JP2001321183A - ペプチドリピート免疫原 - Google Patents

ペプチドリピート免疫原

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JP2001321183A
JP2001321183A JP2000148085A JP2000148085A JP2001321183A JP 2001321183 A JP2001321183 A JP 2001321183A JP 2000148085 A JP2000148085 A JP 2000148085A JP 2000148085 A JP2000148085 A JP 2000148085A JP 2001321183 A JP2001321183 A JP 2001321183A
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Howan Jauran
ジャウラン・ホワン
Shu Chia-Tsue
チア−ツェ・シュ
Tein Chun-Jen
チュン−ジェン・ティン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗原性が高く、毒性が低い、抗原特異性抗体
の産生。 【解決手段】(1)シュウドモナス(Pseudomonos)エ
キソトキシンAのレセプター結合ドメインと、(2)ペ
プチド配列の少なくとも2コピーを含むことを特長とす
る、ポリペプチドを抗原として使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(技術分野)本発明は、ペプチド抗原に対
する免疫応答を発生せしめる新規な手段に関する。
【0002】(背景技術)タンパク質に基づくワクチン
の開発を成功させるには、しばしば特定抗原の免疫原性
の向上とそのような向上によって誘導された潜在的毒性
の間の微妙なバランスが必要である。例えば、動物の研
究に用いられる有効なアジュバント(例えば、完全フロ
イント)は、ヒト用に製造されたワクチンで使用するた
めには、毒性が過剰である。
【0003】(発明の開示)本発明は、抗原としてのペ
プチドに対する免疫応答を生じさせる新規な手段の発見
に基づくものであって、当該手段は上記ペプチドの鎖状
体形成(concatemerizing)を行い、形成されたペプチド
鎖状体をシュウドモナスエキソトキシンのレセプター結
合ドメインに融合させることから成る。このような融合
タンパク質は、種々の哺乳類において抗原特異的抗体を
誘導するが、毒性は殆ど又は全く認められない。
【0004】従って、本発明は、(1)ペプチド配列の少
なくとも2コピー(例えば、少なくとも12または16
コピー)と、(2)シュウドモナスエキソトキシンAのレ
セプター結合ドメインを含むポリペプチドを提供するも
のである。
【0005】上記ペプチド配列は、その長さが少なくと
も2つのアミノ酸(例えば、少なくとも3、5、7、9
または10のアミノ酸)から成るものでなけれらならな
い。好ましい実施態様では、ペプチド配列は、1000
のアミノ酸(例えば、500、100、50または20
以下のアミノ酸)を越えない長さである。ペプチド配列
には、それに対する免疫応答が有益である抗原の配列を
含み得る。そのような抗原の例には、ゴナドトロピン
(性腺刺激ホルモン)放出ホルモン(GnRH)およ
び、ワクシニアウィルスコートタンパク質およびそれら
の断片を含む。ペプチド配列の具体例には、GnRHの
配列であるEHWSYGLRPG(配列番号1)、ワクシ
ニアウィルスコートタンパク質の断片の配列であるLI
GICVAVTVAI(配列番号2)などが含まれる。
【0006】レセプター結合ドメインは、LDL/al
pha2-ミクログロブリン細胞レセプターに特異的に結
合するポリペプチド内のアミノ酸配列である。レセプタ
ー結合ドメインの一例として、シュドモナス・エルギノ
ーサのエキソトキシンA(PE)のアミノ酸1〜252
(ドメイン1a)が挙げられる:
【化1】
【0007】レセプター結合ドメインがLDL/alp
ha2-ミクログロブリン細胞レセプターと特異的に結合
する限り、上記配列の変異体(variants)、すなわち上
記配列において置換、欠失又は付加したものであっても
よい。置換、欠失又は付加し得るアミノ酸数は、1また
はそれ以上であり、通常、数個以内である。
【0008】本発明のポリペプチドは、哺乳類において
免疫応答を誘発し得る限り、その中で種々のエレメント
の位置が変化してもよい。例えば、ペプチド配列のすべ
てのコピーが連続していてもよく、その場合には、任意
の2つのコピーの間にアミノ酸が介在することなく、す
べてのコピーがペプチドの繰り返しの単一ブロックとし
て存在することを意味する。また、レセプター結合ドメ
インは、抗原としてのポリペプチドの所期の機能が失わ
れない限り、ポリペプチド内の任意の位置(例えば、ペ
プチド配列のN末端、C末端、内部又は2つのコピーの
間)に存在することが出来る。
【0009】本発明はまた、本発明のポリペプチドをコ
ードする核酸(例えば、発現ベクター(ウイルスベクタ
ーを含む))を提供するものである。そのような核酸
は、裸のDNAを基にするワクチンに使用し得るか、ま
たは本発明のポリペプチドの多量生産に使用し得る。
【0010】更に、本発明は、(1)本発明の核酸を用意
し、(2)この核酸を細胞(例えば、細菌または真核細胞
(細胞系および原発性細胞を含む))に導入し、(3)当
該細胞内でポリペプチドを発現させることを特長とす
る、ポリペプチドの生産方法を提供するものである。
【0011】本発明のポリペプチドおよび核酸は、特定
ペプチド配列に対し免疫応答を誘導する新しい抗原およ
びワクチンを提供するために使用することが出来る。当
該抗原は、哺乳類およびヒトに対する安全かつ効果的な
ワクチンとして調製することが出来、少なくともヒトお
よび/または動物モデル(霊長類動物モデルを含む)に
おいて、その効力を試験することが出来る。
【0012】本発明の他の特徴または利点は、以下の図
および詳細な説明より、そしてまた、特許請求の範囲の
記載から明らかとなるであろう。
【0013】添付図面において、図1は、本発明のポリ
ペプチドの中で使用されるGnRHペプチド配列(配列番号
1)及びそれ又はその部分をコードするプライマー配列
(オリゴA:配列番号4;オリゴB:配列番号5)を示す。
【0014】図2は、図1のプライマーを連続的に伸
長、変性およびアニーリング(すなわちPCR)して、
ペプチド配列の鎖状体をコードする核酸を製造する方法
を示す。
【0015】図3は、図2の鎖状体核酸の最終的PCR
増幅による、鎖状体の末端における停止コドンとクロー
ニングのための適当な制限部位の導入を示す。アダプタ
ープライマーAを配列番号6、アダプターBを配列番号
7、EcoRI部位を含む5’オーバーハング配列を配列番号
8、SacII部位を含む5’オーバーハング配列を配列番号
9で示す。
【0016】(詳細な説明)本発明は、シュウドモナス
エキソトキシンのレセプター結合ドメインに融合した多
コピーのペプチド抗原を有する新規ポリペプチドに関す
る。多コピーのペプチド抗原は、そのメカニズムは不明
であるが、各単量体ペプチド配列中に存在するエピトー
プの免疫提示(immunologic presentation)を増加す
る。また、エキソトキシン断片は、ポリペプチドと抗原
提示細胞との間の結合を増加し、それによりペプチド配
列の取り込みと提示を容易にするものである。
【0017】I.抗体の作成 本発明のポリペプチドは、単量体ペプチド配列に特異的
に結合する抗体を発生させるために使用することが出来
る。そのような抗体は、ペプチド配列によって与えられ
るエピトープを含む任意の分子の増強、阻止又は検出を
必要とする、診断的又は治療的方法において使用され得
る。
【0018】特に、種々の宿主動物は、本発明のポリペ
プチドを含む組成物の注射によって免疫することが出来
る。宿主動物には、ウサギ、マウス、モルモット、ラッ
トなどが含まれる。種々のアジュバントを宿主種に応じ
て免疫応答を増強させるために使用することが出来、そ
の例として、フロイント(完全又は不完全)、水酸化ア
ルミニウムのようなミネラルゲル、リゾレシチンのよう
な表面活性物質、プルロニックポリオール類、ポリアニ
オン類、ペプチド類、油エマルジョン、キーホール・リ
ンペット・ホモシアニン、ジニトロフェノール及びBC
G(無菌化ウシ型結核菌)やコリネバクテリウム・パル
ブムのような潜在的に有用なヒトアジュバントなどが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】抗体には、ポリクローナル抗体、モノクロ
ーナル抗体、ヒト化又はキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断
片、F(ab')2断片、Fab発現ライブラリーを使用して生産
された分子などが含まれる。
【0020】特定の抗原に対する抗体の均一な集合であ
るモノクローナル抗体は、上記したポリペプチドを使用
し、標準のハイブリドーマ技術(コーラーら: Nature,
256:495, 1975; コーラーら: Eur. J. Immunol., 6:51
1, 1976; コーラーら:Eur. J.Immunol., 6:292, 1976;
ハマーリングら: In: Monoclonal Antibodies and TCel
l Hybridomas, Elsevier, NY, 1981; アメリカ特許4,37
6,110; コスボアら:Immunology Today, 4:72, 1983;
コールら: Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 80:2026,1983; コ
ールら: Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,
Alan R. Liss,Inc., pp. 77-96, 1983)を採用すること
によって、調製することが出来る。このような抗体は、
IgG、IgM、IgE、IgA、IgD及びそれらのサブクラスを含
む、任意のイムノグロブリンのクラスから選択すること
が出来る。モノクローナル抗体を産生するハイブリドー
マは、イン・ビトロまたはイン・ビボのいずれで培養さ
れてもよい。イン・ビボで高い力価のモノクローナル抗
体を産生する能力は、本発明が優れた産生方法と認識さ
れる所以である。
【0021】抗体は、例えば診断的検定の部分として生
物学的試料中の抗原の存在を検出するために使用するこ
とが出来る、また、他の治療的方法による医療的処置効
果の評価のために使用することも出来る。
【0022】また、適当な抗原特異性のマウス抗体分子
からの遺伝子と適当な生物学的活性のヒト抗体分子から
の遺伝子とを一緒にスプライシングすることによる、キ
メラ抗体の産生のために開発された技術(モリソンら:
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851,1984); ノイバーガー
ら: Nature, 312: 604,1984; タケダら: Nature,314:45
2,1984)も使用することが出来る。キメラ抗体は、その
異なった部分が異なった動物種から誘導された分子であ
り、例えばきっ歯類モノクローナル抗体から誘導された
変動領域とヒトイムノグロブリン定常領域を有する分子
がそれである。
【0023】また、単鎖抗体の調製用技術(アメリカ特
許4,946,778, 4,946,778 および 4,704,692)を適用し
て、特定のペプチド抗原に対する単鎖抗体を産生するこ
とが出来る。単鎖抗体は、Fv領域の重鎖断片と軽鎖断片
を、アミノ酸橋を介して結合させ、単鎖ポリペプチドを
形成せしめることにより、得ることが出来る。
【0024】特異的エピトープを認識し、結合する抗体
断片は、常套の方法によって生成せしめることが出来
る。そのような断片には、例えば、抗体分子のペプシン
消化によって産生することが出来るF(ab')2断片や、F(a
b')2断片のジスルフィド橋を還元することによって産生
することが出来るFab断片などが挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0025】II.ワクチン組成物の製造と使用 本発明は、本発明のポリペプチドの少なくとも1つと、
要すれば希釈剤としてのリン酸塩緩衝食塩水や重炭酸塩
(例えば0.24M NaHCO3)のような医薬的に許容され得る
担体を含むワクチン組成物(例えば、非経口的な注射に
よって投与し得るワクチン)を包含するものである。当
該組成物に使用される担体は、投与の形式や経路及び標
準の調剤上の実務に基づいて選択すればよい。適当な医
薬的担体及び希釈剤並びにそれらの使用上の必要性につ
いては、Remington's Pharmaceutical Sciencesに記載
されている。必要なら、当該組成物にアジュバント、例
えばコレラトキシン、大腸菌熱不安定エンテロトキシン
(LT)、リポソーム、免疫刺激性複合物(ISCOM)など
から選択したものを配合してもよい。
【0026】投与されるワクチンの量は、例えばポリペ
プチド中の特定ペプチド抗原、アジュバントが抗原と共
に投与されるか否か、共投与されるアジュバントの種
類、投与の形式や頻度、所望の効果(例えば、防御か処
置か)などを考慮して、当業者により決定される。
【0027】一般に、本発明の新規ワクチン抗原は、ヒ
ト成人用量として、ポリペプチド1μg〜100mgの範囲で
投与される。アジュバントがワクチンと共に投与される
場合には、ヒト成人当たり1ng〜1mgの量が普通に使用
される。当業者により決定され得ることであるが、投与
は繰り返し行なわれる必要があろう。例えば、初期抗原
投与に続いて、各週の間隔で3回のブースター投与を行
うことが出来る。最初の免疫後、8〜12週にブースタ
ーショットを行い、更に同じ製剤を用いて、16〜20
週に第2のブースターを行うことが出来る。
【0028】ニューロトキシンに対するワクチンによっ
て誘導された免疫応答を試験するため、個体から血清ま
たはT−細胞を採取する。特異的抗原に対する抗体又は
細胞毒性T細胞の検定方法は、当該技術分野でよく知ら
れているところである。必要なら、追加のブースターを
行ってもよい。ポリペプチドの量、ポリペプチド中のペ
プチド抗原のコピー数、投与の回数などを変化させるこ
とにより、免疫プロトコールを最高の免疫応答が誘導さ
れるように調整することが出来る。
【0029】上記した組成物をヒトに投与する前に、毒
性や効力を動物で試験することが望ましい。効力試験の
例として、マウス(例えば、スイス−ウェブスターマウ
ス)に、本発明のポリペプチドを含む組成物を経口的ま
たは非経口的経路によりワクチン接種する。ワクチンに
よる最初の接種後又は任意のブースター接種後、当該マ
ウス(及び偽接種(mock vaccination)を行った対照マウ
ス)に対して、感染剤のLD95量を対抗投与した。致死以
外の終点を使用することも出来る。効力は、ワクチンを
接種されたマウスが偽接種マウスよりも低い割合で致死
したならば、有効と認められる。上記試験において、マ
ウスの代わりにウサギを使用してもよい。
【0030】また、本発明の新規ワクチン組成物は、免
疫刺激性複合物(ISCOM)として使用することも出来る。
抗原輸送担体としてISCOMを使用することにより、トキ
ソプラスマ症やエプシュタイン−バールウイルス起因腫
瘍を含む種々の感染症の実験モデルにおいて、保護的免
疫性が認められている(Mowatら:Immunology Today,1
2: 383-385, 1991)。ISCOM中にカプセル化された1μ
g程度の少量の抗原の投与により、クラスI投薬細胞毒
性T細胞応答を産生することが認められた(タカハシ
ら:Nature, 344: 873-875,1990)。
【0031】当業者は、上記の開示と以下の記載に基づ
いて、更に格別の努力を払うことなく、本発明を充分に
実施することが出来るものと確信する。以下の実施例
は、単に当業者が発明をどのように実施することが出来
るかを説明するためのものであり、本明細書の残余の部
分をいかなる意味においても制限するものと理解されて
はならない。本明細書に引用された刊行物は、参考又は
参照のために記載されたものである。
【0032】(実施例) 実施例1:ゴナドトロピン放出ホルモンに対する多量体
ワクチン ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、視床下部の
アーチ形核により産生されるデカペプチドであり、黄体
形成ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンの発現を調節し、
次いで、ヒトの性腺発達を調節する。加えて、GnRH
およびそのレセプターの発現増強は、乳癌、卵巣癌、子
宮癌及び前立腺癌を含む種々の腫瘍に関係する。例え
ば、イマイら:Cancer, 74:2555-2561,1994; アイドン
ら:J.Clin.Endocrinol.Metab., 64:425-432,1987; イ
ルマーら:Cancer Res., 55:817-822,1995等参照。従っ
て、GnRHに対する抗体は、再生ホルモン活性および
/または癌発生および進行を調節する手段を提供するこ
とが出来る。
【0033】レセプター結合ドメインに融合したGnR
Hの鎖状体を含む抗原を作成するために、図1-3に概
略した方法を使用した。この方法を、鋳型繰り返しPCR
(TRPCR)と称する。
【0034】2つのオリゴヌクレオチドをTRPCR用
に設計した(図1)。オリゴAは標的抗原GnRHをコー
ドし、オリゴBはオリゴAに相補的であった。オリゴA
は、等しい長さの5'側半分のA1と3'側半分のA2に
分けられ、オリゴBは、同様に等しい長さの5'側半分
のB1と3'側半分のB2に分けられる。A1はB1に
相補的であり、A2はB2に相補的であった。
【0035】サーマルサイクラー(thermal cycler)を
次の通りプログラムした:変性、94℃30秒;アニー
リング、37℃30秒;伸長、72℃30秒。オリゴA
とオリゴBを用いて、PCRを30サイクル行い、その
後、最終伸長を72℃10分間行った。このPCRによ
り、図2に示したような、GnRHをコードする繰り返
し配列を含むDNA種が作成された。
【0036】繰り返しオープンリーディングフレーム
(ORF)の端に適当な停止コドンを付加し、ORFに隣
接して2つの適当な制限酵素部位が位置するように、2
つのアダプタープライマー(アダプターAとアダプター
B)を設計した(図3)。この段階(アダプターPCRと呼
称する)に対し、PCRの鋳型は、上記のとおり産生さ
れたTRPCRの100倍希釈物であった。サーマルサイク
ラーは、上記と同様にプログラムされたが、変性時間を
30秒の代わりに1分間とした。産生されたPCR産物
には、5’末端にSacII部位、3’末端にEcoR
I部位、ORFの端に停止コドンが存在した。
【0037】次いで、TRPCRとアダプターPCRの
産物を、ポリアクリルアミドゲルで調べた。TRPCR
産物の大多数は、500〜700bpの長さであった。
アダプターPCR後、産物はラダー状態に分布した。最
も小さいバンドにはダイマーのGnRH DNAリピー
ト(繰り返し)が含まれ、最も移動度の遅いバンドには
より高いオーダーのマルチマーが含まれていた。繰り返
し数は3から少なくとも12の範囲であった。繰り返し
数12のGnRHをコードする配列を含むクローンを、
更なる研究用に選択した。
【0038】繰り返し数12のGnRHをコードするD
NA断片を、プラスミドpPEDIにサブクローニング
した。当該プラスミドpPEDIは、プラスミドpJH
14(ワングら:J.Biol.Chem., 264:2379-2384, 1989)
中のPEのドメインIaをコードする配列をpET(Nov
agen)にサブクローニングすることにより作成した。当
該プラスミドpPEDIは、トキシンのトキシンレセプ
ター結合ドメインを有するPEのドメインIaを含むポ
リペプチドを発現し、そのN末端にはHis6タグを有
する。GnRHリピートをPE構造遺伝子の3'末端に
挿入し、pPEDIG12を作成した。この発現プラス
ミドにより産生されたタンパク質をPEIa-GnRH
12と名付けた。
【0039】pPEDIG12をBL21(DE3)ly
sSに形質転換した。形質転換体を37℃でアンピシリ
ン(50μg/ml)、クロラムフェニコール(25μg
/ml)およびテトラサイクリン(10μg/ml)を含
むLB培地中で培養した。培地のA600が0.2に到達
したとき、IPTGを培養培地に添加し、最終濃度0.
1mMとした。細胞を更に90分間培養した後、回収し
た。PEIa-GnRH12は封入体の形で過剰発現す
るので、回収した細胞を6M尿素で抽出した。
【0040】次いで、その抽出物をNovagen pET H
is-Tagシステムを用いて精製した。PEIa-Gn
RH12を含む画分を集め、50mMの酢酸アンモニウ
ム(pH4.0)で透析した。PEIa-GnRH12
は、4℃で保存すると、少なくとも6ヶ月間安定であっ
た。ニッケル-アガロースアフィニティーカラムクロマ
トグラフィーの後、PEIa-GnRH12を単離し、
SDS-PAGEで測定すると、95%の純度であっ
た。
【0041】この新規免疫原の試験のために、生後6週
間のメスのニュージランドウサギをPEIa-GnRH
12で免疫した。PEIa-GnRH12 100μgお
よびリン酸アルミニウム(pH7.0)125μgを含む
ボラス0.5mlを、最初の時点(生後6週間)でウサギ
に注射した。最初の免疫から1週間後、同じボラス0.
5mlを2回目の免疫として、ウサギに注射し、その
後、最初の注射から2週間後に同じ注射を行った。3回
目の免疫後、ELISAおよび免疫ブロッティング用に
血清を採取した。マルチマー抗原に対する抗体が、モノ
マーエピトープに指向しているのか、モノマー間の結合
部を橋渡しするエピトープに指向しているのかを試験す
るため、GnRHの種々のマルチマーを含む幾つかのG
ST融合タンパク質をELISAの標的として調製し
た。
【0042】免疫したウサギ内に産生された抗体は、G
ST単独を認識しなかったが、5,000倍の希釈血清
は、GST融合タンパク質がどのような数のGnRHリ
ピートを含んでいるかにかかわらず、すべてのGST-
GnRH融合タンパク質を同程度で認識した。この結果
は、免疫原に応答して生産された抗体のほとんどが、鎖
状体形成により作られたハイブリッドエピトープより
も、モノマーGnRHエピトープを認識したことを示唆
するものである。
【0043】GST-GnRH1およびGST-GnRH
5はELISA標的として特異的に使用された。3回免
疫したウサギの血清を10,000倍に希釈したもの
は、GST-GnRH1およびGST-GnRH5を同程
度に認識したので、免疫原に対する免疫応答は、GnR
Hモノマー特異的エピトープに指向されていることが確
認された。
【0044】新規抗原により誘導された抗体が生理学的
に活性であることを確認するため、免疫したウサギの卵
巣の発達をモニターした。対照として、ウサギをPEI
a-TopN8(10アミノ酸のトポイソメラーゼN末端
ペプチドの8リピートに融合したPEのドメインIaを
含むペプチド)でも免疫した。PEIa-TopN8で免
疫したウサギは、正常な卵巣発達を示したが、PEIa
-GnRH12で免疫したウサギの卵巣の大きさは、有
意に減少した。従って、産生されたGnRH免疫原は、
GnRH関連疾患の処置に有用な自己抗体を誘導する抗
原として有用である。
【0045】更に新規GnRH免疫原の有用性を確認す
るため、マウスおよびブタをPEIa-GnRH12で
免疫した。マウスの免疫化手順は、上記のウサギの免疫
化手順と同じであったが、マウスの場合、各々に対して
注射毎にPEIa-GnRH12 10μgおよびリン酸
アルミニウム(pH7.0)25μgを含むボラス100
μlを投与した。また、生後24日のブタには、PEI
a-GnRH12 10mgおよびリン酸アルミニウム
(pH7.0)250μgを含むボラス1mlを1度に注
射した。GnRH-特異的抗体は、ウサギ同様、マウス
およびブタでも容易に誘導され、抗原は種々の動物にお
いて免疫応答を誘発することが示された。なお、1度の
免疫化が免疫応答の誘発に充分であった。
【0046】実施例2:ワクシニアウイルスに対するマ
ルチマーワクチン GnRHペプチド配列の代わりに、ワクシニアウイルス
コートタンパク質ペプチドLIGICVAVTVAI
(配列番号2)のリピートを含むDNA配列を、上記実施
例1に記載のとおりにPCRを用いて構成した。16リ
ピートのウイルスコートタンパク質ペプチドを含むPE
融合タンパク質を、実施例1の方法に従って産生し、精
製した。
【0047】生後6週間のウサギに、ウイルス性ペプチ
ドリピート抗原100μgと完全フロイントアジュバン
ト100μgを含むボラス1mlを注射した。4週間
後、抗原100μgと不完全フロイントアジュバント1
00μgを含む、2回目の注射1mlを適用した。最初
の免疫から8週間後、ウサギに抗原100μgを含むボ
ラス1ml(アジュバント含まず)を注射した。ウイルス
性コートタンパク質免疫原により3回免疫したウサギ
は、ワクシニアウイルス特異的抗体を産生した。
【0048】従って、PEレセプター結合ドメインにペ
プチドリピートを結合させる一般的な方法は、第2のペ
プチドに対しても適用可能であることが証明された。
【0049】他の実施態様 以上、本発明は詳細な説明と共に記載されたが、この記
載は以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の
範囲を説明するためのものであって、限定するものと理
解されてはならない。他の態様、利点および修飾は、す
べて本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリペプチドで使用されるGnRHペプチ
ド配列(配列番号1)及びそれ又はその部分をコードする
プライマー配列(オリゴA:配列番号4;オリゴB:配列
番号5)を示す。
【図2】図1のプライマーを連続的に伸長、変性および
アニーリング(すなわちPCR)して、ペプチド配列の
鎖状体をコードする核酸を製造する方法を示す。
【図3】図2の鎖状体核酸の最終的PCR増幅による、
鎖状体の末端における停止コドンとクローニングのため
の適当な制限部位の導入を示す。アダプタープライマー
Aを配列番号6、アダプターB配列番号7、EcoRI部位を
含む5’オーバーハング配列を配列番号8、SacII部位を
含む5’オーバーハング配列を配列番号9で示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/395 C07K 14/21 A61P 35/00 14/59 C07K 14/07 19/00 14/21 C12P 21/02 C 14/59 (C12P 21/02 C 19/00 C12R 1:19) C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA //(C12P 21/02 A61K 37/02 C12R 1:19) 37/43 (72)発明者 チア−ツェ・シュ 台湾タイナン、シ−カン、ク−ゼ−トウ、 ナンバー67、セカンド・フロアー (72)発明者 チュン−ジェン・ティン 台湾シンチゥ、ドンダ・ロード、セクショ ン2、レイン172、ナンバー29、サード・ フロアー Fターム(参考) 4B024 AA01 BA01 BA31 BA32 CA04 DA06 EA04 GA11 HA01 4B064 AG01 AG15 AG32 CA02 CA19 CC24 CE06 CE08 CE12 DA01 4C084 AA02 AA07 BA17 BA18 CA53 NA14 ZB262 4C085 AA03 AA13 BB08 DD62 FF01 FF20 4H045 AA11 AA20 AA30 BA41 CA01 CA11 DA45 DA83 DA86 EA31 FA74 GA01 GA26

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)ペプチド配列の少なくとも2コピー
    と、(2)レセプター結合ドメインを含むことを特長とす
    る、免疫原性を増加する抗原として有用なポリペプチ
    ド。
  2. 【請求項2】 ペプチド配列が有用な免疫応答を与える
    抗原を構成するアミノ酸配列であり、レセプター結合ド
    メインがLDL/alpha2-ミクログロブリン細胞レ
    セプターに特異的に結合するポリペプチド内のアミノ酸
    配列である、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 ペプチド配列がゴナドトロピン放出ホル
    モンまたはその断片の配列である、請求項2に記載のポ
    リペプチド。
  4. 【請求項4】 ペプチド配列が配列番号1である、請求
    項3に記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】 ペプチド配列がワクシニアウイルスコー
    トタンパク質またはその断片の配列である、請求項2に
    記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 ペプチド配列が配列番号2である、請求
    項5に記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】 レセプター結合ドメインがシュウドモナ
    ス(Pseudomonos)エキソトキシンのものである請求項
    1〜6のいずれかに記載のポリペプチド。
  8. 【請求項8】 ポリペプチドがペプチド配列の10〜2
    0コピーを含むものである、請求項1〜7のいずれかに
    記載のポリペプチド。
  9. 【請求項9】 ペプチド配列のすべてのコピーが連続し
    ている、請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチ
    ド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードする、核酸。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の核酸を細胞内に導
    入し、細胞中でポリペプチドを発現させることを特長と
    する、ポリペプチドの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006025782A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Healthbanks Biotech Co Ltd スーパー抗原融合蛋白及びその応用方法

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JP2006025782A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Healthbanks Biotech Co Ltd スーパー抗原融合蛋白及びその応用方法

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