JP2001350487A - 残響音信号生成方法、残響音信号生成装置、及び残響音信号付加装置 - Google Patents

残響音信号生成方法、残響音信号生成装置、及び残響音信号付加装置

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JP2001350487A
JP2001350487A JP2000167155A JP2000167155A JP2001350487A JP 2001350487 A JP2001350487 A JP 2001350487A JP 2000167155 A JP2000167155 A JP 2000167155A JP 2000167155 A JP2000167155 A JP 2000167155A JP 2001350487 A JP2001350487 A JP 2001350487A
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reverberation
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reverberation sound
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Yoshihisa Fujinami
喜久 藤浪
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メモリ容量の少ないハードウェア構成
で、遅延時間が長く、かつ反射音密度の高い残響音を生
成する残響音生成装置を実現することにある。 【解決手段】 高域周波数に対し中域周波数以下で所定
の位相遅延量を有する複数のオールパスフィルタを縦続
接続した遅延部(6)と、その遅延部の信号を所定量取
得する信号取得手段(8)と、その取得した信号と、供
給された音響信号を加算する加算手段(5)と、その加
算された信号を前記オールパスフィルタ手段に再び供給
するようにして巡回的にオールパスフィルタ処理を行う
ことにより残響信号を得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響信号処理技術
に関し、スピーカやヘッドホンによる再生音場におい
て、簡易な処理によって低音成分の遅延を作りだし、聴
取者にホール音場等の残響感を与える信号を生成する残
響音信号生成方法、残響音信号生成装置、及び残響音信
号付加装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】CD(Compact Disc)等に記録する音響
信号の音源は、通常、比較的デッドな環境で収録、編
集、制作されており、そのようにして制作された音響信
号にはコンサートホール等で聞くことのできるような反
射音、残響音があまり含まれていない。
【0003】その、反射音、残響音が多く含まれる音源
の収録方法として、例えば音響信号をコンサート会場
で、ダミーヘッド(人工頭)を用い、ダミーヘッドの耳
部にマイクロフォンを挿入して収録する方法があり、過
去に行われた。
【0004】そのダミーヘッドを用いる収録方法によれ
ばコンサート会場の雰囲気は良く収録されるものの、演
奏される個々の楽器の音質、音色に透明感が少なく、ま
た個々の音源の音量の調整を個別に行なうことが困難で
あるなどにより、近年の音楽の収録は楽器ごとにマイク
ロフォンを多数使用して収録し、その収録した楽器の信
号をミキサーによりミキシングして音楽信号としての制
作を行う、いわゆるマルチマイクロフォンを用いる収録
方法が主流となっている。
【0005】この場合、個々のマイクロフォンにより収
録された音楽には残響音成分は含まれていなく、通常
は、ミキシングされた音楽信号に対してエコーマシンを
用いて残響音の付加を行うような方法が用いられてい
る。
【0006】このようにして制作される音楽信号の聴取
は、聴取者の前面に配置される左右2個のスピーカによ
る再生を前提として制作されるものであり、従って視聴
者の前面のスピーカより放射される音響信号に付加され
る残響音信号は、いわゆるホールで、ダミーヘッドを用
いて収録したときの残響音とは異なっているのが通常で
ある。
【0007】そこで、このようにして制作された音響
(音楽)信号を、あたかもコンサートホールで聴取する
ような、コンサート会場の音響特性を再現するため、ホ
ールの反射音、残響音をシミュレートした音響信号を付
加して再生するためのディジタルアコースティックプロ
セッサ(DAP)が聴取者により用いられるようになっ
てきている。
【0008】このディジタルアコースチックプロセッサ
による音響信号の処理は、主として残響音を付加するリ
バーブ(reverberant filter)と呼ばれる残響音生成フィ
ルタが用いられており、その残響音生成フィルタにより
生成された残響音信号を付加したオーディオ信号を生成
して試聴するようにするが、次にその残響音生成フィル
タの信号処理について述べる。
【0009】図12に、残響音生成フィルタの基本的な
信号処理の構成を示す。この残響音生成フィルタは、遅
延メモリとフィードバックループによって構成されてお
り、この構成により生成されるリバーブ信号の伝達関数
H(z)は図13に式(1)として示した通りである。
【0010】ここで、gは帰還用増幅器の利得であり、
mはこの残響音生成フィルターが有する極の数であり、
通常のリバーブ信号は多くの極を有する残響音生成フィ
ルタが用いられている。
【0011】図14に、例えば極が8個であるときのZ
平面を示す。即ち、同図に示される極の特性は、残響音
生成フィルタが有する信号の特性を実数軸(re)と虚数
軸(im)平面を用い、Z平面における8個の極の特性を
実数、虚数軸平面に投影して示したものであり、それら
のM個の極は前述の図13に掲載する式(2)で表され
る値をとるものである。
【0012】この図に示す極は、m=8の場合でであ
り、kはそれぞれの極に対して0〜7の数字によりそれ
ぞれの極の位置を示している。
【0013】従って、残響音生成フィルタの周波数応答
特性は図15に示すように、それらの極付近の周波数に
おいて振幅値が高く、いわゆるピークをもつ特性とな
り、このように振幅値がピークとディップを繰り返す、
いわゆる櫛形(comb)フィルタ特性となるものである。
【0014】ここで、前述の式(1)で示される伝達関
数を逆Z変換したものが前述の図13に掲載した式
(3)であり、この残響音生成フィルタのインパルス応
答特性は、図16に示すような、m個のサンプリングポ
イント(標本化点、標本化時間位置)ごとに等時間間隔
で並ぶインパルス信号列となる。
【0015】さて、このように前述の図15に示したよ
うな等周波数間隔で生じる周波数応答特性の残響音や、
図16に示すように等時間間隔のインパルス信号特性で
ある周期的な特性を有する反射音は、聴感上、機械的に
生成された残響音信号と比喩されるような不自然な音と
して感じられ、このような特性の残響音は音楽信号に付
される残響音信号として不適当であるといえる。
【0016】そこで、インパルス特性の時間間隔や、周
波数応答特性のピーク周波数、ディップ周波数の間隔が
互いに調和関係にない、いわゆる素である遅延特性を有
する複数の残響音生成フィルタを並列接続することによ
り、生成される残響音の不自然さを取り除く方法が一般
に用いられる。
【0017】図17は、、Shroeder氏によって提案され
た、4つの遅延メモリを並列接続する構成の自然な残響
音信号を生成する残響音生成装置の構成であり、お互い
に簡単な整数比の関係にない、素の関係にあるm1〜m
4のサンプリングポイントの特性を有する残響音生成フ
ィルターを並列接続した構成とされており、一般にこの
ような構成の残響音生成装置が用いられる。
【0018】図18は、このように並列接続された残響
音生成装置により生成された残響音の特性をインパルス
応答で示した例であり、パルス列が不規則に並んでいる
ことから、自然に近い形の残響音が付加されていること
がわかる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成の、残響音フィルタを多数個、並列に接続する
構成の残響音生成装置をデジタル回路で構成しようとす
るとき、そのデジタル回路は供給される音響信号を遅延
させるために、多くのメモリ素子を必要とすることとな
る。
【0020】すなわち、所定の標本化周波数で標本化さ
れたデジタルオーディオ信号に対して、例えば平均50
0サンプルの遅延時間を有する残響音フィルタを4段並
列接続するときは、1サンプルを16ビットの標本値、
すなわち1ワード(2バイト)で表現するとき、合計で
2000ワード(4000バイト)のメモリ領域が必要
となる。
【0021】そして、残響音フィルタを単に並列接続し
ただけでは、残響音の不自然さを完全に除去することは
できなく、並列接続の数を増やし、より自然な残響音を
得るようにするが、更に必要とする遅延回路のメモリ量
は多くなるので、これらの残響音フィルタを、例えばD
SP(Digital signal processor)を用いて実現しよう
とするときは、メモリ容量の大きなDSPは高価である
など、経済的な残響音付加装置を実現するためには問題
がある。
【0022】本発明は、このような背景をもとになされ
るもので、メモリ容量の少ないハードウェア構成で、遅
延時間が長く、かつ反射音密度の高い残響音を生成する
残響音生成方法、残響音生成装置、及びその残響音生成
装置により生成した残響音を供給される音響信号に付加
することにより残響音付加信号を生成する残響音付加装
置を提供するものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために以下の1)〜3)の手段より成るものであ
る。すなわち、
【0024】1) 電気音響信号が供給され、その信号
を所定の反射面を有する空間に音波に変換して放射した
ときに生じる残響音に対応する、電気的な残響音信号を
生成する残響音信号生成方法において、前記電気音響信
号を一方の入来信号とし、その一方の入来信号と他方の
入来信号とを加算して加算信号を得る第1のステップ
(5)と、その第1のステップで得られた加算信号が供
給され、その加算信号を縦続接続された複数のオールパ
スフィルタにより構成される遅延フィルタによりフィル
タリング処理を行なう第2のステップ(6)と、その第
2のステップで得られるフィルタリング処理された信号
の一部を前記残響音信号として出力するとともに、その
第2のステップで得られる信号の他の一部を所定の増幅
度で増幅し、その増幅して得られる信号を前記第1のス
テップにおける他方の入来信号として供給する第3のス
テップ(8)と、よりなることを特徴とする残響音信号
生成方法。
【0025】2) 電気音響信号が供給され、その信号
を所定の反射面を有する空間に音波に変換して放射した
ときに生じる残響音に対応する、電気的な残響音信号を
生成する残響音信号生成装置において、前記電気音響信
号を一方の入来信号とし、この一方の入来信号と他方の
入来信号とを加算して加算信号を得る信号加算手段
(5)と、その信号加算手段より供給される信号を縦続
接続された複数のオールパスフィルタにより構成されて
フィルタリング処理を行なう遅延フィルタ処理手段
(6)と、その遅延フィルタ処理手段より得られる信号
の一部を所定の利得で増幅し、その増幅して得られた信
号を前記信号加算手段における前記他方の入来信号とし
て供給する増幅手段(8)と、を具備したことを特徴と
する残響音信号生成装置。
【0026】3) 電気音響信号が供給され、その信号
を所定の反射面を有する空間に音波に変換して放射した
ときに生じる残響音に対応する電気的な残響音信号を生
成するとともに、その生成された残響音信号を前記供給
された電気音響信号に付加することにより残響音付加信
号を生成する残響音信号付加装置において、前記電気音
響信号を一方の入来信号とし、その一方の入来信号と他
方の入来信号とを加算して加算信号を得る信号加算手段
(5)と、その信号加算手段より供給される信号を縦続
接続された複数のオールパスフィルタより構成されてフ
ィルタリング処理を行なう遅延フィルタ処理手段(6)
と、その遅延フィルタ処理手段より得られる信号の一部
を所定の利得で増幅し、その増幅して得られた信号を前
記信号加算手段における前記他方の入来信号として供給
する増幅手段(8)と、前記遅延フィルタ処理手段より
得られる信号の他の一部を、前記供給された電気音響信
号に付加して残響音付加信号を得る信号付加手段(1
0、11)と、よりなることを特徴とする残響音付加信
号生成装置。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の残響音信号生成方
法、残響音信号生成装置、及び残響音信号付加装置の実
施の形態につき、好ましい実施例により説明する。図1
は、その実施例に関わる残響音信号付加装置の概略構成
図であり、以下その図を参照して説明する。
【0028】同図に示す残響音信号付加装置は、2チャ
ンネルステレオ音響信号を入力する入力端子1、及び2
と、所定の利得を有する増幅器4、8、及び9と、供給
される2つの信号を加算した加算信号を供給する加算器
3、5、10、及び11と、後述する遅延部6(D
m(z))と、低域通過フィルタ7(LPF)と、そし
て残響音の付加された信号を出力する出力端子12、及
び13とより構成される。
【0029】このように構成される残響音信号付加装置
の概略の動作について説明する。まず、入力端子1、2
に左チャンネル、及び右チャンネルの音響信号を供給す
る。これらの信号の一部はそれぞれ加算器10及び11
に供給されるが、供給された信号の他の一部はそれぞれ
加算器3に供給され、加算器3はこれらの供給された2
チャンネルステレオ信号を加算合成したモノラル信号を
生成し増幅器4に供給する。
【0030】この増幅器4は−6dBの利得を有し、増
幅(減衰)された信号は加算器5に供給される一方の入
力信号として、また加算器5に供給される他方の入力信
号としては増幅器8の出力信号が供給され、これらの供
給された2つの入力信号は加算され、加算された信号は
遅延部6に供給される。
【0031】遅延部6は多数のオールパスフィルタが縦
続接続される遅延回路で、それらのオールパスフィルタ
によりオールパスフィルタ処理がなされ、オールパスフ
ィルタ処理のなされた信号は低域通過フィルタ7に供給
され、ここで低域通過処理された信号の一部は前述の増
幅器8に供給されるとともに、他の一部は増幅器9に供
給されて増幅され、加算器10、及び11のそれぞれが
一方の加算用入力信号とされる。
【0032】ところで、低域通過フィルタ7より供給さ
れた信号の一部は前述の増幅器8で増幅され、増幅され
た信号は加算器5を介して再び遅延部6に供給されて、
再度オールパスフィルタ処理されて、低域通過フィルタ
7に供給され、ここで低域通過処理のなされた信号の一
部は再び増幅器8で増幅され、加算器5を介して遅延部
6に供給されるように巡回的な信号処理がなされてお
り、この様に巡回して処理される信号は残響音信号が有
する信号と同様な信号の特性を有するものである。
【0033】このようにして生成された残響音信号の特
性を有する信号は増幅器9に供給されて増幅され、増幅
された信号の一部は前述の加算器10の他方の入力信号
とされ、また増幅器9により増幅された他の一部の信号
は前述の加算器11の他方の入力信号として供給され、
これらの加算器10及び11からは残響音信号の加算合
成された左チャンネル、及び右チャンネルの音響信号が
出力端子12、及び13に供給される。
【0034】次に、オールパスフィルタを多段に縦続接
続して構成される遅延部6について詳述する。すなわ
ち、ここに用いられている遅延部6は、供給されるディ
ジタルオーディオ信号を遅延時間分メモリ回路に一時記
憶し、その一時記憶した信号を読み出すような単純なメ
モリ回路による構成ではなく、中音域以下の周波数で位
相遅延した信号を得るオールパスフィルタを多段縦続に
接続したオールパスフィルタ回路群を用いることにより
残響音を生成するように構成している。
【0035】そのオールパスフィルタは、振幅特性は保
存したまま、位相特性を変化させる回路であり、更に詳
述する。図2に、一次オールパスフィルタのブロック図
を示す。この一次オールパスフィルタは、2つの供給さ
れる信号を加算合成した信号を供給する加算回路(+)
を2個と、信号を所定の単位時間遅延させる単位遅延素
子と、利得がλである増幅器、及び利得がλである反転
型増幅器(−λ)より構成される。
【0036】このオールパスフィルタ回路の動作は、供
給される信号を加算回路の第1の入力信号とし、第2の
入力信号は後述の増幅器(λ)の出力信号を供給し、こ
れらの入力信号を加算して得られる信号の一方を単位遅
延素子に供給し、その単位遅延素子の出力信号の一方は
前述の増幅器(λ)に供給して利得がλである増幅を行
なった信号を前述の加算回路に供給するようにして信号
を巡回処理するとともに、前述の加算して得られた他方
の信号を利得λで反転増幅した信号(−λ)と単位遅延
素子の出力信号の他方を加算した信号を出力するような
構成となっている。
【0037】このように構成される一次オールパスフィ
ルタの伝達関数D1(z)を式(4)として図3に掲載
する。ここに示すλはワーピングパラメータと呼ばれる
パラメータであり、このλの値に応じてオールパスフィ
ルタの位相特性を変えることができる。
【0038】図4に、そのλの値をパラメータとする一
次オールパスフィルタの位相特性を示す。図5に、この
オールパスフィルタの位相特性から求めた位相遅延特性
を示す。同図からわかるように、λを変えることによっ
て低域周波数成分の遅延時間を連続的に変えることがで
きる。
【0039】この様に構成される一次オールパスフィル
タを多段に縦続接続して更に大きな遅延時間を得る。図
6は、前述の図2に示した1次オールパスフィルタをN
段縦続に接続して構成されるオールパスフィルタ群の構
成である。このように多段接続してなるオールパスフィ
ルタ群の伝達関数を式(5)として前述の図3に示して
ある。
【0040】図7に、このオールパスフィルタ群を用い
てなる残響音生成部の構成を示す。同図に示す残響音生
成部は、図12に示した従来の残響音生成部における遅
延部(Z-m)をオールパスフィルタ群、すなわちm次オ
ールパスフィルタDm(z)に置き換えた構成となって
いる。
【0041】このm次オールパスフィルタを用いる残響
音生成部により生成される残響音の特性は、残響音の遅
延時間が周波数によって異なる特性となっているため、
この残響音生成部により生成される残響音は時間的に密
となる。
【0042】図8に、例えば8次のオールパスフィルタ
を用いる残響音生成部により得られる時間応答特性を示
す。図9に、この8次のオールパスフィルタを用いる残
響音生成部の周波数応答特性を示すが、その周波数応答
特性は従来の残響音生成装置が有する前述の図15に示
した特性が周波数等間隔にピークの周波数値を有してい
るのと異なり、不等間隔なピーク周波数点を有する特性
となっている。
【0043】このようにして構成される残響音生成部の
遅延回路部は、オールパスフィルタが多段に縦続接続さ
れる構成となっており、その縦続接続されたオールパス
フィルタ群の遅延時間はオールパスフィルタの次数mに
よって、そして位相遅延の周波数特性はワーピングパラ
メータλによって決められるようになっている。
【0044】そしてここに示した例では、mの値を8に
設定したときの特性であるが、実際には更に大きなmの
値を用いてオールパスフィルタ群を構成するが、このよ
うにして生成される残響音は、上述のような特性によ
り、聴感上自然な感じの音質による残響音を生成するこ
とが可能となる。
【0045】図10は、このようにして構成される残響
音生成部のオールパスフィルタ群をDm(z)として示
したブロック図である。同図において、オールパスフィ
ルタ群Dm(z)からの信号が供給される低域通過フィ
ルター(LPF)は、残響音の空気減衰特性を与えるロ
ーパスフィルタであり、また増幅器の側に記されるg
は、供給される信号が巡回されつつ生成される残響音の
生成に関するフィードバックゲインを与える係数であ
り、この増幅器の利得は実現しようとするホールの残響
音の減衰特性にあわせて設定されることになる。
【0046】そして、その残響音の減衰は、高音域成分
の場合ホールの壁や空気による音エネルギーの吸収のた
め減衰が速いのに対し低域周波数成分の減衰は遅いた
め、この高音域における音波の減衰を考慮し、オールパ
スフィルタの後に空気減衰特性に対応させたローパスフ
ィルタが挿入されている。
【0047】ただし、残響音の生成装置においては低域
周波数成分の遅延時間特性が重要であり、仮に空気減衰
のためのローパスフィルタがなくても十分機能を果たす
ような場合は、このローパスフィルタは必ずしも必要で
はなく、省略した構成とすることもできる。
【0048】このようにして、オールパスフィルタ群を
用いる残響音生成装置、ないしは残響音付加装置が実現
できるが、この構成を応用した第2の残響音付加装置の
構成例について次に述べる。
【0049】図11は、残響音付加装置の第2実施例に
関る構成であり、説明する。前述の第1の実施例では、
供給される2つのチャンネルのステレオ信号を加算合成
して得られるモノラル信号に対して残響音を生成してい
たが、この第2実施例の場合は、供給される2チャンネ
ルのそれぞれの信号に対する残響音信号生成部を設け、
それぞれのチャンネルの音響信号に対してそれぞれの残
響音信号を生成し、個別に音響信号に付加する例であ
る。
【0050】第2実施例における残響信号の生成は、基
本的には第1実施例と同様であり、第1実施例で述べた
残響音生成部を2系統用いている。そして、一方の残響
音生成部の遅延部25(Dm1(z))と、他方の残響音
生成部の遅延部26(Dm2(z))のそれぞれのオール
パスフィルタの次数は、それぞれがm1、m2のように
異なる値が使用され、またワーピングパラメータも、λ
1、λ2のように異なる値に設定されている。
【0051】この様にして、それぞれのオールパスフィ
ルタ、及びそれぞれの低域通過フィルタを通過して得ら
れる信号はフィードバックマトリクス37に供給され
る。このフィードバックマトリクス37では、g11、
g21、g12、g22の利得を有するそれぞれの増幅
器で増幅され、異なるチャンネルの残響音は加算器によ
り加算合成されて後、加算器23、24により加算され
るような構成とされている。
【0052】このようにして、第2実施例により生成さ
れる残響信号は、異なる次数、異なるワーピングパラメ
ータを用いて生成された残響音が、フィードバック量の
異なるフィードバックマトリクス回路を介してそれぞれ
の残響音を混合するように作用するため、このようにし
て生成される残響音信号は一層不規則的であり、特定の
音色の癖を持たない残響音を生成することができ、その
残響音を付加した残響音付加信号を生成することができ
る。
【0053】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、残響音を
生成するために供給される音響信号を一時記憶して、遅
延するため大容量の信号蓄積ステップを用いず、小容量
の信号蓄積ステップを用いて構成するオールパスフィル
タを複数段用いることにより、音声信号を遅延させた信
号を得ることができるため、少ないメモリ領域しか持た
ない、例えばDSPなどによるハードウェア環境下にお
いても十分長い遅延時間を有し、且つ複数ステップある
オールパスフィルタの特性を異ならせることにより高い
残響音密度を持つ残響音生成方法を経済的に実現できる
効果がある。
【0054】そして、請求項2記載の発明によれば、残
響音を生成するために供給される音響信号を一時記憶し
て、遅延するため大容量のメモリ回路を用いず、小容量
のメモリ回路により構成するオールパスフィルタを複数
段用いることにより、音声信号を遅延させた信号を得る
ことができるため、少ないメモリ領域しか持たない、例
えばDSPなどによるハードウェア構成によって十分長
い遅延時間を有し、且つ複数段あるオールパスフィルタ
の特性を異ならせることにより高い残響音密度を持つ残
響音生成装置を経済的に構成できる効果がある。
【0055】また、請求項3記載の発明によれば、残響
音を生成するために供給される音響信号を一時記憶し
て、遅延するため大容量のメモリ回路を用いず、小容量
のメモリ回路により構成するオールパスフィルタを複数
段用いることにより、音声信号を遅延させた信号を得る
ことができるため、少ないメモリ領域しか持たない、例
えばDSPなどによるハードウェア構成によって十分長
い遅延時間を有し、且つ複数段あるオールパスフィルタ
の特性を異ならせることにより高い残響音密度を持つ残
響音を生成することができるため、前述の供給される音
響信号に、この様にして生成された残響音を付加するこ
とによりその音響信号に残響音を付加した信号を生成す
る残響音付加装置を経済的に構成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る残響音付加装置の概
略ブロック図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る一次オールパスフィ
ルタの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るオールパスフィルタ
の伝達関数を示したものである。
【図4】本発明の第1実施例に係るm次オールパスフィ
ルタの位相周波数特性を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例に係るm次オールパスフィ
ルタの位相遅延周波数特性を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例に係るm次オールパスフィ
ルタの構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1実施例に係るm次オールパスフィ
ルタを用いる残響音付加部の構成を示すブロック図であ
る。
【図8】本発明の第1実施例に係る残響音付加部のイン
パルス応答を示す図である。
【図9】本発明の第1実施例に係る残響音付加部の周波
数応答特性を示す図である。
【図10】本発明の第1実施例に係る空気減衰を考慮し
た低域通過フィルタを含む残響音付加部の構成を示すブ
ロック図である。
【図11】本発明の第2実施例に係る残響音付加装置の
ブロック図である。
【図12】従来方式の残響音付加部の構成について説明
するための図である。
【図13】従来方式の残響音付加装置の動作を説明する
ための伝達関数を示したものである。
【図14】従来方式の残響音付加部の極の分布をモデル
的に示した図である。
【図15】従来方式の残響音付加部の周波数応答特性を
示した図である。
【図16】従来方式の残響音付加部のインパルス応答特
性を示した図である。
【図17】従来方式の残響音付加部を並列接続して構成
した場合のブロック図である。
【図18】従来方式の並列接続した残響音付加部のイン
パルス応答特性を示した図である。
【符号の説明】 1,2,21,22 信号入力端子 3,5,23,24,51,52 加算器 4,9,29,30,31,32,53,54,55,
56 増幅器 6,26,26 遅延フィルタ 7,27,28 低域通過フィルタ 8 所定利得増幅器 10,11,39,40 信号付加器 12,13,41,42 信号出力端子 37 フィードバックマトリクス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気音響信号が供給され、その信号を所定
    の反射面を有する空間に音波に変換して放射したときに
    生じる残響音に対応する、電気的な残響音信号を生成す
    る残響音信号生成方法において、 前記電気音響信号を一方の入来信号とし、その一方の入
    来信号と他方の入来信号とを加算して加算信号を得る第
    1のステップと、 その第1のステップで得られた加算信号が供給され、そ
    の加算信号を縦続接続された複数のオールパスフィルタ
    により構成される遅延フィルタによりフィルタリング処
    理を行なう第2のステップと、 その第2のステップで得られるフィルタリング処理され
    た信号の一部を前記残響音信号として出力するととも
    に、その第2のステップで得られる信号の他の一部を所
    定の増幅度で増幅し、その増幅して得られる信号を前記
    第1のステップにおける他方の入来信号として供給する
    第3のステップと、 よりなることを特徴とする残響音信号生成方法。
  2. 【請求項2】電気音響信号が供給され、その信号を所定
    の反射面を有する空間に音波に変換して放射したときに
    生じる残響音に対応する、電気的な残響音信号を生成す
    る残響音信号生成装置において、 前記電気音響信号を一方の入来信号とし、この一方の入
    来信号と他方の入来信号とを加算して加算信号を得る信
    号加算手段と、 その信号加算手段より供給される信号を縦続接続された
    複数のオールパスフィルタにより構成されてフィルタリ
    ング処理を行なう遅延フィルタ処理手段と、 その遅延フィルタ処理手段より得られる信号の一部を所
    定の利得で増幅し、その増幅して得られた信号を前記信
    号加算手段における前記他方の入来信号として供給する
    増幅手段と、 を具備したことを特徴とする残響音信号生成装置。
  3. 【請求項3】電気音響信号が供給され、その信号を所定
    の反射面を有する空間に音波に変換して放射したときに
    生じる残響音に対応する電気的な残響音信号を生成する
    とともに、その生成された残響音信号を前記供給された
    電気音響信号に付加することにより残響音付加信号を生
    成する残響音信号付加装置において、 前記電気音響信号を一方の入来信号とし、その一方の入
    来信号と他方の入来信号とを加算して加算信号を得る信
    号加算手段と、 その信号加算手段より供給される信号を縦続接続された
    複数のオールパスフィルタより構成されてフィルタリン
    グ処理を行なう遅延フィルタ処理手段と、 その遅延フィルタ処理手段より得られる信号の一部を所
    定の利得で増幅し、その増幅して得られた信号を前記信
    号加算手段における前記他方の入来信号として供給する
    増幅手段と、 前記遅延フィルタ処理手段より得られる信号の他の一部
    を、前記供給された電気音響信号に付加して残響音付加
    信号を得る信号付加手段と、 よりなることを特徴とする残響音付加信号生成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005196026A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd 電子楽器の共鳴音発生装置、電子楽器の共鳴音発生方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

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