JP2001308474A - 高周波用配線基板 - Google Patents

高周波用配線基板

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JP2001308474A
JP2001308474A JP2000119917A JP2000119917A JP2001308474A JP 2001308474 A JP2001308474 A JP 2001308474A JP 2000119917 A JP2000119917 A JP 2000119917A JP 2000119917 A JP2000119917 A JP 2000119917A JP 2001308474 A JP2001308474 A JP 2001308474A
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JP
Japan
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group
wiring board
dielectric film
present
aromatic organic
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Pending
Application number
JP2000119917A
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English (en)
Inventor
Kozo Tajiri
浩三 田尻
Masayoshi Konishi
正芳 小西
Yasunori Okumura
康則 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波電送特性を向上できる高周波用配線基
板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 下記式(1): 【化1】 ただし、式(1)中、R1は4価の芳香族有機基を表わ
し;R2は2価の芳香族有機基を表わし;およびR1およ
び/またはR2はC−H結合を有さない芳香族有機基を
表わす、で示される繰り返し単位を有するポリイミド樹
脂を含む誘電体膜を有することを特徴とする高周波用配
線基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波用配線基板
に関するものである。より詳しくは、本発明は、ストリ
ップ線路、マイクロストリップ線路、トリプレート線
路、コプレーナ線路、誘電体導波管線路などから構成さ
れた配線層を有する高周波用配線基板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波、ミリ波等の高周波で用いら
れている高周波回路の基板においては比誘電率が低く誘
電損失が小さい材料を使用する必要がある。したがっ
て、従来の材料としては、主として比誘電率が約10の
アルミナ磁器が採用されていた(特開昭62−103,
904号公報)。また、比誘電率が低い材料としてはコ
ージェライトやマグネシウム(Mg)、アルミニウム
(Al)及びケイ素(Si)からなる複合酸化膜が知ら
れており、これらの材料の比誘電率は4〜6である(特
開昭61−234,128号公報及び特開平11−4
9,563号公報)。
【0003】しかしながら、上記材料は、比誘電率が4
〜6と比較的高いために、近年における高周波帯の誘電
体共振器の普及に伴い、例えば、高インピーダンスのマ
イクロストリップ線路を形成しようとすると、ライン幅
が小さくなりすぎて断線したり、クロストークが発生す
るという問題があった。
【0004】また、これらの磁器基板におけるマイクロ
ストリップ線路のインピーダンスは、基板の厚さが一定
であれば、その比誘電率及びマイクロストリップ線路の
幅にそれぞれ反比例するので、ライン幅を小さくする代
わりに比誘電率の低い基板材料を使用することによって
インピーダンスを高めることができる。このために、比
誘電率がより低い材料が求められてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、絶縁基板上に、必要に応じて絶縁基板材料から
なる基板上に形成される接地電極上に低比誘電率の誘電
体膜を製膜することにより、高周波電送特性を向上でき
る高周波用配線基板を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記諸目
的を達成するために鋭意検討した結果、特定の構造を有
するポリイミド樹脂の比誘電率が2.8〜2.3と従来
絶縁層に使用されてきたポリイミド樹脂をはじめとする
材料に比べて低く、さらに優れた耐湿性、耐候性及びガ
スバリア性を有することに着目し、このようなポリイミ
ド樹脂を誘電体膜に用いることにより製造される高周波
用配線基板では、断線やクロストークなどが有効に抑制
でき、また高周波電送効率の向上をはかれることを発見
した。
【0007】本発明者らはまた、この際使用されるポリ
イミド樹脂の分子内にフッ素原子を導入することによ
り、さらに低比誘電率化が図れると同時に、耐熱性や溶
解性が改善され、このようなポリイミド樹脂は高周波用
配線基板にさらに好適に使用できることをも発見した。
【0008】上記知見に基づいて、本発明を完成するに
至った。
【0009】すなわち、上記諸目的は、以下の(1)〜
(8)によって達成される。
【0010】(1)絶縁基板、配線層及び誘電体膜から
なる高周波用配線基板において、該誘電体膜が下記式
(1):
【0011】
【化2】
【0012】ただし、式(1)中、R1は4価の芳香族
有機基を表わし;R2は2価の芳香族有機基を表わし;
およびR1および/またはR2はC−H結合を有さない芳
香族有機基を表わす、で示される繰り返し単位を有する
ポリイミド樹脂を含むことを特徴とする高周波用配線基
板。
【0013】(2)前記式(1)中、R1および/また
はR2はすべての残位にハロゲン原子またはパーハロゲ
ノアルキル基を有する芳香族有機基を表わす、前記
(1)に記載の高周波用配線基板。
【0014】(3)前記式(1)中、R1およびR2はC
−H結合を有さない芳香族有機基を表わす、前記(1)
に記載の高周波用配線基板。
【0015】(4)前記式(1)中、R1およびR2はす
べての残位にハロゲン原子またはパーハロゲノアルキル
基を有する芳香族有機基を表わす、前記(1)〜(3)
のいずれかに記載の高周波用配線基板。
【0016】(5)前記式(1)中、R1は、下記式:
【0017】
【化3】
【0018】ただし、上記式中、R3、R4及びR5は、
それぞれ独立して、ハロゲン原子、パーハロゲノアルキ
ル基、パーハロゲノアルコキシ基、パーハロゲノアルケ
ノキシ基、パーハロゲノアルキノキシ基、パーハロゲノ
フェノキシ基、パーハロゲノナフトキシ基またはパーハ
ロゲノアントラトキシ基を表わし;およびXは、下記
式:
【0019】
【化4】
【0020】ただし、上記式中、R7及びR8は、それぞ
れ独立して、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキル
基を表わし;R9はパーフルオロアルキレン基を表わ
し;およびmは1〜10の整数である、を表わす、前記
(1)または(3)に記載の高周波用配線基板。
【0021】(6)前記式(1)中、R2は、下記式:
【0022】
【化5】
【0023】ただし、上記式中、R10、R11及びR
12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、パーハロゲノ
アルキル基、パーハロゲノアルコキシ基、パーハロゲノ
アルケノキシ基、パーハロゲノアルキノキシ基、パーハ
ロゲノフェノキシ基、パーハロゲノナフトキシ基または
パーハロゲノアントラトキシ基を表わし;およびYは、
下記式:
【0024】
【化6】
【0025】ただし、上記式中、R13及びR14は、それ
ぞれ独立して、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキ
ル基を表わし;R15はパーフルオロアルキレン基を表わ
し;およびnは1〜10の整数である、を表わす、前記
(1)、(3)または(5)に記載の高周波用配線基
板。
【0026】(7)前記式(1)中、R1は、下記式:
【0027】
【化7】
【0028】を表わす、、前記(1)〜(6)のいずれ
かに記載の高周波用配線基板。
【0029】(8)前記式(1)中、R2は、下記式:
【0030】
【化8】
【0031】を表わす、前記(1)〜(7)のいずれか
に記載の高周波用配線基板。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明は、下記式(1):
【0033】
【化9】
【0034】ただし、式(1)中、R1は4価の芳香族
有機基を表わし;R2は2価の芳香族有機基を表わし;
およびR1および/またはR2はC−H結合を有さない芳
香族有機基を表わす、で示される繰り返し単位を有する
ポリイミド樹脂を含む誘電体膜を有する高周波用配線基
板を提供するものである。
【0035】以下、本発明を詳細に説明する。
【0036】本発明において高周波用配線基板を構成す
る必須成分としてのポリイミド樹脂は、本願請求項の記
載から明らかなように、下記式(1):
【0037】
【化10】
【0038】で示される繰り返し単位を有するものであ
る。
【0039】上記式(1)において、R1は、4価の芳
香族有機基を表わし、好ましくはC−H結合を有さない
4価の芳香族有機基、より好ましくはすべての残位にハ
ロゲン原子またはパーハロゲノアルキル基を有する4価
の芳香族有機基を表わす。本発明に使用できるR1の具
体的としては、下記式:
【0040】
【化11】
【0041】で表わされる4価の芳香族有機基などが挙
げられる。これらのうち、下記式:
【0042】
【化12】
【0043】で表わされる4価の芳香族有機基がR1
して好ましい。なお、上記式は、特記しない限り、置換
基「X」、「R3」、「R4」、「R5」、及び「R6」の
結合位置が特に制限されず、置換基「X」、「R3」、
「R4」、「R5」、及び「R6」が相互に独立して各ベ
ンゼン環内の残位のうちの任意の位置に結合できること
を意味する。
【0044】上記式中、R3、R4、R5及びR6は、それ
ぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子等の
ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子及び塩素原子、特
に好ましくはフッ素原子;またはパーハロゲノアルキル
基、パーハロゲノアルコキシ基、パーハロゲノアルケノ
キシ基、パーハロゲノアルキノキシ基、パーハロゲノフ
ェノキシ(−OC65)基、パーハロゲノナフトキシ
(−OC107)基若しくはパーハロゲノアントラトキ
シ(−OC149)基を表わす。この際、パーハロゲノ
アルキル基としては、特に制限されないが、炭素原子数
が、通常、1〜5、好ましくは、1〜3のパーハロゲノ
アルキル基、好ましくはパーフルオロアルキル基及びパ
ークロロアルキル基、特に好ましくはパーフルオロアル
キル基(−Cp2p+1;この際、pは1〜5の整数であ
る)が挙げられる。本発明において特に好ましく使用さ
れるパーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメ
チル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピ
ル、ヘプタフルオロイソプロピル、パーフルオロ−n−
ブチル、パーフルオロ−sec−ブチル、パーフルオロ
−tert−ブチル、パーフルオロペンチル、パーフル
オロネオペンチル、及びパーフルオロイソペンチルなど
が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメチル、ペ
ンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びヘプ
タフルオロイソプロピルがパーフルオロアルキル基とし
て好ましい。また、パーハロゲノアルコキシ基として
も、特に制限されないが、炭素原子数が、通常、6〜1
2、好ましくは、6〜9のパーハロゲノアルコキシ基、
好ましくはパーフルオロアルコキシ基及びパークロロア
ルコキシ基、特に好ましくはパーフルオロアルコキシ基
(−OCq2q+1;この際、qは6〜12の整数であ
る)が挙げられる。本発明において特に好ましく使用さ
れるパーフルオロアルコキシ基としては、−OC
613、−OC715、−OC817、−OC919、−O
1021、−OC1123、及び−OC1225で示される
パーフルオロアルコキシ基などが挙げられる。これらの
うち、−OC613、−OC715、−OC817及び−
OC919がパーフルオロアルコキシ基として好まし
い。さらに、パーハロゲノアルケノキシ基としても、特
に制限されないが、炭素原子数が、通常、6〜12、好
ましくは、6〜9のパーハロゲノアルケノキシ基、好ま
しくはパーフルオロアルケノキシ基及びパークロロアル
ケノキシ基、特に好ましくはパーフルオロアルケノキシ
基(−OCq2 q-1;qは6〜12の整数である)が挙
げられる。本発明において特に好ましく使用されるパー
フルオロアルケノキシ基としては、−OC611、−O
713、−OC815、−OC917、−OC1019
−OC1121及び−OC1223などで示されるパーフル
オロアルケノキシ基などが挙げられる。これらのうち、
−OC611、−OC713、−OC815及び−OC9
17がパーフルオロアルケノキシ基として好ましい。さら
にまた、パーハロゲノアルキノキシ基としても、特に制
限されないが、炭素原子数が、通常、6〜12、好まし
くは、6〜9のパーハロゲノアルキノキシ基、好ましく
はパーフルオロアルキノキシ基及びパークロロアルキノ
キシ基、特に好ましくはパーフルオロアルキノキシ基
(−OCq2q-3;qは6〜12の整数である)が挙げ
られる。本発明において特に好ましく使用されるパーフ
ルオロアルキノキシ基としては、−OC69、−OC7
11、−OC813、−OC915、−OC1017、−O
1119、及び−OC1221で示されるパーフルオロア
ルキノキシ基などが挙げられる。これらのうち、−OC
69、−OC711、−OC813及び−OC915がパ
ーフルオロアルキノキシ基として好ましい。
【0045】この際、本発明によるパーハロゲノアルキ
ル基、パーハロゲノアルコキシ基、パーハロゲノアルケ
ノキシ基及びパーハロゲノアルキノキシ基は、いうまで
もなく、上記した相当するパーフルオロアルキル基、パ
ーフルオロアルコキシ基、パーフルオロアルケノキシ基
及びパーフルオロアルキノキシ基の炭素に結合する1価
の元素がフッ素に限定されず他のハロゲン原子が使用さ
れてもよい点以外は、上記パーフルオロアルキル基など
について列挙されたものと同様であり、また、一つの炭
素に結合する1価のハロゲン原子は同一であってもある
いは異なるものであってもよい。また、本発明におい
て、置換基「R3」、「R4」、「R5」及び「R6」が一
つのベンゼン環等の芳香族環内に複数個存在する際に
は、これらのR3、R4、R5及びR6はそれぞれ同一であ
ってもあるいは異なるものであってもよい。
【0046】さらに、上記式中、Xは、下記式:
【0047】
【化13】
【0048】のいずれかを表わし、この際、R7及びR8
は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素
原子等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子及び塩素
原子、特に好ましくはフッ素原子;またはパーフルオロ
アルキル基を表わす。この際、パーフルオロアルキル基
としては、特に制限されないが、炭素原子数が、通常1
〜5、好ましくは、1〜3のパーフルオロアルキル基が
挙げられる。具体的には、パーフルオロアルキル基とし
ては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘ
プタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、
パーフルオロ−n−ブチル、パーフルオロ−sec−ブ
チル、パーフルオロ−tert−ブチル、パーフルオロ
ペンチル、パーフルオロネオペンチル、及びパーフルオ
ロイソペンチルなどが挙げられる。これらのうち、トリ
フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオ
ロプロピル及びヘプタフルオロイソプロピルがパーフル
オロアルキル基として好ましい。また、R9は、パーフ
ルオロアルキレン基、通常、炭素原子数が、通常、1〜
6、好ましくは、1〜3のパーフルオロアルキレン基、
例えば、ジフルオロメチレン、テトラフルオロエチレン
及びヘキサフルオロペンチレンを表わす。さらに、m
は、Xが式:−(OR9)−、−(R9O)−、または−
(OR9O)−で示される際の各繰り返し単位の数を表
わし、1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1
〜3の整数である。
【0049】これらのうち、R1としては、下記式:
【0050】
【化14】
【0051】を表わすことが好ましく、特に下記式:
【0052】
【化15】
【0053】を表わすことが好ましい。
【0054】また、上記式(1)において、R2は、2
価の芳香族有機基を表わし、好ましくはC−H結合を有
さない2価の芳香族有機基、より好ましくはすべての残
位にハロゲン原子またはパーハロゲノアルキル基を有す
る2価の芳香族有機基を表わす。本発明に使用できるR
2の具体的としては、下記式:
【0055】
【化16】
【0056】で表わされる2価の芳香族有機基などが挙
げられる。これらのうち、下記式:
【0057】
【化17】
【0058】で表わされる2価の芳香族有機基がR2
して好ましい。なお、上記式は、特記しない限り、置換
基「Y」、「R10」、「R11」、及び「R12」の結合位
置が特に制限されず、置換基「Y」、「R10」、
「R11」、及び「R12」が相互に独立して各ベンゼン環
内の残位のうちの任意の位置に結合できることを意味す
る。
【0059】上記式中、R10、R11及びR12は、それぞ
れ独立して、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子等のハ
ロゲン原子、好ましくはフッ素原子、及び塩素原子、特
に好ましくはフッ素原子;またはパーハロゲノアルキル
基、パーハロゲノアルコキシ基、パーハロゲノアルケノ
キシ基、パーハロゲノアルキノキシ基、パーハロゲノフ
ェノキシ(−OC65)基、パーハロゲノナフトキシ
(−OC107)基若しくはパーハロゲノアントラトキ
シ(−OC149)基を表わす。この際、パーハロゲノ
アルキル基としては、特に制限されないが、炭素原子数
が、通常、1〜5、好ましくは、1〜3のパーハロゲノ
アルキル基、好ましくはパーフルオロアルキル基及びパ
ークロロアルキル基、特に好ましくはパーフルオロアル
キル基(−Cp2p+1;この際、pは1〜5の整数であ
る)が挙げられる。本発明において特に好ましく使用さ
れるパーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメ
チル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピ
ル、ヘプタフルオロイソプロピル、パーフルオロ−n−
ブチル、パーフルオロ−sec−ブチル、パーフルオロ
−tert−ブチル、パーフルオロペンチル、パーフル
オロネオペンチル、及びパーフルオロイソペンチルなど
が挙げられる。これらのうち、トリフルオロメチル、ペ
ンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びヘプ
タフルオロイソプロピルがパーフルオロアルキル基とし
て好ましい。また、パーハロゲノアルコキシ基として
も、特に制限されないが、炭素原子数が、通常、6〜1
2、好ましくは、6〜9のパーハロゲノアルコキシ基、
好ましくはパーフルオロアルコキシ基及びパークロロア
ルコキシ基、特に好ましくはパーフルオロアルコキシ基
(−OCq2q+1;この際、qは6〜12の整数であ
る)が挙げられる。本発明において特に好ましく使用さ
れるパーフルオロアルコキシ基としては、−OC
613、−OC715、−OC817、−OC919、−O
1021、−OC1123、及び−OC1225で示される
パーフルオロアルコキシ基などが挙げられる。これらの
うち、−OC613、−OC715、−OC817及び−
OC919がパーフルオロアルコキシ基として好まし
い。さらに、パーハロゲノアルケノキシ基としても、特
に制限されないが、炭素原子数が、通常、6〜12、好
ましくは、6〜9のパーハロゲノアルケノキシ基、好ま
しくはパーフルオロアルケノキシ基及びパークロロアル
ケノキシ基、特に好ましくはパーフルオロアルケノキシ
基(−OCq2 q-1;qは6〜12の整数である)が挙
げられる。本発明において特に好ましく使用されるパー
フルオロアルケノキシ基としては、−OC611、−O
713、−OC815、−OC917、−OC1019
−OC1121及び−OC1223などで示されるパーフル
オロアルケノキシ基などが挙げられる。これらのうち、
−OC611、−OC713、−OC815及び−OC9
17がパーフルオロアルケノキシ基として好ましい。さら
にまた、パーハロゲノアルキノキシ基としても、特に制
限されないが、炭素原子数が、通常、6〜12、好まし
くは、6〜9のパーハロゲノアルキノキシ基、好ましく
はパーフルオロアルキノキシ基及びパークロロアルキノ
キシ基、特に好ましくはパーフルオロアルキノキシ基
(−OCq2q-3;qは6〜12の整数である)が挙げ
られる。本発明において特に好ましく使用されるパーフ
ルオロアルキノキシ基としては、−OC69、−OC7
11、−OC813、−OC915、−OC1017、−O
1119、及び−OC1221で示されるパーフルオロア
ルキノキシ基などが挙げられる。これらのうち、−OC
69、−OC711、−OC813及び−OC915がパ
ーフルオロアルキノキシ基として好ましい。
【0060】この際、本発明によるパーハロゲノアルキ
ル基、パーハロゲノアルコキシ基、パーハロゲノアルケ
ノキシ基及びパーハロゲノアルキノキシ基は、いうまで
もなく、上記した相当するパーフルオロアルキル基、パ
ーフルオロアルコキシ基、パーフルオロアルケノキシ基
及びパーフルオロアルキノキシ基の炭素に結合する1価
の元素がフッ素に限定されず他のハロゲン原子が使用さ
れてもよい点以外は、上記パーフルオロアルキル基など
について列挙されたものと同様であり、また、一つの炭
素に結合する1価のハロゲン原子は同一であってもある
いは異なるものであってもよい。また、本発明におい
て、置換基「R10」、「R11」及び「R12」が一つのベ
ンゼン環等の芳香族環内に複数個存在する際には、これ
らのR10、R11及びR12はそれぞれ同一であってもある
いは異なるものであってもよい。
【0061】さらに、上記式中、Yは、下記式:
【0062】
【化18】
【0063】のいずれかを表わし、この際、R13及びR
14は、それぞれ独立して、フッ素、塩素、臭素及びヨウ
素原子等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子及び塩
素原子、特に好ましくはフッ素原子;またはパーフルオ
ロアルキル基を表わす。この際、パーフルオロアルキル
基としては、特に制限されないが、炭素原子数が、通
常、1〜5、好ましくは、1〜3のパーフルオロアルキ
ル基が挙げられる。具体的には、パーフルオロアルキル
基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチ
ル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロ
ピル、パーフルオロ−n−ブチル、パーフルオロ−se
c−ブチル、パーフルオロ−tert−ブチル、パーフ
ルオロペンチル、パーフルオロネオペンチル、及びパー
フルオロイソペンチルなどが挙げられる。これらのう
ち、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプ
タフルオロプロピル及びヘプタフルオロイソプロピルが
パーフルオロアルキル基として好ましい。また、R
15は、パーフルオロアルキレン基、通常、炭素原子数
が、通常、1〜6、好ましくは、1〜3のパーフルオロ
アルキレン基、例えば、ジフルオロメチレン、テトラフ
ルオロエチレン及びヘキサフルオロペンチレンを表わ
す。さらに、nは、Yが式:−(OR15)−、−(R15
O)−、または−(OR15O)−で示される際の各繰り
返し単位の数を表わし、1〜10、好ましくは1〜6、
より好ましくは1〜3の整数である。
【0064】これらのうち、R2としては、下記式:
【0065】
【化19】
【0066】を表わすことが好ましく、特に下記式:
【0067】
【化20】
【0068】を表わすことが好ましい。
【0069】また、本発明において、式(1)におい
て、R1およびR2のうち少なくとも一方はC−H結合を
有さない芳香族有機基、好ましくはすべての残位にハロ
ゲン原子またはパーハロゲノアルキル基を有する芳香族
有機基を表わすことを必須とする。より好ましくは、R
1およびR2の双方がC−H結合を有さない芳香族有機
基、最も好ましくはすべての残位にハロゲン原子または
パーハロゲノアルキル基を有する芳香族有機基を表わ
し、それぞれの好ましい態様は上記のとおりである。
【0070】本発明において、ポリイミド樹脂は、式
(1)で示される繰り返し単位を有することを必須とす
るが、式(1)で示される繰り返し単位以外の他の繰り
返し単位を有していてもよい。この際に使用できる他の
繰り返し単位としては、ポリイミド皮膜の描画のし易さ
を目的として感光基が導入されたアミド酸、アミノカル
ボン酸及びアミノカルボン酸アミドなどが挙げられる。
また、ポリイミド樹脂は、これらの繰り返し単位のうち
の同一の繰り返し単位からなるものであってもまたは異
なる繰り返し単位からなるものであってもよく、後者の
場合には、その繰り返し単位はブロック状であったもま
たはランダム状であってもよい。さらに、ポリイミド樹
脂が上記した他の繰り返し単位を含む場合には、ポリイ
ミド樹脂を構成する全繰り返し単位に対する式(1)の
繰返し単位の含量は、特に制限されるものではないが、
通常、30〜100%、好ましくは50〜100%であ
る。
【0071】本発明において、式(1)の繰り返し単位
を有するポリイミド樹脂は、公知と同様の方法によって
製造でき、その製造方法は特に制限されるものではない
が、例えば、特開平4−325,580号公報や特開平
2−208,324号公報に記載される方法などが挙げ
られる。その一例を簡単に下記に記載する。まず、テト
ラカルボン酸またはその誘導体とジアミンとをおおよそ
等モルで反応させて、ポリアミド酸を得、さらにこのよ
うにして得られたポリアミド酸を化学的または加熱によ
りポリイミド化することによって、式(1)の繰り返し
単位を有するポリイミド樹脂が得られる。上記方法に使
用されるテトラカルボン酸またはその誘導体としては、
分子内のアルキル基、フェニル環等の炭素に結合するす
べての1価元素をハロゲン原子、好ましくはフッ素、ま
たはパーハロゲノアルキル基、好ましくはパーフルオロ
アルキル基としたものであればどのようなものでもよい
が、例えば、1,4−ジフルオロピロメリット酸、1−
トリフルオロメチル−4−フルオロピロメリット酸、
1,4−ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、
1,4−ジ(ペンタフルオロエチル)ピロメリット酸、
ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸、ヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,
4−ジカルボキシトリフルオロフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシトリ
フルオロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−
ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)
テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカ
ルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラクロロベンゼ
ン、及びヘキサフルオロ−3,3’,4,4’−オキシ
ビスフタル酸などのテトラカルボン酸;並びにテトラカ
ルボン酸の誘導体としてこれらのテトラカルボン酸の酸
二無水物、酸ハロゲン化物、モノエステル化物及びジエ
ステル化物などが挙げられる。これらのうち、ピロメリ
ット酸二無水物のベンゼン環にフルオロアルキル基を導
入した含フッ素酸二無水物である1,4−ジ(トリフル
オロメチル)ピロメリット酸二無水物、及び1,4−ジ
(ペンタフルオロエチル)ピロメリット酸二無水物等の
製造方法については、特開平2−15,084号公報に
記載される方法が使用できる。
【0072】また、上記方法に使用されるジアミンの例
としては、アルキル基、フェニル基等の炭素に結合する
すべての1価元素をハロゲン原子、好ましくはフッ素、
またはパーハロゲノアルキル基、好ましくはパーフルオ
ロアルキル基としたものであればどのようなものでもよ
く、例えば、3,4,5,6−テトラフルオロ−1,2
−フェニレンジアミン、3,4,5,6−テトラクロロ
−1,2−フェニレンジアミン、2,4,5,6−テト
ラフルオロ−1,3−フェニレンジアミン、2,4,
5,6−テトラクロロ−1,3−フェニレンジアミン、
2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン
ジアミン、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−フ
ェニレンジアミン、2,4,6−テトラフルオロ−5−
クロロ−1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジア
ミノオクタフルオロビフェニル、ビス(2,3,5,6
−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、ビ
ス(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェ
ニル)スルホン、ヘキサフルオロ−2,2’−(ビスト
リフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、
1,4−ビス(3−アミノテトラフルオロフェノキシ)
テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3−アミノテ
トラフルオロフェノキシ)テトラクロロベンゼン及び
2,2−ビス(3−アミノテトラフルオロフェニル)ヘ
キサフルオロプロパンなどが挙げられる。
【0073】なお、ポリイミドが可溶性である場合に
は、上記したジアミンの代わりに対応するジイソシアネ
ートを使用することも可能である。
【0074】上記方法において、テトラカルボン酸また
はその誘導体とジアミンとの反応は、公知のポリアミド
酸の製造方法と同様にして行なわれ、溶媒中で行なわれ
てもあるいは無溶媒下で行なわれてもよいが、好ましく
は溶媒中で、特に好ましくは下記に例示されるような極
性有機溶媒中で行なって、ポリアミド酸溶液とする。こ
の際使用される溶媒としては、特に制限されるものでは
ないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N
−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、ベンゾ
ニトリル、アセトン及びアセトニトリルなどの極性有機
溶媒;ならびにテトラヒドロフラン、クロロホルムなど
の低極性有機溶媒などが挙げられる。なお、上記反応に
おいて、本発明において、テトラカルボン酸二無水物等
のテトラカルボン酸またはその誘導体およびジアミン
は、それぞれ、単一の化合物として使用されてもあるい
は2種以上のジアミンおよび/またはテトラカルボン酸
二無水物の混合物の形態で使用されてもよい。後者の場
合には、使用される複数または単一のジアミンのモル数
の合計が、複数または単一のテトラカルボン酸二無水物
のモル数の合計に等しいまたはほぼ等しいことが好まし
い。また、全フッ素化ポリアミド酸を製造する際には、
全フッ素化されていない酸無水物成分、ジアミン成分を
用いることにより、一部フッ素化されていないポリアミ
ド酸が製造されるが、この際その比率が過度に大きくな
い場合には、特に精製工程を伴うことなく、そのまま一
部フッ素化されていないポリアミド酸を含んだ形態で次
工程であるイミド化工程に供してもよい。
【0075】また、テトラカルボン酸またはその誘導体
とジアミンとの反応条件は、これらの反応が効率良く進
行する条件であれば特に制限されるものではなく、例え
ば、テトラカルボン酸またはその誘導体とジアミンを含
む溶液の攪拌については、反応系が均一であれば攪拌を
行なっても若しくは行なわなくてもよいが、反応系が不
均一である場合には攪拌を行なうことが望ましい。攪拌
を行なう際の攪拌速度は、これらの反応が速やかに進行
するものであれば特に制限されないが、反応液に気泡が
混入しない程度であることが望ましい。また、反応温度
は、通常、−20〜200℃、好ましくは0〜100℃
であり、反応時間は、通常、1〜72時間、好ましくは
2〜48時間である。また、反応は、加圧下、常圧下ま
たは減圧下のいずれの圧力下で行なってもよいが、好ま
しくは常圧下で行われる。
【0076】つぎに、上記反応によって得られたポリア
ミド酸から所望のポリイミドを製造する方法は、公知の
ポリイミド化方法が使用でき、例えば、ポリアミド酸を
化学的な処理によりまたは加熱処理によりポリイミド化
する方法が挙げられる。これらのうち、前者のポリアミ
ド酸の化学的な処理方法としては、イミド化剤(例え
ば、無水酢酸やピリジン等)を用いた処理方法などが挙
げられる。また、後者のポリアミド酸の加熱処理方法の
一例としては、例えば、ポリアミド酸を、好ましくはア
ルゴンガス、ヘリウムガス及び窒素ガス等の不活性ガス
雰囲気下で、通常、20〜500℃、好ましくは50〜
400℃の反応温度で、通常、1〜48時間、好ましく
は2〜24時間、加熱する方法が挙げられる。
【0077】より詳しくは、上記反応によって得られた
ポリアミド酸溶液をキャスティング等により絶縁基板上
に塗付した後、例えば、無水酢酸やピリジン等のイミド
化剤の添加により若しくは20〜500℃、好ましくは
50〜400℃で、1〜48時間、好ましくは2〜24
時間、加熱することによりポリアミド酸をイミド化し、
これによりポリイミド樹脂の誘電体膜が得られる。この
際、溶液におけるポリアミド酸の濃度は、絶縁基板上に
キャスティングしやすくかつイミド化が十分達成できる
ような濃度であれば特に制限されないが、全溶液の重量
に対して、通常、10〜60質量%、好ましくは20〜
50質量%である。また、テトラカルボン酸またはその
誘導体とジアミンとの反応により、反応後のポリイミド
樹脂溶液の粘度は次第に上昇するが、この際のポリアミ
ド酸溶液の粘度は、25℃で、0.5〜100Pa・s
程度、より好ましくは10〜50Pa・s程度の範囲と
なることが好ましい。
【0078】または、ポリアミド酸溶液を無水酢酸やピ
リジン等のイミド化剤の添加により若しくは高温(例え
ば、20〜500℃、好ましくは50〜400℃)で1
〜48時間、好ましくは2〜24時間、加熱することに
よりイミド化を行なってポリイミド溶液を得、この後、
このポリイミド溶液をキャスティング等により絶縁基板
上に塗付した後、これを乾燥してポリイミド樹脂の誘電
体膜を得てもよい。この際、溶液におけるポリイミドの
濃度は、絶縁基板上にキャスティングしやすいような濃
度であれば特に制限されないが、キャスティング等によ
る塗布のし易さ及び誘電体膜としてのポリイミドの機械
的強度を考慮すると、全溶液の重量に対して、通常、1
0〜60質量%、好ましくは20〜50質量%である。
【0079】または、テトラカルボン酸またはその誘導
体及びジアミンを真空蒸着装置を用いて絶縁基板上に蒸
着させてポリアミド酸とし、次いで、これを例えば、2
0〜500℃、好ましくは50〜400℃で、1〜48
時間、好ましくは2〜24時間、加熱処理してイミド化
してポリイミド樹脂の誘電体膜を得てもよい。上記方法
は、反応設備が大がかりになるという欠点はあるもの
の、溶媒の添加を必要としないため、不純物の混入の極
めて少ない高純度のポリイミド皮膜が得られる点で好ま
しい。
【0080】本発明において、ポリアミド酸溶液は、2
種以上のポリアミド酸混合液として用いられてもよく、
また、所望の特性(例えば、耐熱性や低比誘電性など)
が許容される範囲内で、以下に詳述するような他のポリ
アミド酸溶液、ポリイミド溶液、またはポリイミド以外
の樹脂溶液との混合物として使用されてもよい。
【0081】また、本発明において使用される絶縁基板
としては、従来公知のものが使用できその製造方法も特
に制限されるものではないが、例えば、ガラスクロスに
エポキシ樹脂粉末を散布塗工し、次いでこの散布塗工を
施したガラスクロス同士を積層した絶縁基板;ガラスク
ロスにフッ素樹脂分散液を浸漬塗工して乾燥し、この浸
漬塗工を施したガラスクロス同士を積層した絶縁基板;
セラミック製の絶縁基板;テフロン(登録商標)、ポリ
エチレン等の有機樹脂、セラミックスまたはこれらの複
合体で作製された絶縁基板;ポリプロピレン製の絶縁基
板;および半導体基板としてのケイ素(Si)、ガリウ
ム砒素(GaAs)などが挙げられる。また、本発明に
おいて使用される絶縁基板の大きさ(即ち、幅、長さ及
び厚さ)は、特に制限されるものではなく公知のものと
同様の大きさが使用できる。
【0082】このようにして製造されたポリイミド樹脂
の誘電体膜は、比誘電率が2.8〜2.3と十分低く、
また、誘電損失は0.001以下と低い。このため、本
発明に係る誘電体膜は、ライン幅を小さくすることなし
にインピーダンスを高めることができるので、特性劣化
を抑制できかつ低損失化がはかれるという利点を有す
る。
【0083】また、このようにして製造されたポリイミ
ド樹脂は、優れた絶縁性及び機械的強度を兼ね備えてい
るが、上記諸特性や耐溶剤性などの所望の特性が不十分
である場合には、他の成分、例えば、重合性不飽和機炭
素結合を有するアミンやジアミン、ジカルボン酸、トリ
カルボン酸、テトラカルボン酸、マレイン酸、ナジック
酸、3−エチルフタル酸、これらの無水物、エチニルア
ニリン、シアノアニリンなどを添加することにより、重
合性分を変性・架橋したり、あるいはフェノール性水酸
基やカルボン酸を有する芳香族ジアミン、例えば、ジア
ミノフェノール、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)
ヘキサフルオロプロパン、ジアミノ安息香酸、カルボキ
シベンジジンなどでポリイミド樹脂を変性・架橋して、
耐溶剤性などの諸特性を向上させてもよい。
【0084】本発明において、誘電体膜は、上記したよ
うな特定の構造を有するポリイミド樹脂を含むことを必
須とするが、このポリイミド樹脂に加えて、所望の低比
誘電率、誘電損失、耐湿性、耐候性、高ガスバリア性、
絶縁性及び機械的強度等に悪影響を及ぼしたりせず、本
発明の範疇を逸脱しない範囲において、さらに他の成分
を含んでいてもよい。さらなる成分としては、例えば、
ポリアミド、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレー
ト樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、付加
型ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリパラビニルフ
ェノール樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテ
ル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン及び
ポリアゾメチン;ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A)及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)等のフッ素樹脂;炭酸カルシウム、シリカ、アルミ
ナ、チタニア、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウ
ム、ケイ酸ジルコニウム、ジルコン、ガラス、タルク、
マイカ、黒鉛、アルミニウム、銅及び鉄等の粉末や短繊
維状の無機充填材;脂肪酸やワックス類等の離型剤;エ
ポキシシラン、ビニルシラン、ボラン系化合物及びアル
キルチタネート系化合物等のカップリング剤;アンチモ
ンやリンの化合物およびハロゲン含有化合物等の難燃
剤;ならびに分散剤や溶剤等の各種添加剤が挙げられ
る。ポリイミド樹脂に加えてさらなる成分を含む際のさ
らなる成分の含量は、全原料に対して、1〜49質量%
である。
【0085】本発明において、絶縁基板上へのポリイミ
ド樹脂による誘電体膜の形成方法としては、特に制限さ
れず公知の方法が使用される。具体的には、キャスティ
ング(流延法)、スピンコーティング(回転塗布法)、
ロールコーティング、スプレイコーティング、バーコー
ティング、フレキソ印刷、およびディップコーティング
などの方法が挙げられる。これらの方法のうち、薄膜化
や凹凸の少ない平滑な誘電体膜の形成が可能である点、
および容易にコーティングできる点や膜の制御が容易な
点などを考慮すると、スピンコーティングおよびバーコ
ーティングが好ましく使用される。また、ポリイミド樹
脂に加えて上記したような他の成分を含む場合には、例
えば、キャスティング、スピンコーティング、ロールコ
ーティング、スプレイコーティング、バーコーティン
グ、フレキソ印刷、およびディップコーティングなどの
方法が挙げられる。この際絶縁基板上に形成される誘電
体膜の厚みは、目的とするインピーダンス特性及び用途
ならびにその材質などに合わせて適宜選択することがで
きる。
【0086】このようにして形成された誘電体膜から本
発明の高周波用配線基板を製造する方法は、特に限定さ
れるものではなく、公知の方法が同様にして使用でき
る。例えば、上記のようにして製造された誘電体膜の表
面または内部に、配線層、好ましくは周波数1GHz以
上の高周波信号が伝送可能な配線層を配設することによ
って、本発明の高周波用配線基板が製造される。また
は、絶縁基板上に接地電極を形成し、絶縁基板上に形成
された接地電極上に同様にして誘電体膜を形成した後、
この誘電体膜の表面または内部に配線層、好ましくは周
波数1GHz以上の高周波信号が伝送可能な配線層を配
設することによって、本発明の高周波用配線基板を製造
してもよい。
【0087】本発明において、接地電極を絶縁基板上に
形成する際の、接地電極は、絶縁基板の一部または全
面、好ましくは全面に形成され、この形成方法として
は、既知の方法を用いて、例えば、銀(Ag)電極の焼
き付けや銅(Cu)のメッキ等によって絶縁基板上に形
成することができる。また、接地電極の厚さは、特に制
限されるものではなく公知のものと同様の厚みが使用で
きる。
【0088】このようにして接地電極面上に誘電体膜が
形成された後は、好ましくは周波数1GHz以上の高周
波信号が伝送可能な配線層(以下、単に「配線層」とも
いう)がこの誘電体膜上にさらに形成されるが、この配
線層としては、周波数1GHz以上の高周波信号を電送
可能であれば特に制限されることなく、公知のものが同
様にして使用できる。具体的には、ストリップ線路、マ
イクロストリップ線路、トリプレート線路、コプレーナ
線路、誘電体導波管線路などから構成された配線層が挙
げられる。
【0089】また、本発明による配線層の形成方法は特
に制限されず、公知の方法が用いられるが、例えば、上
記したようにして絶縁基板上に接地電極及び誘電体膜を
形成した後、既知の方法を用いて、例えば、銀(Ag)
電極の焼き付けや銅(Cu)のメッキ等によって、マイ
クロストリップ線路として誘電体膜上に形成され、この
際には図1に示されるような高周波用配線基板が製造さ
れる。
【0090】または、配線層は、図2に示されるよう
に、上記したようにして絶縁基板上に接地電極及び誘電
体膜を形成した後、既知の方法を用いて、例えば、銀
(Ag)電極の焼き付けや銅(Cu)のメッキ等によっ
て、マイクロストリップ線路として誘電体膜上に形成さ
れた後、さらにその上に配線層を被覆するように上部誘
電体膜を形成してもよい。この際、上部誘電体膜の形成
は、上記誘電体膜の形成について記載したのと同様の方
法によってなされるが、この以外にも、既知の方法が使
用でき、例えば、配線層を含む誘導体膜上に誘電体セラ
ミック、ポリイミドやポリプロピレン等の有機樹脂を製
膜することによってなされてもよい。
【0091】なお、上記2実施態様では、配線層として
マイクロストリップ線路を形成した例について説明した
が、例えば、ストリップ線路、コプレーナ線路、誘電体
導波管線路、及びトリプレート線路も同様にして形成さ
れる。
【0092】本発明において、配線層の大きさ(即ち、
幅、長さ及び厚さ)は、特に制限されるものではなく公
知のものと同様の大きさが使用できる。
【0093】本発明の高周波用配線基板の構造は、特に
制限されず、従来一般的に製造されるすべての高周波用
配線基板と同様の構造が使用される。
【0094】また、本発明の高周波用配線基板は、マイ
クロ波、ミリ波等の高周波で用いられるパッケージ、誘
電体共振器、LCフィルター、コンデンサ、誘電体導波
路、誘電体アンテナ等に好ましく用いることができる。
【0095】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0096】実施例1 絶縁基板としてセラミック基板の片面上に、銅(Cu)
からなる全面電極を接地電極として形成した後、下記
式:
【0097】
【化21】
【0098】の含フッ素ポリイミドを40質量%含むワ
ニスをスピンコート法にてコートし、70℃の温度でプ
リベークし、350℃で焼成することによって、絶縁基
板上に100μm厚の誘電体膜を形成した。
【0099】次に、この誘電体膜を介して、幅1mmの
銅(Cu)からなるマクロストリップ線路をスパッタ法
によって形成し、比誘電率及び誘電損失をネットワーク
アナライザーで測定した。その結果、周波数10GHz
における比誘電率及び誘電損失は、それぞれ、2.5及
び0.001以下であった。
【0100】
【発明の効果】上述したように、本願発明の高周波用配
線基板は、上記式(1)で示される繰り返し単位を有す
るポリイミド樹脂を含む誘電体膜を有することを特徴と
するものである。したがって、したがって、本願発明の
高周波用配線基板では、誘電体膜が低誘電率のポリイミ
ド樹脂を用いて形成されるので、断線やクロストークな
どが有効に抑制でき、また高周波電送効率の向上がはか
れる。また、本発明に係る低誘電率のポリイミド樹脂を
誘電体膜に使用することにより、ライン幅を小さくする
ことなしにインピーダンスを高めることができるので、
特性劣化を抑制できかつ低損失化がはかれるという利点
を有する。
【0101】また、分子内にフッ素原子が導入されたポ
リイミド樹脂を使用する場合には、高周波用配線基板
は、さらに低比誘電率化が図れると同時に、耐熱性や溶
解性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の第一の実施態様としての高周波用
配線基板の斜視図を示すものである。
【図2】は、本発明の第二の実施態様としての高周波用
配線基板の斜視図を示すものである。
【符号の説明】
1…絶縁基板、 2…接地電極、 3…誘電体膜、 4…マイクロストリップ線路、 5…上部誘電体膜。
フロントページの続き (72)発明者 奥村 康則 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株 式会社日本触媒内 Fターム(参考) 4J043 QB23 QB24 QB25 QB26 QB31 SA06 SA49 SA51 SA52 SA53 SA54 SA55 SA56 SA61 TA01 TA14 TA22 TA25 TA31 TA32 TA35 TA41 TA44 TA45 TA47 TA48 TA49 UA121 UA122 UA131 UA132 UA141 UA142 UA251 UA252 UA261 UA262 UA331 UA332 UA391 UA621 UA622 UA711 UA712 UB051 UB052 UB061 UB062 UB121 UB122 UB131 UB132 UB151 UB152 UB171 UB172 UB281 UB282 UB301 UB302 UB401 UB402 VA021 VA022 VA031 VA032 VA062 XA16 XA19 YA06 YA08 ZA43 ZB50

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板、配線層及び誘電体膜からなる
    高周波用配線基板において、該誘電体膜が下記式
    (1): 【化1】 ただし、式(1)中、R1は4価の芳香族有機基を表わ
    し;R2は2価の芳香族有機基を表わし;およびR1およ
    び/またはR2はC−H結合を有さない芳香族有機基を
    表わす、で示される繰り返し単位を有するポリイミド樹
    脂を含むことを特徴とする高周波用配線基板。
  2. 【請求項2】 該式(1)中、R1および/またはR2
    すべての残位にハロゲン原子またはパーハロゲノアルキ
    ル基を有する芳香族有機基を表わす、請求項1に記載の
    高周波用配線基板。
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JP5163126B2 (ja) * 2005-10-25 2013-03-13 日立化成株式会社 フレキシブル積層板及びその製造方法、並びにフレキシブル印刷配線板

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