JP2001500464A - 改良被覆ガラス - Google Patents

改良被覆ガラス

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Abstract

(57)【要約】 高性能ソーラーコントロールガラスは、熱吸収層と金属酸化物の低輻射率層を含むコーティングを有するガラス基板を備える。好適な熱吸収層は700nmを超える波長を優先的に吸収し、例えば、非化学量論又はドープされた酸化タングステン、若しくは酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄又は酸化バナジウムであることができる。好適な低輻射率層は、例えばドープされた酸化錫又はドープされた酸化インジウムのような半導体金属酸化物である。該層の性質により、被膜は無彩色であり、ガラス製造工程の間、例えば化学蒸着のような熱分解方法によるガラスリボン上へのオンライン堆積に適していることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 被覆ガラス 本発明は被覆ガラスに関し、更に詳しくは、高性能ソーラーコントロール(sol ar control)被覆ガラスに関する。 ソーラーコントロールガラス、特に反射と透過の双方で無彩色を示す高性能ソ ーラーコントロールガラスに対する要求は増大している。「高性能」ソーラーコ ントロールガラスとは、総入射放射線エネルギー(総太陽熱)の割合よりも入射 光のかなり高い割合を透過するガラスを意味付けている。鉄が加えられた色付き ガラスは、高いソーラーコントロール性能を与えることが可能であるが、鉄は、 ガラスを緑色に着色し、そして緑色の色合いは必ずしも受け入れられるわけでは ない。更に、例えば、セレンと酸化コバルト等のような金属酸化物との組み合わ せ等の他の添加剤を含むことは、緑色の色合いをより無彩色に変えることができ るが、入射熱:透過した入射光の割合が増大するに伴い、若干の性能が犠牲にな る。銀層を適当な誘電層と組合わせて多層に積重ねた被膜は、高性能ソーラーコ ントロール製造物を与えることができ、反射と透過の双方において無彩色に近い が、重大な欠点を有している。第一に、適当な銀層は、製造したままの熱いガラ スリボン、即ち、該リボンを切断して製造ラインから取り除く前のものに被膜を 適用するオンライン(on-line)堆積法ではうまくいかず、マグネトロンスパッタ 等のオフライン低圧技術に適合する。第二に、そのような銀被膜は、加工中での 注意深い保護及び取り扱いや、例えば、ユニットの空間に面している被覆により 複数のグレージングユニットにおいてグレージングをすることにより、最終生成 物中の被覆されたガラスを防護することが要求されるという、制限された物理的 耐久性を有している。 上記した銀被膜の欠点なしに高性能でソーラーコントロールグレージング(gla zing)を与える被膜を得ることは望ましいことであり、そして、それは好ましく は反射及び透過において無彩色に近い色を有するものか、あるいは少なくとも、 上記で言及した色味を帯びたガラスの高性能体の特性の緑色の反射と透過色のど ちらか一方を与えるものである。 本発明によれば、ガラス基板並びに、熱吸収層及び金属化合物を含む低輻射率 層を含む被膜から成る高性能ソーラーコントロール被覆ガラスが提供される。 本発明を図面により説明するが、添付された概略の図面によっては限定されな い。ここで、 図1は、本発明の一つの実施態様による被覆ガラスの断面を示す。 図2は、本発明の第二の好ましい実施態様による被覆ガラスの断面を示す。 第3図は、第1図に示した被覆ガラスを導入した二重グレージングガラスユニ ットの断面を示す。 図1において、高性能ソーラーコントロール被覆ガラス1は、ガラス基板11 、好ましくは透明フロートガラス、並びに熱吸収層14及び金属化合物から成る 低輻射率層13を含む被膜12から成る。 図2に示した態様は、図1の態様と同様であり、被覆ガラス2はガラス基板2 1、好ましくは透明フロートガラス、及び被膜22から成る。しかしながら、被 膜22は、被膜12とは、熱吸収層24及び低輻射率層23に加えて、更に以下 において記載するインデッセンス抑制下層25から成る点において異なっている 。 図3は、図1の被覆ガラス板(pane)1を平行な空間関係でグレージング材料3 1、典型的には透明フロートガラスの第2の板と組み合わせ、該板同士は離間さ れており、スペーシング及び封止システム32で共に封止され、空隙33を有す る二重グレージングガラスユニット3を形成したものを示したものである。被膜 12はユニットの空隙33に面している。 性能を向上させるために、被膜の熱吸収層は700nmを超える波長を優先的 に吸収することが望ましく、好ましくは、それは実質的に可視領域のスペクトル を吸収しないことである。熱吸収層は、実質的に透明な導電性酸化物層であって もよく、酸化タングステンが、特性吸収ピークにおいてそれが約900nm付近 を示すことから好ましい。 酸化タングステンには、導電性及び誘電性の両者の形態が存在する。化学量論 組成の酸化タングステン、WO3は、誘電性で、実質的に近赤外線を吸収しない 。非化学量論組成の酸化タングステン、WO3-x、(式中、xは典型的には約0 . 03まで(好ましくは、0.005〜0.025の範囲である)及び、例えば、 水素、フッ素、アルカリ金属、銅、銀または金等の異なる価数の適当なドーパン トを含有するドープされた酸化タングステンは導電性であり、本発明において実 際に使用するのに適している。 熱吸収層として使用される酸化タングステン層は、結晶質であっても、非晶質 であってもよい。結晶質である場合、あまりに大きい結晶径のものは避けたほう が一般に好ましい。何故なら、大きい結晶は、外観上、曇りを生じやすいからで ある。 熱吸収層を形成するために使用してもよい他の熱吸収材料には、酸化クロム、 酸化コバルト、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化ニオブ及び酸化バナジウム等の着 色遷移金属酸化物が含まれ、これら金属酸化物の混合物もまた使用できる。 熱吸収層は、通常、50nm〜500nmの範囲の、特には80nm〜200 nmの膜厚を有している。 低輻射率層は、金属化合物の層であり、通常、金属酸化物(金属窒化物及び金 属珪化物等の他の低輻射率化合物は、低光透過性を有しがちであるので)及び、 例えば、ドープされたインジウム、錫または亜鉛酸化物等の透明半導体である。 好ましい材料としては、錫ドープ酸化インジウム、及びフッ素ドープ酸化錫が含 まれる。低輻射率層は、通常、100nm〜600nm(厚い層の使用は、補償 として十分な輻射率の低減をすることなしに、光透過率の不要な減少を引き起こ しがちであるので)の範囲の膜厚を、特に、200nm〜500nmの範囲の膜 厚を有する。低輻射率層は、0.4未満(本記載及び添付された請求の範囲にお いて言及されている放射率の数値は、ISO 10292:1994,アネック スAにより測定した、通常の輻射率の値である)の放射率を有していてもよく、 0.2以下の放射率を与える低輻射率層を使用することが好ましい。 被膜の低輻射率層は、通常、熱吸収層の上に存在し、ソーラーコントロールガ ラスは、ガラスをはめた(glazed)空間(必ずしもそうではないが、通常は、建 築物)の内面に向かって面している被膜で上塗り(glazed)されている。 本発明におけるような、薄いフィルムの使用は、干渉色及びイリデッセンスの 外観を与えるであろう。干渉効果から得られる望ましくない色を避け、または少 なくとも緩和するために、着色抑制下層(それは、それ自身、サブ(sub)層の組 み合わせであってもよい)を、熱吸収層及び低輻射率層を堆積する前にガラスに 適用してもよい。イリデッセンス抑制下層の組成及び堆積は、先に公開された英 国特許第2301756B,英国特許第2115315B及びヨーロッパ特許第 0275662Bに記載されている。かくして、本発明の好ましい態様によれば 、イリデッセンス抑制下層またはその複数層は、熱吸収層及び低輻射率層から成 る被膜の下に導入される。 例えば、反射防止層として、付加的な層を被膜の上に導入してもよいが、しか し、そのような上層は、低輻射率特性の喪失、即ち、輻射率の増大、につながる ので、通常は好ましくはない。 本発明の熱吸収層及び低輻射率層は、例えば、反応性スパッタリングを含む、 スパッタリングにより、または化学蒸着による、公知の技術で堆積してもよい。 実際、上記した両層共が、ガラス製造工程の間にガラスの熱いリボンに被膜を適 用する可能性を提供する化学蒸着技術による蒸着法を受け入れられることは重大 な利点である。熱吸収層を化学蒸着により堆積する方法は、例えば、ヨーロッパ 特許第0523877A1及びヨーロッパ特許第0546669B1に記載され ているが、金属酸化物の低輻射率層を化学蒸着法により堆積する方法は、例えば 、英国特許第2026454B及びヨーロッパ特許第0365239Bに記載さ れている。 本発明を説明するが、以下の実施例によっては限定されない。実施例において 、以降の記載と請求の範囲と同様に、記述する可視光線透過率は、イルミナント C(Illuminant C)を用いて測定した。記述する総太陽熱透過率は、北緯37° (気団1.5)の地表での直接の通常放射入射線を表す太陽スペクトル輻射照度 (ASTME87−891)で重み付けすることにより測定される。実施例1 ケイ素、炭素及び酸素から成り、65nmの膜厚及び約1.7の屈折率を有す るイリデッセンス抑制下層を、ヨーロッパ特許第0275662Bに記載されて いるような3mmの透明フロートガラスのリボンに設けた。 リボンから切断したガラス板に、通常の反応性マグネトロン直流スパッタで、 910nmの波長で(下層なしに透明3mmフロートガラスで測定した場合)7 0%の吸収ピークを与える、水素でドープした厚さ約100nmの熱吸収酸化タ ングステン層を下層の上にオーバーコートした。 低輻射率層として機能し、4x10-4オーム・センチメーターの電気抵抗率を 示す、約265nmのインジウム錫酸化物層を、酸化タングステン層上に、通常 の反応性マグネトロン直流スパッタリングで、約10原子%の錫を含有するイン ジウム錫ターゲットを用いて堆積した。そのインジウム錫酸化物層は約0.08 の輻射率を有する。 得られた被覆ガラス板は以下の性質を有していた: 可視光透過率 70.4% 総太陽熱透過率 55.9% 被覆していない透明フロートガラスの3mmの板及び12mmの空気空間を有 する二重グレージングガラスユニットに、被膜が空気空間に向かうように被覆板 を導入したところ、得られたユニットは、可視光透過率が64%、総太陽熱透過 率が44%であり、照明(イルミナントC(Illuminant C))のもとで、以下の 反射及び透過色を示す: a* b* L* 反射 −5.2 −5.1 46 透過 −2.9 1.2 84実施例2 25nmの厚さのドープされていない酸化錫の最初の層及び25nmの厚さの シリカの層から成るイリデッセンス抑制下層を、3mmの厚さの透明フロートガ ラスのリボンに設けた。 リボンから切断したガラス板に、通常の反応性マグネトロン直流スパッタリン グで、910nmの波長で(下層なしに透明3mmフロートガラスで測定した場 合)70%の吸収ピークを与える、リチウムでドープした厚さ約420nmの熱 吸収酸化タングステン層を下層の上にオーバーコートした。 低輻射率層として機能し、4x10-4オーム・センチメーターの電気抵抗率を 示す、約85nmのインジウム錫酸化物層を、酸化タングステン層上に、通常の 反応性マグネトロン直流スパッタリングで、約10原子%の錫を含有するインジ ウム錫ターゲットを用いて堆積した。 得られた被覆ガラス板(pane)は以下の性質を有していた: 可視光透過率 69% 総太陽熱透過率 54% 被覆していない透明フロートガラスの3mmの板及び12mmの空気空間を有す る二重グレージングガラスユニットに、被膜が空気空間に向かうように被覆板を 導入したところ、得られたユニットは、可視光透過率が63%、総太陽熱透過率 が41%であり、照明(イルミナントC(Illuminant C))のもとで、以下の反 射及び透過色を示す: a* b* L* 反射 −3.6 −3.3 90 透過 −9.3 5.1 84実施例3 実施例2に記載したのと同様のイリデッセンス抑制下層を、3mmの厚さのフ ロートガラスのリボンに設けた。 リボンから切断したガラス板に、マグネトロン直流スパッタリングで、酸化物 ターゲットから厚さ約104nmの熱吸収非化学量論組成の酸化タングステン層 をオーバーコートした。酸化タングステン中のタングステンの酸化状態は、式W O2.98の酸化タングステンに相当すると測定された。 低輻射率層として機能する、約270nmのインジウム錫酸化物層を、酸化タ ングステン層上に、通常の反応性マグネトロン直流スパッタリングで、約10原 子%の錫を含有するインジウム錫ターゲットを用いて堆積した。 被覆していない透明フロートガラスの3mmの板及び12.5mmの空気空間を 有する二重グレージングガラスユニットに、被膜が空気空間に向かうように被覆 板を導入したところ、得られたユニットは、可視光透過率が66%、総太陽熱透 過率が46%であり、照明(イルミナントC(Illuminant C))のもとで、以下 の反射及び透過色を示す: a* b* L* 反射 −7.7 2.25 49 透過 1.9 0.61 85実施例4〜9 この一連の実施例のそれぞれにおいて、被覆した3mmの透明フロートガラス 、被覆されたガラスの板及び3mmの被覆されていない透明フロートガラスから 成り、12.5mmの空間及び被膜が空間に面している二重グレージングガラス ユニットの光学的性質は、ガラス及び被覆層の公知の光学的性質から計算した。 被膜の構造及び被覆ガラスの性質を添付表1及び表2に示す。 本発明の被膜は、先行技術を克服して重要な利点を提供する。熱分解法(これ は、それらにオンライン用途を与えるという追加の利益を有する)による製造に 適しているために、それらは、高度に信頼性のある形態で、取り扱いに特別の注 意を払う必要性を減少させ、複数のグレージングガラスユニット内でそれらを保 護する必要なしに、フリースタンディンググレージング(free stand ing glazing)内に被膜を使用する可能性を開くものである。本体が 着色したガラスに比較して、これらはガラス溶融タンク(変化が起こる際の製造 固有な損失と共に)中の組成を変更する必要なしに、よりフレキシブルな技術( 被覆)を適用することによる製造に適しているという利点、及び性能が高度にな るに伴い着色することが観察される、より強い緑がかった色合いを避けることが できるという利点を提供する。 更に、可視光線透過率が67%を超え、総太陽熱透過率が57%未満を与える ガラスにより、優れた性質が達成されることができる。一般に、本発明のソーラ ーコントロールグレージングは、可視光線透過率よりも少なくとも10%少ない 総太陽熱透過率を与えるものであり、グレージングは、少なくとも12%少ない (二重グレージングユニット内において透明フロートガラスの板と共に使用した 被覆ガラスの場合には少なくとも15%)総太陽熱透過率が容易に達成され、そ して好ましい。 本発明の好ましい被覆ガラスは、反射(被覆側から見た場合)及び透過(透明 フロートガラスに適用した場合)色の(a*2+b*21/2が12未満を示すこと であり、特に10未満であることを示すような被膜のガラスである。特に好まし い態様において、反射及び/又は(好ましくは、及び)透過色の少なくとも一つ の(a*2+b*21/2が7未満であるものである。
【手続補正書】 【提出日】平成11年5月21日(1999.5.21) 【補正内容】 明細書 改良被覆ガラス 本発明は被覆ガラスに関し、更に詳しくは、高性能ソーラーコントロール(sol ar control)被覆ガラスに関する。 ソーラーコントロールガラス、特に反射と透過の双方で無彩色を示す高性能ソ ーラーコントロールガラスに対する要求は増大している。「高性能」ソーラーコ ントロールガラスとは、総入射放射線エネルギー(総太陽熱)の割合よりも入射 光のかなり高い割合を透過するガラスを意味付けている。鉄が添加された色付き ガラスは、高いソーラーコントロール性能を付与することが可能であるが、鉄は 、ガラスを緑色に着色し、そして緑色の色合いは必ずしも受け入れられるわけで はない。更に、例えば、セレンと酸化コバルト等のような金属酸化物との組み合 わせ等の他の添加剤を含むことは、緑色の色合いをより無彩色に変えることがで きるが、入射熱:透過した入射光の割合が増大するに伴い、若干の性能が犠牲に なる。 英国特許出願GB2288818Aには、低いソーラーファクターと高い純度 の反射色を有する熱分解性(pyrolytically)被覆グレージングパネルが記載され ている。該GB2288818Aには、コバルト、鉄及びクロムの酸化物を含む 第1層と、例えば窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化すず又は酸化チタ ン、酸化ジルコニウム又は酸化ケイ素を含み、特定の屈折率を有する誘電第2層 とで被覆されたガラス基板を含む被覆ガラスが開示されている。カナダ国特許明 細書CA 1117383には、ガラス上の透明な着色金属及び金属酸化物フィ ルムの磨耗抵抗を向上させる方法が記載されている。該CA 1117388号 には、鉄、クロム及びコバルト酸化物の混合物を含む着色層及び、30nm〜80 nmの範囲の厚みを有するフッ素ドープされた酸化すずを用いて基板を被覆する方 法が記載されている。 銀層を適当な誘電層と組合わせて多層に積重ねた被膜は、高性能ソーラーコン トロール製造物を与えることができ、反射と透過の双方において無彩色に近いが 、重大な欠点を有している。第一に、適当な銀層は、製造したままの熱いガラス リ ボン、即ち、該リボンを切断して製造ラインから取り除く前のものに被膜を適用 するオンライン(on-line)堆積法ではうまくいかず、マグネトロンスパッタ等の オフライン低圧技術に適合する。第二に、そのような銀被膜は、加工中での注意 深い保護及び取り扱いや、例えば、ユニットの空間に面している被覆により複数 のグレージングユニットにおいてグレージングをすることにより、最終生成物中 の被覆されたガラスを防護することが要求されるという、制限された物理的耐久 性を有している。 上記した銀被膜の欠点なしに高性能でソーラーコントロールグレージング(gla zing)を与える被膜を得ることは望ましいことであり、そして、それは好ましく は反射及び透過において無彩色に近い色を有するものか、あるいは少なくとも、 上記で言及した色味を帯びたガラスの高性能体の特性の緑色の反射と透過色のど ちらか一方を与えるものである。 本発明によれば、ガラス基板並びに、熱吸収層及び前記熱吸収層の上に載置さ れる金属化合物を含む低輻射率層を含む被膜から成る高性能ソーラーコントロー ル被覆ガラスであって、該低輻射率層は100nm〜600nmの厚みを有し、被覆 ガラスは0.4より小さい放射率を有する被覆ガラスが提供される。 本発明を図面により説明するが、添付された概略の図面によっては限定されな い。ここで、 図1は、本発明の一つの実施態様による被覆ガラスの断面を示す。 図2は、本発明の第二の好ましい実施態様による被覆ガラスの断面を示す。 図3は、図1に示した被覆ガラスを導入した二重グレージングガラスユニット の断面を示す。 図1において、高性能ソーラーコントロール被覆ガラス1は、ガラス基板11 、好ましくは透明フロートガラス、並びに熱吸収層14及び金属化合物の低輻射 率層13を含む被膜12を含む。 図2に示した態様は、図1の態様と同様であり、被覆ガラス2はガラス基板2 1、好ましくは透明フロートガラス、及び被膜22から成る。しかしながら、被 膜22は、被膜12とは、熱吸収層24及び低輻射率層23に加えて、更に以下 において記載するイリデッセンス抑制下層25から成る点において異なっている 。 図3は、図1の被覆ガラス板(pane)1を平行な空間関係でグレージング材料3 1、典型的には透明フロートガラスの第2の板と組み合わせ、該板同士は離間さ れており、スペーシング及び封止システム32で共に封止され、空隙33を有す る二重グレージングガラスユニット3を形成したものを示したものである。被膜 12はユニットの空隙33に面している。 性能を向上させるために、被膜の熱吸収層は700nmを超える波長を優先的 に吸収することが望ましく、好ましくは、それは実質的に可視領域のスペクトル を吸収しないことである。熱吸収層は、実質的に透明な導電性酸化物層であって もよく、酸化タングステンが、特性吸収ピークにおいてそれが約900nm付近 を示すことから好ましい。 酸化タングステンには、導電性及び誘電性の両者の形態が存在する。化学量論 組成の酸化タングステン、WO3は、誘電性で、実質的に近赤外線を吸収しない 。非化学量論組成の酸化タングステン、WO3-x、(式中、xは典型的には約0 .03まで(好ましくは、0.005〜0.025の範囲である)及び、例えば 、水素、フッ素、アルカリ金属、銅、銀または金等の異なる価数の適当なドーパ ントを含有するドープされた酸化タングステンは導電性であり、本発明において 実際に使用するのに適している。 米国特許明細書US5034246号には、有機金属蒸着法が記載されており 、これは、インジウムすず酸化物のような導電層を有するガラス基板上にアルキ ルアミンタングス酸塩化合物を付加し、次いで該被覆基板を加熱することにより タングステン酸化物を形成するのに用いられる。 本発明において、低輻射率層の下の熱吸収層として使用される酸化タングステ ン層は、結晶質であっても、非晶質であってもよい。結晶質である場合、あまり に大きい結晶径のものは避けたほうが一般に好ましい。何故なら、大きい結晶は 、外観上、曇りを生じやすいからである。 熱吸収層を形成するために使用してもよい他の熱吸収材料には、酸化クロム、 酸化コバルト、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化ニオブ及び酸化バナジウム等の着 色遷移金属酸化物が含まれ、これら金属酸化物の混合物もまた使用できる。 熱吸収層は、通常、50nm〜500nmの範囲の、特には80nm〜200 nmの膜厚を有している。 低輻射率層は、金属化合物の層であり、通常、金属酸化物(金属窒化物及び金 属珪化物等の他の低輻射率化合物は、低光透過性を有しがちであるので)及び、 例えば、ドープされたインジウム、錫または亜鉛酸化物等の透明半導体である。 好ましい材料としては、錫ドープ酸化インジウム、及びフッ素ドープ酸化錫が含 まれる。低輻射率層は、通常、100nm〜600nm(より厚い層の使用は、 補償として十分な輻射率の低減をすることなしに、光透過率の不要な減少を引き 起こしがちであるので)の範囲の膜厚を、特に、200nm〜500nmの範囲 の膜厚を有する。低輻射率層は、0.4未満(本記載及び添付された請求の範囲 において言及されている放射率の数値は、ISO 10292:1994,アネ ックスAにより測定した、通常の輻射率の値である)の放射率を有していてもよ く、0.2以下の放射率を与える低輻射率層を使用することが好ましい。 被膜の低輻射率層は、通常、熱吸収層の上に存在し、ソーラーコントロールガ ラスは、ガラスをはめた(glazed)空間(必ずしもそうではないが、通常は、建 築物)の内面に向かって面している被膜で上塗り(glazed)されている。 本発明におけるような、薄いフィルムの使用は、干渉色及びイリデッセンスの 外観を与えることができる。干渉効果から得られる望ましくない色を避け、また は少なくとも緩和するために、着色抑制下層(それは、それ自身、サブ(sub)層 の組み合わせであってもよい)を、熱吸収層及び低輻射率層を堆積する前にガラ スに適用してもよい。イリデッセンス抑制下層の組成及び堆積は、先に公開され たGB第2301756B、UK第2115315B、US5168003号及 びEP第0275662Bに記載されている。かくして、本発明の好ましい態様 によれば、イリデッセンス抑制下層またはその複数層は、熱吸収層及び低輻射率 層から成る被膜の下に導入される。 例えば、反射防止層として、付加的な層を被膜の上に導入してもよいが、しか し、そのような上層は、低輻射率特性の喪失、即ち、放射率の増大、につながる ので、通常は好ましくはない。 本発明の熱吸収層及び低輻射率層は、例えば、反応性スパッタリングを含む、 スパッタリングにより、または化学蒸着による、公知の技術で堆積してもよい。 実際、上記した両層共が、ガラス製造工程の間にガラスの熱いリボンに被膜を適 用する可能性を提供する化学蒸着技術による蒸着法を受け入れられることは重大 な利点である。熱吸収層を化学蒸着により堆積する方法は、例えば、EP052 3877A1及びEP0546669B1に記載されているが、金属酸化物の低 輻射率層を化学蒸着法により堆積する方法は、例えば、GB2026454B、 US5004490及びEP0365239Bに記載されている。 本発明を説明するが、以下の実施例によっては限定されない。実施例において 、以降の記載と請求の範囲と同様に、記述する可視光線透過率は、イルミナント C(Illuminant C)を用いて測定した。記述する総太陽熱透過率は、北緯37° (気団1.5)の地表での直接の通常放射入射線を表す太陽スペクトル輻射照度 (ASTME87−891)で重み付けすることにより測定される。 請求の範囲 1.ガラス基板並びに、熱吸収層及び前記熱吸収層の上に載置されている金属化 合物の低輻射率層を含む被膜から成る被覆ガラスであって、該低輻射率層は1 00nm〜600nmの厚みを有し、被覆ガラスは0.4より小さい放射率を 有する高性能ソーラーコントロール被覆ガラス。 2.被膜の熱吸収層が700nmを超える波長を優先的に吸収する請求の範囲第 1項記載の被覆ガラス。 3.被膜の熱吸収層が金属酸化物層である請求の範囲第1項記載の被覆ガラス。 4.被膜の熱吸収層が化学量論量未満の酸素を含有する酸化タングステン層であ る請求の範囲第1項記載の被覆ガラス。 5.被膜の熱吸収層が水素でドープされた酸化タングステン層である請求の範囲 第1〜4項のいずれかに記載の被覆ガラス。 6.被膜の熱吸収層がアルカリ金属でドープされた酸化タングステン層である請 求の範囲第1〜5項のいずれかに記載の被覆ガラス。 7.被膜の熱吸収層が、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化モリブデン、 酸化ニオブ、酸化バナジウムまたはこれらの混合物である請求の範囲第1〜5 項のいずれかに記載の被覆ガラス。 8.被膜の熱吸収層が50〜500nmの範囲の膜厚を有する請求の範囲第1〜 7項のいずれか記載の被覆ガラス。 9.被膜の熱吸収層が80〜200nmの範囲の膜厚を有する請求の範囲第1〜 8項のいずれかに記載の被覆ガラス。 10.0.未満の射率を有する請求の範囲第1〜9項のいずれかに記載の被覆 ガラス。11 .低輻射率層が半導体金属酸化物である請求の範囲第1〜10項のいずれかに 記載の被覆ガラス。12 .半導体金属酸化物がドープされた酸化錫またはドープされた酸化インジウム である請求の範囲第11項記載の被覆ガラス。13 .低輻射率層が200500nmの範囲の膜厚を有する請求の範囲第1〜1 2項のいずれか記載の被覆ガラス。14 .被膜が更にイデッセンス抑制層または熱吸収層の下の層を含む請求の範囲 1〜13項のいずれか記載の被覆ガラス。15 .可視光線透過率よりも少なくとも10%少ない総太陽熱透過率を示す請求の 範囲第1〜14項のいずれかに記載の被覆ガラス。16 .可視光線透過率が67%を超え、総太陽熱透過率が57%未満を与える請求 の範囲第15項記載の被覆ガラス。17 .被膜が、反射(被覆側から見た場合)及び/又は透過(透明フロートガラス に適用した場合)色の(a*2+b*21/2が12未満を示すようなものである 請求の範囲第1〜16項のいずれかに記載の被覆ガラス。18 .被膜が、反射(被覆側から見た場合)及び/又は透過(透明フロートガラス に適用した場合)色の(a*2+b*21/2が7未満を示すようなものである請 求の範囲第17項記載の被覆ガラス。19 .請求の範囲第1〜18項のいずれかに記載の被覆ガラスの板と、空間的に平 行な関係の第二のグレージング板から成るマルチプルグレージングユニット。20 .可視光線透過率よりも少なくとも15%少ない総太陽熱透過率を示す請求の 範囲第19項記載のマルチプルグレージングユニット。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ガラス基板並びに、熱吸収層及び金属化合物の低輻射率層を含む被膜から成 る高性能ソーラーコントロール被覆ガラス。 2.被膜の熱吸収層が700nmを超える波長を優先的に吸収する請求の範囲第 1項記載の被覆ガラス。 3.被膜の熱吸収層が金属酸化物層である請求の範囲第1項記載の被覆ガラス。 4.被膜の熱吸収層が化学量論量未満の酸素を含有する酸化タングステン層であ る請求の範囲第1項記載の被覆ガラス。 5.被膜の熱吸収層が水素でドープした酸化タングステン層である請求の範囲第 1〜4項のいずれかに記載の被覆ガラス。 6.被膜の熱吸収層がアルカリ金属でドープした酸化タングステン層である請求 の範囲第1〜5項のいずれかに記載の被覆ガラス。 7.被膜の熱吸収層が、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化モリブデン、 酸化ニオブ、酸化バナジウムまたはこれらの混合物である請求の範囲第1〜5 項のいずれかに記載の被覆ガラス。 8.被膜の熱吸収層が50〜500nmの範囲の膜厚を有する請求項の範囲第1 〜7項のいずれか記載の被覆ガラス。 9.被膜の熱吸収層が80〜200nmの範囲の膜厚を有する請求の範囲第1〜 8項のいずれかに記載の被覆ガラス。 10.0.4未満の輻射率を有する請求の範囲第1〜9項のいずれかに記載の被覆 ガラス。 11.0.2未満の輻射率を有する請求の範囲第10項に記載の被覆ガラス。 12.低輻射率層が半導体金属酸化物である請求の範囲第1〜11項のいずれかに 記載の被覆ガラス。 13.半導体金属酸化物がドープされた酸化錫またはドープされた酸化インジウム である請求の範囲第12項記載の被覆ガラス。 14.低輻射率層が100〜600nmの範囲の膜厚を有する請求の範囲第12項 または第13項記載の被覆ガラス。 15.低輻射率層が200〜500nmの範囲の膜厚を有する請求の範囲第14項 記載の被覆ガラス。 16.被膜の低輻射率層が熱吸収層を覆うものである請求の範囲第1〜15項のい ずれかに記載の被覆ガラス。 17.被膜が更にイソデッセンス抑制層または熱吸収層の下の層を含む請求の範囲 第16項記載の被覆ガラス。 18.可視光線透過率よりも少なくとも10%少ない総太陽熱透過率を示す 請求 の範囲第1〜17項のいずれかに記載の被覆ガラス。 19.可視光線透過率が67%を超え、総太陽熱透過率が57%未満を与える請求 の範囲第18項記載の被覆ガラス。 20.被膜が、反射(被覆側から見た場合)及び/又は透過(透明フロートガラス に適用した場合)色の(a*2+b*21/2が12未満を示すようなものである 請求の範囲第1〜19項のいずれかに記載の被覆ガラス。 21.被膜が、反射(被覆側から見た場合)及び/又は透過(透明フロートガラス に適用した場合)色の(a*2+b*21/2が7未満を示すようなものである請 求の範囲第20項記載の被覆ガラス。 22.実施例1〜9のいずれかに記載したのと実質的に同様の、ガラス基板並びに 熱吸収層及び低輻射率層を含む被膜から成る高性能ソーラーコントロール被覆 ガラス。 23.請求の範囲第1〜22項のいずれかに記載の被覆ガラスの板と、空間的に平 行な関係の第二のグレージング板から成る複数のグレージングユニット。 24.可視光線透過率よりも少なくとも15%少ない総太陽熱透過率を示す請求の 範囲第23項記載の複数のグレージングユニット。 25.実施例1〜9のいずれかに記載したのと実質的に同様の、高性能老化抑制被 覆ガラスの板を含む複数のグレージングユニット。
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