JP2001500501A - マーカー組成物 - Google Patents

マーカー組成物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、水性マーカー組成物のセットに関し、各組成物は、15℃と40℃との間で、少なくとも10℃の温度範囲に亘って、および好ましくは0.01Tおよび5Tの間の選択された磁場強度値近傍において少なくとも±2%(例えば0.1T)の磁場強度範囲に亘って実質的に不変な選択された1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する水性マトリックス材料からなり、この水性マトリックス材料は、上記範囲で実質的に不変なTi緩和性を有する第一の常磁性材料および/または上記範囲内で、上記マトリックス材料の1/Tiの温度依存性とは逆の極性の非-ゼロ温度依存性を有するTi緩和性を有する第二の常磁性材料が内部に分布しており、上記セットは、好ましくは少なくとも1.0〜2.5s-1の範囲を包含する、異なる選択された1/Ti値を有する複数の上記組成物を含み、かつ上記セットは、好ましくは、上記第二の常磁性化合物を含む少なくとも一つの組成物と、上記第一の常磁性材料を含む少なくとも一つの組成物を含んでいる(ここで、Tiのiは1または2である)。

Description

【発明の詳細な説明】 マーカー組成物発明の分野 本発明は、マーカー、例えば外部マーカーまたは装着マーカーとして、または 磁気共鳴(MR)イメージング調査のための検量標準として有用な組成物、およびこ のようなマーカーからなる検量セットに関する。発明の背景 磁気共鳴イメージングは、被検体(患者)のイメージが、被験者をMRイメージ ング装置の一次磁場内に置きながら水プロトンの磁気共鳴遷移を励起した後に被 検体から放出されるMRシグナルをコンピュータ操作して都合良く生成される、広 範に用いられる診断イメージング方式である。被検体からのMRシグナルは、一次 磁場の強度並びに水プロトンの特徴的な緩和時間T1およびT2に依存し、この緩和 時間はそれ自身化学的環境および温度などの要因に依存している。 外部マーカーは、通常、常磁性物質でドープされた水性マトリックスを含有す る管たる物体であり、この管はMRイメージング装置内に患者とともに配置され、 検査対象領域内でシグナル強度(SI)の検量または正規化を可能にする。外部マ ーカーについてのSIの正規化は、多中心調査中に得られたSIの標準化、コントラ スト増強されたMR調査中の臓器機能の評価、T1マッピング、および組織 の特徴づけおよび評価を可能にする。外部マーカーは、場と温度と両方に対して 独立して、特定の排出型、例えば臓器、脂肪および様々な癌型のSIをシミュレー トする、特定のシグナル強度を与えるように設計することができる。外部マーカ ーは、MR装置の質のコントロールための通常手順に用いることができる。 臨床MRユニットが全て同じ一次磁場強度で動作するわけではないため、および マーカーの温度が被検体の温度およびイメージング装置内での周囲温度の間にあ るため、臨床的実施で様々に出くわす温度変化や磁場変化に対して実質的に不動 であるシグナル強度を与える外部マーカーへの要求がある。 一般的に、外部マーカーは、身体組織からのイメージを検量するために用いら れるため、組織と等価なシグナル強度、すなわち患者のMRイメージの少なくとも 部分からと同様の桁のマグニチュードであるシグナル強度を与えるように設計さ れる。 physics in Medicine and Biology 34:5-22(1988)において、Walker et al は、多糖ゲル(アガロースゲル)および常磁性ガドリニウム化合物からなる組織 等価な試験材料を記載している。GdCl3およびガドリニウムのEDTAキレートの両 方が研究され、そしてアガロース/GdEDTAの組合せがより優れていることを見出 した。これらを様々な組合せにて混合すること、すなわち組成物に対して1/T1 および1/T2値を変動させることで、Walker et alは 様々なインビボの組織のMRシグナルを真似ることができた。しかしながら、組成 物のシグナル強度は、臨床的実施で出くわす温度変化や場の強度変化に対して実 質的に不動ではなかった。 Magnetic Resonance Imaging 11:125-133(1993)において、Tofts et alは、 今回はアガロースゲル中のNiDTPAからなる同様な組織等価な材料を記載している 。この材料は、21℃で低いT1値で低温依存性を有しており、この著者らはマーカ ー材料はガドリニウムを含有すべきでない旨明確に言及した。 Magnetic Resonance Imaging 6:263-270(1988)において、Howeは、Ni2+含有 アガロースゲル(低い1/T1温度依存性を有する)をCu2+でドーピングすること で、20〜30℃の比較的狭い温度範囲における、および比較的低いT1値(<500ms )についてマーカーシグナル強度の温度変化の問題への解決を提供した。Howeに より調査された条件下で、Cu2+およびNi2+の両方のT1緩和は、温度依存性である が、逆の極性をする。しかしながら、Howeは、より広範なより臨床的に関連する 温度範囲における温度依存性、または磁場強度依存性の問題への解決は提供しな かった。 広い意味で、外部マーカーで出くわす温度および場の強度依存性の問題は、水 性のマトリックス材料の1/T1値の温度依存性に原因する。 しかしながら、我々は、その1/T1および/または1/T2値が、臨床的実施で出 くわす温度変化および場の強度変化において、実質的に温度および場の強度非依 存性である外部マーカーを、常磁性材料の組合せを用いて臨床的に関連する1/T1 および/または1/T2値の広い範囲で製造でき、一つは関連する温度および場の 強度で本質的に温度非依存性T1緩和(r1)および/または1/T2緩和(r2)を有 し、第二は水性マトリックスの1/T1(または1/T2)温度依存性に対して異極性 (すなわち、純粋なマトリックスについてd(1/T1)(すなわち、常磁性材料不在 のマトリックス材料)が負であるならば、第二の常磁性材料についてdr1/dTが正 である)であるr1および/またはr2温度依存性であって、かつ関連する温度範囲 および場の強度範囲で上記第一の温度不動の常磁性材料よりも大きいr1値を有し ていることを見出した。マーカー用の特に高い所望の1/T1のために、上記第二 の常磁性材料を放出することができる一方で、特に低い1/T1値のために、第一 の常磁性材料を放出することができる。 したがって、一つの観点から見ると、本発明は、水性マーカー組成物のセット (イメージング用途のために、最も好ましくは、すぐに使用できる形態の場合、 これが実質的に閉じた容器中のヘッドスペースフリーの部屋に配置される)であ って、各組成物が、15および40℃の間で少なくとも10℃の温度範囲(好ましくは2 5〜35℃、特に20〜30℃)において、および好ましくは0.01および5Tの間(好まし くは0.2および2.0Tの間)の選択された磁場強度値の周囲の少なくとも±2%(例 えば少なくとも0.1T)の磁場強度範囲に おいて、特に好ましくは0.2〜2.0T、より好ましくは0.01〜5Tまたはそれ以上に おいて、実質的に不動である選択された1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲内で 非ゼロ1/Ti温度依存性を有する水性マトリックス材料からなり、この水性マト リックス材料は、上記範囲内で実質的に不動なTi緩和を有する第一の常磁性材料 および/または上記範囲内で上記マトリックス材料の1/Tiの温度依存性に対し て異極性な非ゼロ温度依存性を有し、かつ、特に第一および第二の常磁性材料が 同じ常磁性金属を有する場合に、上記第一の材料のそれよりも大きいTi緩和を有 する第二の常磁性材料が内部に分布しており、上記セットは異なる選択された1 /Ti値、例えば0.3〜120.0s-1(例えば、1/T1については0.5または0.6〜20.0秒、 例えば0.7〜3.5s-1、好ましくは少なくとも1.0〜2.5s-1の範囲を包含し、および 1/T2については5.0〜100sec-1の範囲、好ましくは少なくとも10〜30sec-1の範 囲を包含する)を有する複数(すなわち、二以上、好ましくは三以上、望ましく は少なくとも10まで)の上記組成物を含有するセットであり、上記セットは、好 ましくは上記第二の常磁性材料を含有する少なくとも一つの上記組成物および上 記第一の常磁性材料を含有する少なくとも一つの上記組成物からなり、Tiのiは 1または2である。 したがって、組成物はiが1または2である1/T1マーカー、あるいはiが1 または2である1/T2マーカーであってもよい。しかしながら、常磁性材料が、 組成物用の1/T1および1/T2の両方が上記選択された領域において実質的に不動 であるようなものであるこ とが好ましい。 組成物は、温度範囲および磁場強度範囲において実質的に不動な1/Ti値を有 することが有利であり;しかしながら、磁場強度の範囲において温度が不動であ る(例えば、添付図面の図3に示したようである)組成物が、とりわけ後述の緩 和速度標準として使用するのに特に価値がある。 第一および第二の常磁性材料を上記に言及したのみであるが、本発明の組成物 は所望によりさらなる常磁性材料、例えば二以上の第一の材料および/または二 以上の第二の材料を含んでもよい。 本発明のセットの組成物は、外部マーカーとして用いられる容器の中に満たす ようにバルク形態でパックしてもよい。あるいは、それらは外部マーカーとして 使用するのに好適な個々の容器のセットとして予め包装することが好ましい。こ のような個々の容器、あるいは組成物自身もまた、マーカーがX線(例えばCT) 調査でも用いることができるように、放射線不透過性の材料(例えば重金属また は重金属化合物(例えば鉛、バリウムまたはビスマス、あるいはこれらの化合物 )またはヨウ素化材料、例えばトリヨードフェニル化合物、例えばメトリゾエー ト、メトリザミド、イオヘキソール、イオジキザノール、イオペントール、イオ パミドールおよびイオトロラン)に取り込んでもよいことが有利であり、あるい は超音波調査でも用いることができるように、エコーを発生させる材料を取り込 んでもよいことが有利である。 外部マーカー組成物のための個々の容器は、如何なる好適な材料、例えば非鉄 金属またはより好ましくはプラスチックであってもよく、かつ、堅くても柔らか くてもよい。該容器は、如何なる適当なサイズであってもよいが、望ましくは10 〜50mm(例えば10〜20または15〜50mm、好ましくは20〜40mm、特に30mm)の内径 および2および200cm(例えば5〜20cm、都合良くは5、10または20cm)の長さ を有する管である。この適当なサイズは、意図する適用、例えば調査中の種また は身体部分に依存する。また、容器は、1/T1値が適用される磁場強度が適当な らば、組成物のその1/T1値にしたがってカラーコードされるのも好ましい。 また、組成物は、医療用品のアイテム、例えばカテーテルの部分として提供さ れてもよく、または調査中の患者による身に着けられる衣類または他の物のアイ テムに取り付けてあるいは部分として提供されてもよい。 さらなる観点から見ると、本発明は、イメージされる塊が、本発明に係る外部 マーカー組成物、例えば本発明に係るセットからの一以上のマーカー組成物を含 有することを特徴とするMRイメージング方法をも提供する。 外部マーカー組成物からのシグナルは、患者に投与されたコント ラスト剤の所定の身体領域内における濃度を評価するために用いることもできる 。 したがって、さらなる観点から見ると、本発明は、患者の測定対象領域内にお けるコントラスト剤濃度を評価する方法を提供し、該方法は、本発明に係るマー カー組成物からの検出シグナルと上記領域からの検出MRシグナル強度とを比較す ること、および好ましくはコントラスト剤のない領域(好ましくは、同じ領域で コントラストの無いところ)からの検出シグナルとも比較することからなるもの である。このようなコントラスト剤について、その緩和が知られており、評価さ れたコントラスト剤濃度の計算結果は直接的である。 なおさらなる観点から見ると、本発明は、検出MRシグナル強度を、本発明に係 る外部マーカー組成物、例えば本発明に係るセットからの一以上のマーカー組成 物を用いて検量することを特徴とするMR装置の検量方法を提供する。 この観点において、検量は、マーカー組成物の検出強度にしたがってイメージ 強度を正規化する装置を配置することを型的に包含する。 この点に関し、緩和速度測定標準の主な問題が、磁石の温度制御であることに 着目することができる。したがって、緩和速度測定に用いられるMR装置において 、高度に正確な磁場強度のいくつかで あるものもあるが、稀に標準を含むプローブの温度のいくつかであるものもある 。従来の標準は、このような場で温度依存性を示し、1/T1および/または1/T2 がこのような領域で実質的に温度により変化しない、本発明に係るマーカー組成 物の使用は、非常に有利である。したがって、このようなマーカー組成物は、単 にMRイメージング装置のためだけでなく、一般的なNMR測定装置の1/T1および/ または1/T2測定の検量標準または質制御標準として用いることができる。 本発明は、場および温度非依存性であるMRシグナル強度を与える組成物の製造 を可能にする。この概念は、単に外部マーカーにだけではなく、医療用品、特に 侵襲的な用品、例えばカテーテル、針などのマーキングにおいても用いることが できる。したがって、このような用品は、介入的なMR調査において該用品を視覚 化することを可能にするだけでなく、患者内において(例えば、その温度非依存 性により)その場所に無関係な一定の相対強度のシグナルを与えるマーカー組成 物でマークしてもよい。(相対により、特定の組織またはもう一つのマーカーな どに対して相対的ということが意味される。)これは、相対的に直接的な方法、 例えば本発明に係るマーカー組成物を、この用品(例えばカテーテル)を囲む被 包に、または第二の管で囲むことで介入する環状空間を介して液の送出を可能し た中心管に配置することで達成することができる。 したがって、さらなる観点から見ると、本発明は、本発明のマー カー組成物、例えば本発明に係るセットからの一以上のマーカー組成物を取り込 んだ医療デバイス、例えば侵襲的デバイス、例えばカテーテルを提供する。 本発明の組成物は、動作アーチファクトを回避する物理的形態の何れかを採る ことが好ましい。したがって、それらは自由に流動する粒子形態であってもよい が、イメージング用途のために、それらは実質的にヘッドスペースがないの部屋 に封入しないならば、用いられる温度で自由に流動する液体ではないことが好ま しい。しかしながら、このように封入されるのであれば、特に、破損耐性の容器 にパックされるのであれば、水性溶液が好ましい。他の好適な物理形態としては 、固体、半固体、ゲル、高粘度(すなわち堅練りの)液体および粒子形態が挙げ られる。 単純な液体組成物、例えば溶液または水の懸濁物は、本発明に係るマーカー組 成物として用いることができる。したがって、ここで用いられるように、水性マ トリックスという語は、水並びに水性ゲルなどの材料を包含するように定義され る。 上述のように、組成物は、他の成分を含有してもよいが、基本成分は組成物を その物理形態で提供する役割を果たす水性マトリックス材料と、常磁性材料とで ある。 水性マトリックスは、水和した親水性ポリマー、例えばプラステ ィックポリマー、またはゲル、例えばポリアクリルアミドゲルまたは多糖ゲル、 例えばアルギネート、アガロースまたはアガーゲルであることが都合良い。組成 物内のマトリックス形成材料量は、特に重要ではない。要求されることは、得ら れるマトリックスが、適当な緩和時間を有する適当なMRシグナルを提供するくら いに、十分に水性であることであり、好ましくは自由に流動する液体であること である。一般的に、マトリックス形成剤の最大量が、好ましく用いられる。実際 には、2重量%のアガーゲルが好適であることが分かった。しかしながら、ある 好ましい態様においては、マトリックス形成材料は、マイクロ秒のオーダーで寿 命を有する水結合を生じる特定の水結合部位を持たないものである。1/T2不動 の組成物のために、ポリアクリルアミドゲルが好ましい。 本発明の一つの態様において、組成物のプロトン密度は、特定の標的組織のプ ロトン密度に対応して選択することができる。例えば肝臓実質または病巣に対応 して、選択された一定の1/T1および異なるプロトン密度を有する組成物のセッ トを提供することは、確かに本発明における一つの好ましい態様である。 したがって、これらマーカーの一つの目的は、特定の動物組織またはヒト組織 の信号強度とつり合うようにすることである。例えば、マーカーを用いて、1000 ミリ秒のT1を有する病変とよく似るようにすることが望ましい。しかしながら、 マーカーのプロトン密度が病巣のプロトン密度と有意に異なることがあるため、 単に1000ミ リ秒のT1を有する水溶液またはゲルであるマーカーを用いることでは不十分であ るかもしれない。一般的に、水溶液マーカーは、100%に非常に近いプロトン密度 を有している。事実、本目的のためには、常磁性剤によるプロトン密度が水のプ ロトン密度に関して無視できるため、100%として考えることができる。一方、組 織は典型的には約80%の水を含んでいる。したがって、等価なT1値に対し、組織 の信号強度は、それら各々の水含有量比に支配される量において、水の信号強度 よりも低いであろう。これに対する一つの解決は、水プロトン含有量を変化させ て所望の組織のそれとつり合わせるマーカーを提供することである。これを達成 するための最良の方法は、D2Oを用いることである。すなわち、D2Oは、全くプロ トン含有量を持たないにもかかわらず、常磁性剤の緩和性や、マーカーがゲルマ トリックスを有する場合のゲル形成特性にその存在が有意な影響を及ぼさない点 において、その特性が水と非常に類似している。例えば、80%のプロトン含有量 を有するゲルを構成することが望まれる場合、80%のプロトンと20%の重陽子を含 む溶液を作成する。これは、H2OとD2Oとを、これらの異なる密度および分子量を D2O源の純度とともに考慮して、適当な量で組み合わせることによって行われ、 このようにしてプロトン含有量が、プロトンおよび重陽子の全モル数の80%とな る。勿論、プロトン含有量の削減はH2OのD2Oによる置換に限定されない。すなわ ち、プロトン信号強度に寄与せず、(少なくとも部分的に)水性のマトリックス に亘って均一に分布するいかなる材料も充分である。一つの非限定的な例は、水 可溶性フルオロカーボンである。 本発明の組成物における常磁性材料は、好ましくは、ポリキラント(多重メタ レーションが可能な重合キラント)との常磁性金属イオン(好ましくはガドリニ ウム)のキレート錯体である。直鎖状ポリキラント、すなわち以下の構造 −[Ch-L]n- (式中、Chはキレート化部分であり、Lは親水性または疎水性有機リンカー部分 であり、nは整数である)の繰返し単位を有するものが好ましい。第一(温度不 変)常磁性材料のためには、リンカー部分は、好ましくは親水性(例えば((CRH)m O)p(CRH)m(式中、Rは水素またはアルキル、例えばC1-4アルキル、特にメチルで あり、mは2または3であり、かつpは整数である)、すなわち直鎖状または分枝 状ポリアルキレンオキシ鎖などの酸素中断アルキレン鎖)である。一方第二常磁 性材料のためには、リンカー部分は、好ましくは疎水性部分、例えば直鎖状また は分枝状C4-30アルキレン鎖、好ましくはC5-16アルキレン鎖である。キレート化 部位は、常磁性金属を結合し得る適当な何れのキレート化剤の残基であってもよ く、例えばDTPA、DTPA-BMA、EDTA、DOTA、DO3A、DPDPなど、好ましくはDTPAの残 基である。適当なポリキラントの例は、WO94/09056、WO94/08629、WO95/26754お よびWO96/40274に開示されている。これらの開示は、参照としてここに組み入れ られる。 第一および第二常磁性材料の特に適した例は、以下の実施例で説明されるガド リニウムポリキレート化合物AおよびBである。 上述のタイプのガドリニウムポリキラントは、インビボMRコントラスト材とし て使用するのに好適であるとして既に開示されている。外部マーカーとして水性 ゲル内に処方されたこれらの使用は、今だ開示されていない。 したがって、更なる観点から、本発明は、15℃と40℃との間で、少なくとも10 ℃の温度範囲(好ましくは25〜35℃、特に20〜30℃)に亘って、および好ましくは 0.01Tおよび5T(好ましくは0.2Tおよび2.0T)の間の選択された磁場強度値近傍 において少なくとも±2%(例えば0.1T)の磁場強度範囲に亘って実質的に不変な 選択された1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する親 水性合成または天然ポリマーの水性ゲルからなり、この水性ゲルは、上記範囲で 実質的に不変なTi緩和性を有する第一のガドリニウムポリキレートおよび/また は上記範囲内で、該第一のポリキレートの緩和性より大きく、かつ上記水性ゲル の1/Tiの温度依存性とは逆の極性の非-ゼロ温度依存性を有するTi緩和性を有す る第二のガドリニウムポリキレートが内部に分布している水性組成物を提供する 。(Tiのiは1または2である) より更なる観点から、本発明は、ゲル形成親水性ポリマーと、式: −[Ch-L]n- (式中、Chはキレート化部分であり、Lは親水性または疎水性有機リンカー部分 であり、nは整数である)の繰返し単位を有するポリ キラントのガドリニウムキレートを含む水性ゲル組成物をも提供する。 本発明にしたがって使用されるポリキラントは、便利には1〜1000KD、特に4 〜100KDの分子量を有し、かつ便利には少なくとも3個、好ましくは少なくとも1 00個までの常磁性金属イオンをメタレーションできる。 上述のガドリニウムポリキレートの他に、マーカー組成物で用いられる常磁性 材料は、周囲マトリックスとの水交換が制限された複合材料、例えばゼオライト またはカーボンケージ常磁性担持多孔性粒子(例えばWO93/08846およびWO93/1576 8、および添付されたサーチレポートで引用された書類参照、これら全ての内容 は参考としてここに組み入れられる)、またはより好ましくは、常磁性担持リポ ソーム(例えばWO96/11023、および添付されたサーチレポートで引用された書類 参照、これら全ての内容は参考としてここに組み入れられる)であってもよい。 中のGdCl2)および常磁性担持リポソーム(注:用語リポソームは、ここで使用 されて、単一ラメラまたは多層ラメラ粒子に関連する) 性タンパク質)や、閉鎖生体膜(血球)などの区画化システムも使用することが できる。 したがって、リポソームを含む水性ゲルのシステムのためには、リポソームが 水と常磁性剤とを含むとともに、水分子はリポソームの内部領域および外部領域 との間で交換されない。リポソームの内部に含まれる水の量は、リポソームの外 部にある水の量と比較して小さく、そのためシステムからのMR信号に対する支配 的な寄与は、リポソームの外部の水からのものである。したがって、常磁性剤を 含むリポソームである実体が、リポソームの外部にある水分子によって常磁性剤 とし見なし得る。したがって、この場合において関連する水分子の交換は、リポ ソームの内部領域および外部領域間での水分子の交換であり、これは内部球(inn er-sphere)緩和と類似する。これに対して、このリポソームの場合に付いての外 部球(ouTer-sphere)緩和は、リポソームの領域に拡散するリポソームの外表面 上の水の拡散である。リポソームのサイズがリポソーム内部の常磁性剤個々のサ イズより非常に大きくかつリポソーム内部の常磁性剤の濃度がかなり低いため、 この外部球の1/T1への寄与は、無視することができる。したがって、リポソー ムを含むマーカーに付いての1/T1値は、この類似「内部球」の寄与によって支 配される。リポソームの内部領域および外部領域間での水分子の交換が十分に低 い場合、マーカに付いての1/T1値は実質的に磁場強度と独立している。さらに 、リポソームの内部領域および外部領域間での水分子の交換を低くしかつ温度低 下とともに減少する交換速度とすることができ、これによって1/T1wの温度依存 性、純ゲルの緩和速度も相殺することができる。その結果、磁場強度及び温度の 両 方と実質的に独立な1/T1値を有するマーカー組成物を製造できる。また、磁場 強度の独立性は、水性マトリックス中に拡散した単なる常磁性分子で可能である より広い範囲(例えば、2.35×10-4〜25T)に亘っており、かつ独立性の範囲は低 磁場および高磁場の両方で延長される。勿論、リポソームは、これらマーカーの 目的のために機能し得る区画化水性システムの単なる一つの例である。また、リ ポソーム内部の常磁性剤はその同一性について限定されない。すなわち、いかな る常磁性剤も使用することができる。これは、リポソーム外部の水分子に対する 外部球の寄与が無視できるためである。したがって、関連のある全ては、リポソ ーム内部の水プロトンの緩和速度(1/T1int)が増加し、交換速度が、マーカー の1/T1を磁場強度と関わりなくするのに充分なほど低いことである。1/T1int の温度または磁場依存性が何であるかは、これが、例えばリポソーム膜の性質ま たは浸透性を改質して、リポソーム内部および外部間の水分子交換速度を制御す ることによって相殺されるため、問題ではない。 上記ガドリニウムポリキレートを有しているため、常磁性担持ゼオライトおよ びリポソームはMRコントラスト媒体として提案されている一方で、水性ゲルとし て処方された、外部マーカーとしてのそれらの使用は以前には説明されたことが なかった。 したがって、他の観点から、本発明は、15℃と40℃との間で、少なくとも10℃ の温度範囲(好ましくは25〜35℃、特に20〜30℃)に亘って、および好ましくは0. 01Tおよび5T(好ましくは0.2T および2.0T)の間で、好ましくは0.2〜2.0T、より好ましくは0.01〜5Tまたはそれ を越える値の磁場強度範囲に亘って、選択された磁場強度値近傍において少なく とも±2%(例えば0.1T)の磁場強度範囲に亘って実質的に不変な選択された1/Ti 値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する親水性合成または 天然ポリマーの水性ゲルからなり、この水性ゲルは水と区画化構造(例えば常磁 性担持ゼオライトまたはリポソーム)内の常磁性物質とを含み、かつこの区画化 構造が水性ゲルと上記常磁性物質を含む区画との間の水の拡散を許容する水性組 成物を提供する(ここで、Ti中のiは1または2である)。 さらに他の観点から、本発明は、ゲル形成親水性ポリマーと、区画化構造内の 常磁性物質とを含み、かつこの区画化構造が水性ゲルと上記常磁性物質を含む区 画との間の水の拡散を許容する(例えば、常磁性物質を含みかつ水の拡散を許容 する膜を有するリポソームである)水性ゲル組成物を提供する。 室温および生理学的温度での1/Tiの実質的な温度不変性を与えるように調和 させた常磁性材料の組み合わせを含む組成物は新規であり、本発明の更に別の観 点を形成する。この観点から、本発明は、15℃と40℃との間で、少なくとも10℃ の温度範囲(好ましくは25〜35℃、特に20〜30℃)に亘って、および好ましくは0. 01Tおよび5T(好ましくは0.2Tおよび2.0T)の間で、特に好ましくは0.2〜2.0T、 より好ましくは0.01〜5Tまたはそれを越える値の磁場強 度範囲に亘って、選択された磁場強度値近傍において少なくとも±2%(例えば少 なくとも0.1T)の磁場強度範囲に亘って実質的に不変な選択された1/Ti値を有 し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する親水性合成または天然ポ リマーの水性ゲルからなり、この水性ゲルは、(a)上記範囲で実質的に不変なTi 緩和性を有する第一の常磁性材料(例えば、第一のガドリニウムポリキレート) および(b)上記範囲内で、上記水性ゲルの1/Tiの温度依存性とは逆の極性の非- ゼロ温度依存性を有するとともに、上記第一および第二の材料が同一の常磁性金 属を含む場合には、第一の常磁性材料よりも大きなTi緩和性を有する第二の常磁 性材料(例えば、第二のガドリニウムポリキレート)が内部に分布している水性組 成物を提供する(ここで、Tiのiは1または2であり、上記選択された1/Ti値は 好ましくは0.3〜120.0s-1(例えば1/T1のためには0.5または0.6〜20.0sec、例 えば0.7〜3.5s-1、好ましくは1.0〜2.5s-1の範囲、1/T2のためには5.0〜100sec-1 、好ましくは10〜30sec-1の範囲である)である)。 上述したように、本発明の全ての組成物は、所望により、1つまたはそれ以上 の常磁性材料を含んでいてもよい。 本発明の組成物に適した常磁性材料としては、遷移金属、ランタニドおよびア クチニドの水溶性塩およびキレート、有機非持続性ラジカルなどを挙げることが できる。しかしながら、常磁性金属イオン(特に、Gd、MnおよびFe(例えば、GdII I、MnII、FeIII))、 例えば上述されたものおよびMRコントラスト剤として用いるのに適当であるとし て特許文献で説明されたもの、例えばGd DTPA、MnDPDP、Gd DTPA.BMA、Gd DTPA. ポリシランなど、が好ましい。 マーカー組成物中の常磁性材料の濃度は、水性マトリックスの1/T1値および /または1/T2値、または特定の常磁性材料のr1値および/またはr2値および組 成物についての所望の1/T1値および/または1/T2値に依存する一方、ガドリニ ウム化合物のためには、濃度は、各化合物について、一般的に20mM Gd(水1リ ットル毎)まで、例えば5.0まで、好ましくは1.0まで、特に好ましくは0.7mM Gd までである。 本発明の組成物は、更に、実質的に水不溶性の粒状常磁性物質、例えばガドリ ニウム化合物またはマンガン化合物、例えばアパタイトまたはハイドロキシアパ タイトを含んでいてもよい。 実質的に温度または磁場強度不変であることにより、1/TiまたはTi緩和性が 、選択された温度および/または磁場強度範囲に亘って5%以下で変化しなければ ならないことが意味される。好ましくは、実質的不変材料または組成物は、0.1 〜5Tの場強度範囲および少なくとも20〜40℃の温度範囲に亘るこのような不変性 を示す。 1/T1マーカー組成物のための1/T2値および1/T2マーカー組成物のための1/ T1値もまた、実質的に温度および場不変性であること が望ましいか、幾らかの変動が許容される。好ましくは、15℃と40℃との間(例 えば25と35℃との間)で、10℃の温度範囲に亘る1/Tx(式中、i=1の場合Tx=T1 であり、i=2の場合Tx=T2である)変動は、特に25%未満、好ましくは15%未満、よ り好ましくは10%未満、更に好ましくは5%未満{ここでパーセントは、100(1-V1 /V2)(式中、V1およびV2は比較される値であり、かつV2>V1である)として計算 される}である。図面の簡単な説明 図1は、化合物AのNMRDプロフィールである。 図2は、化合物BのNMRDプロフィールである。 図3は、本発明に係る組成物A〜Dの1/T1プロフィールである。 図4および5は、純粋2%寒天ゲルに付いてのNMRDプロフイールである。 図6Aおよび6Bは、5%ポリアクリルアミドゲル中のマーカー組成物について およびゲル単独についてのNMRDプロフィールである。 図7は、水中のマーカー組成物についての1/T1プロフィールである。 図8Aおよび8Bは、下垂体の研究から決定した時間の関数としての信号増強 (%ENH)のプロットである。 図9は、1.5T Siemens Vision mr造影装置のボディ(フェイズドアレー)コイ ル内のグリッド上に置かれたマーカーに付いての信号強度の変動のプロットであ る。 図10は、本発明に係るマーカーの断面における概略図である。 図中に示されるプロトンラーマー振動数は、等しく場強度に対応する。したが って、例えば10MHzは0.235Tと、1MHzは0.0235Tと等価である。発明の詳細な説明 1/T1および/または1/T2が温度に依存しないマーカーを得るために、実質的 に温度に依存しない磁性プロトン縦緩和および横緩和(それぞれr1およびr2) を有する常磁性イオン含有物質、純粋な水性マトリックス(すなわち常磁性物質 を含まないマトリックス)の緩和速度に対して反対の温度依存性である温度依存 性の磁性プロトン縦緩和および横緩和(それぞれr1およびr2)を有する常磁性 イオン含有物質、またはこれらの混合物何れかが作られる。水性固体マトリック スとしては、たとえば可塑性重合体が挙げられるが、好ましくは水(H2OまたはH2 O/D2O混合物)またはゲル、具体的には寒天またはアガロース(agarose)、特に 好ましくは水またはポリアクリルアミドゲルである。何れが用いられるにしても 、MRイメージにおける如何なるモーションアーチファクトも避けられるようにヘ ッドスペースのないチャンバー内に包まれるのでなければ、最終的なマトリック スは、自由に流動する液状状態に無いことが好ましく、しかしマーカーが適当な MR信号を与えられるように水を含まなければならない。好ましい常磁性イオン含 有物質は、化合物AおよびBのようなGd-DTPA-重合体複合物である。必要とされる 常磁性イオン含有物質の特に好ましい組合わせは、マーカーに所望され る1/T1および/または1/T2に依存し、またこのような物質が加えられていない 純粋なマトリックスの1/T1および/または1/T2値に依存するだろう。マーカー における1/Tiの値は、純粋マトリックスの1/Ti、第1の常磁性イオン含有物質 に起因する1/Ti、および、第2の常磁性イオン含有物質に起因する1/Tiの総和 である。 純粋な水性マトリックス物質の1/T1および1/T2は、約0.235T以上の磁界強度 では一般的に実質的に依存せず、また一般的に15〜40℃の範囲の温度上昇により 減少する。 実例として、以下の説明では、水性寒天ゲルおよび上記のGd-DTPA-重合体複合 物(化合物AおよびB)を含む実質的に1/T1が不変の組成物を例にとる。なお、 これは実例として挙げるのみであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない 。 化合物Aは、20〜40℃の温度範囲および約0.47テスラ以上の磁界強度では実質 的に依存しない緩和性を有し、一方化合物Bは、20〜40℃の範囲の温度上昇に伴 い顕著に増加する緩和性を有し、また0.47テスラ以上の磁界強度には実質的に依 存しない。化合物A単独、化合物B単独またはこの二つを適当な量で組合わせるこ とで、実質的に磁界強度および温度に依存しない特定の1/T1値を有するマーカ ーを作ることができる。 本発明に包含される科学原理の説明を行う前に、1/T1、1/T2、r1 およびr2を定義し、これらの関係を確立しておくと都合がよい。 1/T1は、1/秒(1/s)の単位である水プロトンの磁性縦緩和である。その逆 数、T1は、縦緩和時間(単位s)である。 1/T2は、1/秒の単位である水プロトンの磁性横緩和である。その逆数、T2は 、横緩和時間(単位s)である。 r1は、常磁性試剤の縦緩和性である。 r2は、常磁性試剤の横緩和性である。 r1およびr2は、下記のように、Gd含有常磁性試剤に対し、それぞれ1/T1お よび1/T2に関連する。 ここで、1/Tiwは常磁性試剤を含まないゲルの縦(i=1)および横(i=2)緩和速度 であり、[Gd]はガドリニウムのミリモル(mM)濃度である。したがって、緩和性の 単位は、mM-1s-1である。緩和性は、常磁性試剤の「緩和効率」と考えることが でき、高い緩和性は、純粋なゲルの緩和速度(1/Tiw)に対して、緩和速度(1 /T1)の所定の増強を達成するために必要とされる常磁性試剤の濃度を低くする 。 マーカーが水性ゲル中に1以上の常磁性試剤を含む場合、式1は、以下のよう に簡便に書き改められる。 ここで、riaは第1試剤(化合物A)の緩和性であり、ribは第2試剤(化合 物B)の緩和性であり、[Gd]aは第1試剤から由来するGdの濃度であり、[Gd]bは 第2試剤から由来するGdの濃度である。 riaおよびribが一般的に温度および磁界強度に依存することに注意すること は重要である。化合物Aのような、温度および磁界強度に依存しない縦および横 緩和性を有する常磁性イオン含有物質により、本発明のマーカーを調剤すること が有利である。量1/Tiwもまた温度に依存するが、特に全ゲル量に対するゲル化 剤の重量%が低いゲルにおいて、磁界強度に対するその依存性は極めて小さい。 したがって、1/Tiの値は、温度および磁界強度に依存し、この量が、本発明の マーカーにおいては、温度および磁界強度に依存しないようにすることが的確で ある。 量1/Tiw、riaおよびribについてそれぞれ検証し、これら3つのパラメータ 各々の温度および磁場に対する依存性の理解に基いて、温度および磁界強度に依 存しない1/Tiを得る。また、この発明で考慮される成分では、1/T2の値は、1 /T1の値に直接的に関係する。 すなわち、もし1/T1の温度および磁場に対する依存が測定できれば、1/T2のそ れを極めて正確に算出できる。1/T1の磁場に対する依存の測定は、極めて容易 なので、以下の説明を簡単にするために、このパラメータを単独で考慮する。量1/T 1w 本発明の条件のため、1/T1wの量は、温度に依存し、磁界強度、少なくとも多 くのMRI条件(約0.0235テスラ以上)の磁界強度には依存しないと考えることが できる。1/T1wの温度依存は、特に1/T1の低い値で重要である。たとえば、臨 床的に関連する温度における2%(w/v)寒天ゲルでの1/T1wの値を以下の表1に示 す。 常磁性イオン含有物質または2つの常磁性イオン含有物質の組合わせの存在下 での1/T1wの温度依存のため、温度に依存しない1/T1を得ることが要求される 。この結果、量r1aおよびr1bが、1/T1wの温度依存の相殺における主要な重要 点であるとして考慮されるべきである。量r 1a およびr 1b 量1/T1wに関しては、一般に、その温度依存を考慮することで十分である。量 r1aおよびr1bに関しては、それらの磁界強度および温度に対する依存を考慮し なければならない。r1aおよびr1bはともにガドリニウム濃度に依存しないこと に注意する。量r 1a 量r1aは、化合物Aの緩和性である。その温度および磁場依存を図1に示す。 図1に示されたプロットは、核磁気緩和分散(NMRD)プロフィールである。化合 物Aの二つの重要な特徴が示されている。第1に、10MHz(0.235テスラに相当)以 上での緩和性は、磁界強度が変わってもほとんど変化しないことである。第2に 、すべての磁界強度における緩和性が、温度依存をほとんど有さず;温度依存が 僅かであるため、本目的には重要ではない。しかしながら、式2に示すように、 r1aが温度に依存しないという事実は、必ずしも1/T1が温度に依存しないであ ろうことを意味してはいない(1/T1が、臨床的に関連のある範囲の磁界強度に依 存しないであろうこと意味するが)。これは、1/T1に重要な寄与をなし、とりわ け小さな1/T1の値における1/T1の温度依存をなす1/T1wの温度依存のためであ る。1/T1wが1/T1に重要な寄与を行う場合、化合物Aに化合物Bを加え、1/T1w の温度依存を相殺できるようにする必要がある。量r 1b 量r1bは、化合物Bの緩和性である。その温度および磁界強度に対する依存を 図2に示す。 化合物Aとは対照的に、すべての磁界強度における化合物Bの緩和性は温度に依 存する。この温度依存、すなわち温度上昇に伴う緩和性の増大は、まさしく温度 上昇に伴って減少する1/T1wの温度依存(上掲表1参照)を相殺するために要求 される挙動である。r1aおよび1/T1wの値と同様に、r1bの値は、10MHz(0.235T )以上の磁界強度では有意な依存を有しない。マーカーの組成物 表1および図1および2の結果を、式2に適用すると、温度および磁界強度に 実質的に依存しない1/T1値のマーカーを構成できる。式2は、温度および磁界 強度の如何なる与えられた値でも有効である。なぜならr1a、r1bおよび1/T1w の値は、10MHzあるいは0.235テスラ以上の磁界強度に依存しないからであり、磁 界強度の選択は任意である。しかしながら、少なくとも2つの異なる温度を選択 し、一組の連立方程式を解いて、使用される化合物Aおよび化合物Bの適当な量を 得られるようにしなけれならない。最も簡単な場合は、35℃における1/T1値を2 5℃のものと等しく設定し、二つの式を同時に解いて[Gd]aおよび[Gd]bを得るこ とである。この最も簡単な場合は、マーカーの温度が、室温と患者の体温との間 、すなわち25℃〜35℃の間にあると予想されることから、非常に有効である。ゲ ルに関して必要とされる1/T1値に依存して、化合物AおよびBの組 合わせの使用が常に可能とは限らない;これら試剤の何れか一方のみが使用され る場合もありうる。以下、3つの異なる1/T1値を有するゲルに対応して3つの 場合について考慮する。すなわち化合物AおよびBの組合わせが要求される中間 的値の場合;化合物Aのみが要求される大きな値の場合;化合物Bのみが要求さ れる小さな値の場合。中間的値の1/T 1 中間的値の1/T1の例として、1.7s-1をとる。20MHzにおける緩和性をとると、 2%のアガロースゲルに関して35℃および25℃において式2を用いると、以下の 二つの式が得られる。 1.7=6.305[Gd]a+9.901[Gd]b+0.389 (35℃において、表1参照) 1.7=6.109[Gd]a+8.730[Gd]b+0.450 (25℃において、表1参照) [Gd]aおよび[Gd]bについて同時に解くと、下記の結果が得られる。 [Gd]a=0.171mM(化合物A) [Gd]b=0.023mM(化合物B) したがって、1/T1が1.7s-1のゲルを製造する場合には、全ガドリニウム濃度 は0.194mMとなり、0.171mMは化合物Aに由来し、0.023mMは化合物Bに由来する 。なお、mMによるガドリニウム濃 度は、存在する水の全容積と関連するものであって、ゲルの全容積とは関連しな いことに注意を要する。正確なガドリニウム濃度を得るためには、水の分量また は水以外の他の材料の分量を知らなければならない。大きな値の1/T 1 大きな値の1/T1の例として、3.3s-1をとる。連立方程式は: 3.3=6.305[Gd]a+9.901[Gd]b+0.389(35℃にて) 3.3=6.109[Gd]a+8.730[Gd]b+0.450(25℃にて) これを解くと: [Gd]a=0.515mM(化合物A) [Gd]b=0.034mM(化合物B) 化合物Bの濃度が負に表示され、これは勿論不可能な事態である。この解は、 化合物A(式2におけるr1a[Gd]a)および化合物B(式2におけるr1b[Gd]b)に由来 する1/T1の温度依存への常磁性寄与が大きく、またゲルの温度依存(1/T1w)の 逆方向であるとの物理的解釈を有する。言い換えれば、ゲルの温度依存(1/T1w) が過剰に補償されていることになる。このため、1/T1を温度に依存しないよう にするような常磁性寄与にするために、化合物Bの濃度を負にすることが必要と なるのであろう。1/T1wの温度依存の過剰補償を引き起こさないような化合物A およびBの組合わせはなく、したがって、化合物Aを単独で用いなければならな い。 3.30s-1の1/T1に要求される化合物Aの濃度は、下記のように 算出される。まず、35℃において、式2を用いる: 3.30=6.305[Gd]a+0.389 これから、 [Gd]a=0.462mM ここで、1/T1の温度依存が受容できるかを検証するため、25℃におけるその 値を算出する: 1/T1=6.109[0.462]+0.450 1/T1=3.27s-1 したがって、化合物Aを単独で用い、全ガドリニウム濃度として0.462mMを得 ても、本質的な温度変動は導入されない。「本質的な」変動とは、2つの値の間 における5%を超える変動として定義される。小さな値の1/T 1 小さな値の1/T1は、0.80s-1である。 上記と同様に進めると: 0.80=6.305[Gd]a+9.901[Gd]b+0.389(35℃にて) 0.80=6.109[Gd]a+8.730[Gd]b+0.450(25℃にて) 下記の解が得られる: [Gd]a=-0.023mM(化合物A) [Gd]b=0.056mM(化合物B) この場合、化合物Aの濃度が負であることが要求され、不可能な事態である。 この事態は上記第2の場合と類似で、1/T1の近似値が要求されるが、ここで化 合物Bのみが用いられなければならない: 0.80=9.901[Gd]b+0.389 これから、 [Gd]b=0.042mM 再度、温度に対し、1/T1の本質的な変動が無いことを検証しなければならな い。 1/T1=8.730[0.042]+0.450 1/T1=0.81s-1 この温度変動も非本質的であり、化合物Bを単独で用い、全ガドリニウム濃度 を0.042mMとすることができる。マーカー組成物を得るより一般的方法 前記の例で行ったように、1/T1または1/T1wが磁界強度に依存しないとの仮 定を行わない、マーカー組成物を得るためのより一般的な方法がある。r1a、r1b 、1/T1および1/T1wの温度に対する依存性をなお考慮する必要がある。たと えば、3つの異なる温度および磁界強度において、1/T1に関する式を設定でき る。 20MHzにおいて 1/T1=6.305[Gd]a+9.901[Gd]b+35℃での(1/T1w) 1/T1=6.309[Gd]a+9.316[Gd]b+30℃での(1/T1w) 1/T1=6.109[Gd]a+8.730[Gd]b+25℃での(1/T1w) 30MHzにおいて 1/T1=6.122[Gd]a+9.815[Gd]b+35℃での(1/T1w) 1/T1=6.205[Gd]a+9.247[Gd]b+30℃での(1/T1w) 1/T1=6.011[Gd]a+8.590[Gd]b+25℃での(1/T1w) 50MHzにおいて 1/T1=5.998[Gd]a+9.680[Gd]b+35℃での(1/T1w) 1/T1=6.125[Gd]a+9.193[Gd]b+30℃での(1/T1w) 1/T1=6.088[Gd]a+8.548[Gd]b+25℃での(1/T1w) 1/T1wがもはや磁界強度に依存しないと仮定されないことを注意する。ここで 、9つの式と2つの未知数があり、これから、所望の1/T1の値に対して、2つ の未知数[Gd]aおよび[Gd]bに「最適なもの」を得ることができる。式は、必要と されるだけ、要求される多くの温度および磁界強度に対して設定でき、2つの未 知数と必要とされるだけの数の式のセットとして解かれるだろう。 したがって、Howe(前出)の組成物とは異なる、本発明に係る2つの異なる常 磁性物質を用いることで、臨床的に関連のある広い温度範囲にわたり1/T1の温 度変動を補償でき、また臨床的に関連の ある広い範囲にわたる1/T1値を有するマーカーを製造できる。 さらに、一方で常磁性材料のr1緩和性は、0.235T以上の磁界強度で大きく依 存しないものであり、常磁性材料および水性マトリックスを組合わせることで、 たとえば0.0235Tまでの低い場においてさえ、実質的に場に依存しないマーカー 組成物を与えることができるだろう。 従って、本発明の常磁性成分の組成物にとって必要な主要条件がある。 1.一つの成分(例えば、化合物A)は、本質的に温度比依存性の緩和性を有 しなければならない; 2.一つの成分(例えば、化合物B)は、温度が上昇するとともに、1/T1wの 温度上昇の際の変化と反対の様式での変化する緩和性を有しなければならない。 さらに、第二成分が第一成分と同じ常磁性金属を含有するならば、その緩和性は 、第一の(温度非依存性)成分のそれよりも高くあるべきであり、従って、純粋 なゲルのバックグラウンド緩和率補の温度変化は、相殺することができる;そし て 3.両方の成分は、もしあったとしても、変化が極めて少ない緩和性を有すべ きであり、磁場の強度は0.235テスラを超え、好ま しくは0.01テスラほどにも低い。 これら三つの条件の全ては、共通した一つの重要な原理を有し、この原理は、 常磁性イオンの内部配位球(sphere)間の水(または水プロトン)の化学変化であ り、また、嵩張り(bulk)は合理的に遅くなければならず、嵩張りは、マーカー中 に存在しているが常磁性イオンの内部配位球の中で結合されていない全ての水分 子(または水プロトン)である。 遅い水の交換定量的に決定することは困難である。例えば、[Gd(DTPA-BMA)(H2 O)]は、他の多くのGd-含有キレートよりも遅い交換速度を有すると考えられて おり、交換速度および活性化パラメーター(これは交換速度の温度依存性を説明 する)の特定値は、Gonzalez et al.によりJ.Phys.Chem.98:53-559(1994) に与えられている。しかしながら、総緩和性への二つの寄与、すなわち内部球お よび外部球の寄与がある(Koenig et al.,Progress in NMR Spectroscopy 22:487 -567(1990)参照)。内部球寄与は、常磁性イオンの内部配位球と嵩張りとの間 での水分子の交換から生じる。外部球の寄与は、常磁性剤の付近にある水分子の 拡散から生じる。結局は、遅い水交換は、内部球の寄与の大きさにのみ影響する 。 内部球の寄与に対する遅い水交換の主な影響は、この寄与を、水交換がより速 い場合にそうであろうよりも小さくさせることである。 また、水交換速度は温度が上昇するとともに遅くなり、内部球の寄与を温度が低 下するとともに減少させる。温度低下とともに内部球の寄与の大きさが減少する ことは、外部球のメカニズムのそれとは反対であり、これは本発明に重要な結果 を与える。内部球寄与の大きさの減少を、特定の磁場の強さにおいて、外部球寄 与の大きさを温度低下とともに減少させることによって調和させるならば、二つ の寄与効果は互いに相殺し、緩和性は温度に依存しない。これは化化合物Aの場 合である。 温度低下とともに減少する緩和性を有する化合物Bのような常磁性剤を創製す るには、内部球寄与の大きさの減少が外部球寄与の大きさの増加よりも大きいこ とが必要である。この理由のため、使用される常磁性金属が同一である場合には 、化合物Aよりも高い緩和性を有する第二剤を選択しなければならない。化合物 Aよりも高い緩和性を有するが、それでもなお、化合物Aが遅い水交換を有する 重合体剤は、外部球寄与が全ての重合体Gd-含有剤に関してほぼ同じであること が予想されるので、内部球寄与の大きさを増加させることによって達成される。 化合物Bはこのような剤であり、より高い緩和性は、分子間での疎水性相互作用 が存在することに起因している(Keller et al.,Proc.Int.Soc.MR in Medici ne,4Th Scientific Meetinq and Exhibition,New York,NY,1996,P.75参照 )。化合物Bが化合物Aよりも高い緩和性を有することは重要である。なぜなら ば、このことは、温度低下にともなう緩和性の低下が、温度低下にともなうゲル の1/T1wの上昇を相殺するの に充分でありうる唯一の手段だからである。 遅い水交換はまた、磁場強度に関しより速い水交換の場合よりも小さい分散を 緩和性が有することを引き起こすという付加的利益をも与える。これはKoenig(I nvestigative Radiology,29(Supl.):S127-S130(1994))により説明されている が、それぞれ化合物AおよびBについて表1および2に示された緩和性によって 証明されるように、0.235テスラより上での緩和性の低下は、この引例で考慮さ れたよりも小さい巨大分子の使用によって回避することができる。1/T2wの量 前に開示したように、本発明の大部分の条件について、1/T1wの値は、温度に 依存するが磁場強度には依存しないと考えることができる。同じことは1/T2wに ついてもいえる。1/T1wおよび1/T2wは多くのシステムにとって大きさが類似し ているが、これは一般的なことではない。これはアガロースゲルにより説明され 、その場合1/T2wは1/T1wよりも遥かに大きい。この理由は、1/T2が、組織お よび架橋SBAサンプル中での1/T1値よりも遥かに大きいい(Koenig et al.,Magn .Reson.Med.29:77-83(1993))という理由 M.Spiller,Agarose Gels a SimulaTed Tissue Matrix for MRI:The Importanc e of 3-D Gel Structure and Magnetization Transfer, Proceedings of The International Society for Magnetic Resonance in Medic ine,Fifth Scientific Meeting and Exhibition,Vancouver,B.C.,Canada,A pril 12-18,1997,p.1567(その開示は参考のために取り入れられる)におい て詳細に説明されている。基本的な問題は、常磁性剤が存在していても、1/T2w が1/T2を凌駕するほどに大きくなりうることである。その結果、1/T2wが温度 依存性であるため、適切な常磁性剤を含有するマーカーは、このマーカーの1/T2w の値が極めて高くないならば(これは、このマーカーの可能な1/T2w値の範囲 を制限する)、温度依存性にすることができない。2%アガロースゲルに関する下 記実施例8のデータは、この問題を説明している−最高1/T2(19.5s-1)におい てさえも、1/T2wはこの値の82%をしめる。 本発明のマーカーの独特な性質は多種多様な用途に有用であり、その例として は、被検者のMR造影における標準化または位置的対照、MRハードウェアの標準化 または検定、コイルの磁場不均一性のマッピング、および異なる位置で行われた か、または異なる時期に同一の位置で行われた研究から得られた結果の標準化と しての使用が挙げられる。 シグナル-対-ノイズ(SNR)比は、現在は、従って、シグナル強度の相対的変化 を定量するためのみならず、計測器の性能を評価するための、MRIの範囲内の最 も重要な品質保証(QA)パラメーターである。SNR比は、関心ある領域(reqion of interest(ROI))内 のシグナル強度をノイズの標準偏差で割り算した比率として決定される(MRI in The Body,Charles Hiqqins,et al.,Raven press,1992)。SNR比を得るに際し ては、造影される組織または対象内のROIは、少なくとも100ピクセルを含有すべ きである。ROI内のシグナル強度は、偏りを差し引いたROI内のピクセル強度の平 均値である。ノイズの標準偏差は、シグナルを生成しないバックグラウンド範囲 内にあるROIから決定される。SNR比は、コントラスト剤を投与した後の関心ある 領域内のシグナル強度の変化を評価するために、しばしば用いられる。コントラ スト剤投与の前後でのSNRの相対的な差は、%増強(%ENH)によって表される。 コントラスト剤のクリアランスは、シグナル強度の変化(%ENHの変化による)の モニターによって可能である。なぜならば、シグナル強度はコントラスト剤の濃 度に依存するからである。しかしながら、前で注目したように、絶対的シグナル 強度は、ノイズの標準偏差に対して得られる。ノイズの標準偏差は、多くのファ クター、最も重要には基準化ファクターによって影響されることがあるので、こ れは定量の目的のために信頼性が極めて高いわあけではない。内在性マーカー、 例えば脂質または特異的組織は、それらの不均一性および可変シグナル強度のた めに信頼性がない。 しかしながら、本発明のマーカーは、基準化ファクター、患者から離れた距離 に関する位置(温度非依存性)および磁場強度の変化とは無関係に、井体のシグ ナル強度の領域を与える。従って、これらのマーカーは、「シグナル-対-マーカ ー」(SMR)比を計算するこ とによりシグナル強度を規格化するのに使用できる。これは、組織のR0I内のシ グナル強度を、マーカーの与えられた領域内のシグナル強度で割り算した比率と して決定される。SMR比は、SMR比をもたらす多くの変数によって影響されないの で、シグナル強度を基準化するためのマーカーの使用は、結果として、ノイズの 標準偏差の使用よりも優れている。以下の研究はこれらのクレームを実証する。 シグナル強度の標準化は、これらのマーカーの別の用途である。異なる造影セ ンターにおいて得られたイメージを比較する場合、異なる手段、例えば操作磁場 強度、ノイズレベルおよびコイル(体、頭、位相化整列など)の中での変動は、 関心ある特定の領域内で得られたシグナル強度の直接の比較を困難にする。SNR の使用により、これらの変動は最小限にされ、センター間で、これらデータの直 接かつ定量的な比較を可能にする。このような比較は、下記実施例10に示され る。これらの研究に含まれた患者は、病理を有し、患者間の%ENHの若干の変動を 予期すべきであった。しかしながら、%ENHが意味深いものであるためには、その 値の変動は、患者-対-患者の可変性の反映のみであるべきで、器機使用法の相違 のためであってはならない。SMRで得られた場合、可能な%ENH値は22〜38の範囲 にあり;SNRでは1〜51の範囲にある。従って、コントラスト剤吸収の評価は、S NRを用いて得られた場合に極めて困難である。これらの結果は、SMR使用の別の 利点を示唆し;%ENHの標準偏差がより低い結果として、臨床実験においてより少 数の患者を登録することを可能にする。 下記実施例10の結果は、SMRに関する計算%ENHは、SNRに関する%NEHよりも優 れていることを示す。合理的な仮説は、磁場を変化させるシグナル強を有するマ ーカー、例えば所定量のGdDTPAを含有するものが、SMR獲得のために充分である ということであろう。しかしながら、このようなシグナル強度の標準偏差はまた 、ちようどVSDNがそうであるように、%ENH計算におけるエラーに導くであろう。 その結果、マーカーのシグナル強度の標準偏差がマーカーそれら自身からの寄与 を有るならば、これは%ENH計算におけるエラーに導くであろう。このようなエラ ーの一つは、マーカーのシグナル強度が温度とともに変化した場合であり、また 、マーカーが患者から位置する距離がコントラスト前後の測定で同一でない場合 に生じるであろう。一例として、GdDTPAのシグナル強度は、緩和性データ(K.e .Kellar et al.Maqn.Reson.Med.37:730-735(1997))に基づくとおり、20℃ 〜35℃(本質的に室温〜体温)の間でのNMRにおいて、約20%変化する。この分散 は、大部分の金属キレートに予想されよう(これは、温度とともに強く変化する ほどには変化しない緩和性を有するGdDTPA-BMAでは、僅かに少ないだろう)。本 発明のマーカーは、温度に依存しないシグナル強度を有し、これは重要な利点で ある。別の重要な利点は、本発明のシグナル強度が、MRIに関連する磁場強度に おいて、磁場強度とともに有意には変化しないことであり、これは、異なる磁場 強度で操作する器機から得られた%ENHの直接比較を可能にする。これは、前のNM RDプロフィールで示されたように、マーカ ーのT1値が、磁場強度とともに変化しないためである。しかしながら、NMRDに用 いられる最高磁場は僅かに1.2Tであるが、多くのMR造影は1.5Tで行われる。Bruk er Miniapexで0.47Tにおいて得られたT1値とMRI器機で1.5Tで得られたT1値とを 比較した下記実施例11に示すデータは、マーカーのT1が1.5Tまでの磁場強度に 依存しないことを示す。 組織からのコントラスト剤の吸収およびクリアランス速度(%ENHの変化により 測定)は、その組織の機能または病理に関する臨海的な情報を与えることができ る。その例としては、ガドリニウムキレートの吸収速度およびウォッシュアウト 速度をモニターすることによる胸部病巣の特性決定、および組織内のコントラス ト剤潅流速度をモニターすることによる脳および心臓の生存率の評価があげられ るが、これらに限定されない。組織の機能を分類または特性決定するためにシグ ナル強度の変化を利用する仝ての用途は、伝統的なSNR比の代わりにSMR比を用い ることによって大いに改善されることに注目することは重要である。これは下記 実施例12に示されている。SMRからの%ENHを用いると、所定の組織内でのコン トラスト剤のクリアランス値を得ることが可能であり;これは、SNRデータを用 いるとクリアランス曲線が充分に明確化されないため、可能でない。また、コン トラスト剤が一旦組織から除去されると、シグナルは理論的に基線に戻るべきで ある。マーカーの関連した使用は、コントラスト剤の適切な投与量が投与された ことを確実にすることであり;特定のシグナル強度は特定の投与量に対して予想 され、シ グナル強度はマーカーの投与量に対して容易にチェックされる。 本発明のマーカーは、造影ハードウェアの確証および制御にも使用できる。一 つの用途は、MRIコイル内のrf-強度を測定することである。rf-マップは、観察 されたシグナル強度に変化を引き起こす不均一なrfエネルギーの範囲を同定する ために使用できる。この情報は、高変動範囲の同定に有用であるのみならず、分 散の大きさの指示を与えるのにも有用である。 以上に開示したように、本発明のマーカーは、多種多様なマトリックス中に処 方することができる。水は、アガロースおよびポリアクリルアミド等のようなゲ ルと同様に好ましいマトリックス材料である。常磁性剤を含有させるのにマトリ ックス材料を選択する際に、この剤の緩和性を変化させることがあり、これによ り温度および磁場強度を妥協させるマトリックス材料の成分および特性を考慮に 入れることは重要である。例えば、アガロースゲルは巨視的には固体であるが、 このゲルは微視的には、水を含有しており、この水は、常磁性剤の緩和を行う純 水とは充分に異なっていない移動度を有する。その結果、アガロースゲルからな るマーカーは、望ましい磁場および温度依存性を伴ったT1値を有するであろう。 他方において、「ゲル様」マトリックスが蔗糖で作られているならば、常磁性剤 の観点からみた水の粘度は有意に上昇するであろう。常磁性剤の回転運動は水の 粘度に関連し(常磁性剤により感知されるように)、かつ、回転運動の速度は常 磁性剤の緩和を行うので、常磁性剤の緩和性は 粘度上昇とともに増大する。従って、そこで粘性の(常磁性剤により感知される ように)環境が生じるマトリックス材料の正確な条件下で常磁性剤の緩和性を測 定しなければ、マーカーを作るのが困難となる。これは冗長になることがあり、 他のファクター、例えばマトリックスの固体部分(すなわち、水ではないマトリ ックスの体積)も考慮しなければならない。これらの困難な条件下でマーカーを 作ることは可能であるが、これは実際的でなく、従って、純水に類似した微小環 境(常磁性剤により感知される環境)を揺するマトリックス材料を使用すること が好ましい。しかしながら、上記のように、常磁性剤(1以上)の緩和性への影 響に関して純水とは有意に異なる水性微小環境を有するゲルを使用することがで きる。アガロースおよびポリアクリルアミドが最も好ましいが、純水とは有意に 異なっていない微小環境を有する好ましいゲルの例としては、ウシ血清アルブミ ン、ヒト血清アルブミン、アルギン酸塩、セルロース、澱粉、ポリビニルアルコ ールおよび種々のガムから作られたものが挙げられる。 ゲル型マトリックス中のマーカー処方物は、容器が破損したときに患者と接触 する内容物について若干の懸念がある場合に好ましい。しかしながら、単純な校 正および制御への用途のためには、水が好ましい。液状マトリックスを用いる場 合には、マーカー調製物は、運動アーチファクトを最小限にするように、容器の 全体積を満たすことが好ましい。特に、容器が作られる材料が非-MR活性である 限り、マーカー調製物を入れるのに全ての種類の容器を用いることが できる。容器の種類およびサイズの選択は、意図する用途によって決まる。例え ば、マーカー調製物は、全てのサイズおよび形の軟質容器に入れることができる が、プラスチック、ゴム、ポリプロピレン、その他で作られたチューブ材料等の ような円筒形が好ましく、マーカーを患者の形状に従うのを可能にする。軟質容 器は、造影しようとする範囲に応じて、どのようなサイズであってもよく;例え ば、チューブは、頭または身体の四肢、例えば脚または腕を取り巻くために、あ るいは体幹の領域、例えば骨盤、腹部または胸部の領域を横切ってドレープする ために充分な長さを有することができる。軟質容器の内径は、MRI装置の表示ス クリーンの少なくともほぼ「ボクセル」(体積ピクセル)サイズ、現行では約0.5c mであることが好ましく、被検者の身体上でマーカーの正しい位置決めを可能に するのに必要な大きさであってよい。軟質容器の内径の好ましいサイズは、1.5c m5cmであり、最も好ましくは2cm〜4cmであり、3cmの内径が特に好ましい。 容器はまた、全ての硬質な非-MR活性材料で作られていてもよく、その例として は、プラスチック、ポリカーボネート、ガラス、その他、またはその任意の組み 合わせが挙げられる。プラスチック栓の付いたガラスバイアルは、このような容 器の一例である。このような硬質容器は任意の形状およびサイズであってよく、 容器の寸法は意図する用途によって決まる。好ましい容器は円筒形であり、長さ が10cm、直径が3cmである。特に好ましいサイズは、長さが5cm、直径が3cmで ある。これら種類の容器を伴って作られたマーカーは、MRIハードウェアの校正 または標準化において、あるいはマーカーが身体の近くで、身体 に隣接して、または身体上で、分離した位置に(例えば頭または四肢、腋窩、肘 または膝の屈曲部などに関して)置かれるその身体領域の造影のために有用であ る。マーカー調製物を入れた容器はまた、除去可能な様式で、患者に着せるか、 まとわせることのできる衣類または物品、例えばブレザー、キャップ、手袋、ベ ルト、ヘッド-、アーム-またはリスト-バンド、ひさし帽子またはキャップ、お よびブランケットの中に入れるか、それに固定することができる。容器はまた、 MRI磁石とともに置かれる被検者の身体または対象物に、例えば、ひもで、また は接着テープ、ヴェルクロ、接着剤などによって、取り外し可能に固定すること もできる。容器はまた、対象物が非-MR活性材料で作られている限り、除去可能 な様式で、対象物内に入れるか、またはそれに固定することもでき、従って、マ ーカーを含有する対象物は、検査または造影セッションの間、磁石内に担持させ ることができる。このようなマーカー含有対象物、好ましくは玩具または縫いぐ るみ動物は、小児に関する手順において使用できる。磁石内に玩具または縫いぐ るみ動物を取り付けることは、手順の間に小児に快適さを与える一方で、それと 同時にマーカーが磁場内に置かれるのを可能にする。マーカーは手法の後で玩具 から除去でき、玩具を小児に与えることができる。造影手法におけるこのような 玩具の使用は、本発明のもう一つの観点を形成する。 マーカーの一例を添付の図10に図式的に示す。図10を参照すると、密閉し た円筒形容器1(例えばポリカーボネート製容器)には、水性マーカー組成物2 、例えば、溶液中の1つ以上の常磁性化 合物を含有するアガロースまたはポリアクリルアミドゲルが入れられている。そ の中にマーカー組成物が配置される容器の室内にはヘッドスペース、すなわちガ スポケットがないことが好ましい。しかしながら、組成物が自由流動性形態、例 えばゲルの形態にない場合は、ヘッドスペースは許容できる。 本発明を以下のような実施例によって説明するが、本発明はこれらに限定され るものではない。実施例1 化合物Aの調製 無水エタノール22ml中の、平均Mwが1450であるポリエチレンオキサイドから調 製されたビス−トシレート1.12g(0.856mol)の溶液を、氷浴中で冷却し、アン モニア流を25分間にわたって導入した。反応混合物を100℃で16時間ステンレス 鋼反応器で加熱し、次いで室温に冷却し、ろ過した。溶媒を除去して、ろ液を濃 縮し、水(22ml)および1.0NのNaOH(3.4ml)で処理し、次いでCHCl3で2回抽 出した。CHCl3抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、0.77gのビ ス−アミンを得た。 DMSO 3.3ml中の、上記ビス−アミン0.66g(0.66mmoll)の溶液を、トリエチ ルアミン(0.184ml、1.32mmol)およびDMSO(3.3ml)中のジエチレントリアミンペ ンタ酢酸二無水物0.236g(0.66mmol)の溶液で処理した。反応混合物を室温で 1時間撹拌し、次いで26mlの水で処理した。得られた溶液を0.45ミクロンのフィ ルタを通してろ過し、ろ液を5000Mwカットオフ膜を備えたダイヤフィルトレーシ ョンセル中にて、水に対してダイヤフィルトレーションし、24mlの溶液を得た。 この溶液をガドリニウム(III)塩化物6水和物の2倍過剰量で処理した。この 溶液を5000Mwカットオフ膜を採用して水に対してダイヤフィルトレーションし、 標題化合物を得た。平均モル分子量20.2KD(PEG標準に対するサイズエクスクルー ジョンクロマトグラフィックHPLCによって測定した)。Gd含量7.09重量%(IC P分析)。 化合物AのNMRDプロフィールを図1に示す。実施例2 化合物Bの調製 ジメチルスルホキシド45.1ml中の、1,6-ヘキサンジアミン2.97g(25.5mmol) 溶液に、激しく撹拌しながら11.08ml(79.5mmol) のトリエチルアミンおよび9.45g(31.8mmol)のジエチレントリアミンペンタ酢 酸二無水物を添加した。得られた反応混合物を、28時間室温で撹拌して均一な溶 液を得て、次いでこれを約1%固形物含量となるように水で希釈し、公称10,000 Mwカットオフのらせん巻ポリスルホンダイヤフィルトレーション膜を用いて5回 ダイヤフィルトレーションした。得られた水性濃縮物(aquous retentate)を次 いでフリーズドライして吸湿性の白色固体を得た。 15.0gの上記固体を600mlの脱イオン水中に溶解し、適切なスピードで撹拌し て、それをガドリニウム(III)塩化物6水和物の5%溶液でゆっくり処理した 。この添加は、PARテスト試薬に滴下した少量のテスト試料が淡黄色から濃黄色 に色変化を引起こすまで継続した。このPARテスト試薬は、40mlの脱イオン水、 微量金属しか含有しないグレードの20mlの水酸化アンモニウムおよび0.005gの4 -(2-ピリジルアゾ)レゾルシノール(アルドリッチケミカル社、CAS登録番号61 −25−6)の混合物を1分間音波処理して予め調製した。音波処理に続いて、微 量金属しか含有しないグレードの5.7mlの酢酸で処理し、室温に冷却し、次いで1 00mlの追加の脱イオン水で希釈した。 PAR試薬中での色変化を観察しながら、重合体錯体を6回前述のとおりダイヤ フィルトレーションし、次いでこれを3.0M NaOHでpH6.5に調整し、標題化合 物を得た。この標題化合物を次いでフリーズドライし、冴えない白色固体を得た 。平均モル分子量16.7KD (PEG標準に対するサイズエクスクルージョンクロマトグラフィックHPLCで測 定)。Gd含量21.46重量%(ICP分析)。 化合物BのNMRDプロフィールを図2に示す。実施例3 2 %アガーゲル中のガドリニウム重合体マーカーの調製 2 %(wt/wt)のアガロースゲルの調製 1.00gの粒状精製アガー・アガー(メルクKGaS)を秤量し、5つの50mlガラス バイアル中に入れた。0.075gの安息香酸ナトリウム(Fluka Chemika-BioChemik a製)および0.075gのソルビン酸カリウム(>99%、Fluka Chemika-BioChemika 製)を秤量して、各5つの試料中に入れた。50mlの純水を各5つの試料中にピペ ットで入れた。これらの試料をテフロンクランプトップでシールし、次いで沸騰 水浴中に20分間置き、透明な溶液とした。これらの試料を水浴から取出し、ガド リニウム錯体の添加前に、60〜70℃に冷却した。 純粋ゲルのNMRDプロフィールを図4および図5に示す。ガドリニウム重合体の調製 1/T1(s-1)値がそれぞれ1.15、1.31、1.68および3.03s-1である外部マー カーを調製するのに必要な化合物AおよびBの量を、表2に示す。1つのゲルブ ランクもまた調製した。 試料は、それぞれ合計ガドリニウムが濃度10.7および24.9mM Gdの化合物Aお よびBの溶液から調製した(すべてのガドリニウム濃度はICP分析により決定した 。)。 化合物Aおよび化合物Bの必要量を、暖かいアガー試料中にピペットにより添 加した。試料をゆっくりと1分間で均一化した。2.0mlの暖かいアガーゲルを3 つのNMRチューブにピペットにより添加した。このチューブを封冠し、直ちに氷 浴中に5分間置いて、固体ゲルを形成させた。緩和分析 プローブ先端温度を15〜50℃に維持しうる循環浴を備えたBURUKER Pc120b Min ispecを用いて、すべての試料を0.47Tで分析した。すべての縦緩和速度を、イン バージョンリカバリーシークエンスを用いて、20℃、25℃、30℃、35℃および40 ℃で測定した。緩和速度は、時間に対する20個のデータ点のシグナル強度のモノ エキスポネンシャルスリーパラメータフィトから計算した。横緩和速度 を、CPMGスピンエコーシークエンスを用いて、20℃、25℃、30℃、35℃および40 ℃で測定した。それぞれの二次エコーのエコー強度を、エコー時間4msを用いて 得た。緩和速度を、時間に対するエコー強度のスリーパラメータフィトから計算 した。 図3は、ニューヨークメディカルカレッジ(Valhalla,New York)にあるフィ ールド−サイクリングリラキソメータで、各試料について行なわれた1/T1測定 の結果を示す。この機器は、コーエンらによる「NMRスペクトロスコピー」22,4 87〜567(1990)に充分に説明されており、この文献を参照として本明細書に含 ませる。 図3に言及すると、1〜10MHz(0.0235〜0.235T)の範囲では、フィールド強 度(プロトンラーマー振動数)の分散は、r1aまたはr1bの場依存性からと言う よりは、むしろ1/T1wから生じていることに注目すべきである。 各マーカーに対する1/T1値は、20MHz以上では、温度または磁場強度の関数と して大きくは変化しない。この範囲では、これらのマーカーは本発明の目的に対 して適当である。しかしながら、その温度依存性が非常に小さいと言えども、1M Hzと20MHzとの間では1/T1値にわずかな減少がある。この減少は、アガーゲルか らオーバーオール1/T1への1/T1wの寄与によるのであろうが、前述のことから 予想されるように磁場強度には依存しない。結局、1/T1wのフィールド依存性に 起因するこの問題は、なくすことはできないとしても、ア ガロースから作られたゲル以外のゲルを使用することによって、大幅に減少させ うる。 純粋なゲルのNMRDプロフィール中の屈曲(curvature)は、磁場強度の増加に よる1/T1wの減少を意味するが、マーカーの1/T1のそれに類似している。この ことは、アガーゲルで作られたマーカーにとって、磁場強度の増加による1/T1 の減少は、アガーゲルに起因していることを示している。アガーゲルの磁場強度 への依存性は、図5に示されている。 NMRDプロフィールは、組織で観察されるそれに類似している(Koenigら、Progr ess in NMR Spectroscopy22,487-567(1990)およびKoenigら、Mag.Res.Medici ne29,77-83(1993)参照)。したがって水プロトンは同様のメカニズムによって緩 和しなければならない。特に、ゲルの水和に伴う水分子の一部は、「ライフタイ ム」すなわち水分子がどの位の長さ(マイクロ秒のオーダー)でゲルに結合する ことを有さなければならない。これらの水分子は、特定された結合サイト、表面 上3つまたは4つの水素結合によって結合される。結局、0.01MHz(0.0235Tesla )以上で磁場強度に依存しない1/T1値を有するマーカーを創造するには、これ らの特定の水結合サイトを有さないゲルを用いるべきである。このことは、マー カーに対する1/T2値の望ましくない磁場依存性を減少させるであろう。実施例4 水中でのマーカーの調製 蒸留水を用いた合計Gd濃度4.02mMである化合物Aのストック溶液と、蒸留水を 用いた合計Gd濃度7.03mMである化合物のストック溶液を予め調製した。所定のプ ロジェクトT1を有するマーカーで用いられるこれらの2つの溶液の相対濃度は、 前述したようにして決定した。各マーカーでは合計容積10mlを用いた。各ストッ ク溶液に対して用いられる容積を下記に示す。 プロジェクト T1(ms) 化合物Aのストック 化合物Bのストック の添加量(mL) の添加量(mL) 1000 0.0746 0.0755 800 0.200 0.0646 600 0.409 0.0515 400 0.828 0.0215 これらのマーカーが医療用途を有するためには、このマーカーは試料の貯蔵に 関して安定したT1を有していなければならない。マーカー溶液の貯蔵安定性を、 9ヶ月の貯蔵期間にわたる縦緩和時間を分析することによって評価した。試料は 貯蔵期間中4℃に保った。安定性試験の結果を下記表3に示す。 試料は4℃で貯蔵された。SDは、25℃での3つの試料の分析偏差および35℃で の3つの試料の分析偏差である(n=6)。この安定性試験の結果は、マーカーは 医療用途に対する適切な貯蔵安定性を有していることを示している。実施例5 ポリアクリルアミドゲル ポリアクリルアミドゲルは、プロテインの電気泳働法に広く用いられている( プロテインのゲル電気泳働法:A practical approach,2ed,B.D.Hamese et al ,1990)。30%(wt/v)のアクリルアミドおよび0.8%(wt/v)のビスアクリルア ミドを含有するアクリルアミド−ビスアクリルアミドストック溶液(Bio-Rad) から、4%(wt/v)および5%(wt/v)のゲルを調製した。下記のようなガドリニ ウム濃度を有する、蒸留水を用いた重合体状コントラストガドリニウムキレート のストック溶液を用いて4つの異なったT1値を有するマーカーを調製した。 濃度:化合物B[Gd]=24.9mMおよび化合物A[Gd]=10.7mM 試料は下記表4に示すようにして調製した。 化合物Bおよび化合物Aの必要量は、前述した方法を用いて算出した。温度の 関数としてのバックグランドゲルの緩和速度を、下記表5に示す。 実施例6 4 %および5%ポリアクリルアミドゲル中の外部マーカーT1およびT2 実施例5の試料について、縦および横の緩和時間を、0.47Tで、Bruker Minisp ecを使用して、温度の関数として分析した。結果を下記表6に示す。 SD=3回の繰り返し分析における標準偏差 NMRDプロファイルが、5%ポリアクリルアミド中で調製したマーカーに関して 得られた。場の強度および温度(20〜35℃)の関数として緩和速度を示す結果を 、図6Aに示す(図6Bは5%ポリアクリルアミドゲル単独のNMRDプロファイルを示 す)。温度および場の 強度による1/T1の変化は、小さいものではあるが、寒天ゲル中(図3)および水中 (図7)で調製したものに比べて大きくなっていることが判明している。これは、 MRI(10MHz以上における場の強度に相当する)に最も該当する領域では、場の強 度によって1/T1wが十分に分散していることによるものである。アガロースゲル では、1MHzより下で分散が生じているため、1/T1wがより一層場の強度に依存 しない。水では、実用的なMRIおよび多くのNMRより高い場の強度を適用するに至 るまでは、分散が生じず、このため、1/T1w値は、本目的である場の強度に依存 しない。結果として、水中で調製したマーカーは最も好ましい特性(温度および 1/T1の磁場無感覚値)を有しているものと期待される。実施例7 ノイズの標準偏差における変動の影響 52人の患者および3つのセンターが関与する臨床試験を、SMR比の有用性をSNR 比と比較するために行った。表7は、用いた患者の数をまとめたものである。 試験1および試験2は、ともに、肝臓内におけるMn含有コントラスト剤の取り 込みを評価するために行った。この試験における患者では肝臓が異常であり、注 射前および注射後4時間以内のイメージが得られた。試験3では、Mn含有コント ラスト剤を注射したのち、3ヶ月以上経たときの下垂体における信号強度の変化 を観察した。 表8に、試験1および試験2の10人の患者から得られたデータを示す。増加百 分率(%ENH)は式3によって算出した。 式中、SRはSNR比またはSMR比のいずれかを示す。 表8より、ノイズの標準偏差変動(VSDN)は、正確な%ENHを得る際に臨界点があ るという結果が、明らかに示されている。VSDNの変動は、コントラストの前およ びコントラスト後(同一の日)に得られる像におけるノイズの標準偏差内の百分 率変動として表される。VSDNが大きいと、不正確な%ENH値が得られる。たとえば 、マイナスの%ENHは、本試験の条件では不可能である。試験2の患者19の、コ ントラスト前後のあるイメージは、コントラスト実施後、明らかに目に見える強 度の増大を示しており、その結果、SNRを用いて得られたマイナスの%ENHは誤り である。一方、SMRを用いて得られた%ENHは、その数値の妥当な評価を表す。さ らにまた、VSDNが0(ゼロ)である場合(それぞれ試験2の患者27および試験1 の患者6)、SNRおよびSMRによって得られた%ENHは等しくなり、これは、ノイズ の変動が%ENHの決定における誤差の主要原因であ ることを証明している。実施例8 2 %アガロースゲル中での外部マーカーの調製 アガロースゲルは、一般に、NMRの懸濁媒体、さらにはファントム構築におけ る懸濁媒体として、使用される。これらのゲルは、硬いゲルを形成できるため好 ましく、まだ、アガロース中での水の拡散係数は、水中での拡散係数と有意な違 いはない。種々のT1値を有するマーカー溶液を調製し、2%(wt/v)のアガロース ゲル(Bacto-Agar、DIFCO)中で評価した。また、縦および横の緩和時間を、0.4 7Tで、温度の関数として測定した。試料は、公知の方法によって、全量が50mlと なるように調製した。化合物Bおよび化合物Aのストック溶液は、それぞれ、ガド リニウム濃度が24.9mM Gd、10.7mM Gdであった。結果を下記表9に示す。 実施例9 マーカー形成の縦および横の緩和速度における寒天濃度の効果(水中R1 1.66s-1 ゲル中のアガロースの割合は、より小さい1/T2wを得るために、表10に示さ れるように低減することが可能であった。得られた縦および横の緩和時間に対す るアガロースゲル濃度の効果は、アガロースゲル濃度を変化させた5個の試料( 0〜1.98%(wt/v))を調製することによって評価した。1つのマーカーの形成の み評価した(水中、R1値1.66s-1)。試料は50mlのガラスバイアルにアガロース粉 末を秤量して、調製した。次いで、49.209mlのRO(逆浸透)水を各試料に添加した のち、バイアルをシールした。試料は、透明な黄色溶液となるまで、20分間、沸 騰水浴中に保持した。試料を水浴より取り出したのち、24.9mM Gdの化合物Bのス トック溶液を81μl、および10.7mM Gdの化合物Aのストック溶液を710μl、添 加した。各試料の2.0mlをピペットでNMR管にはかり入れ、分析に先立ち、試料を 氷中で30分間保持した。縦緩和速度は、0.47Tおよび40℃で評価した。 この結果は、1/T2値が温度および場の強度に非依存的であるマーカーを得るこ とを所望するのであれば、アガロースと異なる物質(例えばポリアクリルアミド) から構成されるゲルを使用することが最適であることを明確に示している。しか しながら、場合によっては、特定の組織に類似した1/T2値を有することが望ま れてもよい。所望の1/T2値を提供するのに必要とされるアガロース濃度を求め ることによって、マーカーを、模擬組織にモデル化することができる。組織ファ ントム物質としてアガロースゲルを使用することは文献に記載されているものの 、ドープ剤としてマーカー処方に使用することは、他に提案された方法に比べて 、ゲルの1/T1が温度または場の強度に対し感受的でないため、有利性を有して いる。実施例10 SIの標準化 46人の患者を、2つの異なる病院でイメージした(試験1および2、実施例7参 照)。臨床試験は4ヶ月の期間に渡って行った。コントラスト剤を注射後、4時 間以内の各患者の肝臓中における%ENHを算出した。各センターから得られた平均 %ENH値は、下記表11に示される。 この結果は、イメージしたセンター間で定量的データを比較したとき、マーカ ーの有用性を示している。実施例11 MRI によるT1の評価 下記表12に、ブルカーミニスペック(Bruker Minispec)を用いて0.47Tで、 および臨床イメージャーを用いて1.5Tで分析したマーカー処方物のT1値を示す。 SDAは、20〜40℃に亘る温度範囲における9個の試料の標準偏差を示す。SDBは、 20〜40℃に渡る温度範囲における2個の繰り返し分析の標準偏差を示す。 全ての(相対的に0.47Tに対して表される)%変動は、5%よりも少ないため、 マーカーのT1値は、磁場強度に依存しないとみなすことができる。これは、また マーカーが、T1値を求めるためにMRI手法によって用いられる計算ソフトウェア に使用されうることを示している。実施例12 コントラスト剤の摂取および清掃速度 6人の患者の下垂体の信号強度を、コントラスト剤投与後3ヶ月間に亘ってモ ニターした(試験3、上記実施例7参照)。注射前、注射後2〜4時間、及び注射 後1、2、3、4、8および12週間の下垂体における信号強度を測定した。増加百分 率(%ENH)は式3を用いて決定した(実施例7参照)。結果を図8AおよびBに示 す。この結果は、下垂体におけるコントラスト剤の清掃は、SMR比が%ENH測定に 使用されるときに、最も特徴付けられることを示している(図8B)。SNR比を使 用したときに得られる大きく有意なマイナスの数値は、組織の信号強度における 実際の変化を表していないが、しかしその代わりに、組織ではなく器械に関する ノイズの変動を示す。実施例13 イメージハードウェァの品質保証 rfマッピングの実用性は、相配列コイル内に43マーカーをおくことによって説 明される。たつた1つのマーカー処方物(618msの水中T1)を、コイルの評価に 使用した。マーカーは、2.5mlのガラ 上にテープで固定し、ボディー(フィーズトアレイ:相配列)コイル内に配置し た。イメージは、ターボスピンエコーシーケンス(TSE)を用いて、1.5Tシーメン スビジョンで得られた。コイル中のrf変動を調整するシーメンス補償プログラム の能力評価するため、補償プログラムを適用したものと、適用していないもので 、イメージを得た。結果を図9に示す。図9では、最も高い信号強度を有する試 料は、最もコイルに接近した位置にある試料である。試料35〜41(たとえば35〜 41の位置)は、アイソセンタにおける試料を示す。信号強度の大きな変動は、ア イソセンタからの位置に対するrf磁場における変動と関係している。補償プログ ラムの目的は、コイル内の均一性を向上させるためのものであり、この向上がマ ーカーの使用によって、定量化される。信号強度の変化は、43個の試料間の相対 標準偏差(%RSD)として表され、相配列コイル用に決定された。補償しない場合 、信号強度の%RSDは45%であったが、これに対して、補償プログラムを適用した 後では、信号強度の%RSDは20%にすぎないものであった。
【手続補正書】 【提出日】平成11年4月15日(1999.4.15) 【補正内容】特許請求の範囲 1.水性マーカー組成物のセットであって、各組成物が、15および40℃の間で少 なくとも10℃の温度範囲において、実質的に不動である選択された1/Ti値を有 し、かつ上記温度範囲内で非ゼロ1/Ti温度依存性を有する水性マトリックス材 料からなり、この水性マトリックス材料は、上記範囲内で実質的に不動なTi緩和 を有する第一の常磁性材料および/または上記範囲内で上記マトリックス材料の 1/Tiの温度依存性に対して異極性な非ゼロ温度依存性を有し、かつ、第一およ び第二の材料が同じ常磁性金属を有する場合に、上記第一の材料のそれよりも大 きいTi緩和を有する第二の常磁性材料が内部に分布しており、上記セットは異な る選択された1/Ti値(Tiのiは1または2である)を有する複数の上記組成物 を含有し、かつ上記第二の常磁性材料と、上記第一の常磁性材料を含む少なくと も一つの組成物と、を含む セット。 2.各組成物が、25〜35℃において実質的に不動である上記選択された1/Ti値 を有することを特徴とする請求項1に記載のセット。 3.各組成物が、0.01および5Tの間で選択された場の強度の周辺の少なくとも± 2%の磁場強度範囲において実質的に不動である上記選択された1/Ti値を有する ことを特徴とする請求項1または2に記載のセット。 4.1.0〜2.5s-1の範囲を包含する異なる選択された1/Ti値を有 する複数の上記組成物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のセット。 5.上記第一の常磁性材料を含有する少なくとも一つの上記組成物および上記第 二の常磁性材料を含有する少なくとも一つの上記組成物を含む請求項1〜4のい ずれかに記載のセット。 6.上記水性マトリックス材料が水であることを特徴とする少なくとも一つの上 記組成物を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のセット。 7.上記水がH2OおよびD2Oからなることを特徴とする請求項6に記載のセット。 8.上記水性マトリックス材料が水性ゲルである少なくとも一つの上記組成物を 含む請求項1〜7のいずれかに記載のセット。 9.上記ゲルがポリアクリルアミドまたはアガロースゲルである少なくとも一つ の上記組成物を含む請求項8に記載のセット。 10.上記組成物が閉じた容器内に配置される請求項1〜9のいずれかに記載のセ ット。 11.上記閉じた容器の実質的にヘッドスペースがない部屋内に配 置され、かつ水を上記水性マトリックス材料として含んだ少なくとも一つの上記 組成物を含む請求項10記載のセット。 12.15℃と40℃との間で、少なくとも10℃の温度範囲に亘って実質的に不変な選 択された1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する親水 性合成または天然ポリマーの水性ゲルからなり、この水性ゲルは、(a)上記範囲 で実質的に不変なTi緩和性を有する第一のガドリニウムポリキレートおよび/ま たは(b)上記範囲内で、該第一のポリキレートの緩和性より大きく、かつ上記水 性ゲルの1/Tiの温度依存性とは逆の極性の非-ゼロ温度依存性を有するTi緩和性 を有する第二のガドリニウムポリキレートが内部に分布している(Tiのiは1また は2である)水性組成物。 13.ゲル形成親水性ポリマーと、式: −[Ch-L]n- (式中、Chはキレート化部分であり、Lは親水性または疎水性有機リンカー部分 であり、nは整数である)の繰返し単位を有するポリキラントのガドリニウムキ レートを含む水性ゲル組成物。 14. 15℃と40℃との間で、少なくとも10℃の温度範囲に亘って実質的に不変な 選択された1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する親 水性合成または天然ポリマーの水性ゲルからなり、この水性ゲルは水と区画化構 造内の常磁性物質とを含み、かつこの区画化構造が水性ゲルと上記常磁性物質を 含む区画 との間の水の拡散を許容する(ここで、Ti中のiは1または2である)水性組成 物。 15.ゲル形成親水性ポリマーと、区画化構造内の常磁性物質とを含み、かつこの 区画化構造が水性ゲルと上記常磁性物質を含む区画との間の水の拡散を許容する 水性ゲル組成物。 16.15℃と40℃との間で、少なくとも10℃の温度範囲に亘って不変な選択された 1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する水性マトリッ クス材料からなり、この水性マトリックス材料は、(a)上記範囲で実質的に不変 なTi緩和性を有する第一の常磁性材料および(b)上記範囲内で、上記マトリック ス材料の1/Tiの温度依存性とは逆の極性の非-ゼロ温度依存性を有し、かつ上記 第一および第二の材料が同一の常磁性金属を含む場合には、第一の常磁性材料よ りも大きなTi緩和性を有する第二の常磁性材料が内部に分布している(ここで、 Tiのiは1または2である)水性組成物。 17.上記水性マトリックス材料が水である、請求項16に記載の組成物。 18.請求項1〜17の何れかに記載のマーカー組成物を含ませた医療用装置。 19.請求項1〜17の何れかに記載のマーカー組成物を含ませた布製物品。 20.造影される体積が、外部マーカーとして請求項1〜17の何れかに記載のマー カー組成物を含有することを特徴とする、MR造影方法。 21.造影被検者がヒトであり、上記組成物が、玩具に取り外し可能に組合させた 容器内に配置される、請求項20に記載の方法。 22.検出されたMRシグナル強度が、請求項1〜17の何れかに記載のマーカー組成 物を用いて検量される、MR装置の検量方法。 23.患者の関心ある領域から検出されたシグナル強度を、請求項1〜17の何れか に記載のマーカー組成物から検出されたシグナル強度と比較することを含む、患 者の関心ある領域内のコントラスト剤濃度の評価方法。 24.パーセント増強(%ENH)値が、シグナル-対-ノイズ比(SMR)から計算され る、請求項23に記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ラド,デビッド,リー 米国 ペンシルバニア州 19087―8630, ウェイン,デボン パーク ドライブ 466,ニコムド アイエヌシー. (72)発明者 ホリスター,ケニース,ロバート 米国 ペンシルバニア州 19087―8630, ウェイン,デボン パーク ドライブ 466,ニコムド アイエヌシー. (72)発明者 ビヨルネルド,アトレ ノールウェー エヌ―0401 オスロ,ニコ ファイエン 1―2,ニコムド イメージ ング エイエス

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.水性マーカー組成物のセットであって、各組成物が、15および40℃の間で少 なくとも10℃の温度範囲において、実質的に不動である選択された1/Ti値を有 し、かつ上記温度範囲内で非ゼロ1/Ti温度依存性を有する水性マトリックス材 料からなり、この水性マトリックス材料は、上記範囲内で実質的に不動なTi緩和 を有する第一の常磁性材料および/または上記範囲内で上記マトリックス材料の 1/Tiの温度依存性に対して異極性な非ゼロ温度依存性を有し、かつ、第一およ び第二の材料が同じ常磁性金属を有する場合に、上記第一の材料のそれよりも大 きいTi緩和を有する第二の常磁性材料が内部に分布しており、上記セットは異な る選択された1/Ti値(Tiのiは1または2である)を有する複数の上記組成物 を含有するセット。 2.各組成物が、25〜35℃において実質的に不動である上記選択された1/Ti値 を有することを特徴とする請求項1に記載のセット。 3.各組成物が、0.01および5Tの間で選択された場の強度の周辺の少なくとも± 2%の磁場強度範囲において実質的に不動である上記選択された1/Ti値を有する ことを特徴とする請求項1または2に記載のセット。 4.1.0〜2.5s-1の範囲を包含する異なる選択された1/Ti値を有する複数の上記 組成物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の セット。 5.上記第一の常磁性材料を含有する少なくとも一つの上記組成物および上記第 二の常磁性材料を含有する少なくとも一つの上記組成物を含む請求項1〜4のい ずれかに記載のセット。 6.上記水性マトリックス材料が水であることを特徴とする少なくとも一つの上 記組成物を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のセット。 7.上記水がH2OおよびD2Oからなることを特徴とする請求項6に記載のセット。 8.上記水性マトリックス材料が水性ゲルである少なくとも一つの上記組成物を 含む請求項1〜7のいずれかに記載のセット。 9.上記ゲルがポリアクリルアミドまたはアガロースゲルである少なくとも一つ の上記組成物を含む請求項8に記載のセット。 10.上記組成物が閉じた容器内に配置される請求項1〜9のいずれかに記載のセ ット。 11.上記閉じた容器の実質的にヘッドスペースがない部屋内に配置され、かつ水 を上記水性マトリックス材料として含んだ少なくと も一つの上記組成物を含む請求項10記載のセット。 12.15℃と40℃との間で、少なくとも10℃の温度範囲に亘って実質的に不変な選 択された1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する親水 性合成または天然ポリマーの水性ゲルからなり、この水性ゲルは、(a)上記範囲 で実質的に不変なTi緩和性を有する第一のガドリニウムポリキレートおよび/ま たは(b)上記範囲内で、該第一のポリキレートの緩和性より大きく、かつ上記水 性ゲルの1/Tiの温度依存性とは逆の極性の非-ゼロ温度依存性を有するTi緩和性 を有する第二のガドリニウムポリキレートが内部に分布している(Tiのiは1また は2である)水性組成物。 13.ゲル形成親水性ポリマーと、式: −[Ch-L]n- (式中、Chはキレート化部分であり、Lは親水性または疎水性有機リンカー部分 であり、nは整数である)の繰返し単位を有するポリキラントのガドリニウムキ レートを含む水性ゲル組成物。 14.15℃と40℃との間で、少なくとも10℃の温度範囲に亘って実質的に不変な選 択された1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する親水 性合成または天然ポリマーの水性ゲルからなり、この水性ゲルは水と区画化構造 内の常磁性物質とを含み、かつこの区画化構造が水性ゲルと上記常磁性物質を含 む区画との間の水の拡散を許容する(ここで、Ti中のiは1または2であ る)水性組成物。 15.ゲル形成親水性ポリマーと、区画化構造内の常磁性物質とを含み、かつこの 区画化構造が水性ゲルと上記常磁性物質を含む区画との間の水の拡散を許容する 水性ゲル組成物。 16.15℃と40℃との間で、少なくとも10℃の温度範囲に亘って不変な選択された 1/Ti値を有し、かつ上記温度範囲で非−ゼロ1/Ti依存性を有する水性マトリッ クス材料からなり、この水性マトリックス材料は、(a)上記範囲で実質的に不変 なTi緩和性を有する第一の常磁性材料および(b)上記範囲内で、上記マトリック ス材料の1/Tiの温度依存性とは逆の極性の非-ゼロ温度依存性を有し、かつ上記 第一および第二の材料が同一の常磁性金属を含む場合には、第一の常磁性材料よ りも大きなTi緩和性を有する第二の常磁性材料が内部に分布している(ここで、 Tiのiは1または2である)水性組成物。 17.上記水性マトリックス材料が水である、請求項16に記載の組成物。 18.請求項1〜17の何れかに記載のマーカー組成物を含ませた医療用装置。 19.請求項1〜17の何れかに記載のマーカー組成物を含ませた布 製物品。 20.造影される体積が、外部マーカーとして請求項1〜17の何れかに記載のマー カー組成物を含有することを特徴とする、MR造影方法。 21.造影被検者がヒトであり、上記組成物が、玩具に取り外し可能に組合させた 容器内に配置される、請求項20に記載の方法。 22.検出されたMRシグナル強度が、請求項1〜17の何れかに記載のマーカー組成 物を用いて検量される、MR装置の検量方法。 23.患者の関心ある領域から検出されたシグナル強度を、請求項1〜17の何れか に記載のマーカー組成物から検出されたシグナル強度と比較することを含む、患 者の関心ある領域内のコントラスト剤濃度の評価方法。 24.パーセント増強(%ENH)値が、シグナル-対-ノイズ比(SMR)から計算され る、請求項23に記載の方法。
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