JP2001296291A - 飛灰中のダイオキシン類濃度の測定方法 - Google Patents

飛灰中のダイオキシン類濃度の測定方法

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JP2001296291A
JP2001296291A JP2000126225A JP2000126225A JP2001296291A JP 2001296291 A JP2001296291 A JP 2001296291A JP 2000126225 A JP2000126225 A JP 2000126225A JP 2000126225 A JP2000126225 A JP 2000126225A JP 2001296291 A JP2001296291 A JP 2001296291A
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Tatsunari Yoshida
達成 吉田
Yuji Tokunaga
祐司 徳永
Tadashi Okada
忠司 岡田
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】飛灰を対象とした代替指標を用いてDXN類を
簡易に分析でき、さらに、DXN類の濃度を推定する焼
却炉を特定することなくいかなる飛灰にも適用できる、
精度のよいDXN類の定量方法を提供する。 【解決の手段】飛灰中のダイオキシン類の濃度を決定す
るに際し、試料を標準法により測定して得られたダイオ
キシン類濃度と、試料をガスクロマトグラフィーにて分
離した後に塩素化合物検出手段により測定された有機塩
素化合物濃度とを用いて、重回帰分析手法により検量線
を作成し、次いでダイオキシン類濃度未知の対象試料を
ガスクロマトグラフィーにて分離した後に、塩素化合物
検出手段により有機塩素化合物濃度を求め、検量線と対
象試料中の有機塩素化合物濃度とを比較して対象試料中
のダイオキシン類濃度を測定する飛灰中のダイオキシン
類濃度の測定方法を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉等から
発生する飛灰に含まれるダイオキシン類濃度の測定方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般ゴミ焼却炉、産業廃棄物処理炉等の
燃焼過程で発生するダイオキシン類(ダイオキシン類と
ジベンゾフラン類の総称、以下「DXN類」と呼ぶ)は
人類に対して有毒物質であると共に環境汚染物質である
ことから、社会的に問題となっている。したがって、焼
却炉からのDXN類の発生量を正確に把握し、その対策
をこうじることが必要となっている。そのためには、正
確でかつ迅速にDXN類を定量する技術が要求されてい
る。
【0003】一般的にDXN類の定量・分析は、日本工
業規格(JIS)に記載されている方法で行われてい
る。すなわち、ソックスレー抽出器を用いてトルエンな
どの有機溶媒で18時間以上の溶媒抽出を行った後、オ
ープンカラムなどでクリーンアップ・濃縮処理を経て試
料溶液を作成し、ガスクロマトグラフィー(GC)−質
量分析(MS)で分析する方法である。この方法は、試
料溶液のクリーンアップ・濃縮処理の各工程が煩雑であ
るため、分析結果がでるまでに2〜3週間程の時間を要
している。そのため、迅速性に欠け、さらに、労力がか
かる上、分析コストも高くなってしまう。
【0004】そこで、排ガス中のDXN類の測定におい
て、DXN類を直接分析するのではなく、DXN類の濃
度を指標するDXN類以外の代替物質の測定を行い、そ
の結果からDXN類の濃度を推定する方法が提案されて
いる。この技術としては、特開平4−161849号公
報や特開平5−312796号公報に記載されている方
法が知られている。これは、DXN類の代替指標として
クロルベンゼン類をDXN類と共にGC−MSなどの分
析装置により測定し、その相関関係からDXN類の濃度
を推定する方法である。しかしながら、特開平4−16
1849号公報で記載のように、排ガス中のクロルベン
ゼン類の濃度とDXN類の濃度との相関性から、DXN
濃度を推定しているが、両者の相関係数Rは0.90と
なっており、さらなる相関性の向上が望まれる。また、
特開平5−312796号公報では、排ガス中のDXN
類の測定において、指標としてクロロフェノール類を用
いた手法が開示されているが、飛灰においてはクロロフ
ェノール類が十分含有しているとは限らず、飛灰中のD
XN類の測定には必ずしも適した方法とはいえない。
【0005】このように、排ガスに対しては代替指標を
用いるDXN類の簡易分析が存在するが、飛灰を対象と
した代替指標を用いるDXN類の簡易分析は報告がな
く、また、特開平4−161849号公報で開示されて
いる方法は排ガスに対する方法であるが、係数・指数を
求めた焼却炉とは別の焼却炉に対しては適用しにくい。
このように、従来の方法では、比例定数や指数を個々の
濃度範囲や焼却炉に対してそれぞれ個別に求めておく必
要があり、実際に使用するには不便であるとともに、そ
の相関性も十分なものではなかった。
【0006】また、飛灰中のクロルベンゼン類を含む有
機塩素化合物を測定には、多くの場合、GC−FID
(水素炎イオン化検出器)などの手段が用いられるが、
目的としているクロルベンゼン類を含む有機塩素化合物
のピークが他の塩素を含まない有機化合物と重なってし
まった場合、この検出器では、特異性が低いため定量値
に大きな誤差を生んでしまう。また、GC−MSなどの
手法を用いる場合には、クロルベンゼン類を含む有機塩
素化合物を全て同定し、それに対する特有のデータ処理
を施さなければ、クロルベンゼン類を含む有機塩素化合
物の定量値が得られない。この作業は大変煩雑で、か
つ、全てのクロルベンゼン類を含む有機塩素化合物が同
定できる可能性は低く、現時点では成功の報告例は見あ
たらない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような背景をもとに、飛灰を対象とした代替指標を用い
てDXN類を簡易に分析する方法を提供することにあ
り、さらに、DXN類の代替物質を測定する方法であり
ながら、DXN類の濃度を推定する焼却炉を特定するこ
となくいかなる飛灰にも適用できる、精度のよいDXN
類の定量方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、1)飛灰中のクロ
ルベンゼン類に代表される有機塩素化合物の測定を、ガ
スクロマトグラフィーによって適宜分離した後、塩素化
合物を選択的かつ高感度に検出できる原子発光検出器
(以下「AED」という。)や電子捕捉型検出器(以下
「ECD」という。)などの塩素化合物検出手段により
測定を行うことで、飛灰中の有機塩素化合物を正確に定
量でき、2)1)で得られた測定結果と、飛灰中のDX
N類濃度やDXN類の総毒性等価係数(TEQ値)をJ
IS等により定められる標準法にて測定された結果とを
比較し、両者の相関性の高い有機塩素化合物を選んだ
後、重回帰分析手法により検量線を作成し、3)飛灰中
のDXN類濃度やTEQ値が未知の対象試料を塩素化合
物検出手段により測定して含有する有機塩素化合物濃度
を測定し、この濃度と2)で得られる検量線とから、飛
灰中のDXN類濃度やTEQ値が極めて正確に得られる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】<測定対象試料>本発明の方法においてそ
の対象となる試料とは、ゴミ焼却炉あるいは産業廃棄物
焼却炉・燃焼炉からBF(バグフィター)やEP(電
気)集塵機により集められる飛灰である。本発明におい
ては、炉の形式としても特に限定されるものではなく、
流動床、ストーカーなどいずれの形式であってもよく、
また、准連続、連続式のいずれであってもよい。さらに
サンプリング方法についても、公知の方法を用いればよ
い。
【0011】本発明の方法においてAEDやECDなど
の塩素化合物検出器により測定される対象化合物は、飛
灰中に含まれる有機塩素化合物であり、ベンゼンに塩素
が1〜6個結合した同族体、異性体である。その主なも
のは、p−ジクロルベンゼン、トリクロロベンゼン、
1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、1,2,3,
4−テトラクロロベンゼン、1,2,3,5−テトラク
ロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン、ヘキサクロロベ
ンゼンといったクロルベンゼン類や、トリクロロフェノ
ール、テトラクロルフェノール、ペンタクロルフェノー
ルといった塩素が結合したフェノール類、さらにはAE
Dにより総塩素量として測定される総有機塩素化合物
(以下、「T−Cl」という)等が挙げられる。これら
の内、飛灰中のDXN類濃度と相関性が高いものとして
クロルベンゼン類が、飛灰中のTEQ値と相関性が高い
ものとしてクロルベンゼン類、T−Clが、好ましく測
定される。特に、本発明におけるように対象試料が飛灰
の場合、含まれる有機塩素化合物の組成が排ガス等とは
異なることがあり、本発明の方法により測定対象として
選ばれる有機塩素化合物は検量線作成において重要であ
る。
【0012】本発明において、飛灰中の前処理として
は、通常行われているように、2N塩酸等で処理した
後、ヘキサンやトルエンなどの溶媒でソックスレー抽出
などの手法により十分に抽出すればよい。さらに、この
ようにして抽出された試料をロータリーエバポレーター
や窒素気流など通常用いられる方法を用いて濃縮して使
用しても差し支えない。
【0013】<DXN類濃度及びTEQ値の測定>上記
のようにして得られる試料を用い、試料中のDXN類濃
度及びTEQ値を測定するわけであるが、その手順を以
下に例示する。
【0014】手順1:抽出処理された飛灰試料を用い、
含まれる有機塩素化合物はガスクロマトグラフィー(G
C)よって適宜分離された後、AEDやECDなどの塩
素化合物検出手段にて測定される。GCの測定条件は、
含まれる有機塩素化合物を適当に分離できるカラム及び
条件で行われる。また、用いられるAEDやECDなど
の塩素化合物検出手段としては、本発明の目的を達成で
きる仕様となっておれば特に限定されない。塩素化合物
検出手段は、塩素化合物のみを選択的に検出できるた
め、飛灰中の有機塩素化合物を正確に定量できる。
【0015】ここでAED及びECDの原理とその特徴
を記すと、AEDは、不活性ガス中での高周波による電
気的な放電によって形成されるプラズマエネルギーを用
いて、ガスクロマトグラフィーのカラムから溶出した化
合物を励起し、高エネルギーレベルに達した後に放出さ
れるその元素特有の波長の光を測定する検出器である。
【0016】また、ECDは、ハロゲンのような陰イオ
ンになりやすい分子や電子に対する親和性の大きい試料
の検出に用いられる。キャリアーガスに用いるアルゴン
はECD内の放射線源からのβ線によってイオン化し電
子を放出する。この時ハロゲンを含むような電子に対し
て親和性が大きい試料は、この電子を受け取って陰イオ
ンとなり検出される。これがECDを用いるハロゲン化
合物の検出原理である。さらにその特徴として、炭化水
素などの試料はほとんど検出されない。β線源には放射
線を用いないタイプもある。
【0017】手順2:上記手順1におけると同じ試料を
用い、日本工業規格等により規定されるような標準法に
より、試料中に含まれるDXN類濃度を測定し、あるい
はDXN類濃度を測定した後予め決められた算定式を用
いてTEQ値が算定される。
【0018】手順3:手順1で得られた試料中の有機塩
素化合物の濃度と手順2で得られた試料中のDXN類濃
度あるいはTEQ値とを比較し、両者を重回帰分析手法
により検量線が作成される。この場合、両者を比較する
に際し、DXN類濃度あるいはTEQ値と相関性の高い
有機塩素化合物を選択することで検量線の精度がよくな
り、最終的に得られる対象試料中のDXN類濃度あるい
はTEQ値を正確に得ることができる。選択される有機
塩素化合物の種類としては、手順1で測定される有機塩
素化合物の種類や測定される標準試料の数により変わる
ことがあるため一概にはいえないが、処理を簡便とする
ために、1種又は数種程度の有機塩素化合物を選べばよ
い。また、選ぶ際には、重回帰分析手法により算定され
る相関係数あるいは修正相関係数を指標として選べばよ
い。
【0019】手順3により得られる検量線としては、手
順1で得られた有機塩素化合物濃度と、手順2で得られ
たDXN類濃度とから、下式(3)の重回帰分析式に
て、DXN濃度(下式(3)のZ)が算出できる。
【0020】Z=Σai・Xi +b (3) (式中、ZはDXN濃度、Xiは飛灰中の有機塩素化合
物の濃度、aiはZに対する飛灰中の有機塩素化合物の
係数、bは定数を示す。) また、手順1で得られた有機塩素化合物濃度と、手順2
で得られたTEQ値とから、下式(4)の重回帰分析式
にて、TEQ値(下式(4)のZt)を算出できる。
【0021】Zt=Σαj・Xj +β (4) (式中、ZtはTEQ値、Xjは飛灰中の有機塩素化合物
の濃度、αjはZtに対する飛灰中の有機塩素化合物の係
数、βは定数を示す。) 上記(3)式の重回帰分析式の係数であるaiとb、ま
た、上記(4)式の重回帰分析式の係数であるαjとβ
は、手順1及び手順2の測定結果から最小二乗法等の通
常の統計学的手法により決定できる。
【0022】このようにして、検量線を作成し、次の手
順4へと移る。
【0023】手順4:飛灰中のDXN類濃度あるいはT
EQ値が未知の対象試料をAEDやECDなどの塩素化
合物検出手段により測定して含有する有機塩素化合物濃
度を測定し、この濃度と手順3で得られる検量線とか
ら、飛灰中のDXN類濃度やTEQ値が得られる。この
場合、手順3で選ばれ、本手順4で得られる有機塩素化
合物の測定濃度を検量線に代入することで、DXN類濃
度あるいはTEQ値が得られることとなる。
【0024】尚、上記の手順において、有機塩素化合物
濃度とは、文字どおりの濃度であってもよいが、本発明
による方法では、最終的に飛灰中のDXN類濃度やTE
Q値を求めることがその目的であるため、有機塩素化合
物濃度として、例えば、濃度換算されていないような塩
素化合物検出手段による測定における面積、ピーク高
さ、ピーク幅など、有機塩素化合物濃度と関連する測定
データであれば何ら差し支えない。
【0025】また、飛灰中のDXN類濃度とTEQ値を
共に得ようとする場合、選ばれる有機塩素化合物の種類
が同じであっても異なってもよい。
【0026】さらに、これらの一連の手順を測定装置に
組み込んだ自動処理システムとして実施することもで
き、また、得られる測定データを集計し、コンピュータ
等による計算するデータ処理手段を用いて、手順3にお
ける、DXN類濃度やTEQ値と相関性の高い有機塩素
化合物の選別やそれを用いた検量線の作成を行わせるこ
ともできる。
【0027】本発明の方法は、排ガスとは異なる組成あ
るいは構成比を有することがある飛灰中のクロルベンゼ
ン類を含む有機塩素化合物を原子吸光法により測定する
だけで、予め作成された検量線から容易にDXN類濃度
やTEQ値を算出でき、測定が難しく、また長時間必要
となっていた、飛灰中のDXN類濃度やTEQ値を簡便
にかつ精度よく測定できるものであり、燃焼炉の種類や
飛灰の性状にかかわらず適用可能となる汎用性の高い方
法である。このため、種々の燃焼炉などから生じる飛灰
中のDXN類濃度やTEQ値の精密測定前のスクリーニ
ングや、燃焼炉の運転状況を把握するためのモニタリン
グ等に有用であり、環境保全上極めて意義深いものであ
る。
【0028】
【実施例】以下、本発明について実施例を用いてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0029】実施例1 実施例1では、重回帰分析手法を用い、上式(3)より
検量線を作成して、飛灰中のDXN類濃度を測定した。
具体的には、以下の方法で実施した。
【0030】すなわち、試料とする飛灰は、それぞれ異
なった都市・施設での都市ゴミ焼却炉A〜Hからサンプ
リングされたものであり、表1に見られるように、これ
らの炉の燃焼装置形式は、流動床又はストーカーのいず
れかであり、炉の形式は准連続又は全連続のいずれかで
あり、集塵機はBF又はEPのいずれかで全て統一した
ものではない。
【0031】
【表1】
【0032】<有機塩素化合物の測定>サンプリングさ
れた飛灰は、2N程度の濃度の塩酸で処理した後、ヘキ
サンなどの溶媒で18時間から24時間程度ソックスレ
ー抽出した。その後、抽出液をロータリーエバポレータ
ー及び窒素気流で濃縮したものを試料とし、GC−AE
Dでクロルベンゼン類を含む有機塩素化合物を測定し
た。GC−AEDは、横川ヒューレットパッカード
(株)製のHP5890 seriesII/HP59
21A型を用い、データ処理は横川ヒューレットパッカ
ード(株)製専用のものを用いた。AEDの測定の波長
は、塩素479nm、水素486nm、炭素496n
m、酸素777nmで行った。ここまでの作業時間は、
約24時間から30時間程度で極めて迅速に結果が得ら
れた。表2はこの分析結果である。
【0033】
【表2】
【0034】表2において、D2CBはジクロロベンゼ
ン、T3CBはトリクロロベンゼン、1,2,3,4−
T4CBは1,2,3,4−テトラクロロベンゼン、T
3CFはトリクロロフェノール、1,2,4,5−T4
CBは1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、P5C
Bはペンタクロロベンゼン、H6CBはヘキサクロロベ
ンゼン、CPはクロロピレンを示し、AEDの塩素の測
定波長で検出されたピークの面積値(カウント×秒)で
ある。また、T−Clは総有機塩素化合物を示し、AE
Dの塩素の測定波長で検出されたピークの総面積値(カ
ウント×秒)である。
【0035】DXN濃度はダイオキシン類の総濃度、T
EQ値はダイオキシン類の総毒性換算濃度を示し、DX
N類濃度及びTEQ値の単位は、飛灰1グラムあたりの
重量(ng/灰g)である。これらの測定は、JIS−
K−0311に記載の方法により行い、その結果を表2
に示した。
【0036】<検量線の作成>表2の測定結果を用い、
重回帰分析にて相関性を解析し、DXN濃度と相関性が
高い有機塩素化合物を検索したところ、P5CBとDX
N濃度と相関が高いことが分かった。そこで(3)式の
重回帰式にP5CBの濃度を代入し、最小二乗法にて、
1(P5CBに対する係数)とb(定数)を算出し
た。その結果、DXN濃度をY、P5CBの面積値の対
数値をX1とすると、 Y=1.18X1+6.31 (3−1) となった。すなわち、a1=1.18、b=6.31と
なった。このときの相関係数(R)は0.986で、R
2乗は0.972、修正R2乗は0.968であった。
【0037】上記(3−1)式を推定式として、表2の
分析結果をX1に代入し、DXN濃度を推定して表3に
示した。
【0038】
【表3】
【0039】その推定値と実測のTEQ値の関係を図1
に示した。
【0040】図1から分かるように、本発明の方法によ
り得られるDXN類濃度の予測値は、標準法により得ら
れる濃度と極めてよい相関性を示すことが分かる。
【0041】実施例2 重回帰式(4)を用いる方法は、実施例1と全く同様
に、表2に示すデータを用いて、DXN類のTEQ値の
類推値と分析値との関係を求めた。この分析結果から重
回帰分析にて相関を解析したところ、1,2,3,4−
T4CBとT−ClとがTEQ値と相関性が高いことが
分かった。そこで(4)式の重回帰式に分析結果を代入
し、最小二乗法にて、α1(1,2,3,4−T4CB
に対する係数)とα2(T−Clに対する係数)とβ
(定数)を算出した。その結果、TEQ値をY、1,
2,3,4−T4CBの面積値の対数値をX1、T−C
lの面積値の対数値をX2とすると、 Y=13.22X1−9.09X2+30.37 (4−1) となった。すなわち、α1=13.22、α2=−9.0
9、β=30.37となった。このときの重相関係数
(R)は0.997で、R2乗は0.994、修正R2
乗は0.991であった。
【0042】式(4−1)を推定式として、表2の分析
結果X1、X2に当てはめ、TEQ値を推定し、表4に示
した。その推定値と実測のTEQ値の関係を図2に示し
た。
【0043】
【表4】
【0044】図2から分かるように、本発明の方法によ
り得られるDXN類のTEQ値の予測値は、標準法によ
り得られる値と極めてよい相関性を示すことが分かる。
【0045】以上、塩素化合物検出手段としてAEDを
用いた場合について記したが、AEDをECDにしても
同様な結果が得られる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、適用対象が特定の焼却
炉に限定されず、一度作成した推定式はあらゆる炉に対
して適用可能である。加えて、分析に要する工程が一般
のDXN類分析と比べて極めて簡略でありかつDXN濃
度及びTEQ値の推定の精度が高いので、飛灰中のDX
N類を精密分析する前に、迅速にDXN類の量を推定す
る、いわゆる、スクリーニング的な定量方法として有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】飛灰中のDXN類の濃度の分析値と推定値の関
係を示す図である。図1において、横軸(X軸)は標準
法により得られた実際のDXN類濃度の分析値(単位
は、ng/g)であり、縦軸(Y軸)は本発明の方法に
より得られたDXN類濃度の推定値(単位は、ng/
g)である。
【図2】飛灰中のDXN類のTEQ値の分析値と推定値
の関係を示す図である。図2において、横軸(X軸)は
標準法により得られたTEQ値の分析値(単位は、ng
/g)であり、縦軸(Y軸)は本発明の方法により得ら
れたTEQ値の推定値(単位は、ng/g)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 30/88 G01N 30/88 C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】飛灰中のダイオキシン類の濃度を決定する
    に際し、試料を標準法により測定して得られたダイオキ
    シン類濃度と、前記試料をガスクロマトグラフィーにて
    分離した後に塩素化合物検出手段により測定された有機
    塩素化合物濃度とを用いて、重回帰分析手法により検量
    線を作成し、次いでダイオキシン類濃度未知の対象試料
    をガスクロマトグラフィーにて分離した後に、塩素化合
    物検出手段により有機塩素化合物濃度を求め、前記検量
    線と前記対象試料中の有機塩素化合物濃度とを比較して
    対象試料中のダイオキシン類濃度を測定することを特徴
    とする飛灰中のダイオキシン類濃度の測定方法。
  2. 【請求項2】塩素化合物検出手段が、原子発光検出器ま
    たは電子捕捉型検出器であることを特徴とする請求項1
    に記載の飛灰中のダイオキシン類濃度の測定方法。
  3. 【請求項3】重回帰分析手法により検量線を作成する際
    に、下式(1)にてダイオキシン類濃度を求めることを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飛灰中のダイ
    オキシン類濃度の測定方法。 Z=Σai・Xi +b (1) (式中、Zはダイオキシン濃度、Xiは飛灰中の有機塩
    素化合物の濃度、aiはZに対する飛灰中の有機塩素化
    合物の係数、bは定数を示す。)
  4. 【請求項4】有機塩素化合物として、ダイオキシン類濃
    度と相関の高いクロルベンゼン類を用いることを特徴と
    する請求項3に記載の飛灰中のダイオキシン類濃度の測
    定方法。
  5. 【請求項5】ダイオキシン類の総毒性換算濃度を測定す
    ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の飛灰
    中のダイオキシン類濃度の測定方法。
  6. 【請求項6】重回帰分析手法により検量線を作成する際
    に、下式(2)にてダイオキシン類の総毒性換算濃度Z
    tを求めることを特徴とする請求項5に記載の飛灰中の
    ダイオキシン類濃度の測定方法。 Zt=Σαj・Xj +β (2) (式中、Ztはダイオキシン類の総毒性換算濃度、Xj
    飛灰中の有機塩素化合物の濃度、αjはZtに対する飛灰
    中の有機塩素化合物の係数、βは定数を示す。)
  7. 【請求項7】有機塩素化合物として、ダイオキシン類の
    総毒性換算濃度と相関の高いクロルベンゼン類及び/又
    は総有機塩素化合物を用いることを特徴とする請求項6
    に記載の飛灰中のダイオキシン類濃度の測定方法。
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