JP2001352121A - リングレーザーのスペクトル線幅の測定方法 - Google Patents

リングレーザーのスペクトル線幅の測定方法

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JP2001352121A
JP2001352121A JP2000173849A JP2000173849A JP2001352121A JP 2001352121 A JP2001352121 A JP 2001352121A JP 2000173849 A JP2000173849 A JP 2000173849A JP 2000173849 A JP2000173849 A JP 2000173849A JP 2001352121 A JP2001352121 A JP 2001352121A
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Yoshiyuki Shimosaku
義行 下窄
Takaaki Numai
貴陽 沼居
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大掛かりな装置を必要とせず、簡便にリング
レーザーのスペクトル線幅を測定する方法を提供する。 【解決手段】 測定するリングレーザーは、半導体光ア
ンプ1と、光共振器部分にあたる、全長3mのシングル
モード光ファイバループ2から構成されている。また、
半導体光アンプは電源3によって駆動されており、半導
体光アンプの端子間電圧をオシロスコープ4を用いて測
定する。リングレーザーをリング状の光導波路を含む面
内にて回転させると、パルス状のビート信号が生じる。
そのパルス上のビート信号の各ピークの時間間隔をそれ
ぞれ画面から読み取り、これをそれぞれ逆数を取って周
波数に変換し、平均を取って、ビート周波数求める。つ
づいて、各パルスのパルス幅をそれぞれ同様に周波数に
変換し、それぞれビート周波数との差を計算してスペク
トル線幅を計算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、リングレーザーの
スペクトル線幅の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、レーザー光のスペクトル線幅の測
定方法としては、2台の互いに独立なレーザーから出力
されたレーザー光間のビートをスペクトルアナライザで
測定するヘテロダイン法や、1台のレーザーからの出力
光を2つに分け、一方の光に遅延を与えてもう一方の光
と重ねあわせ、生じるビートを測定する自己遅延ヘテロ
ダイン法あるいは自己遅延ホモダイン法等がよく知られ
ている。特に、自己遅延ヘテロダイン法あるいは自己遅
延ホモダイン法は、エレクトロニクス・レターズ(El
ectronics Letters)誌の16巻68
0〜681ページに述べられているように、参照レーザ
ーの必要もなく、スペクトル線幅を測定することができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記いずれの
方法にせよ、参照用レーザーあるいは光ファイバールー
プや、アイソレーターなどが必要になる。また、測定の
ための光学系を組む必要もあり、簡便な測定は困難であ
った。かつ、測定系が大掛かりになるので、例えばリン
グレーザー本体を回転させたり、振動させたりしながら
スペクトル線幅を測定するのは困難であった。
【0004】そこで、本発明は、大掛かりな装置を必要
とせず、簡便にリングレーザーのスペクトル線幅を測定
する方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明の測定方法においては、右回りと左回りの2
つのレーザー光が共存しているリングレーザーにおい
て、上記2つのレーザー光の発振周波数にわずかな差を
設け、その結果生じるビート信号のパルス幅を測定する
ことにより、前記右回りまたは前記左回りのレーザー光
のスペクトル線幅を測定するようにしている。
【0006】すなわち、本発明においては、リング共振
器内に共存している右回りと左回りの2つのモード間に
おいて、この2つのモードの干渉により生じるパルス状
のビートを観測する。完全に対称な光導波路であり、2
つのモードに対する利得も等しければ、2つのモードの
発振周波数は等しく、ビートは生じない。しかし、光導
波路になんらかの非対称性、たとえば損失差や利得差、
光路長差などを設け、2モードの発振周波数に差を生じ
させることで、パルス状のビート信号が得られる。この
パルス幅が光周波数のゆらぎであり、パルス幅を測定す
ることでスペクトル線幅を知ることができる。
【0007】2つのモードに発振周波数差を生じさせる
方法としては、リングレーザーを、そのリング状共振器
を含む面内で回転させる方法がある。この方法では、2
つのモードが感じる光路長が変化し、これにより発振周
波数が変化する。リングレーザーを回転させる際に、回
転の角速度は一定でもよいし、時間と共に変化していて
も構わない。回転角速度の変化に伴い、パルスの間隔は
変化するが、パルスひとつひとつの幅は変化しないから
である。他にも、リング共振器部分にわずかな非対称性
を設け、右回りの光と左回りの光に対する損失にわずか
な差を与えることで、それぞれの光強度に差を生じさ
せ、この光強度差によって右回りと左回りの光の発振周
波数に差を生じさせる方法もある。この場合も、リング
レーザー本体を回転させて、複数の回転角速度において
それぞれパルス幅を測定し、その値を統計処理すること
で測定精度が向上する。
【0008】ビート信号の検出方法については、リング
共振器からレーザー光を取出して光検出器でこれを測定
するほか、半導体リングレーザーの端子間電圧を測定す
ることで、光強度の変動を測定する方法もある。特に後
者の方法では、測定のための光学系が一切不用になる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。
【0010】図1は、本発明の測定原理を説明するため
のリングレーザーの概念図である。
【0011】リング共振器内をお互いに反対方向に進む
2つの進行波を考え、それぞれ電場の振幅をE1、E2
空間分布をU1、U2とする。また、共振器長をLとす
る。このモデルにおいて、導波路内の電界の空間分布関
数を、後方散乱を考慮に入れて、式(1)、式(2)で
表す。なお、参照する式は、一括して発明の実施の形態
の欄の最後に示す。
【0012】ただし、上式において、式(3)式
(4)、式(5)が成り立つ。
【0013】K1>0、K2>0はそれぞれ右回り、左回
りの光の波数である。2つの進行波は、対称なリング共
振器における定常状態では同一の波数K0 をもち、リン
グ共振器が回転すると波数シフトΔKがおこる。また、
nは正の整数、Rは後方散乱の振幅反射率、δは反射波
の位相ずれをあらわす。K1 ≠K2 となったとき、右回
りと左回りの2モード間に位相差が生じ、ビートが観察
される。2モードの場合を考えると、式(6)、式
(7)にしたがって、2つのモードの発振周波数が変化
する。
【0014】次に、半古典論を用いて本発明の測定原理
を説明する。はじめに、マクスウェルの方程式の解とし
て、電界E(r、t)と分極P(r、t)を式(8)、
式(9)のようにおく。
【0015】ここで、En はモードnの電界振幅、ωn
+φn =ωはモードnの発振角周波数、Un(r)はモ
ードnの空間分布関数、Pnはモードnに対する分極振
幅であり、振幅En、Pn、位相φnは光の周波数に比べ
て十分ゆっくり変化すると仮定する。なお、c.c.は
複素共役(complex conjugate)の略
である。さらに、真空の誘電率ε0 =8.854×10
-12 F・m-1と電気伝導率σを用いて、モードnに対す
るQ値Qn を式(10)で定義する。
【0016】ωは略ωnであることに注意すると、式
(11)、式(12)が得られる。
【0017】ただし、Ωnはレーザー共振器の共振角周
波数である。式(11)によってモード振幅が決まり、
式(12)によってモードの発振角周波数がきまる。
【0018】つぎに、密度行列と分極について述べる。
摂動Hint(r、p)が存在するとき、シュレディンガ
ーの波動方程式は、式(13)となる。ここで、H
0(r、p)は非摂動ハミルトニアンである。いま、2
準位系を考え、摂動がないときの状態|a〉、|b〉の
波動関数をそれぞれua(r)、ub(r)とする。ま
た、バンド内の緩和の効果は減衰係数として取り入れ
る。
【0019】このとき、摂動がある場合の波動関数Ψ
(r、t)は、式(14)に従って、ua(r)とu
b(r)の重ね合わせで表される。
【0020】ここで、ca(t)とcb(t)は時間変化
を表す係数である。式(13)に(14)を代入し、緩
和を考慮するために現象論的な減衰係数γa とγb を取
り入れると、ca(t)とcb(t)に対して式(1
5)、式(16)のような運動方程式が得られる。
【0021】ここで、ωaとωbは、それぞれ状態|
a〉、|b〉の固有角周波数であり、摂動エネルギーH
abは式(17)で与えられる。
【0022】ca(t)とcb(t)を用いて、2準位系
の密度行列ρkl(k、l=a、b)を式(18)、式
(19)、式(20)、式(21)で定義する。
【0023】ここで、Nは準位の全分布であり、このと
きρaaとρbbはそれぞれ状態|a〉、|b〉の分布(p
opulation)を表している。
【0024】式(15)と(16)を用いると、2準位
系の密度行列ρklに対する運動方程式として、式(2
2)、式(23)、式(24)が得られる。
【0025】ただし、ここで励起項λa とλb を導入し
た。
【0026】また、式(25)、式(26)が成り立
つ。
【0027】さて、摂動Hintが電気双極子相互作用で
あるとき、摂動エネルギーHabは回転波近似のもとで式
(27)となる。ここで、式(28)の左辺pは状態|
a〉と|b〉の間の双極子モーメントであり、電気素量
eを用いて式(28)の右辺のように表される。
【0028】なお、回転波近似とは、電界や分極の振幅
が追随できないような高速の時間変化を無視したことに
相当する。
【0029】さて、分極Pは式(29)であるから、そ
の振幅Pn(t)は式(30)で与えられる。
【0030】ここで、規格化因子Nn は式(31)で表
される。
【0031】なお、共振器軸方向にz軸を選び、共振器
長をLとした。
【0032】分極を計算するため、式(22)−(2
4)を逐次積分法を用いて解き、式(30)に代入す
る。その結果、1次の分極Pn (1)と3次の分極P
n (3)は、式(32)、式(33)のようになる。
【0033】ただし、ここで、式(34)、式(3
5)、式(36)、式(37)、式(38)が成り立
つ。ここに、式(30)、式(31)のNnは規格化因
子である。
【0034】以上のようにして得られた3次までの分極
(32)、(33)を用いて、分極Pn は式(39)と
表される。こうして、密度行列の方法により計算された
分極(39)を、電界を古典的に扱うことで得られた基
本方程式(11)、(12)に代入して、式(40)、
式(41)を得る。ただし、ここで、式(42)、式
(43)が成り立つ。
【0035】このようにして基本方程式を変形し、モー
ド振幅とモードの発振周波数を決定する式を厳密に導い
た。
【0036】次に、以上のようにして得られたモード振
幅を決定する式(40)を用いて、右回りの進行波に対
する電場の時間変動を表す式(44)を以下のように導
く。
【0037】ここで、添字の1は右回りの進行波を表
し、N nμρσは電場の空間分布を表す。ゆえにN n
μρσは実数でならなくてはならない。また、周波数因
子Fnμρσを式(45)で定義する。
【0038】なお、空間分布N nμρσは無次元量で
あり、周波数因子FnμρσはS3の次元をもつ。ここ
で、式(45)を式(44)に代入すると、式(46)
を得る。
【0039】まったく同様の手順で、左回りの進行波に
対する電場の時間変動の式(47)得る。
【0040】いうまでもなく、添字の2は左回りの進行
波を意味している。ここで、2モードの場合における、
空間分布関数の計算結果を式(48)乃至式(63)に
示しておく。
【0041】また、式(45)を用いて、周波数因子F
nμρσを計算する際に必要な因子Dμρσは、式(6
4)乃至式(71)のようになる。
【0042】次に、式(46)および(47)を変形し
て、レート方程式を導く、無次元化光強度In 、自己飽
和係数βn 、相互飽和係数θnm、自己干渉係数ξn 、相
互干渉係数ηnmをそれぞれ式(72)乃至式(76)で
定義する。添字はn、m=1、2であり、前述のように
右回りと左回りの進行波をそれぞれ表す。これらの式
(72)−(76)を、式(46)に代入して、右回り
の進行波に対するレート方程式は、式(77)となる。
【0043】まったく同様の手順で、左回りの進行波に
対するレート方程式は、式(78)のようになる。
【0044】以上のようにして、半古典論を用いた解析
により、本発明のモデルにおけるレート方程式を導出し
た。
【0045】次に、このレート方程式を解き、パルス状
のビートが存在することを示す。時間変動する解とし
て、解の形を式(79)、式(80)のように仮定す
る。
【0046】ここでψ=|ω1 −ω2 |は、2つのモー
ドの発振角周波数差である。光出力が周期的に変動する
とき、正味の利得もこれに同期して変動しているはずだ
から、同様に正味の利得を式(81)、式(82)で表
す。
【0047】正味の利得αn が、時刻tの関数として正
負両方の値をとるが、αn <0ではレーザー発振は起き
ない。したがって、αn <0の場合、光強度In =0と
みなすことにする。これらをレート方程式(77)、
(78)へ代入して整理する。
【0048】この際、簡単のため、あらたな因子を式
(83)、式(84)で定義する。これを用いると、式
(85)、式(86)が得られる。
【0049】ここで、√I20/I10および√I10/I20
は実数でなくてはならないが、式(85)、(86)の
右辺は明らかに複素数である。したがって、虚部が0と
いう条件から、式(87)、式(88)の条件が必要で
ある。これを顕わに書き下して整理すると、式(8
9)、式(90)となる。
【0050】式(89)、(90)の左辺は、ψ=0な
らば常に0であり、虚部が0という条件を、時刻tに関
わらず常に満たしている。ところが、ψ≠0の場合に
は、式(89)、(90)の左辺は時刻tの関数とし
て、時間とともに変化する。すなわち、式(89)、
(90)を満たすような時刻tにおいてのみ、レーザー
発振がおきる。そして、このときに、右回りと左回りの
2つのモードが共存していて、かつα1 は略α2 であれ
ば、2モードの干渉によるビート信号が検出される。こ
こで3つの項の大小関係を考えると、α10やα20、1/
γphにくらべてψが充分小さければ、式(89)、(9
0)の左辺第2項および第3項が無視でき、結局、式
(91)が成立しなくてはならないということがわか
る。一般的にリングレーザーにおいては、上述の条件を
満たす。このことから、2モードが共存している場合に
おいては、式(91)を満たすような時刻tにおいての
み、パルス状のビートが出るということが示された。
【0051】さて、このパルスは、周波数揺らぎがなけ
れば、デルタ関数状のパルス列になるはずである。しか
し実際には、各パルスは、右回りと左回りの2つのモー
ドそれぞれの周波数揺らぎの重ねあわせに応じた幅を持
つ。ビート信号は先に示したように、式(91)から、
式(92)が成り立つときにのみ、パルス状の信号が出
るということがわかる。ただしnは整数である。ここ
で、ゆらぎを考慮して、ビート周波数とパルスが出る時
間をそれぞれ式(93)、式(94)で表す。
【0052】ゆらぎがない場合のビート周波数をψ0
し、周波数空間において、パルスはψ0 を中心にΔψの
幅をもつとする。また、ゆらぎがない場合の、パルスが
でる時刻をt0 とし、時間軸においてどれだけパルスが
広がっているかをΔtであらわす。これらを式(92)
に代入して、計算すると、式(95)を得る。ここでm
は整数である。式(95)の第二項と第三項が時間のゆ
らぎ、すなわちパルス幅に関係する部分である。いま、
0 が充分小さいとし、Δψt0 ≪2πの場合を考え
る。また、ゆらぎが小さく、m=1とすると、式(9
6)が得られる。
【0053】したがって、ゆらぎの幅Δψは、式(9
7)で与えられる。ここで、ψ0 =2πf0 、Δψ=2
πΔfとすると、スペクトル線幅Δfは、式(98)で
表される。すなわち、光出力の時間変化を観察して、パ
ルス状のビート信号のパルス間隔からビート周波数を検
出し、これとパルス幅から、2つのモードのスペクトル
線幅を知ることができる。
【0054】以下、実施例に即して、本発明の測定方法
について説明する。
【0055】図2は、本発明の第一の実施例を示す図で
ある。測定するリングレーザーは、半導体光アンプ1
と、光共振器部分にあたる、全長3mのシングルモード
光ファイバループ2から構成されている。また、半導体
光アンプは電源3によって駆動されており、半導体光ア
ンプの端子間電圧をオシロスコープ4を用いて測定でき
るようになっている。また、リング共振器部分は完全に
対称な構造であり、定常状態において、右回りと左回り
の光が共存しているとする。この段階では、ビートは観
察されない。
【0056】このリングレーザーを、発振している状態
において、任意の角速度で、リング状の光導波路を含む
面内にて回転させる。すると、右回りの光と左回りの光
の発振周波数に差が生じ、その結果、パルス状のビート
信号が生じる。これをオシロスコープ4を用いて、パル
スの幅を測定する。この際、回転の角速度を変化させて
それぞれパルス幅を測定し、得られたデータを平均化し
て、測定精度を向上させることも可能である。なお、発
振周波数差は、スペクトル線幅以上のわずかな差があれ
ばよい。
【0057】こうして得られたパルス幅と、パルス間隔
よりビート信号の周波数とを用いて、リング共振器内の
一方(右回りもしくは左回りのどちらか)のモードのス
ペクトル線幅を測定する。
【0058】図3は、以上の方法により得られたパルス
幅の測定画面(オシロスコープの画面)である。半導体
光アンプの端子間電圧の波形においては、図の上方向が
光強度が大きい。
【0059】測定したリングレーザーは、発振しきい値
電流がおおむね10mA程度であり、波形を測定する時
点では12mAで駆動している。まず、各ピークの時間
間隔をそれぞれ画面から読み取り、これをそれぞれ逆数
を取って周波数に変換し、平均を取って、ビート周波数
を3.2kHzと計算することができた。つづいて、各
パルスのパルス幅をそれぞれ同様に周波数に変換し、そ
れぞれビート周波数との差を計算してスペクトル線幅を
計算する。最後に平均を取って、スペクトル線幅として
1.0kHzという値が得られた。
【0060】ここで、図4は、公知の自己遅延ホモダイ
ン法による測定系の概念図である。5は1×2の光カプ
ラ、6はハーフミラー、7は遅延用光ファイバループ
(760m)、8は光スペクトラムアナライザ、9は光
アイソレータである。
【0061】図5は、この自己遅延ホモダイン法によっ
て得られたデータを示す光スペクトラムアナライザ8の
波形図である。
【0062】又、図6は、得られたデータに、ローレン
ツ型分布関数を用いてフィッティングを行った結果を示
すグラフである。
【0063】光スペクトラムアナライザ8の波形から読
み取ったスペクトル線幅およびフィッティングにより求
めたスペクトル線幅は1.0kHz〜1.5kHzであ
り、先に述べた本発明による実施例で得られた値とほぼ
一致している。なお、本実施例においては、リングレー
ザーはマルチモード発振しており、キャリアのゆらぎの
効果も大きい。ローレンツ型分布関数でのフィッティン
グはこれらを考慮していないため、10kHz付近から
フィッティングの精度が悪くなっているが、スペクトル
線幅の測定に対して大きな寄与はないと考えられる。
【0064】なお、通常の半導体レーザーでは、スペク
トル線幅としておおむね10MHz程度の値が得られて
いる。また標準的な共振器長は300μmである。スペ
クトル線幅は、公知の修正されたシャーロウ・タウンズ
の式に従い、共振器長に反比例する。本実施例のリング
レーザーの共振器長は3mと考えてよいので、一般の半
導体レーザーに比べて共振器長は104 倍に、従ってス
ペクトル線幅は10-4倍になると考えられる。すなわ
ち、共振器長から見積もられるスペクトル線幅は、10
×106 ×10-4=1kHzとなり、得られた結果とも
よく一致する。
【0065】図7は、本発明の第二の実施例に用いる測
定計の概念図である。なお、図2と同一要素には同一符
号を付して、重複する説明は省略する。
【0066】第一の実施例との相違点は、第二の実施例
において、測定されるリングレーザーが、その光導波路
にわずかな非対称性を持つ半導体リングレーザー10で
ある点である。光導波路部分にわずかな非対称性をもつ
ことで、右回りと左回りの光強度にわずかな差が生じ、
第一の実施例のようにリングレーザー自体を回転させな
くても、パルス状のビート信号を得ることができる。こ
のビート信号の測定は、第一の実施例で半導体光アンプ
の端子間電圧を測定したのと同様に、非対称性を持つ半
導体リングレーザーの端子間電圧を測定することで実現
する。
【0067】なお、第二の実施例において、さらにリン
グレーザー本体を第一の実施例と同様に回転させてもよ
い。これにより測定精度を向上させることが可能であ
る。
【0068】図8は、本発明の第三実施例に用いる測定
系の概念図である。なお、図7と同一要素には同一符号
を付して、重複する説明は省略する。
【0069】第二の実施例との相違点は、第三の実施例
において測定される非対称性を持った半導体リングレー
ザー13が、光取出し用の窓11を持っていることであ
る。第二の実施例では、半導体リングレーザーの端子間
電圧を測定することでビート信号を検出していたが、本
実施例では、直接光を取出し、これを光検出器12で電
気信号に変換することでビート信号を検出する。なお、
第三の実施例において、さらにリングレーザー本体を第
一の実施例と同様に回転させてもよい。これにより測定
精度を向上させることが可能である。
【0070】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、参照した式(1)乃至式(98)は、次の通りで
ある。
【0071】
【数1】
【0072】
【数2】
【0073】
【数3】
【0074】
【数4】
【0075】
【数5】
【0076】
【数6】
【0077】
【数7】
【0078】
【数8】
【0079】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、リングレ
ーザーのスペクトル線幅の測定を容易に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定原理の説明のモデルを表す図であ
る。
【図2】本発明の第一の実施例を示す構成図である。
【図3】本発明の第一の実施例の方法に従い実際に測定
した端子電圧の波形図である。
【図4】本発明の第一の実施例により得られたスペクト
ル線幅の値の妥当性を検証するために、公知の自己遅延
ホモダイン法を用いてリングレーザーのスペクトル線幅
を測定した時の測定系の模式図。
【図5】公知の自己遅延ホモダイン法により得られた光
のスペクトル形状の波形図である。
【図6】ローレンツ型分布関数を用いてフィッティング
を行った結果を示すグラフである。
【図7】本発明の第ニの実施例を示す構成図である。
【図8】本発明の第三の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 半導体光アンプ 2 リング共振器として用いられる光ファイバループ 3 半導体光アンプ駆動用電源 4 オシロスコープ 5 光カプラ 6 ハーフミラー 7 遅延用光ファイバループ 8 光スペクトラムアナライザ 9 アイソレーター 10 導波路部分にわずかに非対称性を持つ半導体リン
グレーザー 11 光取出し用窓 12 光検出器 13 導波路部分にわずかな非対称性を持ち、かつ光取
出し用の窓も持っている半導体リングレーザー

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 右回りと左回りの2つのレーザー光が共
    存しているリングレーザーにおいて、 前記2つのレーザー光の発振周波数に差を設け、 その結果生じるビート信号のパルス幅を測定することに
    より、 前記右回り、または前記左回りのレーザー光のスペクト
    ル線幅を測定することを特徴とするスペクトル線幅の測
    定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のスペクトル線幅の測定
    方法において、 前記リングレーザーの光導波路部分に非対称性を設け、 前記右回りと前記左回りの光の間に損失差を生じさせ、 これにより前記右回りと前記左回りの光の間に光強度差
    を生じさせ、 その結果前記右回りと前記左回りの光の間に発振周波数
    の差を生じさせることを特徴とするスペクトル線幅の測
    定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1、2のいずれか一つに記載され
    たスペクトル線幅の測定方法において、 前記リングレーザーを、そのリング状の光導波路を含む
    面内で回転させ、 発振周波数の差を生じさせることを特徴とするスペクト
    ル線幅の測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のスペクトル線幅の測定方
    法において、 前記リングレーザーを回転させる際に、その回転角速度
    を変化させ、 複数の異なる回転角速度においてそれぞれスペクトル線
    幅を測定し、 これらのデータを統計処理することを特徴とするスペク
    トル線幅の測定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一つに記載さ
    れたスペクトル線幅の測定方法において、 前記リングレーザーの光導波路の一部分から光を取出
    し、 この取出した光を光検出器に入射し、 前記ビート信号を検出し、前記パルス幅を測定すること
    を特徴とするスペクトル線幅の測定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれか一つに記載さ
    れたスペクトル線幅の測定方法において、 前記リングレーザーの端子間電圧を測定することによ
    り、 前記パルス状のビート信号の幅を測定することを特徴と
    するスペクトル線幅の測定方法。
  7. 【請求項7】 前記発振周波数の差は、1KHz以上で
    1000MHz以下であることを特徴とする請求項1記
    載のスペクトル線幅の測定方法。
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