JP2001349871A - 固体中の特定原子の検出装置 - Google Patents

固体中の特定原子の検出装置

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JP2001349871A
JP2001349871A JP2000173217A JP2000173217A JP2001349871A JP 2001349871 A JP2001349871 A JP 2001349871A JP 2000173217 A JP2000173217 A JP 2000173217A JP 2000173217 A JP2000173217 A JP 2000173217A JP 2001349871 A JP2001349871 A JP 2001349871A
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ions
electrode
ion transport
laser
ion
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JP2000173217A
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English (en)
Inventor
Nobuhisa Yokogawa
伸久 横川
Akinobu Nakajo
晃伸 中條
Hirobumi Nakamura
博文 中村
Toshihiko Yamanishi
敏彦 山西
Tetsuyuki Konishi
哲之 小西
Masataka Nishi
正孝 西
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Japan Atomic Energy Agency
Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Japan Atomic Energy Research Institute
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微量の特定原子を、感度よく検出することが
可能な特定原子の検出装置を提供する。 【解決手段】 引出電極が、測定対象物の周囲の空間に
引出電界を発生させる。イオン輸送路が、引出電極によ
り引き出されたイオンを輸送する。偏向手段が、イオン
輸送路内を輸送されてきたイオンの進行方向を曲げる。
偏向手段により進行方向を曲げられたイオンが入射する
位置にイオン検出器が配置されている。レーザ光源が、
イオン輸送路内に、イオンの輸送方向とは反対の方向に
伝搬するようにレーザビームを入射させ、測定対象物ま
で到達させてアブレーションを起こさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体中の特定原子
の検出装置に関し、特にレーザを用いてアブレーション
を起こさせ、飛散した物質中の特定原子を検出する検出
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平10−48370号公報に、トリ
チウムを含む材料の表面に紫外レーザを照射してアブレ
ーションを生じさせ、飛散したトリチウムの量を測定す
る方法が開示されている。飛散したトリチウムの量を測
定する方法として、四重極質量分析、電離箱等による方
法が例示されている。
【0003】核融合炉は、水素同位体であるデューテリ
ウム(D)とトリチウム(T)を燃料としている。これ
らの元素の核融合反応を生じさせるために、約1億度以
上のプラズマ状態を保持する必要がある。プラズマの保
持は、真空容器内につくられる磁場によって行われる。
そのプラズマに面しているプラズマ対向機器の材料表面
は、これらの燃料ガス(D、T)及びそのプラズマに直
接晒されることとなり、その材料中にこれらの元素が溶
け込んでいくこととなる。
【0004】図8は、炉心周辺の燃料の流れを模式的に
示した図である。超電導コイル55で囲まれた真空容器
51内に燃料注入装置52からデューテリウム、トリチ
ウムが供給される。真空容器51内は、真空排気装置5
3により真空排気される。真空容器51の内部空間にプ
ラズマ63を発生させ、そのプラズマを種々の励起手段
によって1億度以上の温度まで加熱する。真空容器51
の内面の一部に、ダイバータ板61が取り付けられてい
る。ダイバータ板61は、プラズマ周辺部の粒子を中性
化する。真空容器51及びダイバータ板61に燃料ガス
及びそのプラズマが直接接することとなり、その材料中
に燃料ガスの元素が溶け込むこととなる。
【0005】一方、トリチウムは放射性元素であり、核
融合炉全体の安全管理上、真空容器51等の材料に含ま
れるトリチウム量を把握しておく必要がある。上記特開
平10−48370号公報に開示された方法では、トリ
チウムを分析可能な形で取り出し、四重極質量分析等で
検出する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】四重極質量分析による
方法では、感度が低く、微量の特定原子を検出すること
が困難である。
【0007】本発明の目的は、微量の特定原子を、感度
よく検出することが可能な特定原子の検出装置を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の一観点による
と、測定対象物の周囲の空間に引出電界を発生させる引
出電極と、前記引出電極により引き出されたイオンを輸
送するイオン輸送路と、前記イオン輸送路内を輸送され
てきたイオンの進行方向を曲げる偏向手段と、前記偏向
手段により進行方向を曲げられたイオンが入射する位置
に配置されたイオン検出器と、前記イオン輸送路内に、
イオンの輸送方向とは反対の方向に伝搬するようにレー
ザビームを入射させ、前記測定対象物まで到達させてア
ブレーションを起こさせるレーザ光源とを有する特定原
子検出装置が提供される。
【0009】測定対象物を、その表面がレーザビームの
光軸と垂直になるように配置すると、測定対象物からの
飛散物がイオン輸送路に向かって飛び出す。飛散物がイ
オン化され、イオン輸送路内を輸送される。輸送された
イオンがイオン検出器で検出される。飛散物がイオン輸
送路に向かって飛び出すため、イオンを効率的にイオン
輸送路内に導入することができる。イオン検出器が、進
行方向を曲げられたイオンの入射位置に配置されている
ため、レーザビームの伝搬の障害にならない。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を説明する前に、
図3〜図7を参照して、本発明に関連した特定原子の検
出装置及び検出の原理について説明する。
【0011】図3は、本発明に関連した検出装置の概略
図を示す。真空容器1内に、引出電極2a及び2bが配
置されている。引出電極2a及び2bは、相互にほぼ平
行に配置され、両者に挟まれた空間内に測定対象物5が
保持される。一方の引出電極2aに正電圧が印加され、
他方の引出電極2bに負電圧が印加されている。この電
圧により、引出電極2a及び2bに挟まれた空間内に引
出電界が発生する。負電圧が印加されている引出電極2
bはメッシュ状にされている。
【0012】レーザ光源10から放射されたレーザが、
レンズ11で集光され、レーザ導入窓13を透過して真
空容器1内に導入される。真空容器1内に導入されたレ
ーザは、測定対象物5を照射する。レーザ導入窓13か
ら導入されたレーザの光軸は、引出電界の向きとほぼ直
交する。レーザ光源10は、例えば波長可変の色素レー
ザ装置である。レンズ11は、例えば焦点距離300m
mの凸レンズである。
【0013】測定対象物5にレーザが照射されるとアブ
レーションが生じ、測定対象物5の表面層の一部が飛散
する。飛散物質中には、測定対象物5を構成する原子、
測定対象物5に含まれている不純物原子、及びこれらの
イオンが含まれている。正のイオンは、引出電界により
メッシュ状の引出電極2bに引き寄せされ、真空容器1
に取り付けられた飛行時間型質量分析計20に導入され
る。
【0014】図4は、飛行時間型質量分析計20の概略
断面図を示す。真空容器1内に引出電極2a及び2bが
配置されており、引出電極2bよりも下流側(図2の左
側)に、飛行時間型質量分析計20が配置されている。
飛行時間型質量分析計20は、真空ダクト40、及びそ
の内部に配置された加速電極25、スリット26、2
7、28、マイクロチャネルプレート(MCP)29、
アノード(コレクタ)30、及び電流計31を含んで構
成される。
【0015】真空ダクト40の上流側開口部に引出電極
2bが取り付けられている。加速電極25、スリット2
6、27、28、MCP29、及びアノード30は、上
流側から下流側に向かってこの順番に配置されている。
例えば、引出電極2aとアブレーション位置Pとの距離
L1は40mm、アブレーション位置Pと引出電極2b
との距離L2は10mmである。引出電極2bと加速電
極25との間隔L3は30mm、加速電極25とスリッ
ト26との間隔L4は114mm、スリット26とスリ
ット27との間隔L5は140mm、スリット27とM
CP28との間隔は70mmである。
【0016】MCP29は、内壁を抵抗体とした細いガ
ラスパイプを多数束ねた二次元構造を有する。それぞれ
のガラスパイプは、独立した二次電子増倍器を形成して
いる。各ガラスパイプの入射側の端部からイオンが入射
し、その内壁に衝突すると、内壁から二次電子が放出さ
れる。MCP29の両端には電圧が印加されており、放
出された二次電子は、この電圧により生ずる電界によっ
て加速され、再び内壁に衝突し二次電子を放出する。こ
の過程がガラスパイプに沿って繰り返され、出力側から
多数の二次電子が放出される。
【0017】例えば、引出電極2aに0Vの電位が印加
され、引出電極2bに−300Vの電位が印加され、加
速電極25、スリット26、27、28、及びMCP2
9の入口29aに−2300Vの電位が印加され、MC
P29の出口29b及びアノード30に−300Vの電
位が印加されている。
【0018】位置Pにおいてアブレーションにより生成
した飛散物質中の正イオンは、引出電極2bに引き寄せ
られ、加速電極25で加速されてスリット26、27、
28を通過し、MCP29に入射する。入射するイオン
の量に応じた二次電子がMCP29の出口29bから放
出される。この二次電子がアノード30に補足され、電
流計31により検出される。
【0019】加速電極25により加速されたイオンの速
さは、q/mに比例する。ここで、qはイオンの電荷
量、mはイオンの質量である。イオン種によりMCP2
9に到達するまでの時間が相違するため、飛散物質に含
まれるイオンを、イオン種ごとに検出することができ
る。また、イオン電流の大きさにより、飛散物質中の当
該イオン濃度を知ることができる。すなわち、測定対象
物に含まれる特定原子の濃度に関する情報を得ることが
できる。
【0020】次に、図3及び図4に示す検出装置を用い
て、固体の測定対象物中の特定原子を検出する方法につ
いて説明する。ここでは、加速器を用いてデューテリウ
ムを打ち込んだグラファイト中に含まれるデューテリウ
ムを検出する場合を例にとって説明する。
【0021】図3に示す測定対象物5に、デューテリウ
ムの励起波長の波長域のパルスレーザを照射する。実施
例で用いたレーザは、1パルス当たりのエネルギ100
μJ、パルスの繰り返し周波数10Hz、波長243.
07〜243.08nmのものである。
【0022】図5(A)は、飛行時間型質量分析計20
により得られた信号強度を示す。横軸はイオンの飛行時
間を単位「μs」で表し、縦軸は信号強度を任意目盛り
で表す。飛行時間約0.8μs、約1.1μs、約2.
3μsの位置に、それぞれ水素イオン(H+ )、デュー
テリウムイオン(D+ )、及び炭素イオン(C+ )に対
応するピークが現れている。デューテリウムイオンに相
当するピークの有無を判定することにより、測定対象物
中のデューテリウムの有無を判断することができる。さ
らに、そのピークの高さを測定することにより、測定対
象物中に含まれるデューテリウム濃度に関する情報を得
ることができる。
【0023】図5(B)は、レーザの波長を、243n
mとした場合の測定結果を示す。この場合には、デュー
テリウムイオンに対応するピークが現れていない。これ
は、使用したレーザ波長がデューテリウムの励起波長と
異なるため、デューテリウムがイオン化されにくく、飛
行時間型質量分析計で検出できなかったためと考えられ
る。
【0024】測定対象物をアブレーションさせるための
レーザとして、デューテリウムの励起波長のものを用い
ることにより、測定対象物をアブレーションさせるとと
もに、デューテリウムを効率的にイオン化することがで
きる。このため、微量なデューテリウムを高感度に検出
することが可能になる。
【0025】なお、上記実施例による方法を用いると、
質量数が同一の原子もしくは分子を弁別することが可能
になる。一般的な質量分析法では、質量数の同じ原子も
しくは分子を弁別することは困難である。例えばT原子
とHD分子とは、共に質量数が3であるから、一般的な
質量分析法でこの2種の粒子を弁別することは困難であ
る。上記実施例による方法を用いる場合には、いずれか
一方の粒子の励起波長のレーザ光を用いてアブレーショ
ンさせることにより、当該一方の粒子を優先的に検出す
ることができる。
【0026】一般的に、デューテリウムの励起波長と
は、一光子で励起する場合には、デューテリウム原子の
吸収スペクトルにおいて、光吸収を示す波長に一致す
る。多数の光子で励起する場合には、吸収波長の整数倍
になる。ただし、本実施例の場合には、デューテリウム
の励起波長は、後述するように、デューテリウム原子の
吸収スペクトルにおいて吸収を示す波長とはややずれ
る。
【0027】水素原子の吸収スペクトルの波長λは、
【0028】
【数1】1/λ=R(1/m2−1/n2) と表される。ここで、Rはリュードベリ定数、mは、
1、2、3、・・・、nはm+1、m+2、m+3、・
・・である。上記の式において、m=1、n=2とする
と、λ(1,2)≒121.5nmとなる。実施例で用
いたレーザの波長243.07〜243.08nmは、
励起波長λ(1,2)の約2倍の波長に相当する。
【0029】ここで、リュードベリ定数Rは、原子の換
算質量uに比例する。また、水素同位体の換算質量u
は、原子核の質量をN、電子の質量をmeとした場合、
【0030】
【数2】1/u=1/N+1/me と表される。陽子と中性子の質量を等しいと近似し、そ
れをMとすると、Hの場合にはN=M、Dの場合にはN
=2×M、Tの場合にはN=3×Mとなる。この換算質
量を用いて、各同位体D及びTの励起波長とHの励起波
長との関係を求めることができる。M=1000MeV
/C2 、me=0.5MeV/C2、Hの励起波長を24
3.13nmとすると、Dの励起波長は243.07n
m、Tの励起波長は243.05nmとなる。
【0031】上記実施例では、アブレーション用のレー
ザがデューテリウムのイオン化用のレーザを兼ねている
が、アブレーション用のレーザとイオン化用のレーザを
分けてもよい。この場合には、イオン化用のレーザの波
長を、デューテリウムの励起波長とする。
【0032】図6は、レーザの波長と、デューテリウム
イオンに対応するピークの高さとの関係を示す。横軸は
レーザの波長を単位「nm」で表し、縦軸は飛行時間型
質量分析計で得られた信号強度を任意目盛りで表す。図
6中の実線は、上記検出装置を用い、グラファイトにレ
ーザを照射してアブレーションを起こさせる方法でデュ
ーテリウムを検出した場合を示し、破線は、デューテリ
ウムを含むガスにイオン化用のレーザを照射してデュー
テリウムを検出した場合を示す。
【0033】ガス中のデューテリウムを検出する場合に
は、波長243.069nm近傍でピークを示す。これ
に対し、アブレーションを起こさせてデューテリウムを
検出する場合には、ピークがブロードになり、その最大
値を与える波長が約243.076nmになる。図6の
グラフから、アブレーションを起こさせて固体中のデュ
ーテリウムを検出する場合には、レーザの波長を24
3.070〜243.081nmとすることが好ましい
ことがわかる。理由は明らかではないが、固体中のデュ
ーテリウムを、アブレーション現象を利用して検出する
場合と、ガス中のデューテリウムを検出する場合とで、
用いるレーザの最適波長が異なることがわかった。
【0034】次に、測定対象物の深さ方向のデューテリ
ウムの濃度分布を測定する方法について説明する。測定
対象物の表面の特定の箇所にパルスレーザを繰り返し照
射し、飛行時間型質量分析計により飛散物質の質量分析
を行った。
【0035】図7は、デューテリウムイオンに対応する
ピークの信号強度と、パルスレーザのショット回数との
関係を示す。横軸はショット回数を表し、縦軸は信号強
度を任意目盛りで表す。図7中の実線a、b、cは、そ
れぞれレーザ波長を243.074nm、243.08
0nm、及び243.060nmとした場合の信号強度
を示す。用いたレーザは、1パルスあたりのエネルギ1
00μJ、パルスの繰り返し周波数10Hzのものであ
る。
【0036】測定対象物にレーザを照射すると、アブレ
ーションが生じて表面に微小な窪みができる。ショット
回数を増加させると、この窪みが深くなる。すなわち、
ショット回数は、測定対象物の深さに対応していると考
えることができる。
【0037】レーザ波長を243.074nmまたは2
43.080nmとした場合、ショット回数が300〜
340回近傍の領域で信号強度が大きくなっている。こ
れは、ショット回数300〜340回程度の照射により
形成された窪みの深さに相当する位置に、デューテリウ
ムが多く分布していることを表している。このように、
信号強度を、パルスレーザのショット回数と関連付けて
測定することにより、深さ方向のデューテリウムの濃度
分布に関する情報を得ることができる。
【0038】なお、レーザ波長を243.060nmと
した場合には、図6からも予測されるように、デューテ
リウムイオンに対応するピークは観測されない。
【0039】上記実施例では、デューテリウムを検出す
る場合を説明したが、同様の方法でトリチウムを検出す
ることもできる。このとき、換算質量から求めたDとT
の励起波長、及びDを検出するための好適なレーザ波長
との関係から、Tを検出するための好適なレーザ波長
は、243.050〜243.060nmであると予測
される。
【0040】上記実施例では、グラファイト中のデュー
テリウムを検出する場合を説明したが、同様の方法を用
いて固体中の特定原子を検出することが可能である。こ
のとき、測定対象物に照射するレーザの波長を、検出す
べき特定原子が、アブレーションにより飛散した飛散物
質中にある場合の励起波長とする。これにより、特定原
子を効率的にイオン化させ、飛行時間型質量分析計を用
いて、特定原子を高感度に検出することが可能になる。
【0041】アブレーションにより飛散した物質中に含
まれる特定原子の励起波長は、ガス中の当該特定原子の
励起波長と異なることがある点に注意を要する。ガス中
の当該特定原子の励起波長の近傍でレーザの波長を変化
させ、特定原子に対応するピークの信号強度を測定する
ことにより、アブレーションを利用する場合の好適な波
長域を決定することができる。例えば、Cu原子を検出
する場合には、レーザ波長を231.82nm近傍と
し、Fe原子を検出する場合には、レーザ波長を22
3.83nm近傍とし、Al原子を検出する場合には、
レーザ波長を228.15nm近傍とする。
【0042】次に、図1及び図2を参照して、本発明の
実施例による検出装置について説明する。図3に示した
検出装置では、レーザが測定対象物5の表面にほぼ垂直
に入射する。また、測定対象物5の表面が、引出電界の
向きとほぼ平行である。測定対象物5にレーザを入射す
ると、通常、測定対象物5の表面に対して垂直な方向に
飛散物が飛び出す。従って、飛散物が飛び出す方向と、
引出電界の向きとが、ほぼ直交する。このため、飛散物
を飛行時間型質量分析計20に取り込む効率が低くな
る。
【0043】飛散物を、飛行時間型質量分析計20に高
い効率で取り込むためには、測定対象物5の表面を、飛
行時間型質量分析計20に対向させて配置することが好
ましい。ところが、このような配置とすると、引出電極
2b及び飛行時間型質量分析計20が障害物になるた
め、レーザを測定対象物5の表面に斜めから照射しなけ
ればならない。
【0044】レーザを測定対象物5の表面に斜めから照
射すると、測定対象物5が斜め方向にエッチングされ
る。このため、検出しようとする原子の、深さ方向に関
する正確な分布を知ることが困難になる。
【0045】図1は、本発明の実施例による特定原子の
検出装置の概略平断面図を示す。真空ダクト40の一端
が、真空容器42に接続されている。真空容器40の他
端に、石英窓41が取り付けられている。真空排気用の
ガス流路44が、真空ダクト40の側壁に取り付けられ
ている。試料が埋め込まれた電極43が真空容器42内
に配置されている。電極43は、真空ダクト40の中心
軸の延長線上に配置され、試料表面が真空ダクトの中心
軸とほぼ垂直になるように試料を保持する。試料が導電
性を有する場合には、試料自体を電極43としてもよ
い。
【0046】真空ダクト40内に、収束用電極45、引
出電極46、拡散用電極47、及び静電レンズ48が、
真空ダクト40の中心軸に沿って配置されている。静電
レンズ48は、複数の電極48A及び48Bを含んで構
成される。引出電極46及び静電レンズ48の電極48
A、48Bは、円筒状形状を有し、各々の中心軸が真空
ダクト40の中心軸と一致するように、その中心軸に沿
って配列している。引出電極46が、電極43に最も近
い位置に配置されている。電極48Aと48Bとは、中
心軸に沿って交互に配置されている。
【0047】収束用電極45及び拡散用電極47は、中
心に開口が設けられた円盤状の形状を有する。これらの
電極は、すべて、各々の中心軸が真空ダクト40の中心
軸と一致するように配置されている。
【0048】収束用電極45は、中心に、引出電極46
の外周よりも大きな貫通孔が設けられた円盤状形状を有
し、その中心軸が真空ダクト40の中心軸と一致するよ
うに配置されている。収束用電極45の、中心軸方向に
関する位置は、引出電極46の、電極43側の端部にほ
ぼ一致する。
【0049】拡散用電極47は、中心に、引出電極46
の内周とほぼ同径の貫通孔が設けられた円盤状形状を有
し、その中心軸が真空ダクト40の中心軸と一致するよ
うに配置されている。また、拡散用電極47は、中心軸
方向に関して、引出電極46と静電レンズ48との間に
配置されている。
【0050】直流電源V1が、電極43に、例えば+
0.5kVの電圧を印加する。直流電源V2が、収束用
電極45に、例えば+1kVの電圧を印加する。直流電
源V3が、引出電極46に、例えば−1kVの電圧を印
加する。直流電源V4が、静電レンズ48の電極48A
に、例えば−1kVの電圧を印加する。静電レンズ48
の電極48Bは接地されている。
【0051】静電レンズ48の、石英窓41側の端部近
傍に、キック電極50が配置されている。キック電極5
0は、真空ダクト40の中心軸を挟み、相互に平行に配
置された一対の円柱状の導電部材を含んで構成される。
一方の導電部材は接地され、他方の導電部材には、パル
ス電圧発生装置V5により、例えば+150Vのパルス
電圧が印加される。これにより、真空ダクト40の中心
軸の位置に約1000V/mの電界が発生する。
【0052】真空ダクト40の、石英窓41側の端部近
傍の側壁に、分岐ダクト40aが取り付けられている。
分岐ダクト40a内に、イオン検出器35が配置されて
いる。イオン検出器35は、例えば図2に示したMCP
29、アノード30、及び電流計31を含んで構成され
る。
【0053】レーザ光源36が、石英窓41を通して真
空ダクト40内にレーザビーム37を入射させる。真空
ダクト40内に入射したレーザビーム37は、静電レン
ズ48の各電極48A、48B、及び引出電極46の内
側を通り、電極43に保持された試料に到達する。試料
が、レーザによりアブレーションされ、試料の一部が飛
散する。
【0054】以下、図4〜図7を参照して説明した場合
と同様に、試料中のデューテリウムを検出する場合を例
にとって、図1に示した検出装置の動作を説明する。
【0055】試料から飛散した飛散物中のデューテリウ
ムが、レーザビーム37によりイオン化される。ディー
テリウムイオン及びその他のイオンが、引出電極46の
作る引出電界により、真空ダクト40に向かって加速さ
れる。収束用電極45が、電極43から出た電界を引出
電極46に集中させるため、イオンが真空ダクト40の
中心軸に向かって集まり、中心軸に沿って飛翔するイオ
ンビームが形成される。イオンビームの収束効果を得る
ために、収束用電極45に印加される電圧の絶対値|V
2|を、電極43に印加される電圧の絶対値|V1|よ
りも大きくすることが好ましい。
【0056】拡散用電極47は、収束したイオンビーム
を一旦拡散させる。静電レンズ48により、イオンビー
ムが収束と発散を繰り返しながらキック電極50の配置
された位置まで輸送される。キック電極50にパルス電
圧が印加されている場合、イオンビームは、キック電極
50により発生した電界によりその進行方向を曲げられ
る。進行方向を曲げられたイオンビーム49が、分岐ダ
クト40a内に入射し、イオン検出器35に到達する。
図4〜図7を参照して説明した場合と同様に、イオン検
出器35で検出されたイオンと、そのイオンの到達時間
との関係から、到達したイオンの種類を特定することが
できる。
【0057】デューテリウムイオンを検出する場合に
は、デューテリウムイオンがキック電極50の位置に到
達する時刻に同期させて、キック電極50にパルス電圧
を印加する。これにより、デューテリウムイオンを検出
することができる。また、レーザによりアブレーション
され、キック電極50にパルス電圧が印加されていない
期間にキック電極50の位置に到達した他のイオンは、
そのまま直進する。このため、測定対象外の信号、すな
わちノイズを低減することができる。また、大量のイオ
ンがイオン検出器35に到達することを防止できるた
め、イオン検出器35の寿命を長くすることができる。
より一般的には、パルス電圧発生装置V5が、レーザ光
源36から出力されたパルスレーザビームに同期し、パ
ルスレーザビームの発生から所定の遅延時間経過後にパ
ルス電圧を発生する。この遅延時間は、検出すべきイオ
ンの種類や加速電圧等によって適宜設定される。
【0058】図1に示した実施例の場合には、電極43
に保持された試料の表面が、引出電極46の方を向いて
いる。このため、試料表面から飛散し、イオン化された
粒子を、高い効率で引出電極46の内側に引き込むこと
ができる。これにより、微量の特定原子を、高い感度で
検出することが可能になる。
【0059】上記実施例では、キック電極50を、一対
の円柱状の導電部材で構成したが、平行平板を用いても
よい。また、キック電極50の代わりに、偏向電磁石を
用いてもよい。
【0060】図2に、実施例による検出装置の移動機構
の斜視図を示す。図1に示した真空ダクト40及びレー
ザ光源36が、移動台73に固定されている。さらに、
真空ポンプ71が、移動台73に固定されている。真空
ポンプ71は、真空ダクト40内を真空排気する。移動
台73は、支持台74に水平方向に移動可能に支持され
ている。移動機構75が、移動台73を水平方向に移動
させる。
【0061】トカマク容器内に敷設されたレール80に
移動機構77が取り付けられている。移動機構77は、
レール80に沿って移動することができる。移動機構7
7に、支持アーム76が取り付けられている。支持アー
ム76は、移動機構77に対して上下方向に移動可能で
ある。支持アーム76が支持台74を保持している。支
持アーム76を上下方向に移動させることにより、移動
台73も上下方向に移動する。
【0062】移動機構77、支持アーム76、及び移動
機構75により、真空ダクト40を所望の位置まで移動
させることができる。例えば、真空ダクト40の先端を
原子炉の真空容器の内面に密着させる。真空ダクトの先
端に例えばOリングが取り付けられており、密着部の気
密性が保たれる。真空ダクト40内を所定の真空度まで
真空排気した後、真空容器の内面のデューテリウムやト
リチウム等の含有量を測定することができる。
【0063】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
試料からの飛散物をイオン化し、効率的にイオン輸送路
に引き込むことができる。これにより、試料中の特定原
子を、高い感度で検出することが可能になる。偏向手段
により進行方向を曲げられたイオンのみが検出される。
このため、ノイズを低減するとともに、イオン検出器の
長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例による検出装置の概略平断面図である。
【図2】実施例による検出装置及び駆動装置の斜視図で
ある。
【図3】関連発明による検出装置の概略図である。
【図4】関連発明の検出装置で用いられる飛行時間型質
量分析計の概略を示す断面図である。
【図5】図5(A)は、レーザの波長を好適化したとき
の、飛行時間型質量分析計による信号強度を表すグラフ
であり、図5(B)は、レーザの波長を好適範囲からず
らしたときの、飛行時間型質量分析計による信号強度を
表すグラフである。
【図6】デューテリウムイオンに対応するピークの信号
強度とレーザ波長との関係を示すグラフである。
【図7】デューテリウムイオンに対応するピークの信号
強度とパルスレーザのショット回数との関係を示すグラ
フである。
【図8】核融合炉の炉心周辺の燃料の流れを示す断面図
である。
【符号の説明】
1 真空容器 2a、2b 引出電極 5 測定対象物 10 レーザ光源 11 レンズ 13 レーザ導入窓 20 飛行時間型質量分析計 25 加速電極 26、27 スリット 28 MCP 29 減速電極 30 アノード 31 電流計 35 イオン検出器 36 レーザ光源 40 真空ダクト 41 石英窓 42 真空容器 43 電極 44 排気用ガス流路 45 収束用電極 46 引出電極 47 拡散用電極 48 静電レンズ 49 イオンビーム 50 キック電極 51 真空容器 52 燃料注入装置 53 真空排気装置 55 超伝導コイル 61 ダイバータ板 63 プラズマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中條 晃伸 東京都田無市谷戸町2丁目1番1号 住友 重機械工業株式会社田無製造所内 (72)発明者 中村 博文 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の1 日本原子力研究所那珂研究所内 (72)発明者 山西 敏彦 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の1 日本原子力研究所那珂研究所内 (72)発明者 小西 哲之 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の1 日本原子力研究所那珂研究所内 (72)発明者 西 正孝 茨城県那珂郡那珂町大字向山801番地の1 日本原子力研究所那珂研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象物の周囲の空間に引出電界を発
    生させる引出電極と、 前記引出電極により引き出されたイオンを輸送するイオ
    ン輸送路と、 前記イオン輸送路内を輸送されてきたイオンの進行方向
    を曲げる偏向手段と、 前記偏向手段により進行方向を曲げられたイオンが入射
    する位置に配置されたイオン検出器と、 前記イオン輸送路内に、イオンの輸送方向とは反対の方
    向に伝搬するようにレーザビームを入射させ、前記測定
    対象物まで到達させてアブレーションを起こさせるレー
    ザ光源とを有する特定原子検出装置。
  2. 【請求項2】 前記偏向手段が、 パルス電圧を発生する電圧発生手段と、 前記パルス電圧が印加され、前記イオン輸送路を輸送さ
    れたイオンの進行方向を曲げるための電界を発生する電
    極とを有する請求項1に記載の特定原子検出装置。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光源が、パルスレーザビーム
    を発生し、前記電圧発生手段が、前記パルスレーザビー
    ムの発生に同期し、該パルスレーザビームの発生から所
    定の遅延時間後にパルス電圧を発生する請求項2に記載
    の特定原子検出装置。
  4. 【請求項4】 測定対象物の周囲の空間に引出電界を発
    生させる引出電極と、 前記引出電極により引き出されたイオンを輸送するイオ
    ン輸送路と、 前記イオン輸送路内を輸送されてきたイオンの進行方向
    を曲げる偏向手段と、 前記偏向手段により進行方向を曲げられたイオンが入射
    する位置に配置されたイオン検出器と、 レーザビームを前記測定対象物に照射し、アブレーショ
    ンを起こさせるレーザ光源とを有する特定原子検出装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010508643A (ja) * 2006-11-07 2010-03-18 サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハー イオン移送装置
JP2010508642A (ja) * 2006-11-07 2010-03-18 サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハー イオン移送装置
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