JP2001313814A - 画像処理装置及び画像処理方法並びに記憶媒体 - Google Patents

画像処理装置及び画像処理方法並びに記憶媒体

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JP2001313814A JP2000131629A JP2000131629A JP2001313814A JP 2001313814 A JP2001313814 A JP 2001313814A JP 2000131629 A JP2000131629 A JP 2000131629A JP 2000131629 A JP2000131629 A JP 2000131629A JP 2001313814 A JP2001313814 A JP 2001313814A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レジストレーション信号を埋め込む際に、レ
ジストレーション信号を検出しやすくするために、画像
信号に応じて適応的にレジストレーション信号を埋め込
む周波数を選択する。 【解決手段】 画像データに人間の目に見えにくいよう
にレジストレーション信号を埋め込む方法であって、前
記画像データの周波数特性を判定する周波数特性判定ス
テップと、前記画像データの周波数特性に応じて、第1
のレジストレーション信号と第2のレジストレーション
信号を選択するレジストレーション信号選択ステップ
と、前記画像データに対して、前記レジストレーション
信号選択ステップによって選択された第1のレジストレ
ーション信号、及び第2のレジストレーション信号のい
ずれかを加算する加算ステップを含むことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原画像データに電
子透かしを埋め込んだ画像データを生成し、及び或はそ
の画像データから電子透かし部分を抽出する画像処理装
置及び画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータとそのネットワーク
の急速な発達及び普及により、文字データ、画像デー
タ、音声データなど、多種の情報がディジタル化されて
いる。ディジタル情報は、経年変化などによる劣化がな
く、いつまでも完全な状態で保存できる一方、容易に複
製が可能であり、著作権の保護が大きな問題となってい
る。そのため著作権保護のためのセキュリティ技術は急
速に重要性を増している。
【0003】著作権を保護する技術の一つに”電子透か
し”がある。電子透かしとは、ディジタルの画像データ
や音声データ、文字データなどに人に知覚出来ない形で
著作権保有者の名前や購入者のIDなどを埋めこみ、違
法コピーによる無断の使用を追跡する技術である。
【0004】電子透かしには種々の攻撃が施される可能
性がある。例えば、JPEGなどの非可逆圧縮、拡大・
縮小或いは回転などの幾何変換、プリントアウト/スキ
ャニング、ノイズ付加などがあげられる。
【0005】ここで、特に幾何変換に対して耐性を持た
せるために、レジストレーションという処理が用いられ
ることがある。レジストレーションは、電子透かしを埋
め込む際に、付加情報とは別に、特定の信号(レジスト
レーション信号)を画像に付加し、電子透かしを抽出す
る際には、付加情報を抽出する前に、前記レジストレー
ション信号を用いて付加情報の抽出を助長する処理であ
る。
【0006】レジストレーションを用いた方式として
は、USP5636292に提案されている方式が挙げ
られる。これは、予め埋め込んである幾何パターンを用
いて、画像に施された幾何変換を自動的に算出する方式
である。この方式は幾何パターンが対称軸を持つことか
ら、幾何変換が複数の解を持ち一意に特定することが出
来ない。
【0007】この問題点を解決した方式が特開平11−
355547に提案されている。この方式は、USP5
636292と同じく幾何パターンを用いてレジストレ
ーションを行なう方式であるが、幾何パターンは対称軸
を持たない2次元波から構成されており、幾何変換が複
数解を持つことはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
これらの方式は、全ての画像に対して等しくレジストレ
ーション信号が埋め込まれていた。一方で、画像信号は
種々の周波数特性を有することがあり、種々の周波数特
性を有するあらゆる画像信号に対して好ましいレジスト
レーション手段を提供してはいなかった。
【0009】従って、本発明が解決しようとする課題
は、電子透かしを埋め込んだ画像が幾何変換を施された
場合にも、前記幾何変換を自動的に特定し、これを補正
することによって、付加情報の抽出を可能とするレジス
トレーション信号を埋め込む際に、画像の周波数特性に
応じて前記レジストレーション信号を適応的に選択して
埋め込む方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明にかかる一発明の実施の形態例は例えば以下の構
成を備える。
【0011】即ち、画像データに人間の目に見えにくい
ようにレジストレーション信号を埋め込む画像処理装置
又は方法であって、前記画像データの周波数特性を判定
する周波数特性判定手段/ステップと、前記画像データ
の周波数特性に応じて複数のレジストレーション信号の
中から一つのレジストレーション信号を選択するレジス
トレーション信号選択手段/ステップと、前記画像デー
タに対して、前記レジストレーション信号選択ステップ
によって選択されたレジストレーション信号を加算する
加算手段/ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】そして例えば、更に、前記画像データを周
波数成分に変換する周波数領域変換手段/ステップと、
前記周波数成分を空間成分に変換する逆周波数変換手段
/ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】また例えば、前記周波数領域変換はフーリ
エ変換であり、前記周波数成分は振幅スペクトルである
ことを特徴とする。あるいは、前記周波数特性判定手段
/ステップは、前記画像データの周波数成分を用いて判
定することを特徴とする。
【0014】更に例えば、更に、前記画像データを少な
くとも一つ以上のブロックに分割するブロック分割手段
/ステップと、前記ブロック分割ステップによって分割
されたブロックを結合し、画像を再構成するブロック合
成手段/ステップとを含むことを特徴とする。また例え
ば、前記複数のレジストレーション信号は、互いに異な
る周波数成分にインパルスを有することを特徴とする。
【0015】更に例えば、前記レジストレーション信号
選択手段/ステップは、高周波成分が少ない画像データ
に対しては前記複数のレジストレーション信号から低周
波成分にインパルスを有するレジストレーション信号を
選択し、高周波成分が多い画像データに対しては前記複
数のレジストレーション信号から高周波成分にインパル
スを有するレジストレーション信号を選択することを特
徴とする。
【0016】また、予め人間の目に見えにくいようにレ
ジストレーション信号が埋め込まれており幾何変換が施
されている可能性がある画像データを入力し、前記入力
した画像データからレジストレーション信号を抽出し、
レジストレーション処理を行なう画像処理装置あるいは
方法であって、前記画像データからレジストレーション
信号を抽出するレジストレーション信号抽出手段/ステ
ップと、前記画像データの周波数特性を判定する周波数
特性判定手段/ステップと、前記抽出されたレジストレ
ーション信号と前記判定された周波数特性判定ステップ
の判定結果を用いて、前記画像データに施された幾何変
換を特定する幾何変換特定手段/ステップと、前記特定
された幾何変換の逆変換を行なう幾何変換手段/ステッ
プとを有することを特徴とする。
【0017】そして例えば、更に、前記画像データを周
波数成分に変換する周波数領域変換手段/ステップと、
前記周波数成分を空間成分に変換する逆周波数変換手段
/ステップとを含むことを特徴とする。また例えば、前
記周波数特性判定手段/ステップは、前記画像データの
周波数成分を用いて判定することを特徴とする。
【0018】更に例えば、前記周波数領域変換はフーリ
エ変換であり、前記周波数成分は振幅スペクトルである
ことを特徴とする。また例えば、更に、前記画像データ
を少なくとも一つ以上のブロックに分割するブロック分
割手段/ステップと、前記ブロック分割手段/ステップ
によって分割されたブロックを結合し、画像を再構成す
るブロック合成手段/ステップとを含むことを特徴とす
る。更に例えば、前記幾何変換はスケーリングであるこ
とを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明にか
かる一発明の実施の形態例を詳細に説明する。 [第1の発明の実施の形態例]
【0020】[電子透かし埋め込み装置]まず、本実施の
形態例における電子透かし埋め込み装置の概要について
図1を参照して説明する。図1は本発明にかかる一発明
の実施の形態例における電子透かし埋め込み装置の全体
構成を示すブロック図である。
【0021】図1に示す様に、本実施の形態例の電子透
かし埋め込み装置は、色成分抽出手段0101、レジス
トレーション信号埋め込み手段0102、パターン配列
決定手段0110、埋め込み位置決定手段0103、付
加情報埋め込み手段0104、色成分合成手段010
5、JPEG圧縮符号化手段0106、メモリ010
7、JPEG伸長復号化手段0108、プリンタ010
9から構成される。
【0022】電子透かし埋め込み装置には、画像データ
Iが入力される。入力される画像データIは、1画素当た
り所定の複数ビットが割り当てられた多値画像データで
ある。なお、本実施の形態例では、入力される画像デー
タIがグレイスケール画像データであっても、カラー画
像データであっても対応可能である。
【0023】グレイスケール画像データは、1画素当た
り1種類の要素から構成されているものであり、カラー
画像データは、1画素当たり3種類の要素から構成され
ているものとする。この3種類の要素とは本実施の形態
例では赤色成分(R)、緑色成分(G)、青色成分
(B)である。しかしながら、別の色成分の組み合わせ
にも本発明は適用可能である。
【0024】電子透かし埋め込み装置に入力された画像
データIは、まず色成分抽出手段0101に入力され
る。入力された画像データIがカラー画像データである
場合には、色成分抽出手段0101においてこのカラー
画像データから青色成分だけを分離し、後段のレジスト
レーション信号埋め込み手段0102に出力する。
【0025】一方その他の色成分は後段の色成分合成手
段0105に出力する。即ちここでは、電子透かし情報
が埋め込まれるべき色成分のみが分離されて電子透かし
の処理系に送出される。
【0026】本実施の形態例においては、青色成分に対
して電子透かし情報の埋め込みが行われる。これは赤色
成分、青色成分、緑色成分の中で、人間の視覚にとって
は青色成分が最も鈍感であることによる。よって青色成
分に電子透かし情報を埋め込むことは、他の色成分に対
して電子透かし情報を埋め込むことに比べて、電子透か
し情報による画質劣化が人間の目に知覚しにくくなる効
果がある。
【0027】また、入力された画像データIがグレイス
ケール画像データである場合には、色成分抽出手段01
01はグレイスケール画像データを一旦疑似的なカラー
画像データに変換する。
【0028】ここでいう疑似的なカラー画像データと
は、1画素当たり3種類の要素から構成されるカラー画
像データであるが、本実施の形態例では、3種類の要素
(R,G,B)の値が全て等しい画像データになる。
【0029】グレイスケール画像データは上記疑似的な
カラー画像データに変換され、このカラー画像データの
中の青色成分(B)が抽出され、レジストレーション信
号埋め込み手段0102へ出力される。
【0030】一方その他の色成分は後段の色成分合成手
段0105に出力する。この様にして、上述したカラー
画像データの場合と同様に、全ての色成分ではなく青色
成分のみに対して電子透かし情報が埋め込まれることと
なる。
【0031】なお、以後の説明では、画像データIがカ
ラー画像データである場合とグレイスケール画像データ
である場合とは、できるだけ区別しない様に説明する。
即ち、カラー画像データと擬似的なカラー画像データと
は区別しない様に説明する。
【0032】次に、レジストレーション信号埋め込み手
段0102について説明する。ここで、レジストレーシ
ョン信号とは、電子透かし情報の抽出の前処理として幾
何的な補正を実行する為に必要とされる信号である。
【0033】レジストレーション信号埋め込み手段01
02には、色成分抽出手段0101で得られた青色成分
の画像データが入力される。レジストレーション信号埋
め込み手段0102では、画像データに対して一種の電
子透かしの技術を用いてレジストレーション信号が埋め
込まれる。即ち、レジストレーション信号を埋め込まれ
た画像データにおいて、人間の視覚はレジストレーショ
ン信号を知覚することができない。このレジストレーシ
ョン信号の埋め込み方法等、詳細は後述する。レジスト
レーション信号埋め込み手段0102はレジストレーシ
ョン信号が埋め込まれた画像データを出力する。
【0034】パターン配列決定手段0110では、電子
透かし情報を埋め込んだ画像データをプリンタ0109
で印刷し、濃度階調が面積階調に変化する場合であって
も、電子透かし情報(付加情報)の抽出(検出)が十分
行なえるように、入力される画像データが表す画像の解
像度とプリンタからの出力解像度に基づいて、電子透か
し情報(付加情報)を埋め込むパターン配列を決定す
る。パターン配列の決定方法等については後述する。
【0035】なお、画像の解像度とは、所定のサイズで
この画像を印刷しようとした場合の、この画像(ビット
マップ画像)の1インチ当たりの画素数として定義す
る。よって、或る画像を所定のサイズで印刷しようとし
た場合、画素数の多い画像ほど画像の解像度が高いこと
になる。画像の解像度を表す単位として、ピクセル/イ
ンチ(pixel/inch)を使用する。
【0036】またプリンタの出力解像度とは、プリンタ
が印刷媒体上の1インチ当たりに印刷するドットの数を
示す。1インチ当たりに印刷するドット数が多いプリン
タほど、出力解像度が高いプリンタである。
【0037】パターン配列決定手段0110は、入力さ
れた画像データと共に、複数の中から選択したパターン
配列を埋め込み位置決定手段0103に出力する。埋め
込み位置決定手段0103は、レジストレーション信号
が埋め込まれた画像データにおける付加情報Infの埋め
込み位置を決定する。埋め込み位置決定手段0103
は、また入力された画像データ、パターン配列と共に、
画像中に付加情報Infを埋め込む位置を表す制御データ
を付加情報埋め込み手段0104に出力する。
【0038】付加情報埋め込み手段0104は、上記画
像データとパターン配列と制御データに加えて、付加情
報Inf(複数のビット情報)を入力する。この付加情報I
nfは、青色成分の画像データにおける上記決定された埋
め込み位置に、電子透かし技術を用いて埋め込まれる。
この電子透かしの技術を用いた付加情報Infの埋め込み
についても後述する。付加情報埋め込み手段0104か
らは付加情報Infが埋め込まれた画像データが出力さ
れ、色成分合成手段0105に入力される。
【0039】色成分合成手段0105は、前段(付加情
報埋め込み手段0104)までに処理された青色成分
と、色成分抽出手段0101から直接入力される赤色成
分及び緑色成分とを用いて、通常のカラー画像データの
形態に合成する。
【0040】色成分合成手段0105で得られたカラー
画像データは、続いてJPEG圧縮符号化手段0106
に出力される。JPEG圧縮符号化手段0106は、入
力された赤色成分、青色成分、緑色成分で構成されるカ
ラー画像データを輝度、色差成分で構成されるカラー画
像データに変換し、JPEG圧縮符号化を行なう。
【0041】JPEG圧縮符号化手段0106で圧縮さ
れたJPEG圧縮データは,一旦メモリ0107に格納
される。そして外部機器への送信、或いは印刷される際
のタイミングに合わせてこのメモリから読み出され、後
段のJPEG伸長復号化手段0108に出力される。J
PEG伸長復号化手段0108は、上記JPEG圧縮デ
ータを伸長してカラー画像データとして出力される。
【0042】JPEG伸長復号化手段0108から出力
されたカラー画像データwIは、プリンタ0109に入力
される。プリンタ0109は、入力されたカラー画像デ
ータをCMYKの色成分に変換し、更にハーフトーン処
理等を施した後、紙等の印刷媒体上に印刷物pwIとして
出力する。
【0043】なお、この印刷物pwIは、本装置ユーザー
以外の手に渡り、回転等の幾何学的編集、或いはコピー
機による複写等の攻撃が行われる可能性が有る。上記印
刷物に変形が加えられた可能性を有する印刷物をpwI’
とする。この印刷物pwI’は、後述する図2に示すスキ
ャナ2001を用いて、再度ディジタル化されることに
なる。
【0044】以上に説明した各手段を備える本実施の形
態例の電子透かし埋め込み装置の全体制御を図31に示
すフローチャートを参照して以下説明する。図31は本
実施の形態例の電子透かし埋め込み装置の全体制御を説
明するためのフローチャートである。
【0045】まずステップ3102において、画像デー
タIが色成分抽出手段0101に入力される。これは写
真や印刷物をスキャナなどで読み取り、画像データを生
成する工程も含む。更に色成分抽出手段0101は入力
された画像データIから青色成分を分離し、後段のレジ
ストレーション信号入力に使用する。
【0046】次に、ステップ3103においてレジスト
レーション信号を発生し、このレジストレーション信号
がステップ3104で埋め込まれる。このステップ31
04におけるレジストレーション信号埋め込み処理は、
図1に示すレジストレーション信号埋め込み手段010
2の内部で実行される処理に相当し、詳細な説明は後述
する。
【0047】ステップ3111ではパターン配列決定手
段0110にてパターン配列を決定する。プリンタ01
09の出力解像度及び画像の解像度に応じて、付加情報
Infの埋め込みに使用するべきパターン配列を決定す
る。
【0048】更に、ステップ3105においてマスクが
作成され、ステップ3105で作成されたマスクは、ス
テップ3106でマスク参照手段に入力され、埋め込み
ビット情報と埋め込み位置の関係を規定する。ステップ
3107ではステップ3111で決定したパターン配列
を入力し、このパターン配列も参照しながらマスクを拡
大マスクに拡張する。このマスク・パターン配列対応手
段についても詳細な説明は後述する。
【0049】ステップ3103,3104においてレジ
ストレーション信号が埋め込まれた画像データに対し
て、ステップ3108において付加情報Infが埋め込ま
れる。この付加情報埋め込み処理はマクロブロック単位
で付加情報Infを画像全体に繰り返し埋め込む。この処
理は後述する図10で詳細に述べる。ここで、マクロブ
ロックとは、最小埋め込み単位のことを示し、このマク
ロブロックに相当する画像領域に1つの完結した付加情
報Infの全情報が埋め込まれる。
【0050】ステップ3109では、付加情報Infが埋
め込まれた画像データをJPEG圧縮符号化してメモリ
0107に格納し、更にJPEG伸長復号化を行った後
にプリンタ0109から印刷物pwIとして出力する。
【0051】[電子透かし抽出装置]次に、本実施の形
態例における電子透かし抽出装置の概要について図2を
参照して説明する。図2は本実施の形態例における電子
透かし抽出装置の全体構成を示すブロック図である。
【0052】図2に示す様に、本実施の形態例の電子透
かし抽出装置は、スキャナ0201、色成分抽出手段0
202、レジストレーション手段0203、及び付加情
報抽出手段0204から構成される。まず、電子透かし
抽出装置の原稿台に印刷物pwIをセットし、スキャナ0
201がこの印刷物pwI’をスキャンニングすることに
よりディジタル化された画像データwI’を生成する。上
述したように、印刷物pwI’は図1における印刷物pwIと
は異なっている可能性を有する。
【0053】画像データwI'は画像データwIに対して種
々の幾何的な歪みを生じる攻撃を受けている。攻撃に
は、スケーリング、回転、印刷&スキャニング等を含む
が、本実施の形態の場合には少なくとも1度の印刷&ス
キャンニングを伴う攻撃が成されていることになる。従
って、画像データwI'とwIとは内容が同一であることが
理想的ではあるが、実際にはこの2つの画像データは内
容が著しく異なっていることが多い。
【0054】そこで色成分抽出手段0202は、画像デ
ータwI'を入力し、青色成分を抽出した後、この青色成
分の画像データを後段のレジストレーション手段020
3へ出力する。画像データwI'のうち、青色成分以外の
赤色成分、及び緑色成分は必要無いのでここで廃棄され
る。
【0055】レジストレーション手段0203には、色
成分抽出手段0202で得られた青色成分の画像データ
wI1'が入力される。そしてこの青色成分の画像データwI
1'を用いて、幾何学的な歪みが補正された画像データwI
2'を生成する。
【0056】上述した様に、画像データwI'は画像デー
タwIとは異なるスケールである可能性を有するのに対
し、画像データwI2'は画像データwIと必ず同一のスケー
ルになる。この理由、及び画像データwI2'を画像データ
wIと同じスケールにする処理の詳細は後述する。
【0057】付加情報抽出手段0204は、付加情報埋
め込み手段0103での埋め込み方式に合わせた所定の
処理を施こすことによって、画像データwI2'に埋め込ま
れている付加情報Infを抽出することが可能であり、抽
出された付加情報Infを出力する。以上説明した各構成
を備える本実施の形態例の電子透かし抽出装置の全体制
御を図32に示すフローチャートを参照して以下説明す
る。図32は本実施の形態例の電子透かし抽出装置の全
体制御を説明するためのフローチャートである。
【0058】まずステップ3202において、画像デー
タwI'を入力する。この画像データwI'は、印刷物pwIで
あると予想される画像データをスキャナでスキャンする
ことにより得られる。一般的には、画像データwI'は画
像データwIとは著しく異なっている。また、この画像デ
ータwI'の青色成分のみが抽出され、次のステップに使
用される。
【0059】次のステップ3203では、入力された青
色成分の画像データwI1'のスケールが補正される。この
スケール合わせ処理は、図2のレジストレーション手段
0203の内部で実行される処理であり、詳細な説明は
後述する。
【0060】次のステップ3211では、ステップ32
03から出力されるスケーリング率を用いて、付加情報
Infの埋め込みに用いたパターン配列を判定する。続い
てステップ3204において入力された青色成分の画像
データwI1'のオフセットが補正される。
【0061】次に第1のパターン配列を用いた抽出処理
がステップ3206において、第2のパターン配列を用
いた抽出処理がステップ3205において、スケールと
オフセットが既に補正された画像データwI2'から、夫々
埋め込まれている付加情報Infが抽出される。
【0062】統計検定ステップ3207では、上記抽出
された付加情報Infの確からしさが算出、判定される。
この統計検定ステップ3207で正しい付加情報Infで
はないと判定されればステップ3202に戻り、付加情
報Infが埋め込まれていると考えられる画像を入力再度
し直す。
【0063】一方、統計検定ステップ3207で充分正
確な付加情報Infであると判定された場合にはステップ
3208の比較処理に進み、付加情報Infの抽出を行な
う。また、ステップ3210において同時に上記確から
しさを示す情報を後述する信頼性指標Dとして表示す
る。
【0064】以上の、パターン配列判定処理、オフセッ
ト合わせ処理、第1のパターン配列を用いた抽出処理、
及び第2のパターン配列を用いた抽出処理、及び統計検
定処理、及び比較処理は、図2の付加情報抽出手段02
03の内部で実行される処理であり、詳細な説明は後述
する。
【0065】[各部の詳細説明]次に、以上の概略を説
明した本実施の形態例に特有の各部の詳細な説明をす
る。まず、電子透かし抽出側におけるレジストレーショ
ン手段0203、ステップ3203が実行するレジスト
レーションという処理について説明する。
【0066】レジストレーション処理とは、電子透かし
情報の抽出の際に、電子透かし抽出装置に入力された画
像データwI'から付加情報Infが抽出できる様にする前処
理である。一般に、「レジストレーション処理」という
用語は、スケール合わせ処理だけではなく、位置合わせ
処理なども含む意味を持つ。
【0067】しかし、本実施の形態例では、位置合わせ
処理は、付加情報Infの一部として埋め込まれた位置情
報を利用するため、付加情報抽出手段0204に含めて
説明を行なう。
【0068】以下では、まず印刷系の処理が施された画
像データがどの様な変化を受けるかを考える。そして、
その様な変化に対するレジストレーション処理を考察
し、印刷系に対するレジストレーション処理を考える。
【0069】画像データwIがYMCKインクジェットプ
リンタによって印刷され、この印刷物をスキャナでスキ
ャンニングする本実施の形態例について考察する。
【0070】この時、プリンタによる出力解像度と、ス
キャナによる入力解像度が異なる場合には、元のカラー
画像データwIとスキャンニングで得られた画像データw
I'のスケールは異なってしまう。よって、得られた画像
データwI'からはそのまま正確に電子透かし情報を抽出
できる可能性は少ない。従って、これらのスケールの違
いを補正できる手段を備えておくことが必要である。
【0071】本実施の形態例では、入力解像度と出力解
像度の両方が既知である為、これらの比からスケールの
比を算出できる。例えば、出力解像度が600dpiであ
り入力解像度が300dpiである場合には、印刷前の画
像とスキャンニング後の画像のスケールの比は2倍であ
る。よって、算出されたスケールの比にしたがって、適
当なスケーリングアルゴリズムを用いて画像データwI'
に対してスケーリングを施す。これにより画像データwI
と画像データwI'が表す画像サイズを同じスケールにで
きる。
【0072】しかし、全ての場合に出力と入力の解像度
が既知であるとは限らない。双方の解像度が既知でない
場合には、上述の方法は使用できない。この場合には、
スケールの違いを補正する手段に加えて、更にスケール
の比を知る手段が必要である。
【0073】また、画像データwIに印刷系の処理が施さ
れた画像は、スキャナのスキャンニングにより入力され
た後には図3に示す様な画像となる。図3においては0
301全体が画像データwI'が表す画像である。この画
像データ0301は、画像データwIにより表される本来
の画像0302と白色の余白部分0303から構成され
る。この様な余白は、ユーザーがマウスなどによって切
り取った場合には不正確になってしまう。このスキャニ
ングによる位置ズレに対する位置合わせ処理は、付加情
報抽出処理0204におけるオフセット合わせ処理にて
行なう。
【0074】以上挙げた点が、印刷系を介して得られた
画像データwI'を表す画像には、必ず生じていると考え
られ、画像データwIに印刷系の処理が施される場合であ
れば、これらを解決する必要がある。
【0075】以上、電子透かしを抽出する前に印刷系の
処理を少なくとも1度介してから画像データを得る場合
について説明したが、この様な状況は人為的な編集によ
っても起こり得る。以下、入出力解像度の比が不明であ
る場合を想定し、上記スケールの違いが生ずる問題点を
解決する為に備えられた、本実施の形態例におけるレジ
ストレーション信号埋め込み手段及びレジストレーショ
ン手段について説明する。
【0076】[レジストレーション信号埋め込み処理]
まず、レジストレーション信号埋め込み手段0102
(ステップ3104)について詳細を説明する。
【0077】レジストレーション信号埋め込み手段01
02は、付加情報埋め込み手段0104よりも前に位置
するものである。この手段0102は、図2のレジスト
レーション手段における画像データwI'のレジストレー
ションに参照されるレジストレーション信号を、元の画
像データに予め埋め込むものである。このレジストレー
ション信号は、電子透かし情報として人間の目に見えに
くく画像データ(本実施の形態例ではカラー画像データ
の青色成分)に埋め込まれる。
【0078】図4にレジストレーション信号埋め込み手
段0102の内部構成を示す。レジストレーション信号
埋め込み手段0102は、図4のブロック分割手段04
01、フーリエ変換手段0402、加算手段0403、
逆フーリエ変換手段0404、ブロック合成手段040
5から構成される。以下、各手段の詳細について解説す
る。
【0079】ブロック分割手段0401は、入力された
画像データを互いに重ならない複数のブロックに分割す
る。このブロックのサイズは本実施の形態例においては
2のべき乗に定める。実際はこれ以外のサイズでも適応
可能であるが、ブロックのサイズが2のべき乗である場
合は、ブロック分割手段0401の後に結合されるフー
リエ変換手段0402において高速の処理を行なうこと
が可能である。
【0080】ブロック分割手段0401により分割され
たブロックは、二つの集合I1 とI2に分けられ、このう
ちI1は後段のフーリエ変換手段0402に入力され、I2
は後段のブロック合成手段0405に入力される。
【0081】本実施の形態例では、I1としては、ブロッ
ク分割手段0401により得られた各ブロックのうち、
画像データIの中で最も中心付近に位置する一つのブロ
ックが選択され、残りのブロックは全てI2として選択さ
れる。
【0082】これは、本実施の形態が少なくとも一つの
ブロックを用いることで実現可能であり、ブロックの数
が少ない方が処理時間を短縮できることによる。しかし
ながら本実施の形態例は以上の例に限定されるものでは
なく、I1として二つ以上のブロックを選択する場合も範
疇に含まれることは勿論である。
【0083】また、どの様なサイズでブロックに分割さ
れ、どのブロックがレジストレーション信号の埋め込み
対象に選択されるかという情報は、電子透かし埋め込み
装置と、電子透かし抽出装置で共有する必要がある。
【0084】ブロック分割手段0401の分割で得られ
た画像データの一部I1は、フーリエ変換手段0402に
入力される。フーリエ変換手段0402は、入力された
画像データI1に対してフーリエ変換を施す。入力された
画像データI1の元のデータ形態を空間領域と呼ぶのに対
して、フーリエ変換された後のデータ形態を周波数領域
と呼ぶ。フーリエ変換は、入力された全てのブロックに
対して施される。
【0085】なお本実施の形態例では、入力されるブロ
ックのサイズが2のべき乗であるので、処理の高速化の
為に高速フーリエ変換を用いる。高速フーリエ変換と
は、フーリエ変換がn×n回の演算量を必要とするのに
対して、(n/2)log2(n)の演算量で実行可能な変換アル
ゴリズムである。ただしここでnは正の整数である。高
速フーリエ変換とフーリエ変換は、演算結果を得る為の
速度が違うだけであり、両者からは等しい結果が得られ
る。よって本実施の形態例では、高速フーリエ変換とフ
ーリエ変換を区別して説明しない。
【0086】なお、フーリエ変換により得られた周波数
領域の画像データは振幅スペクトルと位相スペクトルに
よって表現される。このうち振幅スペクトルだけが加算
手段0403に入力される。一方で、位相スペクトルは
逆フーリエ変換装置0404に入力される。
【0087】次に、加算手段0403について説明す
る。加算手段0403には、上記振幅スペクトルと共
に、レジストレーション信号と呼ばれる信号rが別に入
力される。レジストレーション信号の例としては、図5
に示す様なインパルス信号が挙げられる。
【0088】図5では、フーリエ変換されて得られた2
次元空間周波数成分のうちの振幅スペクトルが示されて
いる。中心が低周波成分、周囲が高周波数成分である。
0501は本来の画像成分が持っている信号成分の振幅
スペクトルであり、写真等の自然画像に相当する信号で
は低域に多くの大きな信号が集中する。一方で高域には
ほとんど信号が存在しない。
【0089】なお、本実施の形態例では自然画像に一連
の処理を施すことを想定して説明するが、本発明はこれ
に限らず、文書画像、CG画像等も同様に処理しても良
い。ただし、本実施の形態は中間濃度が比較的多い自然
画像を処理する場合に特に有効である。
【0090】図5は、自然画像の本来持つ信号0501
に対して周波数領域の信号の水平垂直ナイキスト周波数
成分にインパルス信号0502、0503、0504、
0505を加えた本実施の形態の一例である。この例の
様に、レジストレーション信号はインパルス性の信号で
あることが望ましい。これは後述する電子透かし抽出装
置において、レジストレーション信号だけを抽出しやす
いからである。
【0091】図5に示す例では入力信号のナイキスト周
波数成分に対してインパルス信号を加えているが、本発
明はこれに限定されることはない。即ち、電子透かし情
報が埋め込まれた画像が攻撃を受けた場合にもレジスト
レーション信号が除去されないものであれば良い。上述
した様に、JPEG圧縮などの非可逆圧縮方式はローパ
スフィルタ的な効果がある。よって、ここでの情報圧縮
の対象となる高周波成分へインパルス信号を埋めこんで
も、圧縮・伸長処理により除去されてしまう可能性があ
る。
【0092】一方で、低周波成分へのインパルスの埋め
込みは、高周波成分への埋め込みと比べて、人間の視覚
特性からノイズとして知覚されやすいという欠点があ
る。よって、本実施の形態例では人間の視覚に認識しに
くい第1の周波数以上であり、かつ非可逆圧縮・伸長処
理により容易に除去されない第2の周波数以下である中
間レベルの周波数へインパルス信号を埋め込むものとす
る。
【0093】また、このレジストレーション信号は、加
算手段0403に入力された各ブロック(本実施の形態
例では1ブロック)に対して加えられる。加算手段04
03は、周波数領域の画像データの振幅スペクトルにレ
ジストレーション信号が加えられた信号を逆フーリエ変
換手段0404に出力する。
【0094】逆フーリエ変換手段0404は、入力され
た周波数領域の画像データに対して逆フーリエ変換を施
す。この逆フーリエ変換は、入力された全てのブロック
に対して施される。上述のフーリエ変換手段0402の
場合と同様に、入力されたブロックのサイズが2のべき
乗であるので処理の高速化の為に高速フーリエ変換を用
いる。逆フーリエ変換手段0404へ入力された周波数
領域の信号は、逆フーリエ変換されることにより空間領
域の信号に変換され出力される。
【0095】逆フーリエ変換手段0404から出力され
た空間領域の画像データは、ブロック結合手段0405
に入力される。ブロック結合手段0405は、ブロック
分割手段0405で行われた分割と逆の処理を行なう。
ブロック結合手段0405の処理の結果、画像データ
(青色成分)が再構成されて出力される。
【0096】以上、図1に示したレジストレーション信
号埋め込み手段0102の詳細を説明した。図4に示す
例では、レジストレーション信号をフーリ変換領域にお
いて埋め込む方式を説明した。しかし本実施の形態例は
以上の例に限定されるものではなく、一方で、レジスト
レーション信号を空間領域において埋め込む方式も考え
られる。このレジストレーション信号を空間領域におい
て埋め込む方式を図29を用いて説明する。
【0097】図29に示すように、レジストレーション
信号を空間領域において埋め込む方式を実現するため
に、ブロック分割手段2901、加算手段2902、ブ
ロック合成手段2903、逆フーリエ変換手段2904
から構成される。
【0098】ブロック分割手段2901及びブロック合
成手段2903は、図4におけるブロック分割手段04
01及びブロック合成手段0405と同様の動作をす
る。レジストレーション信号埋め込み手段0102に入
力される画像データはまずブロック分割手段2901に
入力され、分割される。ここで得られたブロックは加算
手段2902に入力される。一方で、レジストレーショ
ン信号rは逆フーリエ変換手段2904に入力され、逆
フーリエ変換処理により信号r'に変換される。
【0099】ここで、レジストレーション信号rは、図
5に示したものと同様に周波数領域上の信号である。加
算手段2902には、ブロック分割手段2901からの
ブロックと逆フーリエ変換手段2904からの信号r'が
入力され、夫々加算される。加算手段2902から出力
された信号はブロック合成手段2903に入力され、画
像データ(青色成分)が再構成されて出力される。
【0100】以上に説明した図29に示す構成は、図4
の構成と同様の処理を空間領域で行なうものである。図
19の構成は、図4の構成に比べて、フーリエ変換手段
を必要としないので高速な処理を行なうことが可能であ
る。
【0101】更に、図29の中で、信号r'は入力画像デ
ータIに対して独立な信号である。よって信号r'の算
出、即ち逆フーリエ変換手段2904の処理は入力画像
データIが入力される毎に実行される必要はなく、予め
r'を生成しておくことが可能である。この場合には、図
29の構成から逆フーリエ変換手段2904を除去する
こともでき、更に高速にレジストレーション信号を埋め
込むことができる。このレジストレーション信号を参照
するレジストレーション処理については後述する。
【0102】次に、図4、及び図29に示す構成と比較
して、更にレジストレーション信号の検出をしやすくし
た方法について、図50を用いて説明する。
【0103】図50に示す手段構成は、ブロック分割手
段5001、フーリエ変換手段5002、周波数特性判
定手段5003、切り替え手段5004、加算手段50
05、逆フーリエ変換手段5006、ブロック合成手段
5007から構成される。以下、各手段の詳細について
解説する。
【0104】ブロック分割手段5001、及びブロック
合成手段5007は、図4におけるブロック分割手段0
401及びブロック合成手段0405と同様の動作をす
る。レジストレーション信号埋め込み手段0102に入
力される画像データはまずブロック分割手段5001に
入力され、分割される。
【0105】ブロック分割手段5001で分割されたブ
ロックのうち、少なくとも一つ以上のブロックの集合I
1がフーリエ変換手段5002に入力され、I1以外のブ
ロックの集合I2は何も処理されず、ブロック合成手段
5007に入力される。フーリエ変換手段5002に入
力されたブロックの集合I1はフーリエ変換が施され、
そのうち振幅スペクトルは、周波数特性判定手段500
3及び加算手段5005に入力される。
【0106】一方で、位相スペクトルは、逆フーリエ変
換手段5006に入力される。周波数特性判定手段50
03では、ブロックの集合I1のブロック毎に周波数特
性が判定され、その結果が切り替え手段5004に入力
される。周波数特性判定手段5003の詳細については
後述する。
【0107】切り替え手段5004では、前段の周波数
特性判定手段5003からの判定結果に応じて、適応的
に第1のレジストレーション信号r1及び第2のレジス
トレーション信号r2のうちいずれかが選択され、加算
手段5005に入力される。第1のレジストレーション
信号r1、及び第2のレジストレーション信号r2につい
ての詳細な説明は後述する。
【0108】加算手段5005には、ブロックの集合I
1の振幅スペクトルと、第1のレジストレーション信号
1及び第2のレジストレーション信号r2のいずれかが
入力され、夫々加算される。加算された信号は、逆フー
リエ変換手段5006に入力される。
【0109】逆フーリエ変換手段5006には、レジス
トレーション信号が加算された振幅スペクトルに加えて
位相スペクトルが入力され、両方のスペクトルを用いて
逆フーリエ変換が施され、その結果がブロック合成手段
5007に入力される。ブロック合成手段では、更にブ
ロックの集合I2が入力され、画像データ(青色成分)
が再構成されて出力される。
【0110】次に、周波数特性判定手段5003につい
て詳細に説明する。周波数特性判定手段5003では入
力された振幅スペクトルの周波数特性を判定し、その結
果を切り替え手段5004に出力する。ここで、具体的
な例を図51に示して説明する。
【0111】図51において、5101は比較的低周波
成分に多くの信号を有する画像信号の振幅スペクトルの
例である。5103に振幅スペクトルを示す。一般的に
自然画像などは5101に示すような周波数特性を有す
ることが多い。
【0112】一方で、5102は5101に比べて比較
的高周波成分まで振幅スペクトルを有する画像信号の振
幅スペクトルの例である。5104に振幅スペクトルを
示す。一般的にCGや有価証券などに用いられる線画な
どは5102に示すような周波数特性を有することが多
い。
【0113】周波数特性判定手段5004では、510
1のような高周波成分が比較的少ない第1の画像信号
と、5102のような高周波成分が比較的多い第2の画
像信号を分類し、分類した結果を出力する。
【0114】前記第1の画像信号と前記第2の画像信号
を分類する方法としては、種々の方法が挙げられるが、
その例として振幅スペクトルの低周波成分からの累積ヒ
ストグラムを用いる方法がある。
【0115】例えば、5101のような第1の画像信号
の振幅スペクトルにおいて、最低周波成分から最高周波
成分までの累積ヒストグラムは5105に示すようにな
る。同様に、5102のような第2の画像信号の振幅ス
ペクトルにおいて、累積ヒストグラムは5106に示す
ようになる。ここで、累積ヒストグラムにおいて所定の
値を有する第1の周波数を夫々算出する。
【0116】図51には前記所定の値を60%とした例
を示す。この場合、5105においては前記第1の周波
数はf1、5106においては前記第1の周波数はf2
なる。更に、前記算出された第1の周波数と、予め決め
られた所定の第2の周波数f thを比較する。
【0117】第1の周波数が第2の周波数よりも小さい
ときは、入力された画像信号は「比較的高周波成分が少
ない画像信号」であると判定する。一方で第1の周波数
が第2の周波数よりも大きいときは、入力された画像信
号は「比較的高周波成分が多い画像信号」であると判定
する。
【0118】図51に示す例では、5101は「比較的
高周波成分が少ない画像信号」であると判定され、51
02は「比較的高周波成分が多い画像信号」であると判
定される。
【0119】次に、切り替え手段5004について詳細
に説明する。切り替え手段5004では、前段の周波数
特性判定手段5003から入力された画像信号の周波数
特性に応じて、適応的に第1のレジストレーション信号
1及び第2のレジストレーション信号r2のいずれかが
選択されて出力される。
【0120】本実施の形態例においては、周波数特性判
定手段5003から「比較的高周波成分が少ない画像信
号」と入力された場合には第1のレジストレーション信
号r 1が選択され、一方で周波数特性判定手段5003
から「比較的高周波成分が多い画像信号」と入力された
場合には第2のレジストレーション信号r2が選択され
る。
【0121】ここで、第1のレジストレーション信号r
1及び第2のレジストレーション信号r2について詳細な
説明をする。レジストレーション信号は、一般的に低周
波成分にスペクトルを有したほうが望ましい。これは、
レジストレーション信号を埋め込んだ画像データが種々
の攻撃が施された場合でも電子透かしを抽出可能とする
ためである。
【0122】前記攻撃には、JPEGなどの非可逆圧縮
やプリントアウト/スキャニングなどが挙げられるが、
一般的には画像信号の高周波成分を除去する場合が多
い。よって、高域に埋め込んだレジストレーション信号
は前記攻撃によって除去されてしまう可能性があること
から、レジストレーション信号は低域に埋め込むことが
望ましい。
【0123】一方で、むやみに低域に埋め込むと、本来
の画像信号との分類ができず、後述するレジストレーシ
ョン処理でレジストレーション信号だけを抽出すること
が困難となる。特に、本来の画像信号が比較的高周波成
分を多く有する画像信号である場合には、レジストレー
ション信号は高域に埋め込むことが望ましい。よって、
本実施の形態例では、本来の画像信号の周波数特性に応
じて適応的にレジストレーション信号を埋め込む周波数
成分を決定する。
【0124】図52に示す例を用いて具体的に説明す
る。図52の5201に第1のレジストレーション信号
1の一例を、5202に第2のレジストレーション信
号r2の一例を示す。5201は周波数fr1にだけイン
パルス性のスペクトルを有する信号であり、5202は
周波数fr2にだけインパルス性のスペクトルを有する信
号である。ここで、fr1<fr2である。即ち、第1のレ
ジストレーション信号と第2のレジストレーション信号
は共にインパルス性のスペクトルを有し、かつ第1のレ
ジストレーション信号r1は第2のレジストレーション
信号r2よりも、低周波成分にインパルスを有する信号
である。
【0125】5203に示すような「比較的高周波成分
が少ない」画像信号に対して低周波成分にインパルスを
有するレジストレーション信号を用い、5204に示す
ような「比較的高周波成分が多い」画像信号に対して高
周波成分にインパルスを有するようなレジストレーショ
ン信号を用いることによって、後述するレジストレーシ
ョン処理においてインパルスをより抽出しやすくするこ
とが可能である。
【0126】なお、本実施の形態例では2種類のレジス
トレーション信号(第1のレジストレーション信号及び
第2のレジストレーション信号)を用いたが、本発明は
これに限定されることなく3種類以上のレジストレーシ
ョン信号を用いることも可能である。
【0127】この場合には、画像信号の周波数特性に応
じて、更に適応的にレジストレーション信号の埋め込み
を行なうことが可能となり、即ち、2種類の電子透かし
を用いた場合に比べて、更にレジストレーション信号の
抽出をしやすくすることが可能である。
【0128】≪パッチワーク法≫本実施の形態例では付
加情報Infの埋め込みの為にパッチワーク法と呼ばれる
原理を用いている。そこで、まず本実施の形態例で用い
るパッチワーク法の原理を説明する。パッチワーク法で
は画像に対して統計的偏りを生じさせることによって付
加情報Infの埋め込みを実現している。
【0129】これを図30を用いて説明する。図30に
おいては、3001、3002は各々画素の部分集合、
3003は画像全体である。画像全体3003から二つ
の部分集合A3001とB3002を選択する。
【0130】この二つの部分集合の選択方法は、互いに
重ならならなければ本実施の形態例におけるパッチワー
ク法による付加情報Infの埋め込みが実行可能である。
ただし、この二つの部分集合の大きさや選択方法は、こ
のパッチワーク法によって埋め込まれた付加情報Infの
耐性、即ち画像データwIが攻撃を受けた際に付加情報In
fを失わない為の強度に大きく影響を及ぼす。これにつ
いては後述する。
【0131】今、部分集合A,Bはそれぞれ、A={a1,
a2,...,aN}、B={b1,b2,...,bN}で表されるN個の要素
からなる集合であるとする。部分集合Aと部分集合Bの
各要素ai ,biは画素値または画素値の集合である。本実
施の形態例ではカラー画像データ中の青色成分の一部に
相当する。
【0132】ここで、次の指標dを定義する。 d = 1/N Σ (ai bi) これは、二つの集合の画素値の差の期待値を示してい
る。一般的な自然画像に対して、適当な部分集合Aと部
分集合Bを選択し、指標dを定義すると、 d ≒ 0 となる性質がある。以降ではdを信頼度距離と呼ぶ。
【0133】一方で、付加情報Infを構成する各ビット
の埋め込み操作として、 a'i = ai + c b'i = bi c という操作を行なう。これは部分集合Aの要素全てに対
して値cを加え、部分集合Bの要素全てに対してcを減
ずるという操作である。
【0134】ここで、先程の場合と同様に、付加情報In
fが埋め込まれた画像から部分集合Aと部分集合Bを選
択し、指標dを計算する。すると、 d = 1/N Σ (a'i - b'i) = 1/N Σ {(ai + c) - (bi - c)} = 1/N Σ (ai - bi) + 2c = 2c となり0にはならない。
【0135】即ち、ある画像が与えられた時に、画像に
対して信頼度距離dを算出することによって、d≒0なら
ば付加情報Infは埋め込まれておらず、一方でdが0から
一定量以上離れた値であるなら付加情報Infが埋め込ま
れていると判断できる。以上がパッチワーク法の基本的
な考え方である。
【0136】このパッチワーク法の原理を応用し、本実
施の形態例では複数のビットの情報を埋め込む。本方法
においては、部分集合Aと部分集合Bの選択の方法につ
いてもパターン配列によって定義している。上述の方法
においては、原画像の所定の要素に対してパターン配列
の要素を加えたり減じたりすることによって、付加情報
Infの埋め込みを実現している。
【0137】簡単なパターン配列の例を図9に示す。図
9は、1ビットを埋め込む為に8×8画素を参照する場
合の、元の画像からの画素値の変更量を示すパターン配
列である。図9の様に、パターン配列は正の値を持つ配
列要素、負の値を持つ配列要素、及び0の値を持つ配列
要素から構成される。
【0138】図9のパターンにおいて、+cの配列要素
で示される位置は対応位置の画素値をcだけ上昇させる
位置を示し、上述した部分集合Aに相当する位置であ
る。一方−cの配列要素で示される位置は対応位置の画
素値をc減少させる位置を示し、上述した部分集合Bに
相当する位置である。また0で示される位置は上述した
部分集合A,B以外の位置であることを示す。
【0139】本実施の形態例では、画像の全体的な濃度
を変化させない為にも正の値を持つ配列要素の個数と負
の値を持つ配列要素の個数を等しくしている。即ち、1
つのパターン配列において全ての配列要素の和が0にな
っている。なお、後述する付加情報Infの抽出操作の時
にはこの条件が必須である。
【0140】以上の様なパターン配列を用いて付加情報
Infを構成する各ビット情報の埋め込み操作を行なう。
【0141】本実施の形態例では、図9のパターンを元
の画像データにおける互いに異なる領域に複数回配置し
て画素値を上昇/減少させることにより、複数のビット
情報、即ち付加情報Infを埋め込む。言い換えれば、1
つの画像の互いに異なる領域に、部分集合Aと集合Bの
組み合わせだけでなく、部分集合A’と集合B’、部分
集合A”と集合B”、…という複数の組み合わせを想定
することで、複数のビットからなる付加情報Infを埋め
込む。
【0142】なお、本実施の形態例では元の画像データ
が大きい場合には、繰り返し付加情報Infを埋め込むこ
とになる。これはパッチワーク法が統計的性質を利用し
ているものであることから、統計的性質が現れるのに充
分な数を必要とすることによる。
【0143】また、本実施の形態例では複数ビットを埋
め込む際にパターン配列を用いて画素値を変更する領域
が重ならない様にする為、予め互いのビット同志でパタ
ーン配列を使用する相対位置を決定する。即ち、付加情
報Infを構成する1ビット目の情報を埋め込む為のパタ
ーン配列の位置と、2ビット目の情報を埋め込む為のパ
ターン配列の位置の関係は適切に定められる。
【0144】例えば付加情報Infが16ビットで構成さ
れていれば、1〜16ビット目の夫々の8×8画素のパ
ターン配列の位置関係は、32×32画素よりも大きい
サイズの領域上で画質劣化が少なくなる様に相対的に与
えられる。
【0145】更に、上記付加情報Inf(これを構成する
各ビット情報)は、画像データが大きい場合には、でき
るだけ多くの回数繰り返して埋め込む。これは、付加情
報Infの各ビットを正しく抽出可能とすることが目的で
ある。特に本実施の形態例では、同一の付加情報Infが
繰り返し埋め込まれていることを利用した統計的な計測
を行なうので、上記繰り返しは重要である。
【0146】以上説明した様な埋め込み位置の選択は、
図1における埋め込み位置決定手段0103において実
行される。次に、上記の部分集合Aと部分集合Bの決め
方について述べる。
【0147】[ パターン配列決定手段]パッチワーク
法では、部分集合Aと部分集合Bの決め方が、付加情報
Infの攻撃耐性と、付加情報Infを埋め込んだ画像の画質
に大きく関係する。本実施の形態例においては、図1に
おいて付加情報Infが埋め込まれ、JPEG圧縮及び伸
長が施される画像データwIは、プリンタにより印刷出力
され、図2のスキャナ0201により入力され、画像デ
ータwIとなる。画像データwIとwIを得る処理の間におい
て印刷、スキャンニングを含むさまざまな攻撃が加えら
れている。
【0148】以下、本実施の形態例におけるパッチワー
ク法によって埋め込まれた付加情報Infが印刷による攻
撃に耐性を有する為にはどうしたらよいか考えてみる。
【0149】パッチワーク法において、パターン配列の
形状と、要素の値の大きさが付加情報Infの埋め込み強
度と画像データwIの画質とのトレードオフを決定するパ
ラメータになっている。よって、上述した攻撃を施され
た後に付加情報Infを抽出できるかどうかは、このパラ
メータを操作することによって最適化することが可能で
ある。これについて、もう少し詳しく説明をする。
【0150】本実施の形態例においては、パッチワーク
法における部分集合Aの要素aiと部分集合Bの要素bi
基本的な位置関係を図9に一例が示されるマトリクスに
よって固定する。なお、要素ai、要素biは1つの画素値
に限らず、複数の画素値の集合であってもよい。
【0151】このパターン配列を複数個、画像中に重な
り合わない様に割り当て、この画像における割り当てら
れた各画素を、パターン配列の要素の値に基づいて変更
する。画像がパターン配列の正の値(+c)に変更され
る画素の部分集合をA、パターン配列の負の値(−c)
に変更される画素の部分集合をBとすると、パッチワー
ク法の原理が適用されていることがわかる。
【0152】なお、以降の説明では、パターン配列の正
の値(+c)を持つ画素の集まり(部分集合の要素ai
位置と対応)を正のパッチ、負の値(−c)を持つ画素
の集まり(部分集合の要素biの位置と対応)を負のパッ
チと呼ぶ。
【0153】以降、正のパッチと負のパッチを区別せず
用いる場合があるが、その場合のパッチは、正のパッチ
及び負のパッチ、若しくはいずれか一方を指すこととす
る。
【0154】図9に一例が示されるパターン配列の各パ
ッチの大きさが大きくなると、パッチワーク法における
信頼度距離dの値が大きくなるため、付加情報Infの耐
性は強くなり、かつ付加情報Infを埋め込んだ後の画像
は元の画像から画質が大きく劣化する。
【0155】一方、パターン配列の各要素の値の大きさ
が小さくなると、付加情報Infの耐性は弱くなり、かつ
付加情報Infを埋め込んだ後の画像は元の画像から画質
がそれ程劣化しない。この様に、図9に示されるパター
ン配列の大きさと、このパターンを構成するパッチの要
素(±c)の値の大きさを最適化することは、画像デー
タwIの耐性や画質にとって非常に重要なことである。
【0156】まずパッチの大きさについて考える。パッ
チの大きさを大きくすると、パッチワーク法によって埋
め込まれた付加情報Infは耐性が強くなり、一方でパッ
チの大きさを小さくすると、パッチワーク法によって埋
め込まれた付加情報Infは耐性が弱くなる。これは、非
可逆圧縮、及び印刷系が処理全体としてローパスフィル
タ的な効果があることによるものである。
【0157】パッチの大きさが大きくなると、付加情報
Infを埋め込む為に偏重された信号は低周波数成分の信
号として埋め込まれ、一方でパッチの大きさが小さくな
ると付加情報Infを埋め込むために偏重された信号は高
周波成分の信号として埋め込まれることとなる。
【0158】高周波成分の信号として埋め込まれた付加
情報Infは印刷系の処理を施されることによって、ロー
パスフィルタ的な処理を施され、消去されてしまう可能
性がある。一方で、低周波成分の信号として埋め込まれ
た付加情報Infは印刷系の処理を施されても、消去され
ずに抽出可能である可能性が大きい。
【0159】以上から、付加情報Infが攻撃に対する耐
性を有する為には、パッチの大きさは大きな方が望まし
い。しかしながら、パッチの大きさを大きくすること
は、原画像に低周波成分の信号を加えることに等しく、
これは画像データwIでの画質劣化を大きくすることに繋
がる。なぜなら、人間の視覚特性は図13の1301に
示すようなVTFの特性を持つからである。図13の1
301からわかる様に、人間の視覚特性は低周波成分の
ノイズに対しては比較的敏感であるが、高周波成分のノ
イズに対しては比較的鈍感である。よって、パッチの大
きさはパッチワーク法によって埋め込まれた付加情報In
fの強度と画像データwIでの画質を決定する為に最適化
することが望ましい。
【0160】次にパッチの値(±c)について考える。パ
ッチを構成する各要素(±c)の値を“深さ“と呼ぶこと
とする。パッチの深さを大きくすると、パッチワーク法
によって埋め込まれた付加情報Infは耐性が強くなり、
一方でパッチの深さを小さくすると、パッチワーク法に
よって埋め込まれた付加情報Infは耐性が弱くなる。
【0161】パッチの深さは付加情報Infを抽出する場
合に用いる信頼度距離dに密接に関係している。信頼度
距離dは付加情報Infを抽出するための演算値であり、こ
れについては、抽出処理の部分で詳しく説明するが、一
般的に、パッチの深さを大きくすると、信頼度距離dは
大きくなり、付加情報Infを抽出しやすい。一方で、パ
ッチの深さを小さくすると、信頼度距離dは小さくな
り、抽出しにくい。
【0162】以上から、パッチの深さも、付加情報Inf
の強度と、付加情報Infが埋め込まれた画像の画質を決
定する重要なパラメータであり、最適化して使用するこ
とが望ましい。パッチの大きさと深さを最適化したもの
を常に使用することによって、非可逆圧縮、或いは印刷
等の攻撃に対する耐性を有し、かつ画質劣化が少なくな
る様な付加情報Infの埋め込みが実現可能である。
【0163】次に、本実施の形態例で使用する具体的な
パッチの深さ及び大きさを説明する。以下の説明を簡略
化するために、印刷系における処理を簡略化する。印刷
系の処理の例としてハーフトーン処理による階調変換に
ついて考える。
【0164】ハーフトーン処理とは、上述した様に階調
を表現する方法の変更である。ハーフトーン処理の前後
で人間の視覚は同じ様に階調を知覚する。しかしなが
ら、スキャナ等の入力手段は、人間の様な曖昧な知覚を
持たず、上記前後で必ずしも同じ様に階調を"知覚"しな
い。
【0165】即ち、スキャナ単独では、面積階調によっ
て表現されている階調が本当に元の濃度階調で表現され
ていた階調情報を持っているかどうか認識しない。それ
では次にどのようなハーフトーン処理を行なえば面積階
調によって、濃度階調で表現されていた階調を表現でき
るかを考えてみる。まずハーフトーン処理による濃度階
調と面積階調の階調表現の関係について考える。
【0166】図43に4×4のディザマトリクスとその
マトリクスで表現できる階調の関係の例を示す。図43
においては、マトリクスが面積階調で表現された階調で
あり、マトリクスが表現している階調を下の数字に示し
ている。
【0167】4×4のマトリクスには16個の画素が存
在する。この16個の画素のオン/オフにより4×4+
1=17階調が表現可能である。一般的には、ハーフト
ーン処理されたm×nのドットは、(m×n+1)階調
の表現が可能である。
【0168】これを、図44の例を用いて説明する。図
44においては画素4403は0〜16のダイナミック
レンジを持つ濃度階調で表現されており、値が8である
と仮定する。この画素と同じ値を持つ画素を縦横に4個
並べ、4×4の大きさを持つブロック4402を生成す
る。
【0169】生成したブロックに対して、4×4の大き
さを持つ適当なディザマトリクスを用いてハーフトーン
処理を行い、2値データ4403を生成する。この2値
化されたデータがプリンタに送信され、出力される。そ
の後、スキャナなどの画像入力器手段によってプリンタ
の出力解像度と同じ解像度で再び入力される。この時、
プリンタのドットの出力解像度と、スキャナが画素を読
みこむ入力解像度が1:1の関係にあると仮定すれば、
プリンタによって出力されスキャナによって入力された
画素は2値データ4403と等しくなる。
【0170】こうして生成された画像データが2値デー
タ4404である。2値データ4404に対して適当な
補間処理を用いた方法により2値データは1/(4×
4)の大きさにスケーリングされ、多値データ4405
が生成される。この多値データは値が8になる。なお、
スキャナが2値データ4403を2値データ4404と
判定できるほど十分高解像度でない場合は、光学的に2
値データ4403は多値データ4405に変換される。
【0171】以上、図44を用いて濃度階調で表現され
た階調情報が面積階調に変換され、その後再び濃度階調
で表現されるときに、正しく階調情報が伝搬される様子
を説明した。一般的には、1画素をm×n画素で表現す
るような面積階調を用いてハーフトーン処理し、このm
×n画素の2値データを1画素にするような補間処理を
行なうことによって、階調情報は伝搬される。
【0172】本実施の形態例では、印刷及びスキャニン
グを含む攻撃にも耐性を持たせるため、付加情報Infの
埋め込みで用いられるパッチの大きさと深さを、上述し
た面積階調と濃度階調の関係を考慮し設計する。なお、
本実施の形態例では、さまざまな大きさの画像をある決
められたサイズにプリンタで出力する場合について考え
る。
【0173】図45は画像の解像度が異なる2枚の画像
4501及び4504を、それぞれ同じ大きさの寸法4
503、4506にプリンタで出力する場合について示
している。図45(a)は画像の解像度が低い場合、
(b)は画像の解像度が高い場合の一連の処理である。
【0174】初めに、画像4501及び画像4504
は、1画素が1ドットに対応するように拡大処理が施さ
れる。このとき拡大方法は、ニアレストネイバ法などの
補間が用いられる。なお、ニアレストネイバ法は、同じ
画素値を近隣画素にコピーすることにより拡大を行なう
手法である。(画像が非常に高解像度の場合には縮小
(間引き)も考えられる。)その結果、画像4501は
画像4502に、画像4504は画像4505にそれぞ
れ拡大される。その後、ハーフトーン処理により450
3及び4506の様な印刷物(印刷用画像データ)とし
てドットで表現される。
【0175】プリンタの実際の処理では、CMYK変換
処理、カラーマッチングなどが行われるが、説明を簡単
にするために、ここでは省略する。図45から、画像の
解像度が低いほど、1画素が多くのドットで表現でき、
画像の解像度が高いほど、1画素が少ないドットで表現
しなければならないことがわかる。
【0176】次に、濃度階調から面積階調に変換した場
合にもパッチによる埋め込みの影響が伝わることを示
す。なお、ここでは説明を分かりやすくする為、画像の
解像度による影響を除いて考える。
【0177】図46の4601、4605は、ある画像
に付加情報Infを埋め込む場合の正のパッチで操作をす
る画像領域(部分集合A)で、かつハーフトーン処理前
の状態である。図46の4603、4607は、ある画
像に付加情報Infを埋め込む場合の負のパッチで操作を
する画像領域(部分集合B)で、かつハーフトーン処理
前の状態である。
【0178】図46の4601、4603はパッチによ
る付加情報Infの埋め込みが行われていない場合であ
り、4605、4607は付加情報Infの埋め込みが行
われている場合である。またこの時、4601、460
3、4605、4607は、全てハーフトーン処理が施
される直前の1画素1ドットに対応しているとする。
【0179】ハーフトーン処理により、図46の460
1、4603、4605、4607に示される画像は、
4602、4604、4606、4608の様に面積階
調としてドットで表現される。
【0180】付加情報Infの埋め込みを行っていない場
合では、4602におけるインクドットと4604にお
けるインクドットの数の差は、一般的にはほとんど変わ
らないと言える。画像が大きく、パッチ単位でインクド
ットの差の平均値を求めた場合には、ほぼゼロになる。
【0181】一方、付加情報Infの埋め込みを行った場
合では、4606におけるインクドットと、4608に
おけるインクドットの数の差は、現れてくると考えられ
る。付加情報Infが面積階調により表現された場合に
も、パッチの設計により、インクドットの増減を制御す
ることが可能である。パッチワーク法は、印刷及びスキ
ャニングの攻撃に対しても耐性を持つことが可能である
といえる。
【0182】また、図46から、パッチを埋め込む面積
を増加させれば、インクドットの数が増加すること、パ
ッチの深さを深くすれば、インクドットの数が増加する
ことが直感的に想像できる。
【0183】パッチとインクドットの増加の関係を図4
7を用いて説明する。図47はパッチの大きさ、深さに
よるインクドットの変化を示す図面である。図47にお
いて、横軸は、1画素が1ドットまで拡大された部分集
合A、又は部分集合Bをハーフトーン処理するディザマ
トリクスの係数値を示し、縦軸はそのディザマトリクス
の係数値の出現頻度を示している。それと同時に、説明
を分かりやすくする為、横軸に1画素が1ドットまで拡
大された部分集合A、又は部分集合Bのハーフトーン処
理される画素値の平均が示されている。
【0184】図47に示す様に、一般的にはディザマト
リクスの係数値は大きな部分集合A、又は部分集合Bに
対応する場合には、ほとんど偏った値を持たず出現頻度
はほぼ等しいと考えて良い。
【0185】付加情報Infの埋め込みにより、埋め込み
前の画素値の平均4703は、埋め込み後の画素値の平
均4704にまで変化したとすると、ディザマトリクス
の2値化処理により、斜線部分4702だけインクドッ
トの数が増加することがわかる。
【0186】すなわち、パッチの深さとインクドットの
増加数は比例の関係にあることがわかる。また、パッチ
のサイズを大きくした場合には、ディザマトリクスの係
数値の出現頻度が更に増加することから、斜線部分の面
積4702が出現頻度方向に増加し、パッチの深さとイ
ンクドットの増加数も比例の関係にあることがわかる。
【0187】以上の性質を考慮すると、画像全体では (1)埋め込み深さは印刷物上のドットの数と比例す
る。 (2)パッチのサイズは印刷物上のドットの数と比例す
る。 すなわちパッチの埋め込みにより変化する、画像全体の
正のパッチを埋め込む領域と画像全体での負のパッチを
埋め込む領域での、画像全体でのドット数の差をΔβと
すると Δβ = 2 × α × PA × C + γ …(式47−1) で表現される。αは比例係数で、γはマージンで、Cは
埋め込み深さ、PAは正又は負のパッチの画像全体の1
画素1ドットに対応した面積である。ここで、α、Δ
β、γは実験により定められる数である。
【0188】なお、この(式47−1)の原理はディザ
マトリクスによるハーフトーン処理だけでなく、誤差拡
散法においても上記(1)と(2)は成立することから
適用可能である。
【0189】(式47−1)では、画像の解像度と、プ
リンタの出力解像度及びスキャナの入力解像度について
考慮していない。以下、画像の解像度と、プリンタの出
力解像度及びスキャナの入力解像度が変化した場合につ
いて考える。
【0190】本実施の形態例では、スキャナの入力解像
度は、できるだけ多くの情報を保持するために、フラッ
トベッドスキャナにおける十分な解像度である600p
piに固定する。次に、プリンタの出力解像度と画像の
解像度について考える。
【0191】図45の説明で既に述べたが、画像を印刷
する場合には1画素の濃度階調を表現するドット数は、
画像の解像度によって決まる。以下に一例を示す。例え
ば、図45において画像4501は1000×800画
素を持つ画像であるとする。この画像を主走査方向、副
走査方向ともに1200dpiの出力解像度を持つプリ
ンタで、長辺が5inchに収まる様に出力する場合、
ハーフトーン処理の手前で1画素を1ドットになる様に
拡大処理が行われ、長辺の出力ドット数は1200dp
i×5=6000dotとなる。
【0192】その為、画像4501は6000×480
0画素をもつ画像4502にまで拡大される。ハーフト
ーン処理が施された画像4503から4501の階調を
再現する場合には、1画素は6×6ドットにより表現さ
れる。
【0193】一方、画像4504は3000×2400
画素を持つ画像であるとする。この画像を同じく120
0dpiの解像度を持つプリンタで、長辺が5inch
に収まるように出力する場合、1画素が1ドットになる
様に、同様に、6000×4800画素を持つ画像45
05にまで拡大され、その後、ハーフトーン処理が施さ
れた画像4506になる。画像4504の1画素は、2
×2ドットにより表現される。
【0194】インクドットの濃度は決まっていると考え
られるので、1画素が5×5ドットで表現される場合に
は、1画素で表現できる濃度階調のダイナミックレンジ
は大きい。一方、2×2ドットで表現される場合には、
1画素で表現できる濃度階調のダイナミックレンジは小
さい。
【0195】付加情報抽出処理において詳しく述べる
が、パッチワーク法では検出時に各パターン配列単位に
おいて、 (正のパッチを埋め込んだ領域の画素値の和)−(負の
パッチを埋め込んだ領域の画素値の和) を計算し、画像全体で各パターン配列単位の平均値を求
める。この平均値を信頼度距離dと呼ぶが、この信頼度
距離dが大きいほど、確かな付加情報の抽出が可能であ
る。
【0196】図48は、パターン配列単位における正及
び負のパッチ領域の差を図的に示している。図48
(a)は画像解像度が低い場合で4801は正のパッチ
領域、4802は負のパッチ領域、図48(b)は画像
解像度が高い場合で4803は正のパッチ領域、480
4は負のパッチ領域を示している。
【0197】なお、インクドットは1ドットにつき、決
まった濃度になるので、4801及び4802は1画素
が多くのインクドットから成り立っているため、信頼度
距離dは大きな値にまでダイナミックレンジを持つ。一
方、4803及び4804では、1画素が少ないインク
ドットにより表現されるため、信頼度距離dは大きな値
にまでダイナミックレンジを持たない。
【0198】一般的に1画素が少ないドットで構成され
る場合(画像の解像度が高い場合)には、1画素の持つ
階調のダイナミックレンジが小さいため、大きな信頼度
距離dは得られず、付加情報Infの抽出ができない場合
が考えられる。
【0199】従って、画像の解像度が高い場合には、パ
ッチの面積を大きくするか、又は埋め込み深さ(±c)
を大きくする必要がある。一般的には、高解像度出力時
には位置ズレも大きな問題となるため、パッチの面積を
大きくするのが好ましい。
【0200】パターン配列あたりの付加情報の検出に必
要なドット数をΔβpとすると、正又は負のパッチの画
素数をP、パッチの埋め込み深さCと1画素を表現する
ドットの数m×nの関係は、(式47−1)より、 Δβp = 2 × α× P ×(m×n)×(C/255)+ γ …(式47− 2) で表される。
【0201】ここで、(m×n)×(C/255)は埋
め込み深さCを最大255階調まで変化させても、1画
素につきドットは最大でm×nしか増加しないことを示
している。また、αは比例係数、γはマージンである。
【0202】なお、1画素を再現するドット数m×n
は、 m×n=(主走査方向のプリンタの出力解像度/ 画像の
解像度)×(副走査方向のプリンタの出力解像度/画像
の解像度) で求められれ、m×nは画像の解像度が高いほど小さく
なる。
【0203】従って、Δβp、α、γを実験により求め
ると、付加情報Infの検出に必要なパターン配列あたり
の埋め込み深さ、パッチの大きさ(パターン配列の大き
さ)及び埋め込み深さをプリンタの出力解像度及び画像
の解像度から求めることができる。以上の考察を踏ま
え、画像の解像度に応じて埋め込み深さ(±c)及びパ
ッチの大きさを変更する方法を提案する。
【0204】以下、具体的にその装置について示す。図
1のパターン配列決定手段0110にプリンタの出力解
像度及び画像の解像度を入力し、付加情報Infの抽出に
適したパターン配列が出力される。一例として、プリン
タの出力解像度が1200dpiであり、画像を長辺が
約6inchの大きさに印刷出力する場合について考え
る。画像には300ppi〜600ppiの範囲(長辺
1800画素〜3600画素)の画像があるとする。
【0205】付加情報Infの埋め込みに用いるパターン
配列を画像の解像度に応じて、画像の解像度が500p
pi未満の場合には、図49におけるパターン配列49
01を用い、画像の解像度が500ppi以上の場合に
は図49のパターン配列4903を用いるとする。ま
た、埋め込み深さは、(式47−2)を用いて、適切に
決められるとする。
【0206】パターン配列決定手段0110でこのよう
にパターン配列が適当に決められ、後段の埋め込み位置
決定手段0103では、パターン配列決定手段0110
から入力されたパターン配列の大きさに基づいて、埋め
込み位置が決定される。更に、付加情報埋め込み手段0
104では、埋め込み位置決定手段0103から入力さ
れるパターン配列の埋め込み位置に従い、画像に対し
て、付加情報Infの埋め込みを行なう。
【0207】一方、埋め込みに用いたパターン配列がわ
からないと付加情報Infの抽出を行なうことはできな
い。そのため、後述するパターン配列判定手段2001
を用いて、レジストレーション手段0203の出力する
スケーリング率から、画像の解像度を判断する。
【0208】プリンタの出力解像度が固定である場合
は、スケーリング率から画像の解像度がわかれば、パタ
ーン配列判定手段2001により、埋め込みに用いたパ
ターン配列を判定することができる。
【0209】従って、画像の解像度により、パッチやパ
ターン配列を可変にした場合にも、レジストレーション
信号から得られる情報を利用することで付加情報Infの
抽出が可能である。
【0210】[ 埋め込み位置決定処理]図11は本実施
の形態例の埋め込み位置決定手段0103の詳細構成を
示すブロック図である。図11に示すマスク作成手段1
101は、付加情報Infを構成する各ビット情報の埋め
込み位置を規定する為のマスクの作成を行なう。マスク
とは、各ビット情報に対応するパターン配列(図9参
照)の相対的な配置方法を規定する位置情報を備えたマ
トリクスである。
【0211】図17の1701にマスクの一例を示す。
マスクの内部には夫々係数値が割り当てられており、各
々の係数値はマスク内で等しい出現頻度を有している。
このマスクを用いる場合であれば、最大16ビットから
なる付加情報Infを埋め込むことが可能である。
【0212】次にマスク参照手段1102は、マスク作
成手段1101で作成したマスクを読みこみ、マスク内
の各係数値と、各ビット情報が何ビット目かの情報を対
応付けて、各ビット情報を埋め込む為のパターン配列の
配置方法を決定する。
【0213】更にマスク・パターン配列対応手段110
3は、マスク内の各係数値の位置に前段の0110から
入力される各パターン配列の配列要素(例えば8×8サ
イズ)を展開する。即ち、図17の1701に示される
マスクの各係数値(1マス)を、同図1703の様に8
×8倍にして各パターン配列の埋め込み位置として参照
可能とする。
【0214】後述の付加情報埋め込み手段0104は、
図17の埋め込み先頭座標1702を参照して、パター
ンサイズを用いて各ビット情報を埋め込むことになる。
【0215】なお、本実施の形態例ではマスク作成手段
1101に、画像データ(青色成分)を入力する毎に上
記マスクを作成する。よって、大きいサイズの画像デー
タを入力する場合には、複数回繰り返して同一の付加情
報Infを埋め込むことになる。
【0216】上記の方法では画像から付加情報Infを抽
出する場合に、上記マスクの構成(係数値の配列)が鍵
の役割を果たす。即ち、鍵の所有者だけが情報の抽出を
行なえるという効果がある。なお本実施の形態例におい
ては、リアルタイムにマスクを作成せずに、予め作成し
ておいたマスクをマスク作成手段1101の内部記憶手
段などに記憶させておき、必要時に呼び出す場合も範疇
に含む。この場合には高速に後段の処理に移行すること
ができる。
【0217】[埋め込み位置決定手段で実行される各処
理の詳細説明]次に、埋め込み位置決定手段0103の
中で実行される各処理の詳細を説明する。 [マスク作成手段]はじめに、マスク作成手段1101に
ついて説明する。
【0218】パッチワーク法を用いた付加情報Infの埋
め込みにおいて、攻撃耐性を強める為に画素値に大きな
操作を加えて情報を埋め込んだ場合(例えばパターン配
列のの値を大きく設定した場合)には、元の画像デー
タが表す画像において画素値の急激な変化の有るいわゆ
るエッジ部分では画質の劣化は比較的目立ちにくいが、
画素値の変化の少ない平坦部では画素値を操作した部分
がノイズとして目立ってしまう。
【0219】図13に人間の目で知覚する空間周波数特
性を示す。横軸は空間周波数(Radial Frequency)を示
し、縦軸は視覚の応答値である。画素値を操作し、情報
を埋めこんだ場合、人間の目が敏感に知覚できる低周波
数領域では画質劣化が目立つことが図13からわかる。
【0220】その為本実施の形態例では、多値画像の2
値化処理に通常使用されているブルーノイズマスクやコ
ーンマスクの特性を考慮し、各ビットに対応するパター
ンの配置を行なう。
【0221】次にブルーノイズマスク、コーンマスクの
特性について簡単な説明を行なう。まず初めにブルーノ
イズマスクの特性について説明する。ブルーノイズマス
クはどの様な閾値で2値化してもブルーノイズパターン
となる特性を有する。このブルーノイズパターンとは空
間周波数が高周波領域に偏った周波数特性を示すパター
ンである。
【0222】図37に、あるブルーノイズマスクの一部
を示す。また図14の1401には、閾値10で2値化
したブルーノイズマスクの空間周波数特性の概略図を示
す。
【0223】1401の横軸はRadial Frequencyであ
り、ブルーノイズマスクをフーリエ変換したときの原点
(直流成分)からの距離を示している。縦軸はPower sp
ectrumであり、横軸Radial Frequencyの示す距離にある
振幅成分の2乗和をとり平均化した値である。なお、同
図は画像の2次元周波数特性を1次元グラフ化し視覚的
に分かりやすくしたものである。
【0224】図13と比較してみると、ブルーノイズマ
スクは高周波成分に偏りがある為、人間の目に知覚され
にくいことがわかる。従って、インクジェットプリンタ
等では、ドットを用いた面積階調で多値画像の階調を表
現する際に、ブルーノイズマスクを用いることで、空間
周波数成分を高周波に偏らせ、人の目に目立つことなく
面積階調を表現できることが知られている。
【0225】次にブルーノイズマスクの生成過程の一例
を以下に示す。 1. ホワイトノイズを生成する。 2. 階調gの2値画像Pgl(初期値はホワイトノイズマス
ク)にローパスフィルタリングを行い、多値画像Pgl
生成する。 3. 階調 g (初期値:127)の画像とローパスフィルタ
リング画像Pgl(多値)を比較し、 誤差の大きい順に、
2値画像Pgの白黒の画素を反転させ、2値画像P gl+1
得る。 4. 誤差が最小になるまで、2,3の操作を繰り返し、
2値画像Pgl(初期値はホワイトノイズマスク)を少し
づつ階調 g(初期値:127) の2値画像Pg(ブルーノイ
ズマスク)に変えていく。 5. Pg画像に階調g+1(g-1)の2値の黒(白)の点を
ランダムな位置に与える。 上記2,3の操作を繰り返し、Pg+1(Pg-1)を得る。
【0226】以上の操作を繰り返すことにより、全ての
階調でのブルーノイズマスクを作成し、ディザマトリク
スを生成する。例えば32×32のブルーノイズマスク
では1階調ごとに4点増加(減少)する。ただし、この
とき256階調持たせる為に前の階調gで決まった黒
(白)のビットは反転できない為、低又は高階調では制
限条件が厳しくなり、一様性に乏しいランダムパターン
しか得られないという欠点がある。
【0227】図12にブルーノイズマスクを構成する各
係数の出現頻度分布(ヒストグラム)1201を示す。
図12では0〜255の全ての値(係数)がマスク内に
同数存在している。
【0228】上記ブルーノイズマスクが多値画像の2値
化に用いられる技術は良く知られており、例えば、「J.
Opt.Soc.Am A/Vol.9, No.11/November 1992 Digital ha
lftoning technique using a blue-noise mask Tehopha
no Mitsa, Kevin J.Parker」等に詳しく開示されてい
る。
【0229】次にコーンマスクの特性について説明す
る。コーンマスクは、このマスクに含まれる各係数を2
値化した場合に、ここで得られた2値情報を表す空間周
波数領域上で、図14の1402に示される様に、周期
的又は擬似周期的なピークが発生することを1つの特徴
とする。ただし、低周波領域ではピークが立たない様に
設計されている。
【0230】図38に、あるコーンマスクの係数配列の
一部を示す。コーンマスクをどの閾値で2値化した場合
にも、ドット間で適度な距離が保たれる為、低周波領域
でのピークは立たない。図14の1402に、コーンマ
スクの閾値10で2値化した場合の空間周波数特性の概
略図を示す。1401のブルーノイズマスクの空間周波
数特性と同じく、1402の特性でも低周波成分が少な
いことがわかる。
【0231】コーンマスクの場合は、閾値が低い場合で
あっても高い場合であっても、ブルーノイズマスクが持
つ低域周波数より高い周波数からピークが発生する為、
ブルーノイズマスクに比べて埋め込み位置に密集した部
分が少なくなる。その為、付加情報Infを埋め込んだ際
に生じる埋め込みノイズは、ブルーノイズに比べて更に
目立たなくなる利点がある。
【0232】またコーンマスクを構成する係数の使用頻
度も、ブルーノイズマスクの時と同じく、図12の12
01で示す出現頻度分布(ヒストグラム)になる。従っ
て、このマスクの係数に対応付けて、付加情報Infを構
成する各ビット情報に対応するパターンを、画像データ
に埋め込む様にするならば、この画像データ中には各ビ
ット情報に対応するパターンを同数配置することがで
き、結果的に付加情報Infをバランス良く埋め込むこと
ができる。
【0233】本実施の形態例では以上の利点から埋め込
み参照マスクにコーンマスクを用いることとする。
【0234】[マスク参照手段]マスク作成手段1101
で作成されたマスク(コーンマスク)は、マスク参照手
段1102に入力される。マスク参照手段1102で
は、画像に埋め込むNビットの情報の埋め込み位置とマ
スクの番号(画素値)を対応付けて、埋め込み位置を決
定する。
【0235】本実施の形態例におけるマスク参照手段1
102で行なう埋め込み位置決定方法を以下に説明す
る。本実施の形態例では上述したコーンマスクを用いる
が、ここでは説明を分かりやすくする為、図15の15
01に示す4×4マスクを用いて説明する。
【0236】図15のマスクは、4×4個の係数を有
し、0〜15までの係数値を1つずつ配置しているマス
クである。この4×4マスクを用い付加情報Infの埋め
込み位置の参照を行なう。この説明で用いるマスクの場
合には最大16ビットで構成される付加情報Infを埋め
込むことができるが、以下8ビットの付加情報Infを埋
め込む場合を説明する。
【0237】まず付加情報Infの構成を、図36を用い
て説明する。同図の様に付加情報Infは、スタートビッ
トInf1と利用情報Inf2から構成される。このスタートビ
ットInf1は、理想位置から実際の付加情報Infが埋め込
まれている位置がずれていることを認識し、これに合わ
せて電子透かし(付加情報Inf)の抽出開始位置を補正
する為に、電子透かし抽出装置側に含まれるオフセット
合わせ手段2003で用いられる。詳細については後述
する。
【0238】また、利用情報Inf2は、本来の付加情報、
即ち実際に画像データIの付加的情報として利用される
情報である。この情報には、例えば画像データwIの不正
利用の際に原因を追跡することを目的とするならば、図
1に示す装置のID或いはユーザーのID等が含まれ
る。また、画像データwIの印刷物をコピー禁止にするの
であれば、コピーが禁止であることを示す制御情報が含
まれる。
【0239】本実施の形態例では、スタートビットは5
ビットとし、「11111」というビット列を用いる。
しかし、本発明はこれに限らず、付加情報Infのうち5
ビット以外のビット数をスタートビットとして用いるこ
とも可能であり、同様に「11111」というビット列
以外を用いることも可能である。ただし、スタートビッ
トのビット数とビット系列は電子透かし埋め込み装置と
電子透かし抽出装置で共有しておく必要がある。
【0240】上述した様な4×4個の係数からなるコー
ンマスクを用いて、スタートビット5ビット、利用情報
3ビットの合計8ビットの付加情報Infを埋め込む簡単
な例について説明をする。
【0241】しかしながら、本発明はこれに限定される
ものではない。例えば32×32のコーンマスクを用い
て、スタートビット5bit、利用情報64bitからなる合
計69bitの付加情報Infを埋め込み場合等にも適用可能
である。
【0242】付加情報Infはスタートビットが5ビット
「11111」で利用情報が3ビット「010」とす
る。夫々1番目が1、2番目が1、3番目が1、4番目
が1、5番目が1、6番目が0、7番目が1、8番目が
0のビット情報を持つ。
【0243】これら各ビットに相当するパターン(図9
参照)の夫々をコーンマスクの係数の1つずつに対応す
る位置に割り当て、この位置関係に従って元の画像デー
タの各画素値を±c変更する。これにより、1つのコー
ンマスクに相当するサイズの元の画像データに対して、
1つの付加情報Infが埋め込まれることとなる。
【0244】本実施の形態例では、付加情報Infを埋め
こむ為に最低限必要なビット数に基づいて、ある閾値を
決定し、上記コーンマスクにおける、この閾値以下の係
数が配置されている位置に、対応する各ビット情報を埋
めこむ。これにより付加情報Infのビット数に関わらず
1つのコーンマスクには1つの付加情報Infが埋め込ま
れる。
【0245】なお、本発明は上記方法に限らず、ある閾
値以上の係数が配置されている位置に、対応する各ビッ
ト情報が埋め込まれる様にし、これを前提に閾値を決定
する様にしても良い。次に本実施の形態例では、埋め込
みに用いる閾値以下の係数の個数が、マスク全体の係数
の個数において占める割合を、埋め込み充填率と呼ぶこ
とにする。
【0246】8ビットの付加情報Infを整数回正しく埋
め込むには、図15のマスク1501内においてどの係
数を埋め込み参照位置に用いるかを決定する為の閾値
は、8或いは16である必要が有る。この閾値は、耐性
及び画質への影響を考慮して最適なものが決定される。
【0247】ここで、マスクの閾値を8とした場合に
は、埋め込み充填率は50%となる。即ち、上記マスク
と照らし合わされる元の画像データのうち50%が、図
9のパターン配列を用いた処理の対象になる。
【0248】各ビット情報とマスク内の係数の対応関係
の一例を対応表1に示す。
【対応表1】
【0249】ここで、S1〜S5まではオフセット合わ
せ処理装置で用いる位置合わせの為のビット情報(スタ
ートビット)である。1〜3は3ビットの利用情報であ
る。対応表1の対応に従うと、図16の1601で表現
された係数(0〜7)の位置に相当する入力画像データ
の画素の位置に各ビット情報がパターン(図9参照)を
用いて埋め込まれる。埋め込むビット情報の順序とマス
ク内の係数値の対応関係は鍵情報の一部であり、この対
応関係を知ることなしに各ビット情報の抽出を行なうこ
とはできない。本実施の形態例では説明を簡単にする
為、対応表1の様に0から閾値までの係数値に順にS1
〜S5と利用情報の3ビットを対応させることとする。
【0250】次に、実際に32×32のサイズのコーン
マスクを用いて埋めこむ場合の充填率についても少し述
べておく。なお、処理の手順はマスク1501を用いた
場合と同じである。
【0251】まず最初に、埋め込み時の画質の劣化等を
考慮し、付加情報Infの埋め込みを整数回正しく行なう
為に必要な閾値を決定する。更に、付加情報Infを構成
する各ビットが等しい繰り返し数で埋め込まれる様にす
る為、閾値以下の係数の数を付加情報Infを構成するビ
ット数Nで割り、1つのマスクサイズで各ビットを何回
埋め込めるかを決定する。
【0252】例えば、0〜255までの係数値に相当す
る元の画像データに、上述した一例のスタートビット5
ビットと利用情報64ビットからなる、69ビットの付
加情報Infを埋めこむ場合には、例えば閾値を137に
設定する。この場合、マスク内の有効な係数値の数は1
38個となる。1つの付加情報Infを表すのに必要なビ
ット数は69個であるから、1つのマスクサイズにおい
ては各ビット情報は138/69=2回ずつ埋め込むこ
とができる。
【0253】なお、コーンマスクを用いて埋め込み位置
を決定する時に、ある閾値以下の係数値を持つ全ての点
に対して埋め込みを行なう理由は、空間周波数の低周波
成分にピークが立たないというコーンマスクの特性を生
かす為である。上述した様に埋め込み位置を決定した結
果、埋め込み充填率50%、 埋め込み情報量69ビッ
トとなる場合には、付加情報Infを構成する各ビット情
報とコーンマスクを構成する各係数値との関係は対応表
2の様になる。
【0254】
【対応表2】 ここでS1〜S5はスタートビットであり、オフセット合
わせ処理装置で用いる位置合わせの為のビット情報であ
る。1〜64は利用情報である。
【0255】ただし本発明はこの対応関係に限らず、0
から閾値(又は閾値から255)までの係数の位置の全
てに、図9のパターンを使用して各ビット情報を順に埋
め込むならば、各ビット情報と各係数値との対応関係は
別のものであっても良い。
【0256】32×32のコーンマスクの場合には、1
つのマスク内に同じ係数を持つ位置が夫々4個存在す
る。全ての係数に上記対応表2に基づいて、元の画像デ
ータに各ビット情報を埋め込む場合、32×32,64
×64等の大きいサイズのコーンマスクならば、付加情
報Infを構成する各ビット情報はほぼ等しい回数埋め込
まれる。また、元の画像データにおいて同一のビット情
報が拡散して埋め込まれる。
【0257】パッチワーク法では、従来ランダム的に埋
め込み位置を選んでいたが、本実施の形態例では、上記
コーンマスクを参照することにより同様の効果を得る事
ができ、更に画質劣化も少ない。以上の結果、マスク参
照手段1102では、各ビット情報に対応する埋め込み
位置の座標(x,y)を得る。
【0258】配列S[bit][num]=(x,y) でその情報を表
現すると、bitは対応表1の場合、スタートビットS1〜
S5と利用情報1〜3ビットを表す。またnumはコーンマ
スク内で繰り返し表れる各係数に付けられる順序であ
る。(x,y)にはマスク内での相対座標が収められる。以
上の操作をマスク参照手段1102で行なう。
【0259】[マスク・パターン配列対応手段]マスク参
照手段1102で得られた各ビット情報のコーンマスク
内での埋め込み位置は、マスク・パターン配列対応手段
1103に入力される。
【0260】マスク参照手段1102で決定した埋め込
み位置は夫々のビット情報のパターンの位置(8×8画
素分)であるので、パッチワーク法では更に図9に示さ
れる加算領域(+c)と減算領域(−c)とそれ以外
(0)とを割り当てる必要がある。この為、マスク参照
手段1102で参照したコーンマスクの全ての位置に図
9に相当する8×8サイズのパターン配列を展開する操
作をマスク・パターン配列対応手段1103で行なう。
【0261】具体的にはマスク参照手段1102で得ら
れた配列S[bit][num]=(x,y)の座標に対して、x座標に
はパターン配列の横方向のサイズを掛け、y座標にはパ
ターン配列の縦方向のサイズを掛ける操作を行なう。そ
の結果、図17のマスク内の座標1701は、マスク内
の1画素が1パターン配列に拡大された先頭座標170
2となる。
【0262】この先頭座標から図19に示されるパター
ン配列を用いると、パターン配列の大きさを持つ領域1
703に重なり合わず埋め込みを行なうことが可能にな
る。座標(x,y)は座標(x,y)に変化するが、配列S[bit][n
um]のbitとnumは変化しない。従って、配列S[bit][num]
のbitに相当する付加情報Infを(x,y)をパターン配列を
埋め込む先頭位置とし、複数のビット情報の埋め込みが
可能になる。
【0263】なお、マスク・パターン配列対応手段11
03によりコーンマスクの各係数が、8×8のパターン
配列に展開(拡大)された大きなマスクを、拡大マスク
と呼ぶ。上記拡大マスクのサイズは、(32×8)×
(32×8)サイズとなり、このサイズが付加情報Inf
を少なくとも1つ埋め込む為に必要な最低限の画像単位
(マクロブロックとする)となる。
【0264】なお、本実施の形態例では、パターン配列
決定手段0110でも述べた様に、パターン配列の大き
さは、8×8に限るものではない。本発明においてパタ
ーン配列及びパッチの大きさは、パターン配列決定手段
0103で、画像の解像度或いはプリンタの出力解像度
に応じて選択決定(最適化)される。パターン配列の大
きさが8×8でない場合でもマスク・パターン配列対応
手段1103は、同様の手段を用いて、付加情報Infの
埋め込み位置を決定することが可能である。
【0265】以上がマスク・パターン配列対応手段11
03で行われる操作である。一般的に小さなマスクは大
きなマスクより作成時にドットの配置位置に自由度が少
なく、コーンマスクの様な所望の特性を持つマスクの作
成が難しい。例えば小さなマスクを画像データの全体に
繰り返し割り当てることで付加情報Infを埋め込む場合
には、小さなマスクの持つ空間周波数が画像データ全体
に出現する。
【0266】その一方で、一つのマスクからは完結した
付加情報Infが抽出されるので、マスクのサイズを大き
く設定することによって、切り抜き耐性(部分的な画像
データwI’から付加情報Infを抽出できる可能性)は小
さくなってしまう。ゆえに、上記切り抜き耐性と画質劣
化のバランスを考慮し、マスクのサイズを決定する必要
がある。以上が図1の埋め込み位置決定手段0103で
行われる処理である。
【0267】[付加情報埋め込み処理]以上の様にして決
定された、画像データへの各ビット情報の埋め込み位置
を参照して、図1の付加情報埋め込み手段0104は実
際に付加情報Infを埋め込む。図10に本実施の形態例
における付加情報Infを繰り返して埋め込む処理の動作
の流れを示す。図10に示す方式では、画像全体に割り
当て可能なマクロブロックを複数個割り当て、更に、こ
れら全マクロブロックに対してまず1ビット目のビット
情報を繰り返して埋め込み、続いて2ビット目、3ビッ
ト目…という様に繰り返して埋め込む。これは未だ埋め
込み処理が行われていないビット情報が有れば、未処理
のマクロブロックの全てに1001〜1003の埋め込
み処理を施す手順により構成されている。
【0268】しかしながら、本実施の形態例における本
実施の形態例はこの順序に限らず2つのループ処理の内
外関係を逆にしても良い。即ち、未処理のマクロブロッ
クが有れば、これに対して未だ埋め込んでいないビット
情報を全て埋め込む手順に変更しても良い。
【0269】具体的には付加情報Infの埋め込みは、埋
め込まれる各ビット情報が“1”の場合には図9のパタ
ーン配列を加える。また埋め込むビットが“0”の場合
には図9のパターン配列を減ずる、即ち図9の正負符号
を反転したものを加算する。
【0270】上記加減算の処理は、図10における切り
替え手段1001を、埋め込むビット情報に応じて切り
替え制御することによって実現される。即ち、埋め込ま
れるビット情報が“1”の時は加算手段1002に接続
し、上記ビット情報が“0”の時は減算手段1003に
接続する。これら1001〜1003の処理はビット情
報とパターン配列の情報を参照しながら行われる。
【0271】ここで上記ビット情報の1つが埋め込まれ
る様子を図19に示す。同図では埋め込まれるビット情
報が“1”、即ちパターン配列を加える場合の例を示
す。図19に示す例では、I(x,y)が元の画像、P(x,y)が
8×8のパターン配列である。8×8のパターン配列を
構成する各係数は、このパターン配列と同じサイズの元
の画像データ(青色成分)に重ね合わせられ、同位置の
値同志が加減算される。その結果、I'(x,y)が算出さ
れ、ビット情報が埋め込まれた青色成分の画像データと
して図1の色成分合成手段0105へ出力される。
【0272】上述した8×8のパターン配列を用いた加
減算処理を、上記対応表2で決定された埋め込み位置
(各ビット情報を埋め込む為のパターン配列を割り当て
た位置)の全てに対して繰り返し行なう。
【0273】なお、本実施の形態例では、パターン配列
決定手段0110の説明において述べた様に、パターン
配列の大きさは、8×8に限るものではない。本発明に
おいてパターン配列及びパッチの大きさは、パターン配
列決定手段0110で、画像の解像度或いはプリンタの
出力解像度に応じて選択決定(最適化)される。パター
ン配列の大きさが8×8でない場合でも付加情報埋め込
み手段0104は、同様の手段を用いて、付加情報Inf
を埋め込むことがが可能である。
【0274】次に、図10の内部のループ処理が行われ
る様子を図18に示す。図18では、各ビット情報を繰
り返し埋め込む為に、画像データ全体1801(180
3)全体に、マクロブロック1802を左上から右下ま
でラスタ順に繰り返し割り当てて埋め込み(図10の1
001〜1003)を行なう。
【0275】付加情報埋め込み手段0104により以上
の操作が行われ、付加情報Infが画像全体に埋め込まれ
る。以上の処理により、画像データ中に付加情報Infが
埋め込まれる。この付加情報Infが埋め込まれた画像デ
ータの各画素が、十分少ないドット数で表現されるので
あれば、パターン配列の大きさも十分小さくなるので、
これらパターン配列の1つ1つ非常に小さい点でしか人
間の目には知覚されない。よって、コーンマスクの空間
周波数特性も維持され、人間の目に見えにくい。
【0276】[ファイルの圧縮と伸長]本実施の形態例で
は、付加情報埋め込み手段0104で付加情報が埋め込
まれた後、ファイルの圧縮・メモリ格納・ファイルの伸
長が行われる。ここでは、電子透かしが埋め込まれた画
像に対する圧縮を考慮した電子透かしの埋め込み設計法
について述べる。
【0277】[JPEG圧縮符号化]図39は視覚の色
度空間周波数特性を示した図である。それぞれの曲線
は、白−黒(単色)と、等輝度の反対の色対である赤−
緑、或いは黄−青からなる空間正弦波パターンを用い、
その空間正弦波パターンの周期及びコントラストを変化
させた時の上記パターンが人の目で認識できる限界を測
定することで得られる。
【0278】図39において、白−黒(明暗の情報)
は、約3[cycle/deg]で感度が最大になるが、色度(赤
−緑及び黄−青)は約0.3[cycle/deg]で感度が最大
になる。このことから、明暗の情報は画像の解像度など
細かな部分の識別に敏感で、色度は空間的に広い(空間
周波数が低い)部分の見え方に影響を与えることがわか
る。また、黄−青のパターンは赤−緑のパターンよりも
細かな空間情報の識別に関与していないこともわかる。
【0279】以上から、輝度成分しか持たないグレイス
ケール画像をそのまま変調して電子透かし情報を埋め込
む方法は、カラー画像データの色成分に電子透かし情報
を埋め込む方法に比べて、画質の劣化が目立ちやすいこ
とがわかる。また、RGBからなるカラー画像データに
対しては青色成分(B)へ電子透かし情報を埋め込む方
法が最も人間の目に目立たないといえる。
【0280】なお、色成分へ電子透かし情報を埋め込む
為に色成分に変化を与えた際、空間的に広い領域(空間
周波数が低い状態)で人間が目視すると色ムラとして目
立つが、空間的に狭い領域(空間周波数が高い状態)で
人間が目視すると、輝度に電子透かし情報を埋め込む場
合よりは目立ちにくくなる。
【0281】本実施の形態例では、1画素に1種類の要
素しか持たないグレイスケール画像には、1画素に複数
の要素を持つカラー画像データへの変換を施してから電
子透かし情報(付加情報Inf等)の埋め込みを行なうの
で、通常のグレイスケールのまま電子透かし情報を埋め
込む場合よりも画質の劣化を防ぐ効果が有る。
【0282】グレイスケールの画像データに電子透かし
情報を埋め込む場合とカラー画像データを構成する複数
種類の要素のうちの1種類にのみ電子透かし情報を埋め
込む場合とを比較すると、高解像度で画像出力を行なう
場合(1つの画素の値を少ないインクドットで階調表現
する場合等)には、後者の方が画質を良好に維持でき
る。
【0283】しかしながら、出力されるカラー画像デー
タ(ファイルサイズ)は、単純に考えると元の画像デー
タの約3倍になってしまうというデメリットもある。そ
こで本実施の形態例では、ファイルサイズをできるだけ
抑える為に、JPEG圧縮符号化手段0106におい
て、電子透かし情報が埋め込まれた画像データに、更に
JPEG圧縮符号化を施す。
【0284】一般的にJPEG圧縮符号化は、人間の視
覚特性を利用し、人間の視覚が敏感でない成分を除去す
ることでデータ量を縮小する技術である。一方の電子透
かし技術は、人間の視覚が敏感でない成分に情報を埋め
込む技術である。よって、JPEG圧縮符号化と電子透
かし技術とは共存しにくい技術であり、JPEG圧縮符
号化は一種の電子透かし情報への攻撃と考えられてい
る。以下にJPEG圧縮符号化への耐性を持たせる方法
について簡単に説明する。本実施の形態例で用いる図9
の様なパターン配列は、色差成分へのサブサンプリング
や量子化処理により、既にカラー画像データ中に埋め込
まれている付加情報が失われない様に設定されている。
【0285】まず、JPEG圧縮符号化方式について簡
単に説明する。JPEG圧縮符号化装置0106に入力
されるカラー画像データは、輝度(Y)と色差(Cr,C
b)に変換される。元の赤色成分(R)、緑色成分
(G)、青色成分(B)から構成されるカラー画像デー
タが入力された場合には、
【0286】Y = 0.29900×R+0.587
00×G+0.11400×B Cr= 0.50000×R−0.41869×G−
0.08131×B Cb=−0.16874×R−0.33126×G+
0.50000×B の式を用いて、元のカラー画像データを輝度(Y)と色
差(Cr,Cb)から構成される別のカラー画像データ
にフォーマット変換する。
【0287】輝度成分と色差成分に分解された画像デー
タは、画像左上からラスタ順に図40に示される8×8
画素のブロックに分割される。JPEG圧縮符号化では
この8×8ブロック毎に圧縮符号化の処理を繰り返し行
なう。
【0288】次に、JPEG圧縮符号化の色成分のサン
プリング処理について述べる。JPEG圧縮符号化では
8×8画素毎にサンプリングオプションのサンプリング
比に従い、色差成分のサンプリングが行われる。
【0289】図41は画像データのサンプリングの様子
を示したものである。以下、JPEG圧縮符号化におけ
る4:2:2のサンプリングの手順を示す。図41にお
いて、4101は4×4画素の輝度成分を示している。
輝度成分に対しては、視覚的に重要な情報が多いので、
間引き処理は行なわれず、4×4画素はそのまま出力さ
れる。
【0290】4103は4×4画素の色差成分(Cr,
Cb)を示している。色度成分に対しては、、それほど
視覚的に敏感でないので、水平、又は垂直方向の2画素
に対して1画素の間引きが行われる。その結果、4×4
画素の色差成分(Cr,Cb)は4×2画素4104に
変換される。以上のサンプリングを行なうと8×8画素
の色差成分は8×4画素に減少する。
【0291】従って、4:2:2のサンプリングの結
果、8×8画素分の輝度成分Y、色差成分Cr、色差成
分Cbは、各々、8×8画素、8×4画素、8×4画素
になる。上記サンプリングされた各画素には公知の手順
で、DCT(離散コサイン変換)演算、量子化、ジグザ
グスキャン、ハフマン符号化等が行われる。
【0292】また、人間の視覚特性は高周波数成分にそ
れほど敏感でないことを利用し、DCT係数の高周波成
分への量子化ステップ数を少なくすることで効率良く圧
縮される。また、輝度より色差成分の方が全体的に量子
化ステップ数が少なくなる様に量子化が施される。
【0293】次に以上の圧縮符号化処理に耐性を有する
パターン配列について考察する。図42に、上述した図
9のパターン配列を再度示す。図42において、+cの
正の要素を持つ領域4201を正のパッチ、−cの負の
要素を持つ領域4202を負のパッチと呼ぶこととす
る。このとき、各パッチは図40で示された8×8画素
からなる最小符号化単位4001において、低周波成分
に情報を偏らせることで、JPEG圧縮耐性を強めるこ
とができる。ただし、本実施の形態例はこれに限らず、
最小符号化単位を16×16画素として各種設定を行っ
ても良い。
【0294】また、4:1:1(色差成分を縦、横方向
に1画素おきに間引く)、4:2:2(色差成分を縦、
または横方向に1画素おきに間引く)サンプリングを行
なう場合には、各パッチをサンプリングに応じて縦かつ
/又は横方向に2画素の整数倍の幅を持たせたサイズに
すると、サンプリングに対する耐性を強めることができ
る。
【0295】即ち、 (1)各パッチは最小符号化単位(8×8画素)で低周
波に偏ったものを用いる。 (2)各パッチのサイズは、サンプリング方法に応じ
て、縦かつ/又は横方向へ2×N(Nは整数)画素とす
る。なお、JPEG圧縮符号化が施される各領域(8×
8画素)において、各パッチが低周波成分を有する為に
は、パターン配列を割り当てる画像上の位置、及びパタ
ーン配列の各サイズ(図9では8×8画素)が、符号化
が施される各領域と同期することが好ましい。
【0296】即ち、 (3)パターン配列のサイズ、埋め込み位置をJPEG
圧縮符号化が施される単位サイズと同期させる。 以上の条件を考慮して、例えば図9の様なパターン配列
を用いて付加情報Infを埋め込む様にすれば、JPEG
圧縮符号化後であっても電子透かし情報(付加情報In
f)を画像データに残留させることができ、JPEG圧
縮符号化に対して耐性を有すると言える。なお本実施の
形態例は、色成分抽出手段0101において、グレイス
ケール(単色)画像を直接Y(輝度)Cr、Cb(色
差)成分に変換し、この内のCb成分のみに付加情報In
f等を電子透かしとして埋め込む変調を行なう場合も範
疇に含む。この場合には、JPEG圧縮符号化手段にて
輝度、色差成分への変換を行なわなくて済み、処理工程
が少なくなる。
【0297】また、色成分抽出手段0101にて、グレ
イスケール(単色)画像を、後段で印刷する際に適した
Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K
(黒)成分に直接変換し、この内のY成分のみに電子透
かしとして付加情報Inf等を埋め込む変調を行なう場合
も範疇に含む。この場合には、印刷手段の直前で色成分
を変換する工程を省略できる。
【0298】即ち本実施の形態例においては、上記埋め
込みを行なう為の成分が青色成分、Cb成分、Y成分に
限らず、1画素を構成する全ての成分における一部の成
分に付加情報Inf等を埋め込む場合を範疇に含む。
【0299】[メモリ格納]上記JPEG圧縮符号化に
より得られた符号化データは、メモリに一旦格納され
る。この符号化データは、外部機器への送信、或いは図
1の装置の後段に接続するプリンタの印刷のタイミング
に合わせて、上記メモリからJPEG伸長復号化手段0
108へ読み出される。
【0300】なお、本実施の形態の様にグレイスケール
の画像データを一旦カラー画像データに変換し、青色成
分に変調を加え、更に輝度、色差成分からなるカラー画
像データに変換してJPEG圧縮した場合の符号化デー
タは、元のグレイスケールの画像をそのまま輝度、色差
成分からなるカラー画像データに変換してJPEG圧縮
符号化した場合の符号化データ量と比較して、色差成分
に多少のデータ増加が生じるものの、メモリ容量の大幅
な増加には繋がらないという効果が有る。
【0301】即ち、電子透かし情報が元の画像データに
埋め込まれた後に、JPEG圧縮符号化が施されること
を前提に考えれば、本実施の形態の様なグレイスケール
の画像データへの電子透かし情報(付加情報Inf等)の
埋め込み方法は、通常のグレイスケールの画像データを
そのまま変調して電子透かし情報を埋め込む方法と比較
して、全体的なデータ量をそれ程大きくせずに画質の向
上が計れるという利点が有る。
【0302】[JPEG伸長復号化]JPEG伸長復号
化手段0108は、外部機器への送信、或いはプリンタ
0109による印刷のタイミングに合わせて、メモリ0
107から符号化データを読み出し、上記圧縮の方式の
逆の手順を用いてカラー画像データを復号化する。
【0303】[レジストレーション処理]次に、電子透
かし抽出装置側に備えられる、図2におけるレジストレ
ーション手段0203について詳細を説明する。レジス
トレーション手段0203とは、付加情報抽出手段02
04の前段に位置する手段であり、付加情報Inf抽出処
理の前処理である。レジストレーション手段0203に
は、前段の色成分抽出手段0202により抽出された青
色成分の画像が入力される。
【0304】レジストレーション手段0203では、電
子透かし埋め込み装置から出力された画像データwIと、
電子透かし抽出装置に入力された画像データwI’のスケ
ールの違いが補正される。
【0305】本実施の形態例におけるレジストレーショ
ン手段0203の詳細を図7に示す。図7に示す様に、
レジストレーション手段0203は、ブロック分割手段
0701、フーリエ変換手段0702、インパルス抽出
手段0703、スケーリング率算出手段0704、スケ
ーリング手段0705から構成される。
【0306】ブロック分割手段0701では、上述した
レジストレーション信号埋め込み手段0102(ブロッ
ク分割手段0401)と同様のブロック分割処理が行わ
れる。この処理によって、一般的にはレジストレーショ
ン信号埋め込み手段0102(ブロック分割手段040
1)と同様のブロックを抽出することは困難である。こ
れは電子透かし情報が埋め込まれた画像データwIが印刷
系の処理を施されることによって、大きさが変化し、更
に位置がずれることによるものである。
【0307】しかし、このブロックの抽出はある程度違
っていても問題はない。これは、電子透かし埋め込み装
置において、レジストレーション信号が画像データのう
ち振幅スペクトルに埋め込まれているからである。振幅
スペクトルは、画像データの空間領域における位置ずれ
には影響されないという性質がある。よって、電子透か
し埋め込み装置と電子透かし抽出装置の夫々において、
各々のブロック分割手段により分割されたブロックが、
空間領域で多少の位置ずれが生じていても問題はない。
【0308】ブロック分割手段0701はブロック分割
した画像データをフーリエ変換手段0702に出力す
る。フーリエ変換手段0702は上述したレジストレー
ション信号埋め込み手段0102の場合と同様に、空間
領域の画像データを周波数領域の画像データに変換す
る。フーリエ変換された周波数領域の画像データは振幅
スペクトルと位相スペクトルによって表現される。この
うち振幅スペクトルだけがインパルス抽出手段0703
に入力される。一方で、位相スペクトルは破棄される。
【0309】周波数領域に変換された画像データはイン
パルス抽出手段0703に入力される。インパルス抽出
手段0703では、周波数領域に変換された画像データ
からインパルス性の信号だけを抽出する。即ち、既に画
像データに埋め込まれている図5の0502,0503,
0504,0505を抽出する。
【0310】これは公知の画像処理技術を用いて行なう
ことが可能である。例えば、周波数領域に変換された画
像データを閾値処理することで実現できる。この例を図
8(a)に示す。図8(a)にはインパルス抽出手段0703
に入力された振幅スペクトル0801を閾値0802に
よって閾値処理する様子を示す。なお説明の為、図8に
おいて変換された画像データを1次元で表現した。適当
な閾値0802を選択することによってインパルス信号
を抽出することが可能である。しかしながら、低域に存
在するインパルス信号と同じ程度の大きさを持つ様な本
来の画像データも同時に抽出してしまう。
【0311】この問題を解決した本実施の形態の方式を
図8(b)に示す。周波数領域に変換された画像データ0
801に対して2次微分処理を施す。これはラプラシア
ンフィルタ等を施すことに等しい。周波数領域に変換さ
れた画像データ0801に対して2次微分を施したもの
を0803に示す。このデータ0803に対して適当な
閾値0804を選択し閾値処理を施すことによって、イ
ンパルス信号を抽出可能である。
【0312】このインパルス信号の抽出に関してもう少
し詳細な原理を図26を用いて説明する。なお、この図
では上述したレジストレーション信号埋め込み側の処理
も記載している。レジストレーション信号埋め込み手段
0102においては、空間領域の画像データ2601が
周波数領域に変換され画像データ2602となり、周波
数領域においてインパルス信号2603が加えられる。
【0313】インパルス信号(レジストレーション信
号)2603が加えられた周波数領域の画像データは、
逆周波数変換されることによって空間領域の信号260
1’へ再び戻る。再び空間領域へ戻された画像データ2
601’にはインパルス信号が付加された影響があるは
ずであるが、人間の目には知覚しにくく、実質的には画
像データ2601と画像データ2601’は同一物に見
える。これは、周波数領域で加えられたインパルス信号
2603が逆フーリエ変換によって、画像データ全体に
小さな振幅で分布するからである。
【0314】図26の2603の様なインパルス信号が
加えられた場合は、ある一定の周波数成分を持つ画像デ
ータが空間領域に加えられたことに等しくなる。この加
えられたインパルス信号が人間の知覚できる周波数より
も大きく、更に振幅が人間の知覚できる限度以下である
ならば、加えられたインパルス信号は人間の目には見え
ない。よって、上記レジストレーション信号の埋め込み
自体も一種の電子透かし処理であると言える。
【0315】なお、本実施の形態例では画像データ26
01にレジストレーション信号2603が埋め込まれ、
更に実際に埋め込むべき付加情報Infが埋め込まれた
後、空間領域の信号2601’を復元する。
【0316】図26の様に埋め込まれたレジストレーシ
ョン信号は、抽出の際に再びフーリエ変換が施される。
これによって、空間領域では一度画像データ全体に拡散
されたレジストレーション信号2603が、周波数領域
に変換され再びインパルス信号として現れる。
【0317】電子透かし情報が埋め込まれた画像がJP
EG圧縮等の非可逆圧縮などの攻撃を受けた場合、この
インパルスは振幅が小さくなる可能性が高い。一方で、
スケーリングなどの幾何的な攻撃を受けた場合、このイ
ンパルスはその位置が移動する。いずれの場合も上述し
た様な適当なインパルス抽出処理を施すことによって、
インパルス信号は抽出可能であり、元の画像データから
の変化を推測できる。この変化を補正すれば本実施の形
態例で埋め込まれる付加情報Infを確実に抽出できる状
態を作り出せる。
【0318】以上の処理により、図7のインパルス抽出
手段0703からは上述したインパルス信号が出力さ
れ、スケーリング率算出手段0704に入力される。ス
ケーリング率算出手段0704は、入力されたインパル
ス信号の座標を用いてどの様なスケーリングが施された
かを算出する。
【0319】本実施の形態の電子透かし抽出装置側で
は、予めどの周波数成分にインパルス信号を埋め込んだ
かを知っているものとする。この場合には、この予め埋
め込まれた周波数と、インパルスが検出された周波数の
比によりスケーリング率を算出することが可能である。
例えば、予めインパルス信号が埋め込まれた周波数を
a、検出されたインパルス信号の周波数をbとすると、a/
b倍のスケーリングが施されていることがわかる。これ
は良く知られたフーリエ変換の性質である。以上の処理
により、スケーリング率算出手段0704からはスケー
リング率が出力される。
【0320】しかしながら本実施の形態例はこれに限ら
ず、電子透かし埋め込み装置側から必要に応じてレジス
トレーション信号を埋め込んだ位置(周波数)の情報を
受信する様にしても良い。
【0321】例えばこの位置情報は暗号化信号として受
信し、上記スケーリング率の算出処理を行なう形態も本
実施の形態例の範疇に含まれる。こうすることによっ
て、付加情報Infを正しく抽出できるのはレジストレー
ション信号を知っている人だけとなる。この場合、レジ
ストレーション信号を付加情報Infを抽出する為の鍵と
して使用できる。
【0322】スケーリング率算出手段0704から出力
されたスケーリング率は、スケーリング手段0705に
入力される。スケーリング手段0705には画像データ
wI1'も入力され、画像データwI1'は入力されたスケーリ
ング率によってスケーリング処理が施される。スケーリ
ング処理はバイリニア補間やバイキュービック補間など
種々のものが適応可能である。そして、スケーリング手
段0705からはスケーリング処理が施された画像デー
タwI2'が出力される。
【0323】なお、本実施の形態例では、スケーリング
率算出手段0704は、もう一つの目的のために、図1
のパターン配列算出手段0204に、スケーリング率を
出力する。
【0324】一つは既に述べたように、画像データwI1'
をスケーリング処理により画像データwI2'にスケーリン
グ処理するためであるが、もう一つは、図2のパターン
配列算出手段0204において、この出力されたスケー
リング率を元に埋め込みに用いたパターン配列を判定す
るためである。
【0325】ここで、レジストレーション信号埋め込み
処理として、図50に示すような手段構成の方法を用い
た場合についてのレジストレーション信号の抽出につい
て図53を用いて説明する。
【0326】図53は、図7に示す手段構成に加えて、
更に周波数特性判定手段5303が加わった手段構成で
ある。これ以外の処理は図7に示す手段構成と図53に
示す手段構成は等しいので説明は省略する。
【0327】フーリエ変換手段5302によって算出さ
れた振幅スペクトルは、インパルス抽出手段5304に
加えて、周波数特性判定手段5303に入力される。周
波数特性判定手段5303の処理は、図50の周波数特
性判定手段5003と等しい。即ち、画像信号が「比較
的高周波成分が少ない」画像信号か、或いは「比較的高
周波成分が多い」画像信号かが判定される。
【0328】判定された結果は後段のスケーリング率算
出手段5305に入力される。スケーリング率算出手段
5305では、前述したように予め埋め込まれた周波数
と、インパルスが検出された周波数の比によってスケー
リング率を算出することが可能である。この時、予め埋
め込まれた周波数を判定するために、前段の周波数特性
判定手段5303の出力を利用する。
【0329】即ち、「比較的高周波成分が少ない」画像
信号であると判定された画像信号に対しては第1のレジ
ストレーション信号r1が用いられ、一方で「比較的高
周波成分が多い」画像信号であると判定された画像信号
に対しては第2のレジストレーション信号r2が用いら
れると判定し、判定されたレジストレーション信号を用
いてスケーリング率が算出される。
【0330】以上の処理により、レジストレーション手
段に入力された画像をwI1’だけを用いて、埋め込み
時に用いられたレジストレーション信号を特定し、スケ
ーリング率を算出することが可能である。
【0331】しかしながら本発明はこれに限らず、電子
透かし埋め込み装置側から必要に応じてレジストレーシ
ョン信号を埋め込んだ位置(周波数)の情報を受信する
ようにしても良い。例えば、この位置情報を暗号化信号
として受信し、上記スケーリング率の算出処理を行なう
形態も本実施の形態例の範疇に含まれる。こうすること
によって、付加情報Infを正しく抽出できるのはレジ
ストレーション信号を知っている人だけとなる。この場
合、レジストレーション信号を付加情報Infを抽出す
るための鍵として使用できる。
【0332】[付加情報抽出処理]次に、図1の付加情
報埋め込み手段0103で付加情報Infが埋め込まれた
画像データwI’の青色成分からこの付加情報Infを抽出
する図2の付加情報抽出手段0204の動作について述
べる。本実施の形態例における付加情報Infの抽出処理
の一連の流れを図20に示す。
【0333】図20に示す様に、本実施の形態例におい
ては、図2のレジストレーション処理0202からスケ
ーリング率がパターン配列判定手段2001に入力さ
れ、埋め込みに用いたパターン配列が判定される。
【0334】[パターン配列判定手段]スケーリング処理
された画像データwI2は、付加情報抽出手段0204の
内部に入力される。このとき、図1のパターン配列決定
手段0110において、パターン配列が画像の解像度と
プリンタの出力解像度に応じて決められた場合、画像の
解像度とプリンタの出力解像度を知ること無しには、埋
め込みに用いたパターン配列を判断することが出来な
い。埋め込みに用いたパターン配列がわからない場合
は、付加情報Infの抽出を行なうことはできない。
【0335】本実施の形態例では、パターン配列判定手
段2001において、レジストレーション手段0202
から入力されるスケーリング率から、付加情報Infを埋
め込んだ場合のパターン配列を判定する。
【0336】印刷物pwI’をスキャンしたときのスキャ
ナの入力解像度は固定で、プリンタの出力解像度はわか
っているものとし、スケーリング率からパターン配列を
判定する手段について述べる。
【0337】印刷物pwIを図2のスキャナ0201で6
00ppiの入力解像度でスキャンを行い、画像データ
wIが得られる。このときプリンタの出力解像度は120
0dpi、スキャナの入力解像度は600ppiである
とする。
【0338】画像データwIは色成分抽出手段0202に
入力され、色成分が抽出され画像データwI1が出力され
る。この画像データwI1はレジストレーション手段02
03に入力され、レジストレーション手段0202の内
部のスケーリング率算出手段0704から、スケーリン
グ率及びスケーリング済み画像wI2が付加情報抽出手段
0204に出力される。
【0339】付加情報抽出手段0204に入力されたス
ケーリング率はパターン配列判定手段2001に入力さ
れる。例として、スケーリング率0.80を持つ電子透
かしが埋め込まれた画像wIについて考えてみる。
【0340】スケーリング率及びスキャナの入力解像度
から、画像は、 600ppi×0.80=480ppi の画像の解像度でプリンタから出力されていたことがわ
かる。
【0341】今、画像の解像度500ppiを閾値と
し、500ppi未満では、パターン配列は図49の4
901(8×8のパターン配列)で埋め込みを行なう。
一方、500ppi以上では、パターン配列は図49の
4903(12×12のパターン配列)で埋め込みを行
なう対応関係を階調変換を考慮して規定した場合には、
スケーリング率0.80を持つ電子透かしが埋め込まれ
た画像wIは、図49のパターン配列4901(8×8の
パターン配列)を用いて埋め込みが行われたことがわか
る。
【0342】以上の様にして、パターン配列判定手段2
001ではスケーリング率から付加情報Infの埋め込み
に用いたパターン配列を判定し、後段の埋め込み位置決
定手段2002に出力する。なお、図49のパターン配
列4901に対応する直交するパターン配列4902及
び、パターン配列4903に対応する直交するパターン
配列4904は、図20の第2のパターン配列による抽
出手段2005において用いられる。直交するパターン
配列については、後に詳しく説明する。
【0343】[埋め込み位置決定処理]次に、埋め込み位
置決定手段2002において、画像データwI2'(青色成
分)中のどの領域から付加情報Infを抽出するかを決定
する。この埋め込み位置決定手段2002によってなさ
れる動作は、前述した埋め込み位置決定手段0103と
同じであり、その為、0103と2002によって決定
される領域は同一のものとなる。
【0344】決定された領域から、前述した対応表2を
用い、更に図9に示されるパターン配列を用いて付加情
報Infが抽出される。ここで、付加情報Infの抽出は、決
定された領域に対してパターン配列を畳み込むことによ
って実現される。
【0345】なお、パターン配列を、画像の出力解像度
に応じて可変にしてある場合には、図20のパターン配
列判定手段2001から入力されるパターン配列を、付
加情報Infの抽出に用いることとする。以降は、図20
のパターン配列判定手段2001から入力されるパター
ン配列が8×8であった場合についてのみ説明を行なう
が、その他のパターン配列の場合でも、同様の操作を行
なう。
【0346】[信頼度距離演算手段]信頼度距離dは埋め
込んだ情報を抽出する際に必要となる計算値である。各
ビット情報に対応する信頼度距離dを求める方法を図6
に示す。まず始めに、図中の畳み込み演算手段0601
で行なう処理を図21及び図22を用いて説明する。図
21及び図22に、付加情報Infを構成する1ビットの
情報を抽出する例を示す。
【0347】図21は付加情報Infを構成するある1ビ
ット情報が埋め込まれた画像データ(青色成分)I''(x,
y)に対してこの1ビット情報の抽出処理を行った例、そ
して図22は上記1ビット情報が埋め込まれていない画
像データI''(x,y)に対して1ビット情報の抽出処理を行
なおうとした例である。
【0348】図21において、I''(x,y)が1ビット情報
が埋め込まれた画像データ、P(x,y)が畳み込み処理に用
いられる8×8のパターン配列(付加情報Inf抽出用の
パターン配列)である。この8×8のパターン配列を構
成する各要素(0,±c)は、入力画像データI''(x,y)
の同位置に配置されている画素値に積算され、更に各積
算値の和が算出される。即ち、I''(x,y)に対してP(x,y)
が畳み込まれる。
【0349】ここで、I''(x,y)は、画像データI'(x,y)
が攻撃を受けた場合の画像を含んだ表現である。攻撃を
受けていない場合には、I''(x,y)=I'(x,y)である。I''
(x,y)に1ビット情報が埋め込まれている画像である場
合には、畳み込みの結果、図21に示す様に非零の値が
得られる可能性が非常に高い。特にI''(x,y)=I'(x,y)の
時には畳み込みの結果は32c2となる。
【0350】なお、本実施の形態例では、埋め込みに用
いるパターン配列と抽出に用いるパターン配列は同様の
ものを用いている。しかしながら、本実施の形態例は以
上の例に限定されるものではない。一般的には、埋め込
みに用いるパターン配列をP(x,y)、抽出に用いるパター
ン配列をP(x,y)とした場合には、P(x,y)=aP(x,y)という
関係に変形できる。ここでaは任意の実数であり、本実
施の形態例では、簡単の為、a=1の場合について説明す
る。
【0351】一方、図22に示す例では、上述の演算と
同様の演算が1ビット情報が埋め込まれていない画像デ
ータI''(x,y)に対して施されている。原画像(画像デー
タIに相当)からは畳み込み演算の結果、図22に示す
様に零の値が得られる。
【0352】以上、図21及び図22を用いて1ビット
情報の抽出方法を説明した。しかし、以上の説明は、付
加情報Infが埋め込まれる対象の画像データIにおいて畳
み込み演算の結果が0である場合であり、非常に理想的
な場合である。一方で、実際の画像データIの8×8の
パターン配列に相当する領域においては畳み込み演算の
結果が0であることはなかなか少ない。
【0353】即ち、原画像(画像データI)における8
×8のパターン配列に相当する領域について、図9のパ
ターン配列(コーンマスクも配置情報として参照)を用
いて畳み込み演算を行った場合、理想と異なり、非零の
値が算出されることもある。
【0354】逆に、付加情報Infが埋め込まれた画像
(画像データwI)における8×8のパターン配列に相当
する領域について、同じく畳み込み演算を行った結果が
“32c2“でなく“0”になってしまうこともある。
しかしながら、付加情報Infを構成するビット情報の夫
々は、通常、元の画像データに複数回埋め込まれてい
る。即ち付加情報Infが画像に複数回埋め込まれてい
る。
【0355】よって畳み込み演算手段0601は、付加
情報Infを構成する各ビット情報に1ついて、夫々複数
の畳み込み演算結果の和を求める。例えば、付加情報In
fが8ビットであれば、8個の和が得られる。この各ビ
ット情報に対応する和は平均計算手段0602に入力さ
れ、夫々が全マクロブロックでの各ビット情報に対応す
るパターン配列の繰り返しの数nで割られて平均化され
る。この平均値が信頼度距離dである。即ち、この信頼
度距離dは、図21の“32c2”と“0”のどちらに類
似しているかを多数決的に生成した値である。
【0356】ただし、信頼度距離dは、先のパッチワー
ク法の説明ではd = 1/N Σ(ai-bi)と定義していたの
で、厳密には信頼度距離dは、P'(x,y) = 1/c P(x,y)を
用いて畳み込み演算を行った結果の平均値である。しか
しながら、P'(x,y) = aP(x,y)を用いて畳み込み演算を
行っても、畳み込み演算結果の平均値は、上記信頼度距
離dの実数倍になっているだけであり、本質的には同様
の効果が得られる。
【0357】よって本実施の形態例においては、P'(x,
y) = aP(x,y)を用いた畳み込み演算結果の平均値を信頼
度距離dに用いることも十分可能である。以上のように
して求められた信頼度距離dは0603の記憶媒体に蓄
えられる。
【0358】畳み込み演算手段0601は、付加情報In
fを構成する各ビットについて上記信頼度距離dを繰り返
し生成し、順次記憶媒体0603に格納する。この演算
値に関してもう少し詳細な説明をする。元の画像データ
Iに対して図9のパターン配列(コーンマスクも配置情
報として参照)を用いて算出される信頼度距離dは理想
的には0である。しかしながら実際の画像データIにお
いては、この値は非常に0に近くはあるが非零の値が多
い。各ビット情報について発生する信頼度距離dの頻度
分布を調べると、図23の様になる。
【0359】図23において、横軸は、各ビット情報毎
に発生する信頼度距離dの値であり、縦軸はその信頼度
距離dを生じる畳み込みが行われたビット情報の数(信
頼度距離dの出現頻度)を示している。図を見ると正規
分布に類似していることがわかる。また、元の画像デー
タIにおいては信頼度距離dは必ずしも0ではないが、そ
の平均値は0(或はそれに非常に近い値)である。一方、
元の画像データIではなく、図19の様にビット情報
“1”を埋め込んだ後の画像データ(青色成分)をI’
(x,y)に上記畳み込みを行った場合には、信頼度距離dは
図24に示す様な頻度分布となる。即ち、図の様に図2
3の分布形状を保ったまま、右方向にシフトしている。
この様に、付加情報Infを構成するある1ビットを埋め
込んだ後の画像データは、信頼度距離dが必ずしもcと
いう訳ではないが、その平均値はc(或はそれに非常に
近い値)となる。
【0360】なお、図24ではビット情報“1”を埋め
込んだ例を示したが、ビット情報“0”を埋め込んだ場
合は図23に示した頻度分布が、左にシフトすることに
なる。
【0361】以上説明した様に、パッチワーク法を用い
て付加情報Inf(各ビット情報)を埋め込む場合には、
埋め込むビット数(パターン配列の使用回数)を出来る
だけ多くした方が、図23及び図24に示す様な統計的
分布が正確に現れやすい。即ち、付加情報Infを構成す
る各ビット情報が埋め込まれているか否か、或いは埋め
込まれているビット情報が“1”か“0”かを検出でき
る精度が高くなる。
【0362】[オフセット合わせ処理]次にオフセット合
わせ手段2003の構成について解説する。オフセット
合わせ手段2003には、適切なスケーリングを施され
た後の画像データwI2'が入力される。この後、図6の信
頼度距離演算を用い、スタートビットを検出する。
【0363】なお、オフセット合わせ手段2003はス
タートビットInf1の5ビット分に対応する5つの信頼度
距離だけを生成する。スタートビットInf1とは、図36
に示す様に、付加情報埋め込み手段0104において予
め埋め込んである付加情報Infの一部であり、本実施の
形態例では5ビット分である。これらスタートビットIn
f1は、概念的には最初の5ビット分であるが、付加情報
Infが埋め込まれている画像においては隣接、密集して
存在する訳ではなく、むしろ点在している。これは、対
応表2のコーンマスクを構成する各係数値に対応付けて
順に埋め込まれる為である。
【0364】本実施の形態例におけるオフセット合わせ
手段2003の処理を図28を参照して以下に説明す
る。図28は本実施の形態例におけるオフセット合わせ
手段2003の処理を説明するためのフローチャートで
ある。以下の説明は図28のフローチャートの流れに沿
って行なう。
【0365】オフセット合わせ手段2003では、入力
された画像データwI2'に対して、ステップ2801によ
り、まず最も左上の座標を埋め込み開始座標と仮定す
る。同時に、最大値MAXを0に設定する。そして、ステ
ップ2802により、図6の信頼度距離演算手段を用い
て、スタートビットの検出を試みる。
【0366】ここで得られた1〜5番目のビット情報
が、ステップ2803により正しいスタートビット「1
1111」であるかどうかを判定する。この点が正しい
埋め込み開始座標であれば検出結果として5つの連続し
た正の信頼度距離dが検出されるが、そうでない場合に
は正の信頼度距離dが5つ連続しないことが多い。上記
判断を順次行い、正しいスタートビットInf1が検出でき
る位置を、埋め込み開始座標であると決定すれば良い。
【0367】しかしながら、実際のところ埋め込み開始
座標以外の点でも正しいスタートビットInf1が検出され
てしまう場合も有り得る。この原因を図27を用いて説
明する。
【0368】図27は、本実施の形態例で用いるパッチ
ワーク法で埋め込まれた付加情報Infを抽出する為、付
加情報Infの埋め込み時に用いたものと同一のパターン
配列(2702、2705)(コーンマスクも配置情報
として参照)を用いて、畳み込みを行いながら本来のマ
クロブロックの位置(2701、2703、2704)
を探索する様子を示している。左の図から右の図へ向か
って探索が連続的に進んでいるものとする。
【0369】図27では、簡単の為、画像データwI2'の
一部である1つのマクロブロック(付加情報Infが抽出
できる最小単位)に注目している。この図の1マスは1
ビット情報を埋め込む為のパターン配列の大きさの概念
を示している。図27左において、2701と2702
の関係を有する場合、即ち2702が実際のマクロブロ
ック2701よりも左上に位置して場合、元の画像と付
加情報Inf抽出用のパターン配列の位置は、斜線領域の
みで重なっている。
【0370】また図27の中央には、更に探索を進め、
探索中の位置と実際のマクロブロックの位置が完全に一
致している場合が示されている。この状態では、畳み込
み対象のパターン配列とマクロブロックが最大面積重な
っている。
【0371】更に、図27の右においては、探索中の位
置が実際に付加情報Infが埋め込まれているマクロブロ
ックの位置よりも右下に位置している。この状態では、
この状態では、畳み込み対象のパターン配列とマクロブ
ロックは斜線領域のみで重なる。
【0372】図27の全ての場合において、畳み込み対
象のパターン配列とマクロブロックが十分に重なってい
れば正しいスタートビットInf1を抽出することが可能で
ある。ただし、これら3つの場合は重なる面積が異なっ
ているので信頼度距離dが異なる。
【0373】上記重なる面積は前述した信頼度距離dに
置き換えて考えることができる。即ち、畳み込み対象の
パターン配列とマクロブロックの位置関係が完全に一致
していれば、各ビット情報共に信頼度距離dは上述した
±32c2に非常に近くなる。
【0374】よって、本実施の形態例においては、図2
8の様に、ステップ2803において正しいスタートビ
ットInf1でないと判定された場合には、ステップ280
7によりラスタ順で次の探索点に移動する。
【0375】一方で、正しいスタートビットInf1である
と判定された場合には、ステップ2804により、スタ
ートビットInf1と思われる5ビット分に相当する信頼度
距離dの和が最大値MAXより大きいかどうかを判定する。
【0376】最大値MAXより小さな場合には、ステップ
2807によりラスタ順で次の探索点に移動する。一方
で、スタートビットInf1と思われる5ビット分に相当す
る信頼度距離dの和が最大値MAXよりも大きな場合には、
最大値MAXを更新し、同時に現在の探索点を埋め込み開
始点として記憶する。そして、ステップ2806におい
て全ての探索点を探索したかどうかを判定する。
【0377】ステップ2806において全ての探索点の
探索が全て終了していない場合には、ステップ2807
によりラスタ順で次の探索点に移動する。一方、全ての
探索点の探索が全て終了している場合には、その時記憶
されている埋め込み開始点を出力し処理を終了する。
【0378】以上の一連の処理により、本実施の形態例
におけるオフセット合わせ手段2003は、スタートビ
ットInf1を検出し、正しいスタートビットInf1が得られ
た座標の中で、スタートビットInf1と思われる5ビット
分に相当する信頼度距離dの和が最も大きな座標の情報
を、付加情報Infの埋め込み開始点であると判断し、埋
め込み開始座標として後段へ出力する。
【0379】[利用情報抽出手段]利用情報抽出手段20
04は、前段のオフセット合わせ手段2003から埋め
込み開始座標、及び付加情報Infが埋め込まれた画像デ
ータを入力し、図6で説明した動作を同じく用いて、こ
こでは利用情報Inf2を構成する各ビット情報のみについ
て信頼度距離dを算出し、これらビット情報に対する信
頼度距離d1を後段の統計検定手段2006に出力する。
【0380】なお、利用情報Inf2を構成する各ビット情
報に相当する信頼度距離d1を得ることは、実質的には、
埋め込まれた利用情報Inf2の各ビットを抽出することに
相当する。これについては後述する。
【0381】ここでは、上記探索により判別された埋め
込み開始座標に基づいて、各信頼度距離dを算出するの
みであり、スタートビットInf1の5ビット分については
抽出しない。
【0382】[統計検定処理]統計検定手段2006で
は、図20の利用情報抽出手段2004で得られる信頼
度距離d1の信頼性を判定する。この判定は、付加情報In
f(利用情報Inf2)の抽出に用いた第1のパターン配列
とは異なる第2のパターン配列を用いて信頼度距離d2を
生成し、この信頼度距離d2の出現頻度分布を参照して信
頼性指標Dを生成することで行われる。
【0383】ここで信頼度距離d1は利用情報抽出手段2
004において利用情報Inf2を抽出するために、第1の
パターン配列(コーンマスクも配置情報として参照)を
用いて得られる信頼度距離であり、信頼度距離d2は第1
のパターン配列をは異なる後述する第2のパターン配列
を用いて得られる信頼度距離である。
【0384】第1のパターン配列は、通常付加情報Inf
(スタートビットInf1,利用情報Inf 2)を埋め込む際に
用いた図9のパターン配列である。なお第2のパターン
配列、信頼性指標D等についての詳細は後述する。
【0385】[第2のパターン配列による抽出処理] ≪ 中心極限定理 ≫部分集合A,Bは夫々A={a1,
a2,...,aN}、B={b1,b2,...,bN}で表されるN個の要素
からなる集合で、夫々図30に示される様な部分集合A
と部分集合Bの要素の持つ画素値とする。
【0386】信頼度距離d(Σ(ai-bi) / N)は,Nが十
分大きな値を取り、画素値aiとbiには相関がない場合
は、信頼度距離dの期待値は0になる。また中心極限定
理より信頼度距離dの分布は独立な正規分布をとる。
【0387】ここで中心極限定理について簡単に説明す
る。平均値mc、標準偏差σcの母集団(正規分布でなく
ても良い)から大きさncの任意標本を抽出した時、標本
平均値Scの分布はncが大きくなるにつれて正規分布N
(mc,(σc/√nc)^2)に近づくことを示す定理である。
【0388】一般には母集団の標準偏差σcは不明なこ
とが多いが、サンプル数ncが十分大きく、母集団の数Nc
がサンプル数ncに比べて更に十分大きいときは標本の標
準偏差scをσcの代わりに用いても実用上ほとんど差し
支えない。
【0389】本実施の形態例に戻って説明する。まず利
用情報抽出手段2004で求められた信頼度距離d1の出
現頻度分布は、利用情報Inf2を正しく抽出できたか否か
で大きく異なる。
【0390】例えば、スタートビットInf1の検出に誤り
があった場合(オフセット合わせに失敗した場合等)に
は、利用情報Inf2が埋め込まれているはずの位置には実
際にはビット情報が埋め込まれていないので、信頼度距
離d1の出現頻度分布は図25の正規分布2501の様に
なる。
【0391】一方、正しく抽出できている場合には、利
用情報Inf2を構成するビット情報“1”に対応する各信
頼度距離d1が正規分布2502の位置に累積され、利用
情報Inf2を構成するビット情報“0”に対応する各信頼
度距離d1が正規分布2503の位置に累積される。よっ
て、この場合には2つの“山”が現れる。この2つの
“山”の大きさの比は、利用情報Inf2を構成するビット
情報“1”と“0”の比とほぼ等しい。
【0392】ただし、これは付加情報が埋め込まれてい
ない元の画像に対して第1のパターン配列で畳み込み処
理を行って得られる信頼度距離d1が、正規分布2501
の様になることを前提としたものである。
【0393】従って、現実的には、元の画像の状態を知
らない限り、正しく抽出できているか否かの判断を行な
うことは出来ない。よって本実施の形態例では付加情報
が埋め込まれていても元の画像の状態を十分判別でき
る、いわゆる第2のパターン配列を用いて、信頼度距離
d2の正規分布を生成し、この正規分布を2501として
考えることによって、利用情報Inf2が正しく抽出できて
いるか否かの判断を行なう。
【0394】例えば、信頼度距離d2で作成した正規分布
2501を構成する斜線部分(中心から95%までの構
成要素)より外側に信頼度距離d1の出現頻度分布が存在
すれば、対象となっている画像に統計的偏りが存在し、
利用情報Inf2が埋め込まれていると考えることができ、
利用情報Inf2の確からしさを統計的に判断することがで
きる。この詳しい方法については後述する。
【0395】次に、付加情報Inf(利用情報Inf2)が埋
め込まれている画像データを用いて、付加情報Infが埋
め込まれる前の信頼度距離d1の出現頻度分布に類似する
もの(図25の様な正規分布2501)を生成する方法
を説明する。
【0396】本実施の形態例では、第2のパターン配列
による抽出手段2005を用いて、正規分布2501に
類似する分布を構成する信頼度距離d2を求める。
【0397】第2のパターン配列による抽出手段200
5は、利用情報抽出手段2004に用いた第1のパター
ン配列と“直交する”第2のパターン配列を用いて、信
頼度距離d2を求める手段であり、畳み込み処理を行なう
点等、利用情報抽出手段2004と動作自体はほぼ同じ
である。
【0398】なお、対比説明の為、利用情報抽出装置2
004で用いた図9のパターン配列、及びこのパターン
配列を配置する位置を参照する為のマスク(コーンマス
ク)を、夫々「第1のパターン配列」、及び「第1の位
置参照マスク」と呼び、第1のパターン配列に“直交す
る”パターン配列、及びこのパターン配列を配置する位
置を参照する為のマスクを、夫々「第2のパターン配
列」、及び「第2の位置参照マスク」と呼ぶ。
【0399】第2のパターン配列による抽出手段200
5に、まず、オフセット合わせ手段2003から埋め込
み開始座標を入力し、上述した図6の信頼度距離演算を
用いて信頼度距離d2の計算も行なう。
【0400】この時、図6の信頼度距離演算で用いるパ
ターン配列は埋め込みに用いた図9のパターン配列09
01ではなく、このパターン配列0901に“直交す
る”パターン配列3301或いは3302を用いる。
【0401】この理由は、図33のパターン配列330
1及び3302を用いて計算される信頼度距離d2には、
付加情報Infの埋め込みに用いた図9のパターン配列0
901で操作した影響が全く反映されない為である。
【0402】図34に示す様に、図9のパターン配列0
901とこれにこれに“直交する”上記パターン配列3
301とを畳み込み処理した結果は0である。これはパ
ターン配列3302についても同様である。即ち、第
1、第2のパターン配列の畳み込み結果は0である。従
って、元の画像の濃度が第1のパターン配列を用いて変
更されていたとしても、第2のパターン配列を用いて畳
み込み処理を行って得られる信頼度距離dには全く影響
が無い。
【0403】よって、付加情報Infが埋め込まれている
画像に対して上記第2のパターン配列を用いた畳み込み
処理を施して得られる信頼度距離d2の出現頻度分布は、
図25の正規分布2501とほぼ同様のものになる。従
って上記出現頻度分布を正規分布2501とみなす。
【0404】ここで得られる正規分布2501は、図3
2の3207の統計検定処理に必要な判断基準となる。
第2のパターン配列による抽出処理2005は、上述の
様に図33の3301、3302の様な「第1のパター
ンとは“直交する”パターン配列」と、図35の350
2に示す第2の位置参照マスクを用いて、信頼度距離d2
の正規分布を生成する。
【0405】なお、上記「第1のパターンとは直交する
パターン配列」の条件を以下に示すと、 (1)図33に示す様に、図9の0901と同じサイズ
であること (2)パターン配列3301、3302の様に、付加情
報Infの埋め込み時に用いた図9のパターン配列090
1との畳み込み処理の結果が0になること である。
【0406】また、図34に示す畳み込み処理は、図2
1及び図22に示される畳み込み処理と同じである。
【0407】本実施の形態例では、畳み込みの結果が0
になることを、ベクトルの内積が直交する場合に0にな
っていることになぞらえ、「互いのパターン配列が“直
交している”」と呼ぶ。従って図33の3301、33
02は「図9のパターン配列0901に“直交する”パ
ターン配列」である。
【0408】付加情報Infの埋め込み時に用いたパター
ン配列に“直交する”パターン配列を信頼度距離d2の計
算に用いる理由は、信頼度距離d2の分布に統計的な偏り
を存在させない、即ち0が中心の出現頻度分布を生成す
る為である。
【0409】また、「第1のパターンとは“直交する”
パターン配列」は、 (3)利用情報抽出処理2004に用いたパターン配列
の非零の要素と等しい数の非零の要素を持ち、正と負の
要素の数が夫々等しいこと も必要な条件である。これは同一の演算条件で、信頼度
距離d1と信頼度距離d2が抽出される様にする為である。
【0410】次に、本実施の形態例では「第2の位置参
照マスク」は、付加情報Infの埋め込み時に用いた35
01とは別のパターンを有し、かつ3501とは異なる
サイズの、図35の3502に示される参照マスクを用
いる。
【0411】以上、上記第1と第2のパターン配列が異
なっていれば信頼度距離d2の出現頻度分布はほぼ正規分
布2501となる。
【0412】しかしながら、スタートビットの検出位置
が完全でない場合等には、第2のパターン配列を用いて
畳み込みを行ったにも拘わらず統計的な偏りが検出され
てしまう可能性も有る。本実施の形態例ではこの可能性
も考慮して、第1と第2の位置参照マスクの大きさを異
ならせることで、周期的な要素を打ち消す様にする。或
いはマスク内の各パターン配列の配置方法を異ならせる
ことで、同一領域での畳み込みを行なわない様にする。
【0413】また、この場合には「第2の位置参照マス
ク」は、これを構成する各係数がランダムに分布してい
れば良く、コーンマスクでなくとも構わない。
【0414】もし「第2の埋め込み位置参照マスク」
が、「第1の埋め込み位置参照マスク」と異なる様に設
定する場合には、「第2の埋め込み位置参照マスク」は
図20の埋め込み位置決定手段2008で作成すること
とする。
【0415】一般的には、上述した切り抜き耐性を考慮
して、第1の位置参照マスク(コーンマスク)は、付加
情報Infの埋め込み対象となる画像データ全体に対して
それほど大きなサイズを取ることは考えられない。よっ
て、「第2の位置参照マスク」は比較的大きなものを用
いると良い。本実施の形態例では、付加情報Infを埋め
込む時に参照する第1のマスクよりも、付加情報Inf側
で信頼度距離d1を計算する際に用いる第2のマスクのサ
イズが大きくなる様に設定することとする。
【0416】しかしながら本実施の形態例はこれに限ら
ず、互いのマスクサイズが等しくてもある程度の効果を
奏する。従って、「第2の位置参照マスク」は図20の
埋め込み位置決定手段2002で作成されるものでも良
い。
【0417】互いのマスクの最低限の条件としては、互
いのマスクに適用される付加情報Infを構成する各ビッ
トの繰り返し数が、同一サイズの画像領域内で等しいこ
とが必要である。
【0418】なお、第2のパターン配列による抽出処理
で十分な結果が得られない場合は、上述した条件を備え
る別の第2のパターン配列や第2の位置参照マスクを用
いて、再度信頼度距離d2を計算することにより、理想的
な出現頻度分布である図25の2501を生成できる可
能性も有る。
【0419】次に第2のパターン配列による抽出手段2
005の具体的な操作を示す。本実施の形態例では、第
1の位置参照マスクが32×32のコーンマスクで、第
2の位置参照マスクが64×64のコーンマスクとし、
2つのマスクにおいて、各係数の相対的な配列は全く異
なっているとする。
【0420】まず、第2のパターン配列による抽出手段
2005では、抽出位置の決定は以下の対応表3に従っ
て行なうこととする。
【0421】
【対応表3】
【0422】第2の位置参照マスクでは、同じ値の係数
がマスク内に各16個存在する。一方、32×32の第
1の位置参照マスクは、先の対応表2でマスクの参照を
行っている場合、32×32の中で同一係数の繰り返し
数は4個である。即ち、同一サイズの画像データにおい
ては、第1の位置参照マスクも第2の位置参照マスクも
同じ値の係数は同数存在する。
【0423】本実施の形態例では、上記対応表3の規則
に従った位置関係に第2のパターン配列を割り当て、順
次畳み込み処理を行い、各ビット情報に対応する69個
の信頼度距離d2を算出する。
【0424】[信頼性指標D]第2のパターン配列による
抽出手段2005にて生成される信頼度距離d2は、ほぼ
正規分布2501と同一の分布で出現するが、正規分布
においては、一般的に以下の式(25.1)の範囲で95
%のサンプル(信頼度距離d2)が出現することが知られ
ている。 m-1.96σ < d2 < m+1.96σ …式(25.1) ここで、σは上記信頼度距離d2についての標準偏差であ
り、mは平均である。なお上記場合の範囲のことを“9
5%の信頼区間”と呼ぶ。
【0425】m-1.96σ , m+1.96σ は、第2のパター
ン配列による抽出手段2005で信頼度距離d2が得られ
た後、これを用いて計算される。利用情報抽出手段20
04から統計検定手段2006に入力される信頼度距離
d1の出現頻度分布は、ビット情報が“1”の場合は図2
5の正規分布2502になり、ビット情報が“0”の場
合は正規分布2503になるので、利用情報Inf2に対応
する信頼度距離d1は、第2のパターン配列による抽出手
段2005で求められる95%の信頼区間(図25の斜
線部分)の外に存在する確率が非常に高い。
【0426】ところで、オフセット合わせ手段2003
の処理時点で、この処理の対象となる画像に利用情報In
f2が存在しない場合には、信頼度距離d1の出現頻度分布
も正規分布2501の様になる。
【0427】付加情報Inf2が画像に埋め込まれているに
も関わらず、利用情報Inf2に対応する64個の信頼度距
離d1の全てが式(25.1)の信頼区間に含まれない確率
は、(1−0.95)の64乗と非常に小さい。従って、
信頼度距離d2に基づいて正規分布2501を求めておけ
ば、この正規分布の大半を占める範囲に、信頼度距離d1
に基づいて求められた出現頻度分布が含まれるか否かを
考えることにより、付加情報Inf(利用情報Inf2)が埋
め込まれているか否かをほぼ確実に判断できる。
【0428】統計検定手段2006では、上述した様な
性質を用いて付加情報Inf(利用情報Inf2)が埋め込ま
れていることの信頼度を判断する。
【0429】本実施の形態例では、利用情報Infが埋め
込まれていることの信頼度を、信頼性指標Dとして扱
う。この信頼性指標Dは、利用情報抽出手段2004で
生成する全ての信頼度距離d1における、式(25.1)の
範囲の外に存在する信頼度距離d1の個数の割合で定義さ
れる。
【0430】統計検定手段2006は、この信頼性指標
Dが閾値Thより大きければ、信頼度距離d1の総合的な
出現頻度分布は図25の2502や2503の様な位置
に人為的に偏らされているもの、即ち利用情報Inf2が確
実に埋め込まれている画像であると判断する。従って、
ここでの判定に使用された信頼度距離d1自体が、信頼性
の有る情報であると考え、この信頼度距離d1を更に後段
の比較手段2007へ転送することを許可する。
【0431】なお、信頼性指標Dは、図32の信頼性表
示ステップ3210に示される様に、利用情報Inf2の信
頼性指標D、或いは指標Dに基づくメッセージをモニタ
等に表示しても良い。例えば、信頼性指標Dが閾値Th
より大きくない場合は、「利用情報Inf2は正確に抽出で
きていません」との趣旨のメッセージを表示させ、図3
2の統計検定ステップ3207から画像を再度入力する
ステップ3202に戻る。
【0432】[比較処理]図20の比較手段2007は、
利用情報抽出手段2004と統計検定手段2006とを
経て出力された信頼度距離d1の値を入力する。ここに入
力される信頼度距離d1は信頼性の高い情報であるので、
ここでは信頼度距離d1に対応する各ビット情報が“1”
と“0”のいずれであるかを単純に判定するだけで良
い。
【0433】具体的には、利用情報Inf2を構成するある
ビット情報の信頼度距離d1が正であれば、このビット情
報が“1”であると判定し、信頼度距離d1が負の場合は
このビット情報が“0”であると判定する。
【0434】上記判定により得られた利用情報Inf2は、
ユーザーの参照情報、或いは制御信号にする為の最終的
なデータとして出力される。
【0435】[ 高速処理への考慮]以上説明したよう
に、付加情報の抽出を実行することが可能である。一方
で、本実施の形態例では、付加情報Infの抽出処理を必
ずしも全て行なう必要はない。以上述べた実施の形態
は、図2に示した電子透かし抽出装置への入力pwIに電
子透かし情報が埋め込まれていることを想定したもので
ある。
【0436】一方で、電子透かし抽出装置への入力pwI
に電子透かし情報が埋め込まれていない場合もある。更
に、電子透かし抽出情報は可能な限り高速に処理を終了
することを要求するアプリケーションもある。
【0437】以上から、電子透かし抽出装置において、
電子透かし抽出装置への入力pwIに電子透かし情報が埋
め込まれていないことが判明した時点で、電子透かし抽
出処理を終了することが、処理を高速に終了するという
観点からは望ましい。これについて、図55に示すフロ
ーチャートを用いて以下説明する。
【0438】図55は、図32に示した電子透かし抽出
処理のフローチャートの変形例である。図32のフロー
チャートに、レジストレーション信号検出判定処理55
04が加わったフローチャートが図55である。
【0439】レジストレーション信号検出判定処理55
04では、この前処理であるスケールあわせ処理550
3によってレジストレーション信号rが検出されたか否
かを判定する。レジストレーション信号が検出されてい
なければ、この時点で情報抽出処理は終了する。
【0440】電子透かし情報が埋め込まれている画像か
らは、必ずレジストレーション信号rが検出されるはず
である。レジストレーション信号rが検出されなかった
ということは、電子透かし情報が埋め込まれていないと
いうことである。よって、その後電子透かし抽出処理を
続行する必要はなく、電子透かし抽出処理をこの時点で
終了することが可能である。
【0441】以上で、付加情報の埋め込みから抽出まで
の一連の処理の説明を終わる。以上説明した様に本実施
の形態例によれば、幾何変換を補正するレジストレーシ
ョン処理において、従来と比較して、画像信号に対して
適応的にレジストレーション信号を選択することによっ
て、レジストレーション信号の検出を容易にするように
レジストレーション信号を埋め込むことが可能となる。
【0442】[他の発明の実施の形態例]以上に説明し
た第1の実施の形態例における付加情報Inf(利用情報I
nf2)には誤り訂正符号化されたものを用いることも可
能である。従って、付加情報Inf(利用情報Inf2)には
誤り訂正符号化されたものを用いることにより、更に抽
出された利用情報Inf2の信頼性が向上する。
【0443】また、以上に説明した第1の実施の形態例
においては、図49に示される2つのパターン配列か
ら、入力画像データの解像度或いはプリンタの出力(印
刷)解像度に最適なものを選択する場合について説明し
たが、本発明は以上の例に限定されるものではなく、例
えばm×n(m、nは整数)個の要素から成る、互いに
サイズの異なるパターン配列を2つ以上有し、入力画像
データの解像度或いはプリンタの出力(印刷)解像度に
最適な1つを選択して使用する様にする場合も本発明の
範疇に含まれる。
【0444】なお、本発明は、複数の機器(例えばホス
トコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリン
タ等)から構成されるシステムの1部として適用して
も、1つの機器(例えば複写機、ファクシミリ装置)か
らなるものの1部に適用してもよい。
【0445】また、本発明は上記実施の形態を実現する
為の装置及び方法のみに限定されるものではなく、上記
システム又は装置内のコンピュータ(CPUあるいはMPU)
に、上記実施の形態を実現する為のソフトウエアのプロ
グラムコードを供給し、このプログラムコードに従って
上記システムあるいは装置のコンピュータが上記各種デ
バイスを動作させることにより上記実施の形態を実現す
る場合も本発明の範疇に含まれる。
【0446】またこの場合、前記ソフトウエアのプログ
ラムコード自体が上記実施の形態の機能を実現すること
になり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラ
ムコードをコンピュータに供給する為の手段、具体的に
は上記プログラムコードを格納した記憶媒体は本発明の
範疇に含まれる。
【0447】この様なプログラムコードを格納する記憶
媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディス
ク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、C
D−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、RO
M等を用いることができる。
【0448】また、上記コンピュータが、供給されたプ
ログラムコードのみに従って各種デバイスを制御するこ
とにより、上記実施の形態の機能が実現される場合だけ
ではなく、上記プログラムコードがコンピュータ上で稼
働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他
のアプリケーションソフト等と共同して上記実施の形態
が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明
の範疇に含まれる。
【0449】更に、この供給されたプログラムコード
が、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接
続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された
後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡
張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処
理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施の
形態が実現される場合も本発明の範疇に含まれる。
【0450】なお、上記実施の形態例ではコーンマスク
を用いて電子透かし情報を埋め込む場合について説明し
たが、本発明はこれに限らない。特にブルーノイズマス
クを用いて電子透かし情報を埋め込む場合も本発明の範
疇に含まれる。
【0451】また、上述した種々の特徴点の少なくとも
1つを含む構成であれば本発明の範疇に含まれる。
【0452】
【発明の効果】以上説明した様に本発明によれば、幾何
変換を補正するレジストレーション処理において、従来
と比較して、画像信号に対して適応的にレジストレーシ
ョン信号を選択することによって、レジストレーション
信号の検出を容易にするようにレジストレーション信号
を埋め込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる一発明の実施の形態例における
電子透かし埋め込み装置の全体構成を示すブロック図で
ある。
【図2】本実施の形態例における電子透かし抽出装置の
全体構成を示すブロック図である。
【図3】印刷系処理において抽出側で生成された画像デ
ータの一例を示す図である。
【図4】本実施の形態例におけるレジストレーション信
号埋め込み手段の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】本実施の形態例におけるレジストレーション信
号を説明するための図である。
【図6】本実施の形態例における信頼度距離演算手段の
詳細構成を示す図である。
【図7】本実施の形態例におけるスケール合わせ手段の
詳細構成を示すブロック図である。
【図8】本実施の形態例におけるレジストレーション信
号の抽出を説明する図である。
【図9】本実施の形態例における付加情報の埋め込み時
及び抽出時に用いるパターン配列を示す図である。
【図10】本実施の形態例における付加情報埋め込み手
段の詳細構成を示すブロック図である。
【図11】本実施の形態例における埋め込み位置決定手
段の詳細構成を示すブロック図である。
【図12】コーンマスク及びブルーノイズマスクの出現
頻度分布を示す図である。
【図13】人間の視覚の空間周波数特性を説明するため
の図である。
【図14】ブルーノイズマスク、コーンマスクの空間周
波数特性を示す図である。
【図15】本実施の形態例における位置参照マスクの簡
単な説明図である。
【図16】位置参照マスク内の埋め込み位置を示す概念
図である。
【図17】図16に示すマスクに各パターン配列を展開
する様子を示す図である。
【図18】本実施の形態例における画像全体に付加情報
Infの最小埋め込み単位を繰り返し埋め込む操作を示す
図である。
【図19】本実施の形態例における付加情報Infを埋め
込む演算を説明する図である。
【図20】本実施の形態例における付加情報抽出手段を
説明する図である。
【図21】本実施の形態例における付加情報Infを抽出
する様子を説明する図である。
【図22】本実施の形態例における付加情報Infが存在
しないにも拘わらず、抽出しようとした様子を示す図で
ある。
【図23】原画像から信頼度距離dを抽出した場合の理
想的な出現頻度分布を示す図である。
【図24】電子透かしが埋め込まれた画像から信頼度距
離dを抽出した場合を示す図である。
【図25】第1の実施の形態例における信頼度距離d1,d
2の出現頻度分布の例を説明する図である。
【図26】本実施の形態例におけるレジストレーション
信号の埋め込みと抽出の原理を説明する図である。
【図27】本実施の形態例におけるオフセット合わせ手
段における埋め込み先頭位置探索の概念を示す図であ
る。
【図28】本実施の形態例におけるレジストレーション
処理を説明するフローチャートである。
【図29】本実施の形態例における空間領域におけるレ
ジストレーション信号埋め込み手段の他の例の詳細構成
を示すブロック図である。
【図30】本実施の形態例におけるパッチワーク法にお
ける二つの集合を説明する図である。
【図31】本実施の形態例の電子透かし埋め込み装置の
全体制御を説明するためのフローチャートである。
【図32】本実施の形態例の電子透かし抽出装置の全体
制御を説明するためのフローチャートである。
【図33】図9に示すパターンに直交するパターン配列
の例を示す図である。
【図34】“直交する”「パターン配列を説明する図で
ある。
【図35】本実施の形態例における第1、第2の位置参
照マスクのを示した図である。
【図36】本実施の形態例における付加情報Infの構成
を示す図である。
【図37】本実施の形態例におけるブルーノイズマスク
内の各係数の一例を示す図である。
【図38】本実施の形態例におけるコーンマスク内の各
係数の一例を示す図である。
【図39】人間の視覚の色度空間数特性を示す図であ
る。
【図40】JPEG方式における最小符号化単位を示す
図である。
【図41】JPEG方式における輝度、色差成分のサン
プリングを示す図である。
【図42】パターン配列の正、負の操作部分(パッチ)
を示す図である。
【図43】本実施の形態例における面積階調で表現され
た階調と濃度階調で表現された階調の対応を説明する図
である。
【図44】本実施の形態例における階調変換処理の前後
で階調情報が伝搬する原理を説明する図である。
【図45】画像の解像度によるプリンタのハーフトーン
処理の違いを説明する図である。
【図46】本実施の形態例におけるパッチの埋め込みに
よるインクドットの変化を説明する図である。
【図47】本実施の形態例におけるパッチの大きさと埋
め込み深さによるドットの増加を説明する図である。
【図48】画像の解像度の違いによるパターン配列単位
の正のパッチと負のパッチの差を示す図である。
【図49】本実施の形態例における画像の各解像度に対
応する付加情報Infを埋め込む為のパターン配列を示す
図である。
【図50】本実施の形態例におけるレジストレーション
信号埋め込み手段の更に他の例の詳細構成を示すブロッ
ク図である。
【図51】周波数特性判定手段を説明する図である。
【図52】本実施の形態例における第1のレジストレー
ション信号及び第2のレジストレーション信号を説明す
る図である。
【図53】本実施の形態例におけるレジストレーション
手段の詳細構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
5001 ブロック分割手段 5002 フーリエ変換手段 5003 周波数特性判定手段 5004 レジストレーション信号切り替え手段 5005 加算手段 5006 逆フーリエ変換手段 5007 ブロック合成手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 良弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5B057 CA01 CB01 CD05 CD12 CD20 CE08 CG05 CG07 CH18 DA20 DC25 DC30 5C063 CA29 CA40 DA13 DA20 5C076 AA14 AA19 AA36 AA40 BA06 5C077 LL14 MP08 NN08 PP01 PP12 PP23 PP34 PP43 PP49 PP68 PQ08

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像データに人間の目に見えにくいよう
    にレジストレーション信号を埋め込む画像処理方法であ
    って、 前記画像データの周波数特性を判定する周波数特性判定
    ステップと、 前記画像データの周波数特性に応じて複数のレジストレ
    ーション信号の中から一つのレジストレーション信号を
    選択するレジストレーション信号選択ステップと、 前記画像データに対して、前記レジストレーション信号
    選択ステップによって選択されたレジストレーション信
    号を加算する加算ステップとを含むことを特徴とする画
    像処理方法。
  2. 【請求項2】 更に、 前記画像データを周波数成分に変換する周波数領域変換
    ステップと、 前記周波数成分を空間成分に変換する逆周波数変換ステ
    ップとを含むことを特徴とする請求項1記載の画像処理
    方法。
  3. 【請求項3】 前記周波数領域変換はフーリエ変換であ
    り、前記周波数成分は振幅スペクトルであることを特徴
    とする請求項2記載の画像処理方法。
  4. 【請求項4】 前記周波数特性判定ステップは、前記画
    像データの周波数成分を用いて判定することを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像処理方
    法。
  5. 【請求項5】 更に、 前記画像データを少なくとも一つ以上のブロックに分割
    するブロック分割ステップと、 前記ブロック分割ステップによって分割されたブロック
    を結合し、画像を再構成するブロック合成ステップとを
    含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の画像処理方法。
  6. 【請求項6】 前記複数のレジストレーション信号は、
    互いに異なる周波数成分にインパルスを有することを特
    徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像
    処理方法。
  7. 【請求項7】 前記レジストレーション信号選択ステッ
    プは、高周波成分が少ない画像データに対しては前記複
    数のレジストレーション信号から低周波成分にインパル
    スを有するレジストレーション信号を選択し、高周波成
    分が多い画像データに対しては前記複数のレジストレー
    ション信号から高周波成分にインパルスを有するレジス
    トレーション信号を選択することを特徴とする請求項1
    乃至請求項6のいずれかに記載の画像処理方法。
  8. 【請求項8】 予め人間の目に見えにくいようにレジス
    トレーション信号が埋め込まれており幾何変換が施され
    ている可能性がある画像データを入力し、前記入力した
    画像データからレジストレーション信号を抽出し、レジ
    ストレーション処理を行なう画像処理方法であって、 前記画像データからレジストレーション信号を抽出する
    レジストレーション信号抽出ステップと、 前記画像データの周波数特性を判定する周波数特性判定
    ステップと、 前記抽出されたレジストレーション信号と前記判定され
    た周波数特性判定ステップの判定結果を用いて、前記画
    像データに施された幾何変換を特定する幾何変換特定ス
    テップと、 前記特定された幾何変換の逆変換を行なう幾何変換ステ
    ップとを有することを特徴とする画像処理方法。
  9. 【請求項9】 更に、 前記画像データを周波数成分に変換する周波数領域変換
    ステップと、 前記周波数成分を空間成分に変換する逆周波数変換ステ
    ップとを含むことを特徴とする請求項8記載の画像処理
    方法。
  10. 【請求項10】 前記周波数特性判定ステップは、前記
    画像データの周波数成分を用いて判定することを特徴と
    する請求項8又は請求項9記載の画像処理方法。
  11. 【請求項11】 前記周波数領域変換はフーリエ変換で
    あり、前記周波数成分は振幅スペクトルであることを特
    徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載の画
    像処理方法。
  12. 【請求項12】更に、 前記画像データを少なくとも一つ以上のブロックに分割
    するブロック分割ステップと、 前記ブロック分割ステップによって分割されたブロック
    を結合し、画像を再構成するブロック合成ステップとを
    含むことを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれ
    かに記載の画像処理方法。
  13. 【請求項13】 前記幾何変換はスケーリングであるこ
    とを特徴とする請求項8乃至請求項12のいずれかに記
    載の画像処理方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至請求項13のいずれかに
    記載の画像処理方法を行なう手段を備えることを特徴と
    する画像処理装置。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至請求項13のいずれかに
    記載の画像処理を行なうためのコードが記憶されたコン
    ピュータ可読記憶媒体。
  16. 【請求項16】 前記請求項1乃至請求項14のいずれ
    か1項に記載の機能を実現するコンピュータプログラム
    列。
  17. 【請求項17】 前記請求項1乃至請求項14のいずれ
    か1項に記載の機能を実現するコンピュータプログラム
    を記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
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