JP2001303211A - Dcモータ用電磁鋼板 - Google Patents

Dcモータ用電磁鋼板

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JP2001303211A
JP2001303211A JP2000117285A JP2000117285A JP2001303211A JP 2001303211 A JP2001303211 A JP 2001303211A JP 2000117285 A JP2000117285 A JP 2000117285A JP 2000117285 A JP2000117285 A JP 2000117285A JP 2001303211 A JP2001303211 A JP 2001303211A
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Masaaki Kono
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブラシレスDCモータに求められている高効
率化を達成し得る、新規な電磁鋼板。 【解決手段】Si:2.5 〜10mass%及びCr:1.5 〜20mass
%を含み、C及びNを合計量0.01mass%以下で含有し、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、固有抵抗が60μ
Ωcm以上で、平均結晶粒径が75μm 以上、W10/400が14W
/kg以下、B1が0.7 T 以上であることを特徴とするブラ
シレスDCモータ用電磁鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電磁鋼板に関
し、DCモータ、特にブラシレスDCモータに用いて好
適な鋼板を提案しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、エアコン、冷蔵庫、洗濯機等
の家庭用電気製品に用いられるモータとしては、AC誘
導モータが用いられてきたが、近年では、省エネルギー
対策からブラシレスDCモータが用いられることが多く
なってきた。かかるブラシレスDCモータについても、
電気機器の消費電力を抑えるために、モータの高効率化
が求められている。モータを高効率化するには、モータ
の構造等を変更することも考えられるが、鉄心に用いら
れている電磁鋼板の磁気特性を高めることも重要であ
る。
【0003】従来、かようなブラシレスDCモータの鉄
心には、Siを3.5 mass%程度含有する、安価な無方向性
電磁鋼板が用いられてきた。かような通常の無方向性電
磁鋼板は、安価な点や打ち抜き加工が良好である点には
メリットがあるが、高効率化を目指す場合には、今なお
改良の余地が残されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
DCモータ、特に上述したブラシレスDCモータに求め
られている高効率化を達成し得る、新規な電磁鋼板を提
案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、種々の鉄心
材料を用いてモデルのモータ(希土類磁石を用いたIP
M(Interior Parmanent Magnet: 内部永久磁石型) 、3
相、8 極、出力400 W)を作成し、実際にモータ効率を
調査することにより、鉄心材料を評価した。その結果、
モータ効率を90%以上にするためには、商用周波数によ
りもやや高周波域での鉄損を低減することが重要である
ことを見出した。また、安定してモータ効率を90%以上
にするためには、素材の平均結晶粒径を大きくすること
が肝要であることを見出した。この発明は、上記の知見
に立脚するものである。
【0006】すなわち、この発明は、Si:2.5 〜10mass
%及びCr:1.5 〜20mass%を含み、C及びNを合計量0.
01mass%以下で含有し、残部がFe及び不可避的不純物か
らなり、固有抵抗が60μΩcm以上で、平均結晶粒径が75
μm 以上、W10/400が14W/kg以下、B1が0.7 T 以上であ
ることを特徴とするDCモータ用電磁鋼板である。
【0007】また、この発明は、Si:2.5 〜10mass%及
びCr:1.5 〜20mass%を含み、C及びNを合計量0.01ma
ss%以下で含有し、更に、Sを0.010 mass%以下で含有
するとともに、Ti量をC量、N量及びS量との関係で、
Ti×(C+N+S)×105 ≦5.0 を満足する範囲とし、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、固有抵抗が60μ
Ωcm以上で、平均結晶粒径が75μm 以上、W10/400 が14
W/kg以下、B1が0.7 T 以上であることを特徴とするDC
モータ用電磁鋼板である。
【0008】更に、この発明は、Si:2.5 〜10mass%及
びCr:1.5 〜20mass%を含み、C及びNを合計量0.01ma
ss%以下で含有し、更に、Sを0.010 mass%以下で含有
するとともに、Ti量をC量、N量及びS量との関係で、
Ti×(C+N+S)×105 ≦5.0 を満足する範囲とし、
かつ、Alよりなる群、Mn及びPから選ばれる1種又は2
種よりなる群、Sb及びSnから選ばれる1種又は2種より
なる群、並びに、Ni、Cu、Coから選ばれる1種又は2種
以上よりなる群の1群又は2群以上の成分を、Alは5 ma
ss%以下、Mn及びPはそれぞれ1 mass%以下、Sb及びSn
はそれぞれ1 mass%以下、Ni及びCoはそれぞれ5 mass%
以下、Cuは1 mass%以下の範囲で含有し、残部がFe及び
不可避的不純物からなり、固有抵抗が60μΩcm以上で、
平均結晶粒径が75μm 以上、W10/400 が14W/kg以下、B1
が0.7 T 以上であることを特徴とするDCモータ用電磁
鋼板である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明をより具体的に説
明する。この発明の鋼板は、W10/400 が14W/kg以下か
つ、B1が0.7 T 以上であることが必要である。発明者ら
の研究によるモデルモータ評価により、モータ効率を90
%以上とするためには、素材が、上述したW10/400 が14
W/kg以下かつ、B1が0.7 T以上を具備することが必要で
あることを見出した。ここで、モータ効率とは、モデル
モータにおける入力に対する出力を比で表したものであ
る(出力/入力×100 )。図1に成分組成を変化させる
ことにより、鉄損特性及び磁束密度特性を変えた種々の
鋼について、モータ効率を測定した結果を示す。この図
1より、ブラシレスDCモータにおいて、モータ効率を
90%以上にするためには、W10/400 が14W/kg以下かつ、
B1が0.7 T 以上を満足させることが必要であることが分
かる。これは、ブラシレスDCモータの鉄心材料につい
ては、商用周波数よりもやや高周波域での鉄損を低減す
ることと、磁束密度の立ち上がりが早いことが重要であ
ることを意味している。
【0010】この発明の鋼板において、更に安定して実
機におけるモータ効率を90%以上にするためには、前述
した磁気特性を満足させることに加えて、鋼板の平均結
晶粒径が75μm 以上であることが必要であることを見出
した。この理由は、以下のように考える。
【0011】ブラシレスDCモータにおいては、通常は
インバータ波形により励磁されるため、高周波域での鉄
損が小さいことが必要だと考えられる。一般に、高周波
域での鉄損を低減するためには、素材の結晶粒径を小さ
くすることが有効である。しかし、近年の磁石の着磁方
法の改善やモータ設計の改善によって、励磁成分に低周
波成分が含まれるようになったことから、素材の結晶粒
径がやや大きい方が、むしろ安定して高いモータ効率が
得られるものと考えられる。また、結晶粒が大きい方が
打ち抜き加工時のせん断歪の影響を受けにくいことも一
因と考えられる。
【0012】図2に、この発明の鋼板の成分組成範囲に
なる鋼について平均結晶粒径を種々に変化させて、実際
のモータ効率を調査した結果を示す。この図2からも明
らかなように、平均結晶粒径が75μm 以上の範囲を外れ
る場合は、実際のモータ効率90%以上が得られない。よ
り好ましい範囲は、90μm 以上、より好ましくは100μm
以上である。また、上限は加工性の点から500 μm 以
下とすることが好ましい。このように、平均結晶粒径を
所定の範囲にする具体的手段としては、後述する成分調
整による方法の他、仕上焼鈍の温度条件を制御する方法
がある。
【0013】この発明の鋼板は、モータ効率を90%以上
とするために、磁束密度の立ち上がりが早いほうがよ
い。したがって、この発明では磁束密度を、B1が0.7 T
以上とする。
【0014】優れた高周波鉄損、ひいては優れたモータ
効率を達成するには、固有抵抗を高めることが必要であ
り、この発明の鋼では、60μΩcm以上が望ましい。60μ
Ωcmより固有抵抗が低いと、板厚をいかに薄くしても所
望の高周波鉄損は得られないためである。
【0015】この発明の成分の鋼板においては、板厚を
減じれば高周波鉄損特性改善の効果を促進し、ひいては
モータ効率を向上させることができるが、この減厚の効
果を格段に得るためには、板厚を0.35mm以下とすること
が有効である。ただし、0.01mmより薄くするには、製造
コストが高くなるばかりか、その鋼板の取扱いに格段の
注意が必要で、製品製造のコストも高くなるために、板
厚の範囲を0.01mm以上、0.35mm以下とするのが好まし
い。更に好ましくは、0.02〜0.25mmである
【0016】この発明の鋼板の成分組成範囲は次のとお
りである。Siは、単独でも鋼の固有抵抗を上昇させる
が、更に、Crとの相乗効果によって固有抵抗を大幅に上
昇させ、特に高周波域での鉄損を低減するのに有効な成
分である。Si量が2.5 mass%未満ではCrやAlを併用して
も磁束密度を余り犠牲にせずに60μΩcm以上の固有抵抗
を得るには至らず、このため、良好なモータ効率は得ら
れない。一方、10mass%を超えると、Crを含有させても
通常圧延可能なまでの靱性が確保できないので、Siの含
有量の範囲は、2.5 mass%以上、10mass%以下、好まし
くは、2.5 mass%以上、7 mass%以下、より好ましく
は、3.5 mass%以上、5 mass%以下と規定する。
【0017】CrはSi及びAlとの相乗効果によって鋼の固
有抵抗を大幅に向上させて、特に高周波域での鉄損を低
減し、更には耐食性を向上させる基本的な合金成分であ
り、しかも、3.5 mass%以上のSi含有量の場合、又は3
mass%以上のSi含有量かつ0.5 mass%を超えるAl含有量
の場合であっても通常の圧延可能な程度の靱性を得るの
に極めて有効であり、その観点からは2 mass%以上を要
する。Si量やAl量が上記の場合よりも少ないときには、
Cr量を更に減じても加工性は確保できるが、Cr含有によ
る加工性向上効果を発揮させ、かつ、鋼の固有抵抗を60
μΩcm以上とするためには、1.5 mass%以上のCrが必須
である。一方、20mass%を超えると靱性向上の効果が飽
和するとともに、コスト上昇を招くので、Crの含有量の
範囲は、1.5 mass%以上、20mass%以下、好ましくは、
2 mass%以上、10mass%以下、より好ましくは、3 mass
%以上、7 mass%以下と規定する。
【0018】C及びNは、電磁鋼板の靱性を劣化させる
ために、できる限り低減するのが好ましく、その許容量
はこの発明のCr量、Si量及びAl量の場合には、高靱性を
確保するために合計量で0.01mass%以下に抑える必要が
ある。好ましくはC及びNをそれぞれ0.005 mass%以下
に抑える。C及びNをそれぞれ0.005 mass%以下低減さ
せることで十分に冷延性を確保でき、しかも、低周波域
から高周波域までの磁気特性に優れる鋼板が得られる。
より好ましくは、それぞれ0.003 mass%以下である。更
に好ましくはそれぞれ0.0015mass%以下がよい。
【0019】この発明の無方向性電磁鋼板は、より好ま
しくはSを0.010 mass%以下で含有するとともに、Ti量
をC量、N量及びS量との関係で、Ti×(C+N+S)
×10 5 ≦5.0 を満足する範囲とする。Sは、この発明で
は不純物成分であり、できるだけ低減することが望まし
く、Sの許容量として上限を0.010 mass%とする。ま
た、前述したようにこの発明では、安定してモータ効率
90%以上を確保するために鋼板の平均結晶粒径を75μm
以上としているのであるが、このように平均結晶粒径を
75μm 以上を達成するには、Ti量をC量、N量及びS量
との関係で、Ti×(C+N+S)×105 ≦5.0 を満足さ
せることが望ましいことを見出したのである。これは、
安定して結晶粒成長を確保するには、Tiの炭化物、窒化
物及び硫化物を低減することが有効であることを意味す
ると考えられる。かかるTiの炭化物、窒化物及び硫化物
は、それぞれ異なる温度で生成し、単独で又は複合して
粒成長に悪影響を与えるが、Ti×(C+N+S)×105
≦5.0 を満たすようにTiの量を制御することにより、こ
の悪影響が軽減できるものと考えられる。
【0020】上述したもの以外の不純物量は特に限定さ
れないが、一般の珪素鋼と同様に、磁気特性及び加工性
を良好に保つためには、以下の範囲に制限することが重
要である。Oは0.005 mass%以下、好ましくは0.003 ma
ss%以下、より好ましくは0.0015mass%以下がよい。V
は0.005 %以下、好ましくは0.002 mass%以下、より好
ましくは0.0015mass%以下がよい。その他、La、Mg等も
極力低減させることが好ましい。
【0021】この発明の無方向性電磁鋼板は、上述した
Si、Crに加えて、Alよりなる群、Mn及びPから選ばれる
1種又は2種よりなる群、Sb及びSnから選ばれる1種又
は2種よりなる群、並びに、Ni、Cu、Coから選ばれる1
種又は2種以上よりなる群の1群又は2群以上の成分を
含有させることができる。
【0022】Alは、Siと同様にCrとの相乗効果によって
鋼の固有抵抗を大幅に向上させ、高周波域での鉄損を低
減するのに有効な成分であるので、この発明では、必要
に応じてAlを含有させることができる。しかし、Al量が
5 mass%を超えると、コスト上昇を招くうえに、この発
明のようにSiを2.5 mass%以上含有する鋼では、Crを多
量に含有させても通常の圧延が可能なまでの靱性が確保
できないので、Alの含有量は5 mass%以下とする。Alの
下限は特に限定する必要がないが、脱酸や結晶粒成長性
の改善のために0.005 〜0.3 mass%程度を含有させるこ
とがある。更に、Alを積極的に固有抵抗の増大のために
活用するときは、この発明のようにSiが2.5 mass%以上
含有されている鋼ではAlが0.5 mass%未満では固有抵抗
を更に上昇させるに十分な効果が得られない。したがっ
て、好ましくはAlの含有量は0.05mass%以上、5 mass%
以下、より好ましくは0.5 mass%以上、3 mass%以下で
ある。
【0023】Mn及びPは、Fe−Cr−Si系合金に更に添加
することにより、一層の固有抵抗の上昇を与えることが
知られている。これらの成分の添加により、この発明の
趣旨が損なわれることなく、更なる鉄損の低減が達成で
きる。そこで、この発明では、Mn、Pの中から選ばれる
1 種又は2 種を含有させることができる。とはいえ、こ
れらの成分を大量に添加するとコスト上昇を招くので、
それぞれの添加量は1mass%を上限とする。より好まし
くは0.5 mass%以下がよい。
【0024】Sb及びSnは、いずれも集合組織を改善する
作用を有し、それにより製品の磁気特性向上に寄与す
る。したがって、この発明では、Sb及びSnから選ばれる
1 種又は2 種を、それぞれ1 mass%以下の範囲で添加さ
せることができる。Sb量やSn量が1 mass%を超えると効
果は薄れ、また、コストの上昇を招くことからSb量、Sn
量の上限は1 mass%とする。なお、Sb量、Sn量の下限は
特に限定するものではないが、前述したSb、Snの添加効
果を十分に発揮させるためには、それぞれ、0.001 mass
%以上を添加することが好ましい。
【0025】Ni及びCuは、いずれも磁気特性を改善する
作用を有する。また、延性−脆性遷移温度を下げて、加
工性を向上させる。更に、結晶粒径を細粒化する作用を
有するため、渦電流損を低減させる効果がある。また、
いずれも製品の耐食性、耐候性を改善する作用を有す
る。したがって、この発明では、所望の諸特性に応じ
て、NiやCuを含有させることができる。Ni量が5 mass%
を超える場合やCu量が1 mass%を超える場合は、いずれ
も、前述の効果が飽和するばかりか、飽和磁束密度を著
しく低下させるため、また、延性を劣化させ、更には、
コスト上昇を招くことから、Ni、Cuの含有量の上限はそ
れぞれ5 mass%、1 mass%とする。なお、Ni量、Cu量の
下限は特に限定するものではないが、前述したNi、Cuの
添加効果を十分に発揮させるためには、それぞれ、0.00
5 mass%以上を含有させることが好ましい。
【0026】Coは、磁束密度を高め、製品の磁気特性を
向上させる作用を有する。したがって、この発明では、
Coを含有させることができる。Co量が5 mass%を超える
場合、コスト上昇を招くことから、Co含有量の上限は5
mass%とする。なお、Co量の下限は特に限定するもので
はないが、前述した添加効果を十分に発揮させるために
は、0.005 mass%以上を含有させることが好ましい。
【0027】この発明の無方向性電磁鋼板は、以下の方
法により製造することができる。前述した成分組成範囲
に調整された素材を、連続鋳造又は造塊−分塊圧延によ
りスラブとし、又は、薄スラブ連続鋳造法を用いて、厚
みの薄いスラブを製造する。得られたスラブは、加熱保
持後に熱間圧延に供するか、また、CC-DR 法( 連続鋳造
後、直送し圧延する方法) やHCR ( 連続鋳造後、保温を
行う方法) 法のように、連続鋳造時の顕熱を保持したま
ま加熱することなく熱間圧延に供することができる。
【0028】その後の熱間圧延は、極力薄く圧延するこ
とによって、次工程の冷間圧延ないしは温間圧延におけ
る加工性、すなわち圧延性を良好にすることができる。
そのための熱延板の厚みは3 mm以下、好ましくは2.5 mm
以下、より好ましくは2.0 mm以下とする。
【0029】熱間圧延後は、必要に応じて熱延板焼鈍を
行う。熱延板焼鈍を行うことにより、圧延された素材の
集合組織が改善され、鉄損特性の向上に有利に作用す
る。この熱延板焼鈍条件は、例えば、温度700 〜1100
℃、時間1 秒〜2 時間で行う。熱間圧延後又は必要に応
じて行った熱延板焼鈍後は、酸洗もしくはショットブラ
スト等により熱延スケールを除去した後に、冷間圧延や
温間圧延を行う。
【0030】以上のような冷間圧延や温間圧延は、1回
の圧延又は途中焼鈍を含む2回以上の圧延により行う。
途中焼鈍を行うことは、圧延材の集合組織の改善を通じ
て磁気特性の向上に有利に作用する。また、この冷間圧
延や温間圧延の作業性を改善することができる。途中焼
鈍の条件は、例えば、温度600 〜1100℃で時間1 秒〜10
分の範囲とする。ここで、冷間圧延及び温間圧延は、コ
ストの面からできるだけ低い温度とすることが好まし
い。温間圧延を行う場合は、300 ℃程度以下の温度とす
ることが望ましい。
【0031】冷間圧延、温間圧延の後は、仕上げ焼鈍を
施し、更に絶縁被膜を被成して製品とする。これらの仕
上げ焼鈍の条件、絶縁被膜の被成条件に関しては、通常
の電磁鋼板や電磁ステンレス鋼板で常用される方法と同
様にすればよい。さらに素材成分を調整すること及び/
又は仕上げ焼鈍の温度条件を制御することにより、平均
結晶粒径を75μm 以上にすることができる。
【0032】
【実施例】表1に示す成分組成を含み、残部が鉄及び不
可避的不純物よりなる鋼を溶製し、連続鋳造によりスラ
ブとし、熱間圧延により板厚2.0 mmの熱延板とした。こ
れらの熱延板のスケールを除去した後に、板厚0.90mmま
で冷間圧延を行い、850 ℃で10秒間の中間焼鈍を水素・
窒素混合雰囲気中で行った。これらの鋼板を更に冷間圧
延によって板厚0.35mmとし、900 ℃で10秒間の最終焼鈍
を水素・窒素混合雰囲気中で行い、絶縁被膜を付与し
た。得られた製品をエプスタイン試料に切り出し、JIS
C 2550 (1975年) に準じて磁気特性を測定した結果を、
モータに組み込んだ場合のモータ効率等と共に表2に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】表2から明らかなように、この発明の要件
である固有抵抗、粒径及び鉄損値を満たす例は、優れた
実機モータ効率が格段に優れている。
【0036】
【発明の効果】この発明の方向性電磁鋼板は、ブラシレ
スDCモータ用としてモータ効率90%以上を達成可能で
あり、省エネルギーの観点からその工業的価値は大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 W10/400 及びB1が、モータ効率に及ぼす影響
を示すグラフである。
【図2】 結晶粒径がモータ効率に及ぼす影響を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河野 正樹 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 河野 雅昭 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 小森 ゆか 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 5E041 AA11 AA19 CA04 NN00 NN01 NN06 NN13 NN15 5H002 AA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si:2.5 〜10mass%及びCr:1.5 〜20mass
    %を含み、C及びNを合計量0.01mass%以下で含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、固有抵抗が60μ
    Ωcm以上で、平均結晶粒径が75μm 以上、W10/400が14W
    /kg以下、B1が0.7 T 以上であることを特徴とするDC
    モータ用電磁鋼板。
  2. 【請求項2】Si:2.5 〜10mass%及びCr:1.5 〜20mass
    %を含み、C及びNを合計量0.01mass%以下で含有し、
    更に、Sを0.010 mass%以下で含有するとともに、Ti量
    をC量、N量及びS量との関係で、Ti×(C+N+S)
    ×105 ≦5.0 を満足する範囲とし、残部がFe及び不可避
    的不純物からなり、固有抵抗が60μΩcm以上で、平均結
    晶粒径が75μm 以上、W10/400 が14W/kg以下、B1が0.7
    T 以上であることを特徴とするDCモータ用電磁鋼板。
  3. 【請求項3】Si:2.5 〜10mass%及びCr:1.5 〜20mass
    %を含み、C及びNを合計量0.01mass%以下で含有し、
    更に、Sを 0.010mass%以下で含有するとともに、Ti量
    をC量、N量及びS量との関係で、Ti×(C+N+S)
    ×105 ≦5.0 を満足する範囲とし、かつ、Alよりなる
    群、Mn及びPから選ばれる1種又は2種よりなる群、Sb
    及びSnから選ばれる1種又は2種よりなる群、並びに、
    Ni、Cu、Coから選ばれる1種又は2種以上よりなる群の
    1群又は2群以上の成分を、Alは5 mass%以下、Mn及び
    Pはそれぞれ1 mass%以下、Sb及びSnはそれぞれ1 mass
    %以下、Ni及びCoはそれぞれ5 mass%以下、Cuは1 mass
    %以下の範囲で含有し、残部がFe及び不可避的不純物か
    らなり、固有抵抗が60μΩcm以上で、平均結晶粒径が75
    μm 以上、W10/400 が14W/kg以下、B1が0.7 T 以上であ
    ることを特徴とするDCモータ用電磁鋼板。
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