JP2001292301A - 画像処理装置及び画像処理方法並びに記憶媒体 - Google Patents

画像処理装置及び画像処理方法並びに記憶媒体

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JP2001292301A
JP2001292301A JP2000107129A JP2000107129A JP2001292301A JP 2001292301 A JP2001292301 A JP 2001292301A JP 2000107129 A JP2000107129 A JP 2000107129A JP 2000107129 A JP2000107129 A JP 2000107129A JP 2001292301 A JP2001292301 A JP 2001292301A
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Junichi Hayashi
淳一 林
Keiichi Iwamura
恵市 岩村
Yoshihiro Ishida
良弘 石田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レジストレーション信号を埋め込む際に、レ
ジストレーション信号を検出しやすく、かつレジストレ
ーション信号が人間の目に見え難いようにするために、
画像信号に応じて適応的にレジストレーション信号を選
択する。 【解決手段】 画像データを少なくとも一つ以上のブロ
ックに分割するブロック分割手段5101と、分割され
たブロックのうち少なくとも一つブロックに含まれる画
像データの特徴成分を検出するエッジ検出手段5102
と、検出した特徴成分に応じて、第1のレジストレーシ
ョン信号r'1と第2のレジストレーション信号r'2を選択
するレジストレーション信号選択手段5103と、画像
データに対して、レジストレーション信号選択手段51
03によって選択されたレジストレーション信号を加算
する加算手段5104と、ブロック分割手段5101に
よって分割されたブロックを結合し、画像を再構成する
ブロック合成手段5105を含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原画像データにレジ
ストレーション信号を埋め込む画像処理方法及び装置と
記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータとそのネットワーク
の急速な発達及び普及により、文字データ、画像デー
タ、音声データなど、多種の情報がディジタル化されて
いる。ディジタル情報は、経年変化などによる劣化がな
く、いつまでも完全な状態で保存できる一方、容易に複
製が可能であり、著作権の保護が大きな問題となってい
る。そのため著作権保護のためのセキュリティ技術は急
速に重要性を増している。
【0003】著作権を保護する技術の一つに”電子透か
し”がある。電子透かしとは、ディジタルの画像データ
や音声データ、文字データなどに人に知覚出来ない形で
著作権保有者の名前や購入者のIDなどを埋めこみ、違
法コピーによる無断の使用を追跡する技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電子透
かしには種々の攻撃が施される可能性がある。例えば、
JPEGなどの非可逆圧縮、拡大・縮小或いは回転など
の幾何変換、プリントアウト/スキャニング、ノイズ付
加などがあげられる。ここで、特に幾何変換に対して耐
性を持たせるために、レジストレーションという処理が
用いられることがある。
【0005】レジストレーションは、電子透かしを埋め
込む際に、付加情報とは別に、特定の信号(レジストレ
ーション信号)を画像に付加し、電子透かしを抽出する
際には、付加情報を抽出する前に、前記レジストレーシ
ョン信号を用いて付加情報の抽出を助長する処理であ
る。
【0006】従来、上記レジストレーション信号は、画
像全体に等しい大きさで埋め込まれていた。一方で、レ
ジストレーション信号を抽出する際には、できるだけ大
きな振幅を持つレジストレーション信号を用いることが
望ましいが、これによって電子透かしを埋め込んだ画像
の劣化が大きくなってしまっていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した課題を
解決することを目的として成されたもので、係る目的を
達成する一手段として、例えば以下の構成を備える。
【0008】即ち、画像データにレジストレーション
信号を埋め込む方法であって、前記画像データの特徴成
分を検出する特徴成分検出ステップと、前記特徴成分に
応じて、第1のレジストレーション信号と第2のレジス
トレーショ ン信号を選択するレジストレーション信号
選択ステップと、前記画像データに対して、前記レジス
トレーション信号選択手段によって選択さ れた第1の
レジストレーション信号、及び第2のレジストレーショ
ン信号のいず れかを加算する加算ステップとを含むこ
とを特徴とする。
【0009】そして例えば、さらに、前記画像データを
少なくとも一つ以上のブロックに分割する分割ステップ
と、前記ブロック分割ステップによって分割されたブロ
ックを結合し、画像を再構成するブロック合成ステップ
とを含むことを特徴とする。あるいは、前記特徴成分は
エッジ成分であることを特徴とする。
【0010】また例えば、前記第1のレジストレーショ
ン信号、及び前記第2のレジストレーション信号は、周
期が等しいことを特徴とする。あるいは、前記第1のレ
ジストレーション信号は、前記第2のレジストレーショ
ン信号よりも、振幅が小さいことを特徴とする。また
は、前記レジストレーション信号選択ステップは、前記
エッジ成分において前記第2のレジストレーション信号
を選択し、前記エッジ成分以外において前記第1のレジ
ストレーション信号を選択することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態例】以下、図面を参照して本発明に
係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0012】[第1の発明の実施の形態例] <1.電子透かし埋め込み装置の説明>まず、本発明に
係る一発明の実施の形態例における電子透かし埋め込み
装置の概要について図面を参照して説明する。
【0013】まず、図1を参照して本発明に係る一発明
の実施の形態例における電子透かし埋め込み装置の構成
を説明する。図1は本発明に係る一発明の実施の形態例
における電子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック
図である。
【0014】図1に示す様に、本実施の形態例の電子透
かし埋め込み装置は、色成分抽出手段0101、レジス
トレーション信号埋め込み手段0102、パターン配列
決定手段0110、埋め込み位置決定手段0103、付
加情報埋め込み手段0104、色成分合成手段010
5、JPEG圧縮符号化手段0106、メモリ010
7、JPEG伸長復号化手段0108、プリンタ010
9から構成される。
【0015】本実施の形態例の図1に示す電子透かし埋
め込み装置には、画像データIが入力される。これは1
画素当たり所定の複数ビットが割り当てられた多値画像
データである。なお、本実施の形態例では、入力される
画像データIがグレイスケール画像データであってもカ
ラー画像データであっても対応可能である。
【0016】グレイスケール画像データは、1画素当た
り1種類の要素から構成されているものであり、カラー
画像データは、1画素当たり3種類の要素から構成され
ているものとする。この3種類の要素とは本実施の形態
例では赤色成分(R)、緑色成分(G)、青色成分
(B)である。しかしながら、別の色成分の組み合わせ
にも本発明は適用可能である。
【0017】電子透かし埋め込み装置に入力された画像
データIは、まず色成分抽出手段0101に入力され
る。入力された画像データIがカラー画像データである
場合には、色成分抽出手段0101においてこのカラー
画像データから青色成分だけを分離し、後段のレジスト
レーション信号埋め込み手段0102に出力される。
【0018】一方、その他の色成分は後段の色成分合成
手段0105に出力する。即ち、ここでは、電子透かし
情報が埋め込まれるべき色成分のみが分離されて電子透
かしの処理系に送出される。
【0019】本実施の形態例においては、例えば人間に
目視しにくく埋め込むために青色成分に対して電子透か
し情報の埋め込みが行われる。これは赤色成分、青色成
分、緑色成分の中で、人間の視覚にとっては青色成分が
最も鈍感であることによる。よって青色成分に電子透か
し情報を埋め込むことは、他の色成分に対して電子透か
し情報を埋め込むことに比べて、電子透かし情報による
画質劣化が人間の目に知覚しにくくなる効果がある。ま
た、入力された画像データIがグレイスケール画像デー
タである場合には、色成分抽出手段0101はグレイス
ケール画像データを一旦疑似的なカラー画像データに変
換する。ここでいう疑似的なカラー画像データとは、1
画素当たり3種類の要素から構成されるカラー画像デー
タであるが、本実施の形態例では、3種類の要素(R,
G,B)の値が全て等しい画像データになる。グレイス
ケール画像データは上記疑似的なカラー画像データに変
換され、このカラー画像データの中の青色成分(B)が
抽出され、レジストレーション信号埋め込み手段010
2へ出力される。
【0020】一方その他の色成分は後段の色成分合成手
段0105に出力する。この様にして、上述したカラー
画像データの場合と同様に、全ての色成分ではなく青色
成分のみに対して電子透かし情報が埋め込まれることと
なる。
【0021】なお、以後の説明では、画像データIがカ
ラー画像データである場合とグレイスケール画像データ
である場合とは、できるだけ区別しない様に説明する。
即ち、カラー画像データと擬似的なカラー画像データと
は区別しない様に説明する。
【0022】次に、レジストレーション信号埋め込み手
段0102について説明する。ここで、レジストレーシ
ョン信号とは、電子透かし情報の抽出の前処理として幾
何的な補正を実行する為に必要とされる信号である。
【0023】レジストレーション信号埋め込み手段01
02には、色成分抽出手段0101で得られた青色成分
の画像データが入力される。レジストレーション信号埋
め込み手段0102では、画像データに対して一種の電
子透かしの技術を用いてレジストレーション信号が埋め
込まれる。そして、レジストレーション信号埋め込み手
段0102からはレジストレーション信号が埋め込まれ
た画像データが出力される。
【0024】レジストレーション信号を埋め込まれた画
像データにおいて、人間の視覚はレジストレーション信
号を知覚することができない。このレジストレーション
信号の埋め込み方法等、詳細は後述する。
【0025】パターン配列決定手段0110では、電子
透かし情報を埋め込んだ画像データを、プリンタ010
9で印刷する際に濃度階調が面積階調に変化する場合で
あっても、電子透かし情報(付加情報)の抽出(検出)
が十分行なえるように、入力される画像データが表す画
像の解像度とプリンタからの出力解像度に基づいて、電
子透かし情報(付加情報)を埋め込むパターン配列を決
定する。パターン配列の決定方法等については後述す
る。
【0026】なお、画像の解像度とは、所定のサイズで
この画像を印刷しようとした場合の、この画像(ビット
マップ画像)の1インチ当たりの画素数として定義す
る。よって、ある画像を所定のサイズで印刷しようとし
た場合、画素数の多い画像ほど画像の解像度が高いこと
になる。画像の解像度を表す単位として、pixel/inch
(ピクセル/インチ)を使用する。
【0027】またプリンタの出力解像度とは、プリンタ
が印刷媒体上の1インチ当たりに印刷出力するドットの
数を示す。1インチ当たりに印刷出力するドット数が多
いプリンタほど、出力解像度が高いプリンタである。
【0028】上記パターン配列決定手段0110は、入
力された画像データと共に、複数の中から選択したパタ
ーン配列を埋め込み位置決定手段0103に出力する。
【0029】次の埋め込み位置決定手段0103は、レ
ジストレーション信号が埋め込まれた画像データにおけ
る付加情報「Inf」の埋め込み位置を決定する。
【0030】埋め込み位置決定手段0103は、入力さ
れた画像データ、パターン配列と共に、画像中に付加情
報「Inf」を埋め込む位置を表す制御データを付加情報
埋め込み手段0104に出力する。
【0031】付加情報埋め込み手段0104は、上記画
像データとパターン配列と制御データに加えて、付加情
報「Inf(複数のビット情報)」を入力する。この付加
情報「Inf」は、青色成分の画像データにおける上記決
定された埋め込み位置に、電子透かし技術を用いて埋め
込まれる。この電子透かしの技術を用いた付加情報「In
f」の埋め込みの詳細については後述する。
【0032】付加情報埋め込み手段0104からは付加
情報「Inf」が埋め込まれた画像データが出力され、色
成分合成手段0105に入力される。色成分合成手段0
105は、前段(付加情報埋め込み手段0104)まで
に処理された青色成分と、色成分抽出手段0101から
直接入力される赤色成分及び緑色成分とを用いて、通常
のカラー画像データの形態に合成する。
【0033】色成分合成手段0105で得られたカラー
画像データは、続いてJPEG圧縮符号化手段0106
に出力される。JPEG圧縮符号化手段0106は、入
力された赤色成分、青色成分、緑色成分で構成されるカ
ラー画像データを輝度、色差成分で構成されるカラー画
像データに変換し、JPEG圧縮符号化を行なう。
【0034】JPEG圧縮符号化手段0106で圧縮さ
れたJPEG圧縮データは、一旦メモリ0107に格納
される。そして外部機器への送信、あるいは印刷される
際のタイミングに合わせてこのメモリから読み出され、
後段のJPEG伸長復号化手段0108に出力される。
JPEG伸長復号化手段0108は、上記JPEG圧縮
データを伸長してカラー画像データとして出力する。
【0035】JPEG伸張復号化手段0108から出力
されたカラー画像データ「wI」は、プリンタ0109に
入力される。プリンタ0109は、入力されたカラー画
像データをCMYKの色成分に変換し、更にハーフトー
ン処理等を施した後、紙等の印刷媒体上に印刷物「pw
I」として出力する。
【0036】なお、この印刷物「pwI」は、本装置ユー
ザ以外の手に渡り、回転等の幾何学的編集、或いはコピ
ー機による複写等の攻撃が行われる可能性が有る。
【0037】上記印刷物に変形が加えられた可能性を有
する印刷物を「pwI’」とする。この印刷物「pwI’」
は、後述する図2に示すスキャナ2001を用いて、再
度ディジタル化されることになる。
【0038】以上説明した各手段を備える本実施の形態
例における電子透かしの埋め込み処理の全体の流れを、
図31に示すフローチャートを用いて説明する。図31
は本実施の形態例における電子透かしの埋め込み処理の
全体の流れを示すフローチャートである。
【0039】電子透かしの埋め込み処理3101におい
ては、まずステップ3102において画像データIが色
成分抽出手段0101に入力される。これは写真や印刷
物をスキャナなどで読み取り、画像データを生成する工
程も含む。更に青色成分を分離し、後段のレジストレー
ション信号入力に使用する。
【0040】次に、ステップ3103においてレジスト
レーション信号埋め込み手段0120はレジストレーシ
ョン信号を発生し、発生したレジストレーション信号を
入力する。このレジストレーション信号がステップ31
04で埋め込まれる。このステップ3104におけるレ
ジストレーション信号埋め込み処理は、図1におけるレ
ジストレーション信号埋め込み手段0102の内部で実
行される処理に相当し、詳細な説明は後述する。一方、
ステップ3111ではパターン配列決定手段0110に
てパターン配列を決定する。プリンタ0109の出力解
像度及び画像の解像度に応じて、付加情報「Inf」の埋
め込みに使用するべきパターン配列を決定する。更に、
ステップ3105によりマスクが作成され、作成された
マスクは、ステップ3106に入力され、埋め込みビッ
ト情報と埋め込み位置の関係を規定する。ステップ31
07ではステップ3111で決定したパターン配列を入
力し、このパターン配列も参照しながらマスクを拡大マ
スクに拡張する。このマスク・パターン配列対応手段に
ついても詳細な説明は後述する。
【0041】ステップ3103,3104においてレジ
ストレーション信号が埋め込まれた画像データに対し
て、ステップ3108において付加情報「Inf」が埋め
込まれる。この付加情報埋め込み処理はマクロブロック
単位で付加情報「Inf」を画像全体に繰り返し埋め込
む。この処理は後述の図10で詳細に述べる。
【0042】ここで、マクロブロックとは、最小埋め込
み単位のことを示し、このマクロブロックに相当する画
像領域に1つの完結した付加情報「Inf」の全情報が埋
め込まれる。
【0043】ステップ3109では、付加情報「Inf」
が埋め込まれた画像データをJPEG圧縮符号化してメ
モリ0107に格納し、更にJPEG伸長復号化を行っ
た後にプリンタ0109から印刷物pwIとして出力す
る。
【0044】<2.電子透かし抽出装置の説明>次に、
本実施の形態例における電子透かし抽出装置の概要につ
いて図2を参照して説明する。図2は本実施の形態例に
おける電子透かし抽出装置の構成を示すブロック図であ
る。
【0045】図2に示す様に、本実施の形態例の電子透
かし抽出装置は、スキャナ0201、色成分抽出手段0
202、レジストレーション手段0203、及び付加情
報抽出手段0204から構成される。
【0046】以上の構成を備える電子透かし抽出装置の
原稿台に印刷物「pwI'」をセットし、スキャナ0201
がこの印刷物「pwI’」をスキャンニングすることによ
りディジタル化された画像データ「wI’」を生成する。
上述したが、上記印刷物「pwI’」は図1における印刷
物「pwI」とは異なっている可能性を有する。
【0047】画像データ「wI'」は画像データ「wI」に
対して種々の幾何的な歪みを生じる攻撃を受けている。
攻撃には、スケーリング、回転、印刷&スキャニング等
を含むが、本実施の形態例の場合には少なくとも1度の
印刷&スキャンニングを伴う攻撃が成されていることに
なる。
【0048】従って、画像データ「wI'」と「wI」とは
内容が同一であることが理想的ではあるが、実際にはこ
の2つの画像データは内容が著しく異なっていることが
多い。
【0049】色成分抽出手段0202は、画像データ
「wI'」を入力し、青色成分を抽出した後、この青色成
分の画像データを後段のレジストレーション手段020
3へ出力する。画像データ「wI'」のうち、青色成分以
外の赤色成分、及び緑色成分は必要無いのでここで廃棄
される。
【0050】レジストレーション手段0203には、色
成分抽出手段0202で得られた青色成分の画像データ
「wI1'」が入力される。そしてこの青色成分の画像デ
ータ「wI1'」を用いて、幾何学的な歪みが補正された
画像データ「wI2'」を生成する。
【0051】上述した様に、画像データ「wI'」は画像
データ「wI」とは異なるスケールである可能性を有する
のに対し、画像データ「wI2'」は画像データ「wI」と
必ず同一のスケールになる。この理由、及び画像データ
「wI2'」を画像データ「wI」と同じスケールにする処
理の詳細は後述する。
【0052】付加情報抽出手段0204は、付加情報埋
め込み手段0103での埋め込み方式に合わせた所定の
処理を施こすことによって、画像データ「wI2'」に埋
め込まれている付加情報「Inf」を抽出することが可能
であり、抽出された付加情報「Inf」を出力する。
【0053】以上説明した本実施の形態例における電子
透かし抽出装置の各手段による全体の流れを、図32の
フローチャートを用いて説明する。図32は本実施の形
態例における電子透かし抽出装置の全体制御を説明する
ためのフローチャートである。
【0054】本実施の形態例における電子透かし抽出装
置においては、図32に示す電子透かし抽出処理を実行
する。
【0055】まずステップ3202において、電子透か
し嵌め込み済みの画像データ「wI'」が入力される。こ
の画像データ「wI'」は、印刷物「pwI'」であると予想
される画像データをスキャナでスキャンすることにより
得られる。一般的には、画像データ「wI'」は画像デー
タ「wI」とは著しく異なっている。
【0056】また、この画像データ「wI'」の青色成分
のみが抽出され、次のステップ3202において使用さ
れる。
【0057】次に、ステップ3203では、入力された
青色成分の画像データ「wI1'」のスケールが補正され
る。このスケール合わせ処理は、図2のレジストレーシ
ョン手段0203の内部で実行される処理であり、詳細
な説明は後述する。
【0058】次のステップ3211では、ステップ32
03から出力されるスケーリング率を用いて、付加情報
「Inf」の埋め込みに用いたパターン配列を判定する。
【0059】ステップ3204では、入力された青色成
分の画像データ「wI1'」のオフセットが補正される。
【0060】次に第1のパターン配列を用いた抽出処理
がステップ3206において、第2のパターン配列を用
いた抽出処理がステップ3205において、スケールと
回転とオフセットが既に補正された画像データ「wI
2'」から、夫々埋め込まれている付加情報「Inf」が抽
出される。
【0061】統計検定ステップ3207では、上記抽出
された付加情報「Inf」の確からしさが算出、判定さ
れ、正しい付加情報「Inf」ではないと判定されればス
テップ3202に戻り、付加情報「Inf」が埋め込まれ
ていると考えられる画像を入力しなおす。
【0062】一方、充分正確な付加情報「Inf」である
と判定された場合には、ステップ3208の比較処理に
より付加情報「Inf」の抽出を行なう。また、ステップ
3210では上記確からしさを示す情報を後述する信頼
性指標Dとして表示する。
【0063】以上の、パターン配列判定処理、オフセッ
ト合わせ処理、第1のパターン配列を用いた抽出処理、
及び第2のパターン配列を用いた抽出処理、及び統計検
定処理、及び比較処理は、図2の付加情報抽出手段02
03の内部で実行される処理であり、詳細な説明は後述
する。
【0064】<3.各部の詳細説明>次に、以上に概略
を説明した他各部の詳細な説明を行なう。
【0065】まず、電子透かし抽出側におけるレジスト
レーション手段0203、ステップ3203が実行する
レジストレーション処理の詳細について説明する。レジ
ストレーション処理とは電子透かし情報の抽出の際に、
電子透かし抽出装置に入力された画像データ「wI'」か
ら付加情報「Inf」が抽出できる様にする前処理であ
る。
【0066】一般に、「レジストレーション処理」とい
う用語は、スケール合わせ処理だけではなく、位置合わ
せ処理なども含む意味を持つ。しかし、本実施の形態例
では、位置合わせ処理は、付加情報「Inf」の一部とし
て埋め込まれた位置情報を利用するため、付加情報抽出
手段0204に含めて説明を行なう。
【0067】以下では、まず印刷系の処理が施された画
像データがどの様な変化を受けるかを考える。そして、
その様な変化に対するレジストレーション処理を考察
し、印刷系に対するレジストレーション処理を考える。
【0068】画像データ「wI」がYMCKインクジェッ
トプリンタによって印刷され、この印刷物をスキャナで
スキャンニングする本実施の形態例について考察する。
【0069】この時、プリンタによる出力解像度と、ス
キャナによる入力解像度が異なる場合には、元のカラー
画像データ「wI」とスキャンニングで得られた画像デー
タ「wI'」のスケールは異なってしまう。よって、得ら
れた画像データ「wI'」からはそのまま正確に電子透か
し情報を抽出できる可能性は少ない。従って、これらの
スケールの違いを補正できる手段を備えておくことが必
要である。
【0070】本実施の形態例では、入力解像度と出力解
像度の両方が既知である為、これらの比からスケールの
比を算出できる。例えば、出力解像度が600dpiであ
り入力解像度が300dpiである場合には、印刷前の画
像とスキャンニング後の画像のスケールの比は2倍であ
る。
【0071】よって、算出されたスケールの比にしたが
って、適当なスケーリングアルゴリズムを用いて画像デ
ータ「wI'」に対してスケーリングを施す。これにより
画像データ「wI」と画像データ「wI'」が表す画像サイ
ズを同じスケールにできる。
【0072】しかし、全ての場合に出力と入力の解像度
が既知であるとは限らず、双方の解像度が既知でない場
合には上述の方法は使用できない。この場合には、スケ
ールの違いを補正する手段に加えて、更にスケールの比
を知る手段が必要である。
【0073】また、画像データ「wI」に印刷系の処理が
施された画像は、スキャナのスキャンニングにより入力
された後には図3に示す様な画像となる。
【0074】図3においては0301全体が画像データ
「wI'」が表す画像である。この画像データ0301
は、画像データ「wI」により表される本来の画像030
2と白色の余白部分0303から構成される。この様な
余白は、ユーザがマウスなどによって切り取った場合に
は不正確になってしまう。このスキャニングによる位置
ズレに対する位置合わせ処理は、付加情報抽出処理02
04におけるオフセット合わせ処理にて行なう。
【0075】以上挙げた点が、印刷系を介して得られた
画像データ「wI'」を表す画像には、必ず生じていると
考えられ、画像データ「wI」に印刷系の処理が施される
場合であれば、これらを解決する必要がある。
【0076】以上、電子透かしを抽出する前に印刷系の
処理を少なくとも1度介してから画像データを得る場合
について説明したが、この様な状況は人為的な編集によ
っても起こり得る。
【0077】<3−1 レジストレーション信号埋め込
み処理の説明>以下、入出力解像度の比が不明である場
合を想定し、上記スケールの違いおよび回転が生ずる問
題点を解決する為に備えられた、本実施の形態例におけ
るレジストレーション信号埋め込み手段及びレジストレ
ーション手段について説明する。
【0078】まず、レジストレーション信号埋め込み手
段0102(図31のステップ3104)によるレジス
トレーション信号埋め込み処理の詳細を説明する。
【0079】レジストレーション信号埋め込み手段01
02は、付加情報埋め込み手段0104よりも前に位置
するものである。この手段0102は、図2に示すレジ
ストレーション手段における画像データ「wI'」のレジ
ストレーションに参照されるレジストレーション信号
を、元の画像データに予め埋め込む処理を行なうもので
ある。
【0080】このレジストレーション信号は、電子透か
し情報として人間の目に見えにくく画像データ(本実施
の形態例ではカラー画像データの青色成分)に埋め込ま
れる。
【0081】以下、図4を参照して本実施の形態例にお
けるレジストレーション信号埋め込み手段0102の詳
細を説明する。図4は本実施の形態例におけるレジスト
レーション信号埋め込み手段0102の詳細構成を示す
ブロック図である。本実施の形態例のレジストレーショ
ン信号埋め込み手段0102は、図4に示すようにブロ
ック分割手段0401、フーリエ変換手段0402、加
算手段0403、逆フーリエ変換手段0404、ブロッ
ク合成手段0405から構成される。以下、各手段の詳
細について説明する。
【0082】ブロック分割手段0401は、入力された
画像データを互いに重ならない複数のブロックに分割す
る。このブロックのサイズは本実施の形態例においては
2のべき乗に定める。実際はこれ以外のサイズでも適応
可能であるが、ブロックのサイズが2のべき乗である場
合は、ブロック分割手段0401の後に結合されるフー
リエ変換手段0402において高速の処理を行なうこと
が可能である。
【0083】ブロック分割手段0401により分割され
たブロックは、二つの集合I1とI2に分けられ、このう
ちI1は後段のフーリエ変換手段0402に入力され、I
2は後段のブロック合成手段0405に入力される。
【0084】本実施の形態例では、I1としては、ブロ
ック分割手段0401により得られた各ブロックのう
ち、画像データIの中で最も中心付近に位置する一つの
ブロックが選択され、残りのブロックは全てI2として
選択される。これは、本実施の形態例が少なくとも一つ
のブロックを用いることで実現可能であり、ブロックの
数が少ない方が処理時間を短縮できることによる。しか
しながら本発明はこれに限らず、I1として二つ以上の
ブロックを選択する場合も範疇に含む。
【0085】また、どの様なサイズでブロックに分割さ
れ、どのブロックがレジストレーション信号の埋め込み
対象に選択されるかという情報は、電子透かし埋め込み
装置と、電子透かし抽出装置で共有する必要がある。
【0086】ブロック分割手段0401の分割で得られ
た画像データの一部I1は、フーリエ変換手段0402
に入力される。
【0087】次にフーリエ変換手段0402は、入力さ
れた画像データI1に対してフーリエ変換を施す。入力
された画像データI1の元のデータ形態を空間領域と呼
ぶのに対して、フーリエ変換された後のデータ形態を周
波数領域と呼ぶ。
【0088】フーリエ変換は、入力された全てのブロッ
クに対して施される。なお本実施の形態例では、入力さ
れるブロックのサイズが2のべき乗であるので、処理の
高速化の為に高速フーリエ変換を用いる。
【0089】高速フーリエ変換とは、フーリエ変換がn
×n回の演算量を必要とするのに対して、(n/2)log2
(n)の演算量で実行可能な変換アルゴリズムである。た
だしここでnは正の整数である。高速フーリエ変換とフ
ーリエ変換は、演算結果を得る為の速度が違うだけであ
り、両者からは等しい結果が得られる。よって本実施の
形態例では、高速フーリエ変換とフーリエ変換を区別し
て説明しない。
【0090】なお、フーリエ変換により得られた周波数
領域の画像データは振幅スペクトルと位相スペクトルに
よって表現される。このうち振幅スペクトルだけが加算
手段0403に入力される。一方で、位相スペクトルは
逆フーリエ変換装置0404に入力される。
【0091】次に、加算手段0403について説明す
る。加算手段0403には、上記振幅スペクトルと共
に、レジストレーション信号と呼ばれる信号rが別に入
力される。レジストレーション信号の例としては、図5
に示す様なインパルス信号が挙げられる。
【0092】図5では、フーリエ変換されて得られた2
次元空間周波数成分のうちの振幅スペクトルが示されて
いる。中心が低周波成分、周囲が高周波数成分である。
0501は本来の画像成分が持っている信号成分の振幅
スペクトルであり、写真等の自然画像に相当する信号で
は低域に多くの大きな信号が集中する。一方で高域には
ほとんど信号が存在しない。
【0093】なお、本実施の形態例では自然画像に一連
の処理を施すことを想定して説明するが、本発明はこれ
に限らず、文書画像、CG画像等も同様に処理しても良
い。ただし、本実施の形態例は中間濃度が比較的多い自
然画像を処理する場合に特に有効である。
【0094】図5は、自然画像の本来持つ信号0501
に対して周波数領域の信号の水平垂直ナイキスト周波数
成分にインパルス信号0502、0503、0504、
0505を加えた本実施の形態例の一例である。この例
の様に、レジストレーション信号はインパルス性の信号
であることが望ましい。これは後述する電子透かし抽出
装置において、レジストレーション信号だけを抽出しや
すいからである。
【0095】図5に示す例では入力信号のナイキスト周
波数成分に対してインパルス信号を加えているが、本発
明はこれに限定されることはない。即ち、電子透かし情
報が埋め込まれた画像が攻撃を受けた場合にもレジスト
レーション信号が除去されないものであれば良い。上述
した様に、JPEG圧縮などの非可逆圧縮方式はローパスフ
ィルタ的な効果がある。よって、ここでの情報圧縮の対
象となる高周波成分へインパルス信号を埋めこんでも、
圧縮・伸張処理により除去されてしまう可能性がある。
【0096】一方で、低周波成分へのインパルスの埋め
込みは、高周波成分への埋め込みと比べて、人間の視覚
特性からノイズとして知覚されやすいという欠点があ
る。よって、本実施の形態例では人間の視覚に認識しに
くい第1の周波数以上であり、かつ非可逆圧縮・伸張処
理により容易に除去されない第2の周波数以下である中
間レベルの周波数へインパルス信号を埋め込むものとす
る。また、このレジストレーション信号は、加算手段0
403に入力された各ブロック(本実施の形態例では1
ブロック)に対して加えられる。
【0097】加算手段0403は、周波数領域の画像デ
ータの振幅スペクトルにレジストレーション信号が加え
られた信号を逆フーリエ変換手段0404に出力する。
【0098】逆フーリエ変換手段0404は、入力され
た周波数領域の画像データに対して逆フーリエ変換を施
す。この逆フーリエ変換は、入力された全てのブロック
に対して施される。上述のフーリエ変換手段0402の
場合と同様に、入力されたブロックのサイズが2のべき
乗であるので処理の高速化の為に高速フーリエ変換を用
いる。逆フーリエ変換手段0404へ入力された周波数
領域の信号は、逆フーリエ変換されることにより空間領
域の信号に変換され出力される。
【0099】逆フーリエ変換手段0404から出力され
た空間領域の画像データは、ブロック結合手段0405
に入力される。
【0100】ブロック結合手段0405は、ブロック分
割手段0405で行われた分割と逆の処理を行なう。ブ
ロック結合手段0405の処理の結果、画像データ(青
色成分)が再構成されて出力される。
【0101】以上、図1に示したレジストレーション信
号埋め込み手段0102の詳細を述べた。
【0102】図4では、レジストレーション信号をフー
リ変換領域において埋め込む方式を説明した。
【0103】一方で、レジストレーション信号を空間領
域において埋め込む方式も考えられる。この方式を図2
9を参照して以下に説明する。
【0104】図29に示す例においては、ブロック分割
手段2901、加算手段2902、ブロック合成手段2
903、逆フーリエ変換手段2904から構成される。
【0105】ブロック分割手段2901及びブロック合
成手段2903は、図4におけるブロック分割手段04
01及びブロック合成手段0405と同様の動作をす
る。レジストレーション信号埋め込み手段0102に入
力される画像データは、まずブロック分割手段2901
に入力され、分割される。ここで得られたブロックは加
算手段2902に入力される。
【0106】一方で、レジストレーション信号rは逆フ
ーリエ変換手段2904に入力され、逆フーリエ変換処
理により信号r'に変換される。ここで、レジストレーシ
ョン信号rは、図5に示したものと同様に周波数領域上
の信号である。
【0107】加算手段2902には、ブロック分割手段
2901からのブロックと逆フーリエ変換手段2904
からの信号r'が入力され、夫々加算される。加算手段2
902から出力された信号はブロック合成手段2903
に入力され、画像データ(青色成分)が再構成されて出
力される。
【0108】以上に示す図29の構成は、図4の構成と
同様の処理を空間領域で行なうものである。図29の構
成は、図4の構成に比べて、フーリエ変換手段を必要と
しないので高速な処理を行なうことが可能である。
【0109】更に、図29の中で、信号r'は入力画像デ
ータIに対して独立な信号である。よって信号r'の算
出、即ち逆フーリエ変換手段2904の処理は入力画像
データIが入力される毎に実行される必要はなく、予め
r'を生成しておくことが可能である。この本実施の形態
例における逆フーリエ変換手段2904の処理方式を、
図50を用いて説明する。図50は本実施の形態例にお
けるレジストレーション信号埋め込み手段の詳細を示す
図である。
【0110】図50に示す本実施の形態例におけるレジ
ストレーション信号埋め込み手段は、ブロック分割手段
5001、加算手段5002、ブロック合成手段500
3から構成される。
【0111】ブロック分割手段5001及びブロック合
成手段5003は、図4におけるブロック分割手段04
01及びブロック合成手段0405と同様の動作をす
る。レジストレーション信号埋め込み手段0102に入
力される画像データはまずブロック分割手段5001に
入力され、分割される。
【0112】ここで得られたブロックは加算手段500
2に入力される。加算手段5002には、ブロック分割
手段5001からのブロックと信号r'が入力され、各々
加算される。信号r'に関しての詳細は後述する。加算手
段5002から出力された信号はブロック合成手段50
03に入力され、画像データ(青色成分)が再構成され
て出力される。
【0113】以上の処理は、全て空間領域において行わ
れる。これは、フーリエ変換処理、及び逆フーリエ変換
処理を必要としないことを意味している。よって、フー
リエ変換、及び逆フーリエ変換の両方、或いは一方を必
要とする図4、或いは図29と比較して、より高速な処
理を実行することが可能である。
【0114】信号r'はレジストレーション信号であり、
空間領域における信号である。この信号r'は周波数領域
においては図5に示すような振幅スペクトルで表現され
るような信号である。実際には、図5に示すような信号
を逆フーリエ変換することによって得られる。r'が図5
に示すように周波数領域においてインパルス的な振幅ス
ペクトルを有する場合には、空間領域においては一定の
周期を持った信号である。
【0115】次に、図50に示す方法と比較して、更に
レジストレーション信号の検出をしやすくし、かつ画質
劣化が少ない方法について、図51を用いて説明する。
図51は本実施の形態例におけるレジストレーション信
号埋め込み手段の他の構成例を示す図である。
【0116】図51に示すように、ブロック分割手段5
101、エッジ検出手段5102、切り替え手段510
3、加算手段5104、ブロック合成手段5105から
構成される。
【0117】ブロック分割手段5101及びブロック合
成手段5105は、図4におけるブロック分割手段04
01及びブロック合成手段0405と同様の動作をす
る。レジストレーション信号埋め込み手段0102に入
力される画像データはまずブロック分割手段5101に
入力され、分割される。
【0118】ここで得られたブロックはエッジ検出手段
5102、及び加算手段5104に入力される。エッジ
検出手段5102では、入力されたブロック中の画像信
号からエッジ成分だけが検出され出力される。
【0119】検出されたエッジ成分は、切り替え手段5
103に入力される。切り替え手段5103には、エッ
ジ成分が入力され、第1のレジストレーション信号r'
1、及び第2のレジストレーション信号r'2のいずれか
が、前記エッジ成分によって適応的に選択され出力され
る。
【0120】第1のレジストレーション信号r'1及び第
2のレジストレーション信号r'2ついての詳細は後述す
る。加算手段5104には、ブロック分割手段5101
で得られたブロックと、切り替え手段5103で得られ
たレジストレーション信号が入力され、夫々加算され
る。
【0121】加算手段5104から出力された信号はブ
ロック合成手段5105に入力され、画像データ(青色
成分)が再構成されて出力される。
【0122】次に、エッジ検出処理5102での詳細な
処理について説明する。エッジ検出処理5102では、
入力された画像信号からエッジ成分だけが検出される。
エッジ成分とは、画像の濃度値が急激に変化する部分で
ある。この方法には従来からよく知られている画像処理
技術を用いることが可能である。
【0123】このうちの一つとして、ラプラシアンフィ
ルタを用いる方法について図53を用いて説明する。図
53は本実施の形態例のラプラシアンフィルタを用いる
例を説明するための図である。
【0124】図53に示すように、本実施の形態例にお
いては、ラプラシアンフィルタ手段5301、ゼロクロ
ス検出手段5302から構成される。
【0125】ラプラシアンフィルタ手段5301では、
画像に対してラプラシアンフィルタによるフィルタリン
グが施される。ラプラシアンフィルタによって、画像信
号の着目点における2次微分値を算出することが可能で
ある。ここでラプラシアンフィルタの例として、図52
に示すようなフィルタを用いることが可能である。
【0126】画像信号の着目した点における2次微分値
を算出するために、図52に示すようなラプラシアンフ
ィルタにおいて、中心(係数”8”の部分)を、画像の
着目点に一致させ、畳み込み演算を行なう。畳み込み演
算の結果が、画像の着目点における2次微分値となる。
【0127】以上の処理を、画像信号全体に施すことに
よって画像信号の2次微分を算出することができる。例
えば、図53において画像信号5303が入力された場
合、この信号の2次微分として5304が算出される。
【0128】次に、ゼロクロス検出手段5302での詳
細な処理について説明する。ゼロクロス検出手段530
2では、前段で算出された2次微分値において値が0で
ある点を算出する。この点が画像信号Bのエッジ成分
B’として出力される。例えば、図53において530
4のような2次微分値からは、5305に示すようなゼ
ロクロスが算出される。
【0129】ここで、実際には入力された画像信号は5
303のような連続信号ではなく、5306に示すよう
な離散信号である。よって、この離散信号に対する2次
微分も離散信号となり、5307のように算出される。
【0130】すると、ゼロクロスとして、値が0である
点は検出されない可能性が大きい。そこで、本実施の形
態では、ゼロクロスとして、2次微分の値が正値から負
値、或いは負値から正値に変化する点を検出する。
【0131】具体的には、着目点の値とその隣接する点
の値の積を算出し、積が負になる点をゼロクロスとして
算出する。よって5307のような離散信号の2次微分
からは5308のようにゼロクロスが算出される。更
に、5308に示すように、エッジ成分検出手段の出力
としては、エッジ成分である個所をON、エッジ成分で
ない個所をOFFとして出力する。
【0132】以上の処理によって、画像信号Bのエッジ
成分B’が検出される。
【0133】次に、切り替え手段5103での詳細な処
理について説明する。切り替え手段5103では、画像
信号Bのエッジ成分B’が入力され、このエッジ成分
B’に応じて適応的にレジストレーション信号r'1、或
いはr'2が選択されて、いずれか一方が出力される。こ
こでレジストレーション信号r'1、及びr'2について詳細
に説明する。
【0134】レジストレーション信号r'1、及びレジス
トレーション信号r'2の例を図54に示す。図54にお
いて、5401が空間領域領域におけるレジストレーシ
ョン信号r'1、5402が空間領域におけるレジストレ
ーション信号r'2である。説明のために、夫々1次元で
表現している。
【0135】レジストレーション信号r'1とr'2は、共に
一定周期Tを持つ。これはレジストレーション信号r'1
とr'2が、空間領域において共に等しいインパルス性の
単一の振幅スペクトルを有することを意味する。
【0136】即ち、レジストレーション信号r'1が周波
数領域で図5に示すような振幅スペクトルを有するとき
には、レジストレーション信号r'2も等しい周波数に振
幅スペクトルを有する。
【0137】一方で、レジストレーション信号r'1とr'2
は、振幅が異なる。レジストレーション信号r'1は振幅a
1を有するのに対して、r'2は振幅a2を有する。ここで、
a1<a2である。即ち、レジストレーション信号r'1とr'2
は、等しい周期を持ち、かつ振幅が異なる信号である。
【0138】切り替え手段5103では、以上説明した
ようなレジストレーション信号r'1及びr'2を、エッジ成
分B’に応じて適応的に切り替える。具体的には、エッ
ジ成分B’がONの時は、レジストレーション信号r'2
が選択され、エッジ成分B’がOFFのときはレジスト
レーション信号r'1が選択される。
【0139】次に、加算手段5104について説明す
る。加算手段5104には前段の切り替え器5103で
選択されたレジストレーション信号r'1、及びr'2のいず
れかと、ブロック分割手段5101で分割されたブロッ
クが入力され、夫々加えられ出力される。出力された信
号はブロック結合手段5105に入力され、画像データ
(青色成分)が再構成されて出力される。
【0140】以上、図51を用いて、本実施の形態にお
けるレジストレーション手段について説明した。次に、
図51の手段構成によって、画像信号がどのように処理
されるかを図55を用いて説明する。
【0141】図55において5501は入力された画像
信号B,5502は画像信号Bのエッジ成分B’、55
03は第1のレジストレーション信号r'1、5504は
第2のレジストレーション信号r'2、5505は合成さ
れた画像信号B’’である。
【0142】エッジ検出手段5102には、画像信号5
501が入力され、エッジ成分として5502が出力さ
れる。そして、切り替え手段5103では、5502に
応じて、適応的に5503、及び5504のいずれかが
選択され出力される。加算手段5104では、レジスト
レーション信号5503、及び5504のいずれかが、
画像信号5501に加えられる。加えられた結果が55
05であり、加算手段5104から出力される。
【0143】次に、第1のレジストレーション信号、及
び第2のレジストレーション信号について、詳細に説明
する。レジストレーション信号の振幅の大きさは一般的
には大きな方が望ましい。これは、振幅の大きな方が、
レジストレーション信号を検出しやすいからである。
【0144】一方で、むやみに振幅の大きなレジストレ
ーション信号を加えると、レジストレーション信号が目
に付きやすくなる。そこで、本実施の形態におけるレジ
ストレーション信号埋め込み手段は、画像信号のエッジ
部分において、より大きな振幅のレジストレーション信
号が加えられるようになっている。
【0145】一般的に、人間の視覚は、濃度が平坦な部
分における変化は目に付きやすいが、エッジなどのよう
に濃度が急激に変化する部分における変化は目に付きに
くいことが知られている。よって、本実施の形態におけ
るレジストレーション信号埋め込み手段は、人間の目に
見えにくいようにレジストレーション信号を埋め込んで
いると言える。即ち、本実施の形態におけるレジストレ
ーション信号埋め込み処理は、レジストレーション信号
の検出を容易にし、かつレジストレーション信号が人間
の目に見え難い様な処理である。
【0146】なお、本実施の形態では2種類のレジスト
レーション信号(第1のレジストレーション信号及び第
2のレジストレーション信号)が用いられたが、本発明
はこれに限定されることなく3種類以上のレジストレー
ション信号を用いることも可能である。
【0147】この場合には、画像信号に応じて、更に適
応的にレジストレーション信号の埋め込みを行なうこと
が可能となり、即ち、2種類の電子透かしを用いた場合
に比べて、更に人間の目に見え難く、かつレジストレー
ション信号の抽出をしやすくすることが可能である。
【0148】≪パッチワーク法≫本実施の形態例では付
加情報「Inf」の埋め込みの為にパッチワーク法と呼ば
れる原理を用いている。そこで、まずパッチワーク法の
原理を説明する。
【0149】パッチワーク法では画像に対して統計的偏
りを生じさせることによって付加情報「Inf」の埋め込
みを実現している。これを図30を用いて説明する。図
30においては、3001、3002は各々画素の部分
集合、3003は画像全体である。画像全体3003か
ら二つの部分集合A 3001とB 3002を選択す
る。
【0150】この二つの部分集合の選択方法は、互いに
重ならならなければ本実施の形態例におけるパッチワー
ク法による付加情報「Inf」の埋め込みが実行可能であ
る。ただし、この二つの部分集合の大きさや選択方法
は、このパッチワーク法によって埋め込まれた付加情報
「Inf」の耐性、即ち画像データ「wI」が攻撃を受けた
際に付加情報「Inf」を失わない為の強度に大きく影響
を及ぼす。これについては後述する。
【0151】今、部分集合A,Bはそれぞれ、A={a1,
a2,…,an}、B={b1,b2,…,bn}で表されるN個の要素か
らなる集合であるとする。部分集合Aと部分集合Bの各
要素ai,biは画素値または画素値の集合である。本実施
の形態例ではカラー画像データ中の青色成分の一部に相
当する。
【0152】ここで、次の指標dを定義する。
【0153】
【数1】 これは、二つの集合の画素値の差の期待値を示してい
る。
【0154】一般的な自然画像に対して、適当な部分集
合Aと部分集合Bを選択し、指標dを定義すると、
【数2】 となる性質がある。以降ではdを信頼度距離と呼ぶ。
【0155】一方で、付加情報「Inf」を構成する各ビ
ットの埋め込み操作として、 a’i=ai+c b’i=bi−c という操作を行なう。これは部分集合Aの要素全てに対
して値cを加え、部分集合Bの要素全てに対してcを減
ずるという操作である。ここで、先程の場合と同様に、
付加情報「Inf」が埋め込まれた画像から部分集合Aと
部分集合Bを選択し、指標dを計算する。すると、
【0156】
【数3】 となり0にはならない。
【0157】即ち、ある画像が与えられた時に、画像に
対して信頼度距離dを算出することによって、d≒0なら
ば付加情報「Inf」は埋め込まれておらず、一方でdが0
から一定量以上離れた値であるなら付加情報「Inf」が
埋め込まれていると判断できる。
【0158】以上がパッチワーク法の基本的な考え方で
ある。
【0159】このパッチワーク法の原理を応用し、本実
施の形態例では複数のビットの情報を埋め込む。本方法
においては、部分集合Aと部分集合Bの選択の方法につ
いてもパターン配列によって定義している。
【0160】上述の方法においては、原画像の所定の要
素に対してパターン配列の要素を加えたり減じたりする
ことによって、付加情報「Inf」の埋め込みを実現して
いる。
【0161】本実施の形態例において用いる簡単なパタ
ーン配列の例を図9に示す。図9は本実施の形態例にお
ける付加情報の埋め込み時及び抽出時に用いるパターン
配列を示す図であり、1ビットを埋め込む為に8×8画
素を参照する場合の、元の画像からの画素値の変更量を
示すパターン配列の例を示すている。図9の様に、パタ
ーン配列は正の値を持つ配列要素、負の値を持つ配列要
素、及び0の値を持つ配列要素から構成される。
【0162】図9に示すパターンにおいて、+cの配列
要素で示される位置は対応位置の画素値をcだけ上昇さ
せる位置を示し、上述した部分集合Aに相当する位置で
ある。一方−cの配列要素で示される位置は対応位置の
画素値をc減少させる位置を示し、上述した部分集合B
に相当する位置である。また0で示される位置は上述し
た部分集合A,B以外の位置であることを示す。
【0163】本実施の形態例では、画像の全体的な濃度
を変化させない為にも正の値を持つ配列要素の個数と負
の値を持つ配列要素の個数を等しくしている。即ち、1
つのパターン配列において全ての配列要素の和が0にな
っている。なお、後述する付加情報「Inf」の抽出操作
の時にはこの条件が必須である。
【0164】以上の様なパターン配列を用いて付加情報
「Inf」を構成する各ビット情報の埋め込み操作を行な
う。
【0165】本実施の形態例では、図9のパターンを元
の画像データにおける互いに異なる領域に複数回配置し
て画素値を上昇/減少させることにより、複数のビット
情報、即ち付加情報「Inf」を埋め込む。
【0166】言い換えれば、1つの画像の互いに異なる
領域に、部分集合AとBの組み合わせだけでなく、部分
集合A’とB’、部分集合A”とB”、…という複数の組
み合わせを想定することで、複数のビットからなる付加
情報「Inf」を埋め込む。
【0167】なお、本実施の形態例では元の画像データ
が大きい場合には、繰り返し付加情報「Inf」を埋め込
むことになる。これはパッチワーク法が統計的性質を利
用しているものであることから、統計的性質が現れるの
に充分な数を必要とすることによる。
【0168】また、本実施の形態例では複数ビットを埋
め込む際にパターン配列を用いて画素値を変更する領域
が重ならない様にする為、予め互いのビット同志でパタ
ーン配列を使用する相対位置を決定する。即ち、付加情
報「Inf」を構成する1ビット目の情報を埋め込む為の
パターン配列の位置と、2ビット目の情報を埋め込む為
のパターン配列の位置の関係は適切に定められる。
【0169】例えば付加情報「Inf」が16ビットで構
成されていれば、1〜16ビット目の夫々の8×8画素
のパターン配列の位置関係は、32×32画素よりも大
きいサイズの領域上で画質劣化が少なくなる様に相対的
に与えられる。
【0170】更に、上記付加情報「Inf」(これを構成
する各ビット情報)は、画像データが大きい場合には、
できるだけ多くの回数繰り返して埋め込む。これは、付
加情報「Inf」の各ビットを正しく抽出可能とすること
が目的である。特に本実施の形態例では、同一の付加情
報「Inf」が繰り返し埋め込まれていることを利用した
統計的な計測を行なうので、上記繰り返しは重要であ
る。
【0171】以上に説明した様な埋め込み位置の選択
は、図1における埋め込み位置決定手段0103におい
て実行される。
【0172】<3−2 パターン配列決定手段の説明>
次に、本実施の形態例における上述した部分集合Aと部
分集合Bの決め方の詳細について説明する。
【0173】パッチワーク法では、部分集合Aと部分集
合Bの決め方が、付加情報「Inf」の攻撃耐性と、付加
情報「Inf」を埋め込んだ画像の画質に大きく関係す
る。
【0174】本実施の形態例においては、図1の構成に
よって付加情報「Inf」が埋め込まれ、JPEG圧縮及
び伸長が施される画像データ「wI」は、プリンタにより
印刷出力され、図2のスキャナ0201により入力さ
れ、画像データ「wI'」となる。画像データ「wI」と「w
I'」を得る処理の間において印刷、スキャンニングを含
むさまざまな攻撃が加えられている。
【0175】以下、パッチワーク法によって埋め込まれ
た付加情報「Inf」が印刷による攻撃に耐性を有する為
にはどうしたらよいか考えてみる。
【0176】パッチワーク法において、パターン配列の
形状と、要素の値の大きさが付加情報「Inf」の埋め込
み強度と画像データ「wI」の画質とのトレードオフを決
定するパラメータになっている。よって、上述した攻撃
を施された後に付加情報「Inf」を抽出できるかどうか
は、このパラメータを操作することによって最適化する
ことが可能である。これについて、もう少し詳しく説明
をする。
【0177】本実施の形態例においては、パッチワーク
法における部分集合Aの要素aiと部分集合Bの要素biの
基本的な位置関係を図9に一例が示されるマトリクスに
よって固定する。なお、要素ai、要素biは1つの画素値
に限らず、複数の画素値の集合であってもよい。
【0178】このパターン配列を複数個、画像中に重な
り合わない様に割り当て、この画像における割り当てら
れた各画素を、パターン配列の要素の値に基づいて変更
する。画像がパターン配列の正の値(+c)に変更され
る画素の部分集合をA、パターン配列の負の値(−c)
に変更される画素の部分集合をBとすると、パッチワー
ク法の原理が適用されていることが分かる。
【0179】なお、以降の説明では、パターン配列の正
の値(+c)を持つ画素の集まり(部分集合の要素aiの
位置と対応)を正のパッチ、負の値(−c)を持つ画素
の集まり(部分集合の要素biの位置と対応)を負のパッ
チと呼ぶ。
【0180】以降、正のパッチと負のパッチを区別せず
用いる場合があるが、その場合のパッチは、正のパッチ
及び負のパッチ、若しくはいずれか一方を指すこととす
る。
【0181】図9に一例が示されるパターン配列の各パ
ッチの大きさが大きくなると、パッチワーク法における
信頼度距離dの値が大きくなるため、付加情報「Inf」
の耐性は強くなり、かつ付加情報「Inf」を埋め込んだ
後の画像は元の画像から画質が大きく劣化する。
【0182】一方、パターン配列の各要素の値の大きさ
が小さくなると、付加情報「Inf」の耐性は弱くなり、
かつ付加情報「Inf」を埋め込んだ後の画像は元の画像
から画質がそれ程劣化しない。
【0183】この様に、図9に示されるパターン配列の
大きさと、このパターンを構成するパッチの要素(±
c)の値の大きさを最適化することは、画像データ「w
I」の耐性や画質にとって非常に重要なことである。
【0184】まずパッチの大きさについて考える。パッ
チの大きさを大きくすると、パッチワーク法によって埋
め込まれた付加情報「Inf」は耐性が強くなり、一方で
パッチの大きさを小さくすると、パッチワーク法によっ
て埋め込まれた付加情報「Inf」は耐性が弱くなる。こ
れは、非可逆圧縮、及び印刷系が処理全体としてローパ
スフィルタ的な効果があることによるものである。パッ
チの大きさが大きくなると、付加情報「Inf」を埋め込
む為に偏重された信号は低周波数成分の信号として埋め
込まれ、一方でパッチの大きさが小さくなると付加情報
「Inf」を埋め込むために偏重された信号は高周波成分
の信号として埋め込まれることとなる。
【0185】高周波成分の信号として埋め込まれた付加
情報「Inf」は印刷系の処理を施されることによって、
ローパスフィルタ的な処理を施され、消去されてしまう
可能性がある。一方で、低周波成分の信号として埋め込
まれた付加情報「Inf」は印刷系の処理を施されても、
消去されずに抽出可能である可能性が大きい。
【0186】以上から、付加情報「Inf」が攻撃に対す
る耐性を有する為には、パッチの大きさは大きな方が望
ましい。しかしながら、パッチの大きさを大きくするこ
とは、原画像に低周波成分の信号を加えることに等し
く、これは画像データ「wI」での画質劣化を大きくする
ことに繋がる。
【0187】なぜなら、人間の視覚特性は図13の13
01に示すようなVTFの特性を持つからである。図1
3の1301から分かる様に、人間の視覚特性は低周波
成分のノイズに対しては比較的敏感であるが、高周波成
分のノイズに対しては比較的鈍感である。よって、パッ
チの大きさはパッチワーク法によって埋め込まれた付加
情報「Inf」の強度と画像データ「wI」での画質を決定
する為に最適化することが望ましい。
【0188】次にパッチの値(±c)について考える。
【0189】パッチを構成する各要素(±c)の値を“深
さ“と呼ぶこととする。パッチの深さを大きくすると、
パッチワーク法によって埋め込まれた付加情報「Inf」
は耐性が強くなり、一方でパッチの深さを小さくする
と、パッチワーク法によって埋め込まれた付加情報「In
f」は耐性が弱くなる。
【0190】パッチの深さは付加情報「Inf」を抽出す
る場合に用いる信頼度距離dに密接に関係している。信
頼度距離dは付加情報「Inf」を抽出するための演算値で
あり、これについては、抽出処理の部分で詳しく説明す
るが、一般的に、パッチの深さを大きくすると、信頼度
距離dは大きくなり、付加情報「Inf」を抽出しやすい。
一方で、パッチの深さを小さくすると、信頼度距離dは
小さくなり、抽出しにくい。
【0191】以上から、パッチの深さも、付加情報「In
f」の強度と、付加情報「Inf」が埋め込まれた画像の画
質を決定する重要なパラメータであり、最適化して使用
することが望ましい。パッチの大きさと深さを最適化し
たものを常に使用することによって、非可逆圧縮、或い
は印刷等の攻撃に対する耐性を有し、かつ画質劣化が少
なくなる様な付加情報「Inf」の埋め込みが実現可能で
ある。
【0192】次に、本実施の形態例で使用する具体的な
パッチの深さ及び大きさを説明する。以下の説明におい
ては、説明を簡略化するために、印刷系における処理を
簡略化する。印刷系の処理の例としてハーフトーン処理
による階調変換について考える。
【0193】ハーフトーン処理とは、上述した様に階調
を表現する方法の変更である。ハーフトーン処理の前後
で人間の視覚は同じ様に階調を知覚する。しかしなが
ら、スキャナ等の入力手段は、人間の様な曖昧な知覚を
持たず、上記前後で必ずしも同じ様に階調を"知覚"しな
い。
【0194】即ち、スキャナ単独では、面積階調によっ
て表現されている階調が本当に元の濃度階調で表現され
ていた階調情報を持っているかどうか認識しない。それ
では次にどのようなハーフトーン処理を行なえば面積階
調によって、濃度階調で表現されていた階調を表現でき
るかを考えてみる。
【0195】まずハーフトーン処理による濃度階調と面
積階調の階調表現の関係について考える。
【0196】図43に4×4のディザマトリクスとその
マトリクスで表現できる階調の関係の例を示す。図43
においては、マトリクスが面積階調で表現された階調で
あり、マトリクスが表現している階調を下の数字に示し
ている。
【0197】4×4のマトリクスには16個の画素が存
在する。この16個の画素のオン/オフにより4×4+
1=17階調が表現可能である。一般的には、ハーフト
ーン処理されたm×nのドットは、(m×n+1)階調
の表現が可能である。
【0198】これを、図44の例を用いて説明する。図
44においては画素4403は0〜16のダイナミック
レンジを持つ濃度階調で表現されており、値が8である
と仮定する。この画素と同じ値を持つ画素を縦横に4個
並べ、4×4の大きさを持つブロック4402を生成す
る。
【0199】このブロックに対して、4×4の大きさを
持つ適当なディザマトリクスを用いてハーフトーン処理
を行ない、2値データ4403を生成する。この2値化
されたデータがプリンタに送信され、出力される。その
後、スキャナなどの画像入力器手段によってプリンタの
出力解像度と同じ解像度で再び入力される。この時、プ
リンタのドットの出力解像度と、スキャナが画素を読み
こむ入力解像度が1:1の関係にあると仮定すれば、プ
リンタによって出力されスキャナによって入力された画
素は2値データ4403と等しくなる。
【0200】こうして生成された画像データが2値デー
タ4404である。2値データ4404に対して適当な
補間処理を用いた方法により2値データは1/(4×
4)の大きさにスケーリングされ、多値データ4405
が生成される。この多値データは値が8になる。なお、
スキャナが2値データ4403を2値データ4404と
判定できるほど十分高解像度でない場合は、光学的に2
値データ4403は多値データ4405に変換される。
【0201】以上、図44を用いて濃度階調で表現され
た階調情報が面積階調に変換され、その後再び濃度階調
で表現されるときに、正しく階調情報が伝搬される様子
を説明した。一般的には、1画素をm×n画素で表現す
るような面積階調を用いてハーフトーン処理し、このm
×n画素の2値データを1画素にするような補間処理を
行なうことによって、階調情報は伝搬される。
【0202】本実施の形態例では、印刷及びスキャニン
グを含む攻撃にも耐性を持たせるため、付加情報「In
f」の埋め込みで用いられるパッチの大きさと深さを、
上述した面積階調と濃度階調の関係を考慮し設計する。
なお、本実施の形態例では、さまざまな大きさの画像を
ある決められたサイズにプリンタで出力する場合につい
て考える。
【0203】図45は本実施の形態例において、画像の
解像度が異なる2枚の画像4501及び4504を、そ
れぞれ同じ大きさの寸法4503、4506にプリンタ
で出力する場合について示している。図45(a)は画
像の解像度が低い場合、(b)は画像の解像度が高い場
合の一連の処理である。
【0204】初めに、画像4501及び画像4504
は、1画素が1ドットに対応するように拡大処理が施さ
れる。このとき拡大方法は、ニアレストネイバ法などの
補間が用いられる。なお、ニアレストネイバ法は、同じ
画素値を近隣画素にコピーすることにより拡大を行なう
手法である(画像が非常に高解像度の場合には縮小(間
引き)も考えられる。)。
【0205】その結果、画像4501は画像4502
に、画像4504は画像4505にそれぞれ拡大され
る。その後、ハーフトーン処理により4503及び45
06の様な印刷物(印刷用画像データ)としてドットで
表現される。
【0206】プリンタの実際の処理では、CMYK変換
処理、カラーマッチングなどが行われるが、説明を簡単
にするために、ここでは省略する。
【0207】図45から、画像の解像度が低いほど、1
画素が多くのドットで表現でき、画像の解像度が高いほ
ど、1画素が少ないドットで表現しなければならないこ
とが分かる。
【0208】次に、濃度階調から面積階調に変換した場
合にもパッチによる埋め込みの影響が伝わることを示
す。なお、ここでは説明を分かりやすくする為、画像の
解像度による影響を除いて考える。
【0209】図46の4601、4605は、ある画像
に付加情報「Inf」を埋め込む場合の正のパッチで操作
をする画像領域(部分集合A)で、かつハーフトーン処
理前の状態である。図46の4603、4607は、あ
る画像に付加情報「Inf」を埋め込む場合の負のパッチ
で操作をする画像領域(部分集合B)で、かつハーフト
ーン処理前の状態である。
【0210】図46の4601、4603はパッチによ
る付加情報「Inf」の埋め込みが行われていない場合で
あり、4605、4607は付加情報「Inf」の埋め込
みが行われている場合である。またこの時、4601、
4603、4605、4607は、全てハーフトーン処
理が施される直前の1画素1ドットに対応しているとす
る。
【0211】ハーフトーン処理により、図46の460
1、4603、4605、4607に示される画像は、
4602、4604、4606、4608の様に面積階
調としてドットで表現される。
【0212】付加情報「Inf」の埋め込みを行っていな
い場合では、4602におけるインクドットと4604
におけるインクドットの数の差は、一般的にはほとんど
変わらないと言える。画像が大きく、パッチ単位でイン
クドットの差の平均値を求めた場合には、ほぼゼロにな
る。
【0213】一方、付加情報「Inf」の埋め込みを行っ
た場合では、4606におけるインクドットと、460
8におけるインクドットの数の差は、現れてくると考え
られる。
【0214】付加情報「Inf」が面積階調により表現さ
れた場合にも、パッチの設計により、インクドットの増
減を制御することが可能である。パッチワーク法は、印
刷及びスキャニングの攻撃に対しても耐性を持つことが
可能であるといえる。
【0215】また、図46から、パッチを埋め込む面積
を増加させれば、インクドットの数が増加すること、パ
ッチの深さを深くすれば、インクドットの数が増加する
ことが直感的に想像できる。
【0216】パッチとインクドットの増加の関係を図4
7を用いて説明する。図47はパッチの大きさ、深さに
よるインクドットの変化を示す図面である。
【0217】図47において、横軸は、1画素が1ドッ
トまで拡大された部分集合A、又は部分集合Bをハーフ
トーン処理するディザマトリクスの係数値を示し、縦軸
はそのディザマトリクスの係数値の出現頻度を示してい
る。それと同時に、説明を分かりやすくする為、横軸に
1画素が1ドットまで拡大された部分集合A、又は部分
集合Bのハーフトーン処理される画素値の平均が示され
ている。
【0218】図47に示す様に、一般的にはディザマト
リクスの係数値は大きな部分集合A、又は部分集合Bに
対応する場合には、ほとんど偏った値を持たず出現頻度
はほぼ等しいと考えて良い。
【0219】付加情報「Inf」の埋め込みにより、埋め
込み前の画素値の平均4703は、埋め込み後の画素値
の平均4704にまで変化したとすると、ディザマトリ
クスの2値化処理により、斜線部分4702だけインク
ドットの数が増加することが分かる。すなわち、パッチ
の深さとインクドットの増加数は比例の関係にあること
が分かる。
【0220】また、パッチのサイズを大きくした場合に
は、ディザマトリクスの係数値の出現頻度が更に増加す
ることから、斜線部分の面積4702が出現頻度方向に
増加し、パッチの深さとインクドットの増加数も比例の
関係にあることが分かる。
【0221】以上の性質を考慮すると、画像全体では (1)埋め込み深さは印刷物上のドットの数と比例す
る。 (2)パッチのサイズは印刷物上のドットの数と比例す
る。
【0222】すなわちパッチの埋め込みにより変化す
る、画像全体の正のパッチを埋め込む領域と画像全体で
の負のパッチを埋め込む領域での、画像全体でのドット
数の差をΔβとすると Δβ = 2 × α × PA × C + γ……(式47−1) で表現される。
【0223】αは比例係数で、γはマージンで、Cは埋
め込み深さ、PAは正又は負のパッチの画像全体の1画
素1ドットに対応した面積である。ここで、α、Δβ、
γは実験により定められる数である。
【0224】なお、この(式47−1)の原理はディザ
マトリクスによるハーフトーン処理だけでなく、誤差拡
散法においても上記(1)と(2)は成立することから
適用可能である。
【0225】(式47−1)では、画像の解像度と、プ
リンタの出力解像度及びスキャナの入力解像度について
考慮していない。以下、画像の解像度と、プリンタの出
力解像度及びスキャナの入力解像度が変化した場合につ
いて考える。
【0226】本実施の形態例では、スキャナの入力解像
度は、できるだけ多くの情報を保持するために、フラッ
トベッドスキャナにおける十分な解像度である600p
piに固定する。
【0227】次に、プリンタの出力解像度と画像の解像
度について考える。
【0228】図45の説明で既に述べたが、画像を印刷
する場合には1画素の濃度階調を表現するドット数は、
画像の解像度によって決まる。以下に一例を示す。
【0229】例えば、図45において画像4501は1
000×800画素を持つ画像であるとする。
【0230】この画像を主走査方向、副走査方向ともに
1200dpiの出力解像度を持つプリンタで、長辺が
5inchに収まる様に出力する場合、ハーフトーン処
理の手前で1画素を1ドットになる様に拡大処理が行わ
れ、長辺の出力ドット数は1200dpi×5=600
0dotとなる。その為、画像4501は6000×4
800画素をもつ画像4502にまで拡大される。ハー
フトーン処理が施された画像4503から4501の階
調を再現する場合には、1画素は6×6ドットにより表
現される。
【0231】一方、画像4504は3000×2400
画素を持つ画像であるとする。
【0232】この画像を同じく1200dpiの解像度
を持つプリンタで、長辺が5inchに収まるように出
力する場合、1画素が1ドットになる様に、同様に、6
000×4800画素を持つ画像4505にまで拡大さ
れ、その後、ハーフトーン処理が施された画像4506
になる。画像4504の1画素は、2×2ドットにより
表現される。
【0233】インクドットの濃度は決まっていると考え
られるので、1画素が5×5ドットで表現される場合に
は、1画素で表現できる濃度階調のダイナミックレンジ
は大きい。一方、2×2ドットで表現される場合には、
1画素で表現できる濃度階調のダイナミックレンジは小
さい。
【0234】付加情報抽出処理において詳しく述べる
が、パッチワーク法では検出時に各パターン配列単位に
おいて、 (正のパッチを埋め込んだ領域の画素値の和)−(負の
パッチを埋め込んだ領域の画素値の和) を計算し、画像全体で各パターン配列単位の平均値を求
める。この平均値を信頼度距離dと呼ぶが、この信頼度
距離dが大きいほど、確かな付加情報の抽出が可能であ
る。
【0235】図48は、パターン配列単位における正及
び負のパッチ領域の差を図的に示している。図48
(a)は画像解像度が低い場合で4801は正のパッチ
領域、4802は負のパッチ領域、図48(b)は画像
解像度が高い場合で4803は正のパッチ領域、480
4は負のパッチ領域を示している。
【0236】なお、インクドットは1ドットにつき、決
まった濃度になるので、4801及び4802は1画素
が多くのインクドットから成り立っているため、信頼度
距離dは大きな値にまでダイナミックレンジを持つ。一
方、4803及び4804では、1画素が少ないインク
ドットにより表現されるため、信頼度距離dは大きな値
にまでダイナミックレンジを持たない。
【0237】一般的に1画素が少ないドットで構成され
る場合(画像の解像度が高い場合)には、1画素の持つ
階調のダイナミックレンジが小さいため、大きな信頼度
距離dは得られず、付加情報「Inf」の抽出ができない
場合が考えられる。
【0238】従って、画像の解像度が高い場合には、パ
ッチの面積を大きくするか、又は埋め込み深さ(±c)
を大きくする必要がある。
【0239】一般的には、高解像度出力時には位置ズレ
も大きな問題となるため、パッチの面積を大きくするの
が好ましい。
【0240】パターン配列あたりの付加情報の検出に必
要なドット数をΔβpとすると、正又は負のパッチの画
素数をP、パッチの埋め込み深さCと1画素を表現する
ドットの数m×nの関係は、(式47−1)より、 Δβp = 2 × α'× P ×(m×n)×(C/255)+ γ'……(式47 −2) で表される。
【0241】ここで、(m×n)×(C/255)は埋
め込み深さCを最大255階調まで変化させても、1画
素につきドットは最大でm×nしか増加しないことを示
している。また、α'は比例係数、γ'はマージンであ
る。
【0242】なお、1画素を再現するドット数m×n
は、 m×n=(主走査方向のプリンタの出力解像度/ 画像の
解像度)×(副走査方向のプリンタの出力解像度/画像
の解像度) で求められれ、m×nは画像の解像度が高いほど小さく
なる。
【0243】従って、Δβp、α'、γ'を実験により求
めると、付加情報「Inf」の検出に必要なパターン配列
あたりの埋め込み深さ、パッチの大きさ(パターン配列
の大きさ)及び埋め込み深さをプリンタの出力解像度及
び画像の解像度から求めることができる。
【0244】以上の考察を踏まえ、画像の解像度に応じ
て埋め込み深さ(±c)及びパッチの大きさを変更する
方法を提案する。以下、具体的にその装置について示
す。
【0245】図1のパターン配列決定手段0110にプ
リンタの出力解像度及び画像の解像度を入力し、付加情
報「Inf」の抽出に適したパターン配列が出力される。
【0246】一例として、プリンタの出力解像度が12
00dpiであり、画像を長辺が約6inchの大きさ
に印刷出力する場合について考える。画像には300p
pi〜600ppiの範囲(長辺1800画素〜360
0画素)の画像があるとする。
【0247】付加情報「Inf」の埋め込みに用いるパタ
ーン配列を画像の解像度に応じて、画像の解像度が50
0ppi未満の場合には、図49におけるパターン配列
4901を用い、画像の解像度が500ppi以上の場
合には図49のパターン配列4903を用いるとする。
そして、埋め込み深さは、(式47−2)を用いて、適
切に決められるとする。
【0248】パターン配列決定手段0110でこのよう
にパターン配列が適当に決められ、後段の埋め込み位置
決定手段0103では、パターン配列決定手段0110
から入力されたパターン配列の大きさに基づいて、埋め
込み位置が決定される。更に、付加情報埋め込み手段0
104では、埋め込み位置決定手段0103から入力さ
れるパターン配列の埋め込み位置に従い、画像に対し
て、付加情報「Inf」の埋め込みを行なう。
【0249】一方、埋め込みに用いたパターン配列が分
からないと付加情報「Inf」の抽出を行なうことはでき
ない。そのため、後述するパターン配列判定手段200
1を用いて、レジストレーション手段0203の出力す
るスケーリング率から、画像の解像度を判断する。
【0250】プリンタの出力解像度が固定である場合
は、スケーリング率から画像の解像度が分かれば、パタ
ーン配列判定手段2001により、埋め込みに用いたパ
ターン配列を判定することができる。
【0251】従って、画像の解像度により、パッチやパ
ターン配列を可変にした場合にも、レジストレーション
信号から得られる情報を利用することで付加情報「In
f」の抽出が可能である。
【0252】<3−3 埋め込み位置決定処理の説明>
以下、図11を参照して本実施の形態例における埋め込
み位置決定手段0103の詳細を説明する。図11は本
実施の形態例における埋め込み位置決定手段0103の
詳細構成を示すブロック図である。
【0253】図11のマスク作成手段1101は、付加
情報「Inf」を構成する各ビット情報の埋め込み位置を
規定する為のマスクの作成を行なう。マスクとは、各ビ
ット情報に対応するパターン配列(図9参照)の相対的
な配置方法を規定する位置情報を備えたマトリクスであ
る。
【0254】マスク作成手段1101で作成したマスク
の一例を図15乃至図17に示す。例えば、図17の1
701がマスク作成手段1101で作成したマスクの一
例である。マスクの内部には夫々係数値が割り当てられ
ており、各々の係数値はマスク内で等しい出現頻度を有
している。このマスクを用いる場合であれば、最大16
ビットからなる付加情報「Inf」を埋め込むことが可能
である。
【0255】次にマスク参照手段1102は、マスク作
成手段1101で作成したマスクを読みこみ、マスク内
の各係数値と、各ビット情報が何ビット目かの情報を対
応付けて、各ビット情報を埋め込む為のパターン配列の
配置方法を決定する。
【0256】更にマスク・パターン配列対応手段110
3は、マスク内の各係数値の位置に前段の0110から
入力される各パターン配列の配列要素(例えば8×8サ
イズ)を展開する。展開した状態を図17に示す。
【0257】即ち、図17の上段の1701に示される
マスクの各係数値(1マス)を、図7の下段に示される
1703の様に8×8倍にして各パターン配列の埋め込
み位置として参照可能とする。
【0258】後述の付加情報埋め込み手段0104は、
図17の埋め込み先頭座標1702を参照して、パター
ンサイズを用いて各ビット情報を埋め込むことになる。
【0259】なお、本実施の形態例ではマスク作成手段
1101に、画像データ(青色成分)を入力する毎に上
記マスクを作成する。よって、大きいサイズの画像デー
タを入力する場合には、複数回繰り返して同一の付加情
報「Inf」を埋め込むことになる。
【0260】上記の方法では画像から付加情報「Inf」
を抽出する場合に、上記マスクの構成(係数値の配列)
が鍵の役割を果たす。即ち、鍵の所有者だけが情報の抽
出を行なえるという効果がある。
【0261】なお本発明は、リアルタイムにマスクを作
成せずに、予め作成しておいたマスクをマスク作成手段
1101の内部記憶手段などに記憶させておき、必要時
に呼び出す場合も範疇に含む。この場合には高速に後段
の処理に移行することができる。
【0262】<3−3−1 マスク作成手段>次に、埋
め込み位置決定手段0103の中で実行される各処理の
詳細を説明する。はじめに、マスク作成手段1101に
ついて説明する。
【0263】パッチワーク法を用いた付加情報「Inf」
の埋め込みにおいて、攻撃耐性を強める為に画素値に大
きな操作を加えて情報を埋め込んだ場合(例えばパター
ン配列のcの値を大きく設定した場合)には、元の画像
データが表す画像において画素値の急激な変化の有るい
わゆるエッジ部分では画質の劣化は比較的目立ちにくい
が、画素値の変化の少ない平坦部では画素値を操作した
部分がノイズとして目立ってしまう。
【0264】図13に人間の目で知覚する空間周波数特
性を示す。横軸は空間周波数(Radial Frequency)を示
し、縦軸は視覚の応答値である。画素値を操作し、情報
を埋めこんだ場合、人間の目が敏感に知覚できる低周波
数領域では画質劣化が目立つことが図13から分かる。
【0265】本実施の形態例では、以上のことに鑑みて
多値画像の2値化処理に通常使用されているブルーノイ
ズマスクやコーンマスクの特性を考慮し、各ビットに対
応するパターンの配置を行なう。
【0266】次にブルーノイズマスク、コーンマスクの
特性について簡単な説明を行なう。まず初めにブルーノ
イズマスクの特性について説明する。
【0267】ブルーノイズマスクはどの様な閾値で2値
化してもブルーノイズパターンとなる特性を有する。こ
のブルーノイズパターンとは空間周波数が高周波領域に
偏った周波数特性を示すパターンである。図37に、あ
るブルーノイズマスクの一部を示す。
【0268】また図14の1401には、閾値10で2
値化したブルーノイズマスクの空間周波数特性の概略図
を示す。
【0269】図14の1401の横軸はRadial Frequen
cyであり、ブルーノイズマスクをフーリエ変換したとき
の原点(直流成分)からの距離を示している。縦軸はPo
werspectrumであり、横軸Radial Frequencyの示す距離
にある振幅成分の2乗和をとり平均化した値である。な
お、図14は画像の2次元周波数特性を1次元グラフ化
し視覚的に分かりやすく示した図である。
【0270】図13と比較してみると、ブルーノイズマ
スクは高周波成分に偏りがある為、人間の目に知覚され
にくいことが分かる。従って、インクジェットプリンタ
等では、ドットを用いた面積階調で多値画像の階調を表
現する際に、ブルーノイズマスクを用いることで、空間
周波数成分を高周波に偏らせ、人の目に目立つことなく
面積階調を表現できることが知られている。
【0271】次にブルーノイズマスクの生成過程の一例
を以下に示す。 (1)ホワイトノイズを生成する。 (2)階調gの2値画像Pgl(初期値はホワイトノイズマ
スク)にローパスフィルタリングを行ない、多値画像P'
glを生成する。 (3)階調 g (初期値:127)の画像とローパスフィル
タリング画像P'gl(多値)を比較し、 誤差の大きい順
に、2値画像Pgの白黒の画素を反転させ、2値画像P(g
l+1)を得る。 (4)誤差が最小になるまで、2,3の操作を繰り返
し、2値画像Pgl(初期値はホワイトノイズマスク)を
少しづつ階調 g(初期値:127) の2値画像Pg(ブルー
ノイズマスク)に変えていく。 (5)Pg画像に階調g+1(g-1)の2値の黒(白)の点
をランダムな位置に与える。 上記(2)、(3)の操作を繰り返し、P(g+1)また
はP(g-1)を得る。
【0272】以上の操作を繰り返すことにより、全ての
階調でのブルーノイズマスクを作成し、ディザマトリク
スを生成する。
【0273】例えば32×32のブルーノイズマスクで
は1階調ごとに4点増加(減少)する。ただし、このと
き256階調持たせる為に前の階調gで決まった黒
(白)のビットは反転できない為、低又は高階調では制
限条件が厳しくなり、一様性に乏しいランダムパターン
しか得られないという欠点がある。
【0274】図12にブルーノイズマスクを構成する各
係数の出現頻度分布(ヒストグラム)1201を示す。
図12では0〜255の全ての値(係数)がマスク内に
同数存在している。
【0275】上記ブルーノイズマスクが多値画像の2値
化に用いられる技術は良く知られており、例えば、「J.
Opt.Soc.Am A/Vol.9, No.11/November 1992 Digital
halftoning technique using a blue-noise mask Tehop
hano Mitsa, Kevin J.Parker」等に詳しく開示されてい
る。
【0276】次にコーンマスクの特性について説明す
る。
【0277】コーンマスクは、このマスクに含まれる各
係数を2値化した場合に、ここで得られた2値情報を表
す空間周波数領域上で、図14の1402に示される様
に、周期的又は擬似周期的なピークが発生することを1
つの特徴とする。ただし、低周波領域ではピークが立た
ない様に設計されている。
【0278】図38に、あるコーンマスクの係数配列の
一部を示す。コーンマスクをどの閾値で2値化した場合
にも、ドット間で適度な距離が保たれる為、低周波領域
でのピークは立たない。
【0279】図14の1402に、コーンマスクの閾値
10で2値化した場合の空間周波数特性の概略図を示
す。1401のブルーノイズマスクの空間周波数特性と
同じく、1402の特性でも低周波成分が少ないことが
分かる。
【0280】コーンマスクの場合は、閾値が低い場合で
あっても高い場合であっても、ブルーノイズマスクが持
つ低域周波数より高い周波数からピークが発生する為、
ブルーノイズマスクに比べて埋め込み位置に密集した部
分が少なくなる。その為、付加情報「Inf」を埋め込ん
だ際に生じる埋め込みノイズは、ブルーノイズに比べて
更に目立たなくなる利点がある。
【0281】またコーンマスクを構成する係数の使用頻
度も、ブルーノイズマスクの時と同じく、図12の12
01で示す出現頻度分布(ヒストグラム)になる。
【0282】従って、このマスクの係数に対応付けて、
付加情報「Inf」を構成する各ビット情報に対応するパ
ターンを、画像データに埋め込む様にするならば、この
画像データ中には各ビット情報に対応するパターンを同
数配置することができ、結果的に付加情報「Inf」をバ
ランス良く埋め込むことができる。
【0283】本実施の形態例では以上の利点から埋め込
み参照マスクにコーンマスクを用いることとする。
【0284】<3−3−2 マスク参照手段>マスク作
成手段1101で作成されたマスク(コーンマスク)
は、マスク参照手段1102に入力される。マスク参照
手段1102では、画像に埋め込むNビットの情報の埋
め込み位置とマスクの番号(画素値)を対応付けて、埋
め込み位置を決定する。
【0285】マスク参照手段1102で行なう埋め込み
位置決定方法を説明する。本実施の形態例では上述した
コーンマスクを用いるが、ここでは説明を分かりやすく
する為、図15の1501に示す4×4マスクを用いて
説明する。
【0286】図15のマスクは、4×4個の係数を有
し、0〜15までの係数値を1つずつ配置しているマス
クである。この4×4マスクを用い付加情報「Inf」の
埋め込み位置の参照を行なう。この説明で用いるマスク
の場合には最大16ビットで構成される付加情報「In
f」を埋め込むことができるが、以下8ビットの付加情
報「Inf」を埋め込む場合を説明する。
【0287】まず付加情報「Inf」の構成を、図36を
用いて説明する。同図の様に付加情報「Inf」は、スタ
ートビット「Inf1」とと利用情報Inf2から構成される。
【0288】このスタートビットInf1は、理想位置から
実際の付加情報「Inf」が埋め込まれている位置がずれ
ていることを認識し、これに合わせて電子透かし(付加
情報「Inf」)の抽出開始位置を補正する為に、電子透
かし抽出装置側に含まれるオフセット合わせ手段200
3で用いられる。詳細については後述する。
【0289】また、利用情報Inf2は、本来の付加情報、
即ち実際に画像データIの付加的情報として利用される
情報である。この情報には、例えば画像データ「wI」の
不正利用の際に原因を追跡することを目的とするなら
ば、図1に示す装置のID或いはユーザのID等が含ま
れる。また、画像データ「wI」の印刷物をコピー禁止に
するのであれば、コピーが禁止であることを示す制御情
報が含まれる。
【0290】本実施の形態例では、スタートビットは5
ビットとし、「11111」というビット列を用いる。
しかし、本発明はこれに限らず、付加情報「Inf」のう
ち5ビット以外のビット数をスタートビットとして用い
ることも可能であり、同様に「11111」というビッ
ト列以外を用いることも可能である。ただし、スタート
ビットのビット数とビット系列は電子透かし埋め込み装
置と電子透かし抽出装置で共有しておく必要がある。
【0291】上述した様な4×4個の係数からなるコー
ンマスクを用いて、スタートビット5ビット、利用情報
3ビットの合計8ビットの付加情報「Inf」を埋め込む
簡単な例について説明をする。本発明はこれに限定され
るものではない。例えば32×32のコーンマスクを用
いて、スタートビット5bit、利用情報64bitからなる
合計69bitの付加情報「Inf」を埋め込み場合等にも適
用可能である。
【0292】付加情報「Inf」はスタートビットが5ビ
ット「11111」で利用情報が3ビット「010」と
する。夫々1番目が1、2番目が1、3番目が1、4番
目が1、5番目が1、6番目が0、7番目が1、8番目
が0のビット情報を持つ。
【0293】これら各ビットに相当するパターン(図9
参照)の夫々をコーンマスクの係数の1つずつに対応す
る位置に割り当て、この位置関係に従って元の画像デー
タの各画素値を±c変更する。これにより、1つのコー
ンマスクに相当するサイズの元の画像データに対して、
1つの付加情報「Inf」が埋め込まれることとなる。
【0294】本実施の形態例では、付加情報「Inf」を
埋めこむ為に最低限必要なビット数に基づいて、ある閾
値を決定し、上記コーンマスクにおける、この閾値以下
の係数が配置されている位置に、対応する各ビット情報
を埋めこむ。これにより付加情報「Inf」のビット数に
関わらず1つのコーンマスクには1つの付加情報「In
f」が埋め込まれる。
【0295】なお、本発明は上記方法に限らず、ある閾
値以上の係数が配置されている位置に、対応する各ビッ
ト情報が埋め込まれる様にし、これを前提に閾値を決定
する様にしても良い。
【0296】次に本実施の形態例では、埋め込みに用い
る閾値以下の係数の個数が、マスク全体の係数の個数に
おいて占める割合を、埋め込み充填率と呼ぶことにす
る。
【0297】8ビットの付加情報「Inf」を整数回正し
く埋め込むには、図15のマスク1501内においてど
の係数を埋め込み参照位置に用いるかを決定する為の閾
値は、8或いは16である必要が有る。この閾値は、耐
性及び画質への影響を考慮して最適なものが決定され
る。
【0298】ここで、マスクの閾値を8とした場合に
は、埋め込み充填率は50%となる。即ち、上記マスク
と照らし合わされる元の画像データのうち50%が、図
9のパターン配列を用いた処理の対象になる。
【0299】各ビット情報とマスク内の係数の対応関係
の一例を表1に示す。
【0300】
【表1】 ここで、S1〜S5まではオフセット合わせ処理装置で用
いる位置合わせの為のビット情報(スタートビット)で
ある。1〜3は3ビットの利用情報である。
【0301】対応表1の対応に従うと、図16の160
1で表現された係数(0〜7)の位置に相当する入力画
像データの画素の位置に各ビット情報がパターン(図9
参照)を用いて埋め込まれる。埋め込むビット情報の順
序とマスク内の係数値の対応関係は鍵情報の一部であ
り、この対応関係を知ることなしに各ビット情報の抽出
を行なうことはできない。本実施の形態例では説明を簡
単にする為、対応表1の様に0から閾値までの係数値に
順にS1〜S5と利用情報の3ビットを対応させることと
する。
【0302】次に、実際に32×32のサイズのコーン
マスクを用いて埋めこむ場合の充填率についても少し述
べておく。なお、処理の手順はマスク1501を用いた
場合と同じである。
【0303】まず最初に、埋め込み時の画質の劣化等を
考慮し、付加情報「Inf」の埋め込みを整数回正しく行
なう為に必要な閾値を決定する。
【0304】更に、付加情報「Inf」を構成する各ビッ
トが等しい繰り返し数で埋め込まれる様にする為、閾値
以下の係数の数を付加情報「Inf」を構成するビット数N
で割り、1つのマスクサイズで各ビットを何回埋め込め
るかを決定する。
【0305】例えば、0〜255までの係数値に相当す
る元の画像データに、上述した一例のスタートビット5
ビットと利用情報64ビットからなる、69ビットの付
加情報「Inf」を埋めこむ場合には、例えば閾値を13
7に設定する。
【0306】この場合、マスク内の有効な係数値の数は
138個となる。1つの付加情報「Inf」を表すのに必
要なビット数は69個であるから、1つのマスクサイズ
においては各ビット情報は138/69=2回ずつ埋め
込むことができる。
【0307】なお、コーンマスクを用いて埋め込み位置
を決定する時に、ある閾値以下の係数値を持つ全ての点
に対して埋め込みを行なう理由は、空間周波数の低周波
成分にピークが立たないというコーンマスクの特性を生
かす為である。
【0308】上述した様に埋め込み位置を決定した結
果、埋め込み充填率50%、 埋め込み情報量69ビッ
トとなる場合には、付加情報「Inf」を構成する各ビッ
ト情報とコーンマスクを構成する各係数値との関係は表
2の様になる。
【0309】
【表2】 ここでS1〜S5はスタートビットであり、オフセット
合わせ処理装置で用いる位置合わせの為のビット情報で
ある。1〜64は利用情報である。
【0310】ただし本発明はこの対応関係に限らず、0
から閾値(又は閾値から255)までの係数の位置の全
てに、図9のパターンを使用して各ビット情報を順に埋
め込むならば、各ビット情報と各係数値との対応関係は
別のものであっても良い。
【0311】32×32のコーンマスクの場合には、1
つのマスク内に同じ係数を持つ位置が夫々4個存在す
る。
【0312】全ての係数に上記対応表2に基づいて、元
の画像データに各ビット情報を埋め込む場合、32×3
2,64×64等の大きいサイズのコーンマスクなら
ば、付加情報「Inf」を構成する各ビット情報はほぼ等
しい回数埋め込まれる。また、元の画像データにおいて
同一のビット情報が拡散して埋め込まれる。
【0313】パッチワーク法では、従来ランダム的に埋
め込み位置を選んでいたが、本実施の形態例では、上記
コーンマスクを参照することにより同様の効果を得る事
ができ、更に画質劣化も少ない。
【0314】以上の結果、マスク参照手段1102で
は、各ビット情報に対応する埋め込み位置の座標(x,y)
を得る。配列S[bit][num]=(x,y) でその情報を表現す
ると、bitは対応表1の場合、スタートビットS1〜S
5と利用情報1〜3ビットを表す。またnumはコーンマ
スク内で繰り返し表れる各係数に付けられる順序であ
る。(x,y)にはマスク内での相対座標が収められる。
【0315】以上の操作をマスク参照手段1102で行
なう。
【0316】<3−3−3 マスク・パターン配列対応
手段>マスク参照手段1102で得られた各ビット情報
のコーンマスク内での埋め込み位置は、マスク・パター
ン配列対応手段1103に入力される。
【0317】マスク参照手段1102で決定した埋め込
み位置は夫々のビット情報のパターンの位置(8×8画
素分)であるので、パッチワーク法では更に図9に示さ
れる加算領域(+c)と減算領域(−c)とそれ以外
(0)とを割り当てる必要がある。この為、マスク参照
手段1102で参照したコーンマスクの全ての位置に図
9に相当する8×8サイズのパターン配列を展開する操
作をマスク・パターン配列対応手段1103で行なう。
【0318】具体的にはマスク参照手段1102で得ら
れた配列S[bit][num]=(x,y)の座標に対して、x座標に
はパターン配列の横方向のサイズを掛け、y座標にはパ
ターン配列の縦方向のサイズを掛ける操作を行なう。そ
の結果、図17のマスク内の座標1701は、マスク内
の1画素が1パターン配列に拡大された先頭座標170
2となる。
【0319】この先頭座標から図19に示されるパター
ン配列を用いると、パターン配列の大きさを持つ領域1
703に重なり合わず埋め込みを行なうことが可能にな
る。
【0320】座標(x,y)は座標(x',y')に変化するが、配
列S[bit][num]のbitとnumは変化しない。従って、配列S
[bit][num]のbitに相当する付加情報「Inf」を(x',y')
をパターン配列を埋め込む先頭位置とし、複数のビット
情報の埋め込みが可能になる。
【0321】なお、マスク・パターン配列対応手段11
03によりコーンマスクの各係数が、8×8のパターン
配列に展開(拡大)された大きなマスクを、拡大マスク
と呼ぶ。
【0322】上記拡大マスクのサイズは、(32×8)
×(32×8)サイズとなり、このサイズが付加情報
「Inf」を少なくとも1つ埋め込む為に必要な最低限の
画像単位(マクロブロックとする)となる。
【0323】なお、本実施の形態例では、パターン配列
決定手段0110でも述べた様に、パターン配列の大き
さは、8×8に限るものではない。本発明においてパタ
ーン配列及びパッチの大きさは、パターン配列決定手段
0103で、画像の解像度或いはプリンタの出力解像度
に応じて選択決定(最適化)される。パターン配列の大
きさが8×8でない場合でもマスク・パターン配列対応
手段1103は、同様の手段を用いて、付加情報「In
f」の埋め込み位置を決定することが可能である。
【0324】以上がマスク・パターン配列対応手段11
03で行われる操作である。
【0325】一般的に小さなマスクは大きなマスクより
作成時にドットの配置位置に自由度が少なく、コーンマ
スクの様な所望の特性を持つマスクの作成が難しい。例
えば小さなマスクを画像データの全体に繰り返し割り当
てることで付加情報「Inf」を埋め込む場合には、小さ
なマスクの持つ空間周波数が画像データ全体に出現す
る。
【0326】その一方で、一つのマスクからは完結した
付加情報「Inf」が抽出されるので、マスクのサイズを
大きく設定することによって、切り抜き耐性(部分的な
画像データ「wI'」から付加情報「Inf」を抽出できる可
能性)は小さくなってしまう。ゆえに、上記切り抜き耐
性と画質劣化のバランスを考慮し、マスクのサイズを決
定する必要がある。
【0327】以上が図1の埋め込み位置決定手段010
3で行われる処理である。
【0328】<3−4 付加情報埋め込み処理の説明>
以上の様にして決定された、画像データへの各ビット情
報の埋め込み位置を参照して、図1の付加情報埋め込み
手段0104は実際に付加情報「Inf」を埋め込む。
【0329】図10に付加情報「Inf」を繰り返して埋
め込む処理の動作の流れを示す。図10に示す方式で
は、画像全体に割り当て可能なマクロブロックを複数個
割り当て、更に、これら全マクロブロックに対してまず
1ビット目のビット情報を繰り返して埋め込み、続いて
2ビット目、3ビット目…という様に繰り返して埋め込
む。
【0330】これは未だ埋め込み処理が行われていない
ビット情報が有れば、未処理のマクロブロックの全てに
1001〜1003の埋め込み処理を施す手順により構
成されている。しかしながら、本発明はこの順序に限ら
ず2つのループ処理の内外関係を逆にしても良い。
【0331】即ち、未処理のマクロブロックが有れば、
これに対して未だ埋め込んでいないビット情報を全て埋
め込む手順に変更しても良い。
【0332】具体的には付加情報「Inf」の埋め込み
は、埋め込まれる各ビット情報が“1”の場合には図9
のパターン配列を加える。また埋め込むビットが“0”
の場合には図9のパターン配列を減ずる、即ち図9の正
負符号を反転したものを加算する。
【0333】上記加減算の処理は、図10における切り
替え手段1001を、埋め込むビット情報に応じて切り
替え制御することによって実現される。即ち、埋め込ま
れるビット情報が“1”の時は加算手段1002に接続
し、上記ビット情報が“0”の時は減算手段1003に
接続する。これら1001〜1003の処理はビット情
報とパターン配列の情報を参照しながら行われる。ここ
で上記ビット情報の1つが埋め込まれる様子を図19に
示す。同図では埋め込まれるビット情報が“1”、即ち
パターン配列を加える場合の例を示す。図19に示す例
では、I(x,y)が元の画像、P(x,y)が8×8のパターン配
列である。
【0334】8×8のパターン配列を構成する各係数
は、このパターン配列と同じサイズの元の画像データ
(青色成分)に重ね合わせられ、同位置の値同志が加減
算される。その結果、I'(x,y)が算出され、ビット情報
が埋め込まれた青色成分の画像データとして図1の色成
分合成手段0105へ出力される。
【0335】上述した8×8のパターン配列を用いた加
減算処理を、上記対応表2で決定された埋め込み位置
(各ビット情報を埋め込む為のパターン配列を割り当て
た位置)の全てに対して繰り返し行なう。
【0336】なお、本実施の形態例では、パターン配列
決定手段0110の説明において述べた様に、パターン
配列の大きさは、8×8に限るものではない。本発明に
おいてパターン配列及びパッチの大きさは、パターン配
列決定手段0110で、画像の解像度或いはプリンタの
出力解像度に応じて選択決定(最適化)される。パター
ン配列の大きさが8×8でない場合でも付加情報埋め込
み手段0104は、同様の手段を用いて、付加情報「In
f」を埋め込むことがが可能である。
【0337】次に、図10の内部のループ処理が行われ
る様子を図18に示す。図18では、各ビット情報を繰
り返し埋め込む為に、画像データ全体1801(180
3)全体に、マクロブロック1802を左上から右下ま
でラスタ順に繰り返し割り当てて埋め込み(図10の1
001〜1003)を行なう。
【0338】付加情報埋め込み手段0104により以上
の操作が行われ、付加情報「Inf」が画像全体に埋め込
まれる。
【0339】以上の処理により、画像データ中に付加情
報「Inf」が埋め込まれる。この付加情報「Inf」が埋め
込まれた画像データの各画素が、十分少ないドット数で
表現されるのであれば、パターン配列の大きさも十分小
さくなるので、これらパターン配列の1つ1つ非常に小
さい点でしか人間の目には知覚されない。よって、コー
ンマスクの空間周波数特性も維持され、人間の目に見え
にくい。
【0340】<3−5 ファイルの圧縮と伸張処理の説
明>本実施の形態例では、付加情報埋め込み手段010
4で付加情報が埋め込まれた後、ファイルの圧縮・メモ
リ格納・ファイルの伸張が行われる。ここでは、電子透
かしが埋め込まれた画像に対する圧縮を考慮した電子透
かしの埋め込み設計法について述べる。
【0341】<3−5−1 JPEG圧縮符号化>図3
9は視覚の色度空間周波数特性を示した図である。それ
ぞれの曲線は、白−黒(単色)と、等輝度の反対の色対で
ある赤−緑、或いは黄−青からなる空間正弦波パターン
を用い、その空間正弦波パターンの周期及びコントラス
トを変化させた時の上記パターンが人の目で認識できる
限界を測定することで得られる。
【0342】図39において、白−黒(明暗の情報)
は、約3[cycle/deg]で感度が最大になるが、色度(赤
−緑及び黄−青)は約0.3[cycle/deg]で感度が最大
になる。このことから、明暗の情報は画像の解像度など
細かな部分の識別に敏感で、色度は空間的に広い(空間
周波数が低い)部分の見え方に影響を与えることが分か
る。
【0343】また、黄−青のパターンは赤−緑のパター
ンよりも細かな空間情報の識別に関与していないことも
分かる。
【0344】以上から、輝度成分しか持たないグレイス
ケール画像をそのまま変調して電子透かし情報を埋め込
む方法は、カラー画像データの色成分に電子透かし情報
を埋め込む方法に比べて、画質の劣化が目立ちやすいこ
とが分かる。また、RGBからなるカラー画像データに
対しては青色成分(B)へ電子透かし情報を埋め込む方
法が最も人間の目に目立たないといえる。
【0345】なお、色成分へ電子透かし情報を埋め込む
為に色成分に変化を与えた際、空間的に広い領域(空間
周波数が低い状態)で人間が目視すると色ムラとして目
立つが、空間的に狭い領域(空間周波数が高い状態)で
人間が目視すると、輝度に電子透かし情報を埋め込む場
合よりは目立ちにくくなる。
【0346】本実施の形態例では、1画素に1種類の要
素しか持たないグレイスケール画像には、1画素に複数
の要素を持つカラー画像データへの変換を施してから電
子透かし情報(付加情報「Inf」等)の埋め込みを行な
うので、通常のグレイスケールのまま電子透かし情報を
埋め込む場合よりも画質の劣化を防ぐ効果が有る。
【0347】グレイスケールの画像データに電子透かし
情報を埋め込む場合とカラー画像データを構成する複数
種類の要素のうちの1種類にのみ電子透かし情報を埋め
込む場合とを比較すると、高解像度で画像出力を行なう
場合(1つの画素の値を少ないインクドットで階調表現
する場合等)には、後者の方が画質を良好に維持でき
る。
【0348】しかしながら、出力されるカラー画像デー
タ(ファイルサイズ)は、単純に考えると元の画像デー
タの約3倍になってしまうというデメリットもある。
【0349】そこで本実施の形態例では、ファイルサイ
ズをできるだけ抑える為に、JPEG圧縮符号化手段0
106において、電子透かし情報が埋め込まれた画像デ
ータに、更にJPEG圧縮符号化を施す。
【0350】一般的にJPEG圧縮符号化は、人間の視
覚特性を利用し、人間の視覚が敏感でない成分を除去す
ることでデータ量を縮小する技術である。一方の電子透
かし技術は、人間の視覚が敏感でない成分に情報を埋め
込む技術である。よって、JPEG圧縮符号化と電子透
かし技術とは共存しにくい技術であり、JPEG圧縮符
号化は一種の電子透かし情報への攻撃と考えられてい
る。
【0351】以下にJPEG圧縮符号化への耐性を持た
せる方法について簡単に説明する。本実施の形態例で用
いる図9の様なパターン配列は、色差成分へのサブサン
プリングや量子化処理により、既にカラー画像データ中
に埋め込まれている付加情報が失われない様に設定され
ている。
【0352】まず、JPEG圧縮符号化方式について簡
単に説明する。
【0353】JPEG圧縮符号化装置0106に入力さ
れるカラー画像データは、輝度(Y)と色差(Cr,Cb)
に変換される。元の赤色成分(R)、緑色成分(G)、青
色成分(B)から構成されるカラー画像データが入力さ
れた場合には、 Y = 0.29900×R+0.58700×G+
0.11400×B Cr= 0.50000×R−0.41869×G−
0.08131×B Cb=−0.16874×R−0.33126×G+
0.50000×B の式を用いて、元のカラー画像データを輝度(Y)と色
差(Cr,Cb)から構成される別のカラー画像データ
にフォーマット変換する。
【0354】輝度成分と色差成分に分解された画像デー
タは、画像左上からラスタ順に図40に示される8×8
画素のブロックに分割される。JPEG圧縮符号化では
この8×8ブロック毎に圧縮符号化の処理を繰り返し行
なう。
【0355】次に、JPEG圧縮符号化の色成分のサン
プリング処理について述べる。JPEG圧縮符号化では
8×8画素毎にサンプリングオプションのサンプリング
比に従い、色差成分のサンプリングが行われる。
【0356】図41は画像データのサンプリングの様子
を示したものである。以下、JPEG圧縮符号化におけ
る4:2:2のサンプリングの手順を示す。
【0357】4101は4×4画素の輝度成分を示して
いる。輝度成分に対しては、視覚的に重要な情報が多い
ので、間引き処理は行なわれず、4×4画素はそのまま
出力される。
【0358】4103は4×4画素の色差成分(Cr,
Cb)を示している。色度成分に対しては、、それほど視
覚的に敏感でないので、水平、又は垂直方向の2画素に対
して1画素の間引きが行われる。その結果、4×4画素
の色差成分(Cr,Cb)は4×2画素4104に変換
される。以上のサンプリングを行なうと8×8画素の色
差成分は8×4画素に減少する。
【0359】従って、4:2:2のサンプリングの結
果、8×8画素分の輝度成分Y、色差成分Cr、色差成
分Cbは、各々、8×8画素、8×4画素、8×4画素
になる。上記サンプリングされた各画素には公知の手順
で、DCT(離散コサイン変換)演算、量子化、ジグザグ
スキャン、ハフマン符号化等が行われる。
【0360】また、人間の視覚特性は高周波数成分にそ
れほど敏感でないことを利用し、DCT係数の高周波成
分への量子化ステップ数を少なくすることで効率良く圧
縮される。また、輝度より色差成分の方が全体的に量子
化ステップ数が少なくなる様に量子化が施される。
【0361】以上の圧縮符号化処理に耐性を有するパタ
ーン配列について考察する。
【0362】図42に、上述した図9のパターン配列を
再度示す。図42において、+cの正の要素を持つ領域
4201を正のパッチ、−cの負の要素を持つ領域42
02を負のパッチと呼ぶこととする。このとき、各パッ
チは図40で示された8×8画素からなる最小符号化単
位4001において、低周波成分に情報を偏らせること
で、JPEG圧縮耐性を強めることができる。ただし、
本発明はこれに限らず、最小符号化単位を16×16画
素として各種設定を行っても良い。
【0363】また、4:1:1(色差成分を縦、横方向
に1画素おきに間引く)、4:2:2(色差成分を縦、
または横方向に1画素おきに間引く)サンプリングを行
なう場合には、各パッチをサンプリングに応じて縦かつ
/又は横方向に2画素の整数倍の幅を持たせたサイズに
すると、サンプリングに対する耐性を強めることができ
る。
【0364】即ち、 (1)各パッチは最小符号化単位(8×8画素)で低周
波に偏ったものを用いる。 (2)各パッチのサイズは、サンプリング方法に応じ
て、縦かつ/又は横方向へ2×N(Nは整数)画素とす
る。
【0365】なお、JPEG圧縮符号化が施される各領
域(8×8画素)において、各パッチが低周波成分を有
する為には、パターン配列を割り当てる画像上の位置、
及びパターン配列の各サイズ(図9では8×8画素)
が、符号化が施される各領域と同期することが好まし
い。
【0366】即ち、 (3)パターン配列のサイズ、埋め込み位置をJPEG
圧縮符号化が施される単位サイズと同期させる。
【0367】以上の条件を考慮して、例えば図9の様な
パターン配列を用いて付加情報「Inf」を埋め込む様に
すれば、JPEG圧縮符号化後であっても電子透かし情
報(付加情報「Inf」)を画像データに残留させること
ができ、JPEG圧縮符号化に対して耐性を有すると言
える。
【0368】なお本発明は、色成分抽出手段0101に
おいて、グレイスケール(単色)画像を直接Y(輝度)
Cr、Cb(色差)成分に変換し、この内のCb成分の
みに付加情報「Inf」等を電子透かしとして埋め込む変
調を行なう場合も範疇に含む。この場合には、JPEG
圧縮符号化手段にて輝度、色差成分への変換を行なわな
くて済み、処理工程が少なくなる。
【0369】また、色成分抽出手段0101にて、グレ
イスケール(単色)画像を、後段で印刷する際に適した
Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K
(黒)成分に直接変換し、この内のY成分のみに電子透
かしとして付加情報「Inf」等を埋め込む変調を行なう
場合も範疇に含む。この場合には、印刷手段の直前で色
成分を変換する工程を省略できる。
【0370】即ち本発明は、上記埋め込みを行なう為の
成分が青色成分、Cb成分、Y成分に限らず、1画素を
構成する全ての成分における一部の成分に付加情報「In
f」等を埋め込む場合を範疇に含む。
【0371】<3−5−2 メモリ格納>上記JPEG
圧縮符号化により得られた符号化データは、メモリに一
旦格納される。この符号化データは、外部機器への送
信、或いは図1の装置の後段に接続するプリンタの印刷
のタイミングに合わせて、上記メモリからJPEG伸長
復号化手段0108へ読み出される。
【0372】なお、本実施の形態例の様にグレイスケー
ルの画像データを一旦カラー画像データに変換し、青色
成分に変調を加え、更に輝度、色差成分からなるカラー
画像データに変換してJPEG圧縮した場合の符号化デ
ータは、元のグレイスケールの画像をそのまま輝度、色
差成分からなるカラー画像データに変換してJPEG圧
縮符号化した場合の符号化データ量と比較して、色差成
分に多少のデータ増加が生じるものの、メモリ容量の大
幅な増加には繋がらないという効果が有る。
【0373】即ち、電子透かし情報が元の画像データに
埋め込まれた後に、JPEG圧縮符号化が施されること
を前提に考えれば、本実施の形態例の様なグレイスケー
ルの画像データへの電子透かし情報(付加情報「Inf」
等)の埋め込み方法は、通常のグレイスケールの画像デ
ータをそのまま変調して電子透かし情報を埋め込む方法
と比較して、全体的なデータ量をそれ程大きくせずに画
質の向上が計れるという利点が有る。
【0374】<3−5−3 JPEG伸長復号化>JP
EG伸長復号化手段0108は、外部機器への送信、或
いはプリンタ0109による印刷のタイミングに合わせ
て、メモリ0107から符号化データを読み出し、上記
圧縮の方式の逆の手順を用いてカラー画像データを復号
化する。
【0375】<3−6 レジストレーション処理の説明
>次に、電子透かし抽出装置側に備えられる、図2にお
けるレジストレーション手段0203について詳細を説
明する。
【0376】レジストレーション手段0203とは、付
加情報抽出手段0204の前段に位置する手段であり、
付加情報「Inf」抽出処理の前処理である。レジストレ
ーション手段0203には、前段の色成分抽出手段02
02により抽出された青色成分の画像が入力される。
【0377】レジストレーション手段0203では、電
子透かし埋め込み装置から出力された画像データ「wI」
と、電子透かし抽出装置に入力された画像データ「w
I'」のスケールの違いが補正される。
【0378】レジストレーション手段0203の詳細を
図7に示す。図7に示す様に、レジストレーション手段
0203は、ブロック分割手段0701、フーリエ変換
手段0702、インパルス抽出手段0703、スケーリ
ング率算出手段0704、スケーリング手段0705か
ら構成される。
【0379】ブロック分割手段0701では、上述した
レジストレーション信号埋め込み手段0102(ブロッ
ク分割手段0401)と同様のブロック分割処理が行わ
れる。この処理によって、一般的にはレジストレーショ
ン信号埋め込み手段0102(ブロック分割手段040
1)と同様のブロックを抽出することは困難である。こ
れは電子透かし情報が埋め込まれた画像データ「wI」が
印刷系の処理を施されることによって、大きさが変化
し、更に位置がずれることによるものである。
【0380】しかし、このブロックの抽出はある程度違
っていても問題はない。これは、電子透かし埋め込み装
置において、レジストレーション信号が画像データのう
ち振幅スペクトルに埋め込まれているからである。振幅
スペクトルは、画像データの空間領域における位置ずれ
には影響されないという性質がある。よって、電子透か
し埋め込み装置と電子透かし抽出装置の夫々において、
各々のブロック分割手段により分割されたブロックが、
空間領域で多少の位置ずれが生じていても問題はない。
【0381】ブロック分割手段0701はブロック分割
した画像データをフーリエ変換手段0702に出力す
る。フーリエ変換手段0702は上述したレジストレー
ション信号埋め込み手段0102の場合と同様に、空間
領域の画像データを周波数領域の画像データに変換す
る。フーリエ変換された周波数領域の画像データは振幅
スペクトルと位相スペクトルによって表現される。この
うち振幅スペクトルだけがインパルス抽出手段0703
に入力される。一方で、位相スペクトルは破棄される。
【0382】周波数領域に変換された画像データはイン
パルス抽出手段0703に入力される。インパルス抽出
手段0703では、周波数領域に変換された画像データ
からインパルス性の信号だけを抽出する。即ち、既に画
像データに埋め込まれている図5の0502,0503,
0504,0505を抽出する。
【0383】これは公知の画像処理技術を用いて行なう
ことが可能である。例えば、周波数領域に変換された画
像データを閾値処理することで実現できる。この例を図
8(a)に示す。図8(a)にはインパルス抽出手段0703
に入力された振幅スペクトル0801を閾値0802に
よって閾値処理する様子を示す。なお説明の為、図8に
おいて変換された画像データを1次元で表現した。適当
な閾値0802を選択することによってインパルス信号
を抽出することが可能である。しかしながら、低域に存
在するインパルス信号と同じ程度の大きさを持つ様な本
来の画像データも同時に抽出してしまう。
【0384】この問題を解決した本実施の形態例の方式
を図8(b)に示す。周波数領域に変換された画像データ
0801に対して2次微分処理を施す。これはラプラシ
アンフィルタ等を施すことに等しい。周波数領域に変換
された画像データ0801に対して2次微分を施したも
のを0803に示す。このデータ0803に対して適当
な閾値0804を選択し閾値処理を施すことによって、
インパルス信号を抽出可能である。
【0385】このインパルス信号の抽出に関してもう少
し詳細な原理を図26を用いて説明する。なお、この図
では上述したレジストレーション信号埋め込み側の処理
も記載している。
【0386】レジストレーション信号埋め込み手段01
02においては、空間領域の画像データ2601が周波
数領域に変換され画像データ2602となり、周波数領
域においてインパルス信号2603が加えられる。
【0387】インパルス信号(レジストレーション信
号)2603が加えられた周波数領域の画像データは、
逆周波数変換されることによって空間領域の信号260
1’へ再び戻る。再び空間領域へ戻された画像データ2
601’にはインパルス信号が付加された影響があるは
ずであるが、人間の目には知覚しにくく、実質的には画
像データ2601と画像データ2601’は同一物に見
える。これは、周波数領域で加えられたインパルス信号
2603が逆フーリエ変換によって、画像データ全体に
小さな振幅で分布するからである。
【0388】図26の2603の様なインパルス信号が
加えられた場合は、ある一定の周波数成分を持つ画像デ
ータが空間領域に加えられたことに等しくなる。この加
えられたインパルス信号が人間の知覚できる周波数より
も大きく、更に振幅が人間の知覚できる限度以下である
ならば、加えられたインパルス信号は人間の目には見え
ない。よって、上記レジストレーション信号の埋め込み
自体も一種の電子透かし処理であると言える。
【0389】なお、本実施の形態例では画像データ26
01にレジストレーション信号2603が埋め込まれ、
更に実際に埋め込むべき付加情報「Inf」が埋め込まれ
た後、空間領域の信号2601’を復元する。
【0390】図26の様に埋め込まれたレジストレーシ
ョン信号は、抽出の際に再びフーリエ変換が施される。
これによって、空間領域では一度画像データ全体に拡散
されたレジストレーション信号2603が、周波数領域
に変換され再びインパルス信号として現れる。
【0391】電子透かし情報が埋め込まれた画像がJPEG
圧縮等の非可逆圧縮などの攻撃を受けた場合、このイン
パルスは振幅が小さくなる可能性が高い。一方で、スケ
ーリングなどの幾何的な攻撃を受けた場合、このインパ
ルスはその位置が移動する。いずれの場合も上述した様
な適当なインパルス抽出処理を施すことによって、イン
パルス信号は抽出可能であり、元の画像データからの変
化を推測できる。この変化を補正すれば本実施の形態例
で埋め込まれる付加情報「Inf」を確実に抽出できる状
態を作り出せる。
【0392】以上の処理により、図7のインパルス抽出
手段0703からは上述したインパルス信号が出力さ
れ、スケーリング率算出手段0704に入力される。ス
ケーリング率算出手段0704は、入力されたインパル
ス信号の座標を用いてどの様なスケーリングが施された
かを算出する。
【0393】本実施の形態例の電子透かし抽出装置側で
は、予めどの周波数成分にインパルス信号を埋め込んだ
かを知っているものとする。この場合には、この予め埋
め込まれた周波数と、インパルスが検出された周波数の
比によりスケーリング率を算出することが可能である。
【0394】例えば、予めインパルス信号が埋め込まれ
た周波数をa、検出されたインパルス信号の周波数をbと
すると、a/b倍のスケーリングが施されていることが分
かる。これは良く知られたフーリエ変換の性質である。
以上の処理により、スケーリング率算出手段0704か
らはスケーリング率が出力される。
【0395】しかしながら本発明はこれに限らず、電子
透かし埋め込み装置側から必要に応じてレジストレーシ
ョン信号を埋め込んだ位置(周波数)の情報を受信する
様にしても良い。例えばこの位置情報は暗号化信号とし
て受信し、上記スケーリング率の算出処理を行なう形態
も本発明の範疇に含まれる。こうすることによって、付
加情報「Inf」を正しく抽出できるのはレジストレーシ
ョン信号を知っている人だけとなる。この場合、レジス
トレーション信号を付加情報「Inf」を抽出する為の鍵
として使用できる。
【0396】スケーリング率算出手段0704から出力
されたスケーリング率は、スケーリング手段0705に
入力される。スケーリング手段0705には画像データ
「wI1'」も入力され、画像データ「wI1'」は入力された
スケーリング率によってスケーリング処理が施される。
【0397】スケーリング処理はバイリニア補間やバイ
キュービック補間など種々のものが適応可能である。そ
して、スケーリング手段0705からはスケーリング処
理が施された画像データ「wI2'」が出力される。
【0398】なお、本実施の形態例では、スケーリング
率算出手段0704は、もう一つの目的のために、図1
のパターン配列算出手段0204に、スケーリング率を
出力する。
【0399】一つは既に述べたように、画像データ「wI
1'」をスケーリング処理により画像データ「wI2'」にス
ケーリング処理するためであるが、もう一つは、図2の
パターン配列算出手段0204において、この出力され
たスケーリング率を元に埋め込みに用いたパターン配列
を判定するためである。
【0400】<3−7 付加情報抽出処理の説明>次
に、図1の付加情報埋め込み手段0103で付加情報
「Inf」が埋め込まれた画像データ「wI'」の青色成分か
らこの付加情報「Inf」を抽出する図2の付加情報抽出
手段0204の動作について述べる。
【0401】この付加情報「Inf」の抽出処理の一連の
流れを図20に示す。
【0402】図20に示す様に、図2のレジストレーシ
ョン処理0202からスケーリング率がパターン配列判
定手段2001に入力され、埋め込みに用いたパターン
配列が判定される。
【0403】<3−7−1 パターン配列判定手段>ス
ケーリング処理された画像データ「wI2'」は、付加情報
抽出手段0204の内部に入力される。このとき、図1
のパターン配列決定手段0110において、パターン配
列が画像の解像度とプリンタの出力解像度に応じて決め
られた場合、画像の解像度とプリンタの出力解像度を知
ること無しには、埋め込みに用いたパターン配列を判断
することが出来ない。埋め込みに用いたパターン配列が
分からない場合は、付加情報「Inf」の抽出を行なうこ
とはできない。
【0404】本実施の形態例では、パターン配列判定手
段2001において、レジストレーション手段0202
から入力されるスケーリング率から、付加情報「Inf」
を埋め込んだ場合のパターン配列を判定する。
【0405】印刷物「pwI’」をスキャンしたときのス
キャナの入力解像度は固定で、プリンタの出力解像度は
分かっているものとし、スケーリング率からパターン配
列を判定する手段について述べる。
【0406】印刷物「pwI'」を図2のスキャナ0201
で600ppiの入力解像度でスキャンを行ない、画像
データ「wI'」が得られる。このときプリンタの出力解
像度は1200dpi、スキャナの入力解像度は600
ppiであるとする。
【0407】画像データ「wI'」は色成分抽出手段02
02に入力され、色成分が抽出され画像データ「wI1'」
が出力される。この画像データ「wI1'」はレジストレー
ション手段0203に入力され、レジストレーション手
段0202の内部のスケーリング率算出手段0704か
ら、スケーリング率及びスケーリング済み画像データ
「wI2'」が付加情報抽出手段0204に出力される。
【0408】付加情報抽出手段0204に入力されたス
ケーリング率はパターン配列判定手段2001に入力さ
れる。
【0409】例として、スケーリング率0.80を持つ
電子透かしが埋め込まれた画像データ「wI'」について
考えてみる。
【0410】スケーリング率及びスキャナの入力解像度
から、画像は(600ppi×0.80=480pp
i)の画像の解像度でプリンタから出力されていたこと
が分かる。
【0411】今、画像の解像度500ppiを閾値と
し、500ppi未満では、パターン配列は図49の4
901(8×8のパターン配列)で埋め込みを行ない、
500ppi以上では、パターン配列は図49の490
3(12×12のパターン配列)で埋め込みを行なう対
応関係を階調変換を考慮して規定した場合には、スケー
リング率0.80を持つ電子透かしが埋め込まれた画像
データ「wI'」は、図49のパターン配列4901(8
×8のパターン配列)を用いて埋め込みが行われたこと
が分かる。
【0412】以上の様にして、パターン配列判定手段2
001ではスケーリング率から付加情報「Inf」の埋め
込みに用いたパターン配列を判定し、後段の埋め込み位
置決定手段2002に出力する。
【0413】なお、図49のパターン配列4901に対
応する直交するパターン配列4902及び、パターン配
列4903に対応する直交するパターン配列4904
は、図20の第2のパターン配列による抽出手段200
5において用いられる。直交するパターン配列について
は、後に詳しく説明する。
【0414】<3−7−2 埋め込み位置決定処理>次
に、埋め込み位置決定手段2002において、画像デー
タ「wI2'」(青色成分)中のどの領域から付加情報「In
f」を抽出するかを決定する。この埋め込み位置決定手
段2002によってなされる動作は、前述した埋め込み
位置決定手段0103と同じであり、その為、0103
と2002によって決定される領域は同一のものとな
る。
【0415】決定された領域から、前述した対応表2を
用い、更に図9に示されるパターン配列を用いて付加情
報「Inf」が抽出される。ここで、付加情報「Inf」の抽
出は、決定された領域に対してパターン配列を畳み込む
ことによって実現される。
【0416】なお、パターン配列を、画像の出力解像度
に応じて可変にしてある場合には、図20のパターン配
列判定手段2001から入力されるパターン配列を、付
加情報「Inf」の抽出に用いることとする。以降は、図
20のパターン配列判定手段2001から入力されるパ
ターン配列が8×8であった場合についてのみ説明を行
なうが、その他のパターン配列の場合でも、同様の操作
を行なう。
【0417】<3−7−3 信頼度距離演算手段>信頼
度距離dは埋め込んだ情報を抽出する際に必要となる計
算値である。各ビット情報に対応する信頼度距離dを求
める方法を図6に示す。
【0418】まず始めに、図6の畳み込み演算手段06
01で行なう処理を図21及び図22を用いて説明す
る。図21及び図22に、本実施の形態例における付加
情報「Inf」を構成する1ビットの情報を抽出する例を
示す。
【0419】図21は本実施の形態例における付加情報
「Inf」を構成するある1ビット情報が埋め込まれた画
像データ(青色成分)I''(x,y)に対してこの1ビット情
報の抽出処理を行った例、そして図22は本実施の形態
例における上記1ビット情報が埋め込まれていない画像
データI''(x,y)に対して1ビット情報の抽出処理を行な
おうとした例である。
【0420】図21において、I''(x,y)が1ビット情報
が埋め込まれた画像データ、P(x,y)が畳み込み処理に用
いられる8×8のパターン配列(付加情報「Inf」抽出
用のパターン配列)である。この8×8のパターン配列
を構成する各要素(0,±c)は、入力画像データI''
(x,y)の同位置に配置されている画素値に積算され、更
に各積算値の和が算出される。即ち、I''(x,y)に対して
P(x,y)が畳み込まれる。
【0421】ここで、I''(x,y)は、画像データI'(x,y)
が攻撃を受けた場合の画像を含んだ表現である。攻撃を
受けていない場合には、I''(x,y)=I'(x,y)である。I''
(x,y)に1ビット情報が埋め込まれている画像である場
合には、畳み込みの結果、図21に示す様に非零の値が
得られる可能性が非常に高い。特にI''(x,y)=I'(x,y)の
時には畳み込みの結果は32c2となる。
【0422】なお、本実施の形態例では、埋め込みに用
いるパターン配列と抽出に用いるパターン配列は同様の
ものを用いている。しかしながら、これは本発明におい
て限定されるものではない。一般的には、埋め込みに用
いるパターン配列をP(x,y)、抽出に用いるパターン配列
をP'(x,y)とした場合には、[P'(x,y)=aP(x,y)]という
関係に変形できる。ここでaは任意の実数であり、本実
施の形態例では、簡単の為、a=1の場合について説明す
る。
【0423】一方、図22に示す例では、上述の演算と
同様の演算が1ビット情報が埋め込まれていない画像デ
ータI''(x,y)に対して施されている。原画像(画像デー
タIに相当)からは畳み込み演算の結果、図22に示す
様に零の値が得られる。
【0424】以上、図21及び図22を用いて1ビット
情報の抽出方法を説明した。しかし、以上の説明は、付
加情報「Inf」が埋め込まれる対象の画像データIにおい
て畳み込み演算の結果が0である場合であり、非常に理
想的な場合である。一方で、実際の画像データIの8×
8のパターン配列に相当する領域においては畳み込み演
算の結果が0であることはなかなか少ない。
【0425】即ち、原画像(画像データI)における8
×8のパターン配列に相当する領域について、図9のパ
ターン配列(コーンマスクも配置情報として参照)を用
いて畳み込み演算を行った場合、理想と異なり、非零の
値が算出されることもある。逆に、付加情報「Inf」が
埋め込まれた画像(画像データ「wI」)における8×8
のパターン配列に相当する領域について、同じく畳み込
み演算を行った結果が“32c2“でなく“0”になっ
てしまうこともある。
【0426】しかしながら、付加情報「Inf」を構成す
るビット情報の夫々は、通常、元の画像データに複数回
埋め込まれている。即ち付加情報「Inf」が画像に複数
回埋め込まれている。よって畳み込み演算手段0601
は、付加情報「Inf」を構成する各ビット情報に1つい
て、夫々複数の畳み込み演算結果の和を求める。
【0427】例えば、付加情報「Inf」が8ビットであ
れば、8個の和が得られる。この各ビット情報に対応す
る和は平均計算手段0602に入力され、夫々が全マク
ロブロックでの各ビット情報に対応するパターン配列の
繰り返しの数nで割られて平均化される。この平均値が
信頼度距離dである。即ち、この信頼度距離dは、図21
の“32c2”と“0”のどちらに類似しているかを多
数決的に生成した値である。
【0428】ただし、信頼度距離dは、先のパッチワー
ク法の説明ではd = 1/N Σ(ai-bi)と定義していたの
で、厳密には信頼度距離dは、P'(x,y) = 1/c P(x,y)を
用いて畳み込み演算を行った結果の平均値である。しか
しながら、P'(x,y) = aP(x,y)を用いて畳み込み演算を
行っても、畳み込み演算結果の平均値は、上記信頼度距
離dの実数倍になっているだけであり、本質的には同様
の効果が得られる。 よって本発明には、P'(x,y) = aP
(x,y)を用いた畳み込み演算結果の平均値を信頼度距離d
に用いることも十分可能である。
【0429】求められた信頼度距離dは0603の記憶
媒体に蓄えられる。
【0430】畳み込み演算手段0601は、付加情報
「Inf」を構成する各ビットについて上記信頼度距離dを
繰り返し生成し、順次記憶媒体0603に格納する。
【0431】この演算値に関してもう少し詳細な説明を
する。元の画像データIに対して図9のパターン配列
(コーンマスクも配置情報として参照)を用いて算出さ
れる信頼度距離dは理想的には0である。しかしながら
実際の画像データIにおいては、この値は非常に0に近
くはあるが非零の値が多い。各ビット情報について発生
する信頼度距離dの頻度分布を調べると、図23の様に
なる。
【0432】図23において、横軸は、各ビット情報毎
に発生する信頼度距離dの値であり、縦軸はその信頼度
距離dを生じる畳み込みが行われたビット情報の数(信
頼度距離dの出現頻度)を示している。図を見ると正規
分布に類似していることが分かる。また、元の画像デー
タIにおいては信頼度距離dは必ずしも0ではないが、そ
の平均値は0(或はそれに非常に近い値)である。
【0433】一方、元の画像データIではなく、図19
の様にビット情報“1”を埋め込んだ後の画像データ
(青色成分)をI’(x,y)に上記畳み込みを行った場合に
は、信頼度距離dは図24に示す様な頻度分布となる。
即ち、図の様に図23の分布形状を保ったまま、右方向
にシフトしている。この様に、付加情報「Inf」を構成
するある1ビットを埋め込んだ後の画像データは、信頼
度距離dが必ずしもcという訳ではないが、その平均値
はc(或はそれに非常に近い値)となる。
【0434】なお、図24ではビット情報“1”を埋め
込んだ例を示したが、ビット情報“0”を埋め込んだ場
合は図23に示した頻度分布が、左にシフトすることに
なる。
【0435】以上説明した様に、パッチワーク法を用い
て付加情報「Inf」(各ビット情報)を埋め込む場合に
は、埋め込むビット数(パターン配列の使用回数)を出
来るだけ多くした方が、図23及び図24に示す様な統
計的分布が正確に現れやすい。即ち、付加情報「Inf」
を構成する各ビット情報が埋め込まれているか否か、或
いは埋め込まれているビット情報が“1”か“0”かを
検出できる精度が高くなる。
【0436】<3−7−4 オフセット合わせ処理>次
にオフセット合わせ手段2003の構成について解説す
る。
【0437】オフセット合わせ手段2003には、適切
なスケーリングを施された後の画像データ「wI2'」が入
力される。この後、図6の信頼度距離演算を用い、スタ
ートビットを検出する。なお、オフセット合わせ手段2
003はスタートビット「Inf1」の5ビット分に対応す
る5つの信頼度距離だけを生成する。スタートビット
「Inf1」とは、図36に示す様に、付加情報埋め込み手
段0104において予め埋め込んである付加情報「In
f」の一部であり、本実施の形態例では5ビット分であ
る。
【0438】なお、これらスタートビット「Inf1」は、
概念的には最初の5ビット分であるが、付加情報「In
f」が埋め込まれている画像においては隣接、密集して
存在する訳ではなく、むしろ点在している。これは、対
応表2のコーンマスクを構成する各係数値に対応付けて
順に埋め込まれる為である。
【0439】オフセット合わせ手段2003の処理のフ
ローチャートを図28に示す。以下の解説は図28のフ
ローチャートの流れに沿って行なう。
【0440】オフセット合わせ手段2003では、入力
された画像データ「wI2'」に対して、ステップ2801
により、最も左上の座標を埋め込み開始座標と仮定す
る。そして、ステップ2802により、図6の信頼度距
離演算手段を用いて、スタートビットの検出を試みる。
【0441】ここで得られた1〜5番目のビット情報
が、ステップ2803により正しいスタートビット「1
1111」であるかどうかを判定する。この点が正しい
埋め込み開始座標であれば検出結果として5つの連続し
た正の信頼度距離dが検出されるが、そうでない場合に
は正の信頼度距離dが5つ連続しないことが多い。上記
判断を順次行ない、正しいスタートビットInf1が検出で
きる位置を、埋め込み開始座標であると決定すれば良
い。
【0442】しかしながら、実際のところ埋め込み開始
座標以外の点でも正しいスタートビットInf1が検出され
てしまう場合も有り得る。この原因を図27を用いて説
明する。
【0443】図27は、本実施の形態例で用いるパッチ
ワーク法で埋め込まれた付加情報「Inf」を抽出する
為、付加情報「Inf」の埋め込み時に用いたものと同一
のパターン配列(2702、2705)(コーンマスク
も配置情報として参照)を用いて、畳み込みを行ないな
がら本来のマクロブロックの位置(2701、270
3、2704)を探索する様子を示している。左の図か
ら右の図へ向かって探索が連続的に進んでいるものとす
る。図27では、簡単の為、画像データ「wI2'」の一部
である1つのマクロブロック(付加情報「Inf」が抽出
できる最小単位)に注目している。この図の1マスは1
ビット情報を埋め込む為のパターン配列の大きさの概念
を示している。
【0444】図27左において、2701と2702の
関係を有する場合、即ち2702が実際のマクロブロッ
ク2701よりも左上に位置して場合、元の画像と付加
情報「Inf」抽出用のパターン配列の位置は、斜線領域
のみで重なっている。
【0445】また同図中央には、更に探索を進め、探索
中の位置と実際のマクロブロックの位置が完全に一致し
ている場合が示されている。この状態では、畳み込み対
象のパターン配列とマクロブロックが最大面積重なって
いる。
【0446】また同図右においては、探索中の位置が実
際に付加情報「Inf」が埋め込まれているマクロブロッ
クの位置よりも右下に位置している。この状態では、こ
の状態では、畳み込み対象のパターン配列とマクロブロ
ックは斜線領域のみで重なる。
【0447】図27の全ての場合において、畳み込み対
象のパターン配列とマクロブロックが十分に重なってい
れば正しいスタートビットInf1を抽出することが可能で
ある。ただし、これら3つの場合は重なる面積が異なっ
ているので信頼度距離dが異なる。
【0448】上記重なる面積は前述した信頼度距離dに
置き換えて考えることができる。即ち、畳み込み対象の
パターン配列とマクロブロックの位置関係が完全に一致
していれば、各ビット情報共に信頼度距離dは上述した
±32c2に非常に近くなる。
【0449】よって、本実施の形態例においては、図2
8の様に、ステップ2803において正しいスタートビ
ットInf1でないと判定された場合には、ステップ280
7によりラスタ順で次の探索点に移動する。
【0450】一方で、正しいスタートビットInf1である
と判定された場合には、ステップ2804により、スタ
ートビットInf1と思われる5ビット分に相当する信頼度
距離dの和が最大値MAXより大きいかどうかを判定す
る。最大値MAXより小さな場合には、ステップ2807
によりラスタ順で次の探索点に移動する。
【0451】一方で、スタートビットInf1と思われる5
ビット分に相当する信頼度距離dの和が最大値MAXより
も大きな場合には、最大値MAXを更新し、同時に現在の
探索点を埋め込み開始点として記憶する。そして、ステ
ップ2806において全ての探索点を探索したかどうか
を判定し、全て終了していない場合には、ステップ28
07によりラスタ順で次の探索点に移動する。
【0452】一方で、全て終了している場合には、その
時記憶されている埋め込み開始点を出力し処理を終了す
る。
【0453】以上の一連の処理により、本実施の形態例
におけるオフセット合わせ手段2003は、スタートビ
ット「Inf1」を検出し、正しいスタートビット「Inf1」
が得られた座標の中で、スタートビット「Inf1」と思わ
れる5ビット分に相当する信頼度距離dの和が最も大き
な座標の情報を、付加情報「Inf」の埋め込み開始点で
あると判断し、埋め込み開始座標として後段へ出力す
る。
【0454】<3−7−5 利用情報抽出手段>利用情
報抽出手段2004は、前段のオフセット合わせ手段2
003から埋め込み開始座標、及び付加情報「Inf」が
埋め込まれた画像データを入力する。
【0455】続いて、図6で説明した動作を同じく用い
て、ここでは利用情報Inf2を構成する各ビット情報のみ
について信頼度距離dを算出し、これらビット情報に対
する信頼度距離d1を後段の統計検定手段2006に出力
する。
【0456】なお、利用情報Inf2を構成する各ビット情
報に相当する信頼度距離d1を得ることは、実質的には、
埋め込まれた利用情報Inf2の各ビットを抽出することに
相当する。これについては後述する。
【0457】ここでは、上記探索により判別された埋め
込み開始座標に基づいて、各信頼度距離dを算出するの
みであり、スタートビットInf1の5ビット分については
抽出しない。
【0458】<3−8 統計検定処理の説明>統計検定
手段2006では、図20の利用情報抽出手段2004
で得られる信頼度距離d1の信頼性を判定する。この判定
は、付加情報「Inf」(利用情報Inf2)の抽出に用いた
第1のパターン配列とは異なる第2のパターン配列を用
いて信頼度距離d2を生成し、この信頼度距離d2の出現頻
度分布を参照して信頼性指標Dを生成することで行われ
る。
【0459】ここで信頼度距離d1は利用情報抽出手段2
004において利用情報Inf2を抽出するために、第1の
パターン配列(コーンマスクも配置情報として参照)を
用いて得られる信頼度距離であり、信頼度距離d2は第1
のパターン配列をは異なる後述する第2のパターン配列
を用いて得られる信頼度距離である。第1のパターン配
列は、通常付加情報「Inf」(スタートビットInf1,利
用情報Inf2)を埋め込む際に用いた図9のパターン配列
である。
【0460】なお第2のパターン配列、信頼性指標D等
についての詳細は後述する。
【0461】<3―8―1 第2のパターン配列による
抽出処理>≪ 中心極限定理 ≫部分集合A,Bは夫々A
={a1,a2,...,aN}、B={b1,b2,...,bN}で表されるN個
の要素からなる集合で、夫々図30に示される様な部分
集合Aと部分集合Bの要素の持つ画素値とする。
【0462】信頼度距離d(Σ(ai-bi) / N)は,Nが十
分大きな値を取り、画素値aiとbiには相関がない場合
は、信頼度距離dの期待値は0になる。また中心極限定
理より信頼度距離dの分布は独立な正規分布をとる。
【0463】ここで中心極限定理について簡単に説明す
る。
【0464】平均値mc、標準偏差σcの母集団(正規分
布でなくても良い)から大きさncの任意標本を抽出した
時、標本平均値Scの分布はncが大きくなるにつれて正規
分布N(mc,(σc/√nc)^2)に近づくことを示す定理であ
る。
【0465】一般には母集団の標準偏差σcは不明なこ
とが多いが、サンプル数ncが十分大きく、母集団の数Nc
がサンプル数ncに比べて更に十分大きいときは標本の標
準偏差scをσcの代わりに用いても実用上ほとんど差し
支えない。
【0466】本実施の形態例に戻って説明する。まず利
用情報抽出手段2004で求められた信頼度距離d1の出
現頻度分布は、利用情報Inf2を正しく抽出できたか否か
で大きく異なる。
【0467】例えば、スタートビットInf1の検出に誤り
があった場合(オフセット合わせに失敗した場合等)に
は、利用情報Inf2が埋め込まれているはずの位置には実
際にはビット情報が埋め込まれていないので、信頼度距
離d1の出現頻度分布は図25の正規分布2501の様に
なる。
【0468】一方、正しく抽出できている場合には、利
用情報Inf2を構成するビット情報“1”に対応する各信
頼度距離d1が正規分布2502の位置に累積され、利用
情報Inf2を構成するビット情報“0”に対応する各信頼
度距離d1が正規分布2503の位置に累積される。よっ
て、この場合には2つの“山”が現れる。この2つの
“山”の大きさの比は、利用情報Inf2を構成するビット
情報“1”と“0”の比とほぼ等しい。
【0469】ただし、これは付加情報が埋め込まれてい
ない元の画像に対して第1のパターン配列で畳み込み処
理を行って得られる信頼度距離d1が、正規分布2501
の様になることを前提としたものである。
【0470】従って、現実的には、元の画像の状態を知
らない限り、正しく抽出できているか否かの判断を行な
うことは出来ない。
【0471】よって本実施の形態例では付加情報が埋め
込まれていても元の画像の状態を十分判別できる、いわ
ゆる第2のパターン配列を用いて、信頼度距離d2の正規
分布を生成し、この正規分布を2501として考えるこ
とによって、利用情報Inf2が正しく抽出できているか否
かの判断を行なう。
【0472】例えば、信頼度距離d2で作成した正規分布
2501を構成する斜線部分(中心から95%までの構
成要素)より外側に信頼度距離d1の出現頻度分布が存在
すれば、対象となっている画像に統計的偏りが存在し、
利用情報Inf2が埋め込まれていると考えることができ、
利用情報Inf2の確からしさを統計的に判断することがで
きる。この詳しい方法については後述する。
【0473】次に、付加情報「Inf」(利用情報Inf2)
が埋め込まれている画像データを用いて、付加情報「In
f」が埋め込まれる前の信頼度距離d1の出現頻度分布に
類似するもの(図25の様な正規分布2501)を生成
する方法を説明する。
【0474】本実施の形態例では、第2のパターン配列
による抽出手段2005を用いて、正規分布2501に
類似する分布を構成する信頼度距離d2を求める。
【0475】第2のパターン配列による抽出手段200
5は、利用情報抽出手段2004に用いた第1のパター
ン配列と“直交する”第2のパターン配列を用いて、信
頼度距離d2を求める手段であり、畳み込み処理を行なう
点等、利用情報抽出手段2004と動作自体はほぼ同じ
である。
【0476】なお、対比説明の為、利用情報抽出装置2
004で用いた図9のパターン配列、及びこのパターン
配列を配置する位置を参照する為のマスク(コーンマス
ク)を、夫々「第1のパターン配列」、及び「第1の位
置参照マスク」と呼び、第1のパターン配列に“直交す
る”パターン配列、及びこのパターン配列を配置する位
置を参照する為のマスクを、夫々「第2のパターン配
列」、及び「第2の位置参照マスク」と呼ぶ。
【0477】第2のパターン配列による抽出手段200
5に、まず、オフセット合わせ手段2003から埋め込
み開始座標を入力し、上述した図6の信頼度距離演算を
用いて信頼度距離d2の計算も行なう。
【0478】この時、図6の信頼度距離演算で用いるパ
ターン配列は埋め込みに用いた図9のパターン配列09
01ではなく、このパターン配列0901に“直交す
る”パターン配列3301或いは3302を用いる。
【0479】この理由は、図33のパターン配列330
1及び3302を用いて計算される信頼度距離d2には、
付加情報「Inf」の埋め込みに用いた図9のパターン配
列0901で操作した影響がまったく反映されない為で
ある。
【0480】図34に示す様に、図9のパターン配列0
901とこれにこれに“直交する”上記パターン配列3
301とを畳み込み処理した結果は0である。これはパ
ターン配列3302についても同様である。即ち、第
1、第2のパターン配列の畳み込み結果は0である。従
って、元の画像の濃度が第1のパターン配列を用いて変
更されていたとしても、第2のパターン配列を用いて畳
み込み処理を行って得られる信頼度距離dにはまったく
影響が無い。
【0481】よって、付加情報「Inf」が埋め込まれて
いる画像に対して上記第2のパターン配列を用いた畳み
込み処理を施して得られる信頼度距離d2の出現頻度分布
は、図25の正規分布2501とほぼ同様のものにな
る。従って上記出現頻度分布を正規分布2501とみな
す。
【0482】ここで得られる正規分布2501は、図3
2の3207の統計検定処理に必要な判断基準となる。
【0483】第2のパターン配列による抽出処理200
5は、上述の様に図33の3301、3302の様な
「第1のパターンとは“直交する”パターン配列」と、
図35の3502に示す第2の位置参照マスクを用い
て、信頼度距離d2の正規分布を生成する。
【0484】なお、上記「第1のパターンとは直交する
パターン配列」の条件を以下に示すと、(1)図33に
示す様に、図9の0901と同じサイズであること。
(2)パターン配列3301、3302の様に、付加情
報「Inf」の埋め込み時に用いた図9のパターン配列0
901との畳み込み処理の結果が0になることである。
【0485】また、図34に示す畳み込み処理は、図2
1及び図22に示される畳み込み処理と同じである。
【0486】本実施の形態例では、畳み込みの結果が0
になることを、ベクトルの内積が直交する場合に0にな
っていることになぞらえ、「互いのパターン配列が“直
交している”」と呼ぶ。従って図33の3301、33
02は「図9のパターン配列0901に“直交する”パ
ターン配列」である。
【0487】付加情報「Inf」の埋め込み時に用いたパ
ターン配列に“直交する”パターン配列を信頼度距離d2
の計算に用いる理由は、信頼度距離d2の分布に統計的な
偏りを存在させない、即ち0が中心の出現頻度分布を生
成する為である。
【0488】また、「第1のパターンとは“直交する”
パターン配列」は、(3)利用情報抽出処理2004に
用いたパターン配列の非零の要素と等しい数の非零の要
素を持ち、正と負の要素の数が夫々等しいことも必要な
条件である。これは同一の演算条件で、信頼度距離d1と
信頼度距離d2が抽出される様にする為である。
【0489】次に、本実施の形態例では「第2の位置参
照マスク」は、付加情報「Inf」の埋め込み時に用いた
3501とは別のパターンを有し、かつ3501とは異
なるサイズの、図35の3502に示される参照マスク
を用いる。
【0490】以上、上記第1と第2のパターン配列が異
なっていれば信頼度距離d2の出現頻度分布はほぼ正規分
布2501となる。しかしながら、スタートビットの検
出位置が完全でない場合等には、第2のパターン配列を
用いて畳み込みを行ったにも拘わらず統計的な偏りが検
出されてしまう可能性も有る。
【0491】本実施の形態例ではこの可能性も考慮し
て、第1と第2の位置参照マスクの大きさを異ならせる
ことで、周期的な要素を打ち消す様にする。或いはマス
ク内の各パターン配列の配置方法を異ならせることで、
同一領域での畳み込みを行なわない様にする。
【0492】また、この場合には「第2の位置参照マス
ク」は、これを構成する各係数がランダムに分布してい
れば良く、コーンマスクでなくとも構わない。
【0493】もし「第2の埋め込み位置参照マスク」
が、「第1の埋め込み位置参照マスク」と異なる様に設
定する場合には、「第2の埋め込み位置参照マスク」は
図20の埋め込み位置決定手段2008で作成すること
とする。
【0494】一般的には、上述した切り抜き耐性を考慮
して、第1の位置参照マスク(コーンマスク)は、付加
情報「Inf」の埋め込み対象となる画像データ全体に対
してそれほど大きなサイズを取ることは考えられない。
よって、「第2の位置参照マスク」は比較的大きなもの
を用いると良い。本実施の形態例では、付加情報「In
f」を埋め込む時に参照する第1のマスクよりも、付加
情報「Inf」側で信頼度距離d1を計算する際に用いる第
2のマスクのサイズが大きくなる様に設定することとす
る。
【0495】しかしながら本発明はこれに限らず、互い
のマスクサイズが等しくてもある程度の効果を奏する。
従って、「第2の位置参照マスク」は図20の埋め込み
位置決定手段2002で作成されるものでも良い。
【0496】互いのマスクの最低限の条件としては、互
いのマスクに適用される付加情報「Inf」を構成する各
ビットの繰り返し数が、同一サイズの画像領域内で等し
いことが必要である。
【0497】なお、第2のパターン配列による抽出処理
で十分な結果が得られない場合は、上述した条件を備え
る別の第2のパターン配列や第2の位置参照マスクを用
いて、再度信頼度距離d2を計算することにより、理想的
な出現頻度分布である図25の2501を生成できる可
能性も有る。
【0498】次に第2のパターン配列による抽出手段2
005の具体的な操作を示す。
【0499】本実施の形態例では、第1の位置参照マス
クが32×32のコーンマスクで、第2の位置参照マス
クが64×64のコーンマスクとし、2つのマスクにお
いて、各係数の相対的な配列はまったく異なっていると
する。
【0500】まず、第2のパターン配列による抽出手段
2005では、抽出位置の決定は以下の表3に従って行
なうこととする。
【0501】
【表3】 第2の位置参照マスクでは、同じ値の係数がマスク内に
各16個存在する。一方、32×32の第1の位置参照
マスクは、先の対応表2でマスクの参照を行っている場
合、32×32の中で同一係数の繰り返し数は4個であ
る。即ち、同一サイズの画像データにおいては、第1の
位置参照マスクも第2の位置参照マスクも同じ値の係数
は同数存在する。
【0502】本実施の形態例では、上記対応表3の規則
に従った位置関係に第2のパターン配列を割り当て、順
次畳み込み処理を行ない、各ビット情報に対応する69
個の信頼度距離d2を算出する。
【0503】<3―8―2 信頼性指標D>第2のパタ
ーン配列による抽出手段2005にて生成される信頼度
距離d2は、ほぼ正規分布2501と同一の分布で出現す
るが、正規分布においては、一般的に以下の式(25.
1)の範囲で95%のサンプル(信頼度距離d2)が出現
することが知られている。 m-1.96σ < d2 < m+1.96σ … 式(25.1) ここで、σは上記信頼度距離d2についての標準偏差であ
り、mは平均である。なお上記場合の範囲のことを“9
5%の信頼区間”と呼ぶ。
【0504】m-1.96σ , m+1.96σ は、第2のパター
ン配列による抽出手段2005で信頼度距離d2が得られ
た後、これを用いて計算される。
【0505】利用情報抽出手段2004から統計検定手
段2006に入力される信頼度距離d1の出現頻度分布
は、ビット情報が“1”の場合は図25の正規分布25
02になり、ビット情報が“0”の場合は正規分布25
03になるので、利用情報Inf2に対応する信頼度距離d1
は、第2のパターン配列による抽出手段2005で求め
られる95%の信頼区間(図25の斜線部分)の外に存
在する確率が非常に高い。
【0506】ところで、オフセット合わせ手段2003
の処理時点で、この処理の対象となる画像に利用情報In
f2が存在しない場合には、信頼度距離d1の出現頻度分布
も正規分布2501の様になる。
【0507】付加情報「Inf」2が画像に埋め込まれてい
るにも関わらず、利用情報Inf2に対応する64個の信頼
度距離d1の全てが式(25.1)の信頼区間に含まれない
確率は、(1−0.95)の64乗と非常に小さい。
【0508】従って、信頼度距離d2に基づいて正規分布
2501を求めておけば、この正規分布の大半を占める
範囲に、信頼度距離d1に基づいて求められた出現頻度分
布が含まれるか否かを考えることにより、付加情報「In
f」(利用情報「Inf2」)が埋め込まれているか否かを
ほぼ確実に判断できる。
【0509】統計検定手段2006では、上述した様な
性質を用いて付加情報「Inf」(利用情報「Inf2」)が
埋め込まれていることの信頼度を判断する。
【0510】本実施の形態例では、利用情報「Inf」が
埋め込まれていることの信頼度を、信頼性指標Dとして
扱う。この信頼性指標Dは、利用情報抽出手段2004
で生成する全ての信頼度距離d1における、式(25.1)
の範囲の外に存在する信頼度距離d1の個数の割合で定義
される。
【0511】統計検定手段2006は、この信頼性指標
Dが閾値Thより大きければ、信頼度距離d1の総合的な
出現頻度分布は図25に示す2502や2503の様な
位置に人為的に偏らされているもの、即ち利用情報Inf2
が確実に埋め込まれている画像であると判断する。
【0512】従って、ここでの判定に使用された信頼度
距離d1自体が、信頼性の有る情報であると考え、この信
頼度距離d1を更に後段の比較手段2007へ転送するこ
とを許可する。
【0513】なお、信頼性指標Dは、図32の信頼性表
示ステップ3210に示される様に、利用情報Inf2の信
頼性指標D、或いは指標Dに基づくメッセージをモニタ
等に表示しても良い。例えば、信頼性指標Dが閾値Th
より大きくない場合は、「利用情報Inf2は正確に抽出で
きていません」との趣旨のメッセージを表示させ、図3
2の統計検定ステップ3207から画像を再度入力する
ステップ3202に戻る。
【0514】<3−9 比較処理の説明>図20の比較
手段2007は、利用情報抽出手段2004と統計検定
手段2006とを経て出力された信頼度距離d1の値を入
力する。ここに入力される信頼度距離d1は信頼性の高い
情報であるので、ここでは信頼度距離d1に対応する各ビ
ット情報が“1”と“0”のいずれであるかを単純に判
定するだけで良い。
【0515】具体的には、利用情報Inf2を構成するある
ビット情報の信頼度距離d1が正であれば、このビット情
報が“1”であると判定し、信頼度距離d1が負の場合は
このビット情報が“0”であると判定する。
【0516】上記判定により得られた利用情報Inf2は、
ユーザの参照情報、或いは制御信号にする為の最終的な
データとして出力される。
【0517】<3−10 高速処理への考慮>以上説明
したように、付加情報の抽出を実行することが可能であ
る。一方で、本実施の形態では、付加情報「Inf」の抽
出処理を必ずしも全て行なう必要はない。以上述べた実
施の形態は、図2に示した電子透かし抽出装置への入力
pwI'に電子透かし情報が埋め込まれていることを想定し
たものである。一方で、電子透かし抽出装置への入力
「pwI'」に電子透かし情報が埋め込まれていない場合も
ある。更に、電子透かし抽出情報は可能な限り高速に処
理を終了することを要求するアプリケーションもある。
以上から、電子透かし抽出装置において、電子透かし抽
出装置への入力「pwI'」に電子透かし情報が埋め込まれ
ていないことが判明した時点で、電子透かし抽出処理を
終了することが、処理を高速に終了するという観点から
は望ましい。
【0518】これについて、図55に示すフローチャー
トを用いて説明する。図55は、図32に示した電子透
かし抽出処理のフローチャートの変形例である。図55
に示す処理においては、図32のフローチャートに示す
処理に対して、レジストレーション信号検出判定処理5
504が加わった点が異なっている。
【0519】図55に示すレジストレーション信号検出
判定処理5504では、この前処理であるスケールあわ
せ処理5503によってレジストレーション信号rが検
出されたか否かを判定する。レジストレーション信号が
検出されていなければ、この時点で情報抽出処理は終了
する。
【0520】電子透かし情報が埋め込まれている画像か
らは、必ずレジストレーション信号rが検出されるはず
である。レジストレーション信号rが検出されなかった
ということは、電子透かし情報が埋め込まれていないと
いうことである。よって、その後電子透かし抽出処理を
続行する必要はなく、電子透かし抽出処理をこの時点で
終了することが可能である。
【0521】以上で、付加情報の埋め込みから抽出まで
の一連の処理の説明を終わる。
【0522】<第1の実施の形態例の変形例>上述した
第1の実施の形態例において、付加情報「Inf」(利用
情報Inf2)には誤り訂正符号化されたものを用いること
も可能であり、そうする事によって、更に抽出された利
用情報Inf2の信頼性が向上する。
【0523】また、本発明は図49に示される2つのパ
ターン配列から、入力画像データの解像度或いはプリン
タの出力(印刷)解像度に最適なものを選択する場合に
限らない。即ち、m×n(m、nは整数)個の要素から
成る、互いにサイズの異なるパターン配列を2つ以上有
し、入力画像データの解像度或いはプリンタの出力(印
刷)解像度に最適な1つを選択して使用する様にする場
合であれば本発明の範疇に含まれる。
【0524】なお、本発明は、複数の機器(例えばホス
トコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリン
タ等)から構成されるシステムの1部として適用して
も、1つの機器(例えば複写機、ファクシミリ装置)か
らなるものの1部に適用してもよい。
【0525】また、本発明は上記実施の形態例を実現す
る為の装置及び方法のみに限定されるものではなく、上
記システム又は装置内のコンピュータ(CPUあるいはMP
U)に、上記実施の形態例を実現する為のソフトウエア
のプログラムコードを供給し、このプログラムコードに
従って上記システムあるいは装置のコンピュータが上記
各種デバイスを動作させることにより上記実施の形態例
を実現する場合も本発明の範疇に含まれる。
【0526】またこの場合、前記ソフトウエアのプログ
ラムコード自体が上記実施の形態例の機能を実現するこ
とになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログ
ラムコードをコンピュータに供給する為の手段、具体的
には上記プログラムコードを格納した記憶媒体は本発明
の範疇に含まれる。
【0527】この様なプログラムコードを格納する記憶
媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディス
ク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、C
D−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、RO
M等を用いることができる。
【0528】また、上記コンピュータが、供給されたプ
ログラムコードのみに従って各種デバイスを制御するこ
とにより、上記実施の形態例の機能が実現される場合だ
けではなく、上記プログラムコードがコンピュータ上で
稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは
他のアプリケーションソフト等と共同して上記実施の形
態例が実現される場合にも係るプログラムコードは本発
明の範疇に含まれる。
【0529】更に、この供給されたプログラムコード
が、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接
続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された
後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡
張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処
理の一部又は全部を行ない、その処理によって上記実施
の形態例が実現される場合も本発明の範疇に含まれる。
【0530】なお、上記実施の形態例ではコーンマスク
を用いて電子透かし情報を埋め込む場合について説明し
たが、本発明はこれに限らない。特にブルーノイズマス
クを用いて電子透かし情報を埋め込む場合も本発明の範
疇に含まれる。
【0531】また、上述した種々の特徴点の少なくとも
1つを含む構成であれば本発明の範疇に含まれる。
【0532】
【発明の効果】以上説明した様に本発明によれば、幾何
変換を補正するレジストレーション処理において、従来
と比較して、レジストレーション信号の検出を容易に
し、かつ人間の目に見え難いようにレジストレーション
信号を埋め込むことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一発明の実施の形態例における電
子透かし埋め込み装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態例における電子透かし抽出装置の
構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態例における印刷系処理において抽
出側で生成された画像データの一例を示す図である。
【図4】本実施の形態例におけるレジストレーション信
号埋め込み手段0102の詳細構成を示すブロック図で
ある。
【図5】本実施の形態例における自然画像の本来持つ信
号に対して周波数領域の信号の水平垂直ナイキスト周波
数成分にインパルス信号を加えた一例のレジストレーシ
ョン信号を説明するための図である。
【図6】本実施の形態例における信頼度距離演算手段の
詳細構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態例におけるスケール合わせ手段の
詳細構成を示すブロック図である。
【図8】本実施の形態例におけるレジストレーション信
号の抽出を説明するための図である。
【図9】本実施の形態例における付加情報の埋め込み時
及び抽出時に用いるパターン配列を示す図である。
【図10】本実施の形態例における付加情報埋め込み手
段のブロック図である。
【図11】本実施の形態例における埋め込み位置決定手
段の詳細構成を示すブロック図である。
【図12】本実施の形態例におけるコーンマスク及びブ
ルーノイズマスクの出現頻度分布を示す図である。
【図13】人間の視覚の空間周波数特性を説明するため
の図である。
【図14】ブルーノイズマスク、コーンマスクの空間周
波数特性を説明するための図である。
【図15】本実施の形態例における図11に示すマスク
作成手段で作成した位置参照マスクを説明するための図
である。
【図16】本実施の形態例における位置参照マスク内の
埋め込み位置を示す概念図である。
【図17】本実施の形態例における図16のマスクに各
パターン配列を展開する様子を示す図
【図18】本実施の形態例における画像全体に付加情報
「Inf」の最小埋め込み単位を繰り返し埋め込む操作を
示す図である。
【図19】本実施の形態例における付加情報「Inf」を
埋め込む演算を説明する図である。
【図20】本実施の形態例における付加情報抽出手段を
説明する図である。
【図21】本実施の形態例における付加情報「Inf」を
抽出する様子を説明する図である。
【図22】本実施の形態例における付加情報「Inf」が
存在しないにも拘わらず、抽出しようとした様子を示す
図である。
【図23】本実施の形態例における原画像から信頼度距
離dを抽出した場合の理想的な出現頻度分布を示す図で
ある。
【図24】本実施の形態例における電子透かしが埋め込
まれた画像から信頼度距離dを抽出した場合を示す図で
ある。
【図25】本実施の形態例における第1の実施の形態例
における信頼度距離d1,d2の出現頻度分布の例を説明す
る図である。
【図26】本実施の形態例におけるレジストレーション
信号の埋め込みと抽出の原理を説明する図である。
【図27】本実施の形態例におけるオフセット合わせ手
段における埋め込み先頭位置探索の概念を示す図であ
る。
【図28】本実施の形態例におけるレジストレーション
処理を説明するフローチャートである。
【図29】本実施の形態例の空間領域におけるレジスト
レーション信号埋め込み手段の詳細構成を示すブロック
図である。
【図30】パッチワーク法における二つの集合を説明す
る図ための図である。
【図31】本実施の形態例における電子透かしの埋め込
み処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図32】本実施の形態例における電子透かし抽出装置
の全体制御を説明するためのフローチャートである。
【図33】図9のパターンに直交するパターン配列の例
を示す図である。
【図34】本実施の形態例における“直交する”パター
ン配列を説明する図である。
【図35】本実施の形態例における第1、第2の位置参
照マスクのを示した図である。
【図36】本実施の形態例における付加情報「Inf」の
構成を示す図である。
【図37】本実施の形態例におけるブルーノイズマスク
内の各係数の一例を示す図である。
【図38】本実施の形態例におけるコーンマスク内の各
係数の一例を示す図である。
【図39】本実施の形態例における人間の視覚の色度空
間数特性を示す図である。
【図40】JPEG方式における最小符号化単位を示す
図である。
【図41】JPEG方式における輝度、色差成分のサン
プリングを示す図である。
【図42】本実施の形態例におけるパターン配列の正、
負の操作部分(パッチ)を示す図である。
【図43】本実施の形態例における面積階調で表現され
た階調と濃度階調で表現された階調の対応を説明する図
である。
【図44】本実施の形態例における階調変換処理の前後
で階調情報が伝搬する原理を説明する図である。
【図45】本実施の形態例における画像の解像度による
プリンタのハーフトーン処理の違いを説明する図であ
る。
【図46】本実施の形態例におけるパッチの埋め込みに
よるインクドットの変化を説明する図である。
【図47】本実施の形態例におけるパッチの大きさと埋
め込み深さによるドットの増加を説明する図である。
【図48】本実施の形態例における画像の解像度の違い
によるパターン配列単位の正のパッチと負のパッチの差
を示す図である。
【図49】本実施の形態例における画像の各解像度に対
応する付加情報「Inf」を埋め込む為のパターン配列を
示す図である。
【図50】本実施の形態例におけるレジストレーション
信号埋め込み手段の構成例を示す図である。
【図51】本実施の形態例におけるレジストレーション
信号埋め込み手段の他の構成例を示す図である。
【図52】本実施の形態例のラプラシアンフィルタを用
いる例を説明するための図である。
【図53】本実施の形態例におけるエッジ検出手段を説
明するための図である。
【図54】本実施の形態例における第1のレジストレー
ション信号、及び第2のレジストレーション信号を説明
する図である。
【図55】本実施の形態例におけるレジストレーション
信号の埋め込まれる様子を説明するための図である。
【符号の説明】
5101 ブロック分割手段 5102 エッジ検出手段 5103 切り替え手段 5104 加算手段 5105 ブロック合成手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石田 良弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C087 AA13 AB05 BC02 BD01 BD07 CB03 CB07 CB13 5B057 BA02 CC02 CD05 CE06 CE08 CE11 CE18 CG05 CG07 DC16 DC25 5C076 AA14 AA26 AA36 BA06 5C077 LL14 PP21 PP23 PP47 PP66 PQ08 9A001 EE03 HH23 LL03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像データにレジストレーション 信号
    を埋め込む方法であって、 前記画像データの特徴成分を検出する特徴成分検出ステ
    ップと、 前記特徴成分に応じて、第1のレジストレーション信号
    と第2のレジストレーショ ン信号を選択するレジスト
    レーション信号選択ステップと、 前記画像データに対して、前記レジストレーション信号
    選択手段によって選択さ れた第1のレジストレーショ
    ン信号、及び第2のレジストレーション信号のいず れ
    かを加算する加算ステップとを含むことを特徴とする画
    像処理方法。
  2. 【請求項2】 さらに、 前記画像データを少なくとも一つ以上のブロックに分割
    する分割ステップと、 前記ブロック分割ステップによって分割されたブロック
    を結合し、画像を再構成するブロック合成ステップとを
    含むことを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
  3. 【請求項3】 前記特徴成分はエッジ成分であることを
    特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
  4. 【請求項4】 前記第1のレジストレーション信号、及
    び前記第2のレジストレーション信号は、周期が等しい
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
  5. 【請求項5】 前記第1のレジストレーション信号は、
    前記第2のレジストレーション信号よりも、振幅が小さ
    いことを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
  6. 【請求項6】 前記レジストレーション信号選択ステッ
    プは、前記エッジ成分において前記第2のレジストレー
    ション信号を選択し、前記エッジ成分以外において前記
    第1のレジストレーション信号を選択することを特徴と
    する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理
    方法。
  7. 【請求項7】 前記請求項1乃至請求項6のいずれかに
    記載の画像処理方法を行うことを特徴とする画像処理装
    置。
  8. 【請求項8】 前記請求項1乃至請求項6のいずれかに
    記載の画像処理方法を実施するためのコードが記憶され
    ていることを特徴とする記憶媒体。
  9. 【請求項9】 前記請求項1乃至請求項6のいずれか1
    項に記載の機能を実現するコンピュータプログラム列。
  10. 【請求項10】 前記請求項1乃至請求項6のいずれか
    1項に記載の機能を実現するコンピュータプログラムを
    記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101233386B1 (ko) 2006-06-15 2013-02-15 삼성전자주식회사 화상형성장치에서의 화상왜곡방지장치 및 그 방법

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