JP2001309890A - 脳機能検査方法及びその装置 - Google Patents

脳機能検査方法及びその装置

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JP2001309890A
JP2001309890A JP2000327763A JP2000327763A JP2001309890A JP 2001309890 A JP2001309890 A JP 2001309890A JP 2000327763 A JP2000327763 A JP 2000327763A JP 2000327763 A JP2000327763 A JP 2000327763A JP 2001309890 A JP2001309890 A JP 2001309890A
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miotic
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JP2000327763A
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Shogo Fukushima
省吾 福島
Takeyuki Suzuki
健之 鈴木
Soji Murakami
宗司 村上
Ryoji Nakajima
了治 仲島
Ichiro Fukumoto
一朗 福本
Hisashi Uchiyama
尚志 内山
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Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】脳機能の老化度合や、自律神経系の活動度合
い、痴呆症の有無やアルツハイマー病の判定を行うこと
が容易に検査できる脳機能検査方法及びその装置を提供
することにある。 【解決手段】照明手段1は白色発光ダイオードLED1
により被験者Mの目Mに光刺激を与え、その時の瞳孔の
動きを瞳孔検出手段2のCCDカメラCAで撮像し、演
算手段3の画像処理装置30により瞳孔画像から瞳孔の
データを抽出し、該瞳孔のデータからPC4の演算装置
40で瞳孔径の変動を求め、記憶装置41に瞳孔の静特
性又は動特性に関する指標が記憶され、この記憶装置4
1の指標とデータベース42に予め格納されている指標
とが表示装置50に出力され、この表示により当該被験
者の指標の値がデータベース42の指標の値と比較して
相対的どのあたりに位置するのかがわかる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、瞳孔反応を用いた
脳機能検査方法及びその装置に関するもので、特に被験
者の瞳孔対光反応により脳機能の老化度合や、自律神経
系疾患や痴呆症さらにアルツハイマー病などの脳疾患の
検査ができるような脳機能検査方法及びその装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】瞳孔の大きさは年齢とともに小さくなる
と一般に言われている(例えば、石川氏ら、「普及型電
子瞳孔計イリスコーダ(C−2514)について」、神
経眼科、第10巻、第2号、pp.106−110、1
993)。瞳孔の大きさを調節する平滑筋は自律神経系
に支配されており、瞳孔の大きさや瞳孔反応は自律神経
系の活動状態を反映している。また原因は不明である
が、脳機能と密接な関係があるとされるアルツハイマー
病と瞳孔との関連も指摘されている。
【0003】L.F.M.Scinto氏らは、散瞳剤
を点眼前後の瞳孔の拡大率を測定することにより、アル
ツハイマー病の診断が可能であると報告している(「A
potential noninvasive ne
urobiologicaltest for Alz
heimer’s disease」、Scienc
e、266、pp.1051−1054、1994)。
この方法(以下、点眼法と言う)は、従来痴呆判定に用
いられていた改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HD
SR)などの問診形式とは異なり、瞳孔の大きさという
客観性のあるデータによって痴呆症の一つとされるアル
ツハイマー病の判定を行うという点において優れている
ものの、計測に30分程度を要し、また眼疾患のある一
部の被験者には適用できないという問題があった。これ
に対して、瞳孔対光反応が健常者と痴呆患者とで異なる
ことも報告されている(史氏ら、「瞳孔対光反応を用い
た痴呆簡易検査法の研究」、医用電子と生体工学、Vo
l.36、No.3、pp.210−214、199
8)。瞳孔対光反応は前記の点眼法と比較して副作用が
全くなく短時間で完了するという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、史氏ら
の報告で述べられている瞳孔対光反応では、縮瞳率と縮
瞳時間、そして散瞳率の3つの指標を抽出しているのみ
であり、瞳孔の変化の様子を十分捉えているとは言い難
い。また瞳孔対光反応では、他の生理指標と同様個人差
も大きく、数少ない指標だけでは痴呆の判定、更には自
律神経系の活動度合いや脳機能の老化度合を判定するに
は困難が大きいと考えられる。
【0005】本発明は、上記の問題点に鑑みて為された
もので、その目的とするところは瞳孔の大きさの変化を
特徴づける種々の指標に着目し、それらの指標と健常者
のデータとを比較することにより、脳機能の老化度合
や、自律神経系の活動度合い、痴呆症の有無やアルツハ
イマー病の判定を行うことが容易に検査できる脳機能検
査方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1の発明では、被験者の瞳孔の大きさを検
出して脳機能の検査を行う脳機能検査方法において、前
記被験者の瞳孔反応を光刺激により誘発して、前記被験
者の瞳孔の大きさを検出し、検出された瞳孔の大きさよ
り瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を演算演算し、
該演算によって得られた瞳孔の静特性又は動特性に関す
る指標及びデータベースに格納されている基準となる瞳
孔の静特性又は動特性に関する指標にかかる情報から脳
機能の検査を行うことを特徴とする。
【0007】請求項2の発明では、被験者の瞳孔の大き
さを検出して脳機能の検査を行う脳機能検査方法におい
て、前記被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激の付与前又
は付与後の瞳孔の大きさを検出し、検出された瞳孔の大
きさより瞳孔の静特性又は動特性に関する指標である初
期瞳孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,
最大縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,
最大縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度
到達時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくとも1
つを演算によって求め、該演算によって得られた前記瞳
孔の静特性又は動特性に関する指標及びデータベースに
格納されている基準となる前記瞳孔の静特性又は動特性
に関する指標にかかる情報から痴呆症の検査を行うこと
を特徴とする。
【0008】請求項3の発明では、被験者の瞳孔の大き
さを検出して脳機能の検査を行う脳機能検査方法におい
て、前記被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激の付与前又
は付与後の瞳孔の大きさを検出し、検出された瞳孔の大
きさより瞳孔の静特性又は動特性に関する指標として、
初期瞳孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速
度,最大縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速
度,最大縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳
速度到達時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくと
も1つを演算によって求め、該演算によって得られた前
記瞳孔の静特性又は動特性に関する指標及びデータベー
スに格納されている基準となる前記瞳孔の静特性又は動
特性に関する指標にかかる情報から脳の老化度合の検査
を行うことを特徴とする。
【0009】請求項4の発明では、請求項2又は3の発
明において、瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とし
て、初期瞳孔の大きさ,潜時,縮瞳率,最大縮瞳速度,
最大散瞳速度又は最大縮瞳加速度のうち少なくとも2つ
以上を用いることを特徴とする。
【0010】請求項5の発明では、請求項1の発明にお
いて、上記記憶手段に記憶させている当該被験者の指標
と前記データベース手段に記憶されている基準となる指
標とを比較することで当該被験者の脳機能に関する判定
を行うことを特徴とする。
【0011】請求項6の発明では、被験者の瞳孔の大き
さを検出して脳機能の検査を行う検査装置において、前
記被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激を提示する照明手
段と、前記被験者の瞳孔の大きさを検出する瞳孔検出手
段と、前記瞳孔検出手段によって得られる瞳孔の大きさ
より瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を演算する演
算手段と、前記演算手段によって得られた瞳孔の静特性
又は動特性に関する指標を一時的に記憶する記憶手段
と、予め基準となる瞳孔の静特性又は動特性に関する指
標を格納しているデータベース手段と、前記記憶手段に
記憶されている当該被験者の瞳孔の静特性又は動特性に
関する指標と前記データベース手段に格納されている瞳
孔の静特性又は動特性に関する指標とに関する情報を出
力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】請求項7の発明では、被験者の瞳孔の大き
さを検出して脳機能の検査を行う検査装置であって、前
記被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激を提示する照明手
段と、前記被験者の瞳孔の大きさを検出する瞳孔検出手
段と、前記瞳孔検出手段によって得られる瞳孔の大きさ
より瞳孔の静特性又は動特性に関する指標として、初期
瞳孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最
大縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最
大縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到
達時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくとも1つ
を演算する演算手段と、前記演算手段によって得られた
瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を一時的に記憶す
る記憶手段と、予め基準となる瞳孔の静特性又は動特性
に関する指標を格納しているデータベース手段と、前記
記憶手段に記憶されている当該被験者の瞳孔の静特性又
は動特性に関する指標と前記データベース手段に格納さ
れている瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とに関す
る情報を出力する出力手段とを備え、痴呆症を検査する
ことを特徴とする。
【0013】請求項8の発明では、被験者の瞳孔の大き
さを検出して脳機能の検査を行う検査装置であって、前
記被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激を提示する照明手
段と、前記被験者の瞳孔の大きさを検出する瞳孔検出手
段と、前記瞳孔検出手段によって得られる瞳孔の大きさ
より瞳孔の静特性又は動特性に関する指標として、初期
瞳孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最
大縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最
大縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到
達時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくとも1つ
を演算する演算手段と、前記演算手段によって得られた
瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を一時的に記憶す
る記憶手段と、予め基準となる瞳孔の静特性又は動特性
に関する指標を格納しているデータベース手段と、前記
記憶手段に記憶されている当該被験者の瞳孔の静特性又
は動特性に関する指標と前記データベース手段に格納さ
れている瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とに関す
る情報を出力する出力手段とを備え、脳の老化度合を検
査することを特徴とする。
【0014】請求項9の発明では、請求項7又は8の発
明において、瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とし
て特に,初期瞳孔の大きさ,潜時,縮瞳率,最大縮瞳速
度,最大散瞳速度又は最大縮瞳加速度のうち少なくとも
2つ以上を用いることを特徴とする。
【0015】請求項10の発明では、請求項6乃至9の
何れかの発明において、前記記憶手段に記憶させている
当該被験者の指標と前記データベース手段に記憶されて
いる基準となる指標とを比較して当該被験者の脳機能に
関する判定を行う判定手段を具備したことを特徴とす
る。
【0016】請求項11の発明では、請求項6乃至9の
何れかの発明において、前記照明手段として、ステップ
光を用いることを特徴とする。
【0017】請求項12の発明では、請求項6乃至9の
何れかの発明において、前記照明手段として、フラッシ
ュ光を用いることを特徴とする。
【0018】請求項13の発明では、請求項6乃至9の
何れかの発明において、前記照明手段として、瞳孔反応
潜時より短時間点灯しているフラッシュ光を用いること
を特徴とする。
【0019】請求項14の発明では、請求項6乃至9の
何れかの発明において、前記演算手段として、同一被験
者の複数の瞳孔反応波形を加算平均して得られる平均瞳
孔反応の静特性又は動特性に関する指標を演算する演算
手段を用いることを特徴とする。
【0020】請求項15の発明では、請求項6乃至9の
何れかの発明において、前記演算手段として、同一被験
者の瞳孔反応波形を時間的に移動平均して得られる平均
瞳孔反応の静特性又は動特性に関する指標を演算する演
算手段を用いることを特徴とする。
【0021】請求項16の発明では、請求項6乃至9の
何れかの発明において、前記データベース手段として、
年齢別の健常男女,又は自律神経疾患患者,痴呆症患
者,又はアルツハイマー病患者のうち少なくとも1種類
のデータを保持することを特徴とする。
【0022】請求項17の発明では、請求項10の発明
において、前記判定手段として、脳の老化度合,又は自
律神経系の活動度合,又は痴呆症,又はアルツハイマー
病のうち少なくとも1つの判定を行う判定手段を用いる
ことを特徴とする。
【0023】請求項18の発明では、請求項10の発明
において、前記判定手段として、当該被験者の初期瞳孔
の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳速度,最大縮瞳速度,
散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,又は最大縮瞳加
速度と前記データベース手段より指標として提供される
初期瞳孔の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳速度,最大縮
瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,又は最
大縮瞳加速度とをそれぞれ比較して当該被験者の初期瞳
孔の大きさが小さい場合,潜時が大きい場合,縮瞳速度
が小さい場合,最大縮瞳速度が小さい場合,縮瞳加速度
が小さい場合,最大縮瞳加速度が小さい場合,散瞳速度
が小さい場合,又は最大散瞳速度が小さい場合のうち少
なくとも一つが成立する場合に当該被験者の脳機能の老
化が著しいもしくは脳疾患の可能性があると判定する判
定手段を用いることを特徴とする。
【0024】請求項19の発明では、請求項10の発明
において、前記判定手段として、当該被験者の平常時に
おける瞳孔の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳時間,縮瞳
率,縮瞳速度,最大縮瞳速度,縮瞳加速度,最大縮瞳加
速度,散瞳速度,又は最大散瞳速度と前記データベース
手段より指標として提供される瞳孔の大きさ,瞳孔反応
の潜時,縮瞳時間,縮瞳率,縮瞳速度,最大縮瞳速度,
縮瞳加速度,最大縮瞳加速度,散瞳速度又は最大散瞳速
度とをそれぞれ比較して当該被験者の平常時における瞳
孔の大きさが小さい場合,潜時が大きい場合,縮瞳時間
が大きい場合,縮瞳率が小さい場合,縮瞳速度が小さい
場合,最大縮瞳速度が小さい場合,縮瞳加速度が小さい
場合,最大縮瞳加速度が小さい場合,散瞳速度が小さい
場合又は最大散瞳速度が小さい場合のうち複数が成立す
る場合に当該被験者の脳機能の老化が著しい若しくは脳
疾患の可能性があると判定する判定手段を用いることを
特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明を実施形態により説明す
る。
【0026】(実施形態1)図1に本実施形態における
全体構成図を示す。照明手段1は白色の発光ダイオード
LED1…から構成され、この発光ダイオードLED1
…を点灯若しくは消灯することにより瞳孔反応を誘発す
るものであり、被験者の目Mに対しての光刺激となる。
【0027】瞳孔検出手段2は、赤外線発光ダイオード
LED2…、ハーフミラーHM、CCDカメラCA、遮
光板A及び遮光板Bから構成され、図2に示すような瞳
孔画像を得るための手段である。図2の輝点αは赤外線
発光ダイオードLED2…の虚像を示す。
【0028】演算手段3は、瞳孔画像より瞳孔の大きさ
を求める手段であって、本実施形態では瞳孔の大きさと
して瞳孔径を求めるようになっている。
【0029】さらに演算手段3では、瞳孔径のデータに
重畳した計測ノイズを除去するために加算平均や移動平
均などのデータ処理を行うとともに、瞳孔変動を示す種
々の指標、例えば縮瞳速度や散瞳速度などの指標を導出
する。
【0030】具体的には本実施形態の演算手段3は、瞳
孔画像から瞳孔データを求めてその瞳孔データを導出す
る処理を行う画像処理回路30と、瞳孔データから瞳孔
径を求めるとともに、重畳した計測ノイズを除去するた
めに加算平均や移動平均などのデータ処理を行い、更に
瞳孔変動を示す種々の指標、例えば縮瞳速度や散瞳速度
などの指標を演算するパーソナルコンピュータ(以下P
Cと略す)4の演算装置40とで構成されている。
【0031】記憶手段は、前記PC4の記憶装置41に
て実現され、演算手段3で演算して得られた種々の指標
を格納し、さらに格納された指標データを記憶装置41
に構築されたデータベース42に新規データとして追加
することができるようになっている。データベース42
には既に指標が導出されている複数若しくは単数の被験
者の瞳孔変動を示す種々の指標が基準の指標として蓄積
されている。
【0032】出力手段5は本実施形態ではディスプレイ
装置やプリンタなどの表示装置50によって構成され
る。
【0033】この表示装置50には当該被験者と他の被
験者の瞳孔に関する指標が出力表示され、当該被験者の
指標が他の被験者の指標と比較して相対的にどのような
値を示しているかが検査担当者にわかるようになってい
る。他の被験者の瞳孔に関する指標としては他の被験者
の指標だけでなく、複数の被験者の平均値又はある特定
の被験者群の平均値であってもよい。つまり当該被験者
と比較を行いたい被験者であれば、当該被験者の当該指
標以外であればどのような指標でもよい。さらに、他の
被験者の指標としては、当該被験者の過去に得られた指
標であってもよい。
【0034】次に本実施形態についてさらに詳細に述べ
る。
【0035】照明手段1を構成する白色発光ダイオード
LED1は、これを点灯若しくは消灯することにより瞳
孔反応を誘発するものである。瞳孔反応を誘発するもの
であれば有色を含むその他の発光素子を用いてもよい。
この白色発光ダイオードLED1は被験者に対しての光
刺激となる。
【0036】瞳孔反応を誘発する光刺激方法として、図
3に示すステップ光と図4に示すフラッシュ光がある。
ステップ光は図3(a)に示すように光刺激がない状態
のある時点から光の照射をオンする、若しくは光刺激が
ある状態のある時点から光刺激を停止し、光刺激の有無
の変化後、瞳孔反応が定常状態になるまで変化後の光刺
激の状態を維持するような光刺激方法である。
【0037】これに対してフラッシュ光は図4(a)に
示すようには、光刺激の無い状態において短時間の間の
み光の照射をオンし、直ぐに光刺激を停止する光刺激方
法である。ステップ光と同様、光刺激のある状態におい
て短時間の間のみ光刺激を停止する場合も考えられる
が、明確な瞳孔反応を確認するためには前者の光刺激が
有効である。
【0038】図3(a)に示すステップ光の光刺激を与
えたときの被験者HRAとYSAの2名の瞳孔径の時間
変化を図3(b)に示す。また図4(a)に示すフラッ
シュ光の光刺激を与えたときの被験者HRAとYSAの
2名の瞳孔径の時間変化を示す。
【0039】これら図3、図4により、ステップ光とフ
ラッシュ光とでは瞳孔変動のしかたが異なることがわか
る。ステップ光では、ある時点に光刺激を提示してその
状態をそのまま維持するだけでよいので光刺激の制御は
容易であり、人間が直接、点灯スイッチをオンすること
によっても可能である。これに対して、フラッシュ光で
は、多くの被験者に同一の光刺激条件を提供する場合、
光刺激の点灯時間を厳密に制御する必要がある。図4の
例ではフラッシュ光の光刺激の持続時間を100mse
cとし、マイコンにより点灯ならびに消灯を制御してい
る。
【0040】図4より明らかなように、フラッシュ光に
対する瞳孔変動のほうが、図3のステップ光の場合に比
べて瞳孔が最も収縮した時点を見いだすことが容易であ
る。これに対して図3に示すステップ光の場合では瞳孔
の最収縮時点を見いだすことは困難である。被験者HR
Aの瞳孔反応の最収縮時点は、時間軸において4[s]
の直前であるが、その時点はあまり明確ではない.この
ことは後述する瞳孔に関する動特性の指標を導出するこ
とが困難であることを意味する、若しくは指標に含まれ
る誤差が大きくなることを意味し、結果として判定手段
の判定精度に影響を及ぼすことになる。
【0041】以上に述べたステップ光に対する瞳孔反応
の最収縮時点を導出するときの困難さは、光刺激の強さ
に依存し、一般に光刺激の光量が小さくなると瞳孔反応
の最収縮時点は明瞭になるものの、フラッシュ光の場合
ほどではない.またフラッシュ光では光刺激が与えられ
ている極短時間を除いては無刺激状態であり、瞳孔反応
の誘発要因は非常に限られた時間内にのみ存在するの
で、ステップ光の場合と比較して脳内の瞳孔制御機構の
ダイナミカルな瞳孔反応の特性を見ていると言える。
【0042】フラッシュ光の点灯持続時間は、図4で示
した100msecよりも短くても長くてもよく、特に
制約があるものではない.後述する瞳孔反応の指標とし
て、潜時は200〜250msec程度あり、これより
も短時間のフラッシュ光であれば瞳孔反応中はもはや光
刺激が存在しないという計測条件を設定することが可能
である。
【0043】この場合の利点について更に詳説すると、
潜時は、刺激光の強度や初期瞳孔の大きさに依存する
が、上記のように通常200〜3000msecであ
る。これよりも短い時間、例えば100msecの点灯
持続時間のフラッシュ光を与えた場合、点灯が終了した
時点においてもまだ瞳孔反応は開始しておらず、光刺激
はもはや存在しないものの消灯後しばらくしてから縮瞳
が始まる。縮瞳が始まると瞳孔の大きさは小さくなる。
光刺激が存在し続ける場合は、瞳孔が小さくなるにつれ
て、瞳孔から網膜へ入射する光量が少なくなり過大な光
量が突然入射することを防いでいる。入射する光量が減
少すれば、それは瞳孔が拡大(散瞳)する方向の生体制
御が働くことになる。これを負のフィードバックが働く
という意味で光刺激の閉ループ条件と呼ぶ。通常の光環
境下では,瞳孔はこのような光量調節を行っているが、
フラッシュ光の持続時間が100msecの場合は、こ
の負のフィードバックが働かないことになる。つまり、
光刺激はもはや存在しないため瞳孔が縮瞳しても入射光
量は0のままで変化しないのである。この条件は、例え
ばフラッシュ消灯後に眼球運動が生じることによって瞳
孔の位置が変動したとしても、入射光量は変化しないの
で光刺激条件としては眼球運動に依存しない安定した条
件と言える。同様のことが,瞳孔検出手段2が眼球位置
に対してずれる場合にも当てはまり、フラッシュ光の点
灯時間が潜時より短い光刺激条件は計測条件として安定
であるという利点がある。
【0044】ところで人間の眼の網膜は赤外線に対して
感度をもたないので瞳孔反応を誘発しない。従って被験
者に赤外線の明るさが意識されることはない。本実施形
態における瞳孔検出手段2のように赤外線に対して感度
をもつCCDカメラCAを用いることで被験者にとって
暗環境であっても瞳孔を撮像することが可能である。本
実施形態では赤外線発光ダイオードLED2の赤外線a
を瞳孔観察用の環境光として用いているが、被験者の注
意を向けさせず眼球運動を誘発しないで瞳孔画像が安定
に獲得可能であれば、他の発光素子を用いてもよい。
【0045】瞳孔の像はハーフミラーHMによって向き
を変更された後CCDカメラCAによって撮像される。
ハーフミラーHMは光量の一部を透過、残りの光量を反
射するものであり、このハーフミラーHMを用いること
により、被験者が外の景色を見ていても撮像することが
可能であり、このことにより本実施形態の照明手段1と
瞳孔検出手段2から構成される計測装置を被験者が装着
した場合も不安感を取り除くことが可能である。尚図1
中bは外景に対応する可視光を示す。
【0046】またハーフミラーHMを通して視距離が固
定されている視対象を見えるようにすれば、被験者の眼
球内のレンズ調整に相当する水晶体調節の要因を固定す
ることが可能となり、より厳密な瞳孔の測定が可能とな
る。すなわち、遠くから近くを見るときに生じる近見反
射と言われる縮瞳の要因を除外することが可能となる。
もちろんハーフミラーHMを用いずに直接CCDカメラ
CAと遮光板A、Bを眼前に設置し瞳孔を撮像すること
も可能である。このとき視対象はないので水晶体調節を
誘発する刺激が無い状態である。
【0047】更にハーフミラーHMに波長選択性をもた
せることによって赤外線の効率的な利用が可能になる。
すなわち本実施形態において赤外線発光ダイオードLE
D2から照射する赤外線aは瞳孔撮像のための環境光と
して利用しているのであり、可能な限り多くの赤外線が
CCDカメラCAに入射することが望ましい。
【0048】またハーフミラーHMの表面MAに赤外線
aを100%反射するような表面処理を施すことにより
赤外線aの光量を損失することなくCCDカメラCAで
撮像することが可能になる。
【0049】CCDカメラCAの背後に配置している遮
光板Aは、被験者の意識がCCDカメラCAに向けられ
るのを防ぐために、CCDカメラCAが見えないように
するためのものであり、この目的のためであれば遮光板
以外のものを用いてもよい。またCCDカメラCAが被
験者には見えないような環境では遮光板Aを使用しなく
てもよい。例えば完全な暗室にて瞳孔を撮像する場合、
遮光板は必要ない。遮光板Bは、CCDカメラCAが瞳
孔の像以外のものを撮像しないようにハーフミラーHM
をMB面からMA面への透過する光がないように遮光す
るためのものである。勿論CCDカメラCAに瞳孔の像
以外が撮像されないような環境であれば遮光板Bを用い
る必要はない。
【0050】尚本実施形態では瞳孔撮像のためにCCD
カメラCAを用いたが他の撮像装置を用いてもよい。例
えばCMOSセンサを用いても本発明を実施することは
可能である。また写真撮影を連続に行うことによっても
可能である。また赤外線に対する瞳孔の反射率と瞳孔周
辺の虹彩ならびに強膜との反射率の違いを利用して、眼
球に照射された赤外線の眼球表面での反射光量の違いか
ら瞳孔の大きさを導出するいわゆる強膜反射法を用いて
もよい。
【0051】本実施形態では瞳孔検出手段2によって得
られた瞳孔画像から瞳孔の大きさとして瞳孔径を求める
処理を演算手段3により行っているが、瞳孔面積など瞳
孔の大きさを示す指標であればそれらを用いてもよい。
【0052】さて本実施形態の演算手段3は、上述した
ように画像処理回路30とPC4の演算装置40とで構
成され、画像処理回路30は瞳孔画像から瞳孔部分を抽
出し、瞳孔の形状情報をPC4に送られる。ここでの形
状情報は、例えば、瞳孔の縁をなす端点位置を示すデー
タである。
【0053】画像処理の手法には種々あるが、最も基本
的な方法は、「瞳孔運動の心理学」松永勝也(ナカニシ
ヤ出版、1990)に述べられているような公知の方法
がある。すなわちビデオ信号(NTSC信号)において
瞳孔部分を電子回路で抽出し、瞳孔径を求める。この方
法は簡便で且つ精度よく瞳孔径が求められる。この方法
の他には、瞳孔画像をデジタル化し画像入力ボードにて
デジタル画像としてPC4に取込み、PC4の演算装置
40は取り込まれたデジタル画像に対して画像処理ソフ
トウェアを用いて瞳孔径を求める。画像入力ボードの分
解能がCCDカメラCAの分解能よりも劣る場合、この
方法ではCCDカメラCAの分解能を生かせなくなる可
能性がある。
【0054】図1において、画像処理回路30での瞳孔
データは一般に時系列として得られ、従ってこの瞳孔デ
ータから求める瞳孔径の変動を抽出することが抽出でき
る。瞳孔径変動の様子を、図3(b)<ステップ光の場
合>及び図4(b)<フラッシュ光の場合>に示す。
【0055】図1の演算手段3におけるデータ処理とし
て、加算平均と移動平均を利用している。一般に何ら処
理を施さない瞳孔径のデータには計測ノイズが含まれ
る。計測ノイズは後述する瞳孔の静特性又は動特性に関
する指標を導出する際の誤差要因となるため可能な限
り、計測ノイズを小さくすること、又は計測ノイズの影
響を除くことが重要である。
【0056】加算平均は、計測ノイズがランダムノイズ
と仮定するとき、計測データのサンプル毎には無相関で
あることを利用する。これに対して、移動平均は計測ノ
イズがランダムノイズと仮定するとき、時間に関して無
相関であることを利用する。
【0057】図5、図6に加算平均処理の様子を示す。
加算平均処理を行うためには、同一被験者の同一計測条
件となる瞳孔変動を示す瞳孔径データが複数必要とな
る。図5(a)〜(c)は、瞳孔径データ、瞳孔径デ
ータ及び瞳孔径データの3つの瞳孔径データを示し
ており、それぞれ同一時点にノイズNSa、ノイズNS
bB及びノイズNScが瞳孔径データに重畳している。
瞳孔径データの数を次数といい、図5の場合は次数が3
であり、ノイズNSaは正の方向に比較的大きなノイズ
であり、ノイズNSbは負の方向に比較的小さなノイズ
であり、ノイズNScは負の方向に比較的小さなノイズ
である。
【0058】これらの3つの瞳孔径データ〜を、光
刺激開始時点を基準として加算した後、次数3で除算す
ることにより加算平均処理された瞳孔径データが図6に
示すように得られる。加算平均処理により得られた瞳孔
径データは各ノイズの正負がキャンセルされることによ
りノイズの影響を小さくすることが可能となる。他の次
数の加算平均処理についても同様である。
【0059】図7は移動平均処理の例を示す。ここでは
瞳孔径データの時系列のうちある時点の瞳孔径データと
その相前後する瞳孔径データとを加えて、加算した瞳孔
径データの数で除算した瞳孔径データをその時点での瞳
孔径とする。図7(a)に示す計測データにおいて、あ
る時点の瞳孔径データ(●で示す)とその前に2つ後に
2つの合計5つの瞳孔径データから移動平均すると、移
動平均処理後のデータは図7(b)に示すようになる。
この場合、移動平均の次数は5次であるという。他の次
数の移動平均処理についても同様である。
【0060】演算手段3のもう一つの目的は、光刺激に
対する瞳孔変動において、瞳孔の静特性又は動特性に関
する指標を導出することである。本実施形態において求
める瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を図8(b)
に示す。この図8(b)はフラッシュ光を図8(a)の
ように与えたときの指標を示しており、図中平常時にお
ける瞳孔の大きさは光照射以前の瞳孔の大きさを示して
おり、これは瞳孔の静特性に関する指標に分類される。
潜時、縮瞳率(=縮瞳量/平常時における瞳孔の大き
さ)、10−90%縮瞳速度、50%縮瞳時間、縮瞳時
間、最大散瞳速度、最大縮瞳速度、最大縮瞳加速度は瞳
孔の動特性に関する指標に分類される。
【0061】以下に本実施形態で用いている各指標に関
して説明する。
【0062】平常時における瞳孔の大きさは、光刺激照
射前の任意の一時点における瞳孔の大きさを平常時にお
ける瞳孔の大きさとしてよい。また光刺激照射前の任意
の時間間隔における瞳孔の大きさの時間平均を平常時に
おける瞳孔の大きさとしてもよい。さらに光刺激照射後
であっても、縮瞳開始以前の任意の時点における瞳孔の
大きさ、又は任意の時間間隔における瞳孔の大きさの時
間平均を平常時における瞳孔の大きさとしてもよい。平
常時における瞳孔の大きさが静特性に関する指標に分類
されるのは、光刺激が変化しない無刺激状態における瞳
孔の特徴を表す指標であることによる。これらの瞳孔の
大きさを初期瞳孔と言う。
【0063】潜時は、光刺激を照射開始から、瞳孔反応
が現れるまでの時間のことである。一般に光刺激が与え
られても瞳孔は直ちに反応するわけでなく、少しの時間
遅れが生じる。これは光が網膜に到達した後に視神経を
伝達するための電気信号に変換するための光電変換によ
る遅延、神経細胞と神経細胞の間隙を伝達する神経伝達
物質と呼ばれる化学物質の分泌による遅延、及び遠心性
神経末端から効果器である平滑筋という筋肉を駆動する
までの遅延などが累積することによって瞳孔反応に遅延
が生じる。
【0064】縮瞳時間は、瞳孔反応において縮瞳中のあ
る時点からある時点までの時間間隔をいう.縮瞳時間の
うち、縮瞳を開始してから縮瞳が終了するまでの時間を
特に最大縮瞳時間という.平常時における瞳孔の大きさ
から縮瞳終了までの収縮した大きさを縮瞳量と呼ぶが、
縮瞳開始から縮瞳量の50%まで縮瞳するのに要した時
間を特に50%縮瞳時間という.10%縮瞳時間、90
%縮瞳時間も同様であり、10−90%縮瞳時間という
場合10%縮瞳した時点から90%縮瞳した時点までの
時間間隔をいう.縮瞳時間とは、これらの縮瞳に要する
種々の時間の総称である。
【0065】縮瞳率は、縮瞳量を平常時における瞳孔の
大きさで除算した量である。
【0066】縮瞳速度は、単位時間あたりの縮瞳量の変
化量のことであるが、単位時間の取り方によって種々の
縮瞳速度が定義できる。図6に示すように、10−90
%縮瞳速度は平常時における瞳孔の大きさから10%縮
瞳した時点から90%縮瞳した時点までの平均縮瞳速度
のことである。最大縮瞳速度は、縮瞳中の瞳孔径の時間
変化において最大の縮瞳速度のことである。縮瞳速度と
は、これら具体的に定義可能な縮瞳中の速度の総称であ
る。
【0067】縮瞳加速度は、単位時間あたりの縮瞳速度
の変化量のことであるが、縮瞳速度と同様に、単位時間
の取り方によって種々の縮瞳加速度が定義できる。最大
縮瞳加速度は、縮瞳中の瞳孔径の時間変化において最大
の縮瞳加速度のことである。
【0068】散瞳速度は、単位時間あたりの散瞳量の変
化量のことであるが、単位時間の取り方によって種々の
散瞳速度が定義できることは縮瞳速度の場合と同様であ
る。最大散瞳速度は、散瞳中の瞳孔径の時間変化におい
て最大の散瞳速度のことである。散瞳速度とは、これら
具体的に定義可能な縮瞳中の速度の総称である。
【0069】本実施形態の記憶手段はPC4の記憶装置
41によって構成されるが、この記憶装置41には演算
によって得られた瞳孔の静特性又は動特性に関する上述
の指標を記憶しておく。またそれらの指標はデータベー
ス42に追加することも可能である。記憶装置41の指
標とデータベース42の指標とは表示装置50に出力表
示され、この出力表示により当該被験者の指標の値がデ
ータベース42の指標の値と比較して相対的どのあたり
に位置するのかがわかるようになっている。
【0070】出力の例を図9に示す。この図9は健常高
齢者と痴呆患者の各10名の平均値の潜時をそれぞれ棒
グラフで示しており、当該被験者の結果を「あなたの潜
時」として補助線を挿入して他の被験者と比較したとき
の当該被験者の相対的な位置を知ることができる。
【0071】図9の出力例は一例であり棒グラフで示し
たが、表示の仕方は様々に存在する。どのような表示方
法であっても当該被験者の他の被験者に対する相対的位
置が明示される方法であれば本発明に含まれる。
【0072】とこで上記図9では潜時を用いて当該被験
者の相対的な位置を知るようにしたものであるが、指標
として、潜時以外に例えば初期瞳孔径を用いてアルツハ
イマー型の痴呆症を検査を行うようにしても良い。
【0073】つまり図10に示すように初期瞳孔径の大
きさをアルツハイマー型痴呆患者(以下SDAT/A
D)と、健常者について夫々計測すると、或る年齢以上
の高齢者における初期瞳孔径は、健常高齢者とアルツハ
イマー型痴呆高齢者との間において有意差があり、有意
差が認められる年齢に達している被験者の場合、光刺激
前或いは光刺激後における瞳孔の初期瞳孔径を計測して
当該被験者の相対的位置を上記同様に明示させることも
できる。
【0074】図10中イはSDAT/ADの計測値を、
ロは健常者の計測値を示しており、70歳未満(SDA
T/AD12名、健常者18名)、70歳以上80歳未
満(SDAT/AD16名、健常者18名)、80歳以
上90歳未満(SDAT/AD23名 、健常者19
名)と年齢に応じて被験者を分けてプロットしている。
そしてこの図10から年齢によらない両被験者群間で初
期瞳孔径の大きさは統計的に有意差がある(p=0.0
005)ということが分かる。この場合年齢毎にみると
70歳未満では両群間に有意差はなく、70歳以上80
歳未満ではSDAT/ADの初期瞳孔径が小さくなる傾
向が見られる(p=0.084)。また80歳以上90
歳未満では有意にSDAT/ADの初期瞳孔径が小さか
った(p=0.0008)。
【0075】ところで、初期瞳孔径、潜時、縮瞳率、最
大縮瞳加速度を、健常高齢者群H(57名<平均年齢
(74.7歳)±標準偏差(8.40歳)>)と、アル
ツハイマー型痴呆高齢者群AD(57名<平均年齢(7
7.1歳)±標準偏差(9.24歳)>)において夫々
測定して平均値を求めると、図11(a)〜(d)のよ
うになった。この平均値から健常高齢者はSDAT/A
Dに比して初期瞳孔径が大きく、潜時が短く、縮瞳率及
び最大縮瞳加速度が共に大ききという、傾向にあること
が分かる。
【0076】次に図11(a)〜(d)のグラフに対し
てアルツハイマー型痴呆症の患者AD1〜AD3のデー
タを重畳した結果を図12(a)〜(d)に示す。この
図12(a)〜(d)から患者A1に関して、潜時は健
常者程度に短いが、患者AD1に関して、潜時は健常者
程度に短いが、初期瞳孔径,縮瞳率,最大縮瞳加速度に
関しては、SDAT/ADの傾向に近いことがわかる。
【0077】また患者AD2に関しては,最大縮瞳加速
度だけをみれば健常者と同程度であることがわかる。し
かし他の3つの指標で比較すれば患者のデータに近いこ
とがわかる。
【0078】患者AD3に関しては,初期瞳孔径だけを
みれば健常者と同程度であるが,他の3つの指標につい
ては患者のデータと同程度である。
【0079】一方図11(a)〜(d)のグラフに健常
者H1,H2のデータを図11(a)〜(d)の重畳し
た結果を図13(a)〜(d)に示す。この図13
(a)〜(d)から健常者H1に関して、縮瞳率は患者
データに近い値を示しているが、他の3つの指標につい
ては健常者データに近い値となっている。
【0080】また健常者H2に関しては、潜時は患者デ
ータに近い値であるものの他の3つの指標は健常者デー
タに近い値を示している。
【0081】このように,単一の指標だけで比較して判
断すると誤った検査結果となる恐れがあるが、複数の指
標を用いることによって結果の信頼性を向上させ、誤診
を防止することができる。
【0082】よって上記のように複数の指標を検査判断
に用いれば、検査の信頼性を向上させることができる。
【0083】ところで上述の複数の指標を用いる例と
し、初期瞳孔径,潜時,縮瞳率,最大縮瞳加速度の4つ
を用いた場合を説明したが、最大縮瞳加速度の代わりに
最大縮瞳速度または最大散瞳速度を用いることも可能で
ある。これは、これら3つの指標(最大縮瞳加速度、最
大縮瞳速度、最大散瞳速度)はそれぞれ強い相関を示す
ことによる。
【0084】尚上記のように当該被験者の相対的な位置
づけを把握するために、データベース42に種々の疾患
や年齢毎の健常者のデータを予め保持し、それらデータ
ベース42からの指標と当該被験者の指標とを出力する
ようにシステムを構成しておくのは勿論のことである。
【0085】図14(a)〜(c)に被験者112名に
関するこれら3つの指標の内の2つ指標に関する散布図
を、各指標間でプロットした形で示す。各散布図をみて
わかるように,これらの指標間に相関があることが観察
できる。図14(a)の最大散瞳速度と、最大縮瞳速度
との相関係数の大きさは−0.898、同図(b)の最
大縮瞳加速度と、最大散瞳速度との相関係数の大きさは
−0.806、同図(c)の最大縮瞳加速度と、最大縮
瞳速度との相関係数の大きさは0.927であって、何
れも|0.8|以上と大きい値を示している。従って、
最大縮瞳加速度の代わりに最大縮瞳速度または最大散瞳
速度を用いることも可能である。また冗長となる可能性
があるものの,これらを複数用いることも検査の信頼性
を向上させるのに有効であると考えられる。
【0086】ところで上記の各検査方法例は、痴呆症、
アルツハイマー型痴呆症であったが、指標を用いて脳の
老化度合を検査することもできる。
【0087】図15(a)〜(d)は健常高齢者(56
名<平均年齢75歳±偏差8.1歳>)の年齢と各瞳孔
指標(潜時、最大縮瞳速度、最大産道速度、最大縮瞳加
速度)との散布図を表しており、図中の補助線Xが相関
を示す回帰直線である。回帰直線は瞳孔の各指標に対す
る平均的な加齢効果を示していると言える。
【0088】年齢と各瞳孔指標との相関係数とその有意
水準を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】図15(a)〜(d)に示す4つの瞳孔指
標に関しては、p値がいずれも0.05以下であり,各
瞳孔指標は年齢と有意に相関があることが統計的に示さ
れている。
【0091】このように、年齢と相関のある瞳孔指標を
用いて平均的な加齢効果と比較することにより、当該被
験者の瞳孔反応に関する年齢が把握することができ、当
該被験者が平均より高年齢なのか,低年齢なのかを理解
することが可能となる。
【0092】一方瞳孔反応は自律神経系に支配されてお
り、脳神経活動を反映する生理反応である。従って上記
した「瞳孔反応の年齢」はいわば「脳の老化度合」と広
く捉えることが可能である。
【0093】この脳の老化度合を検査する場合には、平
均的な加齢効果のデータをデータベース42に予め格納
しておくのは言うまでもない。
【0094】(実施形態2)上記実施形態1では表示装
置50に出力された当該被験者の指標と、データベース
42に予め格納してある基準となる指標とを出力するこ
とで当該被験者の脳機能の状態を判定するものであった
が、本実施形態は実施形態1の構成に加えて脳機能の状
態の判定を自動的に行う判定手段として図16に示すよ
うに判定装置43を加えたものである。この判定装置4
3はPC4の演算機能を利用して構築され、データベー
ス42より得られる指標データに基づいて脳機能の判定
を行う際の目安となる判定基準を作成し、記憶装置41
によって保存されている当該被験者の指標とデータベー
ス42に格納されている指標とを、判定基準に基づいて
比較して、当該被験者の脳機能の判定を行い、その判定
結果を表示装置50に出力する。尚判定装置43以外の
構成は実施形態1と同じ構成であるので、同じ構成要素
には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0095】PC4の判定装置43は、記憶装置41に
ある当該被験者に関する瞳孔の指標とデータベース42
に蓄積されている当該被験者の過去に得られた指標、他
の被験者の指標、又は複数の被験者の指標の平均値など
と比較することより当該被験者の脳機能に関する判定を
行う。瞳孔の静特性又は動特性に関する指標にはいくつ
かあるが、どの指標についても判定方法は同様であるの
でここでは、動特性の指標のうち潜時について取り上げ
詳細に説明する。
【0096】被験者の瞳孔対光反応より得られた潜時T
Lと、計測条件が同一である同一被験者の過去の潜時T
L1とを比較する。潜時TLは1回の測定によって得ら
れた値でもよいし、あるいは何回かの測定によって得ら
れたデータの平均値でもよい。潜時TL1は過去のある
時点での値若しくは平均値でもよいし、又は過去のある
一定期間における当該被験者の複数データの平均値でも
よい。
【0097】潜時TLと潜時TL1の大小比較を行った
結果、潜時TL−潜時TL1<C1(C1は定数)が成
り立つとき、当該被験者の脳機能は正常と判定し、それ
以外の場合は脳機能に異常があると判定する。条件式の
不等号を≦としてもよい。
【0098】また潜時TLと、計測条件が同一で他の健
常な複数被験者の潜時の平均値TL2と大小比較を行っ
た結果、潜時TL−平均値TL2<C2(C2は定数)
が成立するとき、当該被験者の脳機能は正常と判定し、
それ以外の場合は老化傾向が著しいと判定する。条件式
の不等号を≦としてもよい。
【0099】更にまた潜時TLと、計測条件が同一で他
の自律神経系疾患をもつ複数被験者の潜時の平均値TL
3と大小比較を行った結果、潜時TL−平均値TL3<
C3(C3は定数)が成立するとき、当該被験者の脳機
能は正常と判定し、それ以外の場合は自律神経系の疾患
の可能性があると判定する。条件式の不等号を≦として
もよい。
【0100】また更にTLと、計測条件が同一で他の痴
呆症である複数被験者の潜時の平均値TL4と大小比較
を行った結果、TL−TL4<C4(C4は定数)が成
立するとき、当該被験者の脳機能は正常と判定し、それ
以外の場合は痴呆症の可能性があると判定する。条件式
の不等号を≦としてもよい。
【0101】更に潜時TLと、計測条件が同一で他のア
ルツハイマー病である複数被験者の潜時の平均値TL5
と大小比較を行った結果、潜時TL−平均値TL5<C
5(C5は定数)が成立するとき、当該被験者の脳機能
は正常と判定し、それ以外の場合はアルツハイマー病の
可能性があると判定する。条件式の不等号を≦としても
よい。
【0102】図17に痴呆症の判定を行う場合を例とし
て、潜時の大小比較の条件を複数設定し、より判定項目
の分類を細かく行った場合を示す。判定項目は健常、疑
痴呆、初期痴呆、進行した痴呆の4種類とした。図17
の例では健常と疑痴呆の閾値は0.205、疑痴呆と初
期痴呆の閾値は0.210、初期痴呆と進行した痴呆の
閾値は0.215とした判定基準となっている。
【0103】実際に図18(a)に示すようにステップ
光を用いて光刺激を与えて計測を行った被験者XAとX
Bの瞳孔径の変動は図18(b)、図18(b)に示す
ようになり、被験者XAの潜時は0.200、被験者X
Bの潜時は0.217であった。
【0104】それぞれの結果を判定基準に照らし合わせ
た結果、被験者XAは健常、被験者Bは進行した痴呆と
いう判定結果となった。実際の結果は被験者XAが健常
で、被験者XBがかなり進行した痴呆であるため、本発
明の実施形態での判定結果が正しいことを示している。
【0105】図17に示した以外に、判定項目は2つで
もよい。あるいは3つ以上の複数でもよいが、その場合
は判定のための条件式が増える。
【0106】図17に示すような判定基準を作成するた
めには、多くの健常者と痴呆患者の潜時に関するデータ
が必要となり、それらのデータに基づいて判定基準を作
成すべきである。判定基準の作成方法の一例を図19に
示す。図19の棒グラフは健常高齢者10名と痴呆患者
6名のステップ光に対する潜時の平均値を示しており、
それぞれの平均年齢は略同一である。判定結果を分類す
るための閾値の設定方法は、図19に示すように、潜時
が健常高齢者の平均値より小さいとき健常、健常高齢者
の平均値より大きいがその差が痴呆患者と健常高齢者の
差の半分より小さいとき疑痴呆、痴呆患者の平均値より
小さいがその差が痴呆患者と健常高齢者の差の半分以下
又は半分より小さいとき初期痴呆、及び痴呆患者の平均
値より大きいとき進行した痴呆と分類されるように閾値
を設定している。
【0107】図19に示した判定基準の作成方法は一例
であり、判定項目は4つより大きくても小さくてもよ
い。また閾値の設定方法も図19に示した限りではな
い。 更には閾値を一定値に設定するのではなくある幅
をもたせてもよい。また分類される項目名もこの限りで
はない。以上に述べた判定基準の作成方法は潜時だけで
なく他の指標に関しても全く同様である。ただし、不等
号の向きについてはその指標に応じて異なる。
【0108】他の指標に関して、判定基準作成のための
計測結果の例を図20(a)〜(f)に示す。図20
(a)〜(f)に示しているデータの対象被験者は、健
常若年者8名、健康高齢者20名、脳血管性痴呆患者
(CVDと略)13名、SDAT/AD19名の4つの
被験者群で、光刺激方法はフラッシュ光でその点灯時間
は100msecである。棒グラフは平均値を示してお
り、I状に示す各棒グラフの誤差範囲の長さは2×標準
偏差を表している。
【0109】図20(a)の潜時のグラフでは、健常高
齢者は健康若年者と比較して潜時は大きくなっており、
脳血管性痴呆患者とアルツハイマー型痴呆患者は健常高
齢者に対してわずかに潜時は大きくなっている。図20
(b)の最大縮瞳時間に関しては、健常若年者と他の被
験者群との差は見られるが、健常高齢者、脳血管性痴呆
患者及びアルツハイマー型痴呆患者の間には殆ど差がみ
られない。図20(c)の縮瞳率に関しては、アルツハ
イマー型痴呆患者は他の被験者群より小さくなってい
る。また図20(d)の最大縮瞳加速度、図20(e)
の最大縮瞳速度、及び図20(f)の最大散瞳速度につ
いてはほぼ同様な傾向を示している。すなわち健常若年
者が最も大きい値を示しており、次に健常高齢者と続
き、脳血管性痴呆患者とアルツハイマー型痴呆患者とは
略同じ値となっている。
【0110】図20の結果に対して判定基準を作成すれ
ば前記で潜時に関して述べたように同様な判定基準を作
成することは容易である。
【0111】図20の結果は、計測条件である光刺激の
条件が変わればその結果も変わる可能性があり、計測条
件毎に結果をまとめるべきである。
【0112】図17及び図19では単一の指標に関する
判定基準の作成方法と判定方法について例示したが、複
数の指標について考えるときにも判定基準を作成するこ
とが可能である。この場合複数の指標の組合せ方によっ
て判定基準も複数の場合が考えられる。
【0113】図21(a)(b)に10−90%縮瞳速
度のと潜時の2つの指標を考えたときの判定基準の作成
方法の例を示す。各指標については単一の指標のときと
同様に閾値を設定する。図21では各指標ともA〜Dの
4つに分類されるように閾値を設定している。次にこれ
らの各指標を組み合わせて判定基準を作成するとき、2
つの判定基準が考えられる。これらはどちらが正解とい
うものではなく適宜選択すべきものである。例えば厳し
い判定基準を作成するときは、2つの指標共にDに分類
されれば痴呆と判定するというように判定基準を作成
すればよい。
【0114】これに対して緩い判定基準を作成するとき
は、少なくとも1つの指標がDに分類されれば痴呆と判
定するというように判定基準を作成すればよい。判定
基準の場合、痴呆でない被験者が痴呆と判定されると
いう偽陽性の割合が増えると考えられる。一方、判定基
準の場合、痴呆の被験者が痴呆でないと判定されると
いう偽陰性の割合が増えると考えられる。どちらの判定
基準が良いかは適宜選択されるべきである。
【0115】図21(a)(b)で示した2つの指標に
関する判定基準の作成方法は判定基準とだけとは限
らない。すなわち各指標の分類A〜Dの様々な組合せが
考えられ、その組合せに応じた数だけ判定基準が作成可
能であり、これらの判定基準を用いたとしても本発明の
内容を逸脱するものではない。
【0116】図22に、図21(a)(b)のデータに
基づいた閾値を使用した場合の計測例を示す。この図2
2(b)(c)は同図(a)に示すステップ光により光
刺激を与えたときの上記被験者XA、XBの瞳孔径の変
動を示しており、被験者XAの場合の演算処理の結果は
10−90%縮瞳速度は−2.00mm/s、潜時は
0.200sとなり、被験者XBの場合の演算処理の結
果は10−90%縮瞳速度は−1.93mm/s、潜時
は0.217となり、被験者Bには図23(a)の判定
基準に基づけば進行した痴呆と判定されるが、図23
(b)の判定基準に基づけば進行した痴呆とは判定さ
れない。実際のところは、被験者XBはかなり進行した
痴呆症であり、この場合は判定基準に従うほうが正し
い判定結果が得られる。このような判定結果は、表示装
置50に出力することも可能である。
【0117】以上では脳機能検査のうち痴呆症について
詳細に述べたが、脳機能の老化度合、自律神経系の活動
度合い、又はアルツハイマー病(あるいはアルツハイマ
ー型痴呆)についても全く同様である。
【0118】また用いる瞳孔指標について、実施形態1
の各検査例の場合と同様に用いれば良く、アルツハイマ
ー型痴呆症の場合には初期瞳孔径、更には複数の瞳孔指
標の組み合わせ、また脳の老化度合の検査の場合の加齢
効果などを用いる。
【0119】
【発明の効果】請求項1の発明は、被験者の瞳孔の大き
さを検出して脳機能の検査を行う脳機能検査方法におい
て、前記被験者の瞳孔反応を光刺激により誘発して、前
記被験者の瞳孔の大きさを検出し、検出された瞳孔の大
きさより瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を演算演
算し、該演算によって得られた瞳孔の静特性又は動特性
に関する指標及びデータベースに格納されている基準と
なる瞳孔の静特性又は動特性に関する指標にかかる情報
から脳機能の検査を行うので、瞳孔対光反応という副作
用のない簡易な方法で脳機能の検査が行え、脳疾患の早
期診断や臨床診断などの分野に用いることができるとい
う効果がある。
【0120】請求項2の発明は、被験者の瞳孔の大きさ
を検出して脳機能の検査を行う脳機能検査方法におい
て、前記被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激の付与前又
は付与後の瞳孔の大きさを検出し、検出された瞳孔の大
きさより瞳孔の静特性又は動特性に関する指標である初
期瞳孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,
最大縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,
最大縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度
到達時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくとも1
つを演算によって求め、該演算によって得られた前記瞳
孔の静特性又は動特性に関する指標及びデータベースに
格納されている基準となる前記瞳孔の静特性又は動特性
に関する指標にかかる情報から痴呆症の検査を行うの
で、被験者の瞳孔の大きさより瞳孔の静特性又は動特性
の指標を演算するという簡単な方法により容易に痴呆症
を検査することができる。
【0121】請求項3の発明は、被験者の瞳孔の大きさ
を検出して脳機能の検査を行う脳機能検査方法におい
て、前記被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激の付与前又
は付与後の瞳孔の大きさを検出し、検出された瞳孔の大
きさより瞳孔の静特性又は動特性に関する指標として、
初期瞳孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速
度,最大縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速
度,最大縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳
速度到達時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくと
も1つを演算によって求め、該演算によって得られた前
記瞳孔の静特性又は動特性に関する指標及びデータベー
スに格納されている基準となる前記瞳孔の静特性又は動
特性に関する指標にかかる情報から脳の老化度合の検査
を行うので、被験者の瞳孔の大きさより瞳孔の静特性又
は動特性の指標を演算するという簡単な方法により容易
に脳の老化度合を検査することができる。
【0122】請求項4の発明は、請求項2又は3の発明
において、瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とし
て、初期瞳孔の大きさ,潜時,縮瞳率,最大縮瞳速度,
最大散瞳速度又は最大縮瞳加速度のうち少なくとも2つ
以上を用いるので、痴呆症又は脳の老化度合の検査結果
の信頼性を向上させることができ、特に複数の指標を用
いることで誤診を防止できる。
【0123】請求項5の発明は、請求項1の発明におい
て、上記記憶手段に記憶させている当該被験者の指標と
前記データベース手段に記憶されている基準となる指標
とを比較することで当該被験者の脳機能に関する判定を
行うので、上記請求項1の発明の効果に加えて、脳機能
の判定を自動化することが可能となる。
【0124】請求項6の発明は、被験者の瞳孔の大きさ
を検出して脳機能の検査を行う検査装置において、前記
被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激を提示する照明手段
と、前記被験者の瞳孔の大きさを検出する瞳孔検出手段
と、前記瞳孔検出手段によって得られる瞳孔の大きさよ
り瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を演算する演算
手段と、前記演算手段によって得られた瞳孔の静特性又
は動特性に関する指標を一時的に記憶する記憶手段と、
予め基準となる瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を
格納しているデータベース手段と、前記記憶手段に記憶
されている当該被験者の瞳孔の静特性又は動特性に関す
る指標と前記データベース手段に格納されている瞳孔の
静特性又は動特性に関する指標とに関する情報を出力す
る出力手段とを備えたので、瞳孔対光反応という副作用
のない簡易な方法で脳機能の検査が行え、脳疾患の早期
診断や臨床診断などの分野に用いることができる脳機能
検査装置を実現できるという効果がある。
【0125】請求項7の発明は、被験者の瞳孔の大きさ
を検出して脳機能の検査を行う検査装置であって、前記
被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激を提示する照明手段
と、前記被験者の瞳孔の大きさを検出する瞳孔検出手段
と、前記瞳孔検出手段によって得られる瞳孔の大きさよ
り瞳孔の静特性又は動特性に関する指標として、初期瞳
孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最大
縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最大
縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到達
時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくとも1つを
演算する演算手段と、前記演算手段によって得られた瞳
孔の静特性又は動特性に関する指標を一時的に記憶する
記憶手段と、予め基準となる瞳孔の静特性又は動特性に
関する指標を格納しているデータベース手段と、前記記
憶手段に記憶されている当該被験者の瞳孔の静特性又は
動特性に関する指標と前記データベース手段に格納され
ている瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とに関する
情報を出力する出力手段とを備えているので、痴呆症の
早期診断や臨床診断などの分野に用いる脳機能検査装置
を実現できるという効果がある。
【0126】請求項8の発明は、被験者の瞳孔の大きさ
を検出して脳機能の検査を行う検査装置であって、前記
被験者の瞳孔反応を誘発する光刺激を提示する照明手段
と、前記被験者の瞳孔の大きさを検出する瞳孔検出手段
と、前記瞳孔検出手段によって得られる瞳孔の大きさよ
り瞳孔の静特性又は動特性に関する指標として、初期瞳
孔の大きさ,潜時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最大
縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最大
縮瞳加速度,最大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到達
時間,最大縮瞳加速度到達時間のうち少なくとも1つを
演算する演算手段と、前記演算手段によって得られた瞳
孔の静特性又は動特性に関する指標を一時的に記憶する
記憶手段と、予め基準となる瞳孔の静特性又は動特性に
関する指標を格納しているデータベース手段と、前記記
憶手段に記憶されている当該被験者の瞳孔の静特性又は
動特性に関する指標と前記データベース手段に格納され
ている瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とに関する
情報を出力する出力手段とを備え、脳の老化度合を検査
するので、脳の老化度合の早期診断や臨床診断などの分
野に用いる脳機能検査装置を実現できるという効果があ
る。
【0127】請求項9の発明は、請求項7又は8の発明
において、瞳孔の静特性又は動特性に関する指標として
特に,初期瞳孔の大きさ,潜時,縮瞳率,最大縮瞳速
度,最大散瞳速度又は最大縮瞳加速度のうち少なくとも
2つ以上を用いるので、痴呆症又は脳の老化度合の検査
結果の信頼性を向上させることができ、特に複数の指標
を用いることで誤診を防止できる。
【0128】請求項10の発明は、請求項6乃至9の何
れかの発明において、前記記憶手段に記憶させている当
該被験者の指標と前記データベース手段に記憶されてい
る基準となる指標とを比較して当該被験者の脳機能に関
する判定を行う判定手段を具備したので、上記請求項6
乃至9の何れかのの発明の効果に加えて、自動的に脳機
能又は痴呆症又は脳の老化度合の判定を行うことができ
る。
【0129】請求項11の発明は、請求項6乃至9の何
れかの発明において、前記照明手段として、ステップ光
を用いるので、光刺激の制御が容易である。
【0130】請求項12の発明は、請求項6乃至9の何
れかの発明において、前記照明手段として、フラッシュ
光を用いるので、フラッシュ光を用いるので、瞳孔の最
収縮時点を見いだすことが容易である。
【0131】請求項13の発明は、請求項6乃至9の何
れかの発明において、前記照明手段として、瞳孔反応潜
時より短時間点灯しているフラッシュ光を用いるので、
フラッシュ消灯後に眼球運動が生じることによって瞳孔
の位置が変動したとしても、入射光量が変化せず光刺激
条件として眼球運動に依存しない安定した条件下で検査
が可能となるという効果がある。
【0132】請求項14の発明は、請求項6乃至9の何
れかの発明において、前記演算手段として、同一被験者
の複数の瞳孔反応波形を加算平均して得られる平均瞳孔
反応の静特性又は動特性に関する指標を演算する演算手
段を用いるので、計測データに含まれるノイズの影響を
少なくすることができて、診断や判定を確実に行えるよ
うにする。
【0133】請求項15の発明は、請求項6乃至9の何
れかの発明において、前記演算手段として、同一被験者
の瞳孔反応波形を時間的に移動平均して得られる平均瞳
孔反応の静特性又は動特性に関する指標を演算する演算
手段を用いるので、計測データに含まれるノイズの影響
を少なくすることができて、診断や判定を確実に行える
ようにする。
【0134】請求項16の発明は、請求項6乃至9の何
れかの発明において、前記データベース手段として、年
齢別の健常男女,又は自律神経疾患患者,痴呆症患者,
又はアルツハイマー病患者のうち少なくとも1種類のデ
ータを保持するので、それらデータベースからの指標と
当該被験者の指標とを出力することによって、当該被験
者の相対的な位置づけを把握することができる。
【0135】請求項17の発明は、請求項10の発明に
おいて、前記判定手段として、脳の老化度合,又は自律
神経系の活動度合,又は痴呆症,又はアルツハイマー病
のうち少なくとも1つの判定を行う判定手段を用いるの
で、脳の老化度合、又は自律神経形の活動度合又は痴呆
症又はアルツハイマー病の判定を自動的に行える。
【0136】請求項18の発明は、請求項10の発明に
おいて、前記判定手段として、当該被験者の初期瞳孔の
大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳速度,最大縮瞳速度,散
瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,又は最大縮瞳加速
度と前記データベース手段より指標として提供される初
期瞳孔の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳速度,最大縮瞳
速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,又は最大
縮瞳加速度とをそれぞれ比較して当該被験者の初期瞳孔
の大きさが小さい場合,潜時が大きい場合,縮瞳速度が
小さい場合,最大縮瞳速度が小さい場合,縮瞳加速度が
小さい場合,最大縮瞳加速度が小さい場合,散瞳速度が
小さい場合,又は最大散瞳速度が小さい場合のうち少な
くとも一つが成立する場合に当該被験者の脳機能の老化
が著しいもしくは脳疾患の可能性があると判定する判定
手段を用いるので、自動的に著しい脳機能の老化もしく
は脳疾患を判定することができる。
【0137】請求項19の発明は、請求項10の発明に
おいて、前記判定手段として、当該被験者の平常時にお
ける瞳孔の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳時間,縮瞳
率,縮瞳速度,最大縮瞳速度,縮瞳加速度,最大縮瞳加
速度,散瞳速度,又は最大散瞳速度と前記データベース
手段より指標として提供される瞳孔の大きさ,瞳孔反応
の潜時,縮瞳時間,縮瞳率,縮瞳速度,最大縮瞳速度,
縮瞳加速度,最大縮瞳加速度,散瞳速度又は最大散瞳速
度とをそれぞれ比較して当該被験者の平常時における瞳
孔の大きさが小さい場合,潜時が大きい場合,縮瞳時間
が大きい場合,縮瞳率が小さい場合,縮瞳速度が小さい
場合,最大縮瞳速度が小さい場合,縮瞳加速度が小さい
場合,最大縮瞳加速度が小さい場合,散瞳速度が小さい
場合又は最大散瞳速度が小さい場合のうち複数が成立す
る場合に当該被験者の脳機能の老化が著しい若しくは脳
疾患の可能性があると判定する判定手段を用いるので、
偽陰性の判定の割合をより少なくして、判定確度を高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の全体構成図である。
【図2】同上のCCDカメラにより撮像されて得られた
瞳孔画像の例図である。
【図3】同上の照明手段によるステップ光による光刺激
を与えた場合の被験者の瞳孔径の変動の測定結果を示す
グラフである。
【図4】同上の照明手段によるフラッシュ光による光刺
激を与えた場合の被験者の瞳孔径の変動の測定結果を示
すグラフである。
【図5】同上の演算手段により加算平均処理の説明のた
めの瞳孔径データを示すグラフである。
【図6】同上の加算平均処理後の瞳孔径データを示すグ
ラフである。
【図7】同上の演算手段により移動平均処理の説明のた
めの瞳孔径データを示すグラフであって、(a)は、移
動平均処理前の瞳孔径データを示すグラフ、(b)は、
移動平均処理後の瞳孔径データを示すグラフである。
【図8】同上にて扱う瞳孔の静特性又は動特性に関する
指標の説明図である。
【図9】同上に用いる判定基準の作成例図である。
【図10】同上でアルツハイマー型痴呆症の検査に用い
る初期瞳孔径の計測データを示すグラフである。
【図11】同上でアルツハイマー型痴呆症の検査に用い
る各瞳孔指標の被験者群別平均値のグラフである。
【図12】同上でアルツハイマー型痴呆症の検査に用い
る各瞳孔指標の被験者群別平均値のグラフとアルツハイ
マー型痴呆患者の各瞳孔指標との対応関係説明図であ
る。
【図13】同上でアルツハイマー型痴呆症の検査に用い
る各瞳孔指標の被験者群別平均値のグラフと健常者の各
瞳孔指標との対応関係説明図である。
【図14】同上でアルツハイマー型痴呆症の検査に用い
る複数の瞳孔指標の相関関係説明図である。
【図15】同上で脳の老化度合を検査する場合の各瞳孔
指標の相関関係説明図である。
【図16】本発明の実施形態2の全体構成図である。
【図17】同上に用いる痴呆進行度合いの判定基準例図
である。
【図18】(a)は被験者の瞳孔径の変動の測定に用い
る照明手段のステップ光による光刺激のタイミングチャ
ートである。(b)は同上の照明手段によるステップ光
による光刺激を与えた場合の被験者の瞳孔径の変動の測
定結果を示すグラフである。(c)は同上の照明手段に
よるステップ光による光刺激を与えた場合の別の被験者
の瞳孔径の変動の測定結果を示すグラフである。
【図19】同上に用いる判定基準の作成例図である。
【図20】同上に用いるデータベースに蓄積される各指
標の例図である。
【図21】同上に用いる指標が二つの判定基準の作成例
図である。
【図22】同上の指標が二つの判定基準を用いた判定方
法の説明に用いる被験者の瞳孔径の変動を示すグラフで
あって、(a)は被験者の瞳孔径の変動の測定に用いる
照明手段のステップ光による光刺激のタイミングチャー
トである。(b)は照明手段によるステップ光による光
刺激を与えた場合の被験者の瞳孔径の変動の測定結果を
示すグラフである。(c)は同上の照明手段によるステ
ップ光による光刺激を与えた場合の別の被験者の瞳孔径
の変動の測定結果を示すグラフである。
【図23】同上の指標が二つの判定基準の場合における
痴呆進行度合いの判定基準例図である。
【符号の説明】
1 照明手段 2 瞳孔検出手段 3 演算手段 30 画像処理回路 4 パーソナルコンピュータ 40 演算装置 41 記憶装置 42 データベース 5 出力手段 50 表示装置 LED1 白色発光ダイオード LED2 赤外線発光ダイオード A、B 遮光板 HM ハーフミラー CA CCDカメラ M 目
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 宗司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 仲島 了治 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 福本 一朗 新潟県長岡市学校町1−3−8−5−103 (72)発明者 内山 尚志 新潟県長岡市古正寺町344 クレストハイ ツA205

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被験者の瞳孔の大きさを検出して脳機能の
    検査を行う脳機能検査方法において、前記被験者の瞳孔
    反応を光刺激により誘発して、前記被験者の瞳孔の大き
    さを検出し、検出された瞳孔の大きさより瞳孔の静特性
    又は動特性に関する指標を演算演算し、該演算によって
    得られた瞳孔の静特性又は動特性に関する指標及びデー
    タベースに格納されている基準となる瞳孔の静特性又は
    動特性に関する指標にかかる情報から脳機能の検査を行
    うことを特徴とする脳機能検査方法。
  2. 【請求項2】被験者の瞳孔の大きさを検出して脳機能の
    検査を行う脳機能検査方法において、前記被験者の瞳孔
    反応を誘発する光刺激の付与前又は付与後の瞳孔の大き
    さを検出し、検出された瞳孔の大きさより瞳孔の静特性
    又は動特性に関する指標である初期瞳孔の大きさ,潜
    時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最大縮瞳速度,散瞳
    速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最大縮瞳加速度,最
    大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到達時間,最大縮瞳
    加速度到達時間のうち少なくとも1つを演算によって求
    め、該演算によって得られた前記瞳孔の静特性又は動特
    性に関する指標及びデータベースに格納されている基準
    となる前記瞳孔の静特性又は動特性に関する指標にかか
    る情報から痴呆症の検査を行うことを特徴とする脳機能
    検査方法。
  3. 【請求項3】被験者の瞳孔の大きさを検出して脳機能の
    検査を行う脳機能検査方法において、前記被験者の瞳孔
    反応を誘発する光刺激の付与前又は付与後の瞳孔の大き
    さを検出し、検出された瞳孔の大きさより瞳孔の静特性
    又は動特性に関する指標として、初期瞳孔の大きさ,潜
    時,散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最大縮瞳速度,散瞳
    速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最大縮瞳加速度,最
    大縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到達時間,最大縮瞳
    加速度到達時間のうち少なくとも1つを演算によって求
    め、該演算によって得られた前記瞳孔の静特性又は動特
    性に関する指標及びデータベースに格納されている基準
    となる前記瞳孔の静特性又は動特性に関する指標にかか
    る情報から脳の老化度合の検査を行うことを特徴とする
    脳機能検査方法。
  4. 【請求項4】瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とし
    て、初期瞳孔の大きさ,潜時,縮瞳率,最大縮瞳速度,
    最大散瞳速度又は最大縮瞳加速度のうち少なくとも2つ
    以上を用いることを特徴とする請求項2又は3記載の脳
    機能検査方法。
  5. 【請求項5】上記記憶手段に記憶させている当該被験者
    の指標と前記データベース手段に記憶されている基準と
    なる指標とを比較することで当該被験者の脳機能に関す
    る判定を行うことを特徴とする請求項1記載の脳機能検
    査方法。
  6. 【請求項6】被験者の瞳孔の大きさを検出して脳機能の
    検査を行う検査装置において、前記被験者の瞳孔反応を
    誘発する光刺激を提示する照明手段と、前記被験者の瞳
    孔の大きさを検出する瞳孔検出手段と、前記瞳孔検出手
    段によって得られる瞳孔の大きさより瞳孔の静特性又は
    動特性に関する指標を演算する演算手段と、前記演算手
    段によって得られた瞳孔の静特性又は動特性に関する指
    標を一時的に記憶する記憶手段と、予め基準となる瞳孔
    の静特性又は動特性に関する指標を格納しているデータ
    ベース手段と、前記記憶手段に記憶されている当該被験
    者の瞳孔の静特性又は動特性に関する指標と前記データ
    ベース手段に格納されている瞳孔の静特性又は動特性に
    関する指標とに関する情報を出力する出力手段とを備え
    たことを特徴とする脳機能検査装置。
  7. 【請求項7】被験者の瞳孔の大きさを検出して脳機能の
    検査を行う検査装置であって、前記被験者の瞳孔反応を
    誘発する光刺激を提示する照明手段と、前記被験者の瞳
    孔の大きさを検出する瞳孔検出手段と、前記瞳孔検出手
    段によって得られる瞳孔の大きさより瞳孔の静特性又は
    動特性に関する指標として、初期瞳孔の大きさ,潜時,
    散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最大縮瞳速度,散瞳速
    度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最大縮瞳加速度,最大
    縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到達時間,最大縮瞳加
    速度到達時間のうち少なくとも1つを演算する演算手段
    と、前記演算手段によって得られた瞳孔の静特性又は動
    特性に関する指標を一時的に記憶する記憶手段と、予め
    基準となる瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を格納
    しているデータベース手段と、前記記憶手段に記憶され
    ている当該被験者の瞳孔の静特性又は動特性に関する指
    標と前記データベース手段に格納されている瞳孔の静特
    性又は動特性に関する指標とに関する情報を出力する出
    力手段とを備え、痴呆症を検査することを特徴とする脳
    機能検査装置。
  8. 【請求項8】被験者の瞳孔の大きさを検出して脳機能の
    検査を行う検査装置であって、前記被験者の瞳孔反応を
    誘発する光刺激を提示する照明手段と、前記被験者の瞳
    孔の大きさを検出する瞳孔検出手段と、前記瞳孔検出手
    段によって得られる瞳孔の大きさより瞳孔の静特性又は
    動特性に関する指標として、初期瞳孔の大きさ,潜時,
    散瞳時間,縮瞳量,縮瞳速度,最大縮瞳速度,散瞳速
    度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,最大縮瞳加速度,最大
    縮瞳速度到達時間,最大散瞳速度到達時間,最大縮瞳加
    速度到達時間のうち少なくとも1つを演算する演算手段
    と、前記演算手段によって得られた瞳孔の静特性又は動
    特性に関する指標を一時的に記憶する記憶手段と、予め
    基準となる瞳孔の静特性又は動特性に関する指標を格納
    しているデータベース手段と、前記記憶手段に記憶され
    ている当該被験者の瞳孔の静特性又は動特性に関する指
    標と前記データベース手段に格納されている瞳孔の静特
    性又は動特性に関する指標とに関する情報を出力する出
    力手段とを備え、脳の老化度合を検査することを特徴と
    する脳機能検査装置。
  9. 【請求項9】瞳孔の静特性又は動特性に関する指標とし
    て特に,初期瞳孔の大きさ,潜時,縮瞳率,最大縮瞳速
    度,最大散瞳速度又は最大縮瞳加速度のうち少なくとも
    2つ以上を用いることを特徴とする請求項7又は8記載
    の脳機能検査装置。
  10. 【請求項10】前記記憶手段に記憶させている当該被験
    者の指標と前記データベース手段に記憶されている基準
    となる指標とを比較して当該被験者の脳機能に関する判
    定を行う判定手段を具備したことを特徴とする請求項6
    乃至9の何れか記載の脳機能検査装置。
  11. 【請求項11】前記照明手段として、ステップ光を用い
    ることを特徴とする請求項6乃至9の何れか記載の脳機
    能検査装置。
  12. 【請求項12】前記照明手段として、フラッシュ光を用
    いることを特徴とする請求項6乃至9の何れか記載の脳
    機能検査装置。
  13. 【請求項13】前記照明手段として、瞳孔反応潜時より
    短時間点灯しているフラッシュ光を用いることを特徴と
    する請求項6乃至9の何れか記載の脳機能検査装置。
  14. 【請求項14】前記演算手段として、同一被験者の複数
    の瞳孔反応波形を加算平均して得られる平均瞳孔反応の
    静特性又は動特性に関する指標を演算する演算手段を用
    いることを特徴とする請求項6乃至9の何れか記載の脳
    機能検査装置。
  15. 【請求項15】前記演算手段として、同一被験者の瞳孔
    反応波形を時間的に移動平均して得られる平均瞳孔反応
    の静特性又は動特性に関する指標を演算する演算手段を
    用いることを特徴とする請求項6乃至9の何れか記載の
    脳機能検査装置。
  16. 【請求項16】前記データベース手段として、年齢別の
    健常男女,又は自律神経疾患患者,痴呆症患者,又はア
    ルツハイマー病患者のうち少なくとも1種類のデータを
    保持することを特徴とする請求項6乃至9の何れか記載
    の脳機能検査装置。
  17. 【請求項17】前記判定手段として、脳の老化度合,又
    は自律神経系の活動度合,又は痴呆症,又はアルツハイ
    マー病のうち少なくとも1つの判定を行う判定手段を用
    いることを特徴とする請求項10記載の脳機能検査装
    置。
  18. 【請求項18】前記判定手段として、当該被験者の初期
    瞳孔の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳速度,最大縮瞳速
    度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,又は最大縮
    瞳加速度と前記データベース手段より指標として提供さ
    れる初期瞳孔の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳速度,最
    大縮瞳速度,散瞳速度,最大散瞳速度,縮瞳加速度,又
    は最大縮瞳加速度とをそれぞれ比較して当該被験者の初
    期瞳孔の大きさが小さい場合,潜時が大きい場合,縮瞳
    速度が小さい場合,最大縮瞳速度が小さい場合,縮瞳加
    速度が小さい場合,最大縮瞳加速度が小さい場合,散瞳
    速度が小さい場合,又は最大散瞳速度が小さい場合のう
    ち少なくとも一つが成立する場合に当該被験者の脳機能
    の老化が著しいもしくは脳疾患の可能性があると判定す
    る判定手段を用いることを特徴とする請求項10記載の
    脳機能検査装置。
  19. 【請求項19】前記判定手段として、当該被験者の平常
    時における瞳孔の大きさ,瞳孔反応の潜時,縮瞳時間,
    縮瞳率,縮瞳速度,最大縮瞳速度,縮瞳加速度,最大縮
    瞳加速度,散瞳速度,又は最大散瞳速度と前記データベ
    ース手段より指標として提供される瞳孔の大きさ,瞳孔
    反応の潜時,縮瞳時間,縮瞳率,縮瞳速度,最大縮瞳速
    度,縮瞳加速度,最大縮瞳加速度,散瞳速度又は最大散
    瞳速度とをそれぞれ比較して当該被験者の平常時におけ
    る瞳孔の大きさが小さい場合,潜時が大きい場合,縮瞳
    時間が大きい場合,縮瞳率が小さい場合,縮瞳速度が小
    さい場合,最大縮瞳速度が小さい場合,縮瞳加速度が小
    さい場合,最大縮瞳加速度が小さい場合,散瞳速度が小
    さい場合又は最大散瞳速度が小さい場合のうち複数が成
    立する場合に当該被験者の脳機能の老化が著しい若しく
    は脳疾患の可能性があると判定する判定手段を用いるこ
    とを特徴とする請求項10記載の脳機能検査装置。
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