JP2001322947A - 遺伝子ファミリーnm23のポリペプチドまたはこれらをコードする核酸の、皮膚または腸障害の診断または治療のための使用、およびそれらの、薬理学的に活性がある物質の同定のための使用 - Google Patents

遺伝子ファミリーnm23のポリペプチドまたはこれらをコードする核酸の、皮膚または腸障害の診断または治療のための使用、およびそれらの、薬理学的に活性がある物質の同定のための使用

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アンドレアス・ゴッペルト
Johannes Regenbogen
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】皮膚の障害、腸障害、創傷治癒、創傷治癒の障
害の解析、診断、予防、治療、薬理学的に活性がある物
質の同定等に有用なポリペプチドの提供。 【解決手段】遺伝子ファミリーNM23の配列番号1な
いし10のポリプペチド、またはその機能する変異体あ
るいはこのポリペプチドをコードする核酸またはその変
異体を上記各症状の解析等に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、遺伝子ファミリーNM23のポ
リペプチドまたはこれらをコードする核酸の、皮膚また
は腸細胞の障害および創傷治癒、および/または創傷治
癒の障害の診断および/または予防および/または治療
のための使用、並びにそれらの、薬理学的に活性がある
物質の同定のための使用に関する。
【0002】創傷は、一般的に、療法的介入なしに治癒
する。しかし、創傷治癒が役割を果たす多くの障害があ
り、例えば真性糖尿病、動脈閉塞性疾患、乾癬、クロー
ン病、表皮水疱症、年齢関連皮膚変化または神経支配障
害である。創傷治癒障害は、創傷治癒の遅延または慢性
創傷につながる。これらの障害は、創傷の性質(例え
ば、広範囲の創傷、深くそして物理的に拡大された手術
創傷、やけど、外傷、床ずれ)、患者の薬物での治療
(例えばコルチコイド類での)により引き起こされる可
能性があるが、また、障害の性質自体により引き起こさ
れる可能性もある。例えば、II型糖尿病患者の25%
は、例えば、慢性潰瘍(「糖尿病足(diabetic
foot)」)をしばしば患い、そのうちおよそ半数
は、高価な入院治療を必要とし、そしてにもかかわらず
最終的に不完全にしか治癒しない。糖尿病足は、糖尿病
に関連する他のいかなる合併症よりも、より長い入院を
引き起こす。I型およびII型糖尿病のこれらの症例の
数は増加しつつあり、そしてすべての入院の2.5%に
相当する。さらに、創傷は、患者の年齢が上がるにつ
れ、より治癒しにくくなる。天然治癒過程の加速はま
た、例えば細菌感染の危険または患者の静養期間を減少
させるためにも、しばしば望ましい。
【0003】さらなる障害はまた、創傷閉鎖の成功後に
起こる可能性もある。胎児皮膚創傷は、傷痕形成なしに
治癒するが、生後期間は、損傷後、常に、傷痕の形成が
起こり、これはしばしば大きな整形的問題に相当する。
さらに、広範囲のやけど創傷の患者、特に傷痕のある皮
膚で、付属器、例えば毛包、汗腺および脂腺が失われて
いるような場合、生活の質は、劇的に不利な影響を受け
る可能性がある。特有の遺伝的性質の場合、周囲の皮膚
の内部に増殖する肥大性の傷痕である、ケロイドもまた
起こる可能性がある。
【0004】皮膚治癒の過程は、調整された方式で進行
する、複雑な作用および多様な細胞種の相互作用を必要
とする。創傷治癒過程において、以下の段階が区別され
る:創傷の領域における血液の凝固、炎症性細胞の補
充、上皮再形成、顆粒形成組織の形成およびマトリック
ス改造。増殖、移動、マトリックス合成および収縮期中
に関与する細胞種の正確な反応パターンは、例えば、増
殖因子、受容体およびマトリックスタンパク質などの遺
伝子の制御と同様、現在までほとんど知られていない。
【0005】したがって、現在まで、創傷治癒障害に介
入することを可能にするために、数種の満足できる療法
しか開発されてきていない。療法の確立された型は、創
傷治癒の物理的補助(例えば、包帯、圧迫ガーゼ、ゲ
ル)または皮膚組織、培養皮膚細胞および/またはマト
リックスタンパク質の移植に限定される。近年、創傷治
癒の改善のため、増殖因子が試験されてきているが、慣
用的な療法を決定的には改善していない。創傷治癒障害
の診断もまた、現在までに創傷治癒中の遺伝子制御のよ
り深い理解が欠けているため、さほど意味がない、皮膚
の視覚的解析に基づいている。
【0006】現在まで、皮膚および腸の再生過程の他の
障害に関してもまた、さほど満足できる療法は開発され
てきていない。ここでもまた、診断剤および療法の開発
に、遺伝子制御の知識が好都合である。創傷治癒に関連
する遺伝子はまた、皮膚の再生の障害に基づく皮膚科学
的障害に、および一般的に再生過程に必須の役割も果た
していることが示されてきている(Finchら, 1
997, Am. J. Pathol. 151:1
619−28; Wernerら, 1988, Cy
tokine Growth Factor Rev.
9:153−165)。したがって、増殖因子KGF
は、創傷治癒中の角化細胞の増殖および分化の制御に必
須の役割を果たすだけでなく、乾癬における角化細胞の
過剰増殖においても、そして(クローン病および潰瘍性
大腸炎(colitis ulcerosa)の)腸の
再生過程においても、重要な因子である。
【0007】したがって、皮膚または腸細胞の障害およ
び/または創傷治癒および/または創傷治癒の障害の過
程に関与し、そしてその使用が、診断および/または予
防および/または治療、並びにまた、これらの障害と関
連して有効である薬剤および/または診断剤の同定およ
び開発を決定的に改善する、ポリペプチドおよび/また
はこれらをコードする核酸を利用可能にするのが、本発
明の目的である。
【0008】皮膚または腸の障害、創傷治癒および創傷
治癒の障害は、調節されない組織増殖および分化に関連
する疾患、特に皮膚の癌および腸の癌とは異なると見な
される。後者の種類の疾患では、個々の細胞が形質転換
され、そして調節されない、自立的な方式で、すなわち
他の細胞種との相互作用とは独立に、増殖し始め、こう
した形質転換細胞は、その病理学的変化をその娘細胞に
受け継ぐ。これらの疾患において、相互作用の欠失は、
細胞・細胞接着および典型的な細胞特性の欠失と平行す
る。対照的に、本発明にしたがった疾患は、細胞相互作
用の障害から生じる。本発明にしたがった皮膚疾患の原
因は、多様な要因に応じる。例えば、乾癬の場合、遺伝
的な素因と共に機能不全T細胞、線維芽細胞および角化
細胞が役割を果たす(Nairら, 1997; Hu
m. Molec. Genet. 6:1349−1
356; Gottliebら, 1995, Na
t.Med. 1:442−447; Saiagら,
1985, Science, 230:669−6
72; Pittelkow, 1998, inTo
enigk 1988:225−246)。創傷治癒の
経過はまた、多様な内因性および外因性の要因によって
も調節される可能性がある。真皮および表皮の異なる細
胞種の相互作用と共に、これらの細胞種と、他の組織お
よび器官、例えば血管系、神経系および結合組織との相
互作用の小さな妨害であっても、創傷治癒の重度の障害
に続き、傷痕の形成につながる可能性がある。さらに、
創傷治癒の過程は、感染、加齢、ビタミン欠乏と共に、
糖尿病などの疾患および免疫系の障害により、影響を受
ける可能性がある。皮膚の他の障害、例えば白斑および
アトピー性皮膚炎に関し、類似の複雑な相互作用が記載
されてきている。こうした議論に基づき、本発明にした
がった皮膚疾患は、癌を含む、調節されない組織増殖お
よび分化と関連する疾患とは区別することが可能であ
る。
【0009】癌性疾患の自律的特性はまた、療法のレベ
ルでも明白である。転移を形成しない腫瘍の場合、疾患
は外科的に治療してもよい。こうした物理的治療は、腫
瘍細胞が隣接細胞または組織と相互作用しないため、可
能である。したがって、患者は腫瘍の切除により治癒す
る可能性がある一方、本発明にしたがった皮膚の障害の
場合、こうした治療は不可能である。細胞・細胞および
組織・組織相互作用の病理学的妨害は、皮膚の罹患部分
の単純な切除により解決することはできない。
【0010】区別すべき2つの異なる種類の疾患に対す
る2つの異なる治療アプローチを比較することにより、
2つの異なる機構が異なる疾患の根底にあることが明ら
かである。調節されない組織増殖および分化と関連する
疾患、特に癌の場合、療法は、迅速に増殖する細胞を、
例えば細胞分裂抑制剤を用いて殺すことを標的とする。
これらの毒性剤は、活発に増殖している細胞の増殖を妨
げる一方、細胞周期のG0期の細胞は影響を受けないま
まである。対照的に、本発明にしたがった皮膚の障害の
治療は、異なる種類の細胞間の細胞相互作用を、例えば
個々の細胞種の移動、増殖および分化に影響を及ぼすこ
とにより、調節することに向けられる。本発明にしたが
った皮膚の障害は、増殖細胞の一般的な不活性化により
治療することが不可能である。
【0011】本発明にしたがった創傷治癒および/また
は皮膚または腸の障害の過程に関与する、本発明にした
がって用いられる核酸を同定するための方法論的アプロ
ーチは、癌に関与する核酸を同定するのに適したアプロ
ーチとは非常に異なる。後者は、こうした疾患に罹患し
た細胞種において、差別的に発現されている遺伝子を解
析することにより、同定することが可能である。本発明
に用いられるスクリーニングアプローチは、皮膚の障害
および/または創傷治癒および/または創傷治癒の障害
の複雑な過程に関与する遺伝子を、病的なおよび健康な
組織生検の遺伝子発現を比較することにより、同定する
ことを目的とする。こうしたアプローチは、癌性疾患に
関与する遺伝子の同定には適していないであろう。
【0012】本発明にしたがった皮膚の障害を、調節さ
れない組織増殖および分化と関連する皮膚疾患、特に皮
膚癌と区別するのに提起される議論はまた、本発明にし
たがった腸の障害を、調節されない組織増殖および分化
と関連する腸の疾患、特に腸の癌と区別する、類似の方
法にも適用することが可能である。例えば、結腸潰瘍の
治癒の遅延、例えばクローン病は、皮膚に関して示され
てきているように、細胞相互作用を妨害する、多様な要
因により引き起こされ、そして調節される。こうした要
因には、自己免疫機構、サイトカイン多型、細菌および
感染性病原体が含まれる(PernerおよびRask
−Madsen, 1999, Aliment Ph
armacol. Ther. 13:135−14
4)。これらの要因は、腸細胞、例えば小胞(cryp
t)細胞、絨毛腸細胞または食細胞の間の相互作用を妨
害する(Ruemmele und Seidman,
1998, Chung Hua Min Kuo
Hsiao Erh KoI Hsueh Hui T
sa Chih, 39:1−8)。したがって、本発
明にしたがったスクリーニングはまた、腸特異的過程の
癌に関与する核酸を同定するのに適しているだけでな
く、腸の疾患に適用した際も、強力である。
【0013】創傷治癒過程中のものと共に乾癬およびク
ローン病における遺伝子発現の解析において、遺伝子フ
ァミリーNM23を同定することが可能であった。この
遺伝子ファミリーは現在までにすでに知られており、そ
して報告されている機能は、皮膚または腸障害、例えば
妨害された創傷治癒には関連付けられていなかったが、
本発明によりその制御が創傷治癒過程に必須であり、し
たがって皮膚または腸障害、例えば妨害された創傷治癒
の診断および/または治療と初めて関連付けられた。こ
れらの遺伝子のポリペプチドは、本発明にしたがった皮
膚および/または腸障害および/または創傷治癒の、診
断、例えば徴候、および/または治療、例えば調節に関
し、あるいは本発明から、完全に新規の療法アプローチ
が生じるような、皮膚および/または腸障害および/ま
たは創傷治癒の療法のための薬理学的に活性がある物質
の同定に関し、現在までに知られている標的に属してい
なかった。
【0014】したがって、本発明の目的は、配列番号1
ないし配列番号10の1つにしたがった遺伝子ファミリ
ーNM23の本発明にしたがって用いられるポリペプチ
ド、またはその機能する変異体、あるいはこれらをコー
ドする核酸またはその変異体の、皮膚および/または腸
障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
障害の診断および/または治療、例えば療法的および/
または予防的治療のための、および/または薬理学的に
活性がある物質の同定のための、使用により達成され
る。
【0015】遺伝子ファミリーNM23は、ヌクレオチ
ド二リン酸キナーゼ(NDK)活性を有するタンパク質
をコードし(Postel, 1998, Int.
J.Biochem. Cell. Biol. 3
0:1291−5)、該タンパク質は、基質非特異的方
式で、ヌクレオシド二リン酸をヌクレオシド三リン酸に
変換する。活性酵素は、非常に相同な(図6を参照され
たい)ポリペプチドNM23A(NDKAとも称され
る、図6を参照されたい)およびNM23B(NDK
B)の6つのサブユニットからなり、そして可能性があ
るサブユニットの6つの組み合わせすべてが起こりうる
(Gillesら, 1991, J. Biol.
Chem. 266:8784−9)。遺伝子NM23
−H1(ヒト由来、EMBLデータベースエントリー、
X17620、X75598、X73066; Ros
engardら, 1989, Nature 34
2:177−180)およびNM23−M1(マウス由
来、EMBL M35970、M65037、U855
11、AF033377; Rosengardら、上
記; Steegら, 1988, J. Natl.
Cancer Inst. 80:200−204)
はそれぞれ、ポリペプチドNM23A/NDKA(SW
ISSPROTデータベースエントリー、P15531
およびP15532)をコードし、一方、遺伝子NM2
3−H2(EMBL X58965、M36981、L
16785; Gillesら, 1991, J.
Biol.Chem. 266:8784−9; St
ahlら, 1991, Cancer Res. 5
1:445−9)およびNM23−M2(EMBL X
68193; Uranoら, 1992, FEBS
Lett. 309:358−362)はNM23B
/NKDB(SWISSPROTエントリー、P223
92およびQ01768)をコードする。
【0016】さらに、遺伝子NM23−H4/NDKM
(SWISSPROTエントリー、O00746; M
ilonら, l997, Hum. Genet.,
99:550−557);DR−NM23/NDK3
(SWISSPROTエントリー、Ql3232; C
uccoら, l995, Proc. Natl.A
cad. Sci. U.S.A., 92:7435
−7439)、NM23−H5/NDK5(SWISS
PROTエントリー、P56597、Munierら,
1998, FEBS Lett., 434:28
9−294)、5型NM23(EMBLエントリー、U
90449; Nakamuraら、1997、データ
ベースへの直接エントリー)およびNDK6(SWIS
SPROTエントリー、O60361、Bradsha
wおよびOzersky、1998、データベースへの
直接エントリー)もまた、遺伝子ファミリーNM23に
属する。遺伝子ファミリーNM23のポリペプチドは、
アミノ酸配列レベルで、互いに、およそ55ないし95
%の同一性を示す。
【0017】代謝酵素としての機能に加え、遺伝子ファ
ミリーNM23には、いくつかの他の機能が割り当てら
れてきている。例えば、NM23Bの遺伝子産物は、細
胞質だけでなく、核にも位置し(Kraeftら, 1
996, Exp. Cell Res. 227:6
3−9)、そしてDNA結合と共に、転写活性化機能が
記載された(Postelら, 1993, Scie
nce 261:478−80; Postel, 1
999, J. Biol. Chem 274:22
821−9)。さらに、Ras−GTPアーゼの制御に
おけるNM23の役割が記載された(Zhuら, Pr
oc. Nat. Acad. Sci. USA 9
6:14911−8)。
【0018】NM23Aの発現の減少は、ショウジョウ
バエ(Drosophila melanogaste
r)において、転移および細胞異常の形成の腫瘍マーカ
ーとして記載され(Rosengardら, 198
9, Nature 342:177−l80)、ここ
で、正常レベルのNM23発現は、腫瘍細胞が転移を形
成する能力を阻害することが可能である(Leeおよび
Lee, 1999,Cancer Letter 1
45:93−9)。この機能は、酵素活性に関連してい
ないようである。(LeeおよびLee、上記)。一
方、NM23の発現は、アンチセンス実験(Cipol
liniら, 1997, Int. J. Canc
er 73:297−302)および抗体実験(Sor
scherら, 1993, Biochem. Bi
ophys. Res. Commun. 195:3
36−45)から仮定されるように、細胞増殖に必須で
ある。にもかかわらず、ヒト初期および転移形成黒色腫
細胞におけるNM23発現の解析と共に、異なる段階の
黒色腫形成の解析により、ヒトにおけるNM23発現
は、マウスにおける状況と対照的に、転移の形成と相関
しないことが導かれた(Eastyら, 1996,
Br. J. Cancer 74(1):109−1
4)。最近、これらの結果が、別のグループによる第二
の研究中、確認された(Seregardら, 199
9, Exp. Eye Res. 69(6):67
1−676)。したがって、NM23は、黒色腫形成に
おいて信頼できる診断に適していないようであった。調
節されない組織増殖および分化に関連する疾患、特に癌
の治療は、本発明にしたがった疾患と非常に異なるた
め、したがって、NM23ポリペプチドおよび/または
その機能する変異体および/またはこれらのポリペプチ
ドをコードする核酸を、本発明にしたがった疾患の診断
または治療に使用する戦略は、調節されない組織増殖お
よび分化に関連する疾患、特に癌の背景における療法の
ため記載されてきているため、期待できない戦略であっ
た(WO 98/11232)。さらに、遺伝子ファミ
リーNM23のポリペプチド、核酸またはこれらのポリ
ペプチドをコードするcDNAおよび皮膚または腸の障
害または創傷治癒または創傷治癒の障害の間に、いかな
る関連も確立されてきていない。したがって、本発明に
したがった核酸および/またはポリペプチドを使用する
ことが可能であることは意外であった。
【0019】一般的に、組織において差別的に発現され
る遺伝子の解析は、細胞培養系の解析よりも、明らかに
より多い、偽陽性クローンの形の誤りに悩まされる。こ
れは、限定された細胞培養系の使用により避けることが
不可能である。現存する培養系は、創傷治癒過程の複雑
さを満足にシミュレーションすることが不可能であるた
めである。
【0020】この問題は、多様な異なる細胞種からなる
皮膚に関し、特に当てはまる。さらに、創傷治癒は、多
様な細胞種の増殖および分化を含む、細胞過程の空間的
および時間的変化を伴う、非常に複雑な過程である。し
たがって、専門家にとって、皮膚の複雑な系だけでな
く、さらに創傷治癒の生理学的過程、そしてさらに差別
的に発現される遺伝子のレベルでの創傷治癒の異なる段
階も解析するのは、期待できない戦略である。これらの
困難に基づき、スクリーニングの成功は、実験パラメー
ターの選択に依存した。適用される方法は標準的である
(例えばサブトラクティブ・ハイブリダイゼーション)
一方、スクリーニングおよび確認戦略は、洗練されそし
て限定された選択のパラメーターのため、創意がある。
例えば、生検試料を採取する時点の選択が、スクリーニ
ングの成功のため重要である:創傷治癒および皮膚の障
害は、しばしば、細胞増殖および細胞移動の障害により
引き起こされる。これらの過程は創傷の1日後に開始さ
れる。したがって、この時点の分子過程の解析は、正常
の創傷治癒に必須の過程に、それほど多くの洞察を提供
しないであろう。しかし、創傷の1日後以降の時点での
創傷治癒の経過において、創傷における細胞種の組成
は、かなり変化している。その結果、この創傷における
差別的な発現は、必ずしも該遺伝子が細胞において差別
的に発現されることを意味せず、単に異なる細胞種組成
を反映する可能性もある。したがって、生検を採取する
日の選択は、スクリーニングの成功のため重要である。
【0021】限定されたパラメーターにもかかわらず、
得られた遺伝子中で、創傷治癒中に差別的に発現され、
皮膚の創傷治癒または障害における使用に不適切である
遺伝子の過剰提示(over−representat
ion)が観察された。これらの遺伝子は、例えば、主
要な代謝、例えば解糖、クエン酸回路、糖新生および呼
吸鎖の酵素をコードする遺伝子を含み、また、リボソー
ムタンパク質、例えばL41およびS20をコードする
遺伝子も含む。比較的少数の適切な遺伝子のみを同定す
ることが可能であった。したがって、使用可能なまたは
本発明にしたがった同定遺伝子が創傷治癒に関連するこ
とは驚くべきことであった。
【0022】さらに、最初に来診した潜在的な患者から
生検を採取した時点では、創傷の状態は非常に多様であ
る。したがって、本発明にしたがって用いられる核酸の
同定のため、動物モデルを用いた。BALB/cマウス
に創傷を与え、そして多様な時点で創傷生検を採取し
た。本過程は、遺伝的背景、創傷の種類、生検を採取し
た時点などの境界条件などを、正確に調節し、そしてし
たがって遺伝子発現の再現可能な解析を可能にするとい
う利点を有する。動物モデルの限定された条件下であっ
てさえ、関連する遺伝子の同定を複雑にする、解析クロ
ーンの過剰および弱く発現される遺伝子の過少提示など
の、さらなる方法論的問題が発生する。
【0023】本発明にしたがった遺伝子ファミリーNM
23のポリペプチドの寄託番号およびそのcDNAが図
5に示される。本発明にしたがい使用可能なポリペプチ
ドNM23−M2のcDNAは、損なわれていない(i
ntact)および創傷を受けた皮膚から得たcDNA
ライブラリーから単離した。正常治癒対不完全治癒(デ
キサメタゾン治療)創傷のcDNAライブラリーにおい
て、異なる存在量を示したcDNAを選択した(実施例
1)。これは、サブトラクティブ・ハイブリダイゼーシ
ョンにより、行った(Diatchenkoら, 19
96, Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 93:6025−6030)。選択され
たcDNAは、正常治癒創傷のcDNAプールに対し、
デキサメタゾン治療動物のcDNAプールにおいて、よ
り高い存在量を示した。NM23−M2は、マウス創傷
cDNAのサブトラクティブ・ハイブリダイゼーション
を通じ、同定することが可能であった。NM23−M2
は、損なわれていない皮膚に対する正常治癒1日創傷の
サブトラクションから得られたcDNA集団において
も、そして良好治癒創傷に対する不完全治癒創傷(デキ
サメタゾン治療マウス)のサブトラクションから得られ
たcDNA集団においても、共に濃縮されていた(実施
例1)。これは、NM23が正常創傷治癒中、制御され
るだけでなく、発現の制御が創傷治癒の正常な進行にも
必須であることを示唆した。
【0024】遺伝子が最初に同定された後、別の方法に
より、創傷治癒特異的発現を確認することが必要であ
る。これは、いわゆる「逆ノーザンブロット」、「RN
アーゼ保護アッセイ」、「RT−PCRアッセイ」、
「in situハイブリダイゼーション」および「T
aqMan解析」により、行った。これらの方法を用
い、多様な創傷治癒状態で、そして皮膚障害(乾癬)か
ら、そして腸障害(クローン病)から採取した生検にお
けるmRNAの量を測定した。それにより、皮膚および
腸生検の発現パターンの組織特異的局所変化を決定した
(実施例2−7)。
【0025】逆ノーザンブロットで、サブトラクション
後のNM23−M2 cDNAの濃縮を確認することが
可能であった(図1、実施例1)。さらに、マウスの5
日創傷の組織切片のin situハイブリダイゼーシ
ョンは、遺伝子NM23−M1が創傷縁で過剰増殖上皮
において発現されていることを示した。これは、該遺伝
子が角化細胞の増殖および創傷の上皮再形成に必須の役
割を果たしていることを支持する(実施例4)。NM2
3−M2の発現が、コントロール動物の正常良好治癒創
傷におけるより、デキサメタゾン治療マウスの不完全治
癒創傷において、およそ5倍強いことはまた、定量的R
T−PCR解析によっても、示すことが可能であった
(図2、実施例2)。したがって、サブトラクション実
験により示唆された、創傷治癒過程におけるNM23の
必須の役割を、確認することが可能であった。
【0026】さらに、NM23の発現は、乾癬と関連付
けることも可能であった。それぞれ、乾癬患者の損傷皮
膚領域の生検または正常な皮膚のコントロール被験者の
生検から得たRNAを用い、「RNアーゼ保護アッセ
イ」を行った。コントロール被験者の皮膚に比較し、患
者の皮膚において、NM23−H1が有意に強く発現さ
れていることを示すことが可能であった(図3、実施例
3)。したがって、乾癬の場合も、NM23および疾患
の進行の間に関連がある。
【0027】炎症性腸障害クローン病の場合、同様の相
関が見出された。患者から、明らかに炎症がある領域お
よびより炎症が少ない領域の腸生検を採取した。健常コ
ントロール被験者の腸生検に比べ、クローン病患者の腸
生検はすべて、NM23−H1発現の有意な増加を示し
た(図4、実施例3)。さらに、NM23−H1発現
と、疾患の重症度の相関を見出すことが可能であった。
腸の、より炎症の少ない領域が、NM23−H1発現の
中程度の増加しか示さなかった一方、明らかに炎症があ
る領域では、発現の強い増加を見出すことが可能であっ
た(図4)。これらの結果は、NM23の発現が疾患の
重症度を反映するだけでなく、疾患の進行に必須であ
り、そしてNM23の発現を、これらの疾患の診断マー
カーとして用いることが可能であることを立証する。
【0028】本発明にしたがって用いられるポリペプチ
ドは、さらに、これらが合成的に調製されることで特徴
付けることが可能である。したがって、全ポリペプチド
またはその一部を、例えば慣用的な合成(Merrif
ield技術)の補助で、合成してもよい。本発明にし
たがって用いられるポリペプチドの一部は、抗血清を得
るのに特に適しており、これを用い、適切な遺伝子発現
バンクを検索し、本発明にしたがって用いられるポリペ
プチドのさらなる機能する変異体にたどりついてもよ
い。
【0029】本発明の意味の範囲内の「機能する変異
体」という用語は、本発明にしたがい使用可能なポリペ
プチドに機能上関連する、すなわち皮膚または腸の再生
過程中に制御されるおよび/または該ポリペプチドの構
造的特徴を有するポリペプチドを意味すると理解され
る。機能する変異体の例は、遺伝子の異なる対立遺伝子
による、生物の多様な個体または多様な器官にコードさ
れるポリペプチドである。
【0030】他の例には、例えば、非皮膚または非腸特
異的組織、例えば胚性組織から単離されるが、創傷治癒
に関与する細胞において、発現後に、示される機能を有
する、核酸によりコードされるポリペプチドが含まれ
る。
【0031】さらなる意味において、本用語はまた、配
列番号1ないし配列番号10の1つにしたがったアミノ
酸配列を有するポリペプチドに、および/またはDNA
配列の補助で、図5のリストの公的にアクセス可能なデ
ータベースエントリーに、約70%、好ましくは約80
%、特に約90%、特に約95%の配列相同性、特に配
列同一性を有するポリペプチドを意味するとも理解され
る。
【0032】機能する変異体はまた、長さ少なくとも6
アミノ酸、優先的には少なくとも8アミノ酸、特に好ま
しくは少なくとも12アミノ酸を持つ、本発明にしたが
い使用可能なポリペプチドの一部も含む。
【0033】さらに、これらはまた、約1−60、好ま
しくは約1−30、特に約1−15、特に約1−5アミ
ノ酸の範囲のポリペプチドの、N−および/またはC−
末端および/または内部欠失体(deletion)ま
たは部分も含む。例えば、最初のアミノ酸、メチオニン
は、ポリペプチドの機能を有意に改変することなく、欠
失させることが可能である。
【0034】「コードする核酸」という用語は、本発明
にしたがい使用可能な、単離可能ポリペプチドまたは例
えばシグナル配列を含む前駆体をコードするDNA配列
に関する。ポリペプチドは、全長配列、または特定の、
例えば酵素的、活性を保持する限り、コード配列のいか
なる一部の配列によりコードされていてもよい。
【0035】本発明にしたがって用いられる核酸の配列
における改変は、例えば、遺伝暗号の縮重のため、存在
してもよく、または活性を有意に改変することなく、核
酸の5’および/または3’端に非翻訳配列が結合して
いてもよく;以下に言及される修飾もまた、核酸に適用
されてもよいことが知られる。本発明はしたがって、ま
た、本発明にしたがって用いられる核酸のいわゆる「変
異体」も含む。
【0036】「変異体」という用語は、ストリンジェン
トな条件下で基準配列とハイブリダイズし、そして本発
明にしたがって用いられる対応するポリペプチドに対し
全体的に類似の活性を有するDNA配列に相補的なDN
A配列すべてを示す。
【0037】「制御」という用語は、ポリペプチドまた
はこれらのポリペプチドをコードする核酸の量の増加ま
たは減少を意味し、こうした変化は例えば転写または翻
訳のレベルで起こると理解される。
【0038】「ストリンジェントなハイブリダイゼーシ
ョン条件」は、例えば、ハイブリダイゼーションが2.
5 x SSC緩衝液中、60℃で行われた後、より低
い緩衝剤濃度中、37℃で何回かの洗浄段階を行い、そ
して安定なままである条件を意味すると理解される。
【0039】核酸の変異体はまた、少なくとも8ヌクレ
オチド、優先的には少なくとも18ヌクレオチド、特に
少なくとも24ヌクレオチド、特に好ましくは少なくと
も30ヌクレオチド、特に好ましくは少なくとも42ヌ
クレオチドの長さを持つ、本発明にしたがい使用可能な
核酸の一部も含む。
【0040】優先的には、本発明にしたがって用いられ
る核酸は、DNAまたはRNA、好ましくはDNA、特
に二本鎖DNAである。核酸の配列は、さらに、少なく
とも1つのイントロンおよび/または1つのポリA配列
を有することで特徴付けることが可能である。本発明に
したがって用いられる核酸はまた、そのアンチセンス配
列の形で用いてもよい。
【0041】本発明にしたがって用いられる遺伝子の発
現には、一般的に二本鎖DNAが好ましく、ポリペプチ
ドをコードするDNA領域が特に好ましい。この領域は
コザック配列(Kozak, 1987, Nucle
ic. Acids Res. 15: 8125−4
8)内にある最初の開始コドン(ATG)から始まり、
該ATGに対し同一読み枠にある次の停止コドン(TA
G、TGAまたはTAA)までである。
【0042】本発明にしたがって用いられる核酸配列の
さらなる使用は、アンチセンスオリゴヌクレオチド(Z
hengおよびKemeny, 1995, Cli
n.Exp. Immunol. 100: 380−
2; NellenおよびLichtenstein,
1993, Trends Biochem. Sc
i. 18: 419−23; Stein, 199
2, Leukemia 6: 967−74)および
/またはリボザイム(Amarzguiouiら, 1
998, Cell. Mol. Life Sci.
54: 1175−202; Vaishら, 19
98, Nucleic AcidsRes. 26:
5237−42; Persidis, 1997,
Nat. Biotechnol. 15: 921
−2; CoutureおよびStinchcomb,
1996, Trends Genet. 12:5
10−5)の構築である。アンチセンスオリゴヌクレオ
チドを用い、本発明にしたがって用いられる核酸の安定
性を減少させてもよく、および/または本発明にしたが
って用いられる核酸の翻訳を阻害してもよい。したがっ
て、例えば、細胞における対応する遺伝子の発現をin
vivoおよびin vitro両方で減少させるこ
とが可能である。したがって、オリゴヌクレオチドまた
はリボザイムは治療剤として適している可能性がある。
本戦略は、例えば、皮膚、上皮および真皮細胞にとって
さえも、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドがリポソ
ームと複合体化されている場合、適している(Smyt
hら, 1997, J.Invest. Derma
tol. 108: 523−6; Whiteら,
1999, J. Invest. Dermato
l. 112: 699−705; Whiteら,
1999, J. Invest. Dermato
l. 112: 887−92)。プローブとしてまた
は「アンチセンス」オリゴヌクレオチドとしての使用に
は、一本鎖DNAまたはRNAが好ましい。
【0043】さらに、合成的に調製されている核酸を、
本発明を実施するのに用いてもよい。したがって、本発
明にしたがって用いられる核酸は、例えば図5に記載さ
れるDNA配列の補助で、および/または遺伝暗号に関
し、これらの図に同様に記載されるタンパク質配列の補
助で、例えばホスホトリエステル法(例えば、Ulma
nn, E. & Peyman, A.(1990)
ChemicalReviews, 90, 543
−584, No. 4を参照されたい)にしたがい、
化学的に合成することが可能である。
【0044】一般的に、オリゴヌクレオチドは、細胞に
発生しているエンドまたはエキソヌクレアーゼにより、
特にDNアーゼおよびRNアーゼにより、迅速に分解さ
れる。したがって、高濃度の核酸が、長期間に渡り、細
胞において維持されるように、分解に対し安定化するた
めに、核酸を修飾することが好都合である(Beige
lmanら, 1995, Nucleic Acid
s Res. 23:3989−94; Dudyc
z, 1995, WO9511910; Macad
amら, 1998, WO9837240; Ree
seら, 1997, WO9729116)。典型的
には、こうした安定化は、1つまたはそれ以上のヌクレ
オチド間リン基の導入により、あるいは1つまたはそれ
以上の非リンヌクレオチド間基の導入により、得ること
が可能である。
【0045】適切な修飾ヌクレオチド間基は、Uhlm
annおよびPeymann(1990 Chem.
Rev. 90, 544)に要約されている(また、
Beigelmanら, 1995 Nucleic
Acids Res. 23: 3989−94; D
udycz, 1995, WO 95/11910;
Madadamら, 1998, WO 98/37
240; Reeseら, 1997, WO 97/
29116も参照されたい)。本発明にしたがった使用
の1つで使用することが可能な、核酸中の修飾ヌクレオ
チド間リン酸遊離基および/または非リン性架橋は、例
えば、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホス
ホラミデート、ホスホロジチオエート、リン酸エステル
を含み、一方、非リン性ヌクレオチド間類似体(ana
logue)は、例えば、シロキサン架橋、カルボネー
ト架橋、カルボキシメチルエステル、アセトアミデート
架橋および/またはチオエーテル架橋を含む。また、本
修飾は、本発明にしたがった使用の1つに使用してもよ
い、薬剤組成物の貯蔵寿命も改善するはずであることも
意図される。
【0046】本発明のさらなる態様において、本発明に
したがって用いられる核酸を、皮膚および/または腸の
障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
障害の解析および/または診断および/または予防およ
び/または治療に用いようとする、ベクター、好ましく
はシャトルベクター、ファージミド、コスミド、発現ベ
クターまたは遺伝子治療活性を有するベクターの形のベ
クターの調製に用いる。さらに、該核酸を用い、ノック
アウト遺伝子構築物または発現カセットを調製してもよ
い。
【0047】したがって、本発明にしたがって用いられ
る核酸は、ベクター、好ましくは発現ベクターまたは遺
伝子治療に適したベクターに含まれてもよい。好ましく
は、遺伝子治療に適したベクターは、本発明にしたがい
使用可能な核酸と機能上関連する、創傷、腸、または皮
膚特異的制御配列を含む。
【0048】発現ベクターは、原核または真核発現ベク
ターであってもよい。原核発現ベクターの例は、大腸菌
(E. coli)における発現では、例えばpGEM
またはpUC誘導体であり、真核発現ベクターの例は、
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyc
es cerevisiae)における発現では、例え
ばベクターp426Met25またはp426GAL1
であり(Mumbergら(1994)Nucl. A
cids Res., 22, 5767−576
8)、昆虫細胞における発現では、例えばバキュロウイ
ルスベクター、例えばEP−B1−0 127 839
またはEP−B1−0 549 721に開示されるも
のであり、そして哺乳動物細胞における発現では、例え
ばベクターRc/CMVおよびRc/RSVまたはSV
40ベクターであり、これらはすべて一般的に入手可能
である。
【0049】一般的に、発現ベクターはまた、それぞれ
の宿主細胞に適したプロモーターを含んでおり、例え
ば、大腸菌における発現ではtrpプロモーター(例え
ば、EP−B1−0 154 133を参照された
い)、酵母における発現ではMet25、GAL 1ま
たはADH2プロモーター(Russelら(198
3), J. Biol. Chem. 258, 2
674−2682; Mumberg、上記)、昆虫細
胞における発現ではバキュロウイルス・ポリヘドリン
(polyhedrin)プロモーター(例えば、EP
−B1−0 127 839を参照されたい)である。
哺乳動物細胞における発現では、例えば、適切なプロモ
ーターは、真核細胞において、恒常的、制御可能、組織
特異的、細胞周期特異的または代謝特異的発現を可能に
するものである。本発明にしたがった制御可能要素は、
プロモーター、アクチベーター配列、エンハンサー、サ
イレンサーおよび/またはリプレッサー配列である。
【0050】真核生物において恒常的発現を可能にする
適切な制御可能要素の例は、RNAポリメラーゼIII
により認識されるプロモーターまたはウイルスプロモー
ター、CMVエンハンサー、CMVプロモーター、SV
40プロモーターまたはLTRプロモーター、例えばM
MTV(マウス乳腺腫瘍ウイルス; Leeら(198
1)Nature 214, 228−232)由来の
もの、およびさらなるウイルスプロモーターおよびアク
チベーター配列、例えばHBV、HCV、HSV、HP
V、EBV、HTLVまたはHIV由来のものである。
【0051】真核生物において制御可能発現を可能にす
る制御可能要素の例は、対応するリプレッサーと組み合
わせたテトラサイクリンオペレーターである(Goss
enM.ら(1994)Curr. Opin. Bi
otechnol. 5,516−20)。
【0052】好ましくは、創傷治癒に関連する遺伝子の
発現は、組織特異的プロモーターの調節下で起こり、創
傷、皮膚または腸特異的プロモーター、例えばヒトK1
0プロモーター(Bailleulら, 1990,
Cell 62: 697−708)、ヒトK14プロ
モーター(Vassarら, 1989, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 86:
1563−67)、ウシサイトケラチンIVプロモー
ター(Fuchsら, 1988; Thebiolo
gy of wool and hair(G.E.
Rogersら監修), pp. 287−309.
Chapman and Hall,ロンドン/ニュー
ヨーク)またはラット由来の「脂肪酸結合タンパク質」
プロモーターが特に好ましい。
【0053】真核生物において組織特異的発現を可能に
する制御可能要素のさらなる例は、特定の細胞種のみで
発現されるタンパク質をコードする遺伝子のプロモータ
ーまたはエンハンサー由来のプロモーターまたはアクチ
ベーター配列である。
【0054】真核生物において細胞周期特異的発現を可
能にする制御可能要素の例は、以下の遺伝子のプロモー
ターである:cdc25、サイクリンA、サイクリン
E、cdc2、E2F、B−mybまたはDHFR(Z
wicker J.およびMuller R.(199
7)Trends Genet. 13, 3−6)。
【0055】真核生物において代謝特異的発現を可能に
する制御可能要素の例は、低酸素症、グルコース欠乏、
リン酸濃度または熱ショックにより制御されるプロモー
ターである。
【0056】トランスフェクション、形質転換または感
染による、真核または原核細胞における、本発明にした
がって用いられる核酸の導入、およびしたがってポリペ
プチドの発現を可能にするため、核酸は、プラスミドと
して、ウイルスまたは非ウイルスベクターの一部として
存在してもよい。適切なウイルスベクターは特に:バキ
ュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、
アデノ関連ウイルスおよびヘルペスウイルスである。適
切な非ウイルスベクターは特に:ビロソーム、リポソー
ム、陽イオン性脂質、またはポリ−リジン−結合DNA
である。
【0057】遺伝子治療に適したベクターの例は、ウイ
ルスベクター、例えばアデノウイルスベクターまたはレ
トロウイルスベクターである(Lindemannら,
1997, Mol. Med. 3: 466−7
6; Springerら,1988, Mol. C
ell. 2: 549−58)。裸のDNAは局所適
用後、皮膚細胞に入り込むことが可能であるため、真核
発現ベクターは、単離された型で、遺伝子治療に使用す
るのに適している(Henggeら, 1996,
J. Clin. Invest. 97: 2911
−6; Yuら, 1999, J. Invest.
Dermatol. 112: 370−5)。
【0058】遺伝子治療に適したベクターはまた、本発
明にしたがって用いられる核酸を、リポソームと複合体
化することにより得ることも可能であり、これはこのよ
うにして、特に皮膚細胞の、非常に高いトランスフェク
ション効率を達成することが可能であるためである(A
lexanderおよびAkhurst, 1995,
Hum. Mol. Genet. 4: 2279
−85)。リポフェクションの場合、リポソーム懸濁物
の超音波処理により、陽イオン性脂質から小さい単層小
胞を調製する。DNAはイオン的にリポソームの表面に
結合し、すなわち、陽性正味電荷が残り、そしてプラス
ミドDNAがリポソームにより100%複合体化される
ような比率で結合する。一方で、Felgnerら(1
987、上記)に使用された脂質混合物、DOTMA
(1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−トリメチル
アンモニウムブロミド)およびDPOE(ジオレイルホ
スファチジルエタノールアミン)に加え、多くの新規脂
質処方が合成され、そして多様な細胞株のトランスフェ
クションにおけるその効率に関し試験された(Beh
r, J.P.ら(1989), Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA 86, 698
2−6986; Felgner, J.H.ら(19
94)J. Biol. Chem. 269, 25
50−2561;Gao, X. & Huang,
L.(1991), Biochim.Biophy
s. Acta 1189, 195−203)。新規
脂質処方の例は、DOTAP N−[1−(2,3−ジ
オレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチ
ルアンモニウムエチル−サルフェートまたはDOGS
(TRANSFECTAM;ジオクタデシルアミドグリ
シルスペルミン)である。細胞への核酸の輸送を増加さ
せる補助剤は、例えば、細胞核への核酸の輸送を可能に
する、DNAに結合しているタンパク質またはペプチド
あるいは合成ペプチド−DNA分子であってもよい(S
chwartzら(1999)Gene Therap
y 6, 282; Brandenら(1999)N
ature Biotech. 17, 784)。補
助剤はまた、細胞の細胞質への核酸の放出を可能にする
分子(Planckら(1994)J. Biol.
Chem. 269, 12918; Kichler
ら(1997)Bioconj.Chem. 8, 2
13)、または例えば、リポソーム(Uhlmannお
よびPeymann(1990)上記)も含む。遺伝子
治療ベクターの別の特に適切な型は、本発明にしたがい
使用可能な核酸を金粒子に適用し、そしてこれらを、い
わゆる遺伝子銃の補助で、組織、好ましくは皮膚、また
は細胞内に撃ち込むことにより、得ることが可能である
(Wangら, 1999, J. Invest.
Dermatol., 112: 775−81, T
utingら, 1998, J. Invest.
Dermatol. 111:183−8)。
【0059】本発明にしたがい使用可能な遺伝子治療に
適したベクターのさらなる型は、「裸の」発現ベクター
を、生体適合マトリックス、例えばコラーゲンマトリッ
クスに導入することにより、調製してもよい。移入細胞
を発現ベクターでトランスフェクションし、そして本発
明にしたがって用いられるポリペプチドを細胞において
発現させるため、本マトリックスを創傷に導入してもよ
い(GoldsteinおよびBanadio、US
5,962,427)。
【0060】本発明にしたがい使用可能な核酸を遺伝子
治療で使用するため、ポリペプチドをコードする核酸の
一部が、好ましくはプロモーターおよびポリペプチドの
開始コドンの間のイントロン配列、および/または特に
遺伝子の3’端のポリA配列、特に天然発生ポリA配列
またはSV40ウイルスポリA配列を含む、1つまたは
それ以上の非コード配列を含む場合もまた、好都合であ
る。これはそれによりmRNAの安定化を達成すること
が可能であるためである(Jackson,R.J.
(1993)Cell 74, 9−14およびPal
miter,R.D.ら(1991)Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 88, 47
8−482)。
【0061】ノックアウト遺伝子構築物は、例えば米国
特許5,625,122;米国特許5,698,76
5;米国特許5,583,278および米国特許5,7
50,825から当業者に知られる。
【0062】本発明はさらに、皮膚および/または腸の
障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
障害の解析および/または診断および/または予防およ
び/または治療に用いるための、本発明にしたがい使用
可能なベクターまたはノックアウト遺伝子構築物を用い
形質転換されている、宿主細胞、特に皮膚または腸細胞
の使用に関する。宿主細胞は、原核または真核細胞いず
れでもよく、原核宿主細胞の例は大腸菌であり、そして
真核細胞の例はサッカロミセス・セレビシエまたは昆虫
細胞である。
【0063】本発明にしたがい使用可能な、特に好まし
い形質転換宿主細胞は、トランスジェニック胚性非ヒト
幹細胞であり、該細胞は、本発明にしたがい使用可能な
ノックアウト遺伝子構築物または本発明にしたがい使用
可能な発現カセットを含むことで特徴付けられる。宿主
細胞および/または幹細胞の形質転換のための方法は、
当業者に周知であり、そして、例えばエレクトロポレー
ションまたはマイクロインジェクションを含む。
【0064】本発明はさらに、皮膚および/または腸の
障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
障害の解析および/または診断に用いるための、本発明
にしたがい使用可能なノックアウト遺伝子構築物または
本発明にしたがい使用可能な発現カセットをゲノムに含
む、トランスジェニック非ヒト哺乳動物に関する。トラ
ンスジェニック動物は、使用されるプロモーターに応
じ、組織特異的で、一般的には増加した、核酸および/
またはポリペプチドの発現を示し、そして創傷治癒障害
の解析に用いることが可能である。したがって例えば、
アクチビンAトランスジェニックマウスは、創傷治癒の
改善を示し(Munzら, 1999,EMBO J.
18: 5205−15)、一方、優性ネガティブK
GF受容体を有するトランスジェニックマウスは、創傷
治癒の遅延を示す(Wernerら, 1994, S
cience 266: 819−22)。さらに、ト
ランスジェニック動物は、加速された創傷治癒能力を備
える可能性がある。
【0065】特にマウスの、トランスジェニック動物を
調製するための方法は、同様に、DE 196 25
049およびUS 4,736,866; US 5,
625,122; US 5,698,765; US
5,583,278およびUS 5,750,825
から、当業者に知られ、そして例えば胚または精母細胞
への発現ベクターの直接注入(上記を参照されたい)に
より、あるいは胚性幹細胞への発現ベクターのトランス
フェクションにより、産生することが可能なトランスジ
ェニック動物が含まれる(PolitesおよびPin
kert: DNA Microinjection
and Transgenic Animal Pro
duction, 15から68ページ, Pinke
rt,1994: Transgenic anima
l technology:a laboratory
handbook,中, Academic Pre
ss,英国ロンドン; Houdebine, 199
7, HarwoodAcademic Publis
hers ,オランダ・アムステルダム;Doetsc
hman: Gene Transfer in Em
bryonic Stem Cells, 115から
146ページ, Pinkert,1994,上記,
中; Wood: Retrovirus−Media
ted Gene Transfer, 147から1
76ページ, Pinkert, 1994,上記,
中; Monastersky: Gene Tran
sfer Technology; Alternat
ive Techniques and Applic
ations, 177から220ページ, Pink
ert, 1994,上記,中)。
【0066】本発明にしたがって用いられる核酸が、い
わゆるターゲッティングベクター(Pinkert、1
994、上記)に組み込まれている場合、胚性幹細胞の
トランスフェクションおよび相同組換え後、例えば、一
般的にはヘテロ接合体マウスとして、核酸発現の減少を
示し、一方、ホモ接合体マウスはもはや核酸発現を示さ
ない、ノックアウトマウスを生成することが可能であ
る。こうして産生された動物はまた、創傷治癒障害の解
析に用いることも可能である。したがって、例えばeN
OS(Leeら, 1999, Am. J. Phy
siol. 277:H1600−1608)、Nf−
1(Atitら, 1999, J. Invest.
Dermatol. 112: 835−42)およ
びオステオポンチン(Liawら, 1998, J.
Clin. Invest. 101: 967−7
1)ノックアウトマウスは、損なわれた創傷治癒を示
す。ここでもまた、創傷治癒関連遺伝子の発現の、組織
特異的減少、例えばCre−loxP系を用いた皮膚特
異的細胞における発現減少(stat3ノックアウト、
Sanoら, EMBO J. 1999 18: 4
657−68)が特に好ましい。この方法で産生された
トランスジェニックおよびノックアウト細胞または動物
はまた、薬理学的に活性がある物質または遺伝子治療に
適したベクターの、それぞれ、スクリーニングおよび同
定に用いてもよい。
【0067】本発明はさらに、皮膚および/または腸の
障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
障害の解析および/または診断および/または予防およ
び/または治療のための、および/または適切な宿主細
胞における薬理学的に活性がある物質の同定のための、
本発明にしたがい使用可能な少なくとも1つのポリペプ
チドおよび/または上述のポリペプチドをコードする少
なくとも1つの核酸の使用に関する。
【0068】ポリペプチドは、例えば、本発明にしたが
って用いられる核酸を、すでに上述されたような適切な
発現系で、当業者に一般的に知られる方法にしたがって
用い、発現させることにより、調製する。適切な宿主細
胞は、例えば、大腸菌株、DHS、HB101またはB
L21、酵母株サッカロミセス・セレビシエ、鱗肢目
(Lepidoptera)昆虫細胞株、例えばスポド
プテラ・フルギペルダ(Spodoptera fru
giperda)由来のもの、または動物細胞、CO
S、Vero、293、HaCaT、およびHeLaで
あり、これらはすべて一般的に入手可能である。
【0069】本発明はさらに、適切な宿主細胞における
本発明にしたがった核酸の発現により産生される融合タ
ンパク質の、皮膚および/または腸の障害および/また
は創傷治癒および/または創傷治癒の障害の解析および
/または診断および/または予防および/または治療の
ための、あるいは適切な宿主細胞における薬理学的に活
性がある物質の同定のための、使用に関する。融合タン
パク質は、本発明にしたがって用いられるポリペプチド
の機能をすでに有するか、または融合部分の切断後の
み、機能的に活性であるかいずれかである。本明細書に
特に含まれるのは、約1−200、好ましくは約1−1
50、特に約1−100、特に約1−50の異質の(f
oreign)アミノ酸を有する融合タンパク質であ
る。こうしたペプチド配列の例は、例えば、大腸菌のガ
ラクトシダーゼに由来してもよい、原核ペプチド配列で
ある。さらに、こうして当業者に知られるファージディ
スプレー法のための融合タンパク質を産生するため、例
えばバクテリオファージM13の、ウイルスペプチド配
列もまた、用いてもよい。
【0070】融合タンパク質に用いるべきペプチド配列
のさらなる好ましい例は、融合タンパク質の検出を容易
にするペプチド、例えば「緑色蛍光タンパク質」(WO
95/07463)またはその機能する変異体であ
る。
【0071】本発明にしたがったタンパク質の精製のた
め、単数または複数のさらなるポリペプチド(タグ)を
結合させてもよい。本発明にしたがったタンパク質タグ
は、例えば、マトリックスへの高親和性吸収、複合体を
溶出させることのない、感知可能な度合いまでの適切な
緩衝液でのストリンジェントな洗浄およびそれに続く吸
収複合体の選択的溶出を可能にする。当業者に知られる
タンパク質タグの例は、(His)6タグ、Mycタ
グ、FLAGタグ、Strepタグ、StrepタグI
I、赤血球凝集素タグ、グルタチオントランスフェラー
ゼ(GST)タグ、インテイン含有親和性キチン結合タ
グまたはマルトース結合タンパク質(MBP)タグであ
る。これらのタンパク質タグは、N−またはC−末端に
および/または内部に位置してもよい。
【0072】本発明はさらに、皮膚および/または腸の
障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
障害の解析および/または診断および/または予防およ
び/または治療のための、および/または薬理学的に活
性がある物質の同定のための、抗体、好ましくは、ポリ
クローナルまたはモノクローナル抗体の使用に関する。
【0073】このように、例えば、TGFベータ1に対
するモノクローナル抗体の局所注射は、動物モデルにお
いて、創傷治癒を改善する可能性がある(Ernst
ら,1996, Gut 39: 172−5)。
【0074】抗体を産生するため、本発明にしたがって
用いられるポリペプチドまたはその機能する変異体また
は少なくとも6アミノ酸、優先的には少なくとも8アミ
ノ酸、特に好ましくは少なくとも12アミノ酸を持つ、
その一部を用いる。
【0075】該方法は、当業に一般的に知られる方法に
したがい、哺乳動物、例えばウサギを、適切な場合、例
えばフロイントのアジュバントおよび/または水酸化ア
ルミニウムゲルの存在下で、本発明にしたがって用いら
れるポリペプチドまたはその言及された一部を用い免疫
することにより実行する(例えば、Diamond,
B.A.ら(1981) The New Engla
nd Journalof Medicine, 13
44−1349を参照されたい)。免疫学的反応の結果
として動物で作成されたポリクローナル抗体は、その
後、一般的に知られる方法にしたがい、容易に血液から
単離し、そして例えばカラムクロマトグラフィーによ
り、精製することが可能である。モノクローナル抗体
は、例えばWinterおよびMilsteinの既知
の方法(Winter, G. &Milstein,
C.(1991)Nature, 349, 293
−299)にしたがい、産生することが可能である。
【0076】古典的な抗体の代替物として、リポカリン
(lipocaline)に基づく、いわゆる「アンチ
カリン」を利用することも可能である(Besteら,
1999, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 96:1898−1903)。リ
ポカリン、例えばレチノール結合タンパク質またはビリ
ン(biline)結合タンパク質の天然リガンド結合
部位は、例えば、選択されたハプテンが、例えば本発明
にしたがって用いられるポリペプチドに結合するような
方式で、「コンビナトリアル・タンパク質設計アプロー
チ」により、修飾してもよい(Skerra, 200
0, Biochim. Biophys. Acta
1482:337−350)。抗体の代替物として用
いてもよい、さらなる既知の「骨格(scaffol
d)」が記載されてきている(Skerra, J.
Mol. Recognit., 2000, 13:
167−187)。
【0077】本発明にしたがって用いられる抗体は、本
発明にしたがって用いられるポリペプチドに対して向け
られ、そして本発明にしたがって用いられるポリペプチ
ドと特異的に反応する。ここで上述のポリペプチドの部
分は、それ自体免疫原性であるか、あるいは適切なキャ
リアー、例えばウシ血清アルブミンとカップリングさせ
ることにより、免疫原性を与えられても、またはその免
疫原性を増加させてもよい。本抗体は、ポリクローナル
またはモノクローナルいずれかであり、好ましくはモノ
クローナル抗体である。抗体という用語は、本発明にし
たがい、複数の抗体、または遺伝子操作により調製さ
れ、そして所望により修飾されるその抗原結合部分、例
えばキメラ抗体、ヒト化抗体、多機能抗体、二または少
特異的抗体、一本鎖抗体、F(ab)またはF(ab)
2断片も意味すると理解される(例えば、EP−B1−
0 368 684、US 4,816,567、US
4,816,397、WO 88/01649、WO
93/06213、WO98/24884を参照され
たい)。
【0078】本発明はさらに、適切な場合、適切な添加
剤および/または補助剤と組み合わされた、本発明にし
たがって用いられる少なくとも1つの核酸、本発明にし
たがって用いられる少なくとも1つのポリペプチドまた
は本発明にしたがって用いられる少なくとも1つの抗体
を含む、皮膚および/または腸の障害および/または創
傷治癒および/または創傷治癒の障害の解析および/ま
たは診断および/または予防および/または治療に用い
るための医薬品の使用に関する。
【0079】障害、特に皮膚または腸障害および/また
は創傷治癒および/または創傷治癒の障害の療法は、慣
用的な方式で、例えば、本発明にしたがい使用可能な医
薬品を含む、包帯剤、硬膏剤、圧迫ガーゼまたはゲルに
より、行ってもよい。したがって、例えば、生理学的生
理食塩水、脱イオン水、安定化剤、プロテイナーゼ阻害
剤などの適切な添加剤または補助剤、例えば、白色ワセ
リン、高流動パラフィンおよび/または黄ろうなどのゲ
ル処方などを含む薬剤を、創傷治癒を直ちにそして直接
達成するため、局所的に投与することが可能である。本
発明にしたがって用いられる医薬品の投与はまた、さら
に、適切な場合、リポソーム複合体または金粒子複合体
の形で、創傷の領域に局所的に行ってもよい。さらに、
治療は、本発明にしたがい使用可能な医薬品の、時間的
に調節された放出を可能にする、経皮療法系(TTS)
により行ってもよい。しかし、本発明にしたがい使用可
能な医薬品による治療はまた、経口投薬型、例えば錠剤
またはカプセルにより、粘膜、例えば鼻腔または口腔に
より、あるいは皮膚下に移植された貯蔵物(dispo
sitories)の形で、行ってもよい。TTSは、
例えば、EP 0944 398 A1、EP 0 9
16 336 A1、EP 0 889723 A1ま
たはEP 0 852 493 A1から知られる。
【0080】ヒトにおける遺伝子治療使用のため、裸の
形の、あるいは上述の遺伝子治療に適したベクターの1
つの形の、あるいはリポソームまたは金粒子と複合体化
した形の、本発明にしたがって用いられる核酸を含む医
薬品が、特に適している。薬剤ビヒクルは、例えば、好
ましくは、約6.0−8.0の、特に約6.8−7.8
の、特に約7.4のpHおよび/または約200−40
0ミリオスモル/リットル、特に約290−310ミリ
オスモル/リットルの浸透圧モル濃度を有する生理学的
緩衝溶液である。さらに、薬剤ビヒクルは、適切な安定
化剤、例えば、ヌクレアーゼ阻害剤、好ましくは、ED
TAなどの複合体化剤および/または当業者に知られる
他の補助剤を含んでもよい。
【0081】適切な場合、より詳細に上述される、ウイ
ルスベクターの形の、あるいはリポソーム複合体または
金粒子複合体としての、本発明にしたがって用いられる
核酸の投与は、通常、創傷の領域で局所的に行われる。
例えば生理学的生理食塩水溶液、脱イオン水、安定化
剤、プロテイナーゼ阻害剤などの適切な添加剤または補
助剤、例えば白色ワセリン、高流動パラフィンおよび/
または黄ろうなどのゲル処方などを含むポリペプチド自
体を、創傷治癒を直ちにそして直接達成するため、投与
することもまた可能である。
【0082】本発明はさらに、皮膚の障害および/また
は腸障害および/または創傷治癒および/または創傷治
癒における障害の診断のための診断剤の使用であって、
本発明にしたがい使用可能な、少なくとも1つの核酸、
少なくとも1つのポリペプチドまたは少なくとも1つの
抗体を、適切な場合、適切な添加剤および補助剤と共に
含む、前記診断剤の使用に関する。
【0083】例えば、本発明にしたがい使用可能な診断
剤を、ポリメラーゼ連鎖反応(実施例2、例えばEP
0 200 362にしたがう、PCR診断剤)または
実施例3に詳細に示されるようなRNアーゼ保護アッセ
イに基づき、本発明にしたがって用いられる核酸の補助
で調製することが可能である。これらの試験は、本発明
にしたがい使用可能な核酸と、通常対応するmRNAで
ある相補的対鎖の特異的なハイブリダイゼーションに基
づく。本発明にしたがって用いられる核酸はまた、この
場合、例えばEP 0 063 879に記載されるよ
うに、修飾されていてもよい。好ましくは、本発明にし
たがって用いられるDNA断片は、一般的に知られる方
法にしたがい、適切な試薬により、例えば放射能的にα
32P−dCTPで、または非放射能的にビオチンまた
はジゴキシゲニンで標識し、そして、好ましくは、例え
ばセルロースまたはナイロンなどの適切な膜にあらかじ
め結合させてある、単離RNAとインキュベーションす
る。このように、各組織試料由来の等量の調べるRNA
を用い、プローブにより特異的に標識されたmRNAの
量を測定することが可能である。あるいは、mRNAの
測定はまた、insituハイブリダイゼーションの補
助で、組織切片において、行うことも可能である(実施
例4およびWernerら, 1992, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 89:
6896−6900を参照されたい)。
【0084】このように、本発明にしたがい使用可能な
診断剤の補助で、ありうる創傷治癒障害、腸障害または
皮膚科学的障害を安全に診断するため、対応する遺伝子
の発現強度に関し、組織試料をin vitroで特異
的に測定することもまた可能である(実施例1ないし
3、5、6)。こうした方法は、例えば障害の初期予後
に特に適している。
【0085】本発明にしたがい使用可能なさらなる診断
剤は、本発明にしたがって用いられるポリペプチドまた
はより詳細に上述されるその免疫原性部分を含む。好ま
しくは、例えばニトロセルロースまたはナイロンの固相
に結合させてあるポリペプチドまたはその部分は、例え
ば自己免疫抗体とこのように反応することを可能にする
ため、in vitroで、例えば調べようとする体
液、例えば創傷分泌物と、接触させてもよい。抗体・ペ
プチド複合体をその後、例えば標識抗ヒトIgGまたは
抗ヒトIgM抗体の補助で、検出してもよい。標識化
は、例えば呈色反応を触媒するペルオキシダーゼなどの
酵素を伴う。このように、存在する自己免疫抗体の存在
および量を、呈色反応により、容易にそして迅速に検出
することが可能である。
【0086】別の診断剤は、本発明にしたがって用いら
れる抗体自体を含む。これらの抗体の補助で、例えば、
それにより、ありうる創傷治癒障害の徴候を得るため、
関係するポリペプチドが増加した量で存在するかどうか
に関し、組織試料を容易にそして迅速に調べることが可
能である。この場合、本発明にしたがって用いられる抗
体は、例えばすでに上述されたような酵素で標識され
る。それにより、特異的抗体・ペプチド複合体は、酵素
呈色反応により、容易にそしてまた迅速に検出すること
が可能である。
【0087】本発明にしたがい使用可能なさらなる診断
剤は、プローブ、好ましくはDNAプローブおよび/ま
たはプライマーを含む。これは、適切なプローブの補助
で、例えば、適切な遺伝子バンク、例えば創傷特異的遺
伝子バンクからの単離により、本発明にしたがって用い
られる核酸を得るさらなる可能性を開く(例えば、J.
Sambrookら, 1989, Molecul
ar Cloning. A Laboratory
Manual,第2版, Cold Spring H
arbor Laboratory,ニューヨーク州コ
ールドスプリングハーバー,第8章, 8.1から8.
81ページ,第9章, 9.47から9.58ページお
よび第10章, 10.1から10.67ページを参照
されたい)。
【0088】適切なプローブは、例えば、約100−1
000ヌクレオチドの長さを有する、好ましくは約20
0−500ヌクレオチドの長さを有する、特に約300
−400ヌクレオチドの長さを有するDNAまたはRN
A断片であり、その配列は、配列プロトコルの、および
/または図5に示されるデータベースエントリーのcD
NA配列の補助で、配列番号1ないし配列番号10にし
たがって用いられるポリペプチドに由来していてもよい
(実施例3、5、6もまた参照されたい)。
【0089】あるいは、得られた核酸配列の補助で、ポ
リメラーゼ連鎖反応のプライマーとして適しているオリ
ゴヌクレオチドを合成することが可能である。これを用
い、本発明にしたがって用いられる核酸またはこの部分
を、cDNA、例えば創傷特異的cDNAから増幅し、
そして単離してもよい(実施例2、5、6)。適切なプ
ライマーは、例えば、約10−100ヌクレオチドの長
さを有する、好ましくは約15ないし50ヌクレオチド
の長さを有する、特に約20−30ヌクレオチドの長さ
を有するDNA断片であり、その配列は、配列プロトコ
ルの配列番号1ないし配列番号10にしたがって用いら
れるポリペプチドに由来していてもよく、および/また
は図5に示されるデータベースエントリーのcDNA配
列の補助であってもよい(実施例2、5、6)。
【0090】本発明はさらに、皮膚の障害または腸障害
および/または創傷治癒の治療および/または創傷治癒
の障害と関連する機能上の相互作用因子の同定のため
の、本発明にしたがい使用可能な試験であって、本発明
にしたがって用いられる、少なくとも1つの核酸、少な
くとも1つのポリペプチドまたは少なくとも1つの抗体
を、適切な場合、適切な添加剤および補助剤と共に含
む、前記試験に関する。
【0091】本発明の意味における「機能上の相互作用
因子」という用語は、適切な場合、適切な添加剤および
/または補助剤を伴う、本発明にしたがって用いられる
核酸、ポリペプチドまたは抗体と、適切な条件下で相互
作用することが可能な、すべての分子、化合物および/
または組成物および物質混合物を意味すると理解され
る。ありうる相互作用因子は、単純な化学有機または無
機分子または化合物であるが、核酸、ペプチド、タンパ
ク質またはそれらの複合体もまた、含む可能性もある。
これらの相互作用のため、機能上の相互作用因子は、i
n vivoまたはin vitroで、核酸、ポリペ
プチドまたは抗体の機能に影響を与え、あるいは単に本
発明にしたがって用いられる核酸、ポリペプチドまたは
抗体に結合し、またはそれらと共有または非共有方式の
他の相互作用を始める可能性がある。
【0092】本発明にしたがい使用可能な適切な試験系
は、例えば、適切なマーカー遺伝子および本発明にした
がって用いられる核酸を含む発現ベクターでの、表皮ま
たは皮膚細胞の安定トランスフェクションにより、産生
することが可能である。本方法において、本発明にした
がって用いられる核酸の発現は、in vivoの病理
学的に妨害された発現に対応するように、細胞において
改変される。本発明にしたがって用いられる核酸を含む
アンチセンスオリゴヌクレオチドもまた、本目的のため
使用してもよい。したがって、これらの系には、本出願
に開示されるように、妨害された再生過程における遺伝
子発現の振る舞いを知ることが特に好都合である。しば
しば、in vitroの細胞の病理学的振る舞いは、
このように、模倣することが可能であり、そして細胞の
正常の振る舞いを再現し、そして療法的可能性を有する
物質を探すことが可能である。
【0093】本発明にしたがい使用可能なこれらの試験
系に適した細胞は、例えば、一般的に入手可能なHaC
aT細胞、および発現ベクターpCMV4である(An
dersonら, 1989, J. Biol. C
hem. 264: 8222−9)。本発明にしたが
って用いられる核酸は、この場合、細胞において、対応
する遺伝子のmRNAの機能上の濃度が増加する、また
はアンチセンスRNAとのハイブリダイゼーションによ
り減少するように、センスおよびアンチセンス方向両方
で、発現ベクターに組み込まれていてもよい。トランス
フェクションおよび安定形質転換体の選択後、培養中の
細胞は、一般的に、コントロール細胞と比較して、増
殖、移動および/または分化の振る舞いの改変を示す。
in vitroのこの振る舞いは、しばしば、体の再
生過程における、対応する遺伝子の機能と相関し(Yu
ら, 1997, Arch. Dermatol.
Res. 289: 352−9; Milsら, 1
997, Oncogene14: 15555−6
1; Charvatら, 1998, Exp De
rmatol 7: 184−90; Mythily
ら, 1999, J. Gen. Virol. 8
0: 1707−13; Werner, 1998,
Cytokine Growth Factor R
ev. 9:153−65)、そしてそれに基づく薬理
学的に活性がある物質の試験系を構築することが可能で
あるような、実行が簡単でそして迅速な試験を用い、検
出することが可能である。したがって、細胞の増殖の振
る舞いは、例えば細胞のDNAへの標識ヌクレオチドの
取り込みにより(例えば、FriesおよびMitsu
hashi, 1995, J. Clin. La
b. Anal. 9:89−95; Perrosお
よびWeightman, 1991, Cell P
rolif. 24: 517−23; Savino
およびDardenne, 1985, J. Imm
unol. Methods 85: 221−6を参
照されたい)、特異的な染色剤での細胞の染色により
(Schulzら, 1994, J. Immuno
l. Methods 167: 1−13)、または
免疫学的方法により(Frahmら, 1998,
J. Immunol. Methods 211:
43−50)、非常に迅速に検出することが可能であ
る。移動は、移動指標試験(Charvatら、上記)
および匹敵する試験系(Benestadら, 198
7, Cell Tissue Kinet. 20:
109−19, Jungerら, 1993,J.
Immunol. Methods 160: 73
−9)により、簡単に検出することが可能である。適切
な分化マーカーは、例えばケラチン6、10および14
およびまたロリクリン(loricrin)およびイン
ボルクリン(involucrin)であり(Rose
nthalら, 1992, J.Invest. D
ermatol. 98: 343−50)、これらの
発現は、例えば一般的に入手可能な抗体により、容易に
検出することが可能である。
【0094】別の適切な試験系は、いわゆるツーハイブ
リッド系を用いた機能上の相互作用の同定に基づく(F
ieldsおよびSternglanz, 1994,
Trends in Genetics, 10,
286−292; ColasおよびBrent, 1
998, TIBTECH, 16, 355−36
3)。本試験では、本発明にしたがって用いられるポリ
ペプチドおよびGal4またはLexAなどの転写因子
のDNA結合ドメイン由来の融合タンパク質を発現する
発現ベクターを用い、細胞を形質転換する。形質転換細
胞は、さらに、そのプロモーターが対応するDNA結合
ドメインに対する結合部位を含む、レポーター遺伝子を
含む。活性化ドメイン、例えばGal4またはヘルペス
ウイルスVP16を有する、既知のまたは未知のポリペ
プチド由来の第二の融合タンパク質を発現するさらなる
発現ベクターの形質転換により、第二の融合タンパク質
が本発明にしたがって用いられるポリペプチドと機能
上、相互作用する場合には、レポーター遺伝子の発現は
非常に増加する可能性がある。例えば、第二の融合タン
パク質の構築のために再生組織由来のcDNAライブラ
リーを調製することにより、新規相互作用因子を同定す
るため、発現におけるこの増加を利用してもよい。さら
に、本発明にしたがって用いられるポリペプチドおよび
機能上の相互作用因子の間の相互作用を阻害する物質の
スクリーニングのため、本試験系を利用してもよい。こ
うした物質は、本発明にしたがって用いられるポリペプ
チドおよび相互作用因子の融合タンパク質を発現する細
胞において、レポーター遺伝子の発現を減少させる(V
idalおよびEndoh, 1999, Trend
sin Biotechnology; 17: 37
4−81)。このように、再生過程の障害の療法に使用
することが可能な新規活性化合物を、迅速に同定するこ
とが可能である。
【0095】本発明にしたがって用いられるポリペプチ
ドの機能上の相互作用因子はまた、選択法、例えばSE
LEX(Jayasena, 1999, Clin.
Chem. 45: 1628−50; Klugお
よびFamulok, 1994, M. Mol.
Biol. Rep. 20: 97−107; To
oleら, 1996, US 5582981)によ
り、単離される核酸であってもよい。SELEX法で
は、典型的には、異なる一本鎖RNA分子の大きなプー
ルから、増幅および選択の反復により、高い親和性でポ
リペプチドに結合する分子(アプタマー)を単離する。
アプタマーはまた、鏡像型、例えばL−リボヌクレオチ
ドとして合成し、そして選択してもよい(Nolte
ら, 1996, Nat. Biotechnol.
14: 1116−9; Klussmannら,
1996, Nat. Biotechnol. 1
4: 1112−5)。こうして単離された型は、天然
発生リボヌクレアーゼにより分解されず、そしてしたが
ってより大きい安定性を有するという利点を有する。
【0096】本発明はさらに、本発明にしたがい使用可
能な少なくとも1つの核酸および/または少なくとも1
つのポリペプチドおよび/または少なくとも1つの抗体
を含むことで特徴付けられる、皮膚または腸の障害およ
び/または創傷治癒および/または創傷治癒の障害と関
連する解析のための、支持物質上に固定されたアレイの
使用に関する。
【0097】こうしたアレイを調製するための方法は、
例えばWO 89/109077、WO 90/150
70、WO 95/35505およびUS 5,74
4,305から知られ、スポッティング、固相化学合成
および光不安定性保護基による。
【0098】本発明はさらに、障害、特に皮膚または腸
障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
障害に関連する解析のための、DNAチップおよび/ま
たはタンパク質チップの使用であって、本発明にしたが
って用いられる、少なくとも1つの核酸および/または
少なくとも1つのポリペプチドおよび/または少なくと
も1つの抗体を含む、前記チップの使用を含む。DNA
チップは、例えば、US 5,837,832から知ら
れる。
【0099】本発明はここで、図および実施例の補助
で、それらに制限されることなく、以下にさらに例示さ
れるであろう。配列番号1ないし配列番号10は、ヒト
またはマウス由来の、本発明にしたがって用いられるポ
リペプチドを示す。
【0100】配列番号11ないし配列番号14および配
列番号17ないし配列番号26は、本発明の実験に用い
られたオリゴヌクレオチドのDNA配列を示す。配列番
号15ないし配列番号16は、RNアーゼ保護アッセイ
およびin situハイブリダイゼーションのための
プローブの調製に用いられたNM23のDNA配列を示
す。
【0101】
【実施例】実施例1:サブトラクティブ・ハイブリダイ
ゼーションによる創傷関連cDNAの濃縮および創傷関
連遺伝子としてのNM23−M1の同定 BALB/cマウスの損なわれていない皮膚および創傷
組織(はさみの切断により組織試料採取の1日前に背中
に創傷を与えたもの)から、標準法(Chomczyn
skiおよびSacchi, 1987, Anal.
Biochem. 162: 156−159、Ch
omczynskiおよびMackey, 1995,
Anal. Biochem. 225: 163−
164)により、総RNAを単離した。不完全に治癒し
た創傷を持つマウス組織を得るため、創傷を与える前
に、BALB/cマウスをデキサメタゾンで処置した
(体重キログラム当たり、等張生理食塩水溶液中の0.
5 mgのデキサメタゾン注射を1日2回5日間)。そ
の後、逆転写酵素の補助で、RNAをcDNAに転写し
た。cDNA合成は、対応するマニュアルの指示にした
がい、ClontechLaboratories G
mbH、ハイデルベルグの「SMART PCR cD
NA合成キット」を用いて行った。
【0102】cDNAプール中で異なる頻度で発生する
cDNAを同定するため、サブトラクティブ・ハイブリ
ダイゼーション(Diatchenkoら, 199
6,Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 93: 6025−30)を行った。これは、
対応するマニュアルの指示にしたがい、Clontec
h Laboratories GmbH、ハイデルベ
ルグの「PCR選択cDNAサブトラクションキット」
を用いて達成し、cDNA合成後の過剰なオリゴヌクレ
オチドの除去は、アガロースゲル電気泳動により行っ
た。創傷関連遺伝子に関し濃縮された4つのcDNAプ
ールを準備し、ここで1つのプールは、損なわれていな
い皮膚に比較し、創傷組織においてより強く発現される
cDNA断片に関し濃縮され(「創傷特異的cDNAプ
ール」)、1つのプールは、創傷組織に比較し、損なわ
れていない皮膚においてより強く発現されるcDNA断
片が濃縮され(「皮膚特異的cDNAプール」)、1つ
のプールは、不完全治癒創傷に比較し、正常治癒創傷に
おいてより強く発現されるcDNA断片が濃縮され
(「正常治癒cDNAプール」)、そして1つのプール
は、正常治癒創傷に比較し、不完全治癒創傷においてよ
り強く発現されるcDNA断片が濃縮されていた(「不
完全治癒cDNAプール」)。
【0103】創傷治癒に関連するcDNAプールに含ま
れる遺伝子を同定するため、プール中の対応するcDN
Aの存在を「逆ノーザンブロット」により解析した。こ
こでは、cDNA断片を、多くの異なるcDNAのアレ
イの形で膜上に固定し、そして放射標識cDNAの複合
混合物とハイブリダイズさせる(Sambrookら,
1989, Molecular Cloning:
A Laboratory Manual, Col
d Spring Harbor Laborator
y Press,ニューヨーク州コールドスプリングハ
ーバー,第9章9.47から9.58ページおよび第1
0章10.38から10.50ページ;Anderso
nおよびYoung: Quantitative f
ilter hybridization; Nucl
eic Acids Hybridization,
A Practical Approach, 198
5, HamesおよびHiggins監修, IRL
Press Ltd.;オックスフォード,中,第4
章, 73から112ページ)。
【0104】適切なハイブリダイゼーションプローブの
調製のため、サブトラクションされたcDNAプール
を、制限エンドヌクレアーゼRsaIで処理し、そして
cDNA合成および増幅プライマーを分離するため(マ
ニュアル「PCR選択cDNAサブトラクションキッ
ト」、Clontechを参照されたい)、アガロース
ゲル電気泳動により精製した(Sambrookら、上
記、第6章、6.1から6.35ページ)。その後、ハ
イブリダイゼーションプローブを調製するため、「ラン
ダム六量体プライム化」法を用い、cDNAを放射標識
した(FeinbergおよびVogelstein,
1983, Anal. Biochem. 13
2: 6−13)。
【0105】25 mlのハイブリダイゼーション溶液
中で、膜を65℃で30分間プレインキュベーションし
た(25 mM リン酸ナトリウム、pH=7.5、1
25mM NaCl、7% SDS)。ハイブリダイゼ
ーションプローブを100℃で10分間変性させ、その
後氷上で冷却し、約100 CPM/mlをハイブリダ
イゼーション溶液に添加し、そしてハイブリダイゼーシ
ョンオーブン中で、65℃で16時間、ハイブリダイゼ
ーションを行った。その後、プローブを含まないハイブ
リダイゼーション溶液で、膜を2回、65℃で10分
間、洗浄した。その後、流しだされる洗浄溶液中にいか
なる活性も検出されなくなるまで、洗浄溶液(2.5
mM リン酸ナトリウム、pH=7.5、12.5 m
M NaCl、0.7% SDS)で、何回か、65℃
で10分間、洗浄した。放射能シグナルは、phosp
hoimager(BioRad、Quantity
One(登録商標))を用い解析した(図1)。その
後、多様なプローブで異なるシグナル強度を生じるcD
NAを選択した。これは、膜上のNM23−M2の位置
で生じ、皮膚特異的cDNAプールに比較し、創傷特異
的cDNAプールのハイブリダイゼーションプローブ
で、わずかに強いシグナル強度であり、そして正常治癒
cDNAプールに比較し、不完全治癒cDNAプールの
ハイブリダイゼーションプローブで明らかにより強いシ
グナル強度であった。
【0106】実施例2:「リアルタイム定量的RT−P
CR」による、NM23−M2の発現パターンの確認 本発明にしたがって用いられる核酸の差別的発現の確認
は、ABI Prism 7700配列検出系(PE
Applied Biosystems)中のリアルタ
イムRT−PCRにより、行った。該装置は、ABI
Prism 7200/7700 SDSソフトウェア
・バージョン1.6.3(1988)を備えていた。P
CR産物の検出は、染色剤SYBR Green 1の
補助で、cDNAの増幅中に行った。該染色剤の蛍光
は、二本鎖DNAに対する結合により、非常に増加する
(Karlsenら, 1995, J. Viro
l.Methods. 55: 153−6; Wit
twerら, 1997,BioTechniques
22: 130−8; Morrisonら,199
8, BioTechniques 24: 954−
62)。定量化の基本は、蛍光シグナルが定義された閾
値を超える際に達するPCR周期(閾値周期、CT値)
である。解析は、ΔCT法により、行われる(User
Bulletin #2, Relative Qu
antification of Gene Expr
ession, PE Applied Biosys
tems, 1997)。cDNAの存在量は、内因性
基準(GAPDH)に比較し、決定した。結果を図2に
示す。
【0107】各々16匹の動物由来の皮膚および創傷組
織由来の総RNAプールを、上述のように得て、そして
1μgの総RNAを、製造者の推奨(SYBR Gre
enPCR and RT−PCR Reagents
Protocol, PE Applied Bio
systems, 1998)にしたがい、TaqMa
n逆転写試薬キット(PE)を用い、サーモサイクラー
(thermocycler)(GeneAmp PC
R系9700、PE)中で、逆転写に供した。NM23
−M2 cDNA(NM23−プライマー1: TTC
AAAACCAGGCACCATCC(配列番号1
1)、NM23−プライマー2: ACTCTCCAC
TGAATCACTGCCA(配列番号12))および
基準(GAPDHプライマー1: ATCAACGGG
AAGCCCATCA(配列番号13)、GAPDHプ
ライマー2: GACATACTCAGCACCGGC
CT(配列番号14))の増幅のためのプライマーは、
本発明にしたがって用いられる核酸およびGAPDHの
既知の配列に基づき、Primer Expressソ
フトウェアMacintosh PC用バージョン1.
0(PE Applied Biosystems,
P/N 402089, 1998)の補助で選択し
た。PCRには、SYBR Green PCR Co
re試薬キット(4304886、PE Applie
d Biosystems)を用いた。PCR中のプラ
イマーの濃度は、まず、50 nMないし600 nM
の範囲で最適化し、そしてPCRの特異性は、アガロー
スゲル電気泳動による増幅産物の長さの解析により、立
証した。その後、PCR系の効率を、連続希釈により測
定した(User Bulletin #2, Rel
ative Quantification of G
ene Expression, PE Applie
d Biosystems, 1997)。どちらのc
DNAにとっても、増幅効率は100%であり、すなわ
ちcDNAの1:2希釈では各々、蛍光閾値を越えるた
めに、もう1回の周期が必要であった。
【0108】定量化には、cDNAの各バッチを、総体
積25μl中の10 ngの逆転写総RNAから増幅し
た。PCRの実行条件は、製造者の詳細な記述(PE
Applied Biosystems, SYBR
Green1(登録商標)PCR and RT−PC
R Reagents Protocol, 199
8)に一致した。CT値を解析し、そしてGAPDHに
比較し、NM23−M2の存在量を計算した。正常治癒
創傷においてNM23−M2のわずかな誘導を、そして
デキサメタゾン処置動物の不完全治癒創傷において強い
誘導を確認することが可能であった(図2)。
【0109】実施例3:「RNアーゼ保護アッセイ」に
よるNM23−H1の発現パターンの立証 NM23−H1の発現は、「RNアーゼ保護アッセイ」
の補助で立証した。該試験は文献(Sambrook
ら、上記、第7章、7.71ないし7.78ページ;
Wernerら,1992; Growth Fact
ors andReceptors: A Pract
ical Approach 175−197、 We
rner, 1998, Proc. Natl. A
cad.Sci. USA 89: 6896−690
0)に記載されるように行った。in vitroで転
写し、そして放射標識した逆鎖RNAを、ハイブリダイ
ゼーションプローブとして用いた。266 bp長のN
M23−H1断片(配列番号15)は、ベクターpBl
uescript II KS(Stratagen
e)のEcoRV制限部位内に、平滑末端を介し、クロ
ーン化した。プラスミドは、転写前にXbaIで直線化
した(ベクター配列を含まない転写物の長さ:299塩
基対、プローブの配列は配列番号15)。製造者の詳細
な記述にしたがい、32P−UTP(35μCi/バッ
チ)(Amersham、ブラウンシュワイク)の存在
下で、T3ポリメラーゼ(Roche Diagnos
tics、マンハイム)を用い、転写を行った。プロー
ブはゲル電気泳動および溶出により、精製した(Sam
brookら、上記、第6章、6.36から6.48ペ
ージ)。ハイブリダイゼーション反応には、約105
CPMの各標識転写物を使用した。このために、標準法
(ChomczynskiおよびSacchi,198
7, Anal. Biochem. 162: 15
6−159、 ChomczynskiおよびMack
ey, 1995, Anal. Biochem.
225: 163−164)を用い、皮膚または腸生検
いずれかから単離した、10μgの総RNAを、転写物
と共に沈殿させ、10μlのハイブリダイゼーション緩
衝液(80% 脱イオン化ホルムアミド、400 mM
NaCl、40 mM Pipes pH 4.6、
1 mM EDTA)中に取り、そして42℃で一晩ハ
イブリダイズさせた。その後、RNアーゼA/T1消化
(Boehringer、RNアーゼA:0.8μg/
バッチ、RNアーゼT1:20 U/バッチ)を行っ
た。プロテイナーゼK消化(Boehringer、3
0μg/バッチ)およびフェノール抽出によるRNアー
ゼの不活性化後、標準法(Sambrookら、上記)
にしたがい、試料をエタノール沈殿した。その後、試料
を、変性5%アクリルアミドゲル(7 M 尿素)上の
ゲル電気泳動により、分離した。ゲルを乾燥させ、そし
てオートラジオグラフィーにより、放射能シグナルを解
析した(図3および4)。
【0110】3人の異なる乾癬および4人の異なるコン
トロール患者の生検から単離したRNAを用いたRNア
ーゼ保護アッセイにおいて、コントロール皮膚試料に比
較し、すべての乾癬患者由来の皮膚試料において、NM
23−H1の発現増加を観察することが可能であった
(図3)。クローン病の5人由来の組織試料由来のRN
Aを用いたRNアーゼ保護アッセイは、コントロール被
験者に比較し、腸の炎症切片において、NM23−H1
の発現増加を示した(図4)。
【0111】実施例4:マウス創傷の組織切断における
NM23−H1発現の解析 創傷におけるNM23−M1発現を、in situハ
イブリダイゼーションにより解析した。該試験は、文献
(Wernerら, 1992; Growth Fa
ctors and Receptors: A Pr
acticalApproach 175−197、
Wernerら, 1998, Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 89:6896−6
900)に記載されるように行った。256 bp長の
NM23−M1断片(配列番号16)を、ベクターpB
luescript II KS(Stratagen
e)のEcoRV制限部位内に、平滑末端を介し、クロ
ーン化した。本ベクターを用い、記載されるように(W
ernerら、上記)、ハイブリダイゼーションプロー
ブとしての放射標識逆鎖RNAを産生し、そして用い
た。本プローブを用い、マウスの第5日創傷の凍結組織
切片上でハイブリダイゼーションを行った。NM23−
M1遺伝子は、創傷縁の過剰増殖上皮において、増加し
て発現されることが明らかになった。対照的に、皮膚の
健康な部分では、染色はかすかに検出され、ないしまっ
たく検出されなかった。
【0112】実施例5:「TaqMan解析」による、
NM23−M1およびNM23−M2 mRNA発現の
ネズミパターンの解析 成獣ネズミの正常創傷治癒中のNM−23 mRNA、
NM23−M1およびNM23−M2発現の制御の動力
学を、Applied BiosystemsのGen
eAmp5700中の「TaqMan解析」を用いて解
析した。正常治癒創傷および損なわれていない皮膚は、
上述のように、はさみの切断を用い、10週齢のBAL
B/cマウスから採取した。
【0113】RNAを単離するため、分散装置(dis
perser)を用い、1/100体積分の2−メルカ
プト−エタノールを補った、RNAclean緩衝液
(AGS、ハイデルベルグ)の存在下で、生検をホモジ
ナイズした。続いて、1−ブロモ−3−クロロ−プロパ
ンの存在下で、水飽和酸性フェノールを用い、フェノー
ル処理を2回繰り返すことにより、RNAを抽出した。
その後、イソプロパノールおよびエタノール沈殿を用
い、RNAを沈殿させ、そして75%エタノールを用
い、RNAを洗浄した。その後、RNAをDNアーゼI
で処理した。20μgのRNA(50μlのDEPC処
理水を加えたもの)に、5.7μlの転写緩衝液(Ro
che)、1μlのRNアーゼ阻害剤(Roche;4
0 U/μl)および1μlのDNアーゼI(Roch
e;10 U/μl)を補い、そして37℃で20分間
インキュベーションした。その後、さらに1μlのDN
アーゼIを添加し、そして試料を37℃でさらに20分
間インキュベーションした。続いて、RNAをフェノー
ル処理し、エタノール沈殿させ、そして洗浄した。上述
の段階はすべて、反応性アミノ基を含まない限り、DE
PC(ジエチルピロカーボネート)処理溶液および液体
を用いて行った。続いて、抽出RNAからcDNAを合
成した。20μlのRNA(50 ng/μl)に、1
x TaqManRT緩衝液(Perkin Elm
er)、5.5 mM MgCl2(Perkin E
lmer)、各々500μMのdNTP(Perkin
Elmer)、2.5μM ランダム六量体(Per
kin Elmer)、1.25μlのMultisc
ribe逆転写酵素(50 U/μl、Perkin
Elmer)、0.4μl RNアーゼ阻害剤(20
U/μl、Perkin Elmer)およびDEPC
処理水(100μl体積を添加する)を補った。
【0114】RNAの添加に際し、そして混合中、溶液
を2つの0.2 mlチューブ(各々50μl)に分割
し、そしてサーモサイクラー中で逆転写反応を行った
(25℃で10分間;48℃で30分間および95℃で
5分間)。続くcDNAの定量化は、SYBR Gre
en PCR Master Mixes(Perki
n Elmer)を用いた定量的PCRにより行い、こ
こで定量化しようとする各NM23 cDNA種に関
し、3つ組測定(各場合、標的プライマーおよびGAP
DHプライマーを含む)を行った。各3つ組のストック
溶液は、総体積57μlに、37.5μlの2 x S
YBR Master Mix、0.75μlのAm
p. Erase UNG(1 U/μl)および1
8.75μlのDEPC処理水を含んだ。各3つ組測定
に関し、57μlのストック溶液に、先に最適化したよ
うな濃度比で、1.5μlの順方向および逆方向プライ
マー各々を補った。各60μlのストック溶液/プライ
マー混合物を、15μlのcDNA溶液(2 ng/μ
l)と混合し、そして3つのウェルに分割した。同時
に、基準として、GAPDHの測定のためのプライマー
(配列番号13および配列番号14)を含むストック溶
液を、さらなる15μlの同一のcDNA溶液と混合
し、そして3つのウェルに分配した。GAPDHの標準
グラフを得るため、異なるcDNA溶液の連続希釈を作
成した(4 ng/μl;2 ng/μl;1 ng/
μl;0.5 ng/μlおよび0.25 ng/μ
l)。GAPDHの測定のため、連続希釈の各々15μ
lのcDNA溶液を、60μlのストック溶液/プライ
マー混合物と混合し、そして3つのウェルに分配した。
解析しようとするNM23相同体のPCR各々の標準グ
ラフを得て、ここでGAPDH標準グラフに関し、同じ
希釈を用いた。コントロールとして、cDNAを含まな
いPCRを用いた。各標的およびGAPDHのストック
溶液/プライマー混合物に15μlのDEPC水を補
い、混合し、そして3つのウェルに分配した。増幅は、
Gene Amp. 5700を用い、行った(50℃
で2分間;95℃で10分間の後、96℃で15秒間お
よび60℃で2分間の3サイクル;その後、95℃で1
5秒間および60℃で1分間の37サイクル)。解析
は、GAPDH基準に比較し、各NM23遺伝子の存在
量を測定することにより、行った。標準曲線は、まず、
連続希釈のCT値を、cDNAおよびPCR(転写RN
Aのng)の量の対数に対し、プロットすることによ
り、決定し、そしてグラフの傾きを測定した。PCRの
効率(E)は、以下のように計算することが可能であ
る:E=10-1 /s−1。GAPDHに対する、調べてい
るNM23 cDNA種(Y)の相対存在量(X)は:
X=(1+EGAPDHC T (GAPDH)/(1+EYC T (Y)であ
る。続いて、成獣10週齢BALB/cコントロール動
物の損なわれていない皮膚におけるcDNAの量を1と
等しくすることにより、値を標準化した。成獣マウスの
創傷後の異なる時点での、NM23−M1およびNM2
3−M2それぞれの相対発現変化を、図7に示す。
【0115】NM23−M1(NM23−プライマー
3:TCC TGG CAC AGTCAG ACA
ACA(配列番号17);NM23−プライマー4:T
TCACA ACC TCA CAC ATC CTC
C(配列番号18))およびNM23−M2(NM2
3−プライマー1:(配列番号11)およびNM23−
プライマー2(配列番号12))を検出する適切なプラ
イマーを用い、両相同体の発現は、成獣マウスの創傷治
癒中、減少することを示すことが可能であった(図
7)。
【0116】創傷治癒の過程において、NM23−M1
発現は、全体として、損なわれていない皮膚で観察され
る量の約50%に、一定して減少した。NM23−M2
発現で、同様のパターンが検出され、創傷後1時間およ
び7日の間の創傷治癒中、損なわれていない皮膚に比較
し、発現はかなり減少した。創傷14日後に初めて、発
現レベルは、おおむね元来のレベルにはね返った。要す
るに、両相同体は、創傷治癒の長い期間にわたり、比較
的減少した発現レベルを示した。この結果は、正常治癒
創傷におけるNM23発現量の弱い増加を観察すること
が可能であった実施例1および2と矛盾するようであ
る。しかし、実施例4において、創傷組織切片におい
て、NM23発現の全体的な増加はないことが立証され
た。染色の増加は、過剰増殖上皮で観察されたが、組織
の他の層では有意な発現は検出されなかった。この結果
は、「リアルタイムRT−PCR」の場合より、in
situハイブリダイゼーションの場合、mRNAを検
出する感度が低いため、発現の空間的パターンの複雑な
変化中、mRNA量の創傷治癒依存変化は、不十分にし
か解析されないことを暗示する:NM23発現の空間的
パターンの複雑な変化のため、生検採取中のわずかな可
変性が、「TaqMan解析」(実施例5)による測定
とは対照的に、「リアルタイムRT−PCR」(実施例
2)およびサブトラクティブ・ハイブリダイゼーション
(実施例1)により測定されるNM23mRNA量の創
傷治癒依存変化に関する、異なる結果につながる可能性
がある。困難な条件にも関わらず、NM23遺伝子ファ
ミリーの遺伝子を同定することが可能であったことは、
驚くべきことであった。
【0117】実施例6:ヒト創傷におけるNM23−H
1およびNM23−H2の差別的発現 実施例3で、乾癬およびクローン病におけるNM23−
H1の差別的制御を解析した。正常治癒創傷を用い、実
施例5に示されるNM23−M1およびNM23−M2
発現の差別的制御がまた、ヒトにおいても観察されるか
どうか、調べた。それぞれ4 mmまたは6 mmのパ
ンチ皮膚試料を単離することにより、健常被験者の未処
理の損なわれていない皮膚、第1日創傷または第5日創
傷から皮膚試料を採取した。各群(損なわれていない皮
膚、第1日創傷、第5日創傷)に関し、各々14の被験
者の生検をプールした。生検を震蘯粉砕機(swing
mill)中で分離し、そして実施例5に記載されるよ
うに、RNAを単離し、その後DNアーゼIで消化し、
そしてcDNAに逆転写した。創傷治癒関連cDNAの
定量化は、実施例5に記載されるように行った。実験結
果を図8に示す。NM23相同体の解析には、ヒトGA
PDH(GenBank:M17851)並びにヒトN
M23−H1およびNM23−H2(EMBL:X17
620およびEMBL:X58965)の既知の配列に
基づき、増幅のためのプライマー(hGAPDH−プラ
イマー1:CATGGGTGTGAACCATGAGA
AG(配列番号25);hGAPDH−プライマー2:
GCTAAGCAGTTGGTGGTGCA(配列番号
26);NM23−H1プライマー1:GAAATTC
ATGCAAGCTTCCGA(配列番号19);NM
23−H1プライマー2:CAGGTCAACGTAG
TGTTCCTTGAG(配列番号20);NM23−
H2プライマー1:CTGGTTGACTACAAGT
CTTGTGCTC(配列番号21);NM23−H2
プライマー2:TCCACCTCTTATTCATAG
ACCCAGT(配列番号22))を選択した。10
ngの総RNAの逆転写から生じたcDNAを、定量化
のため、総体積25μl中で増幅した。PCRは、製造
者の指示にしたがい、行った(PE Applied
Biosystems, SYBR Green PC
R and RT−PCRreagents prot
ocol, 1988)。CT値を測定し、そしてGA
PDH−mRNAに比較し、NM23 mRNAの存在
量を計算した。実験結果を図8に示す。創傷組織が、発
現のわずかな減少を示すことが観察された。実施例5の
ネズミ生検の解析と対照的に、2つの異なる時点を選択
した。ヒト組織を用い、マウスおよびヒトの創傷治癒の
動力学に関し、結果の有意な一致が観察された(実施例
5):最初の値と比較し、創傷1日後の生検におけるN
M23−M1およびNM23−H1発現レベルは、70
%減少し、そしてmRNAレベルはどちらも、創傷5日
後、それぞれ最初の値の66%または70%にわずかに
増加した。第5日創傷のNM23−M2およびNM23
−H2の発現レベルがより弱かったのもまた、類似であ
る(最初の値の48%対60%)。
【0118】したがって、両遺伝子が創傷治癒の制御に
必須の役割を果たし、そして少なくとも1つの相同体、
優先的には両方の相同体の量の調節を、皮膚細胞の障害
の予防および/または診断および/または治療に用いて
もよいことを確認することが可能であった。
【0119】実施例7:in situハイブリダイゼ
ーションによる、損なわれていない皮膚、正常治癒創
傷、潰瘍と共に、非損傷および損傷乾癬皮膚の生検にお
けるNM23−H2の位置決定 実験のため、健康な皮膚と共に正常治癒第5日創傷の生
検を、実施例6に記載されるように、健常被験者から採
取した。さらに、各々10人の乾癬患者の非損傷および
損傷皮膚、並びに潰瘍患者(Ulcus cruris
venosum)の損なわれていない皮膚および創傷
由来の生検を、上述のように採取した。組織切片を4%
パラホルムアルデヒド中で固定し、プロテイナーゼK
(1μg/ml等張生理食塩水)で37℃で10分間処
理し、そして続いてパラホルムアルデヒドで処理し、そ
してその後、無水酢酸(acetanhydride)
(0.1 M トリエタノールアミン、pH 8.0中
の0.5 ml)で処理した。
【0120】ヒトNM23−H2のmRNAは、放射性
in situハイブリダイゼーションにより、位置決
定した。パラホルムアルデヒド固定切片をパラフィンに
包埋した。ハイブリダイゼーションプローブの合成は、
α−35S−UTPの存在下での部分的NM23−H2
cDNA断片のin vitro転写に基づいた。PC
R産物を得るため、センスおよびアンチセンス方向の転
写のためのプロモーター配列を、プライマーに添加した
(T3−NM23−H2−プライマー:AATTAAC
CCTCACTAAAGGGGGAGGGGCTGAA
CGTGGTGAAGAC(T3−プロモーターを含む
センスコントロールプライマー;配列番号23)、Sp
6−NM23−プライマー:ATTTAGGTGACA
CTATAGAATACACGCCGTGCTGAAG
GAGACTGC(Sp6−プロモーターを含むアンチ
センスプライマー;配列番号24))。in vitr
o転写のため、60μCiの35S−UTPおよび各々5
mMのATP、GTPおよびCTPと共に、25Uの
T3またはT7−RNAポリメラーゼ(Roche)い
ずれか、1μgのPCR産物、10 mMのジチオスレ
イトール、40UのRNアーゼ阻害剤(Roche)お
よび1 x TB緩衝液(Roche)を用いた。
【0121】ヒト組織切片(上記を参照されたい)をス
ライドに乗せ、プロテイナーゼKで処理し、パラホルム
アルデヒドで固定し、そして続いてアセチル化した。5
0%ホルムアミド/4 x SSCに浸したWhatm
anティッシュペーパーを含む、加湿チャンバーに切片
を移した。切片を30μlのハイブリダイゼーション溶
液で覆い、そして60℃で2.5時間インキュベーショ
ンした。その後、0.7 x 106 CPMの放射標
識リボプローブを含む30μlのハイブリダイゼーショ
ン溶液と切片を、60℃で16時間インキュベーション
した。その後、ストリンジェントな条件下で切片を洗浄
し、RNアーゼAとインキュベーションし、そしてエタ
ノールで脱水した。製造者の指示にしたがい、その後、
光および酸素の非存在下で、切片を写真乳剤(Koda
k IBO 1433)で、40℃で2−6週間、覆
い、そして続いて写真現像剤および定着液(Kodak
IBO 1433)を用い、現像した。
【0122】健常被験者および潰瘍患者の損なわれてい
ない皮膚と共に、乾癬患者の非損傷皮膚において、まっ
たくシグナルが観察されないかまたは非常に弱くしか観
察されなかった。対照的に、正常治癒第5日創傷の組織
切片は、過剰増殖上皮の基底細胞層において、シグナル
を示した。これは、NM23−H2発現の誘導が、増殖
および移動により、創傷を閉鎖するのに責任がある細胞
層で特に必須であることを示す。これは、有意な標識
が、創傷縁および非または不完全治癒潰瘍創傷の創傷基
底部(wound ground)で検出されないとい
う観察と一致する。したがって、NM23−H2発現の
創傷特異的制御は、創傷治癒の正常過程に必須である。
健常被験者の損なわれていない皮膚または乾癬患者の非
損傷皮膚に比較し、損傷乾癬皮膚生検はまた、過剰増殖
上皮の基底細胞層において、標識強度の有意な増加を示
した。これは、NM23−H1の量が乾癬皮膚で増加し
ていることが示された、実施例3の実験結果と一致す
る。
【0123】本実験は、NM23発現制御が、損なわれ
ていない健康な皮膚と共に、創傷治癒の正常過程に必須
であり、そしてうまく機能しない発現制御は、皮膚細胞
の障害、例えば創傷治癒の遅延または乾癬につながる可
能性があることを説明し、そしてNM23、優先的には
両方の相同体を、皮膚細胞の障害の予防および/または
診断および/または治療に用いることが可能であること
を示す。不完全治癒創傷は、減少した量のNM23と関
連する一方、角化細胞が病理学的増殖により特徴付けら
れる乾癬患者においては、NM23発現レベルの増加を
示す。
【0124】皮膚細胞の治療のため、NM23の発現ま
たは活性を、優先的には、創傷治癒の障害の場合、NM
23の発現または活性を活性化することにより、調節す
べきである。NM23の活性または発現は、優先的に
は、皮膚細胞の過剰増殖障害の場合、特に乾癬の場合、
優先的に阻害されるべきである。
【0125】当業者には、本発明の組成物および方法に
対し、多様な修飾を作成してもよいことが明らかであろ
う。したがって、付随する請求項およびその同等物の範
囲内にある限り、本発明はこうした修飾および変動を含
むことが意図される。
【0126】本明細書に引用されるすべての刊行物は、
完全に本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 4つの異なるプローブを用いた、適用cDN
A断片の同一のパターンを含む膜(マウスATLASア
レイ、Clontech)のハイブリダイゼーションの
オートラジオグラム。cDNA断片は、すべて、損なわ
れていない皮膚と比較し、より強く創傷組織で発現され
るcDNAに関し濃縮された、創傷特異的サブトラクテ
ィブcDNAライブラリーに由来した。すべてのプロー
ブは、サブトラクティブ・ハイブリダイゼーションから
派生するcDNAから調製した。A:創傷特異的プロー
ブ(損なわれていない皮膚に対する創傷のサブトラクシ
ョン)、B:皮膚特異的プローブ(創傷に対する損なわ
れていない皮膚のサブトラクション)、C:不完全治癒
創傷に特異的なプローブ(創傷コントロール動物に対す
る創傷デキサメタゾン処置動物のサブトラクション)、
D:正常治癒創傷に特異的なプローブ(創傷デキサメタ
ゾン処置動物に対する創傷コントロール動物のサブトラ
クション)。NM23−M2 cDNAの位置(それぞ
れ2回装填)は、矢印で示される。
【図2】 マウスにおける創傷治癒の異なる段階でのN
M23−M2の定量的「リアルタイムRT−PCR」の
結果。GAPDHに比較した存在量の計算のための式が
示される。誘導は、損なわれていない皮膚における存在
量での存在量の規準化から生じる。
【図3】 乾癬患者およびコントロールのヒトの皮膚試
料でのNM23−H1のRNアーゼ保護アッセイの結
果。RNアーゼ処理を伴わない放射性ハイブリダイゼー
ションプローブ(レーン1および5)と共に、各々、プ
ローブとハイブリダイゼーションさせ、そしてRNアー
ゼ処理した後の、陰性コントロール(tRNA、レーン
2および6)、4人の異なるコントロールのヒトの皮膚
生検由来のRNA(レーン3、7、8および9)、およ
び3人の異なる乾癬患者の皮膚生検由来のRNA(レー
ン4、10および11)を装填した。矢印は、NM23
−H1 mRNAプローブとのハイブリダイゼーション
後、RNアーゼ分解に対し保護されたプローブのRNA
断片の位置を示す。
【図4】 クローン病患者およびコントロールのヒトの
腸試料でのNM23−H1のRNアーゼ保護アッセイの
結果。RNアーゼ処理を伴わない放射性ハイブリダイゼ
ーションプローブ(レーン1)と共に、各々、プローブ
とハイブリダイゼーションさせ、そしてRNアーゼ処理
した後の、陰性コントロール(tRNA、レーン2)、
コントロール患者の腸生検由来のRNA(レーン3)、
より炎症の少ない領域(レーン4および6)および顕著
な炎症がある領域(レーン5、7および8)の、クロー
ン病患者の腸生検由来のRNAを装填した。レーン4、
5および6と共にレーン7および8で用いたRNAは、
それぞれ、同一の患者に由来する。矢印は、NM23−
H1 mRNAプローブとのハイブリダイゼーション
後、RNアーゼ分解に対し保護されたプローブのRNA
断片の位置を示す。
【図5】 創傷治癒過程中、遺伝子発現の解析において
同定された遺伝子ファミリーNM23のポリペプチド配
列およびそのcDNAおよび寄託番号の調査表。
【図6】 ヒトおよびマウス由来のNM23A(NDK
A_ヒト、NDKA_マウス)およびNM23B(ND
KB_ヒト、NDKB_マウス)の同定されたタンパク
質のポリペプチド配列の比較。NM23Aのヒト配列に
対する相違が示される。
【図7】 「TaqManアッセイ」により測定され
る、損なわれていない皮膚のcDNAの量に比較した、
成獣マウスの創傷後の異なる時点での、創傷関連NM2
3−M1およびNM23−M2 cDNAの量の調査
表。
【図8】 「TaqManアッセイ」により測定され
る、第1日および第5日の創傷におけるヒト創傷関連m
RNAの量の調査表。
【手続補正書】
【提出日】平成13年6月11日(2001.6.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項22
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 35/12 A61K 35/64 35/64 35/72 35/72 35/74 35/74 35/76 35/76 39/395 D 39/395 N 48/00 48/00 A61P 1/00 A61P 1/00 17/00 17/00 17/02 17/02 G01N 33/15 Z C12N 5/10 33/50 Q 15/09 T ZNA Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 M 33/566 37/00 102 33/53 A61K 37/02 C12N 5/00 B 33/566 15/00 F 37/00 102 ZNAA (72)発明者 サビーネ・ヴェルナー スイス国8032 チューリッヒ,ティトフィ スシュトラーセ 37 (72)発明者 スザンネ・ブラオン スイス国8050 チューリッヒ,ザルヴァト ールシュトラーセ 30 (72)発明者 イェルン−ペーター・ハレ ドイツ連邦共和国82377 ペンツベルク, ノンネンヴァルトシュトラーセ 8ツェ− (72)発明者 アンドレアス・ゴッペルト ドイツ連邦共和国80636 ミュンヒェン, ブルテンブルクシュトラーセ 30 (72)発明者 ヨハネス・レーゲンボーゲン ドイツ連邦共和国82152 マルティンスリ ート,プラネッガーシュトラーセ 1

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遺伝子ファミリーNM23の配列番号
    1ないし配列番号10の1つにしたがった、少なくとも
    1つのポリペプチドまたはその機能する変異体、あるい
    は前記ポリペプチドの1つをコードする、少なくとも1
    つの核酸またはその変異体の、皮膚の障害および/また
    は腸障害の解析および/または診断および/または予防
    および/または治療のため、および/または創傷治癒お
    よび/または創傷治癒の障害の治療のための使用。
  2. 【請求項2】 遺伝子ファミリーNM23の配列番号
    1ないし配列番号10の1つにしたがった、少なくとも
    1つのポリペプチドまたはその機能する変異体、あるい
    は前記ポリペプチドの1つをコードする、少なくとも1
    つの核酸またはその変異体の、皮膚の障害および/また
    は腸障害に、および/または創傷治癒および/または創
    傷治癒の障害の治療に関連する、少なくとも1つの薬理
    学的に活性がある物質の同定のための使用。
  3. 【請求項3】 薬理学的に活性がある物質が、例えば
    DNA結合ドメイン、プロモーターまたはエンハンサ
    ー、リプレッサーの形の核酸、あるいは活性化剤または
    阻害剤の形のポリペプチドより選択されることで特徴付
    けられる、請求項2の使用。
  4. 【請求項4】 核酸がDNAまたはRNA、好ましく
    はDNAであり、特に二本鎖DNAであることで特徴付
    けられる、請求項1ないし3の1つの、核酸の使用。
  5. 【請求項5】 核酸配列が、少なくとも1つのイント
    ロンおよび/またはポリA配列を有することで特徴付け
    られる、請求項1ないし4の1つの、核酸の使用。
  6. 【請求項6】 アンチセンス配列の形の、請求項1な
    いし5の1つの、核酸の使用。
  7. 【請求項7】 核酸が合成的に調製されていることで
    特徴付けられる、請求項1ないし6の1つの、核酸の使
    用。
  8. 【請求項8】 ポリペプチドが合成的に調製されてい
    ることで特徴付けられる、請求項1ないし3の1つの、
    ポリペプチドの使用。
  9. 【請求項9】 ポリペプチドが融合タンパク質である
    ことで特徴付けられる、請求項1ないし3または8の1
    つの、ポリペプチドの使用。
  10. 【請求項10】 遺伝子ファミリーNM23の配列番
    号1ないし配列番号10のポリペプチドまたはその変異
    体をコードする、少なくとも1つの核酸を含む、優先的
    にはプラスミド、シャトルベクター、ファージミド、コ
    スミドの形のベクターの、皮膚の障害および/または腸
    障害および/または創傷治癒および/または創傷治癒の
    障害の解析および/または診断および/または予防およ
    び/または治療のための使用。
  11. 【請求項11】 ベクターが発現ベクターであること
    で特徴付けられる、請求項10の使用。
  12. 【請求項12】 ベクターがノックアウト遺伝子構築
    物であることで特徴付けられる、請求項10の使用。
  13. 【請求項13】 ベクターが遺伝子治療に適している
    ベクターであることで特徴付けられる、請求項10ない
    し12の1つの使用。
  14. 【請求項14】 遺伝子ファミリーNM23の配列番
    号1ないし配列番号10の1つのポリペプチドまたはそ
    の変異体をコードする、少なくとも1つの核酸を含む、
    宿主細胞の、皮膚の障害および/または腸障害および/
    または創傷治癒および/または創傷治癒の障害の、解析
    および/または診断および/または予防および/または
    治療のための使用。
  15. 【請求項15】 核酸が、請求項10ないし13の1
    つのベクターの形で宿主細胞に挿入されていることで特
    徴付けられる、請求項14の宿主細胞の使用。
  16. 【請求項16】 皮膚または腸細胞であることで特徴
    付けられる、請求項14または15の宿主細胞の使用。
  17. 【請求項17】 トランスジェニック胚性非ヒト幹細
    胞であることで特徴付けられる、請求項14または15
    の宿主細胞の使用。
  18. 【請求項18】 請求項17のトランスジェニック胚
    性非ヒト幹細胞を含む、トランスジェニック非ヒト哺乳
    動物の使用であって、トランスジェニック非ヒト哺乳動
    物が、皮膚の障害および/または腸障害および/または
    創傷治癒および/または創傷治癒の障害の、解析および
    /または診断のために用いられることで特徴付けられ
    る、前記使用。
  19. 【請求項19】 そのゲノムが、請求項11または1
    2の発現カセットまたはノックアウト遺伝子構築物を含
    むことで特徴付けられる、請求項18のトランスジェニ
    ック非ヒト哺乳動物の使用。
  20. 【請求項20】 皮膚の障害および/または腸障害お
    よび/または創傷治癒および/または創傷治癒の障害の
    解析および/または診断および/または予防、および/
    または薬理学的に活性がある物質の同定のための抗体の
    使用であって、前記抗体が、NM23遺伝子ファミリー
    の配列番号1ないし配列番号10の1つのポリペプチド
    に対して、またはその機能する変異体に対して向けられ
    る、前記使用。
  21. 【請求項21】 皮膚の障害または腸障害および/ま
    たは創傷治癒および/または創傷治癒の障害の診断のた
    めの診断剤の使用であって、該診断剤が、NM23遺伝
    子ファミリーの配列番号1ないし配列番号10の1つに
    したがった、少なくとも1つのポリペプチドまたはその
    機能する変異体、あるいはこれらをコードする少なくと
    も1つの核酸、またはその変異体、あるいは請求項20
    の少なくとも1つの抗体を、適切な場合、適切な添加剤
    および/または補助剤と共に含むことで特徴付けられ
    る、前記使用。
  22. 【請求項22】 診断剤がプローブ、優先的にはDN
    Aプローブを含むことで特徴付けられる、請求項21の
    方法。
  23. 【請求項23】 適切な場合、適切な添加剤および/
    または補助剤を伴う、NM23遺伝子ファミリーの配列
    番号1ないし配列番号10の1つにしたがった、少なく
    とも1つのポリペプチドまたはその機能する変異体、あ
    るいは前記ポリペプチドをコードする少なくとも1つの
    核酸、またはその変異体、あるいは請求項20の少なく
    とも1つの抗体の、医薬品(medicament)の
    調製のための使用であって、該医薬品が、皮膚の障害お
    よび/または腸障害および/または創傷治癒および/ま
    たは創傷治癒の障害の治療に用いられる、前記使用。
  24. 【請求項24】 皮膚の障害および/または腸障害お
    よび/または創傷治癒および/または創傷治癒の障害と
    関連する、機能上の相互作用因子の同定のための試験の
    使用であって、該試験が、NM23遺伝子ファミリーの
    配列番号1ないし配列番号10の1つにしたがった、少
    なくとも1つのポリペプチドまたはその機能する変異
    体、あるいはこれらをコードする少なくとも1つの核
    酸、またはその変異体、あるいは請求項20の少なくと
    も1つの抗体を、適切な場合、適切な添加剤および/ま
    たは補助剤と共に含むことで特徴付けられる、前記使
    用。
  25. 【請求項25】 皮膚および/または腸障害および/
    または創傷治癒および/または創傷治癒の障害と関連す
    る解析のための、支持物質上に固定されたアレイの使用
    であって、該アレイが、NM23遺伝子ファミリーの配
    列番号1ないし配列番号10の1つにしたがった、少な
    くとも1つのポリペプチドまたはその機能する変異体、
    あるいは前記ポリペプチドをコードする少なくとも1つ
    の核酸、またはその変異体、あるいは請求項20の少な
    くとも1つの抗体を含むことで特徴付けられる、前記使
    用。
  26. 【請求項26】 アレイがDNAチップおよび/また
    はタンパク質チップであることで特徴付けられる、請求
    項25の使用。
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