JP2001317301A - 蒸気タービンロータおよびその製造方法 - Google Patents

蒸気タービンロータおよびその製造方法

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JP2001317301A
JP2001317301A JP2000305464A JP2000305464A JP2001317301A JP 2001317301 A JP2001317301 A JP 2001317301A JP 2000305464 A JP2000305464 A JP 2000305464A JP 2000305464 A JP2000305464 A JP 2000305464A JP 2001317301 A JP2001317301 A JP 2001317301A
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pressure
steam turbine
turbine
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Masayuki Yamada
政之 山田
Takao Inukai
隆夫 犬飼
Yoichi Tsuda
陽一 津田
Ryuichi Ishii
龍一 石井
Satoru Asai
知 浅井
Masataka Kikuchi
正孝 菊地
Joji Kaneko
丈治 金子
Hiroaki Yoshioka
洋明 吉岡
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高圧用ロータ、中圧用ロータ、低圧用ロータを
組み合わせて一体型にする場合、軽量化と相俟って適正
な成分・組成の下、各ロータを溶接接続させた後、熱処
理を行い、高い強度を保証し、蒸気タービンの大容量化
・高効率化に対処する蒸気タービンロータおよびその製
造方法を提供する。 【解決手段】本発明に係る蒸気タービンロータおよびそ
の製造方法は、ロータ1をタービン段落高圧部HPS、
タービン段落中圧部IPS、タービン段落低圧部LPS
に区分けし、各圧力部HPS,IPS,LPSのロータ
1の材質を異ならしめるとともに、溶接手段を用いて接
続させた後、熱処理をする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧蒸気タービ
ン、中圧蒸気タービン、低圧蒸気タービンのうち、少な
くとも二つ以上の蒸気タービンを組み合わせた蒸気ター
ビンプラントに適用する接続構造の蒸気タービンロータ
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高圧蒸気タービン、中圧蒸気タ
ービン、低圧蒸気タービンを備える蒸気タービンプラン
トでは、各タービンに組み込む蒸気タービンロータの材
質を使用する蒸気条件、例えば圧力、温度、流量等に応
じて選定している。例えば、蒸気温度550℃〜600
℃の高圧蒸気タービンや中圧蒸気タービンに用いる蒸気
タービンロータは、1%CrMoV系鋼(ASTM−A
470、クラス8)や12%Cr系鋼(特公昭60−5
4385号公報)等が使用され、また、蒸気温度400
℃以上の低圧蒸気タービンに用いる蒸気タービンロータ
は、2.5%以上のNiを含むNiCrMo系鋼(AS
TM−A471、クラス2〜7)等が使用されている。
【0003】また、大容量化および高効率化を指向する
最近の蒸気タービンプラントでは、各タービンの小形
化、軽量化、構造簡素化を求める必要上、高圧蒸気ター
ビンから低圧蒸気タービンまで同一材質で、かつ一体成
形した、いわゆる高低圧、高中低圧あるいは中低圧一体
型の蒸気タービンロータの出現が注目されている。
【0004】一体型として用いる蒸気タービンロータ
は、高圧・高温側で高温クリープ破断強度が必要とさ
れ、また、低圧・低温側で引張強さ、耐力、靱性が必要
とされている。つまり、一つの回転軸(ロータ)にも拘
らず性質の異なる機械的特性が求められている。具体的
には、その材質は1%CrMoVNiNb系鋼等(例え
ば特公昭58−13608号公報)や1.7%Ni2.
25%CrMoVWNb系鋼等(例えば特開平7−31
6721号公報)が実用機として運転されている。
【0005】上述の一体型に用いた蒸気タービンロータ
は、作製当初から一体成形加工したものであるが、この
ほかに予め別体で作製した高、中、低圧用の蒸気タービ
ンロータをボルトによる接続構造にしたもの(例えば、
特開昭62−189301号公報)や溶接接続構造のも
のもある。
【0006】溶接接続構造のものは、蒸気タービンロー
タを接続する時期によって二つに分けられる。一つは、
蒸気タービンロータの製造工程中での接続であり、残り
は蒸気タービンロータの製造を終了した後の同士の接続
である。
【0007】前者は、複数のインゴットを粗鍛造し、溶
接接続した後に仕上げ鍛造を行うものであり、例えば、
特開昭53−147653号公報に開示されている。
【0008】後者は、異成分・組成材質の蒸気タービン
ロータを溶接接続したもので、例えば、特開昭57−1
76305号公報に開示されている。
【0009】なお、高圧用、中圧用、低圧用の蒸気ター
ビンロータは、そのをディスク構造タイプ(一つの蒸気
タービンロータを輪切り状の円盤構造タイプにして円盤
を一つ一つ列状に重ねる)にして溶接接続することが従
来から行われている。この場合、蒸気タービンロータ
は、同じ成分・組成材質のものを溶接接続させたもので
異成分・組成材質のものを溶接接続させたものではな
い。
【0010】また、蒸気タービンロータの製造工程中に
行う他の接続方法には、ESR(エレクトロスラグ再溶
解)を用いたものが提案されている。
【0011】この接続方法には、一方の消耗電極をES
R溶解後、直ちに他方の消耗電極をESR溶解し、継ぎ
足して一体成形加工するもの(例えば、特公昭53−4
2446号公報)や成分・組成の異なる複数のインゴッ
トを接続し、ESR電極として溶解するもの(例えば、
特公昭56−14842号公報)や中心部のプール深さ
を浅くするために、中空電極を接続してESR溶解する
もの(例えば、特開平6−155001号公報)などが
ある。
【0012】このように、従来の蒸気タービンロータに
は、数多くの接続手段が開示されており、これらの接続
手段のうち、幾つかが実用機に採用されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】最近の蒸気タービンプ
ラントは、小型化、構造の簡素化、重量の軽量化が強化
され、この観点から蒸気タービンロータも高低圧化、高
中低圧化、あるいは中低圧化の検討が行われている。
【0014】従来の蒸気タービンロータは、高圧用、高
中圧用、中圧用、低圧用の個々の蒸気タービンの蒸気条
件、例えば温度、圧力等に合わせて開発された成分・組
成の材料を使用しているものであり、その成分・組成の
材料をそのまま高低圧用、高中低圧用、中低圧用の蒸気
タービンに適用すると、以下に示す問題点が含まれてい
る。
【0015】(1)1%CrMoV系のロータは、温度
550℃程度の高温域でのクリープ破断強度が優れてい
るものの、低温域での引張強さや靭性が必ずしも満足し
たものではなく、延性破壊や脆性破壊等の可能性があ
る。これらの防止措置として蒸気タービンロータの低圧
部に発生する応力を低減する必要がる。しかし、その低
圧部に発生する応力を低減させると、タービン段落に設
けたタービン翼の翼長も制限され、その結果、発電プラ
ントの大容量化が困難となる。
【0016】また、高温クリープ破断強度が優れている
と言えども、最近の発電プラントの効率向上のために求
められているタービン入口蒸気の高温化(600℃程
度)・高圧化に充分に対処できるものではない。
【0017】(2)12%Cr系のロータは、1%Cr
MoV系鋼のロータよりも高温クリープ破断強度に優れ
た特性を生かして上述のタービン入口蒸気条件も満足さ
せることができるが、靭性面では十分ではないために、
その改善措置として1%CrMoV系のロータの場合と
同様に、低圧タービン段落に設けたタービン翼の翼長が
制限される。
【0018】(3)NiCrMoV系鋼のロータは、低
温域での引張強さおよび靭性が優れているものの、クリ
ープ破断強度が必ずしも満足したものではなく、高圧蒸
気タービンや中圧蒸気タービンに使用すると強度不足の
ため、タービン入口蒸気の高温化が制限され、発電プラ
ントの効率向上が難しい。
【0019】このように、従来の耐熱鋼を用いて、同一
材質にする高低圧、高中低圧、中低圧一体型蒸気タービ
ンロータは、特に高温・高圧の蒸気を使用し、翼長の長
いタービン翼を組み込んで蒸気タービンプラントの大容
量化および高効率化を図る上で、大きな制約を受ける問
題点があった。
【0020】ただ、出力の小さい小型蒸気タービン向け
には、高低圧、高中低圧、中低圧一体型蒸気タービンロ
ータとして同一成分・組成材質のものが適用されてきて
いる。しかし、蒸気タービンの性能を向上させたり、出
力範囲を増加させるためには、最終タービン段落のター
ビン翼長を増加させる必要がある。尤も、タービン翼長
を増加させると、回転による遠心力が増加し、蒸気ター
ビンロータに発生する応力が極めて大きくなる。この応
力増加に対処するためには、蒸気タービンロータは、最
終タービン段落およびその周囲の部分の引張強さ、耐
力、靭性をより一層向上させる必要がある。
【0021】さらに、最終タービン段落のタービン翼
は、コストダウンと遠心力を低くさせる観点から、従来
の鋼製からチタン製に置き換えることがある。しかし、
チタン製のものは、長翼化になっていることも手伝って
思った程遠心力が低くなっていない。このため、蒸気タ
ービンロータには、依然として大きな応力が発生してい
る。
【0022】したがって、より一層引張強さ、耐力、靭
性が優れ、かつ高温におけるクリープ破断強度を維持す
る必要があるが、現状ではそれに対処できる高低圧、高
中低圧、中低圧の各蒸気タービンの同一成分組成による
一体型の蒸気タービンロータは未だ実現していない。
【0023】同一成分組成による高低圧、高中低圧、中
低圧一体型蒸気タービンロータの代替として、異材質の
蒸気タービンロータを組み合わせることも考えられる。
その一つにボルト締結方法がある。しかし、このボルト
締結法は、フランジによる接続部を設け、ボルトあるい
はボルト・ナットで締結するため、蒸気タービンロータ
の締結される部位を挟むホイール間の間隙を設計適正値
よりも大きく取らざるを得ず、蒸気タービンの構造簡素
化の点、重量の軽減の点で不利である。また、蒸気ター
ビンの起動・停止の繰返しによってボルト締結力の低
下、いわゆるボルトの緩み現象が生じ、蒸気タービンロ
ータの振動の要因になる可能性がある。
【0024】また、異材質の蒸気タービンロータの接続
手段として、溶接接続手段が考えられる。蒸気タービン
ロータ製造工程中の溶接接続手段の場合は、その後の仕
上鍛造プロセスでロータが半径方法および軸方向に伸ば
される時に、円周方向の化学的成分・組成を精度良く均
一分布にすることの技術的困難性を伴い、その後の熱処
理プロセスや運転中の蒸気ロータの変形(曲がり)の要
因にもなり得ることから実用化には至っていない。
【0025】次に、蒸気タービンロータ完成後の異材質
の溶接接続手段を以下に述べる。既に述べたように、高
圧用蒸気タービンロータ、中圧用蒸気タービンロータ、
高中低圧用蒸気タービンロータおよび低圧用蒸気タービ
ンロータのような、それぞれに同じ成分組成のロータを
ディスク形状に鍛造し、それを溶接(同材溶接)して蒸
気タービンロータに仕上げることは従来から数多く実用
化されてきているが、化学的成分・組成の異なる異材質
の蒸気タービンロータの溶接接続手段は実用化されてい
ない。その理由には幾つか要因が考えられる。
【0026】まず、異材質のものを溶接接続する場合、
ロータの化学的成分・組成の相違による線膨張率や熱伝
導率などの物性値の違いによって、溶接継手部の溶接残
留応力が大きくなったり不均一になることが考えられ
る。このため、溶接継手部のSCC(応力腐食割れ)感
受性の増大や溶接裏波部分の応力集中の増加が心配され
る。また、溶接によるロータの変形量の増加に起因して
多くの余肉量が必要となり、ロータの製作費用や切削加
工工数の増加によるコストアップも懸念される。さら
に、運転中の熱曲がりによる振動の問題も懸念される。
【0027】また、異材質溶接のため、溶接継手部が複
雑な残留応力成分分布になることが考えられ、それによ
るSCC感受性の増加も懸念される。
【0028】また、ロータは、大きなものであってもど
の部分でも出来るだけ均一特性を備えることが従来の高
品質の蒸気タービンロータであるとする一般常識から考
えると、異材質溶接接続手段の場合は、接続される両蒸
気タービンロータにとって溶接後の熱処理(PWHT)
温度が適正値にならないために、PWHT後は低圧用の
ロータの接続部分の強度が低下することも考えられる。
【0029】以上に述べた異材質の溶接接続手段におけ
る種々の要因が、これまでに異材質による溶接接続構造
の蒸気タービンロータの実用化がなされなかったと推定
される。
【0030】さらに、異材質のロータのもう一つの結合
手段としてESRの活用が考えられる。これは、蒸気タ
ービンロータの溶解・凝固工程において、異材質を結合
させ、化学的成分・組成の軸方向における傾斜化を意図
した手段であるが、円周方向において化学的成分・組成
を均一分布にすることに技術的な困難を伴うことから実
用化されていない。
【0031】本発明は、このような背景技術に照らして
なされたもので、異材質の蒸気タービンロータを互いに
接続して高低圧蒸気タービン用、高中低圧蒸気タービン
用、または中低圧蒸気タービン用の一体型に形成するに
あたり、軽量化と相俟って適正な成分・組成の下、溶接
部分の残留応力を軽減し、応力腐食割れ(SCC)感受
性や蒸気タービンロータの曲げ変形を抑制し、溶接接続
後の熱処理(PWHT)を充分に行って強度等の品質を
保証し、蒸気タービンの大容量化と高効率化の要求に必
要なタービン翼の長翼化にも充分に対処できる蒸気ター
ビンロータおよびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明に係る蒸気タービ
ンロータは、上述の目的を達成するために、請求項1に
記載したように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた
蒸気タービンロータにおいて、前記高圧用ロータおよび
前記中圧用ロータのうち、少なくとも一方と、前記低圧
用ロータとは化学的組成の異なる材質を用いるととも
に、溶接手段を用いて互いを溶接接続させたものであ
る。
【0033】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項2に記載した
ように、請求項1記載の蒸気タービンロータにおいて、
高圧用ロータは、1%CrMoV系鋼を用いたものであ
る。
【0034】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項3に記載した
ように、請求項1記載の蒸気タービンロータにおいて、
低圧用ロータは、3〜4%NiCrMoV系鋼を用いた
ものである。
【0035】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項4に記載した
ように、請求項1記載の蒸気タービンロータにおいて、
中圧用ロータは、1%CrMoV系鋼を用いたものであ
る。
【0036】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項5に記載した
ように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少な
くとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた蒸気ター
ビンロータにおいて、前記高圧用ロータのうち、高圧用
タービン初段落と前記中圧用ロータのうち、中圧用ター
ビン初段落に12%Cr系鋼を用い、前記高圧用ロータ
のうち、前記高圧用タービン初段落以外の高圧用タービ
ン段落に1%CrMoV系鋼を用い、前記中圧用ロータ
のうち、前記中圧用タービン初段落以外の中圧用タービ
ン段落に1%CrMoV鋼を用い、前記低圧用ロータに
3〜4%NiCrMoV系鋼を用いるとともに、溶接手
段を用いて互いを溶接接続させたものである。
【0037】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項6に記載した
ように、請求項2,4または5記載の蒸気タービンロー
タにおいて、1%CrMoV系鋼は、0.8〜1.3重
量%Cr、0.8〜1.5重量%Mo、0.2〜0.3
重量%V、残部Feとその他であることを特徴とするも
のである。
【0038】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項7に記載した
ように、請求項3または5記載の蒸気タービンロータに
おいて、3〜4%NiCrMoV系鋼は、2.5〜4.
5重量%Ni、1.5〜2.0重量%Cr、0.3〜
0.8重量%Mo、0.08〜0.2重量%V、残部F
eとその他であることを特徴とするものである。
【0039】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項8に記載した
ように、請求項5記載の蒸気タービンロータにおいて、
12%Cr系鋼を用いたロータは、端部を凸状錐体およ
び凹状錐体のうち、いずれか一方に形成し、1%CrM
oV系鋼を用いたロータは、端部を凸状錐体および凹状
錐体のうち、いずれか一方に形成し、前記12%Cr系
鋼に用いたロータを前記1%CrMoV系鋼に用いたロ
ータに嵌合後、溶接手段を用いて溶接接続させたもので
ある。
【0040】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項9に記載した
ように、請求項8記載の蒸気タービンロータにおいて、
凸状錐体および凹状錐体は、中心軸に対して傾斜させた
ものである。
【0041】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項10に記載し
たように、請求項1,5または8記載の蒸気タービンロ
ータにおいて、溶接手段に用いる溶接金属は、2.7〜
3.5重量%Ni、0.2〜0.5重量%Cr、0.4
〜0.9重量%Mo、残部Feとその他であることを特
徴とするものである。
【0042】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項11に記載し
たように、請求項1記載の蒸気タービンロータにおい
て、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少なくと
も一方と低圧用ロータとを溶接手段を用いて溶接後、前
記高圧用ロータおよび前記中圧用ロータのうち、少なく
とも一方のタービン段落の領域と、前記低圧用ロータの
うち、最終タービン段落以外のタービン段落の領域とを
熱処理手段を用いて熱処理したものである。
【0043】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項12に記載し
たように、請求項5記載の蒸気タービンロータにおい
て、高圧用ロータ、12%Cr系鋼を用いたロータ、中
圧用ロータおよび低圧用ロータとを溶接手段を用いて溶
接後、前記高圧用ロータ、前記12%Cr系鋼を用いた
ロータ、前記中圧用ロータおよび低圧用ロータのうち、
最終タービン段落以外のタービン段落の領域を熱処理手
段を用いて熱処理したものである。
【0044】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項13に記載し
たように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少
なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた蒸気タ
ービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に横断し
て延びる分割合わせ面に狭開先部を形成し、前記狭開先
部を溶接する際、溶接熱による各ロータの変位および前
記分割合わせ面の前記狭開先部の変位を検出し、溶接ト
ーチからの入熱量を増減制御するレーザ変位測定センサ
とレーザ測長計とを備えたものである。
【0045】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項14に記載し
たように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少
なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた蒸気タ
ービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に横断し
て延びる分割合わせ面に狭開先部を形成し、前記狭開先
部を溶接する際、サブマージアーク溶接手段を用いたも
のである。
【0046】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項15に記載し
たように、請求項13または14記載の蒸気タービンロ
ータにおいて、狭開先部は、ロータの中心軸に交差する
横断線に対して傾斜角10/100に設定したものであ
る。
【0047】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項16に記載し
たように、請求項14記載の蒸気タービンロータにおい
て、分割合わせ面は、中心孔側に中空部を形成したもの
である。
【0048】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項17に記載し
たように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少
なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた蒸気タ
ービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に横断し
て延びる分割合わせ面の溶接後、溶接端部の前記中心孔
側に化粧盛り溶接部を形成したものである。
【0049】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項18に記載し
たように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少
なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた蒸気タ
ービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に横断し
て延びる分割合わせ面の溶接後、溶接端部の前記中心孔
側にブラスト手段を用いて残留応力部を形成したもので
ある。
【0050】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項19に記載し
たように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少
なくとも一方とを、低圧用ロータとを組み合わせた蒸気
タービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に横断
して延びる分割合わせ面の溶接後、溶接端部の外表面側
に耐食コーティング部を形成したものである。
【0051】また、本発明に係る蒸気タービンロータ
は、上述の目的を達成するために、請求項20に記載し
たように、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少
なくとも一方と、低圧用ロータとを互いに溶接後、前記
高圧用ロータおよび前記中圧用ロータのうち、少なくと
も一方のタービン段落の領域と前記低圧用ロータのう
ち、最終タービン段落以外のタービン段落の領域とに、
前記高圧用ロータおよび前記中圧用ロータのうち、いず
れか一方の焼戻し温度以下で、かつ前記低圧用ロータの
焼戻し温度以上、および前記低圧用ロータのAc1変態
温度以下のうち、いずれか一方の温度で熱処理するもの
である。
【0052】また、本発明に係る蒸気タービンロータの
製造方法は、上述の目的を達成するために、請求項21
に記載したように、高圧用タービン初段落と中圧用ター
ビン初段落に用いたタービン初段落ロータの12%Cr
系鋼と、前記高圧用タービン初段落以外のタービン段落
に用いた高圧用ロータの1%CrMoV系鋼と、前記中
圧用タービン初段落以外のタービン段落に用いた中圧用
ロータの1%CrMo系鋼と、低圧用ロータに用いた3
〜4%NiCrMoV系鋼とを互いに溶接後、前記ター
ビン初段落ロータの12%Cr系鋼、前記高圧用ロータ
の1%CrMoV系鋼および前記中圧用ロータの1%C
rMoV系鋼におけるタービン段落の領域と、前記低圧
用ロータの3〜4%NiCrMoV系鋼における最終タ
ービン段落以外のタービン段落の領域とに、前記12%
Cr系鋼および前記1%CrMoV系鋼のうち、いずれ
か一方の焼戻し温度以下で、かつ前記3〜4%NiCr
MoV系鋼の焼戻し温度以上、および前記3〜4%Ni
CrMoV系鋼のAc1変態温度以下のうち、いずれか
一方の温度で熱処理する方法である。
【0053】また、本発明に係る蒸気タービンロータの
製造方法は、上述の目的を達成するために、請求項22
に記載したように、請求項21または22記載の蒸気タ
ービンロータの製造方法において、熱処理温度は600
〜630℃の範囲であることを特徴とする方法である。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る蒸気タービン
ロータおよびその製造方法の実施形態を図面および表を
参照しながら説明する。
【0055】図1は、本発明に係る蒸気タービンロータ
およびその製造方法の第1実施形態を説明するために用
いた概念図である。なお、本実施形態は、理解を容易に
するため、図2に示す従来の例えば、高中低圧一体型の
蒸気タービンロータを用いるとともに、この蒸気タービ
ンロータを、図1に示した、例えば高中低圧一体型の複
数種の化学的成分・組成の材質を用いた蒸気タービンロ
ータと異なり、単種類の化学的成分・組成の材質を用い
ている。
【0056】図1および図2に示した蒸気タービンロー
タは、材質の点を除いて、ともに、ロータ1をタービン
段落高圧部HPS、タービン段落中圧部IPS、タービ
ン段落低圧部LPSとに区分けして形成する。
【0057】本実施形態は、タービン段落高圧部HPS
とタービン段落中圧部IPSとを同一化学的成分・組成
で当初から一体化して製作するとともに、タービン段落
低圧部LPSを異材質で別体に製作し、タービン段落中
圧部IPSとタービン段落低圧部LPSとの接続位置2
で溶接接続させたものである。
【0058】一体製作のタービン段落高圧部HPSとタ
ービン段落中圧部IPSとは、ロータ1に1%CrMo
V系鋼を用いている。1%CrMoV系鋼を用いたロー
タ1は、化学的成分・組成(重量%)として0.8〜
1.3%Cr、0.8〜1.5%Mo、0.2〜0.3
%V、残部をFeとその他であり、調質熱処理を焼入れ
970℃×22h加熱後、強い風による冷却を行い、そ
の後、焼戻し670℃×40hを行ったものである。
【0059】一方、別体製作のタービン段落低圧部LP
Sは、ロータ1に3.9%NiCrMoV系鋼を用いて
いる。3.9%NiCrMoV系鋼を用いたロータ1
は、化学的成分・組成(重量%)として2.4〜4.5
%Ni、1.5〜2.0%Cr、0.3〜0.8%M
o、0.08〜0.2%V、残部をFeとその他であ
り、調質熱処理を焼入れ840℃×33h加熱後、水ス
プレー冷却を行い、その後、焼戻し590℃×50hを
行ったものである。
【0060】他方、一体製作のタービン段落高圧部HP
Sおよびタービン段落中圧部IPSと別体製作のタービ
ン段落低圧部LPSとを接続位置2で溶接接続させる
際、溶接金属は、化学的成分・組成(重量%)として、
2.7〜3.5%Ni、0.2〜0.5%Cr、0.4
〜0.9%Mo、残部Feとその他を用いた。
【0061】本実施形態は、上述のロータ1の化学的成
分・組成および溶接金属の化学的成分・組成を用いて接
続位置2で溶接接続させた後、溶接部を境にタービン段
落高圧部HPSおよびタービン段落中圧部IPS側の全
領域と、最終タービン段落部L−0を除く全領域とを高
周波コイルまたは電気炉で部分加熱し、溶接後の熱処理
を行った。その熱処理温度は、610℃×40hおよび
625℃×40hの2種類にした。なお、比較例として
対比考察するため、その熱処理温度は、580℃×40
hおよび680℃×40hも用いた。
【0062】また、比較例として対比考察するために、
高中低圧一体型蒸気タービンロータのロータ1を、同種
類成分・組成だけの1%CrMoV系鋼および3.9%
NiCrMoV系鋼のものを製作した。
【0063】次に、本実施形態に用いた高中低圧一体型
の蒸気タービンロータおよび比較例として用いた高中低
圧一体型の蒸気タービンロータのそれぞれから試験片を
採取し、各種材料特性のデータを表1にまとめた。
【0064】
【表1】
【0065】表1に示す試験項目とその試験条件は、室
温引張強さ(室温における引張強さ)、靭性を表すFA
TT(シャルピー衝撃試験によって求められる延性−脆
性破面遷移温度)、SCC(応力腐食)割れ感受性(J
IS G 0576に準拠したU字曲げ試験で、100
0ppmの塩化ナトリウム水溶液中での1000hの浸
漬試験でSCC割れの有無を評価)、クリープ破断強度
(580℃、10万h破断強度)、溶接部の残留応力
(センタードリル法で評価)である。
【0066】また、試験位置は、下記の各タービン段落
とした。タービン段落低圧部LPSの最終タービン段落
を「L−0」とし、その前のタービン段落を「L−
1」、その前々のタービン段落を「L−2」とし、順
次、蒸気の上流側に向ってタービン段落の名称をつける
ことにした。この実施形態および比較例においては、最
終タービン段落は「L−0」から「L−5」の全6ター
ビン段落である。
【0067】また、中圧タービン段落は、蒸気流入側か
ら順に「I1」「I2」…「I5」とタービン段落の名
称をつけた。材料特性は「I4」および「I5」の2タ
ービン段落だけにした。その理由は、本実施形態および
比較例においては、高圧タービン段落および中圧タービ
ン段落の溶接後熱処理を電気炉中で均一温度に設定して
行ったため、材料特性がほぼ均一であると判断したため
である。
【0068】本実施形態は、1%CrMoV系鋼のロー
タ1と3.9%NiCrMoV系鋼のロータ1とを溶接
接続し、溶接後熱処理温度を1%CrMoV系鋼のロー
タ1と3.9%NiCrMoV系鋼のロータ1とのそれ
ぞれの焼戻し温度の中間域の温度であり、かつ3.9%
NiCrMoV系鋼のロータ1のAc1変態温度よりも
低い610℃を選定した。また、後熱処理は、溶接接続
部をはさんでタービン段落高中圧部HPS,IPSのす
べてのタービン段落領域、およびタービン段落低圧部の
最終タービン段落部「L−0」を除くタービン段落部分
を含んで、高周波コイルまたは電気炉中での部分加熱方
式によって行ったので、「L−1」タービン段落から
「L−3」タービン段落の範囲で後熱処理温度の傾斜が
生じ、室温引張強さおよびFATTの特性の傾斜化が認
められた。これらの領域においては、ロータ1に植え込
まれるタービン翼の翼長が「L−0」タービン段落に較
べて短くなり、回転時の遠心力が小さくなるので、ロー
タ1の室温引張強さは小さくなるものの、強度に影響を
与えない。むしろ、FATTの低減(靭性の向上)と強
度低下に伴うSCC(応力腐食)割れ感受性の低減をも
たらし、ロータ1の安定運転が確保された。
【0069】また、クリープ破断強度は、溶接後熱処理
温度が1%CrMoV系鋼の焼戻し温度より低いので引
張強さが変化しないのと同様に高く維持された。さら
に、溶接部の残留応力は60MPaと低いレベルになっ
ており、溶接後熱処理による応力除去効果も得られた。
【0070】一方、本実施形態に較べて比較例1は、低
圧タービン段落の室温引張強さが低く、靭性も低い(F
ATTが高い)ことから、高中低圧一体型の蒸気タービ
ンロータとしては適当ではない。また、比較例2は、高
中圧タービン段落のクリープ破断強度が低く、また、
「L−2」タービン段落のSCC感受性が高く、やはり
高中低圧一体型の蒸気タービンロータとしては適当では
ない。また、比較例3は溶接後熱処理温度を3.9%N
iCrMoV鋼の焼戻し温度より低くした例であるが、
「L−2」タービン段落のSCC感受性が高く、溶接部
の残留応力は極めて高いままになっており、やはり高中
低圧一体型の蒸気タービンロータとしては適当ではな
い。また、比較例4は、溶接後熱処理温度を1%CrM
oV鋼の焼戻し温度より高くした例であるが、高中圧タ
ービン段落のクリープ破断強度が低下し、やはり高中低
圧一体型の蒸気タービンロータとしては適当ではない。
【0071】このように、本実施形態は、ロータ1に優
れた諸特性を持たせているので、高中低圧一体型の蒸気
タービンロータをして、より一層高強度の下、長く安定
運転を行わせることができる。
【0072】なお、本実施形態は、1%CrMoV系鋼
のロータ1と3.9%NiCrMoV系鋼のロータ1と
を溶接後、熱処理温度として610℃を用いたが、この
例に限らず625℃を用いても、表1の実施例2に示す
とおり、好結果を得た。
【0073】図3は、本発明に係る蒸気タービンロータ
およびその製造方法の第2実施形態を説明するために用
いた概念図である。なお、第1実施形態の構成要素と同
一構成要素には同一符号を付す。
【0074】本実施形態は、ロータ1の材質として1%
CrMoV系鋼、12%Cr系鋼、3.9%NiCrM
oV系鋼の3種類の異なった材質を採用した。すなわ
ち、1%CrMoV系鋼をタービン段落高圧部HPSの
高圧用ロータ1aに用い、12%Cr系鋼をタービン段
落高圧部HPSの高圧用タービン初段落とタービン段落
中圧部IPSの中圧用タービン初段落との間、具体的に
は蒸気入口部分に、ロータ1bを用い、タービン段落中
圧部IPSのうち、残りの中圧用ロータ1cに1%Cr
MoV系鋼を用い、3.9%NiCrMoV系鋼をター
ビン段落低圧部LPSの低圧用ロータ1dに用い、異材
質の各ロータ1a,1b,1c,1dとの接続位置3
a,3b,3cで溶接接続させたものである。
【0075】12%Cr系鋼を用いた中圧用ロータ1b
は、化学的成分・組成(重量%)として1.05%C
r、1.0%Mo、0.25%V、0.07%Nb、
0.05%Nを含んだFeおよびその他とするものであ
り、調質熱処理を焼入れ1050℃×20h加熱後、強
い風による冷却を行い、その後、焼戻し650℃×35
hを行った。なお、他の実施形態は、第1実施形態と同
じであるので、その説明を省略する。
【0076】上述の実施形態に基づく各種材料特性は、
「実施例3」として表1にまとめた。なお、表1中、
「H1」は12%Cr系鋼のロータ1bのデータであ
る。また、SCC割れ感受性試験は、蒸気の乾湿交番域
に相当する「L−2」タービン段落で行った。また、ク
リープ現象は、高温域で問題となるので「I5」で行っ
た。
【0077】本実施形態は、1%CrMoV系鋼の高圧
用ロータ1a、12%Cr系鋼のタービン段落高圧部H
PSの高圧用タービン初段落とタービン段落中圧用IP
Sの中圧用タービン初段落との間、具体的には蒸気入口
部分のロータ1b、1%CrMoV系鋼の中圧用ロータ
1cおよび3.9%NiCrMoV系鋼の低圧用ロータ
1dを互いに溶接接続し、溶接後の熱処理として、1%
CrMoV系鋼の高圧用ロータ1aおよび中圧用ロータ
1cと3.9%NiCrMoV系鋼の低圧用ロータ1d
のそれぞれの焼戻し温度の中間域の温度であり、かつ
3.9%NiCrMoV系鋼の低圧用ロータ1dのAc
1変態温度よりも低い625℃を選定した。また、後熱
処理は、溶接接続部をはさんでタービン段落高,中圧部
HPS,IPSのすべてのタービン段落領域、およびタ
ービン段落低圧部の最終タービン段落を除くタービン段
落部分を含んで、高周波コイルまたは電気炉中での部分
加熱方式によって行ったので、「L−1」タービン段落
から「L−3」タービン段落の範囲で後熱処理温度の傾
斜が生じ、室温引張強さおよびFATTの特性の傾斜化
が認められた。これらの領域においては、ロータ1に植
え込まれるタービン翼の翼長が「L−0」タービン段落
に較べて短くなり、回転時の遠心力が小さくなるので、
ロータ1の室温引張強さは小さくなるものの、強度に影
響を与えない。むしろ、FATTの低減(靭性の向上)
と強度低下に伴うSCC割れ感受性が低減し、ロータ1
の安定運転が確保できた。
【0078】1%CrMoV系鋼のクリープ破断強度
は、溶接後の熱処理温度が1%CrMoV系鋼の焼戻し
温度より低いので、引張強さの変化がなく高く維持され
た。
【0079】一方、12%Cr系鋼のクリープ破断強度
も、溶接後の熱処理温度が12%Cr系鋼の焼戻し温度
より低いので、引張強さは調質後のロータのレベルと同
等である。また、溶接部の残留応力は、1%CrMoV
系鋼のロータと3.9%NiCrMoV系鋼のロータと
の溶接部においては55MPaで、1%CrMoV系鋼
と12%Cr系鋼との溶接部においては60MPaと低
いレベルになっており、溶接後の熱処理による応力除去
効果も得られていた。
【0080】このように、本実施形態は、ロータ1を、
1%CrMoV鋼の高圧用ロータ1a、12%Cr系鋼
の高圧用タービン初段落と中圧用タービン初段落との
間、具体的には蒸気入口部分のロータ1b、1%CrM
oV系鋼の第2中圧用ロータ1cおよび3.9%NiC
rMoV系鋼の低圧用ロータ1dに区分けして用い、表
1に示すように優れた諸特性を持たせたので、第1実施
形態と同様に、高中低圧一体型の蒸気タービンロータを
して、より一層高強度の下、安定運転を行わせることが
できる。
【0081】図4は、本発明に係る蒸気タービンロータ
およびその製造方法の第3実施形態を説明するために用
いた概念図である。
【0082】本実施形態は、1%CrMoV鋼のロータ
4aと12%Cr系鋼の代表鋼の一つである10.5%
CrMoVNbN系鋼(特公昭60−54385号公
報)のロータ4bとを溶接接続させて高中低圧一体型の
蒸気タービンロータを形成する際、1%CrMoV系鋼
のロータ4aの端部における開先形状を凹状錐体(雌
部)5に形成するとともに、10.5%CrMoVNb
N系鋼のロータ4bの開先形状を凸状錐体(雄部)6に
形成したものである。具体的には、凸状錐体6は、ロー
タ4a,4bの中心軸CLを基準に拡り角度、θ=30
°〜95°の範囲に設定されている。なお、凸状錐体6
の先端は、凹状錐体5に対し、例えば四辺形の空間にし
た非接触部7を備えている。
【0083】一方、溶接接続部8を挟んで1%CrMo
V系鋼のロータ4aから10.5%CrMoVNbN系
鋼のロータ4bに至る位置には、中心軸CLと平行にC
r量を検査する分析用サンプリングラインX1,X2,
…X5が外径側から内径側に向って順に仮想線として設
けられている。
【0084】また、溶接接続部8を挟んで1%CrMo
V系鋼のロータ4aから10.5%CrMoVNbN系
鋼のロータ4bに至る位置には、分析用サンプリングラ
インX1,X2,…X5に横断するCr量検査位置Y
1,Y2,Y3が仮想線として設けられている。
【0085】図5は、分析用サンプリングラインX1,
X2,…X5から分析したCr量である。
【0086】一般に、Cr量が0.5〜2.5重量%程
度の合金鋼は低合金鋼、Cr量が8〜13重量%の合金
鋼は高Cr鋼(代表例として9%Cr鋼、12%Cr鋼
等)と称されている。
【0087】しかし、低Cr鋼と高Cr鋼の中間的なC
r量(5〜6重量%)を含有する構造用鋼は一般的では
ない。中間的なCr量(5〜6重量%)になると、高温
クリープ破断強度および室温引張強さが低下することに
基づく。
【0088】このため、1%CrMoV鋼のロータ4a
と10.5%CrMoVNbN系鋼のロータ4bとを溶
接接続させる際、溶接接続部8には、中間的なCr量
(5〜6重量%)の存在が予想される。中間的なCr量
の存在の下、1%CrMoV鋼のロータ4aと10.5
%CrMoVNbN系鋼のロータ4bとを中心軸CLに
対して鉛直面に溶接接続部8を設けると、その溶接接続
部8は中心軸CL方向の強度を低下させることが知られ
ている。
【0089】本実施形態は、この点を考慮したもので、
異材質のロータ4a,4bを互いに溶接接続させる際、
各ロータ4a,4bの開先形状を凹状錐体5と凸状錐体
6とのそれぞれに形成するとともに、溶接接続部8にお
ける凹状錐体5および凸状錐体6の中心軸CLを基準に
拡り角度θ=30°〜95°の範囲に設定したものであ
る。
【0090】尤も、図4に示したCr量検査位置Y2で
のCr量を図5のグラフで分析する限り、分析用サンプ
リングラインX3のCr量は約6重量%であり、その該
当部分の強度低下が予想される。
【0091】しかし、分析用サンプリングラインX1,
X2は、Cr量が1〜2重量%であり、また、分析用サ
ンプリングラインX4,X5はCr量が8〜9重量%に
なっており、強度低下を生じない。つまり、各ロータ4
a,4bの開先形状を凹状錐体5と凸状錐体6とのそれ
ぞれに形成し、溶接接続部8における凹状錐体5および
凸状錐体6の中心軸CLを基準に拡り角度θ=30°〜
95°の範囲に設定すると、一部の位置で中間Cr量に
なったとしても、他の位置でCr量が中間Cr量よりも
増減するので、強度低下を充分に補完することができ
る。他のCr量検査位置Y1,Y3でも同様である。
【0092】このように、本実施形態は、異材質のロー
タ4a,4bを互いに溶接接続させる際、溶接接続部8
の開先形状を凹状錐体5と凸状錐体6とに形成するとと
もに、溶接接続部8の溶接線を中心軸CLに対して拡り
角度をθ=30°〜95°の範囲に設定し、一部分でC
r量が中間値になっても残りの部分でCr量を増減さ
せ、全体としてCr量を中間値から離したので、一部分
での強度低下を残りの部分で強度低下を補完することが
できる。特に、本実施形態に係るロータは、蒸気入口部
等の高温部に適用すると有効である。
【0093】図6は、狭開先サブマージアーク溶接法を
用いてロータを溶接接続させる本発明に係る蒸気タービ
ンロータの第4実施形態を説明するために用いた概略図
である。
【0094】本実施形態は、高圧用ロータ9aと低圧用
ロータ9bとを溶接接続させる際、各ロータ9a,9b
に狭開先を設け、狭開先にサブマージアーク溶接機を用
いて狭開先溶接部15を形成し、溶接接続させたもので
ある。
【0095】従来、高低圧一体型蒸気タービンロータ9
は、高圧用ロータ9a、低圧用ロータ9b、最終タービ
ン段落用ロータ9c、ジャーナル軸受用ロータ(図示せ
ず)を溶接接続させる際、容量の大きい溶接デポ部を必
要としていた。このような大きな入熱を伴う開先形状で
溶接を行うと、各ロータ9a,9b,9c等の周方向に
おける溶接条件のばらつきのため、しばしば軸曲りが生
じ、溶接後の加工工程で曲り修正加工等の作業量が増加
していた。
【0096】本実施形態によれば、溶接部を狭開先形状
にし、大幅に狭めたので、各ロータ9a,9b,9c等
の軸曲りを防止でき、溶接後の加工工程での修正加工作
業を低減することができる。
【0097】図7は、本発明に係る蒸気タービンロータ
の第5実施形態を説明するために用いた概念図である。
なお、第1実施形態の構成要素と同一構成要素には同一
符号を付す。
【0098】本実施形態は、例えば高中低圧一体型蒸気
タービンロータを適用対象にしている。
【0099】高中低圧一体型蒸気タービンロータ22
は、ロータ1をタービン段落高圧部HPS、タービン段
落中圧部IPS、タービン段落低圧部LPSに区分けし
ている。また、ロータ1は、中心部分の偏析等を除去す
るために中心孔18を設け、この中心孔18を軸方向に
沿って長く延ばして形成している。
【0100】ところで、従来の高中低圧一体型蒸気ター
ビンロータ22は、タービン段落高圧部HPSおよびタ
ービン段落中圧部IPSともに高温クリープ強度を充分
に確保させていたが、タービン段落低圧部LPSの脆性
破壊に対して充分に保障していなかった。このため、高
中低圧一体型蒸気タービンロータ22は、化学的成分・
組成に改良を加えるとともに、一つのロータ1に異なる
温度の熱処理を行い、高温クリープ強度と靱性および引
張強さとの二つの相異なる特性を一つのロータ1に持た
せていた。
【0101】しかし、一つのロータ1に高温強度と靱性
等との両方を持たせても、依然として長尺化は避けられ
ない。このため、ロータ1が長尺化しても、蒸気タービ
ンは、運転中に発生する遠心力に伴う強度保証、振動の
抑制化、軸受の負荷軽減化を考えると、ロータ1の軽量
化が必要とされる。
【0102】本実施形態に係る高中低圧一体型蒸気ター
ビンロータ22は、このような点を考慮したもので、ロ
ータ1の中心孔18に対し、横断方向に延びる中空部2
3を形成したものである。中空部23は、タービン段落
中圧部IPSとタービン段落低圧部LPSとの境界部分
に形成した第1中空部24、タービン段落低圧部LPS
の入口側および出口側のそれぞれに形成した第2中空部
25、第3中空部26を備えている。
【0103】このように、本実施形態は、ロータ1の中
心孔2に対し、横断方向に中空部23を形成し、軽量化
を図ったので、遠心力に伴う強度保証、振動発生の抑制
化、軸受の荷重負担の軽減化に充分に寄与することがで
きる。
【0104】図8は、本発明に係る蒸気タービンロータ
の第6実施形態を説明するために用いた一部切欠き部分
断面図である。
【0105】本実施形態に係る蒸気タービンロータは、
例えばタービン段落低圧部LPSの最終タービン段落L
Sにロータ1の中心孔18に対し、横断方向に延びる中
空部23と分割合わせ面27を形成するとともに、分割
合わせ面27に狭開先部32を形成し、狭開先部32の
基底部30の幅を7mmに設定するとともに、その外表
面側に向うにしたがって開先幅の傾斜角αを、α=10
/100に設定したものである。
【0106】このように、本実施形態は、ロータ1の中
心軸に交差する横断線に対して傾斜角αを、α=10/
100に設定したので、溶接施工の際、軸方向の収縮率
を少なくさせてロータ1の溶接時の曲りを少なくさせる
ことができる。
【0107】図9は、本発明に係る蒸気タービンロータ
の第7実施形態を説明するために用いた一部切欠き部分
断面図である。
【0108】本実施形態に係る蒸気タービンロータは、
例えば、タービン段落低圧部LPSの最終タービン段落
LSにロータ1の中心孔18に対し、横断方向に延びる
中空部23と分割合わせ面27を形成し、その分割合わ
せ面27を溶接接続させる際、ロータ1に曲りが生じた
場合、溶接トーチ16の入熱量の増減を修正させる非接
触式のレーザ変位測定センサ31と、狭開先部32の幅
Wに変位が生じた場合、溶接トーチ16の入熱量の増減
を修正させるレーザ測長計33とをそれぞれ設けたもの
である。
【0109】従来、構造部材は、その分割合わせ面を溶
接接続させる際、溶接熱が高いと分割合せ面や開先等の
予め定められた設定位置が変位し、設計寸法どおりの位
置に溶接部を維持させることができない場合がある。
【0110】本実施形態は、このような点を考慮したも
ので、ロータ1の外表面が溶接熱により変位した場合、
その変位量に応じて溶接トーチ16からの入熱量の増減
を修正するレーザ変位測定センサ31と、狭開先部32
の幅Wが溶接熱により変位した場合、その変位量に応じ
て溶接トーチ16からの入熱量の増減を修正させるレー
ザ測長計33とを備えたものである。
【0111】したがって、本実施形態によれば、分割合
わせ面27を溶接接続させる際、溶接部28および狭開
先部32の幅Wのそれぞれの位置が変位したとき、溶接
トーチ16からの入熱量を修正させるレーザ変位測定セ
ンサ31およびレーザ測長計33を備えたので、設計寸
法どおりの適正位置に溶接部を維持させることができ
る。
【0112】図11は、本発明に係る蒸気タービンロー
タの第8実施形態を説明するために用いた一部切欠き部
分断面図である。
【0113】従来、蒸気タービンは、図10に示すよう
に、ロータ1の分割合わせ面27を溶接部28で接続さ
せる際、中空部23側の端面に溶接裏波による鋭い切欠
き34が形成され、この切欠き34が応力集中による損
傷発生の要因になっていた。
【0114】本実施形態は、このような点を考慮したも
ので、図11に示すように、分割合わせ面27の中空部
23側の端面に溶接裏波による鋭い切欠き34が発生し
た場合、レーザ溶接機35で化粧盛り溶接部36を形成
して滑らかに仕上げたものである。
【0115】したがって、本実施形態によれば、分割合
わせ面27の中空部23側の端面に発生する切欠き34
をレーザ溶接機35で化粧盛り溶接部36に形成するの
で、応力集中による損傷の発生を防止することができ
る。
【0116】なお、本実施形態は、分割合わせ面27の
中空部23側の端面に発生する溶接裏波による切欠き3
4をレーザ溶接機35で化粧盛り溶接部36を形成した
が、この例に限らず、例えば図12に示すように、サン
ドブラスト装置37から圧縮空気にアルミナ微粉末を溶
融し、切欠き34に吹きつけて除去および表面に圧縮応
力を残留させてもよい。
【0117】図13は、本発明に係る蒸気タービンロー
タの第10実施形態を説明するために用いた一部切欠き
部分断面図である。
【0118】従来、蒸気タービンは、ロータ1の分割合
わせ面27を溶接部28で接続させる際、その溶接部2
8が高圧、高温蒸気に晒されていると、長年の使用の結
果、腐食を受けることがあった。
【0119】本実施形態は、このような点を考慮したも
ので、図13に示すように、ロータ1に形成した中空部
23に連なる分割合わせ面27の溶接部28の外表面側
に耐食コーティング部38を形成したものである。
【0120】本実施形態は、ロータ1の分割合わせ面2
7に形成した溶接部28に耐食コーティング部38を形
成したので、溶接部28の腐食を防止してロータ1に安
定運転を行わせることができる。
【0121】
【発明の効果】以上の説明のとおり、本発明に係る蒸気
タービンロータおよびその製造方法は、高温・高圧およ
び低温・低圧の環境条件の下、適切な材料を用いるとと
もに、異種類材質のロータを溶接接続する際、軽量化し
て適切な措置を行い、かつ溶接後適切な熱処理を行った
ので、高温・高圧の環境に対して優れたクリープ破断強
度を確保でき、低温・低圧の環境に対して優れた室温引
張強さおよび靱性を同時に確保でき、SCC感受性を抑
制することができ、溶接部の残留応力を低く抑えること
ができ、タービン翼の長翼化にも充分に適用することが
できる。
【0122】したがって、本発明に係る蒸気タービンロ
ータおよびその製造方法では、使用する蒸気条件が増加
し、低圧蒸気タービンの最終タービン段落に用いるター
ビン翼が長翼化しても充分に対処することができ、大容
量・高効率の蒸気タービンプラントを実現することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蒸気タービンロータおよびその製
造方法の第1実施形態を説明するために用いた概念図。
【図2】図1に示した蒸気タービンロータの理解を容易
にさせるために用いた従来の蒸気タービンロータを示す
概念図。
【図3】本発明に係る蒸気タービンロータおよびその製
造方法の第2実施形態を説明するために用いた概念図。
【図4】本発明に係る蒸気タービンロータおよびその製
造方法の第3実施形態を説明するために用いた概念図。
【図5】図4に示した蒸気タービンロータに含まれるC
r量を示すグラフ。
【図6】本発明に係る蒸気タービンロータの第4実施形
態を説明するために用いた部分概念図。
【図7】本発明に係る蒸気タービンロータの第5実施形
態を説明するために用いた概念図。
【図8】本発明に係る蒸気タービンロータの第6実施形
態を説明するために用いた一部切欠部分断面図。
【図9】本発明に係る蒸気タービンロータの第7実施形
態を説明するために用いた一部切欠部分断面図。
【図10】従来のロータの分割合わせ前における溶接接
続部分を示す一部きり部分断面図。
【図11】本発明に係る蒸気タービンロータの第8実施
形態を説明するために用いた一部切欠部分断面図。
【図12】本発明に係る蒸気タービンロータの第9実施
形態における変形例を示す概念図。
【図13】本発明に係る蒸気タービンロータの第10実
施形態を説明するために用いた一部切欠部分断面図。
【符号の説明】
1 ロータ 1a 高圧用ロータ 1b 第1中圧用ロータ 1c 第2中圧用ロータ 1d 低圧用ロータ 2 接続位置 3a,3b,3c 接続位置 4a,4b ロータ 5 凹状錐体 6 凸状錐体 7 非接触部 8 溶接接続部 9 高低圧一体型蒸気タービン 9a 高圧用ロータ 9b 低圧用ロータ 9c 最終タービン段落用ロータ 15 溶接部 18 中心孔 22 高中低圧用一体型ロータ 23 中空部 24 第1中空部 25 第2中空部 26 第3中空部 27 分割合わせ面 28 溶接部 30 基底部 31 レーザ変位測定センサ 32 狭開先部 33 レーザ測長計 34 切欠き 35 レーザ溶接機 36 化粧盛り溶接部 37 サンドブラスト装置 38 耐食コーティング部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/22 C22C 38/22 38/44 38/44 38/46 38/46 (72)発明者 津田 陽一 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 石井 龍一 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 浅井 知 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 菊地 正孝 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 金子 丈治 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 吉岡 洋明 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 3G002 AA07 AA08 AA11 AA13 AB00 AB08 EA06 4K042 AA24 AA25 BA01 BA09 BA14 CA06 CA08 CA10 CA13 DA05 DA06 DB01 DC02 DC03

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた
    蒸気タービンロータにおいて、前記高圧用ロータおよび
    前記中圧用ロータのうち、少なくとも一方と、前記低圧
    用ロータとは化学的組成の異なる材質を用いるととも
    に、溶接手段を用いて互いを溶接接続させたことを特徴
    とする蒸気タービンロータ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の蒸気タービンロータにお
    いて、高圧用ロータは、1%CrMoV系鋼を用いたこ
    とを特徴とする蒸気タービンロータ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の蒸気タービンロータにお
    いて、低圧用ロータは、3〜4%NiCrMoV系鋼を
    用いたことを特徴とする蒸気タービンロータ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の蒸気タービンロータにお
    いて、中圧用ロータは、1%CrMoV系鋼を用いたこ
    とを特徴とする蒸気タービンロータ。
  5. 【請求項5】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた
    蒸気タービンロータにおいて、前記高圧用ロータのう
    ち、高圧用タービン初段落と前記中圧用ロータのうち、
    中圧用タービン初段落に12%Cr系鋼を用い、前記高
    圧用ロータのうち、前記高圧用タービン初段落以外の高
    圧用タービン段落に1%CrMoV系鋼を用い、前記中
    圧用ロータのうち、前記中圧用タービン初段落以外の中
    圧用タービン段落に1%CrMoV鋼を用い、前記低圧
    用ロータに3〜4%NiCrMoV系鋼を用いるととも
    に、溶接手段を用いて互いを溶接接続させたことを特徴
    とする蒸気タービンロータ。
  6. 【請求項6】 請求項2,4または5記載の蒸気タービ
    ンロータにおいて、1%CrMoV系鋼は、0.8〜
    1.3重量%Cr、0.8〜1.5重量%Mo、0.2
    〜0.3重量%V、残部Feとその他であることを特徴
    とする蒸気タービンロータ。
  7. 【請求項7】 請求項3または5記載の蒸気タービンロ
    ータにおいて、3〜4%NiCrMoV系鋼は、2.5
    〜4.5重量%Ni、1.5〜2.0重量%Cr、0.
    3〜0.8重量%Mo、0.08〜0.2重量%V、残
    部Feとその他であることを特徴とする蒸気タービンロ
    ータ。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の蒸気タービンロータにお
    いて、12%Cr系鋼を用いたロータは、端部を凸状錐
    体および凹状錐体のうち、いずれか一方に形成し、1%
    CrMoV系鋼を用いたロータは、端部を凸状錐体およ
    び凹状錐体のうち、いずれか一方に形成し、前記12%
    Cr系鋼に用いたロータを前記1%CrMoV系鋼に用
    いたロータに嵌合後、溶接手段を用いて溶接接続させた
    ことを特徴とする蒸気タービンロータ。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の蒸気タービンロータにお
    いて、凸状錐体および凹状錐体は、中心軸に対して傾斜
    させたことを特徴とする蒸気タービンロータ。
  10. 【請求項10】 請求項1,5または8記載の蒸気ター
    ビンロータにおいて、溶接手段に用いる溶接金属は、
    2.7〜3.5重量%Ni、0.2〜0.5重量%C
    r、0.4〜0.9重量%Mo、残部Feとその他であ
    ることを特徴とする蒸気タービンロータ。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の蒸気タービンロータに
    おいて、高圧用ロータおよび中圧用ロータのうち、少な
    くとも一方と低圧用ロータとを溶接手段を用いて溶接
    後、前記高圧用ロータおよび前記中圧用ロータのうち、
    少なくとも一方のタービン段落の領域と、前記低圧用ロ
    ータのうち、最終タービン段落以外のタービン段落の領
    域とを熱処理手段を用いて熱処理したことを特徴とする
    蒸気タービンロータ。
  12. 【請求項12】 請求項5記載の蒸気タービンロータに
    おいて、高圧用ロータ、12%Cr系鋼を用いたロー
    タ、中圧用ロータおよび低圧用ロータとを溶接手段を用
    いて溶接後、前記高圧用ロータ、前記12%Cr系鋼を
    用いたロータ、前記中圧用ロータおよび低圧用ロータの
    うち、最終タービン段落以外のタービン段落の領域を熱
    処理手段を用いて熱処理したことを特徴とする蒸気ター
    ビンロータ。
  13. 【請求項13】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた
    蒸気タービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に
    横断して延びる分割合わせ面に狭開先部を形成し、前記
    狭開先部を溶接する際、溶接熱による各ロータの変位お
    よび前記分割合わせ面の前記狭開先部の変位を検出し、
    溶接トーチからの入熱量を増減制御するレーザ変位測定
    センサとレーザ測長計とを備えたことを特徴とする蒸気
    タービンロータ。
  14. 【請求項14】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた
    蒸気タービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に
    横断して延びる分割合わせ面に狭開先部を形成し、前記
    狭開先部を溶接する際、サブマージアーク溶接手段を用
    いたことを特徴とする蒸気タービンロータ。
  15. 【請求項15】 請求項13または14記載の蒸気ター
    ビンロータにおいて、狭開先部は、ロータの中心軸に交
    差する横断線に対して傾斜角10/100に設定したこ
    とを特徴とする蒸気タービンロータ。
  16. 【請求項16】 請求項14記載の蒸気タービンロータ
    において、分割合わせ面は、中心孔側に中空部を形成し
    たことを特徴とする蒸気タービンロータ。
  17. 【請求項17】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた
    蒸気タービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に
    横断して延びる分割合わせ面の溶接後、溶接端部の前記
    中心孔側に化粧盛り溶接部を形成したことを特徴とする
    蒸気タービンロータ。
  18. 【請求項18】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを組み合わせた
    蒸気タービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔に
    横断して延びる分割合わせ面の溶接後、溶接端部の前記
    中心孔側にブラスト手段を用いて残留応力部を形成した
    ことを特徴とする蒸気タービンロータ。
  19. 【請求項19】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方とを、低圧用ロータとを組み合わせ
    た蒸気タービンロータにおいて、前記各ロータの中心孔
    に横断して延びる分割合わせ面の溶接後、溶接端部の外
    表面側に耐食コーティング部を形成したことを特徴とす
    る蒸気タービンロータ。
  20. 【請求項20】 高圧用ロータおよび中圧用ロータのう
    ち、少なくとも一方と、低圧用ロータとを互いに溶接
    後、前記高圧用ロータおよび前記中圧用ロータのうち、
    少なくとも一方のタービン段落の領域と前記低圧用ロー
    タのうち、最終タービン段落以外のタービン段落の領域
    とに、前記高圧用ロータおよび前記中圧用ロータのう
    ち、いずれか一方の焼戻し温度以下で、かつ前記低圧用
    ロータの焼戻し温度以上、および前記低圧用ロータのA
    c1変態温度以下のうち、いずれか一方の温度で熱処理
    することを特徴とする蒸気タービンロータ。
  21. 【請求項21】 高圧用タービン初段落と中圧用タービ
    ン初段落に用いたタービン初段落ロータの12%Cr系
    鋼と、前記高圧用タービン初段落以外のタービン段落に
    用いた高圧用ロータの1%CrMoV系鋼と、前記中圧
    用タービン初段落以外のタービン段落に用いた中圧用ロ
    ータの1%CrMo系鋼と、低圧用ロータに用いた3〜
    4%NiCrMoV系鋼とを互いに溶接後、前記タービ
    ン初段落ロータの12%Cr系鋼、前記高圧用ロータの
    1%CrMoV系鋼および前記中圧用ロータの1%Cr
    MoV系鋼におけるタービン段落の領域と、前記低圧用
    ロータの3〜4%NiCrMoV系鋼における最終ター
    ビン段落以外のタービン段落の領域とに、前記12%C
    r系鋼および前記1%CrMoV系鋼のうち、いずれか
    一方の焼戻し温度以下で、かつ前記3〜4%NiCrM
    oV系鋼の焼戻し温度以上、および前記3〜4%NiC
    rMoV系鋼のAc1変態温度以下のうち、いずれか一
    方の温度で熱処理することを特徴とする蒸気タービンロ
    ータの製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項21または22記載の蒸気ター
    ビンロータの製造方法において、熱処理温度は600〜
    630℃の範囲であることを特徴とする蒸気タービンロ
    ータの製造方法。
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