JP2001352900A - バナナ果肉の軟化防止方法 - Google Patents

バナナ果肉の軟化防止方法

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JP2001352900A
JP2001352900A JP2000218068A JP2000218068A JP2001352900A JP 2001352900 A JP2001352900 A JP 2001352900A JP 2000218068 A JP2000218068 A JP 2000218068A JP 2000218068 A JP2000218068 A JP 2000218068A JP 2001352900 A JP2001352900 A JP 2001352900A
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JP
Japan
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banana
acid
solution
pulp
softening
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JP2000218068A
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Fumihiro Murakami
史浩 村上
Akira Matsuura
明 松浦
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SEIWA TECHNICS KK
Original Assignee
SEIWA TECHNICS KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バナナ果肉の軟化を効果的に防止し、加工し易
く、食味、風味の良い状態を維持する方法を提供するこ
と。 【解決手段】pH緩衝作用を有するリン酸、リン酸塩
類、炭酸塩類、有機酸、有機酸塩類、アミノ酸及びその
塩類の2種又はそれ以上を組み合わせてpHを6〜8に
調整した溶液にバナナ果肉を接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮むき後やカット
後に生じるバナナ果肉の軟化を防止する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】バナナは、デザートやフルーツの盛り合
わせ等に使用される際、皮むきやカットをした時点か
ら、速やかに果肉表面やカット面に変色を起こし、果肉
自体も軟化して、その商品性が著しく損なわれることが
問題となる。このうち変色に関しては、アスコルビン酸
等の還元剤やコウジ酸等のポリフェノールオキシダーゼ
の阻害剤を使用することで解決されつつあるが、軟化防
止に関しては実施された例はなく、問題として残された
ままである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】バナナ果肉の軟化は、
果肉をカットしたり、あるいは、変色を防止するために
酸化防止剤等の製剤の溶液に浸漬することにより顕著に
促進される。果肉の表面が軟化すると、加工する際に身
崩れを起こす等して障害となるばかりか、外観も悪く、
食味、風味が損なわれてしまう。
【0004】本発明は、上記のような課題を解決するも
ので、皮むき及びカット後のバナナ果肉の軟化を防止
し、加工し易く、食味、風味の良い状態を維持する方法
を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】果実の果肉組織の軟化現
象は、細胞壁分離酵素群の働きによるところが大きいこ
とが知られている。細胞壁の構成成分としては、ペクチ
ン性多糖類、ヘミセルロース、セルロース等があるが、
これまでのところ果実の軟化に関与するとして最も報告
が多いのは、ペクチン性多糖類が、ペクチンエステラー
ゼ、ペクチナーゼ(ポリガラクチュロナーゼ)等によ
り、脱メトキシル化、低分子化されて可溶化するという
ものである。バナナからもポリガラクチュロナーゼが分
離され、その性質が調べられており、その活性の最適p
Hは3.3〜4.3であることは分かっている。
【0006】本発明者等は、バナナ果肉の軟化に関与す
る上記のポリガラクチュロナーゼの活性を、pH緩衝作
用を有する溶液を用い、そのpHを調整することによっ
て抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。すな
わち、本発明方法は、pH緩衝作用を有するリン酸、リ
ン酸塩類、炭酸塩類、有機酸、有機酸塩類、アミノ酸及
びその塩類の2種又はそれ以上を組み合わせてpHを6
〜8に調整した溶液にバナナ果肉を接触させることを特
徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるpH緩衝剤と
しては、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素
ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素ニナト
リウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素カリウ
ム、ピロリン酸二水素ナトリウム等のリン酸、リン酸塩
類、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類、アジピン酸、クエ
ン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、グルコノデルタラ
クトン、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビ
ン酸、コウジ酸、フェルラ酸、フィチン酸、イタコン
酸、乳酸、酢酸等の有機酸及びその塩類、グリシン、グ
ルタミン酸等のアミノ酸及びその塩類等が挙げられ、こ
れらの二種またはそれ以上を任意に組み合わせて調整す
る。
【0008】上記pH緩衝剤の使用pHは、pH6〜8
に調整される。pH6以下の場合は、バナナの果肉のp
H5付近と変わらないため、十分な軟化防止効果は期待
できない。また、pH8以上となると、果肉の表面に変
色等の障害が発生して好ましくない。
【0009】pH緩衝剤の濃度については、特に限定は
ないが、0.1重量%以上、5.0重量%以下であるこ
とが望ましい。0.1重量%を下回ると、軟化防止効果
が薄れ、5.0重量%を超えても、それ以上の防止効果
は期待できない。
【0010】pH緩衝剤の水溶液にバナナを接触させる
方法としては、噴霧、浸漬等の任意な手段が取り得る
が、バナナを剥皮した後、できるだけ早く処理する方法
が効果的であり、軟化が始まってからでは十分な効果が
得られないことがある。噴霧する場合は、果肉の表面全
体に行き渡るように満遍なく吹きかけ、しばらくして裏
返し、裏側にも同様に吹きかける。浸漬する場合は、溶
液の水面から浮かび上がった部分にもよく溶液が付着す
るように注意し、浸漬時間は、30秒から3分間程度が
好ましい。要は、溶液がバナナ果肉の全体に付着すれば
良く、浸漬時間があまり長いと果肉成分が溶出し、軟化
を促進してしまうことがある。浸漬後は水切りし、乾燥
しないように容器に入れるか、ポリ袋で覆う等の工夫を
し、できるだけ低い温度(10℃以下の冷蔵状態)で保
存することが望ましい。
【0011】
【実施例】次に本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)バナナの果肉の硬度が、pH緩衝作用を持
つ溶液に浸漬することで維持されるかどうかを調べるた
め、試験区として、pH6〜8となる代表的な組み合わ
せの炭酸水素ナトリウムとリン酸二水素カリウムを用い
て、表1に示すように、その組成比を1:9から9:
1、合計の重量%濃度を0.5%から2.0%として、
それぞれの溶液に浸漬した後のバナナ果肉の硬度を測定
した。
【0012】
【表1】
【0013】バナナを剥皮し、果肉を7mm程度にスラ
イスして、各試験区の溶液に30秒間浸漬後、水切り用
にキッチンペーパーを敷いたトレーに並べ、トレー全体
をポリ袋で覆い、10℃の冷蔵庫内で保管し、保管開
始、24時間後、48時間後の果肉の硬度をレオメータ
ーで測定した。レオメーターは、直径4mmの球形のプ
ランジャーを用い、プランジャーがサンプルに4mm突
き刺さると自動的に止まるように設定し、それまでの最
大応力を測定した。また、一枚のスライスバナナに対し
て3ケ所を測定し、1試験区つき3枚の測定を行なっ
た。
【0014】結果は、表2〜5に示すように、緩衝液に
浸漬した試験区では、どの区でも、対照区1及び2と比
べて応力値が高かった。試験区A、B、Cを比較する
と、pHが中性より酸性側ではほとんど差が認められな
いが、アルカリ側では濃度に依存して応力値が上昇し
た。なお、対照区1と対照区2の応力値を比較すると、
水道水に浸漬した対照区2の方が値は低く、軟化が促進
されていることが分かった。
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】
【表5】
【0019】(実施例2)バナナは、果実の中でも特に
エチレンの感受性が高いものの一つであり、バナナ果肉
の軟化は、皮むきやカット後にエチレン生成量が急激に
増加することにも起因していることから、本発明のpH
緩衝液が、バナナ果肉のエチレン生成量にどれほどの影
響を与えるかを調べるため、実施例1における試験区B
の緩衝液を使用して、エチレン生成量を測定した。バナ
ナの果肉を7mm厚にスライスして10枚づつ用意し、
各試験区の溶液に30秒間浸漬後、一度水切り用にキッ
チンペーパーを敷いたトレーに並べ、その後1.4リッ
トル容のプラスチック製の密封容器に入れ、10℃の冷
蔵庫内に保管、24時間後、48時間後の容器内のエチ
レン濃度を、ガスクロマトグラフィーにて測定した。結
果は、表6に示すように、試験区1,2,3において
は、pHが高くなるほどエチレン濃度が減少し、対照区
2と比較すると、試験区3で最大25.8%の減少が認
められた。なお、対照区1と2を比較すると、水に浸漬
処理を行なった対照区2の方にエチレン濃度が若干高い
傾向にあった。
【0020】
【表6】
【0021】(実施例3)pH調整剤として例示したも
ののうち、コウジ酸及びフェルラ酸にエチレン生成抑制
効果があることを見出し、バナナ果肉のエチレン生成量
に及ぼす影響を調べるため、コウジ酸、フェルラ酸それ
ぞれの1.0重量%の溶液と、実施例2で良好であった
試験区3のpH緩衝液にこれらの酸を組み合わせた溶液
とで、エチレン生成量を測定した。フェルラ酸は、水へ
の溶解性が悪いので、炭酸水素ナトリウムを加えて溶解
させたものを用いた。試験方法は、実施例2と同様の手
順で行なった。結果は、表7に示すように、炭酸水素ナ
トリウムとリン酸一カリウムのpH緩衝液及びコウジ酸
又はフェルラ酸との組み合わせによる併用区の方が、コ
ウジ酸又はフェルラ酸単用区に比べ、エチレン生成量を
効果的に抑制していることが分かった。また、これら併
用区は、対照区と比べ、24時間後、48時間後のいず
れの場合も、エチレン生成量を大幅に抑制していた。
【0022】
【表7】
【0023】(実施例4)実施例3におけるエチレン生
成抑制効果が、バナナ果肉の軟化防止にどれほどの影響
を与えているかを調べてみた。試験方法および測定方法
は実施例1に準じる。結果は、表8示すように、実施例
3における併用区1および2の方が、単用区1および2
に比べ、顕著な軟化防止効果が認められ、食味、風味に
おいても優れていた。
【0024】
【発明の効果】本発明のバナナ果肉の軟化防止方法を実
施するにより、皮むき及びカット後のバナナ果肉の軟化
を効果的に防止することができる。また、加工もし易く
なり、食味、風味の良い状態を維持することもできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B016 LC06 LE01 LE03 LG01 LK01 LK05 LK10 LP13 4B069 AA04 HA13 KA10 KB01 KB03 KC11 KC24 KC25 KC26 KC28

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】pH緩衝作用を有するリン酸、リン酸塩
    類、炭酸塩類、有機酸、有機酸塩類、アミノ酸及びその
    塩類の2種又はそれ以上を組み合わせてpHを6〜8に
    調整した溶液にバナナ果肉を接触させることを特徴とす
    るバナナ果肉の軟化防止方法。
JP2000218068A 2000-06-14 2000-06-14 バナナ果肉の軟化防止方法 Pending JP2001352900A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014162993A (ja) * 2013-02-22 2014-09-08 Uwin Nanotech Co Ltd 金属剥離剤、これを含有する組成物およびこの組成物を使用して金属を剥離する方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014162993A (ja) * 2013-02-22 2014-09-08 Uwin Nanotech Co Ltd 金属剥離剤、これを含有する組成物およびこの組成物を使用して金属を剥離する方法

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