャー・メソッズ(1 980)、第6巻、第117〜121頁(その全開示を参考のためここに引用す る)参照]。本質的にはパンチバイオプシーにより得られた皮膚を適する洗浄媒 体により洗浄し、微細にミンチし、適する培地(たとえばデュルベッコ改変イー グル培地(DMEM)にてCO2下に37℃で培養する。細胞をトリプシン溶液 でト リプシン処理し、大型容器に移して培養液中で37℃にて培養する。宿主細胞形質導入 dCTGを有する発現ベクターを用いて、慣用の形質導入法に従いバイオプシ ー宿主細胞を形質導入させる。形質導入の1方法は、DEAE−デキストランを 添加してレシピエント細胞による裸DNA分子の取り上げを増大させることを含 む[マッカチン及びパガノ、ジャーナル・ナショナル・キャンサー・インスチチ ュート(1968)、第41巻、第351〜7頁参照]。形質導入の他の方法は 燐酸カルシウム沈澱技術であって、燐酸塩含有DNA溶液に対するCa++の添加 に依存する。得られる沈殿物は明かに燐酸カルシウム結晶と一緒にDNAを含む 。これら結晶は細胞単層上に沈降し、結晶及び細胞表面の得られる並列状態はD NAの取り上げをもたらすと思われる。取り込まれた小比率のDNAは形質導入 体及びそのクローン子孫で発現させるようになる[グラハム等、バイロロジー( 1973)、第52巻、第456〜467頁及びバイロロジー(1974)、第 54巻、第536〜539頁参照]。 好ましくは形質導入を陽イオン型燐脂質媒介供給によって行う。特に、多陽イ オン型リポソームをN−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N, N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)又は関連するリポソ ーム形成材料から生成させることができる[フェルグナー等、プロシーディング ・ナショナル・アカデミー・サイエンス、USA(1987)、第84巻、第7 413〜7417頁(DNA−形質導入);マローネ等、プロシーディング・ナ ショナル・アカデミー・サイエンス、USA(1989)、第86巻、第607 7〜6081頁(RNA−形質導入)参照]。1つの好適技術は、リポフェクト AMINE(商標)試薬(カタログNo.18324−012、ライフ・テクノ ロジース・インコーポレーテッド、ガイサースブルグ、MD)を用い、これは多 陽イオン型脂質2,3−ジオレイルオキシ−N−[2−(スペルミンカルボキシ アミド)エチル−N,N−ジメチル−1−プロパナミニウムトリフルオロアセテ ート(DOSPA)[ケミカル・アブストラクト登録名:N−[2−{2,5− ビス[(3−アミノプロピル)アミノ]−1−オキシペンチル}アミノ)エチル ]−N,N−ジメチル−2,3−ビス(9−オクタデセニルオキシ)−1−プロ パナミニウムトリフルオロアセテート)]と中性脂質ジオレオイルホスファチジ ルエタノールアミン(DOPE)との膜濾過水における3:1(w/w)リポソ ーム処方物である。リポフェクトAMINE(商標)試薬を用いる形質導入は製 造業者の公開手法に従って行われる。この手法(カタログNo.18324−0 12)は一時的又は安定な形質導入を所望に応じて与える。 一時的発現の利点はその迅速性であり、すなわち安定な組込現象を選択すべく 細胞増殖の必要性が存在しない。この迅速性は、安定な形質導入体を選択するの に必要とされる期間(weeks)が簡単に医者には利用しえないような、既に転移し た腫瘍の場合、主たる臨床的重要性を有すると思われる。 しかしながら、一時的形質導入の使用には2つの一般的欠点が存在する。第1 の欠点は、発現が一般に安定形質導入の場合の連続発現と対比し、数日後に消滅 する点である。これは、特に本発明の免疫処理手法の点において損害を与えるも のなのではない。免疫処理につき使用する接種された照射細胞は、インビボにて いずれの場合も4日間又は5日間以上にわたり生存しないと思われる。従って安 定な形質導入(すなわち親接種細胞の子孫による長期発現)に生じる名目的利点 は、非分裂性の恐らく短寿命細胞の使用に基づくところの、ここに説明した免疫 処理方式の場合について、特に関連するわけではない。 一時的形質導入の第2の欠点は、そのサブ群のみが実際に形質導入されて、ト ランスジーンによりコードされた蛋白質を発現するような細胞集団をもたらすと いう事実にある。この問題は、経時的に、たとえばneoのような耐性マーカー (resistance marker)の選択を介し初期安定形質導入体のクローン増殖の条件下 で選択して形質導入体の純粋な集団を発現させ得る安定な形質導入の場合には排 除される。すなわち、一時的に形質導入された細胞の娘細胞は、安定形質導入体 の場合と異なり、トランスジーンを欠如する。安定に形質導入された細胞に基づ く免疫処理を行うのに充分な時間が存在する場合には、しばしば遺伝子発現の詳 細な生化学的及び分子的分析のために行われるような単一クローンの子孫だけで なく、全ての形質導入クローンの子孫が利用される。明かに、より多くのクロー ンを用いる程、より迅速に免疫処理につき使用する所要数の細胞に達することが で きる。 dCTG発現を示す細胞の比率 dCTG発現を示す細胞の比率は免疫血液学分析により判定することができる 。この手法においては、形質導入細胞の遠心分離後に回収されたペレットからの 少数の細胞(〜500)を、カバースリップ上に沈着させて冷アセトンで固定す る。この時点で標準免疫血液学分析をカバースリップ上の細胞につき行い、すな わちdCTG−コード蛋白質に対し反応性の一次モノクローナル抗体を添加した 後に展開用抗体(たとえば、一次モノクローナル主抗体に対し反応性の蛍光標識 抗体)を添加する。蛍光分析にてdCTG陽性として評価される細胞の比率測定 は出発培養物における陽性形質導入体の個数(すなわち患者に接種すべきdCT G陽性細胞の所望数に達するよう免疫処理につき使用する全細胞の個数)の判定 を可能にする。 殆ど確実であるが、もしdCTG陽性として評価される細胞の比率が100% 未満であれば、単に所望数の形質導入体を含ませるよう、免疫処理につき使用す る細胞の個数を増大させることができる。免疫処理用集団における非形質導入細 胞は、患者に対し危険を示さないような、単なるX線照射自己(autologous)繊維 芽細胞を示す。形質導入体照射 宿主に戻す前に形質導入細胞を好ましくは照射する。形質導入体には、これら を非分裂性にするのに充分な放射線量(たとえば25By又は2500Rの量) を照射する。次いで細胞をトリパン・ブルー・エクスクルージョン(trypan blue exclusion)により計数すると共に約2×107照射形質導入体を0.2〜0.4 mL容量のハンクス・バランスト塩溶液(Hanks Balanced Salt Solution)に再懸 濁させる。ワクチン接種法 形質導入細胞を宿主に戻してワクチン接種を達成する。細胞を、これらが最初 に回収された同じ身体部位に再移植することができ或いは異なる部位に移行させ ることができる。 全身系(systemic)腫瘍免疫反応を発生させて、転移が見出される場合はどこで でも、転移形成に対処することが本発明の目的である。従って形質導入細胞を、 これらが採取された同じ身体部位にて注入する理由は存在しない。遠位部位にお ける、筋肉内又は皮下の接種にて、全身系反応を得るのに充分である。すなわち 、好ましくは患者を形質導入細胞の皮下接種によりワクチン接種する。 結腸癌に関連したs−crc過剰発現については、肝臓が頻繁な転移部位であ るため、部分的静脈接種が好適である。乳癌及びリンパ腫に対するワクチン接種 については、全身系免疫処理が好適である。 一般的に、悪副作用の臨床的監視に一致して、再強力の免疫反応を発生させる ことが望ましい(すなわち各回にて、たとえば107細胞での複数回の接種)。 接種の回数をそれに応じて選択する。接種方式の効能は、患者に投与される遅延 超過敏性反応により監視することができる。2〜3週間の間隔における約10回 までの接種の過程を用いることができる。接種方式は、遅延超過敏性(DTH) 反応を用いて判定させる個々の患者の免疫学的反応に鑑み改変し得ることが了解 されよう。遅延型超過敏性反応による患者の反応監視 患者を、DTH反応における皮膚反応性の試験により照射形質導入体に対する 反応性につき評価する。DTHは臨床的に使用されている[チャング等(199 3)、キャンサー・リサーチ、第53巻、第1043〜1050頁]。自己(a utologous)照射形質導入体に対する反応性を測定するため、0.1mL容積の ハンクス緩衝塩水溶液(HBSS)における104〜106個の細胞を宿主に皮膚 内接種 mmより大の反応が陽性と考えられる)。 DTH分析の1つの利点は、これにより(i)免疫処理につき使用する形質導 入体(すなわち、それぞれ非自己決定子を含有する免疫処理目的につき選択され る5個又はそれ以上のdCTGの群)、及び(ii)自己決定子のみを含有する ヒトdCTG自身で形質導入された形質導入体に対するT細胞反応性の誘発を独 立して評価し得る点である。すなわち免疫処理につき使用される形質導入体に対 する反応性の誘発は、免疫処理用形質導入体が実際に免疫原性であること(すな わち患者が免疫反応につきずっと弱い能力を示さないこと)を確認する。患者が 例として免疫処理用形質導入体に反応することができれば、dCTG(ヒト)形 質導入体での皮膚試験はヒトプロトオンコジーンコード産生物に対し反応性が誘 発されたかどうかを確認し得るであろう。本発明の実施によれば、免疫処理用形 質導入体の接種を、少なくともヒトプロトオンコジーンコード蛋白質に対する反 応性の誘発が生ずるまで持続する。 以下、限定はしないが実施例により本発明をさらに説明する。 実施例1 v−src DNAでのワクチン接種によるc−src(527)−誘発腫瘍に 対する雛(chicken)の免疫処理 A. 遺伝子 オンコジーンc−src(527)は雛c−srcの活性化型である。その蛋 白産生物pp60c-src(527)はc−src、pp60c-srcの蛋白産生物とは単 一アミノ酸置換(すなわち残基527におけるチロシンの代わりにフェニルアラ ニン)の点でのみ相違する[クミエシク及びシャロウェイ(1987)、セル、 第49巻、第65〜73頁]。この置換は、位置527チロシンの酵素的ホスホ リル化によりpp60c-srcホスホキナーゼ活性に及ぼされるマイナス調整作用( negative regulatory influence)を排除する。v−src、pp60c-srcの蛋 白産生物は、pp60c-srcの19個のC−末端アミノ酸(残基515〜533 )の代わりに、最初の514残基及び12個のアミノ酸(残基515〜526) の新規なC−末端における散乱した単一アミノ酸置換を含め、pp60c-srcに 対し多数の配列差を示す[タケヤ及びハナフサ(1983)、セル、第32巻、 第881〜890頁]。v−src−陽性プラスミドpMvsrcとc−src (527)−陽性プラスミドpcsrc527との両者は、培養におけるネズミ (murine)NIH 3T3細胞を形質転換させることが最初に示された[クミエシ ク及びシャロウェイ(19 87)、セル、第49巻、第65〜73頁]。しかし, v−src−誘発形質転換体は、c−src(527)−誘発形質転換体よりも 軟質寒天にてずっと迅速又は一層広いコロニー成長を示すと共に、裸ネズミ(mou se)における腫瘍形成の一般に短い潜伏性をも示した(上記)。 B. プラスミド 1. pvSRC−C1 ハルパーン等(1991)、バイロロジー、第180巻、第857〜86頁に より記載されたようにpVSRC−C1プラスミドを作成した。本質的に、この プラスミドは, pRLv−srcプラスミド[ハルパーン等(1990)、バイロロジー、第1 75巻、第328〜331頁]から、そのv−src(+)XhoI−EcoR I断片をSalI及びEcoRIで切断されているpSP65[メルトン等(1 984)、ヌクレイック・アシズ・リサーチ、第12巻、第7035〜7056 頁]の多重クローン化配列にサブクローン化させることにより得た。SalIに おけるXhoIオーバーハングの結合(ligation)は両認識配列を破壊するので、 ベクターからのv−src(+)挿入体のその後の除去を、EcoRI及びHi ndIIIでの切断により達成し、SalI部位に隣接した多重クローン化配列 における位置にて切断した。pVSRC−C1プラスミドをEcoRI及びHi ndIIIで制限して、腫瘍形成性挿入体を遊離させた。この挿入体は、RSV の長い末端リピート(LTR)の1部により下流に整列した、プラグ(Prague)R SVのサブ群A株のv−srcオンコジーンを含んだ(LTRの5’開始部から 単一EcoRI部位まで]。 2. pMvsrc pMvsrcプラスミドは、寛大にも、ダビッド・シャロウェイ博士、コーネ ル大学、イサカ、NYによって供給された。このプラスミドはジョンソン等(1 985)、モレキュラ・セルラ・バイオロジー、第5巻、第1073〜1083 頁に従って作成される。要約すれば、プラスミドpN4[イバ等(1984)、 プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス、USA、第81巻、 第4424〜4428頁]からの3.1kbのBamHI−Bg/IIシュミッ ト・ルピンAv−src断片を、2個のマロニーネズミ白血病ウィルス(Moloney murine leukemia virus(MoMLV))長末端リピート(LTR)の間に位置 するBg/II部位にてpEVXプラスミド[クリーグラ等(1984)、セル 、第38巻、第483〜491頁]に挿入する。この断片はpBR322 Ba mHIからSalI部位までの276bpのpBR322 DNA、それに続く SalI部位(すなわちenv未端コドンの上流約750bpからv−src未 端コドンの下流約90bpであるNruI部位までの2.8kbのラウス肉腫ウ ィルス(RSV)DNAを有する[NruI部位はpN4の作成にてBg/lI 部位まで変換される]。10:1の挿入体−ベクターDNA断片のモル比を用い て結合を行う。 pMvsrcプラスミドをNheIで制限して、腫瘍形成性断片を遊離させた 。この断片は、マロニーネズミ白血病ウィルス(MoMLV)LTRの大部分に より上流で(LTLの5’開始部近くのNheI部位から、このLTRの3’末 端まで)及びMoMLV LTRの小部分より下流で(5’開始部からNheI 部位まで)整列したシュミット−ルピンRSVのサブ群A株のv−srcオンコ ジーンを含んだ。 3. pcsrc527 クミエシク及びシャロウェイ(1987)、セル、第49巻、第65〜73頁 に従いpcsrc527プラスミドを作成する。要約すれば、発現ベクターpE VX[クリグラー等(1984)、セル、第38巻、第483〜491頁]を、 2個のMoMLV LTRの間に位置する独特のBgIII部位にて切断すると 共に、プラスミドpHB5からの3.2キロベース(kb)対のBamHI−B gIIIハイブリッドsrc断片を適正配向で挿入することにより、プラスミド を作成する。この断片はpBR322、SRA env3’領域、SRA v− src、回収ASVからのsrc及び雛c−srcからの配列を含む。c−sr c未端コドンから約20bp下流のSacI部位にリンカーを挿入して、BgI II部位を発生させる。pMHB5の制限マップは、上流LTRの3’末端から 約60bp下流のMoMLVスプライスドナーと、src ATGから約75b p上流のv−srcスプライスアクセプターとを含む。 合成二本鎖DNAオリゴマー をc−srcコドン524におけるBanII部位と下流の独特なBgIII部 位との間のpMHB5に挿入してプラスミドpMHB5527を作成する。これ はTAC Tyr527コドンをTTC Pheコドンまで、残留c−srcコ ード領域を保持しながら変化させる。等モル量の二本鎖オリゴマーと3個のゲル 精製されたpMHB5からの直列制限断片とを1つの反応で結合させる。これは 次のものを含有する:BanII及びBgIII相補末端を有するオリゴマー、 3kbのBgIII−BgII(pEVXアンピシリン耐性遺伝子におけるBg II)部分切断断片、隣接6.1kbのBgII−BgII(c−srcにおけ る下流BgII)断片、及び0.38kbのBgII−BanII(c−src コドン524におけるBanII)断片。 プラスミドpMHB5527における2kbのSalI(env)−MluI (c−src)断片を、プラスミドp5Hからの相同断片で置換して、プラスミ ドpcsrc527を作成する。この断片は、c−srcプロウィルスの分子ク ローニングにより分離されたc−srcアミノ領域(コドン1〜257)のため のコード用配列を含む。又、この配列は、事前にコドン63における突然変異な しに標準c−src配列を含むことが配列決定により示されている[レビー等( 1986)、プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス、USA 、第83巻、第4228〜4232頁]。等モル量のp5Hからの相補ゲル精製 SalI−MluI断片と他のプラスミドとを結合させる。 pcsrc527プラスミドをNheIで制限して、腫瘍形成性断片を遊離さ せた。この腫瘍形成性断片は、pMvsrcにおけると同じLTR相補部分によ り整列したc−src(527)オンコジーンを含んだ。 C. 動物 2種の閉鎖ライン(すなわちSC及びTK)の雛を用いた。これらラインは主 要組織適合性(B)複合体(SCラインにつきB2/B2、TKラインにつきB15 /B21)にて相違する。感染幼虫包蔵卵をハイライン・インターナショナル(ダ ラス・センター、IA)から得た。全ての雛をニューハンプシャー大学、鳥類研 究農場で孵卵させると共に隔離して収容した。 D. プラスミドDNAによる腫瘍誘発 src−陽性プラスミドをウィングウェブ(wing web)にファング等(1983 )、プロシーディング・ナショナル・アカデミー・サイエンス、USA、第80 巻、第353〜357頁及びハルパーン等(1990)、バイロロジー、第17 5巻、第328〜331頁に記載された技術に従って皮下接種して腫瘍を誘発さ せた。ここで用いた3種の腫瘍形成性プラスミドのうち、全部を接種前に100 μLの燐酸塩緩衝塩水当たり100μgの酵素制限DNAの濃度まで調整した。 特定の実験につき用いた接種の条件(接種時点における雛の年令、プラスミドの 量など)を下記に示す。 E. pVSRC−C1、pMvsrc又はpcsrc527を接種したTK又 はSC雛における一次(ウィングウェブ)腫瘍の成長 ラインTK又はラインSCの個々の1日令雛に100μgのpVSRC−C1 、pMvsrc又はpcsrc527のいずれかを接種した。特定時点及び個々 のsrc−陽性構成物が接種された任意の群のTK又はSCライン雛に関する平 均腫瘍直径(mm)を、一次腫瘍の直径の合計をその時点まで生存した雛の個数 により割算して算出した。その結果を第1A図(ラインTK)及び第1B図(ラ インSC)に示す。各時点における比は、特定群につき、その時点までの全生存 数に対する触診可能腫瘍を有する雛の個数を示す(pcsrc527につき標準 活字、pVSRC−C1につきスタリック、pMVsrcにつき肉太活字)。誤 差バー(記号により不明瞭でなければ)標準誤差を示す。 F. pcsrc527によるプライミング及び相同誘発又はpVSRC−C1 でのプライミング及び相同誘発の条件下における試験及び比較ラインTK雛での 誘発(ウィングウェブ)腫瘍の成長 試験雛及び比較ラインTK雛における誘発(ウィングウェブ)腫瘍の成長を( i)pcsrc527でのプライミング及び相同誘発、又は(ii)pVSRC −C1でのプライミング及び相同誘発の条件下で判定した。試験雛を孵卵の1日 後に100μgの構成物でプライムした。試験雛及び比較雛は孵卵の5週間後に 200μgの構成物で誘発した。平均誘発腫瘍直径を上記に記載したように演算 した。各時点にて、その時点までの全生存数に対する触診可能な誘発腫瘍を有す る雛の比をpcsrc527でのプライミング及び相同誘発につき示す(第2図 、パネルA)。さらにpVSRC−C1でのプライミング及び相同誘発につき示 す(第2図、パネルB)(比較群につき標準活字、試験群につき肉太活字)。試 験群と比較群との特定時点における平均誘発腫瘍直径の間の統計比較を両側スチ ューデントt検定(student's t test)により行った[*(p<0.05)、**( p<0.01)、***(p<0.001)]。触診可能な誘発腫瘍を有する雛の 、試験群の全生存数に対する比と、比較群の全生存数に対する比との間の、特定 時点における統計比較をカイ二乗検定(chi-squared test)により行った。p<0 .05である時点についてのみ、対の比に破線を施す。誤差棒は標準誤差を示す 。 G. pVSRC−C1でのプライミング及びpcsrc527での非相同誘発 又はpcsrc527でのプライミング及びpVSRC−C1での非相同誘発の 条件下における試験及び比較ラインTK雛での誘発(ウィングウェブ)腫瘍の成 試験雛及び比較ラインTK雛における誘発(ウィングウェブ)腫瘍の成長を( i)pVSRC−C1でのプライミング及びpcsrc527での非相同誘発、 又は(ii)pcsrc527でのプライミング及びpVSRC−C1での非相 同誘発の条件下で判定した。これら試験雛を絆卵の1日後に100μgの構成物 でプライムし、試験雛及び比較雛を孵卵の5週間後に200μgの構成物で誘発 させた。平均誘発腫瘍直径を項目Eに記載したように演算した。各時点にて、触 診可能な誘発腫瘍を有する雛とその時点までの全生存数との比をpVSRC−C 1でのプライミング及びpcsrc527での非相同誘発につき示し(第3図、 パネルA)、さらにpcsrc527でのプライミング及びpVSRC−C1で の非相同誘発につき示す(第3図、パネルB)(比較群につき標準活字、試験群 につき肉太活字)。特定時点における試験群と比較群との間の統計比較を前記セ クションに記載したように、スチューデントt検体につき行った[*(p<0. 05)、**(p<0.01)、***(p<0.001)]。p<0.05のカイ 二乗検定における時点についてのみ対の比に下線を施す。誤差棒は標準誤差を示 す。 H. 検討 pMvsrc又はpVSRC−C1のいずれかによるラインTKで誘発された 腫瘍の成長の直接比較において、比較的迅速な回帰(regression)の同様なパター ンが観察された。この結果は、これら2種のv−src陽性構成物の間のLTR 相補体における差がTKラインにおける腫瘍成長パターンに対し大きい影響を及 ぼさなかったことを確認した(第1図、バネルA)。これに対し、一層広くかつ 持続性の腫瘍成長がpcsrc527構成物でのTK雛の接種から生じた(第1 図、パネルA)。この構成物により誘発された腫瘍の比較的大きい成長能力は、 TKラインにてc−src(527)オンコジーンがv−srcオンコジーンよ りもずっと高度に腫瘍形成性であることを示した。しかしながら、この差はSC ラインには一般化されなかった(第1図、パネルB)。v−src DNA−誘 発腫瘍がラインSCにてラインTKよりもずっと弱い腫瘍免疫反応を生じると言 う初期の観察[ハルパーン等(1993)、バイロロジー、第197巻、第48 0〜484頁]に基づき、SCラインをTKラインとの比較につき選択した。p csrc527誘発一次腫瘍の成長は2種のラインにて実質的に区別しえなかっ たのに対し、v−src誘発肺瘍の成長はTKラインにおけるよりもSCライン にて顕著に大であった(第1図)。従ってc−src(527)でなくv−sr cは成長パターンがここで分析した2種のラインで相違するような一次腫瘍をも たらす。 相同誘発に対する最小の保護しかc−src(527)DNAへのプライミン グの条件下で観察されず、これは比較的弱い腫瘍免疫反応の誘発を示唆する(第 2図、パネルA;試験雛と比較雛とにおける誘発腫瘍成長の統計上有意の低下が 一時点においてのみ観察された)。これに対し、v−src DNA−プライム 処理雛は相同腫瘍誘発に対し優秀な保護を示した(第2図、パネルB)。 v−src DNAでのプライミングは、c−src(527)DNA自身で のプライミングにより得られるよりも比較的高い程度のc−src(527)D NAでの誘発に対する保護を与えた(第3図、パネルA)。保護の程度は、v− src DNAでのプライミング及び相同誘発の場合につき決定された(第2図 、パネルB)よりも弱かった。しかしながら、非相同誘発手法を逆順序で行った 場合(第3図、パネルB)、限界的保護のみが観察された。これらの結果は、過 剰発現されたプロトオンコジーンによって腫瘍細胞にて特定される抗原性に対す る反応性の誘発が腫瘍免疫性を付与し得ることを示す。 実施例2 ワクチン接種法 以下の説明は、本発明による代表的ワクチン接種法である。 A. 皮膚パンチバイオプシー 皮膚のパンチバイオプシーを、標準的医学慣例に従い熟練医者により得た。 B. 一次繊維芽細胞培養物の作成 無菌条件下で、パンチバイオプシーにより得られた皮膚を10mLの次の洗浄 媒体を含むチューブに入れた:重炭酸ナトリウム30mL/Lの5.6%溶液) とペニシリン/ストレプトマイシン(5000単位(unit)のペニシリン及び50 00μgのストレプトマイシン/mLを含有する2mL/Lのペン-ストレップ( pen-strep)保存溶液、pH7.2〜7.4)を含有するデュルベッコ改変イーグ ル培地(DMEM)。無菌フードにて皮膚バイオプシーをペトリ皿に添加し、次 いで同じ洗浄媒体を含有する新たなペトリ皿に数回移行させた。次いでバイオプ シーを2本のピンセットで微細に細断し、細断バイオプシーの2〜4片(<1m m3)を1本又はそれ以上のT25フラスコの中間部分に入れた。このフラスコ を組織培養インキュベータに37℃にて30分間にわたりキャップを堅く閉めて 入れ、次いで10分間開口させた。次の培地を作成した:重炭酸ナトリウムを含 有するDMEM;抗生物質;及び2.5μg/mLのフンギゾーンと40μg/ mLのゲンタマイシンと1%のグルタミン(3%w/v)とを含有する10%胎 児ウシ血清。次いで2mLの培地をフラスコに添加し、フラスコを37℃(5% CO2)にて培養し、キャップを軽くねじ戻した。フラスコを、別々の皮膚片が プラスチックに付着するよう運動させることなく3日間放置した。その後、常に 2〜3mLの培地を添加して、3〜4週間にわたり培地を毎週2回換えた。皮膚 細胞培養物をトリプシン処理するには融合の領域を必要とする。培地を吸引した 後、5mLのプックスサリンA(Puck's Saline A)/EDTA溶液(プックス溶 液Aの1Lに対し0.4gのEDTA)を添加し、直ちに吸引した。次いで1m Lのトリプシン溶液(PBSにおける0.05/0.02%トリプシン、Ca++ 又はMg++なし)を添加し、37℃にて5分間培養し、その時点で2mLの培養 液を添加してトリプシンの作用を停止させた。次いで細胞をより大きいフラスコ (T75)に移し、15mLの培養液にて37℃で培養し、この培養液を2日間 毎に換えた。 C. 繊維芽細胞形質導入 繊維芽細胞(2×105細胞)を血清又は抗生物質なしのDMEMにて2回洗 浄した。チューブNo.1にて400μLのDMEMと10μLのdCTGベク ターDNA(1μg/μL)とを混合することによりリポフェクトAMINE( 商標)−DNA溶液を作成した。チューブNo.2にて400μLのDMEMと 25mLのリポフェクトAMINE試薬[ライフ・テクノロジース社、カタログ No.18324−012)とを混合した。チューブNo.1及びチューブNo .2の内容物を互いに混合し、次いで室温にて30時間にわたり放置した。次い で 3.2mLのリポフェクトAMINE(商標)DNA溶液を細胞に添加した。細 胞を37℃にて6時間培養し、ハンクス・バランスト塩溶液で1回洗浄し、次い で増殖培地を再供給すると共に37℃にてさらに24時間にわたり培養した。 D. 形質導入体照射 形質導入体を25By又は2500Rの量まで照射した。次いで細胞をトリパ ン・ブルー・エクスクルージョンにより計数した。2×107照射形質導入体を 0.2〜0.4mL容積のハンクス・バランスト塩溶液に再懸濁させた。 E. ワクチン接種 2〜3週間の間隔にて2×107照射細胞を皮下接種して、患者にワクチン接 種した。より短い或いはより長い方式を、遅延型超過敏(DTH)反応監視(下 記に説明)の結果に応じて用いた。 F. DTH監視による患者の評価 患者を、チャング等(1993)、キャンサー・リサーチ、第53巻、第10 43〜1050頁に記載されたようにDTH反応における皮膚反応性の試験によ り照射形質導入体に対する反応性につき評価した。自己照射形質導入体に対する 反応性を測定するため、0.1mL容積のHBSSにおける104〜106形質導 入された照射細胞を皮膚内接種した。48時間後に硬化を2つの垂直直径の平均 として測定した。2mmより大の反応が陽性と考えられる。 実施例3 ネズミ(murine)繊維芽細胞のv−myc形質導入 A. ベクター作成 鳥類脊髄嚢胞腫ウィルスMC29のv−mycレトロウィルスオンコジーン[ ランド等(1983)、ネイチャー、第304巻、第596〜602頁]をアメ リカン・タイプ・カルチャー・コレクション、ロックビル、MD、20852か らpSVv−mycベクター(ATCC No.45014)として得た。pS Vv−mycのv−myc−陽性EcoRI−KpnI断片をpBK−CMVプ ラスミド[ストラトジーン・クローニング・シンイムス社、ラ・ヨラ、CA]の ポリリンカー部位に結合させた。 B. 細胞形質導入 pBK−CMV−v−mycベクターを用いる安定な形質導入を、ATCCか ら得られたA31繊維芽細胞(Balb/c源)のラインにつき行った。2×1 05細胞を100mm/皿1枚に接種し、18〜20時間にわたり増殖させ(R PMI 1640培地及び10%胎児ウシ血清)、その時点で細胞は50〜70 %融合に達した。次いで細胞をデュルベッコ改変イーグル培地(血清又は抗生物 質なし)で2回洗浄した。実施例2.Cに従いリポフェクトAMINE(商標) DNA溶液を作成すると共に、pBK−CMV−v−mycベクターDNAと3 .2mLのリポフェクトAMINE(商標)DNA溶液とを細胞に添加した。次 いで細胞を37℃にて6時間培養し、ハンクス・バランスト塩溶液で1回洗浄し 、次いで増殖培地を再供給すると共に37℃にてさらに24時間にわたり培養し た。その後、細胞に250μg/mLのゲネチシン(G418;ギブコBRL社 、カタログNo.11811)を選択マーカーとして含有する増殖培地を2日毎 に1回供給した。2週間以内にコロニーを釣り上げ、永久細胞ラインまで拡大さ せた。これら細胞を次いで洗浄すると共に遠心分離により回収した。 一時的形質導入の手順は、リポフェクトAMINE(商標)DNA溶液と共に 培養する時点まで同じであることに注目すべきである。その後、細胞を洗浄する と共に増殖培地にて72時間にわたり培養した。 合成、調製及び分析の各手順に関し引用した全ての引例を参考のためここに引 用する。 以上、本発明を特定具体例により説明したが、本発明はその思想又は範囲を逸 脱することなく各種の改変をなし得ることが当業者には了解されよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 イングランド,ジェームズ エム アメリカ合衆国 ペンシルバニア州 19063 メディア ウエスト ローズツリ ー ロード 644

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 標的プロトオンコジーンの過剰発現が癌に関連する前記標的プロトオンコ ジーンの産生物の作用に対し宿主を免疫処理するための細胞性イムノゲンであっ て、前記細胞性イムノゲンは、前記標的プロトオンコジーンに対し同族の少なく とも1つのトランスジーンと、形質導入細胞における前記トランスジーンの発現 を促進する強力プロモータと、を含む少なくとも1つのトランスジーン構成物で 形質導入されている宿主細胞を含み、前記トランスジーンは前記標的プロトオン コジーン遺伝子の産生物の宿主自己決定子に対し宿主免疫反応性を誘発する遺伝 子産生物をコードすることを特徴とする細胞性イムノゲン。 2. 前記トランスジーンは、 野性型又は突然変異型レトロウィルスオンコジーンDNA;又は 宿主種とは異なる種の野性型又は突然変異型プロトオンコジーンDNAを含む ことを特徴とする請求項1のイムノゲン。 3. 前記形質導入細胞は非分裂性であることを特徴とする請求項2のイムノゲ ン。 4. 前記トランスジーンは、突然変異型レトロウィルスオンコジーンDNA、 又は突然変異型プロトオンコジーンDNAを含むことを特徴とする請求項2のイ ムノゲン。 5. 前記突然変異型DNAは、非形質転換性であることを特徴とする請求項4 のイムノゲン。 6. 前記突然変異型DNAは、形質転換につき必須である前記DNAの領域に 欠失突然変異を含むことを特徴とする請求項5のイムノゲン。 7. 前記宿主細胞は、複数のトランスジーン構成物で形質導入されており、各 構成物が異なる欠失突然変異をコードすることを特徴とする請求項6の細胞性イ ムノゲン。 8. 前記宿主細胞は、AKT−2、c−erbB−2、MDM−2、c−my c、c−myb、c−ras、c−src及びc−yesよりなるプロトオンコ ジーンの群から選択される標的プロトオンコジーンに対して同族のトランスジー ンで形質導入されていることを特徴とする請求項1のイムノゲン。 9. 前記細胞は繊維芽細胞を含むことを特徴とする請求項1のイムノゲン。 10. 標的プロトオンコジーンの過剰発現が癌と関連する前記標的プロトオン コジーンの産生物の作用に対し宿主を免疫処理するための細胞性イムノゲンの製 造方法であって、 (a) 細胞を前記宿主から切除すること; (b) 前記切除細胞を、前記標的プロトオンコジーンに対し同族の少なくと も1つのトランスジーンと、形質導入細胞における前記トランスジーンの発現を 促進させる強力プロモータと、を含む少なくとも1つのトランスジーン構成物で 形質導入することであり、前記トランスジーンは前記標的プロトオンコジーン遺 伝子の産生物の宿主自己決定子に対し宿主免疫反応性を誘発する遺伝子産生物を コードする を含むことを特徴とする細胞性イムノゲンの製造方法。 11. 前記トランスジーンは、 野性型又は突然変異型レトロウィルスオンコジーンDNA;又は 宿主種とは異なる種の野性型又は突然変異型プロトオンコジーンDNAを含む ことを特徴とする請求項11の方法。 12. 前記形質導入細胞は非分裂性であることを特徴とする請求項11の方法 。 13. 前記トランスジーンは、突然変異型レトロウィルスオンコジーンDNA 、又は突然変異型プロトオンコジーンDNAを含むことを特徴とする請求項11 の方法。 14. 前記突然変異型DNAは、非形質転換性であることを特徴とする請求項 13の方法。 15. 前記突然変異型DNAは、形質転換につき必須である前記DNAの領域 に欠失突然変異を含むことを特徴とする請求項14の方法。 16. 前記宿主細胞は、複数のトランスジーン構成物で形質導入され、各構成 物が異なる欠失突然変異をコードすることを特徴とする請求項15の方法。 17. 前記トランスジーンは、AKT−2、c−erbB−2、MDM−2、 c−myc、c−myb、c−ras、c−src及びc−yesよりなるプロ トオンコジーンの群から選択される標的プロトオンコジーンに対して同族である ことを特徴とする請求項11の方法。 18. 前記切除細胞が繊維芽細胞を含むことを特徴とする請求項1の方法。 19. 標的プロトオンコジーンの過剰発現と関連する病気に対する、宿主への ワクチン接種方法であって、 (a) 細胞を前記宿主から切除すること; (b) 前記切除細胞を、前記標的プロトオンコジーンに対し同族の少なくと も1つのトランスジーンと、形質導入細胞における前記トランスジーンの発現を 促進させる強力プロモータと、を含む少なくとも1つのトランスジーン構成物で 形質導入することであり、前記トランスジーンは標的プロトオンコジーン遺伝子 の産生物の宿主自己決定子に対し宿主免疫反応性を誘発する遺伝子産生物をコー ドする; (c) 前記トランスジーン構成物で形質導入された前記切除細胞を前記宿主 の身体に戻して、前記宿主における前記トランスジーンの発現を得ること を含むことを特徴とする宿主へのワクチン接種方法。 20. 前記トランスジーンは、 野性型又は突然変異型レトロウィルスオンコジーンDNA;又は 宿主種とは異なる種の野性型又は突然変異型プロトオンコジーンDNA を含むことを特徴とする請求項19の方法。 21. 前記形質導入細胞を、前記宿主の身体に戻す前に非分裂性にすることを 特徴とする請求項20の方法。 22. 前記トランスジーンは、突然変異型レトロウィルスオンコジーンDNA 、又は突然変異型プロトオンコジーンDNAを含むことを特徴とする請求項20 の方法。 23. 前記突然変異型DNAは、非形質転換性であることを特徴とする請求項 22の方法。 24. 前記突然変異型DNAは、形質転換につき必須である前記DNAの領域 に欠失突然変異を含むことを特徴とする請求項23の方法。 25. 前記宿主細胞は、複数のトランスジーン構成物で形質導入され、各構成 物が界なる欠失突然変異をコードすることを特徴とする請求項24の方法。 26. 前記トランスジーンは、AKT−2、c−erbB−2、MDM−2、 c−myc、c−myb、c−ras、c−src及びc−yesよりなるプロ トオンコジーンの群から選択される標的プロトオンコジーンに対して同族である ことを特徴とする請求項19の方法。 27. 前記切除宿主細胞が繊維芽細胞を含むことを特徴とする請求項19の方 法。 28. 標的プロトオンコジーンの過剰発現と関連した病気に対する、宿主への ワクチン接種法であって、 (a) 細胞を前記宿主から切除すること; (b) 前記切除細胞を、少なくともトランスジーンと、形質導入細胞におけ る前記トランスジーンの発現を促進する強カプロモータと、を含む少なくとも1 つのトランスジーン構成物で形質導入すること を含み、前記トランスジーンは、 (1) 野性型又は突然変異型同族レトロウィルスオンコジーンDNA; 又は (2) 宿主種とは異なる種の野性型又は突然変異型同族プロトオンコジ ーンDNA を含み; (c) 前記トランスジーン構成物で形質導入された前記切除細胞を前記宿主 の身体に戻して、前記宿主における前記トランスジーンの発現を得ること を含むことを特徴とする宿主へのワクチン接種方法。
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