JP2001500012A - ウイルス複製の阻害 - Google Patents
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、動物細胞における、ウイルスの複製を阻害するための方法と組成物に関する。特に、(1)野生型のヌクレオカプシドのサブユニットとともに、細胞の中のウイルスヌクレオカプシドの集合体の中に取り込まれることができ、それによって、ウイルス核酸のカプシドへの被包における、ヌクレオカプシドの欠損をもたらす蛋白質を細胞の中に導入するか、または(2)その蛋白質の過剰発現を指令する組換え核酸構築物を細胞の中に導入することにより、標的細胞におけるウイルス複製の阻害が達成される。
Description
【発明の詳細な説明】
ウイルス複製の阻害 関連出願の相互参照
本出願は、35USC §119(e)(1)により、1996年9月3日に提出された米国仮
出願第60/025,370号の利益を主張するものである。
本発明は、一部には国立衛生研究所によって与えられる助成金番号CA-35711お
よびAA-02169により米国政府による支持を受けている。米国政府は本発明におい
て一定の権利を有する。
発明の背景
本発明は動物ウイルスの複製阻害に関する。
HBVは、主に肝臓に感染する包膜DNAウイルス群であるヘパドナウイルスファミ
リーの始原型種である。ヒトに対するHBV感染により、急性肝不全、慢性活動性
肝炎、肝硬変および肝実質細胞癌(HCC)を含む、重大な肝疾患に到ることがあ
る(McLachlan,Molecular Biology of the Hepatitis B Virus,CRC Press,Boc
a Raton,FL,1991)。HBVゲノムは部分的に2本鎖の3.2kb DNA分子であり、弛緩
環状配座を有する。このゲノムの配列解析により、HBVが、少なくとも7種のウイ
ルス遺伝子産物の合成を指令する4つの部分的重複オープン・リーディング・フ
レーム(ORF)をコードすることが明らかである。コード能力がこのように拡大
することは、プレコア/コアおよびエンベロープORF内に、共通のカルボキシル
末端を共有するが、異なるアミノ末端領域を有する鎖長が異なるタンパク質を生
ずる多数のインフレーム開始コドンが存在することによる。この現象はプレコア
/コア0RFによって例示される。HBVのゲノムプロモーターは、5'側の開始部位が
異なる2つの種類の3.5kbの転写物の合成を指令する。短い方の転写物は、プレコ
ア開始コドンから5ヌクレオチド下流から開始する(Willら、J.Viol.61:904-9
11,1987)。短い方の転写物は21kDaのコアタンパク質およびポリメラーゼのメ
ッセンジャーRNA(mRNA)として作用する(Changら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
S A87:5158-5162,1990)。ウイルスのヌクレオキャプシド内に包膜された後、
このmRNA種はウイルスDNAを生ずる逆転写の鋳型として作用する(Bartenschlage
rおよびSchaller,EMBOJ.11:3413-3420 1992;Hirschら、Nature 344:552-555,
1990)。長い
方の転写物は、5'末端に伸長部を有し、プレコア遺伝子産物を合成させるが、そ
の転写物はウイルスヌクレオキャプシドに包膜されない(Nassalら、Cell 63:13
57-1363,1990;Yagimuraら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:2678-2686,1987
)。
21 kDaのウイルスコアタンパク質(p21)は集合して、180サブユニットのヌク
レオキャプシド構造をとる(BirnbaumおよびNassal.J.Virol.64:3319-3330,
1990;Gallinaら、J.Virol.63:4645-4652,1989)。この分子も拡散の結合に
関与し、ウイルスの複製を促進する(Hattonら、J.Viro.l.66:5232-5231,199
2;Nassal,J.Virol.66:4107-4116,1992)。
プレコアmRNAの翻訳により、p25と命名されるコア関連ポリペプチドが生ずる
。このプレコアタンパク質は、29アミノ酸(aa)のアミノ末端伸長部を有すると
いうことを除いてp21と同一である。この伸長部の最初の19アミノ酸は、シグナ
ルペプチドとして作用し、細胞の分泌経路にこのタンパク質を指向させる(Brus
sおよびGerlich,Virology 163:268-275,1988;Ouら。Proc.Natl.Acad.Sci.
USA83:1578-1582,1987)。19aaシグナルペプチドは、その後分解されて、小胞
体(ER)に転移されるか、または細胞質内に放出される22kDaの中間タンパク質
産物(p22)を生ずる(Garciaら、J.Cell.Biol.106:1093-1104,1988)。ER
では、p22がカルボキシ末端付近でアルギニンに富むドメインに切断されて、HBe
Agとして公知の17kDaの可溶性タンパク質(p17)を生じ、ついで細胞から分泌さ
れる(Mc Lachlan,Molecular Biology of the Hepatitis B Virus,CRCPress,
Boca Rat on,FL,1991)。p17の正確な長さは不明であり、カルボキシ末端がわ
ずかに異なると思われる。
HBV感染症の生物学におけるHBeAgの機能は知られていない。HBeAgはHBV感染患
者の血清中に見られ、一般に高レベルのウイルス血症と相関する。HBV力価は、
検出可能な抗冊eAg免疫応答が存在する場合には、血清中で低下することが見出
されている(McLachlan,Mo.lecular Biology of the Hepatitis B virus,CRC
Press,BocaRaton,FL,1991)。HBeAgが、HBVコア関連エピトープに対する細胞
毒性T細胞活性を遮断する循環液中のタンパク質として機能することを示唆する
証拠がある(Milichら、Proc,Natl,Acad,Sci,USA87:6599-6603,1990)。さ
らに、
HBeAg決定因子が感染後の肝細胞の表面上で発現され、HLAクラスI分子のHBeAg/H
BcAgエピトープを宿主の免疫系に提示することが明らかにされている(Schlicht
およびSchaller,J.Virol.63:5399-5404,J.Virol.63:5399-5404,1989)。
しかし、少なくとも、関連のアヒル肝炎B型ウイルス(DHBV)およびウッドチ
ャック肝炎ウイルス(WHV)で実験的に感染させた動物においては、機能的なプ
レコア遺伝子はウイルスの複製に必須ではないようである(Changら、J.Virol
.61:3322-3325,1987;Chenら、J.Viro.66:5682-5684,1992;Schlichtら、J.V
irol.61:3701-3709,1987)。ヒトウイルス性HBVに関しては、HBeAg合成に欠陥
があるウイルスゲノムが慢性感染症患者に見られることが多い。検出される最も
一般的な変異は、プレコア0RFのコドン28にアンバー停止シグナルを導入するTGG
からTAGトランジションである。この天然に存在するHBV変異体は、激症肝炎およ
び高レベルのウイルス複製(Carmanら、Hepatology 14:219-222,1991;Lingら、
N.Engl.J.Med.324:1705-1709,1991;Omataら、N.Eng.J.Med.324:1699-1
704,1991)並びに慢性感染症(Brunettoら、Ital.J.Gastroenterol.21:151-
154,1989;Carmanら、Lancet2:588-591,1989;Naoumovら、Gastroenterology102
:538-543,1992;Olamotoら、J.Virol.64:1298-1303,1990;Tongら、Virology
176:596-603,1990)と関連があると報告されている。しかし、HBeAgマイナスHB
Vゲノムが重症度の大きい形態の慢性肝疾患と関連があるか否かは未だ不明であ
る。これに関しては、1つの研究が、HBeAgマイナスゲノムのヒトHCC細胞へのト
ランスフェクションにより、野生型HBVと比較して、ウイルスの複製形態が増加
したことを明らかにした(Lambertsら、J.Virol.67:3756-3762,1993)。
発明の概要
本出願人らは、ウイルスのヌクレオキャプシド集合部位(例えば、感染細胞内
)に、野生型ヌクレオキャプシド成分ではないが、集合するヌクレオキャプシド
内に導入することができる(すなわち、野生型ヌクレオキャプシド成分と共に集
合してヌクレオキャプシドシェル構造を形成する)タンパク質を導入することに
よってウイルスの複製を阻害することができることを発見した。このように形成
されたハイブリッドヌクレオキャプシドは、ウイルスの核酸の包膜化を欠損して
おり、生存可能なウイルス粒子を形成することができない。ウイルス自身の野生
型ヌクレオキャプシドタンパク質は、100%野生型のヌクレオキャプシドではなく
生存可能でないヌクレオキャプシドに変えられるので、ウイルス複製のトランス
優性阻害が生ずる。複製をこのように阻害することができる動物ウイルスには、
レトロウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス)、単純性疱疹ウイルス、およ
びヘパドナウイルス(例えば、アヒルB型肝炎ウイルス、ウッドチャック肝炎ウ
イルスおよびヒトB型肝炎ウイルス)が含まれるが、これらに限定されない。ヒ
トB型肝炎(HBV)の場合には、阻害タンパク質には、p21コアタンパク質(通常
のヌクレオキャプシド成分)と共にHBVヌクレオキャプシドに導入することがで
きる、HBVプレコアタンパク質またはそれらのある種の変異体を含むことによっ
て、HBVプレゲノムRNAを包膜化する際にヌクレオキャプシドを欠損させる。この
ように、プレコアタンパク質またはそれらのある種の変異体(以下に規定する)
の過剰発現により、HBV複製がトランス優性阻害される。「過剰発現」とは、通
常の感染症の野生型ビリオンの配列をコードする対応する野生型に見られる単位
細胞レベルと比較して、細胞あたり有意に高い(例えば、2倍、好ましくは10倍
、または100倍であってもよい)所定のコード配列の発現レベルを意味する。所
定のコード配列の発現レベルは、一般に転写レベルで制御され、コード配列に関
連する発現調節配列(例えば、プロモーターおよびエンハンサー)に依存する。
これはまた、細胞に導入されるコード配列のコピー数によっても影響される。
本発明の阻害タンパク質には、(1)全長のHBVプレコア遺伝子がコードする25
kDaのタンパク質(すなわち、p25、配列番号:3);(2)p25のアミノ末端から1
9個のアミノ酸のリーダーペプチドの離脱によって生じる22kDaのタンパク質(す
なわち、p22、配列番号:2);(3)N末端にメチオニンを付加したp22であるMet
-p22(配列番号:18);(4)p22の154個のアミノ末端残基を構成する18kDaのタ
ンパク質(すなわち、p18、配列番号:1);(5)N末端にメチオニンを付加した
p18であるMet-p18(配列番号:17);(6)C末端に異種配列を付加したMet-p18
であるMet-p18-Het(配列番号:19);(7)p25の全長より短く、p18の全長の配
列を有するタンパク質;(8)(1)〜(7)の任意のものと少なくとも80%相同
(好ましくは90%、さらに好ましくは95%)である任意のタンパク質;および(9
)末端の一方もしくは両方、または配列内に、異種エピトープなどの、少なくと
も1つの
アミノ酸残基のペプチド配列をさらに有する(すなわち、一方の末端または配列
内に挿入されている)ことを除いて、(1)〜(8)の1つによって記載されるタ
ンパク質が含まれる。本明細書において使用される「80%相同」とは、本発明の
タンパク質のアミノ酸配列が参照タンパク質配列と同じまたは短く、ウィスコン
シンパッケージ(Wisconsin Package)などの配列解析ソフトウェアで解析した
とき、参照タンパク質の配列と80%配列が同一であることを意味する。さらに、8
0%限界とは、タンパク質が参照タンパク質の配列の80%より短くなく、参照タン
パク質の配列と同じ順序で、参照タンパク質の配列の残基の80%を有しなければ
ならないことを意味する。(1)〜(6)の関係、p21(コアタンパク質)およびp
17(HBeAg)を図2に示す。
本明細書において使用される「異種」とは、HBV起源ではないものと規定され
る。異種ペプチドは好ましくは、免疫検定においてHBVから識別可能なエピトー
プを有する。好ましくは、異種ペプチドは4〜14アミノ酸残基の公知のエピトー
プまたはこのようなエピトープの2本鎖もしくは3本鎖コンカテマーからなる。
異種ペプチドはアミノ末端もしくはカルボキシル末端において合計50個までの残
基、またはタンパク質内において25までの残基であってもよく、また天然配列の
0〜25残基と置換することができる。このようなエピトープの例には、登録商標F
LAG(配列番号:4)、E-tag(配列番号:7)、c-myc tag(配列番号:8)、VSV-
GP(配列番号:9)、T7-tag(配列番号:10)、HSV-tag(配列番号:11)および
HA tag(配列番号:12)が含まれる。
従って、本発明の阻害タンパク質の有効量を細胞に導入することによって、細
胞中でHBVの複製を阻害することができる。これは、タンパク質の調製物を使用
することによって直接的に、または細胞内に適当な発現構築物を導入することに
よって間接的に実施することができる。タンパク質調製物は、生理食塩液および
/またはリポソームなどの担体中で、インビボまたは半ビボで標的細胞、好まし
くはヒト肝細胞に投与され得る。この調製物の投与量は、標的細胞内で産生され
る大多数の、好ましくはほとんど全てのHBVヌクレオキャプシドが少なくとも1分
子の阻害タンパク質をヌクレオキャプシドシェル中に確実に導入するのに十分で
あるべきである。必要に応じて、タンパク質は免疫原性である異種ペプチド配列
で
標識してもよい。こうすることによって、タンパク質はペプチド標識に特異的な
抗体を使用することによって、免疫検定法で特異的に検出される。異種ペプチド
配列は、タンパク質のどちらかの末端に結合されても、または配列番号:1もし
くは2のアミノ酸残基82〜98に相当する免疫優性領域などの位置のタンパク質内
、すなわちコアp21タンパク質(配列番号:20)のアミノ酸残基72〜88に挿入さ
れてもよい。免疫優性領域への標識の挿入は、特に天然型エピトープ残基の一部
が欠損している場合には、その領域の天然型エピトープを破壊する。こうするこ
とによって、標識された阻害タンパク質はその領域に特異的な抗体によって認識
されず、それにより野生型コアタンパク質p21と標識された阻害タンパク質とが
区別され得る。
本発明の遺伝子療法では、本発明の阻害タンパク質を過剰発現させる核酸構築
物(例えば、ベクターから誘導される構築物)が使用される。阻害タンパク質を
コードする配列は、好ましくは、肝細胞において主にまたは肝細胞においてのみ
機能する転写調節配列と機能的に結合される。転写調節配列は、転写プロモータ
ーおよび/またはエンハンサー並びに転写の停止を調節する配列を有しても良い
。転写調節配列がコード配列の転写を調節する場合には、転写調節配列はコード
配列と「機能的に結合している」と言われる。本発明のベクターには、プラスミ
ドベクター、ならびにレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、
シンドビスウイルス、おたふくかぜウイルス、ポリオウイルス、牛痘ウイルス(
例えば、カナリア痘ウイルス)、単純疱疹ウイルス、およびSV40由来のものなど
のウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。それらは、希釈剤ま
たは担体などの薬学的に許容され得る賦形剤を含有する治療用組成物として構成
され得る。
HBVに感染している疑いのある患者を同定することと、この患者に上記の組換
え核酸構築物を投与することとを含む方法によって、細胞(例えば、インビボに
おける肝細胞中)中のHBV複製を阻害または防止することができる。搬送方法に
は、ウイルス感染、受容体を介する食作用、バイオリスティック(biolistic)
導入法およびリポソーム融合が含まれるが、これらに限定されない。このような
インビボ方法に加えて、核酸構築物をインビトロまたは半ビボで細胞に導入して
もよい
。
適切な条件下にてタンパク質を過剰発現させることができる組換え核酸構築物
を保有する培養細胞(例えば、大腸菌、昆虫細胞または哺乳類細胞)中で、本発
明の阻害タンパク質を産生させてもよい。組換え核酸構築物は、宿主細胞中で機
能することができ、タンパク質のコード配列に機能的に結合する転写調節配列(
例えば、プロモーターおよびエンハンサー)を有しなければならない。
「単離DNA」とは、本発明のDNAが誘導される、生物の天然に存在するゲノムに
おいて、本発明のDNAを構成する配列に隣接する遺伝子を含まないDNAを意味する
。従って、この用語は例えば、ベクター、自律複製するプラスミドもしくはウイ
ルス、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに導入される組換えDNA;ま
たは、他の配列から独立した別の分子(例えば、cDNAまたはPCRもしくは制限エ
ンドヌクレアーゼ消化によって産生されるcDNA、またはゲノムもしくはcDNA断片
)として存在する組換えDNAを含む。この用語はまた、追加のポリペプチド配列
をコードするハイブリッド遺伝子の一部である組換えDNAも含む。
「精製タンパク質」とは、タンパク質が、タンパク質調製物の乾燥重量の少な
くとも50%を構成することを意味する。タンパク質の「実質的に純粋な製剤」と
は、タンパク質およびタンパク質が天然に結合する他の天然に存在する有機分子
を実質的に含まないタンパク質の調製物を意味する。これは典型的には、タンパ
ク質が調製物の乾燥重量の少なくとも60%を構成することを意味する。好ましく
は、調製物は少なくとも75重量%タンパク質で、好ましくは少なくとも90重量%
タンパク質で、最も好ましくは少なくとも99重量%タンパク質である。純度は、
任意の適当な方法、例えばカラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル
電気泳動またはHPLCによって測定および/または得ることができる。
本発明の他の特徴および利点は以下の説明、図面および請求の範囲により明ら
かになると思われる。
図面の簡単な説明
図1Aは、本発明の研究に使用したプラスミドのいくつかの略図である。payw1
.2、payw*28、paywFBおよびpaywOMは相同プロモーター由来のHBVプレゲノムRNA
を発現する1ゲノムより鎖長の長い構築物である。点線で示すように、制限部位A
at
II(1411)からBspEI(2327)へ誘導したHBV DNAをpGEM7Zf(+)のAstII-SmaI
部位にクローニングした。コアプロモーター領域並びにプレコアおよびコアORF
を図示する。黒っぽい領域は、プレコアORF(*)のコドン28のアンバー停止シグ
ナルおよびコアプロモーターの点変異(黒い点)を有する、天然に存在するHBV
変異体により交換されたDNAに相当する。交換後の断片を規定するために使用し
た関連のある制限部位を示す。
図1Bは、本発明の研究に使用したCMV-プロモーターを含有するプラスミドの略
図を示す。pCMVHBVはプレゲノムRNAを示す(波線)。pCMVHBeはプレコア/コアO
RF全体を示す。pCMVHBe*28は、プレコアORF(*)のコドン28にアンバー変異を有
する。プレコアORFの最初のaaの位置は−29で示す。pCMVKM22はプレコアORFのセ
リン-10のコドンの前方にATGを組み込んだcDNAを発現する。pCMVKMF構築物は、
登録商標FLAGエピトープがコアタンパク質のB細胞免疫優性ループ(網かけ領域
)に組み入れてあることを除いてpCMVKM22と同一である。pCMVKMBs構築物は、コ
ア分子(配列番号:20)のプロリン144で停止するタンパク質を発現する。ポリ
アデニル化シグナルは、pCMVHBV以外の全てのプラスミドではpcDNA3ベクターに
より提供され、pCMVHBVでは、ポリアデニル化部位は内因性HBV配列より誘導され
る。
図2は、p21(コアタンパク質)、p25、p22、Met-p22、p18、Met-p18、Met-p18
-Hetおよびp17(HBeAg)を整列させたポリペプチド配列の略図である。アミノ酸
の番号づけはプレコア/コアの番号づけにならい、コアタンパク質(p21)の出
発位置のメチオニンは位置番号1と命名し、プレコアタンパク質(p25)の出発位
置のメチオニンは−29と命名した。「M」はメチオニン残基を表す。「S」はセリ
ン残基を表す。「P」はプロリンを表す。
詳細な説明
HBVの複製が、高濃度のHBVプレコアまたはプレコア関連タンパク質の存在下に
おいて阻害されるという証拠を以下に説明する。これらの阻害タンパク質は、通
常の方法を使用して測定することができる有効量で標的細胞に外因性的に提供さ
れてもよい。この量は、HBV感染の通常の経過中にプレコアタンパク質について
観察されるより有意に高い細胞内濃度の蛋白質を生ずる。肝細胞はHBV感染しや
すいので、肝細胞は好ましい標的細胞である。阻害タンパク質による肝細胞の標
的化
は、阻害タンパク質を含有するリポソームの局所注射(例えば、肝門脈内)する
ことによって実施されてもよい。標的性を増すためには、肝細胞に特異的な受容
体のリガンドとして機能する分子でリポソームを被覆してもよい。このような受
容体の例は、肝アシアロ糖タンパク質受容体であり、その有用なリガンドとして
アシアロ−オロソムコイドおよび(ポリ)L−リジン−アシアロ−オロソムコイ
ドが含まれる(Spiess,Biochemistry 29(43):10009-10018,1990;Wuら、J.B
iol.Chem.267(18):12436-12439,1992;Wuら、Biotherapy 3:87-95,1991)
。
または、タンパク質をコードする配列に機能的に結合したプロモーター配列を
含む核酸構築物を細胞内で過剰発現させることによって、タンパク質を標的細胞
内に導入してもよい。この方法では、核酸構築物は、非複製直鎖状もしくは環状
DNAもしくはRNAベクター、または自立的に複製するプラスミドもしくはウイルス
ベクター由来であり;または、構築物は宿主ゲノム中に組み込まれる。本発明の
方法には肝細胞にトランスフェクトすることができるいかなるベクターを使用し
てもよい。好ましいベクターは、複製欠陥肝炎ウイルス(例えば、HBVおよびHCV
)、レトロウイルス(例えば、国際公開公報第89/07136号;Rosenbergら、N.En
g.J.Med.323(9):570-578,1990を参照のこと)、アデノウイルス(例えば
、Moeseyら、J.Cell.Biochem.,Supp.17E,1993を参照のこと)、アデノ関連
ウイルス(Kotinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2211-2215,1990)、複製
欠陥単純性疱疹ウイルス(HSV;Luら、Abstract,Sept.22-26,1992,Cold Spri
ng Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York)、およびこれらのベク
ターの任意の改良種から誘導されるものを含むウイルスベクターである。発現ベ
クターを構築するための方法は当技術分野上周知である(例えば、Molecular Cl
oning:A Laboratory Manual,Sambrookら、編、Cold Spring Harbor Laboratory
,2nd Edition,Cold Spring Harbor,New York,1989)。
これらのベクターにおいて、プロモーターは本発明の阻害タンパク質をコード
する核酸配列と機能的に結合する。肝細胞において高レベルの転写を開始させる
ことができるいかなるプロモーターを本発明に使用してもよい。本発明の阻害タ
ンパク質の過剰発現はトランスフェクトした細胞に有害な影響を与えないので、
サイトメガロウイルス(DeBernardiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:9257-9
261,1991およびその文献の参照文献;実験データ)などの組織非特異的プロモ
ーター、マウスメタロチオネインI型遺伝子(Hammerら、J.Mol.Appl.Gen.1:
273-288,1982)、HSVチミジンキナーゼ(McKnight,Cell 31:355-365,1982)
およびSV40初期(Benoistら、Nature 290:304-310,1981)プロモーターを本発
明に使用することができる。しかし、肝細胞特異的プロモーターが本発明では好
ましく、その使用により、タンパク質は確実に肝細胞内で主に発現される。肝細
胞特異的プロモーターには、アルブミン、α−フェトプロテイン、α−1−アン
チトリプシン、レチノール結合タンパク質およびアシアロ糖タンパク質受容体プ
ロモーターが含まれるが、これらに限定されない。単純性痘疹ウイルス(I型お
よびII型)、肝炎ウイルス(A、BおよびC)およびニワトリ肉腫ウイルス(RSV
;Fangら、Hepatology 10:781-787,1989)から誘導されるものを含むウイルス
プロモーターおよびエンハンサーも本発明に使用することができる。
上記の核酸構築物およびベクターを、裸のDNAとして、またはリポソーム融合
、赤血球ゴーストもしくは微小球法によって、標的細胞に導入してもよい(微粒
子;例えば、米国特許第4,789,734号;同第4,925,673号;同第3,625,214号;Gre
goriadis、Drug Carriers in Biology and Medicine,287-341,Academic Press
,1979を参照のこと)。または、核酸構築物を肝細胞特異的受容体のリガンドと
結合し、それによって受容体を介する食作用によって肝細胞に導入してもよい。
例えば、アシアロ−オロムコイドまたは(ポリ)L−リジン−アシアロ−オロソ
ムコイドなどの肝アシアロ糖タンパク質受容体と結合するリガンドが使用されて
もよい。または、核酸を肝細胞に導入するための手段としてウイルス系ベクター
を使用してもよい。
本発明の阻害タンパク質は、培養細胞を使用した組換え方法によって、操業的
にかなりの量を製造することができる。細胞は原核細胞(例えば、大腸菌)であ
っても、真核細胞(例えば、酵母、昆虫細胞または哺乳類細胞)であってもよい
。阻害タンパク質をコードし、適当な発現調節配列を有する核酸分子を、ウイル
ス感染、受容体を介する食作用、リポソーム融合または任意の他の標準的なトラ
ンスフェクション技法によって培養細胞に導入してもよい。これらの培養細胞は
、それらが保有する核酸分子がコードする組換え阻害タンパク質を産生するため
に特に有用である。組織培養細胞によって産生された組換えタンパク質の抽出お
よび精製は、例えばイムノアフィニティー精製を含む、当技術上周知の技法で実
施されてもよい。
阻害タンパク質またはこれらのタンパク質をコードする核酸分子を含有する治
療用組成物をB型肝炎患者に投与することができ、また、B型肝炎の症状をまだ呈
していない患者に予防的に投与してもよい。本発明の治療用組成物は単独もしく
は混合物として使用してもよく、またはタンパク質もしくは組換えベクターの生
物的安定性を増加させる他のタンパク質もしくは組換えベクターを含む1種以上
の材料、または肝細胞に選択的に浸透する治療用組成物の能力を増加させる材料
と化学的に併用して使用してもよい。本発明の治療用組成物は、投与様式および
投与経路並びに標準的な薬学療法に基づいて選択される薬学的に許容される担体
(例えば、生理食塩液)と共に投与してもよい。好適な薬学的担体および薬学的
組成物として使用するための薬学的必要事項は、レミントンの製薬科学(Reming
ton's Pharmaceutical Sciences)、当技術分野の標準的な参照文献およびUSP/N
Fに記載されている。
本発明の治療用組成物は当業者に適当であると決定される用量で投与すること
ができる。適当な用量はHBV感染によって生じる疾患を低下させる量、患者のHBV
複製速度を低下させる量、および/またはHBV感染を予防する際に有効である量
である。特定の薬剤の薬物動態学的および薬物動力学的特徴、投与様式および経
路、並びに患者の年齢、体重および健康状態(腎機能および肝機能を含む);疾
患の程度および性質;治療の頻度および期間;ある場合には、併用療法の種類;
並びに、望ましい効果に応じて用量が変わることが予想される。有用な用量は体
重1kgあたり約0.1〜100mgの作用薬を含有することが予想される。1日に体重1kg
あたり通常は、0.5〜50mg、好ましくは1〜10mgの作用薬(核酸またはタンパク質
)を分割して、または徐放形態で投与することが適当である。
本発明の治療用組成物は、当業者が決定する任意の適当な様式によって、例え
ば非経口、腹腔内または静脈内経路で患者に投与されてもよい。または、標的組
織に外科的に治療薬を投与することが望ましいことがある。慢性感染症に罹患し
た肝を切除し、移植肝を行う患者については、まず移植片を半ビボにおいて本発
明の構築物で治療し(例えば、潅流によって)、患者の体内に残存し、新しい肝
臓に感染するHBVが新しい肝臓中で複製できないようにしておくことが可能であ
る。本発明の治療は、当業者が決定して、必要に応じて反復してもよい。実験データ
材料および方法
プラスミド構築物
本試験に用いたプラスミドベクターを図1に示す。プラスミドpayw1.2およびpC
MVHBVはそれぞれ内因性プロモーターおよびCMV IEプロモーターの下でHBVのプレ
ゲノム(pregenomic)RNAを発現する。これらの2つのベクターにより、HCC細胞
および非肝臓由来の細胞におけるHBVの複製が可能となる(Fallowsら、J.Virol
.69:2067〜3073,1995;Seegerら、J.Virol.63:4665〜4669,1989)。paywl
.2構築物は1ゲノム長を超えるHBVを含み(Galibertら、Nature 281:646〜650
,1979)、AatII部位(第1411ヌクレオチド、第1ヌクレオチドは慣例上、ユニ
ークなGAATTC EcoRI部位に位置する)とBspEI部位(第2327ヌクレオチド)との
間のゲノム断片を保有する。pGEM7 Zf(+)ベクター(Promega Corporation,Madi
son,WI)のAatIIおよびSmaI制限部位へのゲノム断片のクローニングを行えるよ
うに、3'末端のBspEI部位はクレノウDNAポリメラーゼIによって切断した。
プラスミドpayw*28は、プラスミドpC*28に由来する0.9kbのAatII-BspEI断片を
有する(Tongら、Virology 191:237〜245,1992)。本構築物にはナンセンスTG G
からTAGへの変異があり、これによってプレコアORF中のコドン28に停止コドン
が導入される。また、この変異型DNA断片には、プレコア/コアORF中にさらに14
個のヌクレオチド置換がある。特にこれは、天然にみられるHBV変異株でそれ単
独またはプレコアORF中の停止コドン28の変異とともに認められる配列ATGAT(野
生型aywではAAGGT)を保有している(Okamotoら、J.Virol.68:8102〜8110,19
94)。payw1.2中の断片Fspl(1798)-BspEI(2327)を交換することにより、プ
レコアORF中の28位に停止コドンを含むプラスミドpaywFBが作製された。この相
対構築物であるpaywOMはpC*28由来の断片AatII-FspIを含み、このため、配列ATG
AT(1759〜1763)を有するが、プレコアORF中の28位に停止コドンはない。
プラスミドpCMVHBeは、CMV IEプロモーターの制御下でプレコアORFを発現する
。プレコアORFは、payw1.2ゲノムの第2471ヌクレオチドと第486ヌクレオチドと
の間に欠失があるプラスミドpaywSP2から入手した。この欠失により、HBV preS1
、preS2およびHBVポリメラーゼ遺伝子の大部分は除去されるが、プレコア/コア
ORFは完全なままで残される。paywSP2に由来するFspI(第1798ヌクレオチド)-S
peI(第677ヌクレオチド)断片を、pcDNA3発現ベクター(Invitrogen Co.,SanD
iego,CA)のEcoRV-XbaI部位にクローニングした。プレコア/コアORF中の28位
にある停止コドンを同一ユニット中に含むプラスミドpCMVHBe*28を対照とした。
この構築物を作るために、pC*28から入手した0.9kbのAatII-BspEI断片をpaywSP2
の骨格に挿入することにより、paywSP2*28と命名したプラスミドを作製した。続
いてpaywSP2*28のFspI-SpeI断片をpcDNA3のEcoRV-XbaI部位にサブクローニング
した。このベクターは、コムギ胚芽抽出系でのインビトロ翻訳実験によって示さ
れるように、p25プレコアおよびp21コア蛋白質のいずれの合成も行わない。
プラスミドpCMVKM22は、シグナルペプチド配列を欠く代わりにCMV IEプロモー
ターの制御下にある開始メチオニンを有するプレコア蛋白質であるMet-p22(配
列番号:18)を発現する。本明細書(実験データの項のみ)では、p22という用
語は、天然にみられるp22(すなわちメチオニン付加のないもの)およびMet-p22
の両方を指して用いられる。コード配列には、以下の2つのプライマーを用いるP
CR増幅によって修飾を加えた:(1)人工的ATGコドン(太字)の上流にKpnI制限部
位(下線部)が導入された、センスプライマーとしてのKM22(5’CGGGGTACCATGT
CCAAGCTGTGCCTTGGGTG 3’;配列番号:13)、および(2)アンチセンスプライマー
としてのSP6。DNAテンプレートは、SmaIで直線化したpCBVHBeプラスミドとした
。10mM Tris-HCl、pH8.3、50mM KCl、200μMの各dNTP、2mM MgCl2、50pMの各プ
ライマーおよび2.5UのTaqDNAポリメラーゼを含む反応混合液100μl(Roche Mol
ecular Systems,Branchburgh,NJ)中での25サイクルのPCR増幅―各サイクルは
95℃1分間、40℃1分間および72℃1分間からなる―の後に、増幅されたDNAをKpnI
およびApaI制限酵素で消化し、pcDNA3ポリリンカー中のユニークなKpnI-ApaI部
位にクローニングした。pCMVKM22は、Met-p22プレコア蛋白質の第2アミノ酸とし
てセリン-10を有する蛋白質の合成を指向する。
カルボキシ末端で切断されたポリペプチドをコードするpCMVKM22の変異体(ve
rsion)であるpCMVKMBsは以下の通りに作製した。pCMVKM22をまずBspeIで消化し
、続いて、クレノウDNAポリメラーゼIによって付着末端を充填した後にプラスミ
ドの再環状化を行った。pCMVKMBsの発現によって18kDaの蛋白質が生じるが、そ
のコアのプロリン144(コアのメチオニン1を基準としたもの)に続くアミノ酸配
列はAlaGlyAspTyrCysCysAmber(配列番号:15)である。免疫沈降の際に野生型p
21コア蛋白質とpCMVKM22によって合成されたp22とを区別するために、pCMVKM22
をベースとしてpCMVKMFを作製した。pCMVKMFは、野生型コアのアミノ酸79〜80の
代わりに、コアに対応するB細胞エピトープループ(配列番号:20)中に、コア蛋
白質のアミノ酸残基75〜84(Standring,B型肝炎ウイルスの分子生物学(Molecu
lar Biology of the Hepatitis B Virus),CRC Press,Boca Raton,Fl 1991)
に導入されたインフレームFLAG(登録商標)エピトープ(Eastman Kodak Co.,N
ew Haven,CT)を含んでいた。この改変は、(1)XbaI部位、FLAG(登録商標)配
列およびHBV特異的配列(5’GCTCTAGACTTGTCATCGTCGTCCTTGTAATCTTCCAAATTAACAC
CCACCCAGG 3’;配列番号:14)を含む逆プライマー、ならびに(2)上記のKM22セ
ンスプライマーを用いるPCRによって行った。DNAテンプレートはSmaIで直線化し
たpCMVKM22プラスミドとし、PCR反応は上記の通りに実施した。PCR産物をXbaIで
消化し、166bp断片をゲル精製して、XbaIで消化したpCMVKM22中にクローニング
した。
レトロウイルス末端長鎖反復配列による転写制御下にあるプレコアORFを発現
させるために、レトロウイルス性pBabepuroベクター(MorgensteinおよびLand,
Nucleic Acids Res.18:3587〜3596,1990)を用いた。この目的のために、pcD
NAHBeポリリンカー中のプレコアcDNA開始部の5'側とさらにaywゲノム中の486位
のヌクレオチドを切断するBamHIによってpcDNAHBeプラスミドを消化した。次い
でBamHI挿入物をpBabepuroポリリンカーのBamHI部位にクローニングし、正しい
挿入配向を持つ構築物をpBPHBeと命名した。HCC細胞におけるトランスフェクシ
ョン効率の観測にはプラスミドpCMV Luc(+)を用いた。このプラスミドは、ルシ
フェラーゼ遺伝子の発現がpcDNAベクター中のCMV IEプロモーターの制御下にあ
るように、pcDNA3にホタルルシフェラーゼ遺伝子を挿入することによって作製す
る。
プラスミドが正しく設計されたことは、制限消化マッピングおよび直接的なDN
Aシークエンシングによって確認した。制限酵素はニューイングランドバイオラ
ブ
ス(New England Biorabs)社、ベヴァリー(Beverly)、MAから提供された。シ
ークエンシング反応はシークエナーゼ(Sequenase)(登録商標)バージョン2.0
酵素(USB,Cleveland,OH)を用いて実施した。プラスミドDNAはJM109大腸菌細
胞内で増殖させ、市販のキットにより、製造者の指示に従って精製した(Wizard
,Maxiprep(登録商標)キット、Promega Co.Madison,WI)。
組織培養
HepG2およびHuH7細胞系列を用いたが、これは、それらが完全なウイルス複製
サイクルを支えるとともに、HBV含有プラスミドによる一過性的トランスフェク
ション後に感染性ビリオンを産生するためである(Acsら、Proc.Natl.Acad.S
ci.USA 84:4641〜4644,1987)。ヒト胚腎に由来するトランスフェクション能
の高い細胞系列であるHEK293(Grahamら、J.Gen.Virol.36:59〜74,1977)
も用いたが、これは、CMV IEプロモーターの制御下にあるHBVプレゲノムを発現
するプラスミド(pCMVHBV)によるトランスフェクション後のウイルス複製をそ
れが効率的に支え、より程度は低いものの、内因性ウイルスプロモーターによっ
て駆動されるpayw1.2構築物によるトランスフェクション後もそうであるためで
ある。
HepG2、HuH7およびHEK 293細胞系列は、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM中で
増殖させた。10cm径のペトリ皿に播いた1000万個の細胞に対して、リン酸カルシ
ウム法(CaPO4トランスフェクション用キット5'-3',Inc.,Boulder,CO)を用
いて、野生型HBVを発現する構築物10μgと種々の量の他のプラスミド構築物と
による一過性的コトランスフェクションを行った。トランスフェクトされたDNA
の最終量を一定に保つために、プラスミドpGEM7 Zf(+)を添加した。HepG2215細
胞系列は感染性ビリオンを構成的に産生する(Sellsら、Proc.Natl.Acad.Sci
.USA84:1005〜1009,1987)。それぞれ親BabepuroおよびBabepuroHBeレトロウ
イルスのストックを感染させることにより、この親細胞系列からHepG2215BPおよ
びHepG2215BPHBeと命名した2つの細胞プールを得た(Millerら、Methods Enzymo
l.217:581〜599,1993)。トランスフェクション効率は、トランスフェクショ
ン反応物に1μgのpCMV Luc(+)を添加し、細胞可溶化物の約1/100をルシフェラ
ーゼアッセイにかけることによって観測した(Ausubelら、分子生物学における
最新プロトコール(Current Protocolsin Molecular Biology)、Wiley、New Yo
rk、1989)
。トランスフェクションの後、RNA、蛋白質およびDNA分析のために、第2、3およ
び5日目に細胞を回収した。
ウイルスDNAの複製の分析
一過性的トランスフェクション後の細胞内でのHBV DNAの複製は、プー(Pugh)
ら(Pughら、J.Virol.62:3513〜3516,1988)に記載された通りに、精製され
た細胞内コア粒子から抽出したウイルスDNAのサザンブロット分析によって調べ
た。同じ技法を用いて、HepG2215BPおよびHepG2215BPHBe細胞系列におけるHBV D
NAの複製も評価した。これらの実験では、10cm径の組織培養皿に5×106個の細胞
を播いた。3日間培養した後に細胞を回収して算定し、キャプシドに関連したウ
イルスDNAを上記の通りに検討した。DNAはアガロースゲル電気泳動によって分画
し(分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning:Laborarory Manu
al)、Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbor、New York,1989)、サザン
ブロット分析のためにハイボンド(登録商標)N+メンブレン(Amersham Interna
tional,Little Chalfont,UK)に移行させた。HBV DNAは、ランダムプライミン
グを施して゜'Pで標識した完全長HBVプローブとのハイブリダイゼーションによ
って検出した。プレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーションおよび洗
浄は、以前の報告の通りに実施した(Melegariら、Virology 199:292〜300,19
94)。
ウイルス蛋白質の検出
種々の発現ベクターによるトランスフェクションを行ったヒトHCC細胞を、TNE
、1%ノニデット(Nonidet)P-40(NP40)およびプロテアーゼ阻害剤(Bohering
er Mannheim Corp.,Indianapolis,IN)を含む混合液500μlを添加することに
よって4℃で可溶化させた。10,000×gで1分間の遠心処理によって細胞可溶化物
から核および細胞の破片を除去した。細胞可溶化物をレムリ試料緩衝液と混合し
て、5分間煮沸し、15%SDS-ポリアクリルアミドゲル(Protogel,National Diag
nostics,Atlanta,GA)による電気泳動にかけた。次いで、分離された蛋白質を
イモビロン-PT(Immobilon-PT)(登録商標)メンブレン(Millipore Co.,Bedf
ord,MA)に移行させた(HarlowおよびLane,抗体:実験マニュアル(Antibodie
s:A Laboratory Manual)、Cold Spring Harbor,Cold Spring Harbor,NY 198
8)。
HBcAg/HBeAgは、記載されている通り(Scaglioniら、Virology 205:112〜120
,
1994)、組換えコア蛋白質に対して産生されたウサギポリクローナル抗血清によ
って検出した。コアヌクレオキャプシドの免疫沈降にも、同じ抗体をTNE、1%NP
40緩衝液にて1:250に希釈して用いた。抗FLAG(登録商標)抗体は免疫沈降およ
びウエスタンブロット分析の両方に用いた。結合型の抗体は、西洋ワサビペルオ
キシダーゼで標識したヤギ抗ウサギまたは抗マウスIgG抗体(SuperSignal(登録
商標),Pierce,Rockford,IL)を用いる化学発光法によって明示させた。NEN
リフレクション(Reflection)(登録商標)フィルム(Dupont Company,Boston
,MA)を用いて5〜20秒の露出を行った。トランスフェクションを行った細胞の
上清中のHBeAgの検出は、HBeAgに対して特異的なラジオイムノアッセイキット(
EBK125I RIA KIT,Incstar Corporation,Stillwater,MN)を用いて実施した。
細胞培養上清中のHBsAgの測定は、以前に記載されている通りにラジオイムノア
ッセイを用いて実施した(Melegariら、Virology 199:292〜300,1994)。
ウイルスのヌクレオキャプシドの単離
一過性的トランスフェクションを行ったHEK 293細胞を可溶化し、清澄化した
細胞可溶化物を200μlずつに分け、TLA100ローター(Beckman Instruments,Pa
loAlto,CA)を用い、2mlの20%w/vショ糖/TNEクッションに対する500,000×g
の超遠心処理を4℃で1時間行った。これらの条件下では、ウイルスのコア粒子は
ペレット化するが、遊離型のコア蛋白質および可溶性のHBeAgは上清中に残る(Z
houおよびStandring,J.Virol.66:3086〜3092,1992)。ペレット化した材料
はウエスタンブロット分析によって直接分析するか、さらにショ糖勾配に対する
超遠心処理にかけた。ペレットを再懸濁し、25〜60%のショ糖/TNE、1%NP40混
合物2mlの上に重層した。TLS55ローターを用い、55,000rpm(200,000×gに相当
)の超遠心処理を4℃で1時間行うことにより、勾配を形成させた。150μlの画
分を15回に分けて回収し、記載されている通りに蛋白質を濃縮した(Lingappaら
、J.Cell.Biol.125:99〜111,1994)。ペレットを再懸濁し、15%SDS-PAGE
ゲルによる電気泳動にかけた後、ウエスタンブロット分析を行った。
ウイルスRNAの抽出および分析
一過性的トランスフェクションから2日後に、記載された通りに全RNAを抽出し
た(Scanglioniら、Virology 205:112〜120)。トランスフェクションを行った
細胞の細胞質に由来するコア粒子を抗コア抗体によって免疫沈降させ、プロテイ
ンA-セファロース(Sepharose)(登録商標)を添加した。沈殿物を可溶化緩衝
液で洗浄し、以前に記載されている通りに(Roychouryら、J.Virol.65:3617
〜3624,1991)キャプシドを形成したウイルスRNAを抽出した後に、全ウイルスR
NAおよびキャプシドを形成したウイルスRNAのゲル電気泳動およびノーザンブロ
ット分析を行った(Ausubelら、分子生物学における最新プロトコール(Current
Protocols in Molecular Biology)、Wiley、New York、1989)。
組換えレトロウイルスベクターの作製およびHCC細胞系列の感染
組換えレトロウイルスの作製にはプラスミドpBabepuroおよびpBabepuroHBeを
用いた(Millerら、Methods Enzymol.217:581〜599,1993)。パッケージング
細胞系列であるBosc23(Pearら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8392〜8396
,1990)およびPA317(CRL-9078,American Type Culture Collection,Rockvil
le,MD)の特徴分析に加えて、それらの維持および感染に関する条件については
記載がある(Millerら、Methods Enzymol.217:581〜599,1993;Pearら、Proc
.Natl.Acad.Sci.USA 90:8392〜8396,1990)。簡潔に言うと、pBabepuroお
よびpBabepuroHBeプラスミドによる同種指向性パッケージング細胞系列Bosc23へ
の一過性的トランスフェクションを行った。2日後に培養上清を回収し、ポリブ
レンを最終濃度が8μg/mlになるように添加した後に、この上清を用いて両種
指向性パッケージング細胞系列PA317を感染させた。感染させた2日後に、2μ
g/mlのピューロマイシンを培養培地に加えた。薬剤耐性細胞に由来する培地に
は組換え両種指向性レトロウイルスが含まれるが、pBabepuroHBeに感染したPA31
7細胞では上清中にもHBeAgが存在することが示された。ウイルス力価の測定は記
載されている通りに行った(Ausubelら、分子生物学における最新プロトコール
(Current Protocols in Molecular Biology)、Wiley、New York、1989)。Hep
G2215細胞は、1×106CFU/mlの組換えレトロウイルスに感染させた。薬物による
選択を2週間行った後に、プールされたピューロマイシン耐性クローンを増殖さ
せ、それぞれHepG2215BPおよびHepG2215BPHBeと命名した。
結果
プレコアORFにおける停止コドンは複製能の高いウイルス表現型を作り出す
プレコアORF中のコドン28に停止シグナルを含むpayw*28ベクターによる一過性
的トランスフェクションを行ったHCC細胞では、HBVの複製レベルの増強が認めら
れた。精製されたHBVコア粒子のサザンブロット分析では、payw*28のみによるト
ランスフェクション時には野生型payw1.2構築物によるトランスフェクション時
と比べてHBV DNAの複製型分子が数倍に増加することが示された。2つのプラスミ
ドの残基間の違いは、payw*28のプレコアプロモーターおよびプレコアORFにいく
つかの変異が存在することのみである。観察された表現型の原因となった特定の
変異に関してさらに分析するために、選択したDNA断片を親payw1.2のものとカセ
ット交換してpaywFBを得た。このpaywFB構築物はプレコアORFのコドン28にアン
バー変異を有し、変異型payw*28ゲノムに匹敵する程度の高い複製能を持つ表現
型を呈した。プレコアプロモーター領域にある推定上の転写因子結合部位に2ヌ
クレオチド置換がある構築物であるpaywOM(ZhangおよびMcLachlan、Virology 2
02:430〜440,1994)では、HBVの複製能は野生型のレベルである。HBVの複製パ
ターンにおける違いがトランスフェクションに用いた細胞種と関連しているか否
かを確かめるために、HepG2およびHuH7 HCC細胞系列の両方で実験を行った。得
られた結果は同様であった。
p25プレコア蛋白質の発現はHBVの複製を阻害する
次に、HBVの複製に対するプレコア遺伝子産物の効果を評価した。野生型のpay
w1.2HBV発現構築物を、完全長プレコア蛋白質p25を過剰発現するプラスミドであ
るpCMVHBeとともにコトランスフェクションに用いた。これらの条件下では、野
生型HBVの複製は劇的に低下した。これに対して、payw1.2構築物を、プレコアお
よびコア蛋白質のいずれの産生能も持たないプラスミドであるpCMVHBe*28ととも
にコトランスフェクトした場合には、野生型HBV DNA複製のこのレベルに影響は
なかった。pCMVHBVをpCMVHBeとともにコトランスフェクトした場合には、HBV複
製に同程度の阻害が認められた。pCMVHBV構築物はプレゲノムRNAを発現するが、
転写開始部位がCMV IEプロモーターの下流に位置するため、プレコア転写物を発
現することはない(トランスフェクトされた細胞に由来する上清中にHBeAgが存
在しないことから実証される)。実験を再度行った際にも同様の結果が得られた
。これらの実験から、機能的プレコア遺伝子が存在しないとHBVの複製が増強さ
れること、
およびHBVプレコア遺伝子産物の発現によってHBV DNAの複製が劇的に阻害される
ことが示唆された。
本試験で用いたプラスミドの濃度では、プレコア遺伝子の過剰発現は、トラン
スフェクトされた細胞に何ら悪影響を及ぼさなかった。光学顕微鏡によってHCC
細胞をルーチン的に分析したが、細胞毒性の所見は全く認められなかった。HBV
プレコア遺伝子の発現が、pcDNA3構築物[pCMV Luc(+)からのホタルルシフェラー
ゼ遺伝子の発現を制御する一連の転写因子の活性に負の影響を及ぼすか否かを評
価するために、さらに実験を行った。これらの転写因子には、HBVプレコアプロ
モーター/エンハンサー1、HBVコアプロモーター、API応答配列、RSV LTR、SV40
プロモーター/エンハンサーおよびCMV IEプロモーターが含まれる。実験から、
これらの因子は、DNAのモル比が20:1から1:1までの範囲ではpCMVHBeのコトラ
ンスフェクションによる明らかな影響を受けないことが判明した。
プレコア蛋白質p25を発現するレトロウイルスによる、HepG2215細胞でのHBV複製
の阻害
異なる実験系において、プレコアORFの発現がHBVの複製も阻害するか否かを明
らかにすることには興味が持たれた。HBV DNAの複製は、エンプティレトロウイ
ルスベクターを感染させたHepG2215BP細胞と比べて、HepG2215BPHBe細胞では有
意に低下した。濃度測定スキャニング分析により、これらの細胞のHBV DNA含有
量は偽ウイルス感染細胞と比べて少なくとも90%低下することが示された。細胞
培養上清中のHBsAgの濃度は、親HepG2215BP細胞系列で認められた値と同程度で
あった。結果として、レトロウイルスを感染させたHepG2215細胞は、増殖速度お
よび細胞形態に関して、感染していない親細胞系列と同一であると思われた。
HBVプレコア遺伝子の過剰発現はヌクレオキャプシド構造の変化をもたらす
変異型のコア表面エンベロープ蛋白質に関して認められているように(Scagli
oniら、Virology 205:112〜120,1994)、p25プレコア蛋白質はヌクレオキャプ
シドの集合過程においてドミナントネガティブ因子として作用する可能性が考え
られる。このため、(a)pCMVHBV単独、(b)pCMVHBVおよびpCMVHBeの1:1モル比で
の混合物、ならびに(c)pCMVHBe単独によるトランスフェクションを行った細胞に
おけるキャプシド構造を評価した。pCMVHBVのみによるトランスフェクションを
行っ
た細胞では、野生型HBVコア蛋白質に対応する単一の21kDaバンドが検出された。
pCMVHBVおよびpCMVHBeによるコトランスフェクションを行った細胞では、21kDa
バンドだけでなく、電気泳動移動度がより小さく、コアとの免疫反応性がより弱
い約22kDaのバンドも認められた。pCMVHBeのみによるトランスフェクションを行
った細胞では、p22コアに対する免疫反応性のある蛋白質のみが検出された。偽D
NAトランスフェクションを行った細胞に由来する可溶化物中にはHBVコアに対し
て免疫反応性のバンドは全く検出されなかった。細胞可溶化物に由来し、ショ糖
クッションの最上部に保持された材料を、ウエスタンブロット分析によって分析
した。試料の蛋白質濃度がペレットの再懸濁物を載せたレーンと同等であった場
合には、p21およびp22 HBVコア反応性蛋白質はいずれも検出されなかった。ウエ
スタンブロット分析では、トランスフェクションを行った細胞の細胞質中に17kD
aの分泌型(HBeAg)のプレコア蛋白質は検出されなかった。
p22非分泌型HBeAg前駆体蛋白質の発現は、HBV DNAの複製を阻害する
p22蛋白質のサイズは、プロセッシングを受けた非分泌型HBeAg前駆体蛋白質と
非常に類似している(Garciaら、J.Cell.Biol.106:1093〜1104,1988;Nasa
lおよびRieger、J.Virol.67:4307〜4315,1993;SchlightおよびWasenauer,
J.Virol.65:6817〜6825,1991;Standring,B型肝炎ウイルスの生物学(Mole
cular Biology of the Hepatitis B Virus)、CRC Press,Boca Raton,FL,199
1)。このため、この蛋白質の選択的発現がHBVの複製に及ぼす影響について検討
した。試験には、シグナルペプチド配列を持たないプレコア関連ポリペプチドの
合成を指向するpCMVKM22を用いた。HuH7およびHEK293細胞に、pCMVHBV単独、pCM
VHBVおよびpCMVHBeの混合物、またはpCMVHBVおよびpCMVKM22の混合物による一過
性的トランスフェクションを行い、HBVの複製レベルを測定した。HuH7およびHEK
293細胞で得られた結果は同じであった。HEK293細胞におけるpCMVHBVのトランス
フェクションでは、HBV DNAの値はHuH7細胞と比べて20倍高かったが、複製型分
子のパターンには2つの細胞系列の間で差は認められなかった。pCMVHBVおよびpC
MVHBeによるコトランスフェクションでは、ウイルスの複製はかなり低下した。
特に顕著だったのはpCMVHBVをpCMVKM22とともにコトランスフェクトした場合で
あり、HBVの複製はほぼ完全に阻害された。この観察結果は、p22がその直前に相
当する
p25前駆体蛋白質よりも、HBV DNA複製の強力かつ直接的な阻害因子であることを
示唆する。滴定実験を引き続いて行ったところ、pCMVHBeをpCMVHBVと1:1のモル
比でトランスフェクトした時にウイルスDNAの合成は最も大きく阻害されること
が示された。これに対して、pCMVKM22による最大の阻害は、DNAのモル比が1:15
の時に認められた(pCMVKM22:pCMVHBV)。したがって、pCMVKM22構築物がHBV複
製を阻害する能力は、pCMVHBe構築物よりも約15倍強力であった。
pCMVKM22構築物は、それ単独またはpCMVHBVとの混合物をトランスフェクトし
た場合には、コア様粒子中に認められる1つの蛋白質を発現した。これらの構築
物をトランスフェクトした細胞に由来するペレットを分析したところ、強度が同
じ2つの蛋白質バンドが示された。野生型p21コア蛋白質のサイズに相当するより
低分子のバンドは、pCMVKM22によるトランスフェクションを行った細胞で明白で
あった。本発明者らは、この蛋白質はKM22 mRNAの第2のAUGコドンが用いられた
ことに起因するものと推測している(Nassal,J.Virol.66:4107〜4116,1992
)。pCMVHBeのみをトランスフェクトした細胞のペレットの分析では、コア反応
性バンドの移動度はKM22ポリペプチドよりはやや大きかったが、野生型p21コア
蛋白質よりも移動度は小さいことが示された。これは、ポリペプチド鎖に余剰の
130Daを付加すると思われるMet-p22へのメチオニン残基の組み入れに起因するも
のか、転移したプレコア蛋白質のカルボキシ末端が部分的にプロセッシングを受
けた型によるバンドであると考えられる(Nassal,J.Virol.66:4107〜4116,
1992;SchlichtおよびWasenauer,J.Virol.65:6817〜6825,1991)。
p22蛋白質はプレゲノムRNAのキャプシド形成を妨げることによってHBVの複製を
阻害する
ウイルス複製の阻害は、プレゲノムRNAのキャプシド形成によるヌクレオキャ
プシドの形成が起こらなくなるためと考えられている。この可能性を検討するた
め、pCMVHBVもしくはpCMVKM22単独、またはその混合物によるトランスフェクシ
ョンを行ったHEK293細胞から免疫沈降させたヌクレオキャプシドからウイルスRN
Aを抽出した。全細胞質ウイルスRNAおよびキャプシド含有ウイルスRNAをノーザ
ンブロット分析によって比較した。pCMVHBVのみによるトランスフェクションで
産生された野生型ウイルスヌクレオキャプシドの内部にはプレゲノムRNAととも
にウイルス
RNAのスメアが存在しており、後者はおそらくウイルスポリメラーゼのRNアーゼH
活性によるものと考えられた。しかし、pCMVHBVおよびpCMVKM22をコトランスフ
ェクトした際には、3.5kbのプレゲノムRNAのキャプシド形成は生じなかつた。pC
MVKM22由来の転写物がプレゲノムRNAの転写を阻害するとの所見は全く得られな
かった。PEGで沈殿したヌクレオキャプシドから抽出したRNAに対して実施した同
じ種類の分析では同様の結果が示された。
HBV DNA複製に対するプレコア蛋白質の相対的阻害活性の比較
プレコア遺伝子の発現により、payw*28構築物によって得られた複製能の高い
表現型が転換するか否かを明らかにすることに興味が持たれた。payw*28ととも
に、pCMVHBeの量を徐々に増やしながら一過性的トランスフェクションを行ったH
CC細胞のサザンブロット分析では、変異型payw*28で得られた高レベルのウイル
ス複製を野生型HBVのレベルに低下させるために必要なpCMVHBeは2μgに過ぎな
いことが示された。pCMVHBeの量を徐々に増やしながら行ったトランスフェクシ
ョンではさらにpayw*28および野生型payw1.2のいずれから生じたHBV DNAの複製
型分子も減少した。pCMVHBe*28の発現は野生型HBV DNAの複製に影響を及ぼさな
かったことから、この阻害効果は機能的な野生型プレコア遺伝子の存在に依存す
ることが示された。
HBV DNA複製の阻害に関するプレコア関連蛋白質の相対的力価はHEK293細胞で
検討したが、これはこの系では野生型HBV DNAの複製能が高いためである。pCMVH
BVをpCMVHBeとともにコトランスフェクトした場合には、ウイルス複製の阻害の
程度は、pCMVHBeをpCMVKM22またはpCMVKMBsに置き換えた際に認められたよりも
約10倍低かった。pCMVKMBs蛋白質産物(Met-p18、または実験データの項のみで
はp18と表現したもの。配列番号:17)によるウイルス複製の阻害は、親pCMVKM2
2構築物から産生されたp22分子種と同程度であった。この実験は、ウイルス複製
の阻害の原因となるドメインが、コアORFによってコードされるアルギニンに富
むカルボキシ末端領域内には位置していないことを示す。
p22プレコア蛋白質の発現はハイブリッド型ヌクレオキャプシドの形成をもたら
す
p22蛋白質は20%ショ糖クッションに対する遠心沈降後に単独または野生型p21
コアとともにペレット中に認められることが、これまでの実験で示されている。
p22がp21とハイブリッド型ヌクレオキャプシドを形成したか否かを明らかにする
ために、pCMVHBVもしくはpCMVKM22のみ、または両者の混合物による一過性的ト
ランスフェクションを行ったHEK293細胞を再懸濁し、20〜60%ショ糖勾配上に載
せ、200,000×gで1時間の遠心処理を行った。この遠心沈降に続いて、勾配の最
上部から150μlの画分を15回に分けて逐次採取し、それぞれの画分の半分を用
いて、コア免疫反応性蛋白質の有無に関するウエスタンブロット分析を行った。
これらの実験条件下では、成熟型コア粒子は主に第4〜第10画分中に認められた
(ZhouおよびStandring,J.Virol.66:3086〜3092,1992)。
野生型HBVを発現する構築物をトランスフェクトしたHEK293細胞は、コア蛋白
質に関して、予想された沈降パターンを呈した。集合して天然のヌクレオキャプ
シドを形成したコアポリペプチドの大半は、第4〜第9画分に存在することが判明
した。野生型HBVおよびp22を発現する構築物を同時にトランスフェクトした場合
には、p22は天然のヌクレオキャプシドと同じ画分中に共沈降した。興味深いこ
とに、pCMVKM22構築物のみから発現されたp22も、p21を含むヌクレオキャプシド
に関して予想されたのと同じく、同一画分中に粒状ヌクレオキャプシドとして沈
降した。実際、p22の沈降パターンは野生型ヌクレオキャプシドのものと一部重
複していた。これらの結果は、一過性的トランスフェクションの後にHEK293細胞
内でp21およびp22に由来するコア蛋白質からなるハイブリッド型のキャプシド様
粒子が集合化することを示唆している。
p22蛋白質自体は、p21でできたヌクレオキャプシドと同じ沈降パターンを有す
るヌクレオキャプシドを形成するため、p22がp21とのハイブリッド型ヌクレオキ
ャプシドも形成するか否かを明らかにすることは困難であった。さらに、p22お
よびp21は入手可能な抗体では区別することができなかった。このため、プラス
ミドpCMVKM22に由来するp22コア蛋白質のB細胞免疫優性ループにFLAG(登録商標
)エピトープを導入した。このpCMVKMF構築物は、D78PAS81(配列番号:16)が
配列D78YKDDDDKS81 (配列番号:4、FLAG(登録商標)エピトープには下線を施し
た。番号はコアp21蛋白質、配列番号:20を基準としたもの)に置き換えられて
いる点を除けばMet-p22(配列番号:18)と同一である蛋白質pF22(配列番号:2
1)を発現した。このpF22蛋白質は、p22親蛋白質と同程度に容易に集合化してヌ
クレオキャ
プシド粒子を形成する。pCMVKMFをトランスフェクトしたHEK293細胞に由来する
ペレットのウエスタンブロット分析では、ポリクローナル抗コア抗体によるpF22
の検出は行えないことが示されたが、このことは、これらの抗体の免疫反応性が
FLAG(登録商標)エピトープが挿入された抗原性ループを指向していることを示
唆する。pCMVHBVおよびpCMVKMFによるコトランスフェクションを行った細胞に由
来するペレットの再懸濁物を抗FLAG(登録商標)抗体によって免疫沈降させ、ポ
リクローナル抗コア抗体を用いるウエスタンブロット分析によって免疫沈降物を
分析したところ、野生型p21コア蛋白質が検出された。このため、野生型p21コア
およびpF22蛋白質は免疫共沈降し、このことから2つのポリペプチド分子種が物
理的に相互作用することが示唆された。p21およびp22の沈降特性と総合すると、
以上の結果は、p22およびp21が集合化してハイブリッド型ヌクレオキャプシドを
形成しうることを示している。
pCMVKMBsから発現されたp18蛋白質は、ショ糖クッション中をほとんど移動し
ない。この所見は、アミノ酸144の上流が切断されたコア蛋白質からはより安定
性の低いヌクレオキャプシド構造が形成されることを示したこれまでの研究の結
果とも一致する(BirnbaumおよびNassal、J.Virol.64:3319〜3330,1990;Ga
llinaら、J.Virol.63:4645〜4652,1989)。この発現ベクターとpCMVHBVとの
コトランスフェクションを行った場合には、ペレット化した材料中に、野生型p2
1コア蛋白質とともに、p18がはるかに高いレベルで検出された。したがって、p2
1の非存在下でのヌクレオキャプシドへの自己集合化に関しては一部欠陥がある
ものの、p18はそれでもp21とともにヌクレオキャプシド中に組み入れられること
ができた。上記で考察した通り、これらのp18/p21ハイブリッド型ヌクレオキャ
プシドはHBVの複製を阻害する。p18(または以下の請求の範囲でMet-p18-Hetと
して用いるもの)のC末端にある非相同的配列(配列番号:15)は、p18の阻害活
性を低下させない。
その他の態様
以上の説明から、当業者は本発明の本質的な特徴を容易に確かめることができ
、種々の用途および条件に適合させるために、その精神および範囲を逸脱するこ
となく、本発明に種々の変更および修正を加えることができる。
本明細書中に引用した刊行物はすべて、その全体が参照として本明細書に完全
に組み入れられる。その他の態様は以下の請求の範囲にある。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07K 14/02 C12P 21/02 C
C12N 5/10 A61K 35/12
C12P 21/02 C12N 5/00 B
// A61K 35/12 A61K 37/02
(C12P 21/02
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,
UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 メリガリ マグヘリタ
アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ボ
ストン シェファ ストリート 6 アパ
ートメント 4
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.ウイルスによる感染の疑いのある動物の細胞におけるウイルス複製を阻害 する方法において、野生型のヌクレオカプシドのサブユニットとともに、細胞の 中のヌクレオカプシドの集合体の中に取り込まれることができ、それによって、 ウイルス核酸のカプシドへの被包における、ヌクレオカプシドの欠損をもたらす 蛋白質の過剰発現を指令する組換え核酸構築物を細胞の中に導入することを含む 方法。 2.細胞がヒトの細胞である、請求項1記載の方法。 3.ウイルスがヒト肝炎B型ウイルスであり、細胞がヒト肝細胞であり、かつウ イルス核酸がHBVのプレゲノムRNAである、請求項1記載の方法。 4.蛋白質が、p18の配列(配列番号:1)に、少なくとも80%相同であるアミ ノ酸配列を含む、請求項3記載の方法。 5.蛋白質の配列が、(1)配列番号:1、または(2)長さ4〜25アミノ酸残基 の異種性ペプチド配列が挿入されていて、該ペプチド配列が、配列番号:1の0〜 25個の連続したアミノ酸残基を置換している配列番号:1を含む、請求項4記載の 方法。 6.蛋白質が、p18(配列番号:1)、Met-p18(配列番号:17)、またはMet-p1 8-Het(配列番号:19)である、請求項5記載の方法。 7.蛋白質が、そのカルボキシ末端に、配列番号:5の1個以上の連続したアミ ノ酸残基からなる配列をさらに含む、請求項5記載の方法。 8.蛋白質が、そのアミノ末端に、配列番号:6の1個以上の連続したアミノ酸 残基からなる配列をさらに含む、請求項5記載の方法。 9.蛋白質が、p22の配列(配列番号:2)に、少なくとも80%相同であるアミ ノ酸配列を含む、請求項3記載の方法。 10.蛋白質の配列が、(1)配列番号:2、または(2)長さ4〜25アミノ酸残基 の異種性ペプチド配列が挿入されている配列番号:2を含む、請求項9記載の方法 。 11.蛋白質が、p22(配列番号:2)、またはMet-p22(配列番号:18)である 、請求項10記載の方法。 12.蛋白質のアミノ酸配列が、配列番号:2のアミノ酸残基82〜98、または配 列番号:18のアミノ酸残基83〜99に相当する領域の中に、ペプチド配列が挿入さ れている配列番号:2または18からなる、請求項10記載の方法。 13.蛋白質のアミノ酸配列が、配列番号:4、7、8、9、10、11、および12から なる群より選択されたペプチド配列が挿入されている配列番号:2または18から なる、請求項9記載の方法。 14.蛋白質のアミノ酸配列が、(a)89残基目と90残基目とが欠失し、配列番 号:4からなる配列によって置換されている配列番号:2、または(b)90残基目 と91残基目とが欠失し、配列番号:4からなる配列によって置換されている配列 番号:18からなる、請求項12記載の方法。 15.蛋白質の配列が、HBVの全長のプレコア蛋白質p25(配列番号:3)の配列 に少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む、請求項3記載の方法。 16.蛋白質が、p25(配列番号:3)である、請求項15記載の方法。 17.核酸構築物が、ウイルス由来のベクターを含む、請求項1記載の方法。 18.核酸構築物が、レセプターが介在するエンドサイトーシスによって、また はリポソームで、細胞の中に導入される、請求項1記載の方法。 19.配列番号:1に少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含むポリペプチ ドをコードする単離DNA分子において、該ポリペプチドがp25(配列番号:3)で ないとの条件で、野生型のヌクレオカプシドのサブユニットと共にHBVのヌクレ オカプシドの中に取り込まれることができ、それによって、HBVのゲノムRNA前駆 体のカプシドへの被包における、ヌクレオカプシドの欠損をもたらす、単離DNA 分子。 20.ポリペプチドの配列が、(1)配列番号:1、または(2)長さ4〜25アミノ 酸残基の異種性ペプチド配列が挿入されていて、該ペプチド配列が、配列番号: 1の0〜25個の連続したアミノ酸残基を置換している配列番号:1を含む、請求項1 9記載のDNA分子。 21.ポリペプチドが、p18(配列番号:1)、Met-p18(配列番号:17)、また はMet-p18-Het(配列番号:19)である、請求項20記載のDNA分子。 22.ポリペプチドが、そのカルボキシ末端に、配列番号:5の1個以上の連続し たアミノ酸残基からなる配列をさらに含む、請求項20記載のDNA分子。 23.ポリペプチドが、そのアミノ末端に、配列番号:6の1個以上の連続したア ミノ酸残基からなる配列をさらに含む、請求項20記載のDNA分子。 24.配列番号:2に少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含むポリペプチ ドをコードする単離DNA分子において、該ポリペプチドが、p25(配列番号:3) でないとの条件で、野生型のヌクレオカプシドのサブユニットとともに、HBVの ヌクレオカプシドの中に取り込まれることができ、それによって、HBVのゲノムR NA前駆体のカプシドへの被包において、ヌクレオカプシドの欠損をもたらす、単 離DNA分子。 25.ポリペプチドの配列が、(1)配列番号:2、または(2)長さ4〜25アミノ 酸残基の異種性ペプチド配列が挿入されていて、該ペプチド配列が、配列番号: 2の0〜25個の連続したアミノ酸残基を置換している配列番号:2を含む、請求項2 4記載のDNA分子。 26.ポリペプチドが、p22(配列番号:2)またはMet-p22(配列番号:18)で ある、請求項25記載のDNA分子。 27.ポリペプチドの配列が、配列番号:2のアミノ酸残基82〜98または配列番 号:18のアミノ酸残基83〜99に相当する領域の中に、該ペプチド配列が挿入され ている配列番号:2または18からなる、請求項25記載のDNA分子。 28.ポリペプチドの配列が、配列番号:4、7、8、9、10、11、および12からな る群より選択されるペプチド配列が挿入されている配列番号:2、または18から なる、請求項25記載のDNA分子。 29.蛋白質のアミノ酸配列が、(a)89残基目と90残基目とが欠失し、配列番 号:4からなる配列によって置換されている配列番号:2、または(2)90残基目 と91残基目とが欠失し、配列番号:4からなる配列によって置換されている配列 番号:18からなる、請求項27記載のDNA分子。 30.HBVの全長のプレコア蛋白質p25(配列番号:3)に少なくとも80%相同で あるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする単離DNA分子において、該ポ リペプチドがp25(配列番号:3)でないとの条件で、野生型のヌクレオカプシド のサブユニットと共にHBVのヌクレオカプシドの中に取り込まれることができ、 それによって、HBVのゲノムRNA前駆体のカプシドへの被包におけるヌクレオカプ シドの 欠損をもたらす、単離DNA分子。 31.(1)請求項19記載のDNA分子と、(2)該DNA分子によってコードされてい るポリペプチドの過剰発現を指令するプロモーターとを含む発現ベクター。 32.プロモーターが、CMV IEプロモーターであり、かつポリペプチドが、Met- p18-Het(配列番号:19)、Met-p22(配列番号:18)、または配列番号:17と18 の配列中間体をもつポリペプチドである、請求項31記載の発現ベクター。 33.(1)請求項24記載のDNA分子と、(2)該DNA分子によってコードされてい るポリペプチドの過剰発現を指令するプロモーターとを含む発現ベクター。 34.(1)請求項30記載のDNA分子と、(2)該DNA分子によってコードされてい るポリペプチドの過剰発現を指令するプロモーターとを含む発現ベクター。 35.ポリペプチドが、配列番号:1のアミノ酸残基82〜98に相当する領域の中 に、ペプチド配列が挿入されている配列番号:1を含む、請求項20記載のDNA分子 。 36.(1)請求項35記載のDNA分子と、(2)該DNA分子によってコードされてい るポリペプチドの過剰発現を指令するプロモーターとを含む発現ベクター。 37.請求項30記載のDNA分子に機能的に結合しているCMV IEプロモーターを含 む発現ベクター。 38.ウイルスによる感染の疑いのある動物の細胞におけるウイルス複製を阻害 する方法において、野生型のヌクレオカプシドのサブユニットとともに、細胞の 中のヌクレオカプシドの集合体の中に取り込まれることができ、それによって、 ウイルス核酸のカプシドへの被包における、ヌクレオカプシドの欠損をもたらす 、精製された組換え蛋白質を細胞の中に導入することを含む方法。 39.細胞がヒトの細胞である、請求項38記載の方法。 40.ウイルスがヒト肝炎B型ウイルスであり、細胞がヒト肝細胞であり、かつ ウイルス核酸がHBVのプレゲノムRNAである、請求項38記載の方法。 41.精製蛋白質が、p18(配列番号:1)の配列に少なくとも80%相同であるア ミノ酸配列を含む、請求項38記載の方法。 42.蛋白質の配列が、(1)配列番号:1、または(2)長さ4〜25アミノ酸残基 の異種性ペプチド配列が挿入されていて、該ペプチド配列が、配列番号:1の0〜 25個の連続したアミノ酸残基を置換している配列番号:1を含む、請求項41記載 の 方法。 43.蛋白質が、p18(配列番号:1)、Met-p18(配列番号:17)、またはMet-p 18-Het(配列番号:19)である、請求項42記載の方法。 44.蛋白質が、そのカルボキシ末端に、配列番号:5の1個以上の連続したアミ ノ酸残基からなる配列をさらに含む、請求項42記載の方法。 45.蛋白質が、そのアミノ末端に、配列番号:6の1個以上の連続したアミノ酸 残基からなる配列をさらに含む、請求項42記載の方法。 46.精製蛋白質が、p22(配列番号:2)の配列に少なくとも80%相同であるア ミノ酸配列を含む、請求項38記載の方法。 47.蛋白質の配列が、(1)配列番号:2、または(2)長さ4〜25アミノ酸残基 の異種性ペプチド配列が挿入されており、該ペプチド配列が、配列番号:2の0〜 25個の連続したアミノ酸残基を置換している配列番号:2を含む、請求項46記載 の方法。 48.蛋白質が、p22(配列番号:2)またはMet-p22(配列番号:18)である、 請求項47記載の方法。 49.蛋白質の配列が、配列番号:2のアミノ酸残基82〜98または配列番号:18 のアミノ酸残基83〜99に相当する領域の中に、ペプチド配列が挿入されている配 列番号:2または18からなる、請求項47記載の方法。 50.蛋白質の配列が、配列番号:4、7、8、9、10、11、および12からなる群よ り選択されるペプチド配列が挿入されている配列番号:2または18からなる、請 求項47記載の方法。 51.蛋白質のアミノ酸配列が、(a)89残基目と90残基目とが欠失し、配列番 号:4からなる配列によって置換されている配列番号:2、または(2)90残基目 と91残基目とが欠失し、配列番号:4からなる配列によって置換されている配列 番号:18からなる、請求項49記載の方法。 52.精製蛋白質が、HBVの全長のプレコア蛋白質p25(配列番号:3)の配列に 少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含む、請求項38記載の方法。 53.蛋白質がp25(配列番号:3)である、請求項53記載の方法。 54.Met-p18(配列番号:17)またはMet-p18-Het(配列番号:19)のアミノ酸 配列をもつポリペプチド。 55.長さ4〜25アミノ酸残基の異種性ペプチド配列が、配列番号:1のアミノ酸 残基82〜98に相当する領域に挿入されている、配列番号:1の配列を含むポリペ プチド。 56.配列番号:2のアミノ酸残基82〜98、または配列番号:18のアミノ酸残基8 3〜99に相当する領域の中に、長さ4〜25アミノ酸残基の異種性ペプチド配列が挿 入されている、配列番号:2または18のアミノ酸配列をもつポリペプチド。 57.p22(配列番号:2)またはMet-p22(配列番号:18)の実質的に純粋な調 製物。 58.請求項20記載のDNA分子を含む培養細胞。 59.請求項25記載のDNA分子を含む培養細胞。 60.ポリペプチドを発現させる条件の下で請求項58記載の細胞を培養すること を含む、ポリペプチドの製造方法。 61.ポリペプチドを発現させる条件の下で請求項59記載の細胞を培養すること を含む、ポリペプチドの製造方法。 62.請求項36記載の発現ベクターを含む薬学的組成物。 63.請求項54記載のポリペプチドを含む薬学的組成物。 64.請求項55記載のポリペプチドを含む薬学的組成物。 65.請求項56記載のポリペプチドを含む薬学的組成物。 66.請求項57記載の調製物を含む薬学的組成物。
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