JP2001356317A - 液晶表示素子の駆動方法 - Google Patents

液晶表示素子の駆動方法

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JP2001356317A JP2000182271A JP2000182271A JP2001356317A JP 2001356317 A JP2001356317 A JP 2001356317A JP 2000182271 A JP2000182271 A JP 2000182271A JP 2000182271 A JP2000182271 A JP 2000182271A JP 2001356317 A JP2001356317 A JP 2001356317A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示素子において、十分なビットプレー
ン時間を確保しつつ、不純物イオンによる表示画像の質
の劣化が生じないようにする。 【解決手段】 一定時間内、あるいは、複数のフレーム
期間内、もしくは、一のフレーム期間内において、表示
信号期間と、表示には関与しない制御信号期間とからな
る駆動電圧波形を用い、制御信号期間に矩形波などの交
流電圧を印加することにより、内部直流電圧の発生を抑
制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液晶光変
調型表示素子や液晶光変調器の如き、液晶表示素子の駆
動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話や、いわゆる「PDA」
(Personal Digital Assistrance)などの小型情報端末
の発達や、電子メール(E-mail)、ワールド・ワイド・
ウェブ(WWW:World Wide Web)などのインターネットの
普及など、情報の送受信環境の整備に伴い、これらを通
じて得られる情報を表示するための携帯用の表示素子
(ディスプレイ)の高性能化が望まれている。また、室
内用としても、いわゆる「パーソナルシアター用大型デ
ィスプレイ」や「パーソナルコンピュータ用薄型ディス
プレイ」などとして、投射型の表示素子の高性能化が望
まれている。
【0003】これらの要望を統合的に満たす表示素子の
一つとして、液晶表示素子が研究されている。この液晶
表示素子は、薄型軽量化が可能であり、低消費電力であ
りながら、高画質の画像を表示できるという特徴を有し
ている。
【0004】液晶表示素子としては、現在、「STN」
(Supper Twisted Nematic)の複屈折モードや「TN」
(Twisted Nematic)の旋光モードを用いたものが実用
化されている。また、次世代の液晶表示素子と位置づけ
られる複屈折モードを用いた強誘電性液晶や反強誘電性
液晶も研究されており、実用化も近いと思われる。現在
実用されている「STN」ディスプレイと並んで、複屈
折モードの表示素子の代表例である強誘電性液晶(「F
LC」:Ferroelectric Liquid Crystal)により、表面
安定強誘電性液晶モード(「SSFLC」:Surface St
abilizied Ferroelectric Liquid Crystal)が提案され
て以来、活発に研究が進められている。
【0005】通常、強誘電性液晶においては、図1に示
すように、カイラルスメクチックC相において、外部印
加電界E(Psは自発分極)に対して、液晶分子Mの配
向方向が状態1と状態2との二つの状態間でスイッチン
グする。素子を真上からみると、図1において仮想的に
示した円錐の中心軸が配向膜の方向(ラビング膜ではラ
ビング方向、SiO斜方蒸着膜では蒸着方向)に一致す
る。この液晶分子Mの配向方向の変化は、直交する偏光
板間に液晶素子を配置することによって、光透過率の変
化として現れ、図2に示すように、印加電界に対して透
過率が閾値Vthで0%から100%に急峻に変化するこ
ととなる。
【0006】「SSFLC」表示モードを用いた表示素
子は、応答が高速であり(従来のネマチック液晶表示素
子に比較して、約1000倍の応答速度)、メモリー性
を持つため、陰極線管(CRT)や「TN」ディスプレ
イなどで問題となっているフリッカーをなくせる、単純
X−Yマトリックス駆動でも、1000本以上の走査線
で駆動できる、TFT(Thin Film Transistor)などの
能動素子を用いないことで、製造上の歩留まりの向上が
可能であるなどの特徴を有する。また、現在主流のネマ
チック液晶での視野角が狭いという問題に対しても、分
子配置が一様であり、パネルの基板間ギャップがネマチ
ック液晶パネルの半分以下であることから、広い視野角
を有するという特徴を有している。
【0007】そこで、このような強誘電性液晶を、反射
型ディスプレイに応用しようとする試みがされている。
例えば、「IEEE Jornal of Quantum Electronics,vol.2
9,no.2(1993)699、Journal of the Society for Infomat
ion Display,vol.5(1997)1、SPIE,vol.3013(1977)174」
などに詳しく開示されている。これらはいずれも、半導
体メモリー上に強誘電性液晶セルを作り込み、メモリー
電圧によって駆動しようとするものである。
【0008】ところで、本出願人らは、すでに、半導体
メモリーと強誘電性液晶を組み合わせた反射型ディスプ
レイを提案している。これは、フィールドシーケンシャ
ル法と、光源の輝度変調とを組み合わせることにより、
階調表現を可能とし、原理的には、人間の視覚特性とし
ては転属的な階調まで表示できる表示技術である。
【0009】このような反射型強誘電性液晶表示素子
は、例えば、図3に示すように、透明基板1aとシリコ
ン基板(シリコンVLSI回路基板)2aとの間に強誘
電性液晶4を封入した構造を有している。すなわち、こ
の反射型強誘電性液晶表示素子は、ガラスなどの透明基
板1aの内面上にITOなどの透明電極1b及びSiO
斜方蒸着膜、または、ポリイミドに代表される高分子薄
膜を焼成後、ラビング処理して液晶配向膜1cを順次積
層した積層体を形成し、これと同様に、画素内に駆動回
路を作り込んだシリコン基板2aの内面上に反射膜兼電
極2b及びSiO斜方蒸着膜、または、ポリイミドに代
表される高分子薄膜を焼成後、ラビング処理して液晶配
向膜2cを形成し、これら透明基板1aとシリコン基板
2aとを、順次積層して形成した積層体同士が互いに対
向するように配置し、粒状のスペーサ3を挟むことによ
り所定のセルギャップを確保して液晶セルを構成し、こ
のセルギャップに強誘電性液晶4を注入し、周囲を接着
剤で封じることにより構成されている。
【0010】図3に示した強誘電性液晶光変調型表示素
子11の画素は、二次元的に構成されている(なお、こ
れは、線状でも構わない)。図4に示すように、この強
誘電性液晶光変調型表示素子11への入射光5は、反射
膜兼電極2bで反射され、反射光6として、強誘電性液
晶光変調型表示素子11から射出される。そして、これ
ら入射光5及び反射光6の光路上にある強誘電性液晶4
の光透過率は、図2に示すように、電極1bと反射膜兼
電極2bとの間の電界によって変化する。すなわち、反
射光6の強度は、電極1bと反射膜兼電極2bとの間の
電界強度により変調されるので、入射光の反射状態及び
非反射状態を画素ごとに切替えることにより、画像を表
示させることができる。
【0011】反射膜兼電極2bへの電圧印加は、強誘電
性液晶光変調型表示素子11の外部にある制御回路7に
よって画素毎に制御されるが、シリコン基板2a上に組
み込まれた回路によって制御されることとしても良い。
電圧の印加は、画素毎、または、複数画素毎に走査して
行い、あるいは、全画素同時に行ってもよい。
【0012】図5には、光透過型の液晶素子21を示し
ている。この光透過型の液晶素子21の場合、図3及び
図4に示した反射型液晶素子に対して基本的に異なるこ
とは、駆動電極がガラス基板12a上に設けられた透明
ITO12bからなり、これをTFTからなる制御ゲー
ト素子18によって画素毎に駆動して、信号電圧のオ
ン、オフによって入射光15を透過光16として透過さ
せたり、あるいは遮断する構成を有していることであ
る。なお、制御ゲート素子18には、補助容量を接続し
てもよい。また、「SSFLC」モードのようなメモリ
ー効果を有するモードの場合においては、上記のような
能動素子を用いない単純マトリックス駆動が可能であ
る。
【0013】「TN」モードでは、実効電界強度に応じ
て、明状態と暗状態との間を連続的に変化させることが
できるのに対して、「SSFLC」モードでは、前述の
ように、印加電圧の閾値において、透過率(もしくは反
射率)が急峻に変化する双安定性(またはメモリー性)
という特徴を有するため、明状態と暗状態の二状態しか
選択できず、それらの中間階調を制御することは困難で
あるとされてきた。
【0014】これまでの中間階調表示の表示方法として
は、サブピクセルを設けて、それらの積分面積に応じて
調整する面積階調法や、一画素において注入電荷量など
を制御して微少な反転ドメインにより制御するマルチド
メイン法などが提案されている。前者では、実質上画素
数が増え、駆動回路が複雑になること、解像度を上げる
ことが困難であることなどの問題がある。後者では、温
度分布や能動素子の性能のばらつき等によって、全画素
において同等の階調特性を実現することが困難であるこ
となどの問題がある。したがって、これらの方法では、
充分な中間階調の制御を行うことができない。
【0015】そこで、本出願人らは、強誘電性液晶素子
のように反射光または透過光のオンとオフとの二値のい
ずれかを選択する空間変調素子を用い、フィールドシ−
ケンシャル法と光源の光強度変調とを組合せて、原理的
には人間の視覚特性としては連続した階調まで表示でき
るデジタル階調表示を実現する液晶表示素子の駆動方法
の発明を、特願平5−347576号及び特願平7−2
12686号において提案している。
【0016】この液晶表示素子の駆動方法においては、
1フレームを階調ビット数に応じて複数のサブフレーム
(これをビットプレーンと定義する)に分割し、さら
に、光源の輝度変調により、各ビットブレーンを重み付
けして、階調表示を行う。
【0017】すなわち、同一の光強度の光源を用いた場
合、8ビットの階調(256階調)を表示するには、1
6.7msecの1フレームを8ビット(0乃至256階
調)で単純に時分割して表示しなげればならず、このた
めには、強誘電性液晶は、約65.5μsecで完全に駆
動しきれなければならないこととなる。10ビット表示
では、強誘電性液晶の駆動時間は、16.3μsecとな
る。これは、現状の強誘電性液晶の応答速度から鑑みる
と厳しい値であり、実現のためには、印加電界を高く設
定しなければならなくなってしまう。
【0018】そこで、光強度を変調できる光源を用いる
ことにより、1フレームを時分割することにより決まる
強誘電性液晶の駆動時間を飛躍的に長くすることができ
る。すなわち、8ビットの階調を表示する場合に、光源
の光強度が8ビットの変調が可能であるとすると、強誘
電性液晶は、約2.08msecで駆動できればよいこと
になる。10ビット階調を表示する場合には、強誘電性
液晶の駆動時間は、約1.67msecである。このよう
に、この液晶表示素子の駆動方法は、強誘電性液晶の応
答速度に応じた実用的な駆動方法である。
【0019】ここで、1つの階調ビットからなる映像を
「ビットプレーン」と呼び、その表示時間を「ビットプ
レーン時間」と呼ぶ。例えば、図6に示すように、8ビ
ットの階調を表示する場合、ビットプレーン数が8であ
り、8つのビットプレーン時間の合計が1フレームにな
っている。
【0020】ところで、近年、いわゆる「プラズマディ
スプレイパネル」などのデジタル表示素子が発展する
中、さらなる表示画像の高画質化が望まれている。そし
て、デジタル階調表示においては、8ビットの表示で
は、最低限の階調表示としては十分でありながら、高画
質化という点では不十分であるといわれている。
【0021】一方、デジタル階調表示においては、偽輪
郭という問題が発生する。これはフィールドシーケンシ
ャル駆動を行う際、時分割されたビットプレーン時間が
長いことに起因しており、表示された発光点を目で追従
したときに、発光パターンの時間的なずれが空間的なず
れに変換されることで生じる現象である。したがって、
この問題は、ビットプレーン時間を短くすることによっ
て低減することができる。
【0022】しかし、実際上は、強誘電性液晶の駆動の
応答時間、デバイスの構造、消費電力、データ転送速度
などの問題から、1ビットプレーン時間の下限が決まっ
てしまう。また、偽輪郭の問題に加えて、色割れ、階調
数などにより、1ビットプレーン時間の上限が決まる。
通常、フレーム周波数は60Hzであることを考える
と、1ビットプレーン時間は、100μ乃至数100μ
に設定されるべきである。つまり、このビットプレーン
時間は、画素数、階調数などの仕様に応じて、一意的に
決定されることとなる。
【0023】例えば、本出願人らが提案している表示素
子においては、R(赤)、G(緑)、B(青)の各一色
当たり256階調とし、1フレームは36ビットプレー
ン×3色=108ビットプレーンからなり、1ビットプ
レーンはおおよそ150μsec(さらに正確には1se
c/30Hz/2フレーム/108ビットプレーンで、
乃至154.3μsec)となる。この場合、強誘電性液
晶は、1ビットプレーンにつき1回は、必ずスイッチン
グする仕様となっている。
【0024】このように、ビットプレーンごとにメモリ
ー状態をリフレッシュする駆動方法は、透過(反射)率
が下がる前に次の駆動電圧波形を印加するため、メモリ
ー性が十分でない材料、例えば、双安定性が不十分でビ
ットプレーン時間内にメモリーコーン角が落ちて透過
(反射)率が下がるような材料でも使用できるという利
点がある。この場合、リフレッシュする周波数は、主に
ビットプレーン時間により決定される。
【0025】以上のように、フィールドシーケンシャル
階調表示法における強誘電性液晶の駆動電圧波形は、1
ビットプレーン時間に使用しなければならず、単純な駆
動電圧波形しか使用できないという問題がある。また、
表示画像の高精細化を図る場合には、単位画素面積が小
さくなるため、構成する駆動回路をその画素面積中に納
めなければならず、駆動回路等の負担を軽減させるため
には、より簡便な駆動電圧波形がさらに求められること
になる。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】ところで、液晶表示素
子の製造工程においては、液晶合成、配向膜作製、液晶
注入などの諸工程上において、混入、生成された不純物
イオンが液晶に含まれてしまい、これが表示画像の質の
劣化を引き起こすことが知られている。
【0027】現在のところ、完全に液晶パネル内の不純
物イオンを除去することは不可能といえる。さらに、た
とえ除去できたとしても、駆動の際に、電圧印加によっ
て不純物イオンが生成される現象が生ずる。この不純物
イオンの液晶パネル内での挙動としては、以下のような
ことが考えられている。
【0028】(1)温度上昇ならびに電圧印加等によっ
て、液晶中でイオン解離が促進される。 (2)電圧印加によって生じた液晶中の電界にそって、
電荷を有するイオンが移動する。 (3)配向膜に達したイオンは、物理的ないし化学的に
吸着する。 (4)セルに印加される波形が交流的なものであれば、
イオンは、吸脱着等を繰り返し行う。 (5)解離したイオンの一部は、再結合などによって、
中性の分子にもどる。
【0029】このようなイオンの挙動に際し、対向する
2枚の電極基板、ならびに、駆動上で、以下に示すよう
な非対称性が生じた場合には、液晶と配向膜との界面に
おいて、イオン挙動にも非対称性が生じる。 (1)対向する2枚の電極基板での構造上の非対称性
(TFT基板側とITO基板側との間、反射型セルなど
における反射側基板と透過側基板との間)。 (2)対向する2枚の電極基板上の配向膜の諸条件(膜
厚、焼成条件、ラビング強度など)。 (3)電圧印加波形の非対称性(一般の駆動電圧波形は
矩形波などの交流波形を用いるが、GND(接地レベ
ル)に対して非対称性がある場合)。
【0030】これらの非対称性によって、カチオンおよ
びアニオンの配向膜界面における吸脱着平衡、ならび
に、液晶中でのイオン種の分極状態が対向する2枚の電
極基板で非等価な状況が作り出される。このように、イ
オンが分極した状態は、緩和しにくく、外部的にある極
性の直流成分(V′)を液晶セル間に印加したときとほ
ぼ類似した状況となる。
【0031】すなわち、その後に電圧印加を停止したと
しても、液晶セル内部には、V′の電圧が印加された状
態、すなわち、液晶分子に電圧が印加されている状態が
維持さることになる。すなわち、液晶セルに対称な矩形
波形電圧(振幅V)などを印加しても、液晶内部にかか
る有効な電圧は、正側で、(V+V′)、負側では、
(−V+V′)となり、液晶に印加される実効的な電圧
が対称ではなくなる。このような非対称性により、「T
N」系などのように、実効電圧が光透過率に反映される
ような液晶表示素子においては、液晶分子がゆらつき、
フリッカという減少として観測され、表示画像の質の劣
化を生じることになる。
【0032】一方、「SSFLC」モードにおいて、オ
ンまたはオフの二状態のうちの一方の状態を選択する電
圧信号を正極性電圧信号(V)とし、かつ、他方の状態
を選択する電圧信号を負極性電圧信号(−V)とするよ
うな場合には、V′が正の値とすると、逆極性の状態に
する負極性電圧信号印加時には、実効的に(−V−
V′)が、正極性電圧信号印加時には、(V−V′)
が、それぞれ印加されることになる。したがって、負極
性電圧信号によって選択される状態への応答速度は、実
効電圧の増加分だけ速くなり、逆に、正極性電圧信号に
よって選択される状態への応答速度は、実効電圧の減少
分だけ遅くなり、また、V′が大きくなると、(V−
V′)が閾値に達しなくなり、応答しなくなる。
【0033】さらに、このような内部直流電圧(DC)
成分が大きくなるような状況のもとでは、液晶分子自体
が、電気分解などをしてしまうことさえある。近年、液
晶材料の安定性が向上し、一般の駆動電圧の範囲では電
気分解の可能性はほとんどなくなったものの、駆動電圧
波形の実効的な直流成分による表示画像の質の劣化の可
能性は拭えない。
【0034】したがって、これまでの液晶表示素子の駆
動電圧波形は、電気的に中性を保つことが当然とされ、
オフセット電圧が0Vの矩形波や正弦波、余弦波、三角
波などのように、正負電圧が交互に、かつ、0Vに対し
て正負電圧が対称になるような、いわゆる交流駆動を行
うものであった。
【0035】例えば、「TN」モードのような液晶表示
素子の場合には、オフセット電圧が0Vの矩形波による
駆動、ならびに、矩形波でTFTのゲート素子による駆
動を用い、常に駆動電圧波形が電気的に中性を保つよう
に設定されている。
【0036】また、「SSFLC」モードの液晶表示素
子のように、オンとオフとのうちの一状態を選択するパ
ルス電圧を印加する際、これを打ち消す逆極性電圧波形
を組み合わせて、一選択時間内で直流成分を相殺するこ
と、もしくは、もっと長い時間、例えば複数のフレーム
にわたった平均として、直流成分を相殺するように、逆
極性電圧パルスを挿入するなどの駆動方法がとられてき
た。
【0037】しかしながら、このような「SSFLC」
モードの液晶表示素子においては、電気的中性を保つた
めのみに、実際上は液晶の駆動に寄与しない電圧波形を
状態選択をする電圧波形と同等の時間分だけ挿入するこ
とになり、その分だけビットプレーン時間を短くせざる
得ず、そのために輝度、階調などの特性が劣化すること
となってしまう。また、液晶の応答のために与えられる
時間も短くなることになり、液晶材料への負担を増大さ
せることになる。
【0038】そこで、本発明は、十分なビットプレーン
時間を確保しつつ、簡単で、かつ、不純物イオンによる
表示画像の質の劣化が生じないようになされた液晶表示
素子の駆動方法を提供しようとするものである。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述のよ
うな電気的中性を保った駆動電圧波形にとらわれること
なく、簡便な駆動電圧波形で実効的な直流成分を有する
こととなる駆動方法を積極的に検討した結果、液晶の劣
化を起こさないうえ、不純物イオンが形成する内部直流
電圧または電界の発生を極めて効果的に抑制すること
で、表示の異常を防止し、また、長期間に亘って表示の
信頼性を確保できる駆動方法を見出し、本発明に至っ
た。
【0040】この駆動方法においては、「TN」モード
のように、理想的には内部直流電圧が発生しない、電気
的に中性を保つようなオフセット電圧0Vの矩形波電圧
による駆動、いわゆる交流駆動においても、素子特性の
ばらつきによって電気的中性からずれが生じることも生
じ得るので、不純物イオンが形成する内部直流電圧の抑
制という効果が得られる点で有効である。
【0041】すなわち、本発明に係る液晶表示素子の駆
動方法は、第1の電極が設けられた第1の基板と第2の
電極が設けられた第2の基板とが、該第1の電極及び該
第2の電極が設けられた側を相対向させて所定の間隔を
隔てて配置され、これら各基板間に液晶が封入されて構
成された液晶表示素子を駆動するにあたって、該第1の
電極及び該第2の電極間に印加する電圧信号によって、
入射光の反射状態及び非反射状態、または、入射光の透
過状態及び非透過状態、あるいは、入射光の偏光状態及
び非偏光状態、もしくは、入射光の旋光状態及び非旋光
状態を切替えることにより、画像表示を行う液晶表示素
子の駆動方法において、一定時間内、あるいは、複数の
フレーム期間内、もしくは、一のフレーム期間内におい
て、表示信号期間と、表示には関与しない制御信号期間
とからなる駆動電圧波形を用い、該制御信号期間に印加
する電圧信号を、正極性及び負極性の電圧信号が、割当
時間内で交互に、連続的、または、非連続的に変化する
電圧信号、もしくは、途中に0Vの電圧信号域を含む正
負交互の電圧信号とすることにより、内部直流電圧の発
生を極めて効果的に抑制することができるものである。
【0042】本発明の効果を明確に実証するためには、
オンまたはオフの二状態のうちの一方の状態を選択する
電圧信号を正極性電圧信号のみの組合せとし、かつ、他
方の状態を選択する電圧信号を負極性電圧信号のみの組
合せとするのがよい。あるいは、オンまたはオフの二状
態の少なくとも一方の状態を選択する電圧信号を正極電
圧信号と負極性電圧の組合せとし、かつ、それらの電圧
の絶対値または時間幅を異ならせることで、一状態の選
択期間内に実効的に内部電圧の直流成分を生じさせるよ
うにしてもよい。
【0043】つまり、オンかオフの一状態を選択する際
に、電気的中性が保たれておらず、必ず、両電極間に不
純物イオンの分極による電位、すなわち、内部直流電圧
が生じるようにする。例えば、任意の時間に亘って画像
を表示する場合、オン及びオフの回数は同数とは限らな
いから、どちらか一方の選択波形の印加回数が多くな
り、ある一定期間内においては、電極間には、内部直流
電圧が生じることになる。
【0044】図7は、液晶表示素子に供給する駆動電圧
波形と、この駆動電圧に対応する反射光強度との関係を
示している。図7に示すように、約154.3μsecの
1ビットプレーン間に、オン(明)状態を選択する際
は、正極性のパルス(50μsec幅)を、オフ(暗)状
態を選択する際は、負極性のパルス(50μsec幅)を
印加する。GND電圧を印加している間は、「SSFL
C」の双安定性(メモリー性)により、反射光強度は、
ほぼ一定に維持される。
【0045】「SSFLC」モードでは、メモリー性を
用いるのが一般であるが、メモリー性を使用せず、さら
に単純な矩形波などにより、強誘電性液晶材料固有のコ
ーン角を用いることも可能である。この場合、実際の輝
度には反映しないことになってしまうが、強誘電性液晶
材料固有のコーン角を用いるため、各ビットプレーンに
おける反射率は大きくすることができる。
【0046】このように、一定期間内において、一状態
の選択期間内に実効的に内部直流電圧を生じさせるよう
な駆動電圧波形を用いた場合、ある一定時間内、あるい
は、複数フレーム内、もしくは、1フレーム内の一部
に、その間に生じた内部直流電圧と逆極性の電圧波形な
どを挿入することによって、内部直流電圧の発生を抑制
することができる。
【0047】すなわち、本発明においては、オンまたは
オフの二状態のうち一方の状態を選択する駆動をその選
択期間内に実効的な内部直流電圧が生じる電圧信号によ
って行い、かつ、一定期間内に、実際上は液晶駆動に寄
与しない内部直流電圧の大きさを制御する(低減させ
る)波形、例えば、逆極性電圧波形を挿入する。
【0048】この逆極性電圧波形を印加する時間は、理
想的には、液晶の状態を選択する駆動電圧波形(印加電
圧)の印加時間と同じだけ挿入することにより、電気的
に中性状態になる。しかし、実際上は、液晶駆動に寄与
しない逆極性電圧波形を選択波形と同等時間分だけ挿入
すると、その時間分だけビットプレーン時間を短くせざ
る得ず、表示画像の輝度、階調などの特性を劣化させて
しまう原因になる。したがって、表示画像の輝度、階調
などの特性を劣化させないためには、内部直流電圧の大
きさを制御(低減)する電圧波形の印加時間は、なるべ
く短い方がよい。
【0049】本発明者らは、液晶駆動に寄与せず、内部
直流電圧の大きさを制御(低減)する電圧波形を、液晶
の状態を選択する駆動時間と同じ時間だけ挿入せず、そ
れよりも短い時間範囲内で挿入することにより、不純物
イオンが形成する内部直流電圧の発生を極めて効果的に
抑制することができ、表示異常の防止、ならびに、長期
間にわたる表示信頼性の確保ができる駆動方法を見出
し、本発明に至ったものである。
【0050】液晶表示素子の内部直流電圧は、ある駆動
電圧波形を印加した後に残る電極間の電圧により定義さ
れる。これは、液晶セル中に存在する不純物イオンが駆
動電圧波形の実効的な直流成分などにより分極し、この
ように分極した不純物イオンが電界を形成して生じると
考えられている。
【0051】実際に、非対称な駆動電圧波形を印加した
場合には、図8に示すように、両電極間に残留する直流
成分の電圧が測定される。これに対して、セル構造も対
向する電極間で対称で、かつ、対称な駆動電圧波形を印
加した場合には、内部直流電圧は、誤差範囲内でゼロと
なる。なお、内部直流電圧値の算出法としては、図9及
び図10に示すように、測定中、開回路になった時刻を
0とし、モニターされる電圧値を対数プロットし、平坦
部を直線で時刻0に外挿したときの値を内部直流電圧値
とした。
【0052】この内部直流電圧は、一定期間内において
駆動電圧波形に関らずに存在するため、あたかも駆動電
圧波形の接地電位(GND)が内部直流電圧の形成する
電界分だけオフセットされたような現象が生ずることが
予想される。
【0053】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。 (1)液晶表示素子の作製工程 以下、本発明に係る液晶表示素子の駆動方法が適用され
る液晶表示素子の作製工程から説明する。
【0054】液晶パネルの作製プロセス及び透過光の応
答測定が簡便であるため、以下の測定に用いた液晶パネ
ルは、すべて、図5に示すように、上下各基板ともが透
明電極を有する透過型パネルである。また、図3に示す
ように、一方の基板をAl反射膜で覆った反射型パネル
においても、パネル作製のプロセス及び反射光応答測定
ともに、基本的には、透過型パネルの場合と同様であ
る。但し、反射型パネルでは、入射光が液晶部を二度通
過するために、実効的なリターデーションは、同一のセ
ルギャップを有する透過型パネルの二倍となる。
【0055】以下に、液晶表示素子の作製法を示す。液
晶の注入の終了までの全てのプロセスは、クリーンルー
ム内で行う。
【0056】〔透明電極の形成〕まず、ガラス基板の片
面に、スパッタ法により、ITOからなる透明電極材料
層を形成し、フォトリソグラフィ法により、所定のパタ
ーンの透明電極を形成する。このパターニングの一般的
な手順は、以下に示すものである。
【0057】(1)ITOのスパッタ (2)レジストのスピンコート (3)レジスト膜の前焼成、本焼成 (4)レジスト膜の露光 (5)レジスト膜のエッチング (6)ITOのエッティング (7)洗浄 (8)レジスト膜の剥離 (9)洗浄
【0058】〔基板の洗浄〕クリーンルーム内におい
て、ガラス基板の洗浄及び乾燥処理を行う。この洗浄及
び乾燥処理は、例えば、「三槽式超音波洗浄器」(サン
電子株式会社製など)を用いて、下記のように行う。
【0059】第一層については、アルカリ洗浄(スキャ
ット×20)を用い、浴温45°Cにして基板を揺動さ
せながら、超音波洗浄を3分間行う。第二層について
は、純水シャワーを浴びせながら、基板を揺動させつ
つ、3分間の超音波すすぎを3回行い、アルカリ洗剤を
流し落とす。第三層については、基板を浴温80°Cの
純水に1分間漬けた後、エレベータ機構により、基板を
該純水から徐々に引き上げ、放置乾燥を行う。
【0060】さらに、例えば、「UVドライ・ステッパ
・クリーナ」(サムコインターナショナル研究所株式会
社製)を用いて、室温で10分間、UVオゾン洗浄を行
う。
【0061】〔配向膜の作製〕液晶配向法には、大別し
て二通りがある。一つは、有機薄膜のラビング法であ
り、もう一つは、SiO(酸化シリコン)などの無機材
料の斜め蒸着法である。ラビング膜を配向膜に用いる場
合には、生産性は良く、大面積化も容易である点から、
現在、工業的には、ラビング膜を配向膜として液晶表示
素子が多く生産されている。一方、配向膜にSiO斜方
蒸着膜を用いた場合、生産性には問題があるものの、良
好なメモリー性を実現することが可能である。
【0062】そこで、液晶表示素子の配向膜材料による
液晶の配向特性の違いを検討する。ここで、配向膜材料
は、例えば、SiO斜方蒸着膜、JSR社製ポリイミド
(以下PIと略す)「AL0656」などを用いること
ができる。
【0063】〔SiO斜方蒸着膜〕SiO斜方蒸着膜
は、以下に示すような方法で作製する。蒸着源のSiO
(蒸着物質)は、点源となる穴をもつ蒸着ボート内に収
容する。SiOと蒸着箇所を結ぶ線と、ガラス基板の蒸
着面の法線との角度θを、例えば、85°に設定して蒸
着する。膜の構造を均一にするために、この角度θとし
ては、数度以内の精度が要求される。また、蒸着源と蒸
着箇所との距離も、SiOピラーの形状や膜厚分布に影
響するため、例えば、40cm以上離す。
【0064】〔ラビング膜〕ポリイミドラビング配向膜
は、以下のような方法で成膜する。まず、基板を所定の
回転速度(例えば、回転数3500rpm)で回転さ
せ、スピンコート法により、例えば、JSR社製PI配
向膜「AL0656」を塗布する。そして、180°C
で4時間焼成した後、ローラー回転数300rmp、ス
テージ速度2mm/sec、押し込み量0.200mmの
条件で、ラビング処理する。
【0065】〔セルの組み立て〕上述した配向膜及びI
TO付きのガラス基板を2枚用意し、配向面同士を対向
させ、配向処理方向を平行として組み込む。これら2枚
のガラス基板のうち1枚の配向膜上に、表示領域の外側
となるように、ギャップ材を分散させた紫外線硬化樹脂
をシール印刷により塗布する。ギャップ材としては、例
えば、触媒化成社製の1.0μm径の真絲球を用いるこ
とができる。このようなギャップ材を分散させた紫外線
硬化樹脂としては、例えば「フォトレク」(商品名:東
レファインケミカル社製)などがある。そして、2枚の
ガラス基板を組み合わせ、紫外線を照射して樹脂を硬化
させ、1.0μmの間隙を有するセルを作製する。
【0066】〔液晶の注入〕次に、液晶素子を恒温槽中
に放置し、液晶が等方相となる温度に昇温した後、セル
の一部に設けた注入口を強誘電性液晶に浸す。強誘電性
液晶としては、例えば、チッソ社製の「CS−103
1」、「CS−1025」、「CS−1028」などを
用いる。その後、セルを1°C/minの速度で室温まで
冷却し、恒温槽より取り出す。そして、注入口をシール
(密封)することにより、液晶パネルの組み立てが終了
する。
【0067】(2)本発明の実施に使用する液晶材料及
びパネル構成部材 本発明に係る液晶表示素子の駆動方法を実施する液晶表
示素子に使用可能な強誘電性液晶は、実際には、カイラ
ル化合物と非カイラル化合物とを混合して液晶となるも
のよいが、いずれかの1種類のみからなるものであって
もよいし、複数種類を混合したものであっても良い。
【0068】ここで、カイラル化合物としては、ピリミ
ジン系、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系などが
ある(ただし、これらの強誘電性液晶は、温度の変化に
より、カイラルネマチック相、スメチック相などを示す
ことがある)。また、非カイラル化合物としては、ビフ
ェニル系、ターフェニル系、3環シクロヘキシル系、シ
クロヘキシル系、ビフェニルシクロヘキサン系、シクロ
ヘキシルエタン系、エステル系、ピリミジン系、ピリダ
ジン系、エタン系、ジオキサン系などがある。
【0069】また、上述の強誘電性液晶に代えて、反強
誘電性液晶を使用することもできる。さらに、上述の強
誘電性液晶に代えて、「TN」モード、「STN」モー
ドに適用することができるネマチック性液晶も使用する
ことができる。
【0070】液晶素子の構成部材についても、基板とし
て透明ガラス基板を、電極層としてITOやアルミニウ
ムなどを、液晶配向膜としてラビング処理をしたポリイ
ミド膜やSiO斜方蒸着膜を、それぞれ使用することが
できる。電極層としては、ITO以外にも、酸化錫、酸
化インジウムなどの透明電極を使用することができる。
透明基板、スぺーサー、シール材などの液晶素子の構成
材料も、従来から知られている種々の材料を使用するこ
とができる。また、液晶表示素子を反射型として使用す
る場合には、反射膜として、アルミニウム、銀等、反射
率の高い材料を使用することができる。
【0071】なお、上述の液晶素子は、光変調器以外に
も、光シャッター、光スイッチ、光ブラインドなどとし
ても使用でき、さらに、電気光学素子などを組合せれ
ば、A/D変換器、光ロジック回路にも応用することが
できる。
【0072】(3)電気光学特性の測定 クロスニコル下で液晶パネルを顕微鏡下に配置し、例え
ば、ソニーテクロトニクス社製「任意波形発生装置AW
G−2021」を用いて、液晶パネルに所期の駆動電圧
波形を印加する。そして、各駆動電圧波形に対応した状
態における透過光強度を、光電子増倍管により検出す
る。この光電子増倍管の出力は、例えば、ソニーテクロ
トニクス社製のデジタルオシロスコープを介して、制御
回路(コンピュータ)に取り込まれる。
【0073】(4)内部直流電圧の測定 内部直流電圧測定は、例えば、東陽テクニカ社製「任意
波形発生装置BIOMATION Pragmatic 2202A」などを
用いて、まず、この波形発生装置から出力された駆動電
圧波形を、例えば、同社製「高圧サンプル・ホールドア
ンプVHR−AMP01」を介して、シールドボックス
中の液晶パネルに印加する。
【0074】「高圧サンプル・ホールドアンプVHR−
AMP01」は、波形発生装置から同期して出力される
制御電圧波形がオフ状態になると、液晶パネルの電極間
を開回路電圧として、「VG端子」−「OUT端子」間
の電圧を検出する。この検出出力は、A/D(アナログ
/デジタル)コンバータ、もしくは、オシロスコープを
介して、制御回路(コンピュータ)に取り組まれる。
【0075】シールドボックスは、恒温槽中に置かれて
おり、任意の温度(通常は40°C)を維持して測定が
できる。開回路操作を行う直前において、0Vでない電
圧波形が印加されている場合には、液晶パネルからの静
電的(電子的)な注入電荷が測定に影響することがあ
る。そのため、短い時間(例えば100μsec)に亘っ
て電極間を短絡(0V)して、そのような成分を取り除
くことにより、電子の緩和より遅く、本来の測定対象で
あるイオン分極による内部直流電圧を観測することがで
きる。
【0076】このようにして短絡する直前の内部直流電
圧は、静電的(電子的)な注入電荷分があるため、直接
には測定できない。そこで、短絡後の両電極間電圧の時
間経過に伴う変化を、電圧をログスケールでプロット
し、短絡した直後の時間に外挿することで、図8に示す
ように、内部直流電圧値を求めることができる。また、
任意の電圧波形を連続して印加して測定するときに、電
圧の印加によって蓄積される内部直流電圧が小さい場合
には、測定対象を、自発分極(以下、Psという)によ
って誘起される電圧から分離する必要がある。
【0077】そのため、通常の状態で測定した結果(V
a)と、短絡操作をする直前にPsを前状態から反転さ
せる50μsecの逆極性電圧波形を印加した場合の結果
(Vb)とを合わせ、{(Va+Vb)/2}を、イオ
ンの分極による内部直流電圧値をとすることで、Psに
よって誘起される電圧成分を除去することができる。
【0078】ここで、各測定における初期状態を統一す
るために、測定直前に、10分間に亘って、短絡状態で
等方相となる温度まで昇温し、保持したのちに、室温ま
で冷却することで、再現性の良い結果が得られる。
【0079】(5)過渡電流測定 過渡電流測定は、例えば、東陽テクニカ社製「任意波形
発生装置BIOMATION Pragmatic 2202A」などを用い
て、まず、この波形発生装置から出力された駆動電圧波
形を、例えば、同社製「電流電圧変換アンプModel62
50」を介して、シールドボックス中の液晶パネルに印
加する。
【0080】「電流電圧変換アンプModel6250」
は、波形発生装置から同期して出力される制御電圧波形
がオン状態になると、電流検出操作を休止し、再び、制
御電圧波形がオフ状態になると、電流検出操作を再開す
る。このような特性を利用することで、液晶パネルに印
加される駆動電圧波形の電圧が急峻に変化する領域に制
御電圧波形のオン状態を同期させ(ステップ状に変化す
る場合には、典型的には前10μsec、後50μsecの計
60μsec)、値としては大きな突入電流(静電的(電
子的)な注入電流成分)を除去することができる。そし
て、測定対象となる不純物イオンの変位にともなう値と
しては小さい電流成分のみを、高精度に観測することが
できる。
【0081】また、「SSFLC」モードのパネルにお
いては、図11に示すように、Ps反転に伴って発生す
るPs反転電流も観測することができ、液晶の配向変化
を電流として観測することができる。この「SSFL
C」モードでは、Ps反転電流も比較的大きな値をとな
るため、イオンの変位にともなう電流を観測するために
は、図12に示すように、制御電圧波形をPs反転が完
了する時間域まで長くする必要がある。
【0082】(6)本発明に用いた1ビットプレーンを
構成する波形の形状 次に、本発明に係る液晶素子の駆動方法に用いる二状態
を選択する1ビットプレーンの駆動電圧波形の形状を、
図13乃至図17に示すように、順次説明する。図13
乃至図17は、1ビットプレーンが154.3μsecに
相当するものを例として、駆動電圧波形の各種の例(波
形A乃至波形E)を示すものである。
【0083】〔1ビットプレーン波形A〕波形Aは、図
13に示すように、オンまたはオフの二状態のうち、一
方の状態を選択する電圧波形を正極電圧V1(t1)及
び0V(t2)の組合せとし、かつ、他方の状態を選択
する電圧波形を負極電圧V2(t1)及び0V(t2)
の組合せとした例である。
【0084】〔1ビットプレーン波形B〕波形Bは、図
14に示すように、オンまたはオフの二状態のうち、一
方の状態を選択する電圧波形を正極性の一定電圧V1の
みとし、かつ、他方の状態を選択する電圧波形を負極性
の一定電圧V2のみとした例である。
【0085】〔1ビットプレーン波形C〕波形Cは、図
15に示すように、オンまたはオフの二状態のうち、一
方の状態を選択する電圧波形を正極電圧V1,V3の組
合せ(t1,t2)とし、かつ、他方の状態を選択する
電圧波形を負極電圧V2,V4の組合せ(t1,t2)
とした例である。
【0086】〔1ビットプレーン波形D〕波形Dは、図
16に示すように、オンまたはオフの二状態のうち、一
方の状態を選択する電圧波形を正極電圧V1,V3と負
極電圧V5との組合せ(t1,t2,t3)とし、か
つ、他方の状態を選択する電圧波形を負極電圧V2,V
4と正極電圧V6の組合せ(t1,t2,t3)とし、
それらの電圧の絶対値または時間幅が等しくなく、一状
態の選択期間内に実効的に内部直流電圧が生じる駆動方
法の一例である。
【0087】〔1ビットプレーン波形E〕波形Eは、図
17に示すように、オンまたはオフの二状態のうち、一
方の状態を選択する電圧波形を正極電圧V1,V3と負
極電圧V5ならびに0Vの組合せ(t1,t2,t3,
t4)とし、かつ、他方の状態を選択する電圧波形を負
極電圧V2,V4と正極電圧V6ならびに0Vの組合せ
(t1,t2,t3,t4)とし、それらの正負極電圧
の絶対値または時間幅が等しくなく、一状態の選択期間
内に実効的に内部直流電圧が生じる駆動方法の一例であ
る。
【0088】そして、本発明に係る液晶表示素子の駆動
方法において用いる内部直流電圧を制御するための1ビ
ットプレーンの電圧波形は、図18に示すように、オン
またはオフの二状態のうち、一方の状態を選択する駆動
が、その選択期間内に実効的な内部直流電圧を生じる駆
動電圧波形を用いる場合に使用され、かつ、ある一定期
間内に、液晶駆動に寄与しない、内部直流電圧の大きさ
を制御(低減)するための逆極性の波形を挿入したもの
である。この図18に示した電圧波形は、本発明に係る
液晶表示素子の駆動方法における内部直流電圧の制御電
圧波形の一例であって、図14に示した波形Bの逆極性
に対応するものである。
【0089】内部直流電圧を制御するための電圧波形
は、図18に示した例に限られることなく、図13、図
15乃至図17に示す波形A、波形C乃至波形Eの一方
の状態を選択する電圧波形の形状で、かつ、一状態の選
択期間内に生じた実効的な内部直流電圧と逆極性を示す
電圧波形を用いることができる。この場合、全波形を通
して、2種類の1ビットプレーン波形を組合せるだけで
よいことになり、波形発生回路及び素子特性の負荷を低
減することができる。
【0090】換言すれば、波形発生回路及び素子特性の
負荷は大きくなるものの、内部直流電圧の抑制をより効
果的に行う上では、図13乃至図17に示した波形A乃
至波形Eの1ビットプレーン波形を別の組合せで用いる
ことも、また複数組み合わせることも可能である。
【0091】本発明においては、これらの1ビットプレ
ーン分、ないしは、複数ビットプレーン分を連続するこ
とで構成される内部直流電圧の制御電圧波形は、一状態
の選択期間内に生じた実効的な内部直流電圧とは逆極性
の直流電圧波形、もしくは、図13,図16,図17に
示す波形A、波形D、波形Eの場合では、時間平均をし
た場合に疑似的な逆極性の直流電圧波形であることが最
大の特徴である。
【0092】(7)本発明における内部直流電圧制御波
形を挿入した例 1ビットプレーンの電圧波形が図15乃至図17に示す
波形C乃至波形Eであっても、時間平均をとることによ
り、図14に示す波形Bと見なせることから、以下に示
すように、これら波形C乃至波形Eに対して、図14及
び図18に示す波形B及び内部直流電圧を制御するため
の電圧波形を挿入することによって、内部直流電圧の制
御を行うことができる。この制御電圧波形の印加中は、
LED等による照明光を照射しないことにより、表示を
行わないようにする。
【0093】〔駆動電圧波形1〕この例は、図19に示
すように、1ビットプレーンを構成する電圧波形中に制
御電圧波形を挿入した例である。
【0094】図17に示した波形Eの諸パラメターにつ
いて、V2=V4、V1=V3、t1=t2=37.5
μsec、t3=112.5μsecとした場合、1ビットプ
レーン中の最初の25%に内部直流電圧を制御する波形
期間があり、その後に、液晶の一状態を選択する波形期
間がある波形と見ることができる。
【0095】ここで、液晶の状態を選択する波形期間が
正極性電圧、制御電圧波形期間が負極性電圧からなる1
ビットプレーン波形を108ビットプレーン連続してな
る波形を駆動電圧波形1とする。
【0096】〔駆動電圧波形2〕この例は、図20に示
すように、1フレームが108ビットプレーンから構成
され、内部直流電圧の制御電圧波形を挿入していない例
である。
【0097】〔駆動電圧波形3,4〕この例は、図21
及び図22に示すように、1フレームが108ビットプ
レーンから構成され、36ビットプレーンごとに1周期
4ビットプレーンの矩形波を内部直流電圧制御波形とし
て、計12ビットプレーン分挿入した例である。そのう
ち、表示波形期間の極性が正のものを、図21に示すよ
うに、「駆動電圧波形3」、負のものを、図22に示す
ように、「駆動電圧波形4」とする。
【0098】〔駆動電圧波形5乃至8〕この例は、図2
3中の(A)乃至(D)に示すように、1フレームが1
08ビットプレーンから構成され、6ビットプレーン分
の連続する内部直流電圧制御波形を挿入し、その制御波
形期間の矩形波の形状(周波数)を変えた例である。な
お、この制御波形期間は、約0.93msec、駆動電圧
波形全体に占める時間比率としては、5.6%となる。
【0099】〔駆動電圧波形9乃至13〕この例は、図
24中の(A)乃至(E)に示すように、1フレームが
108ビットプレーンから構成され、12ビットプレー
ン分の連続する内部直流電圧制御波形を挿入し、その制
御波形期間の矩形波の形状(周波数)を変えた例であ
る。なお、この制御波形期間は、約1.85msec、駆
動電圧波形全体に占める時間比率としては、11.1%
となる。これら「駆動電圧波形9乃至13」は、前述の
「駆動電圧波形3」と、内部直流電圧制御波形の駆動電
圧波形全体に占める時間比率は同じである。
【0100】〔駆動電圧波形14乃至19〕この例は、
図25中の(A)乃至(F)に示すように、1フレーム
が108ビットプレーンから構成され、24ビットプレ
ーン分の連続する内部直流電圧制御波形を挿入し、その
制御波形期間の矩形波の形状(周波数)を変えた例であ
る。なお、この制御波形期間は、約3.70msec、駆
動電圧波形全体に占めるが間比率としては、22.2%
となる。
【0101】〔駆動電圧波形20乃至25〕この例は、
図26中の(A)乃至(F)に示すように、1フレーム
が108ビットプレーンから構成され、36ビットプレ
ーン分の連続する内部直流電圧制御波形を挿入し、その
制御波形期間の矩形波の形状(周波数)を変えた例であ
る。なお、この制御波形期間は、約5.55msec、駆
動電圧波形全体に占める割合としては、33.3%とな
る。
【0102】〔駆動電圧波形26乃至31〕この例は、
図27中の(A)乃至(F)に示すように、1フレーム
が108ビットプレーンから構成され、48ビットプレ
ーン分の連続する内部直流電圧制御波形を挿入し、その
制御波形期間の矩形波の形状(周波数)を変えた例であ
る。なお、この制御波形期間は、約7.41msec、駆
動電圧波形全体に占める割合としては、44.4%とな
る。
【0103】〔駆動電圧波形32乃至36〕この例は、
図28中の(A)乃至(E)に示すように、前述した
「駆動電圧波形6,10,15,21,27」において
表示波形期間が負極性電圧の場合のものである。これら
の駆動電圧波形においては、制御波形期間に、1.5周
期分の矩形波が挿入されており、正電圧期間が1箇所、
負電圧期間が2箇所存在している。
【0104】これら駆動電圧波形は、表示波形期間の電
圧の極性によって、制御波形期間の効果が異なることが
予想されるので、その確認を目的とするものである。
【0105】〔駆動電圧波形37乃至40〕前述の「駆
動電圧波形1乃至36」のように、表示に関与する表示
波形期間で、常に、液晶の二状態のうちの正電圧で選択
される状態のみ、または、負電圧で選択される状態のみ
とする波形の電圧を印加した場合に、最も内部直流電圧
が蓄積されるということは容易に予想がつく。
【0106】確認のために、表示に関与する表示波形期
間において、正電圧の印加により選択される状態のみの
場合から、電圧波形の印加により電気的中性になって内
部直流電圧が蓄積されない場合まで、正電圧波形と負電
圧波形との割合を変化させた場合について示す。
【0107】すなわち、図29中の(A)乃至(D)に
示すように、前述の「駆動電圧波形7」のように、1フ
レームが108ビットプレーンから構成される波形にお
いて、制御電圧波形を36ビットプレーン分(5.55
msec、33%)挿入した場合、表示に使用される電圧
波形は、72ビットプレーン分となる。この駆動電圧波
形37乃至40は、表示に関与する72ビットプレーン
分の電圧波形期間が割り当てられる時間域において正電
圧波形の占める割合を、63/72(87.5%)、5
4/72(75%)、45/72(62.5%)、36
/72(50%)とし、36ビットプレーン分の制御電
圧波形として、矩形波を挿入した例である。
【0108】〔駆動電圧波形41及び42〕この例は、
図30中の(B)及び(C)に示すように、前述の「駆
動電圧波形24」の制御波形期間の矩形波の電圧値(V
3,V4)を、表示波形期間の電圧(V1,V2)とは
異なる値とした例である。実際の駆動においては、表示
波形期間の信号電圧と制御波形期間の信号電圧とが異な
ることによって、駆動回路、基板等が複雑になることが
予想されるが、その効果について確認した。
【0109】「駆動電圧波形41」においては、|V1
|<|V3|、|V2|<|V4|となっており、「駆
動電圧波形42」においては、|V1|>|V3|、|
V2|>|V4|となっている。
【0110】(8)本発明に用いた駆動電圧波形の単位
時間当たりの実効直流電圧について上述の「駆動電圧波
形1乃至42」のものについては、印加波形の正電圧と
負電圧との対称性を積極的になくしていることから、疑
似的な直流(DC)駆動と言える。
【0111】図27に示すように、これらの単位時間当
たりの実効的な直流電圧成分を、以下に示す駆動電圧に
基づいて、〔表1〕及び〔表2〕に示すように、算出し
た。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】ここで、「駆動電圧波形1乃至31」で
は、表示選択電圧波形V1=+7V、内部直流制御電圧
波形V1/V2=+7V/−5Vである。「駆動電圧波
形32乃至36」では、表示選択電圧波形V2=−5
V、内部直流制御電圧波形V1/V2=+7V/−5V
である。「駆動電圧波形37乃至40」では、表示選択
電圧波形V1/V2=+7V/−5V、内部直流制御電
圧波形V1/V2=+7V/−5Vである。「駆動電圧
波形41乃至42」では、表示選択電圧波形V1=+7
V、内部直流制御電圧波形V3/V4=+9V/−9
V、+3V/−3Vである。
【0115】(9)本発明に用いた駆動電圧波形の単位
時間当たりの電圧面積強度の非対称性パラメータについ
て上述の(8)に示した「駆動電圧波形1乃至42」に
ついて、単位時間当たりの電圧積分強度を駆動電圧の全
波形中の印加電圧の絶対値の最大値で規格した値、すな
わち、図28に示す面積強度の非対称性パラメータRを
算出した。
【0116】また、制御波形期間だけの面積強度の非対
称性パラメータR′についても同様に算出できる。この
R′値は、1.5周期分の矩形波(正極性期間2箇所、
負極性期間1箇所)を挿入した「駆動電圧波形6,1
0,15,21,27,32乃至36」においては、
0.429以下になるが、それ以外の「駆動電圧波形2
乃至40」では、0.142以下となる。また、「駆動
電圧波形41,42」では0である。
【0117】
【実施例】実施例として、液晶材料が「CS−103
1」で配向膜が「AL1051」、液晶材料が「CS−
1025」で配向膜が「AL1051」、及び、液晶材
料が「CS−1028」で配向膜が「SiO斜方蒸着
膜」の3種類の液晶パネルを作成し、これら液晶パネル
のそれぞれについて、「駆動電圧波形1乃至31」(表
示選択波形V1=+7V、内部直流制御波形V1/V2
=+7V/−5V)、「駆動電圧波形32乃至36」
(表示選択波形V2=−5V、内部直流制御波形V1/
V2=+7V/−5V)、「駆動電圧波形37乃至4
0」(表示選択波形V1/V2=+7V/−5V、内部
直流制御波形V1/V2=+7V/−5V)及び「駆動
電圧波形41乃至42」(表示選択波形V1=+7V、
内部直流制御波形V3/V4=+9V/−9V、+3V
/−3V)を適用して、〔表1〕及び〔表2〕に示すよ
うに、「実施例1乃至140」を定義し、内部直流電圧
値についての測定を行った。
【0118】40°Cで、24時間に亘って駆動電圧波
形を印加した後の内部直流電圧値(内部直流電圧の蓄積
量)は、〔表1〕に示すとおりである。
【0119】これら〔表1〕及び〔表2〕から明らかな
ように、「AL1051」を配向膜として用いた場合に
おいては、駆動電圧波形の種類による内部直流電圧の蓄
積量は、液晶材料によらずに、同様のプロファイルを示
している。
【0120】内部直流電圧制御波形を挿入しない「駆動
電圧波形2」を用いた場合には、内部直流電圧は、2.
5V程度まで蓄積される。
【0121】そして、表示選択波形期間がすべて正電圧
による波形で、内部直流電圧制御波形を挿入した場合、
「駆動電圧波形5乃至8」のように、全体の5.6%程
度の内部直流電圧制御波形期間を挿入すると、内部直流
電圧は、1.6乃至2V程度まで低減し、さらに、「駆
動電圧波形9乃至13」のように、全体の11.1%程
度の内部直流電圧制御波形期間を挿入すると、内部直流
電圧は、0.6乃至0.9Vと低減し、内部直流電圧制
御の効果は大きくなる。また、さらに内部直流電圧制御
波形期間の時間比率を増加していくと、それに伴って、
内部直流電圧は、著しく減少する。
【0122】1ビットプレーン内に内部直流電圧制御期
間を50%挿入した「駆動電圧波形1」では、108ビ
ットプレーン中に内部直流電圧制御期間の時間比率を変
えて挿入したものと比較すると、「駆動電圧波形9乃至
13」のように、11.1%しか挿入していないものと
同じである。内部直流電圧制御期間を挿入する時間比率
は、表示特性としては小さい方が好ましいことから、1
ビットプレーン単位(154.3μsec以下)の非常に
速い領域で内部直流電圧制御波形を挿入するより、10
8ビットプレーン単位(1フレーム、16.6msec以
下)で挿入した方が、より顕著に効果が見られることが
確認された。これらは、パネル内のイオンの移動を伴う
分極速度と緩和速度とに相関していると考えられ、速い
周波数の波形に対しては、分極したイオンが内部直流電
圧制御期間に応答しないためと考えられる。
【0123】また、「駆動電圧波形4」のように、表示
選択波形期間がすべて負電圧になる波形であっても、内
部直流電圧制御波形を挿入することにより、表示選択波
形期間に正電圧波形を挿入した「駆動電圧波形3」と同
じように、問題なく内部直流電圧の蓄積を抑制すること
ができることが確認された。
【0124】表示選択波形期間が、すべて正電圧による
波形から、正負電圧による波形が同数になるまでに亘っ
て変えた「駆動電圧波形24,37乃至40」では、表
示期間の非対称性が緩和されることからも明らかなよう
に、波形期間の偏りの減少に伴って内部直流電圧の蓄積
量は減少することが確認された。
【0125】表示選択波形期間が全て正電圧である「駆
動電圧波形6,10,15,21,27」、ならびに、
表示選択波形期間が全て負電圧である「駆動電圧波形3
2乃至36」においては、制御波形期間は、正電圧期間
が1箇所、負電圧期間が2箇所となる1.5周期分の矩
形波を挿入したものである。このため、制御期間の効果
は、信号期間の極性が正のものより負のものの方が劣る
ことが予想がつく。各制御波形期間の時間幅のもので、
実効的直流電圧に対する内部直流電圧の比で比較する
と、制御波形期間の時間幅が短いときには、予想通りの
結果となったが、時間幅が長くなるほど差が小さくなる
ことがわかった。
【0126】次に、制御波形期間の矩形波の振幅値が表
示選択波形期間の電圧と同じ値の「駆動電圧波形24」
に対して、大きい値の「駆動電圧波形41」と小さい値
の「駆動電圧波形42」とでは、大きい振幅値の「駆動
電圧波形41」を用いた方が、内部直流電圧の抑制には
大きな効果が見られる。
【0127】そして、SiOを配向膜として用いた場合
においては、〔表1〕及び〔表2〕に示すように、PI
系配向膜を使用したときに比較して、顕著に、内部直流
電圧値が大きくなっている。特に、内部直流電圧制御期
間を挿入してないもの、及び、挿入期間が少ないものに
ついては、ほぼ印加した駆動電圧波形の実効的な直流電
圧分まで内部直流電圧が蓄積されてしまっている。
【0128】このような、PI系配向膜とSiO斜方蒸
着膜での違いは、たとえ液晶材料が同じであっても、液
晶パネルとして構成した後におけるパネル中のイオン量
が、前者より後者の方が、1桁以上多いことに起因す
る。
【0129】そして、駆動電圧波形中の内部直流電圧制
御期間を挿入する比率を増加するにしたがって、内部直
流電圧の蓄積量は、抑制される。特に、内部直流電圧制
御期間が12ビットプレーン以上、すなわち、駆動電圧
波形全体の11.1%であれば、全く挿入しない場合の
約1/3まで抑制でき、さらに、12ビットプレーン以
上、すなわち、駆動電圧波形全体の33.3%であれ
ば、ほとんど内部直流電圧は蓄積しない。
【0130】次に、図31に示すように、温度40°C
における駆動電圧波形の印加時間による内部直流電圧値
の蓄積状況について考える。図31は、実施例の液晶材
料として「CS−1031」を用い、配向膜材料として
「AL1051」を用いた各仕様のセルに、「駆動電圧
波形2,5,11,16,24,25,30,31」を
温度40°Cにおいて印加し、印加時間を変えた場合の
イオンによる内部直流電圧の蓄積量を示している。この
図31から明らかなように、内部直流電圧制御波形が挿
入されていない「駆動電圧波形2」においては、印加時
間に応じて、著しく内部直流電圧が蓄積されていること
が確認できる。
【0131】そして、所期駆動電圧波形の印加時間にと
もなって、内部直流電圧が蓄積されるが、内部直流電圧
制御波形期間の時間比率が増加するほど内部直流電圧の
蓄積が抑制される傾向は変わらない。ここで、内部直流
電圧制御期間の時間比率が5.6%と最も少ない「駆動
電圧波形5」では、1000時間の連続印加に対して、
内部直流電圧の蓄積は、2V程度以上まで達し、さほど
の効果は見られない。さらに、内部直流電圧制御期間の
時間比率が11.1%まで大きくなった「駆動電圧波形
11」では、内部直流電圧の蓄積は、1V以下まで低下
し、抑制の効果が大きくなっている。
【0132】「駆動電圧波形11」よりも内部直流電圧
制御期間の時間比率が高い「駆動電圧波形16,24,
25,30,31」においては、内部直流電圧の抑制効
果が顕著になり、1000時間の連続印加をしても、内
部直流電圧の蓄積は、0.3V以下である。
【0133】次に、図32に示すように、温度40°C
における、駆動電圧波形の印加時のイオン電流挙動の結
果について考える。図32は、実施例として、液晶材料
に「CS−1031」を用い、配向膜材料として「AL
1051」を用いた液晶セルに、加熱短絡処理によって
初期化した後に、「駆動電圧波形11,18,25,3
0」を温度40°Cにおいて印加したときのイオン電流
を測定した結果を示している。表示電圧波形期間の印加
電圧は、7V、制御電圧波形期間の印加電圧は、+7V
及び−5Vである。
【0134】さらに、図33に示すように、単一周波数
の矩形波を制御電圧波形期間の時間幅に応じて、以下の
〔表3〕のように挿入したときの、単位波形内での正電
圧と負電圧とによって流れた電流量(電荷量)の対称か
らのずれΔQを算出し、その結果を図34に示す。
【0135】
【表3】
【0136】図34から明らかなように、繰り返し波形
内での電荷量の対称からのずれΔQが電圧印加時間で累
積され、内部直流電圧の蓄積を引き起こすと考えられ
る。これは、ΔQが小さい方が、前述の24時間後の内
部直流電圧の結果が小さくなることからも実証できる。
それぞれの制御電圧波形期間中に同じ周期数の矩形波を
挿入したもので比較すると、制御電圧波形期間の時間幅
が長い方が、電荷量の対称からのずれΔQは小さくな
る。制御電圧波形期間が短いものでは、挿入する矩形波
の周期数が増加すると、ΔQも増加する。一方、制御電
圧波形期間が長いものでは、挿入矩形波の周期数が増加
するに伴い、ΔQは極小点をもつような変化をすること
が分かる。これらから鑑みて、以下のことが分かる。
【0137】すなわち、制御電圧波形期間に挿入する矩
形波の周期数が大きいほど、ΔQは小さくなり、内部直
流電圧の蓄積も抑制できる。但し、挿入する矩形波の1
/2周期時間幅が0.4msec以上、さらに好ましく
は、0.9msec以上のもので、できるだけの多くの周
期数を挿入することがΔQを小さくさせ、内部直流電圧
の蓄積も抑制できる。
【0138】以上に説明した例及び結果から、本発明に
おいては、オンまたはオフの二状態のうち一方の状態を
選択する駆動をその選択期間内に実効的な内部直流電圧
が生じる電圧信号によって行い、かつ、ある一定期間内
に、実際上は液晶駆動に寄与しない、内部直流電圧の大
きさを制御(低減)する交流波形、例えば矩形波を挿入
することによって、内部直流電圧の蓄積を顕著に抑制す
ることができる。
【0139】このとき、たとえ、矩形波を印加する時間
幅を長くしても、繰り返し波形内における電気的な中性
は確保できないものの、比較的短いある範囲内で挿入す
ることにより、不純物イオンが形成する内部直流電圧の
発生を極めて効果的に抑制することができ、表示異常の
防止及び長期間にわたる表示信頼性の確保ができる駆動
条件を見出すことができた。
【0140】内部直流電圧制御期間の駆動電圧波形全体
に対する時間比率をできるだけ大きくすることによっ
て、内部直流電圧の蓄積は抑制できる。ただし、内部直
流電圧制御期間の時間比率を50%とすると、二状態の
うち一方の状態を選択する電圧波形の期間と、内部直流
電圧を制御する電圧波形の期間とが1対1となるので、
あえて、表示に関与しない交流波形制御期間を導入しな
くても、従来通りの駆動電圧波形である図19に示した
波形の50%/50%の比率にした、いわゆる「バイポ
ーラ型」の波形で置き換えることができる。また、内部
直流電圧制御期間の時間比率を大きくすると、ビットプ
レーン時間を短くせざる得ず、輝度、階調などの表示特
性を劣化させてしまう原因になる。
【0141】これら、相反する結果において、輝度、階
調などの表示特性を劣化させずに、内部直流電圧の大き
さを制御(低減)する波形の条件として、内部直流電圧
制御期間を、1フィールドの単位時間あたり、5%以
上、50%未満とすることが望ましく、さらに好ましく
は、10%以上35%以下とすることにより、両者の条
件を最適化することができる。さらに、内部直流電圧の
制御のために挿入する矩形波に代表される交流波形は、
割り当てられた時間内で、1/2周期時間幅が0.4m
sec以上、さらに好ましくは0.9msec以上のもので、
できるだけ多くの周期数を挿入することが望ましい。ま
た、挿入される矩形波は、単一の周波数のものに限られ
ることはなく、複数の周波数の波形を組合せてもよい
が、上述の条件の矩形波が一部にでも含まれていること
が望ましい。
【0142】このとき、内部直流電圧を制御する制御電
圧波形の電気的な中性(制御電圧波形期間の非対称性パ
ラメータR′=0)は必ずしも必要ではなく、実施例に
示すように、オフセット電圧がかかったような矩形波で
あってもよく、|R′|≦0.5の範囲であればよい。
また、「駆動電圧波形24」に対して、制御電圧波形期
間の矩形波の振幅のみを変えた「駆動電圧波形41」と
「駆動電圧波形42」とで比較すると、矩形波の振幅が
大きいほど、内部直流電圧を抑制する効果が大きいこと
が確認できる。
【0143】この駆動電圧波形中に挿入する内部直流電
圧制御波形の極性は、表示波形期間で出力される正負電
圧信号によらず、常に同じ内部直流電圧制御波形を挿入
することができ、駆動回路ならびに波形出力ロジック回
路を簡便にすることができる。
【0144】ただし、できるだけ内部直流電圧制御波形
の挿入期間を短くする場合にあっては、「駆動電圧波形
6、10」のように、内部直流電圧制御期間の電気的中
性がとれていない波形、すなわち、1.5周期の矩形波
を、内部電圧制御波形として発生させることにより、顕
著な効果が得られる。この場合の内部電圧制御波形は、
表示電圧波形期間の極性の偏りに応じて、すなわち、表
示電圧波形期間が正極性の場合には、内部電圧制御波形
期間においては正電圧期間が1箇所、負電圧期間が2箇
所となるようにし、表示電圧波形期間が負極性の場合に
は、内部電圧制御波形期間においては正電圧期間が2箇
所、負電圧期間が1箇所となるように印加する。ただ
し、このように、表示電圧波形期間の偏り極性を識別す
るために、駆動回路及び南部電圧制御波形の出力ロジッ
ク回路が複雑になることも予想される。
【0145】上述のように、本発明は、表示電圧波形期
間が実効的に内部直流電圧を生じさせるのに対して、こ
れをある一定期間内に制御電圧波形期間を挿入すること
で、内部直流電圧を緩和させることに関するものであ
る。すなわち、表示電圧波形期間での液晶パネル中のイ
オンの分極、配向膜への吸着などの内部直流電圧に起因
する現象を、制御電圧波形期間の矩形波によって、効率
的に緩和、脱着させることを目指したものである。特に
緩和が遅く、内部直流電圧として長期間にわたって発生
し、表示特性に致命的な打撃を与えるイオン種の配向膜
への吸着を抑制し、かつ、脱着させる上で、先述の交流
波形が必要であり、かつ、上述の条件に基づくことが必
須となる。
【0146】以上に説明した例から、本発明によれば、
高精細、高コントラスト、画素内階調の表示が可能で、
高信頼性、低消費電力、薄型軽量などの特徴を有する液
晶表示素子を実現することができる。また、その製造に
係る工程が短縮され、生産性の向上とコストの低減をも
たらし、安価に製造でき、良好な表示特性を有する液晶
素子、さらにはその応用である投射型ディスプレイ等を
提供することができる。
【0147】なお、以上に述べた本発明の実施例は本発
明の技術的思想に基づいて、さらに変形が可能である。
例えば、上述した駆動電圧波形をはじめとする駆動条件
は、本発明の目的を達成できる範囲内で様々に変化させ
てもよい。また、上述の実施例では、入射光の反射及び
非反射の二つの状態のいずれか、または、入射光の透過
及び非透過の二つの状態のいずれかを選択するようにし
ているが、これ以外にも、入射光の偏光及び非偏光状態
のいずれか、または、入射光の旋光及び非旋光状態のい
ずれかなど、実質的にオンとオフの二つの状態のいずれ
かを選択するように駆動することとしてもよい。
【0148】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る液晶表示素
子の駆動方法においては、第1の電極が設けられた第1
の基板と第2の電極が設けられた第2の基板とが、該第
1の電極及び該第2の電極が設けられた側を相対向させ
て所定の間隔を隔てて配置され、これら各基板間に液晶
が封入されて構成された液晶表示素子を駆動するにあた
って、該第1の電極及び該第2の電極間に印加する電圧
信号によって、入射光の反射状態及び非反射状態、また
は、入射光の透過状態及び非透過状態、あるいは、入射
光の偏光状態及び非偏光状態、もしくは、入射光の旋光
状態及び非旋光状態、すなわち、オンまたはオフの二状
態を切替えることにより、画像表示を行う液晶表示素
子、例えば、液晶光変調型表示素子、液晶光変調器など
の駆動方法において、一定時間内、あるいは、複数のフ
レーム期間内、もしくは、一のフレーム期間内におい
て、表示信号期間と、表示には関与しない制御信号期間
とからなる駆動電圧波形を用い、該制御信号期間に印加
する電圧信号を、正極性及び負極性の電圧信号が、割当
時間内で交互に、連続的、または、非連続的に変化する
電圧信号、もしくは、途中に0Vの電圧信号域を含む正
負交互の電圧信号とすることにより、内部直流電圧の発
生を極めて効果的に抑制することができるすなわち、本
発明は、十分なビットプレーン時間を確保しつつ、簡単
で、かつ、不純物イオンによる表示画像の質の劣化が生
じないようになされた液晶表示素子の駆動方法を提供す
ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示素子の駆動方法が適用さ
れる強誘電性液晶表示素子における液晶分子の構成を示
す斜視図である。
【図2】上記液晶表示素子における印加電圧と透過率と
の関係を示すグラフである。
【図3】上記液晶表示素子の構成を示す縦断面図であ
る。
【図4】上記液晶表示素子の反射型の動作状態を示す斜
視図である。
【図5】上記液晶表示素子の透過型の動作状態を示す斜
視図である。
【図6】上記液晶表示素子における1フレーム時間内に
おけるビットプレーンと光強度との関係を示すグラフで
ある。
【図7】上記液晶表示素子における各ビットプレーンに
おける電圧印加と透過率(反射率)との関係を示すタイ
ムチャートである。
【図8】上記液晶表示素子において非対称な駆動電圧波
形を印加した場合の短絡操作後の開回路モニター時間と
開回路電圧との関係を示すグラフである。
【図9】上記液晶表示素子において内部直流電圧値を算
出するための短絡操作後の開回路モニター時間と開回路
電圧との関係を示すグラフである。
【図10】上記液晶表示素子における種々の条件下にお
ける短絡操作後の開回路モニター時間と開回路電圧との
関係を示すグラフである。
【図11】「SSFLC」モードのパネルにおけるPs
(自発分極)反転に伴うPs反転電流を示すグラフであ
る。
【図12】「SSFLC」モードのパネルにおけるPs
(自発分極)反転に伴うPs反転電流を示すグラフであ
って、上記図11よりも観測時間を長くしたものであ
る。
【図13】上記液晶表示素子におけるビットプレーン波
形の例(波形A)を示すタイムチャートである。
【図14】上記液晶表示素子におけるビットプレーン波
形の例(波形B)を示すタイムチャートである。
【図15】上記液晶表示素子におけるビットプレーン波
形の例(波形C)を示すタイムチャートである。
【図16】上記液晶表示素子におけるビットプレーン波
形の例(波形D)を示すタイムチャートである。
【図17】上記液晶表示素子におけるビットプレーン波
形の例(波形E)を示すタイムチャートである。
【図18】上記液晶表示素子における内部直流電圧制御
波形を示すタイムチャートである。
【図19】上記液晶表示素子において1ビットプレーン
を構成する電圧波形中に内部直流電圧制御波形を挿入し
た「駆動波形1」であって、正極性電圧によって表示を
させる1ビットプレーン波形及び負極性電圧によって表
示をさせる1ビットプレーン波形を示すタイムチャート
である。
【図20】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成され、内部直流電
圧の内部直流電圧制御波形を挿入していない「駆動電圧
波形2」を示すタイムチャートである。
【図21】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成され、36ビット
プレーンごとに4ビットプレーン分、計12ビットプレ
ーンの内部直流電圧の内部直流電圧制御波形を挿入した
「駆動電圧波形3」を示すタイムチャートである。
【図22】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成され、36ビット
プレーンごとに4ビットプレーン分、計12ビットプレ
ーンの内部直流電圧の内部直流電圧制御波形を挿入した
「駆動電圧波形4」を示すタイムチャートである。
【図23】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、挿入する内部直流電圧制御波形のビットプレーン数
が6ビットプレーンであって、1周期(図中(A))、
1.5周期(図中(B))、2周期(図中(C))、3
周期(図中(D))とした「駆動電圧波形5乃至8」を
示すタイムチャートである。
【図24】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、挿入する内部直流電圧制御波形を12ビットプレー
ンであって、1周期(図中(A))、1.5周期(図中
(B))、2周期(図中(C))、3周期(図中
(D))、6周期(図中(E))とした「駆動電圧波形
9乃至13」を示すタイムチャートである。
【図25】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、挿入する内部直流電圧制御波形を24ビットプレー
ンであって、1周期(図中(A))、1.5周期(図中
(B))、2周期(図中(C))、2周期(図中
(D))、6周期(図中(E))、12周期(図中
(F))とした「駆動電圧波形14乃至19」を示すタ
イムチャートである。
【図26】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、挿入する内部直流電圧制御波形を36ビットプレー
ンであって、1周期(図中(A))、1.5周期(図中
(B))、2周期(図中(C))、2周期(図中
(D))、2周期(図中(E))、3周期(図中
(F))とした「駆動電圧波形20乃至25」を示すタ
イムチャートである。
【図27】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、挿入する内部直流電圧制御波形を48ビットプレー
ンであって、1周期(図中(A))、1.5周期(図中
(B))、2周期(図中(C))、2周期(図中
(D))、2周期(図中(E))、4周期(図中
(F))とした「駆動電圧波形26乃至31」を示すタ
イムチャートである。
【図28】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、挿入する内部直流電圧制御波形がそれぞれ1.5周
期の矩形波であって、6ビットプレーン(図中
(A))、12ビットプレーン(図中(B))、24ビ
ットプレーン(図中(C))、36ビットプレーン(図
中(D))、48ビットプレーン(図中(E))とした
「駆動電圧波形32乃至36」を示すタイムチャートで
ある。
【図29】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、36ビットプレーン分の2周期の矩形波である内部
直流電圧制御波形が挿入され、表示電圧波形区間の負極
性部を9ビットプレーン(図中(A))、18ビットプ
レーン(図中(B))、27ビットプレーン(図中
(C))、36ビットプレーン(図中(D))とした
「駆動電圧波形37乃至40」を示すタイムチャートで
ある。
【図30】上記液晶表示素子において使用される1フレ
ームが108ビットプレーンから構成される波形であ
り、36ビットプレーン分の2周期の矩形波である内部
直流電圧制御波形が挿入され、内部直流電圧制御波形の
電圧値(絶対値)が表示電圧波形の電圧値と等しい場合
(図中(A))、内部直流電圧制御波形の電圧値(絶対
値)が表示電圧波形の電圧値より大きき場合(図中
(B))、内部直流電圧制御波形の電圧値(絶対値)が
表示電圧波形の電圧値より小さい場合(図中(C))の
「駆動電圧波形24、41、42」を示すタイムチャー
トである。
【図31】上記液晶表示素子において「駆動電圧波形
2、5、11、16、24、25,30、31」を印加
した場合の時間経過に対する内部直流電圧の蓄積量を示
すグラフである。
【図32】実施例11(図中(A))、実施例18(図
中(B))、実施例25(図中(C))、実施例48
(図中(D))についての、経過時間と電流との関係を
示すグラフである。
【図33】上記液晶表示素子において、単一周波数の矩
形波を制御電圧波形期間の時間幅に応じて挿入したとき
の、単位波形内での正電圧と負電圧とによって流れた電
流量(電荷量)の対称からのずれΔQを示すグラフであ
る。
【図34】上記液晶表示素子において、内部直流電圧制
御波形が6ビットプレーン、12ビットプレーン、24
ビットプレーン、36ビットプレーン、48ビットプレ
ーンである場合の挿入周期数と内部直流電圧の蓄積量と
の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1a ガラス基板、1b ITO、1c,2c 液晶配
向膜、2a 回路基板、2b アルミニウム、3 スペ
ーサ、4 強誘電性液晶、11 強誘電性液晶変調型表
示素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H093 NA11 NA16 NA34 NA36 NA65 NB27 NC43 NC44 NC52 ND06 ND17 ND35 ND48 NF17 NF20 NG02 NH11 NH14 NH15 5C006 AA22 AB01 AC02 AC26 AF33 AF59 BA12 BA13 BB12 BC16 EC13 FA34 FA38 GA02 5C080 AA10 BB05 CC03 DD18 DD30 EE24 FF09 JJ04 JJ05 JJ06 KK07

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の電極が設けられた第1の基板と第
    2の電極が設けられた第2の基板とが、該第1の電極及
    び該第2の電極が設けられた側を相対向させて所定の間
    隔を隔てて配置され、これら各基板間に液晶が封入され
    て構成された液晶表示素子を駆動するにあたって、該第
    1の電極及び該第2の電極間に印加する電圧信号によっ
    て、入射光の反射状態及び非反射状態、または、入射光
    の透過状態及び非透過状態、あるいは、入射光の偏光状
    態及び非偏光状態、もしくは、入射光の旋光状態及び非
    旋光状態を切替えることにより、画像表示を行う液晶表
    示素子の駆動方法において、 一定時間内、あるいは、複数のフレーム期間内、もしく
    は、一のフレーム期間内において、表示信号期間と、表
    示には関与しない制御信号期間とからなる駆動電圧波形
    を用い、 上記制御信号期間に印加する電圧信号は、正極性及び負
    極性の電圧信号が、割当時間内で交互に、連続的、また
    は、非連続的に変化する電圧信号、もしくは、途中に0
    Vの電圧信号域を含む正負交互の電圧信号であることを
    特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
  2. 【請求項2】 制御信号期間に印加する電圧信号は、矩
    形波、台形波、正弦波、余弦波、三角波、または、階段
    波であって、これを少なくとも1周期以上繰り返す電圧
    波形であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素
    子の駆動方法。
  3. 【請求項3】 制御信号期間に印加する電圧信号は、矩
    形波、台形波、正弦波、余弦波、三角波、または、階段
    波の2以上の異なる波形を組合わせた電圧波形、あるい
    は、矩形波、台形波、正弦波、余弦波、三角波、また
    は、階段波であって周波数の異なる波形を組合わせた電
    圧波形であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示
    素子の駆動方法。
  4. 【請求項4】 制御信号期間に印加する電圧信号は、正
    極性電圧信号及び負極性電圧信号の電圧の絶対値、また
    は、信号幅が互いに異なり、正極性と負極性との電荷が
    不均衡となっている非対称性を有する電圧波形であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子の駆動方
    法。
  5. 【請求項5】 表示信号期間と制御信号期間とから構成
    される駆動電圧波形において、単位時間で平均した電圧
    積分強度を駆動電圧波形全体中の印加電圧の絶対値の最
    大値で規格した面積強度の非対称性パラメータRの絶対
    値|R|は、0.91以下であることを特徴とする請求
    項4記載の液晶表示素子の駆動方法。
  6. 【請求項6】 制御信号期間において、単位時間で平均
    した電圧積分強度を駆動電圧波形全体中の印加電圧の絶
    対値の最大値で規格した面積強度の非対称性パラメータ
    Rの絶対値|R|は、0.5以下であることを特徴とす
    る請求項4記載の液晶表示素子の駆動方法。
  7. 【請求項7】 入射光の状態の選択が、オンとオフとの
    2つの状態のいずれかの選択であって、液晶の応答時間
    に比べて十分に長い時間オンまたはオフの二状態のうち
    の一方の状態を保持する場合においては、電圧信号を印
    加後、所望の透過率、または、反射率が保持されている
    間に、次の選択信号を印加することを特徴とする請求項
    4記載の液晶素子の駆動方法。
  8. 【請求項8】 制御信号期間における電圧の極性及び大
    きさを判断するために、一定時間内、あるいは、複数の
    フレーム期間内、もしくは、一のフレーム期間内におい
    て生じている電荷の偏りを検出する検出回路を用いるこ
    とにより、液晶内でのイオンの分極によって発生する内
    部直流電圧の発生を抑制することを特徴とする請求項4
    記載の液晶表示素子の駆動方法。
  9. 【請求項9】 制御信号期間の時間比率は、駆動電圧波
    形全体の5%以上50%未満であることを特徴とする請
    求項1記載の液晶素子の駆動方法。
  10. 【請求項10】 入射光の状態の選択が、オンとオフと
    の2つの状態のいずれかの選択である液晶表示素子の駆
    動方法であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示
    素子の駆動方法。
  11. 【請求項11】 液晶の応答時間に比べて十分に長い時
    間オンまたはオフの二状態のうちの一方の状態を保持す
    る場合においては、電圧信号を印加後、所望の透過率、
    または、反射率が保持されている間に、次の選択信号を
    印加することを特徴とする請求項10記載の液晶素子の
    駆動方法。
  12. 【請求項12】 液晶は、強誘電性液晶、または、反強
    誘電性液晶からなることを特徴とする請求項10記載の
    液晶素子の駆動方法。
  13. 【請求項13】 液晶表示素子は、シリコーンバックプ
    レーン及び強誘電性液晶からなる反射型液晶表示素子で
    あることを特徴とする請求項10記載の液晶素子の駆動
    方法。
  14. 【請求項14】 表示信号期間において、オンとオフと
    の2つの状態のいずれかである入射光の状態を選択しう
    る電圧信号として、正極性電圧、負極性電圧及び0V信
    号の組合せからなる駆動電圧波形を用いることを特徴と
    する請求項10記載の液晶表示素子の駆動方法。
  15. 【請求項15】 表示信号期間において、入射光の状態
    を選択する期間の駆動電圧波形は、正極性電圧信号、負
    極性電圧信号及び0V信号のいずれかの組合せであっ
    て、かつ、それらの電圧の絶対値、または、信号幅が異
    なり、印加電圧波形として正極性と負極性との電荷が不
    均衡となっている非対称性を有する波形であることを特
    徴とする請求項14記載の液晶表示素子の駆動方法。
  16. 【請求項16】 制御信号期間においては、表示信号期
    間における駆動電圧波形が有している偏りの極性の逆極
    性のパルス的、あるいは、連続した直流電圧である信号
    であって液晶内でイオンの分極によって発生する内部直
    流電圧の発生を抑制するリセット電圧を印加することを
    特徴とする請求項15記載の液晶表示素子の駆動方法。
  17. 【請求項17】 制御信号期間の時間比率は、駆動電圧
    波形全体の5%以上50%未満であることを特徴とする
    請求項16記載の液晶素子の駆動方法。
  18. 【請求項18】 制御信号期間における電圧の極性及び
    大きさを判断するために、一定時間内、あるいは、複数
    のフレーム期間内、もしくは、一のフレーム期間内にお
    いて生じている電荷の偏りを検出する検出回路を用いる
    ことにより、液晶内でのイオンの分極によって発生する
    内部直流電圧の発生を抑制することを特徴とする請求項
    16記載の液晶表示素子の駆動方法。
  19. 【請求項19】 表示信号期間において、オンとオフと
    の2つの状態のいずれかである入射光の状態を選択しう
    る電圧信号として、オンまたはオフの2つの状態のうち
    の一方の状態を選択する電圧信号が、正極性の電圧のみ
    の組合せであって、かつ、他方の状態を選択する電圧信
    号が、負極性の電圧のみの組合せとなっている駆動電圧
    波形を用いることを特徴とする請求項10記載の液晶表
    示素子の駆動方法。
  20. 【請求項20】 表示信号期間において、入射光の状態
    を選択する期間の駆動電圧波形は、正極性電圧信号及び
    負極性電圧信号のいずれかの組合せであって、かつ、そ
    れらの電圧の絶対値、または、信号幅が異なり、一の状
    態の選択期間内において印加電圧波形として正極性と負
    極性との電荷が不均衡となっている非対称性を有する波
    形であることを特徴とする請求項19記載の液晶表示素
    子の駆動方法。
  21. 【請求項21】 制御信号期間においては、表示信号期
    間における駆動電圧波形が有している偏りの極性の逆極
    性のパルス的、あるいは、連続した直流電圧である信号
    であって液晶内でイオンの分極によって発生する内部直
    流電圧の発生を抑制するリセット電圧を印加することを
    特徴とする請求項20記載の液晶表示素子の駆動方法。
  22. 【請求項22】 制御信号期間の時間比率は、駆動電圧
    波形全体の5%以上50%未満であることを特徴とする
    請求項21記載の液晶素子の駆動方法。
  23. 【請求項23】 制御信号期間における電圧の極性及び
    大きさを判断するために、一定時間内、あるいは、複数
    のフレーム期間内、もしくは、一のフレーム期間内にお
    いて生じている電荷の偏りを検出する検出回路を用いる
    ことにより、液晶内でのイオンの分極によって発生する
    内部直流電圧の発生を抑制することを特徴とする請求項
    21記載の液晶表示素子の駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008026848A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Chunghwa Picture Tubes Ltd イメージ編み込み現象の改善方法
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