JP2001287559A - 四輪駆動車の駆動力制御装置 - Google Patents

四輪駆動車の駆動力制御装置

Info

Publication number
JP2001287559A
JP2001287559A JP2000104272A JP2000104272A JP2001287559A JP 2001287559 A JP2001287559 A JP 2001287559A JP 2000104272 A JP2000104272 A JP 2000104272A JP 2000104272 A JP2000104272 A JP 2000104272A JP 2001287559 A JP2001287559 A JP 2001287559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
drive
driving force
wheel speed
driving
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000104272A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3656511B2 (ja
Inventor
Shinji Matsumoto
真次 松本
Motohira Naitou
原平 内藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2000104272A priority Critical patent/JP3656511B2/ja
Publication of JP2001287559A publication Critical patent/JP2001287559A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3656511B2 publication Critical patent/JP3656511B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の加速走行時程度における前後輪駆動力
配分制御と駆動スリップ制御との両立を達成しながら、
発進急加速時等のように、副駆動輪へのトルク伝達応答
性より主駆動輪へのトルク伝達応答性が速い状況が生じ
たときも車両の操縦安定性を確保することができる四輪
駆動車の駆動力制御装置を提供すること。 【解決手段】 前後輪駆動力配分制御手段cと駆動スリ
ップ制御手段dを備えた四輪駆動車の駆動力制御装置に
おいて、エンジンaから主駆動輪へのエンジントルク伝
達速さであるエンジントルク応答性と前後駆動力配分手
段bを介した副駆動輪への配分トルク伝達速さである配
分トルク応答性とを比較するトルク伝達応答性比較手段
eを設け、トルク伝達応答性比較手段eによる比較結果
で、配分トルク応答性がエンジントルク応答性より速い
場合、副駆動輪の平均車輪速を駆動スリップの制御対象
駆動輪速とし、エンジントルク応答性が配分トルク応答
性より速い場合、主駆動輪と副駆動輪の四輪平均車輪速
を駆動スリップの制御対象駆動輪速とする制御対象駆動
輪速変更手段fを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、四輪駆動車の駆
動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】駆動スリップを抑制する駆動力制御装置
は、2輪のみにエンジン駆動力が伝達されることで、加
速操作や低μ路走行等で駆動スリップが発生しやすい二
輪駆動車に適用されることが多い。これに対し、四輪駆
動車はエンジン駆動力が四輪に配分されることで、同じ
エンジン駆動力であれば二輪駆動車に比べ各輪から路面
へ伝達される駆動力が低くなり、駆動スリップ自体が発
生しにくく、路面μが小さい場合でもある程度の駆動力
は発生可能なため、駆動力制御を適用されることは少な
かった。
【0003】しかしながら、大トルクエンジンを搭載し
た四輪駆動車等では、エンジン駆動力を前後輪に配分し
ても駆動スリップの発生がみられ、四輪駆動車への駆動
力制御装置の適用要求があるが、四輪共に駆動輪であ
り、エンジン駆動力が伝達される四輪が全て駆動スリッ
プ状態になることもあるため、駆動スリップ制御の制御
対象駆動輪速をどのように決めるかが困難である。
【0004】これに対し、特開昭61−285130号
公報には、四輪車輪速の平均値を制御対象駆動輪速とす
る四輪駆動車の駆動力制御装置が提案され、また、特開
平3−125633号公報には、前後駆動力配分クラッ
チを介してエンジン駆動力が副次的に伝達される副駆動
輪速の平均値を制御対象駆動輪速とする四輪駆動車の駆
動力制御装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
四輪駆動車の駆動力制御装置にあっては、前後輪駆動力
配分により旋回中における前後輪間の回転速度差の発生
を旋回状態に応じて許容しながら車両のヨー運動をコン
トロールする場合、駆動スリップを抑制するために駆動
スリップ制御が行われてしまい、前後駆動力配分による
車両のヨー運動のコントロールができず、前後駆動力配
分制御の効果が損なわれることになる。つまり、四輪車
輪速の平均値を制御対象駆動輪速とした場合、主駆動輪
が含まれるため、駆動スリップを過大評価してしまい駆
動スリップ制御が行われるというように、前後輪駆動力
配分制御と駆動スリップ制御との2つの制御に干渉が生
じるという問題がある。
【0006】一方、後者の四輪駆動車の駆動力制御装置
にあっては、通常の加速走行時程度のような、エンジン
から主駆動輪(後輪駆動ベースなら後輪)へのトルク伝
達応答性より前後駆動力配分クラッチから副駆動輪(後
輪駆動ベースなら前輪)へのトルク伝達応答性が速い場
合には、前後輪駆動力配分制御と駆動スリップ制御とを
うまく両立させることができるが(図9)、逆に、発進
急加速時のような、前後駆動力配分クラッチから副駆動
輪へのトルク伝達応答性よりエンジンから主駆動輪への
トルク伝達応答性が速い場合には、前後輪回転速度差を
検出してからエンジン駆動力を副駆動輪側へ配分するの
では間に合わず、エンジンからの駆動力が主駆動輪にに
大きく作用する時間が発生し、特に、低μ路等において
は主駆動輪の駆動スリップが大きくなる場合がある。例
えば、ベース車両が後輪2輪駆動であった場合には、前
輪に駆動力が配分されるまでに後輪の駆動スリップが瞬
間的に大きくなり、車両がオーバーステア傾向になる場
合がある(図10)。また、ベース車両が前輪2輪駆動
であった場合には、後輪に駆動力が配分されるまでに前
輪の駆動スリップが瞬間的に大きくなり、車両がアンダ
ーステア傾向になる場合がある。
【0007】本発明は、このような問題点に着目してな
されたもので、通常の加速走行時程度における前後輪駆
動力配分制御と駆動スリップ制御との両立を達成しなが
ら、発進急加速時等のように、副駆動輪へのトルク伝達
応答性より主駆動輪へのトルク伝達応答性が速い状況が
生じたときも車両の操縦安定性を確保することができる
四輪駆動車の駆動力制御装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、エンジンと前後輪との間
に前後駆動力配分手段が設けられ、前後輪のうちエンジ
ン駆動力が主に伝達される主駆動輪とエンジン駆動力が
副次的に伝達される副駆動輪との回転速度差に応じた前
記前後駆動力配分手段への指令により前後輪への駆動力
配分を制御する前後輪駆動力配分制御手段と、駆動スリ
ップが設定しきい値以上である場合に少なくともエンジ
ン出力を低減することで駆動スリップを抑制する駆動ス
リップ制御手段とを備えた四輪駆動車の駆動力制御装置
において、前記エンジンから主駆動輪へのエンジントル
ク伝達速さであるエンジントルク応答性と前記前後駆動
力配分手段を介した副駆動輪への配分トルク伝達速さで
ある配分トルク応答性とを比較するトルク伝達応答性比
較手段を設け、前記トルク伝達応答性比較手段による比
較結果で、配分トルク応答性がエンジントルク応答性よ
り速い場合、副駆動輪の平均車輪速を駆動スリップの制
御対象駆動輪速とし、エンジントルク応答性が配分トル
ク応答性より速い場合、主駆動輪と副駆動輪の四輪平均
車輪速を駆動スリップの制御対象駆動輪速とする制御対
象駆動輪速変更手段を設けたことを特徴とする。
【0009】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
四輪駆動車の駆動力制御装置において、前記トルク伝達
応答性比較手段を、エンジンと前後駆動力配分手段との
間に設けられた変速機の変速比を検出する変速比検出手
段とし、前記制御対象駆動輪速変更手段を、ロー変速比
の場合、四輪平均車輪速を駆動スリップの制御対象駆動
輪速とし、ハイ変速比の場合、副駆動輪の平均車輪速を
駆動スリップの制御対象駆動輪速とする手段としたこと
を特徴とする。
【0010】請求項3記載の発明では、請求項1または
請求項2記載の四輪駆動車の駆動力制御装置において、
前記トルク伝達応答性比較手段を、エンジン駆動力を決
めるアクセル開度又はアクセル開度変化量を検出するア
クセル操作検出手段とし、前記制御対象駆動輪速変更手
段を、前輪の平均車輪速と後輪の平均車輪速の重み付け
を変更することで、副駆動輪の平均車輪速から主駆動輪
と副駆動輪の四輪平均車輪速まで無段階に変化する車輪
速を駆動スリップの制御対象駆動輪速とする手段とした
ことを特徴とする。
【0011】
【発明の作用および効果】請求項1記載の発明にあって
は、前後輪駆動力配分制御手段において、前後輪のうち
エンジン駆動力が主に伝達される主駆動輪とエンジン駆
動力が副次的に伝達される副駆動輪との回転速度差に応
じ、エンジンと前後輪との間に設けられた前後駆動力配
分手段への指令により前後輪への駆動力配分が制御され
る。一方、駆動スリップ制御手段において、駆動スリッ
プが設定しきい値以上である場合に少なくともエンジン
出力を低減することで駆動スリップを抑制する制御が行
われる。この駆動スリップ制御では、トルク伝達応答性
比較手段において、エンジンから主駆動輪へのエンジン
トルク伝達速さであるエンジントルク応答性と、前後駆
動力配分手段を介した副駆動輪への配分トルク伝達速さ
である配分トルク応答性とが比較され、制御対象駆動輪
速変更手段において、トルク伝達応答性比較手段による
比較結果で、配分トルク応答性がエンジントルク応答性
より速い場合、副駆動輪の平均車輪速が駆動スリップの
制御対象駆動輪速とされ、エンジントルク応答性が配分
トルク応答性より速い場合、主駆動輪と副駆動輪の四輪
平均車輪速が駆動スリップの制御対象駆動輪速とされ
る。すなわち、通常加速走行時程度であり配分トルク応
答性がエンジントルク応答性より速い場合には、副駆動
輪の平均車輪速が駆動スリップの制御対象駆動輪速とさ
れることで、駆動スリップ制御に入りにくく、前後輪駆
動力配分制御による車両のヨー運動のコントロールとい
うメリットを生かしつつ、4輪トータルの駆動力が過大
となり、4輪全てが駆動スリップするのを防止すること
ができる。また、発進急加速時等でありエンジントルク
応答性が配分トルク応答性より速い場合には、四輪平均
車輪速が駆動スリップの制御対象駆動輪速とされること
で、駆動スリップ制御に入り易く、主駆動輪の過大な駆
動スリップを抑制することができる。この場合、前後輪
駆動力配分制御のメリットは十分に発揮できないが、そ
もそも配分トルク応答性が足りない領域なので前後輪駆
動力配分制御効果を十分に発揮することはできず、むし
ろ主駆動輪の過大なスリップにより車両の操縦安定性が
悪化する傾向にあり、この主駆動輪のスリップを抑制し
た方が車両挙動として好ましいものとなる。よって、配
分トルク応答性がエンジントルク応答性より速い場合、
副駆動輪の平均車輪速を駆動スリップの制御対象駆動輪
速とし、エンジントルク応答性が配分トルク応答性より
速い場合、主駆動輪と副駆動輪の四輪平均車輪速を駆動
スリップの制御対象駆動輪速としたため、通常の加速走
行時程度における前後輪駆動力配分制御と駆動スリップ
制御との両立を達成しながら、発進急加速時等のよう
に、副駆動輪へのトルク伝達応答性より主駆動輪へのト
ルク伝達応答性が速い状況が生じたときも車両の操縦安
定性を確保することができる。
【0012】請求項2記載の発明にあっては、変速比検
出手段において、エンジンと前後駆動力配分手段との間
に設けられた変速機の変速比が検出され、制御対象駆動
輪速変更手段において、ロー変速比の場合、四輪平均車
輪速が駆動スリップの制御対象駆動輪速とされ、ハイ変
速比の場合、副駆動輪の平均車輪速が駆動スリップの制
御対象駆動輪速とされる。すなわち、ローギア位置等の
ようにロー変速比の場合、変速機において入力トルク
(エンジントルク)を増大させて出力トルク(駆動輪ト
ルク)とするため、トルク増大ゲインが大きく配分トル
ク伝達応答性よりエンジントルク伝達応答性が速い状況
と推定することができる。逆に、ハイ変速比、例えば、
変速比1の場合は入力トルクと出力トルクとが同じで、
オーバードライブギア位置等のように変速比1未満の場
合は入力トルクに対し出力トルクが減少するため、エン
ジントルク応答性より配分トルク応答性が速い状況と推
定することができる。つまり、変速比情報(有段変速機
にあってはギア位置情報)をトルク伝達応答性の比較情
報として用いることができる。よって、変速比検出手段
という簡単なトルク伝達応答性比較手段により、変速比
情報を制御対象駆動輪速変更手段の入力情報として駆動
スリップの制御対象駆動輪速を変更することができる。
【0013】請求項3記載の発明にあっては、アクセル
操作検出手段において、エンジン駆動力を決めるアクセ
ル開度又はアクセル開度変化量が検出され、制御対象駆
動輪速変更手段において、前輪の平均車輪速と後輪の平
均車輪速の重み付けを変更することで、副駆動輪の平均
車輪速から主駆動輪と副駆動輪の四輪平均車輪速まで無
段階に変化する車輪速が駆動スリップの制御対象駆動輪
速とされる。すなわち、アクセル開度又はアクセル開度
変化量が小さい場合、エンジントルク応答性が遅く、エ
ンジントルク応答性より配分トルク応答性が速い状況と
推定することができる。また、アクセル開度又はアクセ
ル開度変化量が大きくなるにしたがって、エンジントル
ク応答性が速くなり、エンジントルク応答性と配分トル
ク応答性の関係は、相対的に配分トルク伝達応答性より
エンジントルク伝達応答性が速くなってゆく状況と推定
することができる。つまり、アクセル操作情報をトルク
伝達応答性の比較情報として用いることができる。よっ
て、アクセル操作検出手段という簡単なトルク伝達応答
性比較手段により、アクセル操作情報を制御対象駆動輪
速変更手段の入力情報として駆動スリップの制御対象駆
動輪速を変更することができる。加えて、前輪の平均車
輪速と後輪の平均車輪速の重み付け変更を変更すること
で、副駆動輪の平均車輪速から主駆動輪と副駆動輪の四
輪平均車輪速まで無段階に変化する車輪速が駆動スリッ
プの制御対象駆動輪速とされるため、エンジントルク応
答性と配分トルク応答性との大小関係が明確でない領域
において、最適な駆動スリップの制御対象駆動輪速を得
ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図面に基づいて
詳細に説明する。
【0015】まず、構成を説明する。図1は請求項1に
係る発明を示す概念図であり、aはエンジン、bは前後
輪駆動力配分手段、cは前後輪駆動力配分制御手段、d
は駆動スリップ制御手段、eはトルク伝達応答性比較手
段、fは制御対象駆動輪速変更手段であり、制御対象駆
動輪速変更手段fにおいて、トルク伝達応答性比較手段
eによる比較結果で、配分トルク応答性がエンジントル
ク応答性より速い場合、副駆動輪の平均車輪速が駆動ス
リップの制御対象駆動輪速とされ、エンジントルク応答
性が配分トルク応答性より速い場合、主駆動輪と副駆動
輪の四輪平均車輪速が駆動スリップの制御対象駆動輪速
とされる。
【0016】(実施の形態1)次に、請求項1〜請求項
3に記載の発明に対応する実施の形態1について説明す
る。
【0017】図2は実施の形態1における四輪駆動車の
駆動力配分制御装置が適用された駆動系を含む全体シス
テム図である。実施の形態1の駆動力制御装置が適用さ
れる車両は後輪駆動ベースの四輪駆動車で、その駆動系
は、エンジン1、自動変速機9、フロントファイナルド
ライブ2a、リアファイナルドライブ3a、トランスフ
ァー4(前後輪駆動力配分手段)、左右前輪10,20
(副駆動輪)、左右後輪30,40(主駆動輪)を備え
ている。
【0018】前記トランスファー4は、自動変速機9か
らのエンジン駆動力がリアプロペラシャフト3bと共に
伝達されるクラッチドラム5aと、チェーン5cを介し
てフロントプロペラシャフト2bに係合されるクラッチ
ハブ5bを有し、クラッチドラム5a及びクラッチハブ
5bのそれぞれに設けられたドライブプレート5d,ド
リブンプレート5eとの間で油圧アクチュエータ6に作
動により動力伝達を行う湿式多板クラッチ5を有する。
そして、トランスファー4は、湿式多板クラッチ5の締
結により、左右前輪10,20へのエンジン駆動力の伝
達を行う。
【0019】即ち、各後輪30,40へは自動変速機9
からのエンジン駆動力がそのままリアプロペラシャフト
3b,リアファイナルドライブ3a及びリアドライブシ
ャフト3cを介して伝達され、各前輪10,20へは前
記トランスファ4の湿式多板クラッチ5,チェーン5
c,フロントプロペラシャフト2b,フロントファイナ
ルドライブ2a,フロントドライブシャフト2cを介し
て伝達される。
【0020】そしてトランスファー4は、駆動性能と操
舵性能の両立を図りながら前後輪の駆動力配分を最適に
制御するべく、湿式多板クラッチ5の油圧を制御する油
圧アクチュエータ6により左右前輪10,20に駆動力
を伝達することで、二輪駆動状態から四輪駆動状態(リ
ジッド四輪駆動)との間の駆動力配分制御を行う。左右
前輪10,20及び左右後輪30,40には、それぞれ
車輪速を検知する車輪速センサ11,21,31,41
が設置されており、各車輪速センサ11,21,31,
41からの信号は、駆動状態を制御するコントローラ5
0に入力される。また、車両の前後方向加速度Xgを検
知する前後加速度センサ7、及び横方向加速度Ygを検
知する横加速度センサ8が備えられており、この各Gセ
ンサの信号もコントローラ50に入力される。
【0021】また、駆動力制御としてのエンジン出力の
制御は、コントローラ50よりエンジン出力制御を行う
エンジン用コントローラ51に目標駆動トルクTes指
令がなされ、燃料カット及びスロットル開度を制御する
ことで、エンジン出力が制御される。スロットル制御
は、エンジン用コントローラ51からのスロットル開度
指令に応じてスロットル用コントローラ52が行う。一
方、コントローラ50は、ミッションを制御するAT用
コントローラ53とつながっており、ギア位置GRの信
号が入力される。また、エンジン用コントローラ51か
らはエンジンの駆動トルクTeも入力される。また、ア
クセル開度センサ54のアクセル開度信号Accは、エン
ジン用コントローラ51に入力され、コントローラ50
やAT用コントローラ53にも送られる。
【0022】次に、作用を説明する。図4はコントロー
ラ50により実行されるエンジン出力制御プログラムの
フローチャートで、以下、各ステップについて詳述す
る。この処理は図示していないオペレーティングシステ
ムで一定の時間毎の定時割り込み遂行される。
【0023】ステップ100では、車輪速、前後加速
度、横加速度、アクセル開度の各センサ及び各コントロ
ールユニットからの各種データを読み込む。つまり、前
後加速度Xg、横加速度Yg、各車輪速Vwi(i=1〜
4)、エンジン駆動トルクTe、ギア位置GR、アクセ
ル開度Accをそれぞれ読み込む。
【0024】ステップ101では、アクセル開度変化量
dAccを算出する。本実施例では、アクセル開度Accよ
り次式に従って算出する。 dAcc=Kacc*(Acc[0]+Acc[1]−Acc[3]−Acc
[4]) ここで、Kaccは単位換算の係数である。また、[]内
の数字は、何周期前の値であるかを示す。
【0025】ステップ102では、セレクト車輪速Vfs
を算出する。本実施例では、各輪の車輪速Vwに加速時
/減速時などに応じてフィルタをかけ、より車体速度に
近いVwfi(i=1〜4)を各輪で算出し、制動時/非
制動時などの条件により、各Vwfiから例えば加速時な
どは最も小さい車輪速を選択するなどして最も車体速度
に近いセレクト車輪速Vfsを算出する。特に4輪が駆動
スリップし、駆動スリップ制御が作動する状態では、前
輪10,20の車輪速の小さい方の車輪をある加速内で
追従するようにVfsを算出する。ここで、前輪10,2
0の車輪速の小さい方の車輪としたのは、本実施例での
四輪駆動装置の特性により、前輪10,20に配分され
る駆動力が後輪30,40より小さい傾向にあるためで
あり、他の四輪駆動装置を使用する場合は、その四輪駆
動装置にあったセレクトの方法があることは言うまでも
ない。
【0026】ステップ103は、制御車輪速Vwtを算出
する。本実施例では、ギア位置GR及びアクセル開度変
化量dAccに応じて制御車輪速Vwtを算出する。ギア位
置GRが1,2速(ロー変速比)の場合は、アクセル開
度変化量dAccに応じて前輪10,20の平均車輪速V
wfと後輪30,40の平均車輪速Vwrの重み付けを変更
し、駆動スリップ制御の対象となる車輪速である制御車
輪速Vwtを次式に従って算出する。 Vwt=Ka*Vwf+(1−Ka)*Vwr Vwf=(Vw1+Vw2)/2 Vwr=(Vw3+Vw4)/2 Kaは、図4に示す特性図、つまり、アクセル開度変化
量dAccが0〜dAcc1まではKa=1、dAcc1〜dA
cc2まではKa=1〜0.5、dAcc2以上ではKa=
0.5というように、アクセル開度変化量dAccにより
算出される。また、ギア位置GRが3,4速(ハイ変速
比)の場合は、前輪10,20の平均車輪速Vwfを制御
車輪速Vwtとする。
【0027】ステップ104では、車輪の収束判断を行
う。本実施例では、後述する方法で算出された目標車輪
速Vwsiと制御対象車輪速Vwtとの偏差がある設定値
(例えば1km/h)以内にあるときは、車輪速は収束した
状態にあるものと考え、収束判断カウンタKsuをカウン
トアップする。この収束判断カウンタKsuがある設定値
(例えば150ms;制御周期が10msecの場合は15と
なる)以上になった場合を車輪速収束状態と判断する。
【0028】ステップ105では、セレクト車輪速変化
量dVfsを算出する。本実施例では、一定時間内(例え
ば40msec間)におけるセレクト車輪速Vfsの平均値の
変化量として、次式に従いセレクト車輪速変化量dVfs
を算出する。ただし、次式は40msec間毎に算出され
る。 dVfs=Kg*(VF[0]+VF[1]−VF[3]−VF[4]) ここで、VFはセレクト車輪速Vfsの平均値であり、1
0msec毎に次式に従い算出される。また、Kgは単位換
算の係数である。 VF[0]=Kg*(Vfs[0]+Vfs[1]+Vfs[2]+Vfs
[3])/4 ここで、[]内の数字は、何周期前の値であるかを示
す。
【0029】ステップ106では、路面勾配推定値dS
を算出する。本実施例では、ステップ103で収束判断
されている場合に、次式で路面勾配推定値dSを算出す
る。 dS=dVfs−Xg また、収束判断していない場合は、dS=0とする。
【0030】ステップ107では、路面勾配推定値dS
に応じて坂道判断を行う。本実施例では、路面勾配推定
値dSが、ある設定値(例えば0.05g)以上のときに登坂
路であると判断し、坂道判断カウンタKsaをカウントア
ップする。この坂道判断カウンタKsaは最大値を持ち
(例えば50)、路面勾配推定値が前記設定値以下になっ
た場合はカウントダウンされる。
【0031】ステップ108では、坂道判断に応じて前
後加速度補正量dVhを算出する。本実施例では、坂道
判断カウンタKsaを用い、Ksaが設定値以上(例えば1
5)の場合は、 dVh=min((Ksa−15)*Kr,dVhmax) とする。ここでKrはチューニング定数であり、例えば
0.01などとする。また、設定値以下の場合は、dVh=
0とする。また、dVhmaxは補正量の最大制限値であ
り、大きすぎる補正が行われないように設定される。
【0032】ステップ109では、前後加速度最小値V
idminを算出する。本実施例では、四輪駆動配分制御装
置の差動制限トルクTETSに応じて、図5に示す特性マ
ップに従い前後加速度最小値Vidminを算出する。
【0033】ステップ110は、車体速変化量Vidを算
出する。本実施例では、前後加速度センサ値(加速側プ
ラス)と前後加速度補正値及びステップ109で算出し
た前後加速度最小値Vidminより次式に従って算出す
る。 加速判断時; Vid=max(Xg+dVh,Vidmin) ここで、加速判断はセレクト車輪速Vfsと推定車体速V
iの前回値との比較により判断し、Vfs≧Vi(前回値)
の時に加速時と判断する。 減速判断時; Vid=Xg−G_offset 本実施例では、オフセットは市場にある一般的な坂道で
は、減速時にVidが正の値になることがないように0.3g
とする。
【0034】ステップ111では、推定車体速Viを算
出する。本実施例では、セレクト車輪速Vfs、車体速変
化量Vid、推定車体速Viの前回値より次式に従い算出
する。 加速時; Vi=min(Vi(前回値)+Vid,Vfs) 減速時; Vi=max(Vi(前回値)+Vid,0) つまり、Viの前回値に車体速変化量Vidを加算するも
のとする。ただし、加速時はVfsを最大制限値とし、減
速時は0を下限値とする。このようにして推定車体速を
算出することで、四輪駆動車で4輪が駆動スリップして
駆動力制御が作動しているような状態であり、かつ、路
面に勾配があるような車体速度推定が厳しい状況であっ
ても、精度良く車体速推定が可能となる。
【0035】次のステップからは、この推定車体速VI
と制御車輪速Vwtを用いた駆動スリップ制御についての
説明となる。
【0036】まず、四輪駆動配分制御の制御量の算出を
行う。ステップ112では、四輪駆動力配分装置により
制御される差動力制限トルクTETSを算出する。本実施
例では、以下に示すように各輪の車輪速より前後それぞ
れ平均車輪速Vwf、Vwrを算出し、その差である前後回
転数差△Vfrに応じて、差動制限トルクTETSを算出す
る。 Vwf=(Vw1+Vw2)/2 Vwr=(Vw3+Vw4)/2 △Vfr=Vwr−Vwf 前後回転数差△Vfrから差動制限トルクTETSの算出
は、図7に示す特性マップに従い算出する。図7の特性
マップの傾きKtは、図6に示すように、横加速度Yg
が大きいほど小さくなる特性を持つ。
【0037】ステップ113では、駆動スリップ制御の
目標スリップ量Sstarを算出する。本実施例では、基準
目標スリップ量SO(例えば2.5km/h)に対し、加減速の
状態、直進又は旋回の判断、路面μの判断、駆動スリッ
プ制御の作動及び非作動などにより補正して目標スリッ
プ量Sstarを設定する。
【0038】ステップ114では、目標車輪速Vwsを算
出する。本実施例では、ステップ111で求めた推定車
体速Viとステップ113で設定した目標スリップ量Ss
tarより次式で算出する。 Vws=Vi+Sstar
【0039】ステップ115では、目標駆動トルクTe
sを算出する。本実施例では、まずステップ114で求
めた目標車輪速Vwsとステップ103で求めた制御車輪
速Vwtとの偏差εを次式で算出する。 ε=Vws−Vwt さらに、この偏差εに応じてF/B制御(ここではPI
D制御)の指令値である目標駆動トルクTesを次式で
算出する。 駆動スリップ制御非作動時; Tes=Te 駆動スリップ制御作動時; Tes=Kp*ε+Kd*dε/dt+Ki*∫εdt ここで、Kp、Kd、KiはそれぞれF/Bゲインであ
り、ギア位置GPなどにより変更される。例えば、ギア
位置GPに応じてローギアほどゲインを大きく、ハイギ
アほどゲインを小さくする。また、車輪速偏差εに応じ
て、εが大きい程、応答性向上のためにゲインを大きく
(非線形制御)したり、スリップの収束側では、再スリ
ップ防止のために、ゲインを下げるなどとしても良い。
【0040】ステップ116では、各駆動信号を出力す
る。つまり、駆動力配分制御装置には、目標差動制限ト
ルクTETSに対応した電圧指令値を出力する。また、エ
ンジン用コントローラ51には、目標駆動トルクTes
を出力する。
【0041】[前後輪駆動力配分制御と駆動スリップ制
御]前後輪駆動力配分制御は、図3のステップ112に
おいて、前後輪のうちエンジン駆動力が主に伝達される
後輪30,40とエンジン駆動力が副次的に伝達される
前輪10,20との前後回転数差△Vfrに応じて、差動
制限トルクTETSが算出される。そして、エンジン1と
前後輪との間に設けられた湿式多板クラッチ5の油圧ア
クチュエータ6への指令により、湿式多板クラッチ5が
差動制限トルクTETSを得る油圧で締結され、前後輪へ
の駆動力配分が制御される。
【0042】一方、駆動スリップ制御は、ステップ11
1で求めた推定車体速Viとステップ113で設定した
目標スリップ量Sstarに基づいてステップ114におい
て目標車輪速Vwsが算出され、ステップ115におい
て、この目標車輪速Vwsとステップ103で求めた制御
車輪速Vwtとの偏差εに応じてF/B制御の指令値であ
る目標駆動トルクTes算出される。そして、エンジン
用コントローラ51は、駆動力制御用のコントローラ5
0から目標駆動トルクTesを入力し、その目標値に応
じて、燃料カット及びスロットル開度を制御することで
エンジン出力が制御される。ここで、スロットル制御
は、エンジン用コントローラ51からのスロットル開度
指令に応じてスロットル用コントローラ52が行う。
【0043】[制御車輪速Vwtの設定]上記駆動スリッ
プ制御で用いられる制御車輪速Vwtは、ステップ103
において、ギア位置GR及びアクセル開度変化量dAcc
に応じて算出される。ギア位置GRが1,2速(ロー変
速比)の場合は、アクセル開度変化量dAccに応じて前
輪10,20の平均車輪速Vwfと後輪30,40の平均
車輪速Vwrの重み付けを変更し、次式に従って算出され
る。 Vwt=Ka*Vwf+(1−Ka)*Vwr 但し、Ka
=1〜0.5 また、ギア位置GRが3,4速(ハイ変速比)の場合
は、前輪10,20の平均車輪速Vwfがそのまま制御車
輪速Vwtとされる。
【0044】すなわち、ギア位置GRが3,4速であ
り、加速しても通常加速走行時程度であり前輪10,2
0への配分トルク応答性が後輪30,40へのエンジン
トルク応答性より速い場合には、副駆動輪である前輪1
0,20の平均車輪速Vwfが駆動スリップの制御対象と
なる制御車輪速Vwtとされることで、駆動スリップ制御
に入りにくく、前後輪駆動力配分制御による車両のヨー
運動のコントロールというメリットを生かしつつ、4輪
トータルの駆動力が過大となり、4輪全てが駆動スリッ
プする場合には駆動スリップ制御を実行することで4輪
駆動スリップを防止することができる。
【0045】また、ギア位置GRが1速である発進急加
速時においては、後輪30,40へのエンジントルク応
答性が前輪10,20への配分トルク応答性より速くな
るが、この場合には、アクセル急踏み操作によりアクセ
ル開度変化量dAccが、図4においてdAcc2以上とな
り、Ka=0.5とされることで、制御車輪速Vwtは、
Vwt=0.5*Vwf+0.5*Vwrの式、つまり、四輪
平均車輪速が駆動スリップの制御対象となる制御車輪速
Vwtとされることで、駆動スリップ制御に入り易く、図
8のVwr特性に示すように、主駆動輪である後輪30,
40の過大な駆動スリップを抑制することができる。
【0046】この場合、前後輪駆動力配分制御のメリッ
トは十分に発揮できないが、そもそも前輪10,20へ
の配分トルク応答性が足りない領域なので前後輪駆動力
配分制御効果(ヨーコントロール効果)を十分に発揮す
ることはできず、むしろ後輪30,40の過大なスリッ
プにより車両の操縦安定性が悪化する傾向にあり、この
後輪30,40のスリップを抑制した方が車両挙動とし
て好ましいものとなる。
【0047】さらに、ギア位置GRが1速または2速で
ある加速時においては、加速操作が速くなるにしたがっ
て、後輪30,40へのエンジントルク応答性が次第に
速くなるが、この場合には、アクセル踏み込み操作の程
度がアクセル開度変化量dAccにより監視され、アクセ
ル開度変化量dAccが、図4において、dAcc1〜dAc
c2の領域となり、アクセル開度変化量dAccの上昇に応
じてKaは1から0.5まで比例的に下げられる、つま
り、アクセル開度変化量dAccが大きいほど後輪速Vwr
の重み付けを大きくした値が駆動スリップの制御対象と
なる制御車輪速Vwtとされることになる。よって、低ア
クセル開度変化量領域では、ギア位置GRが3,4速の
場合と同様に、前後輪駆動力配分制御と駆動スリップ制
御との両立を達成する制御としながら、アクセル開度変
化量dAccが大きくなるほど主駆動輪である後輪30,
40の駆動スリップを抑制する制御が強められ、ギア位
置GRが1速である発進急加速時の制御に近づく。
【0048】次に、効果を説明する。
【0049】(1) 前輪10,20への配分トルク応答性
が後輪30,40へのエンジントルク応答性より速いと
判断された場合、前輪10,20のVwfをそのまま制御
車輪速Vwtとし、後輪30,40へのエンジントルク応
答性が前輪10,20への配分トルク応答性より速いと
判断された場合、基本的に四輪平均車輪速を駆動スリッ
プの制御対象となる制御車輪速Vwtとしたため、通常の
加速走行時程度における前後輪駆動力配分制御と駆動ス
リップ制御との両立を達成しながら、発進急加速時等の
ように、前輪10,20へのトルク伝達応答性より後輪
30,40へのトルク伝達応答性が速い状況が生じたと
きも車両の操縦安定性を確保することができる。
【0050】(2) 自動変速機9のギア位置を検出し、
1,2速のロー側ギア位置の場合、基本的に四輪平均車
輪速を駆動スリップの制御対象となる制御車輪速Vwtと
し、3,4速のハイ側ギア位置の場合、前輪10,20
のVwfをそのまま制御車輪速Vwtとするようにしたた
め、ギア位置情報を用いた簡単なトルク伝達応答性比較
により、駆動スリップ制御の制御車輪速Vwtを変更する
ことができる。すなわち、ローギア位置の場合、変速機
において入力トルクを増大させて出力トルクとするた
め、トルク増大ゲインが大きく配分トルク伝達応答性よ
りエンジントルク伝達応答性が速い状況と推定すること
ができる。逆に、ハイギア位置の場合、入力トルクと出
力トルクとが同じ、もしくは、入力トルクに対し出力ト
ルクが減少するため、エンジントルク応答性より配分ト
ルク応答性が速い状況と推定することができる。つま
り、有段変速機にあってはギア位置情報をトルク伝達応
答性の比較情報として用いることができる。
【0051】(3) アクセル開度変化量dAccにより前輪
10,20の平均車輪速Vwfと後輪30,40の平均車
輪速Vwrの重み付けを変更することで、前輪10,20
の平均車輪速Vwfから四輪平均車輪速まで無段階に変化
する車輪速を駆動スリップの制御対象となる制御車輪速
Vwtとしたため、アクセル開度変化量情報を用いた簡単
なトルク伝達応答性比較により、駆動スリップ制御の制
御車輪速Vwtを変更することができると共に、エンジン
トルク応答性と配分トルク応答性との大小関係が明確で
ないアクセル開度変化量領域(図4のdAcc1〜dAcc
2)において、最適な駆動スリップ制御の制御車輪速Vw
tを得ることができる。すなわち、アクセル開度変化量
dAccが小さい場合、エンジントルク応答性が遅く、エ
ンジントルク応答性より配分トルク応答性が速い状況と
推定することができる。また、アクセル開度変化量dA
ccが大きくなるにしたがって、エンジントルク応答性が
速くなり、エンジントルク応答性と配分トルク応答性の
関係は、相対的に配分トルク伝達応答性よりエンジント
ルク伝達応答性が速くなってゆく状況と推定することが
できる。つまり、アクセル開度変化量dAccをトルク伝
達応答性の比較情報として用いることができる。
【0052】以上、本発明の実施の形態1を説明してき
たが、具体的な構成については、この実施の形態1に限
られるものではない。
【0053】例えば、実施の形態1では、後輪駆動ベー
スの四輪駆動車への適用例を示したが、前輪駆動ベース
の四輪駆動車や駆動ベースを決めることなくトランスフ
ァーから前後輪に駆動力を配分するような四輪駆動車に
も適用できることはいうまでもない。
【0054】実施の形態1では、請求項2及び請求項3
に記載の発明を組み合わせてトルク伝達応答性を比較す
る手段とする好適な例を示したが、請求項2に記載され
た発明と請求項3に記載された発明のそれぞれによりト
ルク伝達応答性を比較する手段としても良い。
【0055】実施の形態1では、アクセル開度変化量に
より重み付けを変更する例を示したが、アクセル開度に
より重み付けを変更するようにしても良い。さらに、ギ
ア位置(無段変速機の場合には変速比)やアクセル開度
またはアクセル開度変化量以外にも、エンジントルク伝
達応答と配分トルク伝達応答を比較し得る他の情報をこ
れらと組み合わせたり、独立に用いてトルク伝達応答性
比較手段とする例も勿論本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る本発明の四輪駆動車の駆動力制
御装置を示す概念図である。
【図2】実施の形態1における四輪駆動車の駆動力制御
装置が適用された全体システム図である。
【図3】実施の形態1における前後輪駆動力配分制御及
び駆動スリップ制御処理を表すフローチャートである。
【図4】実施の形態1の駆動スリップ制御で用いられる
制御車輪速を決める重み付け係数Kaの特性を示す図で
ある。
【図5】実施の形態1での前後加速度最小値Vidminと
差動制限トルクTETSとの関係を表す特性マップであ
る。
【図6】実施の形態1の前後輪駆動力配分制御での差動
制限トルクTETSを決める横加速度に対するゲイン特性
図である。
【図7】実施の形態1の前後輪駆動力配分制御での前後
輪回転速度差△Vfrに対する差動制限トルク特性図であ
る。
【図8】実施の形態1での発進急加速時における推定車
体速、目標車輪速、前輪平均速、後輪平均速を示すタイ
ムチャートである。
【図9】従来装置において通常の加速走行時程度の場合
における推定車体速、目標車輪速、前輪平均速、後輪平
均速を示すタイムチャートである。
【図10】従来装置において発進急加速時における推定
車体速、目標車輪速、前輪平均速、後輪平均速を示すタ
イムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 フロントファイナルドライブ 3 リヤファイナルドライブ 4 トランスファ 5 湿式多板クラッチ 6 油圧アクチュエータ 7 前後加速度センサ 8 横加速度センサ 9 自動変速機 10,20 前輪(副駆動輪) 30,40 後輪(主駆動輪) 11,21,31,41 車輪速センサ 50 コントロールユニット 51 エンジンコントロールユニット 52 スロットルコントロールユニット 53 A/Tコントロールユニット 54 アクセル開度センサ
フロントページの続き Fターム(参考) 3D041 AA48 AB01 AC01 AC07 AC15 AD00 AD10 AD31 AD51 AE04 AE08 AE23 AE32 AF01 3D043 AA03 AB17 EA02 EA18 EA40 EA42 EB06 EB12 EE01 EE05 EE07 EE08 EE18 EF03 EF06 EF12 EF19 EF21 EF24 3G093 AA03 AA05 BA01 CB06 CB07 CB09 DA06 DB00 DB03 DB04 DB13 DB14 DB17 EA05 EA09 EB02 EB03 EC02 EC04 FA01 FA04 FA07 FA10 FA11 FA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンと前後輪との間に前後駆動力配
    分手段が設けられ、前後輪のうちエンジン駆動力が主に
    伝達される駆動輪(以下、主駆動輪)とエンジン駆動力
    が副次的に伝達される駆動輪(以下、副駆動輪)との回
    転速度差に応じた前記前後駆動力配分手段への指令によ
    り前後輪への駆動力配分を制御する前後輪駆動力配分制
    御手段と、 駆動スリップが設定しきい値以上である場合に少なくと
    もエンジン出力を低減することで駆動スリップを抑制す
    る駆動スリップ制御手段とを備えた四輪駆動車の駆動力
    制御装置において、 前記エンジンから主駆動輪へのエンジントルク伝達速さ
    であるエンジントルク応答性と前記前後駆動力配分手段
    を介した副駆動輪への配分トルク伝達速さである配分ト
    ルク応答性とを比較するトルク伝達応答性比較手段を設
    け、 前記トルク伝達応答性比較手段による比較結果で、配分
    トルク応答性がエンジントルク応答性より速い場合、副
    駆動輪の平均車輪速を駆動スリップの制御対象駆動輪速
    とし、エンジントルク応答性が配分トルク応答性より速
    い場合、主駆動輪と副駆動輪の四輪平均車輪速を駆動ス
    リップの制御対象駆動輪速とする制御対象駆動輪速変更
    手段を設けたことを特徴とする四輪駆動車の駆動力制御
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の四輪駆動車の駆動力制御
    装置において、前記トルク伝達応答性比較手段を、エン
    ジンと前後駆動力配分手段との間に設けられた変速機の
    変速比を検出する変速比検出手段とし、 前記制御対象駆動輪速変更手段を、ロー変速比の場合、
    四輪平均車輪速を駆動スリップの制御対象駆動輪速と
    し、ハイ変速比の場合、副駆動輪の平均車輪速を駆動ス
    リップの制御対象駆動輪速とする手段としたことを特徴
    とする四輪駆動車の駆動力制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の四輪駆動
    車の駆動力制御装置において、 前記トルク伝達応答性比較手段を、エンジン駆動力を決
    めるアクセル開度又はアクセル開度変化量を検出するア
    クセル操作検出手段とし、 前記制御対象駆動輪速変更手段を、前輪の平均車輪速と
    後輪の平均車輪速の重み付けを変更することで、副駆動
    輪の平均車輪速から主駆動輪と副駆動輪の四輪平均車輪
    速まで無段階に変化する車輪速を駆動スリップの制御対
    象駆動輪速とする手段としたことを特徴とする四輪駆動
    車の駆動力制御装置。
JP2000104272A 2000-04-06 2000-04-06 四輪駆動車の駆動力制御装置 Expired - Lifetime JP3656511B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000104272A JP3656511B2 (ja) 2000-04-06 2000-04-06 四輪駆動車の駆動力制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000104272A JP3656511B2 (ja) 2000-04-06 2000-04-06 四輪駆動車の駆動力制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001287559A true JP2001287559A (ja) 2001-10-16
JP3656511B2 JP3656511B2 (ja) 2005-06-08

Family

ID=18617849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000104272A Expired - Lifetime JP3656511B2 (ja) 2000-04-06 2000-04-06 四輪駆動車の駆動力制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3656511B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004351945A (ja) * 2003-05-26 2004-12-16 Tochigi Fuji Ind Co Ltd 差動制御装置
JP2007083960A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Hitachi Ltd 車両制動力制御装置
JP2007131192A (ja) * 2005-11-11 2007-05-31 Suzuki Motor Corp 車両の駆動力配分制御装置
JP2011140294A (ja) * 2009-12-07 2011-07-21 Honda Motor Co Ltd 四輪駆動車両の制御装置
JP2015524773A (ja) * 2012-08-16 2015-08-27 ジャガー・ランド・ローバー・リミテッドJaguar Land Rover Limited 車速制御システム
US9701308B2 (en) 2012-08-16 2017-07-11 Jaguar Land Rover Limited Vehicle speed control system
CN109606369A (zh) * 2017-09-30 2019-04-12 比亚迪股份有限公司 车辆行驶控制方法、装置和四驱型车辆
US20230311904A1 (en) * 2022-04-04 2023-10-05 GM Global Technology Operations LLC Vehicle speed and/or wheel speed estimation using multiple speed measurements

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112009004352T5 (de) * 2009-01-08 2012-06-21 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Steuervorrichtung für ein Kraftübertragungssystem eines Kraftfahrzeugs mit Vierradantrieb

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004351945A (ja) * 2003-05-26 2004-12-16 Tochigi Fuji Ind Co Ltd 差動制御装置
JP2007083960A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Hitachi Ltd 車両制動力制御装置
JP4657864B2 (ja) * 2005-09-26 2011-03-23 日立オートモティブシステムズ株式会社 車両制動力制御装置
JP2007131192A (ja) * 2005-11-11 2007-05-31 Suzuki Motor Corp 車両の駆動力配分制御装置
JP2011140294A (ja) * 2009-12-07 2011-07-21 Honda Motor Co Ltd 四輪駆動車両の制御装置
US8527178B2 (en) 2009-12-07 2013-09-03 Honda Motor Co., Ltd. Control apparatus for four-wheel drive vehicle
JP2015524773A (ja) * 2012-08-16 2015-08-27 ジャガー・ランド・ローバー・リミテッドJaguar Land Rover Limited 車速制御システム
US9701309B2 (en) 2012-08-16 2017-07-11 Jaguar Land Rover Limited Vehicle speed control system
US9701308B2 (en) 2012-08-16 2017-07-11 Jaguar Land Rover Limited Vehicle speed control system
CN109606369A (zh) * 2017-09-30 2019-04-12 比亚迪股份有限公司 车辆行驶控制方法、装置和四驱型车辆
US20230311904A1 (en) * 2022-04-04 2023-10-05 GM Global Technology Operations LLC Vehicle speed and/or wheel speed estimation using multiple speed measurements

Also Published As

Publication number Publication date
JP3656511B2 (ja) 2005-06-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3589202B2 (ja) 4輪駆動車両の駆動力制御装置
CN109747632B (zh) 一种双动力源驱动车辆扭矩分配方法
JP2001180318A (ja) 四輪駆動車両の駆動力制御装置
JP2946251B2 (ja) 車両の駆動輪トルク制御装置
JP4233794B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
US6896083B2 (en) Four-wheel drive control system and method
JP2704774B2 (ja) 車両の駆動輪スリップ制御装置
JP3656511B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力制御装置
JP3536523B2 (ja) 車両用駆動力制御装置
JPH11115719A (ja) 4輪駆動車の動力配分制御装置
JP5663368B2 (ja) 車両の運転支援制御装置
JP3467973B2 (ja) 駆動力配分制御装置
JP3651327B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力制御装置
JP3716333B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力制御装置
JP2004017721A (ja) 四輪駆動車の制御装置
JP3539280B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2012192875A (ja) 車両の運転支援制御装置
JP3555132B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP2000085393A (ja) 4輪駆動車
JP2008144788A (ja) 車両の駆動力制御装置
JP3518464B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
JP3575223B2 (ja) 車両用駆動力制御装置
JP3430495B2 (ja) 4輪駆動車の制御装置
JP3561908B2 (ja) 四輪駆動車の駆動力配分制御装置
WO2003091057A1 (fr) Dispositif et procede de commande de la distribution de la force motrice d'un vehicule a quatre roues

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20041111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050121

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050215

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050228

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090318

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100318

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100318

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110318

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110318

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120318

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130318

Year of fee payment: 8