JP2001335847A - 鋼材の冷却方法 - Google Patents

鋼材の冷却方法

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JP2001335847A
JP2001335847A JP2000153323A JP2000153323A JP2001335847A JP 2001335847 A JP2001335847 A JP 2001335847A JP 2000153323 A JP2000153323 A JP 2000153323A JP 2000153323 A JP2000153323 A JP 2000153323A JP 2001335847 A JP2001335847 A JP 2001335847A
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cooling device
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Teruo Fujibayashi
晃夫 藤林
Makoto Nakaseko
誠 中世古
Tsuruwa Arimura
鶴和 有村
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な方法で、かつ冷却停止温度を高精度に
制御することが可能な鋼材の冷却方法で、鋼材の先端か
ら後端に亘って冷却停止温度がほぼ一定の温度範囲に収
まるように冷却をすることができる冷却方法を提供す
る。 【解決手段】 圧延後の高温の鋼材2を冷却装置内3に
て加速冷却する冷却方法において、冷却装置3の入側に
設けられた温度測定手段4により、冷却装置3に搬入さ
れる前の鋼材2の長手方向の温度分布を計測し、この計
測値に基づいて鋼材2の冷却装置内滞在時間および冷却
装置3からの搬出速度を算出し、この算出された鋼材の
冷却装置内滞在時間および冷却装置からの搬出速度で鋼
材2を加速冷却することを特徴とする冷却方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延された高
温の鋼材の冷却装置において、冷却装置出側における鋼
材温度を精度よく制御し、かつ鋼材先端から後端まで均
一温度とすることが可能な、効率的で経済的な冷却方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度・高靭性の鋼材を製造する一般的
な方法としては、1000℃以上に加熱したスラブやブ
ルームを一旦中程度の厚みまで粗圧延し、その後、未再
結晶温度域またはこれに近い温度域で最終の仕上圧延を
行う、いわゆる制御圧延と、圧延後に加速冷却によって
Ar3温度以下から500℃程度まで急冷(焼入れ)す
ることによって強度を出す、いわゆる制御冷却が行われ
ている。
【0003】圧延後の高温の鋼材をオンラインで通過さ
せながら冷却するに際しては、例えば鋼板であれば水平
の状態でその上下から冷却水を注水することで、鋼板を
連続的に搬送しながら冷却することが一般的である。特
に近年、冷却と圧延を組み合わせた制御圧延やオンライ
ンで鋼材を冷却する制御冷却では、製品の高品質化に伴
って高精度の温度制御、特に冷却停止温度制御が重要で
ある。ここで、鋼材とは鋼板ならびに形鋼を意味する。
【0004】従来の鋼材温度制御の方法は、鋼板を一定
搬送速度で通過させながら冷却し、その冷却水量の調節
によって冷却の強さを変更する流量制御による方法と、
冷却水量は一定にし、搬送速度を変更することで冷却停
止温度を制御する搬送速度制御による方法が一般的であ
った。
【0005】流量制御による方法としては、冷却装置内
で搬送される鋼板の温度を検出し、上下面の温度差が規
定値以内になるように冷却水量を制御する方法(特公平
7−61493号)、搬送速度による方法としては、鋼
板が冷却装置に進入してから冷却装置の冷却ゾーン長相
当分だけ進む毎に鋼板速度変更量を求め、鋼板速度を変
更する方法(特開昭62−199723号)が知られて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法のうち流量制御による方法では、冷却水量を絞る
と幅方向、長手方向に冷却が不均一となることがある。
また、冷却水流量を調整するためには流量調整弁やその
制御に複雑な制御系が必要で、設備費が膨大となる。ま
た、搬送速度を制御する方法では、厚みの厚い鋼材を搬
送しながら冷却しようとすると、冷却所要時間が長いた
め、変更すべき鋼材速度差が大きく、換言すると搬送速
度を多少変えても、鋼板先後端の冷却停止温度をそろえ
ることが難しかった。また、冷却時間が長いために冷却
装置の長さが長くなり、そのために冷却水量が大量に必
要で不経済であった。
【0007】そこで本発明は、簡単な方法でかつ冷却停
止温度を高精度に制御することが可能な鋼材の冷却方法
を提案するもので、特に鋼材の先端から後端にわたって
冷却停止温度がほぼ一定の温度範囲に収まるように冷却
をすることができる冷却方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】その問題を解決するため
の手段として本発明の特徴は以下の通りである。 (1)圧延後の高温の鋼材を冷却装置内にて加速冷却す
る冷却方法において、冷却装置の入側に設けられた温度
測定手段により、冷却装置に搬入される前の鋼材の長手
方向の温度分布を計測し、この計測値に基づいて鋼材の
冷却装置内滞在時間および冷却装置からの搬出速度を算
出し、この算出された鋼材の冷却装置内滞在時間および
冷却装置からの搬出速度で鋼材を加速冷却することを特
徴とする冷却方法。
【0009】(2)冷却装置からの鋼材の搬出速度を、
冷却装置搬入時の鋼材の長手方向の温度勾配に応じて変
更することを特徴とする(1)に示す鋼材の冷却方法。
【0010】(3)冷却装置への鋼材の搬入速度を、冷
却速度に応じて変更することを特徴とする(1)または
(2)に示す鋼材の冷却方法。
【0011】これらの方法によれば、仮に冷却装置の入
側で長手方向に温度分布を持った鋼材でも、冷却を終了
して冷却装置から鋼材が搬出される段階では、鋼材各部
の温度が一定、すなわち冷却停止温度が一定になるので
鋼材の制御冷却効果が安定して、材質の局所的バラツキ
や熱歪の発生が少なく、鋼材全体の温度のバラツキを少
なくすることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を実施の形態
について説明する。近年、鋼材の性質として強度と靭性
に優れた鋼材が求められている。その製造法の一つに、
圧延後の鋼材を急速に冷却して焼入れを行う、いわゆる
制御冷却が一般に行われている。この制御冷却では、冷
却速度(単位時間あたりの鋼材の平均温度の降下量。以
下同様)を大きくすることが焼入れ効果を高める上で有
効であるが、鋼材の厚みが例えば30mm以上になる
と、いくら冷却を強くしてもこれ以上は上げることので
きない物理的限界の冷却速度が存在する。この限界冷却
速度は、鋼材の厚みにのみ影響される。この限界冷却速
度での冷却を実現するためには、例えばスプレー冷却や
ラミナー冷却では単位面積あたりに投入する冷却水量、
すなわち水量密度を1500〜2000L/minm2
以上にすればよく、これにより限界冷却速度に達する。
この値を超えるような水量密度で冷却を行っていれば、
例えば多少冷却水量が振れたところで冷却は安定してお
り、冷却中の温度降下量は水量に左右されなくなる。フ
ランジ厚みの厚いH形鋼や板厚の厚い厚鋼板ではこうし
た限界冷却速度で冷却することが多い。
【0013】この冷却状態では温度の制御は冷却時間に
よってのみ可能で、水量の調整では温度を制御すること
は不可能である。しかしながら、フランジ厚みの厚いH
形鋼や板厚の厚い厚鋼板の圧延は、リバース圧延によっ
て圧延機を往復させて圧下を加えるために、鋼材の先端
から後端にかけて温度分布があるのが一般的である。一
方、冶金学的には鋼材の加速冷却を終える、いわゆる冷
却停止温度は非常に材質を左右することから、この温度
をある一定温度領域に収めるように冷却を制御しなけれ
ばならない。
【0014】また、フランジ厚みの厚いH形鋼や板厚の
厚い厚鋼板の冷却時間は、通常冷却速度が遅いために2
0秒以上必要なことが多く、このような材料について通
過型の冷却を行うことは、鋼材の搬送速度を遅くする
か、冷却装置を長くする必要がある。一方、フランジ厚
みの厚いH形鋼や板厚の厚い厚鋼板の圧延長は、その単
重が重いことからそれほど長くない。したがって、冷却
装置に鋼材全体を入れた状態で、冷却にむらが発生しな
いようにオッシレーションさせながら冷却することが行
われている。このとき、鋼材全体が冷却装置に入った状
態から一斉に冷却水を噴射して一定時間冷却を行い冷却
水を止める方法では、冷却時間をそれぞれの部位で変化
させることが難しかった。
【0015】そこで、本発明では以下に説明するような
方法によって、冷却装置に鋼材が搬入される速度と、冷
却後冷却装置から搬出する速度を変えることで各部位の
冷却時間を最適化し、冷却停止温度を鋼材長手方向に亘
って一定となるようにした。以下の実施例でその搬入速
度と搬出速度の決定の仕方を説明する。
【0016】図1は、水量密度2000L/minm2
のスプレー冷却で、鋼板の上下面を冷却した場合の鋼板
板厚と限界冷却速度関係を示したものである。この限界
冷却速度は、材質、冷却開始温度によって多少異なった
関係となり、また、必ずしも直線関係にあるとは限らな
い。しかしながら、図1の関係を用いて冶金学的に所望
の鋼板温度降下量(冷却開始温度から冷却停止温度まで
冷却するときの温度差)を実現する冷却時間を求めてお
き、搬入から搬出までの冷却装置内の滞在時間を決定す
ることは可能である。あるいは別の方法として伝熱計算
プログラムを用いて冷却装置内の滞在時間を求めること
も可能である。
【0017】冷却前の鋼材長手方向の温度分布に応じて
最適な冷却装置内の滞在時間となるように鋼材の搬入速
度と搬出速度を決定する方法を、以下の実施例に基づい
て説明する。
【0018】
【実施例】(実施例1)実施例1は、冷却装置の前に温
度計を設け、鋼板を一定速度で冷却水を噴射した冷却装
置に搬入し、その際の温度計の計測値から鋼材長手方向
の温度分布を1つの直線に近似し、冷却停止温度が一定
となるべく鋼板の搬出速度を変更する本発明の一実施例
である。
【0019】図2に本実施例の設備配置を示す。仕上圧
延機1を出た高温の長さ15m、幅4100mm、厚さ
40mmの鋼板2は搬送テーブル上を搬送されて加速冷
却装置3へ搬送される。加速冷却装置3は、長さ25m
の上下にスプレーノズルが配置されており、平均で水量
密度2000L/minm2で鋼板を冷却可能である。
加速冷却装置3の直前には放射温度計4が設置されてお
り、加速冷却装置3に搬入される前の鋼板2の長手方向
温度分布をモニターしている。この冷却装置に上記鋼板
を搬入速度2m/sで搬入させた。このとき、放射温度
計4で計測された鋼板長手方向温度分布を図3に示す。
図3から、鋼板先端では920℃、鋼板後端部では89
0℃と約30℃の温度差があった。この温度分布を最小
二乗近似によって1次の直線に近似させる。図3に近似
直線を合わせて点線で示す。
【0020】一方、この鋼板の目標冷却停止温度は50
0℃であるので、図1より板厚40mmの鋼板の限界冷
却速度が20℃/sであるから、所望鋼板温度降下量は
先端部で420℃と後端部で390℃に対して、所要冷
却時間が先端部で21秒、後端部で19.5秒と先端か
ら後端にかけて冷却時間を短くする必要がある。冷却装
置にこの鋼板が搬入されるとき、鋼鈑先端部が冷却装置
に搬入されてから鋼板後端部が搬入されるまでには搬入
速度が2m/sなので15m/(2m/s)=7.5秒
かかっており、鋼板後端の冷却装置内滞在時間を鋼鈑先
端のそれより1.5秒短くするためには、搬出速度を1
5m/(7.5−1.5)秒=2.5m/sとすれば後
端部の冷却装置内滞在時間を鋼板先端部より1.5秒短
くできる。なお、このとき板先端部は、冷却装置内の滞
在時間が21秒となるようにオッシレーションして冷却
が均一になるようにした。
【0021】その結果、この鋼板の冷却停止温度は50
0℃±10℃にコントロールすることができた。本実施
例によれば、先端後端の熱履歴は当初目標の冷却開始温
度範囲と冷却停止温度範囲に入っており、鋼板全体に亘
って熱履歴に差が少ないことから材質のバラツキがきわ
めて少なく、鋼板内の硬度差を従来の1/3以下に抑える
ことができた。そのため材質はずれによる格落ちがな
く、製品歩留まりが大幅に向上した。
【0022】(実施例2)実施例2は、実施例1よりも
さらに鋼板の長手方向の温度分布を細分化して、鋼板の
それぞれの位置における冷却停止温度をそろえるよう工
夫した本発明の実施例で、冷却装置の前に設けた温度計
の計測値をもとに、長手方向に鋼板を細分化し、それぞ
れの細分化された部分の温度勾配に応じて搬出速度を変
更して冷却停止温度が一定となるべく温度制御を施した
ものである。
【0023】前記実施例と同じ設備構成で鋼板を圧延す
る鋼板製造設備において、仕上圧延機1を出た高温の長
さ20m、幅4100mm、厚さ40mmの鋼板2は搬
送テーブル上を搬送されて加速冷却装置3へ搬送され
る。加速冷却装置3は長さ21mの上下にスプレーノズ
ルが配置されており、平均で水量密度2000L/mi
nm2の冷却水が噴射されている。加速冷却装置3の直
前には放射温度計4が設置されており、加速冷却装置3
に搬入される前の鋼板の長手方向の温度を連続的にモニ
ターしている。この冷却装置に上記鋼板を搬入速度1m
/sで搬入させた。
【0024】このとき、放射温度計4で計測された鋼板
長手方向の温度分布を図4に示す。図4において、鋼板
先端5m部分の温度分布を最小二乗近似して図4に点線
で示した。この部分は、鋼板先端が910℃、先端から
5mのところが920℃と温度勾配が約+10℃付いて
いた(温度勾配dT/dx=+2℃/m)。同様に、鋼
板先端部より5mから10mの部分はほぼ温度がフラッ
トで最小二乗近似の直線の傾きはゼロで(温度勾配dT
/dx=±0℃/m)、10mから15mでは温度が下
がって最小二乗近似の直線は5mで20℃下がっており
(温度勾配dT/dx=−4℃/m)、さらに15mか
ら20m(鋼板後端)にかけてはさらに20℃温度が降
下していた(温度勾配dT/dx=−4℃/m)。そこ
でこの実施例では温度の勾配が負、すなわち鋼鈑の長手
方向に温度が徐々に下がっていく場合には、その傾きに
応じて鋼板の冷却装置からの搬出速度を搬入速度に比べ
て増速させて搬出し、逆に温度が上昇傾向にある場合は
搬入速度に比べて搬出速度を減速して搬出させた。その
速度変更の様子を表1を用いてさらに説明する。
【0025】
【表1】
【0026】表1は、鋼板先端から1m毎の位置の冷却
開始温度(5m毎に求めた最小二乗近似直線の値)と目
標冷却停止温度、それに基づいて限界冷却速度で冷却す
る場合必要となる所要冷却時間を示す。所要冷却時間
は、冷却開始温度のバラツキによって19秒から21秒
になっている。この鋼板の5m毎の温度勾配は0−5m
が2℃/m、5−10mが0℃/m、10−15mが−
4℃/m、そして15−20mが−4℃/mとなってい
る。この鋼板の搬入速度は1m/s一定としたので鋼板
先端が冷却装置に搬入されてから各位置が搬入されるま
での時間のずれは搬入速度の右欄に記されている。この
とき、鋼板各位置の冷却装置内の滞在時間を所要冷却時
間に近づけるべく、鋼板の搬出速度を調整する。その調
整方法は、各鋼鈑位置の温度勾配に応じて温度勾配が正
の場合、その温度勾配に応じて搬入速度に対する搬出速
度を減速させ、逆に、温度勾配が負の場合、その温度勾
配に応じて搬入速度に対する搬出速度を増速させ、温度
勾配がゼロの場合搬入速度で搬出する。これを式で表す
と次式となる。
【0027】 1/Vout−1/Vin=C(dT/dx) …(1) ここで、Vout :搬出速度m/s C :定数 s/℃ dT/dx:温度勾配℃/m Vin :搬入速度m/s
【0028】定数Cは、冷却時間の調整量を決定する数
字である。これは、搬送装置(ローラテーブルの回転数
調整)の応答性によって値が異なるが、おおよそ次式で
表せる。
【0029】C≒1/Scr ここで、Scr:限界冷却速度℃/s 本実施例では、C≒1/Scr=1/20=0.05で搬
出速度を変更している。これによって、鋼板各位置の冷
却装置内の滞在時間はおおよそ所要冷却時間に等しくな
っており、その差は0.1秒程度に収まっている。
【0030】図5は本発明による鋼板の搬出速度を表1
のように変更した場合の冷却停止温度の長手方向分布を
計測した実測値である。本実施例によれば、先端から後
端にかけて全ての部分が当初目標の冷却停止温度500
℃±10℃に入っており、鋼板全体に亘って熱履歴に差
が少ないことから材質のバラツキがきわめて少なく、鋼
板内の硬度差を従来の1/3以下に抑えることができた。
そのため材質はずれによる格落ちがなく、製品歩留まり
が大幅に向上した。
【0031】(実施例3)実施例3は、H形鋼の加速冷
却装置に本発明を適用した例で、実施例1および2と同
じく冷却装置の前に温度計を設け、H形鋼を一定速度で
冷却水を噴射した冷却装置に搬入し、温度計の計測値か
らH形鋼のフランジの長手方向の温度分布を1つの直線
に近似し、冷却停止温度が一定となるべく、H形鋼の搬
出速度を変更する本発明の一実施例である。
【0032】図6に本実施例の設備配置を示す。仕上圧
延機1を出た高温の長さ15m、フランジ幅520m
m、ウェブ高さ550mm、フランジ厚み65mm、ウ
ェブ厚み45mmのH形鋼5が搬送テーブル上を搬送さ
れて加速冷却装置3へ搬入される。加速冷却装置3は長
さ25mのサイドガイドの後方に100mmピッチでス
プレーノズルが配置されており、平均で水量密度200
0L/minm2でフランジの外面を冷却可能である。
加速冷却装置3の直前には放射温度計4が設置されてお
り、加速冷却装置3に搬入される前のH形鋼の長手方向
フランジ外面の温度を連続的にモニターしている。この
冷却装置に上記H形鋼を搬入速度0.5m/sで搬入さ
せた。そのとき、放射温度計4で計測されたフランジ温
度は先端部が920℃、後端部が890℃と約30℃の
温度差があった。この温度分布を最小二乗近似によって
1次の直線に近似させる。
【0033】一方、このH形鋼のフランジの目標冷却停
止温度は500℃である。図1から、本実施例はフラン
ジ外面の片面冷却であるので、フランジ厚み65mmの
臨界冷却速度は両面冷却の130mm厚みの鋼材冷却に
ほぼ相当し、限界冷却速度は約3.2℃/sである。ま
た、先端部および後端部の所要温度降下量は、先端部が
420℃、後端部が390℃と、先端部から後端部にか
けて冷却時間を先端部131.3秒から後端部が12
1.9秒と冷却時間を9.4秒短くする必要がある。
【0034】このとき、装入速度が0.5m/sである
ので先端が冷却装置に進入後、30秒で後端部が冷却装
置に進入し、ここでオッシレーションを開始し、先端が
冷却装置進入後131.3秒後に先端が搬出速度0.7
28m/sで冷却装置から搬出され、後端は先端が冷却
装置から搬出された後20.6秒後に搬出されるように
搬出速度を調整した。
【0035】その結果、このH形鋼の冷却停止温度は5
00℃±10℃にコントロールすることができた。本実
施例によれば、H形鋼先端後端の熱履歴は当初目標の冷
却開始温度範囲と冷却停止温度範囲に入っており、H形
鋼全体に亘って熱履歴に差が少ないことから材質のバラ
ツキがきわめて少なく、H形鋼内の硬度差を従来の1/3以
下に抑えることができた。そのため材質はずれによる格
落ちがなく、製品歩留まりが大幅に向上した。
【0036】なお、本実施例はフランジ外面のみを冷却
してフランジを焼入れ処理する例を示したが、本発明の
主旨はフランジ内外面両面を冷却する、両面冷却装置に
も同様に適用が可能である。
【0037】以上3つの実施例を用いて本発明の主旨と
効果を説明したが、その中で、搬入速度の決定方法につ
いて以下に簡単に説明する。実施例1,2と実施例3を
比べると鋼材の厚みが実施例3の方が厚く、かつ実施例
3は片面のみの冷却速度であるから、その限界冷却速度
が遅く鋼材の所要冷却時間が長くなっている。このよう
な場合には、先後端の冷却時間差を大きくとるために冷
却装置への搬入速度を小さくする。例えば、実施例3で
装入速度を1m/sとすると先端装入から後端装入の時
間差は15秒であるので、後端の冷却装置内滞在時間を
先端より9.4秒短くするためには搬出速度を15/
(15−9.4)=2.67m/sとかなり早くしなけ
ればならないが、実施例では搬入速度を0.5m/sと
したので、搬出速度は15/(30−9.4)=0.7
28m/s程度で冷却停止温度の制御性が改善される。
本来搬入速度にしろ搬出速度にしろ、能率の点からは早
い方が生産性が高いが、本発明を実施するのにあたって
は、所要冷却時間が長い場合には冷却装置への搬入速度
をある程度ゆっくりした方が温度制御性が改善される。
具体的な目安としては、搬入速度は次式で表される。
【0038】L/Vin≧0.2ΔT/Scr …(2) ここで、L :鋼材長 m ΔT:所要温度降下量℃ Vin :装入速度 m/s Scr :限界冷却速度 ℃/s
【0039】以上の実施例は、冷却速度が限界冷却速度
の場合について述べたが、一般の冷却装置、例えばスプ
レー冷却装置やラミナー冷却装置等への応用も考えられ
る。ただし(2)式から冷却速度は早い方、即ち急冷し
て限界冷却速度で冷却する方が生産効率の点からは望ま
しい。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば次のような効果を得ることができる。 (1)鋼材の長手方向に均一な冷却停止温度で冷却を停
止することができる。 (2)鋼材内の材質のバラツキが少なく、均質なものを
安定して製造することが可能となる。また、製品歩留ま
りが高い。 (3)冷却装置の冷却水の流量を調整する設備が不要で
設備費が安い。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼材の板厚とそれに対する限界冷却速度の関係
を示す図。
【図2】第1および第2の実施例を説明する設備配置
図。
【図3】第1の実施例の鋼板表面温度分布を示す図。
【図4】第2の実施例の鋼板表面温度分布を示す図。
【図5】第3の実施例の実績冷却停止温度と比較例を示
す図。
【図6】第3の実施例を説明する設備配置図。
【符号の説明】
1 仕上圧延機 2 鋼板 3 加速冷却装置 4 放射温度計 5 H形鋼
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有村 鶴和 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K038 AA01 BA01 CA03 DA01 EA01 FA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延後の高温の鋼材を冷却装置内にて加
    速冷却する冷却方法において、冷却装置の入側に設けら
    れた温度測定手段により、冷却装置に搬入される前の鋼
    材の長手方向の温度分布を計測し、この計測値に基づい
    て鋼材の冷却装置内滞在時間および冷却装置からの搬出
    速度を算出し、この算出された鋼材の冷却装置内滞在時
    間および冷却装置からの搬出速度で鋼材を加速冷却する
    ことを特徴とする冷却方法。
  2. 【請求項2】 冷却装置からの鋼材の搬出速度を、冷却
    装置搬入時の鋼材の長手方向の温度勾配に応じて変更す
    ることを特徴とする請求項1に示す鋼材の冷却方法。
  3. 【請求項3】 冷却装置への鋼材の搬入速度を、冷却速
    度に応じて変更することを特徴とする請求項1または請
    求項2に示す鋼材の冷却方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008246579A (ja) * 2007-03-05 2008-10-16 Jfe Steel Kk 厚鋼板の製造方法および製造設備
CN100453194C (zh) * 2005-12-07 2009-01-21 首钢总公司 一种解决生产高碳盘条产生自断的控制冷却方法
CN104772346A (zh) * 2015-04-07 2015-07-15 首钢总公司 一种降低软态铜包钢丝用钢热轧盘条抗拉强度的方法

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