JP2001293085A - 透析用留置針 - Google Patents

透析用留置針

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JP2001293085A
JP2001293085A JP2000109238A JP2000109238A JP2001293085A JP 2001293085 A JP2001293085 A JP 2001293085A JP 2000109238 A JP2000109238 A JP 2000109238A JP 2000109238 A JP2000109238 A JP 2000109238A JP 2001293085 A JP2001293085 A JP 2001293085A
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利明 増田
Masashi Ishida
昌司 石田
Kazuyoshi Harada
和良 原田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 患者体部の一定部位から血液を採集し、透析
後に浄化した血液を返血するに際して、穿刺通を最小限
に抑えた透析用穿刺針を提供する。 【解決手段】筒状体の先端を斜め研摩して形成された刃
面の外周縁部のうち、先端から少なくとも40%が丸み
を帯びている透析用留置針。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液透析を繰り返
し行う際に使用される透析用留置針に関する。
【0002】
【従来の技術】血液透析は、慢性腎不全、尿毒症、腎性
貧血などの腎疾患患者の動脈から血液を導き、人工透析
器の半透過性膜を介して、血液と透析液を接触させて、
該血液中の老廃物、すなわち尿素窒素、クレアチニンな
どを透析液中に取り出し、静脈から浄化された血液を患
者体内に戻す手法であり、日本ならびに海外にて既に広
く実施されている。この透析の回数は患者の病態により
異なるが、通常、1週間に2〜3回であり、所要時間は
通常、2〜6時間である。患者には、その都度、内シャ
ントまたは人工血管に太い穿刺針を刺通し、血液回路を
人工透析器に接続して、所要時間、該穿刺針を留置す
る。この刺通および留置による痛みが患者を苦しめるこ
とになる。
【0003】これらの痛みを回避するために、透析毎に
太い穿刺針の刺通する部位を変更することが行われてい
る。しかし、刺通した箇所の傷の治癒には時間がかか
り、刺通箇所の血腫、拡張、狭窄、および貧血などの障
害がおきる場合がある。また、繰り返して行われる透析
においては、同じ箇所に針を繰り返し挿入する方が、透
析毎に異なった針挿入部位を使用する場合に比べて、合
併症が少ないといわれている(一定部位穿刺法)。この
方法の利点は、(1)先に使用した部位への針先端の挿
入(insertion)は容易であり、非常に速やかに、例え
ば10秒以内で刺通できる、(2)針の血管への挿入
(cannulation)は痛みが少なく、麻酔の必要がない、
(3)血腫の生成が減少する、および(4)感染症の割
合が有意に高くないなどの長所を有する。しかしなが
ら、1週間に3回以上、透析しなければならない患者に
とっては、連続した日々、同じ部位に刺通することは痛
みを伴うことから、刺通箇所を2ケ所設け、交代して刺
通することが行われている。また、病院に出向いて、透
析を繰り返すことは患者にとっては、時間的、距離的に
も望ましいものではなく、家庭にて簡便に血液透析を行
うことが望ましい。家庭にて血液透析を行うに当って、
上記一定部位穿刺法は、穿刺痛が少なく容易に穿刺でき
ることから好ましいものである。
【0004】ところで、従来の透析用針は、皮下用注射
針が使用され、この注射針は皮膚へ針を刺すときの力が
小さく済むように先端形状が尖がり、かつ複数の斜角面
状を有する。例えば、特開平10-57490号公報に記載され
るように、5つの斜角面(主斜核角面、一対の先端斜角
面と一対の中間斜角面)を有する注射針が一例としてあ
る。また、米国特許第4,585,446号明細書には剃刀のよ
うな刃を有する透析用針が記載される。このような皮下
用注射針は、患者皮膚および筋肉組織に針の尖った先端
を貫入させるのに必要な針の貫入力が小さければ、患者
の痛みが少なく、注射をより楽なものにすることができ
るとされる。しかしながら、一定部位穿刺法では、皮膚
ではなく、一度、穿刺した瘻(トンネル)であることか
ら、このような皮下用注射針では、隣接した組織を切断
したり、または孔を拡大させ、針経路に沿って出血する
ことが生じる。そこで、一定部位穿刺法においては、確
定した穿刺瘻(トンネル)を通り、隣接する組織を切断
しない透析用針が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、患者体部の
一定部位から血液を採集し、透析後に浄化した血液を返
血するに際して、穿刺痛を最小限に抑えた透析用留置針
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために、種々鋭意検討の結果、筒状体の先端を
斜め研摩または切断して形成された刃面の外周縁部のう
ち、先端から少なくとも40%の部分を研磨して丸く加
工することにより、上記課題を解決することを見出し、
本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、筒状体の端部を研摩ま
たは切断して、刃面を形成した針管を含む留置針であっ
て、該刃面の外周縁部のうち、刃面先端および該刃面先
端から少なくとも40%の部分が丸みを帯びている透析
用留置針である。ここで、前記刃面はほぼ楕円形を示
し、前記刃面先端は該楕円形の長軸の一端であり、前記
丸みは該楕円形の長軸端から短軸端を超える外周縁部に
設けられているのが好ましい。また、前記外周縁部の丸
みは、曲率半径が1μm〜100μmであるのが好まし
い。さらに、前記刃面は、前記筒状体の長手方向軸に対
して10〜50°の角度を有するのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明の透析用留置針を図
面に基づいて説明する。図1は、本発明の透析用留置針
の一実施例を説明する概略図であり、図中、1は翼付留
置針、11は針管、111は刃面、12はハブ、121
は翼片、13はチューブ、14はコネクターおよび15
はキャップを示す。図2は図1に示す刃面111の拡大
平面図であり、図3は図1に示す刃面111の拡大縦断
面図である。図4は図3に示すX−X線断面図、図5は
図3に示すY−Y線断面図、図6は図5に示す丸み部分
の説明図である。
【0009】図1に示す透析用留置針は、先端部に刃面
111を有する針管11、針管11の基端側を支持する
翼片121付きハブ12、ハブ12の基端側に接続され
たチューブ13、チューブ13の基端に設けられたコネ
クター14及びキャップ15から構成される翼付留置針
1である。そして、針管11先端部に形成された刃面1
11の外周縁部のうち、刃面111先端から少なくとも
40%の部分が丸みを帯びている。該刃面111はほぼ
楕円形を示し、刃面111先端は該楕円形の長軸の一端
(最先端)であり、前記丸みは該楕円形の長軸端から短
軸端に向かって、少なくとも40%の外周縁部に設けら
れている。
【0010】本発明の針管11は、図2、図3に示すよ
うに、筒状体の端部を斜め研摩または切断して形成され
た刃面111を有する。筒状体とは、真円筒体または横
断面が長円であるものをいう。その外径は0.5〜3.
0mm、好ましくは1.0〜2.0mmであり、内径は
0.3〜2.0mm、好ましくは0.8〜1.2mmで
あり、長さは、10.0〜50.0mm、好ましくは1
2.0〜38.0mmである。その材質は、ステンレス
などの金属、または、ポリカーボネート、ポリプロピレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン等の合
成樹脂などの硬質材質などが例示される。また、斜め研
摩または切断とは、筒状体の長手方向軸に対して、約1
0〜50°の傾斜角をもって研摩または切断されること
をいう。傾斜角が10°未満であると刃面が血管内に収
容されずに、内出血または血液の流出を生じるおそれが
あり、50°を越えると開口部が狭くなり、血液を十分
に採集できなくなるおそれがある。ここで、研摩回数
は、1回(刃面全体の傾斜角が一定)に限らず、2回以
上(刃面の傾斜角が部分的に異なる)であってもよい。
例えば、研磨回数2回以上の場合、該平面は、主傾斜面
と該主傾斜面の両側に略左右対称に形成される先端傾斜
面を有することが好ましい。このとき、該先端傾斜面の
角度(刃先角度)は少なくとも20°である。研摩方法
はその材質に応じて選択されるが、金属針であれば、通
常の研磨機などを使用する。
【0011】本発明においては、図4、図5に示すよう
に、筒状体を斜め研摩または切断して形成された刃面1
11が、その外周縁部のうち、先端から少なくとも40
%が丸みを帯びていることを特徴とする。図2に示すよ
うに、刃面111はほぼ楕円形を示し、刃面111先端
は該楕円形の長軸の一端であり、丸みは該楕円形の長軸
端(最先刺通部)から短軸端に向かって、好ましくは、
該楕円形の長軸端から短軸端を超える外周縁部に設けら
れている。そして、この丸味を帯びた外周縁部分は刃面
111先端側から左右に対称的であることが好ましい。
外周縁部のうち、40%未満が丸味を帯びるか、あるい
は全く丸味を帯びていない場合には、該留置針を体部へ
刺通した際に、痛みを伴うとともに、体部組織を損傷す
る。丸みをつけるには外周縁部を研磨すればよく、この
研磨には、電解研磨、化学研摩、ブラスト、砥石を使用
する等いろいろな方法が採用できる。
【0012】また、図6に示すように、刃面111外周
縁部の丸みを帯びた部位における曲率半径rは1μm〜
100μmであることが好ましい。1μm未満であると
一部穿刺法において穿刺痛を十分に抑えることができな
いおそれがあり、100μmを越えると加工に要する時
間的コストが増大することになる。尚、本発明におい
て、必要により上記刃面111の内周縁部が丸みを帯び
ていてもよい。
【0013】図1に示す翼付留置針1の使用に際して
は、チューブ13の基端に設けられたコネクター14か
らキャップ15を外し、針管11を体部へ刺通してコネ
クター14まで血液を満たした後、このコネクター14
を血液回路に接続する、または、コネクター14を血液
回路に接続して針管11の先端まで生理食塩水を満たし
た後、針管11を体部11へ刺通する、等の手技がなさ
れる。
【0014】本発明の透析用留置針としては、図1に示
すような翼付留置針1の他に、図7に示すように、針管
21の基端側にハブ22を介して、血液の噴出を抑える
ために指で押圧するクランプチューブ23およびコネク
ター24が設けられたクランプチューブ付留置針2等も
含まれる。特に、従来のクランプチューブ付留置針で
は、内針と外針からなる構成が採用され、留置の際には
内針を引き抜くという手技がなされていたが、図7に示
す本発明のクランプチューブ付留置針2は1回の穿刺だ
けでよく、医療従事者の作業負担が軽減される。尚、本
発明の留置針は、血液透析、血液濾過、あるいは血液透
析濾過に使用されるが、他の血液浄化にも適用され得
る。
【0015】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に詳細に
説明する。実施例1および2 17ゲージ(外径1.47mm、内径1.27mm)の
ステンレス製筒状体(長さ25mm)の先端部を、長手
方向軸に対して20°に傾斜する面に沿って、研磨機に
て1回研摩し、形成された刃面の外周縁部のうち、先端
から40%(実施例1)、または50%(実施例2)ま
での部分に丸みをつけた。刃面外周縁部分の丸みの曲率
半径が約20μmである透析用留置針2種をそれぞれ用
意した。そして、24ゲージ注射針で穴を開けた厚さ1
mmの天然ゴムシートを、開裂面積が2倍弱程度になる
まで引き延ばした後、この穴に上記した透析用留置針2
種をそれぞれ垂直に穿刺挿入して、穴の裂け目具合をノ
ギスで測定した。その結果を表1に示す。
【0016】比較例1 17ゲージ(外径1.47mm、内径1.27mm)の
ステンレス製筒状体を有する翼付留置針を用意した。こ
の筒状体の先端である刃面の外周縁部は、実施例1と同
様に先端部を1回研摩したのみで丸味を帯びていない。
そして、実施例1または2と同様にして、24ゲージ注
射針で穴を開けた厚さ1mmの天然ゴムシートを、開裂
面積が2倍弱程度になるまで引き延ばした後、この穴に
上記した片付留置針を垂直に穿刺挿入して、穴の裂け目
具合をノギスで測定した。その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】表1から、従来の翼片付留置針(比較例
1)に比べて、刃面外周縁部のうち、先端から少なくと
も40%以上が丸みを帯びている留置針(実施例1また
は2)の方がはるかに裂けにくいことが分かった。この
ように、裂けにくいことは、腕などの一ケ所に形成した
穿刺瘻へ穿刺する一定部位穿刺法において、穿刺痛を抑
えるものである。なお、本発明の透析用留置針を腕の皮
下へ穿刺しようとしたことろ、激痛がはしり、通常の皮
下用注射針としては使用が困難であった。
【0019】実施例3 実施例1にて製造した透析用留置針を、既に内シャント
の同一箇所を穿刺することにより完成した透析患者の穿
刺孔に対して、25回、穿刺を繰り返した時の痛みを評
価した。従来の透析用留置針(刃面の外周縁部が丸みを
帯びてない)を同様に穿刺して、その痛みを評価した。
その結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】表2から明らかなように、本発明の透析用
留置針は従来の留置針に比べて、穿刺時の痛みが低減さ
れ、患者の苦しみが減少する。
【0022】
【発明の効果】本発明の透析用留置針は、繰り返し透析
を行わなければならない患者にとって、計り知れない苦
痛であった穿刺痛を最小限に抑えることができる。ま
た、先に使用した一定部位への針先端の挿入は容易であ
り、非常に速やかに、例えば10秒以内で刺通できる、
針の血管への挿入は痛みが少なく、麻酔の必要がない、
血腫の生成が減少する、および感染症の割合が有意に高
くないなどの長所も有する。一定部位穿刺法において、
従来の皮下用注射針よりも痛みが少なく、組織への影響
も少ないことは予想されない顕著な効果である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の翼付留置針1の概略説明図である。
【図2】図1に示す翼付留置針の刃面111の拡大平面
図である。
【図3】図1に示す翼付留置針の刃面111の拡大縦断
面図である。
【図4】図3に示すX−X線断面図である。
【図5】図3に示すY−Y線断面図である。
【図6】図5に示す丸み部分の説明図である。
【図7】本発明のクランプチューブ付留置針2を示す概
略説明図である。
【符号の説明】
1 翼付留置針 2 クランプチューブ付留置針 11、21 針管 111 刃面 12、22 ハブ 121 翼片 13 チューブ 14、24 コネクター 15 キャップ 23 クランプチューブ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒状体の端部を研摩または切断して、刃
    面を形成した針管を含む留置針であって、該刃面の外周
    縁部のうち、刃面先端および該刃面先端から少なくとも
    40%の部分が丸みを帯びている透析用留置針。
  2. 【請求項2】 前記刃面はほぼ楕円形を示し、前記刃面
    先端は該楕円形の長軸の一端であり、前記丸みは該楕円
    形の長軸端から短軸端を超える外周縁部に設けられてい
    る、請求項1記載の透析用留置針。
  3. 【請求項3】 前記外周縁部の丸みは、曲率半径が1μ
    m〜100μmである、請求項1または2記載の透析用
    留置針。
  4. 【請求項4】 前記刃面は、前記筒状体の長手方向軸に
    対して10〜50°の角度を有する、請求項1〜3のい
    ずれかに記載の透析用留置針。
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